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技術 加飾シート

出願人 大日本印刷株式会社
発明者 野田明寿河西宏樹
出願日 2015年9月30日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2016-552120
公開日 2017年8月10日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 WO2016-052628
状態 特許登録済
技術分野 転写による装飾 積層体(2)
主要キーワード 真空圧着法 装飾柄 ピークショルダー カプロラクトン系ウレタン ピアノブラック 真空室間 成形樹脂層 転写コーティング
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年8月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題・解決手段

漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出し得る加飾シートを提供する。基材上に、少なくとも、保護層、プライマー層、及び装飾層がこの順に積層された加飾シートであって、 前記装飾層が、黒色顔料を含み、 前記プライマー層が、水酸基価44mgKOH/g以下の樹脂Aを含む樹脂組成物硬化物により形成されている、加飾シート。

概要

背景

自動車内外装、建材内装材家電製品などに使用される樹脂成形品や、無機ガラス代替材料として用いられる有機ガラス等に用いられる樹脂成形品などにおいては、表面保護意匠性の付与などを目的として、加飾シートを積層する技術が用いられている。このような技術に使用される加飾シートとしては、ラミネート型の加飾シートと、転写型の加飾シートに大別することができる。ラミネート型の加飾シートは、支持基材上に表面保護層が最表面に位置するように積層されており、支持基材側に成形樹脂を積層することで、樹脂成形品中に支持基材が取り込まれるように用いられる。一方、転写型の加飾シートは、支持基材上に直接、または必要により設けられる離型層を介して表面保護層が積層されており、支持基材とは反対側に成形樹脂を積層後、支持基材を剥離することで、樹脂成形品に支持基材が残らないようにして用いられる。これら2種類の加飾シートは、樹脂成形品の形状や求める機能などに応じて使い分けがなされている。

近年、需要者嗜好多様性に伴い、転写型の加飾シートを用いて得られる樹脂成形品に対して、さらに高度な意匠性が要求されるようになってきており、例えば、漆黒感などの濃色系のを塗ったような濃色でのある鮮やかな色合いを有する高度な意匠が望まれている。漆黒感のような色艶を有する色合いの表出には、装飾層だけでなく、基材または表面保護層も寄与している。これに対して、装飾層に特定の顔料を用いるとともに、樹脂成形品の最外側に配置される層の透明度を高めることにより、例えば、周囲の像が樹脂成形品の表面に写り込むような濃色を表出する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

特許文献1に記載された技術は、装飾層と樹脂成形品の最外側に配置される基材とが接しているラミネート型の加飾シートに関する技術である。一方、転写型の加飾シートにおいては、装飾層よりも外側に表面保護層、支持基材などが形成されており、シートの状態では装飾層は直接露呈していない。また、転写型の加飾シートは、成形樹脂と一体化され、支持基材が剥離された後に露呈する表面保護層が樹脂成形品の表面になる。このため、転写型の加飾シートを用いる場合、加飾シートによって加飾された樹脂成形品を観察したときの色艶を、製品設計時に設定した所望の色艶に近づけることは、より一層困難である。

このような問題を解決するために、例えば、特許文献2には、基材、離型層、表面保護層、プライマー層、及び装飾層をこの順に有する加飾用フィルムであって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物硬化物からなり、該プライマー層がポリマーポリオールと、イソシアネート系硬化剤と、ガラス転移温度Tgが77℃以下のバインダー樹脂とを含むプライマー層形成用樹脂組成物の硬化物からなり、該バインダー樹脂の含有量が該ポリマーポリオールと該バインダー樹脂との合計に対して10〜60質量%である加飾用フィルムが開示されている。

概要

漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出し得る加飾シートを提供する。基材上に、少なくとも、保護層、プライマー層、及び装飾層がこの順に積層された加飾シートであって、 前記装飾層が、黒色顔料を含み、 前記プライマー層が、水酸基価44mgKOH/g以下の樹脂Aを含む樹脂組成物の硬化物により形成されている、加飾シート。

目的

近年、需要者の嗜好の多様性に伴い、転写型の加飾シートを用いて得られる樹脂成形品に対して、さらに高度な意匠性が要求されるようになってきており、例えば、漆黒感などの濃色系の漆を塗ったような濃色で艶のある鮮やかな色合いを有する高度な意匠が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

基材上に、少なくとも、保護層、プライマー層、及び装飾層がこの順に積層された加飾シートであって、前記装飾層が、黒色顔料を含み、前記プライマー層が、水酸基価44mgKOH/g以下の樹脂Aを含む樹脂組成物硬化物により形成されている、加飾シート。

請求項2

前記樹脂Aのガラス転移温度が、50〜140℃の範囲にある、請求項1に記載の加飾シート。

請求項3

前記樹脂Aの水酸基価が、0〜25mgKOH/gの範囲にある、請求項1または2に記載の加飾シート。

請求項4

前記樹脂組成物に含まれる前記樹脂Aの含有量が、前記樹脂組成物に含まれる樹脂成分中10質量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。

請求項5

前記装飾層が、前記黒色顔料と、前記樹脂Aと同一の樹脂からなるバインダー樹脂を含む樹脂組成物により形成されている、請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。

請求項6

前記装飾層の少なくとも一部分が、黒色意匠を呈する部分を有している、請求項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。

請求項7

請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シートを成形樹脂層転写してなる、加飾樹脂成形品

請求項8

前記保護層側の表面の少なくとも一部に、L*a*b*表色系のL*値が2.5以下となる黒色の部分を有している、請求項7に記載の加飾樹脂成形品。

技術分野

0001

本発明は、漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出し得る加飾シート、及びこれを利用した加飾樹脂成形品に関する。

背景技術

0002

自動車内外装、建材内装材家電製品などに使用される樹脂成形品や、無機ガラス代替材料として用いられる有機ガラス等に用いられる樹脂成形品などにおいては、表面保護意匠性の付与などを目的として、加飾シートを積層する技術が用いられている。このような技術に使用される加飾シートとしては、ラミネート型の加飾シートと、転写型の加飾シートに大別することができる。ラミネート型の加飾シートは、支持基材上に表面保護層が最表面に位置するように積層されており、支持基材側に成形樹脂を積層することで、樹脂成形品中に支持基材が取り込まれるように用いられる。一方、転写型の加飾シートは、支持基材上に直接、または必要により設けられる離型層を介して表面保護層が積層されており、支持基材とは反対側に成形樹脂を積層後、支持基材を剥離することで、樹脂成形品に支持基材が残らないようにして用いられる。これら2種類の加飾シートは、樹脂成形品の形状や求める機能などに応じて使い分けがなされている。

