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技術 細胞剥離装置及び細胞剥離方法

出願人 東京エレクトロン株式会社
発明者 五味慎一大島康弘加川健一倉員智瑛五味久尾崎成則
出願日 2015年3月24日 (4年4ヶ月経過) 出願番号 2016-510366
公開日 2017年4月13日 (2年3ヶ月経過) 公開番号 WO2015-146952
状態 未登録
技術分野 微生物・酵素関連装置 微生物、その培養処理
主要キーワード 上下方向延 周縁外方 当接範囲 枠体ユニット 使用済み液 使用済み洗浄液 殺菌ガス 反射エネルギー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年4月13日)のものです。
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図面 (16)

課題・解決手段

細胞剥離装置140は、表面に細胞が付着した細胞培養膜77に裏面側から振動を与えることで、細胞を細胞培養膜77から剥離させる。細胞剥離装置140は、超音波振動する振動子141aを有する超音波プローブ141と、振動子141aを取り囲んで配置された枠体142と、枠体142に加わった所定方向の力を検知する第一検知部143と、を備えている。振動子141aは細胞培養膜77の表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。枠体142は第一検知部143による検知結果に基づいて細胞培養膜77の裏面から枠体142に加わる力が所定の大きさになるまで押し込まれ、その後、細胞培養膜77の裏面に枠体142が当接した状態で振動子141aが超音波振動する。

概要

背景

従来から培養容器内細胞を培養し、培養容器に付着した細胞を剥離することが知られている。例えば特開2006−314204号公報(以下、特許文献1という)では、細胞付着面の裏面側から当該培養容器に超音波振動を与えることにより、細胞を細胞付着面から剥離させることが開示されている。より具体的には、特許文献1では、一定の培養期間が経過して継代を行う際に、本体を天地させ、細胞付着面の裏面側の外面を上方に向ける。そして、この外面の全面に、超音波発生装置振動子を当接させて、培養容器に超音波振動を与えることで、細胞を剥離することが開示されている。

このように細胞を一様に培養容器から回収することの他に、何らしかの理由で上手く培養できなかった不良細胞等を選択的に剥離することも重要である。上述した特許文献1に開示された発明は、全面に超音波発生装置の振動子を当接させ、全ての細胞を回収するものであり、選択的に剥離することはできない。

概要

細胞剥離装置140は、表面に細胞が付着した細胞培養膜77に裏面側から振動を与えることで、細胞を細胞培養膜77から剥離させる。細胞剥離装置140は、超音波振動する振動子141aを有する超音波プローブ141と、振動子141aを取り囲んで配置された枠体142と、枠体142に加わった所定方向の力を検知する第一検知部143と、を備えている。振動子141aは細胞培養膜77の表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。枠体142は第一検知部143による検知結果に基づいて細胞培養膜77の裏面から枠体142に加わる力が所定の大きさになるまで押し込まれ、その後、細胞培養膜77の裏面に枠体142が当接した状態で振動子141aが超音波振動する。

目的

本発明は、超音波振動によって、不良細胞等の所定の細胞のみを選択的に剥離することができる細胞剥離装置及び細胞剥離方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

表面に細胞が付着した細胞培養膜に裏面側から振動を与えることで、前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させる細胞剥離装置において、超音波振動する振動子を有する超音波プローブを備え、前記細胞培養膜の裏面の一部に選択的に当接した前記振動子が超音波振動することを特徴とする細胞剥離装置。

請求項2

前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部を備え、前記振動子は前記第二検知部による検知結果に基づいて前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記細胞培養膜の裏面に押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動することを特徴とする請求項1に記載の細胞剥離装置。

請求項3

剥離操作対象となる範囲を取り囲んで配置された細胞培養膜側枠体または前記振動子を取り囲んで配置された振動子側枠体を備え、前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動することで前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させ、前記細胞培養膜側枠体または前記振動子側枠体は前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させる間、常に前記細胞培養膜の裏面に接触することを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。

請求項4

前記振動子を取り囲んで配置された振動子側枠体を備え、前記振動子側枠体が前記細胞培養膜の裏面にまず押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に前記振動子側枠体が当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動することを特徴とする請求項1または2に記載の細胞剥離装置。

請求項5

前記振動子側枠体に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子側枠体と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第一検知部と、を備え、前記振動子側枠体は前記第一検知部による検知結果に基づいて前記細胞培養膜の裏面から前記振動子側枠体に加わる力が所定の大きさになるまで前記細胞培養膜の裏面に押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に前記振動子側枠体が当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動することを特徴とする請求項4に記載の細胞剥離装置。

請求項6

前記超音波プローブと前記振動子側枠体とは弾性部材を介して連結され、前記細胞培養膜に前記枠体が接触していないときには、前記振動子の細胞培養膜側の端部は前記振動子側枠体の内方に収容され、前記細胞培養膜に前記振動子側枠体を押しつけることで、前記振動子の細胞培養膜側の端部が前記振動子側枠体の外方に突出することを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の細胞剥離装置。

請求項7

前記第一検知部又は第二検知部が接触式センサ近接センサ又は力センサであることを特徴とする請求項2または5に記載の細胞剥離装置。

請求項8

前記振動子側枠体は、前記細胞培養膜の裏面に当接する第一枠体と、前記第一枠体の基端部側に位置する第二枠体と、を有し、前記第一枠体の弾性率は前記第二枠体の弾性率よりも高くなっていることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の細胞剥離装置。

