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技術 固体酸化物形燃料電池

出願人 パナソニック株式会社TOTO株式会社
発明者 酒井修藤田龍夫鵜飼邦弘嘉久和孝坂本泰一郎大江俊春
出願日 2015年2月9日 (4年9ヶ月経過) 出願番号 2016-514686
公開日 2017年4月13日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 WO2015-162833
状態 特許登録済
技術分野 燃料電池(本体)
主要キーワード 吹飛び 低流速領域 一酸化炭素発生量 耐久限界 着火処理 外壁温度 設定温度範囲内 消炎距離
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課題・解決手段

固体酸化物形燃料電池は、起動時に原料着火させる着火部(8)と、原料を供給する原料供給部(10)と、改質用空気を供給する改質用空気供給部(11)と、発電用空気を供給する発電用空気供給部(12)とを備え、起動時に原料供給部(10)が原料を供給し、発電用空気供給部(12)が発電用空気を供給して着火部(8)により原料に着火させ、着火後に改質用空気供給部(11)が改質用空気を供給する。これにより、固体酸化物形燃料電池の起動から発電に至るまでにおける各フェーズでの特性を考慮し、安全性を高めることができる。

概要

背景

従来のSOFCとして、電解質に酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を設置した構成を有するものが提案されている。このSOFCは、一方の電極側に、都市ガス(13A)などの原料改質して得た改質ガスを供給するとともに、他方の電極側に空気(酸素)を供給し、高温、高効率で発電するように構成されている。この従来のSOFCでは、酸化物イオン導電性固体電解質を通過した酸化物イオン水素イオンとの化学反応により、水蒸気二酸化炭素を生成して電気や熱を発生する。そして、発生した電気はSOFCの外部に取り出され各種の電力負荷に供給される。また、発電時に発生した熱は原料、発電用空気、または改質用水等の加熱に使用される(例えば、特許文献1参照)。

特許文献1に係るSOFCが備える燃料電池モジュールでは、改質器において生成された改質ガスが燃料ガス供給管を通じて燃料電池セルユニット内に供給される。さらに、空気用熱交換器により排ガスとの熱交換予熱された空気が空気導入管を介して発電室に導入される。また、燃料電池セルユニットは、内部に燃料ガス流路を形成する円筒形内側電極層燃料極)と、円筒形の外側電極層空気極)と、これらの間設けられた電解質層とを有する、複数の燃料電池セルから構成されている。特許文献1に係るSOFCでは、発電に利用されなかった改質ガスと、発電に利用されなかった空気とを燃焼室において燃焼させ、その燃焼熱により改質器を加熱したり、空気を予熱する空気用熱交換器を加熱したりする。また、特許文献1に係るSOFCでは、燃焼室における燃焼により発生した未燃ガスまたは一酸化炭素等の不完全燃焼ガスが外部に排出されることを防ぐように構成されている。すなわち、特許文献1に係るSOFCは、燃料電池セルスタックの温度が適正な温度範囲内となるように制御することを優先しつつ、発電用空気供給量補正して、未燃ガスまたは不完全燃焼ガスの排出を抑制する構成となっている。

また、未燃ガス等の発生を抑制するために、燃焼用に利用するガスの着火の有無を判定できる燃料電池装置起動方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に係る燃料電池装置は、着火ヒータにより、ガスに着火した後、燃焼領域の温度が所定時間以内に所定温度T0℃からT1℃以上に温度が上昇した場合に着火したと判定し、所定時間内に着火と判定できなければ、未着火と判定する。このように、特許文献2に係る燃料電池装置は、着火ヒータによる未着火の有無を判定し、未燃ガスの放出を抑制することができる。

概要

固体酸化物形燃料電池は、起動時に原料に着火させる着火部(8)と、原料を供給する原料供給部(10)と、改質用空気を供給する改質用空気供給部(11)と、発電用空気を供給する発電用空気供給部(12)とを備え、起動時に原料供給部(10)が原料を供給し、発電用空気供給部(12)が発電用空気を供給して着火部(8)により原料に着火させ、着火後に改質用空気供給部(11)が改質用空気を供給する。これにより、固体酸化物形燃料電池の起動から発電に至るまでにおける各フェーズでの特性を考慮し、安全性を高めることができる。

目的

本発明は、固体酸化物形燃料電池の起動から発電に至るまでにおける各フェーズでの特性を考慮し、従来にない新規な技術を有する固体酸化物形燃料電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

原料改質した改質ガス発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、を備え、起動時において前記原料供給部が原料を、前記発電用空気供給部が前記発電用空気をそれぞれ前記燃焼部に供給し、前記着火部により原料が着火された後、前記改質用空気供給部が前記改質用空気を前記燃焼部に供給する固体酸化物形燃料電池

請求項2

前記改質用空気供給部は、着火後において、前記改質用空気を、単位時間当たり所定流量以下となる範囲内で増加させかつ、単位時間当たりの該改質用空気の流量の変化率を示す傾きの大きさが所定の範囲内となるように、前記燃焼部に供給する請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。

請求項3

着火前においてプリパージとして前記発電用空気供給部が前記発電用空気を、前記改質用空気供給部が前記改質用空気をそれぞれ供給した後、該改質用空気供給部は前記改質用空気の供給を停止させる一方、前記原料供給部が前記原料の供給を開始し、前記燃焼部において前記着火部が前記原料を着火させ、前記発電用空気と共に燃焼させる請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。

請求項4

原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガス浄化する排ガス浄化部と、前記原料と前記改質用空気と前記発電用空気と前記改質用水の流量をそれぞれ制御する流量制御部と、前記排ガス浄化部の入口に設けられ、該排ガス浄化部の入口温度を検知する浄化部用温度検知部と、を備え、着火後において、前記浄化部用温度検知部により検知された前記排ガス浄化部の入口温度が所定温度になった後に、前記水供給部および前記流量制御部は、前記改質用水を供給、または増量させる固体酸化物形燃料電池。

請求項5

前記排ガス浄化部に浄化用の触媒を設けた請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池。

請求項6

原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記温度検知部から受け付けた検知結果から得られた、原料供給後の前記被加熱体の所定時間における温度変化をもとに、着火判断を行なう固体酸化物形燃料電池。

請求項7

原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、発電時において前記燃料電池セルスタックが劣化しない範囲として定められている所定の温度範囲と前記被加熱体の温度との対応関係を示すテーブル情報を保持する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記テーブル情報を参照して、前記燃料電池セルスタックの温度が前記所定の温度範囲内となるように、前記温度検知部により検知された前記被加熱体の温度を制御する固体酸化物形燃料電池。

請求項8

原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、前記被加熱体の温度と前記燃焼排ガス中一酸化炭素濃度との対応関係を示すテーブル情報を保持する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記テーブル情報を参照して、前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が所定値以下になるように、前記温度検知部により検知された前記被加熱体の温度を制御する固体酸化物形燃料電池。

請求項9

原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、前記燃料電池セルスタックが劣化しない範囲として定められている所定の温度範囲と前記被加熱体の温度との対応関係を示すとともに、前記被加熱体の温度と前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度との対応関係を示すテーブル情報を保持する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記テーブル情報を参照して、前記燃料電池セルスタックの温度が所定の温度範囲内となり、かつ前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が所定値以下になるように前記温度検知部により検知された前記被加熱体の温度を制御する固体酸化物形燃料電池。

請求項10

前記テーブル情報における被加熱体の温度は、発電量に対応して設定されている請求項7から9のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。

請求項11

前記被加熱体が前記改質部である請求項6から10のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。

請求項12

前記燃焼部の上流側に前記燃料電池セルスタックが設けられ、該燃料電池セルスタックは複数の燃料電池セルから構成されており、前記燃料電池セルの出口近傍火炎が形成される請求項1から11のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。

技術分野

0001

本発明は固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:以下、SOFCと称する)に関するものであり、特に、SOFCにおける起動時の着火処理に関する。

背景技術

0002

従来のSOFCとして、電解質に酸化物イオン導電性固体電解質を用い、その両側に電極を設置した構成を有するものが提案されている。このSOFCは、一方の電極側に、都市ガス(13A)などの原料改質して得た改質ガスを供給するとともに、他方の電極側に空気(酸素)を供給し、高温、高効率で発電するように構成されている。この従来のSOFCでは、酸化物イオン導電性固体電解質を通過した酸化物イオン水素イオンとの化学反応により、水蒸気二酸化炭素を生成して電気や熱を発生する。そして、発生した電気はSOFCの外部に取り出され各種の電力負荷に供給される。また、発電時に発生した熱は原料、発電用空気、または改質用水等の加熱に使用される(例えば、特許文献1参照)。

0003

特許文献1に係るSOFCが備える燃料電池モジュールでは、改質器において生成された改質ガスが燃料ガス供給管を通じて燃料電池セルユニット内に供給される。さらに、空気用熱交換器により排ガスとの熱交換予熱された空気が空気導入管を介して発電室に導入される。また、燃料電池セルユニットは、内部に燃料ガス流路を形成する円筒形内側電極層燃料極)と、円筒形の外側電極層空気極)と、これらの間設けられた電解質層とを有する、複数の燃料電池セルから構成されている。特許文献1に係るSOFCでは、発電に利用されなかった改質ガスと、発電に利用されなかった空気とを燃焼室において燃焼させ、その燃焼熱により改質器を加熱したり、空気を予熱する空気用熱交換器を加熱したりする。また、特許文献1に係るSOFCでは、燃焼室における燃焼により発生した未燃ガスまたは一酸化炭素等の不完全燃焼ガスが外部に排出されることを防ぐように構成されている。すなわち、特許文献1に係るSOFCは、燃料電池セルスタックの温度が適正な温度範囲内となるように制御することを優先しつつ、発電用空気供給量補正して、未燃ガスまたは不完全燃焼ガスの排出を抑制する構成となっている。

