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図面 (7)

課題・解決手段

本発明は、下痢及び/又は嘔気がなく、且つ、摂取しやすい形態で、ヒトの体内ケトン体の生成を発揮できる新規で安全で副作用のない脳機能改善剤及び認知機能障害の予防または治療剤を提供することを課題とする。本発明は、タンパク質、脂質として中鎖脂肪酸トリグリセリド炭水化物を配合し、100重量部あたり、タンパク質を5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを5〜80重量部、及び炭水化物を1〜50重量部含有する脳機能改善剤、認知機能障害の予防または治療剤を提供する。

概要

背景

脳機能老化とともに衰えることが知られている。脳の神経細胞の数は、一般的に老化とともに減少する。
しかし、細胞が失われると残っている神経細胞間に新たな結合が作られたり、脳のいくつかの領域では高齢期でも新しい神経細胞が作られることもある。また、脳にはほとんどの活動に必要な数を超える細胞が存在するため、この減少を部分的に補うことができる。

一方、加齢により、神経細胞はメッセージを受け取る受容体の一部を失い、脳への血流が減少する傾向にある。このような加齢に伴う変化により、脳の機能が低下するため、高齢者は様々な反応や作業について、時間があれば正確に行うことができるものの、いくらかその時間が遅くなることがある。さらに、語彙短期記憶、新しいことを覚える能力言葉思い出す能力など、一部の精神機能は70以降で低下するといわれている。

このような脳機能の低下に対して、体内ケトン体を生成させる組成物の摂取が高齢者の記憶障害アルツハイマー型認知症に対しても効果があることを示唆する報告がなされている。ケトン体とは脂肪の代謝により肝臓で作られ、血液中に放出されるアセトンアセト酢酸β-ヒドロキシ酪酸の総称である。

一般にケトン体は糖尿病高脂肪食絶食(飢餓)、運動外傷大手術などグルコース代謝異状をきたした際、代償的にケトン体でエネルギー代謝を賄おうとして生成され、骨格筋心臓腎臓などでエネルギー源として利用される。脳は通常、脳血液関門を通過できるグルコースをエネルギー源としている。絶食等によりグルコースが枯渇した場合、アセト酢酸とβ−ヒドロキシ酪酸もグルコースと同様に脳血液関門を通過するようになり、脳内の細胞のミトコンドリアTCAサイクルエネルギーとして利用される。

中でも、体内でケトン体を生成させる組成物のうち、中鎖脂肪酸トリグリセリドが有効成分であることが知られている。例えば、特許文献1では、構成脂肪酸炭素数8〜10の脂肪酸である中鎖脂肪酸トリグリセリドを主成分とするアルツハイマー病予防治療剤が記載されている。

65歳以上の高齢者のうち、認知症の人の割合は推計15%で、2012年時点で約462万人にのぼると推測されている。また認知症になる可能性がある軽度認知障害の高齢者も約400万人程度存在すると推計されている。これは65歳以上の4人に1人が認知症とその予備となる計算であり、今後認知症の対策法の開発は急務である。

概要

本発明は、下痢及び/又は嘔気がなく、且つ、摂取しやすい形態で、ヒトの体内にケトン体の生成を発揮できる新規で安全で副作用のない脳機能改善剤及び認知機能障害の予防または治療剤を提供することを課題とする。本発明は、タンパク質、脂質として中鎖脂肪酸トリグリセリド、炭水化物を配合し、100重量部あたり、タンパク質を5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを5〜80重量部、及び炭水化物を1〜50重量部含有する脳機能改善剤、認知機能障害の予防または治療剤を提供する。

目的

本発明は、下痢及び/又は嘔気がなく、且つ、摂取しやすい形態で、ヒトの体内にケトン体の生成を発揮できる新規で安全で副作用のない脳機能改善剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

100重量部あたり、タンパク質を5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを5〜80重量部、及び炭水化物を1〜50重量部含有する脳機能改善剤

請求項2

前記タンパク質が、カゼイン乳タンパク質濃縮物MPC)、ホエイタンパク濃縮物WPC)、ホエイタンパク質分離物WPI)、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン及びラクトフェリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のタンパク質である、請求項1に記載の脳機能改善剤。

請求項3

下痢及び嘔気の少なくとも一方を伴わない、請求項1又は2に記載の脳機能改善剤。

請求項4

高齢者向けである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脳機能改善剤。

請求項5

前記高齢者健常高齢者である、請求項4に記載の脳機能改善剤。

請求項6

前記高齢者が認知機能障害を有する高齢者である、請求項4に記載の脳機能改善剤。

請求項7

1日あたり10g以上適用される請求項1〜6のいずれか1項に記載の脳機能改善剤。

請求項8

請求項1〜7のいずれか1項に記載の脳機能改善剤を含有する、脳機能を改善するための組成物

請求項9

前記組成物が、調製粉乳流動食、病者用食品サプリメントまたは栄養強化食品である請求項8に記載の組成物。

請求項10

脳機能を改善するための請求項1〜7のいずれか1項に記載の脳機能改善剤の使用。

請求項11

請求項1〜7のいずれか1項に記載の脳機能改善剤の有効量を対象に適用することを含む、脳機能を改善する方法。

請求項12

脳機能を改善するための組成物を製造するための請求項1〜7のいずれか1項に記載の脳機能改善剤の使用。

請求項13

100重量部あたり、タンパク質を5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを5〜80重量部、及び炭水化物を1〜50重量部含有する認知機能障害の予防または治療剤

