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技術 三次元細胞集合体の作製方法

出願人 公立大学法人横浜市立大学国立大学法人大阪大学国立大学法人名古屋大学
発明者 横山詩子石川義弘金子真佐久間臣耶新井史人
出願日 2015年9月29日 (5年11ヶ月経過) 出願番号 2016-552042
公開日 2017年7月13日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 WO2016-052472
状態 特許登録済
技術分野 動物,微生物物質含有医薬 微生物・酵素関連装置 微生物、その培養処理 医療用材料
主要キーワード 周期的加 加圧パターン 閉鎖空間内 内面積 廃液ライン 足場材 平方センチ 細胞培養器材
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題・解決手段

細胞剥離して重ね合わせるという操作を経ずに、簡便な工程で厚みのある細胞集合体を作製することを可能にする手段が開示されている。本発明による三次元細胞集合体作製方法は、細胞収容容器内に細胞懸濁液を収容する細胞収容工程、及び前記容器内の細胞に圧力を印加する圧力印加工程を含む。細胞収容工程及び圧力印加工程は、複数回繰り返して実施してもよい。本発明の方法によれば、細胞懸濁液ないしは細胞を含む媒体に圧力印加するという単純な操作のみで、厚みのある頑強性の高い細胞集合体を得ることができる。複数の細胞シートを重ね合わせるという操作も不要であるため、細胞に与えるダメージが極めて少なく、細胞が良好な状態を保てるので、移植用組織片として用いる場合にも有利である。

概要

背景

再生医療の分野では、生分解性高分子足場材を用いた三次元組織、及び足場材を用いない細胞シート研究開発が進められており、特に近年では細胞シート技術が注目を集めている。細胞シートを作製するためには、細胞懸濁液を細胞培養容器に入れ、インキュベータ内で増殖させた後、増殖した単層細胞シート培養容器表面から回収して、各細胞シートを重ね合わせることが必要である。多くの細胞には接触すると成長が止まる性質があるため、ある一定以上の厚みを持つ細胞シートを作製するためには、細胞シートを容器から剥離して重ね合わせる必要がある。しかしながら、接着能を有する細胞を容器から回収するためにはタンパク質分解酵素が必要であり、それゆえ細胞組織が個々の細胞レベルに分解されてしまい、正常な細胞組織としての回収が困難であった。

上記の問題点を改良したのが特許文献1の技術である。特許文献1には、「温度応答性細胞培養器材」を利用し、培養温度を変えるだけで培養細胞を細胞シートとして回収する技術が開示されている。得られた培養細胞は酵素処理を受けていないため、細胞と細胞の間にあるタンパク質を壊さないまま一枚のシートとして回収することができるという利点を有している。

しかしながら、特許文献1の手法によっても、一定以上の厚みを持つ細胞シートを作製するためには、単層の細胞シートを複数枚重ね合わせる煩雑な操作が必要である。簡便な工程で細胞を多層のシート状に三次元構築することに成功した研究例は極めて少なく、実用化できるレベルの技術は知られていない。

概要

細胞を剥離して重ね合わせるという操作を経ずに、簡便な工程で厚みのある細胞集合体を作製することを可能にする手段が開示されている。本発明による三次元細胞集合体作製方法は、細胞収容容器内に細胞懸濁液を収容する細胞収容工程、及び前記容器内の細胞に圧力を印加する圧力印加工程を含む。細胞収容工程及び圧力印加工程は、複数回繰り返して実施してもよい。本発明の方法によれば、細胞懸濁液ないしは細胞を含む媒体に圧力印加するという単純な操作のみで、厚みのある頑強性の高い細胞集合体を得ることができる。複数の細胞シートを重ね合わせるという操作も不要であるため、細胞に与えるダメージが極めて少なく、細胞が良好な状態を保てるので、移植用組織片として用いる場合にも有利である。

目的

本発明は、細胞を剥離して重ね合わせるという操作を経ずに、簡便な工程で厚みのある細胞集合体を作製することを可能にする手段を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

細胞収容容器内に細胞懸濁液を収容する細胞収容工程、及び前記容器内の細胞に圧力を印加する圧力印加工程を含む、三次元細胞集合体作製方法

請求項2

前記圧力印加工程は、多孔性三次元足場材の非共存下で行われる、請求項1記載の方法。

請求項3

印加する圧力が102kPa〜100MPaである、請求項1又は2記載の方法。

請求項4

前記細胞が動物細胞である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記細胞収容工程及び前記圧力印加工程が2回以上反復して行なわれる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

細胞収容工程及び圧力印加工程の間に、細胞懸濁液を非加圧で維持する非加圧工程を含む、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。

請求項7

請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法により作製された三次元細胞集合体を含む細胞シート

請求項8

細胞懸濁液を収容する細胞収容容器と、該細胞収容容器内の細胞に連続的に、周期的に、若しくは間欠的に、又はこれらのうちの複数の組み合わせによって圧力を印加する圧力印加手段とを含む、三次元細胞集合体の作製装置