0003

近年、需要者嗜好多様性に伴い、転写型の加飾シートを用いて得られる樹脂成形品に対して、さらに高度な意匠性が要求されるようになってきており、例えば、漆黒感などの濃色系のを塗ったような濃色でのある鮮やかな色合いを有する高度な意匠が望まれている。漆黒感のような色艶を有する色合いの表出には、装飾層だけでなく、基材または表面保護層も寄与している。これに対して、装飾層に特定の顔料を用いるとともに、樹脂成形品の最外側に配置される層の透明度を高めることにより、例えば、周囲の像が樹脂成形品の表面に写り込むような濃色を表出する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

0004

特許文献1に記載された技術は、装飾層と樹脂成形品の最外側に配置される基材とが接しているラミネート型の加飾シートに関する技術である。一方、転写型の加飾シートにおいては、装飾層よりも外側に表面保護層、支持基材などが形成されており、シートの状態では装飾層は直接露呈していない。また、転写型の加飾シートは、成形樹脂と一体化され、支持基材が剥離された後に露呈する表面保護層が樹脂成形品の表面になる。このため、転写型の加飾シートを用いる場合、加飾シートによって加飾された樹脂成形品を観察したときの色艶を、製品設計時に設定した所望の色艶に近づけることは、より一層困難である。

0005

このような問題を解決するために、例えば、特許文献2には、基材、離型層、表面保護層、プライマー層、及び装飾層をこの順に有する加飾用フィルムであって、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物硬化物からなり、該プライマー層がポリマーポリオールと、イソシアネート系硬化剤と、ガラス転移温度Tgが77℃以下のバインダー樹脂とを含むプライマー層形成用樹脂組成物の硬化物からなり、該バインダー樹脂の含有量が該ポリマーポリオールと該バインダー樹脂との合計に対して10〜60質量%である加飾用フィルムが開示されている。

先行技術

0006

特開2002−292798号公報
特開2013−75502号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献2に開示された技術によれば、装飾層と基材との間にプライマー層などが配置されたり、基材が剥離された後に露呈する表面保護層が樹脂成形品の表面になる場合であっても、表出する色艶が鮮やかな色合いを有し、濃色、とりわけ漆黒感を鮮明に表出することが可能となる。
しかしながら、近年では、より色艶の鮮やかな色合いを有する漆黒感の表出が求められており、例えば、保護層側の表面の少なくとも一部に、L*a*b*表色系のL*値が2.5以下となる非常に明度の低い黒色の部分を有しているような樹脂成形品を得る観点から、特許文献2に開示された技術に加えて、さらなる技術の開発が要望されている。
このような状況下、本発明は、漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出し得る加飾シートを提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品を提供することも目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、基材上に、少なくとも、保護層、プライマー層、及び装飾層がこの順に積層された加飾シートであって、装飾層が、黒色顔料を含み、プライマー層が、水酸基価44mgKOH/g以下の樹脂Aを含む樹脂組成物の硬化物により形成されている加飾シートは、漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出でき、例えば、保護層側の表面の少なくとも一部に、L*a*b*表色系のL*値が2.5以下となる非常に明度の低い黒色の部分を有しているような樹脂成形品が好適に得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。

0009

即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.基材上に、少なくとも、保護層、プライマー層、及び装飾層がこの順に積層された加飾シートであって、
前記装飾層が、黒色顔料を含み、
前記プライマー層が、水酸基価44mgKOH/g以下の樹脂Aを含む樹脂組成物の硬化物により形成されている、加飾シート。
項2. 前記樹脂Aのガラス転移温度が、50〜140℃の範囲にある、項1に記載の加飾シート。
項3. 前記樹脂Aの水酸基価が、0〜25mgKOH/gの範囲にある、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記樹脂組成物に含まれる前記樹脂Aの含有量が、前記樹脂組成物に含まれる樹脂成分中10質量%以上である、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記装飾層が、前記黒色顔料と、前記樹脂Aと同一の樹脂からなるバインダー樹脂を含む樹脂組成物により形成されている、項1〜4のいずれかに記載の加飾シート。
項6. 前記装飾層の少なくとも一部分が、黒色の意匠を呈する部分を有している、項1〜5のいずれかに記載の加飾シート。
項7. 項1〜6のいずれかに記載の加飾シートを成形樹脂層転写してなる、加飾樹脂成形品。
項8. 前記保護層側の表面の少なくとも一部に、L*a*b*表色系のL*値が2.5以下となる黒色の部分を有している、項7に記載の加飾樹脂成形品。

発明の効果

0010

本発明によれば、漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出し得る加飾シートを提供することができる。また、本発明によれば、当該加飾シートを利用した加飾樹脂成形品を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明の加飾シートの一形態の断面構造の模式図である。
本発明の支持体付き加飾樹脂成形品の一形態の断面構造の模式図である。
本発明の加飾樹脂成形品の一形態の断面構造の模式図である。

0012

1.加飾シート
本発明の加飾シートは、基材上に、少なくとも、保護層、プライマー層、及び装飾層がこの順に積層された加飾シートであって、装飾層が、黒色顔料を含み、プライマー層が、水酸基価44mgKOH/g以下の樹脂Aを含む樹脂組成物の硬化物により形成されていることにより、漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出し得る。本発明の加飾シートは、種々の被着体に積層後、基材を剥離することにより、保護層、プライマー層、及び装飾層を転写することにより使用できる。被着体は特に限定されないが、被着体として成形樹脂を用いることが好適に挙げられる。すなわち、本発明の加飾シートは、成形樹脂上に保護層、プライマー層、及び装飾層を転写し、加飾樹脂成形品を製造する用途において特に有用である。以下、本発明の加飾シートについて、加飾樹脂成形品を製造する用途に用いられる場合の態様を中心に詳述する。

0013

加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、基材1上に、少なくとも保護層3、プライマー層4、及び装飾層5を有する。基材1の保護層3側の表面には、基材1と保護層3との剥離性を高めることなどを目的として、必要に応じて、離型層2を設けてもよい。また、装飾層5と成形樹脂層8との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、接着層6を有していてもよい。

0014

本発明の加飾シートの積層構造として、基材/保護層/プライマー層/装飾層がこの順に積層された積層構造;基材/離型層/保護層/プライマー層/装飾層がこの順に積層された積層構造;基材/保護層/プライマー層/装飾層/接着層がこの順に積層された積層構造;基材/離型層/保護層/プライマー層/装飾層/接着層がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、基材/離型層/保護層/プライマー層/装飾層/接着層がこの順に積層された加飾シートの一形態の断面構造の模式図を示す。

