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技術 測位装置

出願人 三菱電機株式会社
発明者 網嶋武若山俊夫
出願日 2014年4月21日 (6年8ヶ月経過) 出願番号 2016-514565
公開日 2017年4月13日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 WO2015-162669
状態 特許登録済
技術分野 無線による位置決定
主要キーワード 内積算出 時間遅れ分 各受信センサ サブスクリプト 周波数シフト処理 相互相関処理 周波数算出 受信センサ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月13日)のものです。
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図面 (20)

課題・解決手段

自己相関処理部4により算出されたTDOA11,i及びTDOA22,jを用いて、相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定する判定処理部5を設け、測位処理部6が、相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kのうち、判定処理部5により直接波に起因する到来時刻差であると判定されたTDOA12,kを用いて、電波源を測位するように構成する。

概要

背景

未知電波源から放射される電波を受信する受信センサを複数の場所に配置し、複数の受信センサにより受信された電波の到来時間差計測することで、未知の電波源を測位する方式が知られている。
この測位方式は、TDOA(Time Diffrence Of Arrival:到来時間差)測位と呼ばれ、電波だけでなく、音波、光などにも適用可能である。
また、適用分野としては、野外(例えば、都市部、市街地山地、谷、海など)での測位だけでなく、屋内(例えば、家屋工場ショッピングセンター地下街病院など)における測位など、様々な用途に適用することができる。また、宇宙分野における宇宙機等の測位や、宇宙機等を受信センサとして用いる電波源測位にも適用可能である。

従来のTDOA測位について説明を行う。
図20は以下の非特許文献1に開示されているTDOA測位の概要を示す説明図である。
図20の例では、3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3が未知の電波源から放射された電波を受信しているが、未知の電波源から3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3までの距離が異なるため、未知の電波源から放射された電波は、3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3までの距離に応じた時間を経て受信センサRx1,Rx2,Rx3に到達している。
このため、例えば、受信センサRx1の受信信号x1(t)と受信センサRx2の受信信号x2(t)との相互相関CCF(x1(t),x2(t))を算出すれば、その相互相関CCF(x1(t),x2(t))から、受信センサRx1と受信センサRx2間の到来時間差であるTDOA12を得ることができる。
ここで、tはAD(Analog to Digital)サンプルされた離散時間を表している。したがって、受信信号x1(t),x2(t)はADサンプルされた離散時間信号である。

同様に、受信センサRx3の受信信号x3(t)と受信センサRx1の受信信号x1(t)との相互相関CCF(x3(t),x1(t))を算出すれば、受信センサRx3と受信センサRx1間の到来時間差であるTDOA31が得られる。
上記のようにして、受信センサRx1と受信センサRx2間の到来時間差であるTDOA12と、受信センサRx3と受信センサRx1間の到来時間差であるTDOA31が得られれば、図20に示すように、2つのTDOA12,TDOA31を用いる公知の測位演算処理を実施することで、未知の電波源を測位することができる。

図20の例では、未知の電波源から放射された電波が直接波として、3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3に受信されているが、未知の電波源から放射された電波がビルなどに反射されてから受信センサに到達することがある。このような電波は、マルチパス波と呼ばれる。
以下の非特許文献1に開示されているTDOA測位では、マルチパス波が3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3で受信されることを想定していないので、マルチパス波が受信される環境下では、電波源の測位精度劣化する。

以下の非特許文献2には、マルチパス波が受信される環境下でも、高精度に電波源を測位する測位装置が開示されている。
この測位装置では、直接波に起因するTDOAの他に、マルチパス波に起因するTDOAが得られている場合、受信信号の電力RSS:Received Signal Strength)計測値を用いて、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除し、残っている直接波に起因するTDOAから未知の電波源を測位するようにしている。
ただし、以下の非特許文献2に開示されている測位装置は、未知の電波源が1台であって、直接波である到来波の数が1波であることを前提としている。このため、未知の電波源が複数台存在する環境下では、原理的に、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除することができない。

図21は2つの電波源(1)(2)から放射された直接波とマルチパス波が混信している環境の例を示す説明図である。
図22は図21の各受信センサ受信信号間相互相関演算で得られるTDOAの数を示す説明図である。
図23は受信センサRx1の受信信号x1(t)と受信センサRx2の受信信号x2(t)との相互相関CCF(x1(t),x2(t))の例を示す説明図である。

図21の例では、受信センサRx2において、電波源(1)から放射された直接波とマルチパス波が混信している受信信号x2(t)を受信している。また、受信センサRx3において、電波源(2)から放射された直接波とマルチパス波が混信している受信信号x3(t)を受信している。
この結果、受信センサRx1の受信信号x1(t)と受信センサRx2の受信信号x2(t)との相互相関CCF(x1(t),x2(t))を算出すると、図23に示すように、3本の相関ピーク(3個のTDOA12,k(k=1,2,3))が得られる。このTDOAにおけるサブスクリプトの“12”は、受信センサRx1と受信センサRx2に係ることを意味しており、“k”は得られた複数のTDOAに対して順番に付けられる番号である。

同様に、受信センサRx2の受信信号x2(t)と受信センサRx3の受信信号x3(t)との相互相関CCF(x2(t),x2(t))を算出すると、4本の相関ピーク(4個のTDOA23,k(k=1,2,3,4))が得られ、受信センサRx3の受信信号x3(t)と受信センサRx1の受信信号x1(t)との相互相関CCF(x3(t),x1(t))を算出すると、3本の相関ピーク(3個のTDOA31,k(k=1,2,3))が得られる。
図21の例では、電波源(1)(2)の数が2台であるのにもかかわらず、電波源の台数以上のTDOAが得られる。
即ち、直接波に起因するTDOAの他に、マルチパス波に起因するTDOAが得られてしまうので、電波源の台数以上のTDOAが得られる。
誤ってマルチパス波に起因する不要なTDOAを用いて、電波源(1)(2)の測位演算を実施すると、正しく測位することができないので、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除する必要があるが、上述したように、非特許文献2に開示されている測位装置では、未知の電波源が複数台存在する環境下では、原理的に、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除することができない。

概要

自己相関処理部4により算出されたTDOA11,i及びTDOA22,jを用いて、相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定する判定処理部5を設け、測位処理部6が、相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kのうち、判定処理部5により直接波に起因する到来時刻差であると判定されたTDOA12,kを用いて、電波源を測位するように構成する。

目的

この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、直接波に起因するTDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる測位装置を得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

電波源から放射された直接波マルチパス波混信している信号を受信する複数のアンテナと、前記複数のアンテナの受信信号間相互相関から、前記複数の受信信号に含まれている信号波間の到来時刻差を算出する第1の到来時刻差算出手段と、前記アンテナ毎に、当該アンテナの受信信号の自己相関から、前記受信信号に含まれている信号波間の到来時刻差を算出する第2の到来時刻差算出手段と、前記第2の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差を用いて、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定する判定手段と、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差のうち、前記判定手段により直接波に起因する到来時刻差であると判定された到来時刻差を用いて、前記電波源を測位する測位手段とを備えた測位装置

請求項2

前記判定手段は、前記複数のアンテナが第1のアンテナと第2のアンテナから構成されている場合、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差から、前記第2の到来時刻差算出手段により前記第1のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来時刻差と、前記第2の到来時刻差算出手段により前記第2のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来時刻差との差分を減算した時間だけ、前記第1のアンテナの受信信号の時間を進める時間シフト部と、前記時間シフト部により時間が進められた第1のアンテナの受信信号と前記第2のアンテナの受信信号との内積を算出する内積算出部と、前記内積算出部により算出された内積が予め設定された閾値より小さければ、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であると判定する判定部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の測位装置。

請求項3

前記判定手段は、前記複数のアンテナが第1のアンテナと第2のアンテナから構成されている場合、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差から、前記第2の到来時刻差算出手段により前記第1のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来時刻差を減算した時間だけ、前記第1のアンテナの受信信号の時間を進めるとともに、前記第2の到来時刻差算出手段により前記第2のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来時刻差だけ、前記第2のアンテナの受信信号の時間を遅らせる時間シフト部と、前記時間シフト部により時間が進められた第1のアンテナの受信信号と前記時間シフト部により時間が遅らせられた第2のアンテナの受信信号との内積を算出する内積算出部と、前記内積算出部により算出された内積が予め設定された閾値より小さければ、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であると判定する判定部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の測位装置。

請求項4

前記判定手段は、前記複数のアンテナが第1のアンテナと第2のアンテナから構成されている場合、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差から、前記第2の到来時刻差算出手段により前記第1のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来時刻差と、前記第2の到来時刻差算出手段により前記第2のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来時刻差との差分を減算した時間を算出する時間算出部と、前記第1のアンテナの受信信号と前記第2のアンテナの受信信号間の相互相関の中で、前記時間算出部により算出された時間の位置にピークが存在しなければ、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であると判定する判定部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の測位装置。

請求項5

前記判定手段は、前記複数のアンテナが第1のアンテナと第2のアンテナから構成されている場合、前記第2の到来時刻差算出手段により前記第2のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来時刻差から、前記第2の到来時刻差算出手段により前記第1のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来時刻差を減算した時間を算出する時間算出部と、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差だけ時間が進められた前記第1のアンテナの受信信号と前記第2のアンテナの受信信号間の相互相関の中で、前記時間算出部により算出された時間の位置にピークが存在しなければ、前記第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であると判定する判定部とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の測位装置。

請求項6

電波源から放射された直接波とマルチパス波が混信している信号を受信する複数のアンテナと、前記複数のアンテナの受信信号間の相互相関から、前記複数の受信信号に含まれている信号波間の到来周波数差を算出する第1の到来周波数差算出手段と、前記アンテナ毎に、当該アンテナの受信信号の自己相関から、前記受信信号に含まれている信号波間の到来周波数差を算出する第2の到来周波数差算出手段と、前記第2の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差を用いて、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であるか否かを判定する判定手段と、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差のうち、前記判定手段により直接波に起因する到来周波数差であると判定された到来周波数差を用いて、前記電波源を測位する測位手段とを備えた測位装置。

請求項7

前記判定手段は、前記複数のアンテナが第1のアンテナと第2のアンテナから構成されている場合、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差から、前記第2の到来周波数差算出手段により前記第1のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来周波数差と、前記第2の到来周波数差算出手段により前記第2のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来周波数差との差分を減算した周波数だけ、前記第1のアンテナの受信信号の周波数を上げる周波数シフト部と、前記周波数シフト部により周波数が上げられた第1のアンテナの受信信号と前記第2のアンテナの受信信号との内積を算出する内積算出部と、前記内積算出部により算出された内積が予め設定された閾値より小さければ、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であると判定する判定部とから構成されていることを特徴とする請求項6記載の測位装置。

