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技術 電力変換回路の制御装置

出願人 イサハヤ電子株式会社
発明者 黒川不二雄
出願日 2015年9月17日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2016-548936
公開日 2017年7月6日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 WO2016-043262
状態 特許登録済
技術分野 DC‐DCコンバータ
主要キーワード デジタル電流値 積分制御要素 反映タイミング ゲイン要素 出力電流検出用抵抗 ゲイン関数 オンオフ周期 単調減少関数
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図面 (18)

課題

最新または過去の制御量に基づき、ゲインの切り換えの判断を行う電力変換回路制御装置

解決手段

制御装置1は、出力検出部11と、制御量計算部12と、ゲイン設定部13とを備える。 ゲイン設定部13は、制御量計算部12により計算された制御量Tに基づき、ゲイン関数Kを、第2値T2より大きい領域で定義された第1ゲイン関数K1(T)または第1値T1より小さい領域で定義された第2ゲイン関数K2(T)に設定する。 ゲイン設定部13は、制御量TがT1より大きい場合においては、現在のゲイン関数KをK1に維持または変更し、制御量TがT2より小さい場合においては、現在のゲイン関数KをK2に維持または変更し、制御量TがT2より大きくかつT1より小さい場合においては、現在のゲイン関数Kを、K1またはK2に維持する。

概要

背景

図1は、電力変換回路(DC/DCコンバータ)8および電力変換回路8に接続された制御装置9の構成を示す図である。
図1において、電力変換回路8は、スイッチ(Tr)81、リアクトル(L)82、転流用のダイオード(D)83およびキャパシタ(Co)84とからなる。
図1の電力変換回路8では、スイッチ81がオンのときにはリアクトル82を介して、直流電源51からのエネルギー負荷52に供給される。
スイッチ81がオフのときにはリアクトル82に蓄えられたエネルギーが負荷(R)52に供給される。
なお、ゲインを変更する技術については、特許文献1を参照されたい。

電力変換回路8の制御装置9は、出力検出部91、制御量計算部92、ゲイン設定部93およびPWM信号生成部94からなる。
出力検出部91は、電力変換回路8の出力端子b1,b2に現れる電圧値アナログ出力電圧eO)を取り込む。
出力検出部91は、図示しないプリアンプとA/D変換器とからなり、取り込んだアナログ出力電圧eOをデジタル出力電圧値EO変換する。

制御量計算部92は、電力変換回路8をスイッチング制御するための制御量Tonを計算する。
制御量Tonは、図1ではPIDフィードバック制御量NPID,nであり、以下の式で表される。
NPID,n=NB−KP(Nn−NR)−KD(Nn−Nn−1)−KIΣ(Nn−NR)
n:サンプリング回数(時間)を表すインデックス
NB:バイアス値
NR:基準値
KP:比例ゲイン
KD:微分ゲイン
KI:積分ゲイン

制御量計算部92の計算結果NPID,n(Ton)は、PWM信号生成部94に送られる。
PWM信号生成部94は、PWM信号SPWMを生成し、このPWM信号SPWMをドライブ回路95に送出する。ドライブ回路95は、PWM信号SPWMに基づき駆動信号ON/OFFを生成し、これを電力変換回路8のスイッチ81に送出する。

電力変換回路8では、リアクトル電流iLのモードには、リアクトル電流iLが連続するモード(リアクトル電流連続モード:CCM)と、リアクトル電流iLが不連続となるモード(リアクトル電流不連続モード:DCM)とがある。
リアクトル電流iLが連続モードである場合に、出力電流ioが減少すると、リアクトル電流iLは連続モード(図2(A))から不連続モード(図2(B))に遷移する。
また、リアクトル電流iLが不連続モードである場合に、出力電流ioが増加すると、リアクトル電流iLは不連続モード(図2(B))から連続モード(図2(A))に遷移する。

ところが、フィードバックゲイン(比例ゲインKP,微分ゲインKD,積分ゲインKI)を固定値とした制御の場合には、図3(A)の特性図に示すように、出力電流ioが小さい領域(リアクトル電流iLが不連続となる領域)では、出力電圧Eoが異常に上昇することがある。

リアクトル電流iLが不連続となる領域では、フィードバックゲイン(通常、積分ゲイン関数KI)を大きくすれば、図3(B)の特性図に示すように、出力電圧の異常上昇を抑制することができる。
しかし、フィードバックゲインを大きくしたまま、リアクトル電流連続モードでの制御を行うと、電力変換回路8の動作が不安定になるという問題が生じる。

そこで、リアクトル電流連続モードと、リアクトル電流不連続モードとで異なるフィードバックゲインを適用する技術が提案されている。
この技術では、図4に示すように、出力電圧検出部911が、電力変換回路8の出力電圧eoを図示しないプリアンプおよびA/D変換器を介してデジタル電流値Eoとして取り込む。
また、出力電流検出部912が、電力変換回路8の出力電流ioを、出力電流検出用抵抗(rs)85における電圧降下として検出する。すなわち、出力電流検出部912は、上記の電圧降下を図示しないプリアンプおよびA/D変換器を介してデジタル電流値EIoとして取り込む。

ゲイン設定部93は、現在、リアクトル電流iLが連続モードにあるのか不連続モードにあるのかを、出力電流ioの値(I1)に基づいて推定する。
そして、ゲイン設定部93は、リアクトル電流iLが連続モードにあると判断した場合(io>I1)には、積分ゲイン関数KIの値を小さい値KI1に設定する。
逆に、リアクトル電流が不連続モードにあると判断した場合(io<I1)にはPID制御における積分ゲイン関数KIの値を大きい値KI2に設定することができる。

