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技術 ドリルおよびそれを用いた切削加工物の製造方法

出願人 京セラ株式会社
発明者 小川浩
出願日 2015年10月21日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2016-555244
公開日 2017年7月27日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 WO2016-063893
状態 特許登録済
技術分野 穴あけ工具
主要キーワード 先端角θ 薄層領域 平坦面形状 切削加工物 凹曲面形状 凹曲線 切削バランス 硬質炭素皮膜
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

切刃部分を覆う被覆層を備えている場合においては、ドリルを繰り返し使用することによって被覆層が剥がれる可能性があった。

解決手段

回転軸Xの周りに回転される棒形状の本体部3と、本体部3の先端部に位置しており、先端視において本体部3の外周から回転軸Xに向かって延びる切刃5と、先端部に位置するとともに切刃5に沿って設けられた逃げ面7と、本体部3の少なくとも先端部を覆う被覆層11と、逃げ面7において切刃5に近接する位置に設けられる1つ以上の凹部13とを備えたドリル1である。

概要

背景

従来、金属部材などの被削材切削加工に用いられるドリルとして、特許文献1に記載のドリルが知られている。特許文献1に記載のドリルは、先端面に設けられた切刃と、切刃部分を被覆する硬質炭素皮膜またはダイヤモンド電着砥粒層とを備えている。

このように切刃部分を硬質炭素皮膜等の被覆層で被覆したドリルは、逃げ面を覆う被覆層が部分的に剥離する場合があった。

概要

切刃部分を覆う被覆層を備えている場合においては、ドリルを繰り返し使用することによって被覆層が剥がれる可能性があった。回転軸Xの周りに回転される棒形状の本体部3と、本体部3の先端部に位置しており、先端視において本体部3の外周から回転軸Xに向かって延びる切刃5と、先端部に位置するとともに切刃5に沿って設けられた逃げ面7と、本体部3の少なくとも先端部を覆う被覆層11と、逃げ面7において切刃5に近接する位置に設けられる1つ以上の凹部13とを備えたドリル1である。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

回転軸周りに回転される棒形状の本体部と、該本体部の先端部に位置しており、先端視において前記本体部の外周から前記回転軸に向かって延びる切刃と、前記先端部に位置するとともに前記切刃に沿って設けられた逃げ面と、前記本体部の少なくとも先端部を覆う被覆層と、前記逃げ面において前記切刃に近接する位置に設けられる1つ以上の凹部とを備えたドリル

請求項2

前記凹部の前記切刃に平行な幅は、前記被覆層の厚みよりも大きい請求項1に記載のドリル。

請求項3

前記凹部を横断して前記回転軸に平行な断面において、前記凹部は、前記本体部の中心側に位置する平坦な第1内側面と、前記本体部の外周側に位置する平坦な第2内側面とを有している請求項1または2に記載のドリル。

請求項4

前記凹部を横断して前記回転軸に平行な断面において、前記第1内側面と前記逃げ面のなす角は、前記第2内側面と前記逃げ面のなす角よりも大きい請求項3に記載のドリル。

請求項5

前記凹部を横断して前記回転軸に平行な断面において、前記凹部は、前記第1内側面および前記第2内側面を接続する凹曲線形状の底面を有している請求項3または4に記載のドリル。

