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技術 末梢循環癌細胞の検出方法および検出装置

出願人 株式会社がん免疫研究所
発明者 倉持恒雄
出願日 2014年7月22日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2016-535556
公開日 2017年4月27日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 WO2016-013041
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 通常診断 染色容器 検査用装置 カートリッジ上面 検出フロー 内表面積 リンパ球分離液 染色物質
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月27日)のものです。
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図面 (7)

課題・解決手段

末梢循環癌細胞簡便かつ精度良く検出できる検出方法を提供する。末梢循環癌細胞の検出方法は、生体試料中循環癌細胞を検出する方法であって、次の(a)〜(d)の工程を備える。(a)末梢血からリンパ球を分離する分離工程、(b)分離された末梢血リンパ球層を培養液で培養する培養工程、(c)培養後、培養容器の底に付着した細胞に免疫染色する免疫染色工程、(d)免疫染色工程により得られた染色細胞観察画像に基づいて生体試料中の循環癌細胞を検出する検出工程。

概要

背景

従来から、末梢循環癌細胞(CTC)が、106〜107の末梢血単核細胞中に1個の超低濃度で、上皮由来癌を有する患者末梢血において観察されることが知られている。CTCは、進行した癌細胞が血液やリンパ液の流れに乗って循環し、離れた臓器にまで転移を起こす原因とされている。
液中のCTCは、乳癌大腸癌などの転移性の癌の症例において、治療効果の判定や予後予測因子としての有用性が認められており、例えば、米国Veridex社の開発した乳癌、大腸癌などの領域の検出系のCellSearch(登録商標)システムが知られている。CellSearch(登録商標)システムでは、抗EpCAM抗体固定化磁気ビーズを利用してCTCを濃縮分取した後、免疫染色法にてCTCを同定することで、サンプル中のCTCを計数する(例えば、非特許文献1を参照)。

また、癌細胞がウロキナーゼ(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA))とその受容体(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR))を発現していることに鑑みて、ウロキナーゼ活性指標にし、CTCを簡便かつ精度よく検出し回収する循環癌細胞検出方法が知られている(特許文献1を参照)。

概要

末梢循環癌細胞を簡便かつ精度良く検出できる検出方法を提供する。末梢循環癌細胞の検出方法は、生体試料中の循環癌細胞を検出する方法であって、次の(a)〜(d)の工程を備える。(a)末梢血からリンパ球を分離する分離工程、(b)分離された末梢血リンパ球層を培養液で培養する培養工程、(c)培養後、培養容器の底に付着した細胞に免疫染色する免疫染色工程、(d)免疫染色工程により得られた染色細胞観察画像に基づいて生体試料中の循環癌細胞を検出する検出工程。

目的

本発明は、末梢循環癌細胞を簡便かつ精度良く検出できる検出方法および検出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

生体試料中循環癌細胞を検出する方法であって、(a)末梢血からリンパ球を分離する分離工程と、(b)分離された末梢血リンパ球層を培養液で培養する培養工程と、(c)培養後、培養容器の底に付着した細胞に免疫染色する免疫染色工程と、(d)前記免疫染色工程により得られた染色細胞観察画像に基づいて前記生体試料中の循環癌細胞を検出する検出工程と、を備えたことを特徴とする末梢循環癌細胞検出方法

請求項2

前記免疫染色工程は、抗EMA(Epithelial Membrane Antigen)抗体を用いて染色することを特徴とする請求項1に記載の末梢循環癌細胞の検出方法。

請求項3

前記培養工程に用いる培養容器と、前記免疫染色工程に用いる免疫染色容器同一容器であり、培養後、前記培養容器から上澄み液を排出して底に付着した細胞だけを残し、前記培養容器に免疫染色させる抗体を注入することを特徴とする請求項1又は2に記載の末梢循環癌細胞の検出方法。

請求項4

前記培養液が、少なくとも1000U/mlのインターロイキン−2(IL−2)を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の末梢循環癌細胞の検出方法。

請求項5

前記培養工程は、48〜72時間培養することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の末梢循環癌細胞の検出方法。

請求項6

前記分離工程の後、分離された末梢血リンパ球層を、抗CD3抗体と抗CD161抗体の少なくとも何れかを用いて固相化することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の末梢循環癌細胞の検出方法。

請求項7

請求項1〜6の何れかの末梢循環癌細胞の検出方法における前記検出工程において、前記観察画像内の前記染色細胞の個数により、癌患者健常者スクリーニングする方法。

請求項8

末梢血からリンパ球を分離する分離手段と、分離された末梢血リンパ球層を培養液で培養する培養手段と、培養容器の底に付着した細胞に免疫染色する免疫染色手段と、得られた染色細胞の観察画像に基づいて前記生体試料中の循環癌細胞を検出する検出手段と、を備えたことを特徴とする末梢循環癌細胞の検出装置

請求項9

前記免疫染色手段は、抗EMA(Epithelial Membrane Antigen)抗体を用いて染色することを特徴とする請求項8に記載の末梢循環癌細胞の検出装置。

