図面 (/)

技術 金属微粒子分散液及び金属被膜

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 岡田一誠杉浦元彦
出願日 2015年7月10日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2016-535879
公開日 2017年4月27日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 WO2016-013426
状態 特許登録済
技術分野 プリント基板への印刷部品(厚膜薄膜部品) 粉末冶金 導電材料 金属質粉又はその懸濁液の製造 非絶縁導体
主要キーワード 体積中心 金属被膜中 高温処理法 各金属微粒子 硝酸塩化合物 ポリエチレンイミン構造 酸化反応速度 水溶性チタン化合物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題・解決手段

平均粒子径が200nm以下の金属微粒子とこの金属微粒子を分散する溶媒とを含有し、塗工及び焼結により金属被膜を形成するための金属微粒子分散液であって、水溶性樹脂をさらに含有する金属微粒子分散液。水溶性樹脂の含有量は、金属微粒子100質量部あたり0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。

概要

背景

近年、プリント配線板の製造等では、溶媒中にナノサイズの金属微粒子を分散した金属微粒子分散液基材の表面に塗工し、この塗工により形成された塗膜を加熱して乾燥及び焼結することで基材の表面に金属被膜を形成する方法が採用されるようになっている。

このような金属被膜の形成に用いる金属微粒子分散液として、室温で蒸発し難くかつ乾燥及び焼結する際に蒸発するような有機溶媒と、粒子径0.001〜0.1μmの銀又は酸化銀超微粒子とを混合して、室温での粘度が1000cP以下となるよう調製したものが提案されている。(特許文献1参照)。

概要

平均粒子径が200nm以下の金属微粒子とこの金属微粒子を分散する溶媒とを含有し、塗工及び焼結により金属被膜を形成するための金属微粒子分散液であって、水溶性樹脂をさらに含有する金属微粒子分散液。水溶性樹脂の含有量は、金属微粒子100質量部あたり0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。

目的

そこで、上述のような事情に鑑み、ひび割れの少ない金属被膜を形成することができる金属微粒子分散液、及びひび割れの少ない金属被膜を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

平均粒子径が200nm以下の金属微粒子とこの金属微粒子を分散する溶媒とを含有し、塗工及び焼結により金属被膜を形成するための金属微粒子分散液であって、水溶性樹脂をさらに含有する金属微粒子分散液。

請求項2

前記水溶性樹脂の含有量が、金属微粒子100質量部あたり0.1質量部以上10質量部以下である請求項1に記載の金属微粒子分散液。

請求項3

前記水溶性樹脂の数平均分子量が、1000以上1000000以下である請求項1又は請求項2に記載の金属微粒子分散液。

請求項4

前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールポリエチレンイミン又はこれらの組合せである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の金属微粒子分散液。

請求項5

前記金属微粒子が銅である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の金属微粒子分散液。

請求項6

請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の金属微粒子分散液の塗工及び焼結により形成される金属被膜。

技術分野

0001

本発明は、金属微粒子分散液及び金属被膜に関する。

背景技術

0002

近年、プリント配線板の製造等では、溶媒中にナノサイズの金属微粒子を分散した金属微粒子分散液を基材の表面に塗工し、この塗工により形成された塗膜を加熱して乾燥及び焼結することで基材の表面に金属被膜を形成する方法が採用されるようになっている。

0003

このような金属被膜の形成に用いる金属微粒子分散液として、室温で蒸発し難くかつ乾燥及び焼結する際に蒸発するような有機溶媒と、粒子径0.001〜0.1μmの銀又は酸化銀超微粒子とを混合して、室温での粘度が1000cP以下となるよう調製したものが提案されている。(特許文献1参照)。

先行技術

0004

特開2001−35814号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に開示されているような金属微粒子分散液の塗工及び焼結により形成される金属被膜は、金属微粒子分散液の塗膜の体積が焼結の際に減少することにより、全体に微細ひび割れが生じたものとなり易い。