請求項8

前記判定手段は、前記複数のアンテナが第1のアンテナと第2のアンテナから構成されている場合、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差から、前記第2の到来周波数差算出手段により前記第1のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来周波数差を減算した周波数だけ、前記第1のアンテナの受信信号の周波数を上げるとともに、前記第2の到来周波数差算出手段により前記第2のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来周波数差だけ、前記第2のアンテナの受信信号の周波数を下げる周波数シフト部と、前記周波数シフト部により周波数が上げられた第1のアンテナの受信信号と前記周波数シフト部により周波数が下げられた第2のアンテナの受信信号との内積を算出する内積算出部と、前記内積算出部により算出された内積が予め設定された閾値より小さければ、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であると判定する判定部とから構成されていることを特徴とする請求項6記載の測位装置。

請求項9

前記判定手段は、前記複数のアンテナが第1のアンテナと第2のアンテナから構成されている場合、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差から、前記第2の到来周波数差算出手段により前記第1のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来周波数差と、前記第2の到来周波数差算出手段により前記第2のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来周波数差との差分を減算した周波数を算出する周波数算出部と、前記第1のアンテナの受信信号と前記第2のアンテナの受信信号間の相互相関の中で、前記周波数算出部により算出された周波数の位置にピークが存在しなければ、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であると判定する判定部とから構成されていることを特徴とする請求項6記載の測位装置。

請求項10

前記判定手段は、前記複数のアンテナが第1のアンテナと第2のアンテナから構成されている場合、前記第2の到来周波数差算出手段により前記第2のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来周波数差から、前記第2の到来周波数差算出手段により前記第1のアンテナの受信信号の自己相関から算出された到来周波数差を減算した周波数を算出する周波数算出部と、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差だけ上げられた前記第1のアンテナの受信信号と前記第2のアンテナの受信信号間の相互相関の中で、前記周波数算出部により算出された周波数の位置にピークが存在しなければ、前記第1の到来周波数差算出手段により算出された到来周波数差が、前記電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であると判定する判定部とから構成されていることを特徴とする請求項6記載の測位装置。

技術分野

0001

この発明は、未知電波源測位する測位装置に関するものである。

背景技術

0002

未知の電波源から放射される電波を受信する受信センサを複数の場所に配置し、複数の受信センサにより受信された電波の到来時間差計測することで、未知の電波源を測位する方式が知られている。
この測位方式は、TDOA(Time Diffrence Of Arrival:到来時間差)測位と呼ばれ、電波だけでなく、音波、光などにも適用可能である。
また、適用分野としては、野外(例えば、都市部、市街地山地、谷、海など)での測位だけでなく、屋内(例えば、家屋工場ショッピングセンター地下街病院など)における測位など、様々な用途に適用することができる。また、宇宙分野における宇宙機等の測位や、宇宙機等を受信センサとして用いる電波源測位にも適用可能である。

0003

従来のTDOA測位について説明を行う。
図20は以下の非特許文献1に開示されているTDOA測位の概要を示す説明図である。
図20の例では、3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3が未知の電波源から放射された電波を受信しているが、未知の電波源から3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3までの距離が異なるため、未知の電波源から放射された電波は、3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3までの距離に応じた時間を経て受信センサRx1,Rx2,Rx3に到達している。
このため、例えば、受信センサRx1の受信信号x1(t)と受信センサRx2の受信信号x2(t)との相互相関CCF(x1(t),x2(t))を算出すれば、その相互相関CCF(x1(t),x2(t))から、受信センサRx1と受信センサRx2間の到来時間差であるTDOA12を得ることができる。
ここで、tはAD(Analog to Digital)サンプルされた離散時間を表している。したがって、受信信号x1(t),x2(t)はADサンプルされた離散時間信号である。

0004

同様に、受信センサRx3の受信信号x3(t)と受信センサRx1の受信信号x1(t)との相互相関CCF(x3(t),x1(t))を算出すれば、受信センサRx3と受信センサRx1間の到来時間差であるTDOA31が得られる。
上記のようにして、受信センサRx1と受信センサRx2間の到来時間差であるTDOA12と、受信センサRx3と受信センサRx1間の到来時間差であるTDOA31が得られれば、図20に示すように、2つのTDOA12,TDOA31を用いる公知の測位演算処理を実施することで、未知の電波源を測位することができる。

0005

図20の例では、未知の電波源から放射された電波が直接波として、3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3に受信されているが、未知の電波源から放射された電波がビルなどに反射されてから受信センサに到達することがある。このような電波は、マルチパス波と呼ばれる。
以下の非特許文献1に開示されているTDOA測位では、マルチパス波が3つの受信センサRx1,Rx2,Rx3で受信されることを想定していないので、マルチパス波が受信される環境下では、電波源の測位精度劣化する。

0006

以下の非特許文献2には、マルチパス波が受信される環境下でも、高精度に電波源を測位する測位装置が開示されている。
この測位装置では、直接波に起因するTDOAの他に、マルチパス波に起因するTDOAが得られている場合、受信信号の電力RSS:Received Signal Strength)計測値を用いて、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除し、残っている直接波に起因するTDOAから未知の電波源を測位するようにしている。
ただし、以下の非特許文献2に開示されている測位装置は、未知の電波源が1台であって、直接波である到来波の数が1波であることを前提としている。このため、未知の電波源が複数台存在する環境下では、原理的に、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除することができない。

0007

図21は2つの電波源(1)(2)から放射された直接波とマルチパス波が混信している環境の例を示す説明図である。
図22図21各受信センサ受信信号間相互相関演算で得られるTDOAの数を示す説明図である。
図23は受信センサRx1の受信信号x1(t)と受信センサRx2の受信信号x2(t)との相互相関CCF(x1(t),x2(t))の例を示す説明図である。

0008

図21の例では、受信センサRx2において、電波源(1)から放射された直接波とマルチパス波が混信している受信信号x2(t)を受信している。また、受信センサRx3において、電波源(2)から放射された直接波とマルチパス波が混信している受信信号x3(t)を受信している。
この結果、受信センサRx1の受信信号x1(t)と受信センサRx2の受信信号x2(t)との相互相関CCF(x1(t),x2(t))を算出すると、図23に示すように、3本の相関ピーク(3個のTDOA12,k(k=1,2,3))が得られる。このTDOAにおけるサブスクリプトの“12”は、受信センサRx1と受信センサRx2に係ることを意味しており、“k”は得られた複数のTDOAに対して順番に付けられる番号である。

0009

同様に、受信センサRx2の受信信号x2(t)と受信センサRx3の受信信号x3(t)との相互相関CCF(x2(t),x2(t))を算出すると、4本の相関ピーク(4個のTDOA23,k(k=1,2,3,4))が得られ、受信センサRx3の受信信号x3(t)と受信センサRx1の受信信号x1(t)との相互相関CCF(x3(t),x1(t))を算出すると、3本の相関ピーク(3個のTDOA31,k(k=1,2,3))が得られる。
図21の例では、電波源(1)(2)の数が2台であるのにもかかわらず、電波源の台数以上のTDOAが得られる。
即ち、直接波に起因するTDOAの他に、マルチパス波に起因するTDOAが得られてしまうので、電波源の台数以上のTDOAが得られる。
誤ってマルチパス波に起因する不要なTDOAを用いて、電波源(1)(2)の測位演算を実施すると、正しく測位することができないので、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除する必要があるが、上述したように、非特許文献2に開示されている測位装置では、未知の電波源が複数台存在する環境下では、原理的に、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除することができない。

先行技術

0010

Delosme,J.,Morf,M.,and Friedlander,B.“Source location from time differences of arrival:Identifiability and estimation”Acoustics,Speech,and Signal Processing,IEEE International Conference onICASSP,Volume: 5,Page(s): 818 - 824,1980.
Julian Lategahn,Marcel M¨uller,Christof R¨ohrig,“TDoA andRSSbased Extended Kalman Filter for Indoor Person Localization,”2013 IEEE 78th Vehicular Technology Conference,p1-p5,2013.

発明が解決しようとする課題

0011

従来の測位装置は以上のように構成されているので、未知の電波源が1台であって、直接波である到来波の数が1波であれば、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除することができる。しかし、未知の電波源が複数台存在する環境下では、マルチパス波に起因する不要なTDOAを排除することができず、正確に電波源の測位を行うことができないことがある課題があった。

0012

この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、直接波に起因するTDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる測位装置を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

この発明に係る測位装置は、電波源から放射された直接波とマルチパス波が混信している信号を受信する複数のアンテナと、複数のアンテナの受信信号間の相互相関から、複数の受信信号に含まれている信号波間の到来時刻差を算出する第1の到来時刻差算出手段と、アンテナ毎に、当該アンテナの受信信号同士の自己相関から、その受信信号に含まれている信号波間の到来時刻差を算出する第2の到来時刻差算出手段と、第2の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差を用いて、第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差が、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定する判定手段とを設け、測位手段が、第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差のうち、判定手段により直接波に起因する到来時刻差であると判定された到来時刻差を用いて、電波源を測位するようにしたものである。

発明の効果

0014

この発明によれば、第2の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差を用いて、第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差が、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定する判定手段を設け、測位手段が、第1の到来時刻差算出手段により算出された到来時刻差のうち、判定手段により直接波に起因する到来時刻差であると判定された到来時刻差を用いて、電波源を測位するように構成したので、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、直接波に起因する到来時刻差を用いて、高精度に電波源を測位することができる効果がある。

図面の簡単な説明

0015

この発明の実施の形態1による測位装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態1による測位装置の処理内容を示すフローチャートである。
反射波であるマルチパス波が1波である場合の自己相関の一例を示す説明図である。
反射波であるマルチパス波が2波である場合の自己相関の一例を示す説明図である。
電波源から放射された直接波とマルチパス波の到来時間の一例を示す説明図である。
計算機シミュレーションを実施する際の電波源とアンテナの配置を示す説明図である。
直接波に起因するTDOAの値を示す説明図である。
相互相関演算で得られたTDOAと本発明で選択された直接波に起因するTDOAを示す説明図である。
相互相関CCF(x1(t),x2(t))を示す説明図である。
相互相関CCF(x2(t),x3(t))を示す説明図である。
相互相関CCF(x3(t),x1(t))を示す説明図である。
この発明の実施の形態3による測位装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態3による測位装置の処理内容を示すフローチャートである。
相互相関処理部3により算出された相互相関CCF(x1(t),x2(t))の一例を示す説明図である。
比較処理部22により算出された相互相関CCF(x1(t+TDOA12,k),x2(t))の一例を示す説明図である。
この発明の実施の形態5による測位装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態5による測位装置の処理内容を示すフローチャートである。
この発明の実施の形態7による測位装置を示す構成図である。
この発明の実施の形態7による測位装置の処理内容を示すフローチャートである。
非特許文献1に開示されているTDOA測位の概要を示す説明図である。
2つの電波源(1)(2)から放射された直接波とマルチパス波が混信している環境の例を示す説明図である。
図21の各受信センサの受信信号間の相互相関演算で得られるTDOAの数を示す説明図である。
受信センサRx1の受信信号x1(t)と受信センサRx2の受信信号x2(t)との相互相関CCF(x1(t),x2(t))の例を示す説明図である。

