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技術 非水電解液及びリチウムイオン二次電池

出願人 日本電気株式会社
発明者 前田勝美
出願日 2015年7月1日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2016-535858
公開日 2017年4月27日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 WO2016-013364
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 電池の電極及び活物質
主要キーワード アラミド層 ハロゲン化ホウ素錯体 異種素材 膨脹収縮 体積膨脹 輸送用媒体 両面電極 非酸素雰囲気
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月27日)のものです。
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図面 (2)

非水溶媒と、リチウム塩からなる電解質塩と、下記一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物を含む非水電解液

化1

(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基、置換または無置換のアルコキシ基を表し、R3は、水素原子、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基を表す。)

概要

背景

リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高い、自己放電が小さい、長期信頼性に優れる等の利点により、ノート型パソコン携帯電話等の小型電子機器などの電池としてすでに実用化されている。また、近年では電気自動車用蓄電池家庭用蓄電池及び電力貯蔵用蓄電池への利用が進んでいる。

リチウムイオン二次電池は、主に正極活物質を含む正極と、リチウムイオン吸蔵放出可能な材料を主成分とする負極と、非水電解液から構成されている。正極に用いられる正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiFePO4、LiMn2O4のようなリチウム金属酸化物が用いられている。

また、負極に用いられる負極活物質としては、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵放出可能なケイ素シリコン酸化物等の酸化物、又は炭素質材料が用いられている。特に、リチウムイオンを吸蔵放出可能な黒鉛人造黒鉛天然黒鉛)、コークス等の炭素質材料を用いたリチウムイオン二次電池は、既に実用化されている。

一方、非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネートプロピレンカーボネート等の環状カーボネート系溶媒と、ジメチルカーボネートジエチルカーボネートエチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート系溶媒との混合溶媒に、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、Lithium bis(oxalate)borate(LiB(C2O4)2)等のリチウム塩を添加したものが用いられている。

このような非水電解液を用いた二次電池においては、例えば負極の電極表面では、特に高温環境下で、電解液中の溶媒還元分解を起こし、分解生成物が負極表面に堆積して抵抗を増大させたり、溶媒の分解により発生したガスにより電池を膨れさせたりする。また正極における電極表面においては、溶媒が酸化分解を起こし、分解生成物が正極表面に堆積して抵抗を増大させたり、溶媒の分解により発生したガスにより電池を膨れさせたりする。その結果、高温環境下での電池の保存特性の低下や、二次電池のサイクル特性の低下が起こり、電池特性が低下する問題があった。

これらの問題の発生を防止するために、非水電解液中に、保護被膜生成機能を有する化合物を添加することが行なわれている。具体的には、初期充電時に電極活物質表面において電解液中に添加された化合物の分解を意図的に促し、その分解物が、新たな溶媒の分解を防止するための保護機能を有する保護被膜、すなわちSEI(Solid Electrolyte Interface)を形成することが知られている。そして、この保護被膜が電極表面に形成されることにより、電極表面での溶媒の化学反応や分解が適切に抑制され、その結果、二次電池の電池特性の特性を維持させる効果があることが報告されている(非特許文献1)。このような保護被膜を形成するための添加剤として、例えば、ビニレンカーボネートフルオロエチレンカーボネート又はマレイン酸無水物を電解液に添加して電池特性を改善する試みがなされている(非特許文献1)。

他方、充放電の繰り返しによる容量劣化を抑制するために、ホウ素化合物を電解液に添加することが知られている。

例えば、特許文献1には、非水リチウム電池において、電解質の添加剤として、BF3、BF3錯体、HBF4及びHBF4錯体からなる群から選ばれるフッ素化ホウ素化合物を用いることが記載されている。また、BF3錯体として、BF3ジエチルカーボネート錯体、BF3エチルメチルカーボネート錯体等が記載され、HBF4錯体として、BF4ジエチルカーボネート錯体が記載されている。

また、特許文献2には、第一のリチウム塩を非水溶媒に溶解させた電解液において、第二のリチウム塩として有機酸のリチウム塩ととともに、ホウ素化合物を配合することが記載されている。このホウ素化合物として、三フッ化ホウ素ハロゲン化ホウ素錯体が記載され、ハロゲン化ホウ素錯体として、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジn−ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体が記載されている。

概要

非水溶媒と、リチウム塩からなる電解質塩と、下記一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物を含む非水電解液。(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基、置換または無置換のアルコキシ基を表し、R3は、水素原子、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基を表す。)

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高温環境下における電池特性の低下を抑制することができる非水電解液、及びこの非水電解液を用いた優れた電池特性を有するリチウムイオン二次電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

非水溶媒と、リチウム塩からなる電解質塩と、下記一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物を含む非水電解液。(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基、置換または無置換のアルコキシ基を表し、R3は、水素原子、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基を表す。)

請求項2

前記ジフルオロほう素錯体化合物の含有量が、前記非水電解液の総質量に対して0.01〜10質量%の範囲にある、請求項1記載の非水電解液。

請求項3

式(1)において、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基は、無置換の炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数1〜6のアルキル基の水素原子の一つ以上が置換基により置換されたものであり、この置換基は、フッ素原子シアノ基、炭素数1〜5のエステル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選ばれる基であり、置換または無置換のアリール基は、無置換のアリール基、又はアリール基の水素原子の一つ以上が置換基により置換されたものであり、この置換基は、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、シアノ基、及び炭素数1〜5のアルコキシ基からなる群から選ばれる基であり、置換または無置換のヘテロアリール基は、無置換のヘテロアリール基、又はヘテロアリール基の水素原子の一つ以上が置換基により置換されたものであり、この置換基は、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、シアノ基、及び炭素数1〜5のアルコキシ基からなる群から選ばれる基であり、置換または無置換のアルコキシ基は、無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数1〜5のアルコキシ基の水素原子の一つ以上が置換基により置換されたものであり、この置換基は、フッ素原子、シアノ基、アリール基、及びヘテロアリール基からなる群から選ばれる基である、請求項1又は2記載の非水電解液。

請求項4

式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立に、メチル基トリフルオロメチル基ペンタフルオロエチル基、フェニル基、2−チエニル基、2−フラニル基、2−フルオロフェニル基ペンタフルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、及び4−シアノフェニル基エトキシ基メトキシ基からなる群から選ばれる基であり、R3は、水素原子、フェニル基、2−チエニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、及びペンタフルオロフェニル基からなる群から選ばれる原子又は基である、請求項1又は2に記載の非水電解液。

請求項5

さらにビニレンカーボネートフルオロエチレンカーボネート、1,3−プロパンスルトンマレイン酸無水物、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤化合物を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解液。