0004

また、未燃ガス等の発生を抑制するために、燃焼用に利用するガスの着火の有無を判定できる燃料電池装置起動方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に係る燃料電池装置は、着火ヒータにより、ガスに着火した後、燃焼領域の温度が所定時間以内に所定温度T0℃からT1℃以上に温度が上昇した場合に着火したと判定し、所定時間内に着火と判定できなければ、未着火と判定する。このように、特許文献2に係る燃料電池装置は、着火ヒータによる未着火の有無を判定し、未燃ガスの放出を抑制することができる。

先行技術

0005

特開2013−12444号公報
特開2008−135268号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、固体酸化物形燃料電池の起動から発電に至るまでにおける各フェーズでの特性を考慮し、従来にない新規な技術を有する固体酸化物形燃料電池を提供する。

課題を解決するための手段

0007

ある態様に係る固体酸化物形燃料電池は、上記した課題を解決するために、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、を備え、起動時において前記原料供給部が原料を、前記発電用空気供給部が前記発電用空気をそれぞれ前記燃焼部に供給し、前記着火部により原料が着火された後、前記改質用空気供給部が前記改質用空気を前記燃焼部に供給する。

0008

ある態様に係る固体酸化物形燃料電池は、上記した課題を解決するために、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガス浄化する排ガス浄化部と、前記原料、前記改質用空気、前記発電用空気、および前記改質用水の流量をそれぞれ制御する流量制御部と、前記排ガス浄化部の入口に設けられ、該排ガス浄化部の入口温度を検知する浄化部用温度検知部と、を備え、着火後において、前記浄化部用温度検知部により検知された前記排ガス浄化部の入口温度が所定温度になった後に、前記水供給部および前記流量制御部は、前記改質用水を供給、または増量させる。

0009

ある態様に係る固体酸化物形燃料電池は、上記した課題を解決するために、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記温度検知部から受け付けた検知結果から得られた、原料供給後の前記被加熱体の所定時間における温度変化をもとに、着火判断を行なう。

0010

ある態様に係る固体酸化物形燃料電池は、上記した課題を解決するために、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、発電時において前記燃料電池セルスタックが劣化しない範囲として定められている所定の温度範囲と前記被加熱体の温度との対応関係を示すテーブル情報を保持する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記テーブル情報を参照して、前記燃料電池セルスタックの温度が前記所定の温度範囲内となるように、前記温度検知部により検知された前記被加熱体の温度を制御する。

0011

ある態様に係る固体酸化物形燃料電池は、上記した課題を解決するために、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、前記被加熱体の温度と前記燃焼排ガス中一酸化炭素濃度との対応関係を示すテーブル情報を保持する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記テーブル情報を参照して、前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が所定値以下になるように、前記温度検知部により検知された前記被加熱体の温度を制御する。

0012

ある態様に係る固体酸化物形燃料電池は、上記した課題を解決するために、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、前記燃料電池セルスタックが劣化しない範囲として定められている所定の温度範囲と前記被加熱体の温度との対応関係を示すとともに、前記被加熱体の温度と前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度との対応関係を示すテーブル情報を保持する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記テーブル情報を参照して、前記燃料電池セルスタックの温度が所定の温度範囲内となり、かつ前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が所定値以下になるように前記温度検知部により検知された前記被加熱体の温度を制御する。

発明の効果

0013

本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、以上に説明したように構成され、固体酸化物形燃料電池の起動から発電に至るまでにおける各フェーズでの特性を考慮し、従来にない新規な技術を有する固体酸化物形燃料電池を提供することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0014

本発明の実施の形態1に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の全体構成を示す模式図である。
本発明の実施の形態1に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の起動時の作動の一例を示すタイムチャートである。
本発明の実施の形態1の変形例1に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の起動時の作動の一例を示すタイムチャートである。
本発明の実施の形態2における固体酸化物形燃料電池(SOFC)の全体構成を示す模式図である。
本発明の実施の形態2に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の起動時に系外へ排出されるCO濃度と排ガス浄化部の入口部分の温度(入口温度)との関係を示すグラフである。
本発明の実施の形態3に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の全体構成を示す模式図である。
実施の形態3に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の起動時における改質部およびスタックそれぞれの温度特性を示すグラフである。
実施の形態3に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)における発電時の温度特性を示すグラフである。

実施例

0015

(本発明の一形態を得るに至った経緯)
本発明者は「背景技術」にて記載した特許文献1に係るSOFCの起動時に実施するシーケンス制御に関して鋭意研究したところ、以下の知見を得た。まず、特許文献1に係るSOFCの、起動時に実施するシーケンス制御について説明する。

0016

特許文献1に係るSOFCでは、起動時において、改質用空気が改質器へ供給されるとともに、発電用空気が空気用熱交換器を介して発電室および燃焼室(燃焼部)へと供給される。この後、原料の供給も開始され、改質用空気に原料が混合された状態で改質器および燃料電池セルスタック、および燃料電池セルユニットをそれぞれ通過して、燃焼室へと供給される。

0017

次に、燃焼室において点火装置により原料への着火が行われ、原料と空気(改質用空気、発電用空気)とを燃焼させる。このとき生成された排気ガスの有する熱により、改質器内の原料および改質用空気を加熱させ、部分酸化改質反応(POX)を進行させる。改質器の温度が上昇して所定温度(例えば、600℃)になると、原料と改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器に供給させ、上述した部分酸化改質反応と水蒸気改質反応(SR)とが共存するオートサーマル改質反応ATR)が進行する。さらに改質器の温度が上昇して所定温度(例えば、700℃)になると、改質用空気の供給を停止し、改質ガスと水蒸気のみによる水蒸気改質反応(SR)を進行させた後、発電を開始する。

0018

この起動時におけるシーケンス制御において、本発明者は、着火時に一酸化炭素等の有害ガスが発生しやすいということを見出した。しかしながら、特許文献1では、SOFCの安定動作時における一酸化炭素の発生の抑制については考慮されているが、起動時の着火時における一酸化炭素の発生については考慮されていない。

0019

以上の知見に基づいて、本発明者らは、原料への着火時に改質用空気の供給を制御することで、着火時において発生する一酸化炭素の量を抑制することができることを見出し、本発明に至った。

0020

また、本発明者は、改質部においてオートサーマル改質反応または水蒸気改質反応を実行する際に、改質用水を改質部に供給したり増量させたりするが、この改質用水の供給または増量により、燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が上昇する場合があることを見出した。このため、改質用水を改質部に供給または増量する場合には、その時点までに排ガス浄化部を、燃焼排ガス中の一酸化炭素を除去する機能が確保できる所定温度まで加熱しておく必要がある。そこで、排ガス浄化部の温度を監視し、燃焼排ガスの熱により所定温度に達するまで改質用水の供給または増量を行わないように制御することで、燃料電池モジュールから排気される燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度を低減できることを見出した。また、このように制御することで排ガス浄化部を燃焼排ガスの有する熱でのみ加熱することができ、別途、ヒータなどを設ける必要もないことを発見し、本発明に至った。

0021

また、本発明者は、燃焼排ガスの熱により加熱される改質部の温度と燃料電池セルスタックの温度との関係を調べたところ両者に相関があることを見出した。さらには、改質部の温度と、燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度とも相関があることを見出した。つまり、改質部の温度を管理することで燃料電池セルスタックの温度および一酸化炭素濃度を管理することができることを見出した。また、所定時間における改質部の温度変化から燃焼室における着火の有無を判定することができることも見出した。

0022

そして、本発明では具体的には以下に示す態様を提供する。

0023

第1の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、を備え、起動時において前記原料供給部が原料を、前記発電用空気供給部が前記発電用空気をそれぞれ前記燃焼部に供給し、前記着火部により原料が着火された後、前記改質用空気供給部が前記改質用空気を前記燃焼部に供給する。

0024

上記構成によると、前記起動時において、原料、発電用空気のみを燃焼部へ供給させ着火部により原料に着火させ、該原料を発電用空気とともに燃焼させる。そして、着火後に改質用空気を燃焼部へ供給するといったシーケンスとなっている。このように、着火時に燃焼部に対して原料に改質用空気を混入させた状態で供給することを防ぐことができるため、改質用空気により着火安定性阻害されることを回避することができるとともに、原料と発電用空気との拡散燃焼を促進して火炎安定性を高め、一酸化炭素の発生を抑制することができる。したがって、固体酸化物形燃料電池は、着火時に発生する一酸化炭素を抑制することができる。

0025

よって、固体酸化物形燃料電池の起動から発電に至るまでで、特に着火時の特性を考慮し、一酸化炭素の発生を抑制できる、従来にない新規な技術を有する固体酸化物形燃料電池を提供することができるという効果を奏する。

0026

また、第2の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、第1の態様に係る固体酸化物形燃料電池において、前記改質用空気供給部は、着火後において、前記改質用空気を、単位時間当たり所定流量以下となる範囲内で増加させかつ、単位時間当たりの該改質用空気の流量の変化率を示す傾きの大きさが所定の範囲内となるように、前記燃焼部に供給するように構成されていてもよい。なお、単位時間当たりの改質用空気の流量の変化率を示す傾きの大きさが所定の範囲内であれば、改質用空気の流量は、階段状に増加してもよいし、曲線状または直線状(単調増加)に増加してもよい。すなわち、改質用空気は、一度に所定流量増加させるのではなく、徐々に増加するように供給される構成であればよい。

