図面 (/)

技術 リブ型光導波路およびそれを用いた光合分波器

出願人 日本電気株式会社
発明者 加藤友章中村滋
出願日 2015年9月15日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2016-551505
公開日 2017年7月13日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 WO2016-051698
状態 特許登録済
技術分野 光集積回路
主要キーワード テーパ幅 リブ領域 切り換え特性 変更コスト 幅広側 テーパ端 コア材質 半導体スラブ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年7月13日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (11)

課題・解決手段

偏光依存性波長依存性等が小さい、実用的なリブ型光導波路およびそれを用いた光合分波器を提供する。 本発明の光導波路型光合分波器は、基板、単一モードリブ型光導波路からなるM本の入力光導波路およびN本の出力光導波路、リブ型光導波路からなる多モード光干渉領域、および、入出力光導波路と多モード光干渉領域の間を滑らかに接続するM×N個のリブ型光導波路から成る可逆テーパ領域を備え、多モード光干渉領域の両側面はそれぞれ段差状に形成されていることを特徴とする。

概要

背景

インターネット映像配信等の広帯域マルチメディア通信サービス爆発的な需要増加に伴い、幹線系やメトロ系ではより長距離かつ高信頼高密度波長多重光ファイバ通信システムの導入が進んでいる。

こうした大規模通信ネットワークは、導入コストの低減だけではなく、運用コストの低減も重要である。運用コストを低減するには、需要に応じた動的な伝送容量割り当て方路切り換え、効率的な保守冗長構成などを最適化することが必要である。すなわち、通信ネットワークの形を柔軟に変更できることが望ましく、変更コストも小さいことが望ましい。

ここで、通信ネットワークの形を柔軟に低コストで変更するために、光信号電気信号へ変換することなく光のまま方路切り換えすることができる光スイッチノードを適用することができる。通信ネットワークの柔軟性は光スイッチノードにおける方路切り換えの自由度に依存することから、ポート数の大きな光スイッチの実現が望まれる。

光スイッチにおいてはさらに、通過する際に受ける信号光損失波長依存性および偏光依存性、非接続経路へのクロストーク等を抑制する必要がある。また、信号光経路の保持・切換に要する消費電力の抑制、光スイッチノードの小型化も重要である。これらはいずれも、光スイッチのポート数の可拡張性に直接関わる課題であり、光スイッチには、小型・低損失・低電力な特性が求められる。

一方、通信中に回線が途切れる等の通信サービス品質に関する不具合の発生を抑制する必要があり、安定した通信状態を提供する必要がある。また、経路切り換えに伴う回線断状態をユーザに意識させないように、高速な経路切り換え特性も求められる。こうした高速な切り換えは、できるだけ小規模回路で低電力で実行できることが望ましい。

このような光スイッチとして、マイクロエレクトロメカニカルマシンMEMS:Micro Electro Mechanical Systems)型マトリクス光スイッチ液晶型マトリクス光スイッチ、導波路型マトリクス光スイッチ等がある。MEMS型マトリクス光スイッチは、シリコン基板上に形成された微小可動鏡の向きを静電的に制御することによって空間伝搬ビーム光路を切り換える光スイッチである。液晶型マトリクス光スイッチは、液晶分子配向状態電気的に変えることで空間伝搬ビームの透過率を制御する光スイッチである。導波路型マトリクス光スイッチは、導波路型光干渉計を成す光学材料屈折率温度依存性を利用してその干渉状態を変化させることで信号光出力経路を選択する光スイッチである。

MEMS型マトリクス光スイッチは、挿入損失や信号光クロストークが小さいことから、入出力ポート数の可拡張性の面で有利である。しかし、MEMS型マトリクス光スイッチは、可動鏡応答ミリ秒程度かかるため、無瞬断光経路切り換えや光パケット信号切り換えのような高速・高頻度の経路切り換えが必要とされる用途には適さない。また、MEMS型マトリクス光スイッチは、1入力多出力の接続状態を作り出す場合、光学特性犠牲にして、信号光出力ポート間の距離に応じてビームの広がり角を調整する等が必要になる。

液晶型マトリクス光スイッチは、MEMS型マトリクス光スイッチと同等の応答時定数を有する。液晶型マトリクス光スイッチは、MEMSのような可動部が無いことから、機械的な信頼性が高い。しかしながら、液晶分子の光学特性は温度依存性が大きいことから、液晶型マトリクス光スイッチは、高温環境下では変性劣化が懸念される。従って、液晶型マトリクス光スイッチは、実システムへの適用時に耐環境性・信頼性面を考慮する必要がある。

導波路型マトリクス光スイッチは、基板上に多数形成された導波路型光干渉計の干渉状態を、電場印加電流注入・温度等で変化させることにより、光信号出力の経路を選択する。導波路型マトリクス光スイッチは、上述の2種類の光スイッチ素子に比べて小型化に適している。特に、石英系材料を用いた導波路型マトリクス光スイッチは、単一モード光ファイバとの結合効率が高く、低損失化の面でも有利である。また、石英系材料を用いた導波路型マトリクス光スイッチは、量産性や信頼性も高い。