請求項10

前記培養手段に用いる培養容器と、前記免疫染色手段に用いる免疫染色容器が同一容器であることを特徴とする請求項8又は9に記載の末梢循環癌細胞の検出装置。

請求項11

前記培養液が、少なくとも1000U/mlのインターロイキン−2(IL−2)を含有することを特徴とする請求項8〜10の何れかに記載の末梢循環癌細胞の検出装置。

請求項12

分離された末梢血リンパ球層を、抗CD3抗体と抗CD161抗体の少なくとも何れかを用いて固相化することを特徴とする請求項8〜11の何れかに記載の末梢循環癌細胞の検出装置。

技術分野

0001

本発明は、末梢循環癌細胞(CTC;Circulating Tumor Cell)を簡易に検出できる末梢循環癌細胞の検出方法および検出装置に関するものである。

背景技術

0002

従来から、末梢循環癌細胞(CTC)が、106〜107の末梢血単核細胞中に1個の超低濃度で、上皮由来癌を有する患者末梢血において観察されることが知られている。CTCは、進行した癌細胞が血液やリンパ液の流れに乗って循環し、離れた臓器にまで転移を起こす原因とされている。
液中のCTCは、乳癌大腸癌などの転移性の癌の症例において、治療効果の判定や予後予測因子としての有用性が認められており、例えば、米国Veridex社の開発した乳癌、大腸癌などの領域の検出系のCellSearch(登録商標)システムが知られている。CellSearch(登録商標)システムでは、抗EpCAM抗体固定化磁気ビーズを利用してCTCを濃縮分取した後、免疫染色法にてCTCを同定することで、サンプル中のCTCを計数する(例えば、非特許文献1を参照)。

0003

また、癌細胞がウロキナーゼ(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(uPA))とその受容体(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体(uPAR))を発現していることに鑑みて、ウロキナーゼ活性指標にし、CTCを簡便かつ精度よく検出し回収する循環癌細胞の検出方法が知られている(特許文献1を参照)。

0004

特開2014−39480号公報

先行技術

0005

Riethdorf S et al., Detection of circulating tumor cells in peripheral blood of patients with metastatic breast cancer: a validation study of the CellSearch system. Clin Cancer Res. 2007 Feb 1;13(3):920-8.

発明が解決しようとする課題

0006

上述したCellSearch(登録商標)システムでは、癌細胞表面に発現するEpCAM上皮細胞表面分子)に対する抗EpCAM抗体固定化磁気ビーズを利用して、CTCを濃縮している。具体的には、ナノ鉄粒子にEpCAMに対する抗体を結合された磁性粒子により、血液中の多くの細胞から特異的に上皮細胞を分離する。分離された上皮細胞に蛍光標識したサイトケラチンモノクローナル抗体を反応させ、それと共に蛍光性のDNA染色物質細胞核を染色する。また、白血球をCTCと識別するために、蛍光標識したCD45抗体を反応させる。その後、CTCの反応溶液は、磁石を固定したカートリッジ中に移される。磁石の発する磁力によりCTCがカートリッジ上面に移動する。カートリッジ上面の蛍光発色状況を示す蛍光画像データ解析する。

0007

このように、CellSearch(登録商標)システムでは、CTCを濃縮、上皮細胞を特異的に分離、血中に浮遊するCTCを磁石で誘導して蛍光発色させることから、検出方法や検出装置が複雑になる。
かかる状況に鑑みて、本発明は、末梢循環癌細胞を簡便かつ精度良く検出できる検出方法および検出装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、末梢血から分離したリンパ球層を細胞培養したものの培養容器の底部に付着する付着細胞について鋭意研究した結果、細胞培養後に付着細胞を用いて末梢循環癌細胞を簡便かつ精度良く検出できることを知見した。

0009

すなわち、本発明の末梢循環癌細胞の検出方法は、生体試料中の循環癌細胞を検出する方法であって、下記(a)〜(d)の工程を備える。
(a)末梢血からリンパ球を分離する分離工程
(b)分離された末梢血リンパ球層を培養液で培養する培養工程
(c)培養後、培養容器の底に付着した細胞に免疫染色する免疫染色工程
(d)免疫染色工程により得られた染色細胞観察画像に基づいて生体試料中の循環癌細胞を検出する検出工程

0010

ここで、上記(c)の免疫染色工程は、抗EMA(Epithelial Membrane Antigen)抗体を用いて染色することがより好ましい。抗EMA抗体を使用して免疫染色を行って得られた結果は、解析データ特異度が低く、感度が高いことから、結果的に検査カットオフ(Cut off)値を下げたことに等しく、スクリーニングテストとして利用できるからである。

0011

上記(b)の培養工程に用いる培養容器と、上記(c)の免疫染色工程に用いる免疫染色容器同一容器であり、培養後、培養容器から上澄み液を排出して底に付着した細胞だけを残し、培養容器に免疫染色させる抗体を注入することが好ましい。より簡便に検出できるからである。

0012

また培養液は、少なくとも1000U/mlのインターロイキン−2(IL−2)を含有することでも良い。末梢血リンパ球層を培養する培養液は、経験的に少なくとも1000U/mlのインターロイキン−2を含有するものが良い。
上記(b)の培養工程は、48〜72時間培養することが良い。48時間未満の培養では、経験的に循環癌細胞を検出することは困難であり、また72時間を超えた培養では、循環癌細胞が自然消滅アポトーシス)してしまうからである。

