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技術 ガラス組成物、化学強化用ガラス板、強化ガラス板およびディスプレイ用強化ガラス基板

出願人 日本板硝子株式会社
発明者 宮部大亮倉知淳史
出願日 2015年3月12日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2016-514690
公開日 2017年4月13日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 WO2015-162845
状態 特許登録済
技術分野 ガラスの表面処理 ガラス組成物(第三版) 要素組合せによる可変情報用表示装置2 フロート法によるガラスの成形
主要キーワード ガラス物品表面 表面圧縮応力値 アルカリアルミノシリケートガラス 示差熱膨張 試料ガラス 線膨脹係数 ガラス粒 薄膜太陽電池用基板
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課題・解決手段

本発明のガラス組成物は、モル%で示して、SiO2 58%以上70%未満、B2O3 0〜14%、Al2O3 10〜16%、MgO 0〜12.5%、CaO 0〜11%、SrO 0〜3%、ZnO 0〜3%、Li2O 4.5〜11%、Na2O 0〜2%、K2O 2〜7%、TiO2 0〜0.8%、ZrO2 0〜0.5%、SnO2 0〜0.2%を含み、Li2O+Na2O+K2Oが6.5〜13%の範囲にある。本発明のガラス組成物は、フロート法による製造に適し、かつ、化学強化に適している。また、本発明のガラス組成物の熱膨張係数は小さく、本発明のガラス組成物はディスプレイ用基板ガラスに好適な特性を有する。

概要

背景

近年、液晶ディスプレイ有機ELディスプレイ等を搭載した電子機器またはタッチパネル式ディスプレイを搭載した電子機器が広く普及している。ガラス材料は本質的に高い透明性を有し、大面積(1m角以上も可能)で厚みが薄く(0.3mm厚以下も可能)、高い平坦性平滑性を有する平板状の基板を比較的容易に得られるため、これら電子機器のディスプレイ用ガラス基板として広く利用されている。

ガラス材料の脆性を補う方法として、ガラス板強化処理を施すことが周知であり、強化処理の方法としては風冷強化法と化学強化法が代表的な方法である。風冷強化法は、ガラス板の厚みがある程度以上(例えば1.4mm以上)であることを要求されるので、ディスプレイ用ガラス基板のごとき厚みの薄いガラス板に適用できる強化処理は、化学強化法しかない。

代表的な化学強化は、ガラス表面に含まれるアルカリ金属イオンをより半径の大きい一価陽イオン置換することにより、ガラス表面に圧縮応力層を形成する技術である。化学強化は、ナトリウムイオンカリウムイオン(K+)で置換することにより、あるいはリチウムイオン(Li+)をナトリウムイオン(Na+)やカリウムイオン(K+)で置換することにより、実施される。

しかし、ディスプレイ用ガラス基板には、ディスプレイ機能を構成するための半導体材料液晶材料、またはEL(エレクトロルミネセンス)材料などが接するので、それらに対して悪影響を与えないことが必須である。たとえば、半導体材料は熱膨張率が小さいため、ガラス基板を構成するガラス組成物には小さい熱膨張係数(例えば50〜350℃の範囲における平均熱膨張係数として60×10−7℃−1以下、好ましくは35〜50×10−7℃−1)が求められ、半導体材料、液晶材料、またはEL材料イオン拡散するとそれらの材料の機能を阻害するため、ガラス基板からは、特にナトリウムイオンが溶出しないことが求められる。

したがって、フロート板ガラスとして広く市販されているガラス板では、熱膨張係数およびナトリウムイオンの溶出の両方の点で不適切であり、従前のガラス基板用ガラス組成物は、例えば特許文献1または特許文献2に開示されるような実質的にアルカリイオンを含まない無アルカリガラスしかなかった。

こうした無アルカリガラスからなる厚みの薄いガラス板を強化処理することは現実的に不可能であるので、上記の電子機器にはディスプレイ素子とは別の保護部材を設け、保護部材としてアルカリイオンを含有し化学強化したカバーガラスが用いられることが多い。

他方、熱膨張係数が小さくアルカリイオンを含むガラス組成物として、例えば特許文献3または特許文献4に記載の発明が報告されている。

特許文献3に開示されているアルカリイオンを含む組成物は、重量%で示して、69.5〜73.0%のSiO2、13.0〜15.0%のB2O3、4.5〜6.0%のAl2O3、0.5〜1.5%のCaO、0.5〜2.5%のBaO、5.5〜7.0%のNa2O、0〜1.5%のK2O、0.3〜2.5%のZrO2からなるホウケイ酸ガラスであり、高い化学的耐久性を有すると述べられている。

また特許文献4に記載のアルカリイオンを含む組成物は、モル%で示して、66〜77%のSiO2、7〜17%のAl2O3、0〜7%のB2O3、0〜9%のLi2O、0〜8%のNa2O、0〜3%のK2O、0〜13%のMgO、0〜6%のCaO、0〜5%のTiO2、0〜5%のZrO2、81〜92%のSiO2+Al2O3+B2O3、3〜9%のLi2O+Na2O+K2O、4〜13%のMgO+CaO、0〜10%のNa2O+K2O+CaO、0〜5%のTiO2+ZrO2を含み、高い比弾性率と高いガラス転移点を有し情報記録媒体の基板に好適であると述べられている。

