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技術 撥水撥油コーティング組成物

出願人 住友化学株式会社国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者 島崎泰治櫻井彩香宮本知典穂積篤浦田千尋
出願日 2015年10月27日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2016-556570
公開日 2017年8月10日 (3年3ヶ月経過) 公開番号 WO2016-068103
状態 特許登録済
技術分野 塗料、除去剤
主要キーワード 屋内設備 アルキルピリジン化合物 ハイブリッド皮膜 窒素ドープ型 ビニルピリジンポリマー 炭化水素基含有基 生物付着防止剤 プライマー層形成用組成物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月10日)のものです。
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課題・解決手段

本発明は、撥水・撥油性耐摩耗性とを両立できる撥水撥油コーティング組成物を提供することを目的とする。 本発明の撥水撥油コーティング組成物は、少なくとも1つの第1の炭化水素鎖含有基と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(A)と、少なくとも1つの加水分解性基が金属原子に結合しており、前記第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基が前記金属原子に結合していてもよい金属化合物(B)とを含み、前記金属化合物(B)と前記有機ケイ素化合物(A)のモル比(金属化合物(B)/有機ケイ素化合物(A))が18以上、48以下であることを特徴とする。

概要

背景

各種の表示装置光学素子半導体素子建築材料自動車部品ナノインプリント技術太陽電池部材等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れ腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水・撥油性が良好であることが求められており、特に、基材表面への液滴の付着を防止するだけでなく、付着した液滴の除去が容易であることも求められている。

特許文献1には、有機シラン金属アルコキシドを含み、さらに有機溶媒、水、触媒を含む溶液が提案されている。

概要

本発明は、撥水・撥油性と耐摩耗性とを両立できる撥水撥油コーティング組成物を提供することを目的とする。 本発明の撥水撥油コーティング組成物は、少なくとも1つの第1の炭化水素鎖含有基と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(A)と、少なくとも1つの加水分解性基が金属原子に結合しており、前記第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基が前記金属原子に結合していてもよい金属化合物(B)とを含み、前記金属化合物(B)と前記有機ケイ素化合物(A)のモル比(金属化合物(B)/有機ケイ素化合物(A))が18以上、48以下であることを特徴とする。

目的

本発明では、撥水・撥油性と耐摩耗性とを両立できる皮膜を形成する撥水撥油コーティング組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

少なくとも1つの第1の炭化水素鎖含有基と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(A)と、少なくとも1つの加水分解性基が金属原子に結合しており、前記第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基が前記金属原子に結合していてもよい金属化合物(B)とを含み、前記金属化合物(B)と前記有機ケイ素化合物(A)のモル比(金属化合物(B)/有機ケイ素化合物(A))が18以上、48以下である撥水撥油コーティング組成物

請求項2

前記金属化合物(B)と前記有機ケイ素化合物(A)のモル比(金属化合物(B)/有機ケイ素化合物(A))が18以上、36以下である請求項1に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項3

さらに溶剤(C)を含む請求項1または2に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項4

前記溶剤(C)が、アルコール系溶剤を含む請求項3に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項5

前記有機ケイ素化合物(A)が、下記式(I)で表されるものである請求項1〜4のいずれかに記載の撥水撥油コーティング組成物。[前記式(I)中、Raは第1の炭化水素基を表し、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za1は、第1の炭化水素鎖含有基、第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基、または、加水分解性基を表し、Za1が第1の炭化水素鎖含有基の場合、RaとZa1とは同一であっても異なっていてもよく、Za1が加水分解性基の場合、Za1とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(I)間でRaとZa1とは同一であっても異なっていてもよい。]

請求項6

前記金属化合物(B)が、下記式(II)で表されるものである請求項1〜5のいずれかに記載の撥水撥油コーティング組成物。[前記式(II)中、Rb1は、第2の炭化水素鎖含有基または加水分解性基を表す。Ab1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Taを表す。mは、金属原子に応じて、1〜4の整数を表す。]

請求項7

前記式(II)中、Rb1とAb1とが同一の基である請求項6に記載の撥水撥油コーティング組成物。

請求項8

前記式(II)中、MがSiである請求項6または7に記載の撥水撥油コーティング組成物。

技術分野

0001

本発明は、各種基材に撥水・撥油性を付与することができる皮膜を形成する撥水撥油コーティング組成物に関する。

背景技術

0002

各種の表示装置光学素子半導体素子建築材料自動車部品ナノインプリント技術太陽電池部材等において、基材の表面に液滴が付着することにより、基材の汚れ腐食、さらにこの汚れや腐食に由来する性能低下等の問題が生じる場合がある。そのため、これらの分野において、基材表面の撥水・撥油性が良好であることが求められており、特に、基材表面への液滴の付着を防止するだけでなく、付着した液滴の除去が容易であることも求められている。

0003

特許文献1には、有機シラン金属アルコキシドを含み、さらに有機溶媒、水、触媒を含む溶液が提案されている。

先行技術

0004

特開2013−213181号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明者らは、上記引用文献1に記載の溶液から得られた有機無機透明ハイブリッド皮膜は、硬度不足する場合があることを見出した。皮膜の硬度が不足すると、摩擦等で皮膜が破壊されやすくなって、液滴が付着し、或いは除去されにくくなる場合があり、その結果、基材の汚れや腐食、さらには性能低下が問題となることがある。そこで本発明では、撥水・撥油性と耐摩耗性とを両立できる皮膜を形成する撥水撥油コーティング組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意検討した結果、炭化水素鎖含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物と、加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物とを用い、その割合を特定範囲に調整することで、撥水・撥油性と耐摩耗性とを両立したコーティング皮膜を提供できる撥水撥油コーティング組成物が得られることを見出して本発明を完成した。

0007

すなわち、本発明に係る撥水撥油コーティング組成物は、少なくとも1つの第1の炭化水素鎖含有基と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(A)と、少なくとも1つの加水分解性基が金属原子に結合しており、前記第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基が前記金属原子に結合していてもよい金属化合物(B)とを含み、前記金属化合物(B)と前記有機ケイ素化合物(A)のモル比(金属化合物(B)/有機ケイ素化合物(A))が18以上、48以下であることを特徴とする。

0008

前記金属化合物(B)と前記有機ケイ素化合物(A)のモル比(金属化合物(B)/有機ケイ素化合物(A))は18以上、36以下であることが好ましい。
また、本発明の撥水撥油コーティング組成物は、さらに溶剤(C)を含むことが好ましい。前記溶剤(C)は、アルコール系溶剤を含むことが好ましい。