ところが、出力電流ioの変化状態によっては、リアクトル電流iLは、連続モードと不連続モードとの間で、交互に頻繁に遷移する場合があり、制御が不安定になる。
このため、フィードバックゲイン(積分ゲイン関数KI)を切り換える場合には、通常、図5にも示すように、ヒステリシス特性を持つ制御が行われ、制御は安定に行われる。

概要

最新または過去の制御量に基づき、ゲインの切り換えの判断を行う電力変換回路の制御装置。 制御装置1は、出力検出部11と、制御量計算部12と、ゲイン設定部13とを備える。 ゲイン設定部13は、制御量計算部12により計算された制御量Tに基づき、ゲイン関数Kを、第2値T2より大きい領域で定義された第1ゲイン関数K1(T)または第1値T1より小さい領域で定義された第2ゲイン関数K2(T)に設定する。 ゲイン設定部13は、制御量TがT1より大きい場合においては、現在のゲイン関数KをK1に維持または変更し、制御量TがT2より小さい場合においては、現在のゲイン関数KをK2に維持または変更し、制御量TがT2より大きくかつT1より小さい場合においては、現在のゲイン関数Kを、K1またはK2に維持する。

目的

本発明は、DC/DCコンバータ等の電力変換回路の制御に際して、出力電流を検出することなく、制御状態に応じてゲインを切り換えることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

スイッチのオンオフにより、入力エネルギーリアクトルへの蓄積と、前記リアクトルに蓄積したエネルギーの放出を繰り返えし行う電力変換回路制御装置において:前記制御装置は、前記電力変換回路の出力電圧を検出する出力検出部と、前記電力変換回路をスイッチング制御するための制御量Tを、前記出力電圧の値と、ゲイン関数Kに基づき計算する制御量計算部と、前記制御量計算部により計算された制御量Tに基づき、前記ゲイン関数Kを、第2値T2より大きい領域で定義された第1ゲイン関数K1(T)または第1値T1より小さい領域で定義された第2ゲイン関数K2(T)に設定するゲイン設定部と、を備え、第1ゲイン関数K1(T)はゲイン要素としてk1x(x=1,2,・・・,M)を含み、かつ第2ゲイン関数K2(T)はゲイン要素としてk2x(x=1,2,・・・,M)を含み、前記第1ゲイン関数K1のゲイン要素k1xと前記第2ゲイン関数K2のゲイン要素k2xとの間には、次の関係が成立し、k2x≧k1x(ただし、xは1,2,・・・,Mの全て)k2x>k1x(ただし、xは1,2,・・・,Mの少なくとも1つ)前記ゲイン設定部は、前記制御量Tが前記第1値T1より大きい場合においては、現在のゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に維持または変更し、前記制御量Tが前記第2値T2より小さい場合においては、現在のゲイン関数Kを、前記第2ゲイン関数K2に維持または変更し、前記制御量Tが前記第2値T2より大きく、かつ前記第1値T1より小さい場合においては、現在のゲイン関数Kを、前記第1ゲイン関数K1に維持しまたは前記第2ゲイン関数K2に維持する、電力変換回路の制御装置。

請求項2

スイッチのオン・オフにより、入力エネルギーのリアクトルへの蓄積と、前記リアクトルに蓄積したエネルギーの放出を繰り返えし行う電力変換回路の制御装置において:前記制御装置は、前記電力変換回路の出力電圧を検出する出力検出部と、前記電力変換回路をスイッチング制御するための制御量Tを、前記出力電圧の値と、ゲイン関数Kに基づき計算する制御量計算部と、前記制御量計算部により計算された制御量Tに基づき、前記ゲイン関数Kを、第2値T2より小さい領域で定義された第1ゲイン関数K1(T)または第1値T1より大きい領域で定義された第2ゲイン関数K2(T)に設定するゲイン設定部と、を備え、第1ゲイン関数K1(T)はゲイン要素としてk1x(x=1,2,・・・,M)を含み、かつ第2ゲイン関数K2(T)はゲイン要素としてk2x(x=1,2,・・・,M)を含み、前記第1ゲイン関数K1のゲイン要素k1xと前記第2ゲイン関数K2のゲイン要素k2xとの間には、次の関係が成立し、k2x≧k1x(ただし、xは1,2,・・・,Mの全て)k2x>k1x(ただし、xは1,2,・・・,Mの少なくとも1つ)前記ゲイン設定部は、前記制御量Tが前記第1値T1より小さい場合においては、現在のゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に維持または変更し、前記制御量Tが前記第2値T2より大きい場合においては、現在のゲイン関数Kを、前記第2ゲイン関数K2に維持または変更し、前記制御量Tが前記第2値T2より小さく、かつ前記第1値T1より大きい場合においては、現在のゲイン関数Kを、前記第1ゲイン関数K1に維持しまたは前記第2ゲイン関数K2に維持する、電力変換回路の制御装置。

請求項3

前記設定に際して、前記ゲイン設定部は、(i)前記ゲイン関数Kが前記第1ゲイン関数K1に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第2値T2より大きい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に維持し、(ii)前記ゲイン関数Kが前記第1ゲイン関数K1に設定されている場合において、前記第2値T2より小さい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第2ゲイン関数K2に変更し、(iii)前記ゲイン関数Kが前記第2ゲイン関数K2に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第1値T1より小さい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第2ゲイン関数K2に維持し、(iv)前記ゲイン関数Kが前記第2ゲイン関数K2に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第1値T1より大きい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に変更する、請求項1に記載の電力変換回路の制御装置。

