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技術 メカニカルシール

出願人 イーグル工業株式会社
発明者 板谷壮敏砂川和正千葉啓一吉柳健二吉野顯篠宮貴史
出願日 2015年8月26日 (4年2ヶ月経過) 出願番号 2016-550053
公開日 2017年7月6日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 WO2016-047352
状態 特許登録済
技術分野 メカニカルシール
主要キーワード 軸方向シール 径方向間隔 S同士 径方向シール 回転環 廻り止め 軸方向間隔 摺動発熱
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題・解決手段

カップガスケット低圧流体側への抜けを防止する。回転側摺動環5は、内径側であって摺動面の反対側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部5aを有する断面略角形に形成され、カップガスケット7は、回転側摺動環5の内径側及び背面側に跨って装着され、回転側摺動環5の内径側及びスリーブ2の内筒部と接する軸方向部7a及び回転側摺動環5の背面側及びスリーブ2の径方向部と接する径方向部7bとからなる断面が略L字形状に形成されると共に、カット部5aに面するコーナー部7cはカット部5aに沿う形状に形成され、カップガスケット7のコーナー部7cの厚さは回転側摺動環5の内径側とスリーブ2の内筒部の隙間より大きく設定されることを特徴としている。

概要

背景

従来からメカニカルシール一種として、図4(a)に示すように、摺動面の外周から内周方向に向かって漏れようとする高圧流体側被密封流体密封する形式インサイド形式のものであって、高圧流体側のポンプインペラ(図示省略)を駆動させる回転軸50側にスリーブ51及びカップガスケット52を介してこの回転軸50と一体的に回転可能な状態に設けられた円環状の回転側摺動環53と、ポンプハウジング54に非回転状態かつ軸方向移動可能な状態でカートリッジ56内のベローズ57を介して設けられた円環状の固定側摺動環55とが、この固定側摺動環55を軸方向に付勢するコイルドウェーブスプリング58及びベローズ57によって、ラッピング等によって鏡面仕上げされた摺動面S同士で密接摺動するものが知られている(以下、「従来技術1」という。例えば、特許文献1参照。)この従来技術1のメカニカルシールにおけるカップガスケット52は、ゴム等の弾性材で形成されており、断面形状は略L字状をしている。

また、基本的なシール構造は図4(a)に示す従来技術1と同じであるものの、スリーブ51と回転側摺動環53との間に装着されるカップガスケット59が、図5に示すように、回転側摺動環53の背面とスリーブ51の半径方向の部分までまわっていない、断面が略I字状のものが知られている(以下、「従来技術2」という。例えば、特許文献2及び3参照。)。

しかしながら、近年、用いられる流体の条件が従来よりも厳しいものが要求されており、例えば自動車エンジン冷却用ウォーターポンプでは省燃費化のため、流体の温度が高温、流体の圧力が高圧のものが要求されつつある。この様な状況において、従来技術1の構造では摺動面の外周側に高圧流体が存在するためカップガスケット52の高圧流体側の面には矢印で示すように外周側から径方向の圧力が作用すること、カップガスケット52がゴム等の弾性材で形成されていること及び厚さが均一であることから、カップガスケット52全体が徐々に低圧流体側(大気側)に抜けてしまうという問題が。そして、カップガスケット52が、一旦、低圧流体側に抜け始めると、回転側摺動環53の背面に作用する背圧が増大し、カップガスケット52に対する挟着力が低下するため、カップガスケット52の抜けに拍車がかかり、途中で抜けが停止される事態にはならない。
この問題の第1の対策としては、図4(b)に示すように、回転側摺動環53の高圧流体側(外周側)にカップガスケット52を装着し、軸方向シール部A1でシールすることにより、半径方向の圧力の影響を小さくする手法があるが、摺動面Sの摺動発熱放熱性が低下するという問題が生じる。
また、第2の対策としては、図4(c)に示すように、スリーブ51と回転側摺動環53の軸方向のシール部の隙間tに比べ、カップガスケット52の径方向部52aの肉厚を厚く設定し、カップガスケット52には矢印で示すように外周側から径方向の圧力が作用しても、径方向部52aが隙間tに引っ係ることにより抜けにくくすることが考えられるが、回転側摺動環53自体の軸方向寸法が大きくなるという問題が生じる。