0006

このようなひび割れが生じた金属被膜は、さらに他の材料を積層する際に均一に積層することが困難であったり、基材から剥離し易くなっている場合がある。

0007

そこで、上述のような事情に鑑み、ひび割れの少ない金属被膜を形成することができる金属微粒子分散液、及びひび割れの少ない金属被膜を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る金属微粒子分散液は、平均粒子径が200nm以下の金属微粒子とこの金属微粒子を分散する溶媒とを含有し、塗工及び焼結により金属被膜を形成するための金属微粒子分散液であって、水溶性樹脂をさらに含有する。

発明の効果

0009

本発明の一態様に係る金属微粒子分散液を用いて、ひび割れが少ない金属被膜を形成することができる。

図面の簡単な説明

0010

図1は、本発明の一実施形態の金属被膜の製造方法を示す流れ図である。

0011

[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る金属微粒子分散液は、平均粒子径が200nm以下の金属微粒子とこの金属微粒子を分散する溶媒とを含有し、塗工及び焼結により金属被膜を形成するための金属微粒子分散液であって、水溶性樹脂をさらに含有する。換言すると、本発明の一態様に係る金属微粒子分散液は、平均粒子径が200nm以下の金属微粒子とこの金属微粒子を分散する溶媒とを含有し、塗工及び焼結により金属被膜を形成する金属微粒子分散液であって(塗工及び焼結されることにより金属被膜を形成する金属微粒子分散液であって)、水溶性樹脂をさらに含有する。

0012

金属微粒子分散液は、金属微粒子及び溶媒に加えて水溶性樹脂をさらに含有しているので、金属微粒子分散液の塗膜の乾燥(溶媒の蒸発)の際に水溶性樹脂が塗膜の収縮緩和する。さらに、塗膜の乾燥の後に続く金属微粒子の焼結の際に水溶性樹脂が徐々に熱分解するので、焼結が徐々に進行する。したがって、金属被膜にひび割れが形成されることを抑制できる。上記金属微粒子分散液を用いれば、ひび割れが少なく他の材料を積層しやすい金属被膜を形成することができ、特に被めっき性のよい金属被膜を形成することができる。

0013

水溶性樹脂の含有量としては、金属微粒子100質量部あたり0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。このように、水溶性樹脂の含有量を上記範囲内とすることによって、ひび割れを効果的に抑制できると共に、水溶性樹脂が焼結時に熱分解するので、焼結後の金属被膜中有機物の残渣が残留し難い。

0014

水溶性樹脂の数平均分子量としては、1000以上1000000以下が好ましい。水溶性樹脂の数平均分子量が上記範囲内であることによって、塗膜のひび割れを抑制できると共に、水溶性樹脂が焼結時に熱分解するので、焼結後の金属被膜中に有機物の残渣が残留し難い。

0015

水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールポリエチレンイミン又はこれらの組合せであるとよい。水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン又はこれらの組合せであることによって、ひび割れが生じることをより効果的に防止できると共に、焼結によって容易に水溶性樹脂が分解され、焼結後の金属被膜中に有機物の残渣がより残留し難い。

0016

金属微粒子が銅であるとよい。金属微粒子として銅を使用することによって、電気抵抗が小さい金属被膜を形成できると共に、安価な金属被膜を提供できる。

0017

本発明の別の態様に係る金属被膜は、前記金属微粒子分散液の塗工及び焼結により形成される。

0018

当該金属被膜は、前記金属微粒子分散液の塗工及び焼結により形成されることによって、ひび割れが少なく、基材への密着力が大きい。

0019

ここで、「平均粒子径」とは、走査型電子顕微鏡により撮影した画像において粒子100個以上をカウントして求められる体積中心径D50である。また、「数平均分子量」とは、ゲル濾過クロマトグラフィー計測される値である。

0020

[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の一実施形態に係る金属被膜の製造方法について図面を参照しつつ詳説する。

0021

図1は、本発明の一実施形態の金属被膜の製造方法の手順を示す。当該金属被膜の製造方法は、液相還元法により金属微粒子を生成する工程(ステップS1)と、生成された金属微粒子を分離する工程(ステップS2)と、分離された金属微粒子を用いて金属微粒子分散液を調製する工程(ステップS3)と、調製した金属微粒子分散液を基材の表面に塗工する工程(ステップS4)と、金属微粒子分散液の塗膜を焼結して金属被膜を形成する工程(ステップS5)とを備える。