請求項4

前記設定に際して、前記ゲイン設定部は、(i)前記ゲイン関数Kが前記第1ゲイン関数K1に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第2値T2より小さい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に維持し、(ii)前記ゲイン関数Kが前記第1ゲイン関数K1に設定されている場合において、前記第2値T2より大きい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第2ゲイン関数K2に変更し、(iii)前記ゲイン関数Kが前記第2ゲイン関数K2に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第1値T1より大きい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第2ゲイン関数K2に維持し、(iv)前記ゲイン関数Kが前記第2ゲイン関数K2に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第1値T1より小さい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に変更する、請求項2に記載の電力変換回路の制御装置。

請求項5

前記制御量Tがフィードバック制御量、前記ゲイン関数Kを構成するゲイン要素がフィードバックゲインである請求項1または2に記載の電力変換回路の制御装置。

請求項6

さらに、PWM信号生成部を備え、前記PWM信号生成部は、前記制御量計算部からの制御量Tに基づきPWM信号を生成する請求項1または2に記載の電力変換回路の制御装置。

請求項7

前記制御量計算部により計算された制御量Tが、スイッチのオンタイム値オフタイム値またはスイッチング周期である請求項1または2に記載の電力変換回路の制御装置。

請求項8

前記制御量計算部により計算された制御量Tが、過去の制御量Tの平均値である請求項1または2に記載の電力変換回路の制御装置。

請求項9

前記第1ゲイン関数K1および前記第2ゲイン関数K2のうち、前記の関係、k2x(T)>k1x(T)を満足するゲイン要素が、PID制御PI制御またはPD制御における比例ゲイン積分ゲインまたは微分ゲイン、または、IIRフィルタFIRフィルタにおけるフィルタ係数、を含む請求項1または2に記載の電力変換回路の制御装置。

請求項10

前記第1値T1は、リアクトル電流臨界モード制御点に対応する請求項1または2に記載の電力変換回路の制御装置。

請求項11

前記「第1値T1より小さい」は「第1値T1以下」を含み、前記「第1値T1より大きい」は「第1値T1以上」を含み、前記「第2値T2より小さい」は「第2値T2以下」を含み、前記「第2値T2より大きい」は「第2値T2以上」を含む、請求項1または2に記載の電力変換回路の制御装置。

技術分野

0001

本発明は、DC/DCコンバータ等の電力変換回路の制御に際して、出力電流を検出することなく、制御状態に応じてゲインを切り換える電力変換回路の制御装置に関する。
具体的には、最新または過去の制御量Tに基づき、前記ゲインの切り換えの判断を行う電力変換回路の制御装置に関する。

背景技術

0002

図1は、電力変換回路(DC/DCコンバータ)8および電力変換回路8に接続された制御装置9の構成を示す図である。
図1において、電力変換回路8は、スイッチ(Tr)81、リアクトル(L)82、転流用のダイオード(D)83およびキャパシタ(Co)84とからなる。
図1の電力変換回路8では、スイッチ81がオンのときにはリアクトル82を介して、直流電源51からのエネルギー負荷52に供給される。
スイッチ81がオフのときにはリアクトル82に蓄えられたエネルギーが負荷(R)52に供給される。
なお、ゲインを変更する技術については、特許文献1を参照されたい。

0003

電力変換回路8の制御装置9は、出力検出部91、制御量計算部92、ゲイン設定部93およびPWM信号生成部94からなる。
出力検出部91は、電力変換回路8の出力端子b1,b2に現れる電圧値アナログ出力電圧eO)を取り込む。
出力検出部91は、図示しないプリアンプとA/D変換器とからなり、取り込んだアナログ出力電圧eOをデジタル出力電圧値EO変換する。

0004

制御量計算部92は、電力変換回路8をスイッチング制御するための制御量Tonを計算する。
制御量Tonは、図1ではPIDフィードバック制御量NPID,nであり、以下の式で表される。
NPID,n=NB−KP(Nn−NR)−KD(Nn−Nn−1)−KIΣ(Nn−NR)
n:サンプリング回数(時間)を表すインデックス
NB:バイアス値
NR:基準値
KP:比例ゲイン
KD:微分ゲイン
KI:積分ゲイン

0005

制御量計算部92の計算結果NPID,n(Ton)は、PWM信号生成部94に送られる。
PWM信号生成部94は、PWM信号SPWMを生成し、このPWM信号SPWMをドライブ回路95に送出する。ドライブ回路95は、PWM信号SPWMに基づき駆動信号ON/OFFを生成し、これを電力変換回路8のスイッチ81に送出する。

0006

電力変換回路8では、リアクトル電流iLのモードには、リアクトル電流iLが連続するモード(リアクトル電流連続モード:CCM)と、リアクトル電流iLが不連続となるモード(リアクトル電流不連続モード:DCM)とがある。
リアクトル電流iLが連続モードである場合に、出力電流ioが減少すると、リアクトル電流iLは連続モード(図2(A))から不連続モード(図2(B))に遷移する。
また、リアクトル電流iLが不連続モードである場合に、出力電流ioが増加すると、リアクトル電流iLは不連続モード(図2(B))から連続モード(図2(A))に遷移する。

0007

ところが、フィードバックゲイン(比例ゲインKP,微分ゲインKD,積分ゲインKI)を固定値とした制御の場合には、図3(A)の特性図に示すように、出力電流ioが小さい領域(リアクトル電流iLが不連続となる領域)では、出力電圧Eoが異常に上昇することがある。

0008

リアクトル電流iLが不連続となる領域では、フィードバックゲイン(通常、積分ゲイン関数KI)を大きくすれば、図3(B)の特性図に示すように、出力電圧の異常上昇を抑制することができる。
しかし、フィードバックゲインを大きくしたまま、リアクトル電流連続モードでの制御を行うと、電力変換回路8の動作が不安定になるという問題が生じる。