また、図5に示す従来技術2は、カップガスケット59によるシール部Aがスリーブ51とカップガスケット59の軸方向部に位置するため、カップガスケット59には矢印で示すように高圧流体側から低圧流体側(大気側)に向かう軸方向の圧力が作用すること、及び、回転側摺動環53の背面に作用する背圧が増大し、カップガスケット59に対する挟着力が低下することから、カップガスケット59が低圧流体側に抜けてしまう、或いは、回転側摺動環53とカップガスケット59だけが固定側摺動環55へと移動し、摺動面Sにおける摺動が不安定になり、流体漏れを引き起こすという問題が生じる。

概要

カップガスケットの低圧流体側への抜けを防止する。回転側摺動環5は、内径側であって摺動面の反対側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部5aを有する断面略角形に形成され、カップガスケット7は、回転側摺動環5の内径側及び背面側に跨って装着され、回転側摺動環5の内径側及びスリーブ2の内筒部と接する軸方向部7a及び回転側摺動環5の背面側及びスリーブ2の径方向部と接する径方向部7bとからなる断面が略L字形状に形成されると共に、カット部5aに面するコーナー部7cはカット部5aに沿う形状に形成され、カップガスケット7のコーナー部7cの厚さは回転側摺動環5の内径側とスリーブ2の内筒部の隙間より大きく設定されることを特徴としている。

目的

本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたもので、摺動発熱に対する放熱性を低下させることなく、かつ、軸方向の寸法を拡大させることなく、回転軸側のスリーブと回転側摺動環との間に装着されるカップガスケットの低圧流体側への抜けを防止したメカニカルシールを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

回転軸に固定されるスリーブと、ハウジングに固定されるカートリッジとを備え、前記スリーブにはカップガスケットを介して回転側摺動環が設けられ、前記カートリッジには前記回転側摺動環に対向して摺動する固定側摺動環が設けられ、前記回転側摺動環と固定側摺動環との摺動面の外径側に高圧流体が存在するインサイド形のメカニカルシールにおいて、前記回転側摺動環は、内径側であって背面側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部を有する断面略角形に形成され、前記カップガスケットは、前記回転側摺動環の内径側及び前記背面側に跨って装着され、前記回転側摺動環の内径側及び前記スリーブの内筒部と接する軸方向部及び前記回転側摺動環の背面側及び前記スリーブの径方向部と接する径方向部とからなる断面が略L字形状に形成されると共に、前記カット部に面するコーナー部は前記カット部に沿う形状に形成され、前記カップガスケットのコーナー部の厚さtは前記回転側摺動環の内径側と前記スリーブの内筒部の隙間dより大きく設定されることを特徴とするメカニカルシール。

請求項2

回転軸に固定されるスリーブと、ハウジングに固定されるカートリッジとを備え、前記スリーブにはカップガスケットを介して回転側摺動環が設けられ、前記カートリッジには前記回転側摺動環に対向して摺動する固定側摺動環が設けられ、前記回転側摺動環と固定側摺動環との摺動面の外径側に高圧流体が存在するインサイド形のメカニカルシールにおいて、前記回転側摺動環は、内径側であって背面側のコーナー部が内方に窪んだ形状にカットされたカット部を有する断面略6角形に形成され、前記カップガスケットは、前記回転側摺動環の内径側及び前記背面側に跨って装着され、前記回転側摺動環の内径側及び前記スリーブの内筒部と接する軸方向部及び前記回転側摺動環の背面側及び前記スリーブの径方向部と接する径方向部とからなる断面が略L字形状に形成されると共に、前記カット部に面するコーナー部は前記カット部に沿う形状に形成され、前記カップガスケットのコーナー部の厚さtは前記回転側摺動環の内径側と前記スリーブの内筒部の隙間dより大きく設定されることを特徴とするメカニカルシール。

請求項3

回転軸に固定されるスリーブと、ハウジングに固定されるカートリッジとを備え、前記スリーブにはカップガスケットを介して回転側摺動環が設けられ、前記カートリッジには前記回転側摺動環に対向して摺動する固定側摺動環が設けられ、前記回転側摺動環と固定側摺動環との摺動面の内径側に高圧被密封流体が存在するアウトサイド形のメカニカルシールにおいて、前記回転側摺動環は、外径側であって背面側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部を有する断面5角形、または、内方に窪んだ形状にカットされたカット部を有する断面略6角形に形成され、前記カップガスケットは、前記回転側摺動環の背面側及び前記スリーブの外筒部に跨って装着され、前記回転側摺動環の外径側及び前記スリーブの外筒部と接する軸方向部及び前記回転側摺動環の背面側及び前記スリーブの外筒部と接する径方向部とからなる断面が略L字形状に形成されると共に、前記カット部に面するコーナー部は前記カット部に沿う形状に形成され、前記カップガスケットのコーナー部の厚さtは前記回転側摺動環の背面側と前記スリーブの径方向部の隙間dより大きく設定されることを特徴とするメカニカルシール。