0027

また、第3の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、第1または第2の態様に係る固体酸化物形燃料電池において、着火前においてプリパージとして前記発電用空気供給部が前記発電用空気を、前記改質用空気供給部が前記改質用空気をそれぞれ供給した後、該改質用空気供給部は前記改質用空気の供給を停止させる一方、前記原料供給部が前記原料の供給を開始し、前記燃焼部において前記着火部が前記原料を着火させ、前記発電用空気と共に燃焼させるように構成されていてもよい。

0028

また、第4の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスを浄化する排ガス浄化部と、前記原料、前記改質用空気、前記発電用空気、および前記改質用水の流量をそれぞれ制御する流量制御部と、前記排ガス浄化部の入口に設けられ、該排ガス浄化部の入口温度を検知する浄化部用温度検知部と、を備え、着火後において、前記浄化部用温度検知部により検知された前記排ガス浄化部の入口温度が所定温度になった後に、前記水供給部および前記流量制御部は、前記改質用水を供給、または増量させる。

0029

ここで、排ガス浄化部における所定の入口温度とは、排ガス浄化部が燃焼排ガスに含まる一酸化炭素等の有害物質を除去する機能が確保できる温度である。

0030

上記構成によると、着火後において、排ガス浄化部の入口温度が所定温度になった後に、水供給部と流量制御部とが協働して改質用水の供給または増量を行う構成である。ところで、改質用水を供給したり、増量させたりすると、燃焼部に改質ガスとともに、水蒸気も噴出するため火炎安定性が低下し、発生する一酸化炭素の濃度が高くなる。しかしながら、本発明に係る固体酸化物形燃料電池は、この改質用水の供給または増量を排ガス浄化部の入口温度が所定温度になった後で行うシーケンスとなっているため、仮に燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が高くなったとしても、排ガス浄化部により除去できる。

0031

すなわち、第4の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、排ガス浄化部の入口温度を高めて浄化性能を確保しておいて、一酸化炭素等の有害ガスが発生しやすい改質用水の供給、または増量を行うため、系外(燃料電池モジュール外)に排気される燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度を低下させることができる。

0032

よって、固体酸化物形燃料電池の動作における、特に部分酸化改質反応からオートサーマル改質反応に移行するフェーズにおいて、改質用水の供給または増量により一酸化炭素濃度が上昇するという特性を考慮し、排気される燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度を低減させる、従来にない新規な技術を有する固体酸化物形燃料電池を提供することができるという効果を奏する。

0033

また、第5の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、第4の態様に係る固体酸化物形燃料電池において、前記排ガス浄化部に浄化用の触媒を設けるように構成されていてもよい。

0034

また、第6の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記温度検知部から受け付けた検知結果から得られた、原料供給後の前記被加熱体の所定時間における温度変化をもとに、着火判断を行なう。

0035

ここで被加熱体とは、例えば、燃焼排ガスが保有する熱を利用して加熱される改質器等が例示できる。また、温度検知部によって検知される温度は、例えば、被加熱体を改質器とする場合、その内部温度またはその壁面温度とすることができる。

0036

上記構成によると、着火判断を行う判断基準に利用する温度変化の検知対象を燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度、例えば内部温度や壁面温度変化としている。このように燃焼領域の温度変化を検知対象とせず、被加熱体の温度変化を検知対象とするため、温度検知部により燃焼部において形成される火炎の安定性を阻害することを防ぐことができる。

0037

したがって、火炎安定性の阻害に起因する一酸化炭素の発生を抑制しつつ確度よく着火判断を行うことができ、安全性の高い固体酸化物形燃料電池を提供できる。

0038

よって、固体酸化物形燃料電池の起動から発電に至るまでにおける、特に着火時において、着火時の特性を考慮し、一酸化炭素の発生を抑制しつつ確度よく着火判断を行うことができる、従来にない新規な技術を有する固体酸化物形燃料電池を提供することができるという効果を奏する。

0039

また、第7の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、発電時において前記燃料電池セルスタックが劣化しない範囲として定められている所定の温度範囲と前記被加熱体の温度との対応関係を示すテーブル情報を保持する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記テーブル情報を参照して、前記燃料電池セルスタックの温度が前記所定の温度範囲内となるように、前記温度検知部により検知された前記被加熱体の温度を制御する。

0040

ここで被加熱体とは、例えば、燃焼排ガスが保有する熱を利用して加熱される改質器等が例示できる。また、温度検知部によって検知される温度は、例えば、被加熱体を改質器とする場合、その内部温度またはその壁面温度とすることができる。

0041

上記構成によると、テーブル情報を保持する記憶部を備えているため、被加熱体の温度変化を検知し、該被加熱体の温度変化に対応する燃料電池セルスタックの温度変化を把握することができる。このため、被加熱体の温度変化を監視することで、発電時において該被加熱体の温度または燃料電池セルスタックの温度が所定の温度範囲内となるように制御することができる。

0042

したがって、第7の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、燃料電池セルスタックの耐久性を確保しながら安全に発電を行うことができる。

0043

よって、特に固体酸化物形燃料電池の発電時において、発電時の特性を考慮し、燃料電池セルスタックの耐久性を確保できる、従来にない新規な技術を有する固体酸化物形燃料電池を提供することができるという効果を奏する。

0044

また、第8の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、前記被加熱体の温度と前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度との対応関係を示すテーブル情報を保持する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記テーブル情報を参照して、前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が所定値以下になるように、前記温度検知部により検知された前記被加熱体の温度を制御する。

0045

ここで被加熱体とは、例えば、燃焼排ガスが保有する熱を利用して加熱される改質器等が例示できる。また、温度検知部によって検知される温度は、例えば、被加熱体を改質器とする場合、その内部温度またはその壁面温度とすることができる。

0046

上記構成によると、テーブル情報を保持する記憶部を備えているため、被加熱体の温度変化を検知し、該被加熱体の温度変化に対応する燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度を把握することができる。このため、被加熱体の温度変化を監視することで、発電時において燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が所定値以下となるように制御することができる。

0047

したがって、第8の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、一酸化炭素濃度を所定値以下に抑制しつつ安全に発電を行うことができる。

0048

よって、特に固体酸化物形燃料電池の発電時において、発電時の特性を考慮し、一酸化炭素濃度を所定値以下に抑制できる、従来にない新規な技術を有する固体酸化物形燃料電池を提供することができるという効果を奏する。

0049

また、第9の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、原料を改質した改質ガスと発電用空気とを反応させて発電する燃料電池セルスタックと、該原料を改質して該改質ガスを生成する改質部と、起動時に該原料に着火させる着火部と、該着火部により着火された原料が発電用空気とともに燃焼させられる空間である燃焼部と、を有する燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールに原料を供給する原料供給部と、前記燃料電池モジュールに発電用空気を供給する発電用空気供給部と、前記改質部に改質用空気を供給する改質用空気供給部と、前記改質部に改質用水を供給する水供給部と、前記燃焼部における燃焼により生成された燃焼排ガスにより加熱される被加熱体の温度を検知する温度検知部と、制御部と、前記燃料電池セルスタックが劣化しない範囲として定められている所定の温度範囲と前記被加熱体の温度との対応関係を示すとともに、前記被加熱体の温度と前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度との対応関係を示すテーブル情報を保持する記憶部と、を備え、前記制御部は、前記テーブル情報を参照して、前記燃料電池セルスタックの温度が所定の温度範囲内となり、かつ前記燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が所定値以下になるように前記温度検知部により検知された前記被加熱体の温度を制御する。

0050

ここで被加熱体とは、例えば、燃焼排ガスが保有する熱を利用して加熱される改質器等が例示できる。また、温度検知部によって検知される温度は、例えば、被加熱体を改質器とする場合、その内部温度またはその壁面温度とすることができる。

0051

上記構成によると、テーブル情報を保持する記憶部を備えているため、温度検知部により検知された被加熱体の温度から、該被加熱体の温度に対応する燃料電池セルスタックの温度を把握することができる。このため、被加熱体の温度変化を監視することで、発電時において該被加熱体の温度または燃料電池セルスタックの温度が所定の温度範囲内となるように制御することができる。

0052

さらにまた、被加熱体の温度変化に対応する燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度を把握することができる。このため、被加熱体の温度変化を監視することで、発電時において燃焼排ガス中の一酸化炭素濃度が所定値以下となるように制御することができる。

0053

したがって、第9の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、被加熱体の温度または燃料電池セルスタックの温度が所定の温度範囲内となるように制御しつつ、一酸化炭素濃度を所定値以下に抑制し、安全に発電を行うことができる。

0054

よって、特に固体酸化物形燃料電池の発電時において、発電時の特性を考慮し、燃料電池セルスタックの耐久性を確保するとともに、一酸化炭素濃度を所定値以下に抑制できる、従来にない新規な技術を有する固体酸化物形燃料電池を提供することができるという効果を奏する。

0055

また、第10の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、第7から第9のいずれか1つの態様に係る固体酸化物形燃料電池において、前記テーブル情報における被加熱体の温度は、発電量に対応して設定されていてもよい。

0056

また、第11の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、第6から第10のいずれか1つの態様に係る固体酸化物形燃料電池において、前記被加熱体が前記改質部であってもよい。