請求項9

前記振動子側枠体は、前記細胞培養膜の裏面に当接する第一枠体と、前記第一枠体の基端部側に位置する第二枠体と、を有し、前記第一枠体の弾性率は前記第二枠体の弾性率よりも低くなっていることを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の細胞剥離装置。

請求項10

前記超音波プローブと前記振動子側枠体とを、前記細胞培養膜の裏面に対し同時に垂直に駆動させる1つの昇降部を備えることを特徴とする請求項4、5、6、8、9のいずれか1項に記載の細胞剥離装置。

請求項11

前記振動子の細胞培養膜側の端部は、ローレット加工されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の細胞剥離装置。

請求項12

前記細胞培養膜から剥離される細胞が、培養又は継代に不要な不良細胞であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の細胞剥離装置。

請求項13

前記細胞培養膜の表面に付着した細胞が、iPS細胞又は分化細胞であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の細胞剥離装置。

請求項14

表面に細胞が付着した細胞培養膜に裏面側から振動を与えることで、前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させる細胞剥離方法において、前記細胞培養膜の裏面の一部に選択的に当接した振動子を超音波振動するステップを備え、前記振動子は前記細胞培養膜の前記表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与えることを特徴とする細胞剥離方法。

請求項15

前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、を備えたことを特徴とする請求項14に記載の細胞剥離方法。

請求項16

振動子側枠体または細胞培養膜側枠体を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、を備え、前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップは、前記振動子側枠体または細胞培養膜側枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で行われることを特徴とする請求項14に記載の細胞剥離方法。

請求項17

細胞培養膜側枠体を剥離操作対象となる範囲を取り囲んで配置するステップと、前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、を備え、前記細胞培養膜の裏面に当接した振動子を超音波振動するステップは、前記細胞培養膜側枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で行われることを特徴とする請求項14に記載の細胞剥離方法。

請求項18

振動子側枠体を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、前記振動子側枠体に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子側枠体と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第一検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子側枠体に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子側枠体を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、を備え、前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップは、前記振動子側枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で行われることを特徴とする請求項14に記載の細胞剥離方法。

技術分野

0001

本発明は、細胞培養膜から細胞剥離するための細胞剥離装置及び細胞剥離方法に関する。

背景技術

0002

従来から培養容器内で細胞を培養し、培養容器に付着した細胞を剥離することが知られている。例えば特開2006−314204号公報(以下、特許文献1という)では、細胞付着面の裏面側から当該培養容器に超音波振動を与えることにより、細胞を細胞付着面から剥離させることが開示されている。より具体的には、特許文献1では、一定の培養期間が経過して継代を行う際に、本体を天地させ、細胞付着面の裏面側の外面を上方に向ける。そして、この外面の全面に、超音波発生装置振動子を当接させて、培養容器に超音波振動を与えることで、細胞を剥離することが開示されている。

0003

このように細胞を一様に培養容器から回収することの他に、何らしかの理由で上手く培養できなかった不良細胞等を選択的に剥離することも重要である。上述した特許文献1に開示された発明は、全面に超音波発生装置の振動子を当接させ、全ての細胞を回収するものであり、選択的に剥離することはできない。

0004

本発明は、超音波振動によって、不良細胞等の所定の細胞のみを選択的に剥離することができる細胞剥離装置及び細胞剥離方法を提供するものである。

0005

本発明による細胞剥離装置は、
表面に細胞が付着した細胞培養膜に裏面側から振動を与えることで、前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させる細胞剥離装置であって、
超音波振動する振動子を有する超音波プローブ
を備え、
前記細胞培養膜の裏面の一部に選択的に当接した前記振動子が超音波振動するものである。

0006

本発明による細胞剥離装置は、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部
を備え、
前記振動子は前記第二検知部による検知結果に基づいて前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記細胞培養膜の裏面に押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動してもよい。

0007

本発明による細胞剥離装置は、
剥離操作対象となる範囲を取り囲んで配置された細胞培養膜側枠体または前記振動子を取り囲んで配置された振動子側枠体
を備え、
前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動することで前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させ、
前記細胞培養膜側枠体または前記振動子側枠体は前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させる間、常に前記細胞培養膜の裏面に接触してもよい。

0008

本発明による細胞剥離装置は、
前記振動子を取り囲んで配置された振動子側枠体
を備え、
前記振動子側枠体が前記細胞培養膜の裏面にまず押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に前記振動子側枠体が当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動してもよい。

0009

本発明による細胞剥離装置は、
前記振動子側枠体に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子側枠体と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第一検知部と、
を備え、
前記振動子側枠体は前記第一検知部による検知結果に基づいて前記細胞培養膜の裏面から前記振動子側枠体に加わる力が所定の大きさになるまで前記細胞培養膜の裏面に押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に前記振動子側枠体が当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動してもよい。

0010

本発明による細胞剥離装置において、
前記超音波プローブと前記振動子側枠体とは弾性部材を介して連結され、
前記細胞培養膜に前記枠体が接触していないときには、前記振動子の細胞培養膜側の端部は前記振動子側枠体の内方に収容され、
前記細胞培養膜に前記振動子側枠体を押しつけることで、前記振動子の細胞培養膜側の端部が前記振動子側枠体の外方に突出してもよい。