請求項9

細胞収容容器内に多孔性の三次元足場を含まないことを特徴とする、請求項8記載の装置。

技術分野

0001

本発明は、三次元細胞集合体作製方法に関する。

背景技術

0002

再生医療の分野では、生分解性高分子足場材を用いた三次元組織、及び足場材を用いない細胞シート研究開発が進められており、特に近年では細胞シート技術が注目を集めている。細胞シートを作製するためには、細胞懸濁液を細胞培養容器に入れ、インキュベータ内で増殖させた後、増殖した単層細胞シート培養容器表面から回収して、各細胞シートを重ね合わせることが必要である。多くの細胞には接触すると成長が止まる性質があるため、ある一定以上の厚みを持つ細胞シートを作製するためには、細胞シートを容器から剥離して重ね合わせる必要がある。しかしながら、接着能を有する細胞を容器から回収するためにはタンパク質分解酵素が必要であり、それゆえ細胞組織が個々の細胞レベルに分解されてしまい、正常な細胞組織としての回収が困難であった。

0003

上記の問題点を改良したのが特許文献1の技術である。特許文献1には、「温度応答性細胞培養器材」を利用し、培養温度を変えるだけで培養細胞を細胞シートとして回収する技術が開示されている。得られた培養細胞は酵素処理を受けていないため、細胞と細胞の間にあるタンパク質を壊さないまま一枚のシートとして回収することができるという利点を有している。

0004

しかしながら、特許文献1の手法によっても、一定以上の厚みを持つ細胞シートを作製するためには、単層の細胞シートを複数枚重ね合わせる煩雑な操作が必要である。簡便な工程で細胞を多層のシート状に三次元構築することに成功した研究例は極めて少なく、実用化できるレベルの技術は知られていない。

先行技術

0005

国際公開第01/068799号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、細胞を剥離して重ね合わせるという操作を経ずに、簡便な工程で厚みのある細胞集合体を作製することを可能にする手段を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本願発明者らは、鋭意研究の結果、細胞懸濁液ないしは細胞を含む媒体圧力印加するのみで厚みのあるシート状の細胞集合体を得ることができること、さらに、細胞を追加して圧力印加を複数回繰り返すことにより、十分な強度で細胞がシート状に接着集合した細胞集合体を得ることができることを見出し、本願発明を完成した。

0008

すなわち、本発明は、細胞収容容器内に細胞懸濁液を収容する細胞収容工程、及び前記容器内の細胞に圧力を印加する圧力印加工程を含む、三次元細胞集合体の作製方法を提供する。また、本発明は、上記本発明の方法により作製された三次元細胞集合体を含む細胞シートを提供する。さらに、本発明は、細胞懸濁液を収容する細胞収容容器と、該細胞収容容器内の細胞に連続的に、周期的に、若しくは間欠的に、又はこれらのうちの複数の組み合わせによって圧力を印加する圧力印加手段とを含む、三次元細胞集合体の作製装置を提供する。

発明の効果

0009

本発明の方法によれば、細胞懸濁液ないしは細胞を含む媒体に圧力印加するという単純な操作のみで、厚みのある頑強性の高い細胞集合体を得ることができる。特許文献1記載の技術のように特殊な培養器材を使用することなく、シンプルな構成のシステムを用いてシート状の細胞集合体を作製することができる。複数の細胞シートを重ね合わせるという操作も不要であるため、細胞に与えるダメージが極めて少なく、細胞が良好な状態を保てるので、移植用組織片として用いる場合にも有利である。移植用組織片としての利用のほか、本発明の方法で得られる細胞集合体は、薬効評価薬剤スクリーニング等の創薬分野、さらには人工肉(培養肉)等の食料分野など、様々な分野での応用が期待される。

