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技術 透明皮膜

出願人 住友化学株式会社国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 島崎泰治原田好寛竹厚流穂積篤浦田千尋
出願日 2015年10月27日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2016-556576
公開日 2017年8月31日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 WO2016-068118
状態 特許登録済
技術分野 けい素重合体 塗料、除去剤 積層体(2)
主要キーワード 屋内設備 角度サンプリング 表面層間 直鎖状飽和脂肪族炭化水素 振動変化 反射率プロファイル アルキルピリジン化合物 スペーサー部位
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課題・解決手段

本発明は、撥水・撥油性硬度とを両立することを目的とする。本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合する第1の炭化水素鎖含有基とを含み、厚みが6nm以上、50nm以下であることを特徴とする。

概要

背景

各種の表示装置光学素子半導体素子建築材料自動車部品ナノインプリント技術太陽電池部材等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れ腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水・撥油性が良好であることが求められており、特に、基材表面への液滴の付着を防止するだけでなく、付着した液滴の除去が容易であることも求められている。

付着した液滴の除去のために、固体表面における液滴の動的な挙動を調整する試みがなされている。特許文献1には、有機シラン金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解縮重合することにより得られる皮膜が提案されている。

概要

本発明は、撥水・撥油性と硬度とを両立することを目的とする。本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合する第1の炭化水素鎖含有基とを含み、厚みが6nm以上、50nm以下であることを特徴とする。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合する第1の炭化水素鎖含有基とを含み、厚みが6nm以上、50nm以下である透明皮膜

請求項2

厚みが8nm以上、40nm以下である請求項1に記載の透明皮膜。

請求項3

鉛筆硬度が2H以上である請求項1または2に記載の透明皮膜。

請求項4

滑落法で測定した動的撥水・撥油特性(水に対する接触角ヒステリシス)が6.0°以下である請求項1〜3のいずれかに記載の透明皮膜。

請求項5

Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、および、Taよりなる群から選ばれる金属原子と、前記第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基アルコキシ基、および、ヒドロキシ基が縮合した基よりなる群から選ばれる基であって、前記金属原子に結合する基とから構成されるユニットをさらに有し、このユニットの金属原子の部位で前記ポリシロキサン骨格に結合している請求項1〜4のいずれかに記載の透明皮膜。

請求項6

下記式(1)で表される構造(A)を有する請求項1〜5のいずれかに記載の透明皮膜。[式(1)中、Raは第1の炭化水素鎖含有基を表し、Za1は、第1の炭化水素鎖含有基、第2の炭化水素鎖含有基、または、−O−基を表し、Za1が第1の炭化水素鎖含有基の場合、RaとZa1とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(1)間でRaとZa1とは同一であっても異なっていてもよい。]

請求項7

前記第1の炭化水素鎖含有基が、6個以上、20個以下の炭素原子で構成される鎖状構造、または、この鎖状構造中の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった構造を有する請求項1〜6のいずれかに記載の透明皮膜。

請求項8

下記式(2)で表される構造(B)を有する請求項5〜7のいずれかに記載の透明皮膜。[式(2)中、Rb1は、第2の炭化水素鎖含有基ヒドロキシ基、または−O−基を表し、Zb1は第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基、または、−O−基を表し、Zb1及びRb1が第2の炭化水素鎖含有基の場合、Rb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(2)間でRb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよい。Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Taを表す。nは、Mに応じて、0、1、または、2の整数を表す。]

請求項9

前記第2の炭化水素鎖含有基が、前記第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い鎖状構造或いはこの鎖状構造中の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった構造を有する請求項8に記載の透明皮膜。

請求項10

前記式(2)において、MがSiである請求項8または9に記載の透明皮膜。

請求項11

構造(B)と構造(A)の存在比(構造(B)/構造(A))が、モル基準で、4以上、60以下である請求項8〜10のいずれかに記載の透明皮膜。

請求項12

請求項1〜11のいずれかに記載の透明皮膜を有する透明皮膜処理基材

技術分野

0001

本発明は、各種基材に撥水・撥油性を付与できる透明皮膜に関する。

背景技術

0002

各種の表示装置光学素子半導体素子建築材料自動車部品ナノインプリント技術太陽電池部材等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れ腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水・撥油性が良好であることが求められており、特に、基材表面への液滴の付着を防止するだけでなく、付着した液滴の除去が容易であることも求められている。

0003

付着した液滴の除去のために、固体表面における液滴の動的な挙動を調整する試みがなされている。特許文献1には、有機シラン金属アルコキシドを、有機溶媒、水、触媒を含む溶液中で共加水分解縮重合することにより得られる皮膜が提案されている。

先行技術

0004

特開2013−213181号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところが、本発明者らは、上記引用文献1に記載の皮膜において皮膜硬度不足する場合があることを見出した。皮膜の硬度が不足すると、液滴が付着しやすくなり、或いは除去されにくくなって、基材の汚れや腐食、さらには性能低下等が問題となる場合がある。そこで本発明では、撥水・撥油性と硬度とを両立することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意検討した結果、透明皮膜の厚みを薄くすると、意外なことに硬度が向上し、撥水・撥油性と硬度とを両立する透明皮膜が得られることを見出して本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、前記ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合する第1の炭化水素鎖含有基とを含み、厚みが6nm以上、50nm以下であることを特徴とする。本発明の透明皮膜の厚みは、8nm以上、40nm以下であることが好ましい。また、本発明の透明皮膜の鉛筆硬度は2H以上であることが好ましい。さらに、滑落法で測定した本発明の透明皮膜の動的撥水・撥油特性(水に対する接触角ヒステリシス)は6.0°以下であることが好ましい。
本発明の透明皮膜では、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、および、Taよりなる群から選ばれる金属原子と、前記第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基アルコキシ基、および、ヒドロキシ基が縮合した基よりなる群から選ばれる基であって、前記金属原子に結合する基とから構成されるユニットをさらに有し、このユニットの金属原子の部位で前記ポリシロキサン骨格に結合していることが好ましい。