概要

本発明のガラス組成物は、モル%で示して、SiO2 58%以上70%未満、B2O3 0〜14%、Al2O3 10〜16%、MgO 0〜12.5%、CaO 0〜11%、SrO 0〜3%、ZnO 0〜3%、Li2O 4.5〜11%、Na2O 0〜2%、K2O 2〜7%、TiO2 0〜0.8%、ZrO2 0〜0.5%、SnO2 0〜0.2%を含み、Li2O+Na2O+K2Oが6.5〜13%の範囲にある。本発明のガラス組成物は、フロート法による製造に適し、かつ、化学強化に適している。また、本発明のガラス組成物の熱膨張係数は小さく、本発明のガラス組成物はディスプレイ用基板ガラスに好適な特性を有する。

目的

本発明の目的は、熱膨張係数が低いにも拘わらず充分な化学強化処理を施すことができるガラス組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

モル%で示して、SiO258%以上70%未満B2O30〜14%Al2O310〜16%MgO0〜12.5%CaO0〜11%SrO0〜3%ZnO0〜3%Li2O4.5〜11%Na2O0〜2%K2O2〜7%TiO20〜0.8%ZrO20〜0.5%SnO20〜0.2%を含み、Li2O+Na2O+K2Oが6.5〜13%の範囲にある、ガラス組成物

請求項2

モル%で示して、SiO260〜69%B2O32〜8%Al2O310〜15%MgO1.5〜11.5%CaO0〜6%SrO0〜2.5%ZnO0〜2.5%Li2O5〜8%K2O2〜4%を含み、Li2O+Na2O+K2Oが7〜11%の範囲にある、請求項1に記載のガラス組成物。

請求項3

モル%で示して、SiO263〜67%B2O33〜6%Al2O312〜15%MgO3〜9%CaO0.5〜1.5%Li2O5〜8%K2O2〜3%TiO20〜0.15%ZrO20〜0.15%SnO20〜0.1%を含み、Li2O+Na2O+K2Oが8〜10%の範囲にあり、実質的にSrO、ZnO、Na2Oを含まず、質量%で表示して、Fe2O3に換算した全酸化鉄含有量であるT−Fe2O3を0.2%以下含む、請求項2に記載のガラス組成物。

請求項4

50〜350℃の範囲における平均熱膨張係数が、60×10−7℃−1以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス組成物。

請求項5

50〜350℃の範囲における平均熱膨張係数が、55×10−7℃−1以下である、請求項4に記載のガラス組成物。

請求項6

液相温度TLが1200℃以下である、請求項1に記載のガラス組成物。

請求項7

粘度が104dPa・sになる温度T4から液相温度TLを差し引いた差分が0℃以上である、請求項6に記載のガラス組成物。

請求項8

請求項1に記載のガラス組成物からなり、フロート法によって製造されたガラス板であって、化学強化処理に用いられる、化学強化用ガラス板

請求項9

請求項8のガラス板を、ナトリウムイオンイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価陽イオンを含む溶融塩に接触させることにより、前記ガラス組成物に含まれるリチウムイオンおよび/またはナトリウムイオンと前記一価の陽イオンとをイオン交換して表面に圧縮応力層が形成された強化ガラス板

請求項10

前記圧縮応力層の表面圧縮応力が550MPa以上であり、かつ、前記圧縮応力層の深さが25μm以上である、請求項9に記載の強化ガラス板。

請求項11

前記圧縮応力層の表面圧縮応力が600MPa以上であり、かつ、前記圧縮応力層の深さが30μm以上である、請求項10に記載の強化ガラス板。

請求項12

請求項10又は11に記載の強化ガラス板を用いたディスプレイ用ガラス基板

技術分野

0001

本発明は、ガラス組成物に関する。また本発明は、化学強化用ガラス板化学強化した強化ガラス板、およびディスプレイ用ガラス基板に関する。

背景技術

0002

近年、液晶ディスプレイ有機ELディスプレイ等を搭載した電子機器またはタッチパネル式ディスプレイを搭載した電子機器が広く普及している。ガラス材料は本質的に高い透明性を有し、大面積(1m角以上も可能)で厚みが薄く(0.3mm厚以下も可能)、高い平坦性平滑性を有する平板状の基板を比較的容易に得られるため、これら電子機器のディスプレイ用ガラス基板として広く利用されている。

0003

ガラス材料の脆性を補う方法として、ガラス板強化処理を施すことが周知であり、強化処理の方法としては風冷強化法と化学強化法が代表的な方法である。風冷強化法は、ガラス板の厚みがある程度以上(例えば1.4mm以上)であることを要求されるので、ディスプレイ用ガラス基板のごとき厚みの薄いガラス板に適用できる強化処理は、化学強化法しかない。

0004

代表的な化学強化は、ガラス表面に含まれるアルカリ金属イオンをより半径の大きい一価陽イオン置換することにより、ガラス表面に圧縮応力層を形成する技術である。化学強化は、ナトリウムイオンカリウムイオン(K+)で置換することにより、あるいはリチウムイオン(Li+)をナトリウムイオン(Na+)やカリウムイオン(K+)で置換することにより、実施される。

