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課題・解決手段
セラミックスヒータ型グローブラグの構造及び製造工程を簡易なものとして製造コストを低減すること。 セラミックスヒータ(11)と、一端でセラミックスヒータを保持すると共に他端がハウジング(14)に固定される金属製の外筒(12)とを備えるセラミックスヒータ型グローブラグ(1)の製造方法であって、セラミックスヒータにおける外筒(12)に保持される少なくとも一部の表面領域にメタライズ層(116)を形成するステップと、セラミックスヒータの少なくともメタライズ層を外筒に圧入するステップと、メタライズ層を形成する材料が半溶融状態となる温度で、セラミックスヒータ及び外筒を加熱して、外筒とメタライズ層の固層間での物質移動による接合を行うステップと、を有する。
概要
背景
ディーゼルエンジンの始動補助に使用されるセラミックスヒータ型グロープラグが知られている。セラミックスヒータ型グロープラグは、発熱部を有するセラミックスヒータと、発熱部を外部に突出させた状態でセラミックスヒータの一端側を保持する金属製の外筒とを備えている。このようなグロープラグは、外筒の一端側がエンジンのシリンダヘッドへの取り付け金具であるハウジング内に挿入されて固定されている(例えば、特許文献1参照)。
また、グロープラグの製造コストは、セラミックスヒータの長さに大きく依存することから、セラミックスヒータの長さを短くして製造コストを低減したグロープラグも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
セラミックスヒータを外筒に保持させる方法について具体的に説明すると、まず、先端部に段差を有するステンレス製の外筒を準備し、この外筒の外面及び内面にニッケルのメッキ層を形成する。次いで、一部の表面にメタライズ層が形成されたセラミックスヒータを外筒内に挿入して位置決めし、外筒の内面の段差部分にロウ材を載置する。次いで、これらをロウ材が溶ける温度まで加熱し、溶けたロウ材をセラミックスヒータの表面と外筒の内面との間に重力と表面張力を利用して流動させ、その後、冷却することでセラミックスヒータと外筒とを接合し、セラミックスヒータを外筒に保持させている(例えば、特許文献3参照)。
概要
セラミックスヒータ型グローブラグの構造及び製造工程を簡易なものとして製造コストを低減すること。 セラミックスヒータ(11)と、一端でセラミックスヒータを保持すると共に他端がハウジング(14)に固定される金属製の外筒(12)とを備えるセラミックスヒータ型グローブラグ(1)の製造方法であって、セラミックスヒータにおける外筒(12)に保持される少なくとも一部の表面領域にメタライズ層(116)を形成するステップと、セラミックスヒータの少なくともメタライズ層を外筒に圧入するステップと、メタライズ層を形成する材料が半溶融状態となる温度で、セラミックスヒータ及び外筒を加熱して、外筒とメタライズ層の固層間での物質移動による接合を行うステップと、を有する。
目的
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、構造を簡素化して製造コストを低減するとともに、セラミックスヒータと外筒の接合強度を十分に保持することができるセラミックスヒータ型グローブラグの製造方法及びセラミックスヒータ型グロープラグを提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
請求項1
セラミックスヒータと、一端で前記セラミックスヒータを保持すると共に他端がハウジングに固定される金属製の外筒とを備えるセラミックスヒータ型グローブラグの製造方法であって、前記セラミックスヒータにおける前記外筒に保持される少なくとも一部の表面領域にメタライズ層を形成するステップと、前記セラミックスヒータの少なくとも前記メタライズ層を前記外筒に圧入するステップと、前記メタライズ層を形成する材料が半溶融状態となる温度で、前記セラミックスヒータ及び前記外筒を加熱して、前記外筒と前記メタライズ層の固層間での物質移動による接合を行うステップと、を有することを特徴とするセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項2
前記外筒と前記セラミックスヒータとを接合する前に、前記外筒における前記メタライズ層と接合される領域に銀メッキを施すステップを有することを特徴とする請求項1に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項3
前記メタライズ層全体の重量に対して30%以下の銅と、10%以下のチタンとを含む銀ペーストを用いて前記メタライズ層を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項4