0013

上記(a)の分離工程の後、分離された末梢血リンパ球層を、抗CD3抗体と抗CD161抗体の少なくとも何れかを用いて固相化することでも良い。通常、細胞培養は、抗CD3抗体や抗CD161抗体などで固相化されているフラスコを用いて行うためである。抗CD3抗体と抗CD161抗体の何れかを用いて固相化させることにより、末梢血リンパ球層に含まれる細胞が増殖および活性化する。固相化させる処理は、特に限定されるものではなく、適宜選択することが可能である。

0014

また、本発明の癌患者健常者スクリーニングする方法は、上述した本発明の末梢循環癌細胞の検出方法における上記(d)の検出工程において、観察画像内の染色細胞の個数に基づいて判定する。観察画像内の染色細胞の個数によって、グレードに分けて判定する。

0015

次に、本発明の末梢循環癌細胞の検出装置について説明する。
本発明の末梢循環癌細胞の検出装置は、末梢血からリンパ球を分離する分離手段と、分離された末梢血リンパ球層を培養液で培養する培養手段と、培養容器の底に付着した細胞に免疫染色する免疫染色手段と、得られた染色細胞の観察画像に基づいて生体試料中の循環癌細胞を検出する検出手段とを備える。
免疫染色手段は、抗EMA(Epithelial Membrane Antigen)抗体を用いて染色することが好ましい。また、培養手段に用いる培養容器と、免疫染色手段に用いる免疫染色容器が同一容器であることが好ましい。培養後、培養容器から上澄み液を排出して底に付着した細胞だけを残し、培養容器に免疫染色させる抗体を注入することができ、より簡便な検出装置となる。
培養液は、少なくとも1000U/mlのインターロイキン−2(IL−2)を含有しても良い。また、分離された末梢血リンパ球層を、抗CD3抗体と抗CD161抗体の少なくとも何れかを用いて固相化しても良い。

発明の効果

0016

本発明の末梢循環癌細胞の検出方法および検出装置によれば、末梢循環癌細胞を簡便かつ精度良く検出できるといった効果がある。

図面の簡単な説明

0017

本発明の末梢循環癌細胞の検出フロー
本発明の末梢循環癌細胞の検出フロー図(固相化工程を含む)
卵巣癌患者のEMA陽性細胞電子顕微鏡写真
卵巣癌患者のEMA陽性細胞電子顕微鏡写真2
健常者のEMA陽性細胞電子顕微鏡写真1
健常者のEMA陽性細胞電子顕微鏡写真2

発明を実施するための最良の形態

0018

以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。

0019

本発明の末梢循環癌細胞の検出方法は、図1フローに示すように、末梢血からリンパ球を分離する分離工程(ステップS1)と、分離された末梢血リンパ球層を培養液で培養する培養工程(ステップS3)と、培養後、培養容器の底に付着した細胞に免疫染色する免疫染色工程(ステップS5)と、免疫染色工程により得られた染色細胞の観察画像に基づいて生体試料中の循環癌細胞を検出する検出工程(ステップS7)とから成る。

0020

具体的に、分離工程(ステップS1)では、生体試料の末梢血30mlからリンパ球分離液比重1.077±0.001)でリンパ球層を分離する。
培養工程(ステップS3)では、75cm2プラスチックフラスコの中で、RPMI1640,IMDM基盤とした培養液に、1000U/mlのIL−2を含有させたリンパ球培養液を調製したものを用いて、5%CO2、37℃のインキュベータにて48〜72時間培養する。なお、低濃度のIL−2よりも1000U/mlのIL−2を含有させることにより、細胞の増殖率及び活性度を向上させる。IL−2は細胞の増殖及び活性化に影響を与えることが知られているサイトカイン(細胞から遊離される免疫物質)であり、人工的にも合成できる。
免疫染色工程(ステップS5)では、培養後、上澄み液を破棄し、フラスコの底に付着した細胞をセルスクレーパーで剥離した後、95%エタノールで固定し、常温にて免疫染色を行う。
検出工程(ステップS7)では、免疫染色工程で得られた標本に対して、前処理として内因性ペルオキシダーゼブロッキングを5分間行った後、後述する6種類の抗体を20分間、DAB発色試薬を4分間、ヘマトキシリン染色を1分間行って、顕微鏡下で観察する。

0021

ここで、図2のフローに示すように、分離工程(ステップS1)の後、分離されたリンパ球層を、抗CD3抗体と抗CD161抗体の少なくとも何れかを用いて固相化する固相化工程(ステップS2)を付加しても構わない。
固相化工程(ステップS2)では、抗CD3抗体または抗CD161抗体、或は、抗CD3抗体および抗CD161抗体を用いる。

0022

なお、末梢循環癌細胞の検出方法において、反応に用いた試薬ブロッキング試薬ポリマー試薬、DAB発色試薬、洗浄液(EnvisionFLEXキット)は、Dako社製を使用した。また、ヘマトキシリンは、マイヤーのヘマトキシリンを自家調整し使用した。