0015

加飾シートを形成する各層の組成
支持体10]
本発明の加飾シートは、支持体10として、基材1、及び必要に応じて離型層2を有する。また、後述の通り、基材1の上に形成された保護層3、プライマー層4、装飾層5、必要に応じてさらに形成される接着層6などが、転写層9を構成している。本発明においては、加飾シートと成形樹脂を一体成形した後に、支持体10と転写層9の界面が引き剥がされ、支持体10が剥離除去されて加飾樹脂成形品が得られる。

0016

(基材1)
本発明において、基材1は、加飾シートにおいて支持部材としての役割を果たす支持体10として用いられる。本発明で用いられる基材1は、真空成形適性を考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが使用される。該熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂アクリル樹脂ポリプロピレンポリエチレン等のポリオレフィン樹脂ポリカーボネート樹脂アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂ABS樹脂);塩化ビニル樹脂等が挙げられる。

0017

本発明においては、基材1として、ポリエステルシートを用いることが、耐熱性、寸法安定性成形性、及び汎用性の点で好ましい。ポリエステルシートを構成するポリエステル樹脂とは、多価カルボン酸と、多価アルコールとの重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを示し、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などを好ましく挙げることができ、ポリエチレンテレフタレート(PET)が、耐熱性や寸法安定性の点で特に好ましい。

0018

また、基材1には、作業性を向上させる目的で、微粒子を含有させてもよい。微粒子としては、炭酸カルシウム炭酸マグネシウム硫酸カルシウム硫酸バリウムリン酸リチウムリン酸マグネシウムリン酸カルシウム酸化アルミニウム酸化ケイ素カオリンなどの無機粒子アクリル系樹脂などからなる有機粒子、内部析出粒子などを挙げることができる。微粒子の平均粒径は0.01〜5.0μmが好ましく、0.05〜3.0μmがより好ましい。また、ポリエステル樹脂中の微粒子の含有量は0.01〜5.0質量%が好ましく、0.1〜1.0質量%がより好ましい。また、必要に応じて各種安定剤、潤滑剤、酸化防止剤帯電防止剤消泡剤蛍光増白剤などを配合することもできる。

0019

本発明で基材1として好適に用いられるポリエステルシートは、例えば以下のように製造される。まず上記のポリエステル系樹脂とその他の原料エクストルーダーなどの周知の溶融押出装置に供給し、当該ポリエステル系樹脂の融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで溶融ポリマー押出しながら、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるよう急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。このシートを2軸方向に延伸してシート化し、熱固定を施すことで得られる。この場合、延伸方法は逐次2軸延伸でも同時2軸延伸でもよい。また、必要に応じ、熱固定を施す前又は後に再度縦及び/又は横方向に延伸してもよい。本発明においては十分な寸法安定性を得るため延伸倍率面積倍率として7倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましい。この範囲内であれば、得られるポリエステルシートを射出成形による三次元成形用の加飾シートに用いた場合、該加飾シートが射出樹脂射出する際の温度域で再び収縮せず、当該温度域で必要なシート強度を得ることができる。なお、ポリエステルシートは、上記のように製造してもよいし、市販のものを用いてもよい。

0020

また、基材1は、後述する離型層2との密着性を向上させる目的で、所望により、片面又は両面に酸化法凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理クロム酸化処理、火炎処理熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材1の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。また、基材1は、基材1とその上に設けられる層との層間密着性強化などを目的として、易接着層を形成するなどの処理を施してもよい。なお、ポリエステルシートとして市販のものを用いる場合には、該市販品は予め上記したような表面処理が施されたものや、易接着剤層が設けられたものも用いることができる。

0021

基材1の厚みは、通常10〜150μmであり、10〜125μmが好ましく、10〜80μmがより好ましい。また、基材1としては、これら樹脂の単層シート、あるいは同種又は異種樹脂による複層シートを用いることができる。

0022

(離型層2)
離型層2は、基材1と保護層3との剥離性を高めることなどを目的として、必要に応じて、基材1の保護層3が積層される側の表面に設けられる。離型層2は、全面を被覆(全面ベタ状)しているベタ離型層であってもよいし、一部に設けられるものであってもよい。通常は、剥離性を考慮して、ベタ離型層が好ましい。

0023

離型層2は、シリコーン系樹脂フッ素系樹脂、アクリル系樹脂(例えば、アクリルメラミン系樹脂が含まれる。)、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂ポリスチレン系樹脂ポリウレタン系樹脂セルロース系樹脂塩化ビニル酢酸ビニル系共重合体樹脂硝化綿などの熱可塑性樹脂、該熱可塑性樹脂を形成するモノマー共重合体、あるいはこれらの樹脂を(メタアクリル酸ウレタン変性したものを、単独で又は複数を混合した樹脂組成物を用いて形成することができる。なかでも、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、これらの樹脂を形成するモノマーの共重合体、及びこれらをウレタン変性したものが好ましく、より具体的には、アクリル−メラミン系樹脂単独、アクリル−メラミン系樹脂含有組成物、ポリエステル系樹脂とエチレン及びアクリル酸の共重合体をウレタン変性したものとを混合した樹脂組成物、アクリル系樹脂とスチレン及びアクリルとの共重合体のエマルションとを混合した樹脂組成物などが挙げられる。これらの内、アクリル−メラミン系樹脂単独又はアクリル−メラミン系樹脂を50質量%以上含有組成物で離型層2を構成することが特に好ましい。なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、他の類似するものについても同様である。また、離型層2は、電離放射線照射することにより、架橋硬化する分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマーオリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合した保護層3の項目に記載の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて形成することができる。

0024

離型層2の厚みは、通常、0.01〜5μm程度であり、好ましくは、0.05〜3μm程度である。

0025

(転写層9)
本発明の加飾シートにおいては、支持体10の上に形成された、保護層3、プライマー層4、装飾層5、必要に応じてさらに形成される接着層6などが転写層9を構成している。本発明においては、加飾シートと成形樹脂を一体成形した後に、支持体10と転写層9の界面が引き剥がされ、加飾シートの転写層9が成形樹脂層8に転写された加飾樹脂成形品が得られる。

0026

[保護層3]
保護層3は、加飾シートの耐薬品性耐傷付き性などを高めるために、加飾樹脂成形品の最表面に位置するようにして、加飾シートに設けられる層である。本発明において、保護層3を形成する樹脂としては、特に制限されず、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などが挙げられ、加飾シートの用途に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、加飾シートの耐傷付き性を高め、優れた表面特性を付与する観点からは、電離放射線硬化性樹脂が好ましい。保護層3は、1層により形成されていてもよいし、2層以上により形成されていてもよい。