前記セラミックスヒータに通電するリード線における前記セラミックスヒータとの接続部位に、耐酸化性材料による酸化防止層を形成することを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項5
前記耐酸化性材料は、銀又はニッケルであることを特徴とする請求項4に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項6
前記外筒と前記メタライズ層の固層間での物質移動による接合と同時に、前記セラミックスヒータに通電するリード線と前記セラミックスヒータとをロウ付けすることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項7
前記リード線と前記セラミックスヒータとをロウ付けした後に、前記外筒をかしめて、前記リード線を前記外筒に固定することを特徴とする請求項6に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項8
前記セラミックスヒータに通電するリード線を前記セラミックスヒータに押しつけた状態で前記外筒をかしめて、前記リード線を前記外筒に固定すると共に前記セラミックスヒータに接続することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項9
前記外筒のかしめ部分に対向する前記リード線の表面に耐熱樹脂を設けることを特徴とする請求項7又は8に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項10
前記外筒のかしめ部分に対向する前記リード線の表面にローレット加工を施すことを特徴とする請求項7から9までのいずれか一項に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項11
セラミックスヒータと、一端で前記セラミックスヒータを保持すると共に他端がハウジングに固定される金属製の外筒とを備えるセラミックスヒータ型グローブラグであって、前記セラミックスヒータは、前記外筒に保持される少なくとも一部の表面領域にメタライズ層を有し、前記セラミックスヒータと前記外筒は、前記セラミックスヒータにおける前記メタライズ層の前記外筒への圧入と、前記メタライズ層を形成する材料が半溶融状態となる温度での前記セラミックスヒータ及び前記外筒の加熱とによって、前記外筒と前記メタライズ層の固層間での物質移動により接合されていることを特徴とするセラミックスヒータ型グロープラグ。
請求項12
前記外筒における前記メタライズ層と接合される領域に銀メッキが施されていることを特徴とする請求項11に記載のセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法。
請求項13
前記メタライズ層は、層全体の重量に対して30%以下の銅と、10%以下のチタンを含む銀ペーストから形成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のセラミックスヒータ型グロープラグ。
請求項14
前記セラミックスヒータに通電するリード線の先端部における前記セラミックスヒータとの接続部位に、耐酸化性材料による酸化防止層を有することを特徴とする請求項11から13までのいずれか一項に記載のセラミックスヒータ型グロープラグ。
請求項15
前記耐酸化性材料は、銀又はニッケルであることを特徴とする請求項14に記載のセラミックスヒータ型グロープラグ。
請求項16
前記セラミックスヒータに通電するリード線を備え、前記リード線は、前記外筒がかしめられることによって前記外筒に固定されていることを特徴とする請求項11から15までのいずれか一項に記載のセラミックスヒータ型グロープラグ。
請求項17
前記外筒のかしめ部分に対向する前記リード線の表面に耐熱樹脂が設けられていることを特徴とする請求項16に記載のセラミックスヒータ型グロープラグ。
請求項18
前記外筒のかしめ部分に対向する前記リード線の表面にローレット加工が施されていることを特徴とする請求項16又は17に記載のセラミックスヒータ型グロープラグ。
技術分野
0001
本発明は、ディーゼルエンジンの始動補助用として使用されるセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法及びセラミックスヒータ型グロープラグに関する。
背景技術
0002
