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図面 (9)

課題・解決手段

本発明は、網膜上皮および/または神経の治療技術を提供する。より詳細には、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、網膜疾患等および/または神経の疾患、障害または眼科の状態の治療または予防剤であって、網膜色素上皮細胞および/または神経細胞がともに投与されることをさらに特徴とする技術を提供することによって上記課題が解決された。詳細には、本発明はラミニン411(α4β1γ1)、ラミニン511(α5β1γ1)、ラミニン521(α5β2γ1)あるいはこれらのフラグメントを含みうる。

概要

背景

網膜眼科領域でも重要な部位であり、加齢黄斑変性網膜色素変性網膜色素上皮症など黄斑部などの網膜に障害をきたすことによる視力障害に対して、培養したヒト網膜色素上皮細胞移植による治療法の開発が待ち望まれている。

ラミニン眼科との関係では特許文献1および2が知られている。

また、神経は、生命維持にとって重要な部位であり、培養した神経細胞の移植による治療法の開発が待ち望まれている。

ラミニンと神経との関係では非特許文献1〜4が知られている。

概要

本発明は、網膜上皮および/または神経の治療技術を提供する。より詳細には、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、網膜疾患等および/または神経の疾患、障害または眼科の状態の治療または予防剤であって、網膜色素上皮細胞および/または神経細胞がともに投与されることをさらに特徴とする技術を提供することによって上記課題が解決された。詳細には、本発明はラミニン411(α4β1γ1)、ラミニン511(α5β1γ1)、ラミニン521(α5β2γ1)あるいはこれらのフラグメントを含みうる。

目的

特に、加齢黄斑変性等網膜障害および/または神経障害について新規治療手法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含み、該ラミニンは、γ1鎖を含む、網膜色素上皮の疾患、障害または状態の治療または予防剤

請求項2

前記ラミニンは、α5鎖をさらに含む、請求項1に記載の治療または予防剤。

請求項3

前記ラミニンは、ラミニン511(α5β1γ1)およびラミニン521(α5β2γ1)を含む、請求項1に記載の治療または予防剤。

請求項4

前記フラグメントは、網膜色素上皮の細胞細胞接着能を有する、請求項1に記載の治療または予防剤。

請求項5

前記因子は、ラミニン511、ラミニン521またはラミニン511−E8フラグメントである、請求項1に記載の治療または予防剤。

請求項6

前記網膜色素上皮は霊長類のものである、請求項1に記載の治療または予防剤。

請求項7

前記網膜色素上皮の疾患、障害または状態は、網膜色素上皮疾患、障害または状態は、滲出型および萎縮型加齢黄斑変性網膜色素変性、網膜色素上皮症(中心性漿液性網脈絡膜症)、その他特に黄斑部などの網膜に障害をきたした視力低下、ならびに視機能低下をきたした疾患からなる群より選択される、請求項1に記載の治療または予防剤。

請求項8

さらに、網膜色素上皮の細胞を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の治療または予防剤。

請求項9

さらに、ROCK阻害剤を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の治療または予防剤。

請求項10

前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド塩酸塩水和物)およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、請求項9に記載の治療または予防剤。

請求項11

前記因子は、網膜下注入され網膜を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、請求項1に記載の治療または予防剤。

請求項12

前記因子は、約21nM以上で存在する、請求項11に記載の治療または予防剤。

請求項13

さらに網膜色素上皮の細胞が投与されることを特徴とする、請求項1に記載の治療または予防剤。

請求項14

前記因子は、網膜色素上皮の細胞と混合されて提供され、さらに、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が網膜下に注入され網膜を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、請求項1に記載の治療または予防剤。

請求項15

さらに、ROCK阻害剤を含む、請求項14に記載の治療または予防剤。

請求項16

前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、請求項15に記載の治療または予防剤。

請求項17

細胞と混合される前記因子は、約2.1nM以上であり、注入される前記因子は約21nM以上である、請求項14に記載の治療または予防剤。

請求項18

ラミニン511およびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含み、細胞移植を必要とする神経の疾患、障害または状態の治療または予防剤。

請求項19

さらに、神経の細胞を含む、請求項18に記載の治療または予防剤。

請求項20

さらに神経の細胞が投与されることを特徴とする、請求項18に記載の治療または予防剤。

技術分野

0001

本発明は、ラミニンを用いた新規治療に関する。より詳細には、ラミニンを用いた眼科治療に関し、さらに詳細には網膜色素上皮および神経の治療および予防に関する。

背景技術

0002

網膜眼科領域でも重要な部位であり、加齢黄斑変性網膜色素変性、網膜色素上皮症など黄斑部などの網膜に障害をきたすことによる視力障害に対して、培養したヒト網膜色素上皮細胞移植による治療法の開発が待ち望まれている。

0003

ラミニンと眼科との関係では特許文献1および2が知られている。

0004

また、神経は、生命維持にとって重要な部位であり、培養した神経細胞の移植による治療法の開発が待ち望まれている。

0005

ラミニンと神経との関係では非特許文献1〜4が知られている。

0006

特表2004−500012号公報
特表2003−532647号公報

先行技術

0007

Gonzalez-Perez F, Udina E, Navarro X. Int Rev Neurobiol. 2013;108:257-275
Plantman S. Biomed Res Int. 2013;2013:981695
Wu H, Xiong WC, Mei L. Development. 2010
Fusaoka-Nishioka E. et al., Neuroscience Res. 71,2011,421-426

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、特定のラミニンが、特に網膜色素上皮および/または神経の治療に有用であることを見出したことによって、本発明を完成した。特に、本発明者らは、特定のラミニンが、特に網膜色素上皮および/または神経の細胞接着を促進することを見出したことによって、細胞接着に関連する疾患、障害または状態を改善することができることを見出した。したがって、本発明は、代表的に、以下を提供する。
<網膜関連の治療>
(1)ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含み、該ラミニンは、γ1鎖を含む、網膜色素上皮の疾患、障害または状態の治療または予防剤
(2)前記ラミニンは、α5鎖をさらに含む、項目1に記載の治療または予防剤。
(3)前記ラミニンは、ラミニン511(α5β1γ1)およびラミニン521(α5β2γ1)を含む、項目1または2に記載の治療または予防剤。
(4)前記フラグメントは、網膜色素上皮の細胞細胞接着能を有する、項目1〜3のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(5)前記因子は、ラミニン511、ラミニン521またはラミニン511−E8フラグメントである、項目1〜4のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(6)前記網膜色素上皮は霊長類のものである、項目1〜5のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(7)前記網膜色素上皮の疾患、障害または状態は、網膜色素上皮疾患、障害または状態は、滲出型および萎縮型加齢黄斑変性、網膜色素変性、網膜色素上皮症(中心性漿液性網脈絡膜症)、その他特に黄斑部などの網膜に障害をきたした視力低下、ならびに視機能低下をきたした疾患からなる群より選択される、項目1〜6のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(8)さらに、網膜色素上皮の細胞を含む、項目1〜7のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(9)さらに、ROCK阻害剤を含む、項目1〜8のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(10)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド塩酸塩水和物)およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目9に記載の治療または予防剤。
(11)さらに、網膜色素上皮の細胞およびROCK阻害剤を含む、項目1〜10のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(12)前記因子は、網膜下注入され網膜を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、項目1〜11のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(13)前記因子は、約21nM以上で存在する、項目1〜12のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(14)さらに網膜色素上皮の細胞が投与されることを特徴とする、項目1〜13のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(15)前記因子は、網膜色素上皮の細胞と混合されて提供され、さらに、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が網膜下に注入され網膜を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、項目1〜14のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(16)さらに、ROCK阻害剤を含む、項目1〜15のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(17)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目16に記載の治療または予防剤。
(18)細胞と混合される前記因子は、約2.1nM以上であり、注入される前記因子は約21nM以上である、項目15〜17のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(19)網膜色素上皮の疾患、障害または状態の治療または予防のための、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子であって、該ラミニンは、γ1鎖を含む、因子。
(20)項目2〜18のいずれか1項または複数の項に記載される特徴をさらに備える、項目19に記載の因子。
(21)網膜色素上皮の疾患、障害または状態の治療または予防のための方法であって、該方法は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の有効量を該治療または予防を必要とする被験体に投与する工程を包含し、該ラミニンは、γ1鎖を含む、方法。
(22)項目2〜7のいずれか1項または複数の項に記載される特徴をさらに備える、項目21に記載の方法。
(23)さらに、網膜色素上皮の細胞を前記被験体に投与する工程を包含する、項目21または22に記載の方法。
(24)さらに、ROCK阻害剤を前記被験体に投与する工程を包含する、項目21〜23のいずれか1項に記載の方法。
(25)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目24に記載の方法。
(26)さらに、網膜色素上皮の細胞およびROCK阻害剤を前記被験体に投与する工程を包含する、項目21〜25のいずれか1項に記載の方法。
(27)前記因子は、網膜下に注入され網膜を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、項目21〜26のいずれか1項に記載の方法。
(28)前記因子は、約21nM以上で存在する、項目21〜27のいずれか1項に記載の方法。
(29)網膜色素上皮の細胞を前記因子とは別に投与する工程をさらに包含する、項目21〜28のいずれか1項に記載の方法。
(30)前記因子は、網膜色素上皮の細胞と混合されて提供され、さらに、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が網膜下に注入され網膜を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、項目21〜29のいずれか1項に記載の方法。
(31)さらに、ROCK阻害剤を前記因子とは別に投与する工程をさらに包含する、項目21〜30のいずれか1項に記載の方法。
(32)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目31に記載の方法。
(33)細胞と混合される前記因子は、約2.1nM以上であり、注入される前記因子は約21nM以上である、項目21〜33のいずれか1項に記載の方法。
(34)ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の、網膜色素上皮の疾患、障害または状態の治療または予防のための医薬の製造における使用であって、該ラミニンは、γ1鎖を含む、使用。
(35)項目2〜18のいずれか1項または複数の項に記載される特徴をさらに備える、項目34に記載の使用。
(36)ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の、網膜色素上皮の疾患、障害または状態の治療または予防のための使用であって、該ラミニンは、γ1鎖を含む、使用。
(37)項目2〜18のいずれか1項または複数の項に記載される特徴をさらに備える、項目36に記載の使用。
<神経>
(A1)ラミニン511およびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含み、細胞移植を必要とする神経の疾患、障害または状態の治療または予防剤。
(A2)前記フラグメントは、神経の細胞の細胞接着能を有する、項目A1に記載の治療または予防剤。
(A3)前記因子は、ラミニン511またはラミニン511−E8フラグメントである、項目A1〜A2のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A4)前記神経は霊長類のものである、項目A1〜A3のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A5)前記細胞接着を必要とする神経の疾患、障害または状態は、網膜色素変性症黄斑変性スタガルト病、緑内障視神経症脊髄損傷末梢神経障害パーキンソン病ハンチントン病、および脳障害をきたす疾患からなる群より選択される、項目A1〜A4のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A6)さらに、神経の細胞を含む、項目A1〜A5のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A7)さらに、ROCK阻害剤を含む、項目A1〜A6のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A8)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目A7に記載の治療または予防剤。
(A9)さらに、神経の細胞およびROCK阻害剤を含む、項目A1〜A8のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A10)前記因子は、神経部位に注入され神経を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、項目A1〜A9のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A11)前記因子は、約21nM以上で存在する、項目A1〜A10のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A12)さらに神経の細胞が投与されることを特徴とする、項目A1〜A11のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A13)前記因子は、神経の細胞と混合されて提供され、さらに、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が神経部位に注入され神経を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、項目A1〜A12のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A14)さらに、ROCK阻害剤を含む、項目A1〜A13のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A15)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)、およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目A14に記載の治療または予防剤。
(A16)細胞と混合される前記因子は、約2.1nM以上であり、注入される前記因子は約21nM以上である、項目A1〜A15のいずれか1項に記載の治療または予防剤。
(A17)細胞移植を必要とする神経の疾患、障害または状態の治療または予防するための、ラミニン511およびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子。
(A18)項目A2〜A16のいずれか1項または複数の項に記載される特徴をさらに備える、項目A17に記載の因子。
(A19)細胞移植を必要とする神経の疾患、障害または状態の治療または予防するための方法であって、該方法はラミニン511およびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の有効量を該治療または予防を必要とする被験体に投与する工程を包含する、方法。
(A20)項目A2〜A5のいずれか1項または複数の項に記載される特徴をさらに備える、項目A19に記載の方法。
(A21)さらに、神経の細胞を前記被験体に投与する工程を含む、項目A19またはA20に記載の方法。
(A22)さらに、ROCK阻害剤を前記被験体に投与する工程を含む、項目A19〜A21のいずれか1項に記載の方法。
(A23)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目A22に記載の方法。
(A24)さらに、神経の細胞およびROCK阻害剤を前記被験体に投与する工程を含む、項目A19〜A23のいずれか1項に記載の方法。
(A25)前記因子は、神経部位に注入され神経を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、項目A19〜A24のいずれか1項に記載の方法。
(A26)前記因子は、約21nM以上で存在する、項目A19〜A25のいずれか1項に記載の方法。
(A27)さらに神経の細胞が投与されることを特徴とする、項目A19〜A26のいずれか1項に記載の方法。
(A28)前記因子は、神経の細胞と混合されて提供され、さらに、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が神経部位に注入され神経を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とする、項目A19〜A27のいずれか1項に記載の方法。
(A29)ROCK阻害剤を前記因子とは別に投与する工程をさらに包含する、項目A19〜A28のいずれか1項に記載の方法。
(A30)前記ROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)、およびその薬学的に受容可能な塩からなる群より選択される、項目A29のいずれか1項に記載の方法。
(A31)細胞と混合される前記因子は、約2.1nM以上であり、注入される前記因子は約21nM以上である、項目A19〜A30のいずれか1項に記載の方法。

