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技術 誘導型がん幹細胞

出願人 国立大学法人神戸大学
発明者 青井貴之大嶋野歩山田泰広小川裕行石田諒
出願日 2015年6月23日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2016-529607
公開日 2017年4月27日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 WO2015-199088
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物、その培養処理
主要キーワード 背部両側 特定系列 異形細胞 形成個数 対称分 舌がん 紡錘形 スクレイパー
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、以下の工程:(a) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子がん細胞に導入する工程;および(b) 工程(a)により得られた細胞を胚性ES)細胞の維持培養条件以外の条件で培養する工程;を含む、がん幹細胞を製造する方法;並びに、以下の特徴:(a)外来性のOct3/4、Sox2およびKlf4をコードする核酸を含む;(b) CD133、CD44、CD26、ABCG2およびLGR5が陽性である;および(c) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制することに有効である濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する;を有するがん幹細胞を提供する。

概要

背景

がん幹細胞は、高頻度で生じる治療薬耐性や高い再発率の原因となっており、様々ながん患者の予後不良に関与することが明らかとなってきている(Clevers H. et al., Nat Med. 17 (3): 313-319 (2011))。したがって、がん幹細胞は、有力な治療の標的と考えられている。がん幹細胞を標的とする新規治療法を開発するためには、がん幹細胞における幹細胞性の獲得の背後にある分子メカニズムを明らかにすることが重要である。しかしながら、がん幹細胞は、がん細胞組織において極めて少数細胞集団を形成しているに過ぎず、その結果として、がん幹細胞を同定して回収することが極めて困難なものとなっている。したがって、インビトロでがん幹細胞を作製し、それらの性質を調べることが、この問題を克服するための重要な方法であると考えられる。

近年、Yamanakaらは、マウスおよびヒト由来線維芽細胞に、Oct3/4, Sox2, Klf4およびc-Myc遺伝子を導入し強制発現させることによって、iPS細胞誘導できることを示した(WO 2007/069666、Takahashi, K. and Yamanaka, S., Cell, 126: 663-676 (2006)およびTakahashi, K. et al., Cell, 131: 861-872 (2007))。一方、RYOらは、非がん細胞である不死化乳腺上皮細胞に、Oct3/4, Sox2, Klf4およびc-Myc遺伝子を導入し強制発現させることによって、インビトロでがん幹細胞様の細胞を作製したことを開示している(WO 2012/165287)。

しかし、インビトロでのがん幹細胞の作製に関する知見は未だ十分なものとは言えず、天然のがん幹細胞とより近い性質を有するがん幹細胞を作製する手法の開発が望まれている。

概要

本発明は、以下の工程:(a) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子をがん細胞に導入する工程;および(b) 工程(a)により得られた細胞を胚性ES)細胞の維持培養条件以外の条件で培養する工程;を含む、がん幹細胞を製造する方法;並びに、以下の特徴:(a)外来性のOct3/4、Sox2およびKlf4をコードする核酸を含む;(b) CD133、CD44、CD26、ABCG2およびLGR5が陽性である;および(c) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制することに有効である濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する;を有するがん幹細胞を提供する。

目的

しかし、インビトロでのがん幹細胞の作製に関する知見は未だ十分なものとは言えず、天然のがん幹細胞とより近い性質を有するがん幹細胞を作製する手法の開発が望まれている

効果

実績

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請求項1

がん幹細胞を製造する方法であって、下記の工程:(a) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子をがん細胞に導入する工程、および(b) 工程(a)により得られた細胞を胚性ES)細胞の維持培養条件以外の条件で培養する工程を含み、前記工程(b)により得られた細胞集団は、Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のATP結合カセット(ABC)トランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する細胞を含有することを特徴とする、方法。

請求項2

以下の工程(c)をさらに含む、請求項1に記載の方法:(c)工程 (b)により得られた細胞から、Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する細胞を抽出する工程。

請求項3

前記薬剤排除能がHoechst33342を排除する能力である、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記ABCトランスポーター阻害剤が、ベラパミルである、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度が50μM以上、250μM未満である、請求項4に記載の方法。

請求項6

がん幹細胞を製造する方法であって、下記の工程:(a) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子をがん細胞に導入する工程、(b) 工程(a)により得られた細胞を胚性幹(ES)細胞の維持培養条件以外の条件で培養する工程、(c) 工程(b)により得られた細胞をトリプシンで処理する工程、および(d) 工程(c)により解離しなかった細胞をがん幹細胞として取得する工程を含む方法。

請求項7

前記トリプシンの処理が、0.25%トリプシンで5分間以上の処理である、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記がん細胞が、ヒト由来のがん細胞である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

請求項1から8のいずれか1項に記載の方法により作製されたがん幹細胞。

請求項10

下記の特徴を有する、がん幹細胞:(a)外来性のOct3/4、Sox2およびKlf4をコードする核酸を含み、(b) CD133、CD44、CD26、ABCG2およびLGR5が陽性であり、および(c) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する。

請求項11

前記薬剤排除能がHoechst33342を排除する能力である、請求項10に記載の細胞。

請求項12

前記ABCトランスポーター阻害剤が、ベラパミルである、請求項10または11に記載の細胞。

請求項13

前記薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度が50μM以上、250μM未満である、請求項12に記載の細胞。

請求項14

前記がん幹細胞が、大腸がん幹細胞である、請求項10から13のいずれか1項に記載の細胞。

請求項15

以下の工程を含む、抗がん剤スクリーニングする方法。(1)請求項9から14のいずれか1項に記載の細胞と候補薬剤とを接触させる工程、(2)Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する細胞数を測定する工程、および(3)工程(2)で測定された細胞数が、候補薬剤と接触させなかったときの細胞数より減少した場合、当該候補薬剤を抗がん剤として選択する工程。

請求項16

前記薬剤排除能がHoechst33342を排除する能力である、請求項15に記載の方法。

請求項17

前記ABCトランスポーター阻害剤が、ベラパミルである、請求項15または16に記載の方法。

請求項18

前記薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度が50μM以上、250μM未満である、請求項15から17のいずれか1項に記載の方法。

請求項19

以下の工程を含む、抗がん剤をスクリーニングする方法。(1)請求項6または7に記載の方法で製造された細胞と候補薬剤とを接触させる工程、(2)細胞数を測定する工程、および(3)工程(2)で測定された細胞数が、候補薬剤と接触させなかったときの細胞数より減少した場合、当該候補薬剤を抗がん剤として選択する工程。

技術分野

0001

本発明は、がん幹細胞の製造方法、および当該方法により作製されたがん幹細胞に関する。また本発明は、当該がん幹細胞を用いた抗がん剤スクリーニング方法に関する。

背景技術

0002

がん幹細胞は、高頻度で生じる治療薬耐性や高い再発率の原因となっており、様々ながん患者の予後不良に関与することが明らかとなってきている(Clevers H. et al., Nat Med. 17 (3): 313-319 (2011))。したがって、がん幹細胞は、有力な治療の標的と考えられている。がん幹細胞を標的とする新規治療法を開発するためには、がん幹細胞における幹細胞性の獲得の背後にある分子メカニズムを明らかにすることが重要である。しかしながら、がん幹細胞は、がん細胞組織において極めて少数細胞集団を形成しているに過ぎず、その結果として、がん幹細胞を同定して回収することが極めて困難なものとなっている。したがって、インビトロでがん幹細胞を作製し、それらの性質を調べることが、この問題を克服するための重要な方法であると考えられる。

0003

近年、Yamanakaらは、マウスおよびヒト由来線維芽細胞に、Oct3/4, Sox2, Klf4およびc-Myc遺伝子を導入し強制発現させることによって、iPS細胞誘導できることを示した(WO 2007/069666、Takahashi, K. and Yamanaka, S., Cell, 126: 663-676 (2006)およびTakahashi, K. et al., Cell, 131: 861-872 (2007))。一方、RYOらは、非がん細胞である不死化乳腺上皮細胞に、Oct3/4, Sox2, Klf4およびc-Myc遺伝子を導入し強制発現させることによって、インビトロでがん幹細胞様の細胞を作製したことを開示している(WO 2012/165287)。

0004

しかし、インビトロでのがん幹細胞の作製に関する知見は未だ十分なものとは言えず、天然のがん幹細胞とより近い性質を有するがん幹細胞を作製する手法の開発が望まれている。

発明が解決しようとする課題

0005

本発明の目的は、がん幹細胞の新規な製造方法を提供することであり、当該方法により作製された新規ながん幹細胞並びにそれを用いた薬剤スクリーニング系を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、(1)特定の因子をがん細胞に導入すること、および(2)特定の培養条件下で該がん細胞を培養することにより、がん細胞からがん幹細胞を誘導できることを明らかにした。また、さらに(3)ATP結合カセット(ABC)トランスポーター阻害剤による選別により、高い薬剤排出活性を獲得したがん幹細胞を選択的に回収できることを明らかにした。本発明は、そのような知見を基にして完成に至ったものである。

0007

すなわち、本発明は、次に記載の事項を提供するものである。
[1]がん幹細胞を製造する方法であって、下記の工程:
(a) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子をがん細胞に導入する工程、および
(b) 工程(a)により得られた細胞を胚性ES)細胞の維持培養条件以外の条件で培養する工程
を含み、前記工程(b)により得られた細胞集団は、Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のATP結合カセット(ABC)トランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する細胞を含有することを特徴とする、方法。
[2] 以下の工程(c)をさらに含む、[1]に記載の方法:
(c)工程 (b)により得られた細胞から、Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する細胞を抽出する工程。
[3] 前記薬剤排除能がHoechst33342を排除する能力である、[1]または[2]に記載の方法。
[4] 前記ABCトランスポーター阻害剤が、ベラパミルである、[1]から[3]のいずれか1項に記載の方法。
[5] 薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度が50μM以上、250μM未満である、[4]に記載の方法。
[6] がん幹細胞を製造する方法であって、下記の工程:
(a) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子をがん細胞に導入する工程、
(b) 工程(a)により得られた細胞を胚性幹(ES)細胞の維持培養条件以外の条件で培養する工程、
(c) 工程(b)により得られた細胞をトリプシンで処理する工程、および
(d) 工程(c)により解離しなかった細胞をがん幹細胞として取得する工程
を含む方法。
[7] 前記工程(c)が、0.25%トリプシンで5分間以上処理するものである、[6]に記載の方法。
[8] 前記がん細胞が、ヒト由来のがん細胞である、[1]から[7]のいずれか1項に記載の方法。
[8a] 前記がん細胞が、大腸がん細胞である、[1]から[8]のいずれか1項に記載の方法。
[9] [1]から[8]および[8a]のいずれか1項に記載の方法により作製されたがん幹細胞。
[10] 下記の特徴を有する、がん幹細胞:
(a)外来性のOct3/4、Sox2およびKlf4をコードする核酸を含み、
(b) CD133、CD44、CD26、ABCG2およびLGR5が陽性であり、および
(c) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する。
[11] 前記薬剤排除能がHoechst33342を排除する能力である、[10]に記載の細胞。
[12] 前記ABCトランスポーター阻害剤が、ベラパミルである、[10]または[11]に記載の細胞。
[13] 前記薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度が50μM以上、250μM未満である、[12]に記載の細胞。
[14] 前記がん幹細胞が、大腸がん幹細胞である、[10]から[13]のいずれか1項に記載の細胞。
[15] 以下の工程を含む、抗がん剤をスクリーニングする方法。
(1)[9]から[14]のいずれか1項に記載の細胞と候補薬剤とを接触させる工程、
(2)Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する細胞数を測定する工程、および
(3)工程(2)で測定された細胞数が、候補薬剤と接触させなかったときの細胞数より減少した場合、当該候補薬剤を抗がん剤として選択する工程。
[16] 前記薬剤排除能がHoechst33342を排除する能力である、[15]に記載の方法。
[17] 前記ABCトランスポーター阻害剤が、ベラパミルである、[15]または[16]に記載の方法。
[18] 前記薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度が50μM以上、250μM未満である、[15]から[17]のいずれか1項に記載の方法。
[19] 以下の工程を含む、抗がん剤をスクリーニングする方法。
(1)[6]または[7]に記載の方法で製造された細胞と候補薬剤とを接触させる工程、
(2)細胞数を測定する工程、および
(3)工程(2)で測定された細胞数が、候補薬剤と接触させなかったときの細胞数より減少した場合、当該候補薬剤を抗がん剤として選択する工程。

