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課題・解決手段

本発明は、特別な装置、機材等を用いることなく、従来困難であった間葉系幹細胞の長期間の増殖培養を可能にする手段を提供することを課題とする。グリシンアラニンセリンプロリンアスパラギンアスパラギン酸およびグルタミン酸の7種の非必須アミノ酸が低減された間葉系幹細胞用培地を提供することで上記課題を解決する。

概要

背景

間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)は、成体骨髄などに存在する体性幹細胞一種であり、骨、軟骨脂肪細胞への分化能を有する接着性細胞と定義される。胚性(embryonic stem;ES)細胞や人工多能性幹(induced pluripotent stem;iPS)細胞などの胚性の幹細胞と異なり、癌化の危険性が極めて少ないと考えられており、再生医療に用いられる細胞材料として、大いに有望視されている。我が国でも、関節疾患を中心に、すでに複数の臨床研究が進められている。

間葉系幹細胞は、一般に、「老化」する細胞として知られており、培養期間が長く(分裂回数が多く)なると、増殖速度の低下、さらには停止をきたすことが知られている(非特許文献1)。非特許文献1には、低酸素分圧下での培養により、ヒト間葉系幹細胞(hMSC)の老化が抑制できるとの報告がなされているが、培地アミノ酸組成がヒト間葉系幹細胞の老化や増殖にどのような影響を与えるのかは、まったく知られていない。

特許文献1および特許文献2には、培地からの特定のアミノ酸の除去による幹細胞培養技術の例が開示されている。これらは、ES細胞iPS細胞といった多能性幹細胞に関する技術であり、分化誘導時に残存する未分化状態の細胞を選択的に死滅・除去せしめ、細胞組成物中で分化したものの純度を上げる技術である。今日まで、体性幹細胞、多能性幹細胞を問わず、いかなる幹細胞においても、培地中からの特定のアミノ酸除去が、細胞の老化を抑制したり、増殖を促進したりするような例は知られていない。

概要

本発明は、特別な装置、機材等を用いることなく、従来困難であった間葉系幹細胞の長期間の増殖培養を可能にする手段を提供することを課題とする。グリシンアラニンセリンプロリンアスパラギンアスパラギン酸およびグルタミン酸の7種の非必須アミノ酸が低減された間葉系幹細胞用培地を提供することで上記課題を解決する。

目的

本発明は、間葉系幹細胞、特に、ヒト間葉系幹細胞を、特別な装置、機材等用いることなく、従来よりも長期間増殖させるための手段を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

少なくとも1種のアミノ酸の濃度が、グリシン5μM未満、アラニン5μM未満、セリン3μM未満、プロリン5μM未満、アスパラギン1μM未満、アスパラギン酸2μM未満、および/またはグルタミン酸3μM未満である、間葉系幹細胞培地

請求項2

グリシンが5μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項3

グリシンが1μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項4

アラニンが5μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項5

アラニンが1μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項6

セリンが3μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項7

セリンが0.7μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項8

プロリンが5μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項9

プロリンが1μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項10

アスパラギンが1μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項11

アスパラギンが0.1μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項12

アスパラギン酸が2μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項13

アスパラギン酸が0.5μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項14

グルタミン酸が3μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項15

グルタミン酸が0.7μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項16

グリシンが5μM未満、アラニンが5μM未満、セリンが3μM未満、プロリンが5μM未満、アスパラギンが1μM未満、アスパラギン酸が2μM未満、およびグルタミン酸が3μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項17

グリシンが1μM未満、アラニンが1μM未満、セリンが0.7μM未満、プロリンが1μM未満、アスパラギンが0.1μM未満、アスパラギン酸が0.5μM未満、およびグルタミン酸が0.7μM未満である、請求項1に記載の培地。

請求項18

分子除去処理が施された血清または血清代替物を含有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の培地。

請求項19

前記低分子除去処理が透析により行われる、請求項18に記載の培地。

請求項20

血清がヒト血清である、請求項18または19に記載の培地。

請求項21

非ヒト動物由来の成分を含まない、請求項1〜20のいずれか1項に記載の培地。

請求項22

間葉系幹細胞が、ヒト間葉系幹細胞である請求項1〜21のいずれか1項に記載の培地。

請求項23

間葉系幹細胞が、骨髄より採取されたものである請求項22に記載の培地。

請求項24

請求項1〜23のいずれか1項に記載の培地で間葉系幹細胞を培養する工程を含む、間葉系幹細胞の培養方法

請求項25

間葉系幹細胞を培養する工程が、間葉系幹細胞を70日以上に亘り増殖させる工程である、請求項24に記載の培養方法。

請求項26

請求項24または25に記載の培養方法により得られる、細胞組成物

請求項27

CD73、CD90およびCD105からなる群から選択される少なくとも1つのマーカー陽性である、請求項26に記載の細胞組成物。

請求項28

CD73、CD90およびCD105からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーに陽性であり、かつ、CD45、CD34、CD14、CD11b、CD79、CD19およびHLA−DR陰性である、請求項26に記載の細胞組成物。