ここで、導波路型マトリクス光スイッチは、光導波路材料の屈折率の温度依存性(熱光学効果)を応用して導波路型光干渉計の干渉条件熱制御する光ゲートスイッチ基本構成とする。コアと、クラッドや基板と、の間の熱の移動が平衡に達するのに、MEMS型マトリクス光スイッチと同程度の時間(ミリ秒程度)を要する。従って、導波路型マトリクス光スイッチは、熱平衡に達するまでの時間を短くするために、光ゲートスイッチにおける加熱領域の体積光導波路断面積)を極力小さくすることが望ましい。

こうした状況のもと、光導波路素子の大幅な小型化が期待できる半導体系光導波路を用いた光スイッチ素子が注目されている。半導体系光導波路を用いた光スイッチ素子に関する技術の一つにシリコンフォトニクス技術がある。シリコンフォトニクス技術においては、絶縁膜(シリコン基板表面を熱酸化して得られた膜)の上に形成されたシリコン膜SOI:Silicon On Insulator)をストライプ状に加工し、光導波路コアとして機能させる。SOI膜からなるコア層(屈折率:約3.48@1550nm)と、誘電体膜(SiO2等)からなるクラッド層(屈折率:約1.45@1550nm)との屈折率差が大きいことから、信号光がコア層の中へ強く閉じ込められる。従って、シリコンフォトニクス技術を適用することにより、曲率半径100μm以下の急峻な曲がりでも、挿入損失を実用的な範囲内に抑えることができる。また、シリコンフォトニクス技術は、先端CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセス技術に裏付けられた高い精度加工や量産性を期待でき、さらに、駆動回路とのモノリシック集積化なども期待できる。

シリコンフォトニクス技術を用いてM入力N出力(以下、M×N:M,Nは2以上の自然数)マトリクス光スイッチを実現する場合、M×Nの導波路型光スイッチ半導体基板上の2次元格子点上に配置し、これらを縦横に結ぶ光導波路群を同一半導体基板上に配置する。この場合、光導波路群は半導体基板上で互いに交差される。

マトリクス光スイッチに入力された信号光は、交差領域を通過する時に散乱され、損失が生じる。散乱の度合いは、光導波路の断面のサイズと信号光の基本伝搬モードのサイズ(モード径)との比に相関がある。ここで、コア層とクラッド層の屈折率差が大きく、光閉じ込めが強いシリコンフォトニクス技術を用いた光導波路は、交差領域における信号光の散乱の影響が顕著に表れる。一方、コアとクラッドの屈折率差が小さく、光閉じ込めが弱い(弱導波:weakly guiding)石英系等の光導波路においては、信号光は平面波に近い振る舞いを示すため、交差領域を通過する時に散乱されにくい。

そこで、交差領域における信号光の散乱の影響を低減するために、シリコンフォトニクス技術を用いたマトリクス光スイッチを、2次元の薄いスラブ光導波路の一部を厚くすることによって形成されるリブ型光導波路を用いて構成することが提案されている。

リブ型光導波路の基本伝搬モードの電磁場は、リブ側壁とクラッド層との屈折率境界面より内側(シリコン層内側)にほぼ閉じ込められた断面分布となる。シリコン細線に比べて実効断面積を1桁程度広くできることから、リブ側壁とクラッド層との屈折率境界面を意識すること無く、リブに沿って伝搬可能である。この場合、光導波路の交差領域における信号光の散乱を小さくすることができる。シリコンフォトニクス技術を応用したリブ型光導波路ベースの光スイッチ素子は、例えば、特許文献1、2等に開示されている。また、シリコンフォトニクス技術を応用したリブ型光導波路ベースの、2入力2出力(2×2)の多モード干渉型(MMI:Multi−Mode Interference)光合分波器を用いたマトリクス光スイッチの開発例も報告されている。さらに、光導波路に関連する技術が特許文献3に開示されている。

概要

偏光依存性や波長依存性等が小さい、実用的なリブ型光導波路およびそれを用いた光合分波器を提供する。 本発明の光導波路型光合分波器は、基板、単一モードリブ型光導波路からなるM本の入力光導波路およびN本の出力光導波路、リブ型光導波路からなる多モード光干渉領域、および、入出力光導波路と多モード光干渉領域の間を滑らかに接続するM×N個のリブ型光導波路から成る可逆テーパ領域を備え、多モード光干渉領域の両側面はそれぞれ段差状に形成されていることを特徴とする。

目的

一方、通信中に回線が途切れる等の通信サービス品質に関する不具合の発生を抑制する必要があり、安定した通信状態を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

基板および該基板の上面に形成されたリブ型光導波路からなる多モード光干渉領域を備え、多モード光干渉領域の両側面はそれぞれ、段差状に形成されていることを特徴とする、リブ型光導波路。

請求項2

前記段差の幅は伝搬波長以下であり、前記段差の高さは伝搬波長の半分以下である、請求項1に記載のリブ型光導波路。

請求項3

前記基板の上面には、絶縁膜および半導体層が配置され、前記リブ型光導波路のコアは、前記半導体層をストライプ状に加工することによって形成される、請求項1または2に記載のリブ型光導波路。

請求項4

前記段差は2段以上の階段型に形成されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリブ型光導波路。

請求項5

単一モードリブ型光導波路からなるM本の入力光導波路およびN本の出力光導波路と、入力光導波路および出力光導波路と、多モード光干渉領域と、の間を滑らかに接続するM×N個のリブ型光導波路から成る可逆テーパ領域と、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のリブ型光導波路と、を備え、前記入光導波路、出力光導波路、多モード光干渉領域および可逆テーパ領域は、前記基板上に形成されていることを特徴とする光合分波器