0022

<金属微粒子生成工程>
ステップS1の金属微粒子生成工程は、還元剤を含む水溶液中での金属イオン還元により金属微粒子を析出させる液相還元法によって行われる。このような液相還元法としては、例えばチタンレドックス法が適用できる。

0023

金属微粒子を構成する金属としては、例えば銅、ニッケル、金、銀等を挙げることができる。この中でも、導電性がよく、比較的安価であることから、銅が好ましい。

0024

ステップS1の金属微粒子生成工程は、還元剤水溶液を調製する工程(還元剤水溶液調製工程)と、金属イオンを還元して金属微粒子として析出させる工程(金属微粒子析出工程)とを有する。金属微粒子析出工程では、金属イオンを含む水溶液又は電離により金属イオンが生じる水溶性金属化合物を還元剤水溶液に投入することにより、金属イオンを還元して金属微粒子として析出させる。

0025

〔還元剤水溶液調製工程〕
還元剤水溶液調製工程では、金属イオンを還元する作用を有する還元剤を含む水溶液を調製する。

0026

(還元剤)
還元剤としては、液相の反応系中で金属元素イオンを還元することで金属微粒子として析出させることができる種々の還元剤がいずれも使用可能である。このような還元剤としては、例えば水素化ホウ素ナトリウム次亜リン酸ナトリウムヒドラジン遷移金属元素のイオン(三価チタンイオン二価コバルトイオン等)などが挙げられる。ただし、析出させる金属微粒子の粒子径をできるだけ小さくするためには、金属元素のイオンの還元速度及び金属微粒子の析出速度を遅くするのが有効である。還元速度及び析出速度を遅くするためには、できるだけ還元力の弱い還元剤を選択して使用することが好ましい。

0027

液相還元法としてチタンレドックス法を採用する場合、還元剤としては、三価のチタンイオンが使用される。三価のチタンイオンは、三価のチタンイオンを生じる水溶性チタン化合物を水に溶解することや、四価のチタンイオンを含む水溶液を陰極電解処理によって還元することで得られる。三価のチタンイオンを生じる水溶性チタン化合物としては、三塩化チタンが挙げられる。三塩化チタンは、高濃度の水溶液として市販されているものを使用することができる。

0028

また、還元剤水溶液には、錯化剤分散剤pH調整剤等をさらに配合することができる。

0029

還元剤水溶液に配合する錯化剤としては、従来公知の種々の錯化剤を用いることができる。ただし、粒子径ができるだけ小さく、しかも粒度分布ができるだけシャープな(粒度分布ができるだけ狭い)金属微粒子を製造するためには、三価のチタンイオンの酸化によって金属元素のイオンを還元して析出させる際に、還元反応の時間をできるだけ短くすることが有効である。これを実現するためには、三価のチタンイオンの酸化反応速度と金属元素のイオンの還元反応速度とを共に制御することが有効であり、そのためには三価のチタンイオンと金属元素のイオンとを共に錯体化することが重要である。また、金属元素のイオンの還元速度及び金属微粒子の析出速度を適当な速度にしつつ、還元反応の時間をできるだけ短くするためには、イオン濃度などを調整することが重要である。

0030

このような機能を有する錯化剤としては、例えばクエン酸三ナトリウム〔Na3C6H5O7〕、酒石酸ナトリウム〔Na2C4H4O6〕、酢酸ナトリウム〔NaCH3CO2〕、グルコン酸〔C6H12O7〕、チオ硫酸ナトリウム〔Na2S2O3〕、アンモニア〔NH3〕、エチレンジアミン四酢酸〔C10H16N2O8〕等が挙げられ、これらの一種又は複数種を用いることができる。この中でも、クエン酸三ナトリウムが好ましい。

0031

還元剤水溶液に配合する分散剤としては、例えばアニオン性分散剤カチオン性分散剤ノニオン性分散剤等多様な構造の分散剤を使用できるが、中でもカチオン性分散剤が好ましく、ポリエチレンイミン構造をもったものがより好ましい。