図面の簡単な説明

0010

本発明の方法を実施するためのシステムの一例の模式図である。
ヒト平滑筋細胞懸濁液を加圧処理あり又は加圧処理なしで15時間インキュベートした結果である。(A)加圧処理した細胞、(B)加圧処理なしの細胞、(C)加圧処理した細胞の切片染色像、(D)加圧処理なしの細胞の切片染色像。
ラット心臓由来筋芽細胞H9C2を加圧処理あり又は加圧処理なしで17時間インキュベートした結果である。
マウス胎仔由来線維芽細胞NIH3T3を加圧処理あり又は加圧処理なしで17時間インキュベートした結果である。
実施例で行なった細胞の追加と圧力印加を繰り返す作製法タイムコースを示す図である。
図5に示した細胞の追加と圧力印加を繰り返す作製法にて得られた細胞集合体の写真である。
実施例で行なった、細胞の追加と圧力印加を繰り返す作製法、及び圧力印加なしで細胞の追加のみ繰り返した作製法のタイムコースを示す図である。
図7に示した作製法にて得られた細胞集合体のHE染色像である。
マイクロ流体チップ内で圧力印加した臍帯動脈平滑筋細胞のF-アクチン及び細胞核免疫蛍光染色した結果である。左が圧力印加あり、右が圧力印加なし。
図示した圧力で90分間加圧処理後、大気圧で24時間培養した単層のヒト臍帯動脈平滑筋細胞について、細胞外基質遺伝子(ファイブリン4、ファイブリン5、LOX様タンパク質1)の発現量を調べた結果である。
加圧サイクルの周期が細胞集合体に及ぼす影響を調べた結果である。ヒト臍帯動脈平滑筋細胞を使用して、110kPa-180kPaの加圧サイクルで周期を変えて20時間加圧処理を行い、各種細胞基質遺伝子(フィブリリン1、フィブリリン2、ファイブリン4、ファイブリン5、LOX、LOX様タンパク質1)の発現量を調べた。*p<0.05, ***p<0.001 vs 101kPa
加圧サイクルの周期が細胞集合体に及ぼす影響を調べた結果である。ヒト臍帯動脈平滑筋細胞を使用して、110kPa-180kPaの加圧サイクルで周期を変えて20時間加圧処理を行い、各種細胞外基質遺伝子(コラーゲンI、コラーゲンIII、フィブロネクチン)の発現量を調べた。**p<0.01 vs 101kPa
細胞の追加と圧力印加を繰り返す作製法にて得られた、細胞を15層積層した細胞集合体のエラスチカワンギーソン染色像である。スケールバーは100μm。
印加する圧力の強さが細胞集合体に及ぼす影響を調べた結果である。ヒト臍帯動脈平滑筋細胞を使用して、加圧サイクルの高い圧力の強さを変えて20時間加圧処理を行い、細胞外基質遺伝子(フィブリリン1)の発現量を調べた。**p<0.01 vs 101kPa

0011

本発明による三次元細胞集合体の作製方法は、細胞収容容器内に細胞懸濁液を収容する細胞収容工程、及び前記容器内の細胞に圧力を印加する圧力印加工程を含む。

0012

圧力印加工程は、細胞懸濁液を容器内に収容した後、時間をおかず直ちに実施してもよいし、あるいは、ある程度の時間をおいて懸濁液中の細胞が容器底面に沈んでから圧力印加を実施してもよい。すなわち、本発明では、細胞収容工程及び圧力印加工程の間に、細胞懸濁液を非加圧で維持する非加圧工程を含み得る。この非加圧工程を実施する場合、非加圧時間の長さは特に限定されず、細胞の使用量や種類などに応じて適宜設定することができる。通常30分〜数時間程度以上おけば、細胞懸濁液中の細胞の大部分が容器底面に沈降するが、12時間程度以上、例えば20時間程度以上おいても差し支えない。上限も特に限定されないが、通常は数日間程度以下、例えば72時間程度以下である。

0013

本発明においては、細胞収容工程及び圧力印加工程を2回以上反復して行なうことも可能である。すなわち、細胞収容工程→圧力印加工程を1セットとし、2セット以上繰り返して実施することも可能である。細胞収容工程及び圧力印加工程を2回以上反復して行なう場合、加圧処理の内容(加圧パターン)は、各圧力印加工程を通じて同一の加圧パターンとしてもよいし、異なる加圧パターンで行なってもよい。細胞を追加して圧力印加を繰り返すことで、より厚みがあり、頑強性にさらに優れた細胞集合体を調製することができる。2セット以上繰り返す場合の反復回数は特に限定されず、数週間あるいはそれ以上の期間にわたって細胞収容工程及び圧力印加工程を多数回繰り返してもよい。なお、上述した通り、細胞収容工程と圧力印加工程の間に非加圧工程を含んでいてよいが、この非加圧工程の時間についても、各回通じて同一の長さでもよいし、時間を変えても差し支えない。

0014

本発明で用いられる細胞は動物細胞であり、好ましくはヒト細胞等の哺乳動物細胞である。細胞の種類は特に限定されず、平滑筋細胞、心筋細胞、線維芽細胞、筋芽細胞、軟骨細胞骨芽細胞等を使用することができる。人工多能性幹細胞や、各種組織の幹細胞ないしは前駆細胞等の、ヒト胚性幹細胞を除く多能性細胞分化させて調製された細胞であってもよい。

0015

ヒト患者移植する組織として用いるための細胞集合体を作製する場合には、当該患者もしくは他人から採取した細胞を培養、増殖、必要に応じて分化させて細胞懸濁液を調製すればよい。常法に従い、シャーレ等の培養容器で細胞を単層培養後、トリプシン等の酵素で処理して単層細胞を剥離し細胞を分散させ、遠心分離後に上清を除去して適当な細胞密度に調整したものを細胞懸濁液として使用できる。細胞を懸濁する媒体としては、細胞培養に一般的に使用される培地や、HEPESバッファー(4-(2-HydroxyEthyl)-1-PiperazineEthaneSulfonic acid)及びリン酸緩衝生理食塩水等の緩衝液を用いることができる。