0027

熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂フェノール樹脂ユリア樹脂不飽和ポリエステル樹脂メラミン樹脂アルキド樹脂ポリイミド樹脂シリコーン樹脂水酸基官能性アクリル樹脂カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などが挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル−スチレンアクリル酸エステル樹脂;などが挙げられる。

0028

(電離放射線硬化性樹脂)
保護層3の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線γ線等の電磁波、α線イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、保護層3の形成において好適に使用される。

0029

電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0030

また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂ビスフェノール型エポキシ樹脂脂肪族ビニルエーテル芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖カーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートであるポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールポリエステルポリオールカプロラクトン系ポリオールやポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが特に好ましい。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0031

本発明の加飾シートを三次元成形用に用いる場合、上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、優れた三次元成形性を得る観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することがより好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂として多官能性(メタ)アクリレートモノマーを用いる場合、優れた三次元成形性を得る観点からは、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂と組み合わせて使用することが好ましく、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、電離放射線硬化性樹脂組成物中の多官能性(メタ)アクリレートモノマーと熱可塑性樹脂との質量比を25:75〜75:25とすることがより好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂としてウレタン(メタ)アクリレートを用いる場合、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、カプロラクトン系ポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸によってエステル化することによって得られるカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレートや、上記したポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。

0032

(無機粒子及び有機粒子)
保護層3は、加飾シートの耐薬品性、耐傷付き性を向上させること、漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出させることなどを目的として、無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方の粒子を含んでいてもよい。保護層3が無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方の粒子を含む場合、保護層3におけるこれらの粒子の合計含有量としては、好ましくは30〜60質量%程度、好ましくは40〜50質量%程度が挙げられる。また、保護層3に含まれるこれらの粒子の平均粒子径としては、好ましくは0.01〜0.5μm程度が挙げられる。保護層3におけるこれらの粒子の含有量及び粒子径を上記の範囲とすることで、本発明の加飾シートにより得られる漆黒感をより鮮明にすることができる。また、保護層3における無機粒子及び有機粒子の種類としては、後述のプライマー層4で例示したものと同様のものを用いることができる。なお、保護層3に含まれるこれらの粒子の平均粒子径の測定方法及び算出方法は、後述のプライマー層4に示した方法と同様である。

0033

(他の添加成分)
保護層3には、保護層3に備えさせる所望の物性に応じて、上記の無機粒子及び有機粒子の他、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤光安定剤等の耐候性改善剤耐摩耗性向上剤重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤レベリング剤チクソ性付与剤カップリング剤可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤、等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。

0034

(保護層3の厚み)
保護層3の厚み(乾燥又は硬化後の厚み)については、特に制限されないが、例えば、1〜1000μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmが挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性、耐候性等の保護層としての十分な物性が得られると共に、保護層3を電離放射線硬化性樹脂を用いて形成する場合には電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、保護層3の厚みが前記範囲を充足することによって、加飾シートの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な三次元形状に対して高い追従性を得ることができる。

0035

(電離放射線硬化性樹脂を用いる場合の保護層3の形成)
保護層3の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、保護層3の下に位置するプライマー層4の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。

0036

本発明においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、保護層3の下に位置するプライマー層4の上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。

0037

このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて保護層3を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。

0038

なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、保護層3の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと保護層3の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、保護層3の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。

0039

また、照射線量は、保護層3の架橋密度飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。

0040

更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子加速器を用いることができる。

0041

電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む光線放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈低圧水メタルハライドランプカーボンアーク燈、紫外線発光ダイオードLED−UV)等が挙げられる。

0042

かくして形成された保護層3には、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。

0043

[プライマー層4]
プライマー層4は、保護層3とその下(支持体10とは反対側)に位置する層との密着性を高め、かつ、水酸基価44mgKOH/g以下の樹脂Aを含む樹脂組成物の硬化物により形成することによって、黒色顔料を含む後述の装飾層5との相互作用により、転写後の加飾樹脂成形品に漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出させるために設けられる層である。プライマー層4が配置されることにより、装飾層5に形成された模様文字パターン状の絵柄、又は無模様単色の意匠が、とりわけ濃色の色調で表現されている場合には、当該色調が有する本来の色合い、例えば、黒色であれば漆黒感を有する色合いを鮮明に表出できる。このほか、プライマー層4は、密着性の向上、耐候性の向上、強度の向上などにも寄与する。

0044

プライマー層4の形成に用いられる樹脂Aとしては、水酸基価44mgKOH/g以下であれば特に制限されず、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂ポリカーボネート系樹脂ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられるが、特にアクリル系樹脂が好ましい。また、プライマー層4を形成する樹脂組成物は、樹脂Aと共に、イソシアネート系硬化剤を含むことが好ましい。

0045

例えば、保護層側の表面の少なくとも一部に、前記L*値が2.5以下となる非常に明度の低い黒色の部分を有しているような樹脂成形品を得る観点からは、樹脂Aの水酸基価としては、好ましくは0〜40mgKOH/g程度の範囲、より好ましくは0〜25mgKOH/g程度の範囲が挙げられる。なお、本発明において、樹脂の水酸基価は、JIS K 1557−1に規定される方法によって測定した値である。

0046

樹脂Aのガラス転移温度としては、50℃以上であることが好ましい。樹脂Aのガラス転移温度を50℃以上とすることにより、後述する装飾層5をプライマー層4上に印刷により形成する際に、装飾層5の転移性が良好となる。そのため、製品品質が安定して生産都合が良く、また装飾層5の色ムラが発生し難くなることによって、さらに意匠性に優れた樹脂成形品を提供することが可能となる。樹脂Aのガラス転移温度としては、装飾層5の転移性を良好とし、また濃色な意匠をより鮮明に表出する観点から、好ましくは50〜150℃程度の範囲、より好ましくは65〜115℃程度の範囲が挙げられる。なお、本発明において、樹脂のガラス転移温度(℃)は、示差熱量分析DSC)法により、ピークショルダーになる温度(℃)を意味する。

0047

樹脂Aの重量平均分子量としては、好ましくは1,000〜500,000程度の範囲、より好ましくは5,000〜100,000程度の範囲が挙げられる。なお、本発明において、樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析によって測定され、かつ標準ポリスチレン換算された値である。