0011

本発明による細胞剥離装置において、
前記第一検知部又は第二検知部が接触式センサ近接センサ又は力センサであってもよい。

0012

本発明による細胞剥離装置において、
前記振動子側枠体は、前記細胞培養膜の裏面に当接する第一枠体と、前記第一枠体の基端部側に位置する第二枠体と、を有し、
前記第一枠体の弾性率は前記第二枠体の弾性率よりも高くなっていてもよい。

0013

本発明による細胞剥離装置において、
前記振動子側枠体は、前記細胞培養膜の裏面に当接する第一枠体と、前記第一枠体の基端部側に位置する第二枠体と、を有し、
前記第一枠体の弾性率は前記第二枠体の弾性率よりも低くなっていてもよい。

0014

本発明による細胞剥離装置は、
前記超音波プローブと前記振動子側枠体とを、前記細胞培養膜の裏面に対し同時に垂直に駆動させる1つの昇降部を備えてもよい。

0015

本発明の第一態様による細胞剥離装置は、
超音波振動する振動子を有する超音波プローブと、
前記振動子を取り囲んで配置された枠体と、
を備え、
前記枠体が細胞培養膜の裏面にまず押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に前記枠体が当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動するものである。

0016

本発明の第二態様による細胞剥離装置は、
超音波振動する振動子を有する超音波プローブと、
前記振動子を取り囲んで配置された枠体と、
前記枠体に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記枠体と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第一検知部と、
を備え、
前記枠体が前記第一検知部による検知結果に基づいて前記細胞培養膜の裏面から前記枠体に加わる力が所定の大きさになるまで前記細胞培養膜の裏面に押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に前記枠体が当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動するものである。

0017

本発明の第一態様、第二態様、第四態様、第五態様及び第六態様による細胞剥離装置において、
前記超音波プローブと前記枠体とは弾性部材を介して連結され、
前記細胞培養膜に前記枠体が接触していないときには、前記振動子の細胞培養膜側の端部は前記枠体の内方に収容され、
前記細胞培養膜に前記枠体を押しつけることで、前記振動子の細胞培養膜側の端部が前記枠体の外方に突出してもよい。

0018

本発明の第二態様、第三態様、第四態様、第五態様及び第六態様による細胞剥離装置において、
前記第一検知部及び第二検知部は接触式センサ、近接式センサ又は力センサであり、
前記第一検知部及び第二検知部が接触式センサである場合には、前記枠体が前記接触式センサに接触した時点で前記枠体の前記細胞培養膜の裏面に対する押し込みが停止され、
前記第一検知部及び第二検知部が近接式センサである場合には、前記枠体が前記近接式センサから所定の距離となった時点で前記枠体の前記細胞培養膜の裏面に対する押し込みが停止され、
前記第一検知部及び第二検知部が力センサである場合には、前記枠体から前記力センサに加わる力が所定の大きさとなった時点で前記枠体の前記細胞培養膜の裏面に対する押し込みが停止されてもよい。

0019

本発明の第一態様、第二態様、第四態様、第五態様及び第六態様による細胞剥離装置において、
前記枠体は、前記細胞培養膜の裏面に当接する第一枠体と、前記第一枠体の前記第一検知部側に位置する第二枠体と、を有し、
前記第一枠体の弾性率は前記第二枠体の弾性率よりも高くなってもよい。

0020

本発明の第一態様による細胞剥離装置において、
前記超音波プローブと前記枠体とは複数の弾性部材を介して連結され、
弾性部材の各々は均等な間隔で配置されてもよい。

0021

本発明の第三態様による細胞剥離装置は、
超音波振動する振動子を有する超音波プローブと、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部と、
を備え、
前記振動子は前記第二検知部による検知結果に基づいて前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記細胞培養膜の裏面に押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動するものである。

0022

本発明の第四態様による細胞剥離装置は、
超音波振動する振動子を有する超音波プローブと、
前記振動子を取り囲んで配置された枠体と、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部と、
を備え、
前記振動子は前記第二検知部による検知結果に基づいて前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記細胞培養膜の裏面に押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に前記枠体が当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動するものである。

0023

本発明の第五態様による細胞剥離装置は、
超音波振動する振動子を有する超音波プローブと、
細胞培養膜の裏面上に保持された、または、細胞培養膜の裏面に接着された枠体と、
を備え、
前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動することで前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させ、
前記枠体は前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させる間、常に前記細胞培養膜の裏面に接触するものである。

0024

本発明の第六態様による細胞剥離装置は、
超音波振動する振動子を有する超音波プローブと、
剥離操作対象となる範囲を取り囲んで配置された枠体と、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部と、
を備え、
前記振動子は前記第二検知部による検知結果に基づいて前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記細胞培養膜の裏面に押し込まれ、その後、前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子が超音波振動することで前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させ、
前記枠体は前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させる間、常に細胞培養膜の裏面に接触するものである。

0025

本発明の第一態様、第二態様、第四態様、第五態様及び第六態様による細胞剥離装置において、
前記枠体は、弾性率の異なる複数個の部材によって構成されていてもよい。

0026

本発明の第二態様、第三態様、第四態様及び第六態様による細胞剥離装置において、
前記第一検知部及び前記第二検知部は知見者によって任意に選択することができ、例えば接触式センサ、近接式センサ又は力センサを使用することができる。