実施例

0016

以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による測位装置を示す構成図である。
図1において、第1のアンテナであるアンテナ1は未知の電波源から放射された直接波とマルチパス波が混信している信号(例えば、電波、音波、光など)を受信し、その受信信号x1(t)を出力する。
第2のアンテナであるアンテナ2は未知の電波源から放射された直接波とマルチパス波が混信している信号(例えば、電波、音波、光など)を受信し、その受信信号x2(t)を出力する。
ここで、tはADサンプルされた離散時間を表している。したがって、受信信号x1(t),x2(t)はADサンプルされた離散時間信号である。

0017

相互相関処理部3はアンテナ1の受信信号x1(t)とアンテナ2の受信信号x2(t)との間の相互相関CCF(x1(t),x2(t))を算出し、その相互相関CCF(x1(t),x2(t))から、その受信信号x1(t)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)と受信信号x2(t)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)間の到来時刻差であるTDOA12,k(k=1,・・・,K)を算出する処理を実施する。なお、相互相関処理部3は第1の到来時刻差算出手段を構成している。

0018

自己相関処理部4はアンテナ1の受信信号x1(t)の自己相関ACF(x1(t),x1(t))を算出し、その自己相関ACF(x1(t),x1(t))から、その受信信号x1(t)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来時刻差であるTDOA11,i(i=1,・・・,I)を算出する処理を実施する。
また、自己相関処理部4はアンテナ2の受信信号x2(t)の自己相関ACF(x2(t),x2(t))を算出し、その自己相関ACF(x2(t),x2(t))から、その受信信号x2(t)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来時刻差であるTDOA22,j(j=1,・・・,J)を算出する処理を実施する。なお、自己相関処理部4は第2の到来時刻差算出手段を構成している。

0019

判定処理部5は自己相関処理部4により算出されたTDOA11,i及びTDOA22,jを用いて、相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定する処理を実施する。なお、判定処理部5は判定手段を構成している。
測位処理部6は相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kのうち、判定処理部5により直接波に起因する到来時刻差であると判定されたTDOA12,kを用いて、電波源を測位する処理を実施する。なお、測位処理部6は測位手段を構成している。

0020

TDOA選択部11は相互相関処理部3により算出されたK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していない任意のTDOA12,kを選択する処理を実施する。
TDOA選択部12は自己相関処理部4により算出されたI個のTDOA11,i(i=1,・・・,I)の中から、未だ選択していない任意のTDOA11,iを選択するとともに、自己相関処理部4により算出されたJ個のTDOA22,j(j=1,・・・,J)の中から、未だ選択していない任意のTDOA22,jを選択する処理を実施する。

0021

時間シフト処理部13はTDOA選択部11により選択されたTDOA12,kから、TDOA選択部12により選択されたTDOA11,iとTDOA22,jの差分(TDOA11,i−TDOA22,j)を減算した時間だけ、アンテナ1の受信信号の時間を進める時間シフト処理を実施し、時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))及びアンテナ2の受信信号x2(t)を内積算出部14に出力する処理を実施する。
なお、TDOA選択部11,12及び時間シフト処理部13から時間シフト部が構成されている。
内積算出部14は時間シフト処理部13から出力された時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))とアンテナ2の受信信号x2(t)との内積Ck,i,jを算出する処理を実施する。

0022

比較処理部15は内積算出部14により算出された内積Ck,i,jと予め設定された閾値Cthを比較する処理を実施する。
直接波判定部16はTDOA選択部12により選択されたTDOA11,iとTDOA22,jの全ての組み合わせにおいて、比較処理部15の比較結果が、内積Ck,i,jが閾値Cthより小さい旨を示していれば、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であると判定する。
なお、比較処理部15及び直接波判定部16から判定部が構成されている。

0023

図1の例では、測位装置の構成要素であるアンテナ1,2、相互相関処理部3、自己相関処理部4、判定処理部5及び測位処理部6のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、アンテナ1,2以外の構成要素は、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、アンテナ1,2以外の構成要素がコンピュータで構成されていてもよい。
アンテナ1,2以外の構成要素をコンピュータで構成する場合、相互相関処理部3、自己相関処理部4、判定処理部5及び測位処理部6の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図2はこの発明の実施の形態1による測位装置の処理内容を示すフローチャートである。

0024

次に動作について説明する。
受信センサであるアンテナ1は、未知の電波源から放射された直接波とマルチパス波が混信している信号(例えば、電波、音波、光など)を受信し、その受信信号x1(t)を相互相関処理部3及び自己相関処理部4に出力する。
また、受信センサであるアンテナ2は、未知の電波源から放射された直接波とマルチパス波が混信している信号(例えば、電波、音波、光など)を受信し、その受信信号x2(t)を相互相関処理部3及び自己相関処理部4に出力する。

0025

相互相関処理部3は、アンテナ1の受信信号x1(t)とアンテナ2の受信信号x2(t)を受けると、その受信信号x1(t)と受信信号x2(t)間の相互相関CCF(x1(t),x2(t))を算出する。相互相関の算出処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
相互相関処理部3は、相互相関CCF(x1(t),x2(t))を算出すると、その相互相関CCF(x1(t),x2(t))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する時間を受信信号x1(t)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)と受信信号x2(t)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)間の到来時刻差(TDOA12,k(k=1,・・・,K))として判定処理部5に出力する(ステップST1)。

0026

自己相関処理部4は、アンテナ1の受信信号x1(t)とアンテナ2の受信信号x2(t)を受けると、アンテナ1の受信信号x1(t)の自己相関ACF(x1(t),x1(t))を算出するとともに、アンテナ2の受信信号x2(t)の自己相関ACF(x2(t),x2(t))を算出する。自己相関の算出処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。
自己相関処理部4は、アンテナ1の受信信号x1(t)の自己相関ACF(x1(t),x1(t))を算出すると、その自己相関ACF(x1(t),x1(t))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する時間を受信信号x1(t)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来時刻差(TDOA11,i(i=1,・・・,I))として判定処理部5に出力する(ステップST2)。
また、アンテナ2の受信信号x2(t)の自己相関ACF(x2(t),x2(t))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する時間を受信信号x2(t)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来時刻差(TDOA22,j(j=1,・・・,J))として判定処理部5に出力する(ステップST2)。

0027

ここで、図3は反射波であるマルチパス波が1波である場合の自己相関の一例を示す説明図である。
また、図4は反射波であるマルチパス波が2波である場合の自己相関の一例を示す説明図である。
ただし、図3及び図4では、自己相関ACFは左右対称であるため、0以上のTDOAだけを表記している。
図5は電波源から放射された直接波とマルチパス波の到来時間の一例を示す説明図である。
ここでは、説明の簡単化のために、電波源が1台である例を示しているが、電波源が複数台であっても同様に適用することができる。

0028

自己相関ACFから得られるTDOAのうち、直接波に起因するTDOAは、図3及び図4に示すように、0secの時間に大きなピークを有する。
また、マルチパス波に起因するTDOAは、0sec以外の時間に大きなピークを有する。
この実施の形態1では、マルチパス波が存在している環境を想定している。そのため、i又はjのうち、少なくとも一方は2以上であり、自己相関処理部4によりTDOA11,1,TDOA22,1の他に、マルチパス波の到来時間遅れの値(直接波が到来してから、マルチパス波が到来するまでの時間)を有するTDOA11,i(i=2,・・・,I),TDOA22,j(j=2,・・・,J)が得られるものとする。

0029

自己相関と相互相関の関係は以下の通りである。
(1)直接波に起因するTDOA :TDOA12,DIRECT
(2)マルチパス波に起因するTDOA:TDOA12,MULT
(3)アンテナ1への信号の到来時間 :TOA1,a(a=1,・・・,A)
ただし、直接波に起因する到来時間はTOA1,1
(4)アンテナ2への信号の到来時間 :TOA2,b(b=1,・・・,B)
ただし、直接波に起因する到来時間はTOA2,1

0030

このとき、マルチパス波に起因するTDOA12,MULTIに対し、下記の式を満足するTDOA11,i及びTDOA22,jが存在する(ただし、i又はjのうち、少なくとも一方は2以上である)。







式(1)〜(4)より、下記の式(5)が成立する。

0031

判定処理部5の直接波判定部16は、相互相関処理部3がK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)を算出し、自己相関処理部4がI個のTDOA11,i(i=1,・・・,I)とJ個のTDOA22,j(j=1,・・・,J)を算出すると、変数k,i,jを1に初期化する(ステップST3)。
TDOA選択部11は、相互相関処理部3により算出されたK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のTDOA12,kを選択する(ステップST4)。この段階では、k=1であるため、TDOA12,1を選択する。

0032

TDOA選択部12は、自己相関処理部4により算出されたI個のTDOA11,i(i=1,・・・,I)の中から、未だ選択していないi番目のTDOA11,iを選択する(ステップST5)。この段階では、i=1であるため、TDOA11,1を選択する。
また、TDOA選択部12は、自己相関処理部4により算出されたJ個のTDOA22,j(j=1,・・・,J)の中から、未だ選択していないj番目のTDOA22,jを選択する(ステップST5)。この段階では、j=1であるため、TDOA22,1を選択する。

0033

ここで、アンテナ1の受信信号x1(t)の時間を下記の式(6)に示すようにシフトする場合を考えると、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kがマルチパス波に起因し、TDOA選択部12により選択されたTDOA11,i及びTDOA22,jが直接波の到来時刻からの時間遅れ分に相当していると仮定すれば、上記の式(5)より、アンテナ1の受信信号x1(t)のシフト時間(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))は、下記の式(7)に示すように、アンテナ1,2に対する直接波に起因するTDOA12,DIRECTに一致する。




したがって、アンテナ1の受信信号x1(t)の時間を式(6)のようにシフトすることは、アンテナ1の受信信号x1(t)を直接波に起因するTDOA12,DIRECTだけシフトすることと等価である。