請求項6

前記添加剤化合物の含有量が、前記非水電解液の総質量に対して0.01〜10質量%の範囲にある、請求項5に記載の非水電解液。

請求項7

前記非水溶媒として、カーボネート類を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の非水電解液。

請求項8

前記電解質塩の濃度が0.1〜3mol/Lの範囲にある、請求項1から7のいずれか一項に記載の非水電解液。

請求項9

リチウムイオン吸蔵放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を含む負極と、請求項1から8のいずれか一項に記載の非水電解液とを含む、リチウムイオン二次電池

請求項10

前記負極活物質が、単体ケイ素シリコン酸化物、及び炭素質材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項9に記載のリチウムイオン二次電池。

技術分野

0001

本発明は、非水電解液及びリチウムイオン二次電池に関する。

背景技術

0002

リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、エネルギー密度が高い、自己放電が小さい、長期信頼性に優れる等の利点により、ノート型パソコン携帯電話等の小型電子機器などの電池としてすでに実用化されている。また、近年では電気自動車用蓄電池家庭用蓄電池及び電力貯蔵用蓄電池への利用が進んでいる。

0003

リチウムイオン二次電池は、主に正極活物質を含む正極と、リチウムイオン吸蔵放出可能な材料を主成分とする負極と、非水電解液から構成されている。正極に用いられる正極活物質としては、例えば、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiFePO4、LiMn2O4のようなリチウム金属酸化物が用いられている。

0004

また、負極に用いられる負極活物質としては、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵放出可能なケイ素シリコン酸化物等の酸化物、又は炭素質材料が用いられている。特に、リチウムイオンを吸蔵放出可能な黒鉛人造黒鉛天然黒鉛)、コークス等の炭素質材料を用いたリチウムイオン二次電池は、既に実用化されている。

0005

一方、非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネートプロピレンカーボネート等の環状カーボネート系溶媒と、ジメチルカーボネートジエチルカーボネートエチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート系溶媒との混合溶媒に、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、Lithium bis(oxalate)borate(LiB(C2O4)2)等のリチウム塩を添加したものが用いられている。

0006

このような非水電解液を用いた二次電池においては、例えば負極の電極表面では、特に高温環境下で、電解液中の溶媒還元分解を起こし、分解生成物が負極表面に堆積して抵抗を増大させたり、溶媒の分解により発生したガスにより電池を膨れさせたりする。また正極における電極表面においては、溶媒が酸化分解を起こし、分解生成物が正極表面に堆積して抵抗を増大させたり、溶媒の分解により発生したガスにより電池を膨れさせたりする。その結果、高温環境下での電池の保存特性の低下や、二次電池のサイクル特性の低下が起こり、電池特性が低下する問題があった。

0007

これらの問題の発生を防止するために、非水電解液中に、保護被膜生成機能を有する化合物を添加することが行なわれている。具体的には、初期充電時に電極活物質表面において電解液中に添加された化合物の分解を意図的に促し、その分解物が、新たな溶媒の分解を防止するための保護機能を有する保護被膜、すなわちSEI(Solid Electrolyte Interface)を形成することが知られている。そして、この保護被膜が電極表面に形成されることにより、電極表面での溶媒の化学反応や分解が適切に抑制され、その結果、二次電池の電池特性の特性を維持させる効果があることが報告されている(非特許文献1)。このような保護被膜を形成するための添加剤として、例えば、ビニレンカーボネートフルオロエチレンカーボネート又はマレイン酸無水物を電解液に添加して電池特性を改善する試みがなされている(非特許文献1)。

0008

他方、充放電の繰り返しによる容量劣化を抑制するために、ホウ素化合物を電解液に添加することが知られている。

0009

例えば、特許文献1には、非水リチウム電池において、電解質の添加剤として、BF3、BF3錯体、HBF4及びHBF4錯体からなる群から選ばれるフッ素化ホウ素化合物を用いることが記載されている。また、BF3錯体として、BF3ジエチルカーボネート錯体、BF3エチルメチルカーボネート錯体等が記載され、HBF4錯体として、BF4ジエチルカーボネート錯体が記載されている。

0010

また、特許文献2には、第一のリチウム塩を非水溶媒に溶解させた電解液において、第二のリチウム塩として有機酸のリチウム塩ととともに、ホウ素化合物を配合することが記載されている。このホウ素化合物として、三フッ化ホウ素ハロゲン化ホウ素錯体が記載され、ハロゲン化ホウ素錯体として、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジn−ブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体が記載されている。

0011

特開平11−149943号公報
特開2012−248519号公報

先行技術

0012

Journal.Power Sources,162巻,p.1379−1394(2006)

発明が解決しようとする課題

0013

しかしながら、非特許文献1や特許文献1、2に記載の添加剤を含む非水電解液用いても、高温環境下での電池特性の低下を抑制する点では十分とはいえず、さらなる改善効果が得られる添加剤を含む非水電解液が求められている。

0014

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高温環境下における電池特性の低下を抑制することができる非水電解液、及びこの非水電解液を用いた優れた電池特性を有するリチウムイオン二次電池を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

本発明の一態様による非水電解液は、非水溶媒と、リチウム塩からなる電解質塩と、下記一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物を含む。

0016

0017

(式中、R1、R2は、それぞれ独立に、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基、置換または無置換のアルコキシ基を表し、R3は、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基を表す。)

0018

本発明の他の態様によるリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を含む負極と、上記の非水電解液を含む。

発明の効果

0019

本発明の実施形態によれば、高温環境下における電池特性の低下を抑制することができる非水電解液、及び優れた電池特性を有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施形態によるリチウムイオン二次電池の構成を説明するための概略断面図である。

0021

本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、非水電解液に、特定の構造を有するジフルオロほう素錯体化合物を添加することで、高温環境下でのサイクル特性等の電池特性を改善できることを見出し、本発明を完成した。

0022

即ち、本発明の実施形態による非水電解液は、非水溶媒と、電解質塩としてのリチウム塩と、上記一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物とを含む。

0023

この非水電解液は、上記ジフルオロほう素錯体化合物の一種又は二種以上を含むことができる。また、前記ジフルオロほう素錯体化合物の添加量含有量)は、非水電解液の総質量に対して0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましい。

0024

本発明の実施形態による非水電解液は、さらにビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、マレイン酸無水物、及び1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤化合物を含んでいてもよい。この添加剤化合物の添加量(含有量)は、非水電解液の総質量に対して0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましい。