0027

本発明による細胞剥離装置は、前記超音波プローブの位置制御に対し、前記超音波プローブを前記細胞培養膜の裏面に対し垂直に駆動させる昇降部を備えていてもよい。

0028

本発明による細胞剥離装置において、
前記振動子の細胞培養膜側の端部は、ローレット加工されていてもよい。

0029

本発明による細胞剥離装置において、
前記細胞培養膜から剥離される細胞が、培養又は継代に不要な不良細胞であってもよい。

0030

本発明による細胞剥離装置において、
前記細胞培養膜の表面に付着した細胞が、iPS細胞又は分化細胞であってもよい。

0031

本発明による細胞剥離方法は、
表面に細胞が付着した細胞培養膜に裏面側から振動を与えることで、前記細胞を前記細胞培養膜から剥離させる細胞剥離方法であって、
前記細胞培養膜の裏面の一部に選択的に当接した前記振動子を超音波振動するステップ
を備え、
前記振動子は前記細胞培養膜の前記表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。

0032

本発明による細胞剥離方法は、
前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
を備えてもよい。

0033

本発明による細胞剥離方法は、
振動子側枠体または細胞培養膜側枠体を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
を備え、
前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップは、前記振動子側枠体または細胞培養膜側枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で行われてもよい。

0034

本発明による細胞剥離方法は、
細胞培養膜側枠体を剥離操作対象となる範囲を取り囲んで配置するステップと、
前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
を備え、
前記細胞培養膜の裏面に当接した振動子を超音波振動するステップは、前記細胞培養膜側枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で行われてもよい。

0035

本発明による細胞剥離方法は、
振動子側枠体を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
前記振動子側枠体に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子側枠体と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第一検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子側枠体に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子側枠体を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
を備え、
前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップは、前記振動子側枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で行われてもよい。

0036

本発明の第一態様による細胞剥離方法は、
枠体を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
前記枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップと、
を備え、
前記振動子は前記細胞培養膜の前記表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。

0037

本発明の第二態様による細胞剥離方法は、
枠体を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
前記枠体に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記枠体と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第一検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記枠体に加わる力が所定の大きさになるまで前記枠体を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
前記枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップと、
を備え、
前記振動子は前記細胞培養膜の前記表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。

0038

本発明の第三態様による細胞剥離方法は、
振動子を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップと、
を備え、
前記振動子は前記細胞培養膜の前記表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。

0039

本発明の第四態様による細胞剥離方法は、
枠体を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
振動子を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
前記枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップと、
を備え、
前記振動子は前記細胞培養膜の前記表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。

0040

本発明の第五態様による細胞剥離方法は、
枠体を剥離操作対象となる範囲を取り囲んで配置するステップと、
振動子を前記細胞培養膜の裏面に押し込むステップと、
前記枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップと、
を備え、
前記振動子は前記細胞培養膜の前記表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。

0041

本発明の第六態様による細胞剥離方法は、
枠体を剥離操作対象となる範囲を取り囲んで配置するステップと、
振動子を前記細胞培養膜の裏面に当接させるステップと、
前記振動子に加わった前記細胞培養膜の裏面からの力又は前記振動子と前記細胞培養膜の裏面との間の距離を検知するための第二検知部による検知結果に基づいて、前記細胞培養膜の裏面から前記振動子に加わる力が所定の大きさになるまで前記細胞培養膜の裏面に前記振動子を押し込むステップと、
前記枠体が前記細胞培養膜の裏面に当接した状態で前記細胞培養膜の裏面に当接した前記振動子を超音波振動するステップと、
を備え、
前記振動子は前記細胞培養膜の前記表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。

0042

本発明によれば、振動子が細胞培養膜の表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える。このため、特許文献1に開示された技術では実現が難しかった、不良細胞等の所定の細胞を超音波振動によって選択的に剥離することを実現することができる。

0043

本発明の第一態様、第二態様、第四態様、第五態様及び第六態様では、枠体が振動子の周りで細胞培養膜の裏面を支持した状態で、振動子が超音波振動する。このように枠体が振動子の周縁外方で細胞培養膜の裏面に当接していることから、振動子の振動に起因する細胞培養膜の振動が枠体の周縁外方に広がることを防止することができる。このため、振動子による振動の影響を対象となっている不良細胞等の所定の細胞に極力限定することができ、当該不良細胞等の所定の細胞に隣接する良好な細胞が誤って剥離されることを防止することができる。

0044

本発明の第二態様、第三態様、第四態様及び第六態様では、枠体に設置された第一検知部又は振動子に設置された第二検知部により、細胞培養膜へ超音波プローブを押し付ける強さを検知する機構を備えさせている。振動子が細胞培養膜の裏面に強く押し付けられるほど、より振動が遠方まで伝播し、所定の細胞以外の細胞まで剥離してしまう恐れが高まる。第一検知部又は第二検知部により、押し付ける強さを任意に設定し得るため、振動子による振動の影響を対象となっている不良細胞等の所定の細胞に極力限定することができ、当該不良細胞等の所定の細胞に隣接する良好な細胞が誤って剥離されることを防止することができる。