発明の効果

0008

本発明の方法を用いることにより、インビトロでのがん幹細胞の作製及びがん幹細胞選択的な維持培養方法を確立することが可能となる。また、本発明の方法により得られたがん幹細胞は、生体内に存在するがん幹細胞と極めて近い性質を有するため、がん幹細胞を標的とする効果的な薬剤のスクリーニングやがん幹細胞に特異的なマーカーの探索を行うことが可能となる。

図面の簡単な説明

0009

図1Aは、がん幹細胞の樹立及び培養方法の模式図を示す。図1Bは、内因性および外因性の両方の転写産物に共通のプライマーを用いて、因子導入後のSW480細胞におけるOCT3/4、SOX2およびKLF4の発現についてqRT-PCRを行った結果を示す。mRNA発現レベルをGAPDHの発現レベルで補正した。図は、ヒトiPS細胞(hiPSC)と比較した相対的な発現レベルを示す。エラーバーは、SD(n=3)を示し、NDは、「非検出」を示す。図1Cは、遺伝子導入後における各々のSW480細胞の形態を示す。スケールバーは、100μmを示す。1因子のみの導入は、各々異なる形態的変化を生じた(矢印、破線の円または矢頭)。3因子(OCT3/4、SOX2およびKLF4)を同時に導入した場合、特定の形態的特徴を示した(実線による円)。
図2Aは、因子導入後のSW480細胞において、大腸がん幹細胞関連マーカー(CD133、CD44、CD26、ALDH1、ABCG2およびLGR5)についてqRT-PCRを行った結果を示す。mRNAの発現レベルをGAPDHの発現レベルで補正した。図は、M-SW480細胞と比較した相対的な発現レベルを示す。*: P<0.05, **: P<0.01, Dunnett's test。図2Bは、因子導入後のSW480細胞における各マーカータンパク質(CD133、CD44、CD26、ABCG2およびLGR5)が陽性である細胞の含有率フローサイトメトリー(FCM)で測定した結果を示す。エラーバーは、3回の独立した実験からのSDを示す。*: P<0.05, **: P<0.01, Dunnett's test。図2Cは、因子導入後のSW480細胞におけるALDH1のタンパク質の発現量をウェスタンブロット法で測定した結果を示す。図2Dは、因子を導入した各SW480細胞の細胞増殖速度を示す。3×105個の細胞を因子導入から(以下同じ)7日目に6ウェルプレート播種し、11日目に計測した(n=3)。エラーバーは、3回の独立した実験からのSDを示す。**: P<0.01, Dunnett's test。図2Eは、11日目の細胞において、G1/0フェーズにある細胞の割合を示す(n=3)。エラーバーは、SDを示す。*: P<0.05, **: P<0.01, Dunnett's test。図2Fは、5-FU耐性アッセイの結果を示す。1μg/mlおよび50μg/mlの5-FUの存在下でのOSK-SW480細胞の生存度を、M-SW480細胞の生存度と比較した(n=3)。各濃度におけるM-SW480細胞の生存度を100%に設定した。エラーバーは、SDを示す。*: P<0.05, Dunnett's test。
図3Aは、インビトロにおけるスフィア(球形細胞集塊)形成後の顕微鏡像を示す。スケールバーは、100μmを示す。図3Bは、1×104個の細胞を10日目に低接着培養皿に播種し、10日間、無血清培地で培養した後のスフィア数を示す。エラーバーは、SD(n=3)を示す。**: P<0.01, Dunnett's test。図3C及びDは、1×106個の細胞(図3C)および3×105個の細胞(図3D)を10日目に免疫不全ヌードマウスの両側腹部皮下注射し、形成された腫瘍体積形成個数を調べた結果を示す。**: P<0.01, N.S.:有意差なしを示す。統計は、Dunnett's testを用いた。但し、(†)ではU検定を用いた。
図4Aは、SW480細胞から誘導された細胞のHoechst33342(5μg/ml)の取り込み(標識)状態をフローサイトメトリーで解析した結果を示す。50μMのベラパミル(VM)の共投与により、Hoechst33342で標識されない細胞集団をV50として示し、ベラパミル非添加においてHoechst33342で標識されない細胞集団をV0として示す。図4Bは、V0およびV50の含有率を示す。3回の独立した実験の結果を示す。エラーバーは、SD(n=3)を示す。*: P<0.05, **: P<0.01, Dunnett's test。図4Cは、SW480細胞から誘導された細胞(M-SW480およびOSK-SW480)を10日間培養後、各濃度のベラパミル(0μM、50μMおよび250μM)を添加した際のHoechst33342の含有分布をフローサイトメトリーで解析した結果を示す。図4Dは、28日間培養後、各濃度のベラパミル(0μM、50μMおよび250μM)を添加した際の、M-SW480およびOSK-SW480におけるHoechst33342の含有分布をフローサイトメトリーで解析した結果を示す。
図5Aは、因子を導入した、又はしていないDLD-1細胞(野生型(Wt)、対照(Mock)および3因子導入(OSK))の細胞増殖数を示す。3×105個の細胞を7日目に6ウェルプレートに播種し、10日目に計測した(n=3)。エラーバーは、SDを示す。**: P<0.01, N.S.: 有意差なし, Dunnett's test。図5Bは、DLD-1細胞から誘導された細胞(対照(Mock)および3因子導入(OSK))を培養後、各濃度のベラパミル(0μM、50μMおよび250μM)を添加した際のHoechst33342の含有分布をフローサイトメトリーで解析した結果を示す。図5Cは、DLD-1細胞から誘導された細胞(野生型(Wt)、対照(Mock)および3因子導入(OSK))を免疫不全ヌードマウスの皮下領域へ移植した後の腫瘍体積を調べた結果を示す。1×105個の細胞を10日目に免疫不全ヌードマウスの両側腹部に皮下注射した後の腫瘍体積を測定した。*: P<0.05, N.S.: 有意差なし。統計は、Dunnett's testを用いた。
図6Aは、0μMまたは50μMのベラパミルの存在下でHoechst33342の細胞内取り込み量指標としてソーティングした各SW480細胞(M-SW480細胞中のnon-V0細胞(M-nonV0)、M-SW480細胞中のV0細胞(M-V0)、M-SW480細胞中のnon-V50細胞(M-nonV50)、OSK-SW480細胞中のnon-V50細胞(OSK-nonV50)、およびOSK-SW480細胞中のV50細胞(OSK-V50))の顕微鏡像を示す。図中、スケールバーは、100μmを示す。図6Bは、ソーティングした各細胞の培養後の細胞増殖速度を示す。ソーティング後、14〜18日間培養した3×105個の細胞を播種し、96時間後に細胞数を計測した。エラーバーは、SD(n=3)を示す。**:P<0.01, Scheffs's test。図6Cは、各細胞を免疫不全ヌードマウスの皮下領域へ移植した後の腫瘍体積と形成個数を調べた結果を示す。3×105個の細胞または1×105個の細胞をソーティング後18日目に、免疫不全ヌードマウスに皮下注射した。移植の8週間後に、腫瘍体積と形成個数を測定した。図中のバーは、腫瘍体積の平均値を示す。
図7Aは、M-SW480(左図)のV0またはnon-V50およびOSK-SW480(右図)のV50またはnon-V50をソーティング後、培養23日目の細胞に各濃度のベラパミル(0μM、50μMおよび250μM)を添加した際のHoechst33342の含有分布をフローサイトメトリーで解析した結果を示す。図7Bは、M-V0またはOSK-V50のソーティング後、培養した細胞を抗CDX2抗体、Hoechst33342または抗CK20抗体で染色した染色像を示す。図7Cは、M-V0(上のパネル)またはOSK-V50(下のパネル)を培養した際の経時変化の像を示す。ソーティングした各細胞を5日間培養し、次いで6時間ごとに計42時間定点観察した。
図8Aは、図3CのM-SW480細胞および図6CのOSK-V50細胞に由来する異種移植形成腫瘍片をヘマトキシリンおよびエオシン染色HE)した染色像を示す。図8Bは、同じくM-SW480細胞およびOSK-V50細胞に由来する異種移植形成腫瘍片をCK20、CK7およびCDX2に対する抗体で染色した免疫組織染色像を示す。スケールバーは、50μmを示す。
図9Aは、OSK-V50細胞のin vivo連続皮下移植を行うプロトコールの模式図を示す。M-nonV50は腫瘍形成能が低く、当該プロトコールの遂行が困難であった為、2nd Cultureまでの解析にとどめた。図9Bは、OSK-V50またはM-nonV50をそれぞれ連続移植した際に得られた1st Culture(day6)、2nd Culture(day7)、3rd Culture(day7)および4th Culture(day5)の顕微鏡像を示す。スケールバーは100μmを示す。図9Cは、2nd CultureにおけるOSK-V50またはM-nonV50の細胞増殖数を測定した結果を示す。腫瘍を単一細胞に分散し、4〜6日間培養した後2×105個の細胞を播種し、72時間後に細胞数を計測した。エラーバーはSD(n=3)を示す。**: P<0.01, t-test。図9Dは、2nd Culture、3rd Cultureおよび4th CultureにおけるV50の含有率を示す。図9Eは、連続移植で得られた腫瘍(1st tumor、2nd tumorおよび3rd tumor)に対するHE、ならびにCK20、CK7およびCDX2に対する抗体で染色した染色像を示す。連続移植の実験は独立して3度行われ、図には1度目一連の実験結果を示す。スケールバーは、50μmを示す。
図10Aは、腫瘍の連続移植の途中でソーティングを行うプロトコールの模式図を示す。図10Bは、3rd CultureでV50またはnon-V50をソーティングし培養した後の細胞増殖速度を測定した結果を示す。3rd tumorの分散後に培養した後、3×105個の細胞を播種し、96時間後に細胞数を計測した。エラーバーはSD(n=3)を示す。**: P<0.01, t-test。図10Cは、3rd CultureでV50またはnon-V50を再度ソーティングし、培養した後の細胞の各培養日数における顕微鏡像を示す。スケールバーは100μmを示す。図10Dは、OSK-V50由来の腫瘍細胞(3rd Culture)からV50細胞を再ソーティングして培養後、再移植して得られた腫瘍(3rd tumor=tumor of resorted V50 cells)に対するHE、ならびにCK20、CK7およびCDX2に対する抗体で染色した染色像を示す。再度ソーティングしたV50細胞の連続移植の実験は独立して3度行われ、それぞれの結果を示す。スケールバーは、50μmを示す。図10Eは、図10Aで示した4th Culture後の細胞に対して、50μMのベラパミルを添加した際のHoechst33342の含有分布をフローサイトメトリーで解析した結果を示す。実験は独立して3度行われ、それぞれの結果を示す。
図11は、A549細胞に遺伝子導入後15日目のコロニー(OSK-A549)の顕微鏡像を示す。右図は、左図の拡大図である。
図12は、A549(左図)およびOSK-A549(右図)を10日間浮遊培養した後の顕微鏡像を示す。
図13は、EGFP-A549、OSK-A549およびA549の培養10日目、20日目および30日目の浮遊培養後のsphereの数を計数した結果を示す。
図14は、トリプシン処理後のOSK-A549(左図)および回収後のOSK-A549 Colonyの顕微鏡像を示す。
図15Aは、培養後のOSK-A549 Colonyの顕微鏡像を示す。図15Bは、トリプシン処理により回収したOSK-A549 Colony周囲の紡錘形の細胞(OSK-A549 SN)の顕微鏡像を示す。
図16Aは、CDDPで処理後のA549およびOSK-A549 Colonyの顕微鏡像を示す。下図は、上図の拡大図である。図16Bは、2μMまたは10μMのCDDPで処理後のA549、OSK-A549 ColonyおよびOSK-A549 SNの生細胞数の割合を示す。
図17は、OKSベクターの模式図を示す。
図18は、遺伝子導入なし(Mock)、Oct3/4、Sox2およびKlf4を別々のベクター(O+S+K)またはOKSベクター(OKS)で導入した後の細胞(SW480)の顕微鏡像を示す。
図19は、遺伝子導入なし(Mock)、Oct3/4、Sox2およびKlf4を別々のベクター(O+S+K)またはOKSベクター(OKS)で導入した後の細胞(SW480)ならびにヒトiPS細胞に対する、Oct3/4、Sox2およびKlf4の定量PCRの結果を示す。
図20は、Oct3/4、Sox2およびKlf4を別々のベクター(O+S+K)またはOKSベクター(OKS)で導入した後10日目の細胞(SW480)のOct3/4およびSox2に対する免疫染色像を示す。
図21は、遺伝子導入なし(Mock)、Oct3/4、Sox2およびKlf4を別々のベクター(O+S+K)およびOKSベクター(OKS)で導入した後10日目の細胞に、各濃度のベラパミル(0μM、50μMおよび250μM)を添加した際のHoechst33342の含有分布を、フローサイトメトリーで解析した結果を示す。
図22は、OKSベクター(OKS)を導入した後10日目の細胞に50μMのベラパミルを添加した際の、Hoechst33342を排出した細胞(V50)および排出しなかった細胞(nonV50)の顕微鏡像を示す。