0023

そして、免疫染色工程(ステップS5)で用いる抗体は、Dako社製の希釈済み抗EMA抗体、抗CEA抗体、抗CKAE1/AE3)抗体、抗Ki−67抗体、抗CD20(L−26)抗体、或は、抗CD45RO抗体の何れかを使用し、染色は自動免疫染色装置を用いて行った。下記表1は、免疫染色に使用した6種類の抗体について、癌細胞の系譜臨床的意義を示している。

0024

0025

以下の実施例では、本発明の末梢循環癌細胞の検出方法の有用性を示すために実施した実験の結果について説明する。以下の実施例では、図2のフローに示すように、末梢血30mlからリンパ球分離液で分離したリンパ球層を、抗CD3抗体および抗CD161抗体で固相化したフラスコの中で培養している。
抗CD3抗体としてUCTH−1(BDバイオサイエンス社製)、抗CD161抗体として191.B8(イムノテック社製)を用いた。固相化培養容器の作製は、底部の内表面積が75cm2のフラスコに抗CD3抗体および抗CD161抗体で固相化処理を施して固相化されたフラスコを作製した。固相化処理は、1μg/mlに調整した抗CD3抗体をフラスコに注入し、24時間室温にて静置した後、余分な抗体をリン酸緩衝液で洗い流すことにより行なった。次に、10μg/mlになるように調整した抗CD161抗体をフラスコに注入し、さらに24時間室温にて静置した後、5℃の冷蔵庫に保存し、使用時に余分な抗体をリン酸緩衝液で洗い流して使用した。
なお、図1のフローに示すように、分離されたリンパ球層を抗CD3抗体および抗CD161抗体で固相化する工程を含めずとも良い。

0026

実施例1では、免疫染色工程(ステップS5)において抗EMA抗体を使用して免疫染色を行った結果について説明する。

0027

被験者選定方法
被験者の選定方法としては、初めに対象者を決めるのではなく、まず正解を調べて、癌患者と健常者を、それぞれ37名(内、男性22名、女性15名)、33名(内、男性15名、女性18名)、計70名(男性37名、女性33名)を選び出した。

0028

表2は、癌患者検体37名(検体名P1〜P37)について、それぞれ年齢性別、癌の種類、病期(Stage)、免疫染色の結果(Positive:陽性、又は、Negative:陰性)、免疫染色の解析結果による判定グレード(0〜3)を示している。
表2に示すように、癌の種類は、肝臓癌、乳癌、胃癌膵臓癌食道癌肺癌直腸癌肝細胞癌、大腸癌、悪性リンパ腫など多岐に及んでいる。
また表3は、健常者検体33名(検体名N1〜N33)について、それぞれ年齢、性別、免疫染色の結果(Positive:陽性、又は、Negative:陰性)、免疫染色の解析結果による判定グレード(0〜3)を示している。

0029

0030

0031

抗EMA抗体を使用して免疫染色を行って得られた結果を、下記の表4,表5に示す。
表4において、真陽性真陰性偽陽性および偽陰性の用語の定義は以下の通りである(本明細書中における他の表中の表記および文中の表記も同様)。
・真陽性:検査で正しく陽性であった人(本当はその病気の人:癌患者)
・真陰性:検査で正しく陰性であった人(本当はその病気でない人:健常者)
・偽陽性:本当はその病気でない人で検査陽性と判定された人
・偽陰性:本当はその病気の人で検査陰性と判定された人

0032

また表5において、感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率および正診率の用語の定義は以下の通りである(本明細書中における他の表中の表記および文中の表記も同様)。
・感度:被験者を正しく陽性と言えた割合
・特異度:非病者を正しく陰性と言えた割合
・陽性適中率:陽性者が正しく病気であった割合
・陰性適中率:陰性者が正しく非病気であった割合
・正診率:総数のうち正しかった割合

0033

ここで、感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率および正診率の5つは、通常診断精度として用いられる指標である。陽性率および有病率診断精度の指標ではないが、データを解釈するうえで重要な指標である。表5中には、それぞれの指標の算出式を示している。
感度が高ければ陽性者(有病者)の見落としが少なく、診断確率が高い検査である。一方、特異度が高ければ、見落とし(偽陽性者)が少ない検査である。すなわち、陽性適中率の高い検査で陽性と出ればその病気である可能性が極めて高く、陰性適中率の高い検査で陰性と出ればその病気は略否定できることになる。

0034

0035

0036

上記表4に示すように、癌患者については陽性(真陽性)が28人,陰性(偽陰性)が9人であり、健常者については陽性(偽陽性)が17人,陰性(真陰性)が16人であるという結果となった。
また上記表5に示すように、特異度は48%と低いものの、感度が76%と高く、陽性適中率は62%であるという結果となった。抗EMA抗体を使用して免疫染色を行って得られた結果は、解析データの特異度は低く、感度が高いことから、結果的に検査のカットオフ(Cut off)値を下げたことに等しく、スクリーニングテストとして利用できることがわかる。なお、逆に、解析データの特異度が高く、感度が低い場合、データのカットオフ(Cut off)値が高くなるので治療を開始する目的の検査として利用することができる。