0009

本発明において、上述した1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解することにより、当業者に認識される。

発明の効果

0010

本発明は、眼科、特に網膜色素上皮細胞(特に、ヒト網膜色素上皮細胞)および/または神経の新規治療を可能にした。特に、加齢黄斑変性等網膜障害および/または神経障害について新規治療手法を提供する。また、本発明は、神経関連の細胞、組織または器官について、細胞移植という再生医療の一形態に応用できるという点で顕著な効果が奏される。例えば、別の形態として、臓器の形またはシートの形をつくっての移植することにも応用可能である。したがって、細胞増殖に対する効果からは、予想できないが本発明によって神経に対して達成されたといえる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、ラミニンコーティングの網膜色素上皮(RPE)の細胞接着に対する影響を調べた結果である。左から、コントロール、ラミニンα1β1γ1、ラミニンα2β1γ1、ラミニンα4β1γ1、ラミニンα5β1γ1、ラミニンα5β2γ1、ラミニンα3β3γ2、FNC Coating Mix(登録商標)(Athena Environmental Sciences, Inc., Baltimore, MD).、ラミニンα5β1γ1のE8フラグメント、コラーゲンを示す。*はp<0.01を示す。検定はDunnet検定、n=6で行った。コーティング条件は、以下のとおりである。Laminin 511、laminin 521、laminin 211(Biolamina)を20μg/mlにて培養皿を2時間、およびLaminin 511-E8(nippi)を5μg/mlにて培養皿を3時間コーティングした後に、サル網膜色素上皮細胞を5000細胞/cm2の密度播種して24時間後に接着した細胞数をCellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay (Promega Corporation, Madison, WI)にて測定した。
図2は、ラミニンを培地に添加した際の網膜色素上皮の位相差顕微鏡写真である。左から、コントロール、ラミニンα5β1γ1、ラミニンα5β1γ1のE8フラグメント(本明細書中「E8」ともいう)を示す。バーは100μmを示す。
図3は、ラミニンを培地に添加した際の網膜色素上皮の細胞接着に対する影響を示す。*は p<0.01を示し、**はp<0.05を示す。検定はDunnet検定、n=6で行った。培地としてはDMEM/F12を基本培地として10%のウシ胎児血清にラミニン511あるいはE8を2.1nMを最終濃度として添加した。
図4は、ラミニン511−E8フラグメントを併用して、DiIにて蛍光ラベルした培養サル網膜色素上皮細胞のウサギ網膜下への移植試験の結果を示す。左は、ラミニン511−E8フラグメントなしを示し、右はラミニン511−E8フラグメントを添加した結果を示す。網膜下に注入針を用いて2.0×105個の細胞をラミニン511−E8フラグメントが最終濃度2.1nMになるように調整したDMEM/F12を100μlにて注射した。5日後にDiI陽性細胞を観察して移植した細胞の網膜下組織への生着を確認した。
図5は、ラミニンを培地に添加した際の神経細胞(N2a)の位相差顕微鏡写真を示す。左上はコントロール、右上はラミニン511−E8フラグメント、左下はコラーゲンタイプIV、右下はフィブロネクチンを示す。バーは100μmを示す。ラミニン添加後3時間の写真である。細胞は5000細胞/96ウェルプレートで播種し、ラミニン濃度は、培地中に最終濃度2.1nMとして添加した。
図6は、ラミニンを培地に添加した際の神経細胞(N2a)の細胞接着に対する影響を示す。細胞接着は接着した細胞を計数する手法を用いて測定した。細胞は,E8フラグメント、コラーゲンタイプIV、フィブロネクチンを培地中に最終濃度2.1nMとして添加し、5000細胞/96ウェルプレートで播種した。3時間後に接着した細胞数をCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay (Promega Corporation, Madison, WI)にて測定した。統計学的処理は、Dunnet検定によって行った。*はp<0.01、**はp<0.05を示す。
図7は、ラミニンを培地に添加した際の神経細胞(SH−SY5Y)の位相差顕微鏡写真を示す。左上はコントロール、右上はラミニン511−E8フラグメント、左下はコラーゲンタイプIV、右下はフィブロネクチンを示す。バーは100μmを示す。ラミニン511−E8フラグメント、コラーゲンタイプIV、フィブロネクチンを2.1nMで培地に添加して播種した3時間の写真である。細胞は5000細胞/96ウェルプレートで播種した。
図8は、ラミニンを培地に添加した際の神経細胞(SH−SY5Y)の細胞接着への影響を示す。細胞接着は接着した細胞を計数する手法を用いて測定した。細胞は,E8フラグメント、コラーゲンタイプIV、フィブロネクチンを培地中に最終濃度2.1nMとして添加し、5000細胞/96ウェルプレートで播種した。3時間後に接着した細胞数をCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay (Promega Corporation, Madison, WI)にて測定した。。左から、コントロール、ラミニン511−E8フラグメント、コラーゲンタイプIV、フィブロネクチンを示す。ラミニン添加後3時間の写真である。細胞は5000細胞/96ウェルプレートで播種し、ラミニン濃度は、2.1nMを用いた。統計学的処理は、Dunnet検定によって行った。*はp<0.01、**はp<0.05を示す。

0012

以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。従って、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。

0013

(定義)
本明細書において「網膜色素上皮細胞」(RPE細胞ともいわれる)とは、眼の網膜と脈絡膜の中間に存在する上皮細胞で、血管網関門の形成、視細胞外節貪食視物質再生などの機能を有する。網膜とは、眼球壁の最内層の部分であり、視細胞と視神経をもち、光刺激に感ずる。本発明で使用される網膜色素上皮細胞は、バイオプシーにより本人から採取した細胞、他人から採取した細胞、培養した網膜色素上皮細胞、幹細胞から分化した細胞、例えばiPS細胞ES細胞等からの誘導分化細胞を用いることができることが理解される。

0014

本明細書において「神経細胞」とは、当該分野で使用される通常の意味で用いられ、任意の神経の細胞をいう。代表的な神経細胞としては、N2a、H−SY5Yなどの細胞株を挙げることができるがこれらに限定されない。N2aおよびSH−SY5Yは、神経細胞の代表として、当該分野において使用されている。本発明で使用される神経細胞は、バイオプシーにより本人から採取した細胞、他人から採取した細胞、培養した神経細胞、幹細胞から分化した細胞、例えばiPS細胞、ES細胞等からの誘導分化細胞を用いることができることが理解される。

0015

本明細書において「単離された」とは、通常の環境において天然付随する物質が少なくとも低減されていること、好ましくは実質的に含まないことをいう。従って、単離された細胞、組織などとは、天然の環境において付随する他の物質(たとえば、他の細胞、タンパク質核酸など)を実質的に含まない細胞、組織などをいう。

0016

<ラミニン>
本明細書において「ラミニン」とは細胞外マトリックス基底膜を構成するタンパク質であり、多細胞体制・組織構築とその維持、細胞接着、細胞移動、細胞増殖を促進し、がん細胞と関係が深い。胚発生初期(2細胞期)に発現するとされる。α鎖β鎖およびγ鎖のそれぞれ1本ずつからなるヘテロ三量体である。ラミニンの命名は、発見順の名称(ラミニン−1、ラミニン−2等)が知られていたが、サブユニットとの対応は考慮されていないため本明細書では、より新たな命名法である、α、β、γのサブクラスの名称(3桁の番号、百の位はα、十の位はβ、一の位はγを示す。)を併記する方法を採用し、α1、β1およびγ1の場合、ラミニン111などと称する。ラミニンはα鎖が5種、β鎖が3種,γ鎖が3種、見出だされている。従って、理論的な組み合わせの最大数は、5×3×3=45で、45種類のラミニン分子が可能であるが、天然にすべての組み合わせが存在しているわけではないとされている。各サブユニットは、例えばα鎖についてはLAMA1、LAMA2、LAMA3、LAMA4、LAMA5等と称し、β鎖についてはLAMB1、LAMB2、LAMB3と称し、γ鎖についてはLAMC1、LAMC2、LAMC3と称される。本発明で使用されるラミニンタンパク質は天然型であっても、あるいはその生物学的活性、特に細胞接着促進活性を保持したまま1またはそれ以上のアミノ酸残基が修飾された修飾型であってもよい。また、本発明におけるラミニンタンパク質は本明細書に記載した特徴を有する限り、その起源製法などは限定されない。したがって、本発明で使用されるラミニンタンパク質は、天然産のタンパク質、遺伝子工学的手法により組換えDNAから発現させたタンパク質、あるいは化学合成タンパク質の何れでもよい。本発明で使用されるラミニンタンパク質の由来は特に、限定されないが、好ましくは、ヒト由来のものである。医療材料を得る目的などでヒト細胞を培養する場合には、他の動物に由来する材料の使用を避けるために、ヒト由来のラミニンを用いることが好ましいがこれに限定されない。

0017

ラミニンの結合分子も知られており、α1β1、α2β1、α2β2、α3β1、α6β1、α6β4、α7β1、α9β1、αvβ3、αvβ5、αvβ8がラミニンレセプターとして知られるインテグリンである。

0018

以下の表に代表的なラミニンおよびその説明を記載する。

0019

0020

本明細書において「α1鎖」(LAMA1)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA1;LAMA;S−LAM−alphaなどと称する。ヒトLAMA1は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_005559およびNP_005550に登録されている。OMIMは150320とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α1鎖」、「LAMA1」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0021

本明細書において「α2鎖」(LAMA2)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA2;LAMMなどと称する。ヒトLAMA2は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_000426およびNP_000417に登録されている。OMIMは156225とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α2鎖」、「LAMA2」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0022

本明細書において「α3鎖」(LAMA3)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA3;BM600;E170;LAMNA;LOCS;lama3aなどと称する。ヒトLAMA3は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_000227およびNP_000218に登録されている。OMIMは600805とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α3鎖」、「LAMA3」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0023