請求項14

前記タンパク質が、カゼイン、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン及びラクトフェリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のタンパク質である、請求項13に記載の認知機能障害の予防または治療剤。

請求項15

下痢及び嘔気の少なくとも一方を伴わない、請求項13又は14に記載の認知機能障害の予防または治療剤。

請求項16

高齢者向けである、請求項13〜15のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤。

請求項17

前記高齢者が健常高齢者である、請求項16に記載の認知機能障害の予防または治療剤。

請求項18

前記高齢者が認知機能障害を有する高齢者である、請求項16に記載の認知機能障害の予防または治療剤。

請求項19

1日あたり10g以上適用される請求項13〜18のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤。

請求項20

請求項13〜19のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤を含有する、認知機能障害を予防または治療するための組成物。

請求項21

前記組成物が、調製粉乳、流動食、病者用食品、サプリメントまたは栄養強化食品である請求項20に記載の組成物。

請求項22

認知機能障害を予防または治療するための請求項13〜19のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤の使用。

請求項23

請求項13〜19のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤の有効量を対象に適用することを含む、認知機能障害を予防または治療する方法。

請求項24

認知機能障害を予防または治療するための組成物を製造するための請求項13〜19のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤の使用。

技術分野

0001

本発明は、脳機能改善剤、及び認知機能障害の予防または治療剤に関する。

背景技術

0002

脳機能老化とともに衰えることが知られている。脳の神経細胞の数は、一般的に老化とともに減少する。
しかし、細胞が失われると残っている神経細胞間に新たな結合が作られたり、脳のいくつかの領域では高齢期でも新しい神経細胞が作られることもある。また、脳にはほとんどの活動に必要な数を超える細胞が存在するため、この減少を部分的に補うことができる。

0003

一方、加齢により、神経細胞はメッセージを受け取る受容体の一部を失い、脳への血流が減少する傾向にある。このような加齢に伴う変化により、脳の機能が低下するため、高齢者は様々な反応や作業について、時間があれば正確に行うことができるものの、いくらかその時間が遅くなることがある。さらに、語彙短期記憶、新しいことを覚える能力言葉思い出す能力など、一部の精神機能は70以降で低下するといわれている。

0004

このような脳機能の低下に対して、体内ケトン体を生成させる組成物の摂取が高齢者の記憶障害アルツハイマー型認知症に対しても効果があることを示唆する報告がなされている。ケトン体とは脂肪の代謝により肝臓で作られ、血液中に放出されるアセトンアセト酢酸β-ヒドロキシ酪酸の総称である。

0005

一般にケトン体は糖尿病高脂肪食絶食(飢餓)、運動外傷大手術などグルコース代謝異状をきたした際、代償的にケトン体でエネルギー代謝を賄おうとして生成され、骨格筋心臓腎臓などでエネルギー源として利用される。脳は通常、脳血液関門を通過できるグルコースをエネルギー源としている。絶食等によりグルコースが枯渇した場合、アセト酢酸とβ−ヒドロキシ酪酸もグルコースと同様に脳血液関門を通過するようになり、脳内の細胞のミトコンドリアTCAサイクルエネルギーとして利用される。

0006

中でも、体内でケトン体を生成させる組成物のうち、中鎖脂肪酸トリグリセリドが有効成分であることが知られている。例えば、特許文献1では、構成脂肪酸炭素数8〜10の脂肪酸である中鎖脂肪酸トリグリセリドを主成分とするアルツハイマー病予防治療剤が記載されている。

0007

65歳以上の高齢者のうち、認知症の人の割合は推計15%で、2012年時点で約462万人にのぼると推測されている。また認知症になる可能性がある軽度認知障害の高齢者も約400万人程度存在すると推計されている。これは65歳以上の4人に1人が認知症とその予備となる計算であり、今後認知症の対策法の開発は急務である。

0008

日本国特開平6−287138号公報

先行技術

0009

Henderson et al(2009)Nutr Metalab.2009;6;31

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1においては、中鎖脂肪酸トリグリセリドを摂取する上で、非特許文献1に開示されている摂取による下痢の発生を考慮に入れる必要がある。

0011

このように、脳機能を改善させるために、強制的に中鎖脂肪酸トリグリセリドを摂取(投与、適用)させる必要があり、摂取する上での身体的及び/又は心理的障壁も存在する。

0012

そこで、本発明は、下痢及び/又は嘔気がなく、且つ、摂取しやすい形態で、ヒトの体内にケトン体の生成を発揮できる新規で安全で副作用のない脳機能改善剤を提供することを課題とする。また、本発明は、下痢及び/又は嘔気がなく、且つ、摂取しやすい形態で、ヒトの体内にケトン体の生成を発揮できる新規で安全で副作用のない認知機能障害の予防または治療剤を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究を進めたところ、以下の知見を得た。すなわち、100重量部あたり、タンパク質が5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドが5〜80重量部、及び炭水化物が1〜50重量部を含有する剤を摂取(投与、適用)させることで、体内のケトン体の生成を促進することにより、脳機能が改善すること、および認知機能障害を予防または治療することができることを見出し、前記課題を解決した。

0014

また、本発明の剤は、タンパク質、脂質及び炭水化物等、長年の食習慣もあるものを含むため、本発明の剤は、継続的に摂取(投与、適用)しやすく、安全で副作用のリスクは少ない。