技術分野

0001

本発明は、例えば、ポンプ等の軸封装置として用いられるメカニカルシールに関する。

背景技術

0002

従来からメカニカルシールの一種として、図4(a)に示すように、摺動面の外周から内周方向に向かって漏れようとする高圧流体側被密封流体密封する形式インサイド形式のものであって、高圧流体側のポンプインペラ(図示省略)を駆動させる回転軸50側にスリーブ51及びカップガスケット52を介してこの回転軸50と一体的に回転可能な状態に設けられた円環状の回転側摺動環53と、ポンプのハウジング54に非回転状態かつ軸方向移動可能な状態でカートリッジ56内のベローズ57を介して設けられた円環状の固定側摺動環55とが、この固定側摺動環55を軸方向に付勢するコイルドウェーブスプリング58及びベローズ57によって、ラッピング等によって鏡面仕上げされた摺動面S同士で密接摺動するものが知られている(以下、「従来技術1」という。例えば、特許文献1参照。)この従来技術1のメカニカルシールにおけるカップガスケット52は、ゴム等の弾性材で形成されており、断面形状は略L字状をしている。

0003

また、基本的なシール構造図4(a)に示す従来技術1と同じであるものの、スリーブ51と回転側摺動環53との間に装着されるカップガスケット59が、図5に示すように、回転側摺動環53の背面とスリーブ51の半径方向の部分までまわっていない、断面が略I字状のものが知られている(以下、「従来技術2」という。例えば、特許文献2及び3参照。)。

0004

しかしながら、近年、用いられる流体の条件が従来よりも厳しいものが要求されており、例えば自動車エンジン冷却用ウォーターポンプでは省燃費化のため、流体の温度が高温、流体の圧力が高圧のものが要求されつつある。この様な状況において、従来技術1の構造では摺動面の外周側に高圧流体が存在するためカップガスケット52の高圧流体側の面には矢印で示すように外周側から径方向の圧力が作用すること、カップガスケット52がゴム等の弾性材で形成されていること及び厚さが均一であることから、カップガスケット52全体が徐々に低圧流体側(大気側)に抜けてしまうという問題が。そして、カップガスケット52が、一旦、低圧流体側に抜け始めると、回転側摺動環53の背面に作用する背圧が増大し、カップガスケット52に対する挟着力が低下するため、カップガスケット52の抜けに拍車がかかり、途中で抜けが停止される事態にはならない。
この問題の第1の対策としては、図4(b)に示すように、回転側摺動環53の高圧流体側(外周側)にカップガスケット52を装着し、軸方向シール部A1でシールすることにより、半径方向の圧力の影響を小さくする手法があるが、摺動面Sの摺動発熱放熱性が低下するという問題が生じる。
また、第2の対策としては、図4(c)に示すように、スリーブ51と回転側摺動環53の軸方向のシール部の隙間tに比べ、カップガスケット52の径方向部52aの肉厚を厚く設定し、カップガスケット52には矢印で示すように外周側から径方向の圧力が作用しても、径方向部52aが隙間tに引っ係ることにより抜けにくくすることが考えられるが、回転側摺動環53自体の軸方向寸法が大きくなるという問題が生じる。

0005

また、図5に示す従来技術2は、カップガスケット59によるシール部Aがスリーブ51とカップガスケット59の軸方向部に位置するため、カップガスケット59には矢印で示すように高圧流体側から低圧流体側(大気側)に向かう軸方向の圧力が作用すること、及び、回転側摺動環53の背面に作用する背圧が増大し、カップガスケット59に対する挟着力が低下することから、カップガスケット59が低圧流体側に抜けてしまう、或いは、回転側摺動環53とカップガスケット59だけが固定側摺動環55へと移動し、摺動面Sにおける摺動が不安定になり、流体漏れを引き起こすという問題が生じる。