ディーゼルエンジンの始動補助に使用されるセラミックスヒータ型グロープラグが知られている。セラミックスヒータ型グロープラグは、発熱部を有するセラミックスヒータと、発熱部を外部に突出させた状態でセラミックスヒータの一端側を保持する金属製の外筒とを備えている。このようなグロープラグは、外筒の一端側がエンジンのシリンダヘッドへの取り付け金具であるハウジング内に挿入されて固定されている(例えば、特許文献1参照)。
また、グロープラグの製造コストは、セラミックスヒータの長さに大きく依存することから、セラミックスヒータの長さを短くして製造コストを低減したグロープラグも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
0003
セラミックスヒータを外筒に保持させる方法について具体的に説明すると、まず、先端部に段差を有するステンレス製の外筒を準備し、この外筒の外面及び内面にニッケルのメッキ層を形成する。次いで、一部の表面にメタライズ層が形成されたセラミックスヒータを外筒内に挿入して位置決めし、外筒の内面の段差部分にロウ材を載置する。次いで、これらをロウ材が溶ける温度まで加熱し、溶けたロウ材をセラミックスヒータの表面と外筒の内面との間に重力と表面張力を利用して流動させ、その後、冷却することでセラミックスヒータと外筒とを接合し、セラミックスヒータを外筒に保持させている(例えば、特許文献3参照)。
先行技術
0004
特許第4555508号公報
特許第4172486号公報
特開2005−315447号公報
発明が解決しようとする課題
0005
しかしながら、セラミックスヒータを外筒に保持させるために上記のような接合方法を用いると、外筒内にロウ材を載置する段差を形成する必要があり、外筒の製作に手間がかかる。その結果、セラミックスヒータの長さを短くしても、外筒の構造が複雑になり、製造コストの低減が困難である。
また、外筒とセラミックスヒータとを接合するロウ材は、接合後もセラミックスヒータの発熱部に近接した位置にあるため、セラミックスヒータの熱によってロウ材に含まれる銅成分が酸化されてしまい、セラミックスヒータと外筒の接合強度を十分に保持できなくなるおそれがある。
0006
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、構造を簡素化して製造コストを低減するとともに、セラミックスヒータと外筒の接合強度を十分に保持することができるセラミックスヒータ型グローブラグの製造方法及びセラミックスヒータ型グロープラグを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0007
上記課題を解決するため、本発明は、セラミックスヒータと、一端で前記セラミックスヒータを保持すると共に他端がハウジングに固定される金属製の外筒とを備えるセラミックスヒータ型グローブラグの製造方法であって、前記セラミックスヒータにおける前記外筒に保持される少なくとも一部の表面領域にメタライズ層を形成するステップと、前記セラミックスヒータの少なくとも前記メタライズ層を前記外筒に圧入するステップと、前記メタライズ層を形成する材料が半溶融状態となる温度で、前記セラミックスヒータ及び前記外筒を加熱して、前記外筒と前記メタライズ層の固層間での物質移動による接合を行うステップと、を有することを特徴としている。
0008
この発明の一態様として、前記外筒と前記セラミックスヒータとを接合する前に、前記外筒における前記メタライズ層と接合される領域に銀メッキを施すステップを有することが好ましい。
0011
この発明の一態様として、前記耐酸化性材料は、銀又はニッケルであることが好ましい。
0012
この発明の一態様として、前記外筒と前記メタライズ層の固層間での物質移動による接合と同時に、前記セラミックスヒータに通電するリード線と前記セラミックスヒータとをロウ付けすることが好ましい。
0013
この発明の一態様として、前記リード線と前記セラミックスヒータとをロウ付けした後に、前記外筒をかしめて、前記リード線を前記外筒に固定することが好ましい。
0014
この発明の一態様として、前記セラミックスヒータに通電するリード線を前記セラミックスヒータに押しつけた状態で前記外筒をかしめて、前記リード線を前記外筒に固定すると共に前記セラミックスヒータに接続することが好ましい。
0015
この発明の一態様として、前記外筒のかしめ部分に対向する前記リード線の表面に耐熱樹脂を設けることが好ましい。
0016
この発明の一態様として、前記外筒のかしめ部分に対向する前記リード線の表面にローレット加工を施すことが好ましい。
0017
また、本発明は、セラミックスヒータと、一端で前記セラミックスヒータを保持すると共に他端がハウジングに固定される金属製の外筒とを備えるセラミックスヒータ型グローブラグであって、前記セラミックスヒータは、前記外筒に保持される少なくとも一部の表面領域にメタライズ層を有し、前記セラミックスヒータと前記外筒は、前記セラミックスヒータにおける前記メタライズ層の前記外筒への圧入と、前記メタライズ層を形成する材料が半溶融状態となる温度での前記セラミックスヒータ及び前記外筒の加熱とによって、前記外筒と前記メタライズ層の固層間での物質移動により接合されていることを特徴としている。