0009

前記有機ケイ素化合物(A)は、下記式(I)で表されるものであることが好ましい。

0010

0011

[前記式(I)中、Raは第1の炭化水素基を表し、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za1は、第1の炭化水素鎖含有基、第1の炭化水素鎖含有基よりも長さが短い第2の炭化水素鎖含有基、または、加水分解性基を表し、Za1が第1の炭化水素鎖含有基の場合、RaとZa1とは同一であっても異なっていてもよく、Za1が加水分解性基の場合、Za1とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(I)間でRaとZa1とは同一であっても異なっていてもよい。]

0012

前記金属化合物(B)は、下記式(II)で表されるものであることが好ましい。

0013

0014

[前記式(II)中、Rb1は、第2の炭化水素鎖含有基または加水分解性基を表す。Ab1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Taを表す。mは、金属原子に応じて、1〜4の整数を表す。]

0015

前記式(II)中、Rb1とAb1とが同一の基であることが好ましく、MがSiであることが好ましい。

発明の効果

0016

本発明の撥水撥油コーティング組成物は、炭化水素鎖含有基と加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物と、加水分解性基が金属原子に結合している金属化合物を含み、そのモル比が特定範囲に調整されているため、撥水・撥油性と耐摩耗性とを両立できるものとなる。

0017

本発明の撥水撥油コーティング組成物は、少なくとも1つの第1の炭化水素鎖含有基と、少なくとも1つの加水分解性基とがケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(A)と、少なくとも1つの加水分解性基が金属原子に結合し、炭化水素鎖部分の炭素数が前記第1の炭化水素鎖含有基よりも少ない第2の炭化水素鎖含有基が前記金属原子に結合していてもよい金属化合物(B)とを含む。このような撥水撥油コーティング組成物から、ケイ素原子、或いは金属原子に結合している加水分解性基が加水分解重縮合してコーティング皮膜が形成され、コーティング皮膜は、このコーティング皮膜を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素に第1の炭化水素鎖含有基が結合した状態となる。そして、この第1の炭化水素鎖含有基によって、コーティング皮膜に撥水・撥油機能が付与され、第1の炭化水素鎖含有基が結合していない元素(例えば、上記金属原子)は、コーティング皮膜中で実質的にスペーサーとして機能することになる。そして、本発明の撥水撥油コーティング組成物では、前記有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)のモル比を特定範囲に調整しているため、得られるコーティング皮膜において、第1の炭化水素鎖含有基とスペーサーとが特定の割合で存在することとなり、撥水・撥油機能が高められると同時に、耐摩耗性にも優れたコーティング皮膜を提供できる。

0018

前記有機ケイ素化合物(A)において、中心ケイ素原子に結合している前記第1の炭化水素鎖含有基は、炭化水素鎖を含有する1価の基であり、この炭化水素鎖によって、得られるコーティング皮膜界面(表面)に撥水・撥油性が付与される。特に液滴(水滴油滴等)とコーティング皮膜の間の摩擦係数が小さくなり、液滴が移動しやすくなる。

0019

前記第1の炭化水素鎖含有基は、通常、炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わっていていてもよい。このように一部が酸素原子で置換された基であっても、残りの部分に炭化水素鎖が存在するため、炭化水素鎖含有基に分類される。なおSi原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって第1の炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、そのメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。

0020

前記第1の炭化水素鎖含有基は、それが炭化水素基の場合には、炭素数は6以上、20以下であることが好ましく、より好ましくは炭素数7以上、17以下であり、さらに好ましくは炭素数8以上、15以下である。

0021

前記第1の炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。また、第1の炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。

0022

前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)としては、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基には、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基、ドデシル基トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が含まれる。

0023

炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わる場合、炭化水素基としては飽和脂肪族炭化水素基が好ましく、炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基としては、具体的には、(ポリエチレングリコール単位を有する基、(ポリ)プロピレングリコール単位を有する基等を例示することができる。

0024

有機ケイ素化合物(A)において、中心ケイ素原子に結合する第1の炭化水素鎖含有基の個数は、通常1以上であり、2以下であることが好ましく、1であることが特に好ましい。

0025

前記有機ケイ素化合物(A)の加水分解性基としては、加水分解によりヒドロキシ基シラノール基)を与える基であればよく、例えば、メトキシ基エトキシ基プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基;ヒドロキシ基;アセトキシ基塩素原子イソシアネート基;等を好ましく挙げることができる。中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。

0026

また、有機ケイ素化合物(A)において、中心ケイ素原子に結合する加水分解性基の個数は、通常1以上であり、2以上であることが好ましく、通常、3以下であることが好ましい。

0027

前記有機ケイ素化合物(A)のケイ素原子には、前記第1の炭化水素鎖含有基、加水分解性基のほか、この第1の炭化水素基含有基よりも炭化水素鎖部分の炭素数が少ない第2の炭化水素鎖含有基が結合していてもよい。

0028

前記第2の炭化水素鎖含有基は、第1の炭化水素鎖含有基のよりも長さが短いものであればよい。第1及び第2の炭化水素鎖含有基の長さは、炭化水素鎖含有基のうち、Si等の金属原子に結合する元素を含む最長直鎖(以下、「主鎖」ともいう。)の長さ(最長鎖長)として評価することができる。第2の炭化水素鎖含有基を第1の炭化水素鎖含有基よりも主鎖の長さが短いものとするためには、例えば、炭化水素鎖部分の炭素数が第1の炭化水素鎖部分の炭素数よりも少ないものであることが好ましい。通常、第2の炭化水素鎖含有基は、第1の炭化水素鎖含有基と同様に炭化水素基(炭化水素鎖)のみから構成されるが、必要により、この炭化水素鎖の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基であってもよい。また、Si原子に隣接するメチレン基(−CH2−)は酸素原子に置き換わることはなく、また連続する2つのメチレン基(−CH2−)が同時に酸素原子に置き換わることもない。
なお、炭化水素鎖部分の炭素数とは、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基では炭化水素基(炭化水素鎖)を構成する炭素原子の数を意味し、酸素置換型の炭化水素鎖含有基では、酸素原子をメチレン基(−CH2−)と仮定して数えた炭素原子の数を意味するものとする。