0015

さらに、本発明の剤を摂取(投与、適用)させることにより、ケトン体が体内で生成され、下痢及び/又は嘔気がなく、それに伴う症状の改善が期待できる。摂取(投与、適用)対象としては、例えば、認知機能障害を有する高齢者等が挙げられる。該認知機能障害としては、例えば、大脳疾患としての知能障害痴呆)、記憶障害、学習障害意識障害認知障害失認)、失語症失行睡眠障害頭痛運動障害感覚障害けいれん発作精神疾患としての不安神経症ヒステリーうつ病幻覚妄想等が挙げられる。本発明の剤を摂取することで体内のケトン体の生成が促進されることにより、脳機能が改善し、さらに上記認知機能障害を治療することができるものと考えられる。

0016

また、本発明の剤は、副作用がなく、安全であるため、例えば、健常高齢者が、脳機能を改善させるため、及び認知機能障害を予防するために、本発明の剤を摂取することもできる。ここで、本発明における高齢者とは、特に断りのない限り、60歳以上を指す。また、本発明でいう健常高齢者とは、上記のような認知機能障害を有しない高齢者を示す。

0017

すなわち、本発明は、次の通りとなる。
[1]100重量部あたり、タンパク質を5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを5〜80重量部、及び炭水化物を1〜50重量部含有する脳機能改善剤。
[2]前記タンパク質が、カゼイン乳タンパク質濃縮物MPC)、ホエイタンパク濃縮物WPC)、ホエイタンパク質分離物WPI)、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン及びラクトフェリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のタンパク質である、前記[1]に記載の脳機能改善剤。
[3]下痢及び嘔気の少なくとも一方を伴わない、前記[1]又は[2]に記載の脳機能改善剤。
[4]高齢者向けである、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の脳機能改善剤。
[5]前記高齢者が健常高齢者である、前記[4]に記載の脳機能改善剤。
[6]前記高齢者が認知機能障害を有する高齢者である、前記[4]に記載の脳機能改善剤。
[7]1日あたり10g以上適用される前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の脳機能改善剤。
[8]前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の脳機能改善剤を含有する、脳機能を改善するための組成物。
[9]前記組成物が、調製粉乳流動食、病者用食品サプリメントまたは栄養強化食品である前記[8]に記載の組成物。
[10]脳機能を改善するための前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の脳機能改善剤の使用。
[11]前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の脳機能改善剤の有効量を対象に適用することを含む、脳機能を改善する方法。
[12]脳機能を改善するための組成物を製造するための前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の脳機能改善剤の使用。
[13]100重量部あたり、タンパク質を5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを5〜80重量部、及び炭水化物を1〜50重量部含有する認知機能障害の予防または治療剤。
[14]前記タンパク質が、カゼイン、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン及びラクトフェリンからなる群より選ばれる少なくとも1種のタンパク質である、前記[13]に記載の認知機能障害の予防または治療剤。
[15]下痢及び嘔気の少なくとも一方を伴わない、前記[13]又は[14]に記載の認知機能障害の予防または治療剤。
[16]高齢者向けである、前記[13]〜[15]のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤。
[17]前記高齢者が健常高齢者である、前記[16]に記載の認知機能障害の予防または治療剤。
[18]前記高齢者が認知機能障害を有する高齢者である、前記[16]に記載の認知機能障害の予防または治療剤。
[19]1日あたり10g以上適用される前記[13]〜[18]のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤。
[20]前記[13]〜[19]のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤を含有する、認知機能障害を予防または治療するための組成物。
[21]前記組成物が、調製粉乳、流動食、病者用食品、サプリメントまたは栄養強化食品である前記[20]に記載の組成物。
[22]認知機能障害を予防または治療するための前記[13]〜[19]のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤の使用。
[23]前記[13]〜[19]のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤の有効量を対象に適用することを含む、認知機能障害を予防または治療する方法。
[24]認知機能障害を予防または治療するための組成物を製造するための前記[13]〜[19]のいずれか1項に記載の認知機能障害の予防または治療剤の使用。

発明の効果

0018

本発明によれば、下痢及び/又は嘔吐がなく、且つ、摂取しやすい形態で、ヒトの体内にケトン体の生成を発揮できる新規で安全で副作用のない脳機能改善剤、及び認知機能障害の予防または治療剤を提供することができる。

図面の簡単な説明

0019

図1は、本発明の剤又は対照の摂取による検査手順を示す。
図2は、試験例1における、本発明の剤又は対照の摂取後の経過時間と血中アセト酢酸の濃度との関係を示す。
図3は、試験例1における、本発明の剤又は対照の摂取後の経過時間と血中β−ヒドロキシ酪酸の濃度との関係を示す。
図4は、試験例1における、本発明の剤摂取後1.5時間経過後と3時間経過後のトレイルメイキングテスト−Aの反応時間の改善と、本発明の剤摂取後3時間経過後の血中β−ヒドロキシ酪酸の濃度との関係を示す。
図5は、試験例2における、本発明の剤又は対照の摂取後の経過時間と血中アセト酢酸の濃度との関係を示す。
図6は、試験例2における、本発明の剤又は対照の摂取後の経過時間と血中β−ヒドロキシ酪酸の濃度との関係を示す。

0020

以下では、本発明を詳細に説明するが、本発明は、個々の形態には限定されない。
本発明は、100重量部あたり、タンパク質を5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを5〜80重量部、及び炭水化物を1〜50重量部含有する脳機能改善剤、または該脳機能改善剤を含有する脳機能を改善するための組成物に関する。