0025

本発明の実施形態による非水電解液は、非水溶媒としてカーボネート類を含むことが好ましく、環状カーボネート類鎖状カーボネート類を含むことがより好ましい。

0026

本発明の実施形態による非水電解液の電解質塩の濃度は0.1〜3mol/Lの範囲にあることが好ましい。

0027

また、本発明の他の実施形態によるリチウムイオン二次電池は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を含む負極と、上記の非水電解液を含む。この負極活物質は、単体ケイ素、シリコン酸化物、及び炭素質材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。

0028

一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物は、電池の初期充電時に電極活物質表面において化学反応を起こし、その生成物が、新たな電解液の分解を防止するための保護機能を有する電極表面の保護被膜、すなわちSEI(Solid Electrolyte Interface)を形成するものと推測される。一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物の添加により電極表面に保護被膜が形成されることで、電極表面での電解液の化学反応や分解が適切に抑制され、二次電池の長期信頼性、寿命を維持させる効果が得られる。これにより、容量が大きく、エネルギー密度が高く、充放電サイクルの安定性に優れ、高温環境下においても電池特性の低下が抑制される二次電池を提供できる。

0029

以下に、本発明の実施形態による非水電解液、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池について詳細に説明する。

0030

[非水電解液の添加剤成分
本発明の実施形態による非水電解液は、下記一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物を少なくとも1種含む。

0031

0032

式(1)において、R1、R2は、それぞれ独立に、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基、置換または無置換のアルコキシ基を表し、R3は、水素原子、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロアリール基を表す。

0033

なお、R1とR2が互いに異なる場合、本発明の実施形態によるジフルオロほう素錯体は、異性体を有し、式(1A)と式(1B)で表される異性体が存在すると考えられる。本明細書では、ジフルオロほう素錯体の構造として、式(1A)の構造式のみを記載している場合でも、特に断りがないときは、異性体である式(1B)の構造式も含むものとする。

0034

0035

R1、R2、R3において、置換または無置換の炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基エチル基プロピル基イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基n−ヘキシル基等の無置換のアルキル基、及びアルキル基の水素原子の一つ以上が置換基により置換されたアルキル基が挙げられる。この置換基としては、フッ素原子シアノ基、炭素数1〜5のエステル基(−COOZ、Zはアルキル基)、炭素数1〜5のアルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基(チエニル基フラニル基等)が挙げられる。アルキル基の水素原子の二つ以上がそれぞれ独立に異なる置換基で置換されていてもよい。置換されたアルキル基の例としては、トリフルオロメチル基ペンタフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基シアノメチル基、ベンジル基、2−チエニルメチル基等が挙げられる。

0036

R1、R2、R3において、置換または無置換のアリール基としては、フェニル基ナフチル基等の無置換のアリール基、及びアリール基の水素原子の一つ以上が置換基により置換されたアリール基が挙げられる。この置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルコキシ基が挙げられる。アリール基の水素原子の二つ以上がそれぞれ独立に異なる置換基で置換されていてもよい。置換されたアリール基の例としては、トリル基、4−シアノフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,6−ジフルオロフェニル基、2,4,6−トリフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−メトキシフェニル基等が挙げられる。

0037

R1、R2、R3において、置換または無置換のヘテロアリール基としては、チエニル基(2−チエニル基、3−チエニル基)、フラニル基(例えば2−フラニル基)等の無置換のヘテロアリール基、及びヘテロアリール基の水素原子の一つ以上が置換基により置換されたヘテロアリール基が挙げられる。この置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルコキシ基が挙げられる。ヘテロアリール基の水素原子の二つ以上がそれぞれ独立に異なる置換基で置換されていてもよい。置換されたヘテロアリール基の例としては、4−メチル−2−チエニル基、3−フルオロ−2−チエニル基等が挙げられる。

0038

R1、R2において、置換または無置換のアルコキシ基としては、メトキシ基エトキシ基プロポキシ基、ブトキシ基等の無置換の炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルコキシ基の水素原子の一つ以上が置換基により置換された、ベンジルオキシ基等の置換アルコキシ基が挙げられる。この置換基としては、フッ素原子、シアノ基、アリール基、ヘテロアリール基(チエニル基、フラニル基等)が挙げられる。

0039

R1、R2の好ましい例としては、それぞれ独立に、メチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、フェニル基、2−チエニル基、2−フラニル基、2−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、4−シアノフェニル基、エトキシ基、メトキシ基等が挙げられる。

0040

R3の好ましい例としては、水素原子、フェニル基、2−チエニル基、4−フルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。

0041

上記一般式(1)で表される化合物の具体的な例を表1に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0042

0043

一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物は、例えば、Tetrahedron、63巻、9357-9358頁(2007年)に記載の製造方法で得ることができる。

0044

一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物の製造方法の一例としては、下記式(A−a)で表されるジケトンと、三フッ化ほう素・ジエチルエーテル錯体とを、適当な溶媒を用いて反応させる方法が挙げられる。

0045

0046

(式中、R1、R2、R3は、一般式(1)のR1、R2、R3と同じ。)

0047

この製造方法において用いることのできる溶媒としては、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンクロロホルム等のハロゲン化炭化水素;1,2−ジメトキシエタンアセトニトリル等が挙げられる。中でも、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジメトエタン等が好ましい。

0048

本発明の実施形態による非水電解液は、上記一般式(1)で示されるジフルオロほう素錯体化合物が添加されている。ジフルオロほう素錯体化合物の非水電解液中の含有量(添加量)は、非水電解液全質量に対して0.01〜10質量%の範囲にあることが好ましく、0.02〜5質量%の範囲にあることがより好ましく、0.03〜3質量%の範囲にあることがさらに好ましい。このジフルオロほう素錯体化合物の含有量(添加量)が0.01質量%以上であると、十分な添加効果を得ることができる。このジフルオロほう素錯体化合物の含有量(添加量)が10質量%以下であると、十分な添加効果を得ながらコストを抑えることができる。

0049

本発明の実施形態による非水電解液は、上記一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物が1種のみ添加されていても、2種以上添加されていてもよい。

0050

また、本発明の実施形態による非水電解液は、一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物以外にも、その他の添加剤成分として、非水電解液用の公知の添加剤化合物を任意に含むことができる。例えば、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、マレイン酸無水物、エチレンサルファイトボロン酸エステル、1,3−プロパンスルトン、1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシド等が挙げられる。これらの中でも、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、マレイン酸無水物、1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシドが好ましい。これらの他の添加剤化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

0051

[非水溶媒]
本発明の実施形態による非水電解液に使用される非水溶媒(非水系有機溶媒)としては、特に制限されるものではないが、通常使用されているものの中から適宜選択できる。例えば、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、ラクトン類エーテル類スルホン類ニトリル類、及びリン酸エステル類からなる群から選ばれる少なくとも一種の溶媒を含む非水溶媒を用いることができる。