0034

時間シフト処理部13は、TDOA選択部11がTDOA12,kを選択し、TDOA選択部12がTDOA11,i及びTDOA22,jを選択すると、そのTDOA12,kとTDOA11,i及びTDOA22,jを用いて、アンテナ1の受信信号x1(t)のシフト時間(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))を算出する。
時間シフト処理部13は、シフト時間(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))を算出すると、そのシフト時間だけ、アンテナ1の受信信号x1(t)の時間を進める時間シフト処理を実施し、時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))及びアンテナ2の受信信号x2(t)を内積算出部14に出力する(ステップST6)。

0035

内積算出部14は、時間シフト処理部13から出力された時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))とアンテナ2の受信信号x2(t)を受けると、下記の式(8)に示すように、時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))とアンテナ2の受信信号x2(t)との内積Ck,i,jを算出する(ステップST7)。

式(8)において、x1(t+TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))は、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kがマルチパス波に起因している場合、上記の式(7)に示すように、x1(t+TDOA12,DIRECT)に相当し、x1(t+TDOA12,DIRECT)は、受信信号x1(t)を直接波に起因するTDOA12,DIRECTだけシフトしている信号であるため、受信信号x2(t)との内積は大きな値を有する。
一方、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが直接波に起因している場合、受信信号x2(t)との内積は小さな値を有する。

0036

比較処理部15は、内積算出部14が内積Ck,i,jを算出すると、その内積Ck,i,jと予め設定された閾値Cthを比較し、その比較結果を直接波判定部16に出力する(ステップST8)。
直接波判定部16は、比較処理部15から出力された比較結果が、内積Ck,i,jが閾値Cthより大きい旨を示していれば、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kは、マルチパス波に起因する到来時刻差であると判定する。
直接波判定部16は、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、マルチパス波に起因する到来時刻差であると判定すると、未だ変数kの値がKに到達していなければ(ステップST10)、変数kを1だけインクリメントしてから、変数kをTDOA選択部11に出力して、k番目のTDOA12,kの再選択を指示する。
これにより、TDOA選択部11が、相互相関処理部3により算出されたK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のTDOA12,kを選択することで、ステップST4〜ST8の処理が繰り返される。

0037

直接波判定部16は、比較処理部15から出力された比較結果が、内積Ck,i,jが閾値Cthより小さい旨を示していれば、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kは、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差である可能性があるので、未だ変数jの値がJに到達していなければ、変数jを1だけインクリメントしてから、変数iと変数jをTDOA選択部12に出力して、i番目のTDOA11,iとj番目のTDOA22,jの再選択を指示する。
一方、変数jの値が既にJに到達していれば、変数jを1に初期化するとともに、変数iを1だけインクリメントしてから、変数iと変数jをTDOA選択部12に出力して、i番目のTDOA11,iとj番目のTDOA22,jの選択を指示する。
即ち、直接波判定部16は、自己相関処理部4により算出されたI個のTDOA11,i(i=1,・・・,I)とJ個のTDOA22,j(j=1,・・・,J)の全ての組み合わせが選択されて、比較処理部15の比較結果が得られるまで、ステップST5〜ST8の処理を繰り返し実施させる(ステップST9)。

0038

直接波判定部16は、TDOA選択部12により選択されたTDOA11,iとTDOA22,jの全ての組み合わせにおいて、比較処理部15の比較結果が、内積Ck,i,jが閾値Cthより小さい旨を示していれば、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であると判定する。
直接波判定部16は、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定すると、未だ変数kの値がKに到達していなければ(ステップST10)、変数kを1だけインクリメントしてから、変数kをTDOA選択部11に出力して、k番目のTDOA12,kの再選択を指示する。
これにより、TDOA選択部11が、相互相関処理部3により算出されたK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のTDOA12,kを選択することで、ステップST4〜ST8の処理が繰り返される。

0039

以上により、相互相関処理部3により算出されたK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)が、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かが判定される。
測位処理部6は、相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kのうち、判定処理部5により直接波に起因する到来時刻差であると判定されたTDOA12,kを用いて、電波源を測位する。電波源の測位処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。

0040

図3図4及び図5では、説明の簡単化のために、電波源の数を1にしているが、電波源数が複数になった場合、相互相関のピーク数や自己相関のピーク数が増えて、相互相関処理部3により算出されるTDOA12,kの数や、自己相関処理部4により算出されるTDOA11,iやTDOA22,jの数が増えるだけである。
したがって、電波源の数が1である場合と同様に、自己相関処理部4により算出されたTDOA11,iとTDOA22,jの全ての組み合わせについて検定を行うことにより、相互相関処理部3により算出された各TDOA12,kが直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定することができる。

0041

以下、この実施の形態1による測位装置の効果を明確にするため、計算機シミュレーションを例示する。
図6は計算機シミュレーションを実施する際の電波源とアンテナの配置を示す説明図であり、図6において、Tx1,Tx2が電波源、Rx1,Rx2,Rx3がアンテナである。
図7は直接波に起因するTDOAの値を示す説明図である。
ここでは、シミュレーションの条件として、電波源の台数が2台、アンテナの台数が3台であり、電波源Tx1から放射された直接波がアンテナRx2に到達し、電波源Tx2から放射された直接波がアンテナRx3に到達するほかに、電波源Tx1から放射された電波のマルチパス波(1波)もアンテナRx2に到達し、また、電波源Tx2から放射された電波のマルチパス波(1波)もアンテナRx3に到達しているものとしている。

0042

このとき、相互相関CCF(x1(t),x2(t))では3本のピーク値が得られ、相互相関CCF(x2(t),x3(t))では4本のピーク値が得られ、相互相関CCF(x3(t),x1(t))では3本のピーク値が得られる。
この実施の形態1による測位装置では、これらのピーク値に対応するTDOAの中から、直接波に起因するTDOAを2個ずつ選択する処理を実施する。

0043

図8は相互相関演算で得られたTDOAと本発明で選択された直接波に起因するTDOAを示す説明図である。
図9は相互相関CCF(x1(t),x2(t))を示す説明図であり、図10は相互相関CCF(x2(t),x3(t))を示す説明図である。また、図11は相互相関CCF(x3(t),x1(t))を示す説明図である。
図7図8を比較すると、本発明によって正解のTDOAのみが選択されていることを確認できる。このように、本発明によって、直接波に起因するTDOAのみを選択することができる。

0044

以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、自己相関処理部4により算出されたTDOA11,i及びTDOA22,jを用いて、相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定する判定処理部5を設け、測位処理部6が、相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kのうち、判定処理部5により直接波に起因する到来時刻差であると判定されたTDOA12,kを用いて、電波源を測位するように構成したので、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、直接波に起因するTDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる効果を奏する。

0045

実施の形態2.
上記実施の形態1では、時間シフト処理部13が、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kと、TDOA選択部12により選択されたTDOA11,i及びTDOA22,jとを用いて、アンテナ1の受信信号x1(t)のシフト時間(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))を算出し、そのシフト時間だけアンテナ1の受信信号x1(t)の時間を進める時間シフト処理を実施するものを示したが、時間シフト処理部13が、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kと、TDOA選択部12により選択されたTDOA11,i及びTDOA22,jとを用いて、アンテナ1の受信信号x1(t)のシフト時間(TDOA12,k−TDOA11,i)と、アンテナ2の受信信号x2(t)のシフト時間(TDOA22,j)とを算出して、シフト時間(TDOA12,k−TDOA11,i)だけアンテナ1の受信信号x1(t)の時間を進めて、シフト時間(TDOA22,j)だけアンテナ2の受信信号x2(t)の時間を遅らせるようにしてもよい。

0046

具体的には、以下の通りである。
時間シフト処理部13は、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kと、TDOA選択部12により選択されたTDOA11,iを用いて、アンテナ1の受信信号x1(t)のシフト時間(TDOA12,k−TDOA11,i)を算出し、下記の式(9)に示すように、そのシフト時間(TDOA12,k−TDOA11,i)だけアンテナ1の受信信号x1(t)の時間を進める時間シフト処理を実施する。

また、時間シフト処理部13は、TDOA選択部12により選択されたTDOA22,jをアンテナ2の受信信号x2(t)のシフト時間(TDOA22,j)に設定し、下記の式(10)に示すように、そのシフト時間(TDOA22,j)だけアンテナ2の受信信号x2(t)の時間を遅らせる時間シフト処理を実施する。

0047

内積算出部14は、時間シフト処理部13から時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−TDOA11,i)と、時間シフト処理後の受信信号x2(t−TDOA22,j)とを受けると、下記の式(11)に示すように、時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−TDOA11,i)と、時間シフト処理後の受信信号x2(t−TDOA22,j)との内積Ck,i,jを算出する。

0048

上記実施の形態1では、時間シフト処理部13が、アンテナ1の受信信号x1(t)の時間だけをずらしているのに対して、この実施の形態2では、時間シフト処理部13が、アンテナ1の受信信号x1(t)の時間だけではなく、アンテナ2の受信信号x2(t)の時間もずらしている点で相違しているが、2つ受信信号x1(t),x2(t)に対するずらし時間の合計は、どちらも、(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))である。
したがって、時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−TDOA11,i)と、時間シフト処理後の受信信号x2(t−TDOA22,j)との内積Ck,i,jは、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kがマルチパス波に起因している場合、上記実施の形態1で算出される内積CDk,i,jと同様に大きな値を有する。
一方、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが直接波に起因している場合、時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−TDOA11,i)と、時間シフト処理後の受信信号x2(t−TDOA22,j)との内積Ck,i,jは、上記実施の形態1で算出される内積CDk,i,jと同様に小さな値を有する。

0049

比較処理部15及び直接波判定部16の処理内容は、上記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
上より、時間シフト処理部13が、アンテナ1の受信信号x1(t)とアンテナ2の受信信号x2(t)のずらし時間の合計が、直接波に起因するTDOA12,DIRECTと一致するように、2つ受信信号x1(t),x2(t)の時間をずらすようにしても、上記実施の形態1と同様に、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、直接波に起因するTDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる効果を奏する。

0050

実施の形態3.
上記実施の形態1では、シフト時間(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))だけ、アンテナ1の受信信号x1(t)の時間を進める時間シフト処理部13と、時間シフト処理後の受信信号x1(t+TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))とアンテナ2の受信信号x2(t)との内積Ck,i,jを算出する内積算出部14とを設け、内積算出部14により算出された内積Ck,i,jが閾値Cthより小さければ、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、直接波に起因する到来時刻差であると判定するものを示したが、相互相関処理部3により算出された相互相関CCF(x1(t),x2(t))の中で、(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))の時間の位置にピークが存在しなければ、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、直接波に起因する到来時刻差であると判定するようにしてもよい。