0005

しかし、ディスプレイ用ガラス基板には、ディスプレイ機能を構成するための半導体材料液晶材料、またはEL(エレクトロルミネセンス)材料などが接するので、それらに対して悪影響を与えないことが必須である。たとえば、半導体材料は熱膨張率が小さいため、ガラス基板を構成するガラス組成物には小さい熱膨張係数(例えば50〜350℃の範囲における平均熱膨張係数として60×10−7℃−1以下、好ましくは35〜50×10−7℃−1)が求められ、半導体材料、液晶材料、またはEL材料イオン拡散するとそれらの材料の機能を阻害するため、ガラス基板からは、特にナトリウムイオンが溶出しないことが求められる。

0006

したがって、フロート板ガラスとして広く市販されているガラス板では、熱膨張係数およびナトリウムイオンの溶出の両方の点で不適切であり、従前のガラス基板用ガラス組成物は、例えば特許文献1または特許文献2に開示されるような実質的にアルカリイオンを含まない無アルカリガラスしかなかった。

0007

こうした無アルカリガラスからなる厚みの薄いガラス板を強化処理することは現実的に不可能であるので、上記の電子機器にはディスプレイ素子とは別の保護部材を設け、保護部材としてアルカリイオンを含有し化学強化したカバーガラスが用いられることが多い。

0008

他方、熱膨張係数が小さくアルカリイオンを含むガラス組成物として、例えば特許文献3または特許文献4に記載の発明が報告されている。

0009

特許文献3に開示されているアルカリイオンを含む組成物は、重量%で示して、69.5〜73.0%のSiO2、13.0〜15.0%のB2O3、4.5〜6.0%のAl2O3、0.5〜1.5%のCaO、0.5〜2.5%のBaO、5.5〜7.0%のNa2O、0〜1.5%のK2O、0.3〜2.5%のZrO2からなるホウケイ酸ガラスであり、高い化学的耐久性を有すると述べられている。

0010

また特許文献4に記載のアルカリイオンを含む組成物は、モル%で示して、66〜77%のSiO2、7〜17%のAl2O3、0〜7%のB2O3、0〜9%のLi2O、0〜8%のNa2O、0〜3%のK2O、0〜13%のMgO、0〜6%のCaO、0〜5%のTiO2、0〜5%のZrO2、81〜92%のSiO2+Al2O3+B2O3、3〜9%のLi2O+Na2O+K2O、4〜13%のMgO+CaO、0〜10%のNa2O+K2O+CaO、0〜5%のTiO2+ZrO2を含み、高い比弾性率と高いガラス転移点を有し情報記録媒体の基板に好適であると述べられている。

先行技術

0011

特開平6−263473号公報
特許第2719504号公報
特開平4−280833号公報
特開2013−028512号公報

発明が解決しようとする課題

0012

ガラスの高温粘性を示す指標として、作業温度および溶融温度が知られている。フロート法においては、作業温度は、溶融ガラスの粘度が104dPa・sになる温度であり、以下T4という。また、本発明においては、溶融温度は、溶融ガラスの粘度が102.5dPa・sになる温度を意味し、以下T2.5という。

0013

特許文献1および2に記載のガラス組成物は、低い熱膨張係数を有するが、アルカリイオンを実質的に含まないこともあり、溶融温度が極めて高くなりがちで、また前述したように化学強化処理をすることができない。

0014

一方特許文献3および4に記載のガラス組成物は、低い熱膨張係数を有し、アルカリイオンを含有するが、そのアルカリイオンは専らナトリウムイオンなので、ナトリウムイオンによる半導体材料などへの障害が問題となる。

0015

以上の事情に鑑み、本発明の目的は、熱膨張係数が低いにも拘わらず充分な化学強化処理を施すことができるガラス組成物を提供することにあり、特にその組成物の特性がフロート法による製造に適し、厚みが薄く、高い平坦性・平滑性を有するガラス板が得られるガラス組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0016

上記目的を達成するために、本発明は、モル%で示して、
SiO2 58%以上70%未満
B2O3 0〜14%
Al2O3 10〜16%
MgO 0〜12.5%
CaO 0〜11%
SrO 0〜3%
ZnO 0〜3%
Li2O 4.5〜11%
Na2O 0〜2%
K2O 2〜7%
TiO2 0〜0.8%
ZrO2 0〜0.5%
SnO2 0〜0.2%
を含み、
Li2O+Na2O+K2Oが6.5〜13%の範囲にある、
ガラス組成物、を提供する。

0017

また、本発明は、別の側面から、上記のガラス組成物からなる、フロート法によって製造されたガラス板であって、化学強化処理に用いられる、化学強化用ガラス板、を提供する。

0018

また、本発明は、別の側面から、上記のガラス組成物からなるガラス板を、ナトリウムイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオンを含む溶融塩に接触させることにより、上記のガラス組成物に含まれるリチウムイオンおよび/またはナトリウムイオンと前記一価の陽イオンとをイオン交換して表面に圧縮応力層が形成された強化ガラス板、を提供する。