0052

環状カーボネート類の具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等が挙げられる。

0053

鎖状カーボネート類の具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネートジブチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート等が挙げられる。

0054

鎖状エステル類の具体例としては、ギ酸メチル酢酸メチルプロピオン酸メチルプロピオン酸エチルピバリン酸メチル、ピバリンエチル等のカルボン酸エステルが挙げられる。

0055

ラクトン類の具体例としては、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等が挙げられる。

0056

エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等が挙げられる。

0057

スルホン類の具体例としては、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等が挙げられる。

0058

ニトリル類の具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリルスクシノニトリルグルタロニトリルアジポニトリル等が挙げられる。

0059

リン酸エステル類の具体例としては、リン酸トリメチルリン酸トリエチルリン酸トリブチルリン酸トリオクチル等が挙げられる。

0060

上記非水溶媒は、一種を単独で、または二種以上を混合して使用することができる。その組合せは、例えば、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の組合せ、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類に、第3溶媒として、鎖状エステル類や、ラクトン類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、リン酸エステル類を加える組合せが挙げられる。これらの中でも、少なくとも環状カーボネート類と鎖状カーボネート類を含む組合せが、優れた電池特性を実現する上でより好ましい。

0061

非水溶媒は、環状カーボネート類を含有することが好ましい。環状カーボネート類は比誘電率が大きいため、環状カーボネート類を添加することにより、非水電解液のイオン伝導性を高めることができる。非水電解液に含まれる環状カーボネート類の含有量は、特に制限されるものではないが、非水電解液のイオン伝導性や粘度等の観点から、非水溶媒中、5体積%以上が好ましく、10体積%以上がより好ましく、20体積%以上がより好ましく、また70体積%以下が好ましく、60体積%以下がより好ましく、50体積%以下がさらに好ましい。

0062

[電解質塩]
本発明の実施形態による非水電解液中に含まれる電解質塩としては、以下の例に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、CF3SO3Li、C4F9SO3Li、LiAsF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiPF4(CF3)2、LiPF3(C2F5)3、LiPF3(CF3)3、(CF2)2(SO2)2NLi、(CF2)3(SO2)2Li、リチウムビスオキサラトボレート(Lithium bis(oxalate)borate)、リチウムオキサラトジフルオロボレート(Lithium oxaltodifluoroborate)等のリチウム塩が挙げられる。これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2が好ましい。これら電解質塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。

0063

非水溶媒に溶解している電解質塩の非水電解液中の濃度は、0.1〜3mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜2mol/Lの範囲にあることがより好ましい。電解質塩の濃度が0.1mol/L以上であると、より十分なイオン導電率が得られ、電解質塩の濃度が3mol/L以下であると、電解液の粘度の上昇が抑えられ、より十分なイオン移動度含浸性が得られる。

0064

[リチウムイオン二次電池]
本発明の実施形態によるリチウムイオン二次電池は、主に、正極、負極、非水電解液(非水溶媒に一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物及び電解質塩が溶解されている非水電解液)、及び正極と負極間に配置されたセパレータからなる。非水電解液としては、上述の非水電解液を好適に用いることができる。非水電解液以外の正極、負極、セパレータ等の構成部材は特に制限されるものではなく、一般的なリチウムイオン二次電池に通常使用されているものを適用できる。以下に、本発明の実施形態によるリチウムイオン二次電池に好適な、非水電解液以外の構成部材について説明する。

0065

(正極)
本発明の実施形態によるリチウムイオン二次電池の正極は、例えば、正極活物質と結着剤を含む正極活物質層正極集電体上に覆うように形成されたものを用いることができる。結着剤によって、正極活物質と集電体間、正極活物質同士が結着される。

0066

正極活物質としては、コバルトマンガンニッケル等の遷移金属とリチウムを含むリチウム複合金属酸化物を使用できる。このようなリチウム複合金属酸化物としては、具体的には、LiMnO2、LixMn2O4(0<x<2)、Li2MnO3−LiMO2系固溶体(M=Co、Ni等)、LiCoO2、LiNiO2、LiCo1−xNixO2(0.01<x<1)、LiNi1/2Mn3/2O4、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2等が挙げられる。また、これらのリチウム複合金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの等も挙げられる。

0067

さらに、サイクル特性や安全性の向上、また高い充電電位での使用を可能にするため、リチウム複合金属酸化物の一部を他の元素で置換してもよい。例えば、コバルト、マンガン、ニッケルの一部をSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cu、Bi、Mo、La等の少なくとも1種以上の元素で置換したり、酸素の一部をSやFで置換したり、またはこれらの元素を含有する化合物で正極表面を被覆することもできる。

0068

また、正極活物質として、リチウム含有オリビン型リン酸塩(LiMPO4;MはFe、Mn、Ni、Mg、Co等)を用いることもできる。具体的な例としては、LiFePO4、LiMnPO4、LiNiPO4等が挙げられる。

0069

正極活物質は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。

0070

正極活物質を含む正極活物質層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助剤を添加してもよい。導電補助剤としては、具体的には、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラックケッチェンブラックファーネスブラックチャンネルブラックサーマルブラック等のカーボンブラック類が挙げられる。これらの導電補助剤は、2種以上を適宜混合して用いてもよい。導電補助剤の添加量は正極活物質100質量部に対して、1〜10質量部が好ましい。

0071

正極活物質の平均粒径については、電解液との反応性レート特性等の観点から、例えば平均粒径が0.1〜50μmの範囲にある正極活物質を用いることができ、好ましくは平均粒径が1〜30μmの範囲にある正極活物質、より好ましくは平均粒径が2〜25μmの範囲にあるものを用いることができる。ここで、平均粒径は、レーザ回折散乱法による粒度分布体積基準)における積算値50%での粒径メジアン径:D50)を意味する。

0072

極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデンPVDF)、ビニリデンフルオライドヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体スチレンブタジエン共重合ゴムポリテトラフルオロエチレンポリプロピレンポリエチレンポリイミドポリアミドイミド等を用いることができる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンが好ましい。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある結着力とエネルギー密度の観点から、正極活物質100質量部に対して、2〜10質量部が好ましい。

0073

正極集電体としては、特に制限されるものではなく、一般的なリチウムイオン二次電池に通常使用されているものを任意に用いることができる。正極集電体の材料としては、例えば、アルミニウムや、ステンレス鋼を用いることができる。正極集電体の形状としては、箔状、平板状、メッシュ状等が挙げられる。好適な正極集電体として、アルミニウム箔ステンレス製ラス板等を用いることができる。