本明細書において「α4鎖」(LAMA4)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA4;LAMA3;LAMA4*−1;CMD1JJなどと称する。ヒトLAMA4は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_001105206およびNP_001098676に登録されている。OMIMは600133とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α4鎖」、「LAMA4」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0024

本明細書において「α5鎖」(LAMA5)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMA5;KIAA1907などと称する。ヒトLAMA5は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_005560およびNP_005551に登録されている。OMIMは601033とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「α5鎖」、「LAMA5」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0025

本明細書において「β1鎖」(LAMB1)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMB1;CLM;LIS5などと称する。ヒトLAMB1は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_002291およびNP_002282に登録されている。OMIMは150240とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「β1鎖」、「LAMB1」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0026

本明細書において「β2鎖」(LAMB2)(laminin S)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMB2;LAMS;NPHS5などと称する。ヒトLAMB2は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_002292およびNP_002283に登録されている。OMIMは150325とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「β2鎖」、「LAMB2」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0027

本明細書において「β3鎖」(LAMB3)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMB3;BM600−125KDA;LAM5;LAMNB1などと称する。ヒトLAMB3は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_000228およびNP_000219に登録されている。OMIMは150310とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「β3鎖」、「LAMB3」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0028

本明細書において「γ1鎖」(LAMC1)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMC1;LAMB2などと称する。ヒトLAMC1は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_002293およびNP_002284に登録されている。OMIMは150290とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「γ1鎖」、「LAMC1」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0029

本明細書において「γ2鎖」(LAMC2)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMC2;B2T;BM600;CSFEBR2;EBR2A;LAMB2T;LAMNB2などと称する。ヒトLAMC2は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_005562およびNP_005553に登録されている。OMIMは150292とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「γ2鎖」、「LAMC2」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0030

本明細書において「γ3鎖」(LAMC3)とは、細胞外マトリックスにある細胞接着分子のタンパク質・ラミニンのサブユニットの1つであり、LAMC3;OCCMなどと称する。ヒトLAMC3は、それぞれ遺伝子およびタンパク質の配列がNCBI登録番号のNM_006059およびNP_006050に登録されている。OMIMは604349とのアクセッション番号で同定される。本明細書の目的で使用される場合は、「γ3鎖」、「LAMC3」は、特定の配列番号またはアクセッション番号に記載されるアミノ酸配列を有するタンパク質(あるいはそれをコードする核酸)のみならず、機能的に活性なその誘導体、または機能的に活性なそのフラグメント、またはその相同体、または高ストリンジェンシー条件または低ストリンジェンシー条件下で、このタンパク質をコードする核酸にハイブリダイズする核酸にコードされる変異体もまた、意味することが理解される。

0031

本明細書において遺伝子、ポリヌクレオチドポリペプチドなどの「発現」とは、その遺伝子などがインビボで一定の作用を受けて、別の形態になることをいう。好ましくは、遺伝子、ポリヌクレオチドなどが、転写および翻訳されて、ポリペプチドの形態になることをいうが、転写されてmRNAが作製されることもまた発現の一態様であり得る。より好ましくは、そのようなポリペプチドの形態は、翻訳後プロセシングを受けたもの(本明細書にいう誘導体)であり得る。例えば、ラミニン各鎖の発現レベルは、任意の方法によって決定することができる。具体的には、ラミニン各鎖のmRNAの量、ラミニン各鎖タンパク質の量、そしてラミニン各鎖タンパク質の生物学的な活性を評価することによって、ラミニン各鎖の発現レベルを知ることができる。ラミニン各鎖のmRNAやタンパク質の量は、本明細書に記載したような方法によって決定することができる。

0032

本明細書において「機能的等価物」とは、対象となるもとの実体に対して、目的となる機能が同じであるが構造が異なる任意のものをいう。従って、「ラミニンもしくはラミニン各鎖またはその機能的等価物」または「ラミニン、ラミニン各鎖およびその機能的等価物からなる群」という場合は、ラミニンもしくはラミニン各鎖自体のほか、ラミニンもしくはラミニン各鎖のフラグメント、変異体または改変体(例えば、アミノ酸配列改変体等)であって、眼細胞等の細胞接着能、分化制御および/または増殖促進作用を1つ以上有するもの、ならびに、作用する時点においてラミニンもしくはラミニン各鎖自体またはこのラミニンもしくはラミニン各鎖のフラグメント、変異体もしくは改変体に変化することができるもの(例えば、ラミニンもしくはラミニン各鎖自体またはラミニンもしくはラミニン各鎖のフラグメント、変異体もしくは改変体をコードする核酸、およびその核酸を含むベクター、細胞等を含む)が包含されることが理解される。「ラミニンもしくはラミニン各鎖またはその機能的等価物」または「ラミニン、ラミニン各鎖およびその機能的等価物からなる群」としては、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が代表例として挙げられる。本発明において、ラミニンもしくはラミニン各鎖の機能的等価物は、格別に言及していなくても、ラミニンもしくはラミニン各鎖と同様に用いられうることが理解される。

0033

本明細書において「フラグメント」とは、全長のポリペプチドまたはポリヌクレオチド(長さがn)に対して、1〜n−1までの配列長を有するポリペプチドまたはポリヌクレオチドをいう。フラグメントの長さは、その目的に応じて、適宜変更することができ、例えば、その長さの下限としては、ポリペプチドの場合、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。また、ポリヌクレオチドの場合、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、ここの具体的に列挙していない整数で表される長さ(例えば、11など)もまた、下限として適切であり得る。本明細書において、このようなラミニンの鎖は、その活性、例えば、増殖促進または維持の因子として機能する場合、そのフラグメント自体も本発明の範囲内に入ることが理解される。本発明に従って、用語「活性」は、本明細書において、最も広い意味での分子の機能を指す。活性は、限定を意図するものではないが、概して、分子の生物学的機能生化学的機能、物理的機能または化学的機能を含む。活性は、例えば、酵素活性、他の分子と相互作用する能力、および他の分子の機能を活性化するか、促進するか、安定化するか、阻害するか、抑制するか、または不安定化する能力、安定性、特定の細胞内位置に局在する能力を含む。適用可能な場合、この用語はまた、最も広い意味でのタンパク質複合体の機能にも関する。本明細書において「生物学的機能」とは、ある遺伝子またはそれに関する核酸分子もしくはポリペプチドについて言及するとき、その遺伝子、核酸分子またはポリペプチドが生体内において有し得る特定の機能をいい、これには、例えば、特異的な抗体の生成、酵素活性、抵抗性の付与等を挙げることができるがそれらに限定されない。本明細書において、生物学的機能は、「生物学的活性」によって発揮され得る。本明細書において「生物学的活性」とは、ある因子(例えば、ポリヌクレオチド、タンパク質など)が、生体内において有し得る活性のことをいい、種々の機能(例えば、転写促進活性)を発揮する活性が包含され、例えば、ある分子との相互作用によって別の分子が活性化または不活化される活性も包含される。2つの因子が相互作用する場合、その生物学的活性は、その二分子との間の結合およびそれによって生じる生物学的変化、例えば、一つの分子を抗体を用いて沈降させたときに他の分子も共沈するとき、2分子は結合していると考えられる。従って、そのような共沈を見ることが一つの判断手法として挙げられる。例えば、ある因子が酵素である場合、その生物学的活性は、その酵素活性を包含する。別の例では、ある因子がリガンドである場合、そのリガンドが対応するレセプターへの結合を包含する。そのような生物学的活性は、当該分野において周知の技術によって測定することができる。従って、「活性」は、結合(直接的または間接的のいずれか)を示すかまたは明らかにするか;応答に影響する(すなわち、いくらか曝露または刺激に応答する測定可能な影響を有する)、種々の測定可能な指標をいい、例えば、本発明のポリペプチドまたはポリヌクレオチドに直接結合する化合物の親和性、または例えば、いくつかの刺激後または事象後上流または下流のタンパク質の量あるいは他の類似の機能の尺度が挙げられる。

0034

本明細書で使用される「機能的に活性な」は、本発明のポリペプチド、フラグメントまたは誘導体が関連する態様に従って、生物学的活性などの、タンパク質の構造的機能、制御機能、または生化学的機能を有する、ポリペプチド、フラグメントまたは誘導体を指す。

0035

本明細書において、ラミニンの「フラグメント」とは、ラミニンの任意のフラグメントを指し、本発明において使用される因子としては、ラミニン全長のみならず、ラミニンのフラグメントも、その機能、特に内皮細胞の細胞接着能を有する限り使用されうることが理解される。したがって本発明において使用されるラミニンのフラグメントは、通常、ラミニンの機能を少なくとも1つ有する。そのような機能としては、特に内皮細胞の細胞接着能が含まれうる。

0036

以下に、本発明で網膜上皮細胞および/または神経に発現していることが見出されたラミニンについて、その配列について説明する。これらのラミニンは、本発明の好ましい代表例を示すものであり、本発明は、これらの特定のラミニンサブタイプに限定されるものではないことが理解される。

0037

ラミニンα5鎖の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号1に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンα5鎖の有する活性をいう。α5鎖については、Doi M et al.,J.Biol.Chem. 277(15),12741−12748,2002;米国特許第6,933,273号を参照することができる。

0038

ラミニンα5鎖のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号1に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号2に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンα5鎖の有する活性をいう。α5鎖については、Doi M et al.,J.Biol.Chem. 277(15),12741−12748,2002;米国特許第6,933,273号を参照することができる。

0039

ラミニンβ1鎖の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号3に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号3に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンβ1鎖の有する活性をいう。β1鎖については、Pillarainen et al.,J.Biol.Chem.262(22),10454−10462,1987;米国特許第6,933,273号を参照することができる。

0040

ラミニンβ1鎖のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号3に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号4に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンβ1鎖の有する活性をいう。β1鎖については、Pillarainen et al.,J.Biol.Chem.262(22),10454−10462,1987;米国特許第6,933,273号を参照することができる。

0041

ラミニンβ2鎖の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号5に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号5に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンβ2鎖の有する活性をいう。β2鎖については、Wewer UM et al.,Genomics. 1994 Nov 15;24(2):243−52.,1987;米国特許第6,933,273号を参照することができる。

0042

ラミニンβ2鎖のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号6に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号5に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号6に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンβ2鎖の有する活性をいう。β2鎖については、Wewer UM et al.,Genomics. 1994 Nov 15;24(2):243−52.,1987;米国特許第6,933,273号を参照することができる。

0043

ラミニンγ1鎖の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号7に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号8に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号7に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンγ1鎖の有する活性をいう。γ1鎖については、Pillarainen et al.,J.Biol.Chem.263(14),6751−6758,1988;米国特許第6,933,273号を参照することができる。

0044

ラミニンγ1鎖のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号8に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号8に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号7に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号8に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンγ1鎖の有する活性をいう。γ1鎖については、Pillarainen et al.,J.Biol.Chem.263(14),6751−6758,1988;米国特許第6,933,273号を参照することができる。

0045

ラミニンα4鎖の代表的なヌクレオチド配列は、
(a)配列番号9に記載の塩基配列またはそのフラグメント配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号10に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が、置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有する改変体ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、生物学的活性を有する改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド;
(d)配列番号9に記載の塩基配列のスプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体またはそのフラグメントである、ポリヌクレオチド;
(e)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドの種相同体またはそのフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド;
(f)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドにストリンジェント条件下でハイブリダイズし、かつ生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(g)(a)〜(e)のいずれか1つのポリヌクレオチドまたはその相補配列に対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%である塩基配列からなり、かつ、生物学的活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンα4鎖の有する活性をいう。α4鎖については、例えば、代表的にはβ1鎖およびγ1鎖と組み合わせたときの網膜色素上皮細胞の接着促進活性等を挙げることができる。