先行技術

0006

特開2000−74226号公報
特開2012−184843号公報
特開平6−11047号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたもので、摺動発熱に対する放熱性を低下させることなく、かつ、軸方向の寸法を拡大させることなく、回転軸側のスリーブと回転側摺動環との間に装着されるカップガスケットの低圧流体側への抜けを防止したメカニカルシールを提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するため本発明のメカニカルシールは、第1に、回転軸に固定されるスリーブと、ハウジングに固定されるカートリッジとを備え、前記スリーブにはカップガスケットを介して回転側摺動環が設けられ、前記カートリッジには前記回転側摺動環に対向して摺動する固定側摺動環が設けられ、前記回転側摺動環と固定側摺動環との摺動面の外径側に高圧流体が存在するインサイド形のメカニカルシールにおいて、前記回転側摺動環は、内径側であって背面側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部を有する断面略角形に形成され、前記カップガスケットは、前記回転側摺動環の内径側及び前記背面側に跨って装着され、前記回転側摺動環の内径側及び前記スリーブの内筒部と接する軸方向部及び前記回転側摺動環の背面側及び前記スリーブの径方向部と接する径方向部とからなる断面が略L字形状に形成されると共に、前記カット部に面するコーナー部は前記カット部に沿う形状に形成され、前記カップガスケットのコーナー部の厚さtは前記回転側摺動環の内径側と前記スリーブの内筒部の隙間dより大きく設定されることを特徴としている。
この特徴によれば、回転側摺動環の高圧流体側にカップガスケットを設ける場合に比べ摺動発熱に対する放熱性を低下させることがなく、カップガスケットの径方向部の肉厚を厚く設定した場合に比べ軸方向の寸法を拡大させることがなく、カップガスケットの低圧流体側への抜け防止を図ることができる。
また、回転側摺動環は、内径側であって背面側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部を有する断面5角形に形成されているため、シール性能に影響を与えることなく、回転側摺動環を軽量化できる。
また、カップガスケットは、軸方向部及び径方向部とからなる断面が略L字形状に形成されているため、回転側摺動環の反摺動面方向の軸力を一定の大きさに保持でき、カップガスケットの径方向部を確実に挟着することができ、カップガスケットの低圧流体側への抜け防止に貢献できる。
また、カップガスケットのコーナー部の厚さは回転側摺動環の内径側とスリーブの内筒部の隙間より大きく設定されているため、カップガスケットの低圧流体側への抜けを物理的に防止することができる。
また、万一、カップガスケットの軸方向部が破損した場合でも、カップガスケットが低圧流体側へ抜けることがないため、シール性を維持できる。

0009

また、本発明のメカニカルシールは、第2に、回転軸に固定されるスリーブと、ハウジングに固定されるカートリッジとを備え、前記スリーブにはカップガスケットを介して回転側摺動環が設けられ、前記カートリッジには前記回転側摺動環に対向して摺動する固定側摺動環が設けられ、前記回転側摺動環と固定側摺動環との摺動面の外径側に高圧流体が存在するインサイド形のメカニカルシールにおいて、前記回転側摺動環は、内径側であって背面側のコーナー部が内方に窪んだ形状にカットされたカット部を有する断面略6角形に形成され、前記カップガスケットは、前記回転側摺動環の内径側及び前記背面側に跨って装着され、前記回転側摺動環の内径側及び前記スリーブの内筒部と接する軸方向部及び前記回転側摺動環の背面側及び前記スリーブの径方向部と接する径方向部とからなる断面が略L字形状に形成されると共に、前記カット部に面するコーナー部は前記カット部に沿う形状に形成され、前記カップガスケットのコーナー部の厚さtは前記回転側摺動環の内径側と前記スリーブの内筒部の隙間dより大きく設定されることを特徴としている。
この特徴によれば、上記第1の特徴の有する効果に加えて、カップガスケットのコーナー部の最大の厚さを大きくしやすいというメリットがあるため、カップガスケットの低圧流体側への抜けを一層防止することができる。