0016

細胞懸濁液は、十分に高い細胞密度に調整する。適当な細胞密度は、細胞収容容器の形状及び大きさ、並びに細胞自体のサイズに応じて異なり得る。一般に、圧力印加する時の細胞収容容器の重力方向の底面積に対し、単層を形成できる量を超える量の細胞が細胞懸濁液に含まれていればよい。細胞収容容器がシリンジ等の円筒形状であり、これを横向きに寝かせた状態で圧力印加する場合、重力方向の底面積とは、寝かせた円筒の下半分の内面積である。1mLのシリンジで平滑筋培養細胞から細胞集合体を作製する場合、30万個/mL以上の細胞密度であれば三次元細胞集合体の作製には十分な密度である。これらと異なる細胞収容容器及び細胞を用いる場合も、通常は1平方センチメートルあたり、1000個以上、例えば10万個程度以上、又は25万個程度以上の細胞懸濁液を使用すれば十分である。細胞の密度の上限は特に限定されないが、通常1平方センチメートルあたり1000万個以下である。

0017

また、細胞懸濁液は、1種類の細胞のみで調製してもよいし、2種類以上の細胞を混合して調製してもよい。例えば、心筋組織を製造する場合には、心筋細胞と血管内皮細胞を混合して細胞懸濁液を調製して使用してもよい。また、細胞収容工程及び圧力印加工程を複数回反復して行なう場合には、細胞収容容器内に添加する細胞の種類を変えてもよい。例えば、最初の2層を線維芽細胞、次の4層を平滑筋細胞、最上層内皮細胞とするなど、異なる細胞を積層して人工組織を構築することも可能である。

0018

細胞収容容器は、生細胞に悪影響のない材質で、加圧処理に耐えうる強度を有する容器であれば特に限定されない。形状も特に限定されず、シリンジやチューブ等のような円筒形状でもよいし、フラスコのような形状でもよく、培養皿のような平たい形状の容器でもよい。細胞収容容器は、例えば、容器外気相連絡する開口部を有する密閉性のない容器であり得る。密閉性のない蓋付き容器を用いた場合には、蓋と容器本体の間の隙間が開口部となり、容器外の気相への連絡口となる。もっとも本発明では、通常、細胞収容容器を静置した状態で圧力印加を行なうので、細胞収容容器に蓋は必須ではない。通常は、高圧にも耐えうる圧力容器の内部に細胞収容容器を収納して圧力印加を行なう。圧力容器の内部に圧縮空気送り込むことにより、細胞収容容器内部の細胞(細胞を含む媒体)に圧力を印加することができる。後述する通り、高圧の媒体を細胞収容容器内に送り込むことで細胞に圧力を印加することも可能であるが、圧縮空気を用いた加圧方法システム構成がシンプルで且つ細胞収容容器の形状の選択の自由度が高く、より好ましい。

0019

細胞収容容器の内壁には、細胞接着のための表面処理コラーゲンコートポリリジンコート等)は必ずしも必要ではない。薄いシート状の細胞集合体や、シート状ではない細胞集合体を製造する場合には、細胞接着のための表面処理を施さないことで、加圧処理後の細胞集合体の回収が容易になる。また、後述する通り、細胞収容工程と圧力印加工程を2回以上反復して行なう場合には、より厚みのある頑強性により優れた細胞集合体を製造することができるが、そのような方法でシート状の細胞集合体を製造する場合には、細胞収容容器の内壁に細胞接着のための表面処理を施してもよい。1層目細胞層を容器の内壁に接着させ、その上に順次細胞層を積層させることで、より厚みがあり頑強性にさらに優れたシート状の細胞集合体を調製することができる。調製後の細胞集合体は、用手的に引きはがして容器から容易に回収することができる。

0020

人為的に圧力を加えない状態においては、細胞懸濁液ないしは細胞を含む媒体には大気圧が加わっている。本発明において、「容器内の細胞に圧力を印加する」とは、細胞を含む媒体が大気圧を超える圧力を受けた状態におくことをいう。なお、本明細書では、約100kPa〜約101kPaの圧力を「大気圧」という。また、細胞懸濁液ないしは細胞を含む媒体が大気圧のみを受けている状態を「非加圧」と表現することがある。

0021

本発明の方法において、細胞懸濁液ないしは細胞を含む媒体に印加する圧力は、102kPa程度以上であればよく、好ましくは110kPa程度以上、例えば150kPa程度以上、あるいは180kPa程度であり得る。圧力の上限は特に限定されず、細胞の種類に応じて適宜選択することができるが、通常100MPa以下であり、例えば1000kPa程度以下、500kPa程度以下、400kPa程度以下、あるいは300kPa程度以下としてよい。

0022

加圧処理の時間は特に限定されず、使用する細胞の種類や細胞数等に応じて適宜設定することができる。通常は数十分程度の加圧処理でも十分に細胞が集合接着し、三次元の細胞集合体を得ることができる。1回の圧力印加工程における加圧処理時間は、例えば30分間程度以上、90分間程度以上、3時間程度以上、又は5時間程度以上であり得る。また、1回の圧力印加工程における加圧処理時間の上限も特に限定されないが、通常は数日間程度以下であり、例えば72時間程度以下、又は48時間程度以下としてもよい。もっとも、圧力印加工程を長期間としても望ましい細胞集合体を得ることができるので、1回の加圧処理時間の上限は上記に限定されるものではなく、数日を超える期間、例えば1〜2ヶ月程度の期間行なってもよい。本発明においては、細胞懸濁液の媒体(培地、又は緩衝液)の交換は必須ではないが、細胞にとって好ましい環境を維持するために、必要に応じて加圧処理中に又は他の適当なタイミングで適宜媒体交換を行なってよい。