0046

ラミニンα4鎖のアミノ酸配列としては、
(a)配列番号10に記載のアミノ酸配列またはそのフラグメントからなる、ポリペプチド;
(b)配列番号10に記載のアミノ酸配列において、1以上のアミノ酸が置換、付加および欠失からなる群より選択される1つの変異を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド;
(c)配列番号9に記載の塩基配列のスプライス変異体または対立遺伝子変異体によってコードされる、ポリペプチド;
(d)配列番号10に記載のアミノ酸配列の種相同体である、ポリペプチド;または
(e)(a)〜(d)のいずれか1つのポリペプチドに対する同一性が少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%であるアミノ酸配列を有し、かつ、生物学的活性を有する、ポリペプチド、
であり得る。ここで、生物学的活性とは、代表的に、ラミニンα4鎖の有する活性をいう。α4鎖については、例えば、代表的にはβ1鎖およびγ1鎖と組み合わせたときの網膜色素上皮細胞の接着促進活性等を挙げることができる。

0047

本明細書において「タンパク質」、「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」および「ペプチド」は、交換可能で本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのアミノ酸のポリマーをいう。このポリマーは、直鎖であっても分岐していてもよく、環状であってもよい。アミノ酸は、天然のものであっても非天然のものであってもよく、改変されたアミノ酸であってもよい。この用語はまた、複数のポリペプチド鎖複合体へとアセンブルされたものを包含し得る。この用語はまた、天然または人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。そのような改変としては、例えば、ジスルフィド結合形成グリコシル化、脂質化、アセチル化リン酸化または任意の他の操作もしくは改変(例えば、標識成分との結合体化)が包含される。この定義にはまた、例えば、アミノ酸の1または2以上のアナログを含むポリペプチド(例えば、非天然アミノ酸などを含む)、ペプチド様化合物(例えば、ペプトイド)および当該分野において公知の他の改変が包含される。本発明のタンパク質(例えばラミニン各鎖)は、目的とする各鎖遺伝子をコードするDNAを、適当なベクター中に組み込み、これを真核生物または原核生物細胞のいずれかに、各々の宿主で発現可能な発現ベクターを用いて導入し、それぞれの鎖を発現させることにより所望のタンパク質を得ることができる。ラミニンを発現させるために用いることができる宿主細胞は特に限定されるものではなく、大腸菌枯草菌等の原核生物宿主細胞、および酵母真菌昆虫細胞、植物および植物細胞哺乳動物細胞等の真核生物宿主が挙げられる。目的とするラミニン鎖等を発現するように構築したベクターを、トランスフォーメーショントランスフェクションコンジュゲーションプロトプラスト融合エレクトロポレーション粒子技術、リン酸カルシウム沈殿アグロバクテリウム法、直接マイクロインジェクション等により、上記の宿主細胞中に導入することができる。ベクターを含む細胞を適当な培地中で成長させて、本発明で使用するラミニン鎖等を産生させ、細胞または培地から精製することにより、ラミニン鎖等を得ることができる。精製はサイズ排除クロマトグラフィーHPLCイオン交換クロマトグラフィー、および免疫アフィニティークロマトグラフィー等を用いて行うことができる。

0048

本明細書において、「アミノ酸」は、本発明の目的を満たす限り、天然のものでも非天然のものでもよい。

0049

本明細書において「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、交換可能で本明細書において同じ意味で使用され、任意の長さのヌクレオチドのポリマーをいう。この用語はまた、「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」を含む。「オリゴヌクレオチド誘導体」または「ポリヌクレオチド誘導体」とは、ヌクレオチドの誘導体を含むか、またはヌクレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドをいい、互換的に使用される。そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的には、例えば、2’−O−メチルリボヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合ホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスホロアデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合とがペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phenoxazine−modified cytosine)で置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体およびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体などが例示される。他にそうではないと示されなければ、特定の核酸配列はまた、明示的に示された配列と同様に、その保存的に改変された改変体(例えば、縮重コドン置換体)および相補配列を包含することが企図される。具体的には、縮重コドン置換体は、1またはそれ以上の選択された(または、すべての)コドンの3番目の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換された配列を作製することにより達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res.19:5081(1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608(1985); Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98(1994))。本明細書において「核酸」はまた、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。本明細書において「ヌクレオチド」は、天然のものでも非天然のものでもよい。

0050

本明細書において「遺伝子」とは、遺伝形質を規定する因子をいう。通常染色体上に一定の順序に配列している。タンパク質の一次構造を規定する遺伝子を構造遺伝子といい、その発現を左右する遺伝子を調節遺伝子という。本明細書では、「遺伝子」は、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」をさすことがある。

0051

アミノ酸は、その一般に公知の3文字記号か、またはIUPAC−IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される1文字記号のいずれかにより、本明細書中で言及され得る。ヌクレオチドも同様に、一般に認知された1文字コードにより言及され得る。本明細書では、アミノ酸配列および塩基配列の類似性、同一性および相同性の比較は、配列分析用ツールであるBLASTを用いてデフォルトパラメータを用いて算出される。同一性の検索は例えば、NCBIのBLAST 2.2.26(2011.10.30発行)を用いて行うことができる。本明細書における同一性の値は通常は上記BLASTを用い、デフォルトの条件でアラインした際の値をいう。ただし、パラメーターの変更により、より高い値が出る場合は、最も高い値を同一性の値とする。複数の領域で同一性が評価される場合はそのうちの最も高い値を同一性の値とする。類似性は、同一性に加え、類似のアミノ酸についても計算に入れた数値である。

0052

本明細書において「ストリンジェント(な)条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」とは、当該分野で慣用される周知の条件をいう。本発明で使用されるラミニンは、具体的に開示された各ラミニンの核酸配列に対して「ストリンジェント(な)条件でハイブリダイズするポリヌクレオチド」によってコードされるものも使用されうることが理解される。本発明のポリヌクレオチド中から選択されたポリヌクレオチドをプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法プラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法などを用いることにより、そのようなポリヌクレオチドを得ることができる。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウムである)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドを意味する。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning 2nd ed., Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1-38, DNA Cloning 1:Core Techniques, A Practical Approach, Second Edition, Oxford University Press(1995)などの実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。ここで、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からは、好ましくは、A配列のみまたはT配列のみを含む配列が除外される。従って、本発明において使用されるポリペプチド(例えば、トランスサイレチンなど)には、本発明で特に記載されたポリペプチドをコードする核酸分子に対して、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプチドも包含される。これらの低ストリンジェンシー条件は、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mMEDTA、0.02%PVP、0.02%BSA、100μg/ml変性サケ精子DNA、および10%(重量/体積デキストラン硫酸を含む緩衝液中、40℃で18〜20時間ハイブリダイゼーションし、2xSSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDSからなる緩衝液中、55℃で1〜5時間洗浄し、そして2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDSからなる緩衝液中、60℃で1.5時間洗浄することを含む。

0053

本発明の機能的等価物としては、アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加されたものを用いることができる。本明細書において、「アミノ酸配列において、1もしくは複数個のアミノ酸の挿入、置換もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加」とは、部位特異的変異誘発法等の周知の技術的方法により、あるいは天然の変異により、天然に生じ得る程度の複数個の数のアミノ酸の置換等により改変がなされていることを意味する。

0054

本発明で用いられるラミニン各鎖等の改変アミノ酸配列は、例えば約1〜30個、好ましくは約1〜20個、より好ましくは約1〜9個、さらに好ましくは約1〜5個、特に好ましくは約1〜2個のアミノ酸の挿入、置換、もしくは欠失、またはその一方もしくは両末端への付加がなされたものであることができる。改変アミノ酸配列は、好ましくは、そのアミノ酸配列が、ラミニン各鎖等のアミノ酸配列において1または複数個(好ましくは1もしくは数個または1、2、3、もしくは4個)の保存的置換を有するアミノ酸配列であってもよい。ここで「保存的置換」とは、タンパク質の機能を実質的に改変しないように、1または複数個のアミノ酸残基を、別の化学的に類似したアミノ酸残基で置換えることを意味する。例えば、ある疎水性残基を別の疎水性残基によって置換する場合、ある極性残基を同じ電荷を有する別の極性残基によって置換する場合などが挙げられる。このような置換を行うことができる機能的に類似のアミノ酸は、アミノ酸毎に当該分野において公知である。具体例を挙げると、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニンバリンイソロイシンロイシンプロリントリプトファンフェニルアラニンメチオニンなどが挙げられる。極性中性)アミノ酸としては、グリシンセリンスレオニンチロシングルタミンアスパラギンシステインなどが挙げられる。陽電荷をもつ(塩基性)アミノ酸としては、アルギニンヒスチジンリジンなどが挙げられる。また、負電荷をもつ(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸グルタミン酸などが挙げられる。

0055

本明細書において「薬剤」、「剤」または「因子」(いずれも英語ではagentに相当する)は、広義には、交換可能に使用され、意図する目的を達成することができる限りどのような物質または他の要素(例えば、光、放射能、熱、電気などのエネルギー)でもあってもよい。そのような物質としては、例えば、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、核酸(例えば、cDNA、ゲノムDNAのようなDNA、mRNAのようなRNAを含む)、ポリサッカリドオリゴサッカリド、脂質、有機低分子(例えば、ホルモン、リガンド、情報伝達物質、有機低分子、コンビナトリアルケミストリで合成された分子、医薬品として利用され得る低分子(例えば、低分子リガンドなど)など)、これらの複合分子が挙げられるがそれらに限定されない。ポリヌクレオチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリヌクレオチドの配列に対して一定の配列相同性を(例えば、70%以上の配列同一性)もって相補性を有するポリヌクレオチド、プロモーター領域に結合する転写因子のようなポリペプチドなどが挙げられるがそれらに限定されない。ポリペプチドに対して特異的な因子としては、代表的には、そのポリペプチドに対して特異的に指向された抗体またはその誘導体あるいはその類似物(例えば、単鎖抗体)、そのポリペプチドがレセプターまたはリガンドである場合の特異的なリガンドまたはレセプター、そのポリペプチドが酵素である場合、その基質などが挙げられるがそれらに限定されない。

0056

網膜移植への適応能は、マウスラット、ウサギ、サル等の実験動物において培養細胞の移植試験を行うことができる。ヒトへの移植適応能を評価する場合は、理想的には霊長類であるカニクイザルなどにおいて、例えば、少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも2ヶ月、より好ましくは少なくとも3ヶ月、さらに好ましくは少なくとも6ヶ月、さらにより好ましくは少なくとも12ヶ月経過させた後の適応性を評価する。サル等の霊長類での移植適応能を確認することは特にヒトへの適用において重要である。

0057

神経移植への適応能は、マウス、ラット、ウサギ、サル等の実験動物において培養細胞の移植試験を行うことができる。例えば網膜、末梢神経脊髄、脳などに培養した神経細胞を移植して生着を見ることができる。

0058

(一般技術)
本明細書において用いられる分子生物学的手法、生化学的手法、微生物学的手法は、当該分野において周知であり慣用されるものであり、例えば、Sambrook J. et al.(1989).Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harborおよびその3rd Ed.(2001); Ausubel, F. M.(1987).Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Ausubel, F. M.(1989).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methodsfrom Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience; Innis, M. A. (1990).PCRProtocols: A Guide to Methods and Applications, Academic Press; Ausubel, F. M. (1992).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Ausubel, F. M.(1995).Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Greene Pub. Associates; Innis, M. A. et al.(1995). PCR Strategies, Academic Press; Ausubel, F. M. (1999). Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley, and annual updates; Sninsky, J. J. et al.(1999).PCR Applications: Protocols for Functional Genomics, Academic Press, Gait, M. J. (1985). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Gait, M. J. (1990). Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; Eckstein, F.(1991). Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach, IRL Press; Adams, R. L. et al.(1992).The Biochemistry of the Nucleic Acids, Chapman & Hall; Shabarova, Z. et al.(1994). Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids, Weinheim; Blackburn, G. M. et al.(1996). Nucleic Acids in Chemistry and Biology, Oxford University Press; Hermanson, G. T. (I996). Bioconjugate Techniques, Academic Press、別冊実験医学遺伝子導入発現解析実験法土社、1997などに記載されている。網膜細胞は、特表2013−502234およびそこで引用される技術等を参照することができるがそれらに限定されない。神経細胞については、神経細胞培養法(ニューロサイエンスラボマニュアル単行本-1997、脳・神経研究プロトコール細胞培養から機能解析へ(バイオマニュアルUPシリーズ)単行本-1995およびそこで引用される技術等を参照することができるがそれらに限定されない。これらは本明細書において関連する部分(全部であり得る)が参考として援用される。