0007

本発明の透明皮膜は、下記式(1)で表される構造(A)を有するものであることが好ましい。

0008

0009

[式(1)中、Raは第1の炭化水素鎖含有基を表し、Za1は、第1の炭化水素鎖含有基、第2の炭化水素鎖含有基、または、−O−基を表し、Za1が第1の炭化水素鎖含有基の場合、RaとZa1とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(1)間でRaとZa1とは同一であっても異なっていてもよい。]

0010

前記第1の炭化水素鎖含有基は、6個以上、20個以下の炭素原子で構成される鎖状構造、または、この鎖状構造中の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった構造を有するものであることが好ましい。

0011

さらに本発明の透明皮膜は、下記式(2)で表される構造(B)を有するものであることが好ましい。

0012

0013

[式(2)中、Rb1は、第2の炭化水素鎖含有基ヒドロキシ基、又は−O−基を表し、Zb1は第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基、または、−O−基を表し、Zb1及びRb1が第2の炭化水素鎖含有基の場合、Rb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(2)間でRb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよい。
Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Taを表す。
nは、Mに応じて、0、1、または、2の整数を表す。]

0014

前記第2の炭化水素鎖含有基は、前記第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い鎖状構造或いはこの鎖状構造中の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった構造を有するものであることが好ましい。
前記式(2)において、MがSiであることが好ましい。
本発明の透明皮膜において、構造(B)と構造(A)の存在比(構造(B)/構造(A))が、モル基準で、4以上、60以下であることが好ましい。
また、本発明の透明皮膜を有する透明皮膜処理基材も本発明の技術的範囲に包含される。

発明の効果

0015

本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格と、このポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合する第1の炭化水素鎖含有基とを含むものであって、厚みが6nm以上、50nm以下であるため、撥水・撥油性と硬度を両立できるものとなる。

0016

本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン骨格で構成されており、このポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に、第1の炭化水素鎖含有基が結合している。炭化水素鎖含有基によって撥水・撥油機能が発揮される。またこの炭化水素鎖含有基がポリシロキサン骨格の一部に結合しているため、残りのケイ素原子は、実質的にスペーサーとして機能する。こうしたスペーサーを介して炭化水素鎖含有基を結合すると、撥水・撥油機能がさらに高められる。

0017

本発明において、ポリシロキサン骨格とは、ケイ素原子と酸素原子とが交互に並び、酸素原子を介してケイ素原子が3次元的に連なった骨格を意味する。ポリシロキサン骨格を含むことで、皮膜の化学的物理的耐久性、透明性が向上する。また、ポリシロキサン骨格は、Si−O−Si結合による3次元網目構造であることが望ましいものの、必要により、2価の炭化水素基がケイ素原子間に介入した構造を有していてもよい。

0018

そして、本発明の透明皮膜では、ポリシロキサン骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に、第1の炭化水素鎖含有基が結合している。

0019

前記第1の炭化水素鎖含有基は、その一部に炭化水素鎖を含有する1価の基であり、この炭化水素鎖によって、透明皮膜界面(表面)に撥水・撥油性が付与される。特に液滴(水滴等)と透明皮膜の間の摩擦係数が小さくなり、液滴が移動しやすくなる。

0020

前記炭化水素鎖含有基は、通常、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。このように一部が酸素原子で置換された基であっても、残りの部分に炭化水素鎖が存在するため、炭化水素鎖含有基に分類される。なおSi原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって第1の炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、そのメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。
前記第1の炭化水素鎖含有基は、それが炭化水素基の場合には、炭素数は6以上、20以下であることが好ましく、より好ましくは炭素数7以上、17以下であり、さらに好ましくは炭素数8以上、15以下である。

0021

また前記第1の炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)の構造は、鎖状であることが好ましく、鎖状構造である場合、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。
第1の炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。

0022

前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基、ドデシル基トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等の直鎖状飽和脂肪族炭化水素鎖含有基;メチルペンチル基エチルペンチル基メチルヘキシル基、エチルヘキシル基、プロピルヘキシル基、tert−オクチル基等の分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素鎖含有基;等が含まれる。

0023

飽和脂肪族炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基としては、具体的には、(ポリエチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示することができる。

0024

第1の炭化水素鎖含有基が結合しているケイ素原子は、透明皮膜に含まれるケイ素原子100モル中、1モル以上、19モル以下であることが好ましく、より好ましくは2モル以上、15モル以下、さらに好ましくは3モル以上、12モル以下である。第1の炭化水素鎖含有基がこの範囲で含まれていると、透明皮膜の撥水・撥油性がより良好である。

0025

さらに、本発明の透明皮膜は、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、および、Taよりなる群から選ばれる金属原子と、前記第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、および、ヒドロキシ基が縮合した基よりなる群から選ばれる基であって、前記金属原子に結合する基とから構成されるユニットをさらに有し、このユニットの金属原子の部位で前記ポリシロキサン骨格に結合している構造を有していてもよい。
特に第1の炭化水素鎖含有基が結合していないケイ素原子或いは金属原子に、こういった第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはヒドロキシ基が縮合した基が結合すると、このケイ素原子もスペーサーとして作用し、第1の炭化水素鎖含有基による撥水・撥油特性向上作用を高めることが可能となる。

0026

前記第2の炭化水素鎖含有基は、第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短いものであればよい。第1及び第2の炭化水素鎖含有基の長さは、炭化水素鎖含有基のうち、Si等の金属原子に結合する元素を含む最長直鎖(以下、「主鎖」ともいう。)の長さ(最長鎖長)として評価することができる。第2の炭化水素鎖含有基を第1の炭化水素鎖含有基よりも主鎖の長さが短いものとするためには、例えば、炭化水素鎖部分の炭素数を第1の炭化水素鎖含有基よりも少なくすればよい。第2の炭化水素鎖含有基は、通常、第1の炭化水素鎖含有基と同様に炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。また、Si原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖部分の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。
以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって第2の炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、そのメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。
前記第2の炭化水素鎖含有基は、それが炭化水素基の場合には、炭素数は1以上、5以下であることが好ましく、より好ましくは1以上、3以下である。
また、前記第2の炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)の構造は、鎖状であることが好ましく、鎖状構造である場合、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。