請求項29

請求項24または25に記載の培養方法により得られる、細胞医療用の細胞

技術分野

0001

本発明は、間葉系幹細胞培地および間葉系幹細胞の培養方法等に関する。

背景技術

0002

間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell;MSC)は、成体骨髄などに存在する体性幹細胞一種であり、骨、軟骨脂肪細胞への分化能を有する接着性細胞と定義される。胚性(embryonic stem;ES)細胞や人工多能性幹(induced pluripotent stem;iPS)細胞などの胚性の幹細胞と異なり、癌化の危険性が極めて少ないと考えられており、再生医療に用いられる細胞材料として、大いに有望視されている。我が国でも、関節疾患を中心に、すでに複数の臨床研究が進められている。

0003

間葉系幹細胞は、一般に、「老化」する細胞として知られており、培養期間が長く(分裂回数が多く)なると、増殖速度の低下、さらには停止をきたすことが知られている(非特許文献1)。非特許文献1には、低酸素分圧下での培養により、ヒト間葉系幹細胞(hMSC)の老化が抑制できるとの報告がなされているが、培地のアミノ酸組成がヒト間葉系幹細胞の老化や増殖にどのような影響を与えるのかは、まったく知られていない。

0004

特許文献1および特許文献2には、培地からの特定のアミノ酸の除去による幹細胞培養技術の例が開示されている。これらは、ES細胞iPS細胞といった多能性幹細胞に関する技術であり、分化誘導時に残存する未分化状態の細胞を選択的に死滅・除去せしめ、細胞組成物中で分化したものの純度を上げる技術である。今日まで、体性幹細胞、多能性幹細胞を問わず、いかなる幹細胞においても、培地中からの特定のアミノ酸除去が、細胞の老化を抑制したり、増殖を促進したりするような例は知られていない。

0005

特開2009−100702号公報
WO2012/056997A1

先行技術

0006

Jin, Y., et al., Biochem Biophys Res Commun., Vol. 391, p. 1471−1476.

発明が解決しようとする課題

0007

間葉系幹細胞は、老化する細胞であり、培養期間が長く(分裂回数が多く)なると、増殖速度の低下、さらには停止をきたすことが知られている。従って、十分な細胞数を確保することが容易ではなく、このことが、ヒト間葉系幹細胞の基礎研究臨床応用を行う上で一つの障害となっている。そこで本発明は、間葉系幹細胞、特に、ヒト間葉系幹細胞を、特別な装置、機材等用いることなく、従来よりも長期間増殖させるための手段を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、グリシンアラニンセリンプロリンアスパラギンアスパラギン酸およびグルタミン酸の7種の非必須アミノ酸の量が低減された培養液中でヒト間葉系幹細胞を培養すると、該非必須アミノ酸の量が低減されていない通常の培養液中で培養した場合よりも長期間の増殖培養が可能となり、より多くの間葉系幹細胞が得られることを見出した。

0009

以上の知見に基づき本発明が完成された。即ち、本発明は以下の通りである。
[1]少なくとも1種のアミノ酸の濃度が、グリシン5μM未満、アラニン5μM未満、セリン3μM未満、プロリン5μM未満、アスパラギン1μM未満、アスパラギン酸2μM未満、および/またはグルタミン酸3μM未満である、間葉系幹細胞用培地。
[2]グリシンが5μM未満である、上記[1]に記載の培地。
[3]グリシンが1μM未満である、上記[1]に記載の培地。
[4]アラニンが5μM未満である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の培地。
[5]アラニンが1μM未満である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の培地。
[6]セリンが3μM未満である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の培地。
[7]セリンが0.7μM未満である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の培地。
[8]プロリンが5μM未満である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の培地。
[9]プロリンが1μM未満である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の培地。
[10]アスパラギンが1μM未満である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の培地。
[11]アスパラギンが0.1μM未満である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の培地。
[12]アスパラギン酸が2μM未満である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の培地。
[13]アスパラギン酸が0.5μM未満である、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の培地。
[14]グルタミン酸が3μM未満である、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の培地。
[15]グルタミン酸が0.7μM未満である、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の培地。
[16]グリシンが5μM未満、アラニンが5μM未満、セリンが3μM未満、プロリンが5μM未満、アスパラギンが1μM未満、アスパラギン酸が2μM未満、およびグルタミン酸が3μM未満である、上記[1]に記載の培地。
[17]グリシンが1μM未満、アラニンが1μM未満、セリンが0.7μM未満、プロリンが1μM未満、アスパラギンが0.1μM未満、アスパラギン酸が0.5μM未満、およびグルタミン酸が0.7μM未満である、上記[1]に記載の培地。
[18]低分子除去処理が施された血清または血清代替物を含有する、上記[1]〜[17]のいずれかに記載の培地。
[19]前記低分子除去処理が透析により行われる、上記[18]に記載の培地。
[20]血清がヒト血清である、上記[18]または[19]に記載の培地。
[21]非ヒト動物由来の成分を含まない、上記[1]〜[20]のいずれかに記載の培地。
[22]間葉系幹細胞が、ヒト間葉系幹細胞である上記[1]〜[21]のいずれかに記載の培地。
[23]間葉系幹細胞が、骨髄より採取されたものである上記[22]に記載の培地。
[24]上記[1]〜[23]のいずれかに記載の培地で間葉系幹細胞を培養する工程を含む、間葉系幹細胞の培養方法。
[25]間葉系幹細胞を培養する工程が、間葉系幹細胞を70日以上に亘り増殖させる工程である、上記[24]に記載の培養方法。
[26]上記[24]または[25]に記載の培養方法により得られる、細胞組成物。
[27]CD73、CD90およびCD105からなる群から選択される少なくとも1つのマーカー陽性である、上記[26]に記載の細胞組成物。
[28]CD73、CD90およびCD105からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーに陽性であり、かつ、CD45、CD34、CD14、CD11b、CD79、CD19およびHLA−DR陰性である、上記[26]に記載の細胞組成物。
[29]上記[24]または[25]に記載の培養方法により得られる、細胞医療用の細胞。
[30]グリシン、アラニン、セリン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸およびグルタミン酸を添加せず、低分子除去処理が施された血清または血清代替物を含有する間葉系幹細胞用培地。
[31]ヒスチジンイソロイシンロイシンリジンメチオニンフェニルアラニントレオニントリプトファン、およびバリンを添加する、上記[30]に記載の培地。
[32]アルギニンシステイングルタミン、およびチロシンをさらに添加する、上記[31]に記載の培地。