図面の簡単な説明

0045

図1は、本発明の実施の形態による自動培養システムの構成を示す概略上方平面図である。
図2は、本発明の実施の形態による自動培養システムの制御ブロック図である。
図3は、本発明の実施の形態による細胞検査除去部の制御ブロック図である。
図4Aは、本発明による細胞剥離機構密閉容器が保持された様子を示した斜視図である。
図4Bは、図4Aにおける細胞剥離機構の断面を示した図である。
図5は、本発明の第二態様による細胞剥離装置の斜視図である。
図6は、本発明の第二態様による細胞剥離装置がフィルムの裏面に接触した際の様子を示した概略断面図である。図6における細胞剥離装置は簡略化して示されていることから、図5で示した細胞剥離装置とは形状が異なったものとなっている。
図7Aは、図6に対応した図であり、細胞剥離装置がフィルムの裏面に接触した状態からフィルムに押し込まれていく様子を示した概略断面図である。なお、第一検知部として接触式センサを採用した場合のものである。
図7Bは、図6に対応した図であり、細胞剥離装置がフィルムの裏面に接触した状態からフィルムに押し込まれていく様子を示した概略断面図である。なお、第一検知部として接触式センサを採用した場合のものである。
図7Cは、図6に対応した図であり、細胞剥離装置がフィルムの裏面に接触した状態からフィルムに押し込まれていく様子を示した概略断面図である。なお、第一検知部として接触式センサを採用した場合のものである。
図8は、本発明の第二態様の変形例による細胞剥離装置の斜視図である。
図9は、本発明の第五態様による細胞剥離装置がフィルムの裏面に接触した際の様子を示した概略断面図である。
図10は、超音波プローブの上下方向の移動距離横軸にとり、超音波プローブの平均の出力を縦軸にとったグラフである。
図11は、ローレット(knurling)加工されている振動子のフィルム側の端部を示した斜視図である。
図12は、第一枠体の弾性率が第二枠体の弾性率よりも低い変形例による細胞剥離装置の斜視図である。

実施例

0046

本実施の形態の細胞剥離装置は、付着性接着性)を有するあらゆる細胞に対して用いることができ、(ヒト)iPS細胞、(ヒト)ES細胞等の多能性幹細胞骨髄間質細胞MSC)等の軟骨細胞樹状細胞等の様々な細胞を培養する際に用いることができる。本実施の形態では、以下、iPS細胞を自動で培養する自動培養システムを用いて説明するが、これはあくまでも一例であることには留意が必要である。

0047

[全体構成]
次に、本実施の形態による自動培養システムの装置構成について説明する。

0048

図1に示すように、本実施の形態の自動培養システムは、原料細胞を保管する原料保管装置10と、細胞等を密閉状態で収容した第一密閉容器(図示せず)を搬送する容器搬送部60と、容器搬送部60で搬送された第一密閉容器を受け取り、第一密閉容器からOptiCell(商標)等からなる第二密閉容器75を取り出し、取り出した第二密閉容器75内で細胞を培養する自動培養装置20,30と、を備えている。

0049

本実施の形態では、上述したようにiPS細胞を用いた態様で説明することから、原料保管装置10はiPS細胞を樹立するiPS細胞樹立装置11を含んでいる。なお、原料保管装置10は、他にも、ユニット恒温槽遠心分離機、自動血球計数装置、自動磁気細胞分離器フローサイトメーター遺伝子導入装置等を含んでいる。

0050

本実施の形態の自動培養装置20,30は、iPS細胞を自動で培養する複数(図1に示した態様では4つ)のiPS細胞自動培養装置20と、iPS細胞から分化した分化細胞を自動で培養する複数(図1に示した態様では8つ)の分化細胞自動培養装置30と、を有している。なお、本実施の形態において、単に「自動培養装置」と述べたときは、iPS細胞自動培養装置20、分化細胞自動培養装置30、又は、iPS細胞自動培養装置20及び分化細胞自動培養装置30の両方のことを意味している。また、特に断りが無い限り、本実施の形態において単に「細胞」と述べたときは、iPS細胞の元となる体細胞等の原料細胞、iPS細胞、分化細胞、又は、原料細胞、iPS細胞及び分化細胞のいずれか2つもしくは全部のことを意味している。

0051

本実施の形態では、第一密閉容器の他に、上述した第二密閉容器75が採用されている。第一密閉容器は第二密閉容器75を載置するための複数のを有しており、各棚に第二密閉容器75が載置される。そして、複数の第二密閉容器75が第一密閉容器内に収容された状態で、第一密閉容器が容器搬送部60によって搬送されることとなる。なお、第二密閉容器75は、細胞だけではなく後述する資材のうち、液体培地薬品等を収容してもよい。

0052

iPS細胞自動培養装置20は、図1に示すように筐体22と、図2に示すように、iPS細胞の培養に伴って変化する液体培地成分を分析する培地分析部24と、iPS細胞を検査するとともに状態の悪いiPS細胞の除去を行う細胞検査除去部25と、液体培地やタンパク質分解酵素を含む液体等を保管するとともに供給し、iPS細胞を播種する前の前処理を行ったり、iPS細胞を播種したり、iPS細胞を回収したりする液体保管供給部26と、第二密閉容器75を保持し、温度、湿度及びガス濃度のいずれか一つ又はこれらの全てを自動で調整するインキュベータ部27と、iPS細胞自動培養装置20内で用いられた使用済み液体培地、使用済み洗浄液使用済試薬等を含む廃液を筐体22から下方に排出するための排出部28と、を有している。また、iPS細胞自動培養装置20は、機内で第二密閉容器75等を搬送する機内搬送部23も有している。なお、上述した液体保管供給部26は、第二密閉容器75の上下を反転させる機能も有している。ちなみに、本実施の形態のように第二密閉容器75を用いる場合には、インキュベータ部27内の湿度の管理を特に行わなくてもよくなることから、細胞培養環境の管理を簡素化することができる。また、このような第二密閉容器75を採用することで、空気中からのコンタミネーションが起こるおそれがなく、搬送も容易となる。