0021

また、本発明は、100重量部あたり、タンパク質を5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを5〜80重量部、及び炭水化物を1〜50重量部含有する認知機能障害の予防もしくは治療剤、または該認知機能障害の予防もしくは治療剤を含有する認知機能障害を予防もしくは治療するための組成物に関する。

0022

本明細書においては、特に断りのない限り、上記「脳機能改善剤」、および「認知機能障害の予防または治療剤」をまとめて、「本発明の剤」といい、上記「脳機能を改善するための組成物」、および「認知機能障害を予防または治療するための組成物」をまとめて「本発明の組成物」という。

0023

<本発明の剤>
本発明の剤は、100重量部あたり、タンパク質が5〜50重量部、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドが5〜75重量部、及び炭水化物が1〜50重量部を含有する。

0024

<タンパク質>
本発明の剤が含有するタンパク質の種類は特に限定されないが、好ましくは、例えば、カゼイン、乳タンパク質濃縮物(MPC)、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、α-ラクトアルブミン、β-ラクトグロブリン、及びラクトフェリン等の乳由来原料である乳タンパク質等を用いることができる。

0025

これらのタンパク質は、1種又は2種以上が使用できる。また、本発明の効果が得られれば、市販のタンパク質原料を用いることができる。上記タンパク質を用いることによって、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを容易に摂取することができる。

0026

また、大豆タンパク質米タンパク質、麦タンパク質、魚肉タンパク質畜肉タンパク質等の乳以外の由来のタンパク質の原料であっても、本発明の効果が得られれば、特に限定されずに用いることができる。

0027

これらのタンパク質は、1種又は2種以上が使用できる。また、本発明の効果が得られれば、市販のタンパク質原料を用いることができる。上記タンパク質を用いることによって、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを容易に摂取することができる。

0028

また、これらのタンパク質は、必要に応じて加水分解アミノ酸残基を修飾する等して、この機能的特性溶解性粘性ゲル化、熱安定性乳化定性等の物理的な特性の他、生理学的な特性等)を変更してもよい。

0029

さらに、本発明の効果である下痢を抑制する観点から、整腸効果の期待できる、発酵乳由来のタンパク質なども用いることができる。発酵乳タンパク質の原料としては、例えば、ヨーグルトチーズ等、乳を乳酸菌及び/又はビフィズス菌等で発酵させたものを用いることができる。上記発酵乳タンパク質の一形態として、発酵乳よりホエイを排出させたナチュラルチーズ熟成させないフレッシュチーズクワルクマスカルポーネ、クリームチーズ等)を例示でき、これらの1種又は2種以上が使用できる。

0030

上記タンパク質の配合量は、本発明の剤100重量部あたり5〜50重量部であり、その範囲内であれば、他の成分(脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリド、炭水化物)の含量、摂取対象の病態病状年齢、体重、用途等によって適宜調整することができる。好ましくは、組成物100重量部あたり7.5〜40重量部、より好ましくは10〜30重量部、さらに好ましくは12.5〜20重量部、特に好ましくは12.5〜17.5重量部である。上記タンパク質がホエイタンパク質加水分解物である場合に、特に上記配合量を好ましく適用できる。

0031

<中鎖脂肪酸トリグリセリド>
本発明の剤が含有する、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)の種類は特に制限されない。中鎖脂肪酸トリグリセリドとして好ましくは、例えば、脂肪酸の炭素数が各々5〜12、好ましくは炭素数が各々8〜10のトリグリセリド等を使用することができる。炭素数が各々5〜12のトリグリセリド等を使用することによって、例えば、ヒトにおいて、体内でのケトン体の生成を効率よく発揮でき、本発明の効果を更に高めることができる。これらの中鎖脂肪酸トリグリセリドは、1種又は2種以上が使用できる。

0032

炭素数8〜10の飽和脂肪酸としては、例えばカプリル酸カプリン酸等を用いることができる。また、中鎖脂肪酸トリグリセリドを含んでいる市販の食用油脂(例えば、商品名:日清MCTオイル(日清オイリグループ株式会社製))を、中鎖脂肪酸トリグリセリドとして用いることができる。

0033

上記中鎖脂肪酸トリグリセリドの配合量は、本発明の剤100重量部あたり5〜80重量部であり、その範囲内であれば、他の成分(タンパク質、炭水化物)の含量、摂取対象の病態、病状、年齢、体重、用途等によって適宜調整することができる。

0034

好ましくは、100重量部あたり10〜75重量部、より好ましくは15〜70重量部、さらに好ましくは20〜65重量部、さらに好ましくは25〜60重量部、さらに好ましくは30〜55重量部、さらに好ましくは30〜50重量部、特に好ましくは35〜45重量部である。

0035

<炭水化物>
本発明の剤が含有する、炭水化物の種類は、特に制限されない。炭水化物として好ましくは、摂取後の血糖値を上げない観点から、例えば、乳糖パラチノーストレハルロース等を使用することができる。上記炭水化物を使用することによって、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリドを容易に摂取することができる。また、本発明の効果をさらに高めるために、食物繊維等の整腸作用の期待できる炭水化物の原料を用いることができる。これらの炭水化物は、1種又は2種以上が使用できる。