0074

正極の作製方法としては、例えば、上記の正極活物質、導電補助剤、結着剤を混合し、これにN−メチルピロリドン等の溶媒を加えて混練してスラリーを調製し、これを集電体上にドクターブレード法ダイコーター法等で塗布し、次いで乾燥し、必要に応じて加圧することで作製できる。

0075

(負極)
本発明の実施形態によるリチウムイオン二次電池の負極は、例えば、負極活物質と結着剤を含む負極活物質層負極集電体上に覆うように形成されたものを用いることができる。結着剤によって、負極活物質と集電体間、負極極活物質同士が結着される。

0076

負極活物質としては、リチウム金属や、リチウムとの合金化が可能な金属または合金、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な酸化物、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な炭素質材料等が挙げられる。

0077

リチウムとの合金化が可能な金属または合金としては、例えば、単体ケイ素、リチウム−シリコン合金、リチウム−スズ合金等が挙げられる。

0078

また、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な酸化物としては、例えば、シリコン酸化物、五酸化ニオブ(Nb2O5)、リチウムチタン複合酸化物(Li4/3Ti5/3O4)、二酸化チタン(TiO2)等が挙げられる。

0079

また、リチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な炭素質材料としては、例えば、黒鉛材料(人造黒鉛、天然黒鉛)、カーボンブラック(アセチレンブラック、ファーネスブラック)、コークス、メソカーボンマイクロビーズハードカーボン、グラファイト等の炭素質材料が挙げられる。

0080

負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。

0081

これらの中でもサイクル特性及び安定性が良好でさらに連続充電特性も優れている点で、炭素質材料が好ましい。

0082

また、容量の点からは、ケイ素を含む負極活物質が好ましい。ケイ素を含む負極活物質としては、例えば、シリコンシリコン化合物等が挙げられる。シリコンとしては、例えば、単体ケイ素が挙げられる。シリコン化合物としては、例えば、シリコン酸化物、ケイ酸塩ニッケルシリサイドコバルトシリサイドなどの遷移金属とケイ素との化合物などが挙げられる。

0083

シリコン化合物には、負極活物質自体の繰り返し充放電に対する膨脹収縮緩和する機能があり、充放電サイクル特性の観点からシリコン化合物がより好ましい。また、シリコン化合物の種類によってはシリコン間の導通を確保する機能も有する。このような観点から、シリコン化合物としてシリコン酸化物が好ましい。

0084

シリコン酸化物は、特に限定されるものではないが、例えば、SiOx(0<x≦2)で表されるものを用いることができる。シリコン酸化物は、Liを含んでもよく、Liを含むシリコン酸化物としては、例えばSiLiyOz(y>0、2>z>0)で表されるものを用いることができる。また、シリコン酸化物は微量の金属元素非金属元素を含んでも良い。シリコン酸化物は、例えば、窒素ホウ素およびイオウの中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%含有することができる。微量の金属元素や非金属元素を含有することで、シリコン酸化物の電気伝導性を向上させることができる。また、シリコン酸化物は結晶であってもよく、非晶質であってもよい。

0085

より好適な負極活物質としては、ケイ素を含む負極活物質(好ましくはシリコン又はシリコン酸化物)と、リチウムイオンを吸蔵放出し得る炭素質材料を含むものがより好ましい。炭素質材料は、ケイ素を含む負極活物質(好ましくはシリコンやシリコン酸化物)と複合化させた状態で含有させることもできる。炭素質材料は、シリコン酸化物と同様に、負極活物質自体の繰り返し充放電に対する膨脹収縮を緩和し、負極活物質であるシリコン間の導通を確保する機能を有する。したがって、ケイ素を含む負極活物質(好ましくはシリコン又はシリコン酸化物)と炭素質材料が共存することにより、より良好なサイクル特性が得られる。

0086

炭素質材料としては、黒鉛、非晶質炭素ダイヤモンド状炭素カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物を好適に用いることができる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる正極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。負極活物質中の炭素質材料の含有率は、2質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、2質量%以上30質量%以下とすることがより好ましい。

0087

シリコンとシリコン化合物を含有する負極活物質の作製方法としては、次の方法が挙げられる。シリコン化合物としてシリコン酸化物を用いる場合には、例えば、単体ケイ素とシリコン酸化物を混合し、高温減圧下にて焼結させる方法が挙げられる。また、シリコン化合物として遷移金属とケイ素との化合物を用いる場合には、例えば、単体ケイ素と遷移金属を混合し、溶融させる方法や、単体ケイ素の表面に遷移金属を蒸着等により被覆する方法が挙げられる。

0088

上記で述べた作製方法において、さらに炭素との複合化を組み合わせることもできる。例えば、高温非酸素雰囲気下で有機化合物気体雰囲気中に単体ケイ素とシリコン化合物の混合焼結物を導入し、有機化合物を炭化して、炭素からなる被覆層を形成する方法や、高温非酸素雰囲気下で単体ケイ素とシリコン化合物の混合焼結物と炭素の前駆体樹脂を混合し、前駆体樹脂を炭化して、炭素からなる被覆層を形成する方法が挙げられる。このようにして、単体ケイ素とシリコン化合物(例えばシリコン酸化物)からなる核の周囲に炭素からなる被覆層を形成することができる。これにより充放電に対する体積膨張の抑制及びサイクル特性のさらなる改善効果が得られる。

0089

負極活物質としてケイ素を含む負極活物質を用いる場合、シリコン、シリコン酸化物及び炭素質材料を含む複合体(以下、Si/SiO/C複合体とも称す)が好ましい。さらに、シリコン酸化物は、その全部または一部がアモルファス構造を有することが好ましい。アモルファス構造を有するシリコン酸化物は、他の負極活物質である炭素質材料やシリコンの体積膨張を抑制することができる。このメカニズムは明確ではないが、シリコン酸化物がアモルファス構造であることにより、炭素質材料と電解液の界面への皮膜形成に何らかの影響があるものと推則される。また、アモルファス構造は、結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する要素が比較的少ないと考えられる。なお、シリコン酸化物の全部または一部がアモルファス構造を有することは、エックス線回折測定(一般的なXRD測定)にて確認することができる。具体的には、シリコン酸化物がアモルファス構造を有しない場合には、シリコン酸化物に固有ピーク観測されるが、シリコン酸化物の全部または一部がアモルファス構造を有する場合、シリコン酸化物に固有のピークがブロードとなって観測される。

0090

Si/SiO/C複合体において、シリコンは、その全部または一部がシリコン酸化物中に分散していることが好ましい。シリコンの少なくとも一部をシリコン酸化物中に分散させることで、負極全体としての体積膨張をより抑制することができ、電解液の分解も抑制することができる。なお、シリコンの全部または一部がシリコン酸化物中に分散していることは、透過型電子顕微鏡観察(一般的なTEM観察)とエネルギー分散型X線分光法測定(一般的なEDX測定)を併用することで確認することができる。具体的には、サンプルの断面を観察し、シリコン酸化物中に分散しているシリコンに相当する部分の酸素濃度を測定し、酸化物となっていないことを確認することができる。