0051

図12はこの発明の実施の形態3による測位装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
時間算出部21はTDOA選択部11により選択されたTDOA12,kと、TDOA選択部12により選択されたTDOA11,i及びTDOA22,jとを用いて、(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))の時間を算出する処理を実施する。

0052

比較処理部22は相互相関処理部3により算出された相互相関CCF(x1(t),x2(t))の中から、時間算出部21により算出された時間(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))の位置の相互相関値Pk,i,jを取得し、その相互相関値Pk,i,jと予め設定された閾値Pthを比較する処理を実施する。
直接波判定部23はTDOA選択部12により選択されたTDOA11,iとTDOA22,jの全ての組み合わせにおいて、比較処理部22の比較結果が、相互相関値Pk,i,jが閾値Pthより小さい旨を示していれば、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であると判定する。
なお、比較処理部22及び直接波判定部23から判定部が構成されている。
図13はこの発明の実施の形態3による測位装置の処理内容を示すフローチャートである。

0053

次に動作について説明する。
相互相関処理部3は、アンテナ1の受信信号x1(t)とアンテナ2の受信信号x2(t)を受けると、上記実施の形態1と同様に、その受信信号x1(t)と受信信号x2(t)間の相互相関CCF(x1(t),x2(t))を算出する。
相互相関処理部3は、相互相関CCF(x1(t),x2(t))を算出すると、その相互相関CCF(x1(t),x2(t))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する時間を受信信号x1(t)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)と受信信号x2(t)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)との間の到来時刻差(TDOA12,k(k=1,・・・,K))として判定処理部5に出力する(ステップST21)。
ここで、図14は相互相関処理部3により算出された相互相関CCF(x1(t),x2(t))の一例を示す説明図である。

0054

自己相関処理部4は、アンテナ1の受信信号x1(t)とアンテナ2の受信信号x2(t)を受けると、上記実施の形態1と同様に、アンテナ1の受信信号x1(t)の自己相関ACF(x1(t),x1(t))を算出するとともに、アンテナ2の受信信号x2(t)の自己相関ACF(x2(t),x2(t))を算出する。
自己相関処理部4は、アンテナ1の受信信号x1(t)の自己相関ACF(x1(t),x1(t))を算出すると、その自己相関ACF(x1(t),x1(t))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する時間を受信信号x1(t)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来時刻差(TDOA11,i(i=1,・・・,I))として判定処理部5に出力する(ステップST22)。
また、アンテナ2の受信信号x2(t)の自己相関ACF(x2(t),x2(t))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する時間を受信信号x2(t)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来時刻差(TDOA22,j(j=1,・・・,J))として判定処理部5に出力する(ステップST22)。

0055

判定処理部5の直接波判定部23は、相互相関処理部3がK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)を算出し、自己相関処理部4がI個のTDOA11,i(i=1,・・・,I)とJ個のTDOA22,j(j=1,・・・,J)を算出すると、変数k,i,jを1に初期化する(ステップST23)。
TDOA選択部11は、相互相関処理部3により算出されたK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のTDOA12,kを選択する(ステップST24)。この段階では、k=1であるため、TDOA12,1を選択する。

0056

TDOA選択部12は、自己相関処理部4により算出されたI個のTDOA11,i(i=1,・・・,I)の中から、未だ選択していないi番目のTDOA11,iを選択する(ステップST25)。この段階では、i=1であるため、TDOA11,1を選択する。
また、TDOA選択部12は、自己相関処理部4により算出されたJ個のTDOA22,j(j=1,・・・,J)の中から、未だ選択していないj番目のTDOA22,jを選択する(ステップST25)。この段階では、j=1であるため、TDOA22,1を選択する。

0057

時間算出部21は、TDOA選択部11がTDOA12,kを選択し、TDOA選択部12がTDOA11,i及びTDOA22,jを選択すると、そのTDOA12,kとTDOA11,i及びTDOA22,jとを用いて、(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))の時間を算出する(ステップST26)。
比較処理部22は、時間算出部21が時間(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))を算出すると、相互相関処理部3により算出された相互相関CCF(x1(t),x2(t))の中から、その時間(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))の位置の相互相関値Pk,i,jを取得して、その相互相関値Pk,i,jと予め設定された閾値Pthを比較し、その比較結果を直接波判定部23に出力する(ステップST27)。
ここでは、比較処理部22が相互相関値Pk,i,jと閾値Pthを比較しているが、相互相関値Pk,i,jは、上記実施の形態1の内積算出部14により算出される式(8)の内積Ck,i,jと同じ値になるため、相互相関値Pk,i,jと閾値Pthを比較することは、その内積Ck,i,jと閾値Cthを比較することと等価である。

0058

直接波判定部23は、比較処理部22から出力された比較結果が、相互相関値Pk,i,jが閾値Pthより大きい旨を示していれば、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kは、マルチパス波に起因する到来時刻差であると判定する。
直接波判定部23は、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、マルチパス波に起因する到来時刻差であると判定すると、未だ変数kの値がKに到達していなければ(ステップST29)、変数kを1だけインクリメントしてから、変数kをTDOA選択部11に出力して、k番目のTDOA12,kの再選択を指示する。
これにより、TDOA選択部11が、相互相関処理部3により算出されたK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のTDOA12,kを選択することで、ステップST24〜ST27の処理が繰り返される。

0059

直接波判定部23は、比較処理部22から出力された比較結果が、相互相関値Pk,i,jが閾値Pthより小さい旨を示していれば、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kは、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差である可能性があるので、未だ変数jの値がJに到達していなければ、変数jを1だけインクリメントしてから、変数iと変数jをTDOA選択部12に出力して、i番目のTDOA11,iとj番目のTDOA22,jの再選択を指示する。
一方、変数jの値が既にJに到達していれば、変数jを1に初期化するとともに、変数iを1だけインクリメントしてから、変数iと変数jをTDOA選択部12に出力して、i番目のTDOA11,iとj番目のTDOA22,jの選択を指示する。
即ち、直接波判定部23は、自己相関処理部4により算出されたI個のTDOA11,i(i=1,・・・,I)とJ個のTDOA22,j(j=1,・・・,J)の全ての組み合わせが選択されて、比較処理部22の比較結果が得られるまで、ステップST25〜ST27の処理を繰り返し実施させる(ステップST28)。

0060

直接波判定部23は、TDOA選択部12により選択されたTDOA11,iとTDOA22,jの全ての組み合わせにおいて、比較処理部22の比較結果が、相互相関値Pk,i,jが閾値Pthより小さい旨を示していれば、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であると判定する。
直接波判定部23は、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かを判定すると、未だ変数kの値がKに到達していなければ(ステップST29)、変数kを1だけインクリメントしてから、変数kをTDOA選択部11に出力して、k番目のTDOA12,kの再選択を指示する。
これにより、TDOA選択部11が、相互相関処理部3により算出されたK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のTDOA12,kを選択することで、ステップST24〜ST27の処理が繰り返される。

0061

以上により、相互相関処理部3により算出されたK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)が、電波源から放射された直接波に起因する到来時刻差であるか否かが判定される。
測位処理部6は、相互相関処理部3により算出されたTDOA12,kのうち、判定処理部5により直接波に起因する到来時刻差であると判定されたTDOA12,kを用いて、電波源を測位する。

0062

以上で明らかなように、相互相関処理部3により算出された相互相関CCF(x1(t),x2(t))の中で、(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))の時間の位置にピークが存在しなければ、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、直接波に起因する到来時刻差であると判定するように構成しても、上記実施の形態1と同様に、未知の電波源が複数台存在する環境下で、直接波に起因するTDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる効果を奏する。また、上記実施の形態1より計算負荷を軽減することができる効果を奏する。

0063

実施の形態4.
上記実施の形態3では、時間算出部21が(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))の時間を算出し、相互相関処理部3により算出された相互相関CCF(x1(t),x2(t))の中で、時間算出部21により算出された時間(TDOA12,k−(TDOA11,i−TDOA22,j))の位置にピークが存在しなければ、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、直接波に起因する到来時刻差であると判定するものを示したが、時間算出部21が(TDOA22,j−TDOA11,i)の時間を算出し、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kだけ時間が進められたアンテナ1の受信信号x1(t+TDOA12,k)とアンテナ2の受信信号x2(t)との間の相互相関CCF(x1(t+TDOA12,k),x2(t))の中で、時間算出部21により算出された時間(TDOA22,j−TDOA11,i)の位置にピークが存在しなければ、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、直接波に起因する到来時刻差であると判定するようにしてもよい。

0064

具体的には以下の通りである。
時間算出部21は、TDOA選択部12がTDOA11,i及びTDOA22,jを選択すると、そのTDOA11,i及びTDOA22,jを用いて、(TDOA22,j−TDOA11,i)の時間を算出する。
比較処理部22は、時間算出部21が時間(TDOA22,j−TDOA11,i)を算出すると、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kだけ、アンテナ1の受信信号x1(t)の時間を進める時間シフト処理を実施し、時間シフト処理後のアンテナ1の受信信号x1(t+TDOA12,k)とアンテナ2の受信信号x2(t)との間の相互相関CCF(x1(t+TDOA12,k),x2(t))を算出する。
図15は比較処理部22により算出された相互相関CCF(x1(t+TDOA12,k),x2(t))の一例を示す説明図である。

0065

比較処理部22は、相互相関CCF(x1(t+TDOA12,k),x2(t))を算出すると、その相互相関CCF(x1(t+TDOA12,k),x2(t))の中から、時間算出部21により算出された時間(TDOA22,j−TDOA11,i)の位置の相互相関値Pk,i,jを取得して、その相互相関値Pk,i,jと予め設定された閾値Pthを比較し、その比較結果を直接波判定部23に出力する。
ここでは、比較処理部22が相互相関値Pk,i,jと閾値Pthを比較しているが、相互相関値Pk,i,jは、上記実施の形態2の内積算出部14により算出される式(11)の内積Ck,i,jと同じ値になるため、相互相関値Pk,i,jと閾値Pthを比較することは、その内積Ck,i,jと閾値Cthを比較することと等価である。

0066

直接波判定部23の処理内容は、上記実施の形態3と同様であるため詳細な説明を省略する。
以上より、TDOA12,kだけ時間が進められたアンテナ1の受信信号x1(t+TDOA12,k)とアンテナ2の受信信号x2(t)との間の相互相関CCF(x1(t+TDOA12,k),x2(t))の中で、時間算出部21により算出された時間(TDOA22,j−TDOA11,i)の位置にピークが存在しなければ、TDOA選択部11により選択されたTDOA12,kが、直接波に起因する到来時刻差であると判定するようにしても、上記実施の形態3と同様に、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、直接波に起因するTDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる効果を奏する。