請求項6

前記凹部の前記切刃に平行な幅は、該凹部の開口部から底部までの深さよりも大きい請求項1乃至5のいずれかに記載のドリル。

請求項7

前記凹部は、先端視において前記切刃から離れている請求項1乃至6のいずれかに記載のドリル。

請求項8

前記凹部は、前記切刃に対して交差する方向に延びている請求項1乃至7のいずれかに記載のドリル。

請求項9

前記凹部が溝である請求項1乃至8のいずれかに記載のドリル。

請求項10

前記凹部が複数個存在するとともに、該複数個の凹部の少なくとも一部は、一列に並んで点線状に連なっている請求項1乃至8のいずれかに記載のドリル。

請求項11

前記凹部が複数存在し、該複数の前記凹部の少なくとも一部は、前記切刃に傾斜する方向に延びているとともに、平行に並んでいる請求項1乃至10のいずれかに記載のドリル。

請求項12

前記凹部は、前記切刃から離れる位置における幅が広い請求項1乃至11のいずれかに記載のドリル。

請求項13

前記凹部は、前記被覆層の厚みが他の領域よりも薄い薄層領域である請求項1乃至12いずれかに記載のドリル。

請求項14

前記薄層領域は、直線状に延びた帯形状である請求項13に記載のドリル。

請求項15

前記薄層領域は、前記切刃に対して直交する方向に延びている請求項11乃至14のいずれかに記載のドリル。

請求項16

回転軸の周りに回転される棒形状の本体部と、該本体部の先端部に位置しており、先端視において前記本体部の外周から前記回転軸に向かって延びる切刃と、前記先端部に位置するとともに前記切刃に沿って設けられた逃げ面と、前記本体部の少なくとも先端部を覆う被覆層と、を備え、前記逃げ面の前記被覆層の表面部が、前記切刃に近接する位置に設けられる1つ以上の第1層と、該第1層以外の第2層とからなり、前記第1層の硬度が前記第2層の硬度よりも低いドリル。

請求項17

前記第1層と前記本体部との間に、前記第2層が存在する請求項16に記載のドリル。

請求項18

前記第1層は、前記切刃に対して傾斜する方向に延びている請求項16または17に記載のドリル。

請求項19

前記第1層は、先端視において前記切刃から離れている請求項16乃至18のいずれかに記載のドリル。

請求項20

前記第1層は、直線状に延びた帯形状である請求項16乃至19のいずれかに記載のドリル。

請求項21

前記第1層は、前記切刃から離れる位置における幅が広い請求項16乃至19のいずれかに記載のドリル。

請求項22

前記第1層が複数個存在するとともに、該複数個の第1層の少なくとも一部は、一列に並んで点線状になっている請求項16乃至21のいずれかに記載のドリル。

請求項23

前記第1層が複数存在し、該複数の前記第1層の少なくとも一部は、前記切刃に傾斜する方向に延びているとともに、平行に並んでいる請求項16乃至22のいずれかに記載のドリル。

請求項24

前記第1層は、前記切刃に対して直交する方向に延びている請求項16乃至23のいずれかに記載のドリル。

請求項25

請求項1乃至24のいずれかに記載のドリルを前記回転軸の周りに回転させる工程と、回転している前記ドリルの前記切刃を被削材に接触させる工程と、前記ドリルを前記被削材から離す工程とを備えた切削加工物の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、切削加工に用いられるドリルおよび切削加工物の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、金属部材などの被削材の切削加工に用いられるドリルとして、特許文献1に記載のドリルが知られている。特許文献1に記載のドリルは、先端面に設けられた切刃と、切刃部分を被覆する硬質炭素皮膜またはダイヤモンド電着砥粒層とを備えている。

0003

このように切刃部分を硬質炭素皮膜等の被覆層で被覆したドリルは、逃げ面を覆う被覆層が部分的に剥離する場合があった。

先行技術

0004

特開2003−117708号公報

課題を解決するための手段

0005

本発明の一態様に基づくドリルは、
回転軸周りに回転される棒形状の本体部と、
該本体部の先端部に位置しており、先端視において前記本体部の外周から前記回転軸に向かって延びる切刃と、
前記先端部に位置するとともに前記切刃に沿って設けられた逃げ面と、
前記本体部の少なくとも先端部を覆う被覆層と、
前記逃げ面の前記被覆層において前記切刃に近接する位置に設けられる1つ以上の凹部と
を備えている。

0006

また、本発明の他の態様に基づくドリルは、
回転軸の周りに回転される棒形状の本体部と、
該本体部の先端部に位置しており、先端視において前記本体部の外周から前記回転軸に向かって延びる切刃と、
前記先端部に位置するとともに前記切刃に沿って設けられた逃げ面と、
前記本体部の少なくとも先端部を覆う被覆層と、
を備え、
前記逃げ面の前記被覆層の表面部が、前記切刃に近接する位置に設けられる1つ以上の第1層と、該第1層以外の第2層とからなり、前記第1層の硬度が前記第2層の硬度よりも低い。

0007

さらに、本発明の一態様に基づく切削加工物の製造方法は、
上記ドリルを前記回転軸の周りに回転させる工程と、
回転している前記ドリルの前記切刃を被削材に接触させる工程と、
前記ドリルを前記被削材から離す工程と
を備える。