0010

一つの態様において、本発明は、(a)誘導因子をがん細胞に導入する工程、および(b) 工程(a)により得られた細胞を胚性幹(ES)細胞の維持培養条件以外の条件で培養する工程を含む、がん幹細胞(CSCs)の製造方法を提供する。ここで、工程(b)により得られた細胞集団は、誘導因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のATP結合カセット(ABC)トランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する細胞を含有することを特徴とする。

0011

本発明の方法により得られるがん幹細胞は、がん幹細胞以外の分化したがん細胞が混在した不均一な細胞集団の形態であってもよく、あるいはがん幹細胞のみからなる均一な細胞集団であってもよい。また、がん幹細胞は単離後、in vitroにおいて自己複製させる維持培養が困難であることから、がん幹細胞のみからなる均一な細胞集団を得るためには、当該薬剤排除能を有する細胞を抽出する工程をさらに含むことが望ましい。

0012

従って、本発明は、好ましくは、(c) 工程(b)により得られた細胞から、誘導因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する細胞を抽出する工程をさらに含む、がん幹細胞の製造方法を提供する。

0013

他の態様として、本発明は、(a)誘導因子をがん細胞に導入する工程、(b) 工程(a)により得られた細胞を胚性幹(ES)細胞の維持培養条件以外の条件で培養する工程、(c) 工程(b)により得られた細胞をトリプシンで処理する工程、および(d) 工程(c)により解離しなかった細胞をがん幹細胞として取得する工程を含む、がん幹細胞(CSCs)の製造方法を提供する。

0014

誘導因子
本発明において「誘導因子」とは、体細胞に導入することにより、その体細胞をがん幹細胞様の細胞に変換させる物質(群)であれば、タンパク性因子またはそれをコードする核酸(ベクターに組み込まれた形態を含む)、あるいは低分子化合物等のいかなる物質から構成されてもよい。誘導因子がタンパク性因子またはそれをコードする核酸の場合、好ましくは、誘導因子は、Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸である。

0015

誘導因子が上記Oct3/4、Sox2およびKlf4の組み合わせである場合において、Oct3/4に代えて他のOctファミリーメンバー、例えば、Oct1A、Oct6などを用いることもできる。また、Sox2に代えて他のSoxファミリーのメンバー、例えば、Sox1、Sox3、Sox15、Sox17、Sox18などを用いることもできる。またKlf4に変えて他のKlfファミリーのメンバー、例えば、Klf1、Klf2、Klf5などを用いることもできる。

0016

誘導因子が上記Oct3/4、Sox2およびKlf4の組み合わせである場合において、Oct3/4、Sox2およびKlf4に加えてさらに任意の物質を含んでいてもよい。追加される任意の物質は、体細胞に導入することにより、その体細胞をより未分化な状態に移行させる物質(群)であり、例えば、ES細胞に特異的に発現している遺伝子またはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子もしくはその遺伝子産物などが挙げられるがこれらに限定されない。ES細胞に特異的に発現している遺伝子またはES細胞の未分化維持に重要な役割を果たす遺伝子もしくはその遺伝子産物は、例えば、c-Myc, L-Myc, N-Myc, TERT,SV40Large T antigen, HPV16 E6, HPV16 E7, Bmi1, Lin28, Lin28b, Nanog, EsrrbまたはEsrrgが例示される。あるいは、導入にあたって追加される任意の物質は、体細胞に導入することにより、その体細胞をより未分化な状態に移行させる効率を上昇させる物質(群)であり得、例えば、iPS細胞の樹立効率を促進する物質(群)が挙げられるがこれらに限定されない。iPS細胞の樹立効率を促進する物質(群)としては、例えば、下記の物質(群)が挙げられるが、これらに限定されない:ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤[例えば、バルプロ酸(VPA)(Nat. Biotechnol., 26(7): 795-797 (2008))、トリコスタチンA、酪酸ナトリウム、MC 1293、M344等の低分子阻害剤、HDACに対するsiRNAおよびshRNA(例、HDAC1 siRNA Smartpool(登録商標) (Millipore)、HuSH 29mer shRNA Constructs against HDAC1 (OriGene)等)等の核酸性発現阻害剤など]、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば5’-azacytidine)(Nat. Biotechnol., 26(7): 795-797 (2008))、G9aヒストンメチルトランスフェラーゼ阻害剤[例えば、BIX-01294 (Cell Stem Cell, 2: 525-528 (2008))等の低分子阻害剤、G9aに対するsiRNAおよびshRNA(例、G9a siRNA(human) (Santa Cruz Biotechnology)等)等の核酸性発現阻害剤など]、L-channel calcium agonist (例えばBayk8644) (Cell Stem Cell, 3, 568-574 (2008))、p53阻害剤(例えばp53に対するsiRNAおよびshRNA)(Cell Stem Cell, 3, 475-479 (2008))、Wnt Signaling activator(例えばsoluble Wnt3a)(Cell Stem Cell, 3, 132-135 (2008))、LIFまたはbFGFなどの増殖因子、ALK5阻害剤(例えば、SB431542)(Nat. Methods, 6: 805-8 (2009))、mitogen-activated protein kinase signaling阻害剤、glycogen synthase kinase-3阻害剤(PloS Biology, 6(10), 2237-2247 (2008))、miR-291-3p、miR-294、miR-295などのmiRNA (R.L. Judson et al., Nat. Biotech., 27:459-461 (2009))。

0017

また、変換の対象となる体細胞が、体細胞をがん幹細胞様の細胞に変換させるために導入されるべき因子(構成要素)を十分なレベル内在的に発現している条件下にあっては、当該構成要素を除いた残りの構成要素のみの組み合わせもまた、本発明における「誘導因子」に含まれ得る。

0018

上記の各誘導因子のマウスおよびヒトcDNAヌクレオチド配列並びに当該cDNAにコードされるタンパク質のアミノ酸配列情報は、WO 2007/069666に記載のNCBI accession numbersを参照すること、またL-Myc、Lin28、Lin28b、EsrrbおよびEsrrgのマウスおよびヒトのcDNA配列およびアミノ酸配列情報については、それぞれ下記NCBI accession numbersを参照することにより取得できる。当業者は、当該cDNA配列またはアミノ酸配列情報に基づいて、常法により所望の誘導因子を調製することができる。
遺伝子名 マウス ヒト
L-Myc NM_008506 NM_001033081
Lin28 NM_145833 NM_024674
Lin28b NM_001031772 NM_001004317
Esrrb NM_011934 NM_004452
Esrrg NM_011935 NM_001438