0009

そこで、リアクトル電流連続モードと、リアクトル電流不連続モードとで異なるフィードバックゲインを適用する技術が提案されている。
この技術では、図4に示すように、出力電圧検出部911が、電力変換回路8の出力電圧eoを図示しないプリアンプおよびA/D変換器を介してデジタル電流値Eoとして取り込む。
また、出力電流検出部912が、電力変換回路8の出力電流ioを、出力電流検出用抵抗(rs)85における電圧降下として検出する。すなわち、出力電流検出部912は、上記の電圧降下を図示しないプリアンプおよびA/D変換器を介してデジタル電流値EIoとして取り込む。

0010

ゲイン設定部93は、現在、リアクトル電流iLが連続モードにあるのか不連続モードにあるのかを、出力電流ioの値(I1)に基づいて推定する。
そして、ゲイン設定部93は、リアクトル電流iLが連続モードにあると判断した場合(io>I1)には、積分ゲイン関数KIの値を小さい値KI1に設定する。
逆に、リアクトル電流が不連続モードにあると判断した場合(io<I1)にはPID制御における積分ゲイン関数KIの値を大きい値KI2に設定することができる。

0011

ところが、出力電流ioの変化状態によっては、リアクトル電流iLは、連続モードと不連続モードとの間で、交互に頻繁に遷移する場合があり、制御が不安定になる。
このため、フィードバックゲイン(積分ゲイン関数KI)を切り換える場合には、通常、図5にも示すように、ヒステリシス特性を持つ制御が行われ、制御は安定に行われる。

先行技術

0012

特開2008−43057号公報

発明が解決しようとする課題

0013

しかし、図4に示した電力変換回路8では、出力電流検出用抵抗(rs)85における電圧降下のために、電力損失が増大するという問題がある。
また、図4に示した電力変換回路8では、出力電流ioを検出するために出力電流検出部912(プリアンプおよびA/D変換器)が必要となり、部品点数が増大するという問題もある。

0014

本発明は、DC/DCコンバータ等の電力変換回路の制御に際して、出力電流を検出することなく、制御状態に応じてゲインを切り換えることを目的とする。
本発明は、具体的には、生成された最新または過去の制御量に基づき、ゲインの設定を行うことを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

電力変換回路の制御(典型的にはPWM制御)においては、出力電流ioが減少すればスイッチのオンタイムも減少する(スイッチのオフタイムが増加する)。
また、当該制御において、出力電流ioが増加すればスイッチのオンタイムも増加する(スイッチのオフタイムが減少する)。
すなわち、電力変換回路のPWM制御においては、出力電流ioとスイッチのオンタイム(または、オフタイム、スイッチング周期)には、ある相関関係がある。
一方、スイッチのオンタイムやオフタイムは、電力変換回路の出力電圧から計算される。
本発明者は、これらの事実に着目し、ゲインの切換えをスイッチのオンタイムやオフタイムの値に基づき行うことができれば、出力電流の検出をすることなく、ゲインの切り換えやゲインの値の設定ができる、との知見を得て本発明を完成するに至った。

0016

(1)
スイッチのオン・オフにより、入力エネルギーのリアクトルへの蓄積と、前記リアクトルに蓄積したエネルギーの放出を繰り返えし行う電力変換回路の制御装置において:
前記制御装置は、
前記電力変換回路の出力電圧を検出する出力検出部と、
前記電力変換回路をスイッチング制御するための制御量Tを、前記出力電圧の値と、ゲイン関数Kに基づき計算する制御量計算部と、
前記制御量計算部により計算された制御量Tに基づき、前記ゲイン関数Kを、第2値T2より大きい領域で定義された第1ゲイン関数K1(T)または第1値T1より小さい領域で定義された第2ゲイン関数K2(T)に設定するゲイン設定部と、
を備え、
第1ゲイン関数K1(T)はゲイン要素としてk1x(x=1,2,・・・,M)を含み、かつ第2ゲイン関数K2(T)はゲイン要素としてk2x(x=1,2,・・・,M)を含み、
前記第1ゲイン関数K1のゲイン要素k1xと前記第2ゲイン関数K2のゲイン要素k2xとの間には、次の関係が成立し、
k2x≧k1x(ただし、xは1,2,・・・,Mの全て)
k2x>k1x(ただし、xは1,2,・・・,Mの少なくとも1つ)
前記ゲイン設定部は、
前記制御量Tが前記第1値T1より大きい場合においては、現在のゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に維持または変更し、
前記制御量Tが前記第2値T2より小さい場合においては、現在のゲイン関数Kを、前記第2ゲイン関数K2に維持または変更し、
前記制御量Tが前記第2値T2より大きく、かつ前記第1値T1より小さい場合においては、現在のゲイン関数Kを、前記第1ゲイン関数K1に維持しまたは前記第2ゲイン関数K2に維持する、
電力変換回路の制御装置。