0029

以下、特に断りがない限り、酸素非置換型の炭化水素鎖含有基(すなわち1価の炭化水素基)を例にとって第2の炭化水素鎖含有基について説明するが、いずれの説明でも、そのメチレン基(−CH2−)のうち一部を酸素原子に置き換えることが可能である。

0030

前記第2の炭化水素鎖含有基は、それが炭化水素基の場合には、炭素数は1以上、5以下であることが好ましく、より好ましくは1以上、3以下である。また、前記第2の炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。

0031

第2の炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)は、飽和または不飽和の脂肪族炭化水素鎖含有基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素鎖含有基であることがより好ましい。前記飽和脂肪族炭化水素鎖含有基(炭化水素基の場合)としては、飽和脂肪族炭化水素基がより好ましい。飽和脂肪族炭化水素基には、例えば、メチル基エチル基プロピル基ブチル基、ペンチル基等が含まれる。
炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わる場合、炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であることが好ましく、炭化水素基の一部のメチレン基(−CH2−)が酸素原子に置き換わった基としては、具体的には、(ポリ)エチレングリコール単位を有する基等を例示することができる。

0032

有機ケイ素化合物(A)において、中心ケイ素原子に結合する第2の炭化水素鎖含有基の個数は、2以下であることが好ましく、より好ましくは1以下であり、特に好ましくは0である。

0033

前記有機ケイ素化合物(A)は、具体的には、下記式(I)で表される化合物であることが好ましい。

0034

0035

[前記式(I)中、Raは第1の炭化水素鎖含有基を表し、複数のAa1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Za1は、第1の炭化水素鎖含有基、第2の炭化水素鎖含有基、または、加水分解性基を表し、Za1が第1の炭化水素鎖含有基の場合、RaとZa1とは同一であっても異なっていてもよく、Za1が加水分解性基の場合、Za1とAa1とは、同一であっても異なっていてもよい。また、複数の式(I)間でRaとZa1とは同一であっても異なっていてもよい。]

0036

式(I)中、Ra、Za1の第1の炭化水素鎖含有基、Za1の第2の炭化水素鎖含有基、Aa1、Za1の加水分解性基は、それぞれ第1の炭化水素鎖含有基、第2の炭化水素鎖含有基、加水分解性基として上記説明した範囲から適宜選択できる。

0037

式(I)中、Za1は、第2の炭化水素鎖含有基、または、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基であることがより好ましい。

0038

有機ケイ素化合物(A)としては、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基とを有する化合物;1つの第1の炭化水素鎖含有基と、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物;等を好ましく挙げることができる。

0039

1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基とを有する化合物において、3つの加水分解性基はケイ素原子に結合している。3つの加水分解性基がケイ素原子に結合している基としては、トリメトキシシリル基トリエトキシシリル基トリプロポキシシリル基、トリブトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基トリヒドロキシシリル基;トリアセトキシシリル基;トリクロロシリル基;トリイソシアネートシリル基;等が挙げられ、これらの基のケイ素原子に、上記説明した範囲内から選ばれる1つの第1の炭化水素鎖含有基が結合している化合物が、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基とを有する化合物として例示される。

0040

1つの第1の炭化水素鎖含有基と、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物において、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基は、ケイ素原子に結合している。1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基がケイ素原子に結合している基としては、メチルジメトキシシリル基エチルジメトキシシリル基メチルジエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、メチルジプロポキシシリル基等のアルキルジアルコキシシリル基;等が挙げられ、これらの基のケイ素原子に、上記説明した範囲内から選ばれる1つの第1の炭化水素鎖含有基が結合している化合物が、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物として例示される。

0041

1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基とを有する化合物としては、具体的には、炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリメトキシシラン、炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリエトキシシラン等の炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリヒドロキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリアセトキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリクロロシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルトリイソシアネートシラン;等が挙げられる。
また、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、1つの第2の炭化水素鎖含有基と、2つの加水分解性基とを有する化合物としては、具体的には、炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジメトキシシラン、炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジエトキシシラン等のアルキルメチルジアルコキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジヒドロキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジアセトキシシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジクロロシラン;炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルメチルジイソシアネートシラン;等が挙げられる。
中でも、1つの第1の炭化水素鎖含有基と、3つの加水分解性基を有する化合物が好ましく、アルキルトリアルコキシシランがより好ましい。

0042

有機ケイ素化合物(A)とともに撥水撥油コーティング組成物に含まれる前記金属化合物(B)は、少なくとも1つの加水分解性基が中心金属原子に結合しているものであり、前記第2の炭化水素鎖含有基が前記金属原子に結合していてもよい。前記第2の炭化水素鎖含有基の最長鎖長は、有機ケイ素化合物(A)の中心ケイ素原子に結合する第1の炭化水素鎖含有基の最長鎖長よりも短く、金属化合物(B)の最長鎖長は有機ケイ素化合物の最長鎖長よりも短くなる。このため、金属化合物(B)から導かれる構造は、有機ケイ素化合物(A)から導かれる構造よりも嵩高くなく、撥水撥油コーティング組成物に金属化合物(B)を含むことにより、得られるコーティング皮膜においてスペーサー機能を有する部位を形成することが可能となる。

0043

金属化合物(B)の中心金属原子は、アルコキシ基と結合して金属アルコキシドを形成しうる金属原子であればよく、この場合の金属には、Si、Ge等の半金属も含まれる。金属化合物(B)の中心金属原子としては、具体的には、Al、Fe、In等の3価金属;Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;Ta等の5価金属;等が挙げられ、好ましくはAl等の3価金属;Si、Ti、Zr、Sn等の4価金属;であり、より好ましくはAl、Si、Ti、Zrであり、さらに好ましくはSiである。

0044

金属化合物(B)の加水分解性基としては、有機ケイ素化合物(A)の加水分解性基と同様のものが挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜2のアルコキシ基がより好ましい。また、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の加水分解性基は、同一でも異なっていてもよい。また、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の加水分解性基は、いずれも炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましい。
金属化合物(B)において、加水分解性基の個数は1以上であることが好ましく、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、4以下であることが好ましい。

0045

金属化合物(B)の第2の炭化水素鎖含有基としては、上記説明した範囲から適宜選択でき、その個数は、1以下であることが好ましく、0であることが特に好ましい。

0046

金属化合物(B)は、具体的には、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。

0047

0048

[前記式(II)中、Rb1は、第2の炭化水素鎖含有基または加水分解性基を表す。Ab1は、それぞれ独立に、加水分解性基を表す。Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Taを表す。mは、金属原子に応じて、1〜4の整数を表す。]