0027

第2の炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。

0028

前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)としては、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基には、例えば、メチル基エチル基プロピル基ブチル基、ペンチル基等の直鎖状飽和脂肪族炭化水素鎖含有基;イソプロピル基イソブチル基イソペンチル基、2−ペンチル基等の分岐鎖状飽和脂肪族炭化水素鎖含有基;等が含まれる。

0029

飽和脂肪族炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わる場合、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。

0030

前記アルコキシ基は、炭素数1〜4であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜3である。例えば、ブトキシ基プロポキシ基、エトキシ基メトキシ基等が挙げられる。
また、ヒドロキシ基は他のヒドロキシ基、アルコキシ基等と縮合して、−O−基を形成するが、このようなヒドロキシ基が縮合した基が前記金属原子に結合していてもよい。

0031

前記第1の炭化水素鎖含有基がケイ素原子に結合した構造としては、下記式(1)で表される構造(A)が好ましい。

0032

0033

[式(1)中、Raは第1の炭化水素鎖含有基を表し、Za1は、第1の炭化水素鎖含有基、第2の炭化水素鎖含有基、または、−O−基を表し、Za1が第1の炭化水素鎖含有基の場合、RaとZa1とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(1)間でRaとZa1とは同一であっても異なっていてもよい。]

0034

式(1)中、Ra、Za1の第1の炭化水素鎖含有基、および、Za1の第2の炭化水素鎖含有基は、いずれも第1の炭化水素鎖含有基、第2の炭化水素鎖含有基として上記説明した範囲から適宜選択できる。

0035

中でもZa1としては、第2の炭化水素鎖含有基、または、−O−基であることが好ましく、−O−基であることが特に好ましい。

0036

構造(A)としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1−32)で表される鎖状構造を好ましく例示することができる。

0037

0038

0039

0040

本発明の透明皮膜では、上述した様に、上記第1の炭化水素鎖含有基が結合するケイ素原子とは異なるケイ素原子(第2ケイ素原子)、または、ケイ素原子を置き換える他の金属原子に、第2の炭化水素鎖含有基、または、ヒドロキシ基を結合させてもよい。こうした第2ケイ素原子や他の金属原子もまた、長さが短い第2の炭化水素鎖含有基またはヒドロキシ基が結合しているためにスペーサーとして作用し、第1の炭化水素鎖含有基による撥水・撥油特性向上作用を高めることが可能となる。

0041

第2の炭化水素鎖含有基が第2のケイ素原子または他の金属原子に結合した構造としては、下記式(2)で表される構造(B)が好ましい。

0042

0043

[式(2)中、Rb1は、第2の炭化水素鎖含有基ヒドロキシ基、または−O−基を表し、Zb1は第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基、または、−O−基を表し、Zb1及びRb1が第2の炭化水素鎖含有基の場合、Rb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(2)間でRb1とZb1とは同一であっても異なっていてもよい。
Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Taを表す。
nは、Mに応じて、0、1、または、2の整数を表す。]

0044

式(2)中、第2の炭化水素鎖含有基は、いずれも上記説明した範囲から適宜選択できる。

0045

ただし、同時にRb1とZb1が炭化水素含有基を表すことはないことが好ましい。
中でもZb1としては、ヒドロキシ基、または、−O−基が好ましい。

0046

前記Mとしては、Al等の3価金属;Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;が好ましく、Al、Si、Ti、Zrがより好ましく、Siが特に好ましい。

0047

また式(2)において、nは、MがAl、Fe、In等の3価金属の場合は0を表し、MがGe、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属の場合は1を表す。MがTa等の5価金属の場合は2を表す。

0048

構造(B)としては、MがSiの場合、例えば、下記式(2−1)〜式(2−12)で表される鎖状構造を好ましく例示することができる。

0049

0050

0051

構造(B)と構造(A)の存在比(構造(B)/構造(A))は、モル基準で、4以上、60以下であることが好ましく、より好ましくは8以上、48以下、さらに好ましくは12以上、40以下、特に好ましくは16以上、32以下である。

0052

本発明の透明皮膜は、第1の炭化水素鎖含有基がポリシロキサン骨格上のケイ素原子のうち一部のケイ素原子に結合した構造を有しており、このような透明皮膜を形成するには、前記第1の炭化水素鎖含有基及び加水分解性基がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物(A)と、加水分解性基を有し第1の炭化水素鎖含有基を有しない金属化合物(B)とを混合してコーティング組成物とし、必要に応じて溶剤(C)で希釈して、空気中で基材と接触させればよい。空気中で基材と接触させることにより、有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)の加水分解性基が加水分解重縮合され、骨格上のケイ素原子に第1の炭化水素基が結合したシロキサン骨格が形成される。

0053

前記有機ケイ素化合物(A)は、1分子中に、少なくとも1つの第1の炭化水素鎖含有基と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合しているものであることが好ましい。

0054

有機ケイ素化合物(A)において、中心ケイ素原子に結合する第1の炭化水素鎖含有基の個数は、1以上であり、3以下であることが好ましく、より好ましくは2以下であり特に好ましくは1である。

0055

前記加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基(シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基塩素原子イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。
有機ケイ素化合物(A)において、中心ケイ素原子に結合する加水分解性基の個数は、1以上であり、2以上であることが好ましく、通常、3以下であることが好ましい。

0056

有機ケイ素化合物(A)の中心ケイ素原子には、第1の炭化水素鎖含有基、加水分解性基のほか、第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基が結合していてもよい。

0057

有機ケイ素化合物(A)は、具体的には、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。

0058

0059

[前記式(I)中、Raは上記と同義であり、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za2は、第1の炭化水素鎖含有基、第2の炭化水素鎖含有基、または、加水分解性基を表し、Za2が第1の炭化水素鎖含有基の場合、RaとZa2とは同一であっても異なっていてもよく、Za2が加水分解性基の場合、Za2とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(I)間でRaとZa2とは同一であっても異なっていてもよい。]