0036

上記炭水化物の配合量は、本発明の剤100重量部あたり1〜50重量部であり、その範囲内であれば、他の成分(タンパク質、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリド)の含量、摂取対象の病態、病状、年齢、体重、用途等によって適宜調整することができる。好ましくは、本発明の剤100重量部あたり2〜40重量部、より好ましくは3〜30重量部、さらに好ましくは4〜20重量部、さらに好ましくは5〜16重量部、さらに好ましくは6〜14重量部、さらに好ましくは7〜12重量部、特に好ましくは8〜10重量部である。

0037

<その他の成分>
本発明の剤には上記以外の脂質として、その他の油脂の原料を含有することができ、その由来や種類に制限はない。例えば、飽和脂肪酸(パルミチン酸ステアリン酸等)、一価不飽和脂肪酸オレイン酸等)、多価不飽和脂肪酸リノール酸リノレン酸等)、リン脂質等を用いることができる。また、長鎖脂肪酸油脂(LCT)等も用いることができる。

0038

リン脂質の原料は、例えば、乳リン脂質大豆由来レシチン卵黄レシチン等の公知のリン脂質の原料を1又は2種以上用いることができる。
上記リン脂質は、乳、大豆等の由来となる原料から分画、精製することができる。また、本発明の効果が得られる限り、市販のリン脂質を含む原料を用いることができる。

0039

上記リン脂質の配合量は、他の成分(タンパク質、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び炭水化物)の含量、摂取対象の病態、病状、年齢、体重、用途等によって適宜調整することができる。例えば、乳リン脂質の配合量として、本発明の剤100重量部あたり0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.8重量部、より好ましくは0.1〜0.7重量部、さらに好ましくは0.15〜0.6重量部、さらに好ましくは0.2〜0.5重量部、さらに好ましくは0.25〜0.45重量部、特に好ましくは0.3〜0.4重量部である。

0040

その他の油脂の原料は、厚生労働省の脂質の摂取基準と、実際の脂質の摂取の内容とを比較して、飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸等)、一価不飽和脂肪酸(オレイン酸等)、多価不飽和脂肪酸(リノール酸、リノレン酸等)の配合量を調整することができる。中でも、我が国において、一価不飽和脂肪酸の摂取量を食事のみで高めることが困難であるため、脂肪酸全体における、一価不飽和脂肪酸の割合を高めることも好ましい。

0041

一価不飽和脂肪酸としては、例えばオレイン酸、パルミトレン酸、ミリストレイン酸等を挙げることができる。オレイン酸を多く含む脂質源としては、例えば、高オレイン酸ハイオレイックヒマワリ油ナタネ油オリーブ油、高オレイン酸ベニバナ油大豆油コーン油パーム油などが挙げられる。またオレイン酸を含む脂質源として栄養調製油脂(日本油脂社製)が挙げられる。また、ヒマワリ油、ナタネ油、オリーブ油、およびオリーブ油との混合物も用いることができる。

0042

その他の油脂の原料の配合量は、他の成分(タンパク質、脂質としての中鎖脂肪酸トリグリセリド、及び炭水化物)の含量、摂取対象の病態、病状、年齢、体重、用途等によって適宜調整することができる。例えば、高オレイン酸のハイオレイックヒマワリ油の配合量として、本発明の剤100重量部あたり0〜60重量部、好ましくは5〜55重量部、より好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは15〜45重量部、さらに好ましくは20〜40重量部、特に好ましくは25〜35重量部である。

0043

本発明の剤の原料としては、他に、副作用なく安全に摂取をしやすくすることを目的に公知の食品及び食品添加物を配合することができる。また、副作用なく安全に本発明の効果を高めることを目的に、公知の食物繊維等の腸内菌叢を改善して下痢を抑制できる食品及び食品添加物を配合することができる。さらに、本発明の効果を高めることを目的に、摂取しやすい風味に改善して嘔吐を抑制できる食品及び食品添加物を配合することができる。

0044

また、本発明の剤には、前記のタンパク質、脂質、炭水化物等の他に、水、公知のヒトに摂取(投与、適用)できる原料を配合することができる。例えば、副作用を抑制する観点から、食経験の高い食品原料や食品添加物等を用いることができる。また、本発明の剤は、液状、固形状、粉末状、ゲル状等その形態は任意である。さらに、本発明の剤は、公知の製造方法で調製することができる。

0045

<本発明の剤の使用方法
本発明の剤は、有効量を対象に適用することによって、脳機能を改善する効果、または認知機能障害を予防もしくは治療する効果を発揮することができる。本発明の剤は、単回の摂取(単回投与)であっても、その効果が期待できる。例えば、体重60kgのヒトの場合に、その有効量は、粉末として1日あたり10〜90gであり、好ましくは15〜85g、より好ましくは20〜80g、さらに好ましくは25〜75g、さらに好ましくは30〜70g、さらに好ましくは35〜65g、さらに好ましくは40〜60g、特に好ましくは45〜55gである。また、本発明の剤を摂取(投与、適用)するにあたり、予め前記の粉末を適宜の量の水に分散溶解したものを用いることができる。さらに、本発明の剤は、経口、経管、経腸等の公知の方法で摂取(投与、適用)することができる。

0046

本発明の剤は、下痢及び/または嘔気のような副作用を伴わないため、継続的に摂取することができ、よりその効果が期待できる。例えば、体重60kgのヒトの場合に、その有効量は、粉末として1日あたり10g以上、1日あたり15g以上、1日あたり20g以上、1日あたり25g以上、1日あたり30g以上、1日あたり35g以上、1日あたり40g以上、1日あたり45g以上、1日あたり50g以上摂取(投与、適用)することある。また、例えば、体重60kgのヒトの場合には、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、6週間以上、8週間以上、12週間以上、24週間以上である。さらに、例えば継続的な摂取は、1週間あたり1回、1週間あたり2回、1週間あたり3回、1週間あたり4回、1週間あたり5回、1週間あたり6回、1週間あたり7回である。特に、1日あたり10g以上適用することが好ましい。