請求項6

前記基板の上面には、絶縁膜および半導体層が配置され、前記入力光導波路、出力光導波路、多モード光干渉領域および可逆テーパ領域のコアは、前記半導体層をストライプ状に加工することによって形成される、請求項5に記載の光合分波器。

請求項7

前記入力導波路および出力導波路は同一の断面形状を有する、請求項5または6に記載の光合分波器。

請求項8

M×N個の可逆テーパ領域は全て、同一長さ、同一テーパ幅を有する、請求項5乃至7のいずれか1項に記載の光合分波器。

請求項9

前記可逆テーパ領域の長さは伝搬波長よりも長い、請求項8に記載の光合分波器。

請求項10

2本の入力光導波路、2本の出力光導波路および4個の可逆テーパ領域を備える、請求項5乃至9のいずれか1項に記載の光合分波器。

技術分野

0001

本発明は、リブ型光導波路およびそれを用いた光合分波器に関し、特に、半導体系光導波路を用いたリブ型光導波路およびそれを用いた光合分波器に関する。

背景技術

0003

こうした大規模通信ネットワークは、導入コストの低減だけではなく、運用コストの低減も重要である。運用コストを低減するには、需要に応じた動的な伝送容量割り当て方路切り換え、効率的な保守冗長構成などを最適化することが必要である。すなわち、通信ネットワークの形を柔軟に変更できることが望ましく、変更コストも小さいことが望ましい。

0004

ここで、通信ネットワークの形を柔軟に低コストで変更するために、光信号電気信号へ変換することなく光のまま方路切り換えすることができる光スイッチノードを適用することができる。通信ネットワークの柔軟性は光スイッチノードにおける方路切り換えの自由度に依存することから、ポート数の大きな光スイッチの実現が望まれる。

0005

光スイッチにおいてはさらに、通過する際に受ける信号光損失波長依存性および偏光依存性、非接続経路へのクロストーク等を抑制する必要がある。また、信号光経路の保持・切換に要する消費電力の抑制、光スイッチノードの小型化も重要である。これらはいずれも、光スイッチのポート数の可拡張性に直接関わる課題であり、光スイッチには、小型・低損失・低電力な特性が求められる。

0006

一方、通信中に回線が途切れる等の通信サービス品質に関する不具合の発生を抑制する必要があり、安定した通信状態を提供する必要がある。また、経路切り換えに伴う回線断状態をユーザに意識させないように、高速な経路切り換え特性も求められる。こうした高速な切り換えは、できるだけ小規模回路で低電力で実行できることが望ましい。

0007

このような光スイッチとして、マイクロエレクトロメカニカルマシンMEMS:Micro Electro Mechanical Systems)型マトリクス光スイッチ液晶型マトリクス光スイッチ、導波路型マトリクス光スイッチ等がある。MEMS型マトリクス光スイッチは、シリコン基板上に形成された微小可動鏡の向きを静電的に制御することによって空間伝搬ビーム光路を切り換える光スイッチである。液晶型マトリクス光スイッチは、液晶分子配向状態電気的に変えることで空間伝搬ビームの透過率を制御する光スイッチである。導波路型マトリクス光スイッチは、導波路型光干渉計を成す光学材料屈折率温度依存性を利用してその干渉状態を変化させることで信号光出力経路を選択する光スイッチである。

0008

MEMS型マトリクス光スイッチは、挿入損失や信号光クロストークが小さいことから、入出力ポート数の可拡張性の面で有利である。しかし、MEMS型マトリクス光スイッチは、可動鏡応答ミリ秒程度かかるため、無瞬断光経路切り換えや光パケット信号切り換えのような高速・高頻度の経路切り換えが必要とされる用途には適さない。また、MEMS型マトリクス光スイッチは、1入力多出力の接続状態を作り出す場合、光学特性犠牲にして、信号光出力ポート間の距離に応じてビームの広がり角を調整する等が必要になる。

0009

液晶型マトリクス光スイッチは、MEMS型マトリクス光スイッチと同等の応答時定数を有する。液晶型マトリクス光スイッチは、MEMSのような可動部が無いことから、機械的な信頼性が高い。しかしながら、液晶分子の光学特性は温度依存性が大きいことから、液晶型マトリクス光スイッチは、高温環境下では変性劣化が懸念される。従って、液晶型マトリクス光スイッチは、実システムへの適用時に耐環境性・信頼性面を考慮する必要がある。

0010

導波路型マトリクス光スイッチは、基板上に多数形成された導波路型光干渉計の干渉状態を、電場印加電流注入・温度等で変化させることにより、光信号出力の経路を選択する。導波路型マトリクス光スイッチは、上述の2種類の光スイッチ素子に比べて小型化に適している。特に、石英系材料を用いた導波路型マトリクス光スイッチは、単一モード光ファイバとの結合効率が高く、低損失化の面でも有利である。また、石英系材料を用いた導波路型マトリクス光スイッチは、量産性や信頼性も高い。

0011

ここで、導波路型マトリクス光スイッチは、光導波路材料の屈折率の温度依存性(熱光学効果)を応用して導波路型光干渉計の干渉条件熱制御する光ゲートスイッチ基本構成とする。コアと、クラッドや基板と、の間の熱の移動が平衡に達するのに、MEMS型マトリクス光スイッチと同程度の時間(ミリ秒程度)を要する。従って、導波路型マトリクス光スイッチは、熱平衡に達するまでの時間を短くするために、光ゲートスイッチにおける加熱領域の体積(光導波路の断面積)を極力小さくすることが望ましい。