図面の簡単な説明

0008

本発明の第1の実施形態のドリルを示す斜視図である。
図1に示すドリルにおける先端部分を拡大した斜視図である。
図2に示すドリルを先端視した正面図である。
図3に示すドリルにおけるA1方向からの側面図である。
図3に示すドリルにおけるA2方向からの側面図である。
図5に示すドリルにおける領域B1を拡大した側面図である。
図6に示すドリルのC1断面における断面図である。
図7に示すドリルにおける領域B2を拡大した断面図である。
図8に示すドリルの第1の変形例を示す断面図である。
図8に示すドリルの第2の変形例を示す断面図である。
図3に示すドリルの第3の変形例を示す正面図である。
本発明の第2の実施形態のドリルの先端部分を拡大した斜視図である。
図12に示すドリルを先端視した正面図である。
図13に示すドリルにおけるA1方向からの側面図である。
図13に示すドリルにおけるA2方向からの側面図である。
図14に示すドリルにおける先端部分を拡大した側面図である。
図16に示すドリルのC2断面における断面図である。
図16に示すドリルのC3断面における断面図である。
図16に示すドリルのC4断面における断面図である。
本発明の第3の実施形態のドリルを先端視した正面図である。
図20に示すドリルにおける領域B3を拡大した正面図である。
本発明の第4の実施形態のドリルの先端部分を拡大した斜視図である。
図22に示すドリルを先端視した正面図である。
図23に示すドリルにおける領域B4を拡大した正面図である。
図23に示すドリルにおけるA1方向からの側面図である。
図23に示すドリルにおけるA2方向からの側面図である。
図26に示すドリルのC5断面における断面図である。
図27に示すドリルにおける領域B5を拡大した断面図である。
図23に示すドリルの第1の変形例を示す正面図である。
図23に示すドリルの第2の変形例を示す正面図である。
図23に示すドリルの第3の変形例を示す正面図である。
図23に示すドリルの第4の変形例を示す正面図である。
図23に示すドリルの第5の変形例を示す正面図である。
本発明の第5の実施形態のドリルの要部を拡大した断面図である。
図34に示すドリルの第1の変形例を示す断面図である。
本発明の一実施形態の切削加工物の製造方法の一工程を示す概略図である。
本発明の一実施形態の切削加工物の製造方法の一工程を示す概略図である。
本発明の一実施形態の切削加工物の製造方法の一工程を示す概略図である。

実施例

0009

ドリル
以下、本発明の一実施形態のドリルについて、図面を用いて詳細に説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明のドリルは、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。

0010

図1〜11に示す第1の実施形態のドリル1は、本体部3と、切刃5と、逃げ面7と、切屑排出溝9(以下、単に排出溝9ともいう)と、被覆層11と、凹部13とを備えている。

0011

本体部3は、回転軸Xを有しており、この回転軸Xに沿って延びた棒形状となっている。切削加工物を製造するための被削材の切削加工時において、本体部3は回転軸Xを中心に回転する。本実施形態における本体部3は、工作機械(不図示)の回転するスピンドル等で把持される把持部3aと、この把持部3aの先端側に位置する切削部3bとを備えている。把持部3aは、工作機械におけるスピンドル等の形状に応じて設計される部位である。切削部3bは、被削材と接触する切刃5を有する部位である。本実施形態においては、被覆層11は切削部3bに設けられ、把持部3aには設けられていないため、把持部3aでは基体12が露出している。なお、矢印Yは、本体部3の回転方向を示している。

0012

本実施形態における切削部3bの外径Dは、例えば0.05mm〜40mmに設定される。また、切削部3bの回転軸Xの沿った方向の長さ(刃長)は、1.5D〜25D程度に設定される。

0013

基体12の材質としては、WC(炭化タングステン)とCo(コバルト)とを含有し、所望によりTiC(炭化チタン)またはCr3C2(炭化クロム)のような添加物を含んだ超硬合金、TiCN(炭窒化チタン)とCo(コバルト)とを含有するサーメット高速度鋼ステンレスおよびチタンのような金属などが挙げられる。

0014

ドリル1は、本体部3の先端部に位置する切刃5を有している。切刃5は、被削材を切削するための部位である。本実施形態における切刃5は、一対の主切刃5aおよび副切刃5bによって構成されている。主切刃5aおよび副切刃5bは、切削部3bの先端部分に位置する。なお、主切刃5aが1つのみであっても問題ないが、一対の主切刃5aを有しているほうが、切削バランスを良好にすることができる。