0010

また、本発明のメカニカルシールは、第3に、回転軸に固定されるスリーブと、ハウジングに固定されるカートリッジとを備え、前記スリーブにはカップガスケットを介して回転側摺動環が設けられ、前記カートリッジには前記回転側摺動環に対向して摺動する固定側摺動環が設けられ、前記回転側摺動環と固定側摺動環との摺動面の内径側に高圧の被密封流体が存在するアウトサイド形のメカニカルシールにおいて、前記回転側摺動環は、外径側であって背面側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部を有する断面5角形、または、内方に窪んだ形状にカットされたカット部を有する断面略6角形に形成され、前記カップガスケットは、前記回転側摺動環の背面側及び前記スリーブの外筒部に跨って装着され、前記回転側摺動環の外径側及び前記スリーブの外筒部と接する軸方向部及び前記回転側摺動環の背面側及び前記スリーブの外筒部と接する径方向部とからなる断面が略L字形状に形成されると共に、前記カット部に面するコーナー部は前記カット部に沿う形状に形成され、前記カップガスケットのコーナー部の厚さtは前記回転側摺動環の背面側と前記スリーブの径方向部の隙間dより大きく設定されることを特徴としている。
この特徴によれば、上記第1の特徴または上記第2の特徴の有する効果を備えたアウトサイド形のメカニカルシールを得ることができる。

発明の効果

0011

本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)回転側摺動環の高圧流体側にカップガスケットを設ける場合に比べ摺動発熱に対する放熱性を低下させることがなく、カップガスケットの径方向部の肉厚を厚く設定した場合に比べ軸方向の寸法を拡大させることがなく、カップガスケットの低圧流体側への抜け防止を図ることができる。
(2)また、回転側摺動環は、内径側であって摺動面の反対側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部を有する断面5角形に形成されているため、シール性能に影響を与えることなく、回転側摺動環を軽量化できる。
(3)また、カップガスケットは、軸方向部及び径方向部とからなる断面が略L字形状に形成されているため、回転側摺動環の反摺動面方向の軸力を一定の大きさに保持でき、カップガスケットの径方向部を確実に挟着することができ、カップガスケットの低圧流体側への抜け防止に貢献できる。
(4)また、カップガスケットのコーナー部の厚さは回転側摺動環の内径側とスリーブの内筒部の隙間より大きく設定されているため、カップガスケットの低圧流体側への抜けを物理的に防止することができる。

0012

(5)回転側摺動環は、内径側であって摺動面の反対側のコーナー部が内方に窪んだ形状にカットされたカット部を有する断面略6角形に形成されるため、カップガスケットのコーナー部の最大の厚さを大きくしやすいというメリットがあるため、カップガスケットの低圧流体側への抜けを一層防止することができる。

0013

(6)インサイド形のメカニカルシールと同等のアウトサイド形のメカニカルシールを得ることができる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の実施例1に係るメカニカルシールの要部を示す縦断面図である。
本発明の実施例2に係るメカニカルシールの要部を示す縦断面図である。
本発明の実施例3に係るメカニカルシールの要部を示す縦断面図である。
従来技術1のメカニカルシールの要部を示す縦断面図である。
従来技術2のメカニカルシールの要部を示す縦断面図である。

0015

以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置などは、特に明示的な記載がない限り、それらのみに限定する趣旨のものではない。

0016

図1を参照して、本発明の実施例1に係るメカニカルシールについて説明する。
なお、本発明は、インサイド形及びアウトサイド形のいずれのメカニカルシールに適用されるものであるが、実施例1〜3では、摺動面の外周から内周方向へ向かって漏れようとする流体をシールする形式であるインサイドのメカニカルシールを示す。図1の左側が高圧流体側(被密封流体側)、右側が低圧流体側(大気側)である。

0017

図1において、メカニカルシールは、回転軸1に固定されるスリーブ2と、ハウジング3に固定されるカートリッジ4とを備え、スリーブ2にはカップガスケット7を介して回転側摺動環5が設けられ、カートリッジ4には回転側摺動環5に対向して摺動する固定側摺動環6が設けられ、回転側摺動環5と固定側摺動環6との摺動面Sの外径側に高圧流体が存在するインサイド形のメカニカルシールである。
スリーブ2は、内筒部2a、径方向部2b及び外筒部2cからなり、断面略コ字状をなし、カートリッジ4側に開口部が向くように配設され、内部に回転側摺動環5が装着されるようになっている。
また、カートリッジ4も断面略コ字状をなし、スリーブ2側に開口部が向くように配設され、内部に固定側摺動環6が装着されるようになっている。

0018

ポンプのハウジング3に固定される固定側摺動環6は、ベローズ8、ケース9、ドライビングバンド10、コイルドウェーブスプリング11とともにカートリッジ4の中に嵌装される。べローズ8の外周側にドライビングバンド10とケース9が装着され、固定側摺動環6をカートリッジ4の内筒部4aに固定する。ドライビングバンド10とカートリッジ4の内筒部4aの間に装着されているべローズ8はシール性と固定力を確保するために適切な締め代を有している。