0012

こうした状況のもと、光導波路素子の大幅な小型化が期待できる半導体系光導波路を用いた光スイッチ素子が注目されている。半導体系光導波路を用いた光スイッチ素子に関する技術の一つにシリコンフォトニクス技術がある。シリコンフォトニクス技術においては、絶縁膜(シリコン基板表面を熱酸化して得られた膜)の上に形成されたシリコン膜SOI:Silicon On Insulator)をストライプ状に加工し、光導波路コアとして機能させる。SOI膜からなるコア層(屈折率:約3.48@1550nm)と、誘電体膜(SiO2等)からなるクラッド層(屈折率:約1.45@1550nm)との屈折率差が大きいことから、信号光がコア層の中へ強く閉じ込められる。従って、シリコンフォトニクス技術を適用することにより、曲率半径100μm以下の急峻な曲がりでも、挿入損失を実用的な範囲内に抑えることができる。また、シリコンフォトニクス技術は、先端CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセス技術に裏付けられた高い精度加工や量産性を期待でき、さらに、駆動回路とのモノリシック集積化なども期待できる。

0013

シリコンフォトニクス技術を用いてM入力N出力(以下、M×N:M,Nは2以上の自然数)マトリクス光スイッチを実現する場合、M×Nの導波路型光スイッチ半導体基板上の2次元格子点上に配置し、これらを縦横に結ぶ光導波路群を同一半導体基板上に配置する。この場合、光導波路群は半導体基板上で互いに交差される。

0014

マトリクス光スイッチに入力された信号光は、交差領域を通過する時に散乱され、損失が生じる。散乱の度合いは、光導波路の断面のサイズと信号光の基本伝搬モードのサイズ(モード径)との比に相関がある。ここで、コア層とクラッド層の屈折率差が大きく、光閉じ込めが強いシリコンフォトニクス技術を用いた光導波路は、交差領域における信号光の散乱の影響が顕著に表れる。一方、コアとクラッドの屈折率差が小さく、光閉じ込めが弱い(弱導波:weakly guiding)石英系等の光導波路においては、信号光は平面波に近い振る舞いを示すため、交差領域を通過する時に散乱されにくい。

0015

そこで、交差領域における信号光の散乱の影響を低減するために、シリコンフォトニクス技術を用いたマトリクス光スイッチを、2次元の薄いスラブ光導波路の一部を厚くすることによって形成されるリブ型光導波路を用いて構成することが提案されている。

0016

リブ型光導波路の基本伝搬モードの電磁場は、リブ側壁とクラッド層との屈折率境界面より内側(シリコン層内側)にほぼ閉じ込められた断面分布となる。シリコン細線に比べて実効断面積を1桁程度広くできることから、リブ側壁とクラッド層との屈折率境界面を意識すること無く、リブに沿って伝搬可能である。この場合、光導波路の交差領域における信号光の散乱を小さくすることができる。シリコンフォトニクス技術を応用したリブ型光導波路ベースの光スイッチ素子は、例えば、特許文献1、2等に開示されている。また、シリコンフォトニクス技術を応用したリブ型光導波路ベースの、2入力2出力(2×2)の多モード干渉型(MMI:Multi−Mode Interference)光合分波器を用いたマトリクス光スイッチの開発例も報告されている。さらに、光導波路に関連する技術が特許文献3に開示されている。

先行技術

0017

特開2001−183710号公報
特表2002−514783号公報
特開平4−247408号公報

発明が解決しようとする課題

0018

上述のように、幹線系波長多重光ファイバ通信ネットワークシステムへの適用されるマトリクス光スイッチを設計するにあたり、波長無依存化・偏光無依存化が必要である。石英系光導波路やシリコン細線では、コア層の電磁場分布光ファイバの真円の電磁場分布に近づけて両者の結合効率を高めるために、コア層の断面形状を正方形に形成することが一般的である。正方形のコア層の場合、基板に平行なモード(EX11モード、TE−likeモード)と、垂直なモード(EY11モード、TM−likeモード)のそれぞれの固有値実効屈折率)は縮退する。それぞれの伝搬特性が同一で見分けが付かなくなることから、偏光依存性は示さない。

0019

一方、光導波路の交差領域における散乱が小さいリブ型光導波路の場合、コア層の基板に垂直な面内で断面形状は非対称である。EX11モードとEY11モードのそれぞれの伝搬特性は一般に異なり、偏光依存性を示す。偏光依存性は、断面形状を最適に設計することによって特定波長において打ち消すことはできるが、広い波長帯にわたって打ち消すことは困難である。さらに、マトリクス光スイッチの場合、光合分波器やテーパ状の光導波路入力部は、入出力光導波路とは異なる断面形状を有する。これらの偏光依存性や波長依存性は入出力光導波路のものとは異なり、最適な偏光依存性や波長依存性を与える形状パラメータ見出すことは容易では無い。さらに、最適な形状パラメータを見出せた場合でも、量産性や安定した製造歩留りが得られるとは限らない。

0020

本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、偏光依存性や波長依存性等が小さい、実用的なリブ型光導波路およびそれを用いた光合分波器を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0021