発明の効果

0010

本発明によれば、これまで困難であった間葉系幹細胞の長期間に亘る増殖培養が可能となる。よって、より多くの間葉系幹細胞を簡便に得ることができ、研究や医療等に用いるために間葉系幹細胞を大量に供給することが可能となる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、本発明の培地による、ヒト間葉系幹細胞(ロット番号:OF3825)の7日間の培養における細胞増殖促進効果を示す図である。
図2は、本発明の培地による、ヒト間葉系幹細胞(ロット番号:OF3825)の約70日間の培養における細胞増殖促進効果を示す図である。
図3は、本発明の培地による、ヒト間葉系幹細胞(ロット番号:OF3853およびOF4266)の約30日間における細胞増殖促進効果を示す図である。
図4は、本発明の培地による、ヒト間葉系幹細胞(ロット番号:BM103)の第一継代より109日間における細胞増殖促進効果を示す図である。横軸のかっこ内の数字培養開始からの日数を示す。
図5は、本発明の培地により培養したヒト間葉系幹細胞(ロット番号:BM103PN2(図5A)およびBM105PN2(図5B))の、脂肪細胞への分化促進効果を示す図である。

0012

本発明は、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群より選択される、少なくとも1種のアミノ酸の量が低減された、間葉系幹細胞用培地(以下、「本発明の培地」と略記する場合がある)を提供する。より具体的には、少なくとも1種のアミノ酸の濃度が、グリシン5μM未満、アラニン5μM未満、セリン3μM未満、プロリン5μM未満、アスパラギン1μM未満、アスパラギン酸2μM未満、および/またはグルタミン酸3μM未満である、間葉系幹細胞用培地を提供する。

0013

明細書中に記載されるアミノ酸は、L−体、D−体、DL−体いずれをも意味し、またそれぞれのアミノ酸の遊離体のみならず、塩の形態をも意味する。

0014

塩の形態には酸付加塩塩基との塩等を挙げることができ、細胞毒性を示さず、医薬品として許容される塩であることが好ましい。そのような塩を形成する酸としては、例えば、塩化水素臭化水素硫酸リン酸等の無機酸、酢酸乳酸クエン酸酒石酸マレイン酸フマル酸又はモノメチル硫酸等の有機酸が挙げられ、また、そのような塩を形成する塩基としては、例えば、ナトリウムカリウムカルシウム等の金属の水酸化物あるいは炭酸化物や、アンモニア等の無機塩基エチレンジアミンプロピレンジアミンエタノールアミンモノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミントリエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。上記塩は水和物(含水塩)であってもよい。