0059

(好ましい実施形態の説明)
以下に好ましい実施形態の説明を記載するが、この実施形態は本発明の例示であり、本発明の範囲はそのような好ましい実施形態に限定されないことが理解されるべきである。当業者はまた、以下のような好ましい実施例を参考にして、本発明の範囲内にある改変、変更などを容易に行うことができることが理解されるべきである。また、任意の実施形態が組み合わせ得ることも理解されるべきである。

0060

<治療または予防>
1つの局面において、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防剤を提供する。この局面において本発明はまた、網膜色素上皮等の網膜および/または神経細胞の疾患、障害または状態の治療または予防のための、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子であって、該ラミニンは、γ1鎖を含む、因子を提供する。この局面において、さらにまた、本発明は、網膜色素上皮等の網膜および/または神経細胞の疾患、障害または状態の治療または予防のための方法であって、該方法は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の有効量を該治療または予防を必要とする被験体に投与する工程を包含し、該ラミニンは、γ1鎖を含む、方法を提供する。この局面の本発明の治療または予防の対象となる疾患、障害または状態は、細胞移植を必要とする任意の疾患、障害または状態に対して応用可能である。理論に束縛されることを望まないが、本発明は、細胞移植という再生医療の一形態において有用であるといえる。また、別の実施形態としては臓器の形やシートの形をつくっての移植にも応用することができる。したがって、細胞増殖に対する効果とは全く異質の効果が奏されるということになり、再生医療等での応用が期待される。

0061

特定の実施形態において、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、網膜色素上皮および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防剤を提供する。

0062

1つの実施形態では、本発明で使用される因子またはラミニンは、RGD配列を含む。理論に拘束されることを望まないが、RGD配列は細胞接着と関連するとされており、ラミニンのうちでも細胞接着能が顕著なものを用いることにより、網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態を治療または予防することができ、あるいはそれらを改善することができると理解される。

0063

別の実施形態では、本発明で使用される因子またはラミニンは、α4鎖またはα5鎖を含む。理論に拘束されることを望まないが、実施例等で示される結果から、α5鎖を含むラミニン種が網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態を治療または予防することができ、あるいはそれらを改善することが実証されており、α4鎖またはα5鎖さえあれば、β鎖またはγ鎖については一定程度フレキシビリティーがあると考えられるからである。

0064

別の実施形態では、本発明で使用される因子またはラミニンは、γ1鎖を含む。理論に拘束されることを望まないが、実施例等で示される結果から、γ1鎖を含むラミニン種が網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態を治療または予防することができ、あるいはそれらを改善することが実証されており、γ1鎖さえあれば、α鎖またはβ鎖については一定程度フレキシビリティーがあると考えられるからである。

0065

さらに別の実施形態では、本発明で使用される因子またはラミニンは、α4鎖もしくはα5鎖および/またはγ1鎖を含む。理論に拘束されることを望まないが、実施例等で示される結果から、α4鎖もしくはα5鎖および/またはγ1鎖を含むラミニン種が網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態を治療または予防することができ、あるいはそれらを改善することが実証されており、ラミニン411、ラミニン511およびラミニン521が効果が実証されていることから、α4鎖もしくはα5鎖および/またはγ1鎖が確定すれば、βについては一定程度フレキシビリティーがあることが示されているからである。

0066

1つの好ましい実施形態では、前記ラミニンは、ラミニン411、ラミニン511およびラミニン521を含む。したがって、この実施形態では、本発明の因子は、ラミニン411、ラミニン511、ラミニン521またはそれらのフラグメントでありうる。本発明のラミニン411、ラミニン511のフラグメントまたはラミニン521のフラグメントは、網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態を治療または予防することができ、あるいはそれらを改善することができる限り、どのようなフラグメントを用いてもよい。このようなフラグメントの具体例としては、ラミニン511−E8フラグメントおよびラミニン521−フラグメント(それぞれ、配列番号9、10(核酸配列、アミノ酸配列)および配列番号11、12(核酸配列、アミノ酸配列))(Taniguchi Y, Ido H, Sanzen N, Hayashi M, Sato-Nishiuchi R, Futaki S, Sekiguchi K. The C-terminal region of laminin beta chains modulates the integrin binding affinities of laminins. J Biol Chem. 284:7820-7831, 2009、参照。ニッピ株式会社から入手可能)が挙げられるがそれに限定されない。ラミニン511−E8フラグメントおよびラミニン521−フラグメントは、エラスターゼ処理により得られるフラグメントの一つで、ヘテロ量体のcoiled−coilドメインの一部とα鎖C末端領域にある3個のLGドメイン(LG1〜LG3)からなる。E8フラグメントは、ラミニンのα鎖、β鎖、γ鎖が互いにcoiled−coilドメインを介して会合したヘテロ3量体分子のインテグリン結合部位に該当するとされている。したがって、好ましいフラグメントとしては、ラミニン全長において、インテグリン結合部位が実質的に保持されたものを使用することができる。このようなフラグメントは、ラミニン511−E8フラグメント、ラミニン521−フラグメントの情報を元に、適宜改変して作製することができることが理解される。ラミニン411のフラグメントについても、ラミニン511−E8フラグメント等の作製手法と同様に、作製することができる。

0067

ここで、ヒトラミニンα5β1γ1のE8フラグメント(本明細書において「ヒトラミニン511−E8」ともいう。)は、マウスラミニンα1β1γ1のE8フラグメント(本明細書において「マウスラミニン111−E8」ともいう。)に相当するヒトラミニンα5β1γ1(本明細書において「ヒトラミニン511」ともいう)のフラグメントを意味する。本明細書において、用語「ラミニン511−E8フラグメント」は、「Laminin511−E8フラグメント」「Laminin511 E8」または「Laminin511−E8」とも表記される。ラミニンのE8フラグメントは、マウスラミニンα1β1γ1(以下、「マウスラミニン111」と記す。)をエラスターゼ消化して得られたフラグメントの中で、強い細胞接着活性をもつフラグメントとして同定されたものである(Edgar D., Timpl R., Thoenen H. The heparin-binding domain of lamininis responsible for its effects on neurite outgrowth and neuronal survival.EMBOJ., 3:1463-1468, 1984.、Goodman SL., Deutzmann R., von der Mark K. Two distinct cell-binding domains in laminin can independently promote nonneuronal cell adhesion and spreading. J. Cell Biol., 105:589-598, 1987.)。ヒトラミニン511およびヒトラミニン332についてもエラスターゼで消化した際にマウスラミニン111−E8フラグメントに相当するフラグメントの存在が推定されている。本発明に用いられるヒトラミニン511−E8フラグメントは、ヒトラミニン511のエラスターゼ消化産物であることを要するものではなく、マウスラミニン111−E8フラグメントと同様の細胞接着活性を有し、同様の構造を有し、同程度の分子量を有するヒトラミニン511のフラグメントであればよい。ヒトラミニン511−E8フラグメントの製造方法は特に限定されず、例えば、全長のヒトラミニン511をエラスターゼ等のタンパク質分解酵素で消化し、目的のフラグメントを分取、精製する方法や、組換えタンパク質として製造する方法などが挙げられる。製造量品質均一性製造コスト等の観点から、組換えタンパク質として製造することが好ましい。組換えヒトラミニン511−E8フラグメントは、公知の遺伝子組換え技術を適宜用いることにより製造することができる。組換えヒトラミニン511−E8フラグメントの製造方法としては、例えば、ヒトラミニン511−E8フラグメントのα鎖、β鎖およびγ鎖の各タンパク質をコードするDNAをそれぞれ取得し、これをそれぞれ発現ベクターに挿入し、得られた3種類の発現ベクターを適切な宿主細胞に共導入して発現させ、3量体を形成しているタンパク質を公知の方法で精製することにより製造できる(例えば、Hiroyuki Ido, et al, “The requirement of the glutamic acid residue at the third position from the carboxyl termini of the laminin γ chains in integrin binding by laminins” The Journal of Biological Chemistry, 282, 11144-11154, 2007.参照)。具体的な作製方法としては、特願2011-78370を参照することができる。同様のフラグメントは、ヒトラミニン521を用いても作製することができる。これは、ラミニン521−E8フラグメントと称され、ラミニン511−E8フラグメントと同様に作製することができ、ラミニン511−E8フラグメントと同様の活性を保持することが理解される。本発明では、同様に、α4鎖、α5鎖および/またはγ1鎖を含む任意のラミニンについて、同様に、E8フラグメントを製造することができることが理解され、そのようなE8フラグメントは、本発明において全長のものと同様に使用することができることが理解される。

0068

1つの好ましい実施形態では、前記ラミニンは、ラミニン411(α4β1γ1)、ラミニン511(α5β1γ1)およびラミニン521(α5β2γ1)を含み、あるいは、前記因子は、ラミニン411、ラミニン511、ラミニン521、ラミニン511−E8フラグメントまたはラミニン521−E8フラグメントである。

0069

別の実施形態では、本発明において使用される前記フラグメントは、網膜色素上皮細胞等の網膜および/または神経の細胞接着能を有する。

0070

1つの実施形態では、使用される因子(例えば、ラミニンまたはそのフラグメント)の濃度は、治療または予防効果がある限りどのような濃度でもよく(有効濃度ともいい、治療の場合治療有効濃度、予防の場合予防有効濃度ともいう。)、例えば、約0.1nM以上、約0.2nM以上、約0.3nM以上、約0.4nM以上、約0.5nM以上、約0.6nM以上、約0.7nM以上、約0.8nM以上、約0.9nM以上、約1nM以上、約2nM以上、約2.1nM以上、約3nM以上、約4nM以上、約5nM以上、約6nM以上、約7nM以上、約8nM以上、約9nM以上、約10nM以上、約15nM以上、約20nM以上、約21nM以上、約25nM以上、約30nM以上、約40nM以上、約50nM以上、約60nM以上、約70nM以上、約80nM以上、約90nM以上、約100nM以上等を挙げることができるがこれらに限定されない。

0071

1つの実施形態では、本発明が対象とする部位は、網膜および/または神経を含む。したがって、本発明が対象とする疾患、障害または状態としては、本発明が対象とする網膜(色素上皮および/または神経の疾患、障害または状態を含むが、これらに限定されない。

0072

1つの実施形態では、前記部位は霊長類のものであり、別の実施形態では前記眼科の部位(例えば、網膜)および/または神経はヒトのものである。

0073

1つの実施形態では、前記眼の細胞(例えば、網膜色素上皮細胞)および/または神経細胞は霊長類のものであり、別の実施形態では前記眼の細胞(例えば、網膜色素上皮細胞)および/または神経細胞はヒトのものである。

0074

1つの実施形態では、前記網膜色素上皮等および/または神経は霊長類のものであり、別の実施形態では前記網膜色素上皮等および/または神経はヒトのものである。

0075

1つの実施形態では、前記網膜色素上皮の細胞および/または神経細胞は霊長類のものであり、別の実施形態では前記網膜色素上皮の細胞および/または神経細胞はヒトのものである。理論に束縛されることを望まないが、本明細書の実施例では、網膜上皮をモデルとしてラミニンでの治療ないし予防効果が、ウサギで実証されていることから、任意の哺乳動物において網膜に関連する疾患、障害または状態について同様の治療ないし予防効果が奏されると当業者には理解される。