0018
この発明の一態様として、前記外筒における前記メタライズ層と接合される領域に銀メッキが施されていることが好ましい。
0019
この発明の一態様として、前記メタライズ層は、層全体の重量に対して30%以下の銅と、10%以下のチタンを含む銀ペーストから形成されていることが好ましい。
0020
この発明の一態様として、前記セラミックスヒータに通電するリード線の先端部における前記セラミックスヒータとの接続部位に、耐酸化性材料による酸化防止層を有することが好ましい。
0021
この発明の一態様として、前記耐酸化性材料は、銀又はニッケルであることが好ましい。
0022
この発明の一態様として、前記セラミックスヒータに通電するリード線を備え、前記リード線は、前記外筒がかしめられることによって前記外筒に固定されていることが好ましい。
0023
この発明の一態様として、前記外筒のかしめ部分に対向する前記リード線の表面に耐熱樹脂が設けられていることが好ましい。
0024
この発明の一態様として、前記外筒のかしめ部分に対向する前記リード線の表面にローレット加工が施されていることが好ましい。
発明の効果
0025
本発明によれば、構造を簡素化して製造コストを低減するとともに、セラミックスヒータと外筒の接合強度を十分に保持することができる。
図面の簡単な説明
0026
本発明の実施形態1にかかるセラミックスヒータ型グロープラグの縦断面図である。
図1において、セラミックスアセンブリ付近を拡大視したセラミックスヒータ型グロープラグの縦断面図である。
本発明の実施形態1にかかるセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法を説明する図である。
本発明の実施形態2にかかるセラミックスヒータ型グロープラグにおいて、セラミックスアセンブリ付近を拡大視したセラミックスヒータ型グロープラグの縦断面図である。
本発明の実施形態2にかかるセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法を説明する図である。
本発明の実施形態3にかかるセラミックスヒータ型グロープラグの縦断面図である。
実施例
0027
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施形態は一つの例示であり、本発明の範囲において、種々の実施形態をとり得る。
0028
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1にかかるディーゼルエンジン用のセラミックスヒータ型グロープラグ1の縦断面図である。図2は、図1において、セラミックスアセンブリ付近を拡大視したセラミックスヒータ型グロープラグの縦断面図である。図1、2に示すように、グロープラグ1は、セラミックスヒータアセンブリ10と、ハウジング14と、リード棒16等を備えている。なお、以下で使用される横断面とは、セラミックスヒータ型グロープラグ1の長手方向の軸線に垂直な切断面を意味する。また、以下で使用される縦断面とは、セラミックスヒータ型グロープラグ1の長手方向の軸線を含む切断面を意味する。
0029
<セラミックスヒータ型グロープラグの構成>
(セラミックスヒータ型アセンブリ)
セラミックスヒータアセンブリ10は、セラミックスヒータ11と、金属製の外筒(シース)12と、太径リード部13等を備えている。
セラミックスヒータ11は、通電により加熱される部位であり、セラミックスヒータ11には、その本体部を構成するセラミックス絶縁基体111の内部に、U字状に形成されたセラミックス発熱体112が埋設されている。このセラミックス発熱体112の両端側には、それぞれ金属リード113を介して正側電極114及び負側電極115が設けられている。負側電極115は、セラミックス絶縁基体111の外周面に取り出され、負側電極115を含むセラミックス絶縁基体111の外周面には、メタライズ層としての負極側メタライズ部116が形成されている。
負極側メタライズ部116は、例えば、負極側メタライズ部116全体の重量に対して30重量%以下の銅(Cu)と、10重量%以下のチタン(Ti)を含有する銀ペーストから形成されている。
0030