0047

本発明の剤の摂取(投与、適用)対象としては、例えば、高齢者、認知症患者てんかん患者成人等が挙げられる。高齢者としては、認知機能障害を有する高齢者であっても、健常高齢者であっても、本発明の剤を摂取させることができる。

0048

認知機能障害としては、例えば、大脳疾患としての知能障害(痴呆)、記憶障害、学習障害、意識障害、認知障害(失認)、失語症、失行、睡眠障害、頭痛、運動障害、感覚障害、けいれん発作、精神疾患としての不安神経症、ヒステリー、うつ病、幻覚、妄想等が挙げられる。本発明の剤は、上記のような認知機能障害を有する高齢者に対して使用することができ、脳機能を改善させたり、該認知機能障害を治療したりすることができる。

0049

また、本発明の剤は、副作用がなく、安全であるため、例えば、健常高齢者向けの認知機能障害の予防剤としての使用することもできる。

0050

<本発明の組成物>
本発明の剤は単独で適用することもできるが、本発明の剤を含有する組成物(本発明の組成物)として使用することもできる。すなわち、本発明の組成物を製造するために、上記の本発明の剤を使用することができる。そして、本発明の組成物は、脳機能を改善するために、または認知機能障害を予防もしくは治療するために使用することができる。

0051

本発明の組成物を製造する際、本発明の剤を上記組成物へ配合する量は、その目的、用途、形態、剤型、症状、体重などに応じて任意に定めることができ、本発明はこれに限定されないが、その含量としては、全体量に対して、5〜95%(w/w)の含量で配合することができ、さらに好ましくは10〜50%(w/w)の含量で配合することができる。前記範囲であることによって摂取(投与、適用)しやすくなるからである。

0052

具体的に、本発明の組成物は、医薬品(医薬組成物)または飲食品飲食品組成物)のいずれの形態でも利用することができる。例えば、医薬品として直接投与することにより、または特定保健用食品等の特別用途食品や栄養食品として直接摂取することにより、脳機能改善効果、認知機能障害を予防または治療する効果を発揮することが期待される。また、特別用途食品や栄養食品の例として、調製粉乳、流動食、病者用食品、サプリメント、栄養強化食品等が挙げられる。

0053

本発明の組成物を医薬品組成物として使用する場合は、形態としては、例えば錠剤被覆錠剤カプセル剤顆粒剤散剤溶液シロップ剤乳液等の製剤による経口投与をあげることができる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬である本発明の剤に、分散剤賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤着色剤矯味矯臭剤溶解補助剤懸濁剤コーティング剤等の医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知補助剤を用いて製剤化し、本発明の組成物とすることができる。

0054

分散剤としては、例えば、カゼイン等の乳タンパク質、大豆タンパク質、ペプチドアミノ酸デンプンデキストリンキシランオリゴ糖、糖類(グルコース、ラクトーススクロースガラクトースマルトース)、糖アルコールトレハロースキシリトールエリスリトール、パラチノース、トレハルロース、キシロース)等が挙げられる。

0055

賦形剤としては、例えば、乳糖、果糖ブドウ糖コーンスターチソルビット結晶セルロース等が挙げられる。

0056

結合剤としては、例えば、メチルセルロースまたはその塩、エチルセルロースアラビアゴムゼラチンヒドロキシプロピルセルロースポリビニルピロリドン等が挙げられる。

0057

崩壊剤としては、例えば、澱粉アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、炭酸カルシウムクエン酸カルシウム、デキストリン、炭酸マグネシウム、合成ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。

0058

滑沢剤としては、例えば、タルクステアリン酸マグネシウムポリエチレングリコール硬化植物油等が挙げられる。

0059

着色剤としては、例えば、医薬品に添加することが許可されているものがあげられ、矯味矯臭剤としては、ココア末ハッカ脳芳香散、ハッカ油竜脳桂皮末などが用いられる。

0060

溶解補助剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、モノステアリン酸ソルビタンモノパルミチン酸ソルビタンモノラウリン酸ソルビタンポリビニルアルコール等が挙げられる。

0061

本発明の組成物を副作用のない飲食品組成物とする場合には、各種飲食品(牛乳清涼飲料、発酵乳、ヨーグルト、チーズ、パンビスケットクラッカーピッツァクラスト、調製粉乳、流動食、病者用食品、栄養食品等)に本発明の剤を添加し、これを摂取してもよい。本発明の剤をそのまま使用したり、他の食品ないし食品成分と混合したりするなど、通常の飲食品組成物における常法に従って使用できる。

0062

また、その性状についても、通常用いられる飲食品の状態、例えば、固体状(粉末、顆粒状その他)、ペースト状、液状ないし懸濁状のいずれでもよい。このような形態をとることで、本発明の組成物を心理的な障害感じることなく摂取することができる。

0063

本発明の組成物を食品組成物や医薬品組成物として提供する場合、製造方法は当業者に周知の方法によって行うことができる。当業者であれば、本発明の剤を他の成分と混合する工程、成形工程、殺菌工程、発酵工程、焼成工程、乾燥工程、冷却工程、造粒工程、包装工程等を適宜組み合わせ、所望の食品や薬剤を製造することが可能である。