0015

本体部3の先端視において、副切刃5bは回転軸Xと交差している。本実施形態における副切刃5bは、いわゆるチゼルエッジ(chisel edge)として機能する。一対の主切刃5aは副切刃5bの両端部にそれぞれ接続されており、先端視において、副切刃5bの両端から本体部3の外周に向かってそれぞれ延びている。副切刃5bであるチゼルエッジのチゼル角θ1は、例えば130〜170°に設定される。なお、先端視とは、図3に示すように、回転軸Xに沿って先端側からドリル1を正面視することを意味している。副切刃5bは省略することができ、切刃5が副切刃5aのみによって構成されてもよい。

0016

一対の主切刃5aは、先端視で、本体部3の回転軸Xを中心にして180°の回転対称となっている。これによって、切削時に一対の主切刃5aが被削材に対して食いつく際に、各主切刃5aの間の衝撃の差によって生じるブレを抑制できる。そのため、安定した穴あけ加工を行うことが可能となる。なお、主切刃5aは3つ以上であってもよい。

0017

本実施形態における主切刃5aは、図3に示すように、先端視で直線形状になっている。また、主切刃5aは、回転軸Xに対して例えば傾斜角50〜85°で傾斜しており、一対の主切刃5aの先端角θ2は、例えば100〜170°に設定されている。

0018

切削部3bの外周面における排出溝9を除く部分、すなわち、外周面における一対の排出溝9の間に位置する部分は、ランド面となっている。本実施形態におけるランド面は、排出溝9に対して回転軸Xの回転方向の後方において隣接するマージン(margin)と、このマージンに対して回転軸Xの回転方向の後方において隣接する二番取り面(body clearance)とを有している。マージンは、切削部3bの外周面となっている。

0019

図5に示すドリル1において、一対の排出溝9のねじれ角(helix angle)θ3は、互いに同じになるように設計され、先端から後端にかけて一定となるように設計されている。ここで、本実施形態に限定されるものではなく、例えば、一対の排出溝9が異なるねじれ角を有してもよく、先端側と後端側でねじれ角が異なっていてもよい。なお、本実施形態におけるねじれ角θ3は、ドリル1の側面視において、排出溝9とマージンとで形成される交線10であるリーディングエッジ(leading edge of land)における接線と、回転軸Xとがなす角を意味する。

0020

排出溝9の深さd1は、切削部3bの外径に対して、例えば10〜40%に設定できる。排出溝9の深さd1は、回転軸Xに直交する断面における、排出溝9の底と回転軸Xとの距離を本体部3の半径から引いた値を意味している。つまり、切削部3bにおける回転軸Xに直交する断面での内接円の直径によって示される芯厚d2は、切削部3bの外径に対して、例えば20〜80%に設定される。具体的には、例えば切削部3bの外径が1mmである場合、排出溝9の深さd1は0.1〜0.4mm、芯厚d2は0.2〜0.8mmに設定できる。なお、排出溝9の深さd1および芯厚d2は、回転軸Xに直交する断面にて示されるものであるが、図3の先端視図に、便宜上、d1およびd2を点線で示している。

0021

本体部3の先端部には、切刃5に隣接するとともに一対の主切刃5aに沿ってそれぞれ逃げ面7が設けられている。一対の主切刃5aは、逃げ面7と排出溝9とが交差する稜線に位置する。本実施形態においては、先端視において、逃げ面7が、主切刃5aおよび副切刃5bに接する第1逃げ面7aと、第1逃げ面7aの逆回転方向側に位置する第2逃げ面7bと有する。

0022

第1逃げ面7aは、主切刃5aの形状に対応した形状となっている。例えば、主切刃5aが直線形状である場合には、主切刃5aに沿って設けられる第1逃げ面7aが平坦面形状になる。また、主切刃5aが凹曲線形状である場合には、主切刃5aに沿って設けられる第1逃げ面7aが凹曲面形状になる。逃げ面7が被削材に干渉することを避けるため、逃げ面7は、主切刃5aの回転軌跡よりも後端側に位置するように傾斜している。

0023

逃げ面7を含む少なくとも本体部3の先端部は、被覆層11によって覆われている。被覆層11は硬度が高く、切削加工時に被削材に接触する際に、本体部3の摩耗の進行を抑制する。

0024

被覆層11の組成の第1の好適例としては、炭化チタン(TiC)、窒化チタン(TiN)、炭窒化チタン(TiCN)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)またはアルミナ(Al2O3)などが挙げられる。化学蒸着CVD)法または物理蒸着PVD)法を用いて、これらの材料で本体部3の先端部をコーティングすることによって被覆層11が形成される。第1の好適例を用いた被覆層11の膜厚は、例えば、0.5〜20μmに設定される。