0019

また、本発明は、別の側面から、上記の強化ガラス板を用いたディスプレイ用ガラス基板、を提供する。

発明の効果

0020

本発明に係るガラス組成物は、アルカリ金属酸化物(Li2O、Na2OおよびK2O)の含有率の合計を適切に限定しているので、本発明に係るガラス組成物からなるガラス物品は、60×10−7℃−1以下の熱膨張係数が求められ、同時に化学強化されることが求められる用途に適している。さらに、本発明に係るガラス組成物の、フロート法に適した液相温度TL、及び作業温度T4から液相温度TLを差し引いた差分T4−TLは、フロート法に適した条件を満たす。従って、ガラス基板の量産方法としてフロート法を適用できる。

0021

以下、ガラス組成物の成分を示す%表示は特に断らない限り、すべてモル%を意味する。また、本明細書において、「実質的に構成される」とは、列挙された成分の含有率の合計が99.5質量%以上、好ましくは99.9質量%以上、より好ましくは99.95質量%以上を占めることを意味する。「実質的に含有しない」とは、当該成分の含有質が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下であることを意味する。

0022

本発明の発明者らは、熱膨張係数と正の相関をもつアルカリ金属酸化物の含有率の合計をできるだけ少なくしつつ、充分な化学強化性を持たせるために母組成アルカリアルミノシリケートガラスを採用し、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物などの含有率について検討した。その結果、特異的に大きな表面圧縮応力値(≧550MPa)と深い圧縮応力層深さ(≧25μm)を同時に実現することのできるガラス組成物を見出すことに成功し、本発明を完成させた。

0023

以下、本発明によるガラス組成物を構成する各成分について説明する。

0024

(SiO2)
SiO2は、ガラスを形成するための主要骨格を形成する酸化物であって、ガラス組成物を構成する必須の主要成分であり、その含有率が低すぎるとガラス組成物の熱膨張係数が大きくなりすぎると共に、ガラスの耐水性など化学的耐久性および耐熱性が低下する。他方、SiO2の含有率が高すぎると、高温でのガラス組成物の粘性や液相温度TLが高くなり、溶解および成形が困難になる。したがって、SiO2の含有率は、58モル%以上70モル%未満であることが必要で、60〜69モル%の範囲が好ましく、63〜67モル%がさらに好ましい。

0025

(Al2O3)
Al2O3はガラス組成物の耐水性など化学的耐久性を向上させ、さらにガラス中のアルカリ金属イオンの移動を容易にすることにより化学強化後表面圧縮応力および圧縮応力層の深さをともに大きくする必須の成分である。他方、Al2O3の含有率が高すぎると、ガラス融液の粘度を増加させ、T2.5、T4を増加させガラス融液の清澄性が悪化し高品質なガラス板を製造することが難しくなると共に、液相温度TLが上昇する。

0026

したがって、Al2O3の含有率は、10〜16モル%の範囲が適切である。好ましいAl2O3の含有率は10〜15モル%の範囲であり、12〜15モル%がさらに好ましい。

0027

(B2O3)
B2O3は任意の成分であるが、含有させることが好ましい成分である。なぜなら、B2O3は、熱膨張係数を急激に増加させることなくガラスの融液の粘性を下げ溶解性を向上させるとともに、所定の含有率までは液相温度TLを効果的に低減させるからである。一方B2O3の含有率が高すぎると、液相温度TLが高くなるとともに、熱膨張係数が増加し、またガラス組成物が分相しやすくなる。

0028

したがって、B2O3の含有率は14モル%以下であることが必要で、0.1モル%以上が好ましく、より好ましくは2〜8モル%であり、さらに好ましくは3〜6モル%であり、よりさらに好ましくは4〜5モル%である。

0029

(Li2O)
Li2Oは、ナトリウムイオンのイオン半径よりも大きいイオン半径を有する一価の陽イオンとイオン交換を行なわせることにより、ガラス物品表面に圧縮応力層を付与するための必須の成分である。また、Li2Oは、ガラスの融液の粘性を下げ溶解性を向上させる効果も有する。アルカリ金属酸化物の含有率と熱膨張係数との間には正の相関があるが、Li2Oはアルカリ金属酸化物のうち、熱膨脹係数を最も大きくさせにくい。一方、Li2Oの含有率が高くなりすぎると、熱膨張係数が増加し、液相温度TLが高くなりすぎる。

0030

したがって、Li2Oの含有率は4.5〜11モル%であることが必要で、5〜8モル%であることが好ましい。

0031

(K2O)
K2Oは、Li2Oと共に含有させることにより、前述のイオン交換により生じる圧縮応力層の深さを劇的に増大させることができる、必須の成分である。一方、K2Oは、Li2OおよびNa2Oと比較して、熱膨張係数を大きくさせやすいので、K2Oの含有率が高くなりすぎると、熱膨張係数が増加しすぎてしまう。

0032

したがって、K2Oの含有率は2〜7モル%であることが必要で、4モル%以下が好ましく、3.5モル%以下がより好ましく、3モル%以下がさらに好ましい。

0033

(Na2O)
Na2Oは、ガラスの融液の粘性を下げ溶解性を向上させる効果をもつ成分であるが、任意の成分である。しかし、Na2Oは、K2Oと異なり圧縮応力層の深さを増大させる効果がなく、Li2Oと比較して熱膨張係数を大きくさせやすい。

0034

したがって、Na2Oの含有率は、2モル%以下であることが必要で、Na2Oを実質的に含有しないことが好ましい。ガラス組成物がNa2Oを実質的に含有しない場合、ガラス組成物はガラスからナトリウムイオンが溶出することを忌避する用途に適している。