0048

本発明のプライマー層4を形成する樹脂成分における樹脂Aの含有量としては、特に制限されないが、漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出する観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25〜100質量%の範囲、さらに好ましくは45〜100質量%の範囲、いっそう好ましくは65〜100質量%が挙げられる。プライマー層4を形成する樹脂成分は、すべて樹脂Aであることが特に好ましい。

0049

<イソシアネート系硬化剤>
本発明のプライマー層4を形成する樹脂組成物がイソシアネート系硬化剤を含む場合、イソシアネート系硬化剤としては、特に制限されないが、多価イソシアネートが好ましく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートキシリレンジイソシアネートナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネートないしは脂環式イソシアネートなどを用いることができる。また、上述の各種イソシアネート付加体又は多量体を用いることができ、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等も用いることができる。イソシアネート系硬化剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。

0050

イソシアネート系硬化剤のなかでは、特に、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式イソシアネート、キシリレンジイソシアネート、或いはこれらイソシアネートの付加体又は多量体を用いることができる。これらのイソシアネート系硬化剤は、特に、無黄変型イソシアネート化合物とよばれ、耐候性試験などによる黄変を抑制しつつ、装飾層に形成された絵柄などの色調が有する本来の色合いを鮮明に表出した状態を維持することができる。すなわち、イソシアネート系硬化剤は、無黄変型イソシアネート化合物であることが好ましい。

0051

プライマー層4を形成する樹脂組成物がイソシアネート系硬化剤を含む場合、樹脂組成物におけるイソシアネート系硬化剤の含有量としては、特に制限されないが、密着性の観点や装飾層などを積層する際の印刷適正の観点から、樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、好ましくは3〜45質量部程度、より好ましくは3〜25質量部程度が挙げられる。

0052

<バインダー樹脂>
本発明のプライマー層4を形成する樹脂組成物は、樹脂Aに加えて、さらにバインダー樹脂を含んでいてもよい。なお、本発明において、バインダー樹脂は、上記の樹脂Aの要件を充足しない樹脂であり、水酸基価が44mgKOH/gを超える樹脂である。バインダー樹脂として具体的には、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。バインダー樹脂として使用可能な樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは1万〜30万程度、より好ましくは5〜20万程度が挙げられる。

0053

<無機粒子及び有機粒子>
プライマー層4は、転写後の加飾樹脂成形品に漆黒感などの濃色な意匠をよりいっそう鮮明に表出させるため、無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方の粒子を含んでいても良い。プライマー層4における無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方の粒子の合計含有量としては、好ましくは11〜50質量%程度、より好ましくは25〜35質量%程度が挙げられる。

0054

無機粒子及び有機粒子の平均粒子径としては、特に制限されないが、装飾層5との相互作用によって漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出させる観点からは、好ましくは0.01〜3μm程度、より好ましくは1〜2μm程度が挙げられる。なお、無機粒子及び有機粒子の平均粒子径は、溶液中の該粒子を動的光散乱方法で測定し、粒子径分布累積分布で表したときの50%粒子径(d50:メジアン径)を意味し、Microtrac粒度分析計(日機装株式会社製)を用いて測定された値である。

0055

無機粒子としては、特に制限されないが、装飾層5との相互作用によって漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出させる観点からは、シリカ粒子コロイダルシリカヒュームドシリカ沈降性シリカなど)、アルミナ粒子ジルコニア粒子チタニア粒子酸化亜鉛粒子などの金属酸化物粒子が好ましく挙げられ、シリカ粒子及びアルミナ粒子が好ましく、特にシリカ粒子が好ましい。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。

0056

有機粒子としては、特に制限されないが、装飾層5との相互作用によって漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出させる観点からは、ウレタンビーズナイロンビーズアクリルビーズシリコーンビーズスチレンビーズメラミンビーズ、ウレタンアクリルビーズ、ポリエステルビーズ、ポリエチレンビーズなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくはウレタンビーズ、ナイロンビーズ、アクリルビーズが挙げられる。有機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。

0057

無機粒子及び有機粒子の形状としては、球、楕円体多面体鱗片形などが挙げられ、これらの形状が均一で、整粒であることが好ましい。無機粒子及び有機粒子は、それぞれ、市販品を使用することもできる。

0058

プライマー層4は、無機粒子及び有機粒子の少なくとも一方の粒子を含めばよいが、無機粒子を含むことが好ましく、プライマー層4に含まれる粒子は実質的に無機粒子のみであってもよい。

0059

プライマー層4の厚みについては、特に制限されないが、例えば0.1〜10μm程度、好ましくは1〜10μm程度が挙げられる。プライマー層4がこのような厚みを充足することにより、加飾シートの漆黒感などの濃色な意匠をより鮮明に表出させると共に、保護層3の割れ破断白化等を有効に抑制することができる。

0060

プライマー層4は、プライマー層4を形成する樹脂組成物を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコートシルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗りスプレーコート等の通常の塗布方法転写コーティング法により形成される。ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層や接着層の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。

0061

[装飾層5]
装飾層5は、上記のプライマー層4と共に、転写後の加飾樹脂成形品に漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出するために設けられる層である。装飾層5は、黒色顔料を含む。装飾層5に含まれる黒色顔料による黒色の意匠が、上記のプライマー層4と相互作用して、転写後の加飾樹脂成形品に漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出する。装飾層5は、部分的に設けられた層であってもよいが、加飾シートの全面に形成されている(全面ベタ層である)ことが好ましい。また、装飾層5のうち、少なくとも一部分が、黒色の意匠を呈する部分を有しており、他の部分が黒色以外の意匠を呈していてもよい。

0062

図示しないが、装飾層5は、少なくとも装飾柄層及び装飾ベタ層のいずれか一方を有する。装飾柄層及び装飾ベタ層を両方備えていてもよい。装飾柄層及び装飾ベタ層はそれぞれ、必要に応じて隠蔽性を有する色に着色されていてもよいし、透明性を有していてもよい。本発明の加飾シートにおいては、上記の樹脂Aを用いたプライマー層4と共に、黒色の顔料を含む装飾層5を有しているため、例えば、保護層3側の表面の少なくとも一部に、L*値が2.5以下となる非常に明度の低い黒色の部分を有しているような樹脂成形品が得られる。このような樹脂成形品は、保護層3を介して観察した際に、「鮮明で光沢感のある黒」、「ピアノブラック」、又は「漆黒」と表現される色が表出される。