0037

ここで、抗EMA抗体で染色された細胞の系譜について説明する。抗EMA抗体は、上皮性腫瘍細胞以外に、骨髄中の形質細胞を染色することがある。健常者では骨髄形質細胞が末梢血中に出現することはないので、検査で発現した健常者のEMA陽性細胞が形質細胞であったという可能性は排除できる。癌患者で末梢血中にEMA陽性細胞がみられる疾患としては、ホジキン病(H&L細胞)と未分化大細胞型リンパ腫(T細胞系細胞)があるが、今回これらの患者については検査していない。これらの理由から、抗EMA抗体で染色された細胞は、上皮性腫瘍細胞あるいは上皮性由来の異常細胞と考えて良いと判断した。

0038

次に、細胞を培養する培養工程(ステップS3)において、培養液の組成によって、EMA陽性細胞の発現に影響があるのか否かについて、健常者4名の細胞を用いて調べた結果について説明する。
1名はEMA陽性細胞が陰性、他の3名はEMA陽性細胞が発現した被験者を選び、RPMI1640,IMDMを基盤とした培養液を用いて、EMA陽性細胞の発現について比較した。培養は、抗CD3抗体および抗CD161抗体で固相化処理したフラスコを使用して行った。比較結果を下記表6に示す。表6から、培養液の組成によって、EMA陽性細胞の発現に影響が無いことがわかる。

0039

0040

上述の如く、本実施例では、図2のフローに示すように、末梢血30mlからリンパ球分離液で分離したリンパ球層を、抗CD3抗体および抗CD161抗体で固相化したフラスコの中で培養している。これは、通常、細胞培養は、抗CD3抗体および抗CD161抗体で固相化されているフラスコを用いて行うためである。固相化工程(ステップS2)の有無が、EMA陽性細胞の発現に影響を与えるか否かについて調べた。
実験は、抗CD3抗体および抗CD161抗体で抗体処理を行ったフラスコと、抗体処理をしていないフラスコとを用いて、同時に細胞を培養後、EMA免疫染色を実施した。下記表7に示すように、抗体で固相化処理しなかったフラスコで培養してもEMA陽性細胞が発現し、抗体の固相化処理とは無関係であった。すなわち、抗体で固相化していない未処理のフラスコを使用して細胞を培養しても、EMA陽性細胞の発現に影響を与えず、固相化工程(ステップS2)の有無は、EMA陽性細胞の発現に影響を与えないことがわかった。

0041

0042

次に、本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法の再現性を調査した。下記表8に示すように、健常者5名、癌患者7名の計12名を選出し、EMA免疫染色の再現性を調査した。2回目、3回目の検査は、1回目の検査終了後、1〜2か月後に実施した。表8に示すように、1例(P2)を除く11例で再現性が認められた。表8の結果は、本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法の再現率は92%(11/12)であることを示している。

0043

0044

本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法の結果について、他の方法で測定した結果と比較した。比較は、EMA陽性細胞の被験者の検体をCellSearch(登録商標)システム(米国Veridex社の開発した乳癌、大腸癌などの領域の検出系システム)によって測定することにより行った。下記表9に示したごとく、EMA染色で得られた結果とCellSearch(登録商標)システムで得られた検査結果は一致した。このことは、本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法が、CellSearch(登録商標)システムの測定感度に劣らないことを示している。

0045

0046

次に、EMA陽性細胞の電子顕微鏡写真について説明する。図3および図4は、卵巣癌患者のEMA陽性細胞の電子顕微鏡写真である。図3および図4に観察される細胞は、全体にN/C比が高く、ミトコンドリアなどの形成が観察されるものの、ゴルジ野などの他の細胞質内小器官の形成に乏しい。また核小体の形成が目立つ。細胞間接着装置の形成を認め難い一方、細胞質突起による接着示唆される。細胞系譜の特定は困難であるが何らかの腫瘍細胞推定できる。

0047

一方、図5および図6は、健常者のEMA陽性細胞の電子顕微鏡写真である。図5および図6では、少数ながらN/C比が高く、核小体の目立つ異型細胞が観察される。一部で細胞相互の接着像が認められるが、細胞間接着装置の発達に乏しい。ミトコンドリアなどの細胞内小器官の発育も比較的乏しいものといえる。
上記の観察結果から、癌患者、健常者に発現したEMA陽性細胞は、細胞系譜の特定は困難であるものの、何らかの腫瘍細胞あるいは異型細胞と推察できる。下記表10は、卵巣癌患者と健常者のEMA陽性細胞の電子顕微鏡写真による観察結果の比較を纏めたものである。

0048

0049

ここで、EMA陽性細胞が非腫瘍性間質細胞の可能性について検討した結果を説明する。間質細胞には、免疫細胞炎症性細胞内皮細胞線維芽細胞周皮細胞がある。このうち、EMA陽性細胞が間質細胞であったかどうか疑問を解いておく必要がある。特に、血液中の免疫細胞、炎症性細胞、内皮細胞であるか否かについてである。先ず、炎症性細胞には、好中球と形質細胞があるが、好中球は免疫染色によって非特異的にCEA陽性となることはあるが、EMA陽性にはならない。また形質細胞は、ホジキン病や未分化大細胞型リンパ腫患者の末梢血に発現するが、健常者の末梢血には発現しない。ホジキン病および未分化大細胞型リンパ腫患者の疾患の患者については、今回被験者から除外されているので、形質細胞であった可能性は除外できる。また、骨髄中の形質細胞が希にEMA陽性になることがあるが、形質細胞は通常、健常者の末梢血中に現れることはないのでこの可能性も排除できる。
次に、免疫細胞である。末梢血中に胸腺上皮細胞から発生した非腫瘍性の未熟なT細胞が出現することがある。しかし、非腫瘍性の未熟なT細胞は、健常者には認められず、胸腺腫患者の末梢血中に現れる。胸腺腫患者についても、今回被験者から除外されているので、免疫細胞である可能性も除外できる。