セラミックスヒータ11のうち、少なくとも負極側メタライズ部116は、外筒12の一端側の内面に接合され、負側電極115は外筒12に電気的に接続されている。すなわち、外筒12は、導電性を有する金属材料から形成されている。外筒12は、その内径がセラミックスヒータ11を圧入できる程度の大きさに形成されており、セラミックスヒータ11を外筒12に圧入した際に、外筒12の内周面123とセラミックスヒータ11の外周面118との間に大きな隙間がほとんどできないように形成されている。
具体的に、セラミックスヒータ11と外筒12との接合は、外筒12内にセラミックスヒータ11の負極側メタライズ部116を圧入、固定した状態で、負極側メタライズ部116を形成する材料が半溶融状態となる温度で、セラミックスヒータ11及び外筒12を加熱して、外筒12と負極側メタライズ部116の固層間での物質移動によって行われる。
0031
正側電極114は、セラミックス発熱体112が埋設されている先端側とは反対の後端側においてセラミックス絶縁基体111の外面に取り出されている。正側電極114を含むセラミックス絶縁基体111の後端面には正極側メタライズ部117が形成されている。この正極側メタライズ部117はロウ付け等によって太径リード部13の先端面131に接合され、正側電極114と太径リード部13とが電気的に接続されている。
0032
ここで、セラミックス絶縁基体111の後端面には、面取加工部111aが形成されている。これによって、セラミックス絶縁基体111と太径リード部13の接合部の周囲において、セラミックス絶縁基体111と外筒12との距離を稼ぐことができる。したがって、ロウ付けする場合において、ロウ材と外筒12との絶縁性が高められ、絶縁破壊を低減することができるようになっている。
0033
グロープラグ1の作動時において、太径リード部13には高温かつ大きな電流(例えば4〜30アンペア)が流れることから、太径リード部13の直径が例えば1mm未満のように小さすぎると、自己発熱も加わって、短時間で酸化するおそれがある。そのため、太径リード部13は、例えば、セラミックス絶縁基体111の横断面積の20%以上の横断面積を有する、比較的太い直径を有するリード棒(セラミックスヒータへの通電のためのリード線)として形成されている。
一方で、太径リード部13の直径が大きすぎると、太径リード部13と外筒12との間の距離を十分に確保することができず、絶縁破壊を生じるおそれがある。よって、太径リード部13の横断面積は、例えば、セラミックス絶縁基体111の横断面積の40%以下であることが好ましい。また、太径リード部13の長さは、太径リード部13の直径の2倍以上の長さとすることが好ましい。
0034
太径リード部13は、外部接続端子として機能するリード棒16(セラミックスヒータへの通電のためのリード線)よりも剛性が低く、電気導電率が高い材料からなる。このような材料としては、例えば、銅(Cu)やアルミニウム(Al)、あるいはそれらの合金が挙げられる。あるいは、低剛性であり電気導電率が高い鉄合金や鋳鉄とすることもできる。
太径リード部13の先端面131を含む先端部には、耐酸化性を向上させるために酸化防止層135としての銀ペーストが被覆されている。なお、酸化防止層135は、銀ペーストに限らず、ニッケル等の耐酸化性を有する材料を焼き付けてもよい。また、太径リード部13には、耐熱性を改善するためにニッケル(Ni)メッキ等を施してもよい。
太径リード部13の軸線方向の中央部表面には、全周にわたってローレット加工が施されており、このローレット加工部133と外筒12との間には、耐熱樹脂136が充填されている。ここで、耐熱樹脂136としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等を用いることが好ましい。
耐熱樹脂136は、外筒12と共にかしめられており、外筒12が他の部分よりも縮径されている。外筒12をかしめることにより、外筒12及び耐熱樹脂136は、太径リード部13のローレット加工部133に押しつけられ、外筒12に太径リード部13を固定することができる。すなわち、外筒12のかしめ部分に対向する太径リード部13の表面には、ローレット加工部133が形成されるとともに、耐熱樹脂136が設けられている。
0035
(ハウジング)
ハウジング14は、図示しないエンジンのシリンダヘッドへの取付金具であり、外筒12や太径リード部13を収容するものである。ハウジング14は、例えば、円筒状に形成され、上記のように構成されるセラミックスヒータアセンブリ10が、ロウ付け等により固定されている。図1の例では、ハウジング14の内部に外筒12の他端側がロウ付け等により固定されているが、その他の形態として、外筒12を金属管等(図示せず)の内部にロウ付け等によって固定し、その金属管とハウジング本体を構成する部材とを溶接して、一体のハウジング14として形成することもできる。
0036
(リード棒)
リード棒16は、ハウジング14内に収容され、太径リード部13の後端部に溶接によって接合されている。