上記目的を達成するために本発明に係るリブ型光導波路は、基板および該基板の上面に形成されたリブ型光導波路からなる多モード光干渉領域を備え、多モード光干渉領域の両側面はそれぞれ、段差状に形成されていることを特徴とする。

0022

上記目的を達成するために本発明に係る光合分波器は、単一モードリブ型光導波路からなるM本の入力光導波路およびN本の出力光導波路と、入力光導波路および出力光導波路と多モード光干渉領域との間を滑らかに接続するM×N個のリブ型光導波路から成る可逆テーパ領域と、上記のリブ型光導波路と、を備え、入力光導波路、出力光導波路、多モード光干渉領域および可逆テーパ領域は、基板上に形成されていることを特徴とする。

発明の効果

0023

上述した本発明の態様によれば、偏光依存性や波長依存性等が小さい、実用的なリブ型光導波路およびそれを用いた光合分波器を提供することができる。

図面の簡単な説明

0024

第1の実施形態に係る2×2MMI光合分波器100の斜視図である。
第1の実施形態に係る2×2MMI光合分波器100のA−A’線における断面図である。
第1の実施形態に係る2×2MMI光合分波器100において、狭幅段差部620a、620bの断面形状を変化させた時の、Exモードの実効屈折率差の変化を示す図である。
第1の実施形態に係る2×2MMI光合分波器100において、狭幅段差部620a、620bの断面形状を変化させた時の、Eyモードの実効屈折率差の変化を示す図である。
第1の実施形態に係る2×2MMI光合分波器100において、ExモードとEyモードの実効屈折率差の比をプロットした図である。
第1の実施形態に係る2×2MMI光合分波器100において、テーパ型光導波路500およびリブ型MMI領域600の寸法を変化させた時のExモードに対する透過率の変化を示す図である。
第1の実施形態に係る2×2MMI光合分波器100において、テーパ型光導波路500およびリブ型MMI領域600の寸法を変化させた時の偏光依存性を示す図である。
第2の実施形態に係る2×2MMI光合分波器100Bの斜視図である。
第2の実施形態に係る2×2MMI光合分波器100BのB−B’線における断面図である。
リブ型光導波路10の上面図である。

実施例

0025

<第1の実施形態>
本発明に係る第1の実施形態について説明する。本実施形態においては、半導体リブ型光導波路をベースとする2×2MMI光合分波器を適用する。本実施形態に係る2×2MMI光合分波器の斜視図を図1Aに、図1AのA−A’線において切断した時の断面図を図1Bに示す。図1A図1Bにおいて、2×2MMI光合分波器100は、SOI基板(SOI:Semiconductor−on−Insulator)200、入力光導波路300a、300b、出力光導波路400a、400b、テーパ型光導波路500a、500b、500c、500d、リブ型MMI領域600を備える。なお、特に区別する必要がない場合、入力光導波路300a、300b、出力光導波路400a、400b、テーパ型光導波路500a、500b、500c、500dを、単に、入力光導波路300、出力光導波路400、テーパ型光導波路500と記載する。

0026

SOI基板200は、半導体スラブ領域であり、基板210の上面に絶縁膜220を配置し、その表面にSOI層230を配置することによって形成される。そして、SOI層230へ光導波路パターンを高精度露光し、ドライエッチング加工することによって、入力光導波路300、出力光導波路400、テーパ型光導波路500およびリブ型MMI領域600が形成される。

0027

入力光導波路300a、300bは、直線状半導体リブ領域であり、SOI基板200のSOI層230の一端側領域に形成され、一対の入力側の単一モード光導波路を成す。入力光導波路300a、300bに入力された光信号は、連続するテーパ型光導波路500a、500bを介してリブ型MMI領域600へ入力される。

0028

出力光導波路400a、400bは、直線状半導体リブ領域であり、SOI基板200のSOI層230の他端側領域に形成され、一対の出力側の単一モード光導波路を成す。出力光導波路400a、400bは、連続するテーパ型光導波路500c、500dを介してリブ型MMI領域600から入力された光信号を、接続された光ファイバ等へ出力する。本実施形態において、入力光導波路300a、300bおよび出力光導波路400a、400bは、同一の断面形状を有する。

0029

テーパ型光導波路500は、入力光導波路300または出力光導波路400と、リブ型MMI領域600と、を滑らかに接続する。本実施形態では、4つのテーパ型光導波路500a、500b、500c、500dを全て、同一長形状に形成した。図1Aにおいて、テーパ型光導波路500aは入力光導波路300aとリブ型MMI領域600のMMI部610とを滑らかに接続し、テーパ型光導波路500bは入力光導波路300bとMMI部610とを滑らかに接続する。また、テーパ型光導波路500cは出力光導波路400aとリブ型MMI領域600のMMI部610とを滑らかに接続し、テーパ型光導波路500dは出力光導波路400bとMMI部610とを滑らかに接続する。

0030

リブ型MMI領域600は、半導体から成り、テーパ型光導波路500aを介して入力光導波路300aから入力された光信号と、テーパ型光導波路500bを介して入力光導波路300bから入力された光信号と、を干渉させる。そして、リブ型MMI領域600は、干渉させた光信号をテーパ型光導波路500c、500dを介して出力光導波路400a、400bへ出力する。本実施形態に係るリブ型MMI領域600は、入力光導波路300から出力光導波路400へ向かう方向(以下、長手方向と記載する)に延びる両側壁に、有限幅の薄い段差部が形成されている。以下、この段差部を狭幅段差部620a、620bと記載し、段差部620a、620bに挟まれたリブ型干渉部をMMI部610と記載する。ここで、段差部620a、620bの幅wは伝搬波長以下に、高さhは伝搬波長の半分以下に形成される。狭幅段差部620a、620bの幅w、高さhは、図1Bのように表される。