0035

(R2O)
本発明においてR2Oは、Li2O、Na2OおよびK2Oの和を示す。R2Oの含有率が低すぎると、ガラス組成物の粘性を下げる成分が不足して溶解が困難となる。他方、R2Oの含有率が高すぎると、熱膨張係数が大きくなりすぎる。

0036

したがって、R2Oの含有率は、6.5〜13モル%の範囲が適切である。R2Oの含有率は、7〜11モル%であることが好ましく、8〜10モル%がより好ましい。

0037

(MgO)
MgOは任意の成分であるが、含有させることが好ましい成分である。なぜなら、MgOは、ガラスの融液の粘性を下げて溶解性を向上させるとともに、前述のイオン交換によってガラス物品表面に付与する圧縮応力を向上させる効果を持つからである。一方MgOの含有率が高すぎると、液相温度TLが高くなるとともに、熱膨張係数が大きくなりすぎる。

0038

したがって、本発明のガラス組成物においては、MgOの含有率は12.5モル%以下であることが必要で、好ましくは1.5〜11.5モル%であり、より好ましくは3〜9モル%であり、さらに好ましくは4〜8.5モル%である。

0039

(CaO)
CaOは任意の成分であるが、含有させることが好ましい成分である。なぜなら、CaOは、液相温度TLを低減させるとともに、所定の含有率までは前述のイオン交換により生じる表面圧縮応力を増大させる効果を持つからである。一方、CaOは、MgOよりも熱膨張係数を大きくさせやすく、圧縮応力層の深さを低下させやすい。

0040

したがって、CaOの含有率は11モル%以下が適切である。CaOの含有率は、6モル%以下が好ましく、0.5〜2モル%以上がより好ましく、0.5〜1.5モル%がさらに好ましい。

0041

(SrO)
SrOは、液相温度TLを低減させることができる任意の成分であるが、MgOよりも熱膨張係数を大きくさせやすく、さらに、前述のイオン交換を顕著に妨げて圧縮応力層の深さを大きく低下させてしまう。

0042

したがって、本発明のガラス組成物におけるSrOの含有率は、3モル%以下であることが必要で、好ましくは2.5モル%以下であり、実質的に含有しないことがさらに好ましい。

0043

(BaO)
BaOは、前述のイオン交換を著しく妨げて圧縮応力層の深さを著しく低下させるため、本発明のガラス組成物においてはBaOを実質的に含有しない。

0044

(ZnO)
ZnOは、その含有率が少ない場合、熱膨張係数を大きくすることなく液相温度TLを低減させる効果がある任意の成分である。一方、ZnOの含有率が所定の範囲を超えて大きくなると、逆に液相温度TLが高くなりすぎると共に前述のイオン交換による圧縮応力層の深さを大きく低下させてしまう。

0045

したがって、ZnOの含有率は、3モル%以下であることが必要で、好ましくは2.5モル%以下であり、実質的に含有しないことがさらに好ましい。

0046

(TiO2)
TiO2は任意の成分であるが、その含有率が少量の所定の範囲内である場合、前述のイオン交換による表面圧縮応力を増大させる効果を有する。しかし、ガラス組成物に黄色の着色を与えることがあり、また、その含有率が所定の範囲を超えて大きい場合、圧縮応力層の深さが低下してしまう。したがって、TiO2の含有率は0.8モル%以下であることが必要であり、0.15モル%以下であることが好ましい。また、TiO2は、通常用いられる工業原料により不可避的に混入し、ガラス組成物において0.03質量%程度含有されることがある。TiO2は、この程度の含有率であっても、表面圧縮応力を増大させる効果を奏し、一方、ガラスに着色を与えることはないので、本発明のガラス組成物に含まれてもよい。

0047

(ZrO2)
ZrO2は熱膨張係数を低減させることができ、ガラスの耐水性を向上させる成分であるが、比較的少量の所定の範囲を超えて含有率が多い場合、液相温度TLが急上昇する傾向にある。したがって、ZrO2の含有率は0.5モル%以下であることが必要で、0.15モル%以下であることが好ましく、実質的に含有しないことがより好ましい。一方、ZrO2は、特にフロート法でガラス板を製造する際に、ガラスの溶融窯を構成する耐火レンガからガラス組成物に混入することがあり、その含有率は0.01質量%程度であることが知られている。ZrO2は、この程度の含有率では、液相温度TLにはほとんど影響を与えず、ガラスに着色を与えることもないので、本発明のガラス組成物に含まれてもよい。

0048

(SnO2)
フロート法により成形されたガラス板において、成形時にスズ浴に触れた面にはスズ浴からスズが拡散し、そのスズがSnO2として存在することが知られている。また、ガラス原料に混合されたSnO2は、溶融ガラスの脱泡に寄与する。しかし、SnO2を含有するガラス組成物は分相しやすい傾向にある。本発明のガラス組成物においては、SnO2は0〜0.2モル%であることが好ましく、0.1モル%以下であることがより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。なお、フロート法により成形されたガラス板は、ガラス原料の一部として慣用される工場循環カレットガラス製造工程においてガラス製品から分離されたガラスリボンの両端部:部などを含む)に由来して、ガラス組成物として0.005〜0.02質量%のSnO2を含有する。しかし、SnO2は、この程度の含有率であれば、ガラス組成物を分相させることはない。