0067

実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、アンテナ1の受信信号x1(t)とアンテナ2の受信信号x2(t)との間の相互相関CCF(x1(t),x2(t))から得られるK個のTDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から直接波に起因するTDOAを選択し、直接波に起因するTDOAを用いて、高精度に電波源を測位するものを示したが、アンテナ1の受信信号x1(t)の周波数領域の信号とアンテナ2の受信信号x2(t)の周波数領域の信号との間の相互相関CCF(X1(f),X2(f))から得られるK個の到来周波数差であるFDOA(Frequency Difference of Arrival)12,k(k=1,・・・,K)の中から直接波に起因するFDOAを選択し、直接波に起因するFDOAを用いて、高精度に電波源を測位するようにしてもよい。

0068

図16はこの発明の実施の形態5による測位装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
DFT処理部30はアンテナ1,2の受信信号x1(t),x2(t)に対する離散フーリエ変換処理(DFT:Discrete Fourier Transform)を実施することで、その受信信号x1(t),x2(t)を周波数領域の受信信号X1(f),X2(f)に変換する。なお、周波数領域の受信信号X1(f),X2(f)は離散周波数の信号である。

0069

相互相関処理部31はDFT処理部30により周波数領域に変換されたアンテナ1の受信信号X1(f)とアンテナ2の受信信号X2(f)との間の相互相関CCF(X1(f),X2(f))を算出し、その相互相関CCF(X1(f),X2(f))から、その受信信号X1(f)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)と受信信号X2(f)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)との間の到来周波数差であるFDOA12,k(k=1,・・・,K)を算出する処理を実施する。なお、相互相関処理部31は第1の到来周波数差算出手段を構成している。

0070

自己相関処理部32はDFT処理部30により周波数領域に変換されたアンテナ1の受信信号X1(f)の自己相関ACF(X1(f),X1(f))を算出し、その自己相関ACF(X1(f),X1(f))から、その受信信号X1(f)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来周波数差であるFDOA11,i(i=1,・・・,I)を算出する処理を実施する。
また、自己相関処理部4はDFT処理部30により周波数領域に変換されたアンテナ2の受信信号X2(f)の自己相関ACF(X2(f),X2(f))を算出し、その自己相関ACF(X2(f),X2(f))から、その受信信号X2(f)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来周波数差であるFDOA22,j(j=1,・・・,J)を算出する処理を実施する。なお、自己相関処理部4は第2の到来周波数差算出手段を構成している。

0071

判定処理部33は自己相関処理部32により算出されたFDOA11,i及びFDOA22,jを用いて、相互相関処理部31により算出されたFDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であるか否かを判定する処理を実施する。なお、判定処理部33は判定手段を構成している。
測位処理部34は相互相関処理部31により算出されたFDOA12,kのうち、判定処理部33により直接波に起因する到来周波数差であると判定されたFDOA12,kを用いて、電波源を測位する処理を実施する。なお、測位処理部34は測位手段を構成している。

0072

FDOA選択部51は相互相関処理部31により算出されたK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していない任意のFDOA12,kを選択する処理を実施する。
FDOA選択部52は自己相関処理部32により算出されたI個のFDOA11,i(i=1,・・・,I)の中から、未だ選択していない任意のFDOA11,iを選択するとともに、自己相関処理部32より算出されたJ個のFDOA22,j(j=1,・・・,J)の中から、未だ選択していない任意のFDOA22,jを選択する処理を実施する。

0073

周波数シフト処理部53はFDOA選択部51により選択されたFDOA12,kから、FDOA選択部52により選択されたFDOA11,iとFDOA22,jの差分(FDOA11,i−FDOA22,j)を減算した周波数だけ、DFT処理部30により周波数領域に変換されたアンテナ1の受信信号の周波数を上げる周波数シフト処理を実施し、周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))及びDFT処理部30により周波数領域に変換されたアンテナ2の受信信号X2(f)を内積算出部54に出力する処理を実施する。
なお、FDOA選択部51,52及び周波数シフト処理部53から周波数シフト部が構成されている。
内積算出部54は周波数シフト処理部53から出力された周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))とDFT処理部30により周波数領域に変換されたアンテナ2の受信信号X2(f)との内積Ck,i,jを算出する処理を実施する。

0074

比較処理部55は内積算出部54により算出された内積Ck,i,jと予め設定された閾値Cthを比較する処理を実施する。
直接波判定部56はFDOA選択部52により選択されたFDOA11,iとFDOA22,jの全ての組み合わせにおいて、比較処理部55の比較結果が、内積Ck,i,jが閾値Cthより小さい旨を示していれば、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であると判定する。
なお、比較処理部55及び直接波判定部56から判定部が構成されている。

0075

図16の例では、測位装置の構成要素であるアンテナ1,2、DFT処理部30、相互相関処理部31、自己相関処理部32、判定処理部33及び測位処理部34のそれぞれが専用のハードウェア(例えば、アンテナ1,2以外の構成要素は、CPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなど)で構成されているものを想定しているが、アンテナ1,2以外の構成要素がコンピュータで構成されていてもよい。
アンテナ1,2以外の構成要素をコンピュータで構成する場合、DFT処理部30、相互相関処理部31、自己相関処理部32、判定処理部33及び測位処理部34の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図17はこの発明の実施の形態5による測位装置の処理内容を示すフローチャートである。

0076

次に動作について説明する。
受信センサであるアンテナ1は、未知の電波源から放射された直接波とマルチパス波が混信している信号(例えば、電波、音波、光など)を受信し、その受信信号x1(t)をDFT処理部30に出力する。
また、受信センサであるアンテナ2は、未知の電波源から放射された直接波とマルチパス波が混信している信号(例えば、電波、音波、光など)を受信し、その受信信号x2(t)をDFT処理部30に出力する。
DFT処理部30は、アンテナ1,2の受信信号x1(t),x2(t)に対する離散フーリエ変換処理を実施することで、その受信信号x1(t),x2(t)を周波数領域の受信信号X1(f),X2(f)に変換し、その受信信号X1(f),X2(f)を相互相関処理部31及び自己相関処理部32に出力する。

0077

相互相関処理部31は、DFT処理部30から周波数領域変換後のアンテナ1の受信信号X1(f)とアンテナ2の受信信号X2(f)を受けると、その受信信号X1(f)と受信信号X2(f)間の相互相関CCF(X1(f),X2(f))を算出する。
相互相関処理部31は、相互相関CCF(X1(f),X2(f))を算出すると、その相互相関CCF(X1(f),X2(f))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する周波数を受信信号X1(f)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)と受信信号X2(f)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)との間の到来周波数差(fDOA12,k(k=1,・・・,K))として判定処理部33に出力する(ステップST51)。

0078

自己相関処理部32は、DFT処理部30から周波数領域変換後のアンテナ1の受信信号X1(f)とアンテナ2の受信信号X2(f)を受けると、アンテナ1の受信信号X1(f)の自己相関ACF(X1(f),X1(f))を算出するとともに、アンテナ2の受信信号X2(f)の自己相関ACF(X2(f),X2(f))を算出する。
自己相関処理部32は、アンテナ1の受信信号X1(f)の自己相関ACF(X1(f),X1(f))を算出すると、その自己相関ACF(X1(f),X1(f))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する周波数を受信信号X1(f)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来周波数差(FDOA11,i(i=1,・・・,I))として判定処理部33に出力する(ステップST52)。
また、アンテナ2の受信信号X2(f)の自己相関ACF(X2(f),X2(f))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する周波数を受信信号X2(f)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の周波数差(FDOA22,j(j=1,・・・,J))として判定処理部33に出力する(ステップST52)。

0079

この実施の形態5では、マルチパス波が存在している環境を想定している。そのため、i又はjのうち、少なくとも一方は2以上であり、自己相関処理部32によりFDOA11,1,FDOA22,1の他に、マルチパス波の到来周波数の値を含むFDOA11,i(i=2,・・・,I),FDOA22,j(j=2,・・・,J)が得られるものとする。

0080

自己相関と相互相関の関係は以下の通りである。
(1)直接波に起因するFDOA:FDOA12,DIRECT
(2)マルチパス波に起因するFDOA:FDOA12,MULTI
(3)アンテナ1への信号の到来周波数:FOA1,a(a=1,・・・,A)
ただし、直接波に起因する到来周波数はFOA1,1
(4)アンテナ2への信号の到来周波数:FOA2,b(b=1,・・・,B)
ただし、直接波に起因する到来周波数はFOA2,1

0081

このとき、マルチパス波に起因するFDOA12,MULTIに対し、下記の式を満足するFDOA11,i及びFDOA22,jが存在する(ただし、i又はjのうち、少なくとも一方は2以上である)。







式(12)及び式(13)から下記の式(16)が導かれ、式(14)及び式(15)から下記の式(17)が導かれるので、下記の式(18)が成立する。

0082

判定処理部33の直接波判定部56は、相互相関処理部31がK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)を算出し、自己相関処理部32がI個のFDOA11,i(i=1,・・・,I)とJ個のFDOA22,j(j=1,・・・,J)を算出すると、変数k,i,jを1に初期化する(ステップST53)。
FDOA選択部51は、相互相関処理部31により算出されたK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のFDOA12,kを選択する(ステップST54)。この段階では、k=1であるため、FDOA12,1を選択する。

0083

FDOA選択部52は、自己相関処理部32により算出されたI個のFDOA11,i(i=1,・・・,I)の中から、未だ選択していないi番目のFDOA11,iを選択する(ステップST55)。この段階では、i=1であるため、FDOA11,1を選択する。
また、FDOA選択部52は、自己相関処理部32により算出されたJ個のFDOA22,j(j=1,・・・,J)の中から、未だ選択していないj番目のFDOA22,jを選択する(ステップST55)。この段階では、j=1であるため、FDOA22,1を選択する。

0084

ここで、アンテナ1の受信信号X1(f)の周波数を下記の式(19)に示すようにシフトする場合を考えると、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kがマルチパス波に起因し、FDOA選択部52により選択されたFDOA11,i及びFDOA22,jが直接波の到来周波数からの周波数偏差分に相当していると仮定すれば、上記の式(18)より、アンテナ1の受信信号X1(f)のシフト周波数(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))は、下記の式(20)に示すように、アンテナ1,2に対する直接波に起因するFDOA12,DIRECTに一致する。



したがって、アンテナ1の受信信号X1(f)の周波数を式(19)に示すようにシフトすることは、アンテナ1の受信信号X1(f)を直接波に起因するFDOA12,DIRECTだけシフトすることと等価である。