0049

式(II)中、Rb1の第2の炭化水素鎖含有基、Rb1、Ab1の加水分解性基は、それぞれ、第2の炭化水素鎖含有基、加水分解性基として上記説明した範囲から適宜選択できる。

0050

式(II)中、Rb1は、加水分解性基であることが好ましい。また、Rb1が加水分解性基の場合、Rb1とAb1とは同一であっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。さらに、有機ケイ素化合物(A)と、金属化合物(B)の加水分解性基は同一であっても異なっていてもよい。

0051

式(II)中、Mとしては、Al、Si、Ti、Zr、Snが好ましく、Al、Si、Ti、Zrがより好ましく、Siがさらに好ましい。これら金属原子のアルコキシドは、液状化が容易であり、コーティング皮膜中、スペーサーとして機能しうる下記構造(b)の分布均一性を高めることが容易である。
また、式(II)において、mは、MがAl、Fe、In等の3価金属の場合は2を表し、MがGe、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属の場合は3を表し、MがTa等の5価金属の場合は4を表す。

0052

金属化合物(B)としては、加水分解性基のみを有する化合物;1つの第2の炭化水素鎖含有基と2つの加水分解性基を有する化合物;等を好ましく挙げることができる。
加水分解性基のみを有する化合物としては、テトラメトキシシランテトラエトキシシランテトラプロポキシシランテトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム等のトリアルコキシアルミニウム;トリエトキシ鉄等のトリアルコキシ鉄;トリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリプロポキシインジウム、トリブトキシインジウム等のトリアルコキシインジウム;テトラメトキシゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム、テトラプロポキシゲルマニウム、テトラブトキシゲルマニウム等のテトラアルコキシゲルマニウム;テトラメトキシハフニウム、テトラエトキシハフニウム、テトラプロポキシハフニウム、テトラブトキシハフニウム等のテトラアルコキシハフニウム;テトラメトキシチタンテトラエトキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン;テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラプロポキシスズ、テトラブトキシスズ等のテトラアルコキシスズ;テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のテトラアルコキシジルコニウム;ペンタメトキシタンタルペンタエトキシタンタル、ペンタプロポキシタンタル、ペンタブトキシタンタル等のペンタアルコキシタンタル;等が挙げられる。
第2の炭化水素鎖含有基と加水分解性基を有する化合物としては、メチルトリメトキシシランエチルトリメトキシシランメチルトリエトキシシランエチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシランビニルトリエトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシラン;等が挙げられる。

0053

本発明の撥水撥油コーティング組成物は、上記有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)とを特定の割合で含むため、撥水・撥油機能が高められると同時に、硬度にも優れたコーティング皮膜を提供することが可能となる。具体的には、本発明の撥水撥油コーティング組成物において、前記金属化合物(B)と有機ケイ素化合物(A)のモル比(金属化合物(B)/有機ケイ素化合物(A))は、18以上、48以下であり、44以下であることが好ましく、より好ましくは40以下、さらに好ましくは36以下である。

0054

本発明の撥水撥油コーティング組成物は、上記有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)に加えて、さらに溶剤(C)を含んでいてもよい。溶剤(C)としては、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤ケトン系溶剤エステル系溶剤アミド系溶剤等の親水性有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上の溶剤を併用してもよい。
前記アルコール系溶剤としては、メタノールエタノールプロパノールブタノールエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が挙げられ、前記エーテル系溶剤としては、ジメトキシエタンテトラヒドロフランジオキサン等が挙げられ、ケトン系溶剤としては、アセトンメチルエチルケトン等が挙げられ、エステル系溶剤としては、酢酸エチル酢酸ブチル等が挙げられ、アミド系溶剤としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
中でも、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤が好ましく、アルコール系溶剤がより好ましい。

0055

溶剤(C)は、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の合計1質量部に対して、好ましくは120質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下、特に好ましくは40質量部以下であり、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上、特に好ましくは20質量部以上である。

0056

さらに、本発明の撥水撥油コーティング組成物は、必要に応じて、触媒を共存させてもよい。触媒は、ゾルーゲル法で一般的に用いられる、塩酸等の酸性化合物塩基性化合物有機金属化合物等から任意に選ぶことができる。例えば、酸化合物;塩基性化合物、有機金属化合物;等が挙げられる。前記酸性化合物としては、塩酸、硝酸等の無機酸;酢酸等の有機酸;等が挙げられる。前記塩基性化合物としては、アンモニアアミン;等が挙げられる。前記有機金属化合物としては、Al、Fe、Zn、Sn、Zr等の金属元素中心金属とする有機金属化合物が挙げられ、アルミニウムアセチルアセトン錯体アルミニウムエチルアセトアセテート錯体等の有機アルミニウム化合物オクチル酸鉄等の有機鉄化合物亜鉛アセチルアセトナートモノハイドレートナフテン酸亜鉛オクチル酸亜鉛等の有機亜鉛化合物ジブチル錫ジアセテート錯体等の有機錫化合物;等が挙げられる。
中でも、触媒としては、有機金属化合物が好ましく、有機アルミニウム化合物がより好ましく、有機アルミニウムエチルアセトアセテート化合物が特に好ましい。

0057

触媒は、有機ケイ素化合物(a)と金属化合物(b)の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上である事が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは1質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
このうち触媒が酸性化合物(特に好ましくは塩酸)である場合、酸性化合物は、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の合計100質量部に対して、0.0001質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.0005質量部以上、さらに好ましくは0.001質量部以上であり、1質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.3質量部以下である。

0058

さらに、有機ケイ素化合物(A)と、金属化合物(B)を基材と接触させる際、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤防錆剤紫外線吸収剤光安定剤防カビ剤抗菌剤生物付着防止剤消臭剤顔料難燃剤帯電防止剤等の各種の添加剤を共存させてもよい。

0059

前記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤硫黄系酸化防止剤リン系酸化防止剤、ヒンダ−ドアミン系酸化防止剤等が挙げられる。

0060

前記フェノール系酸化防止剤としては、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2−チオ−エチレンビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリ−エチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルプロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカンテトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸ペンタエリスリチルエステル、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニルエチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル アクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等が挙げられる。