0060

式(I)中、Ra、Za2の第1の炭化水素鎖含有基、Za2の第2の炭化水素鎖含有基、Aa1、Za2の加水分解性基は、いずれも第1の炭化水素鎖含有基、第2の炭化水素鎖含有基、加水分解性基として上記説明した範囲から適宜選択できる。

0061

式(I)中、Za2は、第2の炭化水素鎖含有基、または、加水分解性基であることが好ましく、より好ましくは加水分解性基である。

0062

有機ケイ素化合物(A)としては、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基とを有する化合物;1つの第1の炭化水素鎖含有基と、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物;等を好ましく挙げることができる。

0063

1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基とを有する化合物において、3つの加水分解性基はケイ素原子に結合している。3つの加水分解性基がケイ素原子に結合している基としては、トリメトキシシリル基トリエトキシシリル基トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基トリヒドロキシシリル基;トリアセトキシシリル基;トリクロロシリル基;トリイソシアネートシリル基;等が挙げられ、これらの基のケイ素原子に、上記説明した範囲内から選ばれる1つの第1の炭化水素鎖含有基が結合している化合物が、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基とを有する化合物として例示される。

0064

1つの第1の炭化水素鎖含有基と、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物において、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基は、ケイ素原子に結合している。1つの炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基がケイ素原子に結合している基としては、メチルジメトキシシリル基エチルジメトキシシリル基メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、メチルジプロポキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基;等が挙げられ、これらの基のケイ素原子に、上記説明した範囲内から選ばれる1つの第1の炭化水素鎖含有基が結合している化合物が、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物として例示される。

0065

1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基とを有する化合物としては、具体的には、炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリメトキシシラン、炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリエトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリヒドロキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリアセトキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するトリクロロシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリイソシアネートシラン;等が挙げられる。
また、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物としては、具体的には、炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジメトキシシラン、炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジエトキシシラン等のアルキルメチルジアルコキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジヒドロキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジアセトキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジクロロシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジイソシアネートシラン;等が挙げられる。
中でも、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基を有する化合物が好ましく、アルキルトリアルコキシシランがより好ましい。

0066

前記金属化合物(B)は、第1の炭化水素鎖含有基を有せず、少なくとも1つの加水分解性基が中心金属原子に結合しているものであり、前記第2の炭化水素鎖含有基が前記金属原子に結合していてもよい。前記第2の炭化水素鎖含有基は、第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短く、第1の炭化水素鎖含有基よりも嵩高くないため、透明皮膜において、スペーサー機能を有する部位が形成されうる。

0067

金属化合物(B)の中心金属原子は、アルコキシ基と結合して金属アルコキシドを形成しうる金属原子であればよく、この場合の金属には、Si等の半金属も含まれる。金属化合物(B)の中心金属原子としては、具体的には、Al、Fe、In等の3価金属;Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;Ta等の5価金属;等が挙げられ、好ましくはAl等の3価金属;Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;であり、より好ましくはAl、Si、Ti、Zrであり、さらに好ましくはSiである。

0068

金属化合物(B)の加水分解性基としては、有機ケイ素化合物(A)の加水分解性基と同様の基が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。また、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の加水分解性基は、同一でも異なっていてもよい。また、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の加水分解性基は、いずれも炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
金属化合物(B)において、加水分解性基の個数は1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、4以下であることが好ましい。

0069

金属化合物(B)が有する第2の炭化水素鎖含有基は、上記説明した範囲から適宜選択でき、その個数は1以下であることが好ましく、0であることが特に好ましい。

0070

金属化合物(B)は、具体的には、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。

0071

0072

[前記式(II)中、Mは上記と同義であり、Rb2は、第2の炭化水素鎖含有基または加水分解性基を表し、複数のAb1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Zb2は、前記第2の炭化水素鎖含有基、または、加水分解性基を表し、Rb2及びZb2が第2の炭化水素鎖含有基の場合、Rb2とZb2とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(II)間でRb2とZb2は同一であっても異なっていてもよい。また、Zb2が加水分解性基の場合、Rb2とAb1とは同一でも異なっていてもよい。nは、Mに応じて、0、1、または、2の整数を表す。]

0073

式(II)中、Rb2、Zb2の第2の炭化水素鎖含有基、Rb2、Ab1、Zb2の加水分解性基は、それぞれ第2の炭化水素鎖含有基、加水分解性基として上記説明した範囲から適宜選択できる。また、加水分解性基は、上記説明した範囲から適宜選択でき、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がさらに好ましい。

0074

式(II)中、Rb2は、加水分解性基であることが好ましく、Zb2は、加水分解性基であることが好ましい。さらに、Rb2、Zb2がいずれも加水分解性基であることが好ましい。この場合、Rb2、Ab1とは同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。Rb2、Ab1、Zb2が同一の加水分解性基であることがより好ましい。さらに、有機ケイ素化合物(A)と、金属化合物(B)の加水分解性基は同一であっても異なっていてもよい。

0075

式(II)中、金属Mとしては、Al、Si、Ti、Zr、Snが好ましく、Al、Si、Ti、Zrがより好ましく、Siがさらに好ましい。これら金属のアルコキシドは、液状化が容易であり、透明皮膜中、上記構造(B)の分布均一性を高めるのが容易である。
また、Mが3価金属の場合、nは0を表し、Mが4価金属の場合、nは1を表し、Mが5価金属の場合、nは2を表す。

0076

金属化合物(B)としては、加水分解性基のみを有する化合物;第2の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;2個の第2の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物;等を好ましく挙げることができる。
加水分解性基のみを有する化合物としては、テトラメトキシシランテトラエトキシシランテトラプロポキシシランテトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラプロポキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム等のテトラアルコキシゲルマニウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシチタンテトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ等;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;ペンタメトキシタンタルペンタエトキシタンタル、ペンタプロポキシタンタル、ペンタブトキシタンタル等のペンタアルコキシタンタル;が挙げられる。
第2の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、メチルトリメトキシシランエチルトリエトキシシランメチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン;等が挙げられる。
2個の第2の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、ジメチルジメトキシシランジエチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;等が挙げられる。