0017

(2)
スイッチのオン・オフにより、入力エネルギーのリアクトルへの蓄積と、前記リアクトルに蓄積したエネルギーの放出を繰り返えし行う電力変換回路の制御装置において:
前記制御装置は、
前記電力変換回路の出力電圧を検出する出力検出部と、
前記電力変換回路をスイッチング制御するための制御量Tを、前記出力電圧の値と、ゲイン関数Kに基づき計算する制御量計算部と、
前記制御量計算部により計算された制御量Tに基づき、前記ゲイン関数Kを、第2値T2より小さい領域で定義された第1ゲイン関数K1(T)または第1値T1より大きい領域で定義された第2ゲイン関数K2(T)に設定するゲイン設定部と、
を備え、
第1ゲイン関数K1(T)はゲイン要素としてk1x(x=1,2,・・・,M)を含み、かつ第2ゲイン関数K2(T)はゲイン要素としてk2x(x=1,2,・・・,M)を含み、
前記第1ゲイン関数K1のゲイン要素k1xと前記第2ゲイン関数K2のゲイン要素k2xとの間には、次の関係が成立し、
k2x≧k1x(ただし、xは1,2,・・・,Mの全て)
k2x>k1x(ただし、xは1,2,・・・,Mの少なくとも1つ)
前記ゲイン設定部は、
前記制御量Tが前記第1値T1より小さい場合においては、現在のゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に維持または変更し、
前記制御量Tが前記第2値T2より大きい場合においては、現在のゲイン関数Kを、前記第2ゲイン関数K2に維持または変更し、
前記制御量Tが前記第2値T2より小さく、かつ前記第1値T1より大きい場合においては、現在のゲイン関数Kを、前記第1ゲイン関数K1に維持しまたは前記第2ゲイン関数K2に維持する、
電力変換回路の制御装置。
(1)の制御装置は、電力変換回路をスイッチのオンタイムにより制御する場合やスイッチング周期により制御する場合(デューティ比が固定であることもあるし、デューティ比が変化することもある)に適用される。一方、(2)の制御装置は、電力変換回路をスイッチのオフタイムにより制御する場合に適用される。
なお、ゲイン要素(第1ゲイン要素k1xおよび第2ゲイン要素k2x)は、全てが定数であってもよいし、少なくとも1つが過去の制御量Tの値により変化する変数(すなわち、Tの関数)であってもよい。
過去の制御量Tの値は、たとえば、ゲインが設定されるスイッチング周期(インデックス:n)より数周期前の値であってもよい。
また、後述するように、過去の制御量Tの値は、ゲインが設定されるスイッチング周期(インデックス:n)より前の、複数周期の値の平均値であってもよい。
この複数周期の値の平均値は、移動平均であってもよい。

0018

(3)
前記設定に際して、
前記ゲイン設定部は、
(i) 前記ゲイン関数Kが前記第1ゲイン関数K1に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第2値T2より大きい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に維持し、
(ii) 前記ゲイン関数Kが前記第1ゲイン関数K1に設定されている場合において、前記第2値T2より小さい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第2ゲイン関数K2に変更し、
(iii) 前記ゲイン関数Kが前記第2ゲイン関数K2に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第1値T1より小さい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第2ゲイン関数K2に維持し、
(iv) 前記ゲイン関数Kが前記第2ゲイン関数K2に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第1値T1より大きい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に変更する、
(1)に記載の電力変換回路の制御装置。

0019

(4)
前記設定に際して、
前記ゲイン設定部は、
(i) 前記ゲイン関数Kが前記第1ゲイン関数K1に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第2値T2より小さい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に維持し、
(ii) 前記ゲイン関数Kが前記第1ゲイン関数K1に設定されている場合において、前記第2値T2より大きい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第2ゲイン関数K2に変更し、
(iii) 前記ゲイン関数Kが前記第2ゲイン関数K2に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第1値T1より大きい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第2ゲイン関数K2に維持し、
(iv) 前記ゲイン関数Kが前記第2ゲイン関数K2に設定されている場合において、前記制御量Tが前記第1値T1より小さい値に変化したときは、前記ゲイン関数Kを前記第1ゲイン関数K1に変更する、
(2)に記載の電力変換回路の制御装置。

0020

(5)
前記制御量Tがフィードバック制御量、前記ゲイン関数Kを構成するゲイン要素がフィードバックゲインである(1)または(2)に記載の電力変換回路の制御装置。

0021

(6)
さらに、PWM信号生成部を備え、
前記PWM信号生成部は、前記制御量計算部からの制御量Tに基づきPWM信号を生成する(1)または(2)に記載の電力変換回路の制御装置。

0022

(7)
前記制御量計算部により計算された制御量Tが、スイッチのオンタイム値、オフタイム値またはスイッチング周期である(1)または(2)に記載の電力変換回路の制御装置。 本実施形態では、電力変換回路の制御方式が、オンタイム制御のときはスイッチのオンタイム値が制御量Tとなり、オフタイム制御のときはスイッチのオンタイム値が制御量Tとなり、たとえばデューティ比固定のスイッチング周期制御のときはスイッチング周期が制御量Tとなる。

0023

(8)
前記制御量計算部により計算された制御量Tが、過去の制御量Tの平均値である(1)または(2)に記載の電力変換回路の制御装置。
すなわち、過去の制御量Tの値は、ゲインが設定されるスイッチング周期(インデックス:n)より前の、複数周期の値の平均値であってもよい。この複数周期の値の平均値は、移動平均であってもよい。

0024

(9)
前記第1ゲイン関数K1および前記第2ゲイン関数K2のうち、前記の関係、
k2x(T)>k1x(T)
満足するゲイン要素が、
PID制御、PI制御またはPD制御における比例ゲイン、積分ゲインまたは微分ゲイン、または、
IIRフィルタFIRフィルタにおけるフィルタ係数
を含む(1)または(2)に記載の電力変換回路の制御装置。

0025

(10)
前記第1値T1は、リアクトル電流臨界モード制御点に対応する(1)または(2)に記載の電力変換回路の制御装置。
(11)
前記「第1値T1より小さい」は「第1値T1以下」を含み、
前記「第1値T1より大きい」は「第1値T1以上」を含み、
前記「第2値T2より小さい」は「第2値T2以下」を含み、
前記「第2値T2より大きい」は「第2値T2以上」を含む、
(1)または(2)に記載の電力変換回路の制御装置。

0026

なお、第1値T1や第2値T2は、現在の制御量Tに対応して動的に変化してもよい。
たとえば、直前の制御量Tの値が、リアクトル電流の臨界モード点に対応する点から離れている場合には、第2値T2を第1値T1に近い値とすることができ、直前の制御量Tの値が、リアクトル電流の臨界モード点に対応する点に近い場合には、第2値T2を第1値T1から離れた値とすることができる。