0015

本発明の培地中においては、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群より選択される、少なくとも1種のアミノ酸(以下、これら7種のアミノ酸をまとめて、「本発明の低減されるアミノ酸」と記載する場合がある)の量が低減されている。本明細書中、「低減されている」とは、一般的な培地に使用されている量に比べ少ないことを意味し、且つ間葉系幹細胞の長期間の増殖培養を可能とする程度にその含有量が低く抑えられていることを意味する。一般的な培地に使用されている量としては、例えば、グリシンであれば133〜667μM、アラニンであれば50〜400μM、セリンであれば238〜400μM、プロリンであれば150〜400μM、アスパラギンであれば50〜400μM、アスパラギン酸であれば50〜400μM、グルタミン酸であれば50〜510μMが挙げられる。アミノ酸の量の低減を実現するために、本発明の培地を作製する際に使用する基礎培地およびそれに添加される添加物は、本発明の低減されるアミノ酸を含まないかまたは本発明の低減されるアミノ酸等の低分子を除去する操作が施されたものであることが好ましい。また、好ましい態様において、本発明の培地は本発明の低減されるアミノ酸の少なくとも1種、より好ましくは7種全てを実質的に含有しない。「実質的に含有しない」とは、本発明の低減されるアミノ酸を含まないかまたは本発明の低減されるアミノ酸等の低分子を除去する操作が施された、基礎培地およびその添加物を用いることで、本発明の培地中における本発明の低減されるアミノ酸の培養の際の最終濃度が可能な限り低く抑えられていることを意味し、好ましくは、本発明の培地中の濃度が検出限界以下の濃度である。アミノ酸の検出は、ニンヒドリン法によるアミノ酸分析方法(例えば、Clinical Chemistry(1997),Vol.43,No.8,p1421−1428を参照)等により行うことができる。アミノ酸の検出法としてニンヒドリン法を用いた場合、「検出限界以下の濃度」とは、ニンヒドリン法によるアミノ酸分析方法により検出できない程度の濃度を意味する。本発明の低減されるアミノ酸における各アミノ酸の濃度の具体的な例としては、グリシンが5μM未満、好ましくは1μM未満、より好ましくは0.8μM未満、アラニンが5μM未満、好ましくは1μM未満、より好ましくは0.8μM未満、セリンが3μM未満、好ましくは0.7μM未満、より好ましくは0.4μM未満、プロリンが5μM未満、好ましくは1μM未満、より好ましくは0.7μM未満、アスパラギンが1μM未満、好ましくは0.1μM未満、より好ましくは0.06μM未満、アスパラギン酸が2μM未満、好ましくは0.5μM未満、より好ましくは0.15μM未満、グルタミン酸が3μM未満、好ましくは0.7μM未満、より好ましくは0.5μM未満が挙げられる。

0016

本発明の培地中においては、本発明の低減されるアミノ酸7種の内の1、2、3、4、5、6または7種についてその(それらの)量が低減されており、複数種のアミノ酸の量が低減されている場合は、いずれのアミノ酸の組合せであってもよい。好ましい態様において、本発明の培地中においては、7種全てのアミノ酸の量が低減されている。

0017

本発明の低減されるアミノ酸以外のアミノ酸の、本発明の培地における含有量に関しては、間葉系幹細胞の増殖を阻害しない限り特に限定されず、通常の細胞培養に使用される濃度を適宜採用し得る。

0018

本発明の培地には、自体公知の基礎培地を用いることができ、間葉系幹細胞の増殖を阻害しない限り特に限定されないが、例えば、DMEM、EMEM、IMDM(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)、GMEM(Glasgow’sMEM)、RPMI−1640、α−MEM、Ham’s Medium F−12、Ham’s Medium F−10、Ham’s Medium F12K、Medium 199、ATCCCRCM30、DM−160、DM−201、BME、Fischer、McCoy’s 5A、Leibovitz’s L−15、RITC80−7、MCDB105、MCDB107、MCDB131、MCDB153、MCDB201、NCTC109、NCTC135、Waymouth’s MB752/1、CMRL−1066、Williams’ medium E、Brinster’s BMOC−3 Medium、E8 medium(Nature Methods,2011,8,424−429)、ReproFF2培地(リプセル社)、及びこれらの混合培地等が挙げられる。また、間葉系幹細胞培養用に改変された培地や、上記基礎培地と他の培地との混合物等を用いてもよい。所望により、これらの培地に対し、本発明の低減されたアミノ酸等の低分子を除去する操作を施してもよい。

0019

本発明の培地には、自体公知の添加物を含むことができる。添加物としては、間葉系幹細胞の増殖を阻害するものでない限り特に限定されないが、例えば、成長因子(例えばインスリン等)、鉄源(例えばトランスフェリン等)、ポリアミン類(例えばプトレシン等)、ミネラル(例えばセレン酸ナトリウム等)、糖類(例えばグルコース等)、有機酸(例えばピルビン酸、乳酸等)、本発明の低減されるアミノ酸以外のアミノ酸(例えばL−グルタミン等)、還元剤(例えば2−メルカプトエタノール等)、ビタミン類(例えばアスコルビン酸、d−ビオチン等)、ステロイド(例えばβ−エストラジオールプロゲステロン等)、抗生物質(例えばストレプトマイシンペニシリンゲンタマイシン等)、緩衝剤(例えばHEPES等)等、脂質類(例えばリノール酸等)、核酸類(例えばチミジン等)が挙げられる。また、従来から間葉系幹細胞の培養に用いられてきた自体公知の添加物も適宜含むことができる。添加物は、それぞれ自体公知の濃度範囲内で含まれることが好ましい。