リード棒16は、ハウジング14の後端側でインシュレータ171に保持されるとともに、その後端部はハウジング14外部に露出して、ラウンドピン172と接続されている。
すなわち、リード棒16は、その先端側で太径リード部13を介して外筒12にかしめによって保持、固定されており、後端側でインシュレータ171に保持、固定されている。
0037
<製造方法>
図3に基づいて、ディーゼルエンジン用グロープラグ1の製造方法について説明する。
図3は、本発明の実施形態にかかるセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法を説明する図である。
最初に、セラミックスヒータ11と外筒12を準備する。ここで、セラミックスヒータ11の一端(組み立てた際の後端側)近傍には、その外周面に負極側メタライズ部116を形成する。
次に、図3(a)に示すように、外筒12の内部孔121内にセラミックスヒータ11を圧入する。圧入に際しては、図3(b)に示すように、少なくともセラミックスヒータ11に形成された負極側メタライズ部116の全域が外筒12内に収容される位置までセラミックスヒータ11を外筒12内に圧入する。
0038
次に、図3(b)に示すように、ローレット加工を施した太径リード部13の先端面131を、セラミックスヒータ11の正極側メタライズ部117上に置く。その際、正極側メタライズ部117と太径リード部13との間には、ロウ材175を置く。また、太径リード部13のローレット加工部133と外筒12の内周面との間に耐熱樹脂136を充填する。
その後、外筒12、セラミックスヒータ11、太径リード部13を仮組みした状態で、このアッセンブリを真空又は不活性ガスの環境下で800〜900℃まで加熱する。ここで、800〜900℃という温度は、負極側メタライズ部116を形成する銀ペーストが半溶融状態となる温度であるため、加熱により負極側メタライズ部116は半溶融状態となり、外筒12の内周面と負極側メタライズ部116の固層間での物質移動による接合が行われる。これによって、外筒12とセラミックスヒータ11とが接合される。この接合と同時に、セラミックスヒータ11と太径リード部13とが、ロウ材175によってロウ付けされる。
0039
次に、図3(c)に示すように、外筒12をかしめて外筒12に太径リード部13を固定する。また、リード棒16と太径リード部13とを溶接(例えばスポット溶接)よって接合し、固定する。
なお、太径リード部13の端部をセラミックスヒータ11の端部に所定の力で押しつけた状態で外筒12をかしめることにより、太径リード部13を外筒12に固定するとともに、太径リード部13とセラミックスヒータ11とを接続するような方法を用いてもよい。
0040
次に、図3(d)に示すように、ハウジング14の先端面141が外筒12の突出部124の後端面125に当接するまで、ハウジング14を下降させる。このように当接した状態で、ハウジング14の先端面141と外筒12の突出部124の後端面125とを溶接する。なお、ハウジング14の内周面と外筒12の外周面とをロウ付けすることで、ハウジング14と外筒12とを固定してもよい。
0041
最後に、図3(e)に示すように、ハウジング14の内部孔143の後端を、インシュレータ171によって塞ぎ、リード棒16の後端部にラウンドピン172を接続する。この際、インシュレータ171とハウジング14との間にはOリング177を設ける。
0042
上述した構成によれば、セラミックスヒータ11の少なくとも負極側メタライズ部116を外筒12に圧入し、負極側メタライズ部116を形成する銀ペーストが半溶融状態となる温度で、セラミックスヒータ11及び外筒12を加熱して、外筒12と負極側メタライズ部116の固層間での物質移動による接合を行っているので、外筒12とセラミックスヒータ11との接合の際に、ロウ材を外筒12内に載置する必要がない。これにより、外筒12の内側にロウ材を載置する段差を形成する必要もなく、外筒12の構成を簡素化することができる。また、外筒12内に載置したロウ材を用いてセラミックスヒータ11と外筒12とを接合する際には、溶けたロウ材の濡れ性を向上させるために外筒12の外面及び内面にメッキ層を形成する必要があったが、そのようなメッキ層の形成も必要がなくなるので、メッキ層の形成のための工程を省くことができ、製造工程を簡素化することができる。
よって、セラミックスヒータ型グローブラグ1の構造及び製造工程を簡易なものとして製造コストを低減することができる。
0043
また、外筒12をかしめることによって太径リード部13に外筒12を固定することができるので、太径リード部13と外筒12との間に充填剤を充填する等による太径リード部13の固定を行う必要がない。また、かしめるという一つの作業で太径リード部13を外筒12に固定することができるので、この工程を簡易に短時間で行うことができる。