0061

前記硫黄系酸化防止剤としては、3,3’−チオジプロピオン酸ジ−n−ドデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−テトラデシルエステル、3,3’−チオジプロピオン酸 ジ−n−オクタデシルエステル、テトラキス(3−ドデシルチオプロピオン酸ペンタエリスリトールエステル等が挙げられる。

0062

前記リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォイト、ビス−[2,4−ジ−t−ブチル−(6−メチル)フェニル]エチルホスファイト等が挙げられる。

0063

前記ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、セバシン酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステル(融点81〜86℃)、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(融点58℃)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}−1,6−ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等が挙げられる。

0064

前記防錆剤としては、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン第四級アンモニウム塩アルカンチオールイミダゾリンイミダゾール、アルキルイミダゾリン誘導体ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールベンゾトリアゾール等のアゾール類メタバナジン酸ナトリウムクエン酸ビスマスフェノール誘導体アルキルアミンポリアルケニルアミン等の脂肪族アミン芳香族アミンエトキシ化アミン、シアノアキルアミン、安息香酸シクロヘキシルアミンアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン芳香族ジアミン等のアミン化合物;前記アミン化合物とカルボン酸とのアミドアルキルエステルピリミジンナフテン酸スルホン酸複合体;亜硝酸カルシウム亜硝酸ナトリウム亜硝酸ジシクロヘキシルアミン等の亜硝酸塩ポリアルコールポリフェノール等のポリオール化合物;モリブデン酸ナトリウムタングステン酸ナトリウムホスホン酸ナトリウムクロム酸ナトリウムケイ酸ナトリウム等のヘテロポリ酸塩ゼラチン;カルボン酸のポリマーニトロ化合物ホルムアルデヒドアセチレンアルコール脂肪族チオール芳香族チオールアセチレンチオール等のチオール化合物脂肪族スルフィド芳香族スルフィド、アセチレンスルフィド等のスルフィド化合物スルホキシドジベンジルスルホキシド等のスルホキシド化合物チオ尿素;アミンまたは第四級アンモニウム塩とハロゲンイオン組合せ;アルキルアミンとヨウ化カリウムの組合せ;タンニンリン酸ナトリウムの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンの組合せ;トリエタノールアミンとラウリルサルコシンとベンゾトリアゾールの組合せ;アルキルアミンとベンゾトリアゾールと亜硝酸ナトリウムとリン酸ナトリウムの組合せ;等が挙げられる。

0065

前記紫外線吸収剤/光安定剤としては、例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量約300)との縮合物ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−エトキシ−2’−エチル−オキサリック酸ビスアニリド等が挙げられる。

0066

前記防カビ剤/抗菌剤としては、2−(4−チアゾリルベンツイミダゾールソルビン酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3オン、(2−ピリジルチオ−1−オキシドナトリウムデヒドロ酢酸、2−メチル−5−クロロ−4−イソチアゾロン錯体、2,4,5,6−テトラクロロフタロニトリル2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、1−(ブチルカルバモイル)−2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル、モノあるいはジブロモシアノアセトアミド類、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロプロパノールおよび1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン等が挙げられる。

0067

前記生物付着防止剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、ビス(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアジクロロ−N−((ジメチルアミノスルフォニルフルオロ−N−(P−トリルメタンスルフェンアミドピリジントリフェニルボラン、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオスルファミドチオシアン酸第一銅(1)、酸化第一銅、テトラブチルチウラムサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルジンエチレンビスジチオカーバーメート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、N−(2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)亜鉛塩、ビス(2−ピリジンチオール−1−オキシド)銅塩、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、フラノン類アルキルピリジン化合物グラミン系化合物、イソニル化合物等が挙げられる。

0068

前記消臭剤としては、乳酸コハク酸リンゴ酸クエン酸マレイン酸マロン酸エチレンジアミンポリ酢酸、アルカン−1,2−ジカルボン酸アルケン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルカン−1,2−ジカルボン酸、シクロアルケン−1,2−ジカルボン酸、ナフタレンスルホン酸等の有機酸類ウンデシレン酸亜鉛2−エチルヘキサン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛等の脂肪酸金属類;酸化鉄硫酸鉄酸化亜鉛硫酸亜鉛塩化亜鉛酸化銀酸化銅、金属(鉄、銅等)クロロフィリンナトリウム、金属(鉄、銅、コバルト等)フタロシアニン、金属(鉄、銅、コバルト等)テトラスルホン酸フタロシアニン、二酸化チタン可視光応答型二酸化チタン窒素ドープ型など)等の金属化合物;α−、β−、又はγ−シクロデキストリン、そのメチル誘導体、ヒドロキシプロピル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体等のシクロデキストリン類多孔メタクリル酸ポリマー、多孔アクリル酸ポリマー等のアクリル酸系ポリマー、多孔ジビニルベンゼンポリマー、多孔スチレン−ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー、多孔ジビニルベンゼン−ビニルピリジンポリマー等の芳香族系ポリマー、それらの共重合体及びキチンキトサン活性炭シリカゲル活性アルミナゼオライトセラミック等の多孔質体等が挙げられる。

0070

前記難燃剤としてはデカブロビフェニル三酸化アンチモンリン系難燃剤水酸化アルミニウム等が挙げられる。

0071

前記帯電防止剤としては、4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤ベタイン型両性界面活性剤リン酸アルキル型のアニオン界面活性剤、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩、第4級アミン塩やピリジン誘導体等のカチオン界面活性剤、硫酸化油石鹸硫酸化エステル油、硫酸化アミド油、オレフィンの硫酸化エステル塩類脂肪アルコール硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩脂肪酸エチルスルホン酸塩アルキルナフタレンスルホン酸塩アルキルベンゼンスルホン酸塩琥珀酸エステルスルホン酸塩燐酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、多価アルコールの部分的脂肪酸エステル、脂肪アルコールのエチレンオキサイド付加物、脂肪酸のエチレンオキサイド付加物、脂肪アミノ又は脂肪酸アミドのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコールの部分的脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物やポリエチレングリコール等のノニオン界面活性剤カルボン酸誘導体やイミダゾリン誘導体等の両性界面活性剤等が挙げられる。

0072

また、添加剤としてさらに、滑剤充填剤可塑剤核剤アンチブロッキング剤発泡剤乳化剤光沢剤結着剤等を共存させてもよい。

0073

これら添加剤を含む場合、添加剤の含有量は、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)とを含むコーティング組成物中、通常、0.1〜70質量%であり、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%であり、さらに好ましくは2〜15質量%である。