0076

本発明が対象とする網膜色素上皮の疾患、障害または状態としては、網膜色素上皮の移植が必要な疾患があり、代表例として、滲出型および萎縮型加齢黄斑変性、網膜色素変性、網膜色素上皮症(中心性漿液性網脈絡膜症)、その他特に黄斑部などの網膜に障害をきたし視力低下、視機能低下をきたした疾患が挙げられ、詳細には、網膜色素変性(例えば、(定型)網膜色素変性,無色素性網膜色素変性,(傍)中心型網膜色素変性,区画型網膜色素変性,片眼性網膜色素変性)、網膜色素上皮症(中心性漿液性網脈絡膜症)、遺伝性網膜変性(例えば、網膜色素変性(杆体錐体ストロフィ),錐体(−杆体)ジストロフィ,色素性静脈網脈絡膜萎縮白点状網膜症小口病白点眼底先天在性夜盲黄色斑眼底若年性網膜分離症)、遺伝性網脈絡膜変性(網脈絡膜ジストロフィ、例えば、斑紋状眼底、白点状網膜症、Leber先天盲ミトコンドリア網膜症、脈絡膜ジストロフィ、杆体ジストロフィ等)、加齢黄斑変性(滲出型および萎縮型(ウェット型、ドライ型ともいう)等を含む)、遺伝性黄斑変性/黄斑ジストロフィ(例えば、錐体ジストロフィ・錐体−杆体ジストロフィ、卵黄状黄斑ジストロフィ(卵黄様黄斑変性,Best病)、Stargardt病(黄色斑眼底群)、先天網膜分離症・黄斑分離症、パターンジストロフィ、潜在黄斑ジストロフィ(occult macular dystrophy))、およびこれらに基づいて視力低下、視機能低下をきたしたその他の疾患等を挙げることができるがこれらに限定されない。

0077

1つの実施形態では、本発明が対象とする神経の疾患、障害または状態としては、細胞移植を必要とする神経の疾患、障害または状態が挙げられ、代表的には、網膜色素変性症、黄斑変性、スタルガルト病、緑内障、視神経症、脊髄損傷、末梢神経障害、パーキンソン病、ハンチントン病、脳障害をきたす疾患、およびこれらに基づいて神経機能の低下をきたしたその他の疾患等を挙げることができるがこれらに限定されない。これらの疾患は、細胞移植を必要とする神経の疾患、障害または状態として代表的なものであるといえ、従来の細胞移植を用いない治療または予防では達成できなかった質および量的な顕著な効果を奏するといえる。

0078

本発明の網膜色素上皮および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防の対象は、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコイヌウシヒツジ、サル等)があげられ、好ましくは霊長類(例えば、ヒト)である。

0079

併用療法
別の局面において、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子と、網膜色素上皮細胞等の網膜細胞および/または神経細胞とを用いる、網膜色素上皮等の網膜の眼科および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防剤を提供する。したがって、この局面において、本発明は、網膜色素上皮等の網膜および/または神経細胞の疾患、障害または状態の治療または予防のための方法であって、該方法は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の有効量を該治療または予防を必要とする被験体に投与する工程、ならびに網膜色素上皮等の網膜および/または神経細胞の細胞および/またはROCK阻害剤を前記被験体に投与する工程を包含し、該ラミニンは、γ1鎖を含む、方法を提供する。ここで、この局面の本発明の因子と網膜色素上皮細胞等の網膜細胞および/または神経細胞とは、混合物として用いてもよく、別々に投与されてもよい。本発明の方法において用いられる因子(ラミニン、そのフラグメント等)、細胞、ROCK阻害剤等は、本明細書において説明される任意の形態を用いることができることが理解される。

0080

理論に拘束されることを望まないが、網膜色素上皮において、網膜下組織への生着の改善が実証されていることから、同様の効果が奏されることが当業者には理解される。理論に拘束されることを望まないが、神経についても網膜と同様の傾向(細胞の挙動および細胞接着)がみられていることから、同様の移植効果が達成されると理解される。

0081

別の局面において、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子と、ROCK阻害剤(この用語は、「Rhoキナーゼ阻害剤」と同義である。)とを用いる、網膜色素上皮等および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防剤を提供する。ここで、本発明の因子とROCK阻害剤とは、混合物として用いてもよく、別々に投与されてもよい。本発明の方法において用いられる因子(ラミニン、そのフラグメント等)は、本明細書において説明される任意の形態を用いることができることが理解される。

0082

本発明において、「Rhoキナーゼ」とは、Rhoの活性化に伴い活性化されるセリン/スレオニンキナーゼを意味する。例えば、ROKα(ROCK−II:Leung, T. et al., J.Biol.Chem., 270, 29051-29054, 1995)、p160ROCK(ROKβ、ROCK−I:Ishizaki, T. et al., TheEMBO J., 15(8), 1885-1893, 1996)およびその他のセリン/スレオニンキナーゼ活性を有するタンパク質が挙げられる。

0083

ROCK阻害剤としては、下記文献:米国特許4678783号、特許第3421217号、国際公開第95/28387、国際公開99/20620、国際公開99/61403、国際公開02/076976、国際公開02/076977、国際公開第2002/083175、国際公開02/100833、国際公開03/059913、国際公開03/062227、国際公開2004/009555、国際公開2004/022541、国際公開2004/108724、国際公開2005/003101、国際公開2005/039564、国際公開2005/034866、国際公開2005/037197、国際公開2005/037198、国際公開2005/035501、国際公開2005/035503、国際公開2005/035506、国際公開2005/080394、国際公開2005/103050、国際公開2006/057270、国際公開2007/026664などに開示された化合物があげられる。かかる化合物は、それぞれ開示された文献に記載の方法により製造することができる。具体例として、1−(5−イソキノリンスルホニルホモピペラジンまたはその塩(たとえば、ファスジル(1−(5−イソキノリンスルホニル)ホモピペラジン))、(+)−トランス−4−(1−アミノエチル)−1−(4−ピリジルカルバモイルシクロヘキサン((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド)またはその塩(たとえば、Y−27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)など)などが挙げられ、これらの化合物は、市販品(和光純薬株式会社、旭化成ファーマ等)を好適に用いることもできる。

0084

好ましい実施形態では、本発明において使用されるROCK阻害剤は、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)等を挙げることができるがそれに限定されない。

0085

本発明で使用される「網膜色素上皮細胞」は、任意の網膜色素上皮細胞を用いることができ、単離したものでも培養したものであってもよい。網膜色素上皮細胞は、任意の手法で培養することができる。そのような手法として、例えば、Hatanaka H, Koizumi N, Okumura N, Kay EP, Mizuhara E, Hamuro J, Kinoshita S: Epithelial-Mesenchymal Transition-Like Phenotypic Changes of Retinal Pigment Epithelium Induced by TGFβ are Prevented by PPARγ Agonists. Invest Ophthalmol Vis Sci, 5;53(11):6955-63, 2012., Induction of retinal pigment epithelial cells from monkey iPS cells. Okamoto S, Takahashi M. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2011 Nov 11;52(12):8785-90.)に記載される手法によって培養したものを使用することができる。あるいは、機械的に分離して、DMEM/F12、10%FBS,50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンにて培養してもよい(実施例参照)。

0086

本発明で使用される「神経細胞」は、任意の神経細胞を用いることができ、単離したものでも培養したものであってもよい。神経細胞は、任意の手法で培養することができる。そのような手法として、例えば、神経細胞培養法(ニューロサイエンス・ラボマニュアル)単行本-1997、脳・神経研究プロトコール—細胞培養から機能解析へ(バイオマニュアルUPシリーズ)単行本−1995に記載される手法によって培養したものを使用することができる。あるいは、機械的に分離して、DMEM/F12、10%FBS、50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンにて培養してもよい(例えば、実施例参照)。

0087

使用される培地としては、従来販売され使用されている培地成分であってもよく、あるいは、別途網膜色素上皮および/または神経用に開発された成分であってもよい。そのような培地成分の例としては、OptiMEM、DMEM,M199、MEM等(これらは、INVITROGEN等から入手可能)を挙げることができるがこれらに限定されない。典型的な例としては、ヒトはOpti−MEM I Reduced−Serum Medium, Liquid(INVITROGENカタログ番号:31985−070)+8%FBS(BIOWEST、カタログ番号:S1820−500)+200mg/ml CaCl2・2H2O(SIGMA カタログ番号:C7902−500G)+0.08%コンドロイチン硫酸(SIGMA カタログ番号:C9819−5G)+20μg/mlアスコルビン酸(SIGMA カタログ番号:A4544−25G)+50μg/mlゲンタマイシン(INVITROGEN カタログ番号:15710−064)+5ng/ml EGF(INVITROGEN カタログ番号:PHG0311)を3T3フィーダー細胞用の馴化させたものを基本培地としてSB431542(1μmol/l)およびSB203580(1μmol/l)を例示することができる。

0088

<1>網膜色素上皮細胞および神経細胞の採取および試験管内での培養、あるいは、幹細胞(例えば、iPS細胞、ES細胞等の多能性幹細胞)から誘導した網膜色素上皮細胞および神経細胞
網膜色素上皮細胞および/または神経細胞はレシピエント自身または適切なドナーの網膜および/または神経組織から常法で採取される。本発明における移植条件を考慮すれば、同種由来の網膜色素上皮細胞および/または神経細胞を準備すればよい。例えば、網膜組織および/または神経組織を分離した後、培養皿に移し、ディスパーゼなどで処理してもよい。分離した後、本発明の培養液中で網膜色素上皮細胞および/または神経細胞を培養する。培地または培養液としては例えば市販のDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)(例えば、INVITROGEN、カタログ番号:12320等を)にFBS(ウシ胎仔血清)(例えば、BIOWEST、カタログ番号:S1820−500)、b−FGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)(例えば、INVITROGEN、カタログ番号:13256−029)、およびペニシリン、ストレプトマイシンなどの抗生物質を適宜添加することができる。本発明の因子をコーティングして培養を行うことで網膜色素上皮細胞および/または神経細胞の培養容器表面への接着が促され、良好な増殖が行われる。また、培養液にラミニンを添加して培養する場合は、培養皿の表面にI型コラーゲン、IV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニンまたはウシ等の網膜色素上皮細胞の細胞外マトリックスなどをコーティングしてあるものを使用することが好ましい。あるいは、通常の培養容器をFNC coating mix(登録商標)(50ml(AES−0407)、ATHENA、カタログ番号:0407)等の市販のコーティング剤で処理したものを用いてもよい。網膜色素上皮細胞および/または神経細胞を培養する際の温度条件は、網膜色素上皮細胞および/または神経細胞が生育する限りにおいて特に限定されないが、例えば約25℃〜約45℃、増殖効率を考慮すれば好ましくは約30℃〜約40℃、さらに好ましくは約37℃である。培養方法は、通常の細胞培養用インキュベーター内で、加湿下、約5〜10%のCO2濃度の環境下で行われる。

0089

幹細胞(例えば、iPS細胞、ES細胞等の多能性幹細胞)から誘導した網膜色素上皮細胞および神経細胞の手法は以下のとおりである:網膜色素上皮細胞分化の一例として、ヒトiPS細胞あるいはES細胞のコロニーを剥がし、5〜10個細胞程度の塊になるまで軽くピペティングしてプレートに播種。分化誘導因子としてDkk−1とLefty−Aを加え、20%KSRと15%KSR分化培地でそれぞれ4日間ずつ、そして培養して、10%KSR分化培地で10日間(20日目)浮遊培養を行うことで、網膜色素上皮細胞を誘導する。神経細胞分化の一例としてSerum−free Floating culture of Embryoid Body−like aggregates with quick reaggregationなどが知られる。iPS細胞やES細胞などを酵素により分散させ、再凝集させた細胞凝集塊を、血清や転写因子などの神経分化阻害効果のある成分を一切含まない特殊な培養液に浮遊させて数日培養することで、中枢神経系の細胞に分化させることができる。参考文献:Satoshi Okamoto, et al. TakahashiInduction of Retinal Pigment Epithelial cell, Invest Ophthalmol Vis Sci. 52(12) 8785-90, 2011、Daisuke Doi, et al. “Isolation of Human Induced Pluripotent Stem Cell-derived Dopaminergic Progenitors by Cell Sorting for Successful Transplantation, Stem Cell Reports, 6;2(3):337-50,2014、Wataya T et al. Minimization of exogenous signals inEScell culture induces rostral hypothalamic differentiation. Proc Natl Acad Sci 2008 19;105(33):11796-801。