0049

(Fe2O3)
通常Feは、Fe2+又はFe3+の状態でガラス中に存在し、着色剤として作用する。Fe3+はガラスの紫外線吸収性能を高める成分であり、Fe2+は熱線吸収特性を高める成分である。ガラス組成物をディスプレイのカバーガラスとして用いる場合、着色が目立たないことが求められるため、Feの含有率は少ない方が好ましい。しかし、ガラス組成物に少量のFeを含有させると、溶融ガラスの清澄性が向上する。またFeは工業原料により不可避的に混入することが多い。これらのことから、Fe2O3に換算した酸化鉄の含有率(Fe2O3に換算した全酸化鉄含有量であるT−Fe2O3)は、ガラス組成物全体を100質量%として示して0.2質量%以下の範囲とすることができる。

0050

(その他の成分)
本発明によるガラス組成物は、上記に列挙した各成分から実質的に構成されていることが好ましい。ただし、本発明によるガラス組成物は、上記に列記した成分以外の成分を、好ましくは各成分の含有率が0.1質量%未満となる範囲で含有していてもよい。

0051

含有が許容される成分としては、上述のSnO2以外に溶融ガラスの脱泡を目的として添加される、SO3、As2O5、Sb2O5、CeO2、Cl、およびFを例示できる。ただし、SO3がボウ硝によりもたらされる場合、ガラス組成物がNa2Oを不可避的に含有することになる。また、As2O5、Sb2O5、Cl、およびFは、環境に対する悪影響が大きいなどの理由から添加しないことが好ましい。

0052

また、含有が許容される成分の別の例は、ZnO、P2O5、GeO2、Ga2O3、Y2O3、La2O3である。工業的に使用される原料に由来する上記以外の成分であっても0.1質量%を超えない範囲であればその成分の含有が許容される。これらの成分は、必要に応じて適宜添加したり、不可避的に混入したりするものであるから、本発明のガラス組成物は、これらの成分を実質的に含有しないものであっても構わない。

0053

以下、本発明によるガラス組成物の特性について説明する。

0054

(溶融温度:T2.5)
溶融ガラスの粘度が102.5dPa・sになる温度(溶融温度;T2.5)が低いと、ガラス原料を溶かすために必要なエネルギー量を抑制することができ、ガラス原料がより容易に溶解してガラス融液の脱泡および清澄が促進される。本発明によれば、T2.5を例えば1550℃以下、さらには1530℃以下、場合によっては1500℃以下にまで低下させることができる。

0055

(作業温度:T4)
フロート法では、溶融ガラスを溶融窯からフロートバスに流入させる際に、溶融ガラスの粘度が104dPa・s(104P(ポアズ))程度に調整される。フロート法による製造は、溶融ガラスの粘度が104dPa・sとなる温度(作業温度;T4)が低い方が好ましく、例えばディスプレイのカバーガラスのためにガラスを薄く成形するためには、溶融ガラスの作業温度T4が1300℃以下であることが好ましい。本発明によれば、ガラス組成物のT4を、1270℃以下、さらには1250℃以下、場合によっては1200℃以下まで低減し、フロート法による製造に適したガラス組成物を提供できる。T4の下限は特に限定されないが、例えば1000℃である。

0056

(作業温度と液相温度との差分:T4−TL)
フロート法では、溶融ガラスの温度がT4において、溶融ガラスが失透しないこと、言い換えれば作業温度(T4)の液相温度(TL)からの差が大きいことが好ましい。本発明によれば、作業温度から液相温度を差し引いた差分が、−10℃以上、さらには0℃以上にまで大きい、ガラス組成物を提供できる。

0057

(液相温度:TL)
本発明のガラス組成物においては、フロート法での製造の容易性の指標として、上述のT4−TLだけでなく、液相温度(TL)を用いることができる。本発明によれば、TLが1200℃以下、さらには1195℃以下であるガラス組成物を提供できる。

0058

(ガラス転移点:Tg)
本発明によれば、ガラス組成物のガラス転移点(Tg)が580〜655℃である、溶融ガラスの徐冷が容易で製造しやすく、かつイオン交換によって生じた表面圧縮応力が緩和しにくいガラス組成物を提供することができる。

0059

密度比重):d)
電子機器の軽量化のため、電子機器に搭載されるディスプレイにもちいるガラス基板の密度は小さいことが望ましい。本発明よれば、ガラス組成物の密度を2.50g・cm−3以下、さらには2.45g・cm−3以下にまで減少させることができる。

0060

弾性率:E)
イオン交換を伴う化学強化を行うと、ガラス基板に反りが生じることがある。この反りを抑制するためには、ガラス組成物の弾性率は高いことが好ましい。本発明によれば、ガラス組成物の弾性率(ヤング率:E)を75GPa以上、さらには80GPa以上にまで増加させることができる。

0061

以下、ガラス組成物の化学強化について説明する。

0062

(化学強化の条件と圧縮応力層)
リチウム化合物および/またはナトリウム化合物を含むガラス組成物を、ナトリウムイオンよりもイオン半径の大きい一価の陽イオン、好ましくはカリウムイオン、を含む溶融塩に接触させ、ガラス組成物中のリチウムイオンおよび/またはナトリウムイオンを上記の一価の陽イオンによって置換するイオン交換処理を行うことにより、本発明に係るガラス組成物の化学強化を実施することができる。これによって、ガラス物品の表面に圧縮応力が付与された圧縮応力層が形成される。