0025

被覆層11の組成の第2の好適例としては、ダイヤモンドまたはダイヤモンドライクカーボン(DLC)が挙げられる。例えば、熱フィラメントCVD法を用いて、ダイヤモンドからなる被覆層11を成膜することができ、例えば、PVD法を用いて、DLCからなる被覆層11を成膜することができる。ダイヤモンドからなる被覆層11の膜厚は、例えば、5〜25μmに設定される。DLCを用いた被覆層11の膜厚は、例えば、0.1〜1μmに設定される。

0026

ドリル1を繰り返し使用することによって、被覆層11が摩耗する前に、被覆層11が基体12から剥離する場合がある。特に、被覆層11がダイヤモンドまたはDLCからなる場合には、被覆層11が基体12から剥離しやすい傾向にある。ドリル1において、被覆層11が剥離して、露出した基体12が被削材に接触した状態で切削すると、切刃5の摩耗が急激に進行する。

0027

本願発明者が被覆層11の剥離について詳細に調べたところ、以下のことが分かった。主切刃5aの外周部付近で被覆層11が剥離し始める。被覆層11の剥離は、主切刃5aの外周部付近から主切刃5aおよび副切刃5bに沿って回転軸Xに向かって進行する。切刃5の回転軸Xの近くに到達すると、すくい面として機能する部分を覆う被覆層11までが剥離してしまう。そして、すくい面を覆う被覆層11が剥離すると、穴あけ加工時工具の中心がずれ易くなってしまう。その結果、ドリル1が振動し易くなり、ドリル1にかかる負荷が大きくなって、折損を起こす可能性が高くなる場合がある。

0028

そこで、本実施形態のドリル1においては、主切刃5aに沿って設けられた逃げ面7に凹部13が設けられている。詳細には、各主切刃5aに続く各逃げ面7に、主切刃5aに近接してそれぞれ1つの凹部13が設けられている。ここで、凹部13とは、被覆層11の表面が、逃げ面7の仮想面に対して本体部3の後端側に後退して窪んだ形状を意味する。なお、主切刃5aと凹部13が近接するとは、主切刃5aと凹部13とが接するものも含む。本実施形態のドリル1においては、凹部13の内表面も被覆層11で被覆されているが、凹部13の内表面には被覆層11が存在せず、基体12が露出したものであってもよい。

0029

また、凹部13においては、先端視における主切刃5aに平行な幅Wが被覆層11の膜厚よりも大きくなっている。例えば、切削部3bの外径Dが1mmの場合、凹部13の幅Wを50μmに、被覆層11の膜厚を20μmに設定できる。なお、本明細書における凹部13の幅Wとは、先端視にて逃げ面7における凹部13の幅のうちの最大値を意味している。逃げ面7が2面以上存在するとともに、凹部13が2面以上の逃げ面7にまたがる場合には、主切刃5aに接する第1逃げ面7aにおける凹部13の幅のうちの最大値とする。ここで、主切刃5aが凹曲線形状の場合、主切刃5aに平行な幅Wは、主切刃5aの外周端内周端とを結ぶ直線に平行な幅とする。凹部13の幅Wは、先端視だけでなく、主切刃5aに平行な縦断面においても測定できる。

0030

本実施形態における凹部13は、図8に示すように、先端視した場合における幅Wが、開口部から底部までの深さd3よりも大きい。これによって、主切刃5aの耐欠損性が低下することを抑制できる。

0031

本実施形態のドリル1においては、凹部13の底部や開口部において、被覆層11が折れ曲がるか、または大きな曲率湾曲した不連続な形状となっている。そのため、主切刃5aの外周近傍で被覆層11の剥離が発生し、回転軸Xに向かって被覆層11の剥離が進行した場合であっても、凹部13の底部や開口部の不連続な形状によって、被覆層11の回転軸X方向への剥離が進行することを妨げる。すなわち、凹部13においては、被覆層11の強度が低いために、回転軸Xに向かって進行する被覆層11の剥離を、被覆層11の凹部13に沿ったクラックに変えて、被覆層11の回転軸X方向への剥離が進行することを妨げる。その結果、切刃5の回転軸Xに近い部分における被覆層11の剥離が抑制され、ドリル1の寿命を向上させることができる。また、被覆層11の剥離は突発的に発生するため、凹部13において被覆層11の剥離の進行を抑制できることによって、ドリル1の寿命のばらつきを抑制でき、適切なタイミングでドリル1を交換することも可能になる。