0019

導入方法
上記の誘導因子は、DNAの形態で、あるいはタンパク質の形態で導入することができる。DNAの形態で導入する場合、例えば、ウイルスプラスミド人工染色体などのベクター、リポフェクションリポソームマイクロインジェクションなどの手法によって体細胞内に導入することができる。ウイルスベクターとしては、レトロウイルスベクターレンチウイルスベクター(以上、Cell, 126, pp.663-676, 2006; Cell, 131, pp.861-872, 2007; Science, 318, pp.1917-1920, 2007)、アデノウイルスベクター(Science, 322, 945-949, 2008)、アデノ随伴ウイルスベクターセンダイウイルスベクター(Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 85, 348-62, 2009)などが例示される。また、人工染色体ベクターとしては、例えばヒト人工染色体(HAC)、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC、PAC)などが含まれる。プラスミドとしては、哺乳動物細胞用プラスミドを使用しうる(Science, 322:949-953, 2008)。ベクターには、誘導因子が発現可能なように、プロモーターエンハンサーリボゾーム結合配列ターミネーターポリアデニル化イトなどの制御配列を含むことができる。使用されるプロモーターとしては、例えばEF1αプロモーター、CAGプロモーター、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、RSVラウス肉腫ウイルス)プロモーター、MoMuLV(モロニーマウス白血病ウイルス)LTR、HSV-TK(単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ)プロモーターなどが用いられる。なかでも、EF1αプロモーター、CAGプロモーター、MoMuLV LTR、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどが挙げられる。さらに、必要に応じて、薬剤耐性遺伝子(例えばカナマイシン耐性遺伝子アンピシリン耐性遺伝子ピューロマイシン耐性遺伝子など)、チミジンキナーゼ遺伝子ジフテリアトキシン遺伝子などの選択マーカー配列緑色蛍光タンパク質(GFP)、βグルクロニダーゼ(GUS)、FLAGなどのレポーター遺伝子配列などを含むことができる。また、上記ベクターには、体細胞への導入後、誘導因子をコードする遺伝子もしくはプロモーターとそれに結合する誘導因子をコードする遺伝子を共に切除するために、それらの前後にLoxP配列を有してもよい。別の好ましい一実施態様においては、トランスポゾンを用いて染色体導入遺伝子を組み込んだ後に、プラスミドベクターもしくはアデノウイルスベクターを用いて細胞に転移酵素を作用させ、導入遺伝子を完全に染色体から除去する方法が用いられ得る。好ましいトランスポゾンとしては、例えば、鱗翅目昆虫由来のトランスポゾンであるpiggyBac等が挙げられる(Kaji, K. et al., (2009), Nature, 458: 771-775、Woltjen et al., (2009), Nature, 458: 766-770 、WO 2010/012077)。さらに、ベクターには、染色体への組み込みがなくとも複製されて、エピソーマルに存在するように、リンパ指向性ヘルペスウイルス(lymphotrophic herpes virus)、BKウイルスおよび牛乳頭腫(Bovine papillomavirus)の起点とその複製に係る配列を含んでいてもよい。例えば、EBNA-1およびoriPもしくはLarge TおよびSV40ori配列を含むことが挙げられる(WO 2009/115295、WO 2009/157201およびWO 2009/149233)。また、複数の誘導因子を同時に導入するために、ポリシストロニックに発現させる発現ベクターを用いてもよい。ポリシストロニックに発現させるためには、遺伝子をコードする配列の間は、IRESまたは口蹄病ウイルス(FMDV)2Aコード領域により結合されていてもよい(Science, 322:949-953, 2008およびWO 2009/092042、WO 2009/152529)。

0020

一方、タンパク質の形態で導入する場合、例えば、タンパク質導入試薬を用いる方法、タンパク質導入ドメイン(PTD)融合タンパク質を用いる方法、マイクロインジェクション法などが挙げられる。タンパク質導入試薬としては、カチオン性脂質ベースとしたBioPOTERProtein Delivery Reagent(Gene Therapy Systmes)、Pro-JectTM Protein Transfection Reagent(PIERCE)及びProVectin(IMGENEX)、脂質をベースとしたProfect-1(Targeting Systems)、膜透過性ペプチドをベースとしたPenetrain Peptide(Q biogene)及びChariot Kit(Active Motif)、HVJエンベロープ不活化センダイウイルス)を利用したGenomONE(石原産業)等が市販されている。導入はこれらの試薬に添付のプロトコールに従って行うことができるが、一般的な手順は以下の通りである。誘導因子を適当な溶媒(例えば、PBS、HEPES等の緩衝液)に希釈し、導入試薬を加えて室温で5-15分程度インキュベートして複合体を形成させ、これを無血清培地に交換した細胞に添加して37℃で1ないし数時間インキュベートする。その後培地を除去して血清含有培地に交換する。

0021

PTDとしては、ショウジョウバエ由来のAntP、HIV由来のTAT(Frankel, A. et al, Cell 55, 1189-93 (1988); Green, M. & Loewenstein, P.M. Cell 55, 1179-88 (1988))、Penetratin (Derossi, D. et al, J. Biol. Chem. 269, 10444-50 (1994))、Buforin II (Park, C. B. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 97, 8245-50 (2000))、Transportan (Pooga, M. et al.FASEB J. 12, 67-77 (1998))、MAP(model amphipathic peptide) (Oehlke, J. et al. Biochim. Biophys. Acta. 1414, 127-39 (1998))、K-FGF (Lin, Y. Z. et al. J. Biol. Chem. 270, 14255-14258 (1995))、Ku70 (Sawada, M. et al. Nature Cell Biol. 5, 352-7 (2003))、Prion (Lundberg, P. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 299, 85-90 (2002))、pVEC (Elmquist, A. et al. Exp. Cell Res. 269, 237-44 (2001))、Pep-1 (Morris, M. C. et al. Nature Biotechnol. 19, 1173-6 (2001))、Pep-7 (Gao, C. et al. Bioorg. Med. Chem. 10, 4057-65 (2002))、SynBl (Rousselle, C. et al. MoI. Pharmacol. 57, 679-86 (2000))、HN-I (Hong, F. D. & Clayman, G L. Cancer Res. 60, 6551-6 (2000))、HSV由来のVP22等のタンパク質の細胞通過ドメインを用いたものが開発されている。PTD由来のCPPとしては、11R (Cell Stem Cell, 4:381-384(2009)) や9R (Cell Stem Cell, 4:472-476(2009))等のポリアルギニンが挙げられる。誘導因子のcDNAとPTD配列もしくはCPP配列とを組み込んだ融合タンパク質発現ベクターを作製して組換え発現させ、融合タンパク質を回収して導入に用いる。導入は、タンパク質導入試薬を添加しない以外は上記と同様にして行うことができる。比較的分子量の小さい欠失変異体の導入などに好適である。

0022

マイクロインジェクションは、先端径1μm程度のガラス針タンパク質溶液を入れ、細胞に穿刺導入する方法であり、確実に細胞内にタンパク質を導入することができる。その他、エレクトロポレーション法セミインタクトセル法(Kano, F. et al. Methodsin Molecular Biology, Vol. 322, 357-365(2006))、Wr-tペプチドによる導入法(Kondo, E. et al., Mol. Cancer Ther. 3(12), 1623-1630(2004))などのタンパク質導入法も用いることができる。

0023

タンパク質導入操作は1回以上の任意の回数(例えば、1回以上10回以下、又は1回以上5回以下等)行うことができ、好ましくは導入操作を2回以上(たとえば3回又は4回)繰り返して行うことができる。導入操作を繰り返し行う場合の間隔としては、例えば6時間〜7日間、好ましくは12〜48時間もしくは7日間が挙げられる。

0024

がん細胞
本発明において、がん幹細胞を誘導するための元となる体細胞は、好ましくは、がん細胞であり得る。「がん細胞」は、自律的に制御できない増殖能を獲得した細胞であれば特に限定されず、任意の細胞が包含される。本発明におけるがん細胞は、例えば、上皮細胞由来の癌細胞であり得るが、非上皮性肉腫細胞や血液がん細胞であってもよい。例えば、頭頸部のがん(例えば、上顎がん、咽頭がん喉頭がん、舌がん甲状腺がん)、胸部のがん(例えば、乳がん肺がん非小細胞肺がん小細胞肺がん))、消化器のがん(例えば、食道がん胃がん十二指腸がん、大腸がん(結腸がん、直腸がん)、肝がん肝細胞がん胆管細胞がん)、胆嚢がん胆管がん膵がん肛門がん)、泌尿器のがん(例えば、腎がん尿管がん、膀胱がん前立腺がん陰茎がん精巣睾丸)がん)、生殖器のがん(例えば、子宮がん子宮頸がん子宮体がん)、卵巣がん外陰がん、がん)、皮膚のがん(例えば、基底細胞がん、有棘細胞がん)を含むが、これらに限定されない。本発明におけるがん細胞は、好ましくは、大腸がん細胞である。
本発明におけるがん細胞はヒト由来のがん細胞であることが好ましい。

0025

本発明におけるがん細胞は、個体から単離された初代培養細胞であってもよく、あるいはインビトロにおいて無限に増殖する能力を獲得(不死化)した株化細胞であってもよい。本発明におけるがん細胞は、好ましくは、株化細胞、とりわけ、大腸がん株化細胞が好ましい。大腸がん株化細胞としては、例えば、HT29、HCT8、HCT116、W620、SW480、SW837、DLD-1、CACO-2、LoVo等が挙げられるが、本発明において、特に好ましくは、SW480細胞またはDLD-1細胞である。

0026

培養方法
本発明においてがん幹細胞を誘導するための培地は、動物細胞の培養に用いられる培地を基礎培地として調製することができる。基礎培地としては、例えば、IMDM培地、Medium 199培地、Eagle's Minimum Essential Medium (EMEM)培地、αMEM培地、Dulbecco's modified Eagle's Medium (DMEM)培地、Ham's F12培地、RPMI1640培地、Fischer's培地、StemPro34(invitrogen)、およびこれらの混合培地などが包含される。培地には、血清が含有されていてもよいし、あるいは無血清でもよい。必要に応じて、培地は、例えば、アルブミントランスフェリン、Knockout Serum Replacement(KSR)(FBS血清代替物)、N2サプリメント(Invitrogen)、B27サプリメント(Invitrogen)、脂肪酸インスリンコラーゲン前駆体、微量元素2-メルカプトエタノール(2ME)、チオールグリセロールなどの1つ以上の血清代替物を含んでもよいし、脂質、アミノ酸、L-グルタミン、Glutamax(Invitrogen)、非必須アミノ酸ビタミン、増殖因子、低分子化合物、抗生物質抗酸化剤ピルビン酸緩衝剤無機塩類などの1つ以上の物質も含有し得る。

0027

本発明において、誘導因子を導入したがん細胞は、ES細胞の維持培養条件以外の条件で培養されることが好ましい。ここで「ES細胞の維持培養条件」とは、例えば、bFGFまたはSCFを含有した培地中で培養する条件、維持培養を補助する目的で用いる細胞外マトリックス(例えば、Matrigel、ラミニン511、ラミニン332、またはそのフラグメント)を用いる条件、維持培養を補助する目的で用いるフィーダー細胞(例えば、マウス胎児由来線維芽細胞(MEF)、STO細胞(ATCC, CRL-1503))を用いる条件、または当該フィーダー細胞を培養した培養上清を用いる条件等が挙げられるが、いかなる培養条件によればES細胞の維持培養が可能であるかは当業者にとって自明である。本発明においては、これらのES細胞の維持培養条件を用いることなく、誘導因子を導入したがん細胞を培養する。ただし、本発明において、がん幹細胞を得る最終工程においてのみ、ES細胞の維持培養条件以外の条件で培養されることが望ましいため、中間工程において、ES細胞の維持培養条件で培養することを妨げるものではない。即ち、本発明において、上記工程(b)は必ずしも工程(a)の直後に行われることを要しない。

0028

本発明において誘導因子を導入したがん細胞を培養するための培地は、好ましくは、FBSを含有するDMEM、DMEM/F12またはDMEM培地であり得る。

0029

培地におけるFBSの濃度は、当業者が通常の細胞培養において用いる濃度であればいくらでもよいが、例えば、1〜30%、好ましくは、1〜20%の範囲内であり得る。培地におけるFBSの濃度は、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%であり、好ましくは、10%である。

0030

本発明で用いる培地には、細菌感染を防ぐ目的で、さらにペニシリンを含有してもよく、ペニシリンの濃度は、当業者が通常の細胞培養において用いる濃度であればいくらでもよいが、例えば、1〜500 Units/ml、好ましくは、1〜200 Units/mlの範囲内であり得る。培地におけるペニシリンの濃度は、例えば、1 Unit/ml、25 Units/ml、50 Units/ml、60 Units/ml、70 Units/ml、80 Units/ml、90 Units/ml、100 Units/ml、110 Units/ml、120 Units/ml、130 Units/ml、140 Units/ml、150 Units/ml、175 Units/ml、200 Units/mlであり、好ましくは、100 Units/mlである。