0044
また、太径リード部13を用いてセラミックスヒータ11の正極側メタライズ部117をリード棒16に接続しているので、太径リード部13の抵抗を低減させることができ、構成を簡素化できる。また、高温かつ大きな電流が流れた場合であっても自己発熱が抑えられ、太径リード部13の温度がその耐熱温度以上になることを防ぐことができる。よって、太径リード部13の酸化による劣化を、長期間に亘って防ぐことができる。また、太径リード部13を用いることで、他の構成部材の形態も簡素なものとすることができ、製造工程をも簡素化することができる。
0045
また、太径リード部13の剛性をリード棒16よりも低くすることにより、太径リード部13が撓みやすくなって、太径リード部13とセラミックスヒータ11の正極側メタライズ部117との接合部への応力集中を緩和することができる。具体的には、エンジン駆動時の振動や、グロープラグ1の組み立て時に各接合部周辺に印加される応力によって当該接合部に曲げ応力が生じた場合であっても、太径リード部13が撓んで当該接合部への曲げ応力の集中を避けることができる。
0046
また、太径リード部13が銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、又は鋳鉄からなることにより、比較的剛性が低く、電気導電率の高い太径リード部13とすることができる。電気導電率を高くすることにより、リード線の太径化による自己発熱抑制の効果をさらに高めることができる。
また、太径リード部13の直径を1.0としたときに、太径リード部13の軸方向長さを2.0以上の値とすることにより、太径リード部13を十分に撓ませることが可能になる。よって、エンジン駆動時の振動や、グロープラグ1の組み立て時に各接合部周辺に印加される応力によって当該接合部に曲げ応力が生じた場合であっても、太径リード部13が撓んで当該接合部への曲げ応力の集中を避けることができる。
0047
また、セラミックスヒータ11の横断面積を1.0としたときに、太径リード部13の横断面積を0.2〜0.4の範囲内の値とすることにより、太径リード部13と正極側メタライズ部117との接合部との接合部の接合強度を高めることができる。よって、車両のエンジン等に固定されて使用される場合に発生する振動や、グロープラグ1製造時に付加される応力等にも耐え得る接合強度を得ることができる。さらに、太径リード部13と外筒12との電気絶縁性を確保することができる。
0048
また、太径リード部13にニッケル(Ni)メッキ等を施すことにより、太径リード部13の耐熱性をより高めることができる。また、太径リード部13の熱伝導率をより高くすることで、セラミックヒータ11から伝達される熱を効率的にリード棒16に伝達させることができ、太径リード部13の耐熱性をさらに高めることができる。
また、太径リード部13を銀(Ag)により被覆することで、太径リード部40の耐久性(特に耐酸化性)を向上させることができる。
また、太径リード部13に酸化防止層135として銀ペーストを設けることで、太径リード部13の先端に可撓性が付与され、正極側メタライズ部117との接触面積が増加し、結果として接触抵抗を軽減できる。
0049
[実施形態2]
図4は、本発明の実施形態2にかかるセラミックスヒータ型グロープラグにおいて、セラミックスアセンブリ付近を拡大視したセラミックスヒータ型グロープラグの縦断面図である。図5は、本発明の実施形態2にかかるセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法を説明する図である。なお、図4、図5において、実施形態1と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
実施形態2においては、セラミックスヒータ11が挿入される外筒12の先端部の内周面及び外周面に銀メッキ層122が形成されている。ここで、銀メッキ層122は、少なくともセラミックスヒータ11を外筒12内に圧入した際に、負極側メタライズ部116に対向する領域に形成されていればよい。
0050
図5に基づいて、ディーゼルエンジン用グロープラグ2の製造方法について説明する。
図5は、本発明の実施形態にかかるセラミックスヒータ型グロープラグの製造方法を説明する図である。
最初に、セラミックスヒータ11と外筒12を準備する。ここで、セラミックスヒータ11の一端(組み立てた際の後端側)近傍には、その外周面に負極側メタライズ部116を形成する。また、外筒12における負極側メタライズ部116との接合面を含む内周面及び外周面にわたって銀メッキ層122を形成する。