0057

また、第12の態様に係る固体酸化物形燃料電池は、第1から第11のいずれか1つの態様に係る固体酸化物形燃料電池において、前記燃焼部の上流側に前記燃料電池セルスタックが設けられ、該燃料電池セルスタックは複数の燃料電池セルから構成されており、前記燃料電池セルの出口近傍に火炎が形成されるように構成されていてもよい。

0058

以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

0059

(実施の形態1)
(固体酸化物形燃料電池の構成)
図1は、本発明の実施の形態1における固体酸化物形燃料電池(SOFC)の全体構成を示す模式図である。なお、図1では、発明をより明確に説明するため、燃料電池モジュール1において原料、改質ガス、改質用空気、改質用水、および発電用空気の流通経路については特には明記していない。

0060

図1に示すように、SOFCは燃料電池モジュール1と、補機ユニット2とを備えてなる構成である。燃料電池モジュール1内には、複数の燃料電池セル3が電気的に直列接合されてなるスタック4が設置されている。燃料電池セル3は、例えば、内部に改質ガスが流通する経路を形成する円筒形の内側電極層と、円筒形の外側電極層と、これらの間に設けられた電解質層とを有し、内側電極層が燃料極、外側電極層が空気極となるように構成することができる。そして、内側電極層を流通した改質ガスが円筒形の燃料電池セル3の上方端部に形成された出口部3aから噴出され、外側電極層を接触した発電用空気も円筒形の燃料電池セル3の出口部3a側から送出されるようになっている。なお、燃料電池セル3はこのような円筒型セルに限定されるものではなく例えば、平板型セルであってもよい。

0061

スタック4の上部には燃焼室(燃焼部)5が設けられており、燃焼室5内には供給された原料と空気(発電用空気)とを燃焼させるために着火するための着火部8が備えられている。原料としては、例えば都市ガス(13A)を利用することができる。燃焼室5の上部には、補機ユニット2を介して外部から供給された原料を改質して改質ガスを生成する改質部6が設けられている。さらに改質部6の上部には補機ユニット2を介して外部から供給された発電用空気を予熱する空気予熱部7が設けられる。そして、燃焼室5において原料と空気とを燃焼させることで発生した燃焼排ガスは、改質部6および空気予熱部7をそれぞれ加熱し、燃料電池モジュール1の排ガス出口部20から系外に排気される。なお、排ガス出口部20には排ガス浄化部9が設けられており、燃焼排ガス中に含まれる一酸化炭素などの有害ガスを除去できるように構成されている。

0062

補機ユニット2は、原料供給部10と改質用空気供給部11と発電用空気供給部12と水供給部13と原料流量制御部14と改質用空気流量制御部15と発電用空気流量制御部16と水流量制御部17とを備えてなる構成である。なお、原料流量制御部14と改質用空気流量制御部15と発電用空気流量制御部16と水流量制御部17とによって本発明の流量制御部を実現する。

0063

原料供給部10は、燃料電池モジュール1に原料を供給するためのものである。改質用空気供給部11は、燃料電池モジュール1に改質用空気を供給するためのものである。原料および改質用空気が共に燃料電池モジュール1に供給される場合、改質部6の上流で両者が混合され、改質部6から燃料電池セル3の内側電極層を流通し、燃焼室5へと導かれる。なお、改質部6において改質反応が実施されていない場合、燃料電池セル3の内側電極層を原料が流通し、改質反応が進行すると改質ガスが流通することとなる。発電用空気供給部12は、燃料電池モジュール1に発電用空気を供給するためのものである。水供給部13は、燃料電池モジュール1に改質用の水(改質用水)を供給するためのものである。

0064

上記した原料供給部10、改質用空気供給部11、発電用空気供給部12、および水供給部13は、例えば、ポンプなどにより実現できる。また原料供給部10、改質用空気供給部11、発電用空気供給部12、および水供給部13により供給される流体(原料、空気、水)の流量は、原料流量制御部14、改質用空気流量制御部15、発電用空気流量制御部16、および水流量制御部17それぞれによって制御され、燃料電池モジュール1に送出される。原料流量制御部14、改質用空気流量制御部15、発電用空気流量制御部16、および水流量制御部17は、例えば電磁弁などにより実現できる。

0065

また、SOFCは主制御部(制御部)19を備え、主制御部19からの制御指示の下、SOFCが備える各部の各種制御が実施されるように構成されている。なお、主制御部19は、例えばCPU等により実現できる。

0066

(起動時の動作処理
次に、上記した構成を有する実施の形態1に係るSOFCの起動時の主な動作処理について説明する。まず、起動時には、原料と発電用空気とが燃焼室5に供給される。具体的には、補機ユニット2の原料供給部10が、都市ガス(13A)等の原料を、原料流量制御部14を介して燃料電池モジュール1内に供給する。燃料電池モジュール1内に供給された原料は、改質部6を通過した後、燃料電池セル3それぞれを流通し、各燃料電池セル3の上方端部の出口部3aから燃焼室5へと噴出する。一方、補機ユニット2の発電用空気供給部12が、発電用空気を、発電用空気流量制御部16を介して燃料電池モジュール1内に供給する。燃料電池モジュール1内に供給された発電用空気は、空気予熱部7を流通し複数の燃料電池セル3それぞれへと送出させられる。そして、発電用空気は、各燃料電池セル3の上方端部の出口部3a側から燃焼室5へと送出される。

0067

このように燃焼室5内へ原料と発電用空気とが供給されると、着火部8を作動させて原料に着火する。これにより複数の燃料電池セル3それぞれの出口部3aの近傍に火炎を形成し、所定の空気比(原料が完全燃焼する時に必要な理論空気量に対する実空気量の比)で燃焼させることができる。このようにして燃焼室5において生成された燃焼排ガスは燃焼室5の上方に設置された改質部6および空気予熱部7等の被加熱体を加熱した後、排ガス浄化部9を通過し、燃料電池モジュール1の外部に排出される。

0068

以上のようにして燃焼室5において生成された燃焼排ガスにより改質部6が所望の温度(部分酸化改質反応を行うために必要な温度)となるまで加熱された後、改質用空気の燃料電池モジュール1への供給が開始される。すなわち着火後、改質部6の外壁に設けられた温度検知センサ(温度検知部)18の検知結果が上記した所望の温度に達したと主制御部19が判定した場合、補機ユニット2の改質用空気供給部11および改質用空気流量制御部15に指示して改質用空気を燃料電池モジュール1へ供給させる。主制御部19からの指示に応じて、改質用空気流量制御部15は、所定流量の改質用空気が流通するように例えば、電磁弁の開度を調整する。そして、主制御部19からの指示に応じて、改質用空気供給部11は、改質用空気を、改質用空気流量制御部15を介して燃料電池モジュール1内に供給する。燃料電池モジュール1内に供給された改質用空気は、改質部6に送出され、改質部6内で加熱される。この時点では燃焼排ガスにより改質部6が加熱されており、これにより改質部6内において混合された改質用空気と原料とが加熱され、部分酸化改質反応が進行することとなる。

0069

改質部6内の温度がさらに上昇して所定温度(例えば、500℃)になると、補機ユニット2の水供給部13は、改質用水を、水流量制御部17を介して燃料電池モジュール1内に供給する。燃料電池モジュール1内に供給された改質用水は、改質部6に送出される。つまり、温度検知センサ18の検知結果が所定温度(例えば、500℃)に達したと主制御部19が判定した場合、水供給部13および水流量制御部17に指示して改質用水を燃料電池モジュール1へ供給させる。そして、主制御部19からの指示に応じて、水流量制御部17は、所定流量の改質用水が流通するように例えば、電磁弁の開度を調整する。そして、主制御部19からの指示に応じて、水供給部13は、改質用水を、水流量制御部17を介して燃料電池モジュール1内に供給する。このように改質部6に改質用水が供給されることにより、上述した部分酸化改質反応に加えて、水蒸気改質反応も併存して実施されるオートサーマル改質反応が進行する。

0070

さらに、改質部6内の温度が上昇して所定温度(例えば、600℃)になると、改質用空気供給部11は、改質用空気の供給を停止する。つまり、温度検知センサ18の検知結果が所定温度(例えば、600℃)に達したと主制御部19が判定した場合、改質用空気供給部11および改質用空気流量制御部15に指示して改質用空気の燃料電池モジュール1への供給を停止させる。そして、主制御部19からの指示に応じて、改質用空気流量制御部15は、例えば、電磁弁を閉じ、改質用空気供給部11は改質用空気の供給を停止させる。このように改質用空気の供給が停止すると、改質部6は、原料と水蒸気のみによる水蒸気改質反応を進行させる。改質部6における改質反応がオートサーマル改質反応から水蒸気改質反応に移行した後、SOFCでは発電が開始する。発電時では、発電に利用されなかった燃料(改質ガス)と、発電に利用されなかった発電用空気とを燃焼室5において燃焼し、生成した燃焼排ガスによって改質部6、および空気予熱部7が加熱される。

0071

上記したように、燃焼室5よりも上流側に複数の燃料電池セル3を設け、燃焼室5における各燃料電池セル3の出口部3aの近傍にて火炎を形成する構成である。このため、火炎の個数を多くすることができ、火炎長をより小さくすることができ、燃焼室5のコンパクト化を図ることができる。その結果、燃料電池モジュール1のコンパクト化を実現できる。