0031

本発明で用いる培地には、細菌感染を防ぐ目的で、さらにストレプトマイシンを含有してもよく、ストレプトマイシンの濃度は、当業者が通常の細胞培養において用いる濃度であればいくらでもよいが、例えば、1〜500 μg/ml、好ましくは、1〜200 μg/mlの範囲内であり得る。培地におけるストレプトマイシンの濃度は、例えば、1μg/ml、25μg/ml、50μg/ml、60μg/ml、70μg/ml、80μg/ml、90μg/ml、100μg/ml、110μg/ml、120μg/ml、130μg/ml、140μg/ml、150μg/ml、175μg/ml、200μg/mlであり、好ましくは、100μg/mlである。

0032

培養法の例としては、がん細胞へ誘導因子を導入した後、例えば、37℃、5%CO2存在下にて、10%FBS、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するDMEM培地中で、培養する方法が挙げられる。培養期間は、特に限定されないが、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、またはそれ以上が例示される。このとき、一定期間経過後、培地を新鮮な培地で置換することが好ましい。特に好ましくは、がん細胞と誘導因子の接触の24時間後に、培地の交換が行われる。

0033

がん幹細胞の誘導に使用するがん細胞の数は、誘導因子を導入できる限り特に限定されないが、培養ディッシュに70%から100%コンフルエントな細胞数が例示される。

0034

薬剤排除能を有する細胞
本発明の方法によって得られるがん幹細胞は、特定の濃度のATP結合カセット(ABC)トランスポーター阻害剤を添加してもなお薬剤排除能を有する細胞である。薬剤排除能を有する細胞とは、例えば、SP細胞であり、SP細胞とは、フローサイトメトリーでの解析でHoechst33342という蛍光色素を細胞に取り込ませてUVで励起すると405nmおよび600nmに蛍光を発する通常の細胞(未分化細胞以外の細胞)からサイトグラム上は異なった位置(蛍光の暗い部分、すなわち、“Hoechst Blue弱陽性かつHoechst Red弱陽性”)に出現する細胞集団のことである。従って、本発明における好ましい排出される薬剤は、Hoechst33342である。

0035

本発明におけるABCトランスポーターとは、例えば、ATPの加水分解エネルギーを利用して輸送を行うトランスポーターであり、好ましくは、抗がん剤の細胞外輸送に関与する例えば、P-glycoprotein(Pgp/MDR1/ABCB1)、MDR-asscociated protein 1(MPR1)、ABCG2(BCRP/ABCP/MXR)が例示される。

0036

本発明において、ABCトランスポーター阻害剤とは、ABCトランスポーターの機能を阻害する限り特に限定されないが、例えば、VX-710、GF120918、XR9576、fumitremorgin C 、Ko143、pantoprazole、flavonoids、estrogens、antiestrogens、Dofequidar Fumarate (フマル酸ドフェキダル)(MS-209)(Cancer Science Volume 100, Issue 11, pages 2060-2068, November 2009)、ベラパミル、レセルピンゾスキダル(LY335973)、シクロスポリA、タモキシフェンキニジン、d-αトコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート、PSC833、フェノチアジン、SDZ PSC 833、TMBY、MS-073、S-9788、SDZ 280-446、XR9051が挙げらえる。ABCトランスポーター阻害剤は、好ましくは、fumitremorgin C、Ko143、Dofequidar Fumarate、ベラパミル、レセルピンであり、特に好ましくは、ベラパミルである。

0037

本発明において用いられる、ABCトランスポーター阻害剤の濃度は、誘導因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度であり、例えば、ABCトランスポーター阻害剤が、fumitremorgin Cの場合は10 μM以上であり、Ko143の場合は1 μM以上であり、Dofequidar Fumarateの場合は5 μM以上であり、ベラパミルの場合は50 μM以上であり、レセルピンの場合は10 μM以上である。より好ましくは、ベラパミルの場合は50 μM以上、かつ250 μM未満(例えば、240 μM以下、230 μM以下、220 μM以下、210 μM以下、200 μM以下、190 μM以下、180 μM以下、170 μM以下、160 μM以下、150 μM以下)である。

0038

トリプシン処理
本発明において、トリプシン処理とは、細胞とトリプシンを接触させることで、細胞間接着および細胞-培養器材間接着を解離させることを意味する。本発明においてトリプシン処理は、トリプシンを希釈して細胞と接触させることが好ましく、希釈率として、特に限定されないが、例えば、0.1〜1%(例:0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、0.95%および1%)が挙げられる。より好ましくは、0.25%である。

0039

細胞とトリプシンの接触時間は、特に限定されないが、細胞が死滅しない限り特に上限は設けないが、例えば、1分以上、2分以上、3分以上、4分以上、5分以上、6分以上、7分以上、8分以上、9分以上、10分以上が挙げられる。より好ましくは、5分以上であり、さらに好ましくは、6〜10分である。

0040

細胞とトリプシンの接触は、通常の細胞の培養条件で行われてよく、例えば、温度は約35℃〜約42℃、約36℃〜約40℃、又は約37℃〜約39℃とすることができ、雰囲気は5%CO2及び/又は20%O2としてもよい。

0041

トリプシン処理後の細胞の解離は、細胞-培養器材間接着がされていない細胞が浮遊している状況を言い、トリプシン処理後、細胞が解離していないとは、コロニー状で培養器材に接着している状況を言い、すなわち細胞間接着および細胞-培養器材接着がなされていることを言う。

0042

がん幹細胞
別の態様において、本発明はまた、前述の方法により得られたがん幹細胞を提供する。本発明の方法により作製され得る限りそのすべての細胞は、本発明のがん幹細胞の概念に包含される。

0043

本発明の別の態様において、本発明は、下記の特徴を有する、がん幹細胞を提供する:
(a)外来性のOct3/4、Sox2およびKlf4をコードする核酸を含み、
(b) がん幹細胞マーカーが陽性であり、および
(c) Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する。

0044

本発明において、がん幹細胞マーカーは、がん細胞とがん幹細胞とを区別することが可能な特異的な遺伝子であればよく、好ましくは、細胞表面抗原マーカーであり、このようながん幹細胞マーカーとして、例えば、CD133、CD44、CD26、ABCG2およびLGR5から成る群より選択される少なくとも一つの細胞表面抗原マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。がん幹細胞マーカーによるがん幹細胞とそれ以外の細胞との区別は、単一のがん幹細胞マーカーを用いて行うこともできるし、複数のがん幹細胞マーカーを組み合わせて行うこともできる。好ましくは、がん幹細胞は、複数のがん幹細胞マーカーが陽性である特徴を有し、例えば、CD133、CD44、CD26、ABCG2およびLGR5から成る細胞表面抗原マーカーが陽性である特徴を有する。

0045

本発明において、がん幹細胞マーカーが陽性であるとは、細胞において、がん幹細胞マーカーのmRNAが発現していること、またはがん幹細胞マーカーのタンパク質が発現していることで陽性と判断することができる。がん幹細胞マーカーのmRNAは、特に限定されないが、RT-PCR法およびノーザンブロット法等の自体公知の方法によって確認することができる。また、がん幹細胞マーカーのタンパク質は、特に限定されないが、ウェスタンブロット法および免疫染色法等の自体公知の方法によって確認することができる。がん幹細胞マーカーが細胞表面抗原マーカーである場合、フローサイトメーターで測定することによって、当該がん幹細胞マーカーが陽性であることを確認することができる。

0046

本発明におけるがん幹細胞は、Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有するがん幹細胞であり、当該薬剤排除能については、前述したとおり測定可能である。

0047

さらに本発明のがん幹細胞は、がん細胞よりも細胞増殖速度が遅い特徴を有していても良い。

0048

さらに本発明のがん幹細胞は、個体に移植した際に、インビボにおいて特定の系列の腫瘍を形成し得る。特定の系列の腫瘍とは、そのがん幹細胞が由来するもとのがん細胞の種類と同等の系列の腫瘍であることを意味し、例えば、もとのがん細胞が乳がんである場合は、特定の系列の腫瘍は乳がんを、もとのがん細胞が肺がんである場合は、特定の系列の腫瘍は肺がんを、もとのがん細胞が大腸がんである場合は、特定の系列の腫瘍は大腸がんをそれぞれ意味する。本発明における特定の系列の腫瘍は、好ましくは、大腸がんである。

0049

本発明のがん幹細胞は、生体内における天然のがん幹細胞と極めて近い性質を有する。すなわち、本発明のがん幹細胞は、天然のがん幹細胞が生体内で腫瘍組織を形成するのと同等な能力を有し得る。例えば、本発明のがん幹細胞に由来する特定系列の腫瘍が大腸がんである場合、当該大腸がんは、天然の大腸がん組織において通常観察され得る腺管様構造を示す。

0050

さらに本発明のがん幹細胞は、もととなるがん細胞に特徴的なゲノム変異を保持している。例えば、もとのがん細胞が乳がんである場合は、それ由来のがん幹細胞は乳がんに特徴的なゲノム変異を保持しており、もとのがん細胞が肺がんである場合は、それ由来のがん幹細胞は肺がんに特徴的なゲノム変異を保持しており、もとのがん細胞が大腸がんである場合は、それ由来のがん幹細胞は大腸がんに特徴的なゲノム変異を保持している。本発明におけるがん幹細胞は、好ましくは、大腸がんに特徴的なゲノム変異を保持している。大腸がんに特徴的なゲノム変異は、例えば、APC、p53、DCC、K-rasなどの遺伝子変異、染色体の欠失転座重複および置換などが挙げられるが、これらに限定されない。

0051

分化誘導
本発明によるがん幹細胞は、出願時において公知であった任意の方法を用いてがん細胞へ分化させることができる。分化誘導されるがん細胞は、頭頸部のがん(例えば、上顎がん、咽頭がん、喉頭がん、舌がん、甲状腺がん)、胸部のがん(例えば、乳がん、肺がん(非小細胞肺がん、小細胞肺がん))、消化器のがん(例えば、食道がん、胃がん、十二指腸がん、大腸がん(結腸がん、直腸がん)、肝がん(肝細胞がん、胆管細胞がん)、胆嚢がん、胆管がん、膵がん、肛門がん)、泌尿器のがん(例えば、腎がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、陰茎がん、精巣(睾丸)がん)、生殖器のがん(例えば、子宮がん(子宮頸がん、子宮体がん)、卵巣がん、外陰がん、膣がん)、皮膚のがん(例えば、基底細胞がん、有棘細胞がん)を含むが、これらに限定されない。本発明によるがん幹細胞は、目的に応じて、均一ながん細胞のみの集団、不均一な(多様性のある)がん細胞の集団、その中間的な集団など、種々の細胞集団に分化誘導され得る。

0052

スクリーニング方法
本発明は、前述のように得られたがん幹細胞を用いて、抗がん剤をスクリーニングする方法を提供する。本発明のスクリーニング方法は、例えば、前述のように得られたがん幹細胞を試験物質の存在下または非存在下で培養した後、Oct3/4、Sox2およびKlf4、またはそれらをコードする核酸を含む因子を導入していないがん細胞の薬剤排除能を抑制するのに有効な濃度のABCトランスポーター阻害剤を添加した条件において、薬剤排除能を有する細胞の生存度を測定し、試験物質の非存在下で培養した場合と比較して、試験物質の存在下で培養した場合において、当該細胞の生存度が低下した場合に、当該試験物質は抗がん作用を有すると判定することにより行われ得る。