0020

本発明の培地には、血清が含まれていてもよい。血清としては、動物由来の血清であれば、間葉系幹細胞の増殖を阻害するものでない限り特に限定されないが、好ましくは哺乳動物由来の血清(例えばウシ胎仔血清、ヒト血清等)であり、より好ましくはヒト血清である。血清の濃度は、自体公知の濃度範囲内であればよい。更に、培養後の間葉系幹細胞を医療目的で使用する場合、他の動物由来成分は血液媒病原菌感染源異種抗原となる可能性があるため、血清を含まない培地も好適に使用し得る。血清を含まない場合、血清の代替添加物(例えばKnockout Serum Replacement(KSR)(Invitrogen)、Chemically−defined Lipid concentrated(Gibco)等)を用いてもよい。上記血清および血清代替添加物は、本発明の低減されるアミノ酸を含有しないもの、あるいは本発明の低減されるアミノ酸等の低分子を除去する操作が施されたものであることが好ましい。

0021

即ち、本発明の培地の一例として、「本発明の低減されるアミノ酸を添加せず、低分子除去処理が施された血清または血清代替物を含有する間葉系幹細胞用培地」が挙げられる。当該培地には、本発明の低減されるアミノ酸以外のアミノ酸、具体的には、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファンおよびバリンが所望により添加されていてもよく、また添加されていることが好ましい。さらに所望によりアルギニン、システイン、グルタミンおよびチロシンが添加されていてもよく、また添加されていることが好ましい。

0022

本発明の培地により培養された間葉系幹細胞を細胞医療等の医療目的で使用する場合、病原菌の感染を起こしたり、異種抗原となったりする可能性があるため、本発明の培地には非ヒト動物由来成分が含まれないことがより好ましい。

0023

上記の「本発明の低減されるアミノ酸等の低分子を除去する操作」は、該操作に供される試料の所望の効果を維持しつつ本発明の低減されるアミノ酸を除去できるのであれば、どのように行われてもよいが、透析やゲル濾過等の操作が挙げられる。具体例として、培地作製に使用する試薬であって、アミノ酸以外の培地成分塩類ビタミン等)を含有する試薬に、本発明の低減されるアミノ酸以外のアミノ酸を間葉系幹細胞の増殖に必要な濃度で添加し、さらに、透析、ゲル濾過等の操作によって、本発明の低減されるアミノ酸およびその他の低分子を除去した血清等を添加する方法が挙げられる。

0024

「幹細胞」とは、自己複製能及び分化/増殖能を有する未熟な細胞を意味する。幹細胞には、分化能力に応じて、多能性幹細胞(pluripotent stem cell)、複能性幹細胞(multipotent stem cell)、単能性幹細胞(unipotent stem cell)等の亜集団が含まれる。多能性幹細胞とは、生体を構成する全ての組織や細胞へ分化し得る能力を有する細胞を意味する。複能性幹細胞とは、全ての種類ではないが、複数種の組織や細胞へ分化し得る能力を有する細胞を意味する。単能性幹細胞とは、特定の組織や細胞へ分化し得る能力を有する細胞を意味する。

0025

本発明において対象とする間葉系幹細胞は、脂肪細胞、骨細胞軟骨細胞筋細胞肝細胞神経細胞等に分化可能な複能性幹細胞の一種であり、ES細胞やiPS細胞等の多能性幹細胞と異なり、生体に移植した際に腫瘍を形成する可能性が低い細胞として知られている。本発明における間葉系幹細胞は、骨髄より採取された間葉系幹細胞であり得、好ましくは、1以上の間葉系幹細胞マーカー(例えば、CD73、CD90、CD105等)陽性であり得、より好ましくは、該マーカー陽性であり、かつ、間葉系幹細胞で発現が認められない分子の発現が陰性であり得る。間葉系幹細胞で発現が認められない分子の例としては、CD45、CD34、CD14、CD11b、CD79、CD19、HLA−DR等が挙げられる。

0026

本発明の培地は、いずれの動物由来の間葉系幹細胞の増殖にも好適に使用することができる。本発明の培地を使用して培養され得る間葉系幹細胞は、例えば、マウスラットハムスターモルモット等のげっ歯類ウサギ等のウサギ目ブタウシヤギウマヒツジ等の有目、イヌネコ等のネコ目、ヒト、サルアカゲザルマーモセットオランウータンチンパンジーなどの霊長類等由来の間葉系幹細胞であり、好ましくは、ヒト由来の間葉系幹細胞である。

0027

本発明の培地は、好ましくは、間葉系幹細胞の増殖培養用培地である。「増殖培養用培地」とは、間葉系幹細胞の自己複製能や分化複能性を維持した状態で該細胞の複製(即ち、増殖)を可能にする培地である。よって、本発明の培地により培養された間葉系幹細胞は、増殖能を維持していることを特徴とする。本明細書中、「増殖能」とは、細胞老化等により細胞分裂を行う能力が失われていないことを意味し、例えば、培養中の細胞の大部分(例えば、細胞組成物中の60%、好ましくは70%、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは100%の細胞)が細胞老化マーカー(例えば、老化関連β−ガラクトシダーゼ活性の上昇等)陰性である場合や、培養中の細胞の大部分(例えば、細胞組成物中の60%、好ましくは70%、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは100%の細胞)が細胞周期のG1、S、G2またはM期のいずれかに属する場合、該細胞は増殖能を維持しているということができる。