0072

なお、実施の形態1に係るSOFCでは、起動時では、改質部6において、上記したように部分酸化改質反応、オートサーマル改質反応、水蒸気改質反応の順に、逐次反応が進行する構成であった。しかしながら部分酸化改質反応を省略し、オートサーマル改質反応から改質反応を進行させていく構成とすることもできる。

0073

次に、図2を参照して上記したSOFCにおける起動時の動作処理において、各流体(原料、発電用空気、改質用空気)が流通するタイミングを説明する。図2は、本発明の実施の形態1に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の起動時の作動の一例を示すタイムチャートである。

0074

図2では、着火前後と、改質部6で実施される改質反応が部分酸化改質反応からオートサーマル改質反応に切り替わるまでの期間について示しており、プリパージを実施する期間、着火を行う期間、着火により原料が燃焼する期間、部分酸化改質反応〜オートサーマル改質反応を進行させる期間に区別することができる。図2では、横軸時間軸として、上から原料流量のON/OFF(原料供給の有無)、着火部8のON/OFF、改質用空気流量のON/OFF(改質用空気の供給の有無)、発電用空気流量のON/OFF(発電用空気の供給の有無)の時系列変化を示している。なお、原料流量、改質用空気流量、発電用空気流量のONとは、原料、改質用空気、発電用空気の供給が行われている状態を示し、OFFとは、原料、改質用空気、発電用空気の供給が停止されている状態を示す。図2では、原料流量、着火部、改質用空気流量、発電用空気流量それぞれの時間経過を示す横軸方向に延びた直線において立ち上がっている区間がONの状態であり、立ち下がっている区間がOFF状態に相当する。

0075

まず、SOFCでは、着火部8による着火が行われる前に、改質用空気および発電用空気を利用して燃料電池セル3内外に残存する水分や残留ガス等の除去を行うプリパージを行う。具体的には、プリパージ期間では、改質用空気供給部11により改質用空気が、発電用空気供給部12により発電用空気がそれぞれ燃料電池モジュール1に供給される。そして、これら供給された改質用空気および発電用空気を、燃料電池セル3内外に送出することで燃料電池セル3内外に残存する水分や残留ガス等を外部に排気させ、除去する。プリパージが終わり、かつ着火部8による着火が行われる前に、改質用空気供給部11は改質用空気の供給を停止する。なお、プリパージを行う期間として所定時間が設定されており、主制御部19が不図示の計時部を起動させて所定時間の経過を管理する。そして、プリパージを行う所定時間が経過すると、主制御部19は、改質用空気の供給を停止させるように改質用空気供給部11に対して指示する。この指示に応じて、改質用空気供給部11は、改質用空気の供給を停止させる。

0076

改質用空気の供給が停止されると、主制御部19は、着火部8に着火するように指示する。着火部8は主制御部19からの指示に応じて着火を行う。着火部8で着火が行われている間に、主制御部19は、原料供給部10に燃料電池モジュール1への原料の供給を指示する。原料供給部10は、主制御部19からの指示に応じて、原料の供給を開始する。燃焼室5において原料と発電用空気とが供給され、着火部8の着火により原料が燃焼すると、着火部8は着火を停止する。そして、原料と発電用空気とが燃焼し、生成された燃焼排ガスにより改質部6が所定温度になると、主制御部19は、改質用空気供給部11に改質用空気の供給を再開させるように指示する。改質用空気供給部11は、主制御部19からの指示に応じて、改質用空気の供給を開始する。これにより改質部6において部分酸化改質反応が実施される。

0077

ところで、例えば特許文献1に開示された従来のSOFCでは、プリパージ期間の経過後の着火時おいても、継続して改質用空気を燃料電池モジュール1に供給していた。これに対して、実施の形態1に係るSOFCでは、改質用空気の供給を停止させ、原料および発電用空気のみを供給した状態で、着火部により原料を着火させ、燃焼させるように構成されている。このため、実施の形態1に係るSOFCでは、着火時において、原料に改質用空気が混入された状態で燃焼室5に供給されることがなく、着火安定性を阻害することを回避することができる。また、着火後において、燃焼室5には燃焼の維持に必要な酸素として火炎の外から発電用空気が拡散によって入ってきており火炎安定性を高め、一酸化炭素の発生を抑制することができる。

0078

(一酸化炭素の発生について)
ここで、以下において実施の形態1に係るSOFCのように着火時に改質用空気の供給を停止させる構成と、従来のように着火時にも改質用空気の供給を停止させない構成とを比較し、一酸化炭素の発生について説明する。

0079

着火時において従来のように6NL/minの流量の改質用空気も原料とともに供給して着火させると、発生した一酸化炭素濃度のピーク値は250ppmとなった。これに対して、実施の形態1に係るSOFCのように、着火時において改質用空気の供給を停止させた場合、発生した一酸化炭素濃度のピーク値を50ppmまで低減することができた。

0080

従来の構成では起動時には、混合させた原料と改質用空気とを複数の円筒型の燃料電池セル3の内側から燃焼室5へ噴出させ、発電用空気を複数の円筒型の燃料電池セル3の外側から燃焼室5へ送出させ、着火部8を作動させて原料に着火させ、複数の燃料電池セル3の出口部3aに火炎を形成する、いわゆる予混合燃焼を行なっていた。

0081

例えばブンゼンバーナ等で予混合燃焼させる場合、原料が噴出する時の動圧によって発生する圧力差燃焼用一次空気(改質用空気に相当)を誘引し、周囲から燃焼用二次空気(発電用空気に相当)を拡散吸引して火炎を形成する。これに対して、実施の形態1に係るSOFCでは、一次空気に相当する改質用空気を誘引する構成ではなく、強制給気する構成であり、二次空気に相当する発電用空気も拡散吸引する構成ではなく、強制給気する構成である。このため、燃焼室5において燃料電池セル3の出口部3aにおける低流速領域でしか着火できず、燃料電池セル3の出口部3aから燃料電池セル3内に火炎が逆流する逆火が発生する可能性がある。そこで、この逆火抑制のため、燃料電池セル3の出口部3aを細管で形成し、出口部3aにおける消炎距離所定距離以下とする必要がある。このように燃料電池セル3の出口部3aを細管とすると、逆火抑制には効果的であるが、原料に改質用空気を混合させると、着火時の火炎安定性が阻害され、一酸化炭素発生量の増加をもたらすと考えられる。

0082

そこで、SOFCにおいて、着火特性(一酸化炭素の発生)を支配する要因をより詳細に検証した。つまり、改質用空気流量による一次空気比と、改質用空気流量と発電用空気流量とを加えたトータル空気比とにより、着火限界、及び着火時の一酸化炭素発生ピーク値を調べたところ、一酸化炭素発生の抑制には、改質用空気流量による一次空気比の影響を受けることが分かった。つまり、ブンゼンバーナ等とは構成の相違から、原料への改質用空気の混入が着火安定性を阻害しており、具体的には一次空気比が著しく小さくなる時(0から0.1)に一酸化炭素の発生ピーク値を抑制できることが分かった。

0083

上記した検証結果を踏まえ図2で説明したように、着火時に改質用空気の供給を停止させる構成とすることで、着火安定性に優れ、既述したように着火時の一酸化炭素発生ピーク値を50ppmに抑制することができる。

0084

以上のように、実施の形態1に係るSOFCは、発電用空気と改質用空気とを供給して原料の着火前にプリパージを行なった後、改質用空気の供給だけを停止させる。次いで、原料の供給を開始し、継続して供給されている発電用空気とともに燃焼室5で燃焼させ、その後に再度、改質用空気を供給するシーケンスとしている。このようにプリパージを起動時に行うことにより、燃料電池セル3内に残存していた水分や残留ガスを除去し、着火安定性を高め、一酸化炭素の発生を抑制することもできる。

0085

(変形例1)
実施の形態1に係るSOFCでは、図2に示すように着火後に再度、供給する改質用空気は、改質部6が所望の温度まで加熱された時点で所定流量、燃料電池モジュール1へ供給される構成であった。しかしながら、図3に示すように単位時間当たりの流量が所定流量以下となる範囲内で、かつ、例えば、単調増加するように燃料電池モジュール1へ徐々に供給するように構成されてもよい。図3は、本発明の実施の形態1の変形例1に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の起動時の作動の一例を示すタイムチャートである。図3は、図2と同様に、着火の前後と改質部6においてオートサーマル改質反応が実施されるまでの期間について示しており、プリパージを実施する期間、着火を行う期間、着火により原料が燃焼する期間、部分酸化改質反応〜オートサーマル改質反応を進行させる期間に区別することができる。

0086

図3に示すように、実施の形態1の変形例に係るSOFCでは、着火後に改質用空気の供給を再開する際、主制御部19からの指示に応じて改質用空気流量制御部15が開度を徐々に変化させ、改質用空気供給部11が改質用空気を燃料電池モジュール1に供給する。このとき、改質用空気流量制御部15は、改質用空気の単位時間当たりの流量が所定流量以下となる範囲内で、例えば、0.1NL/secずつ増量するように調整する。

0087

このように、着火後に改質用空気を徐々に増量させて燃料電池モジュール1に供給することにより、火炎安定性の低下を回避でき、一酸化炭素の発生をさらに抑制することができる。

0088

(実施の形態2)
上記した実施の形態1に係るSOFCおよび変形例1に係るSOFCでは、SOFCの起動時、特に着火前後と改質部6で部分酸化改質反応を進行させる期間において、改質用空気の供給タイミングを工夫することで一酸化炭素の発生を抑制する構成について説明した。