0077

金属化合物(B)と有機ケイ素化合物(A)のモル比(有機ケイ素化合物(A)/金属化合物(B))は、0.2以下であることが好ましく、より好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.1以下であり、0.01以上であることが好ましく、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.025以上である。

0078

有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)とを希釈する溶剤としては、アルコール系溶剤エーテル系溶剤ケトン系溶剤エステル系溶剤アミド系溶剤等の親水性有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上の溶剤を併用してもよい。
前記アルコール系溶剤としては、メタノールエタノールプロパノールブタノールエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、前記エーテル系溶剤としては、ジメトキシエタンテトラヒドロフランジオキサン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、アセトンメチルエチルケトン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、酢酸エチル酢酸ブチル等が挙げられ、アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤が好ましく、アルコール系溶剤がより好ましい。

0079

溶剤は、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の合計1質量部に対して、好ましくは120質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下、特に好ましくは40質量部以下であり、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。

0080

有機ケイ素化合物(A)と、金属化合物(B)を基材と接触させる際、触媒を共存させてもよい。触媒は、ゾルゲル法で一般的に使用される、塩酸等の酸性化合物塩基性化合物有機金属化合物;等から任意に選ぶことができる。前記酸性化合物としては、塩酸、硝酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;等が挙げられる。前記塩基性化合物としては、アンモニアアミン;等が挙げられる。前記有機金属化合物としては、Al、Fe、Zn、Sn、Zr等の金属元素中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、アルミニウムアセチルアセトン錯体アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物オクチル酸鉄等の有機鉄化合物亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレートナフテン酸亜鉛オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;等が挙げられる。
中でも、触媒としては、有機金属化合物が好ましく、有機アルミニウム化合物がより好ましく、有機アルミニウムエチルアセトアセテート化合物が特に好ましい。

0081

触媒は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上である事が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは1質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
このうち触媒が、酸性化合物(特に塩酸)である場合、酸性化合物は、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.0005質量部以上、さらに好ましくは0.001質量部以上であり、1質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。

0082

さらに、有機ケイ素化合物(A)と、金属化合物(B)を基材と接触させる際、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤防錆剤紫外線吸収剤光安定剤防カビ剤抗菌剤生物付着防止剤消臭剤顔料難燃剤帯電防止剤等の各種の添加剤を共存させてもよい。

0083

前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤硫黄系酸化防止剤リン系酸化防止剤、ヒンダ−ドアミン系酸化防止剤等が挙げられる。

0084

前記フェノール系酸化防止剤としては、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−エチレンビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンテトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等が挙げられる。

0085

前記硫黄系酸化防止剤としては、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシルエステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。

0086

前記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル−(6−メチル)フェニル]エチルホスファイト等が挙げられる。

0087

前記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。

0088

前記防錆剤としては、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン第四級アンモニウム塩アルカンチオールイミダゾリンイミダゾール、アルキルイミダゾリン誘導体ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールベンゾトリアゾール等のアゾール類メタバナジン酸ナトリウムクエン酸ビスマスフェノール誘導体アルキルアミンポリアルケニルアミン等の脂肪族アミン芳香族アミンエトキシ化アミン、シアノアキルアミン、安息香酸シクロヘキシルアミンアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン芳香族ジアミン等のアミン化合物;前記アミン化合物とカルボン酸とのアミドアルキルエステルピリミジンナフテン酸スルホン酸複合体;亜硝酸カルシウム亜硝酸ナトリウム亜硝酸ジシクロヘキシルアミン等の亜硝酸塩ポリアルコールポリフェノール等のポリオール化合物;モリブデン酸ナトリウムタングステン酸ナトリウムホスホン酸ナトリウムクロム酸ナトリウムケイ酸ナトリウム等のヘテロポリ酸塩ゼラチン;カルボン酸のポリマーニトロ化合物ホルムアルデヒドアセチレンアルコール脂肪族チオール芳香族チオールアセチレンチオール等のチオール化合物脂肪族スルフィド芳香族スルフィド、アセチレンスルフィド等のスルフィド化合物スルホキシドジベンジルスルホキシド等のスルホキシド化合物チオ尿素;アミンまたは第四級アンモニウム塩とハロゲンイオン組合せ;アルキルアミンとヨウ化カリウムの組合せ;タンニンリン酸ナトリウムの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンとベンゾトリアゾールの組合せ;アルキルアミンとベンゾトリアゾールと亜硝酸ナトリウムとリン酸ナトリウムの組合せ;等が挙げられる。

0089

前記紫外線吸収剤/光安定剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール(分子量約300)との縮合物ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等が挙げられる。

0090

前記防カビ剤/抗菌剤としては、2−(4−チアゾリルベンツイミダゾールソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウムデヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロプロパノールおよび1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等が挙げられる。

0091

前記生物付着防止剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアジクロロ−N−((ジメチルアミノスルフォニルフルオロ−N−(P−トリルメタンスルフェンアミドピリジントリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオスルファミドチオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅、テトラブチルチウラムサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルジンエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類アルキルピリジン化合物グラミン系化合物、イソニル化合物等が挙げられる。

0092

前記消臭剤としては、乳酸コハク酸リンゴ酸クエン酸マレイン酸マロン酸エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン−1,2−ジカルボン酸アルケン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルカン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルケン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類ウンデシレン酸亜鉛2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄硫酸鉄酸化亜鉛硫酸亜鉛塩化亜鉛酸化銀酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン可視光応答型二酸化チタン窒素ドープ型など)等の金属化合物;α−、β−、又はγ−シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチンキトサン活性炭シリカゲル活性アルミナゼオライトセラミック等の多孔質体等が挙げられる。