0032

還元剤水溶液に配合するpH調整剤としては、例えば炭酸ナトリウム、アンモニア、水酸化ナトリウム等を用いることができる。還元剤水溶液のpHとしては、例えば5以上13以下とすることができる。なお、還元剤水溶液のpHが低いと、金属微粒子の析出速度が遅くなり、金属微粒子の粒子径は小さくなるが、析出速度が遅すぎると粒度分布が広くなる。したがって、析出速度が遅くなりすぎないように調整することが好ましい。また、還元剤水溶液のpHが高すぎると、金属微粒子の析出速度が過大となり、析出した金属微粒子が凝集してクラスター状又は鎖状の粗大な粒子を形成するおそれがある。

0033

〔金属微粒子析出工程〕
金属微粒子析出工程では、還元剤水溶液に金属イオンを投入することにより、還元剤水溶液中での還元剤による金属イオンの還元により金属微粒子を析出させる。

0034

(金属イオン)
金属イオンは、水溶性金属化合物を水に溶解することで、水溶性金属化合物の電離により生じる。水溶性金属化合物としては、例えば硫酸塩化合物硝酸塩化合物酢酸塩化合物塩化物等の種々の水溶性の化合物を挙げることができる。

0035

このような水溶性金属化合物の具体例としては、銅の場合は硝酸銅(II)〔Cu(NO3)2〕、硝酸銅(II)三水和物〔Cu(NO3)2・3H2O〕、硫酸銅(II)五水和物〔CuSO4・5H2O〕、塩化銅(II)〔CuCl2〕等が挙げられる。ニッケルの場合は塩化ニッケル(II)六水和物〔NiCl2・6H2O〕、硝酸ニッケル(II)六水和物〔Ni(NO3)2・6H2O〕等が挙げられる。金の場合はテトラクロロ金(III)酸四水和物HAuCl4・4H2O〕等が挙げられ、銀の場合は硝酸銀(I)〔AgNO3〕、メタンスルホン酸銀〔CH3SO3Ag〕等が挙げられる。

0036

なお、水溶性金属化合物を還元剤水溶液に直接投入すると、投入した化合物の周囲で先ず局部的に反応が進行するため、金属微粒子の粒子径が不均一になり粒度分布が広くなるおそれがある。このため水溶性金属化合物は、水に溶かして希釈した金属イオンを含む水溶液の状態で還元剤水溶液に投入することが好ましい。

0037

析出する金属微粒子の平均粒子径の上限としては、200nmが好ましく、150nmがより好ましい。一方、金属微粒子の平均粒子径の下限としては、1nmが好ましく、10nmがより好ましい。金属微粒子の平均粒子径が上記上限を超える場合、形成される金属被膜中の空隙が大きくなり、十分な導電性が得られないおそれがある。また、金属微粒子の平均粒子径が上記下限に満たない場合、ステップS2の金属微粒子分離工程における分離効率が低下するおそれや、ステップS3の金属微粒子分散液調製工程において金属微粒子を溶媒に均等に分散させることが容易でなくなるおそれがある。

0038

<金属微粒子分離工程>
ステップS2の金属微粒子分離工程では、ステップS1の金属微粒子析出工程において還元剤水溶液中に析出した金属微粒子を分離する。金属微粒子の分離方法としては、例えば濾過遠心分離等が挙げられる。なお、分離された金属微粒子は、さらに洗浄、乾燥、解砕等の工程を経て一旦粉末状としてもよいが、凝集を防止するために粉末化せず水溶液に分散した状態で用いることが好ましい。

0039

<金属微粒子分散液調製工程>
ステップS3の金属微粒子分散液調製工程では、金属微粒子分離工程において還元剤水溶液から分離された金属微粒子を溶媒中に分散して金属微粒子分散液を調製する。

0040

(溶媒)
金属微粒子分散液の溶媒としては、水、高極性溶媒の1種又は2種以上を混合したものが使用され、中でも水及び水と相溶する高極性溶媒を混合したものが好適に利用される。このような金属微粒子分散液の溶媒としては、金属微粒子析出後の還元剤水溶液を調整したものを使用することができる。つまり、予め金属微粒子を含む還元剤水溶液を限外濾過、遠心分離、水洗電気透析等の処理に供して不純物を除去したものに高極性溶媒を加えることで、予め一定量の金属微粒子を含む溶媒が得られる。