0091

Si/SiO/C複合体において、例えば、シリコン酸化物の全部または一部がアモルファス構造であり、シリコンはその全部または一部がシリコン酸化物中に分散している。このようなSi/SiO/C複合体は、例えば、特開2004−47404号公報で開示されているような方法で作製することができる。すなわち、Si/SiO/C複合体は、例えば、シリコン酸化物をメタンガスなどの有機物ガスを含む雰囲気下でCVD処理を行うことで得ることができる。このような方法で得られるSi/SiO/C複合体は、シリコンを含むシリコン酸化物からなる粒子の表面がカーボンで被覆された形態となる。また、シリコンはシリコン酸化物中にナノクラスター化している。

0092

Si/SiO/C複合体において、シリコン、シリコン酸化物および炭素質材料の割合は、特に制限されるものではない。シリコンは、Si/SiO/C複合体に対し、5質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上50質量%以下とすることがより好ましい。シリコン酸化物は、Si/SiO/C複合体に対し、5質量%以上90質量%以下とすることが好ましく、40質量%以上70質量%以下とすることがより好ましい。炭素質材料は、Si/SiO/C複合体に対し、2質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは2質量%以上30質量%以下である。

0093

また、Si/SiO/C複合体は、単体ケイ素、シリコン酸化物及び炭素質材料の混合物であってもよく、単体ケイ素とシリコン酸化物と炭素質材料とをメカニカルミリングで混合することでも作製することができる。例えば、Si/SiO/C複合体は、単体ケイ素、シリコン酸化物および炭素質材料がそれぞれ粒子状のものを混合して得ることができる。例えば、単体ケイ素の平均粒子径を、炭素質材料の平均粒子径およびシリコン酸化物の平均粒子径よりも小さい構成とすることができる。このようにすれば、充放電時に伴う体積変化の大きい単体ケイ素が相対的に小粒径となり、体積変化の小さい炭素質材料やシリコン酸化物が相対的に大粒径となるため、デンドライト生成微粉化がより効果的に抑制される。また、充放電の過程で大粒径の粒子と小粒径の粒子が交互にリチウムイオンを吸蔵放出し、これにより、残留応力および残留歪みの発生を抑制できる。単体ケイ素の平均粒子径は、例えば20μm以下とすることができ、15μm以下とすることが好ましい。シリコン酸化物の平均粒子径が炭素質材料の平均粒子径の1/2以下であることが好ましい。単体ケイ素の平均粒子径がシリコン酸化物の平均粒子径の1/2以下であることが好ましい。また、シリコン酸化物の平均粒子径が炭素質材料の平均粒子径の1/2以下であり、かつ単体ケイ素の平均粒子径がシリコン酸化物の平均粒子径の1/2以下であることがより好ましい。平均粒子径をこのような範囲に制御すれば、体積膨脹緩和効果をより有効に得ることができ、エネルギー密度、サイクル寿命と効率のバランスに優れた二次電池を得ることができる。より具体的には、シリコン酸化物の平均粒子径を黒鉛の平均粒子径の1/2以下とし、単体ケイ素の平均粒子径をシリコン酸化物の平均粒子径の1/2以下とすることが好ましい。またより具体的には、単体ケイ素の平均粒子径は、例えば20μm以下とすることができ、15μm以下とすることが好ましい。

0094

負極活物質の平均粒径は、充放電時の副反応を抑えて充放電効率の低下を抑える点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましく、入出力特性の観点や電極作製上の観点(電極表面の平滑性等)から、80μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましい。ここで平均粒径は、レーザ回折散乱法による粒度分布(体積基準)における積算値50%での粒子径(メジアン径:D50)を意味する。

0095

また、負極活物質として、上述のSi/SiO/C複合体の表面をシランカップリング剤等によって処理したものを用いてもよい。

0096

負極活物質層は、上記のリチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質を主成分として含むことが好ましく、具体的には、負極活物質の含有量は、負極活物質、負極用結着剤及び必要に応じて各種の助剤等を含む負極活物質層の全体に対して55質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。

0097

負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。これらの中でも、結着性が強いことから、ポリイミド、ポリアミドイミド、SBR、ポリアクリル酸アルカリ中和されたリチウム塩、ナトリウム塩カリウム塩を含む)、カルボキシメチルセルロース(アルカリで中和されたリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を含む)が好ましい。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある結着力とエネルギー密度の観点から、負極活物質100質量部に対して、5〜25質量部が好ましい。

0098

負極集電体としては、特に制限されるものではなく、一般的なリチウムイオン二次電池に通常使用されているものを任意に用いることができる。負極集電体の材料としては、例えば、銅、ニッケル、SUS等の金属材料を用いることができる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。負極集電体は、予め粗面化処理しておくことが好ましい。負極集電体の形状としては、箔状、平板状、メッシュ状等が挙げられる。また、エキスパンドメタルパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。

0099

負極の作製方法としては、例えば、前述の正極の作製方法と同様に、上述の負極活物質と、結着剤と、必要に応じて各種の助剤等と、溶媒との混合物を混練してスラリーを調製し、これを集電体上に塗布し、次いで乾燥し、必要に応じて加圧することで製造することができる。

0100

(セパレータ)
セパレータとしては、特に制限されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等の樹脂材料からなる単層または積層の多孔性フィルムや不織布を用いることができる。また、ポリオレフィン等の樹脂層異種素材コーティング又は積層したフィルムも用いることができる。このようなフィルムとしては、例えば、ポリオレフィン基材フッ素化合物無機微粒子をコーティングしたもの、ポリオレフィン基材とアラミド層を積層したもの等が挙げられる。

0101

セパレータの厚みは、電池のエネルギー密度とセパレータの機械的強度の面から5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。

0102

(リチウムイオン二次電池の構造)
リチウムイオン二次電池の形態としては、特に限定されないが、コイン型電池ボタン型電池円筒型電池角型電池ラミネート型電池等が挙げられる。

0103

例えば、ラミネート型電池は、正極、セパレータ、負極を交互に積層した積層体を形成し、それぞれの電極にタブといわれる金属端子を接続し、外装体であるラミネートフィルムで構成した容器の中に入れ、電解液を注入して封止することにより作製できる。