0089

実施の形態2に係るSOFCは、図4に示すように、実施の形態1に係るSOFCの構成において、排ガス浄化部9の入口部分に、この入口部分の温度を検知するための浄化部用温度検知センサ(浄化部用温度検知部)21をさらに備えた構成とする。そして、この浄化部用温度検知センサ21の検知結果に基づき、主制御部19が水供給部13および水流量制御部17に対して、所定の流量の改質用水を燃料電池モジュール1の改質部6に供給するように指示する点で実施の形態1に係るSOFCと異なる。特に、実施の形態2に係るSOFCは、浄化部用温度検知センサ21の検知結果に基づき、主制御部19が水供給部13および水流量制御部17に指示して、所定の流量の改質用水を適切なタイミングで増量させる。それ以外については、実施の形態2に係るSOFCは実施の形態1に係るSOFCと同様な構成となるため、同様な部材には同じ符号を付しその説明については省略する。

0090

図4は、本発明の実施の形態2における固体酸化物形燃料電池(SOFC)の全体構成を示す模式図である。図1と同様に、発明をより明確に説明するため、燃料電池モジュール1において原料、改質ガス(燃料)、改質用ガス、改質用水、および発電用空気の流通経路については特には明記していない。

0091

なお、この改質用水の増量は以下の理由で行う。すなわち、改質部6および燃料電池セル3等の温度が十分に上昇しない段階で多量の改質用水を流入させると作動安定性および火炎温度の低下を招き、それによって発生する一酸化炭素の濃度が大きくなるという問題があるからである。そこで、実施の形態2に係るSOFCでは、改質用水を徐々に供給しつつ、改質部6および燃料電池セル3等とともに温度上昇する排ガス浄化部9の温度に基づき、供給する改質用水の流量を増量させる。

0092

(改質用水の増量タイミング)
次に、図5を参照して、上記した構成を有する実施の形態2に係るSOFCにおいて、改質部6に供給する改質用水の増量を行うタイミングについて説明する。図5は、本発明の実施の形態2に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の起動時に系外へ排出されるCO濃度と排ガス浄化部9の入口部分の温度(入口温度)との関係を示すグラフである。図5において、グラフの横軸は時間(t)、左側の縦軸は系外に排出されるCO濃度(C)、右側の縦軸は排ガス浄化部9の入口温度(T)を示している。

0093

またこのグラフにおいて、破線は実施の形態2に係るSOFCの効果を説明するための比較例として挙げたSOFCにおけるCO濃度の時系列変化、実線は実施の形態2に係るSOFCにおけるCO濃度の時系列変化、一点鎖線は排ガス浄化部9の入口温度の時系列変化を示す。なお、図5に示すグラフにおいて、t1は起動開始から着火までの経過時間、t2は起動開始から改質用水を供給開始するまでの経過時間、t3は比較例に係るSOFCにおける起動開始から改質用水を最初に増量するまでの経過時間、t4は比較例に係るSOFCにおける起動開始から改質用水をさらに増量するまでの経過時間を示す。また、後述するが、このt4は、実施の形態2に係るSOFCにおける起動開始から改質用水を最初に増量するまでの経過時間でもある。

0094

CO濃度を示す縦軸におけるC1は、実施の形態2に係るSOFCにおいて発生するCO濃度のピーク値が主として出現する値に相当しており、排ガス浄化部9の入口温度を示す縦軸におけるT1は、排ガス浄化部9の機能が確保できる所定温度(例えば120℃)に相当する。図5に示すように、排ガス浄化部9の入口温度は、燃焼室5で生成された燃焼排ガスにより加熱され、徐々に温度上昇し、ある程度時間が経過するとほぼ一定となるように変化する。

0095

また、図5において、実施の形態2に係るSOFCにおけるCO濃度の時系列変化(実線)および比較例に係るSOFCにおけるCO濃度の時系列変化(破線)ではともに大きさは異なるが、2つのピークが現れる。実施の形態2に係るSOFCにおいて、1つ目のピークは着火時に発生したCOに起因するものである。2つ目のピークは、部分酸化改質反応からオートサーマル改質反応に移行する際に供給された改質用水に起因するものであり、改質用水の供給により、火炎安定性が阻害されてCO濃度が上昇したことを示している。

0096

一方、比較例に係るSOFCにおける1つ目のピークは、着火時に発生したCOに起因するものである。2つ目のピークは、部分酸化改質反応からオートサーマル改質反応に移行する際に供給された改質用水、ならびに改質用水の最初の増量に起因するものであり、改質用水の供給時および最初の増量時それぞれにおいて火炎安定性が阻害されてCOが発生したためCO濃度が大きく上昇している。

0097

図5に示すように、実施の形態2に係るSOFCでは、改質用水の最初の増量に伴うCO濃度の上昇の影響を受けておらず、逆に、比較例に係るSOFCでは、改質用水の最初の増量に伴うCO濃度の上昇を受けて、2つ目のピークの値が大きくなっている。この両者の違いについて以下に説明する。

0098

実施の形態2に係るSOFCと比較例に係るSOFCとの相違は、前者はt3では改質用水を増量させずに、t4で改質用水を増量させているのに対して、後者はt3で改質部6に供給する改質用水を増量させている点である。改質部6に供給する改質用水を増量させると、燃料電池セル3の出口部3aから改質用空気および改質ガス(燃料)とともに、水蒸気も噴出するため火炎安定性が低下し、発生するCOの濃度が高くなる。ここで比較例に係るSOFCのように、t3で改質用水を増量させると、t3では排ガス浄化部9の入口温度が排ガス浄化部9に備えられている浄化用触媒酸化触媒)の活性温度(例えば、120℃)よりも低く、排ガス浄化部9において排ガス浄化の機能が十分に確保されていない。このため、比較例に係るSOFCでは、t3において系外(燃料電池モジュール外)に排気されるCO濃度を低減させることができず、図5のグラフにおいて破線で示されるように、CO濃度は2つ目のピークで高い値となっている。

0099

一方、実施の形態2に係るSOFCのようにt4で改質用水を増量させると、t4では排ガス浄化部9の入口温度が浄化用触媒の活性温度(T1)を超えており、排ガス浄化部9において排ガス浄化の機能が十分に確保されているため、系外に排出されるCO濃度を低減させることができる。その結果、図5のグラフにおいて実線で示すように、改質用水の増量に起因したCO濃度のピークが発生せずに良好な排ガス特性を示す。

0100

なお、上記したように実施の形態2に係るSOFCのCO濃度の時系列変化を示す実線において、改質用水の供給に起因してわずかに2番目のCO濃度ピークが発生している。ここで、実施の形態2に係るSOFCを、排ガス浄化部9の入口温度が浄化用触媒の活性温度に達するまで、部分酸化改質反応を進行させて改質用水を供給しないように構成することで、2番目のCO濃度ピークも回避させることができる。

0101

なお、排ガス浄化部9の内部に備えられる浄化用触媒は、例えば貴金属を主とした酸化用の触媒を用いることができ、この浄化用触媒によりCOの浄化性能を確保することができる。また、この浄化用触媒が浄化性能を確保するためには、所定温度以上とする必要がある。このため、排ガス浄化部9を加熱するための加熱ヒータを別途備え、SOFCの起動時において、この加熱ヒータにより浄化用触媒が所定温度以上とする構成が考えられる。しかしながら、実施の形態2に係るSOFCでは、上記したように、実施する改質反応の特性を考慮し、浄化用触媒が活性化する所定温度に達するまで改質用水の増量を行わないようにする独自のシーケンスを実行しており、これにより加熱ヒータを不要にすることができた。

0102

なお、実施の形態2に係るSOFCでは、排ガス浄化部9は、浄化用触媒として、貴金属を主とした酸化用の触媒を備える構成であったが、浄化用触媒はCO浄化性能を確保できれば、その材料、形状を限定するものではない。また、排ガス浄化部9は、所定温度で活性化する浄化用触媒を備える構成であったが、必ずしも浄化用触媒を備える必要はなく、所定温度以上でCOを有効に除去できる構成のものであれば任意である。

0103

(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るSOFCとして、改質器(被加熱体)6の温度変化に基づき、スタック4の温度変化を把握するとともに、燃焼室5において着火部8により原料に着火されたか否かに関する判定である着火判定処理を行う構成を有するSOFCについて図6および図7を参照して説明する。図6は、本発明の実施の形態3に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の全体構成を示す模式図である。図1および図4と同様に、発明をより明確に説明するため、燃料電池モジュール1において原料、改質ガス(燃料)、改質用ガス、改質用水、および発電用空気の流通経路については特には明記していない。また、図7は、実施の形態3に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)の起動時における改質部6およびスタック4それぞれの温度特性を示すグラフである。

0104

図6に示すように実施の形態3に係るSOFCは、実施の形態1に係るSOFCの構成において、SOFCの稼働時間に応じた改質部6の外壁温度スタック温度との対応関係を示すテーブル情報31を保持する記憶部30を備えている。それ以外については、実施の形態3に係るSOFCは、実施の形態1に係るSOFCと同様な構成となるため、同様な部材には同じ符号を付しその説明については省略する。

0105

まず、燃焼室5で生成された燃焼排ガスによる被加熱体である改質部6の外壁温度と、スタック4の温度(スタック温度)との関係について、図7を参照して説明する。図7において、グラフの横軸は時間(t)、縦軸は温度(T)であり、グラフ中における破線はスタック温度、実線は被加熱体である改質部6の外壁温度を示す。t1は起動開始から着火までの経過時間、t5は起動開始から発電を開始するまでの経過時間を示している。