0019

回転側摺動環5は、内径側であって摺動面Sと反対側(本明細書において、「背面側」ということがある。)のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部5aを有する断面略5角形に形成されている。
なお、断面略5角形とは、カット部5aの両端の2つの角部以外の3つの角部において面取りなどが施されることがあるため、厳密な意味では5角形ではないが、面取りを無視した場合の基本的形状が5角形であるという意味である。
回転側摺動環5は、内形側及び背面側にカップガスケット7を介してスリーブ2に圧入固定される。回転側摺動環5とスリーブ2との廻り止めの方式は種々あるが、本例では回転側摺動環5の外周部に少なくとも2ヵ所以上の切り欠き部分5bを設け、これに相対するようにスリーブ2の外筒部2cに設けたつめ状の部分で廻り止めしたものである。

0020

また、カップガスケット7は、回転側摺動環5の内径側及び背面側に跨って装着され、回転側摺動環5の内径側及びスリーブ2の内筒部2aと接する軸方向部7a及び回転側摺動環5の背面側及びスリーブ2の径方向部2bと接する径方向部7bとからなる断面が略L字形状に形成されている。軸方向部7aは、回転側摺動環5の内径側のほぼ全面に接する程度の長さを有する。
また、径方向部7bの最外径とベローズ8の受圧最内径(ベローズにおいて高圧流体の圧力を受ける最も内側の径)が径方向において同じ或いは、径方向部7bの最外径がベローズの受圧最内径よりも高圧側に設けられるとよい。これは、ベローズ受圧最内径と径方向部7bの最外径が径方向において同じ場合、流体圧力により、固定側摺動環からみてベローズの背面と、回転環の背面にかかる軸方向に押す力がつり合い、また、ベローズ背面には更にコイルドウェーブスプリング11の力が加わるため、固定側摺動環6が回転側摺動環5に押し付けられ、摺動面が開くことが無い。また、径方向部7bがベローズの受圧内径よりも高圧側に設けられると、径方向部7bとベローズの受圧内径が径方向において同じ場合に比べ、流体圧力により回転環背面にかかる力が弱くなり、より摺動面が開く恐れが無い。
ここで、カップガスケット7の径方向部7bの高圧流体側に近い位置の径方向シール部Bの一部を回転側摺動環5とスリーブ2の径方向部2bとの軸方向間隔よりも軸方向に大きくし、内径側に高圧流体が漏れない構造としてもよく、また、カップガスケット7の軸方向部7aの低圧流体側に近い位置の回転側摺動環の軸方向シール部Cを回転側摺動環5とスリーブ2の軸方向部2aとの径方向間隔よりも径方向に大きくし、万が一高圧流体が漏れてきても低圧流体側へと漏れない構造としても良い。
さらに、カップガスケット7の回転側摺動環5のカット部5aに面するコーナー部7cの内面はカット部5aに沿うテーパ状に形成され、コーナー部7cの外面はスリーブ2の外面に沿うように略直角(角部にはR加工が施されている。)に形成され、カップガスケット7のコーナー部7cの厚さtは回転側摺動環5の内径側とスリーブ2の内筒部2aの隙間dより大きく設定されている。

0021

ここで、図1を参照しながら、回転側摺動環5及びカップガスケット7に作用する高圧流体の圧力について説明する。
高圧流体は、破線で示すように、摺動面Sでシールされていることはもちろんであるが、カップガスケット7の径方向部7bの高圧流体側に近い位置の径方向シール部Bでもシール(2次シール)されている。このため、回転側摺動環5及びカップガスケット7は、高圧流体により、矢印で示すような圧力を受ける。その際、回転側摺動環5にかかる径方向の力Fkは回転側摺動環5を内径側に縮めるように働くが、回転側摺動環5の剛性が高いため、無視できる程度の力であり、(逆に無視できない程度の力である場合、回転側密封環5を破壊してしまう)、カップガスケット7は回転側摺動環5から径方向の力の影響を受けないため、回転側摺動環5により摺動面Sと反対方向の軸力Fjと、スリーブ2からの反力でもってスリーブ2と回転側摺動環5とにより挟着される。また、カップガスケット7は弾性体からなり、弾性体は加わる力により変形し、変形する量により接触部分の摩擦による抵抗力が増加するが、カップガスケット7の変形量はFjに依存するため、カップガスケット7の抜けに対向する抵抗力は軸力Fjに依存することになる。
回転側摺動環5に作用する摺動面Sと反対方向の軸力Fjは、固定側摺動環6から受ける力をF1、高圧流体から受ける摺動面Sと反対方向の軸力をF2、及び、高圧流体から受ける摺動面S方向の軸力をF3とすると、
Fj=F1+F2−F3
となる。
このうち、F3は、径方向シール部Bの径方向の位置により変化する。そして、径方向シール部Bの径方向の位置は、カップガスケット7の径方向部7bの長さに依存し、長さが長い程(回転側摺動環5の背面が径方向部7bで覆われる部分が多くなる程)F3を小さくでき、結果として、Fjを大きくできる。