0023

加圧パターンは特に限定されず、連続的加圧でも周期的加圧でもよい。加圧処理時間を通じて同一の強さの圧力を連続的に印加してもよいし、数秒〜数分ないしは数百秒ごとに印加する圧力を変えて周期的な加圧処理を行なってもよい。3通り以上の圧力を組み合わせた加圧パターン(例えば、300kPa→大気圧→150kPa→大気圧)を採用してもよい。1回の圧力印加工程において、同一サイクルの周期的加圧を続けてもよいし、途中で加圧パターンを変更してもよい。好適な加圧パターンは、細胞の種類や用いる細胞数等に応じて適宜選択することができる。なお、本発明において、例えば「90分間180kPaの圧力を印加する」といった場合、90分間連続して180kPaの圧力を媒体中の細胞に印加することのほか、180kPaの加圧とより低い圧力の加圧又は非加圧(大気圧)を数秒〜数百秒ずつ繰り返すことも包含され、例えば、10秒間180kPa印加→10秒間大気圧のサイクルを90分間実施することも包含される。

0024

加圧処理中の温度は、使用する細胞の種類に応じて適宜設定される。通常、使用する細胞を培養する場合に用いられる温度条件が採用される。動物細胞の場合に通常用いられる温度は30℃〜40℃程度であり、ヒト体細胞の場合は35℃〜38℃程度とすればよい。もっとも、温度は特に限定されるものではなく、室温程度又は凍結しない程度の低温(15℃程度)まで温度を下げても差し支えない。非加圧工程を含む場合、非加圧工程も圧力印加工程と同じ温度でよいが、異なる温度を用いても良い。

0025

本発明の方法を実施するためのシステムないしは装置の一例を図1に示す。なお、以下の説明において、「細胞懸濁液」という語には、媒体全体に細胞が分散された状態にある液体の他、媒体中の細胞が下方に沈殿して細胞密度が不均一になった状態の液体も包含される。

0026

図1に示す態様では、細胞収容容器内の細胞に圧力を印加する圧力印加手段は、コンプレッサ8及びレギュレータ6を含む。内部に細胞収容容器2を収容する圧力容器4とコンプレッサ8がレギュレータ6を介して連結され、これらが閉鎖空間としてのインキュベータ10内に収容される。レギュレータ6はインキュベータ10外のコンピュータ12に接続しており、コンピュータ12からの指令によって、細胞収容容器2内の細胞懸濁液14に印加する圧力の強さ及び加圧パターンが制御される。もっとも、図1の例では圧力印加手段と、内部に細胞収容容器を含む圧力容器とが閉鎖空間内に収容されているが、本発明のシステムにおいては少なくとも細胞収容容器が閉鎖空間内に収容されていればよい。ここでいう閉鎖空間とは、内部の気体組成及び温度を外部とは別個に制御可能な空間をいう。

0027

圧力容器4は、使用する細胞収容容器2に合わせた適当な内部形状を有する。圧力容器4内に収容された細胞収容容器2は、密閉性のない容器であり(図1の例では、細胞収容容器2はシリンジであり、シリンジの先端が開口して非密閉となっている)、細胞懸濁液14が外界(インキュベータ10内の気相)とレギュレータ6を介して連絡しており、コンプレッサ8で圧縮したインキュベータ10内の空気を圧力容器4内部に送ることで加圧処理が行われる。非加圧(大気圧)とする場合、圧力設定を100kPa〜101kPa程度にすればよい。

0028

細胞収容工程と圧力印加工程を複数回繰り返して細胞集合体を調製する場合、上述した通り、細胞収容工程と圧力印加工程との間に非加圧工程を実施してよいことから、当該システムは、連続的加圧、周期的加圧又はこれらの組み合わせを間欠的に行なうことも可能となっている。すなわち、当該システムにおいて、コンピュータ12は、連続的に、周期的に若しくは間欠的に、又はこれらのうちの複数の組み合わせによって圧力を印加するように指令することができる。