0104

ラミネートフィルムとしては、電解液に安定でかつ十分な水蒸気バリア性を持つものであれば、適宜選択することができる。このようなラミネートフィルムとしては、例えば、アルミニウム、シリカアルミナ等の無機材料をコーティングしたポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)からなるラミネートフィルムを用いることができる。特に、体積膨張を抑制する観点から、アルミニウムをコーティングしたポリオレフィンからなるアルミニウムラミネートフィルムが好ましい。

0105

ラミネートフィルムの代表的な層構成としては、金属薄膜層熱融着性樹脂層とが積層された構成が挙げられる。また、ラミネートフィルムのその他の層構成としては、金属薄膜層の、熱融着性樹脂層側と反対側の面に、さらにポリエチレンテレフタレート等のポリエステルナイロン等のポリアミドからなる樹脂フィルム(保護層)が積層された構成が挙げられる。正極及び負極を含む積層体を収容したラミネートフィルムからなる容器を封止する場合、ラミネートフィルムの熱融着性樹脂層を対向させ、封止用部分において熱融着性樹脂層間が融着できるように容器を形成する。ラミネートフィルムの金属薄膜層としては、例えば、厚さ10〜100μmの、Al、Ti、Ti合金、Fe、ステンレスMg合金などの箔が用いられる。熱融着性樹脂層に用いられる樹脂は、熱融着が可能な樹脂であれば特に制限はないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、これらの酸変成物ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体やエチレン−アクリル酸共重合体金属イオン分子間結合させたアイオノマー樹脂などが挙げられる。熱融着性樹脂層の厚さは10〜200μmが好ましく、より好ましくは30〜100μmである。

0106

図1に、本発明の実施形態によるリチウムイオン二次電池の構造の一例を示す。

0107

正極集電体1A上に正極活物質を含む正極活物質層1が形成されることにより、正極が構成されている。このような正極として、正極集電体1Aの片方の面に正極活物質層1が形成された片面電極と、正極集電体1Aの両面にそれぞれ正極活物質層1が形成された両面電極が用いられている。

0108

負極集電体2A上に負極活物質を含む負極活物質層2が形成されることにより、負極が構成されている。このような負極として、負極集電体2Aの片方の面に負極活物質層2が形成された片面電極と、負極集電体2Aの両面にそれぞれ負極活物質層2が形成された両面電極が用いられている。

0109

これらの正極と負極とは、図1に示すように、セパレータ3を介して対向配置され、積層されている。二つの正極集電体1Aは一方の端部側で互いに接続し、この接続部に正極タブ1Bが接続されている。二つの負極集電体2Aは他方の端部側で互いに接続し、この接続部に負極タブ2Bが接続されている。正極および負極を含む積層体(発電要素)は、外装体4からなる容器内に収容され、電解液が含浸した状態にある。正極タブ1Bおよび負極タブ2Bは外装体4の外部に露出している。外装体4としては、2枚の矩形ラミネートシートを用い、発電要素を包むように重ね合わせ、四方端辺部を融着して封止することにより形成されている。

0110

以下、合成例、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。

0111

(合成例1)
一般式(1)において、R1が2−チエニル基、R2がトリフルオロメチル基、R3が水素原子であるジフルオロほう素錯体化合物FB1の合成

0112

0113

4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン3gを乾燥塩メチレン50mlに溶解し、そこに三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体2.34gを加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下留去し、析出した結晶にヘキサンを加え撹拌洗浄することで目的のジフルオロほう素錯体FB1を1.896g得た(収率52%)。

0114

(合成例2)
一般式(1)において、R1がフェニル基、R2がトリフルオロメチル基、R3が水素原子であるジフルオロほう素錯体化合物FB2の合成

0115

0116

4,4,4−トリフルオロ−1−フェニル−1,3−ブタンジオン2gを乾燥塩化メチレン40mlに溶解し、そこに三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体1.602gを加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下留去し、析出した結晶にヘキサンを加え撹拌洗浄した。さらに、この結晶をクロロホルムに溶解し、ヘキサン中に再沈させることで目的のジフルオロほう素錯体FB2を0.91g得た(収率37%)。

0117

(合成例3)
一般式(1)において、R1、R2がフェニル基、R3が水素原子であるジフルオロほう素錯体化合物FB3の合成

0118

0119

1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン1gを乾燥塩化メチレン20mlに溶解し、そこに三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体0.772gを加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下留去し、析出した結晶にヘキサンを加え撹拌洗浄することで目的のジフルオロほう素錯体FB3を0.849g得た(収率70%)。

0120

(合成例4)
一般式(1)において、R1、R2が4−フルオロフェニル基、R3が水素原子であるジフルオロほう素錯体化合物FB4の合成

0121

0122

乾燥テトラヒドロフラン(THF)40mlに水素化ナトリム1.76gを加え、アルゴン雰囲気下、0℃で4’−フルオロアセトフェノン2gを滴下した。次に4−フルオロ安息香酸メチル2.678gを加え、さらに30時間撹拌し、その後2時間加熱還流させた。放冷後、反応溶液希塩酸を加え、溶液酸性にした。有機層ジエチルエーテルで抽出し、水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラム溶離液:クロロホルム/ヘキサン=5/1(体積比))で精製することで中間体A1を1.0g得た。

0123

次に、中間体A1の1.0gを1,2−ジメトキシエタン20mlに溶解し、そこに三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体0.82gを加え、60℃で2時間反応させた。放冷後、溶媒を減圧下留去し、析出した結晶にヘキサン50mlを加え、60℃で撹拌洗浄することで目的のジフルオロほう素錯体FB4を0.769g得た(収率65%)。

0124

(合成例5)
一般式(1)において、R1が2−フラニル基、R2がトリフルオロメチル基、R3が水素原子であるジフルオロほう素錯体化合物FB7の合成

0125

0126

4,4,4−トリフルオロ−1−(2−フラニル)−1,3−ブタンジオン5gを乾燥塩化メチレン30mlに溶解し、そこに三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体4.2gを加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下留去し、析出した結晶にヘキサンを加え撹拌洗浄することで目的のジフルオロほう素錯体FB7を4.95g得た(収率80%)。

0127

(合成例6)
一般式(1)において、R1がフェニル基、R2がエトキシ基、R3が水素原子であるジフルオロほう素錯体化合物FB13の合成

0128

0129

ベンゾイル酢酸エチル3gを乾燥塩化メチレン30mlに溶解し、そこに三フッ化ほう素ジエチルエーテル錯体2.7gを加え、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下留去し、析出した結晶にヘキサンを加え撹拌洗浄することで目的のジフルオロほう素錯体FB13を2.71g得た(収率72%)。