0022

本発明は、回転側摺動環5の反摺動面方向の軸力Fjを一定の大きさに保持してカップガスケット7の径方向部7bを確実に保持すると共に、カップガスケット7のコーナー部7cの厚さtを回転側摺動環5の内径側とスリーブ2の内筒部2aとの隙間dより大きく設定することにより、カップガスケット7が高圧流体から低圧流体側への抜け方向の力を受ける場合でも、物理的に抜けにくくした点に特徴を有するものである。

0023

本実施例の効果は以下のとおりである。
(1)図4(b)に示すような回転側摺動環5の高圧流体側にカップガスケットを設ける場合に比べ摺動発熱に対する放熱性を低下させることがなく、同時に、図4(c)に示すようなカップガスケットの径方向部の肉厚を厚く設定した場合に比べ軸方向の寸法を拡大させることがなく、カップガスケットの低圧流体側への抜け防止を図ることができる。
(2)回転側摺動環5は、内径側であって摺動面Sの反対側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部5aを有する断面5角形に形成されているため、シール性能に影響を与えることなく、回転側摺動環5を軽量化できる。
(3)カップガスケット7は、軸方向部7a及び径方向部7bとからなる断面が略L字形状に形成されているため、回転側摺動環5の反摺動面方向の軸力Fjを一定の大きさに保持でき、カップガスケット7の径方向部7bを確実に挟着することができ、カップガスケットの低圧流体側への抜け防止に貢献できる。
(4)カップガスケット7のコーナー部7cの厚さtは回転側摺動環5の内径側とスリーブ2の内筒部2aとの隙間dより大きく設定されているため、カップガスケットの低圧流体側への抜けを物理的に防止することができる。
(5)万一、カップガスケット7の軸方向部7aが破損した場合でも、カップガスケットが低圧流体側へ抜けることがないため、径方向部7bでもってシール性を維持できる。

0024

図2を参照して、本発明の実施例2に係るメカニカルシールについて説明する。
図2に示す実施例2は、回転側摺動環5の内径側であって背面側のコーナー部が内方に窪んだ形状にカットされたカット部を有する点で、図1に示した実施例1と相違するが、その他の構成は実施例1と同じであり、同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。

0025

図2において、回転側摺動環15は、内径側であって背面側のコーナー部が内方に窪んだ形状にカットされたカット部15aを有する断面略6角形に形成されている。
図2の場合、カット部15aは角形に窪んでいるが、これに限らず、円弧状の窪み、曲線状の窪みでもよい。
なお、断面略6角形とは、カット部15aが円弧状などの窪みの場合、該窪みは厳密には角部を形成しないが、該窪みの中点を1つの角部とみなして6角と数えるという意味であると共に、また、カット部15aの両端の2つの角部以外の3つの角部において面取りなどが施されることがあるため、厳密な意味では6角形ではないが、面取りを無視した場合の基本的形状が6角形であるという意味である。

0026

また、カップガスケット17は、回転側摺動環15の内径側及び背面側に跨って装着され、回転側摺動環15及びスリーブ2の内筒部2aと接する軸方向部17a及び回転側摺動環15及びスリーブ2の径方向部2bと接する径方向部17bとからなる断面が略L字形状に形成されると共に、回転側摺動環15のカット部15aに面するコーナー部17cはカット部15aに沿う形状に形成され、カップガスケット17のコーナー部17cの厚さtは回転側摺動環15の内径側とスリーブ2の内筒部2aとの隙間dより大きく設定されている。

0027

本実施例の場合、実施例1と同様の効果を奏するものであるが、カップガスケット17のコーナー部17cの最大の厚さtを大きくしやすいというメリットがあるため、カップガスケットの低圧流体側への抜けを一層防止することができる。