0085

周波数シフト処理部53は、FDOA選択部51がFDOA12,kを選択し、FDOA選択部52がFDOA11,i及びFDOA22,jを選択すると、そのFDOA12,kとFDOA11,i及びFDOA22,jを用いて、アンテナ1の受信信号X1(f)のシフト周波数(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))を算出する。
周波数シフト処理部53は、シフト周波数(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))を算出すると、そのシフト周波数だけ、アンテナ1の受信信号X1(f)の周波数を上げる周波数シフト処理を実施し、周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))及びアンテナ2の受信信号X2(f)を内積算出部54に出力する(ステップST56)。

0086

内積算出部54は、周波数シフト処理部53から出力された周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))とアンテナ2の受信信号X2(f)を受けると、下記の式(21)に示すように、周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))とアンテナ2の受信信号X2(f)との内積Ck,i,jを算出する(ステップST57)。

式(21)において、X1(f+FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))は、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kがマルチパス波に起因している場合、上記の式(20)に示すように、X1(f+FDOA12,DIRECT)に相当し、X1(f+FDOA12,DIRECT)は、受信信号X1(f)を直接波に起因するFDOA12,DIRECTだけシフトしている信号であるため、受信信号X2(f)との内積は大きな値を有する。
一方、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが直接波に起因している場合、受信信号X2(f)との内積は小さな値を有する。

0087

比較処理部55は、内積算出部54が内積Ck,i,jを算出すると、その内積Ck,i,jと予め設定された閾値Cthを比較し、その比較結果を直接波判定部56に出力する(ステップST58)。
直接波判定部56は、比較処理部55から出力された比較結果が、内積Ck,i,jが閾値Cthより大きい旨を示していれば、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kは、マルチパス波に起因する到来周波数差であると判定する。
直接波判定部56は、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、マルチパス波に起因する到来周波数差であると判定すると、未だ変数kの値がKに到達していなければ(ステップST60)、変数kを1だけインクリメントしてから、変数kをFDOA選択部51に出力して、k番目のFDOA12,kの再選択を指示する。
これにより、FDOA選択部51が、相互相関処理部31により算出されたK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のFDOA12,kを選択することで、ステップST54〜ST58の処理が繰り返される。

0088

直接波判定部56は、比較処理部55から出力された比較結果が、内積Ck,i,jが閾値Cthより小さい旨を示していれば、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kは、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差である可能性があるので、未だ変数jの値がJに到達していなければ、変数jを1だけインクリメントしてから、変数iと変数jをFDOA選択部52に出力して、i番目のFDOA11,iとj番目のFDOA22,jの再選択を指示する。
一方、変数jの値が既にJに到達していれば、変数jを1に初期化するとともに、変数iを1だけインクリメントしてから、変数iと変数jをFDOA選択部52に出力して、i番目のFDOA11,iとj番目のFDOA22,jの選択を指示する。
即ち、直接波判定部56は、自己相関処理部32により算出されたI個のFDOA11,i(i=1,・・・,I)とJ個のFDOA22,j(j=1,・・・,J)の全ての組み合わせが選択されて、比較処理部55の比較結果が得られるまで、ステップST55〜ST58の処理を繰り返し実施させる(ステップST59)。

0089

直接波判定部56は、FDOA選択部52により選択されたFDOA11,iとFDOA22,jの全ての組み合わせにおいて、比較処理部55の比較結果が、内積Ck,i,jが閾値Cthより小さい旨を示していれば、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であると判定する。
直接波判定部56は、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であるか否かを判定すると、未だ変数kの値がKに到達していなければ(ステップST60)、変数kを1だけインクリメントしてから、変数kをFDOA選択部51に出力して、k番目のFDOA12,kの再選択を指示する。
これにより、FDOA選択部51が、相互相関処理部31により算出されたK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のFDOA12,kを選択することで、ステップST54〜ST58の処理が繰り返される。

0090

以上により、相互相関処理部31により算出されたK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)が、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であるか否かが判定される。
測位処理部34は、相互相関処理部31により算出されたFDOA12,kのうち、判定処理部33により直接波に起因する到来周波数差であると判定されたFDOA12,kを用いて、電波源を測位する。電波源の測位処理自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略する。

0091

ここでは、説明の簡単化のために、電波源の数を1にしているが、電波源数が複数になった場合、相互相関のピーク数や自己相関のピーク数が増えて、相互相関処理部31により算出されるFDOA12,kの数や、自己相関処理部32により算出されるFDOA11,iやFDOA22,jの数が増えるだけである。
したがって、電波源の数が1である場合と同様に、自己相関処理部32により算出されたFDOA11,iとFDOA22,jの全ての組み合わせについて検定を行うことにより、相互相関処理部31により算出された各FDOA12,kが直接波に起因する到来周波数差であるか否かを判定することができる。

0092

以上で明らかなように、この実施の形態6によれば、自己相関処理部32により算出されたFDOA11,i及びFDOA22,jを用いて、相互相関処理部31により算出されたFDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であるか否かを判定する判定処理部33を設け、測位処理部34が、相互相関処理部31により算出されたFDOA12,kのうち、判定処理部33により直接波に起因する到来周波数差であると判定されたFDOA12,kを用いて、電波源を測位するように構成したので、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、直接波に起因するFDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる効果を奏する。

0093

実施の形態6.
上記実施の形態5では、周波数シフト処理部53が、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kと、FDOA選択部52により選択されたFDOA11,i及びFDOA22,jとを用いて、アンテナ1の受信信号X1(f)のシフト周波数(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))を算出し、そのシフト周波数だけアンテナ1の受信信号X1(f)の周波数を上げる周波数シフト処理を実施するものを示したが、周波数シフト処理部53が、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kと、FDOA選択部52により選択されたFDOA11,iとを用いて、アンテナ1の受信信号X1(f)のシフト周波数(FDOA12,k−FDOA11,i)を算出して、そのシフト周波数(FDOA12,k−FDOA11,i)だけアンテナ1の受信信号X1(f)の周波数を上げるとともに、FDOA選択部52により選択されたFDOA22,jだけアンテナ2の受信信号X2(f)の周波数を下げるようにしてもよい。

0094

具体的には、以下の通りである。
周波数シフト処理部53は、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kと、FDOA選択部52により選択されたFDOA11,iを用いて、アンテナ1の受信信号X1(f)のシフト周波数(FDOA12,k−FDOA11,i)を算出し、下記の式(22)に示すように、そのシフト周波数(FDOA12,k−FDOA11,i)だけアンテナ1の受信信号X1(f)の周波数を上げる周波数シフト処理を実施する。

また、周波数シフト処理部53は、FDOA選択部52により選択されたFDOA22,jをアンテナ2の受信信号X2(f)のシフト周波数(FDOA22,j)に設定し、下記の式(23)に示すように、そのシフト周波数(FDOA22,j)だけアンテナ2の受信信号X2(f)の周波数を下げる周波数シフト処理を実施する。

0095

内積算出部54は、周波数シフト処理部53から周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−FDOA11,i)と、周波数シフト処理後の受信信号X2(t−FDOA22,j)とを受けると、下記の式(24)に示すように、周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−FDOA11,i)と、周波数シフト処理後の受信信号X2(f−FDOA22,j)との内積Ck,i,jを算出する。

0096

上記実施の形態5では、周波数シフト処理部53が、アンテナ1の受信信号X1(f)の周波数だけをシフトしているのに対して、この実施の形態6では、周波数シフト処理部53が、アンテナ1の受信信号X1(f)の周波数だけではなく、アンテナ2の受信信号X2(f)の周波数もシフトしている点で相違しているが、2つ受信信号X1(f),X2(f)に対するシフト周波数の合計は、どちらも、(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))である。
したがって、周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−FDOA11,i)と、周波数シフト処理後の受信信号X2(f−FDOA22,j)との内積Ck,i,jは、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kがマルチパス波に起因している場合、上記実施の形態5で算出される内積CDk,i,jと同様に大きな値を有する。
一方、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが直接波に起因している場合、周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−FDOA11,i)と、周波数シフト処理後の受信信号X2(f−FDOA22,j)との内積Ck,i,jは、上記実施の形態5で算出される内積CDk,i,jと同様に小さな値を有する。

0097

比較処理部55及び直接波判定部56の処理内容は、上記実施の形態5と同様であるため説明を省略する。
以上より、周波数シフト処理部53が、アンテナ1の受信信号X1(f)とアンテナ2の受信信号X2(f)のシフト周波数の合計が、直接波に起因するFDOA12,DIRECTと一致するように、2つ受信信号X1(f),X2(f)の周波数をシフトするようにしても、上記実施の形態5と同様に、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、直接波に起因するFDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる効果を奏する。

0098

実施の形態7.
上記実施の形態5では、シフト周波数(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))だけ、アンテナ1の受信信号X1(f)の周波数を上げる周波数シフト処理部53と、周波数シフト処理後の受信信号X1(f+FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))とアンテナ2の受信信号X2(f)との内積Ck,i,jを算出する内積算出部54とを設け、内積算出部54により算出された内積Ck,i,jが閾値Cthより小さければ、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、直接波に起因する到来周波数差であると判定するものを示したが、相互相関処理部31により算出された相互相関CCF(X1(f),X2(f))の中で、(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))の周波数の位置にピークが存在しなければ、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、直接波に起因する到来周波数差であると判定するようにしてもよい。

0099

図18はこの発明の実施の形態7による測位装置を示す構成図であり、図において、図16と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
周波数算出部61はFDOA選択部51により選択されたFDOA12,kと、FDOA選択部52により選択されたFDOA11,i及びFDOA22,jとを用いて、(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))の周波数を算出する処理を実施する。

0100

比較処理部62は相互相関処理部31により算出された相互相関CCF(X1(f),X2(f))の中から、周波数算出部61により算出された周波数(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))の位置の相互相関値Pk,i,jを取得し、その相互相関値Pk,i,jと予め設定された閾値Pthを比較する処理を実施する。
直接波判定部63はFDOA選択部52により選択されたFDOA11,iとFDOA22,jの全ての組み合わせにおいて、比較処理部62の比較結果が、相互相関値Pk,i,jが閾値Pthより小さい旨を示していれば、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であると判定する。
なお、比較処理部62及び直接波判定部63から判定部が構成されている。
図19はこの発明の実施の形態7による測位装置の処理内容を示すフローチャートである。

0101

次に動作について説明する。
相互相関処理部31は、DFT処理部30から周波数領域変換後のアンテナ1の受信信号X1(f)とアンテナ2の受信信号X2(f)を受けると、上記実施の形態5と同様に、その受信信号X1(f)と受信信号X2(f)間の相互相関CCF(X1(f),X2(f))を算出する。
相互相関処理部31は、相互相関CCF(X1(f),X2(f))を算出すると、その相互相関CCF(X1(f),X2(f))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する周波数を受信信号X1(f)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)と受信信号X2(f)に含まれている信号波(直接波、マルチパス波)と間の到来周波数差(FDOA12,k(k=1,・・・,K))として判定処理部33に出力する(ステップST71)。