0032

本実施形態における凹部13は、凹部13を横断して回転軸Xに平行な断面である図8において、第1内側面15と、第2内側面17と、底面19とを有している。第1内側面15は、本体部3の中心側に位置する内側面であり、第2内側面17は、本体部3の外周側に位置する内側面である。底面19は、第1内側面15と第2内側面17との間に位置して凹部13の底部を構成する面である。

0033

本実施形態において、第1内側面15および第2内側面17はそれぞれ平坦な面形状である。そして、凹部13の開口部と逃げ面7との境界が折れ曲がり、この境界に不連続部が形成される。この不連続部によって、被覆層11の回転軸X方向への剥離の進展が抑制され易くなる。そのため、回転軸X近傍における被覆層11の剥離の進行を安定して止めることができる。なお、本実施形態における平坦な第1内側面15および第2内側面17とは、図8に示す凹部13を横断して回転軸Xに平行な断面において、凹部13の開口部と凹部13の底面19との間に存在する直線部を指す。本実施形態では、直線部が、幅Wに対して、0.2W以上の長さを有する場合に、平坦な第1内側面15および第2内側面17を有すると定義する。また、第1内側面15および第2内側面17よりも凹部13の底に当たる内壁面を底面と定義する。

0034

ここで、図8において、第1内側面15と逃げ面7のなす角θ4が、第2内側面17と逃げ面7のなす角θ5よりも大きい。すなわち、本体部3の中心側に位置する第1内側面15と逃げ面7とのなす角θ4が相対的に大きく、第2内周面と逃げ面7とが交差する稜線が鋭く形成されている。被覆層11の剥離の進行は、ドリル1の外周側から中心側に向かって進行するため、第2内周面17と逃げ面7とが交差する稜線が相対的に鋭く形成されていることによって、凹部13におけるドリル1の外周側において被覆層11の剥離の進行を抑制し易くなる。したがって、凹部13の内表面に被覆層11が形成された状態を維持することができるので、ドリル1の寿命をさらに延ばすことができる。

0035

また、図8においては、第1内側面15と逃げ面7のなす角θ4、および第2内側面17と逃げ面7のなす角θ5のいずれも鈍角である。これによって、逃げ面7の耐欠損性の低下を抑制できる。

0036

図8における底面19は凹曲線形状である。これによって、底面19が平坦な面形状で、第1内側面15および第2内側面17との間に角部を有する形状である図9、または底面19を有していない図10に比べて、切削加工中に、本体部3からの欠損することを抑制できる。

0037

凹部13は、図11に示すように先端視において主切刃5aに接していてもよいが、図3における凹部13は、先端視において主切刃5aから離れている。これによって、被覆層11の剥離の進行を抑えつつ、主切刃5aの耐欠損性も高く維持することができる。主切刃5aの耐欠損性を高く維持するため、先端視における凹部13と主切刃5aとの間隔は、被覆層11の膜厚以上の幅であることが好ましい。

0038

本実施形態における凹部13は、先端視において主切刃5aに対して平行でない交差する方向に延びている。これにより、凹部13が小さい面積であっても、ドリル1の外周側から中心側に向かって進行する被覆層11の剥離を広い範囲で安定して止めることができる。特に、回転軸X近傍のすくい面となる部位における被覆層11の剥離を抑制することができる。なお、凹部13の面積が増すと、逃げ面7における被覆層11の耐摩耗性が低下する傾向にある。

0039

凹部は、図12〜19に示す第2実施形態のドリル21のように、溝22であってもよい。図12〜14によれば、溝22は、主切刃5aから回転方向Yの後方に向かって帯状に延びている。また、溝22は、先端視において、図13に示すように、主切刃5aに対して平行でない交差する方向に延びている。溝22の断面形状は、図18に示すように、第1の実施形態の凹部13と類似した形状からなる。溝22は、機械加工等によって容易に形成することができるとともに、特に回転軸X近傍のすくい面となる部位における被覆層11の剥離を抑制することができる。なお、本実施形態における溝22とは、ドリル21を先端視した際に、凹部13が外周端まで到達した状態を指す。