0031

上記のように構成された2×2MMI光合分波器100において、狭幅段差部620a、620bの断面形状を変化させた時の、リブ型MMI領域600の基本モードの固有値(実効屈折率n11)と第1高次モードの固有値(実効屈折率n12)の差n11−n12(以下、実効屈折率差)を図2A図2Bに示す。実効屈折率差は、リブ型MMI領域600における基本モードと第1高次モードの干渉周期ビート長)に反比例し、リブ型MMI領域600の最適長を決定する重要なパラメータである。なお、図2A図2Bにおいては、実効屈折率差nの添字を、電場記号Eを用いて表記しているが、本明細書における表記と同じ意味である。

0032

図2Aは、主電場が基板に水平な場合(Exモード)の実効屈折率差(nx11−nx12)、図2Bは、主電場が基板に垂直な場合(Eyモード)の実効屈折率差(ny11−ny12)である。図2A図2Bにおいて、横軸は狭幅段差部620a、620bの幅w、縦軸は狭幅段差部620a、620bの高さh、狭幅段差部620a、620bの断面はともに矩形同一形状、とする。計算にあたっては、コア層の材料にシリコン(屈折率3.48)、クラッド層の材料にSiO2(屈折率1.447)を適用し、信号光波長は1550nmとした。また、MMI部610の幅を7μm、リブ高さを0.9μm、スラブ厚さを0.6μmとした。

0033

図2A図2Bにおいて、実効屈折率差の絶対値は、Exモード、Eyモードともに約5×10−3の量で、これは波長1550nmの信号光に対するMMI最適長に換算すると200μm強に相当する。

0034

一般的な半導体リブ型光導波路ベースのMMI光合分波器は、MMI部610の両脇に狭幅段差部620a、620bが配置されない。この状態は、図2A図2Bの左下原点(幅w、高さhが共にゼロ)に相当する。実効屈折率差が一定(つまりビート長が一定)の場合、図2A図2Bのプロットした範囲では、狭幅段差部620a、620bの幅wおよび高さhは反比例の関係にある。この傾向は、Exモード、Eyモードの双方に共通しているが、実効屈折率差の絶対値自体は両モード間で若干のずれが見られる。

0035

この実効屈折率差の絶対値の偏光間のずれ、言い換えれば、リブ型MMI領域600における両偏光間の最適長のずれを直観的に示すために、図3に、ExモードとEyモードの実効屈折率差の比(nx11−nx12)/(ny11−ny12)を示す。

0036

図3において、実効屈折率差の偏光間の比は、狭幅段差部620a、620bの幅wや高さhが増加するとともに単調減少する。この比が1であれば、リブ型MMI領域600における各偏光の最適長が一致する、すなわち、入出力光導波路の影響が無いと仮定すれば、2×2MMI光合分波器の偏光無依存動作を実現できる可能性がある。

0037

実効屈折率差の比は、図3の左下原点近傍で1.025程度である一方、高さhが約0.5μm、幅wが約1μmのあたりでは1になる。これは、MMI部610の両脇に設ける狭幅段差部620a、620bの幅wおよび高さhを調整することにより、2×2MMI光合分波器100の偏光依存性をある範囲内で調整できることを意味する。すなわち、MMI部610におけるビート長が両偏光間で一致する場合、リブ型MMI領域600に絞って考えると、偏光無依存動作を実現可能な狭幅段差部620a、620bを設計できる。なお、狭幅段差部620a、620bは、マスクを1枚、リソグラフィー工程を1回、コア層のエッチング工程を1回、それぞれ追加することで形成可能であるため、量産性や製造歩留りへの影響も限られたものに留まる。

0038

なお、上記の議論は、狭幅段差部620a、620bが配置されたリブ型MMI領域600における実効屈折率差(ビート長)だけに着目した場合である。これは、リブ型MMI領域600における基本モードおよび第1高次モードを、いずれも理想的な平面波で励振できた場合に相当する。しかし、リブ型MMI領域600と、入力光導波路300および出力光導波路400と、の間には可逆テーパ光導波路領域が配置されるのが一般的である。これにより、入出力両端に接続する2つの光導波路の2次元電磁場分布が連続的に変化する。信号光は、可逆テーパ光導波路領域を伝搬するに連れビーム形状(主にビーム幅)が連続的に変化(主にビーム幅が拡大ないしは縮小)し、同時に、等位相面(波面)が平面から歪む(曲率が変化する)。なお、可逆テーパ光導波路領域を、SOI層230をストライプ状に加工して形成した半導体から成るテーパ型光導波路500a−500dで形成する場合、可逆テーパ光導波路領域自体が偏光依存性を有する。

0039

等位相面(波面)の曲率は、伝搬距離に比例する量と考えられ、テーパ型光導波路500a−500dの長さが波長に比べて十分長ければ、平面波に近い振る舞いになる。テーパ型光導波路500a−500dの長さを大きくする(テーパ幅を緩やかに変化させる)ほどモード形状変化に伴う損失(モード変換損失)が抑えられる一方、光吸収や散乱に伴う損失が大きくなる。テーパ型光導波路500a−500dの長さを波長に比べて十分長くできない場合、伝搬する信号光の電磁場分布の等位相面(波面)は湾曲した状態のままになる。この場合、リブ型MMI領域600において、信号光は、平面波で励振されるのではなく、等位相面(波面)が歪んだ状態で励振される。これは、有限の損失を招き、この損失自体にも偏光依存性が現れる。