0050

ところで、内皮細胞、線維芽細胞、あるいは周皮細胞が、末梢血EMA陽性細胞として発現した可能性はないのかという問題が残る。問題となるのが、採血時に針の穴に混入する可能性のある血管内皮細胞、皮下に存在する線維芽細胞、周皮細胞である。これらの可能性を調べるために、採血時に最初の2mlを廃棄した末梢血と、廃棄しない末梢血とを培養して比較した。

0051

下記表11に示すように、採血時に2ml廃棄した末梢血中にも、2ml廃棄しなかった末梢血と同様にEMA陽性細胞が発現した。このことから、検出されたEMA陽性細胞は、採血時に針の穴に混入した血管内皮細胞、線維芽細胞、周皮細胞であるという可能性を排除することができる。
以上のことから、末梢血中に存在するEMA陽性細胞は、上皮系細胞と考えられるのである。

0052

0053

次に、本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法における観察画像内の染色細胞の個数により、癌患者と健常者をスクリーニング判定する方法について説明する。
判定はGradeで行い、例えば、Gradeは下記表12のように定める。すなわち、Grade0とは、EMA陽性細胞が0個の場合であり、この場合、癌や癌転移心配は少ないが定期的な癌検診を受けることを勧めるものである。また、Grade1とは、EMA陽性細胞が1個出現の場合であり、癌の確率は低いが、癌検診を勧めるものである。この場合、将来的に癌に対する注意が必要である。また、Grade2とは、EMA陽性細胞が数個の場合であり、目に見えない小さな癌の存在の可能性が考えられ、癌の精密検査を受けることを勧めるものである。さらに、Grade3とは、EMA陽性細胞数が5%よりも多い場合であり、この場合、どこかに癌が存在している確率が高いので、できるだけ早期に癌の精密検査を受けることを勧めるものである。なお、EMA陽性細胞数が5%よりも多い場合であれば、EMA陽性細胞数が10%であれ30%であれ、数的な要素は考慮しないで良いとして構わない。

0054

0055

本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法の検出結果の解釈において、癌患者のEMA陽性細胞に対し、健常者のEMA陽性細胞が必ずしも癌細胞でないということはあり得る。その理由の一つとして、EMA陽性細胞が発現した健常者で、現在、癌を発症している例はない。また、これを証明するためにEMA細胞陽性の一部の健常者において、PET−CT検査、腫瘍マーカー測定を実施した結果、現在のところ、癌などの異常を発見された人はいない。その反面、EMA陽性細胞が認められた癌患者においては、癌の転移や再発が有意(76%、真陽性28/病者数37)であり、癌患者におけるEMA陽性細胞は、癌細胞そのものをとらえている可能性が高いといえる。

0056

EMA陽性細胞が発現した患者のうち、上述のCellSearch(登録商標)システムの測定結果でも、癌細胞の存在が認められている2症例(検体No=P2,P10)については、EMA陽性細胞の発現と、癌の再発や転移との関連性が推察できる。このことは転移能を持ったEMA陽性細胞の存在が予後(再発、転移)に結び付くという可能性を示唆している。癌患者のEMA陽性細胞は、癌転移能が高く、再発に関与し、健常者のEMA陽性細胞は、造腫瘍形成能が低いという可能性が考えられる。すなわち、癌患者に発現するEMA陽性細胞は、転移性のある癌細胞であり、健常者に発現するEMA陽性細胞は、将来、癌を発症させる可能性を有する分裂の遅い癌幹細胞の可能性が考えられる。また、上述したように、卵巣癌患者とEMA細胞陽性の健常者の培養細胞とを、電子顕微鏡で観察した結果からもその可能性が推察できる(図3〜6を参照)。

0057

また、検査時点において転移や再発の認められない癌患者であっても、検査後、EMA陽性細胞が確認されることによって、癌の転移や再発の確率が高くなるという可能性も考えられる。今後、癌患者や健常者におけるEMA陽性細胞が、確実に癌細胞なのか、あるいは癌幹細胞なのかを詳細に同定する必要がある。
細胞培養中に、EMA陽性細胞が1個あるいは2個見つかった場合、それが本当に転移や再発の癌発症として成立するのかどうかは極めて重要なことである。たとえ、そのような細胞が末梢血中に100個出現しても、培養している間に99個が死んでしまう可能性もある。癌細胞が末梢血中に1万とか10万とか100万とかあって、そのうちの1個か2個で癌の転移が成立するかという確率の問題にもなる。末梢血中に発現した癌細胞は、1時間から2時間40分くらいで自然消滅(アポトーシス)するという報告もある。