0053

上述した液体保管供給部26は、液体培地を流入口から第二密閉容器75内に適宜供給することで、第二密閉容器75内の古い液体培地を新しい液体培地に自動で入れ替える。また、細胞検査除去部25は、取得されたiPS細胞の情報に基づいて、第二密閉容器75のフィルム77の表面に塗られたECM(Extracellular matrix)から不良iPS細胞を選択的に剥離させる。その後で、液体培地を流入口から第二密閉容器75内に供給することで、浮遊した不良iPS細胞が流出口を介して第二密閉容器75から押し出される。なお、第二密閉容器75内のiPS細胞を選択的に剥離させる手法として、本実施の形態では、フィルム77の裏面に超音波振動を与える。

0054

また、液体保管供給部26は、タンパク質分解酵素を流入口から第二密閉容器75内に適宜供給することで第二密閉容器75のフィルム77の表面に塗られたECMからiPS細胞を剥離させる。その後、液体培地を流入口から第二密閉容器75内に供給することで、浮遊したiPS細胞が流出口を介して第二密閉容器75から押し出される。押し出されたiPS細胞は、薄めて懸濁液とした後で複数の別の第二密閉容器75内に収容される(播種される)。このようにして、iPS細胞自動培養装置20はiPS細胞の継代を自動で行う。

0055

iPS細胞自動培養装置20内の温度は、インキュベータ部27によって、例えば温度が約37℃となるように調整される。また、iPS細胞自動培養装置20内のガス濃度は、インキュベータ部27によって、空気にCO2を適宜加えることで調整される。また、必要に応じて、インキュベータ部27によって湿度が約100%となるように調整されてもよい。

0056

分化細胞自動培養装置30は、図1に示すように筐体32と、図2に示すように、分化細胞の培養に伴って変化する液体培地成分を分析する培地分析部34と、分化細胞を検査するとともに状態の悪い分化細胞の除去を行う細胞検査除去部35と、液体培地やタンパク質分解酵素を含む液体等を保管するとともに供給し、分化細胞を播種する前の前処理を行ったり、分化細胞を播種したり、分化細胞を回収したりする液体保管供給部36と、第二密閉容器75を保持し、温度、湿度及びガス濃度のいずれか一つ又はこれらの全てを自動で調整するインキュベータ部37と、分化細胞自動培養装置30内で用いられた使用済み液体培地、使用済み洗浄液、使用済み試薬等を含む廃液を筐体32から下方に排出するための排出部38と、を有している。また、分化細胞自動培養装置30は、機内で第二密閉容器75等を搬送する機内搬送部33も有している。上述したように第二密閉容器75を用いる場合には、インキュベータ部37内の湿度の管理を特に行わなくてもよくなることから、細胞培養環境の管理を簡素化することができる。なお、液体保管供給部36は、第二密閉容器75の上下を反転させる機能も有している。

0057

上述した液体保管供給部36は、液体培地を流入口から第二密閉容器75に適宜供給することで、第二密閉容器75内の古い液体培地を新しい液体培地に自動で入れ替える。また、細胞検査除去部35は、取得された分化細胞の情報に基づいて、第二密閉容器75のフィルム77の表面に塗られたECM(Extracellular matrix)から不良分化細胞を選択的に剥離させる。その後で、液体培地を流入口から第二密閉容器75内に供給することで、浮遊した不良分化細胞が流出口を介して第二密閉容器75から押し出される。なお、第二密閉容器75内の分化細胞を選択的に剥離させる手法として、本実施の形態では、フィルム77の裏面に超音波振動を与える。

0058

また、液体保管供給部36は、タンパク質分解酵素を流入口から第二密閉容器75内に適宜供給することで第二密閉容器75のフィルム77の表面に塗られたECMから分化細胞を剥離させる。その後、液体培地を流入口から第二密閉容器75内に供給することで、浮遊した分化細胞が流出口を介して第二密閉容器75から押し出される。押し出された分化細胞は、薄めて懸濁液とした後で複数の別の第二密閉容器75内に収容される(播種される)。このようにして、分化細胞自動培養装置30は分化細胞の継代を自動で行う。

0059

分化細胞自動培養装置30内の温度は、インキュベータ部37によって、例えば温度が約37℃となるように調整される。また、分化細胞自動培養装置30内のガス濃度は、インキュベータ部37によって、空気にCO2を適宜加えることで調整される。なお、分化細胞自動培養装置30の液体保管供給部36は、分化を誘導させる際に、分化誘導因子を含む液体培地を供給してもよい。また、必要に応じて、インキュベータ部37によって湿度が約100%となるように調整されてもよい。

0060

図2に示すように、iPS細胞自動培養装置20は、培地分析部24、細胞検査除去部25、液体保管供給部26、インキュベータ部27、排出部28、機内搬送部23の各々に通信接続され、これらを制御する制御部29を有する。この制御部29は、iPS細胞自動培養装置20に関して、ステータスを管理したり、ログを管理したり、培養スケジュールを管理したり、ユーザインターフェース機能を果たしたりする。また、分化細胞自動培養装置30は、培地分析部34、細胞検査除去部35、液体保管供給部36、インキュベータ部37、排出部38、機内搬送部33の各々に通信接続され、これらを制御する制御部39を有する。この制御部39は、分化細胞自動培養装置30に関して、ステータスを管理したり、ログを管理したり、培養スケジュールを管理したり、ユーザインターフェース機能を果たしたりする。