0040

以上から、ビート長に関する議論に、テーパ型光導波路500a−500dが示す偏光依存性の寄与分を加えたものが、実際の2×2MMI光合分波器100で生じる現象となる。ここで、リブ型MMI領域600における実効屈折率差の絶対値の偏光間の比(nx11−nx12)/(ny11−ny12)が1.02前後の場合は、Exモードの実効屈折率差の方がEyモードのそれよりも約2%大きくなる断面形状の場合と等価となる。この場合、テーパ型光導波路500a−500dおよびリブ型MMI領域600を備える2×2MMI光合分波器100が偏光無依存動作することを、電磁場解析を通じて別途確認した。

0041

なお、図3に示すように、リブ型MMI領域600の実効屈折率差において、狭幅段差部620a、620bの高さhと幅wは反比例に近い関係にある。従って、狭幅段差部620a、620bの面積が同一であれば、光合分波特性も概ね同じ傾向を示すと考えられる。しかしながら、狭幅段差部620a、620bの幅wを広くするに連れて外に広がるスラブ領域への放射が助長され、挿入損失が増加する。従って、狭幅段差部620a、620bの幅wは、コア材質中の信号光波長と同程度に抑えることが望ましい。一方、狭幅段差部620a、620bの高さhは、コア材質中の信号光波長の半分以下に抑えることが望ましい。

0042

また、狭幅段差部620a、620bの断面積だけで偏光依存性が決まるのであれば、例えば、狭幅段差部620a、620bの断面形状を直角三角形等に形成することもできる。実際に、リブ型MMI領域600を形成する際の製造条件、特に、エッチング条件の選び方によっては、リブ側壁が基板に垂直な面から傾斜してしまう場合がある。しかし、リブ型MMI領域600のリブ側壁に傾斜を生じさせる場合、入力光導波路300、出力光導波路400およびテーパ型光導波路500のリブ側壁も傾斜させることになる。この場合、入力光導波路300および出力光導波路400の基本モードの電磁場分布が想定した形状から外れ、偏光無依存の設計が難しくなる。従って、狭幅段差部620a、620bの断面形状は、矩形とするのが実用的である。

0043

(実施例)
第1の実施形態で説明した2×2MMI光合分波器100の動作について説明する。基板210上に厚さ3μmのSiO2膜から成る絶縁膜220および厚さ1.5μmの半導体層であるSOI層230を配置することによってSOI基板200を形成した。さらに、SOI基板200上のSOI層230をフォトリソグラフィ技術を用いて光導波路パターンを高精度加工することにより、第1の実施形態で説明した2×2MMI光合分波器100を形成する。

0044

入力光導波路300および出力光導波路400は、Siをコア、SiO2をクラッドとするリブ型光導波路であり、リブ幅1.4μm、リブ高さ0.9μm、スラブ厚さ0.6μmである。また、波長1530〜1610nm帯において、Exモード、Eyモードの両偏光ともに単一モード伝搬条件を満たす。リブ型MMI領域600のMMI部610は、幅7μm、長さ234μm、リブ高さ0.9μm、スラブ厚さ0.6μmに形成した。また、狭幅段差部620a、620bは共に、高さh0.2μm、幅w0.5μmに形成した。そして、上記の入力光導波路300および出力光導波路400とリブ型MMI領域600とを、リブ高さ0.9μm、スラブ厚さ0.6μm、幅が1.4μmから3μmまで線形に変化する長さ50μmのテーパ型光導波路500(可逆水平テーパ領域)によって滑らかに接続した。

0045

これらは、光源にArFを用いた縮小投影露光装置位相シフトマスクを用いた高精度フォトリソグラフィ、ならびに低損傷のドライエッチング技術などの最先端CMOSプロセスを応用して、幅・厚さともに±20nm以内の精度で高精度に加工される。また、リブ型MMI領域600近傍のプロセスは、SOI基板200の表面に設けるエッチング阻止膜として、予め段差加工されたSiN膜製造過程で除去されるため図示せず)を設けることにより、1回のドライエッチング工程でMMI部610とその両脇の狭幅段差部620a、620bを一体形成する。

0046

上記のようにして形成した2×2MMI光合分波器100のExモードに対する透過率を図4に、Exモードに対する透過率とEyモードに対する透過率比(すなわち透過率の偏光依存性)を図5に示す。ここで、図4図5の横軸は、テーパ型光導波路500のテーパ端部(MMI部610に接する幅広側)の幅、縦軸はリブ型MMI領域600の長さである。信号光波長は1590nmである。なお、透過率は、式(1)のように定義される。

0047

10log{(Pbar+Pcross)/Pin} (単位:dB)・・・式(1)
式(1)において、Pbarは入力光導波路300の一方から入力された電力Pinの信号光が直進した先にある出力光導波路400のポートバー出力ポート)へ出力される電力、PcrossはMMI部610の対角線の先にある出力光導波路400のポート(クロス出力ポート)へ出力される電力である。