0028

本発明の培地によれば、増殖能を維持したまま長期に効率よく間葉系幹細胞の培養を行うことが可能となる。例えば、本発明の培地により、50日以上、好ましくは70日以上、より好ましくは87日以上、さらに好ましくは118日以上の間、増殖能を維持したまま間葉系幹細胞の培養が可能である。また、本発明の培地によれば、間葉系幹細胞の増殖能が失われないため、培養により多量の間葉系幹細胞を得ることが可能となる。本発明の培地を用いることで、従来に比し大量の間葉系幹細胞を得ることができ、例えば、培養開始時の1230倍以上の細胞数の間葉系幹細胞を得ることができる。

0029

本発明の培地で培養された間葉系幹細胞は、従来の培地で培養された間葉系幹細胞と比較して、同程度の骨細胞への分化能を有する。骨細胞への分化は、例えば、骨分化誘導培地(例えば、10(v/v)% FBS、100nMデキサメタゾン、50μML−アスコルビン酸−2リン酸、10mM β−グリセロリン酸を添加したDMEM培地)で間葉系幹細胞を培養することにより行うことができる。骨細胞へ分化したか否かは、Arizalin Red染色により骨組織中のカルシウムイオン沈着を検出することで確認できる。また、本発明の培地で培養された間葉系幹細胞は、従来の培地で培養された間葉系幹細胞と比較して、同程度の軟骨細胞への分化能を有する。軟骨細胞への分化は、例えば、軟骨分化キットロンザ社:PT−3003)に10ng/mL TGF−β3を添加して用いることにより行うことができる。軟骨細胞へ分化したか否かは、例えば、市販のグルコサミノグリカン測定キット等によりグルコサミノグリカンの産生を検出することで確認できる。さらに、本発明の培地で培養された間葉系幹細胞は、従来の培地で培養された間葉系幹細胞と比較して、脂肪細胞への分化能が亢進され得る。脂肪細胞への分化は、例えば、脂肪分誘導培地(例えば、10(v/v)% FBS、0.01mg/mLインスリン、1μM デキサメタゾン、0.2mMインドメタシン、0.5mMイソブチルメチルキサンチンを添加した高グルコース含有DMEM培地)で間葉系幹細胞を培養することで成し得る。脂肪細胞へ分化したか否かは、例えば、市販のトリグリセリド測定キット等を用いてトリグリセリドの産生を検出することで確認することができる。

0030

一態様において、本発明は、本発明の培地で間葉系幹細胞を培養する工程を含む、間葉系幹細胞の培養方法(以下、「本発明の培養方法」と記載する場合がある)を提供する。

0031

間葉系幹細胞の培養に用いられる培養器は、間葉系幹細胞の培養が可能なものであれば特に限定されないが、フラスコ組織培養用フラスコ、ディッシュ、ペトリデッシュ、組織培養用ディッシュ、マルチディッシュ、マイクロプレートマイクロウエルプレートマルチプレートマルチウエルプレートマイクロスライドチャンバースライドシャーレチューブトレイ培養バック、及びローラーボトルが挙げられ得る。

0032

培養器は、細胞接着性であっても細胞非接着性であってもよく、目的に応じて適宜選ばれる。細胞接着性の培養器は、培養器の表面の細胞との接着性を向上させる目的で、細胞外マトリックス(ECM)等の任意の細胞支持用基質コーティングされたものであり得る。細胞支持用基質は、間葉系幹細胞の接着を目的とする任意の物質であり得、ECMを用いたマトリゲル、あるいはコラーゲンゼラチンポリ−L−リジンポリ−D−リジン、ラミニンフィブロネクチン等が挙げられる。

0033

その他の培養条件は、適宜設定できる。例えば、培養温度は、特に限定されるものではないが約30〜40℃、好ましくは約37℃であり得る。CO2濃度は、約1〜10%、好ましくは約2〜5%であり得る。酸素濃度は、1〜20%、好ましくは1〜10%であり得る。

0034

好ましい態様において、本発明の培養方法は、50日以上、好ましくは70日以上、より好ましくは87日以上、さらに好ましくは118日以上に亘り間葉系幹細胞を増殖させる工程をさらに含み得る。本発明の培養方法によれば、間葉系幹細胞の増殖能が失われないため、前記長期間の培養を行うことで多量の間葉系幹細胞を得ることができ、例えば、培養開始時の細胞数の1230倍以上の細胞数の間葉系幹細胞を得ることが可能である。