次に、図5(a)に示すように、外筒12の内部孔121内にセラミックスヒータ11を圧入する。圧入に際しては、図5(b)に示すように、少なくともセラミックスヒータ11に形成された負極側メタライズ部116の全域が外筒12内に収容されると共に、負極側メタライズ部116が外筒12の銀メッキ層122に対向する位置までセラミックスヒータ11を外筒12内に圧入する。
0051
次に、図5(b)に示すように、ローレット加工を施した太径リード部13の先端面131を、セラミックスヒータ11の正極側メタライズ部117上に置く。その際、正極側メタライズ部117と太径リード部13との間には、ロウ材175を置く。また、太径リード部13のローレット加工部133と外筒12の内周面との間に耐熱樹脂136を充填する。
その後、外筒12、セラミックスヒータ11、太径リード部13を仮組みした状態で、このアッセンブリを真空又は不活性ガスの環境下で800〜900℃まで加熱する。ここで、800〜900℃という温度は、負極側メタライズ部116を形成する銀ペーストが半溶融状態となる温度であるため、加熱により負極側メタライズ部116は半溶融状態となり、外筒12の内周面に形成された銀メッキ層122と負極側メタライズ部116の固層間での物質移動による接合が行われる。これによって、外筒12とセラミックスヒータ11とが接合される。この接合と同時に、セラミックスヒータ11と太径リード部13とが、ロウ材175によってロウ付けされる。
0052
次に、図5(c)に示すように、外筒12をかしめて外筒12に太径リード部13を固定する。また、リード棒16と太径リード部13とを溶接(例えばスポット溶接)よって接合し、固定する。
0053
次に、図5(d)に示すように、ハウジング14の先端面141が外筒12の突出部124の後端面125に当接するまで、ハウジング14を下降させる。このように当接した状態で、ハウジング14の先端面141と外筒12の突出部124の後端面125とを溶接する。なお、ハウジング14の内周面と外筒12の外周面とをロウ付けすることで、ハウジング14と外筒12とを固定してもよい。
0054
最後に、図5(e)に示すように、ハウジング14の内部孔143の後端を、インシュレータ171によって塞ぎ、リード棒16の後端部にラウンドピン172を接続する。この際、インシュレータ171とハウジング14との間にはOリング177を設ける。
0055
このような構成においては、実施形態1と同様、外筒12とセラミックスヒータ11との接合の際に、ロウ材を外筒12内に載置する必要がない。これにより、外筒12の内側にロウ材を載置する段差を形成する必要もなく、外筒12の構成を簡素化することができる。よって、セラミックスヒータ型グローブラグ1の構造及び製造工程を簡易なものとして製造コストを低減することができる。
また、外筒12とセラミックスヒータ11とを接合するロウ材に代えて、外筒12の内周面に銀メッキ層122を形成してセラミックスヒータ11を圧入したので、セラミックスヒータ11の発熱によってロウ材に含まれる銅成分が酸化されることもなくなり、セラミックスヒータ11と外筒12の接合強度を十分に保持することができる。また、銀メッキ層122は、従来のニッケルメッキ層とロウ材のコストに比べて安価であるため、製造コストを低減することができる。
0056
[実施形態3]
図6は、本発明の実施形態3にかかるディーゼルエンジン用のセラミックスヒータ型グロープラグの縦断面図である。なお、図6において、実施形態1と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
実施形態3は、ハウジング14内における太径リード部13の固定を、図6に示すような構成にしたものである。
ディーゼルエンジン用グロープラグ3においては、太径リード部13を外筒12に固定するのではなく、リード棒16をハウジング14の内面に固定することにより、リード棒16に接合されている太径リード部13もハウジング14内に固定するものである。
具体的に、リード棒16は、ハウジング14内に収容され、ハウジング14との間に充填された樹脂又は低融点ガラス等からなる充填剤173及びシールリング174によって固定されている。
0057
このような構成においては、充填剤173及びシールリング174を設ける必要があるものの、外筒12をかしめる必要がないため、外筒12と太径リード部13との間に耐熱樹脂136を充填する必要がない。また、太径リード部13にローレット加工部133も形成する必要がない。
0058
以上説明したグロープラグは、本発明の一態様を示すものであってこの発明を限定するものではなく、それぞれの実施形態は本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。