0048

図4から分かるように、Exモードに対する挿入損失のテーパ端部の幅およびMMI長依存性は、少しずつ大きさが異なるトラック状等高線群を成す。透過率の最大値(挿入損失の最小値)は−0.04〜−0.06dB(+0.04〜+0.06dB)で、Siを光導波路コア材に用いた1.5μm帯向け2×2光合分波器として良好な値が実現できている。

0049

図5中の白線は、ExモードとEyモードの透過率比が1(=0dB)、すなわち、偏光無依存となる条件である。これらから、透過率が最大(挿入損失が最小)かつ偏光無依存となる実用的な2×2MMI光合分波器を設計する場合、図4における透過率が最大となる領域と、図5における白線とが互いに重なりあう条件(テーパ端部の幅、MMI部の長さ)とすれば良い。具体的には、例えばMMI部610の長さを232μm、テーパ型光導波路500のテーパ端部の幅を3.3μmとすれば良い。

0050

信号光波長1570nm〜1610nmの場合も信号光波長1590nmの場合と同様、Exモードに対する透過率、ならびにExモードに対する透過率とEyモードに対する透過率比を計算した(図示せず)。そして、これらの結果から、2×2MMI光合分波器100のMMI部610の長さを232μm、テーパ端部の幅を3.3μmとした。

0051

このように設計された2×2MMI光合分波器100は、断面が正方形ではないSiコアを用いるリブ型光導波路であるにも関わらず、信号光波長1570〜1610nmにおいて、マトリクス光スイッチを構成する際に実用的な信号光分岐特性を有する。具体的には、挿入損失はExモードが0.08〜0.09dB、Eyモードが0.07〜0.08dB、偏光依存性損失は±0.01dB以内であった。

0052

以上のように、本実施形態によれば、入出力テーパ導波路を含めた2×2MMI光合分波器100において、合分波特性における偏光依存性や波長依存性を広い波長域にわたって実用上支障の無いレベルまで抑えられる構造を、実用的な手段により、必要最小限の工程追加で実現できることが分かった。

0053

なお、MMI部610の長手方向に延びる両側壁に狭幅段差部620a、620bが配置されたリブ型MMI領域600は、MMI光合分波器以外にも、ROADM(reconfigurable optical add/drop multiplexer)、90°ハイブリッド、ADMマトリクススイッチ等に配置することができる。

0054

<第2の実施形態>
第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る2×2MMI光合分波器100Bの斜視図を図6Aに、B−B’線において切断した時の断面図を図6Bに示す。本実施形態では、狭幅段差部620aB、620bBを、第1の実施形態の実施例で説明した直方体型の狭幅段差部620a、620bの面積を維持したまま、角部を直方体状に切欠くことによって階段状に形成した。

0055

具体的には、本実施形態に係る狭幅段差部620aB、620bBは、幅0.4μm×高さ0.2μmの下段部と、幅0.2μmの高さ0.2μmの上段部とが一体に成形されている。それ以外は、第1の実施形態の実施例で説明した2×2MMI光合分波器100と同様である。なお、製造方法は、上記の実施例の場合に対して、狭幅段差部620aB、620bBのリソグラフィ工程用に、マスク1枚、エッチング阻止膜のドライエッチング加工を1回、それぞれ追加している。

0056

図6A図6Bの2×2MMI光合分波器100Bも、第1の実施形態の実施例で説明した図1の2×2MMI光合分波器100と同様に、断面が正方形ではないSiコアを用いるリブ型光導波路ではあるが、マトリクス光スイッチを構成する際に用いる2×2光合分波器として実用的な信号光分岐特性が得られる。具体的には、信号光波長1570〜1610nmにわたって、損失はExモードが0.08〜0.09dB、Eyモードが0.07〜0.08dB、偏光依存性損失は±0.01dB以内となった。

0057

上記の実施形態ではいずれも、コアの材質としてSiを用いた例を示したが、Si以外の誘電体をコアとして用いた場合でも同様な効果が期待できる。また、化合物半導体などの場合にはSOI基板200を用いることが適切ではないため、積層方向(基板に垂直な方向)の光閉じ込めが小さくなる。しかし、この場合も設計思想は応用可能であり、MMI領域の両脇に、実効屈折率差の偏光依存性を抑えるために、断面形状に適切な摂動を与える加工を施せば良い。さらに、入出力光導波路の数は2本ずつに限定されず、M入力N出力(M×N)のMMI光合分波器に適用することができる。

0058

なお、上記の実施形態に係るリブ型光導波路は、図7に示す最小構成部材によって形成することができる。ずなわち、リブ型光導波路10は、基板20と基板20の上面に形成されたリブ型光導波路からなる多モード光干渉領域30によって形成することができる。ここで、多モード光干渉領域30の両側面はそれぞれ、段差状31、32に形成されていることが特徴である。

0059

本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。

0060

本願発明は、M×Nのマトリクス光スイッチ等に用いられる、同一基板上に、入出力光導波路および多モード干渉領域が形成された、導波路型光スイッチ全般に適用することができる。

0061

この出願は、2014年10月2日に出願された日本出願特願2014−204120を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

0062

10リブ型光導波路
20基板
30多モード光干渉領域
100 2×2MMI光合分波器
200SOI基板
210 基板
220絶縁膜
230SOI層
300a、300b入力光導波路
400a、400b出力光導波路
500a、500b、500c、500dテーパ型光導波路
600 リブ型MMI領域
610 MMI部
620a、620b 狭幅段差部

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