0063

溶融塩としては、典型的には硝酸カリウムを挙げることができる。硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混合溶融塩を用いることもできるが、混合溶融塩は濃度管理が難しいため、硝酸カリウム単独の溶融塩の使用が好ましい。

0064

強化ガラス物品における表面圧縮応力と圧縮応力層の深さとは、該物品ガラス組成だけではなく、イオン交換処理における溶融塩の温度と処理時間によって制御することができる。

0065

本発明のガラス組成物は、硝酸カリウム溶融塩と接触させることによって、表面圧縮応力が非常に高く、かつ圧縮応力層の深さが非常に深い、強化ガラス物品を得ることができる。具体的には、表面圧縮応力が550MPa以上かつ圧縮応力層の深さが25μm以上である強化ガラス物品を得ることができ、さらに圧縮応力層の深さが30μm以上かつ表面圧縮応力が600MPa以上である強化ガラス物品を得ることもできる。

0066

したがって、この本発明の強化ガラス物品は、非常に高い表面圧縮応力を有しているため、表面に傷が生じにくい。また、圧縮応力層の深さが非常に深いため、表面に傷が生じた場合であっても、その傷が圧縮応力層よりガラス物品内部に届くことが少なく、よって傷による強化ガラス物品の破損を減らすことができる。このように、この本発明の強化ガラス物品は、例えばディスプレイのカバーガラスに適した強度を有している。

0067

本発明によれば、比較的低いT4を示し、フロート法による製造に適し、ディスプレイ用ガラス基板としてガラスを薄く成形するのに有利なガラス組成物を提供することができる。

0068

本発明のガラス組成物を化学強化して得られた強化ガラス物品は、電子機器に搭載される液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、またはタッチパネル式ディスプレイなどのガラス基板として好適であり、それらのカバーガラスとして用いることもできる。

0069

以下では、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は本発明の一例を示すものであり、本発明は以下の実施例に限定されない。

0070

(ガラス組成物の作製)
実施例1〜43及び比較例1〜12に係る試料ガラスをそれぞれ以下のようにして作製した。表1〜5に示すガラス組成となるように、汎用のガラス原料である、シリカ酸化ホウ素アルミナ酸化マグネシウム炭酸カルシウム炭酸ストロンチウム炭酸バリウム酸化亜鉛炭酸リチウム炭酸ナトリウム炭酸カリウム酸化チタン酸化ジルコニウム酸化スズ、または酸化鉄を用いてガラス原料(バッチ)を調合した。調合したバッチを白金ルツボ投入し、電気炉内で、1550℃で1.5時間加熱した後、1640℃で4時間加熱して溶融ガラスとした。次いで、溶融ガラスを鉄板上に流し出し、冷却してガラスプレートとした。次いで、このガラスプレートを再び電気炉へ入れ、720℃で1時間保持した後、炉の電源切り、室温まで徐冷して試料ガラスとした。

0071

実施例及び比較例の一部及び又は全部に係る試料ガラスについて、ガラス転移点Tg、熱膨張係数α、作業温度T4、溶融温度T2.5、液相温度TL、密度d、またはヤング率Eを測定した。

0072

ガラス転移点Tgは示差熱膨張計(理学電機株式会社製、製品名:Thermo plus TMA8310)を用いて測定した。同じ示差熱膨張計を用いて測定した50〜350℃の平均熱線膨脹係数を、熱膨張係数αとした。作業温度T4および溶融温度T2.5は、白金引き上げ法により測定した。密度dはアルキメデス法により測定した。ヤング率EはJIS(日本工業規格) R1602−1995の5.3「超音波パルス法(反射法)」に準拠して計測した。ヤング率の計測において、超音波周波数は20kHzに設定し、試験片の寸法は25mm×35mm×5mmとした。

0073

液相温度TLは、以下の方法により測定した。試料ガラスを粉砕してふるいにかけ、2.8mmのふるいを通過し、1.1mmのふるい上に留まったガラス粒を得た。このガラス粒をエタノールに浸漬して超音波洗浄した後、恒温槽で乾燥させた。このガラス粒の25gを、幅12mm、長さ200mm、深さ10mmの白金ボート上にほぼ一定の厚さになるように入れて測定試料とし、この白金ボートを約850〜1210℃の温度勾配を有する電気炉(温度勾配炉)内に2時間保持した。その後、測定試料を倍率100倍の光学顕微鏡で観察し、失透が観察された部位の最高温度を液相温度とした。なお、全ての実施例及び比較例において、測定試料は温度勾配炉中でガラス粒が互いに融着棒状体となった。

0074

強化ガラスの作製)
上記のようにして作製した試料ガラスを25mm×35mmに切り出し、その両面をアルミナ砥粒研削し、さらに酸化セリウム研磨砥粒を用いて鏡面研磨した。こうして、両面の表面粗さRaが2nm以下である厚さ1.1mmのガラス板を組成(各実施例又は各比較例)毎に4枚得た(RaはJIS B0601−1994に従う)。