0061

なお、上述したiPS細胞樹立装置11も、iPS細胞自動培養装置20及び分化細胞自動培養装置30と同様の構成となっている。つまり、iPS細胞樹立装置11は、図1に示すように筐体11aと、図2に示すように、液体培地を分析する培地分析部14と、原料細胞を検査するとともに状態の悪い原料細胞の除去を行う細胞検査除去部15と、液体培地やタンパク質分解酵素を含む液体等を保管するとともに供給する液体保管供給部16と、筐体11a内の温度、湿度及びガス濃度のいずれか一つ又はこれらの全てを自動で調整するインキュベータ部17と、iPS細胞樹立装置11内で用いられた使用済み液体培地、使用済み洗浄液、使用済み試薬等を含む廃液を筐体11aから下方に排出するための排出部18と、を有している。また、iPS細胞樹立装置11は、機内で第二密閉容器75等を搬送する機内搬送部13も有している。また、iPS細胞樹立装置11は、培地分析部14、細胞検査除去部15、液体保管供給部16、インキュベータ部17、排出部18、機内搬送部13の各々に通信接続され、これらを制御する制御部19を有する。なお、各制御部19,29,39は、例えばパソコン等の外部装置90に接続されている。

0062

本実施の形態の容器搬送部60は、第一密閉容器を下方にぶら下げるようにして保持する保持部を有し、天井に設けられたレール65に沿って移動するようになっている。

0063

図1に示すように、iPS細胞自動培養装置20は、第一密閉容器から第二密閉容器75を搬入するための搬入部21を有している。この搬入部21は、第二密閉容器75に収容されたiPS細胞を搬入するとともに培養されたiPS細胞を搬出するための細胞用搬入出部(図示せず)と、第二密閉容器75に収容された資材を搬入するための資材用搬入部(図示せず)と、を有していてもよい。同様に、図1に示すように、分化細胞自動培養装置30は、第一密閉容器から第二密閉容器75を搬入するための搬入部31を有している。この搬入部31も、第二密閉容器75に収容されたiPS細胞を搬入するとともに培養された分化細胞を搬出するための細胞用搬入出部(図示せず)と、第二密閉容器75に収容された資材を搬入するための資材用搬入部(図示せず)と、を有していてもよい。本実施の形態において資材とは、液体培地、試薬、洗浄液培養プレートバイアルフィルター、針等である。また、図1に示すように、iPS細胞樹立装置11も、第一密閉容器を搬入するための搬入部12を有している。

0064

本実施の形態の自動培養システムは、図1に示すように、第一密閉容器内を殺菌するための殺菌装置1と、iPS細胞自動培養装置20で培養されたiPS細胞を所定のタイミングで搬入部81から受け取り、iPS細胞を検査するiPS細胞分析装置80と、分化細胞自動培養装置30で培養された分化細胞を所定のタイミングで搬入部86から受け取り、分化細胞を検査する分化細胞分析装置85と、自動培養装置20,30で培養されたiPS細胞、分化細胞、又は、iPS細胞及び分化細胞の両方を搬入部41から受け取り冷凍保存する冷凍保存装置40と、を備えている。なお、冷凍保存装置40は複数個設けられていてもよいし、部屋全体が冷やされており部屋自体が冷凍庫として機能してもよい。そして、部屋に冷凍保存装置40が複数個設けられている場合や部屋自体が冷凍庫として機能するような場合には、当該部屋の天井にレール65が設けられ、このレール65に沿って容器搬送部60が移動できるようになってもよい。

0065

上述した殺菌装置1の一例としては、第一密閉容器内に過酸化水素ガス高温ガス等の殺菌ガスを供給することで殺菌するものを挙げることができる。また、殺菌装置1の別の例としては、第一密閉容器を閉状態としたまま外部から例えばγ線紫外線照射することで第一密閉容器内を殺菌するものも挙げることができる。ちなみに、外部から第一密閉容器が搬入される前に、第一密閉容器の内部が例えばγ線や紫外線を用いて殺菌されてもよい。なお、液体培地等はγ線や紫外線で破損してしまうタンパク質等を含有している場合がある。この場合は、過酸化水素ガスや高温ガス等の殺菌ガスで殺菌することが望ましい。

0066

[細胞検査除去部25,35]
本実施の形態のiPS細胞自動培養装置20及び分化細胞自動培養装置30で用いられる細胞検査除去部25,35は同じ装置構成となっている。このため、以下では、iPS細胞及び分化細胞を総称して「細胞」と呼び、iPS細胞自動培養装置20で用いられる細胞検査除去部25及び分化細胞自動培養装置30で用いられる細胞検査除去部35についてまとめて説明する。

0067

図3に示すように、本実施の形態の細胞検査除去部25,35は、細胞のコロニー撮影し、細胞のコロニーの状況に基づいて良否を判断する細胞検査部120と、細胞検査部120で検出された不良細胞を剥離する細胞除去部130と、を備えている。

0068

図3に示すように、細胞検査部120は、細胞のコロニーを観察するための位相差顕微鏡等の光学顕微鏡121と、当該光学顕微鏡121によって得られた画像に基づいて細胞のコロニーの位置を認識するとともに各コロニーの良否を自動で判断する判断部122と、不良細胞のコロニーが存在する場合にはその位置等の判断部122による判断結果を記憶する検査記憶部123と、保持した第二密閉容器75を水平方向で自在に移動させるXYステージ124と、を有している。なお、細胞のコロニーの良否については、例えばiPS細胞の核染色像から得られた核染色パターンやiPS細胞の密度等に基づいて判断することができる。