0106

なお、実施の形態3では、スタック温度を複数の燃料電池セル3が配置されたスタック4の水平方向における中央部でかつ、鉛直方向の中央部に位置する燃料電池セル3近傍(図6におけるA)で測定した。また、改質部6の外壁温度を燃焼室5において形成される火炎の上方となる改質部6の下側(図6におけるB)で測定した。そして、両者の対応関係を示すテーブル情報31を作成した。なお、改質部6の入口部分では改質用水が蒸発しているため、改質反応が進行している出口部分の近傍の外壁で温度を測定した。

0107

図7に示すように、実施の形態3に係るSOFCを起動させ、原料を供給して着火した時点(t1の時点)からスタック温度および改質部6の外壁温度それぞれが上昇していく。スタック4の熱容量は改質部6の外壁の熱容量よりも大きいため、スタック温度は徐々に上昇していくのに対し、改質部6の外壁温度は、改質部6の直下に火炎が形成されており、急激に上昇する。このように、改質部6の外壁は、燃料電池モジュール1における温度変化に対する応答性が高くなっている。

0108

ここで、図7を参照すると、改質部6の外壁温度の温度変化とスタック温度の温度変化は単位時間あたりの変化の大きさは異なるが両者は相関している。つまり、改質部6の外壁温度とスタック温度とは、原料への着火後、改質部6において部分酸化改質反応、オートサーマル改質反応、水蒸気改質反応と、改質反応を進行させるにともない、図7に示すように上昇していき、発電を開始して定格出力(例えば、800W)で発電を継続すると、所定温度(例えば、630℃)で安定する。つまり、スタック温度の温度変化は改質部6の外壁温度の温度変化と相関性がある。このため、例えば燃焼に伴う急激な温度変化に対して応答性の優れた改質部6の温度を検知することにより、スタック温度の温度変化を確度よく、すばやく把握することができる。そこで、この図7に示す両者の温度特性の対応関係を示すテーブル情報31を予め用意し、記憶部30に保持しておく。そして、実施の形態3に係るSOFCでは、主制御部19はテーブル情報31を参照して、温度検知センサ18により検知された改質部6の外壁温度に基づきスタック温度を把握することができるように構成されている。

0109

さらに温度変化に対して応答性の優れた改質部6の温度を検知し、この検知した温度変化に基づき、原料に対する着火判定を行う構成とすることで、燃料電池モジュール1において信頼性の高い燃焼検知を実現できる。以下において、実施の形態3に係るSOFCにおける着火判定について説明する。

0110

(着火判定)
実施の形態3に係るSOFCは、改質部6の温度を温度検知センサ18の検知対象とし、温度検知センサ18の検知結果に基づき、主制御部19が原料供給後の改質部6の所定時間における温度変化を把握する。そして、主制御部19が把握した温度変化に基づき着火部8による原料への着火判断を行なうように構成されている。例えば、主制御部19は、原料供給後、所定時間(例えば、20秒)以内に、所定温度(例えば、15℃)以上、改質部6の外壁温度が増加したと判定した場合、燃焼室5において原料に着火したと判断する。一方、主制御部19は、所定時間(例えば、20秒)以内に、改質部6の外壁温度が所定温度(例えば、15℃)未満しか増加しなかった場合、未着火と判断する。

0111

例えば、上記した着火判定において、燃焼領域(燃焼室5内の燃焼排ガス)の温度を温度検知センサ18の検知対象とすることも考えられるが、この場合、温度変化に対する応答性は改質部6の外壁温度よりもさらに高くなる。しかしながら、燃焼室5に形成される火炎位置と温度検知センサ18の位置とが所定距離以上離れている場合、検知精度が低下する場合がある。逆に、火炎の近傍に温度検知センサ18を設けた場合、火炎安定性が阻害され、一酸化炭素が発生するという問題がある。そこで、実施の形態3に係るSOFCでは、改質部6の外壁部に設けた温度検知センサ18の温度変化を、着火判定に利用する。

0112

しかしながら、着火判定を行うために温度検知を行う検知対象はこの改質部6の外壁に限定されるものではなく、燃焼室5における燃焼に伴い温度変化する他の部材であってもよい。あるいは、改質部6の外壁ではなく、例えば、改質部6の内部温度や内壁温度であっても良い。なお、着火判定に利用する温度検知センサ18は、実施の形態1にて述べたように、改質部6で実施する改質反応を切り替えるために改質部6の温度を検知するために設けられているものを共用できる。このため、着火判定のために別途、温度検知センサ18を設ける必要がなく部品点数を低減できるという利点がある。

0113

(変形例1)
実施の形態3に係るSOFCでは、上記したように、温度変化に対する応答性が高い改質部6の外壁温度を利用して、スタック温度を把握したり、燃焼室5における着火部8による原料の着火判定を行ったりする構成であった。実施の形態3の変形例1に係るSOFCは、上記した改質部6の外壁温度とスタック温度との対応関係を利用して、スタック温度が所定の温度範囲、例えば、耐久限界範囲内となるように管理するように構成する。なお、耐久限界範囲とは、スタック耐久上限温度からスタック耐久下限温度までの範囲を示しており、スタック4が劣化しない範囲として定められている温度範囲である。実機として燃料電池セル3の長寿命化を確保するためには、定格出力で発電が継続されている時のように燃料電池モジュール1が熱的に安定状態となっている場合において、スタック温度が耐久限界範囲内となるように作動させることが重要となる。

0114

実施の形態3の変形例1に係るSOFCの構成は、実施の形態3に係るSOFCの構成と比較して記憶部30が保持するテーブル情報31の内容が異なる点を除けば、同様の構成となる。このため構成部材には同じ符号を付しその説明については省略する。詳細は後述するが、実施の形態3の変形例1に係るSOFCでは、記憶部30は、発電量と、スタック耐久上限温度およびスタック耐久下限温度それぞれに応じた改質部6の温度との対応関係を示す情報をテーブル情報31として記憶部30に保持している。なお、記憶部30は、例えば、メインメモリなどの主記憶装置を利用することができる。

0115

ここで、実施の形態3の変形例1に係るSOFCが有するテーブル情報31について図8を参照して説明する。図8は、実施の形態3に係る固体酸化物形燃料電池(SOFC)における発電時の温度特性を示すグラフである。図8において、グラフの横軸は発電量(G)、縦軸は改質部6の外壁温度(T)であり、グラフの実線はスタック4の耐久上限温度、グラフの破線はスタック4の耐久下限温度に対応する改質部6の外壁温度である。

0116

スタック耐久上限温度およびスタック耐久下限温度は、それぞれスタック4に対して所定値が設定されている。しかしながら、スタック耐久上限温度およびスタック耐久下限温度それぞれに対応する改質部6の外壁温度は、発電に利用される燃料の利用率、発電用空気の利用率、燃焼状態、燃焼室5から改質部6への伝熱、改質部6における放熱等を含む燃料電池モジュール1における熱収支等に支配される。このため、図8に示すように、スタック耐久上限温度およびスタック耐久下限温度それぞれに対応する改質部6の外壁温度は、発電量に応じて変化する。なお、図8に示すように、スタック耐久上限温度およびスタック耐久下限温度それぞれに対応する改質部6の外壁温度は、発電量の増加に伴い、低下する傾向にある。これは、SOFCにおいて発電量が増加とともに燃料の利用率が高まり、燃焼室5において燃料比率が少なくなるとともに、水分の比率が高くなる。このため、燃焼室5において形成される火炎の温度が低下し、燃焼が不安定になりやすいという傾向があるからである。

0117

ところで、発電時において発電量が変化すると、スタック4の温度が変化し、スタック4の温度がスタック耐久上限温度からスタック耐久下限温度までの範囲を超える場合がある。SOFCの信頼性の基準となるスタック温度が変化すると、このスタック温度と相関する改質部6の外壁温度も変化する。そこで、スタック温度を適切な設定範囲(スタック耐久上限温度からスタック耐久下限温度の範囲)となるように、発電量に応じて改質部6の外壁温度を制御する。

0118

すなわち、発電量の変化は、燃焼機器に対して要求されるTDR(Turn Down Ratio)に対応する改質部6の外壁温度とし、燃焼量の変動範囲をスタック耐久上限温度およびスタック耐久下限温度それぞれに対応した改質部6の外壁温度で設定する。このため、発電量に応じて改質部6の外壁温度を制御することで、スタック温度をその耐久限界範囲内(スタック耐久上限温度からスタック耐久下限温度までの範囲)となるように制御することができる。

0119

制御方法
次に、実施の形態3の変形例1に係るSOFCにおける、改質部6の外壁温度の制御方法について説明する。

0120

発電時には燃料電池セル3の上方部分の出口部3aから噴出する発電に利用されなかった燃料と、発電に利用されなかった発電用空気とが拡散燃焼する。この拡散燃焼時における空気比を増加させると、スタック温度および改質部6の温度はともに、この空気比の増加に比例して低下する。逆に空気比を低下させると、スタック温度および改質部6の温度はともに、この空気比の低下に比例して大きくなる。このため、発電時の拡散燃焼時において、供給する空気比を調整することで改質部6の温度、該改質部6の温度に対応するスタック温度を調整することができる。より具体的には以下のようにして改質部6の外壁温度を制御する。