0063

装飾柄層及び装飾ベタ層には、それぞれ、模様、文字、パターン状の絵柄などが印刷インキなどによって形成される。絵柄は、汎用の印刷技術によって印刷可能なものであれば、任意である。例えば、木目石目布目砂目幾何学模様、文字などが挙げられる。装飾ベタ層は、プライマー層4の表面の全面に亘って均一に形成される層である。或いは、装飾柄層が印刷されたプライマー層4の全面に亘って形成される。装飾ベタ層は、装飾柄層に形成された絵柄を引き立てるために、装飾柄層よりも成形品側に配置されている。加飾前の成形品表面の地色を、保護層3側から観察されないようにするためには、隠蔽性の高い装飾柄層及び装飾ベタ層を形成することが好ましい。

0064

装飾層5に含まれる黒色顔料としては、黒色を表出させることができるものであれば特に制限されず、例えば、カーボンブラックマグネタイト四酸化三鉄などが挙げられる。黒色顔料は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。顔料の粒径としては、特に制限はないが、好ましくは平均粒径10nm〜100nm、更に好ましくは10nm〜40nmが挙げられる。

0065

装飾層5における黒色顔料の含有量としては、特に制限されないが、上記のプライマー層4との相互作用によって漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出させる観点からは、好ましくは10〜50質量%程度、より好ましくは30〜40質量%程度が挙げられる。

0066

装飾層5は、黒色顔料、バインダー樹脂、及び溶剤又は分散媒を含む印刷インキを用いて形成される。

0067

装飾層5は、本発明の効果を阻害しない範囲において、黒色顔料以外の他の着色剤を含んでいてもよい。他の着色剤としては、特に制限されないが、例えば、アルミニウムクロムニッケル、錫、チタンリン化鉄、銅、金、銀、真鍮等の金属、合金、又は金属化合物の鱗片状箔粉からなるメタリック顔料マイカ酸化鉄二酸化チタン被覆雲母二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、二酸化チタン被覆タルク魚鱗箔、着色二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢パール)顔料;アルミン酸ストロンチウムアルミン酸カルシウムアルミン酸バリウム硫化亜鉛硫化カルシウム等の蛍光顔料二酸化チタン亜鉛華三酸化アンチモン等の白色無機顔料;亜鉛華、弁柄群青コバルトブルーチタン黄黄鉛等の無機顔料イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッドパーマネントレッド4RフタロシアニンブルーインスレブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料染料も含む)等が挙げられる。これらの他の着色剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0068

また、装飾層5の形成に用いられる印刷インキのバインダー樹脂としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂ポリビニルブチラール樹脂アルキド系樹脂石油系樹脂ケトン樹脂エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体ゴム系樹脂等が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0069

また、プライマー層と装飾層との馴染みを良くし、漆黒感などの濃色な意匠を鮮明に表出させる観点から、装飾層5は、黒色顔料と、前記樹脂Aと同一の樹脂からなるバインダー樹脂を含む樹脂組成物により形成されていてもよい。同一樹脂を積層した方がプライマー層と黒色の装飾層との馴染が良いため、プライマー層と黒色の装飾層との界面が生じ難く、干渉縞等の発生を抑制でき、漆黒性の向上に繋がる。

0070

また、装飾層5の形成に用いられる印刷インキの溶剤又は分散媒としては、特に制限されないが、例えば、ヘキサンヘプタンオクタントルエンキシレンエチルベンゼンシクロヘキサンメチルシクロヘキサン等の石油有機溶剤酢酸エチル酢酸ブチル酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤メチルアルコールエチルアルコールノルマルプロピルアルコールイソプロピルアルコールイソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤ジエチルエーテルジオキサンテトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン四塩化炭素トリクロロエチレンテトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等が挙げられる。これらの溶剤又は分散媒は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0071

また、装飾層5の形成に使用される印刷インキには、必要に応じて、沈降防止剤硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、滑剤等が含まれていてもよい。

0072

装飾層5は、プライマー層4上など隣接する層の上に、グラビア印刷フレキソ印刷シルクスクリーン印刷オフセット印刷等の公知の印刷法によって形成することができる。

0073

装飾層5の厚さについては、特に制限されないが、例えば、1〜40μm程度、好ましくは3〜30μm程度が挙げられる。

0074

[接着層6]
接着層6は、加飾シートと成形樹脂層8との密着性などを向上させることなどを目的として、装飾層5の裏面(成形樹脂層8側)などに必要に応じて設けられる層である。接着層6を形成する樹脂としては、これらの層間の密着性や接着性を向上させることができるものであれば、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体熱可塑性ウレタン樹脂熱可塑性ポリエステル樹脂ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。

0075

接着層6は必ずしも必要な層ではないが、本発明の加飾シートを、例えば後述する真空圧着法など、予め用意された樹脂成形体上へ貼着による加飾方法に適用することを想定した場合は、設けられていることが好ましい。真空圧着法に用いる場合、上記した各種の樹脂のうち、加圧又は加熱により接着性を発現する樹脂として慣用のものを使用して接着層6を形成することが好ましい。

0076

接着層6の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.1〜30μm程度、好ましくは0.5〜20μm程度、さらに好ましくは1〜8μm程度が挙げられる。

0077

2.加飾樹脂成形品及びその製造方法
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートに成形樹脂を一体化させ、保護層3、プライマー層4、及び装飾層5を含む転写層9を成形樹脂層8に転写することにより製造することができる。具体的には、本発明の加飾シートを転写型の加飾シートとして用い、当該加飾シートの支持体10とは反対側に成形樹脂層8を積層することにより、少なくとも成形樹脂層8と、装飾層5と、プライマー層4と、保護層3と、支持体10とがこの順に積層された、支持体付き加飾樹脂成形品が得られる(例えば図2を参照)。次に、支持体付き加飾樹脂成形品から支持体10を剥離することにより、少なくとも成形樹脂層8と、装飾層5と、プライマー層4と、保護層3とが積層された本発明の加飾樹脂成形品が得られる(例えば図3を参照)。図3に示されるように、本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、上述の接着層6などがさらに設けられていてもよい。本発明の加飾シートにおいて、保護層3、装飾層5、プライマー層4、及び接着層6などが転写層9を形成しており、基材1及び離型層2が支持体10を形成しており、加飾シートの転写層9が成形樹脂層8に転写されて加飾樹脂成形品が得られる。

0078

本発明の加飾樹脂成形品は、保護層側の表面の少なくとも一部に、L*値が2.5以下となる黒色の部分を有していることが好ましい。本発明の加飾樹脂成形品は、上記の本発明の加飾シートを用いて製造されるため、このような明度の非常に低い黒色の部分を有することが可能であり、当該部分に優れた漆黒感を表出することができる。さらに、本発明の加飾樹脂成形品の保護層側の表面の全面が、L*値が2.5以下となる黒色である場合には、加飾樹脂成形品全体として、優れた漆黒感が表出される。