0027

第1ゲイン関数K1および第2ゲイン関数K2として、種々の関数を使用することができる。
すなわち、本発明において、制御量Tが第1値T1と第2値T2との間にあるときは、第1ゲイン関数K1および第2ゲイン関数K2とによりループ(閉じた図形)が形成される。
この閉じた図形は、ひし形三角形とすることができる。
たとえば、第1ゲイン関数K1を定数とし、第2ゲイン関数K2を単調減少関数とすることもできる。

0028

本発明では、リアクトル電流が連続モードから不連続モードに遷移すると想定される制御量Tを第1値T1とした。
制御量Tがスイッチのオンタイムであるとき(制御量Ton)は、第1値T1よりも小さい値を第2値T2とし、制御量Tがスイッチのオフタイムであるとき(制御量Toff)は、第1値T1よりも大きい値を第2値T2とする。

発明の効果

0029

ゲインの適切な切換えが、出力電流を検出せずに行われるので、出力電流検出用抵抗が不要となり、電力損失が大幅に低減される。
また、出力電流を検出するためのプリアンプおよびA/D変換器が不要となる。

0030

本発明は、DC/DCコンバータ等の電力変換回路の制御に際して、出力電流を検出することなく、制御状態に応じてゲインを切り換えることができる。
本発明は、具体的には、生成された最新または過去の制御量に基づき、ゲインの設定を行うことができる。

図面の簡単な説明

0031

図1は、電力変換回路(DC/DCコンバータ)および従来の制御装置を示す図である。
図2(A)はリアクトル電流が連続モードであるときの電流波形を示す図である。図2(B)はリアクトル電流が不連続モードであるときの電流波形を示す図である。
図3(A)は出力電流が小さくリアクトル電流が不連続となる領域で、出力電圧が異常上昇する様子を示す特性図である。図3(B)はリアクトル電流が不連続となる領域で、フィードバックゲインを大きくしたことにより電圧上昇が生じていない様子を示す特性図である。
図4は、リアクトル電流の連続モードと、リアクトル電流の不連続モードで異なるゲインを適用する従来の電力変換装置の説明図である。
図5は、図4のゲイン設定部により設定されるゲインの特性を示す図である。
図6は電力変換回路(DC/DCコンバータ)および当該電力変換回路に本発明の制御装置が接続された様子を示す説明図である。
図7図6に示した制御装置の詳細説明図である。
図8は、出力電圧eo、KI決定タイミング、KI反映タイミングおよびオンタイムTonを示すタイミング図である。
図9は、ヒステリシス矩形である積分ゲイン関数KIの例を示す図である。
図10は、ヒステリシスが単調減少関数と定数との組み合わせである積分ゲイン関数KIの例を示す図である。
図11は、降圧型の出力電流とオンタイムとの関係を示す図である。
図12は、ヒステリシス特性が矩形である積分ゲイン関数KIによる制御を行ったときのオンタイムTon、積分ゲイン関数KI、出力電圧eo、アクト電流iLの時間推移を示す図である。
図13は、ヒステリシス特性が定数と単調減少関数の組み合わせである積分ゲイン関数KIによる制御を行ったときのオンタイムTon、積分ゲイン関数KI、出力電圧eo、アクトル電流iLの時間推移を示す図である。
図14は、ヒステリシス特性が矩形である積分ゲイン関数KIによる制御を行ったときのオンタイムTon、積分ゲイン関数KI、出力電圧eo、アクトル電流iLの時間推移を示す図である。
図15は、ヒステリシス特性が定数と単調減少関数の組み合わせである積分ゲイン関数KIによる制御を行ったときのオンタイムTon、積分ゲイン関数KI、出力電圧eo、アクトル電流iLの時間推移を示す図である。
図16は、ヒステリシス特性が矩形である積分ゲイン関数KIを示す図である。
図17は、ヒステリシス特性が定数と単調減少関数の組み合わせである積分ゲイン関数KIを示す図である

実施例

0032

図6は本発明の制御装置1および制御装置1が接続された電力変換回路(DC/DCコンバータ)2を示す説明図である。
図6において、電力変換回路2は、スイッチ(Tr)21、リアクトル(L)22、転流用のダイオード(D)23およびキャパシタ(Co)24を備えている。
スイッチ21とリアクトル22は直列に接続されている。
ダイオード23のカソード端子は、スイッチ21とリアクトル22との接続点に接続され、ダイオード23のアノード端子は、グランドGNDに接続されている。
キャパシタ24は、リアクトル22の出力端子とグランドGNDとの間(b1,b2間)に接続されている。

0033

電力変換回路2の入力端子(a1,a2)には直流電源51が接続され、電力変換回路2の出力端子(b1,b2)には負荷(R)52が接続されている。
図6では、スイッチ21のオンにより、直流電源51から供給されたエネルギーは負荷52に供給されるとともにリアクトル23に蓄積される。また、スイッチ21のオフにより、リアクトル23に蓄積したエネルギーは、負荷52に供給(放出)される。

0034

図6において、制御装置1は出力検出部11と、制御量計算部12と、ゲイン設定部13、PWM信号生成部14とを備えている。
図6では、制御装置1の出力側(PWM信号生成部14の出力側)には、ドライブ回路3が接続されている。

0035

図7図6に示した制御装置1の詳細説明図である。
図7において、出力検出部11はプリアンプ111とA/D変換器112とからなる。電力変換回路2のアナログ出力電圧eOはプリアンプ111により増幅され、増幅された信号は、A/D変換器112によりデジタル信号EOに変換される。
A/D変換器112は、デジタル信号EOをオンオフ周期ごとにサンプリングしている。
図7では、デジタル信号EOは、デジタル値Nn(nはインデックス)でも示されている。