0028

図3を参照して、本発明の実施例3に係るメカニカルシールについて説明する。
図3に示す実施例3は、回転側摺動環と固定側摺動環との摺動面の内径側に高圧の被密封流体が存在するアウトサイド形のメカニカルシールである点で、上記実施例1と相違するが、その他の構成は実施例1と同じであり、同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。

0029

図3に示すメカニカルシールは、回転側摺動環5と固定側摺動環6との摺動面Sの内径側に高圧の被密封流体が存在するアウトサイド形のメカニカルシールである。
図3の左側が低圧流体側(大気側)、右側が高圧流体側(被密封流体側)である。

0030

スリーブ22は、内筒部22a、径方向部22b及び外筒部22cからなり、断面略コ字状をなし、カートリッジ4側に開口部が向くように配設され、内部に回転側摺動環25が装着されるようになっている。
回転側摺動環25は、外径側であって背面側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部25aを有する断面5角形に形成されている。

0031

カップガスケット27は、回転側摺動環25の外径側及び背面側に跨って装着され、回転側摺動環25の外径側及びスリーブ22の外筒部22cと接する軸方向部27a及び回転側摺動環25の背面側及びスリーブ22の径方向部22bと接する径方向部27bとからなる断面が略L字形状に形成されると共に、カット部25aに面するコーナー部27cはカット部25aに沿う形状に形成されている。
また、カップガスケット27のコーナー部27cの厚さtは回転側摺動環25の外径側とスリーブ22の外筒部22cとの隙間dより大きく設定される。

0032

図3においては、上記実施例1のメカニカルシールをアウトサイド形のメカニカルシールに適用した場合を示しているが、これに限らず、上記実施例2のメカニカルシールにおいても適用できることはもちろんである。

0033

本実施例の場合、実施例1と同様の以下の効果を奏する。
(1)図4(b)に示すような回転側摺動環25の高圧流体側にカップガスケットを設ける場合に比べ摺動発熱に対する放熱性を低下させることがなく、同時に、図4(c)に示すようなカップガスケットの径方向部の肉厚を厚く設定した場合に比べ軸方向の寸法を拡大させることがなく、カップガスケットの低圧流体側への抜け防止を図ることができる。
(2)回転側摺動環25は、外径側であって反摺動面S側のコーナー部がテーパ状にカットされたカット部25a有する断面5角形に形成されているため、シール性能に影響を与えることなく、回転側摺動環25を軽量化できる。
(3)カップガスケット27は、軸方向部27a及び径方向部27bとからなる断面が略L字形状に形成されているため、回転側摺動環25の反摺動面方向の軸力Fjを一定の大きさに保持でき、カップガスケット27の径方向部27bを確実に挟着することができ、カップガスケットの低圧流体側への抜け防止に貢献できる。
(4)カップガスケット27のコーナー部27cの厚さtは回転側摺動環25の外径側とスリーブ22の内筒部22aとの隙間dより大きく設定されているため、カップガスケットの低圧流体側への抜けを物理的に防止することができる。
(5)万一、カップガスケット27の軸方向部27aが破損した場合でも、カップガスケットが低圧流体側へ抜けることがないため、径方向部27bでもってシール性を維持できる。

0034

以上、本発明の実施の形態を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。

0035

例えば、前記実施の形態では、本発明のメカニカルシールがポンプに適用される場合について説明したが、これに限らず、例えば、コンプレッサ水中モータ等、各種産業機械に適用できる。

0036

また、例えば、前記実施例では、回転側摺動環5は、テーパ状にカットされたカット部5aを有するものであるが、この「テーパ状にカットされたカット部」には、通常の機械加工で行われる角部の面取りは含まれない。すなわち、面取りよりは大きくカットされた場合を意味する。

実施例

0037

また、例えば、前記実施例1及び2において、スリーブ2は、内筒部2a、径方向部2b及び外筒部2cからなり、断面略コ字状をなし、外筒部2cに設けたつめ状の部分で回転側摺動環の廻り止めをしていると説明したが、外筒部2cは周方向に連続したものでなく、つめ状の部分だけからなる場合も包含される。

0038

1回転軸
2、22スリーブ
2a、22a内筒部
2b、22b径方向部
2c、22c外筒部
3ハウジング
4カートリッジ
5、15、25回転側摺動環
6固定側摺動環
7、17、27カップガスケット
7a、17a、27a 軸方向部
7b、17b、27b 径方向部
8ベローズ
9ケース
10ドライビングバンド
11 コイルドウェーブスプリング

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