0053

本発明のスクリーニング方法の他の態様として、例えば、前述のように得られたがん幹細胞を試験物質の存在下または非存在下で培養した後、細胞の生存度を測定し、試験物質の非存在下で培養した場合と比較して、試験物質の存在下で培養した場合において、当該細胞の生存度が低下した場合に、当該試験物質は抗がん作用を有すると判定することにより行われ得る。

0054

本発明のスクリーニング方法において使用される試験物質は、いかなる公知化合物および新規化合物であってもよく、例えば、細胞抽出物、細胞培養上清微生物発酵産物、海洋生物由来抽出物植物抽出物精製タンパク質または粗タンパク質、ペプチド、非ペプチド化合物、合成低分子化合物、天然化合物等が挙げられる。本発明において、試験物質はまた、(1)生物学的ライブラリー法、(2)デコンヴォルーションを用いる合成ライブラリー法、(3)「1ビーズ1化合物(one-bead one-compound)」ライブラリー法、及び(4)アフィニティクロマトグラフィ選別を使用する合成ライブラリー法を含む当技術分野で公知のコンビナトリアルライブラリー法における多くのアプローチのいずれかを使用して得ることができる。アフィニティクロマトグラフィ選別を使用する生物学的ライブラリー法はペプチドライブラリーに限定されるが、その他の4つのアプローチはペプチド、非ペプチドオリゴマー、または化合物の低分子化合物ライブラリーに適用できる(Lam (1997) Anticancer Drug Des. 12: 145-67)。分子ライブラリー合成方法の例は、当技術分野において見出され得る(DeWitt et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6909-13; Erb et al. (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 11422-6; Zuckermann et al. (1994) J. Med. Chem. 37: 2678-85; Cho et al. (1993) Science 261: 1303-5; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2059; Carell et al. (1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33: 2061; Gallop et al. (1994) J. Med. Chem. 37: 1233-51)。化合物ライブラリーは、溶液(Houghten (1992) Bio/Techniques 13: 412-21を参照のこと)またはビーズ(Lam (1991) Nature 354: 82-4)、チップ(Fodor (1993) Nature 364: 555-6)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号、同第5,403,484号、及び同第5,223,409号)、プラスミド(Cull et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1865-9)若しくはファージ(Scott and Smith (1990) Science 249: 386-90; Devlin (1990) Science 249: 404-6;Cwirla et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 6378-82; Felici (1991) J. Mol. Biol. 222: 301-10; 米国特許出願第2002103360号)として作製され得る。

0055

以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。

0056

実施例1:大腸がん細胞株(SW480およびDLD-1)へのOCT3/4、SOX2およびKLF4の導入
北大学の医用細胞資源センター(Cell Resource Center for Biomedical Research)から、2種類のヒト大腸がん細胞株(SW480およびDLD-1)を入手した。10% FBS(Life Technologies)、100 Units/mlペニシリン(Life Technologies)および100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies)を含有するDMEM培地(Nacalai Tesque)(以下、10%FBS-DMEMという)を用いて、入手した大腸がん細胞を培養した。

0057

レトロウイルスを用いてOCT3/4、SOX2およびKLF4を大腸がん細胞に導入するために、まず、6ウェルディッシュあたり4.0×105個のPLAT-Aパッケージング細胞を播種し、一晩、インキュベートした。翌日、Fugene6導入試薬(Roche)を用いて、OCT3/4、SOX2およびKLF4のそれぞれが組み込まれているpMXsベクター(それぞれ、pMXs-hOCT3/4、pMXs-hSOX2およびpMXs-hKLF4)をPLAT-Aパッケージング細胞に導入した。24時間後に培地を新鮮な培地で置換し、さらに24時間後、ウイルスを含む上清を回収した。ウイルスを含む上清を0.45μmのフィルターを通過させてして濾過し、4μg/mlポリブレンを添加した。レトロウイルスを含む各々の上清を等量で混合し、がん細胞株が播種された培養皿に添加し、一晩、インキュベートした。さらに24時間後、培地を、ウイルスを含んでいない新鮮な10% FBS-DMEMで置換し、培養を継続した(図1A)。遺伝子導入から7日目に継代を行った。同様の方法にて、遺伝子を組み込んでいないpMXsベクターからウイルス上清を調製し、がん細胞株(SW480)へ感染させ、陰性対照(以下、M-SW480という)として以下の実験に用いた。また、遺伝子導入したがん細胞株(SW480)において、導入遺伝子の染色体への組み込みおよびそのmRNA発現を確認し(図1B)、3因子全てが組み込まれていた細胞株(以下、OSK-SW480という)、OCT3/4のみが組み込まれていた細胞株(以下、O-SW480という)、SOX2のみが組み込まれていた細胞株(以下、S-SW480という)、KLF4のみが組み込まれていた細胞株(以下、K-SW480という)および因子を導入していない親細胞(以下、Wt-SW480という)を以下の試験に用いた。

0058

実施例2:因子導入後のSW480細胞の特性
3因子を導入したSW480細胞が、がん幹細胞特性を獲得しているか否かを判定するために、以下の観点から検討した。

0059

(a)形態観察
実施例1に記載のとおり3因子をSW480細胞に導入後10日目に、細胞の形態を観察した。その結果、導入された因子の種類ごとに、異なる形態的な特徴を示した(図1C)。具体的には、親細胞(Wt-SW480)やM-SW480細胞は、主に紡錘形の細胞や小さな丸型の細胞から構成され、O-SW480細胞は、不明瞭エッジを有する球形のクラスターから構成され、S-SW480細胞は、丸型の細胞の数が増加しており、K-SW480細胞は、わずかに細胞境界不明瞭でやや扁平なコロニーであり、OSK-SW480細胞は、細胞境界不明瞭な扁平に盛り上がったコロニーを構成していた。

0060

(b)がん幹細胞マーカーの発現
実施例1に記載のとおり3因子をSW480細胞に導入後10日目に、トリプシン-EDTAを用いて培養プレートから細胞を解離し、細胞を回収した。製造者の指示にしたがって、1%2-メルカプトエタノールを含有するRLTバッファーにより細胞株からの全RNAを抽出し、RNeasy Plus Mini Kit(QIAGEN)で処理した。次いで、Transcriptor High FidelitycDNASynthesis Kit(Roche)により1μgの全RNAアリコート逆転写した。Fast Start Universal SYBR Green Master Mix(Roche)を用いて、大腸がん幹細胞関連マーカーであるCD133、CD44、CD26、ALDH1、ABCG2およびLGR5について、StepOne real-timePCRsystem(Life Technologies)で解析した。用いたプライマー配列は、下記表1に示す。

0061

0062

その結果、OSK-SW480細胞においてのみ、上記したすべてのがん幹細胞マーカーが有意に高いレベルで発現していることが確認された(図2A)。

0063

さらに、細胞表面のがん幹細胞マーカー(CD133、CD44、CD26、ABCG2およびLGR5)を指標としたフローサイトメトリーによるアッセイを行った。トリプシン-EDTAを用いて、培養プレートから細胞を解離し、遠心分離により取り出した。CD133、CD44およびABCG2では、得られた単一細胞を、2% FBSおよび各マーカーの抗体を含有するPBSに再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。2% FBSを含有するPBSで3回の洗浄後、2% FBSを含有するPBSに細胞を再懸濁し、死細胞を2μg/mlヨウ化プロピジウム(PI)で標識した。CD26およびLGR5では、同様に得られた細胞を4%パラホルムアルデヒドで固定した後0.02% Triton-X (Sigma)で細胞膜を処理し、室温で30分間インキュベートした。PBSで3回の洗浄後、2% BSAを含有するPBSに細胞を再懸濁した。BD-FACSAria II(BD Biosciences)を用いて解析した。

0064

その結果、RT-PCRの結果と同様に、OSK-SW480細胞でがん幹細胞マーカーが発現している細胞の含有率が高いことが確認された(図2B)。また、各細胞についてALDH1の発現量をウェスタンブロット法により確認したところ、OSK-SW480細胞のみでALDH1の発現を確認した(図2C)。

0065

(c) 増殖および細胞周期
各細胞の細胞増殖速度を測定した。詳細には、実施例1に記載のとおり3因子または陰性対照を導入後7日目に、トリプシン-EDTAを用いて培養プレートから細胞を解離し、細胞を回収した。3×105個の細胞を6ウェルプレートに播種し、11日目(96時間後)に細胞数を計測した。その結果、OSK-SW480細胞の数は、M-SW480細胞など他の細胞株と比較して有意に少ないことが見出された(図2D)。

0066

さらに、3因子を導入したSW480細胞が、細胞周期の各段階においてどのような分布を示しているかを調べるために、細胞周期解析を行った。詳細には、実施例1に記載のとおり3因子を導入後10日目に、トリプシン-EDTAを用いて培養プレートから細胞を解離し、細胞を播種し翌日回収した。5×105個の細胞を遠心分離によりペレット化し、PBSで洗浄した。冷エタノール(−20℃)をPBS中の細胞懸濁液に滴下し、細胞が凝集するのを防ぐためボルテックスで混合した。続いて、4℃、エタノール溶液中で一晩固定後、細胞を遠心分離し、1%血清を含有するPBSで洗浄した。ペレット化した細胞を1% 血清を含有する1mlのPBSで再懸濁し、リボヌクレアーゼで処理して、RNAを消化した。細胞懸濁液にPI(最終濃度: 50μg/ml)を添加してDNAを染色し、フローサイトメトリーによりサンプルを解析した。その結果、がん幹細胞に特徴的とされるG1/0フェーズにある細胞の割合は、O-SW480、K-SW480およびOSK-SW480細胞において有意に増加することが見出された(図2E)。

0067

実施例3:5-FUに対する感受性
3因子を導入されたSW480細胞について、抗がん剤である5-FUに対する感受性を検討するために、WST-8アッセイにより細胞生存率を測定した。詳細には、実施例1に記載のとおり3因子をSW480細胞に導入後10日目に、トリプシン-EDTAを用いて培養プレートから細胞を解離し、細胞を回収した。回収した5×103個の細胞を96ウェルプレートに播種し、播種の24時間後に、培地を、1μg/mlまたは50μg/mlの5-FUを含むDMEM培地に置換した。これらの5-FUの濃度は、実地臨床において使用される、ボーラス投与持続投与における5-FU血中動態を参考として設定した。5-FU含有培地での48時間のインキュベーション後、マイクロタイタープレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。細胞生存率は、M-SW480細胞での吸光度に対する割合として算出した。その結果、5-FUを1μg/mlおよび50μg/mlのいずれの濃度で用いた場合でも、OSK-SW480細胞の生存度は、M-SW480細胞の生存度と比較して有意に高くなることが見出された(図2F)。