0040

図20〜21に示す第3実施形態のドリル31のように、凹部32は、各逃げ面7のそれぞれに複数設けられていてもよい。図20の先端視によれば、複数の凹部32は、一列に並んで点線状に連なっている。また、点線状に連なった凹部32は、主切刃5aに対して外周側に傾斜する方向に並んでいる。これによって、点線状に連なった凹部32に沿ってクラックが進展しやすくなり、被覆層11の剥離の進行を安定して止めることができる。なお、図示しないが、点線状に連なった凹部32以外に、他の凹部が存在していてもよい。

0041

複数の凹部32は、先端視においてそれぞれ円形状であってもよいが、本実施形態における複数の凹部32は、図21に示すように、楕円形状である。また、複数の凹部32が並んでいる方向における各凹部32の幅が、互いに隣り合う凹部32の間隔よりも大きい場合には、より点線に沿ってクラックが進展することから、外周側から中心側に向かって進行する被覆層11の剥離を複数の凹部32においてより安定して止めることができる。

0042

図22〜33に示す第4実施形態のドリル41では、逃げ面7を覆う被覆層11の厚みが、他の領域よりも薄い薄層領域43を有している。なお、以下では、相対的に厚みの厚い他の領域を便宜的に定常領域44とする。図28において、薄層領域43における被覆層11の厚みをt1、定常領域44における被覆層11の厚みをt2としたとき、t1<t2である。

0043

そして、図23の先端視において、薄層領域43が主切刃5aに対して傾斜する方向に延びており、一対の定常領域44が薄層領域43を間に挟んで位置している。具体的には、逃げ面7を被覆する被覆層11の外周端から回転軸Xに近接する中央端までの間に薄層領域43が存在している。これによって、主切刃5aの外端付近で剥離が始まった場合であっても、薄層領域43において被覆層11の回転軸Xへの剥離の進展が抑制される。そのため、逃げ面7の回転軸X付近における被覆層11の剥離を抑制できる結果、ドリル1の寿命を延ばすことができる。

0044

なお、薄層領域43と定常領域44との間には段差が存在するものであるが、薄層領域43および定常領域44のそれぞれにおいて被覆層11の厚みは必ずしも一定でなくてもよい。本実施形態においては、薄層領域43における被覆層11の厚みの最大値が定常領域44における被覆層11の厚みの最小値よりも小さい。

0045

薄層領域43を形成する具体的な方法の1つとしては、被覆層11を成膜する際に、まず、本体部3の被覆層11を形成する領域全体に被覆層11の一部を成膜した後、薄層領域43となる部分をマスキングしてから、薄層領域43以外の定常領域44のみに被覆層11を追加で成膜する。これにより、マスキングされた領域が薄層領域43となり、マスキングされなかった領域が定常領域44となる。

0046

それ以外にも、先に、薄層領域43となる部分をマスキングして定常領域のみに被覆層11の一部を成膜した後、マスキングを除去して、被覆層11を形成する領域全体に追加で成膜してもよい。または、薄層領域43にも定常領域44と同じように被覆層11を成膜した後、レーザ加工等によって、薄層領域43の被覆層11の少なくとも一部を除去する方法も適用可能である。

0047

本実施形態においては、薄層領域43は、先端視した場合において主切刃5aに対して平行でない交差する方向に延びている。これにより、ドリル1の外周側から中心側に向かって進行する被覆層11の剥離を広い範囲で安定して止めることができる。

0048

例えば、切削部3bの外径Dが1mmに設定された場合には、薄層領域43の幅Wを0.05mmに、薄層領域43における被覆層11の厚みt1を0.01mmに設定できる。

0049

なお、薄層領域43の幅は、図29に示すように、主切刃5aから離れるにしたがって広くなっていてもよい。これによって、薄層領域43において発生するクラックの方向がばらついた場合であっても、安定して薄層領域43で被覆層11の回転軸X方向への進展を抑制することができる。また、薄層領域43は、図30に示すように、内周側に湾曲していてもよい。これによって、回転軸Xの近傍にて被覆層11が剥離することをより効果的に抑制できる。さらに、図31に示すように、各逃げ面7のそれぞれに複数の薄層領域43が形成されていてもよい。これによって、仮に薄層領域43の一つで被覆層11が分断されなかった場合であっても、薄層領域43の他の一つで被覆層11を分断することができる。そのため、安定して被覆層11を分断させることができる。