0130

(正極の製造例)
正極活物質としてのLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2と、導電補助剤としてのカーボンブラックと、正極用結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを、94:3:3の質量比で計量し、それらをN−メチルピロリドンと混合して、正極スラリーを調製した。この正極スラリーを厚さ20μmのアルミ箔からなる正極集電体1Aの一方の面上に塗布し、これを乾燥し、さらにプレスすることで、正極活物質層1を形成し、正極集電体の片面に正極活物質層が形成された片面電極を得た。同様にして、正極集電体1Aの両側にそれぞれ正極活物質層1を形成し、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された両面電極を得た。

0131

(グラファイト負極の製造例)
負極活物質であるグラファイト粉末(94質量%)とPVDF(6質量%)とを混合し、N−メチルピロリドンを加えスラリー状にしたものを、銅箔(厚み10μm)からなる負極集電体2Aの一方の面上に塗布し、これを乾燥し、負極活物質層2を形成し、負極集電体の片面に負極活物質層が形成された片面負極を得た。同様にして、負極集電体2Aの両側にそれぞれ負極活物質層2を形成し、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された両面電極を得た。

0132

シリコン負極の製造例)
平均粒径15μmのSiOを85質量%、ポリアミック酸を15質量%含むスラリーを、銅箔(厚み10μm)からなる負極集電体2Aの一方の面上に塗布し、これを乾燥し、厚み46μmの負極活物質層2を形成し、負極集電体の片面に負極活物質層が形成された片面負極を得た。同様にして、負極集電体2Aの両側にそれぞれ負極活物質層2を形成し、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された両面電極を得た。得られた負極は窒素雰囲気下350℃で3時間アニールし、バインダ成分硬化させた。

0133

(実施例1)
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比(EC/DEC)30/70で混合し、そこにLiPF6を1.0mol/Lとなるように溶解させ、さらに合成例1で合成したジフルオロほう素錯体化合物FB1を0.1質量%となるように溶解させて非水電解液を調製した。

0134

<リチウムイオン二次電池の作製>
上記方法で作製した正極およびグラファイト負極を所定の形状に成形した後、多孔質フィルムセパレータ3を挟んで積層し、それぞれに正極タブ1Bおよび負極タブ2Bを溶接することで発電要素を得た。この発電要素をアルミニウムラミネートフィルム4からなる外装体で包み、3方の端辺部を熱融着した後、上記非水電解液を注入し適度な真空度にて含浸させた。その後、減圧下にて残りの1方の端辺部を熱融着により封止し、図1に示す構造を有する活性化処理前のリチウムイオン二次電池を得た。

0135

<活性化処理工程>
作製した活性化処理前のリチウムイオン二次電池について、正極活物質あたり20mA/gの電流で4.1Vまで充電し、同じく正極活物質あたり20mA/g電流で1.5Vまで放電するサイクルを2回繰り返した。

0136

(実施例2)
負極としてグラファイト負極の代わりにシリコン負極を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0137

(実施例3)
非水電解液に合成例1で得た化合物FB1を0.1質量%加える代わりに、合成例1で得た化合物FB1を1.0質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0138

(実施例4)
非水電解液に合成例1で得た化合物FB1を0.1質量%加える代わりに、合成例2で得た化合物FB2を0.1質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0139

(実施例5)
非水電解液に合成例1で得た化合物FB1を0.1質量%加える代わりに、合成例3で得た化合物FB3を0.1質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0140

(実施例6)
非水電解液に合成例1で得た化合物FB1を0.1質量%加える代わりに、合成例4で得た化合物FB4を0.1質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0141

(実施例7)
非水電解液に合成例1で得た化合物FB1を0.1質量%加える代わりに、合成例5で得た化合物FB7を0.1質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0142

(実施例8)
非水電解液に合成例1で得た化合物FB1を0.1質量%加える代わりに、合成例6で得た化合物FB13を0.1質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0143

(実施例9)
非水電解液に合成例1で得た化合物FB1を0.1質量%加える代わりに、合成例1で得た化合物FB1を0.05質量%とビニレンカーボネートを1.0質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0144

(実施例10)
非水電解液に合成例1で得た化合物FB1を0.1質量%加える代わりに、合成例1で得た化合物FB1を0.05質量%とフルオロエチレンカーボネートを1.0質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0145

(実施例11)
非水電解液に合成例1で得た化合物FB1を0.1質量%加える代わりに、合成例1で得た化合物FB1を0.05質量%と1,5,2,4−ジオキサジチアン−2,2,4,4−テトラオキシド0.2質量%加えた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0146

(比較例1)
ECとDECを体積比(EC/DEC)30/70で混合し、そこに電解質塩としてLiPF6を1mol/Lとなるように溶解させた液を電解液(添加剤なし)として用いたこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0147

(比較例2)
ECとDECを体積比(EC/DEC)30/70で混合し、そこに電解質塩としてLiPF6を1mol/Lとなるように溶解させた液を電解液(添加剤なし)として用いたこと以外は、実施例2と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。

0148

<リチウムイオン二次電池の評価方法
実施例1〜11並びに比較例1及び2で作製したリチウムイオン二次電池について、高温環境下におけるサイクル特性を評価した。

0149

具体的には、作製した二次電池に対し、60℃に保った恒温槽中で2.5Vから4.1Vの電圧範囲で50回充放電を繰り返す試験を行った。そして、以下の式よりサイクル後の容量維持率を算出した。
容量維持率(%)=(50サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量)×100

0150

<リチウムイオン二次電池の評価結果>
各実施例および比較例における電解液の組成負極材料、添加剤、添加量、評価結果(容量維持率)を表2にまとめて示す。

0151

実施例1〜11と比較例1、2の比較から、電解液に一般式(1)で表されるジフルオロほう素錯体化合物を添加することによって、高い容量が安定して得られることが分かった。

0152

以上の結果から、特定のジフルオロほう素錯体化合物を含有する、本発明の実施形態による非水電解液がリチウムイオン二次電池の特性(特に高温環境下でのサイクル特性)の向上に効果があることが分かった。

0153

実施例

0154

以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

0155

本発明の実施形態による非水電解液を用いたリチウムイオン二次電池は、高温でも優れた特性を示すことから、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギー輸送貯蔵および供給に関する産業分野において好適に利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコンタブレット型端末携帯用ゲーム機などのモバイル機器の電源;電気自動車ハイブリッドカー電動バイク電動アシスト自転車などの移動・輸送用媒体の電源;家庭用蓄電システムUPSなどのバックアップ用電源太陽光発電風力発電などで発電した電力を貯める蓄電設備、などに利用することができる。

0156

この出願は、2014年7月25日に出願された日本出願特願2014−152070を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

0157

1:正極活物質層
1A:正極集電体
1B:正極タブ
2:負極活物質層
2A:負極集電体
2B:負極タブ
3:セパレータ
4:外装体

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