0068

実施例4:スフィア形成アッセイ
3因子を導入されたSW480細胞について、無血清浮遊培養条件下での増殖能を検討するために、スフィア形成アッセイを行った。詳細には、実施例1に記載のとおり3因子をSW480細胞に導入後10日目に、トリプシン-EDTAを用いて培養プレートから細胞を解離し、遠心分離を行った後、無血清DMEMで細胞を再懸濁した。次いで、1×104個の細胞を、10ng/ml bFGF(WAKO)、10μg/mlヒトインスリン(CSTI)、100μg/mlヒトトランスフェリンおよび100μg/mlBSAを含有する無血清DMEM を入れたUltra Low Attachment plates(Corning)に播種し、5%CO2インキュベータ内において、37℃で10日間インキュベートした後、形成されたスフィア数を計測した(図3A)。その結果、O-SW480、K-SW480およびOSK-SW480細胞を培養したときのスフィア数は、M-SW480細胞を培養したときのスフィア数と比較して有意に増加することが見出された(図3B)。

0069

実施例5:腫瘍形成能
3因子を導入されたSW480のin vivoでの腫瘍形成能を検討するために移植実験を行った。実験は、京都大学の動物実験委員会承認を得て行われた。詳細には、実施例1に記載のとおり3因子を導入後10日目に、トリプシン-EDTAを用いて培養プレートから細胞を解離し、細胞を回収した。次いで、100μlPBS中に懸濁し、1×106個の細胞または3×105個の細胞を免疫不全ヌードマウス(KSN/Slc mouse, SLC)の背部両側面に皮下注射した。各々の細胞数について、移植の4週間後および8週間後に、それぞれ腫瘍体積を測定した。腫瘍体積は、0.5×L×W2(L:長さ、W:幅)により計算した。その結果、いずれの細胞数の場合においても、K-SW480細胞およびOSK-SW480細胞を移植した場合、100%の腫瘍形成率であった。一方、対照群であるWt-SW480およびM-SW480ではともに、1×106個の場合:75%, 3×105個の場合:25%であった。

0070

また、K-SW480細胞およびOSK-SW480細胞由来の腫瘍体積は、Wt-SW480細胞、M-SW480細胞 、O-SW480細胞およびS-SW480細胞の場合と比較して有意に高くなることが見出された(図3CおよびD)。

0071

このときテラトーマの形成は確認されなかったことから、当該細胞は、多能性を獲得したiPS細胞ではないことが確認された。

0072

実施例6:薬剤排出
3因子を導入されたSW480の薬剤の排出能について、ABCトランスポーター阻害剤により排出能を抑制することで検討を行った。詳細には、実施例1に記載のとおり3因子をSW480細胞に導入後10日目に、トリプシン-EDTAを用いて培養プレートから細胞を解離し、細胞を回収した。1×106個の細胞をPBSで洗浄し、2% PBSおよび1mMHEPESを含有するDMEMで再懸濁した。細胞は、0μM、50μMまたは250μMのベラパミル(Sigma-Aldrich)、および5μg/mlのHoechst33342(Invitrogen)の存在下で、37℃で90分間インキュベートした。このとき、30分ごとに反転させることで穏やかに撹拌した。インキュベーション後、細胞を2% PBSおよび1mM HEPESを含有するPBSに再懸濁し、2μg/ml PIで対比染色して死細胞を標識し、40nmのメッシュフィルターを通過させ、ソーティングのために測定まで上で保管した。薬剤排出能は、Hoechst33342に対してUVレーザー(355nm)で励起させ、670/50フィルター(Hoechst Red)および450/50フィルター(Hoechst Blue)を透過する波長の蛍光をFACSAria IIを用いて検出することによって評価した。その結果、OSK-SW480細胞は、50μMのベラパミル(VM)の存在下においても、Hoechst33342で標識されない細胞集団を含んでいることが見出された(図4A)。このような、0μMおよび50μMのベラパミルの存在下でHoechst33342により標識されない細胞をそれぞれV0細胞およびV50細胞と名付けた。V50細胞は、OSK-SW480細胞の培養物中においてのみ有意にその含有量が多いことが見出された(図4B)。ベラパミルの濃度を250μMまで引き上げると、OSK-SW480細胞培養物中に存在していたV50細胞は、消失した(図4C)。

0073

さらに、遺伝子導入後28日目の細胞において、同様にベラパミル添加条件下での薬剤排除能を検討したところ、OSK-SW480においてはV50細胞の存在が確認されたが、10日目の細胞よりも含有率が低下することが確認された(図4D)。

0074

実施例7:別の大腸がん細胞株での検討
他のヒト大腸がん細胞株(DLD-1)を用いて、3因子導入による形質転換を受けた細胞の増殖能(図5A)、薬剤排出能(図5B)、腫瘍形成能(図5C)を確認したところ、SW480と同様に、3因子導入によりin vitroでの細胞増殖能が低下し、V50細胞を含有し、形成腫瘍の体積および個数において腫瘍形成能が高いことが確認された。

0075

実施例8:高い薬剤排出能を有するがん幹細胞の単離
OSK-SW480細胞培養物に見受けられたがん幹細胞特性が、実施例6で単離されたV50細胞に起因するものであるか否かを次の通り検討した。詳細には、実施例6と同様の方法により、OSK-SW480細胞中に存在するV50細胞(OSK-V50)、M-SW480細胞中のnon-V0細胞、V0細胞およびnon-V50細胞(それぞれ、M-nonV0、M-V0およびM-nonV50)、ならびにOSK-SW480細胞中のnon-V50細胞(OSK-nonV50)をソーティングし、各細胞集団を10日間培養した。その後、各細胞集団の細胞の形態を観察した。その結果、OSK-V50の形態は、OSK-SW480細胞で特徴的に観察されていたもの(図1Cの実線で囲まれた細胞)と類似していることが見出された(図6A)。対照的に、OSK-nonV50細胞の形態は、M-V0、M-nonV0およびM-nonV50細胞の形態と類似していた(図6A)。

0076

次いで、ソーティングされた各細胞集団の細胞増殖速度を調べるために、実施例6と同様の方法で各細胞集団をソーティング後、14〜18日間培養を行い、次いで、3×105個の細胞を播種し、96時間後に細胞数を計測した。その結果、OSK-V50細胞の数は、他のどの細胞系よりも有意に少なく、細胞増殖速度の低下が認められた(図6B)。

0077

さらに、図3CおよびDでみられたOSK-SW480の腫瘍形成能の増大がOSK-V50に由来するか否かを検討した。ソーティングされた各細胞集団のin vivoでの腫瘍形成能を検討するために、移植実験を行った。実施例6と同様の方法で各細胞集団をソーティング後18日目に、3×105個の細胞および1×105個の細胞を免疫不全ヌードマウスに皮下注射した。移植の8週間後に、腫瘍体積を測定した。その結果、OSK-V50細胞からのみ腫瘍を生じた。一方、M-nonV0、M-V0、M-nonV50およびOSK-nonV50細胞からは腫瘍が産生されなかった(図6C)。

0078

実施例9:V50細胞の多様性形成能免疫組織学的評価
OSK-SW480のV50細胞ががん幹細胞特性の一つであるがん組織における多様な細胞の形成能(多様性形成能)を有しているか否かを調べる実験を行った。詳細には、実施例6と同様の方法により、M-V0細胞、M-nonV50細胞、OSK-V50細胞およびOSK-nonV50細胞をソーティングし、各細胞集団を23日間培養した後、FACS解析を行った。その結果、M-V0細胞およびM-nonV50細胞を培養しても、V50細胞が生じることはなかったが、OSK-V50細胞は、培養後もV50細胞(7.8%)を含み、さらにnon-V50細胞も含むことが確認された(図7A)。これらの結果から、V50細胞は、薬剤排出能について多様な種類の細胞を産生する能力を有していることが明らかとなった。

0079

次いで、OSK-SW480のV50細胞(OSK-V50)のin vitroでの組織学的特性分化能力の有無を確認するために、抗CDX2抗体または抗CK20抗体を用いたOSK-V50の細胞免疫染色を行った。また、OSK-V50の培養中の形態変化を見るための経時的定点観察実験を行った。M-SW480のV0細胞(M-V0)およびOSK-V50をソーティングし、各細胞集団を5日間培養した。その後、細胞培養観察システムインキュベーター(BioStation CT, Nikon)を用いて、6時間ごとに計42時間、細胞を撮影した。CL-Quant解析ソフトウェア(Nikon)により時間経過画像を解析した。

0080

細胞免疫染色の結果、OSK-V50はM-V0と同様に、免疫組織学的な大腸がん細胞特性とされるCK20およびCDX2陽性の所見を呈したことから、OSK-V50が大腸がん細胞特性を有していること、また、CK20が大腸上皮分化マーカーとして広く知られていることから、OSK-V50が分化能力も有することが確認された(図7B)。また、経時的定点観察の結果、M-V0が均一な細胞形態で増殖するのみであるのに対して、OSK-V50では時間の経過と共に、多角形丸形立方体、紡錘形および扁形などの多様な形態の細胞からなる細胞集団を形成することが明らかとなり、また、形成されるコロニーは、境界不明瞭な細胞からなる扁平に盛り上がった形態をしていた(図7C)。また、細胞の遊走能について評価したところ、OSK-V50は、M-V0と比較して、より高い遊走能を有することが示された(図7C)。これらから、OSK-V50は、M-V0と比較して、形態および細胞遊走能について高度な多様性を産生する能力を有していることが見出された。

0081

実施例10:OSK-V50由来の腫瘍における免疫組織化学
OSK-V50細胞に由来する腫瘍について評価するために、免疫組織化学による実験を行った。本実験による評価は、OSK-V50由来の腫瘍とM-SW480由来の腫瘍を比較することにより行った。

0082

実施例6と同様の方法により各細胞集団をソーティングし、培養18日目に、1×105個の細胞を免疫不全ヌードマウスに皮下注射した。移植の8週間後に、腫瘍を切除し、測定し、4%パラホルムアルデヒドで固定した。パラフィン包理組織をスライスし、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。その結果、M-SW480由来の腫瘍は、均一な形態の異形細胞塊から構成されていたが、OSK-V50由来の腫瘍は、しばしばヒトの大腸がん組織において観察される腺管様構造を含む形態的多様性を示すことが明らかとなった(図8A)。

0083

次いで、免疫組織化学によるアッセイを行った。ヒト大腸がん組織の組織学的特性として、CK20陽性、CK7陰性、CDX2陽性の所見が広く知られていることから、上記と同様の方法により得られたOSK-V50由来の腫瘍およびM-SW480由来の腫瘍をホルマリンで固定し、次いで、パラフィン包理した切片を、アビジンビオチン免疫ペルオキシダーゼ法により、抗ヒトCK20マウスモノクローナル抗体(Clone: Ks20.8,希釈1:25, DAKO)、抗ヒトCK7ウサギモノクローナル抗体(Clone: SP52, 濃度0.536μg/ml, Roche)または抗ヒトCDX2マウスモノクローナル抗体(Clone: AMT28, 希釈1:500, Leica Biosystems)を用いて染色した。染色にあたって、マイクロウェーブによる抗原賦活化を行った。CK7については、Ventana自動免疫染色装置を用いた。その結果、M-SW480由来の腫瘍は、CK20およびCK7に対して陰性であったのに対し、OSK-V50由来の腫瘍は、CK20に対して部分的に陽性であり、かつ、CK7に対して陰性であった(図8B)。また、M-SW480由来の腫瘍およびOSK-V50由来の腫瘍は、CDX2に対して陽性であった(図8B)。