0094

前記難燃剤としてはデカブロビフェニル三酸化アンチモンリン系難燃剤水酸化アルミニウム等が挙げられる。

0095

前記帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤ベタイン型両性界面活性剤リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油石鹸硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩脂肪酸エチルスルホン酸塩アルキルナフタレンスルホン酸塩アルキルベンゼンスルホン酸塩琥珀酸エステルスルホン酸塩燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられる。

0096

また、添加剤としてさらに、滑剤充填剤可塑剤核剤アンチブロッキング剤発泡剤乳化剤光沢剤結着剤等を共存させてもよい。

0097

これら添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)とを含むコーティング組成物中、通常、0.1〜70質量%であり、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは2〜15質量%である。

0098

また、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の合計(溶媒(C)を含む場合、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)と溶媒(C)の合計)の含有量は、コーティング組成物中、通常60質量%以上であり、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。

0099

有機ケイ素化合物(A)と、金属化合物(B)とを基材と接触させる方法としては、例えば、スピンコーティング法ディップコーティング法、スプレーコーティング法ロールコート法バーコート法ダイコート法等が挙げられ、スピンコーティング法またはスプレーコーティング法が好ましい。スピンコーティング法またはスプレーコーティング法によれば、所定の厚さの透明皮膜を形成するのが容易になる。

0100

有機ケイ素化合物(A)と、金属化合物(B)とを基材と接触させた状態で、空気中で静置することで、空気中の水分を取り込んで加水分解性基が加水分解され、シロキサン骨格が形成される。得られた透明皮膜を、さらに、乾燥してもよい。乾燥温度としては、通常40℃以上250℃以下であり、好ましくは60℃以上200℃以下であり、さらに好ましくは60℃以上150℃以下である。

0101

そして本発明では、このような透明皮膜の厚みを6nm以上、50nm以下に調整することによって、透明皮膜の撥水・撥油性と、高硬度とを両立することが可能となる。透明皮膜の厚みは、8nm以上、40nm以下であることが好ましい。撥水・撥油性を発揮するには透明皮膜の厚みを6nm以上とすることが好ましく、硬度を高めるには、透明皮膜の厚みを50nm以下とすることが好ましい。

0102

本発明の透明皮膜には、基板表面から透明皮膜最表面までの膜厚方向密度の異なる複数の層が存在していることが好ましい。層の数は、3層以上であることが好ましく、例えば、基板に接触する層(基板界面層という。)と、最表面で空気と接する層(表面層という。)とが存在しており、基板界面層と表面層との間に、1層以上の内部層が存在していることが好ましい。また、前記基板界面層や内部層のいずれかが存在しない場合もあり得、このときには、透明皮膜は、例えば、基板界面層と表面層、或いは表面層のみを有することとなる。
そして、硬度に劣る厚い透明皮膜(例えば厚み50nm超の透明皮膜)においては前記層間の界面ラフネスが各層間(x番目の内部層を内部層(x)としたとき、例えば、基板界面層−基板、内部層(1)−基板界面層、…内部層(n)−内部層(n−1)、表面層−内部層(n)、空気−表面層)で変動しやすくなるのに対して、本発明の透明皮膜では、これら各層間の界面ラフネスが一定になりやすい。各層間の界面ラフネスは、膜厚方向の密度変化相関しており、厚みを上記所定の範囲に調整した本発明の透明皮膜では、炭化水素鎖含有基やスペーサー部位の配置の規則性が高められ膜厚方向の均一性が向上しているため、各層間の界面ラフネスの差が小さくなっているものと考えられる。そして、このように炭化水素鎖含有基やスペーサー部位が規則的に配置されることで、炭化水素鎖含有基による撥水・撥油機能を維持したまま透明皮膜の硬度を向上することが可能になるものと考えられる。

0103

すなわち本発明の透明皮膜は、上記範囲(6nm以上、50nm以下)に厚みを調整されたものであり、この範囲に厚みを調整することで、膜厚方向の均一性が良好となる。そして本発明の透明皮膜は、この膜厚方向の均一性によって、撥水・撥油性と、高硬度とを両立可能になると考えられる。膜厚方向の均一性は、界面ラフネス(界面粗さ)の差によって表現することができ、各界面における界面ラフネスの差が小さいほど、膜厚方向の均一性が良好である。

0104

このため、本発明の透明皮膜では、各層間の界面ラフネスの最大値最小値の差が0.0nm以上、14.5nm以下であることが好ましく、0.0nm以上、8.0nm以下であることがより好ましく、0.0nm以上、5.0nm以下であることがさらに好ましく、0.0nm以上、2.0nm以下であることが特に好ましい。

0105

前記界面ラフネス(界面粗さ)は、X線反射率法による測定によって求めることができる。X線反射率法は、反射X線強度プロファイル多層薄膜試料へのX線入射角依存性を、シミュレーション結果と合わせることによって、物性を評価する手法であり、例えば、薄膜/薄膜界面の平坦な試料については、反射X線強度は理論的には試料へのX線入射角θの4乗に逆比例して減衰し、薄膜/薄膜界面が平坦でない場合には、さらに急激に減衰する。X線反射率法では、この特徴を利用して物質の表面や薄膜の深さ方向の内部構造非破壊的に求めることができる。具体的には、積層体多層膜の場合、表面或いは多層膜界面で反射したX線干渉効果により、反射X線の強度が入射角によって振動変化する。X線反射率法では、このX線反射率入射依存を解析することにより表面多層膜の各層の厚さや密度、界面ラフネス(表面粗さ・界面粗さ)を非破壊的に求めることができる。ただし、界面付近とそれ以外とで、必ずしも目に見え境界があるわけではない。

0106

さらに、本発明の透明皮膜は、第1の炭化水素鎖含有基の炭素数が8以上、10以下であり、第1の炭化水素鎖含有基が結合しているケイ素原子が透明皮膜に含まれるケイ素原子100モル中、3モル以上、7モル以下であり、厚みが10nm以上、30nm以下であることが特に好ましい。第1の炭化水素鎖含有基の種類と含有量、及び透明皮膜の厚みをこのように調整することで、硬度と撥水・撥油性を高度に両立することが可能となる。