0079

本発明の加飾樹脂成型品の表面のL*値は、加飾樹脂成形品の保護層側の表面について、コニカミノルタ社製分光測色計CM−2500dを用いて(光源D65、角度10°)L*a*b*表色系のL*値を測定した値である。

0080

転写用加飾シートによる本発明の加飾樹脂成形品の製造方法としては、以下の工程(1)〜(5)を含む方法が挙げられる。
(1)まず、上記加飾シートの装飾層側(支持体と反対側)を金型内に向けて、熱盤によって装飾層側から加飾シートを加熱する工程、
(2)加熱された該加飾シートを金型内形状に沿うように予備成形(真空成形)して金型内面密着させて型締する工程、
(3)樹脂を金型内に射出する工程、
(4)該射出樹脂が冷却した後に金型から加飾樹脂成形品(支持体付き加飾樹脂成形品)を取り出す工程、及び
(5)加飾樹脂成形品の保護層から支持体を剥離する工程。

0081

上記両工程(1)及び(2)において、加飾シートを加熱する温度は、基材1のガラス転移温度近傍以上で、かつ、溶融温度(又は融点)未満の範囲であることが好ましい。通常はガラス転移温度近傍の温度で行うことが、より好ましい。なお、上記のガラス転移温度近傍とは、ガラス転移温度±5℃程度の範囲を指し、基材1として好適なポリエステルフィルムを使用する場合には、一般に70〜130℃程度である。なお、あまり複雑でない形状の金型を用いる場合は、加飾シートを加熱する工程や、加飾シートを予備成形する工程を省略し、後記する工程(3)において、射出樹脂の熱と圧力によって加飾シートを金型の形状に成形してもよい。

0082

上記工程(3)において、後述する成形用樹脂を溶融させて、キャビティ内に射出して該加飾シートと成形用樹脂とを一体化させる。成形用樹脂が熱可塑性樹脂の場合は、加熱溶融によって流動状態にして、また、成形用樹脂が熱硬化性樹脂の場合は、未硬化の液状組成物を室温又は適宜加熱して流動状態で射出して、冷却して固化させる。これによって、加飾シートが、形成された樹脂成形体と一体化して貼り付き、支持体付き加飾樹脂成形品となる。射出樹脂の加熱温度は、成形用樹脂の種類によるが、一般に180〜320℃程度である。

0083

このようにして得られた支持体付き加飾樹脂成形品は、工程(4)において冷却した後に金型から取り出した後、工程(5)において支持体10を保護層3から剥離することにより加飾樹脂成形品を得る。また、支持体10を保護層3から剥離する工程は、加飾樹脂成形品を金型から取り出す工程と同時に行われてもよい。すなわち、工程(5)は工程(4)に含まれるものであってもよい。

0084

さらに、加飾樹脂成形品の製造は、真空圧着法により行うこともできる。真空圧着法では、まず、上側に位置する第1真空室及び下側に位置する第2真空室からなる真空圧着機内に、本発明の加飾シート及び樹脂成形体を、加飾シートが第1真空室側、樹脂成形体が第2真空室側となるように、且つ加飾シートの成形樹脂層8を積層する側が樹脂成形体側に向くように真空圧着機内に設置し、2つの真空室を真空状態とする。樹脂成形体は、第2真空室側に備えられた、上下に昇降可能な昇降台上に設置される。次いで、第1の真空室を加圧すると共に、昇降台を用いて成形体を加飾シートに押し当て、2つの真空室間圧力差を利用して、加飾シートを延伸しながら樹脂成形体の表面に貼着する。最後に2つの真空室を大気圧開放し、支持体10を剥離し、必要に応じて加飾シートの余分な部分をトリミングすることにより、本発明の加飾樹脂成形品を得ることができる。

0085

真空圧着法においては、上記の成形体を加飾シートに押し当てる工程の前に、加飾シートを軟化させて成形性を高めるため、加飾シートを加熱する工程を備えることが好ましい。当該工程を備える真空圧着法は、特に真空加熱圧着法と呼ばれることがある。当該工程における加熱温度は、加飾シートを構成する樹脂の種類や、加飾シートの厚みなどによって適宜選択すればよいが、例えば基材1としてポリエステル樹脂フィルムアクリル樹脂フィルムを使用する場合であれば、通常60〜200℃程度とすることができる。

0086

本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層8は、用途に応じた樹脂を選択して形成すればよい。成形樹脂層8を形成する成形用樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。

0087

熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0088

また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。

0089

なお、支持体付き加飾樹脂成形品において、支持体10は、加飾樹脂成形品の保護シートとしての役割を果たすので、支持体付き加飾樹脂成形品の製造後に剥離させずにそのまま保管しておき、用時に支持体10を剥がしてもよい。このような態様で使用することにより、輸送時の擦れ等によって加飾樹脂成形品に傷付きが生じるのを防止することができる。

0090

本発明の加飾樹脂成形品は、漆黒感などの濃色な意匠が鮮明に表出されているため、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材窓枠扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機空調機等の家電製品の筐体容器等として利用することができる。

0091

以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。

0092

[加飾シートの製造]
基材として、一方面に易接着剤層が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)を用いた。ポリエチレンテレフタレートフィルムの易接着剤層の面に、メラミン系樹脂を主成分とすると塗工液をグラビア印刷にて印刷して離型層(厚さ1μm)を形成した。次いで、離型層の上に、表1に示す電離放射線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚さが3μmとなるようにバーコーダーにより塗工し、保護層形成用塗布膜を形成した。この塗膜上から加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、保護層形成用塗布膜を硬化させて保護層を形成した。この保護層の上に、表1に記載の樹脂Aを含む樹脂組成物をグラビアにより塗工し、プライマー層(厚み1.5μm)を形成した。更に、プライマー層上に、アクリル系樹脂及び塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂(アクリル樹脂50質量%、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂50質量%)をバインダー樹脂とし、黒色顔料(カーボンブラック、平均粒径13nm)を30質量%含む装飾層形成用黒色系インキ組成物を用いて、黒ベタの装飾層(厚さ2μm)をグラビア印刷により形成した。更に、装飾層上に、アクリル系樹脂(軟化温度:125℃)を含む接着層形成用の樹脂組成物を用いて、接着層(厚さ2μm)をグラビア印刷により形成することにより、基材/離型層/保護層/プライマー層/装飾層/接着層が順に積層された加飾シートを製造した。保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物、及びプライマー層を形成する樹脂組成物の詳細は、以下の通りである。