0102

自己相関処理部32は、DFT処理部30から周波数領域変換後のアンテナ1の受信信号X1(f)とアンテナ2の受信信号X2(f)を受けると、上記実施の形態5と同様に、アンテナ1の受信信号X1(f)の自己相関ACF(X1(f),X1(f))を算出するとともに、アンテナ2の受信信号X2(f)の自己相関ACF(X2(f),X2(f))を算出する。
自己相関処理部32は、アンテナ1の受信信号X1(f)の自己相関ACF(X1(f),X1(f))を算出すると、その自己相関ACF(X1(f),X1(f))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する周波数を受信信号X1(f)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来周波数差(FDOA11,i(i=1,・・・,I))として判定処理部33に出力する(ステップST72)。
また、アンテナ2の受信信号X2(f)の自己相関ACF(X2(f),X2(f))のピーク値を探索し、そのピーク値に対応する周波数を受信信号X2(f)に含まれている複数の信号波(直接波、マルチパス波)間の到来周波数差(FDOA22,j(j=1,・・・,J))として判定処理部33に出力する(ステップST72)。

0103

判定処理部33の直接波判定部63は、相互相関処理部31がK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)を算出し、自己相関処理部32がI個のFDOA11,i(i=1,・・・,I)とJ個のFDOA22,j(j=1,・・・,J)を算出すると、変数k,i,jを1に初期化する(ステップST73)。
FDOA選択部51は、相互相関処理部31により算出されたK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のFDOA12,kを選択する(ステップST74)。この段階では、k=1であるため、FDOA12,1を選択する。

0104

FDOA選択部52は、自己相関処理部32により算出されたI個のFDOA11,i(i=1,・・・,I)の中から、未だ選択していないi番目のFDOA11,iを選択する(ステップST75)。この段階では、i=1であるため、FDOA11,1を選択する。
また、FDOA選択部52は、自己相関処理部32により算出されたJ個のFDOA22,j(j=1,・・・,J)の中から、未だ選択していないj番目のFDOA22,jを選択する(ステップST75)。この段階では、j=1であるため、FDOA22,1を選択する。

0105

周波数算出部61は、FDOA選択部51がFDOA12,kを選択し、FDOA選択部52がFDOA11,i及びFDOA22,jを選択すると、そのFDOA12,kとFDOA11,i及びFDOA22,jとを用いて、(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))の周波数を算出する(ステップST76)。
比較処理部62は、周波数算出部61が周波数(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))を算出すると、相互相関処理部31により算出された相互相関CCF(X1(f),X2(f))の中から、その周波数(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))の位置の相互相関値Pk,i,jを取得して、その相互相関値Pk,i,jと予め設定された閾値Pthを比較し、その比較結果を直接波判定部63に出力する(ステップST77)。
ここでは、比較処理部62が相互相関値Pk,i,jと閾値Pthを比較しているが、相互相関値Pk,i,jは、上記実施の形態5の内積算出部54により算出される式(21)の内積Ck,i,jと同じ値になるため、相互相関値Pk,i,jと閾値Pthを比較することは、その内積Ck,i,jと閾値Cthを比較することと等価である。

0106

直接波判定部63は、比較処理部62から出力された比較結果が、相互相関値Pk,i,jが閾値Pthより大きい旨を示していれば、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kは、マルチパス波に起因する到来周波数差であると判定する。
直接波判定部63は、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、マルチパス波に起因する到来周波数差であると判定すると、未だ変数kの値がKに到達していなければ(ステップST79)、変数kを1だけインクリメントしてから、変数kをFDOA選択部51に出力して、k番目のFDOA12,kの再選択を指示する。
これにより、FDOA選択部51が、相互相関処理部31により算出されたK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のFDOA12,kを選択することで、ステップST74〜ST77の処理が繰り返される。

0107

直接波判定部63は、比較処理部62から出力された比較結果が、相互相関値Pk,i,jが閾値Pthより小さい旨を示していれば、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kは、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差である可能性があるので、未だ変数jの値がJに到達していなければ、変数jを1だけインクリメントしてから、変数iと変数jをFDOA選択部52に出力して、i番目のFDOA11,iとj番目のFDOA22,jの再選択を指示する。
一方、変数jの値が既にJに到達していれば、変数jを1に初期化するとともに、変数iを1だけインクリメントしてから、変数iと変数jをFDOA選択部52に出力して、i番目のFDOA11,iとj番目のFDOA22,jの選択を指示する。
即ち、直接波判定部63は、自己相関処理部32により算出されたI個のFDOA11,i(i=1,・・・,I)とJ個のFDOA22,j(j=1,・・・,J)の全ての組み合わせが選択されて、比較処理部62の比較結果が得られるまで、ステップST75〜ST77の処理を繰り返し実施させる(ステップST78)。

0108

直接波判定部63は、FDOA選択部52により選択されたFDOA11,iとFDOA22,jの全ての組み合わせにおいて、比較処理部62の比較結果が、相互相関値Pk,i,jが閾値Pthより小さい旨を示していれば、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であると判定する。
直接波判定部63は、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であるか否かを判定すると、未だ変数kの値がKに到達していなければ(ステップST79)、変数kを1だけインクリメントしてから、変数kをFDOA選択部51に出力して、k番目のFDOA12,kの再選択を指示する。
これにより、FDOA選択部51が、相互相関処理部31により算出されたK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)の中から、未だ選択していないk番目のFDOA12,kを選択することで、ステップST74〜ST77の処理が繰り返される。

0109

以上により、相互相関処理部31により算出されたK個のFDOA12,k(k=1,・・・,K)が、電波源から放射された直接波に起因する到来周波数差であるか否かが判定される。
測位処理部34は、相互相関処理部31により算出されたFDOA12,kのうち、判定処理部33により直接波に起因する到来周波数差であると判定されたFDOA12,kを用いて、電波源を測位する。

0110

以上で明らかなように、相互相関処理部31により算出された相互相関CCF(X1(f),X2(f))の中で、(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))の周波数の位置にピークが存在しなければ、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、直接波に起因する到来周波数差であると判定するように構成しても、上記実施の形態5と同様に、未知の電波源が複数台存在する環境下で、直接波に起因するFDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる効果を奏する。また、上記実施の形態5より計算負荷を軽減することができる効果を奏する。

0111

実施の形態8.
上記実施の形態7では、周波数算出部61が(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))の周波数を算出し、相互相関処理部31により算出された相互相関CCF(X1(f),X2(f))の中で、周波数算出部61により算出された周波数(FDOA12,k−(FDOA11,i−FDOA22,j))の位置にピークが存在しなければ、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、直接波に起因する到来周波数差であると判定するものを示したが、周波数算出部61が(FDOA22,j−FDOA11,i)の周波数を算出し、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kだけ周波数が上げられたアンテナ1の受信信号X1(f+FDOA12,k)とアンテナ2の受信信号X2(f)との間の相互相関CCF(X1(f+FDOA12,k),X2(f))の中で、周波数算出部61により算出された周波数(FDOA22,j−FDOA11,i)の位置にピークが存在しなければ、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、直接波に起因する到来周波数差であると判定するようにしてもよい。

0112

具体的には以下の通りである。
周波数算出部61は、FDOA選択部52がFDOA11,i及びFDOA22,jを選択すると、そのFDOA11,i及びFDOA22,jを用いて、(FDOA22,j−FDOA11,i)の周波数を算出する。
比較処理部62は、周波数算出部61が周波数(FDOA22,j−FDOA11,i)を算出すると、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kだけ、アンテナ1の受信信号X1(f)の周波数を上げる周波数シフト処理を実施し、周波数シフト処理後のアンテナ1の受信信号X1(f+FDOA12,k)とアンテナ2の受信信号X2(f)との間の相互相関CCF(X1(f+FDOA12,k),X2(f))を算出する。

0113

比較処理部62は、相互相関CCF(X1(f+FDOA12,k),X2(f))を算出すると、その相互相関CCF(X1(f+FDOA12,k),X2(f))の中から、周波数算出部61により算出された周波数(FDOA22,j−FDOA11,i)の位置の相互相関値Pk,i,jを取得して、その相互相関値Pk,i,jと予め設定された閾値Pthを比較し、その比較結果を直接波判定部63に出力する。
ここでは、比較処理部62が相互相関値Pk,i,jと閾値Pthを比較しているが、相互相関値Pk,i,jは、上記実施の形態6の内積算出部54により算出される式(24)の内積Ck,i,jと同じ値になるため、相互相関値Pk,i,jと閾値Pthを比較することは、その内積Ck,i,jと閾値Cthを比較することと等価である。

0114

直接波判定部63の処理内容は、上記実施の形態7と同様であるため詳細な説明を省略する。
以上より、FDOA12,kだけ周波数が上げられたアンテナ1の受信信号X1(f+FDOA12,k)とアンテナ2の受信信号X2(f)との間の相互相関CCF(X1(f+FDOA12,k),X2(f))の中で、周波数算出部61により算出された周波数(FDOA22,j−FDOA11,i)の位置にピークが存在しなければ、FDOA選択部51により選択されたFDOA12,kが、直接波に起因する到来周波数差であると判定するようにしても、上記実施の形態7と同様に、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、直接波に起因するFDOAを用いて、高精度に電波源を測位することができる効果を奏する。

0115

なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。

0116

この発明に係る測位装置は、未知の電波源が複数台存在する環境下でも、高精度に電波源を測位する必要があるものに適している。

0117

1アンテナ(第1のアンテナ)、2 アンテナ(第2のアンテナ)、3相互相関処理部(第1の到来時刻差算出手段)、4自己相関処理部(第2の到来時刻差算出手段)、5判定処理部(判定手段)、6測位処理部(測位手段)、11,12 TDOA選択部(時間シフト部)、13 時間シフト処理部(時間シフト部)、14内積算出部、15比較処理部(判定部)、16直接波判定部(判定部)、21 時間算出部、22 比較処理部(判定部)、23 直接波判定部(判定部)、30DFT処理部、31 相互相関処理部(第1の到来周波数差算出手段)、32 自己相関処理部(第2の到来周波数差算出手段)、33 判定処理部(判定手段)、34 測位処理部(測位手段)、51,52FDOA選択部(周波数シフト部)、53周波数シフト処理部(周波数シフト部)、54 内積算出部、55 比較処理部(判定部)、56 直接波判定部(判定部)、61周波数算出部、62 比較処理部(判定部)、63 直接波判定部(判定部)。

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