0050

さらに、図32に示すように、薄層領域43は先端視において主切刃5aに接していてもよいが、図23に示す薄層領域43のように、先端視において主切刃5aから離れているほうが、被覆層11の剥離の進行を抑えつつ、主切刃5aの耐欠損性も高く維持することができる。主切刃5aの耐欠損性を高く維持するため、先端視における薄層領域43と主切刃5aとの間隔は、被覆層11の膜厚以上の幅であることが好ましい。また、図33に示すように、副切刃5bがない形態であってもよい。図29〜32の構成は、第4の実施形態以外の他の実施形態にも適用可能である。

0051

また、上記した実施形態のドリルは、凹部を有する形態であったが、第5の実施形態として、例えば、図34、35に示すドリル51のように、第1層52と第2層53との構成は、凹部に代えて、硬度の低い第1層52を設ける形態であってもよい。なお、以下では、第1層52以外の相対的に硬度が高い他の領域を便宜的に第2層53とする。図34に示すように、第1層52と基体12との間に第2層53が介在する形態であってもよく、図35に示すように、第1層52が基体12の表面に接する形態であってもよい。

0052

第1層52を形成する具体的な方法の1つとしては、第1層52となる部分にも第2層53を成膜した後、レーザ加工等によって、第2層53を第1層52に変質させる方法が適用可能である。その他にも、例えば、被覆層11としてダイヤモンドを成膜する場合、成膜する前の基体12の表面において、第1層52を成膜する部位でのコバルト含有量を他の部位よりも多くしたり、マスキング等によって第1層52を成膜する部位にエッチング処理をしなかったりして、ダイヤモンドの成長阻害することにより、第1層52におけるダイヤモンドの結晶化度を低くする方法も適用可能である。

0053

第1層52と第2層53のその他の構成は、第4実施形態における薄層領域43と定常領域44の形態に準じた構成が好適に適用可能である。

0054

切削加工物(machined product)の製造方法
次に、本発明の実施形態に係る切削加工物の製造方法について、上述の実施形態に係るドリル1を用いる場合を例に挙げて詳細に説明する。以下、図36〜38を参照しつつ説明する。本実施形態にかかる切削加工物の製造方法は、以下の(1)〜(4)の工程を備える。

0055

(1)準備された被削材101に対して上方にドリル1を配置する工程(図36参照)。 (2)ドリル1を、回転軸Xの周りに矢印Yの方向に回転させ、被削材101に向かってZ1方向にドリル1を近づける工程(図36、37参照)。本工程は、例えば、被削材101を、ドリル1を取り付けた工作機械のテーブル上に固定し、ドリル1を回転した状態で近づけることにより行うことができる。なお、本工程では、被削材101とドリル1とは相対的に近づけばよく、被削材101をドリル1に近づけてもよい。

0056

(3)ドリル1をさらに被削材101に近づけることによって、回転しているドリル1の切刃5を被削材101の表面の所望の位置に接触させて、被削材101に加工穴103(貫通孔)を形成する工程(図37参照)。本工程においては、切刃5として、一対の主切刃および副切刃を被削材101の表面の所望の位置に接触させている。また、良好な仕上げ面を得る観点から、ドリル1の切削部のうち後端側の一部の領域が被削材101に進入しないように設定することが好ましい。すなわち、この一部の領域を切屑排出のための領域として機能させることで、当該領域を介して優れた切屑排出性を奏することが可能となる。

0057

(4)ドリル1を被削材101からZ2方向に離す工程(図38参照)。本工程においても、上述の(2)の工程と同様に、被削材101とドリル1とは相対的に離隔すればよく、例えば被削材101をドリル1から離隔させてもよい。

0058

以上のような工程を経ることによって、本実施形態の切削加工物を得ることができる。本実施形態のドリル1を用いることによって、優れた穴加工性を発揮することが可能となる。なお、以上に示したような被削材101の切削加工を複数回行う場合、例えば、1つの被削材101に対して複数の加工穴103を形成する場合には、ドリル1を回転させた状態を保持しつつ、被削材101の異なる箇所にドリル1の切刃を接触させる工程を繰り返せばよい。

0059

1、21、31、41、51・・・ドリル
3・・・本体部
3a・・・把持部
3b・・・切削部
5・・・切刃
5a・・・主切刃
5b・・・副切刃(チゼルエッジ)
7・・・逃げ面
7a・・・第1逃げ面
7b・・・第2逃げ面
9・・・切屑排出溝(排出溝)
10・・・交線
11・・・被覆層
12・・・基体
13・・・凹部
15・・・第1内側面
17・・・第2内側面
19・・・底面
101・・・被削材
103・・・加工穴(貫通孔)

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