0107

本発明の透明皮膜は、特定の厚みに調整されているため、硬度に優れている。本発明の透明皮膜の硬度は、例えば鉛筆硬度を基準として評価でき、2H以上であることが好ましく、より好ましくは4H以上、さらに好ましくは7H以上であり、通常、9H以下であることが好ましい。前記鉛筆硬度は、ガラス基板上に透明皮膜を形成して測定したときの鉛筆硬度である。

0108

また、本発明の透明皮膜は、ポリシロキサン結合の一部に第1の炭化水素鎖含有基が結合しているため、液滴の滑り性に優れており、このため撥水・撥油性に優れている。液滴の滑り性は、例えば、滑落法で測定した場合の接触角ヒステリシスを指標とした評価法により評価することができ、本発明の透明皮膜は、滑落法で測定した場合の水に対する接触角ヒステリシスが6.0°以下であることが好ましく、より好ましくは5.0°以下、さらに好ましくは4.0°以下であり、通常、1.0°以上であることが好ましい。

0109

本発明の透明皮膜は、通常、基材上に形成されており、基材上に本発明の透明皮膜を形成した透明皮膜処理基材も本発明の範囲に包含される。基材の形状は、平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。また、基材は、有機系材料無機系材料のいずれで構成されていてもよく、前記有機系材料としては、アクリル樹脂ポリカーボネート樹脂ポリエステル樹脂スチレン樹脂アクリルスチレン共重合樹脂セルロース樹脂ポリオレフィン樹脂ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂フェノール樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂不飽和ポリエステルシリコーン樹脂ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられ、無機系材料としては、セラミックスガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム、等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
前記基材には予め易接着処理を施しておいてもよい。易接着処理としては、コロナ処理プラズマ処理紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。プライマー処理によりプライマー層撥水膜基体の間に設けることで、耐湿性耐アルカリ性等の耐久性をより向上できる。

0110

プライマー層としては、シロキサン骨格を形成しうる成分(P)を含む下地層形成用組成物を用いて形成された層が好ましい。
プライマー層としては、例えば、下記式(III)で表される化合物および/またはその部分加水分解縮合物からなる(P1)成分を含む下地層形成用組成物を用いて形成された層が好ましい。

0111

Si(XP2)4 …(III)
[ただし、式(III)中、XP2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルコキシ基またはイソシアネート基を示す。]

0112

上記式(III)中、XP2は、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基またはイソシアネート基であることが好ましく、さらに4個のXP2が同一であることが好ましい。

0113

このような上記一般式(III)で示される化合物(以下、化合物(III)という場合がある。)として、具体的には、Si(NCO)4、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4等が好ましく用いられる。本発明において、化合物(III)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0114

プライマー層形成用組成物に含まれる(P1)成分は、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(III)の部分加水分解縮合物は、酸や塩基触媒を用いた、一般的な加水分解縮合方法を適用することで得ることができる。ただし、部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(P1)成分としては、化合物(III)であっても、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(III)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(III)が含まれる化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよい。なお、一般式(III)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。

0115

また、下地層形成用組成物は、上記(P1)成分と、下記式(IV)で表される化合物(以下、化合物(IV)という場合がある。)および/またはその部分加水分解縮合物からなる(P2)成分とを含む、もしくは、上記(P1)成分と上記(P2)成分の部分加水分解共縮合物(ただし、上記(P1)成分および/または化合物(IV)を含んでもよい)を含む組成物であっても良い。

0116

XP33Si−(CH2)p−SiXP33 …(IV)
[ただし、式(IV)中、XP3はそれぞれ独立して加水分解性基または水酸基を示し、pは1〜8の整数である。]

0117

化合物(IV)は、2価有機基を挟んで両末端加水分解性シリル基またはシラノール基を有する化合物である。

0118

式(IV)中XP3で示される加水分解性基としては、上記XP2と同様の基または原子が挙げられる。化合物(IV)の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、XP3としては、アルコキシ基およびイソシアネート基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。これらは、製造上の目的、用途等に応じて適宜選択され用いられる。化合物(IV)中に複数個存在するXP3は同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。

0119

化合物(IV)として、具体的には、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH3)3、(OCN)3SiCH2CH2Si(NCO)3、Cl3SiCH2CH2SiCl3、(C2H5O)3SiCH2CH2Si(OC2H5)3、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH3)3等が挙げられる。本発明において、化合物(IV)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0120

プライマー層形成用組成物に含まれる成分は、化合物(IV)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(IV)の部分加水分解縮合物は、化合物(III)の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(P)成分としては、化合物(IV)であっても、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(IV)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(IV)が含まれる化合物(IV)の部分加水分解縮合物であってもよい。

0121

一般式(IV)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。

0122

また、下地層には、化合物(III)と同様のケイ素を主成分とする酸化膜を得ることができる、各種ポリシラザンを用いても良い。

0123

プライマー層形成用組成物は、通常、層構成成分となる固形分の他に、経済性、作業性、得られるプライマー層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、有機溶剤を含む。有機溶剤は、プライマー層形成用組成物が含有する固形分を溶解するものであれば特に制限されない。有機溶剤としては、撥水膜形成用組成物と同様の化合物が挙げられる。有機溶剤は1種に限定されず、極性蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。

0124

プライマー層形成用組成物は、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよい。

0125

さらに、プライマー層形成用組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、加水分解共縮合反応を促進させるために、部分加水分解縮合の反応において一般的に使用されるのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。

0126

下地層形成用組成物は、上記含有成分が加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応するための水を含んでいてもよい。

0127

プライマー層形成用組成物を用いて下地層を形成する方法としては、オルガノシラン化合物系の表面処理剤における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り流し塗り回転塗布、浸漬塗布スキージ塗布、スプレー塗布手塗り等の方法で下地層形成用組成物を基体の表面に塗布し、大気中または窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、下地層を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御される。