0064

さらに本発明の組成物は、保健機能食品や病者用食品にも適用することができる。保健機能食品制度は、内外動向、従来からの特定保健用食品制度との整合性踏まえて、通常の食品のみならず錠剤、カプセル等の形状をした食品を対象として設けられたもので、特定保健用食品(個別許可型)と栄養機能食品規格基準型)の2種類の類型からなる。本発明の組成物である特定保健用食品等の特別用途食品や栄養機能食品として直接摂取することにより、脳機能改善効果、認知機能障害を予防または治療する効果を発揮することが期待される。

0065

本発明の組成物の摂取(投与、適用)対象は、本発明の剤と同様であり、例えば、高齢者、認知症患者、てんかん患者、成人等が挙げられる。高齢者としては、認知機能障害を有する高齢者であっても、健常高齢者であっても、本発明の組成物を摂取させることができる。

0066

認知機能障害としては、例えば、大脳疾患としての知能障害(痴呆)、記憶障害、学習障害、意識障害、認知障害(失認)、失語症、失行、睡眠障害、頭痛、運動障害、感覚障害、けいれん発作、精神疾患としての不安神経症、ヒステリー、うつ病、幻覚、妄想等が挙げられる。本発明の組成物は、上記のような認知機能障害を有する高齢者に対して使用することができ、脳機能を改善させたり、該認知機能障害を治療したりすることができる。

0067

また、本発明の組成物は、副作用がなく、安全であるため、例えば、健常高齢者向けの認知機能障害の予防のために使用することもできる。

0068

以下では、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これにより限定されない。

0069

(試験例1)健常高齢者に対する本発明の剤の投与実験
[本発明の剤の製造]
中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)を40重量%、長鎖脂肪酸油脂(LCT)を30.1重量%、大豆レシチンを0.4重量%、乳糖を8重量%、クエン酸を0.2重量%、カゼインを14重量%、ホエイタンパク質濃縮物を4重量%、ビタミン類を0.2重量%、ミネラル類を3.1重量%含有する組成物を溶解水と共に調合し、均質化により乳化し、噴霧乾燥をして、中鎖脂肪酸トリグリセリド入りの粉末を得た。この粉末50gを水79gに溶解したもの(合計129g)を以下、「本発明の剤」とした。

0070

対照として、ホイップ用の植物性脂肪クリーム(「ホイップ」、印メグミルク社製)を825g、牛乳400g、粉末プロテイン(「明治メイプロテインZn」、明治社製)62.5gを混合して調合し、均質化により乳化した。得られたものを以下、「対照」とした。

0071

被験者の選択]
ホームページ、及びちらし等によって募集した60歳以上のうち、文書同意を得られた男性2名、女性5名(平均年齢65.9±3.1歳)を対象にした。この7名は、肝・腎機能障害高脂血症、糖尿病等の内科疾患を有しておらず、また、脳器質性疾患も有していない。さらに、これらの7名の被験者に対して精神医学的に認知機能障害の有無について問診を行い、精神疾患に罹患していないことも確認した。

0072

[本発明の剤の摂取]
上記被験者7名を対象に、「本発明の剤」と「対照」を用いたクロスオーバー試験を行い、血中ケトン体濃度の上昇と認知機能改善効果に関して検討した。

0073

具体的には、まず、上記被験者に対し、検査前日の22時より絶食とし、検査当日9時に検査を開始した。肝機能腎機能空腹時血糖コレステロール値等を静脈から採血を行い評価した。同日10時に上記で製造した本発明の剤129g(粉末50g(中鎖脂肪酸20g含有)を水79gに溶解したもの)、もしくは対照129g(中鎖脂肪酸成分を他の脂肪酸に置換したものに相当)を別日に1回ずつ摂取した。「本発明の剤」と「対照」の順番は、単純無作為化により決定した。摂取開始後1、1.5、2、及び3時間後に静脈から採血を行い、血中ケトン体濃度(血中のアセト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸)を測定した。摂取1.5時間後、3時間後に、注意持続と選択、視覚探索視覚運動協調性調査するトレイルメイキングテスト(文献:Lezak MD,Howieson DB,LoringDW.Neuropsychological Assessment.NY Oxford University Press 2004.)によって認知機能を評価した(図1)。下痢、嘔気等の有害事象についても検査中に聞き取りを行った。

0074

[評価]
血中ケトン体濃度の測定の結果、「対照」摂取後と比較して「本発明の剤」摂取後には継時的に血中のアセト酢酸(図2)、β−ヒドロキシ酪酸(図3)が上昇することを確認した。

0075

また、上記トレイルメイキングテスト−Aの成績を検討したところ、「対照」摂取の場合、対照摂取後1.5時間後には平均反応時間29.0±7.5秒、対照摂取後3時間後には29.1±13.6秒と、対照摂取による効果(平均反応時間の低下)は見られなかった。

0076

一方、「本発明の剤」摂取の場合、本発明の剤摂取後1.5時間後には34.6±7.8秒、本発明の剤摂取後3時間後には25.1±4.7秒と、本発明の剤摂取による効果(平均反応時間の低下)が見られ、血中ケトン体の濃度上昇と相関してトレイルメイキングテスト−Aの成績の向上が観察された(図4)。