0036

制御量計算部12は、PD制御要素計算部121と、I制御要素計算部122と、PID制御量計算部123とからなる。
オンタイム値Tonは、電力変換回路2をスイッチング制御するための制御量(フィードバック制御量)であり、以下では、NPID,nとしても表される。
PID制御量計算部123は、制御量NPID,nを、デジタル値Nnとゲイン関数Kとに基づき計算する。
ゲイン関数Kは、第1ゲイン関数K1または第2ゲイン関数K2の何れかに設定される。
本実施形態では、第1ゲイン関数K1および第2ゲイン関数K2は、それぞれ3つのフィードバックゲイン要素からなる。
すなわち、第1ゲイン関数K1は、フィードバックゲインKP1,KD1,KI1を持ち、KI1のみが変数である。
また、第2ゲイン関数K2は、フィードバックゲインKP2,KD2,KI2を持ち、KI2のみが変数である。
本実施形態では、KP1=KP2、KD1=KD2である。
したがって、以下、第1ゲイン関数K1を、K1(KP,KD,KI1)で表し、第2ゲイン関数K2をK2(KP,KD,KI2)で表す。
本実施形態では、I制御要素計算部122が後述するゲイン決定部131から積分ゲイン関数KI(KI1またはKI2)を受け取り積分制御要素を計算する。
PID制御量計算部123がPD制御要素計算部121からの計算結果と、I制御要素計算部122からの計算結果を受け取り、PID制御量をPWM信号生成部14に渡す。

0037

本実施形態では、ゲイン設定部13は、ゲイン決定部131と、ゲイン設定記憶部132と、過去制御量記憶部133とを有している。ゲイン設定記憶部132は、レジスタとすることができ、直前のゲイン関数Kが第1ゲイン関数K1であるか第2ゲイン関数K2であるかの情報が記録される。
ゲイン決定部131は、ゲイン設定記憶部132を参照して現在のゲイン関数Kが、第1ゲイン関数K1であるのか、第2ゲイン関数K2であるのかを知ることができる。
ゲイン決定部131は、制御量計算部12により計算されたインデックス(n)の制御量(オンタイム値TON,n)を取得し、次のスイッチング周期(インデックス:n)において使用される制御量(オンタイム値TON,n)と現在のゲイン関数Kとから、次回のスイッチング周期(インデックス:n+1)のゲイン関数Kを、第1ゲイン関数K1に設定するのか、第2ゲイン関数K2に設定するのかを決定する。

0038

ゲイン決定部131は、次に記載したテーブル([表1]および[表2])により、次回(インデックス:n+1)のゲイン関数Kを、第1ゲイン関数K1または第2ゲイン関数K2の何れに設定するのかを決定することができる。

0039

0040

表1と表2とは、実質上の同一の内容である。

0041

前述したように、出力電流ioが減少すると、リアクトル電流iLが連続モード(CCM)から不連続モード(DCM)に遷移する。
本実施形態では、リアクトル電流iLが連続モード(CCM)から不連続モード(DCM)に遷移すると想定される制御量Tonを第1値T1としている。
そして、制御量Ton(NPID,n)はスイッチのオンタイムであるので、第1値よりも小さい値を第2値T2とした。

0042

ゲイン決定部131により設定されたゲイン関数Kは、次回(インデックス:n+1)のスイッチング周期において、制御装置1による制御に反映される。
すなわち、ゲイン関数Kがゲイン関数K1に設定されたときは、Kは次式となる。
K=K1(KP,KD,KI1)
また、TONはデジタル値NPID,nで表される。
NPID,n
=NB−KP(Nn−NR)
−KD(Nn−Nn−1)
−KI1Σ(Nn−NR)

0043

ゲイン関数Kがゲイン関数K2に設定されたときは、Kは次式となる。
K2=K2(KP,KD,KI2)
また、TONはデジタル値NPID,nで表される。
NPID,n
=NB−KP(Nn−NR)
−KD(Nn−Nn−1)
−KI2Σ(Nn−NR)
ここで、KI1とKI2との間には次の関係が成立する。
KI1<KI2

0044

ゲイン決定部131は、オンタイム値Tの第1値T1を、リアクトル電流iLの臨界値(リアクトル電流連続モードCCMとリアクトル電流不連続モードDCMとの境界)に対応させることができる。
ゲイン決定部131は、オンタイム値Tの第2値T2は、T2<T1であれば適宜に設定できる。
第2値T2は、現在の制御量に対応して動的に変化してもよい。

0045

ゲイン決定部131がゲイン関数を決定するに際して、制御量Tは過去の制御量の平均値とすることができる。
本実施形態では、過去制御量記憶部133には過去の制御量Tが記憶されている。
ゲイン決定部131は、過去制御量記憶部133を参照して制御量Tを、過去の制御量
の移動平均として算出している。

0046

図8により、図7に示した制御装置1の動作を詳細に説明する。
図8は、出力電圧eo、KI決定タイミング、KI反映タイミングおよびオンタイムTon,zを示すタイミング図である。
なお、以下の説明において、n−1回のスイッチング周期においてサンプリングした出力電圧eoについての処理を(a1)−(a5)で示す。
n−2回のスイッチング周期においてサンプリングした出力電圧eoについての処理の一部を(z4)−(z5)で示し、n回のスイッチング周期においてサンプリングした出力電圧eoについての処理の一部を(b1)−(b3)で示してある。

0047

(a1) まず、n−1回のスイッチング周期(インデックスn−1)において、出力電圧eoが検出される。図には表されていないが、eoのデジタル値はEo,n−1である。(a2) 次に、n回のスイッチング周期におけるオンタイムTon,nが計算される。
(a3) オンタイムTon,nは制御に反映される。なお、オンタイムTon,nの計算には、
n−2回のスイッチング周期におけるオンタイムTon,nに基づき決定されたゲイン関数(積分ゲイン関数KI)が採用されている(図8における(z5)も参照)。
(a4) (n+1)回のスイッチング周期におけるKIが決定される。
(a5) オンタイムTon,n+1に、決定された最新のKIが反映される(図8における(b3)も参照)。