0084

これらから、OSK-V50由来の腫瘍は、実際のヒト大腸がん組織と、組織学的および免疫組織化学的な特性に関して類似することが示された。すなわち、OSK-V50細胞は、in vivoにおいて、CK20陽性の細胞を産生する分化能力、ヒト大腸がん組織特異性再現する能力を獲得していることが明らかとなった。

0085

実施例11:連続移植による腫瘍形成能およびヒト大腸がん組織再現能
OSK-V50細胞が、in vivoにおける継代を繰り返しても、腫瘍形成能を有しかつ実施例10で示された組織学的にヒト大腸がん組織特異性を再現する能力を有するかを検討した。実施例6と同様の方法によりソーティングにより得られたM-nonV50またはOSK-V50をin vitroで培養した後(1st Culture)、3×106個の細胞を免疫不全ヌードマウスに皮下注射した。続いて、得られた腫瘍(1st Tumor)を摘出し、腫瘍片をgentleMACS Dissociator とHuman Tumor Dissociation Kit (ともにMiltenyi Biotec)を用いて単一細胞に解離させ、培養した(2nd Culture)。培養後、3×106個の細胞を免疫不全ヌードマウスに皮下注射した。同様に、得られた腫瘍(2nd Tumor)を摘出し、解離させ、培養した(3rd Culture)。さらに、得られた3×106個の細胞を免疫不全ヌードマウスに皮下注射し、腫瘍(3rd Tumor)を形成させた。同様に、腫瘍を摘出し、解離させ、培養した(4th Culture)(図9A)。このようにして得られた1st Culture、2nd Culture、3rd Culture、4th Cultureを顕微鏡で観察したところ、OSK-V50では、細胞境界不明瞭な扁平隆起したコロニーの出現と多様な細胞から構成されることが観察され(図9B)、また培養後の細胞数も少ない(細胞増殖速度が低い)ことが確認された(図9C)。これらの挙動は、実施例9と同様の結果であることから、連続移植により形成された腫瘍から得られた細胞においてもV50細胞の形態的特徴は保持されていることが示唆された。さらに、2nd Culture、3rd Culture、4th Cultureの細胞中のV50細胞の含有率を測定したところ、OSK-V50では、そのいずれの腫瘍中にも一定量(1-1.6%)のV50細胞を含有していることが明らかとなり、in vitroと異なってin vivoではV50細胞の含有率が維持できることが確認された(図9D)。

0086

続いて、OSK-V50における1st Tumor、2nd Tumor、3rd Tumorの腫瘍片を実施例10と同様にHE染色および免疫染色したところ、いずれの代においてもヒト大腸がん組織の組織学的特性を再現する能力を有しており、またCK20陽性の分化した大腸がん様細胞がみられ、分化能力も保持されることが確認された。

0087

実施例12:V50の連続移植による腫瘍形成能
実施例11と同様に用意した3rd Cultureを実施例6と同様の方法でソーティングし、再度V50細胞およびnon-V50細胞を得た。これらの細胞を4日間培養後それぞれ免疫不全ヌードマウスに皮下注射し、腫瘍(3rd Tumor)を形成させた。実施例11と同様に、それぞれの腫瘍を切除し、解離させ、培養した(4th Culture)(図10A)。3rd CultureにおけるV50細胞およびnon-V50細胞の培養後の細胞数を測定したところ、これまでと同様にV50細胞でその数が少ないことが確認された(図10B)。また、このV50細胞およびnon-V50細胞を移植せず培養を継続し、形態を観察したところ、実施例9と同様に、V50細胞には、細胞境界不明瞭で扁平隆起したコロニーの出現と形態的に多様な細胞集団構成が、経時的に観察された(図10C)。

0088

続いて、再回収されたV50細胞由来の3rd Tumorを実施例10と同様にHE染色および免疫染色したところ、これまでと同様に、ヒト大腸がん組織の組織学的特性を再現する能力および分化能力を有することが確認された。

0089

さらに、実施例11で得られた、4th CultureにおけるV50細胞の含有量を調べたところ、1.3%から2.7%含有していることが確認された。

0090

以上の結果から、OSK-V50は、in vivoでの継代においてもがん幹細胞特性を有して一定の割合で存在し続けることができることが確認された。つまり、本実施例で得られたOSK-V50は、in vitroでは含有率を維持できないことから、非対称分裂により分化して非がん幹細胞である大腸がん様細胞を形成するが、in vivoにおいては対照分裂を伴う自己複製により、一定程度の割合で存在し続けることができることが示唆され、がん幹細胞のin vivoにおける自己複製能も有すると考えられた。

0091

実施例13:肺がん細胞株(A549)へのOCT3/4、SOX2およびKLF4の導入
ヒト肺がん細胞株(A549)は、理化学研究所バイオリソースセンターから入手可能である。10% FBS(Life Technologies)、100 Units/mlペニシリン(Life Technologies)および100μg/mlストレプトマイシン(Life Technologies)を含有するDMEM培地(Nacalai Tesque)(以下、10%FBS-DMEMという)を用いて、入手した肺がん細胞を培養した。

0092

レトロウイルスを用いてOCT3/4、SOX2およびKLF4を大腸がん細胞に導入するために、まず、6ウェルディッシュあたり4.0×105個のPLAT-Aパッケージング細胞を播種し、一晩、インキュベートした。翌日、Fugene6導入試薬(Roche)を用いて、OCT3/4、SOX2およびKLF4のそれぞれが組み込まれているpMXsベクター(それぞれ、pMXs-hOCT3/4、pMXs-hSOX2およびpMXs-hKLF4)をPLAT-Aパッケージング細胞に導入した。24時間後に培地を新鮮な培地で置換し、さらに24時間後、ウイルスを含む上清を回収した。ウイルスを含む上清を0.45μmのフィルターを通過させてして濾過し、4μg/mlポリブレンを添加した。レトロウイルスを含む各々の上清を等量で混合し、A549が播種された培養皿に添加し、一晩、インキュベートした。さらに24時間後、培地を、ウイルスを含んでいない新鮮な10% FBS-DMEMで置換し、培養を継続したところ、遺伝子導入後10日〜15日目に、A549細胞(以下、OSK-A549という)において、ドーム状の形態を有するColonyの出現を認めた(図11)。同様の方法にて、EGFPを組み込んだpMXsベクターからウイルス上清を調製し、A549へ感染させ、陰性対照(以下、EGFP-A549という)として以下の実験に用いた。

0093

遺伝子導入後10、20、30日目のOSK-A549およびEGFP-A549、ならびにA549細胞をbFGF (10ng/ml)、human insulin (10μg/ml)、human transferrin (100μg/ml)、BSA (100μg/ml)を含むSerum-freeDMEM培地において10日間浮遊培養させ、Sphere形成数を比較した。その結果、OSK-A549において、sphere形成能の増大を認めた(図12および13)。

0094

遺伝子導入後15日目のOSK-A549細胞の培地を除去し、トリプシン0.25%で6〜10分間処理後、トリプシン及び剥離した細胞を除去し、ディッシュをPBSで2回洗浄した。Colony部はトリプシンに対する反応性が周囲より低いことからdish上に残存するため、colony部の細胞を特異的に濃縮・回収することが可能であった(図14)。それらの細胞をセルスクレイパーにより回収し、継代した。

0095

上述の通り回収したOSK-A549 Colonyを培養することにより、その周囲に紡錘形の細胞を認めた(図15A)。この紡錘形の細胞は、周囲の細胞よりトリプシンに対する反応性が高いため、トリプシン0.25%で6分間処理することにより剥離できた。当該剥離細胞を回収することで、紡錘形の細胞(以下、OSK-A549 SNという)のみの回収が可能であった(図15B)。

0096

A549細胞、OSK-A549 Colony、OSK-A549 SNを6-Well dish上に1.0×105個ずつ播種し、シスプラチン(CDDP)を 0μM、2μMまたは10μMを添加した条件下で3日間培養した(図16A)。その後、生細胞数をカウントし、CDDP投与による生細胞減少率を比較した。OSK-A549 Colonyにおいて、CDDP感受性の明らかな低下がみられた(図16B)。

0097

実施例14:OCT3/4、SOX2およびKLF4の導入方法の改良
In-Fusion HD Cloning Kit(タカラ)を用いて、OCT3/4をコードする核酸、SOX2をコードする核酸およびKLF4をコードする核酸を同時に有するベクター(以下、OKSベクターという)を作製した(図17)。なお、遺伝子間は2A領域で繋いで作成した。

0098

大腸癌細胞株(SW480)にempty vector(Mock)、実施例1に記載の別々のベクター(O+S+K)またはOKSベクター(OKS)を導入した。OKSベクターで導入したSW480は、別々に導入したSW480と同様にcolony様の形態変化を認めた(図18)。

0099

O+S+KまたはOKSを導入後のSW480もしくはhiPS細胞をqRT-PCRでOCT3/4、SOX2、KLF4(total)の遺伝子発現を比較した。なお、hiPS細胞は、Okita K, et al, Stem Cells. 31, 458-466, 2013に記載の方法に従って、Epi5TM Episomal iPSC Reprogramming kit(Life Technologies)を用いてOCT3/4、SOX2およびKLF4を末梢血単核球へ導入し、Nakagawa M, et al, Sci Rep. 4, 3594, 2014に記載の方法で培養することによって得られた。その結果、OKSベクターを導入した場合、O+S+Kで導入した場合に比べ遺伝子発現は低いが、Mockに比べ明らかな発現増加を認めた(図19)。これは、ベクターサイズが大きいことによる導入効率が低下に起因すると考えられる。

0100

O+S+KまたはOKSを導入したSW480のOCT3/4、SOX2発現を免疫染色で評価した。その結果、OKSベクターで導入した場合は、遺伝子導入された細胞ではOCT3/4およびSOX2がdouble positiveであった(図20)。

0101

因子導入し10日間培養後、実施例6と同様の方法で各濃度(0μM、50μMおよび250μM)のベラパミルを添加した際のHoechst33342の含有分布をフローサイトメトリーで解析した。OKSベクターで導入したSW480でも、別々に導入したSW480と同等のV50細胞含有率を認めた(図21)。

0102

OKSベクターで導入したSW480のV50細胞、non V50細胞をsortingし、9日間培養したところ、OKSベクターで導入した細胞から取得したV50細胞(V50-OKS)は、強いcolony形成傾向を認めた(図22)。

0103

本発明を好ましい態様を強調して説明してきたが、好ましい態様が変更され得ることは当業者にとって自明であろう。本発明は、本発明が本明細書に詳細に記載された以外の方法で実施され得ることを意図する。したがって、本発明は添付の「請求の範囲」の精神および範囲に包含されるすべての変更を含むものである。

0104

ここで述べられた特許および特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、ここに引用されたことによって、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。

実施例

0105

本出願は、日本で出願された特願2014−128667(出願日:2014年6月23日)を基礎としており、ここで言及することにより、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

0106

本発明により、生体内に存在するものと極めて近い性質を有するがん幹細胞を大量に入手することが可能となるため、抗がん剤のスクリーニングなどへの適用において極めて有用である。

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