0121

より具体的には、主制御部19が温度検知センサ18から受け付けた検知結果に基づき、改質部6の外壁温度がスタック耐久上限温度に対応する温度を上回ったと判定した場合、まず、発電用空気供給部12および発電用空気流量制御部16に指示して発電用空気の流量を増加させる。発電用空気流量制御部16は、主制御部19からの指示に応じて、供給する発電用空気の流量が増加するように開度を大きくし、発電用空気供給部12は発電用空気流量制御部16を介して主制御部19から指示された流量の改質用空気を燃料電池モジュール1に供給する。

0122

また、発電用空気の流量を増加させても温度検知センサ18から受け付けた検知結果が設定温度範囲内(耐久限界範囲内)とならない場合、主制御部19は、原料供給部10および原料流量制御部14に対して供給する原料の流量を減少させるようにさらに指示する。原料流量制御部14は、主制御部19からの指示に応じて、供給する原料の流量が減少するように開度を小さくし、原料供給部10は、原料流量制御部14を介して主制御部19から指示された流量の原料を燃料電池モジュール1に供給する。

0123

一方、主制御部19が温度検知センサ18から受け付けた検知結果に基づき、改質部6の外壁温度がスタック耐久下限温度に対応する温度を下回ったと判定した場合、まず、発電用空気供給部12および発電用空気流量制御部16に指示して発電用空気の流量を減少させる。また、発電用空気の流量を減少させても温度検知センサ18から受け付けた検知結果が設定温度範囲にならないと判定した場合、主制御部19は、原料供給部10および原料流量制御部14に対して供給する原料の流量を増加させるように指示する。

0124

以上のようにして、主制御部19は、改質部6の外壁温度を、スタック耐久上限温度に対応する温度からスタック耐久下限温度に対応する温度までの範囲に収まるように制御することができる。

0125

なお、上記した制御を行ったとしても発電量に応じた改質部6の外壁温度が、耐久限界範囲内に対応する設定温度範囲内とならない場合、主制御部19は、火炎の吹飛び(Blow Off)、消炎(Quenching)による失火等を含め、異常燃焼と判断する。異常燃焼と判断した場合、主制御部19は、原料供給部10および原料流量制御部14に指示して原料の供給を中止させ、燃焼を停止させる。

0126

上記した異常燃焼か否かについての判定は、具体的には以下のように行う。すなわち、発電用空気の流量を減少または増加させることで、改質部6の外壁温度を、発電量に応じた耐久限界範囲内に対応する設定温度範囲内とする構成の場合、発電用空気の流量を例えば、±10%変化させ、改質部6の外壁温度が設定温度範囲内に戻らないとき、主制御部19は、異常燃焼と判定する。また、原料の流量を減少または増加させることで、改質部6の外壁温度を発電量に応じた耐久限界範囲内に対応する設定温度範囲内とする構成の場合、原料の流量を例えば、±5%変化させ、改質部6の外壁温度が設定温度範囲内に戻らないとき、主制御部19は、異常燃焼と判定する。

0127

なお、上記では、改質部6の外壁温度が設定温度範囲内となるように調整することで、スタック温度を耐久限界範囲内となるように制御する構成であったが、このような制御に限定されものではない。例えは、スタック温度が耐久限界範囲外となったか否かについての判定のみ、改質部6の外壁温度に基づいて行う。そして、耐久限界範囲外となったと判定された場合、上記したように発電用空気または原料の流量を変更させることで、直接、スタック4の温度が耐久限界範囲内に収まるように制御する構成であってもよい。このように構成される場合、スタック4にも別途、温度検知センサを設けることとなる。

0128

(変形例2)
ところで、本発明者は、被加熱体である改質部6の外壁温度と燃焼排ガス中のCO濃度との間にも相関があることを見出した。すなわち、改質部6の外壁温度と、燃焼排ガス中に含まれるCO濃度との関係について検討した。その結果、SOFCの燃焼室5に供給される発電用空気の空気比を増加させると、改質部6の外壁温度は低下するが、改質ガスと発電用空気との拡散が促進されて燃焼排ガス中のCO濃度が低下する。一方、SOFCの燃焼室5に供給される発電用空気の空気比を低下させると、改質部6の外壁温度は増加するが、改質ガスと発電用空気との拡散反応が不十分になって燃焼排ガス中のCO濃度が増加することが分かった。このため、この改質部6の外壁温度と、燃焼排ガス中のCO濃度との関係に基づき、燃焼排ガスの一酸化炭素濃度が所定値(例えば、150ppm)以下になるように改質部6の外壁温度を制御することができることが分かった。

0129

そこで、実施の形態3の変形例2に係るSOFCは、改質部6の外壁温度と燃焼排ガス中のCO濃度との対応関係から、燃焼排ガス中のCO濃度が所定値以下になるように改質部6の外壁温度を制御する構成とする。このように、改質部6の外壁温度とCO濃度との対応関係から、CO濃度が所定値以下となるように改質部6の外壁温度を制御する構成とすることで、CO濃度を考慮した改質部6の外壁温度の制御が可能となる。

0130

なお、実施の形態3の変形例2に係るSOFCは、記憶部30に保持するテーブル情報31が異なる点を除けば実施の形態3に係るSOFCと同様の構成である。このため実施の形態3と同様の構成部材には同じ符号を付しその説明については省略する。実施の形態3の変形例2に係るSOFCでは、テーブル情報31として空気比の変動に応じた改質部6の外壁温度とCO濃度との対応関係を示す情報を記憶部30は保持する。このため、実施の形態3の変形例2に係るSOFCでは、主制御部19は、燃焼室5に供給される発電用空気の空気比に応じて、温度検知センサ18から受け付けた検知結果から燃焼排ガス中のCO濃度を把握することができる。なお、上記した空気比は、主制御部19が発電用空気供給部12により発電用空気流量制御部16を介して燃料電池モジュール1に供給される空気流量を管理しており、SOFCにおける発電量と供給する空気流量とに基づき求めることができる。

0131

(変形例3)
次に、実施の形態3の変形例3に係るSOFCについて説明する。実施の形態3の変形例3に係るSOFCは、実施の形態3の変形例1と変形例2とを組み合わせた構成となっており、発電量に応じた改質部6の外壁温度と、スタック温度と、燃焼排ガス中のCO濃度との対応関係から、発電量に応じてスタック温度が耐久限界範囲内となり、かつ燃焼排ガス中のCO濃度が所定値以下になるように改質部6の外壁温度を制御するように構成する。

0132

実施の形態3の変形例3に係るSOFCは、記憶部30に保持するテーブル情報31が異なる点を除けば、図6に示す実施の形態3に係るSOFCの構成と同様である。このため、実施の形態3と同様の構成部材には同じ符号を付しその説明については省略する。実施の形態の変形例3に係るSOFCは、テーブル情報31として、発電量に応じたスタック耐久上限温度およびスタック耐久下限温度に対応する改質部6の外壁温度と、空気比の変動に応じた改質部6の外壁温度と、燃焼排ガス中のCO濃度との対応関係を示す情報を保持する。そして、主制御部19は、設定されている発電量と温度検知センサ18から受け付けた検知結果とからテーブル情報31を参照して、スタック温度を耐久限界範囲内としつつ、燃焼排ガス中のCO濃度を所定値以下となるに抑制するように改質部6の外壁温度をことができる。

0133

つまり、燃料電池モジュール1において火炎安定性に優れ、燃焼範囲が広い場合、主制御部19は、改質部6の外壁温度を調整し、スタック温度が耐久限界範囲内となるように優先的に制御する。一方、燃料電池モジュール1において火炎安定性が良好ではなく、燃焼範囲が狭い場合、燃焼排ガス中のCO濃度が所定値(例えば、150ppm)に達すると、改質部6の外壁温度を調整して、CO濃度が所定値以下となるように優先的に制御する。このように制御することにより、実施の形態3の変形例3に係るSOFCは、安全性と製品寿命両立させることが可能となる。

0134

なお、実機において、原料を供給する原料供給部10または空気を供給する発電用空気供給部12の性能のばらつきを考慮すると、実施の形態3で上記した着火判定や実施の形態3の変形例1で上記した異常燃焼の有無を判定できる範囲(燃焼検知範囲)が広いことが望ましい。

0135

また実施の形態3、実施の形態3の変形例1〜3に係るSOFCでは、改質部6の外壁温度を改質部6の下側で、かつ改質部6の出口近傍に温度検知センサ18を設けて、温度を測定する構成であったが、出口近傍に限定されるものではなく、燃焼状況と改質反応の進行状況とを把握することができれば、改質部6の内部温度、内壁温度を検知するように温度検知センサ18を設けてもよい。また、改質部6の外壁に温度検知センサ18を設ける構成の場合、外壁との接触部分の温度を温度検知センサ18により検知することが好ましいが、これに限定されない。

0136

なお、上記した実施の形態1、2、3で説明したSOFCの構成をそれぞれ適宜、組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとって、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。

0137

本発明に係るSOFCは、起動時に原料を着火し、生成した燃焼排ガスの有する熱により改質部等を加熱し、改質反応を実施する家庭用燃料電池システム、業務用燃料電池システム、あるいは各種電源供給システム等の用途に広く利用できる。

0138

1燃料電池モジュール
2補機ユニット
3燃料電池セル
3a出口部
4スタック
5燃焼室
6改質部
7空気予熱部
8着火部
9排ガス浄化部
10原料供給部
11改質用空気供給部
12発電用空気供給部
13水供給部
14原料流量制御部
15 改質用空気流量制御部
16発電用空気流量制御部
17水流量制御部
18温度検知センサ
19 主制御部
20排ガス出口部
21浄化部用温度検知センサ
30記憶装置
30 記憶部
31 テーブル情報

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