0058

人体の中では1日に3000〜4000個の癌細胞もしくは異常細胞が生み出されていると言われている。しかし、これらの細胞は免疫細胞によって排除されたり、自然消滅(アポトーシス)したりして、癌の発症が抑制されている。体内でこれらの細胞が1個でも2個でも残っていた場合、培養という条件と違い、生体内で癌が発症しないと100%否定することはできない。

0059

一方、健常者では、末梢血中にEMA陽性細胞のような上皮性細胞が存在することは考えられない。EMA陽性細胞が健常者においても52%(上記表4における偽陽性17/非病者数33)の人に出現するという現象は、現在いわれているようにともに日本人の2人に1人が一生の内に癌と診断されるということを裏付けているのかもしれない。厚生労働省の2010年の試算では、生涯で癌にかかる確率は、男性60%、女性45%である。本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法の場合でも、健常者33名(男性15名、女性18名)の内、EMA陽性細胞が出現した人は、男性9名(60%;9/15)、女性8名(44%;8/18)であり、厚生労働省の試算と一致していることは興味深い。

0060

実施例2の末梢循環癌細胞の検出方法では、免疫染色工程(ステップS5)において、抗EMA抗体の替わりに、抗CEA抗体を使用して免疫染色を行った結果について説明する。抗CEA抗体は、大腸乳房肝臓膵臓などの腺癌細胞を特異的に染色するので、上記表2に示す検体の癌の種類と癌細胞の系譜から、肺癌、膵臓癌、大腸癌、胃癌などの腺癌患者を選出し、症例数について実施例1の70例(癌患者と健常者がそれぞれ37名、33名)から、52例(癌患者と健常者がそれぞれ30名、22名)に絞った。
抗CEA抗体を使用して免疫染色を行って得られた結果を、下記の表13,表14に示す。なお、表中の用語や指標については、実施例1で説明したものと同じである。

0061

0062

0063

上記表13に示すように、癌患者については陽性(真陽性)が10人,陰性(偽陰性)が20人であり、健常者については陽性(偽陽性)が3人,陰性(真陰性)が19人であるという結果となった。
また上記表14に示すように、特異度は86%と高いが、感度が33%と低く、また陽性適中率は77%であるという結果となった。抗CEA抗体を使用して免疫染色を行って得られた結果は、解析データの特異度が高く、感度が低いことから、結果的に検査のカットオフ(Cut off)値が高くなるので、実施例1に示す抗EMA抗体を用いて免疫染色する場合とは異なり、癌の治療を開始するか否かの判断のための検査として利用できることがわかる。
上記の結果から、癌の治療を開始するか否かの判断のための検査として使える可能性があるが、抗CEA抗体は、大腸、肺、乳房、肝臓、膵臓などの腺癌細胞を特異的に染色する一方で、しばしば炎症時に現れる好中球も非特異的に染色する。そのため、実施例2の末梢循環癌細胞の検出方法、すなわち抗CEA抗体による免疫染色は、検査における抗体の特異性という観点からみると実施例1の末梢循環癌細胞の検出方法と比べて劣ることになる。

0064

実施例3の末梢循環癌細胞の検出方法では、免疫染色工程(ステップS5)において、抗EMA抗体によるEMA免疫染色の結果と、抗CEA抗体によるEMA免疫染色の結果とを同時に使用して、指標の精度を向上できるか否かについて調べた結果について説明する。
症例数について実施例1の70例(癌患者と健常者がそれぞれ37名、33名)から、57例(癌患者と健常者がそれぞれ35名、22名)に絞った。
抗EMA抗体によるEMA免疫染色の結果と、抗CEA抗体によるEMA免疫染色の結果とを同時に使用して得られた判定結果を、下記の表15,表16に示す。なお、表中の用語や指標については、実施例1で説明したものと同じである。

0065

0066

0067

上記表15に示すように、癌患者については陽性(真陽性)が6人,陰性(偽陰性)が29人であり、健常者については陽性(偽陽性)が2人,陰性(真陰性)が20人であるという結果となった。
また上記表16に示すように、特異度は91%と非常に高いが、感度が17%と非常に低く、正診率が46%と5割を下回る結果となった。このことから、抗EMA抗体によるEMA免疫染色の結果と、抗CEA抗体によるEMA免疫染色の結果とを同時に使用して判定することは適当でないことがわかったが、更なるデータの蓄積によって、有用性を見出せる可能性はある。

0068

実施例4の末梢循環癌細胞の検出方法では、免疫染色工程(ステップS5)において、抗EMA抗体の替わりに、抗CK(AE1/AE3)抗体を使用して免疫染色を行った結果について説明する。抗CK(AE1/AE3)抗体は、上皮性腫瘍細胞増殖活性細胞を特異的に染色する。症例数は30例(癌患者と健常者がそれぞれ19名、11名)である。なお、癌患者は、癌の種類に関係なく無作為に選出した。
抗CK(AE1/AE3)抗体を使用して免疫染色を行って得られた結果を、下記の表17,表18に示す。なお、表中の用語や指標については、実施例1で説明したものと同じである。