0075

このガラス板を480℃の所定の温度の硝酸カリウム溶融塩(純度99.5質量%以上)中に16時間の所定の時間だけ浸漬して化学強化を行った。ただし、Tgが565℃と低い比較例12のみ、浸漬する硝酸カリウム溶融塩の温度を430℃とした。化学強化処理後のガラス板を80℃の熱水洗浄し、各実施例及び各比較例に係る強化ガラス板を得た。

0076

なお、溶融塩に浸漬する前後には、ガラス板にかかる熱衝撃を緩和するために、浸漬前に予熱、浸漬終了後(つまり溶融塩から取り出した後)に徐冷を行なった。予熱は、溶融塩が保持されている容器内であって、溶融塩の液面上方にあたる空間に、ガラス板を10分間保持する、という操作により行なった。徐冷は、予熱と同じ操作を行なった。この徐冷の操作は、取り出したガラス板に付着してきた溶融塩を、できるだけ溶融塩容器に戻すという効果も有する。

0077

上記のようにして得た強化ガラス板について、表面の圧縮応力および圧縮深さ(圧縮応力層の深さ)を折原製作所製の表面応力計「FSM−6000LE」を用いて測定した。結果を、表1〜5に併せて示す。なお、表5における「N/A」との表記は、干渉縞が現れず表面の圧縮応力および圧縮深さを測定できなかったことを意味する。

0078

全ての実施例では、熱膨張係数αが60×10−7℃−1以下であり、全ての実施例において表面圧縮応力が高く(550MPa以上)かつ圧縮応力層の深さが深い(25μm以上)強化ガラス物品を得ることができた。一部の実施例では、さらに熱膨張係数αが50×10−7℃−1以下であったり、表面圧縮応力が600MPa以上や700MPa以上,750MPa以上であったり、圧縮応力層の深さが30μm以上,40μm以上であった。したがって、本発明のガラス組成物およびそれを化学強化処理したガラス板は、熱膨張係数が小さくかつ強度の高い基板が求められるディスプレイ用のガラス基板に適する。

0079

全ての実施例で液相温度TLが1200℃以下、および1195℃以下となり、また、作業温度T4から液相温度TLを差し引いた差分T4−TLは、測定した全ての実施例において0℃以上であったので、本発明のガラス組成物はフロート法によるガラス板の製造に適する。

0080

測定した全ての実施例において、作業温度T4が1300℃以下、溶融温度T2.5は1580℃以下であり、一般のフロート板ガラスの製造設備において、充分に清澄することができ、フロート法で高品質なガラス板を製造することができる。また、ガラス転移点Tgが580〜655℃の範囲にあり、従来のフロート法により製造された板ガラスよりも高い耐熱性を要求される用途、たとえばCI薄膜太陽電池用基板CIGS薄膜太陽電池用基板に好適に用いることができる。さらに、一部の実施例においては、密度が2.45g・cm−3以下、弾性率としてヤング率が80GPa以上であり、熱膨脹係数が小さく化学強化が可能な特徴と合わせ、本発明のガラス組成物からなる強化ガラスは、高密度記録用の磁気ディスク基板にも好適に用いることができる。

0081

これに対し、比較例12は、Al2O3の含有率が低すぎるため、化学強化しても、表面圧縮応力が550MPa未満かつ圧縮応力層深さが25μm未満でしかなく、適切な強化ガラスを得るのに適していなかった。

0082

比較例9は、特許文献4の実施例21に対応するが、Al2O3の含有率が高すぎるため、液相温度が1210℃を超えてしまい、フロート法による製造には適さない。また、比較例9は、化学強化しても、表面圧縮応力が550MPa未満かつ圧縮応力層深さが25μm未満でしかなく、適切なガラス組成物を得るのに適していなかった。

0083

ZnOの含有率が高すぎる比較例8は、液相温度が1210℃を超えてしまい、フロート法での製造に適するとは言えない。

0084

Li2Oの含有率が低すぎる比較例10(特許文献4の実施例26に対応)および比較例11は、化学強化しても、いずれも表面圧縮応力が550MPaに満たず、適切な強化ガラスを得るのに適していなかった。

0085

一方Li2Oの含有率が高すぎる比較例6は、熱膨張係数が60×10−7℃−1を超えており、適切な熱膨張係数を有するガラス組成物を得るのに適していなかった。また、比較例6は、液相温度TLが1210℃を超えており、フロート法での製造には適していなかった。

0086

Na2Oの含有率が高すぎる比較例2は、化学強化しても、圧縮応力層深さが25μmに満たず、適切な強化ガラスを得るのに適していなかった。

0087

K2Oの含有率が低すぎる比較例1、2および12は、化学強化しても、いずれも圧縮応力層深さが25μmに満たず、適切な強化ガラスを得るのに適していなかった。

0088

TiO2の含有率が高すぎる比較例3は、化学強化しても、圧縮応力層深さが25μmに達せず、適切なガラス組成物を得るのに適していなかった。

0089

ZrO2の含有率が高すぎる比較例4および5は、いずれも液相温度が1210℃を超えてしまい、フロート法での製造には適していなかった。

0090

0091

0092

0093

実施例

0094

0095

本発明は、例えばディスプレイ用ガラス基板に用いるガラス板としてフロート法による製造に適したガラス組成物を提供できる。

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