0074

また、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)の合計(溶媒(C)を含む場合、有機ケイ素化合物(A)と金属化合物(B)と溶媒(C)の合計)の含有量は、撥水撥油コーティング組成物中、通常60質量%以上であり、好ましくは75質量%以上、より好ましくは85質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。

0075

さらに、本発明の撥水撥油コーティング組成物は、炭素数が7以上、9以下(特に8)である第1の炭化水素鎖含有基が1つと、3つの加水分解性基がケイ素原子に結合している有機ケイ素化合物(A)と、4つの加水分解性基が金属原子(特にケイ素原子)に結合している金属化合物(B)とを含み、前記金属化合物(B)と有機ケイ素化合物(A)の重量比(金属化合物(B)/有機ケイ素化合物(A))が18以上、36以下であることが特に好ましい。有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)の構造やモル比をこのように調整することで、得られるコーティング皮膜の硬度と撥水・撥油性がより高度に両立される。

0076

本発明の撥水撥油コーティング組成物を基材と接触させることにより、有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)の加水分解性基が加水分解・重縮合され、基材表面に撥水撥油コーティング皮膜が形成される。

0077

撥水撥油コーティング組成物と基材とを接触させる方法としては、例えば、基材表面に撥水撥油コーティング組成物をコーティングする方法が好ましく、このようなコーティング法としては、スピンコーティング法ディップコーティング法、スプレーコーティング法ロールコート法バーコート法ダイコート法等が挙げられ、スピンコーティング法、スプレーコーティング法が好ましい。
また、撥水撥油コーティング組成物と基材とを接触させた状態で、空気中で静置すると、空気中の水分が取り込まれ、加水分解性基の加水分解・重縮合が促進されるため、好ましい。得られたコーティング皮膜は、さらに、乾燥してもよい。加温乾燥させる温度としては、通常40〜250℃であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは60〜150℃である。

0078

得られた撥水撥油コーティング皮膜は、ケイ素原子や上記金属原子(好ましくはケイ素原子のみ)が、酸素原子を介して結合した網目状の骨格を有しており、有機ケイ素化合物(A)に由来して、この骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に、第1の炭化水素鎖含有基が結合した構造を有する。

0079

前記第1の炭化水素鎖含有基がケイ素原子に結合した構造としては、下記式(1)で表される構造(a)が好ましい。

0080

0081

[式(1)中、Raは第1の炭化水素鎖含有基を表し、Za2は、第1の炭化水素鎖含有基、第2の炭化水素鎖含有基、または、−O−基を表し、Za2が第1の炭化水素鎖含有基の場合、RaとZa2とは同一であっても異なっていてもよく、複数の式(1)間でRaとZa2とは同一であっても異なっていてもよい。]

0082

式(1)中、Ra、Za2の第1の炭化水素鎖含有基、Za2の第2の炭化水素鎖含有基は、いずれも上記説明した範囲から適宜選択できる。

0083

中でもZa2としては、第2の炭化水素鎖含有基または−O−基が好ましく、−O−基が特に好ましい。

0084

構造(a)としては、例えば、下記式(1−1)〜式(1−32)で表される構造を好ましく例示することができる。

0085

0086

0087

0088

本発明の撥水撥油コーティング組成物を用いて得られたコーティング皮膜では、金属化合物(B)に由来して、上記第1の炭化水素鎖含有基が結合するケイ素原子とは異なるケイ素原子(第2ケイ素原子)に、第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはヒドロキシ基が縮合した基が結合していてもよい。またこの第2ケイ素原子は、他の金属原子(例えば、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Ta)に置き換わっていてもよい。こうした第2ケイ素原子や他の金属原子もまた、第1の炭化水素鎖含有基よりも炭素数が少ない第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはヒドロキシ基が結合しているためにスペーサーとして作用し、第1の炭化水素鎖含有基による撥水・撥油特性向上作用を高めることが可能となる。

0089

前記アルコキシ基は、炭素数1〜4であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜3である。例えば、ブトキシ基、プロポキシ基、エトキシ基、メトキシ基等が挙げられる。
また、ヒドロキシ基は他のヒドロキシ基、アルコキシ基等と縮合して、−O−基を形成するが、このようなヒドロキシ基が縮合した基が前記金属原子に結合していてもよい。

0090

第2の炭化水素鎖含有基またはヒドロキシ基が第2のケイ素原子または他の金属原子に結合した構造としては、下記式(2)で表される構造(b)が好ましい。

0091

0092

[式(2)中、Rb2は、第2の炭化水素鎖含有基、ヒドロキシ基または−O−基を表し、Ab2はヒドロキシ基、または、−O−基を表す。Mは、Al、Fe、In、Ge、Hf、Si、Ti、Sn、Zr、または、Taを表す。nは、Mに応じて、0〜3の整数を表す。]

0093

式(2)中、Rb2の第2の炭化水素鎖含有基は、いずれも上記説明した範囲から適宜選択できる。
Rb2は、ヒドロキシ基であることが好ましい。

0094

また、式(2)中、MとしてはAl等の3価金属;Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属;が好ましく、Al、Si、Ti、Zrがより好ましく、Siが特に好ましい。
さらに、式(2)において、nは、MがAl、Fe、In等の3価金属の場合は1を表し、MがGe、Hf、Si、Ti、Sn、Zr等の4価金属の場合は2を表し、MがTa等の5価金属の場合は3を表す。

0095

構造(b)としては、MがSiの場合、例えば、下記式(2−1)〜式(2−11)で表される構造を好ましく例示することができる。

0096

0097

0098

得られたコーティング皮膜において、構造(a)と構造(b)の存在比(構造(a)/構造(b))は、モル基準で、0.01以上であることが好ましく、より好ましくは0.02以上、さらに好ましくは0.03以上であり、0.3以下であることが好ましく、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下、よりいっそう好ましくは0.09以下である。

0099

そして、本発明の撥水撥油コーティング組成物を用いて得られたコーティング皮膜は、厚みが50nm以下であることが好ましく、より好ましくは40nm以下である。コーティング皮膜の厚みを50nm以下とすることにより、耐摩耗性を維持しつつ、鉛筆硬度を高めることが可能となる。また、得られるコーティング皮膜の厚みは、6nm以上であることが好ましい。コーティング皮膜の厚みを6nm以上とすることにより、撥水・撥油性が効果的に発揮される。