0090

<2>継代培養
培養に供された網膜色素上皮細胞および/または神経細胞が増殖した後に継代培養を行うことができる。好ましくはサブコンフルエントないしコンフルエントになった時点で継代培養を行う。継代培養は次のように行うことができる。まずトリプシン−EDTA等で処理することによって細胞を培養容器表面から剥がし、次いで細胞を回収する。回収した細胞に本発明の培養正常化剤または培地を加えて細胞浮遊液とする。細胞を回収する際、あるいは回収後に遠心処理を行うことが好ましい。かかる遠心分離処理によって細胞密度の高い細胞浮遊液を調製することができる。好ましい細胞密度は、約1〜2×106個/mLである。尚、ここでの遠心分離処理の条件としては、例えば、約500rpm(30g)〜約1000rpm(70g)、約1〜約10分を挙げることができるがこれらに限定されない。

0091

細胞浮遊液は上記の初期培養と同様に培養容器に播種され、培養に供される。継代時の希釈倍率は細胞の状態によっても異なるが、約1:2〜1:4、好ましくは約1:3である。継代培養は上記の初期培養と同様の培養条件で行うことができる。培養時間は使用する細胞の状態などによっても異なるが、例えば約7〜30日間である。以上の継代培養は必要に応じて複数回行うことができる。

0092

別の局面では、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子と、目の(例えば、特に網膜色素上皮の)細胞および/または神経細胞と、ROCK阻害剤とを用いる、眼科の(例えば、特に網膜色素上皮の)および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防剤を提供する。ここで、本発明の因子と目の(例えば、特に網膜色素上皮の)細胞および/または神経細胞とROCK阻害剤とは、2種類以上を混合物として用いてもよく、別々に投与されてもよい。この局面においても、本発明の方法において用いられる因子(ラミニン、そのフラグメント等)およびROCK阻害剤、ならびに目の(例えば、特に網膜色素上皮の)細胞および/または神経細胞は、本明細書において説明される任意の形態を用いることができることが理解される。

0093

<コーティング>
1つの局面において、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子を含む、網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防剤であって、該因子は、眼内に注入され眼内の組織および/または神経の組織と接触されることを特徴とする治療または予防剤を提供する。したがって、この局面において、本発明は網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防するための方法であって、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の有効量を被験体に投与する工程を包含し、該因子は、眼内に注入され眼内の組織および/または神経の組織と接触されることを特徴とする方法を提供する。この局面の本発明の方法において用いられる因子(ラミニン、そのフラグメント等)は、本明細書において説明される任意の形態を用いることができることが理解される。ここでは、因子は、眼内に注入され眼内の組織と接触される結果、あるいは神経部位に注入され神経の組織と接触される結果、眼内で、あるいは、神経内でラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子のコーティング(本明細書においてラミニンコーティングともいう)が形成されることにより、眼科、特に網膜等および/または神経の治癒が促進されるものと理解される。

0094

1つの実施形態では、コーティングの際に用いられる前記因子の濃度は、治療または予防効果がある限りどのような濃度でもよく(有効濃度ともいい、コーティングの場合コーティング有効濃度ともいう)、例えば、約0.1nM以上、約0.2nM以上、約0.3nM以上、約0.4nM以上、約0.5nM以上、約0.6nM以上、約0.7nM以上、約0.8nM以上、約0.9nM以上、約1nM以上、約2nM以上、約2.1nM以上、約3nM以上、約4nM以上、約5nM以上、約6nM以上、約7nM以上、約8nM以上、約9nM以上、約10nM以上、約15nM以上、約20nM以上、約21nM以上、約25nM以上、約30nM以上、約40nM以上、約50nM以上、約60nM以上、約70nM以上、約80nM以上、約90nM以上、約100nM以上等を挙げることができるがこれらに限定されない。

0095

1つの好ましい実施形態では、前記因子は眼内(例えば、網膜下)および/または神経組織内の部位に注入され眼内の組織(例えば、網膜を構成する細胞や組織)および/または神経組織と接触された後、同時に、またはその前に、さらに網膜色素上皮細胞等の網膜細胞等および/または神経細胞が投与されてもよい。したがって、本発明では、網膜色素上皮細胞等の網膜細胞等および/または神経細胞は前記因子とは別に投与されてもよい。網膜色素上皮細胞等の網膜細胞等および/または神経細胞の投与されるタイミングは、好ましくは、前記因子が眼内に注入され眼内の組織と接触された(コーティングの)後または同時であり、より好ましくは、前記因子が眼内に注入され眼内の組織と接触された後である。このように投与された網膜色素上皮細胞等の網膜細胞および/または神経細胞等は、コーティングの存在により、網膜および/または神経を構成する細胞や組織への定着が促進され、治療効果が顕著に促進されることが判明した。

0096

別の局面では、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子と網膜色素上皮細胞等の網膜細胞等および/または神経細胞と混合した混合物を含む網膜色素上皮のおよび/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防剤であって、ここでは、該ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子とは別に、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が眼内および/または神経内に注入され眼内および/または神経内の組織、好ましくは治療または予防の対象となる組織部分(例えば、網膜色素上皮等および/または神経)と接触される。したがって、この局面において、本発明は、網膜色素上皮等の網膜および/または神経細胞の疾患、障害または状態の治療または予防のための方法であって、該方法は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の有効量を該治療または予防を必要とする被験体に投与する工程を包含し、前記因子は、網膜下に注入され網膜を構成する細胞および/または組織と接触されることを特徴とし、該ラミニンは、γ1鎖を含む、方法を提供する。上記混合物は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子が眼内および/または神経内に注入され眼内および/または神経内の組織と接触された(コーティングの)後、同時に、またはその前に投与されてもよく、混合物の投与のタイミングは、好ましくは、該因子が眼内に注入され眼内および/または神経内の組織と接触された後または同時であり、より好ましくは、該因子が眼内および/または神経内に注入され眼内および/または神経内の組織と接触された後である。理論に拘束されることを望まないが、このようなコーティングをすることによって、上記因子と網膜色素上皮細胞等の網膜細胞等および/または神経細胞の混合物の定着が促進される環境が提供されるため、網膜等および/または神経の治癒が促進されるものと理解される。網膜色素上皮細胞等の網膜細胞等および神経細胞は、本明細書において説明される任意の形態または公知の任意の形態を用いることができることが理解される。

0097

好ましい実施形態では、コーティングの態様において、本発明の治療または予防剤はまた、さらに、ROCK阻害剤(Rhoキナーゼ阻害剤ともいう。)を含む。ROCK阻害剤は前記因子とは同時、連続または別に投与されてもよい。

0098

ROCK阻害剤(Rhoキナーゼ阻害剤)は、本明細書において別途説明する任意の形態を採ることができ、好ましくは、Y-27632((R)−(+)−トランス−(4−ピリジル)−4−(1−アミノエチル)−シクロヘキサンカルボキサミド2塩酸塩1水和物)等であってよい。

0099

1つの実施形態では、本発明において、1つの前記網膜色素上皮細胞等の網膜細胞等および/または神経細胞と混合される因子は、約2.1nM以上であり、注入される前記因子は約21nM以上である。
(使用)

0100

別の局面では、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の、網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防のための医薬の製造における使用であって、該ラミニンは、γ1鎖を含む、使用を提供する。あるいは、この局面において、本発明は、ラミニンおよびそのフラグメントからなる群より選択される少なくとも1つの因子の、網膜色素上皮等の網膜および/または神経の疾患、障害または状態の治療または予防のための使用であって、該ラミニンは、γ1鎖を含む、使用を提供する。この局面の本発明の使用において用いられる因子(ラミニン、そのフラグメント等)は、本明細書において説明される任意の形態を用いることができることが理解される。

0101

本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。また、本明細書において「約」との表記は、特に言及しない限り有効数字四捨五入する場合の数値を示すか、あるいは特定の値の場合その値の±10%を示す。

0102

以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したのではない。従って、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。

0103

以下に、本発明の実施例を記載する。該当する場合生試料等の取り扱いは、厚生労働省文部科学省等において規定される基準を遵守して行った。

0104

(実験手法:培養網膜上皮細胞の調製)
(手法)・(培養)
別の目的で安楽死させたカニクイザルより摘出した眼球購入して(Nissei Bilis Co., Ltd. Otsu, Japan)、網膜色素上皮細胞を機械的に分離して、DMEM/F12、10% FBS、50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンにて培養した。

0105

(実験手法:神経細胞の調製)
(手法)・(培養)
・N2a(JCRB細胞バンク(独立行政法人医薬基盤研究所)から入手可能。)
・SH−SY5Y(ECACCから入手可能、EC94030304−F0)
神経細胞を培養中の培養皿から培地を除去し、事前に37℃に温めておいたPBS(−)を添加し、洗浄を行った。この作業を2回繰り返した。PBS(−)除去後、0.05% Trypsin−EDTAを添加し、37℃(5%CO2)で3分インキュベートした。その後、DMEM(和光純薬工業、044−29765)+10%FBS+1%P/Sで懸濁し、1200rpmで3分間遠心することで細胞を回収した。神経細胞の播種密度はN2a、H−SY5Y共に1:10の割合で播種した。

0106

統計解析
サンプルの比較の平均値における統計的有意差P値)は、スチューデントのt検定を用いて決定した。複数のサンプルセットの比較における統計的有意差は、ダネット多重比較検定を用いて解析した。グラフに示す値は平均±SEを表す。

0107

(実施例1:ラミニンコーティングの網膜色素上皮の細胞接着に対する影響)
本実施例では、ラミニンコーティングの網膜色素上皮の細胞接着に対する影響を調べた。

0108

(材料および方法)
・コントロールは非コーティングである。
・ラミニン111(Biolamina、BLA−LN111−02)
・ラミニン211(Biolamina、BLA−LN211−02)
・ラミニン411(Biolamina、BLA−LN411−02)
・ラミニン511(Biolamina、BLA−LN511−02)
・ラミニン521(Biolamina、BLA−LN521−02)
・ラミニン322(ReproCELL、RCHEOT004)
・ラミニン511−E8フラグメント(株式会社ニッピ、382−02413)
・FNC coating mix(登録商標)(50ml(AES−0407)(ATHENA、カタログ番号:0407))
・コラーゲン(I型)(新田ゼラチン株式会社、KP−4020)
ラミニン(全長)は20μg/mlで用い、フラグメントは5μg/mlで用いた。I型コラーゲンは150μg/mlで用いた。
・ラミニン111、ラミニン211、ラミニン411、ラミニン511、ラミニン521、またはラミニン332をPBS(−)で20μg/mlに希釈し、希釈したものを培養皿に添加して37℃(5% CO2)で2時間コーティングした。ラミニン511−E8フラグメントはPBS(−)で5μg/mlに希釈し、希釈したものを培養皿に添加して常温で3時間コーティングした。I型コラーゲンは常温で1時間コーティングした。あらかじめコーティングした培養皿に網膜色素上皮細胞を96well plateに1 well当たり5000個の割合で播種し、37℃(5% CO2)で24時間インキュベートした。24時間後、培地を除去し、PBS(−)で洗浄を2回行った。洗浄後、培地と1:1の割合で添加し、2分間遮光振盪した後、10分間静置した。その後測定した。測定には、CellTiter−Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega Corporation,Madison,WI)を用いた。