0069

0070

0071

上記表17に示すように、癌患者については陽性(真陽性)が16人,陰性(偽陰性)が3人であり、健常者については陽性(偽陽性)が9人,陰性(真陰性)が2人であるという結果となった。
上記表18に示すように、感度が84%と高いが、特異度は18%と非常に低く、感度との相関も認められなかった。そのため、現時点の結果からは、本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法、すなわち抗CK(AE1/AE3)抗体による免疫染色を使用して判定することは適当でないことがわかったが、更なるデータの蓄積によって、有用性を見出せる可能性はあろう。

0072

実施例5の末梢循環癌細胞の検出方法では、免疫染色工程(ステップS5)において、抗EMA抗体の替わりに、抗Ki−67抗体を使用して免疫染色を行った結果について説明する。抗Ki−67抗体は、細胞増殖活性細胞を特異的に染色する。症例数は15例(癌患者と健常者がそれぞれ8名、7名)である。なお、癌患者は、癌の種類に関係なく無作為に選出した。
抗Ki−67抗体を使用して免疫染色を行って得られた結果を、下記の表19,表20に示す。なお、表中の用語や指標については、実施例1で説明したものと同じである。

0073

0074

0075

上記表19に示すように、癌患者については陽性(真陽性)が6人,陰性(偽陰性)が2人であり、健常者については陽性(偽陽性)が5人,陰性(真陰性)が2人であるという結果となった。
上記表20に示すように、感度が75%と高いが、特異度は29%と低く、感度との相関も認められなかった。そのため、現時点の結果からは、本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法、すなわち抗Ki−67抗体による免疫染色を使用して判定することは適当でないことがわかったが、更なるデータの蓄積によって、有用性を見出せる可能性はあろう。

0076

実施例6の末梢循環癌細胞の検出方法では、免疫染色工程(ステップS5)において、抗EMA抗体の替わりに、抗CD20(L−26)抗体を使用して免疫染色を行った結果について説明する。抗CD20(L−26)抗体は、細胞増殖活性細胞を特異的に染色する。症例数は3例(癌患者と健常者がそれぞれ1名、2名)である。なお、癌患者は、多発性骨髄腫の患者を選出した。
抗CD20(L−26)抗体を使用して免疫染色を行って得られた結果を、下記の表21,表22に示す。なお、表中の用語や指標については、実施例1で説明したものと同じである。

0077

0078

0079

上記表21に示すように、癌患者については陽性(真陽性)が1人,陰性(偽陰性)が0人であり、健常者については陽性(偽陽性)が2人,陰性(真陰性)が0人であるという結果となった。
症例数が不足しているため、上記表22に示すように、感度が100%、特異度が0%となった。そのため、現時点の結果からは、本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法、すなわち抗CD20(L−26)抗体による免疫染色を使用して判定することは適当でないことになるが、更なるデータの蓄積によって、有用性を見出せる可能性は十分に残されている。

0080

実施例7の末梢循環癌細胞の検出方法では、免疫染色工程(ステップS5)において、抗EMA抗体の替わりに、抗CD45RO抗体を使用して免疫染色を行った結果について説明する。抗CD45RO抗体は、T細胞リンパ球腫成熟T細胞を特異的に染色する。症例数は13例(癌患者と健常者がそれぞれ10名、3名)である。なお、癌患者は、癌の種類に関係なく無作為に選出した。
抗CD45RO抗体を使用して免疫染色を行って得られた結果を、下記の表23,表24に示す。なお、表中の用語や指標については、実施例1で説明したものと同じである。

0081

0082

0083

上記表23に示すように、癌患者については陽性(真陽性)が10人,陰性(偽陰性)が0人であり、健常者については陽性(偽陽性)が3人,陰性(真陰性)が0人であるという結果となった。
本実施例も、上記表24に示すように、感度が100%、特異度が0%となった。そのため、現時点の結果からは、本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法、すなわち抗CD45RO抗体による免疫染色を使用して判定することは適当でないことになるが、症例数が不足していることも考えられ、更なるデータの蓄積によって、有用性を見出せる可能性は十分に残されている。

0084

ベイズの定理を用いたデータ解析について)
本実施例の末梢循環癌細胞の検出方法の検出精度について、データをベイズの定理によって解析した。ベイズの定理を用いる際、有病率は事前確率とし、陽性適中率は事後確率とした。これは、検査前には病気である確率(有病率)だったのが、検査陽性であるとわかった後は、病気である確率(陽性適中率)にまで上昇することを示している。
ここで、データの計算は、下記表25に示す計算式に従って実施した。表25中、尤度比は、感度と特異度を組み合わせた指標で、検出精度の指標として用いられるものであり、感度、特異度、尤度比、ROC(Receiver Operating Characteristic)曲線は有病率に依存しないものとした。

0085

計算によって得られたEMA免疫染色による判定、CEA免疫染色による判定、EMA免疫染色とCEA免疫染色を同時に用いて判定(EMA+CEA)したときの検出精度を下記表26に示す。
表26の結果から解るように、感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率、正診率、および尤度比から、EMA免疫染色がスクリーニングテストとして最も適当である。

0086

0087

0088

本発明は、健常者には癌の早期発見のためのスクリーニング検査用の検出装置として、癌患者には手術後の再発検査用装置として、また、抗癌剤放射線治療あるいは癌免疫療法の効果の判定装置として有用である。

0089

1EMA陽性細胞

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