0029

閉鎖空間内(インキュベータ内)のCO2濃度は、使用する細胞を通常通り培養する場合に用いられる濃度であればよい。ヒト体細胞の場合はCO2濃度5.0%とするのが一般的である。圧力印加工程中は、細胞懸濁液のpHが適切に保たれるようにインキュベータ10内のCO2濃度を調節してもよい。すなわち、図1に示すシステム例では、閉鎖空間内(インキュベータ内)のCO2濃度、すなわち圧力容器内に送り込む空気のCO2濃度を調節する手段を備えていてもよい。もっとも、数分間ごとの加圧→非加圧周期で圧力印加を行なう場合でも、インキュベータ10内のCO2濃度を変動させず一定に維持することで細胞懸濁液のpHを適切に保つことができることが確認されており、CO2濃度の調節は必ずしも必要ではなく、例えば、ヒト体細胞に対して圧力印加工程を実施している間もインキュベータ10内のCO2濃度を5.0%に維持し続けてよい。CO2濃度の調節を行なう場合、加圧処理中のCO2濃度の調節範囲は、細胞の種類、圧力の強さ等に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、ヒト体細胞を使用し、180kPa程度の圧力を印加する場合には、概ね3.0%〜5.0%程度、例えば3.5%〜5.0%程度の範囲内で圧力印加工程中のCO2濃度を制御してよく、例えば加圧→非加圧の周期的加圧を行なう場合には、非加圧時のCO2濃度を5.0%、加圧時のCO2濃度を3.5%程度となるように調節してもよい。あるいは、圧力印加工程においてCO2濃度を通常の細胞培養時よりもやや低めの濃度で一定に維持してもよく、例えば、ヒト体細胞を使用し、細胞収容工程と圧力印加工程の間に非加圧工程を採用する場合、非加圧工程のCO2濃度を5.0%とし、圧力印加工程のCO2濃度を3.0%以上5.0%未満(例えば3.5%前後)で一定に維持してもよい。

0030

あるいは、圧力印加手段として、コンプレッサ8に代えて媒体を収容する容器及びポンプを配し、これらを圧力容器4内に収容された細胞収容容器2の内部と接続する送液ラインを設け、圧力をかけて媒体を細胞収容容器2内に送ることで加圧処理を行う構成としてもよい。この送液ラインと細胞収容容器との接続部には、容器内に収容されている細胞が通過しない大きさの孔を有する多孔性膜を配置することで、逆流などによる細胞収容容器外への細胞の脱出を防ぐことができる。また、この構成の場合、圧力容器と細胞収容容器を一体化させた、高圧に耐えうる細胞収容容器を使用してよい。

0031

加圧処理を短時間とする場合には、加圧処理中に細胞懸濁液の媒体交換は不要であり、シンプルなシステム構成とすることができる。

0032

加圧処理を長時間実施する場合には、必要に応じて自動又は手動での媒体交換も可能なシステム構成にしてよい。例えば、細胞収容工程と圧力印加工程を複数回繰り返して細胞集合体を調製する場合、加圧処理後に媒体の一部を取り除き、細胞懸濁液を新たに添加することで、媒体の交換も同時に行なうことができる。あるいは、空気ではなく媒体を細胞収容容器2内に送ることで加圧処理を行う構成とする場合には、細胞収容容器2内の媒体を容器外に廃棄できる廃液ラインと、該ライン上に媒体の静水圧を調整するレギュレータ等の圧力調整手段とを設け、細胞懸濁液の追加時以外のタイミングでも媒体交換可能な構成としてもよい。この廃液ラインと細胞収容容器2との接続部にも、送液ラインと細胞収容容器2との接続部と同様に多孔性膜を配置してよい。もっとも、1か月程度の長期間にわたる処理を行う場合でも、媒体交換を頻繁に行なう必要はなく、細胞懸濁液の追加の際に媒体の一部が交換されるという程度で差し支えない。

0033

本発明の方法によれば、従来は三次元細胞集合体の製造に必須的に使用されていたポリマー生体分子等の材料からなる多孔性の足場材のような三次元足場材を用いることなく、本質的に細胞のみ(細胞及び該細胞から産生された物質)からなる細胞組織体(細胞集合体、ないしは細胞凝集体)を製造することができる。再生医療のための組織工学分野において、生分解性高分子の三次元足場材を用いた三次元組織、及び三次元足場材を用いない細胞シートの研究開発が進められているが、本発明によれば、細胞懸濁液中に多孔性の三次元足場材を共存させることなく、加圧処理のみで細胞同士の集合接着を促進し、厚みのある細胞塊を得ることができる。もっとも、細胞集合体の使用目的に応じて、何らかの足場材を用いることは差し支えない。

0034

本発明の方法により得られる三次元細胞集合体は、そのまま細胞シートとして活用し得る。従来の細胞シート製造法では、厚みのある多層の細胞シートを製造する場合、単層培養細胞を複数枚重ね合わせる操作が必要である。一方、本発明の方法によれば、調製した単層細胞を順次重ね合わせるという操作がないため、製造工程が簡略であり、細胞が受けるダメージも大幅に軽減される。細胞集合体のサイズや形状は使用する細胞収容容器の形状にも影響され得るので、細胞収容容器の選択により細胞集合体のサイズ及び形状を制御することも可能である。

0035

以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。

0036

1.圧力印加による細胞集合体の作製1
ヒト臍帯動脈平滑筋細胞等の細胞をシャーレで単層培養したのち、トリプシンで処理して単層細胞を剥離し、細胞を10%ウシ血清入りDMEM培地に分散させた。遠心分離後に上清を除去して、100万個/mL〜数百万個/mLの適当な細胞密度に調整した。