0077

以上の結果は、健常高齢者に対して、本発明の剤に認知機能改善作用があることを示唆する。なお、一連の検査中に重篤な副作用は認められなかった。また、7症例のうち、1例にのみ、本発明の剤摂取後に一過性の嘔気が認められたが、症状は速やかに消失した。また、7症例の全てにおいて、本発明の剤摂取後に下痢の症状は認められなかった。

0078

(試験例2)健常高齢者に対する本発明の剤の投与実験2
[本発明の剤の製造]
試験例1と同様に「本発明の剤」及び「対照」を製造した。

0079

[被験者の選択]
ホームページ、及びちらし等によって募集した60歳以上のうち、文書で同意を得られた男性6名、女性14名(平均年齢66.3±2.9歳)を対象にした。この20名は、肝・腎機能障害、高脂血症、糖尿病等の内科疾患を有しておらず、また、脳器質性疾患も有していない。さらに、これらの20名の被験者に対して精神医学的に認知機能障害の有無について問診を行い、精神疾患に罹患していないことも確認した。

0080

[本発明の剤の摂取]
試験例1と同様に、上記被験者を対象に、「本発明の剤」と「対照」を用いたクロスオーバー試験を行い、血中ケトン体濃度の上昇と認知機能改善効果に関して検討した。「本発明の剤」又は「対照」摂取1.5時間後、3時間後に、注意の持続と選択、視覚探索・視覚運動協調性を調査するトレイルメイキングテスト(文献:Lezak MD,Howieson DB,LoringDW.Neuropsychological Assessment.NY Oxford University Press 2004.)によって認知機能、及び日本語版ウェクスラー記憶検査のうち数唱と視覚性記憶範囲(文献:Wechsler D.Wechsler memory scale−revised.1987;San Antonio;Psychological Corporation.)を行い、集中力記銘力を評価した(図1)。下痢、嘔気等の有害事象についても検査中に聞き取りを行った。

0081

[評価]
血中ケトン体濃度の測定の結果、「対照」摂取時と比較して「本発明の剤」摂取後には継時的に血中のアセト酢酸(図5)、β−ヒドロキシ酪酸(図6)が上昇することを確認した。

0082

また、上記トレイルメイキングテスト−Bの成績を検討したところ、「対照」摂取の場合、対照摂取後1.5時間後には平均反応時間77.8±23.7秒、対照摂取後3時間後には79.0±28.9秒と、対照摂取による効果(平均反応時間の低下)は見られなかった。

0083

一方、「本発明の剤」摂取の場合、本発明の剤摂取後1.5時間後には75.0±18.9秒、本発明の剤摂取後3時間後には70.7±26.6秒と、本発明の剤摂取による効果(平均反応時間の低下)が見られ、血中ケトン体の濃度上昇と相関してトレイルメイキングテスト−Bの成績の向上が観察された。

0084

さらに、日本語版ウェクスラー記憶検査の成績を検討したところ、数唱において、「対照」摂取の場合、対照摂取後1.5時間後には順逆唱で平均11.6±3.5桁であったが、「本発明の剤」摂取の場合、本発明の剤摂取後1.5時間後には順逆唱で平均12.5±3.2桁となり、有意な改善が認められた。

0085

以上の結果も、試験例1と同様に、健常高齢者に対して、本発明の剤に認知機能改善作用があることを示唆する。なお、一連の検査中に重篤な副作用は認められなかった。また、20症例の全てにおいて、本発明の剤摂取後に下痢の症状は認められなかった。

0086

(試験例3)認知症患者に対する本発明の剤の投与実験
[本発明の剤の製造]
試験例1と同様に「本発明の剤」及び「対照」を製造した。

0087

[被験者の選択]
本試験では、被験者として、認知症患者2名(被験者1:70歳男性、被験者2:67歳男性)を選択した。

0088

[被験者の本発明の剤の摂取]
試験例1と同様に、上記被験者を対象に、「本発明の剤」と「対照」を用いたクロスオーバー試験を行い、血中ケトン体濃度を測定した。「本発明の剤」又は「対照」の具体的な摂取方法は、試験例1と同様である。「本発明の剤」又は「対照」の摂取前と摂取2時間後に、静脈から採血を行い、血中ケトン体濃度(血中のアセト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸、総ケトン体)を測定した。

0089

[評価]
被験者1の測定結果を表1、被験者2の測定結果を表2に示す。
両被験者ともに、「対照」摂取後と比較して「本発明の剤」摂取後には、血中のアセト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸及び総ケトン体量が顕著に上昇することを確認した。この結果により、「本発明の剤」は、認知症等の認知機能障害の予防または治療に有用であることが示唆された。なお、一連の検査中に重篤な副作用は認められなかった。また、2症例の全てにおいて、本発明の剤摂取後に下痢の症状は認められなかった。

0090

実施例

0091

0092

本発明の剤を摂取(投与、適用)させることにより、ケトン体が体内で生成され、下痢及び/又は嘔気がなく、それに伴う症状の改善が期待できる。一例として、高齢者の認知機能改善、例えば、大脳疾患としての知能障害(痴呆)、記憶障害、学習障害、意識障害、認知障害(失認)、失語症、失行、睡眠障害、頭痛、運動障害、感覚障害、けいれん発作、精神疾患としての不安神経症、ヒステリー、うつ病、幻覚、妄想等である。さらに、本発明の剤は、副作用がなく、安全であるため、例えば、健常高齢者向けの認知症予防剤としての摂取をすることもできる。

0093

本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2014年7月23日付で出願された日本特許出願(特願2014−149990)に基づいており、その全体が引用により援用される。

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