0100

また、本発明の撥水撥油コーティング組成物から得られたコーティング皮膜は、硬度に優れたものとなる。コーティング皮膜の硬度は、例えば鉛筆硬度を基準として評価することができ、2H以上であることが好ましく、より好ましくは4H以上、さらに好ましくは7H以上であり、通常9H以下であることが好ましい。

0101

さらに、本発明の撥水撥油コーティング組成物を用いて得られたコーティング皮膜は、ケイ素原子や上記金属原子(好ましくはケイ素原子のみ)が酸素原子を介して結合した網目状の骨格を有しており、この骨格を形成するケイ素原子のうち一部のケイ素原子に、前記第1の炭化水素鎖含有基が結合した構造を有するため、液滴の滑り性、さらには撥水・撥油性に優れている。液滴の滑り性は、例えば、一定の角度に傾けて設置した平滑な基材上に形成したコーティング皮膜上を滑り落ちる水滴の移動速度を指標として評価することができ、本発明の撥水撥油コーティング組成物を用いて得られたコーティング皮膜は、コーティング皮膜を有する基材を32°傾けたときにおける液滴の移動速度が5cm/sec以上であることが好ましく、より好ましくは10cm/sec以上、さらに好ましくは15cm/sec以上である。ここでいう液滴の移動速度について説明する。まず、コーティング皮膜を有する基材を32°傾け、該コーティング皮膜上に20μLの水滴を滴下する(以下、位置(1)と呼ぶことがある。)。位置(1)から液滴が0.9cm滑落した場所(以下、位置(2)と呼ぶことがある。)を起点に、さらに3cm滑落した場所(以下、位置(3)と呼ぶことがある。)までの移動に要した時間を測定する。位置(2)から位置(3)までの移動距離3cmを、位置(2)から位置(3)の滑落に要した時間で除することにより液滴の移動速度が求められる。

0102

本発明の撥水撥油コーティング組成物を基材上にコーティングすることで、コーティング皮膜を形成でき、基材の形状は、平面、曲面のいずれでもよいし、多数の面が組み合わさった三次元的構造でもよい。また、基材は、有機系材料無機系材料のいずれで構成されていてもよく、前記有機系材料としては、アクリル樹脂ポリカーボネート樹脂ポリエステル樹脂スチレン樹脂アクリルスチレン共重合樹脂セルロース樹脂ポリオレフィン樹脂ポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂フェノール樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂エポキシ樹脂不飽和ポリエステルシリコーン樹脂ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂;等が挙げられ、無機系材料としては、セラミックスガラス;鉄、シリコン、銅、亜鉛、アルミニウム、等の金属;前記金属を含む合金;等が挙げられる。
前記基材には予め易接着処理を施しておいてもよい。易接着処理としては、コロナ処理プラズマ処理紫外線処理等の親水化処理が挙げられる。また、樹脂シランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等によるプライマー処理を用いてもよい。プリマー処理によりプライマー層撥水膜基体の間に設けることで、耐湿性耐アルカリ性等の耐久性をより向上できる。

0103

プライマー層としては、シロキサン骨格を形成しうる成分(P)を含む下地層形成用組成物を用いて形成された層が好ましい。
プライマー層としては、例えば、下記式(III)で表される化合物および/またはその部分加水分解縮合物からなる(P1)成分を含む下地層形成用組成物を用いて形成された層が好ましい。
Si(XP2)4 …(III)
[ただし、式(III)中、XP2はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルコキシ基またはイソシアネート基を示す。]

0104

上記式(III)中、XP2は、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルコキシ基またはイソシアネート基であることが好ましく、さらに4個のXP2が同一であることが好ましい。

0105

このような上記一般式(III)で示される化合物(以下、化合物(III)という場合がある。)として、具体的には、Si(NCO)4、Si(OCH3)4、Si(OC2H5)4等が好ましく用いられる。本発明において、化合物(III)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0106

プライマー層形成用組成物に含まれる(P1)成分は、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(III)の部分加水分解縮合物は、酸や塩基触媒を用いた、一般的な加水分解縮合方法を適用することで得ることができる。ただし、部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(P1)成分としては、化合物(III)であっても、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(III)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(III)が含まれる化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよい。なお、一般式(III)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。

0107

また、下地層形成用組成物は、上記(P1)成分と、下記式(IV)で表される化合物(以下、化合物(IV)という場合がある。)および/またはその部分加水分解縮合物からなる(P2)成分とを含む、もしくは、上記(P1)成分と上記(P2)成分の部分加水分解共縮合物(ただし、上記(P1)成分および/または化合物(IV)を含んでもよい)を含む組成物であっても良い。

0108

XP33Si−(CH2)p−SiXP33 …(IV)
[ただし、式(IV)中、XP3はそれぞれ独立して加水分解性基または水酸基を示し、pは1〜8の整数である。]

0109

化合物(IV)は、2価有機基を挟んで両末端加水分解性シリル基またはシラノール基を有する化合物である。

0110

式(IV)中XP3で示される加水分解性基としては、上記XP2と同様の基または原子が挙げられる。化合物(IV)の安定性と加水分解のし易さとのバランスの点から、XP3としては、アルコキシ基およびイソシアネート基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基としては、炭素原子数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。これらは、製造上の目的、用途等に応じて適宜選択され用いられる。化合物(IV)中に複数個存在するXP3は同じ基でも異なる基でもよく、同じ基であることが入手しやすさの点で好ましい。

0111

化合物(IV)として、具体的には、(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH3)3、(OCN)3SiCH2CH2Si(NCO)3、Cl3SiCH2CH2SiCl3、(C2H5O)3SiCH2CH2Si(OC2H5)3、(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(OCH3)3等が挙げられる。本発明において、化合物(IV)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0112

プライマー層形成用組成物に含まれる成分は、化合物(IV)の部分加水分解縮合物であってもよい。化合物(IV)の部分加水分解縮合物は、化合物(III)の部分加水分解縮合物の製造において説明したのと同様の方法で得ることができる。部分加水分解縮合物の縮合度(多量化度)は、生成物が溶媒に溶解する程度である必要がある。(P)成分としては、化合物(IV)であっても、化合物(III)の部分加水分解縮合物であってもよく、化合物(IV)とその部分加水分解縮合物との混合物、例えば、未反応の化合物(IV)が含まれる化合物(IV)の部分加水分解縮合物であってもよい。