0128

なお、プライマー層形成用組成物の硬化は、撥水膜形成用組成物の硬化と同時に行ってもよい。

0129

プライマー層の厚さは、その上に形成される撥水膜に耐湿性、密着性、基体からのアルカリ等のバリア性を付与できる厚さであれば特に限定されない。

0130

本発明の透明皮膜は、撥水・撥油性と硬度を両立でき、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術、太陽電池部材等における基材として有用である。また本発明の透明皮膜は、電車自動車船舶航空機等の輸送機器におけるボディー窓ガラス(フロントガラスサイドガラスリアガラス)、ミラーバンパー等の物品として好適に用いられる。また、建築物外壁テント太陽光発電モジュール遮音板コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網虫取り網水槽などにも用いることができる。更に、台所風呂場洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリアタイルなどの陶磁器人工大理石エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具内壁配管等の防汚処理としても用いることができる。ゴーグル眼鏡ヘルメットパチンコ、繊維、遊具サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材化粧品用包材ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

0131

本願は、2014年10月31日に出願された日本国特許出願第2014−223648号に基づく優先権の利益を主張するものである。2014年10月31日に出願された日本国特許出願第2014−223648号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。

0132

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
本発明の実施例で用いた測定法は下記の通りである。

0133

撥水・撥油性の測定
協和界面科学社製DM700を使用し、滑落法(解析法接触法、液量:6.0μL、傾斜方法:連続傾斜、滑落検出:滑落後、移動判定前進角、滑落判定距離:0.125mm)により、透明皮膜表面の水に対する動的撥水・撥油特性(接触角ヒステリシス)を測定した。

0134

硬度の測定
JIS K5600−5−4:1999「塗料一般試験方法−第5部:塗膜機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に規定される鉛筆硬度試験に従って、透明皮膜の鉛筆硬度を測定した。

0135

膜厚の測定
触針膜厚計(菱化システム製VertScan)にて透明皮膜の厚みを測定した。

0136

接触角の測定
協和界面科学社製DM700を使用し、液滴法(解析方法:θ/2法、液量:3.0μL)により、透明皮膜表面の水に対する接触角を測定した。

0137

界面ラフネスの測定
測定には、リガク社製X線反射率測定装置(SmartLab)を使用し、得られた反射率プロファイルをリガク社解析ソフト(GlobalFit)により解析して、界面ラフネスを求めた。触針式膜厚計で測定した膜厚と、X線反射率法により測定した膜厚とが一致するように、X線反射率法による測定条件を最適化した。
実施例6、7の透明皮膜についての測定条件は以下の通りであった。
管電圧:45kV
管電流:200mA
入射X線波長:0.15418nm(CuKα線
入射モノクロメータ:なし
角度サンプリング幅:0.01°
角度走査範囲:0.0〜2.5°
また、比較例7、8の透明皮膜についての測定条件は以下の通りであった。
管電圧:45kV
管電流:200mA
入射X線波長:0.15406nm(CuKα1線)
入射モノクロメータ:Ge(220)モノクロ結晶
角度サンプリング幅:0.002°
角度走査範囲:0.0〜1.6°

0138

実施例1
有機ケイ素化合物(A)としてのヘキシルトリエトキシシラン2.5部(0.01モル部)、金属化合物(B)としてのオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)33.3部(0.16モル部)に、溶剤としてのエタノールを66部、触媒としての塩酸(0.01M水溶液)48部を混合し、室温で24時間撹拌して混合液を得た。得られた混合液を、さらにエタノールにより希釈倍率10倍で希釈し(体積基準で希釈、1210部)、室温で30分撹拌した。得られた希釈液を、ガラス基板(Corning社製「EAGLEXG」)上に、MIKASA社製スピンコータにより、回転数3000rpm、20secの条件でスピンコートした後、乾燥させて透明被膜を得た。

0139

実施例2〜5、比較例1〜6
有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)の種類と使用量を表1に示す通りとし、溶剤の希釈倍率を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして、透明皮膜を得た。
また、比較例6では、有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)の代わりにフッ素化合物(OPTOOL DSX−E、Novec 7200)を用いた。

0140

得られた透明皮膜の水に対する接触角、膜厚、鉛筆硬度、液滴の滑り性を表1に示す。

0141

0142

上記の結果から、本発明の透明皮膜は、撥水・撥油性と硬度を両立できるものであることがわかる。

0143

実施例6、7、比較例7、8
有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)の種類と使用量を表2に示す通りとし、溶剤の希釈倍率を表2に示す通りとした以外は実施例1と同様にして、透明皮膜を得た。得られた透明皮膜の膜厚を表2に示す。

0144

また、X線反射率測定の結果、実施例、比較例の透明皮膜において、3つの層が確認された。この3つの層を基板側から順に基板界面層、内部層、表面層としたとき、基板界面層−基板間の界面ラフネスを基板表面、内部層−基板界面層間の界面ラフネスを基板界面、表面層−内部層間の界面ラフネスを内部、空気−最表面層間の界面ラフネスを最表面として、それぞれ表2に示す。

0145

0146

実施例6では界面ラフネスの最大値は、基板界面層−基板間の界面ラフネスで0.7nmであり、界面ラフネスの最小値は、内部層−基板界面層間の界面ラフネス0.2nmである。このとき、界面ラフネスの最大値と最小値の差は0.7−0.2=0.5nmとなる。

実施例

0147

一方、比較例7では、界面ラフネスの最大値は、基板界面層−基板間の界面ラフネスで18.2nmであり、界面ラフネスの最小値は、空気−表面層間の界面ラフネス0.7nmである。このとき、界面ラフネスの最大値と最小値の差は、18.2−0.7=17.5nmとなる。このように、膜厚を6nm以上、50nm以下に調節することにより、界面ラフネスの差が小さく、面内の均一性が良好な皮膜を得ることができ、その結果撥水・撥油性と高硬度とを両立できたと考えられる。

0148

本発明の透明皮膜は、撥水・撥油性と硬度を両立でき、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術、太陽電池部材等における基材として有用である。

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