0109

(結果)
結果を図1に示す。示されるように、ラミニン411、ラミニン511、ラミニン521、ラミニン511−E8フラグメント(およびFNC coating mix(登録商標)(50ml(AES−0407))が有意に網膜色素上皮の細胞接着を促進することが示された。これらのラミニンは、本発明において有用であり得ることが理解される。他方、ラミニン111、ラミニン211、ラミニン332は網膜色素上皮の有意な細胞接着促進は観察されなかった。

0110

(実施例2:ラミニン添加時の網膜色素上皮の挙動)
本実施例では、ラミニンを添加した際の網膜色素上皮の挙動を調べた。

0111

(材料および方法)
・コントロールとしては非添加(コーティング剤を添加していないもの、DMEM/F12+10%FBS+1%P/S)を用いた。
・ラミニン511(Biolamina、BLA−LN511−02)
・ラミニン511−E8フラグメント(株式会社ニッピ、382−02413)
(位相差顕微鏡写真)
網膜色素上皮細胞を培養中の培養皿から培地を除去し、事前に37℃に温めておいたPBS(−)を添加し、洗浄を行った。この作業を2回繰り返した。PBS(−)除去後、0.05% Trypsinを添加し、37℃(5% CO2)で3分インキュベートした。その後、DMEM/F12+10%FBS+1%P/Sで懸濁し、1200rpmで3分間遠心することで細胞を回収した。播種数は5000個/96well plateの割合でとしてラミニン511またはラミニン511−E8フラグメントを添加した培地にて播種し、37℃(5%CO2)で24時間インキュベートした。播種24時間後の細胞の状態を位相差顕微鏡で撮影した。

0112

(細胞接着に対する影響)
96well plateに5000個の割合で網膜色素上皮細胞を播種し、37℃(5%CO2)で24時間インキュベートした。播種24時間後、培地を除去し、PBS(−)を添加し、洗浄を行った。この作業を2回行った。洗浄後、培地とCellTiter−Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay (Promega Corporation, Madison, WI)を1:1の割合で添加し、2分間遮光で振蕩した。その後10分間遮光の状態で静置し、測定した。添加時期については、細胞を播種する直前に細胞懸濁液にラミニン511、ラミニン511−E8フラグメントを2.1nMになるようにそれぞれ添加した。

0113

(結果)
結果を図2〜3に示す。図2では、ラミニンを培地に添加した際の網膜色素上皮の位相差顕微鏡写真が示される。図3では、ラミニンを培地に添加した際の網膜色素上皮の細胞接着に対する影響が示される。これらから、ラミニン511−E8フラグメントを培地に添加し、網膜色素上皮細胞を播種することにより、細胞接着を促進することが示された。

0114

(実施例3:網膜色素上皮の移植への応用例)
ラミニン511−E8フラグメントを併用して、培養網膜色素上皮細胞のウサギ網膜下への移植試験を行い、ラミニン511−E8フラグメントとともに細胞を移植することで移植した細胞の網膜下組織への生着が改善することを確認した。

0115

(方法、使用した試薬および材料等)
本実施例では、以下の試薬等を使用した。
・培養サル網膜色素上皮細胞
別の目的で安楽死させたカニクイザルより摘出した眼球を購入して(Nissei Bilis Co., Ltd. Otsu, Japan)、網膜色素上皮細胞を機械的に分離して、DMEM/F12、10%FBS、50U/mLペニシリン、50μg/mLストレプトマイシンにて培養した。
・ラミニン511−E8フラグメント(株式会社ニッピ、382-02413)
・ウサギ(日本白色家兎オリエンタルバイオサービス
(生着の確認法
培養サル網膜色素上皮細胞をDiI(Vybrant DiI cell-labeling solution, Life Technologies (Carlsbad,CA))にて蛍光ラベルした。この培養サル網膜色素上皮細胞(2.0×105個の細胞)をラミニン511−E8フラグメントが最終濃度2.1nMになるように調整したDMEM100μl中に入れた。この細胞調製物を網膜下注入針を用いてウサギの網膜下に注射した。5日後にDiI陽性細胞を観察して移植した細胞の網膜下組織への生着を蛍光顕微鏡で確認した。

0116

(結果)
結果を図4に示す。ラミニン511−E8フラグメントともに培養した網膜色素上皮細胞を網膜下に注射することでラミニン511−E8フラグメントなしよりも多くの細胞が生着することが認められた。このことはラミニンは細胞懸濁液とともに注入することで、網膜色素上皮細胞において組織への接着を促進することを示す。

0117

(実施例4:網膜色素上皮の網膜疾患モデルにおける移植への応用例)
次に、網膜疾患モデルを用いて、培養網膜上皮移植実験を行う。

0118

(網膜疾患モデル)網膜疾患モデルとして以下のモデルを用いる。
遺伝子改変マウスによる黄斑変性モデル(または、サル、ウサギ、ラット、マウスなどのモデル動物において網膜光凝固などによる網膜の機械的障害による黄斑変性モデルを用いることができ、あるいは遺伝子改変したマウスなどによる網膜色素変性症モデルも用いることができる)。

0119

移植方法
培養網膜色素上皮細胞をDiI(Vybrant DiI cell-labeling solution, Life Technologies (Carlsbad,CA))にて蛍光ラベルする。この培養網膜色素上皮細胞(2.0×105個の細胞)を、ラミニン511−E8フラグメントが最終濃度2.1nMになるように調整したDMEM100μl中に入れる。この細胞調製物を網膜下注入針を用いてウサギの網膜下に注射する。

0120

組織学的検討)
DiI陽性細胞を観察して移植した細胞の網膜下組織への生着を確認する。RPE65、Na+/K+-ATPaseなどの機能関連マーカーの発現を確認する。

0121

機能測定
網膜電位の測定などによる機能評価を行う。

0122

(結果)
本実施例により、網膜疾患モデルでも、細胞をラミニンとともに移植することで、網膜が再生され機能が回復することが理解される。

0123

(実施例5:神経での確認:ラミニンを培地に添加した際の神経細胞(N2a)の挙動)
本実施例では、ラミニンを添加した際の神経細胞(N2a)の挙動を調べた。N2aは分化状態が安定している代表的な神経細胞である。

0124

(材料および方法)
・神経細胞(N2a):(実験手法:培養網膜上皮細胞の調製)を参照
・コントロールとして非添加の培地(DMEM+10%FBS+1%P/S)を用いた。
・ラミニン511−E8フラグメント(株式会社ニッピ、382−02413)
・コラーゲンタイプIV(新田ゼラチン株式会社、KP−6020)
・フィブロネクチン(和光純薬工業、063−05591)
(位相差顕微鏡写真)
実施例2と同様の条件で位相差顕微鏡写真の撮影を行った。ラミニン添加後3時間の写真を撮影した。細胞は5000細胞/96ウェルプレートで播種し、ラミニン濃度は、2.1nMを用いた。

0125

(細胞接着に対する影響)
実施例2と同様の受験で細胞接着に対する影響を調べた本実施例では、ラミニン添加後3時間の生着を調べた。細胞は5000細胞/96ウェルプレートで播種し、ラミニン濃度は、2.1nMを用いた。コラーゲンIVおよびフィブロネクチンは、20μg/mlにてコーティングしたものを用いた。

0126

(結果)
結果を図5および6に示す。図5では、ラミニンを培地に添加した際の神経細胞(N2a)の位相差顕微鏡写真が示される。図6では、ラミニンを培地に添加した際の神経細胞(N2a)の細胞接着に対する影響が示される。これらから、ラミニン511−E8フラグメントを培地に添加することで、神経系の細胞の細胞基質間接着を促進することが示された。コントロール、コラーゲンIVおよびフィブロネクチンと比較してラミニン511−E8フラグメントは神経系の細胞の細胞基質間接着を促進することが示された。

0127

(実施例6:神経での確認:ラミニンを培地に添加した際の神経細胞(SH−SY5Y)の挙動)
本実施例では、ラミニンを添加した際の神経細胞(SH−SY5Y)の挙動を調べた。SH−SY5Yは神経芽腫細胞であり、神経の別の代表的な細胞である。

0128

(材料および方法)
・神経細胞(H−SY5Y):(実験手法:培養網膜上皮細胞の調製)を参照
・コントロールとしては、非添加の培地(DMEM+ 10% FBS+ 1% P/S)を用いた。
・ラミニン511−E8フラグメント(株式会社ニッピ、382−02413)
・コラーゲンタイプIV(新田ゼラチン株式会社、KP−6020)
・フィブロネクチン(和光純薬工業、063−05591)
(位相差顕微鏡写真)
実施例2、5等と同様の条件で行った。ラミニン添加後3時間の写真を撮影した。細胞は5000細胞/96ウェルプレートで播種し、ラミニン濃度は、2.1nMを用いた。コラーゲンIVおよびフィブロネクチンは、20μg/mlにてコーティングしたものを用いた。

0129

(細胞接着に対する影響)
実施例2、5と同様の条件で行った。ラミニン添加後3時間の生着を調べた。細胞は5000細胞/96ウェルプレートで播種し、ラミニン濃度は、2.1nMを用いた。コラーゲンIVおよびフィブロネクチンは、20μg/mlにてコーティングしたものを用いた。

0130

(結果)
結果を図7および8に示す。図7にラミニンを培地に添加した際の神経細胞(SH−SY5Y)の位相差顕微鏡写真が示され、図8にラミニンを培地に添加した際の神経細胞(SH−SY5Yの細胞接着への影響が示される。これらから、ラミニン511−E8フラグメントを培地に添加し、神経細胞を播種することにより、細胞接着を促進することが示された。コントロール、コラーゲンIVおよびフィブロネクチンと比較してラミニン511−E8フラグメントは神経系の細胞の細胞基質間接着を促進することが示された。

0131

(実施例7:製剤例:ラミニン細胞混合製剤
本実施例では、製剤例として、本発明の因子を含有する治療液を以下のようにして製造する。

0132

常法により下に示す液を調製する。
ラミニン411、ラミニン511、ラミニン521および/またはそれらのフラグメント(0.75μg/cm2)
最終濃度が2.1nM
培養角膜内皮細胞(実施例1等に準じて調製したものを適量)
適宜の緩衝液適量
全量 100mL

0133

(実施例8:製剤例:ラミニンコーティング用組成物
本実施例では、製剤例として、本発明の因子を含む、コーティング用溶液を以下のように製造する。

0134

常法により下に示すコーティング液を調製する。
ラミニン411、ラミニン511、ラミニン521および/またはそれらのフラグメント(0.75μg/cm2)
最終濃度が21nM
適宜の緩衝液適量
全量 100mL
各成分は、実施例1〜6に記載のように入手することができる。

実施例

0135

以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。本出願は、2014年10月31日に出願された特願2014−222948号に基づく優先権を主張し、その内容は、その全体が参照によって本明細書に援用される。

0136

本発明は、眼科、特に角膜内皮細胞(特に、ヒト角膜内皮細胞)の新規治療を可能にした。特に、水疱性角膜症をほぼ完治させるまでの状態にもたらされることができているため、製薬業において特に有用である。また、角膜内皮細胞のみならず網膜色素上皮細胞についても有用である。網膜色素上皮の移植についても臨床応用の可能性が十分にあるため、製造業において特に有用である。

0137

配列番号1:ラミニンα5鎖核酸配列(NM_005560)
配列番号2:ラミニンα5鎖アミノ酸配列(NP_005551)
配列番号3:ラミニンβ1鎖核酸配列(NM_002291)
配列番号4:ラミニンβ1鎖アミノ酸配列(NP_002282)
配列番号5:ラミニンβ2鎖核酸配列(NM_002292)
配列番号6:ラミニンβ2鎖アミノ酸配列(NP_002283)
配列番号7:ラミニンγ1鎖核酸配列(NM_002293)
配列番号8:ラミニンγ1鎖アミノ酸配列(NP_002284)
配列番号9:ラミニンα4鎖核酸配列(NM_001105206)
配列番号10:ラミニンα4アミノ酸配列(NP_001098676)

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