0113

一般式(IV)で示される化合物やその部分加水分解縮合物としては市販品があり、本発明にはこのような市販品を用いることが可能である。

0114

また、下地層には、化合物(III)と同様のケイ素を主成分とする酸化膜を得ることができる、各種ポリシラザンを用いても良い。

0115

プライマー層形成用組成物は、通常、層構成成分となる固形分の他に、経済性、作業性、得られるプライマー層の厚さ制御のしやすさ等を考慮して、有機溶剤を含む。有機溶剤は、プライマー層形成用組成物が含有する固形分を溶解するものであれば特に制限されない。有機溶剤としては、撥水膜形成用組成物と同様の化合物が挙げられる。有機溶剤は1種に限定されず、極性蒸発速度等の異なる2種以上の溶剤を混合して使用してもよい。

0116

プライマー層形成用組成物は、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含有する場合、これらを製造するために使用した溶媒を含んでもよい。

0117

さらに、プライマー層形成用組成物においては、部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含まないものであっても、加水分解共縮合反応を促進させるために、部分加水分解縮合の反応において一般的に使用されるのと同様の酸触媒等の触媒を配合しておくことも好ましい。部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含む場合であっても、それらの製造に使用した触媒が組成物中に残存していない場合は、触媒を配合することが好ましい。

0118

下地層形成用組成物は、上記含有成分が加水分解縮合反応や加水分解共縮合反応するための水を含んでいてもよい。

0119

プライマー層形成用組成物を用いて下地層を形成する方法としては、オルガノシラン化合物系の表面処理剤における公知の方法を用いることが可能である。例えば、はけ塗り流し塗り回転塗布、浸漬塗布スキージ塗布、スプレー塗布手塗り等の方法で下地層形成用組成物を基体の表面に塗布し、大気中または窒素雰囲気中において、必要に応じて乾燥した後、硬化させることで、下地層を形成できる。硬化の条件は、用いる組成物の種類、濃度等により適宜制御される。

0120

なお、プライマー層形成用組成物の硬化は、撥水膜形成用組成物の硬化と同時に行ってもよい。

0121

プライマー層の厚さは、その上に形成される撥水膜に耐湿性、密着性、基体からのアルカリ等のバリア性を付与できる厚さであれば特に限定されない。

0122

本発明の撥水撥油コーティング組成物を用いることにより、撥水・撥油性と硬度を両立したコーティング皮膜を提供することができ、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術、太陽電池部材等の分野において有用である。又本発明の撥水撥油コーティング組成物は、電車自動車船舶航空機等の輸送機器におけるボディー窓ガラス(フロントガラスサイドガラスリアガラス)、ミラーバンパー等の物品にも好適に用いられる。また、建築物外壁テント太陽光発電モジュール遮音板コンクリート、などの屋外用途にも用いることができる。漁網虫取り網水槽などにも用いることができる。更に、台所風呂場洗面台、鏡、トイレ周りの各部材の物品、シャンデリアタイルなどの陶磁器人工大理石エアコン等の各種屋内設備にも利用可能である。また、工場内の治具内壁配管等の防汚処理にも用いることができる。ゴーグル眼鏡ヘルメットパチンコ、繊維、遊具サッカーボールなどにも好適である。更に、食品用包材化粧品用包材ポットの内部、など、各種包材の付着防止剤としても用いることができる。

0123

本願は、2014年10月31日に出願された日本国特許出願第2014−223649号に基づく優先権の利益を主張するものである。2014年10月31日に出願された日本国特許出願第2014−223649号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。

0124

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
本発明の実施例で用いた測定法は下記の通りである。

0125

液滴の滑り性の測定
撥水撥油コーティング組成物をコーティングし、コーティング皮膜を形成した基板を32°に傾け、その上に20μLの水を滴下し、その液滴の移動速度を測定した。具体的には、まず該コーティング皮膜上に液滴を滴下した(位置(1))。位置(1)から液滴が0.9cm滑落した場所(位置(2))を起点に、さらに3cm滑落した場所(位置(3))までの移動に要した時間(秒)を測定した。位置(2)から位置(3)までの移動距離3cmを、位置(2)から位置(3)の滑落に要した時間(秒)で除することにより液滴の移動速度を求めた。

0126

耐摩耗性の測定
スチールウール試験機(大栄精機社製)を使用した。消しゴムトンボ鉛筆社製モノワンダストキャッチ)をコーティング皮膜に500gの荷重で接触させ、40r/minの速度で摩耗試験をおこない、初期接触角から−15°以下となる摩耗回数を測定した。摩耗回数は、最大1500回までとし、1500回後も−15°以内であれば耐摩耗性あり(○)と評価する。

0127

膜厚の測定
非接触表面形状計測機(菱化システム社製 VertScan)にてコーティング皮膜の厚みを測定した。

0128

接触角の測定
接触角計協和界面科学社製DM700)で、液滴法(液量:3.0μL)により、コーティング皮膜表面の水に対する接触角を測定した。

0129

実施例1
有機ケイ素化合物(A)としてのオクチルトリエトキシシラン2.8部(0.01モル部)、金属化合物(B)としてのオルトケイ酸テトラエチル(テトラエトキシシラン)41.7部(0.20モル部)に、溶剤(C)としてのエタノールを84部、触媒としての塩酸(0.01mol/L水溶液)60部を混合して、室温で24時間撹拌して撥水撥油コーティング組成物を得た。得られた撥水撥油コーティング組成物を、ガラス基板(Corning社製「EAGLEXG」)上に、MIKASA社製スピンコータにより、回転数3000rpm、20secの条件でスピンコートした後、乾燥させてコーティング被膜を得た。

0130

実施例2〜4、比較例1〜3
有機ケイ素化合物(A)、金属化合物(B)の種類と使用量、及び、溶剤(C)を表1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして、コーティング皮膜を得た。
得られたコーティング皮膜の水に対する接触角、膜厚、耐摩耗性、液滴の滑り性を表1に示す。

0131

実施例

0132

上記の結果から、本発明の撥水撥油コーティング組成物によれば、撥水・撥油性と耐摩耗性を両立するコーティング皮膜を提供できることがわかる。

0133

本発明の撥水撥油コーティング組成物を用いることにより、撥水・撥油性と耐摩耗性を両立したコーティング皮膜を提供することができ、タッチパネルディスプレイ等の表示装置、光学素子、半導体素子、建築材料、自動車部品、ナノインプリント技術、太陽電池部材等の分野において有用である。

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