0037

図1に示したシステムを用いて細胞の加圧処理を行なった。上記の通りに調製した100万個/mLの細胞密度のヒト平滑筋細胞懸濁液300μLを1mLのシリンジに入れ、シリンジをインキュベータ内の圧力容器に収容した。インキュベータ内は、5%CO2、37℃とし、加圧処理中はCO2濃度を3.6%〜5.0%に制御した。加圧処理は、10秒間180kPa→10秒間110kPaの繰り返しとした。加圧処理時間90分及び15時間の時点でシリンジ内の細胞の状態を観察したところ、加圧処理90分で細胞がシート状に集合接着していた。図2Aは加圧処理15時間の細胞塊である。

0038

また、上記と同様に1mLのシリンジに100万個/mLの平滑筋細胞懸濁液300μLを収容し、加圧処理無しで15時間インキュベートし、上記の加圧処理15時間のものと比較した。

0039

図2Bは加圧処理無しの細胞である。図2C、2Dは、得られた細胞塊の切片をHE染色した像である。高密度の細胞懸濁液を用いているため、加圧処理なしでも細胞はある程度寄り集まるものの、HE染色像に示される通り、細胞塊の頑強性は低く、厚みも薄く、細胞シートとして使用し得るレベルのものではなかった(図2B、2D)。一方、加圧処理を行なった場合には、懸濁液中の大部分の細胞が集合し、100μm以上の厚みを有する細胞塊が得られた(図2A、2C)。細胞塊内部にも核が観察され、細胞が密に集合し、頑強性の高い細胞塊であった。この細胞塊をその後最大24時間まで37℃で培養して観察したところ、細胞がほぐれて崩壊することなく、シート状の細胞集合体としての形状を保持していた。

0040

図3は、ラット心臓由来筋芽細胞H9C2の懸濁液を加圧処理した後の細胞(右)及び加圧処理無しでインキュベートした後の細胞(左)の写真である。図4は、マウス胎仔由来線維芽細胞NIH3T3の懸濁液を加圧処理した後の細胞(右)及び加圧処理無しでインキュベートした後の細胞(左)の写真である。これらの細胞でも、平滑筋細胞と同様に、頑強性の高いシート状の細胞塊が得られることが確認された。なお、調製した細胞懸濁液の密度は、ラット心臓由来筋芽細胞H9C2は195万個/mL、マウス胎仔由来線維芽細胞NIH3T3は315万個/mL、シリンジに収容した懸濁液はいずれも300μL、加圧処理は10秒間180kPa→10秒間110kPaの繰り返しとし、処理時間は17時間とした。

0041

2.圧力印加による細胞集合体の作製2
ヒト平滑筋細胞を用いて、細胞収容容器内への細胞の追加と圧力印加を繰り返す方法(図5、下記(1)〜(3))で細胞集合体を作製した。細胞収容容器として、四角形又は円形ガラス製培養皿を用いた。培養皿にはフィブロネクチンによるコーティングを行なった。加圧パターンは、250秒間110kPa→250秒間180kPa(0.002Hz)のサイクルとした。インキュベータ内の温度は37℃とし、CO2濃度は圧力印加工程も含め5%で維持した。

0042

(1) 75万個/mLの細胞懸濁液の0.4mLを四角形ガラス製培養皿(0.8平方センチメートル)に加え、1日間大気圧で置いた後に1日間の加圧処理を行なった。細胞懸濁液0.4mLを培養皿に追加し、1日間大気圧で置いた後に2日間の加圧処理を行なった。
(2) 50万個/mLの細胞懸濁液の0.4mLを円形ガラス製培養皿(0.7平方センチメートル)に加え、1日間大気圧で置いた後に2日間の加圧処理を行なった。細胞懸濁液0.4mLを培養皿に追加し、1日間大気圧で置いた後に1日間の加圧処理を行なった。
(3) 75万個/mLの細胞懸濁液の0.4mLを円形ガラス製培養皿(0.7平方センチメートル)に加え、1日間大気圧で置いた後に2日間の加圧処理を行なった。細胞懸濁液0.4mLを培養皿に追加し、1日大気圧で置いた後に1日間の加圧処理を行なった。さらに細胞懸濁液0.4mLを培養皿に追加し、1日間大気圧で置いた後に2日間の加圧処理を行なった。

0043

図6に、上記(1)〜(3)の通りに調製した細胞集合体の写真を示す。ピンセットでシートを引っ張ったところ、千切れることなく約1.8倍の長さに伸長した。頑強性に富んだ細胞シートを調製することができた。

0044

3.圧力印加による細胞集合体の作製3
ヒト平滑筋細胞を用いて、細胞追加と加圧処理を繰り返して細胞集合体を作製した場合と、加圧処理を行なわずに細胞の追加のみを行なって大気圧で放置することで細胞集合体を作製した場合との比較を行なった。細胞収容容器として、四角形ガラス製培養皿(0.8平方センチメートル)を用いた。培養皿にはフィブロネクチンによるコーティングを行なった。CO2濃度は5%一定、温度は37℃とした。