0041

高極性溶媒としては、ステップS5の焼結工程において短時間で蒸発し得る揮発性有機溶媒が好ましい。高極性溶媒として揮発性有機溶媒を用いることによって、ステップS5の焼結工程において高極性溶媒が短時間で揮発し、基材の表面に塗布された金属微粒子分散液の粘度を金属微粒子の移動を生じさせることなく急速に上昇させることができる。

0042

このような揮発性有機溶媒としては、室温(5℃以上35℃以下)で揮発性を有する種々の有機溶媒がいずれも使用可能である。中でも、常圧での沸点が例えば60℃以上140℃以下である揮発性の有機溶媒が好ましく、特に、高い揮発性を有すると共に水との相溶性に優れた炭素数1以上5以下の脂肪族飽和アルコールが好ましい。炭素数1以上5以下の脂肪族飽和アルコールとしては、例えばメチルアルコールエチルアルコールn−プロピルアルコールイソプロピルアルコールn−ブチルアルコールイソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールn−アミルアルコールイソアミルアルコール等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合したものが使用される。

0043

全溶媒中での揮発性有機溶媒の含有率の下限としては、10質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。一方、全溶媒中での揮発性有機溶媒の含有率の上限としては、80質量%が好ましく、70質量%がより好ましい。全溶媒中での揮発性有機溶媒の含有率が上記下限に満たない場合、ステップS5の焼結工程において金属微粒子分散液の粘度を短時間で上昇させられないおそれがある。また、全溶媒中での揮発性有機溶媒の含有率が上記上限を超える場合、相対的に水の含有率が少なくなるため、例えばガラスセラミックプラスチック等の各種基材の表面に対する金属微粒子分散液の濡れ性が不十分となるおそれがある。

0044

金属微粒子分散液における全溶媒の含有量の下限としては、金属微粒子100質量部あたり100質量部が好ましく、250質量部がより好ましい。一方、金属微粒子分散液における全溶媒の含有量の上限としては、金属微粒子100質量部あたり3000質量部が好ましく、1000質量部がより好ましい。金属微粒子分散液における全溶媒の含有量が上記下限に満たない場合、金属微粒子分散液の粘度が高くなり、ステップS4の塗工工程における塗工が困難となるおそれがある。また、金属微粒子分散液における全溶媒の含有量が上記上限を超える場合、金属微粒子分散液の粘度が小さくなり、ステップS4の塗工工程において十分な厚さの塗膜を形成できないおそれがある。

0045

(水溶性樹脂)
水溶性樹脂は、ステップS5の焼結工程において塗膜の乾燥及び焼結の際に金属微粒子が移動することを防止するバインダーとして機能する。さらに、水溶性樹脂は徐々に熱分解するので、金属微粒子の焼結は徐々に進行する。したがって、金属被膜にひび割れが形成されることが抑制される。

0046

水溶性樹脂の数平均分子量の下限としては、1000が好ましく、5000がより好ましい。一方、水溶性樹脂の数平均分子量の上限としては、1000000が好ましく、500000がより好ましい。水溶性樹脂の数平均分子量が上記下限に満たない場合、ステップS5の焼結工程において、水溶性樹脂が必要以上に早く熱分解してしまい、金属微粒子の移動を十分に抑制できず、金属被膜にひび割れが形成されるおそれがある。また、水溶性樹脂の数平均分子量が上記上限を超える場合、ステップS5の焼結工程において水溶性樹脂が完全に熱分解せず、金属被膜中に水溶性樹脂の残渣が残留し、金属被膜の導電性が低下するおそれがある。

0047

このような水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。この中でも、効果的に塗膜の体積変化を抑制できると共に比較的容易に熱分解するポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン又はこれらの組合せを使用することが好ましい。ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールは、極性が高いため、水に対する分散性に優れる。また、ポリエチレンイミンは、金属微粒子の被覆材としても好適に使用されるので、金属微粒子となじみやすい。よって、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール及びポリエチレングリコールの少なくとも1種とポリエチレンイミンとを併用することが特に好ましい。