0048

図9および図10に、ゲイン関数Kの例を示す。本実施形態では、ゲイン関数Kのゲイン要素のうち変化するゲイン要素は積分ゲイン関数KIのみである。したがって、図9および図10では、積分ゲイン関数KIのみを示す。

0049

図9において、ヒステリシスは矩形であり、積分ゲイン関数KIは、第1値T1より大きい領域では第1ゲイン関数K1(定数)に設定され、第2値T2より小さい領域では第2ゲイン関数K2(定数)に設定されている。
また、第1値T1より小さくかつ第2値T2より大きい領域では、積分ゲイン関数KIは、第1ゲイン関数K1または第2ゲイン関数K2に設定される。

0050

図10において、ヒステリシス特性は単調減少関数と定数との組み合わせであり、積分ゲイン関数KIは、第1値T1より大きい領域では第1ゲイン関数K1(定数)に設定され、第2値T2より小さい領域では第2ゲイン関数K2(変数)に設定されている。
また、積分ゲイン関数KIは、第1値T1より小さくかつ第2値T2より大きい領域では、第1ゲイン関数K1(定数)または第2ゲイン関数K2(変数)に設定される。

0051

《出力電流とオンタイムとの関係》
図11は、降圧型の出力電流とオンタイムとの関係を示す図である。
CCMにおけるTonとIoの関係式は以下の式で表される。



リアクトル電流iLの連続モード(CCM)と不連続モード(DCM)との臨界におけるオンタイムTonと出力電流(ディジタル値Io)との関係は、以下の式で表される。



さらに、不連続モード(DCM)における制御量(オンタイムTon)と出力電流Ioの関係は、以下の式で表される。



以上から、出力電流Ioに基づき設定していたゲイン関数Kの設定(または変更)は、オンタイムTonに基づき設定できることがわかる。

0052

シミュレーション例》
図12は、ヒステリシス特性が矩形である積分ゲイン関数KIによる制御を行ったときのオンタイムTon、積分ゲイン関数KI、出力電圧eo、リアクトル電流iLの時間推移を示す図である。
ここでは、KP=6,KD=3,C=470μF、移動平均50回、出力電流が臨界点におけるリアクトル電流iLが(5V/50Ω)から(5V/71.5Ω)に変化させている。
ゲインは、急激に切り替えられており、出力波形にやや悪影響が現れている。

0053

図13は、ヒステリシス特性が定数と単調減少関数の組み合わせである積分ゲイン関数KIによる制御を行ったときのオンタイムTon、積分ゲイン関数KI、出力電圧eo、アクトル電流iLの時間推移を示す図である。
ここでは、KP=6,KD=3,C=470μF、移動平均50回、出力電流が臨界点におけるリアクトル電流iLが(5V/50Ω)から(5V/71.5Ω)に変化させている。
ゲインは、緩やかに切り替えられており、出力波形には良好な応答が現れていることがわかる。

0054

図14は、ヒステリシス特性が矩形である積分ゲイン関数KIによる制御を行ったときのオンタイムTon、積分ゲイン関数KI、出力電圧eo、アクトル電流iLの時間推移を示す図である。
ここでは、KP=6,KD=3,C=470μF、移動平均50回、出力電流が臨界点におけるリアクトル電流iLが(5V/100Ω)から(5V/50Ω)に変化させている。
ゲインは、急激に切り替えられており、出力波形にやや悪影響が現れている。

0055

図15は、ヒステリシス特性が定数と単調減少関数の組み合わせである積分ゲイン関数KIによる制御を行ったときのオンタイムTon、積分ゲイン関数KI、出力電圧eo、アクトル電流iLの時間推移を示す図である。
ここでは、KP=6,KD=3,C=470μF、移動平均50回、出力電流が臨界点におけるリアクトル電流iLが(5V/100Ω)から(5V/50Ω)に変化させている。
ゲインは、緩やかに切り替えられており、出力波形には良好な応答が現れていることがわかる。

0056

《制御量Tがスイッチのオフタイム値である場合》
制御量計算部12により計算された制御量Tは、スイッチのオフタイム値とすることができる。

0057

図16は、ヒステリシス特性が矩形である積分ゲイン関数KIを示している。図16では、オフタイム値Toffが増加した場合に第1値T1と第2値T2との間でヒステリシスループが形成されている。

0058

図17は、ヒステリシス特性が定数と単調減少関数の組み合わせである積分ゲイン関数KIを示している。図17では、オフタイム値Toffが増加した場合に第1値T1と第2値T2との間でヒステリシスループが形成されている。第1値T1は、リアクトル電流臨界モードの制御点に対応する。

0059

《ヒステリシスループの態様》
本発明において、制御量Tが第1値T1と第2値T2との間にあるときは、第1ゲイン関数K1および第2ゲイン関数K2とによりループ(閉じた図形)が形成される。
この閉じた図形は、ひし形、三角形等とすることができる。

0060

1制御装置
2電力変換回路(DC/DCコンバータ)
3ドライブ回路
11出力検出部
12 制御量計算部
13ゲイン設定部
14PWM信号生成部
21 スイッチ
22リアクトル
23転流用のダイオード
24キャパシタ
51直流電源
52負荷
111プリアンプ
112 A/D変換器
121 PD制御要素計算部
122 I制御要素計算部
123PID制御量計算部
131ゲイン決定部
132 ゲイン設定記憶部
133 過去制御量記憶部

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