0045

(1) 50万個/mLの細胞懸濁液の0.4mLを培養皿に加え、図7の(1)に示す通りに加圧処理を行なった。3日目、5日目及び7日目に細胞懸濁液0.4mLを追加した。加圧は110kPaと180kPaを0.002Hzのサイクルで繰り返した。

0046

(2) 50万個/mLの細胞懸濁液の0.4mLを培養皿に加え、培養を行なった。3日目、5日目及び7日目に細胞懸濁液0.4mLを追加した。培養期間を通じて大気圧で培養した。

0047

(1)及び(2)により得られた細胞集合体をホルマリンで固定し、パラフィン切片を作製したのちにHE染色を行なった。図8にHE染色像を示す。加圧した(1)の細胞集合体は4層以上の細胞が層状に配列していた。加圧を行わない(2)の細胞集合体は、細胞がほとんど積層されておらず、層状の配列も認められなかった。

0048

4.圧力印加による細胞集合体の作製4
ラット新生児大動脈平滑筋細胞100万個をガラス製培養皿内で110-180kPa, 0.002Hzで24時間加圧し、翌日、培養皿内に細胞100万個を追加した。処理中のCO2濃度は5%一定、温度は37℃とした。この工程を15回繰り返し、1ヶ月後に15層積層した細胞集合体を得た。図12は得られた細胞集合体の切片をエラスチカワンギーソン染色した像である。スケールバーは100μmであり、細胞集合体の厚みは200μmを越えるほどとなった。生細胞をトリパンブルー染色でカウントしたところ、生細胞率は90%以上であった。また、弾性線維も層状に著明に形成されており、引っ張り試験で2倍以上の進展が見られた。これは、ヒトの小口径血管壁匹敵する性状であり、得られた細胞集合体は極めて頑強性が高いことが確認された。

0049

5.加圧処理が細胞に及ぼす影響について
(1)シリンジポンプを使用してマイクロ流体チップ内で単層ヒト臍帯動脈平滑筋細胞に圧力印加(180kPa)し、細胞レベルで加圧の影響を調べた。F-アクチン及び細胞核を免疫蛍光染色して観察したところ、圧力印加しない場合(図9右)と比べて、圧力印加した細胞(図9左)ではアクチンフィラメントが劇的に増加することが確認された。

0050

(2)シャーレで単層培養した100万個/mLの細胞密度のヒト臍帯動脈平滑筋細胞懸濁液に90分間加圧(110kPa 10秒−180kPa 10秒の周期的加圧)し、次いで通常大気圧にて24時間培養した。その後、細胞からRNAを採取し、細胞外基質のmRNAリアルタイムPCRにより測定した。結果を図10に示す。いずれの細胞外基質も加圧により発現量が増大していた。

0051

アクチンフィラメントは細胞の骨格を定めるほか、細胞同士の接着にも関わる。圧力印加を受けた細胞で生じるアクチンフィラメント及び各種細胞外基質の増加が、短時間での細胞の集合接着に寄与していると考えられる。

0052

(3)加圧サイクルの周期を変えて細胞への影響を調べた。ヒト臍帯動脈平滑筋細胞65万個を5mLのシリンジに入れ、大気圧(101kPa)、又は110kPa 2秒−180kPa 2秒(0.25Hz)、110kPa 10秒−180kPa 10秒(0.05Hz)、110kPa 50秒−180kPa 50秒(0.01Hz)若しくは110kPa 250秒−180kPa 250秒(0.002Hz)のサイクルで細胞を20時間培養して得られた細胞集合体で、各遺伝子の発現量をリアルタイムPCRにより測定した。培養中のCO2濃度は、0.002Hzでは5%一定、それ以外の周波数では3.6%一定とし、温度は37℃とした。結果を図11に示す。fibrillin1, fibrillin2, fibulin4, fibulin5, LOX, LOX-like1は弾性線維関連の遺伝子であり、collagen I, collagen IIIは血管壁を支持する主要なコラーゲンのサブタイプであり、またfibronectinは血管壁の主要な細胞外基質で、弾性線維の構成要素である。ヒト臍帯動脈平滑筋細胞を用いた今回の検討によると、一部の遺伝子では加圧周期を変えても発現量に影響が認められなかったが、概ね周期が長い方が発現量が高まる傾向が確認された。

実施例

0053

(4)印加する圧力を変えて細胞への影響を調べた。ヒト臍帯動脈平滑筋細胞65万個を5mLのシリンジに入れ、大気圧(101kPa)に保ったものと、低い圧力を110kPaに固定し、高い圧力を130kPa、180kPa又は300kPaとして0.002Hzの周期で20時間の加圧処理を行ったものについて、fibrillin1遺伝子のmRNAの発現をリアルタイムPCRにより測定した。培養中のCO2濃度は5%一定、温度は37℃とした。結果を図13に示す。180kPaを超える高い圧力を印加した場合でも、fibrillin1遺伝子の発現量は高まっていることが確認された。

0054

2細胞収容容器
4圧力容器
6レギュレータ
8コンプレッサ
10インキュベータ
12コンピュータ
14 細胞懸濁液

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