0048

金属微粒子分散液における水溶性樹脂の含有量の下限としては、金属微粒子100質量部あたり0.1質量部が好ましく、0.2質量部がより好ましい。一方、金属微粒子分散液における水溶性樹脂の含有量の上限としては、金属微粒子100質量部あたり10質量部が好ましく、2質量部がより好ましく、1質量部がさらに好ましい。水溶性樹脂の含有量が上記下限に満たない場合、水溶性樹脂のバインダーとしての働きが十分に得られず、金属被膜にひび割れや縮みが生じるおそれがある。また、水溶性樹脂の含有量が上記上限を超える場合、水溶性樹脂の分解残渣が金属被膜中に不純物として残留することにより金属被膜の導電性が低下するおそれがある。

0049

<塗工工程>
ステップS4の塗工工程では、金属微粒子分散液を基材の表面に塗工する。金属微粒子分散液の塗工方法としては、例えばスピンコート法スプレーコート法バーコート法ダイコート法スリットコート法ロールコート法ディップコート法等の従来公知の塗布法を用いることができる。またスクリーン印刷ディスペンサ等により基材の一部のみに金属微粒子分散液を塗布するようにしてもよい。

0050

<焼結工程>
ステップS5の焼結工程では、ステップS4の塗工工程において形成した金属微粒子分散液の塗膜を加熱し、先ず金属微粒子分散液中の溶媒を蒸発させてから、バインダーである水溶性樹脂によって保持される金属微粒子を焼結する。この時、金属微粒子を保持する水溶性樹脂は、金属微粒子の焼結中に加熱分解するので、金属微粒子のみが焼結され、有機物を含まない金属被膜が形成される。

0051

この焼結工程における加熱温度は、金属微粒子の材質等によって適宜選択されるが、例えば150℃以上500℃以下とされる。

0052

以上のように、図1の金属被膜の製造方法では、ステップS3の金属微粒子分散液調製工程において、平均粒子径が200nm以下の金属微粒子とこの金属微粒子を分散する溶媒とを含有し、塗工及び焼結により金属被膜を形成するための金属微粒子分散液であって、水溶性樹脂をさらに含有する金属微粒子分散液が得られる。そして、この金属微粒子分散液をステップS4で塗工及びステップS5で焼結することによって金属被膜が形成される。

0053

[利点]
本発明の実施形態に係る金属微粒子分散液は、上記含有量の水溶性樹脂を含有するため、金属微粒子分散液の塗膜の乾燥(溶媒の蒸発)の際に水溶性樹脂が塗膜の収縮を緩和し、続く金属微粒子の焼結の際に水溶性樹脂が徐々に熱分解することで焼結が徐々に進行する。このため、本発明の実施形態に係る金属微粒子分散液を用いることにより、ひび割れの少ない金属被膜を形成することができる。したがって、金属微粒子分散液を用いて形成した金属被膜上に、他の材料を積層しやすく、特にめっきにより金属を積層しやすい。

0054

[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。

0055

金属微粒子は、液相還元法以外にも、含浸法と呼ばれる高温処理法気相法等の従来公知の種々の方法によって製造することができる。ただし、微細で粒子形状及び粒子径が揃った金属微粒子を得られる液相還元法が好ましい。

0056

また、金属微粒子分散液は、液相還元法により金属微粒子を析出した後の還元剤水溶液から不純物を除去し、さらに濃縮して水を除去したものに必要に応じて高極性溶媒を加えることによって製造することもできる。このように溶媒として金属微粒子析出後の還元剤水溶液を調整及び濃縮したものを使用することによって、金属微粒子の凝集を抑制することができる。また、還元剤水溶液を濃縮することに加えて、必要に応じて金属微粒子をさらに添加してもよい。

0057

以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。

0058

上記実施形態の液相還元法により、銅イオンを還元して銅微粒子を生成し、この銅微粒子を分離したものを用いて、金属微粒子分散液を調整した。銅微粒子の平均粒子径は50nmである。