0035

本発明は、本発明の培養方法により得られる細胞組成物(以下、「本発明の細胞組成物」とも記載する)をも提供する。本発明の細胞組成物は、その大部分(例えば、細胞組成物中の60%、好ましくは70%、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは100%の細胞)が未分化な間葉系幹細胞であることが好ましい。間葉系幹細胞の公知のマーカーの例として、CD73、CD90およびCD105が挙げられる。従って、本発明の細胞組成物は、その大部分(例えば、細胞組成物中の60%、好ましくは70%、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは100%の細胞)が、CD73、CD90およびCD105のいずれか1つ、好ましくはいずれか2つの組合せ、より好ましくは3つ全てのマーカーに陽性であることが好ましい。さらに、本発明の細胞組成物は、間葉系幹細胞では発現が認められない分子を発現していないことがより好ましい。間葉系幹細胞で発現が認められない分子としては、例えば、CD45(造血幹細胞において発現する)、CD34(造血幹細胞において発現する)、CD14(単球マクロファージにおいて発現する)、CD11b(単球、マクロファージ、NK細胞顆粒球において発現する)、CD79(B細胞において発現する)、CD19(B細胞において発現する)およびHLA−DR(樹状細胞、B細胞、単球、マクロファージにおいて発現する)などが挙げられる。よって、好ましい態様において、本発明の細胞組成物は、その大部分(例えば、細胞組成物中の60%、好ましくは70%、より好ましくは80%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは100%の細胞)が、間葉系幹細胞で発現が認められない分子の発現陰性である。

0036

本発明の培養方法によって得られた細胞は、細胞医療等の医療用に好適に使用し得る。該細胞は、対象疾患等に応じて、未分化のまま、または骨細胞、軟骨細胞もしくは脂肪細胞等へ分化させた後に、使用することができる。対象疾患としては、例えば、月状骨無腐性壊死大腿骨頭無腐性壊死、難断性骨軟骨炎腰椎椎間板ヘルニア虚血性心疾患表皮水疱症等が挙げられる。また、該細胞は、脂肪細胞へ分化させた後、美容整形用に使用することも可能である。

0037

当該細胞医療の対象となる動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類やウサギ等の実験動物、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ、ミンク等の家畜、イヌ、ネコ等のペット、ヒト、サル、アカゲザル、マーモセット、オランウータン、チンパンジーなどの霊長類等が挙げられ、好ましくはヒトである。

0038

上記細胞医療における細胞の投与量および投与方法は、所望の効果が得られるのであれば特に制限されず、治療対象となる疾患や症状の程度、投与対象となる動物等に応じて適宜設定することができる。

0039

以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。

0040

(材料と方法)
1.細胞
LONZA社より購入した、正常ヒトドナーから採取、調製されたヒト間葉系幹細胞(カタログ番号:PT−2501)、および本発明者らが自主採取したヒト間葉系幹細胞(ロット番号:BM103〜104)を使用した。

0041

2.間葉系幹細胞の培養
間葉系幹細胞の培養においては、アミノ酸以外のDMEM(Dulbecco’s modified Eagle medium、GIBCO)を構成する成分(塩類、ビタミンなど)からなる培地(以下、「Zero培地」と表記される場合がある)、これに20種類のアミノ酸を添加した培地(以下、「Full培地」と表記される場合がある)、もしくは、グリシン、アラニン、セリン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸およびグルタミン酸を除いた13種類のアミノ酸を添加した培地(以下、「−7培地」と表記される場合がある)、それぞれの培地に、透析により低分子を除去したFBS(fetal bovine serum、ライフテクノロジーズ社:26400−044)を10(v/v)%となるように添加し、使用した。
表1には、培養に使用した血清中における透析後の、上記7種アミノ酸の濃度、これらアミノ酸の、−7培地に添加した際の使用時の最終濃度、一般的な培地におけるこれらアミノ酸の濃度を示す。

0042

0043

間葉系幹細胞の培養は、37℃、5% CO2雰囲気下のインキュベーター内で行った。

0044

3.脂肪細胞への分化培養および脂肪細胞の維持培養
間葉系幹細胞から脂肪細胞への分化は、脂肪分化誘導培地(10(v/v)% FBS(ライフテクノロジーズ社:26400−044)、0.01mg/mLインスリン(ナカライテスク社:19251−95)、1μMデキサメタゾン(シグマ社:D2915)、0.2mMインドメタシン(シグマ社:I7378)、0.5mMイソブチルメチルキサンチン(シグマ社:I7018)を添加した高グルコース含有DMEM培地(GIBCO))を使用して行った。脂肪細胞への分化後の培養は、脂肪維持培地(10(v/v)% FBS(ライフテクノロジーズ社:26400−044)、0.01mg/mL インスリン(ナカライテスク社:19251−95)を添加した高グルコース含有DMEM培地(GIBCO))を使用して行った。
間葉系幹細胞から脂肪細胞への分化培養および分化後の維持培養は、37℃、5% CO2雰囲気下のインキュベーター内で行った。