0093

<電離放射線硬化性樹脂組成物>
・電離放射線硬化性樹脂組成物A:多官能(メタ)アクリレートモノマー(ペンタエリスリトールトリアクリレート,分子量:298)40質量部、重量平均分子量Mw150000の熱可塑性樹脂(アクリル樹脂,ガラス転移温度Tg:105℃)60質量部、その他紫外線吸収剤:1.1質量部、光安定剤:0.6質量部、及びレベリング剤0.2質量部を含む電離放射線硬化性樹脂組成物
・電離放射線硬化性樹脂組成物B:2官能ポリカーボネートウレタンアクリレート(重量平均分子量:10,000)94質量部、及び6官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量:6,000)6質量部、その他紫外線吸収剤:1.1質量部、光安定剤:0.6質量部、及びレベリング剤0.2質量部を含む電離放射線硬化性樹脂組成物

0094

<プライマー層を形成する樹脂組成物>
実施例1:アクリル系樹脂a(ガラス転移温度40℃、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量105,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:17で含む樹脂組成物
実施例2:アクリル系樹脂b(ガラス転移温度50℃、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量70,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例3:アクリル系樹脂c(ガラス転移温度80℃、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量65,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例4:アクリル系樹脂d(ガラス転移温度105℃、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量68,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例5:アクリル系樹脂e(ガラス転移温度105℃、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量40,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例6:アクリル系樹脂f(ガラス転移温度135℃、水酸基価25mgKOH/g、重量平均分子量15,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:17で含む樹脂組成物
実施例7:アクリル系樹脂g(ガラス転移温度70℃、水酸基価35mgKOH/g、重量平均分子量50,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例8:アクリル系樹脂h(ガラス転移温度90℃、水酸基価40mgKOH/g、重量平均分子量35,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例9:エステル系樹脂a(ガラス転移温度65℃、水酸基価6mgKOH/g、重量平均分子量15,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:17で含む樹脂組成物
実施例10:エステル系樹脂b(ガラス転移温度67℃、水酸基価6mgKOH/g、重量平均分子量17,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例11:ウレタン系樹脂a(ガラス転移温度92℃、水酸基価19mgKOH/g、重量平均分子量6,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例12:アクリル系樹脂d(ガラス転移温度105℃、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量68,000)及びアクリル系樹脂i(ガラス転移温度90℃、水酸基価81mgKOH/g、重量平均分子量35,000)の混合樹脂固形分での質量比100:50)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例13:アクリル系樹脂d(ガラス転移温度105℃、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量68,000)及びアクリル系樹脂i(ガラス転移温度90℃、水酸基価81mgKOH/g、重量平均分子量35,000)の混合樹脂(固形分での質量比100:115)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
実施例14:アクリル系樹脂d(ガラス転移温度105℃、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量68,000)及びアクリル系樹脂i(ガラス転移温度90℃、水酸基価81mgKOH/g、重量平均分子量35,000)の混合樹脂(固形分での質量比100:270)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:22で含む樹脂組成物
比較例1:アクリル系樹脂i(ガラス転移温度90℃、水酸基価81mgKOH/g、重量平均分子量35,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:28で含む樹脂組成物
比較例2:アクリル系樹脂i(ガラス転移温度90℃、水酸基価81mgKOH/g、重量平均分子量35,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:28で含む樹脂組成物
比較例3:アクリル系樹脂j(ガラス転移温度90℃、水酸基価120mgKOH/g、重量平均分子量35,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:28で含む樹脂組成物
比較例4:アクリル系樹脂k(ガラス転移温度45℃、水酸基価150mgKOH/g、重量平均分子量15,000)とイソシアネート系硬化剤(XDI)とを質量比100:27で含む樹脂組成物

0095

なお、表1に示す樹脂Aの重量平均分子量、ガラス転移温度Tg、及び水酸基価は、それぞれ、以下の方法により測定した値である。
(1)水酸基価
JIS K 1557−1に規定される方法によって測定した。
(2)重量平均分子量
GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された値を用いた。
(3)ガラス転移温度Tg
示差熱量分析(DSC)法により、ピークショルダーになる温度をガラス転移温度Tg(℃)とした。

0096

[樹脂成形品の製造]
上記で得られた各加飾シートを金型に入れて、赤外線ヒーターで350℃、7秒間加熱し、真空成形で金型内の形状に沿うように予備成形して型締した(最大延伸倍率100%)。その後、射出樹脂を金型のキャビティ内に射出し、該加飾シートと射出樹脂とを一体化成形し、金型から取り出すと同時に支持体(基材及び離型層)を剥離除去することにより、加飾樹脂成形品を得た。

0097

<プライマー層を介した装飾層と保護層との初期密着性
上記で得られた加飾樹脂成形品について、プライマー層を介した装飾層と保護層との密着性を碁盤目密着試験(2mm間隔で縦11本、横11本の切り込みを入れ100マス碁盤目を形成した後、ニチバン製セロテープ登録商標)を碁盤目上に圧着し、急激剥離)により、下記評価基準で評価した。
(評価基準)
○:保護層、装飾層ともに剥離せず、良好に密着していた
△:保護層、または装飾層が軽微に剥離したが、実用上問題ない程度であった
×:保護層、または装飾層が剥離した

0098

<加飾樹脂成形品のL値の測定>
加飾樹脂成型品の表面について、コニカミノルタ社製分光測色計CM−2500dを用いて(光源D65、角度10°)L*a*b*表色系のL*値の測定を行った。結果を表1に示す。

0099

<装飾層のプライマー層に対する転移性>
基材に離型層/保護層を順に積層したフィルムにグラビア印刷にてプライマー層/装飾層/接着層を形成した。その際に版へのインキ取られの有無、印刷筋の状態を加飾シートの状態、及び加飾樹脂成形品の状態で目視にて確認した。
◎:インキ取られ、印刷筋等が加飾シートの状態でも成形品の状態でも見られず、転移性が良好であった
○:軽微な印刷筋等が加飾シートの状態で確認されたが、成形後目視で確認できないため、実用上問題なし
△:インキ取られ、印刷筋等が成形後でも目視で確認される箇所が存在した
×:インキ取られ、印刷筋等が成形後でも広い範囲に亘り見られ、意匠感が大きく損なわれていた

実施例

0100

0101

1基材
2離型層
3 保護層
4プライマー層
5装飾層
6接着層
8成形樹脂層
9転写層
10 支持体

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