0059

金属微粒子分散液の溶媒としては、銅微粒子100質量部に対して、200質量部の水と50質量部のエタノール(エチルアルコール)とを混合したものを用い、この溶媒中に銅微粒子を分散することにより、No.1の金属微粒子分散液を得た。

0060

No.1の金属微粒子分散液に、さらに、金属微粒子分散液の水溶性樹脂として、銅の微粒子100質量部に対して1質量部のポリビニルアルコールを、銅の微粒子100質量部に対して49質量部の水に予め溶解したものを添加することによって、No.2の金属微粒子分散液を得た。

0061

このようにして得られた各金属微粒子分散液をポリイミドフィルム上に平均膜厚0.5μmとなるよう塗工し、これらを窒素雰囲気下において350℃で焼結することによって、ポリイミドフィルム上に金属被膜を形成した。

0062

これらの金属被膜の表面を走査型電子顕微鏡により観察した結果、No.1の金属微粒子分散液により形成した金属被膜は、長さ1μm以上のひび割れが多数確認されたのに対し、No.2の金属微粒子分散液により形成した金属被膜は、長さ1μm以上のひび割れが殆ど存在しなかった。

0063

この結果から、金属微粒子分散液に水溶性樹脂を添加することにより、金属被膜にひび割れが形成されることを効果的に抑制できることが確認された。

0064

さらに、各金属被膜の上に無電解銅めっきを施すことによって、平均合計厚さが1μmの複合金属被膜を形成した。この複合金属被膜の引きはがし強さを測定することにより、金属被膜のポリイミドフィルムに対する密着力を評価した。なお、「引きはがし強さ」はJIS−C−6481(1996)に準拠して測定した。

0065

この結果、No.1の金属微粒子分散液を用いて形成した金属被膜のポリイミドフィルムに対する密着力は、150gf/cmであったのに対し、No.2の金属微粒子分散液を用いて形成した金属被膜のポリイミドフィルムに対する密着力は、500gf/cmであった。

0066

この結果から、金属微粒子分散液に水溶性樹脂を添加することにより、金属被膜の基材に対する接着力を向上できることが確認された。

実施例

0067

以上の説明は、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
平均粒子径が200nm以下の金属微粒子と、この金属微粒子を分散する溶媒と、水溶性樹脂を含有する金属微粒子分散液。
金属微粒子分散液は、金属微粒子及び溶媒に加えて水溶性樹脂をさらに含有しているので、金属微粒子分散液の塗膜の乾燥(溶媒の蒸発)の際に水溶性樹脂が塗膜の収縮を緩和する。また、金属微粒子の焼結の際に水溶性樹脂が徐々に熱分解するので、焼結が徐々に進行する。したがって、この金属微粒子分散液を用いることにより、ひび割れの少ない金属被膜を形成することができる。

0068

本発明は、金属被膜の形成に広く適用でき、特にプリント配線板等の電子部品の製造に好適に利用できる。

0069

S1金属微粒子生成工程
S2 金属微粒子分離工程
S3 金属微粒子調製工程
S4 塗工工程
S5焼結工程

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 住友電気工業株式会社の「 銅ナノ粒子の製造方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】本発明の銅ナノ粒子の製造方法は、液相還元法によって平均粒子径50nm以下の銅ナノ粒子分散液を調製する調製工程と、上記調製工程後の銅ナノ粒子分散液に凝集剤を添加する添加工程と、上記添加... 詳細

  • 住友電工焼結合金株式会社の「 鉄系焼結体とそのレーザーマーキング方法並びに製造方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題・解決手段】第1のレーザー光により、鉄系焼結体表面の識別マーク用のエリアに、所定深さのドット状の凹部を複数個形成する第1工程と、第2のレーザー光により、ドット状の凹部以外の前記識別マーク用のエリ... 詳細

  • ナミックス株式会社の「 複合銅箔」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】新規な複合銅箔を提供することを目的とする。【課題を解決するための手段】 銅箔の少なくとも一部の表面に、銅以外の金属層が形成されている複合銅箔であって、少なくとも一部の前記複合銅箔の表面に凸部... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