0045

4.脂肪細胞分化誘導と分化効率の測定
間葉系幹細胞を、6ウェルプレートの1ウェルあたり2x105細胞を播種し、間葉系幹細胞用培地にて100%コンフルエントになるまで培養を行った。続いて脂肪分化誘導培地へ培地交換し、3日間培養した後に、脂肪維持培地へ培地交換し、更に3日間培養を行った。この脂肪分化誘導培地と脂肪維持培地による計6日間の培養を、3サイクル合計18日間実施した。
培養後の細胞を10%ホルマリンにて固定した後、オイルレッドO染色に供した。続いて細胞を0.1% Thesit(登録商標)(ラウロマクロゴール)に溶解し、血清トリグリセリド測定キット(シグマ社:TR0100−1KT)にてトリグリセリド量を定量した。BCA(ビシンコニン酸)試薬を用いてタンパク質を定量し、タンパク質量当たりのトリグリセリド量を比較することで、細胞ごとの分化効率を検討した。

0046

(結果)
実施例1:−7培地での短期間培養による、間葉系幹細胞の細胞増殖促進効果(図1
Zero培地、Full培地または−7培地でヒト間葉系幹細胞(ロット番号:OF3825)を7日間培養し、細胞数を評価した。細胞数の計測はCCKアッセイにより行った。市販のキットであるCell counting kit-8 (Dojindo)を使用し、キット付属使用説明書に順じて操作を行った。CCKアッセイでは、OD450nm(縦軸)に細胞数が比例する。各培地につき3ウェルで評価を行い、各ウェルの値を○で、3ウェルの平均値を●で表した。Full培地で培養した場合に比べ、−7培地では間葉系幹細胞の増殖が顕著に促進されていることを見出した。

0047

実施例2:−7培地での長期間培養による、間葉系幹細胞の細胞増殖促進効果(図2
−7培地またはFull培地でヒト間葉系幹細胞(ロット番号:OF3825)を70日間培養し、それぞれの培地で培養したときの累積細胞数を計測した。継代時に、細胞をトリプシン処理培養容器から剥がし、トリパンブルー混和した後、細胞懸濁液を血球計算盤に供し、細胞数を計測した。細胞数の計測は、以下の実施例においても同様の方法で行った。Full培地で培養した場合に比べ、−7培地で培養した場合は累積細胞数が顕著に増大した。従って、−7培地は、間葉系幹細胞の長期に渡る増殖培養に適した培地であることが示された。

0048

実施例3:異なるロットの間葉系幹細胞の、−7培地での培養による細胞増殖促進効果(図3
ロット番号:OF3853およびロット番号:OF4266のヒト間葉系幹細胞を、−7培地またはFull培地において30日間培養し、累積細胞数を計測した。両ロットのヒト間葉系幹細胞について、−7培地による顕著な増殖促進効果が認められた。

0049

実施例4:Full培地による間葉系幹細胞の培養における、増殖培養可能期間の検討(図4
−7培地またはFull培地を用いて、ヒト間葉系幹細胞(ロット番号:BM103)を109日間培養し、それぞれ累積細胞数を計測した。−7培地での培養では、累積細胞数が頭打ちとはならずに、増殖し続けたのに対し、Full培地で培養した場合は、培養開始から70日目以降は累積細胞数がほぼ頭打ちとなった。Full培地での培養において、頭打ちとなるまでの培養により、最終的な累積細胞数は培養開始時の細胞数の1230倍であった。よって、Full培地による間葉系幹細胞の増殖培養可能な期間は、およそ70日間で、その場合の累積細胞数は培養開始時の細胞数の1230倍程度であることが明らかとなった。

実施例

0050

参考例1:−7培地で培養した間葉系幹細胞の、脂肪細胞への分化促進(図5
−7培地またはFull培地で20日〜24日間培養したヒト間葉系幹細胞(ロット番号:BM103PN2(図5A)およびBM105PN2(図5B))を用いて、脂肪細胞、骨細胞または軟骨細胞への分化誘導を行った。骨細胞および軟骨細胞への分化に関しては、−7培地で培養した間葉系幹細胞は、Full培地で培養したものと比べ、同程度の分化効率を示した。脂肪細胞への分化に関しては、−7培地で培養した間葉系幹細胞は、Full培地で培養したものと比べ、分化効率が顕著に高かった(図5)。よって、−7培地は、間葉系幹細胞の骨細胞および軟骨細胞への分化に関しては従来の培地と同程度の分化能を維持しつつ、従来よりも効率のよい脂肪細胞への分化を可能とする培地であることが示された。

0051

本発明によれば、間葉系幹細胞を老化させることなく長期間増殖培養を行うことが可能で、多量の間葉系幹細胞が必要となる場合に特に有用である。本発明により培養された間葉系幹細胞は、細胞医療等の用途に好適に使用し得る。

0052

本出願は、日本で出願された特願2014−168580(出願日2014年8月21日)を基礎としておりその内容は本明細書に全て包含されるものである。

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