0069

図4A及び図4Bに示すように、細胞除去部130は、第二密閉容器75を保持する容器保持部131(131a,131b,131c,131d)と、容器保持部131を水平方向で自在に移動させるXYステージ132と、容器保持部131及びXYステージ132の下方に載置され、容器保持部131によって保持された第二密閉容器75のフィルム77に裏面側から超音波振動を与えることで、第二密閉容器75のフィルム77の表面側に付着した細胞のコロニーを剥離させる細胞剥離装置140と、細胞剥離装置140を上下方向に移動させる昇降部134(図3参照)と、を有している。なお、この昇降部134は、後述する超音波プローブ141と後述する枠体142とをフィルム77の裏面に対し同時に垂直に駆動させる1つの部材であってもよいが、超音波プローブ141と枠体142とをフィルム77の裏面に対し個別に垂直に駆動させる2つの部材であってもよい。

0070

図4A及び図4Bに示すように、容器保持部131は、第二密閉容器75の角を受け、ガイドとしての機能を果たす断面が略L字形状となった複数(図4Aに示す態様では4つ)の受け部131aと、水平方向で第二密閉容器75を押圧する押圧部131bと、第二密閉容器75の上方への浮き上がりを防止する浮き上がり防止部131cと、水平方向で第二密閉容器75を押圧しつつ第二密閉容器75の上方への浮き上がりを防止する押圧浮き上がり防止部131dと、を有している。なお、本実施の形態では、押圧部131bが、略矩形状の第二密閉容器75の長辺側に位置しており、第二密閉容器75の長辺を水平方向で押すようになっている。また、浮き上がり防止部131cが、第二密閉容器75の短辺側(図4A及び図4Bの右側)に位置しており、第二密閉容器75の短辺の浮き上がりを防止するようになっている。また、押圧浮き上がり防止部131dが、第二密閉容器75の短辺側(図4A及び図4Bの左側)に位置しており、第二密閉容器75の短辺の浮き上がりを防止しつつ第二密閉容器75の短辺を水平方向で押すようになっている。

0071

図5及び図6に示すように、本実施の形態の細胞剥離装置140は、上下方向(所定方向)で超音波振動する振動子141aを有する超音波プローブ141と、超音波プローブ141を取り囲んで配置された枠体142(特許請求の範囲の「振動子側枠体」に対応する。)と、枠体142に加わった上下方向(所定方向)の力を検知する第一検知部143と、を有している。フィルム77に枠体142が接触していないときには、振動子141aのフィルム77側の端部(本実施の形態では振動子141aの上端)は枠体142の内方に収容されているが(図7A参照)、フィルム77に枠体142を押しつけることで振動子141aのフィルム77側の端部(本実施の形態では振動子141aの上端)が枠体142の上方に突出する(図7C参照)。

0072

図5に示すように本実施の形態の枠体142は上下方向で振動する振動子141aを取り囲むように配置されており、容器保持部131が第二密閉容器75を保持した状態で昇降部134により超音波プローブ141を上方に移動させると、枠体142がフィルム77の裏面に当接することとなる(図7A図7C参照)。また、枠体142は、その先端がフィルム77の裏面に当接される上下方向延在部142aと、上下方向延在部142aの下端から水平方向に延びた水平方向延在部142bと、を有している。本実施の形態では、水平方向延在部142bの下方に、超音波プローブ141の周縁を保持する、略矩形形状プローブ保持部139が設けられている。そして、枠体142の水平方向延在部142bとプローブ保持部139との間にバネ等からなる複数(本実施の形態では4つ)の弾性部材145が設けられており、枠体142がフィルム77に当接することで下方に移動したときには、当該弾性部材145によって枠体142に対して上方に向かって付勢力が働くようになっている。なお、図5では3つの弾性部材145しか示されていないが、枠体142の裏に1つの弾性部材145が設けられている。

0073

また、プローブ保持部139に上述した第一検知部143が設けられており、この第一検知部143は枠体142の水平方向延在部142bの下方に位置している。このため、第一検知部143として接触式センサを採用した場合には、枠体142の水平方向延在部142bの下面と接触式センサの上端とが接触可能となり、枠体142の水平方向延在部142bの下面に接触式センサの上端が接触した時点で昇降部134による超音波プローブ141の上昇が停止される。また、第一検知部143として近接式センサを採用した場合には、枠体142の水平方向延在部142bの下面と接触式センサの上端との間の距離を測定することができ、枠体142の水平方向延在部142bの下面と近接式センサの上端との間が所定の距離となった時点で昇降部134による超音波プローブ141の上昇が停止される。つまり、第一検知部143として接触式センサを採用した場合には、接触式センサの上端が枠体142の水平方向延在部142bの裏面に当接した時点でフィルム77の裏面から枠体142に所定の大きさの力が加わったと判断され、第一検知部143として近接式センサを採用した場合には、近接式センサの上端と枠体142の水平方向延在部142bの裏面との間が所定の距離となった時点でフィルム77の裏面から枠体142に所定の大きさの力が加わったと判断される。また、第一検知部143として力センサを採用した場合には、枠体142の水平方向延在部142bの下面から力センサの上端に加わった力を測定することができ、枠体142の水平方向延在部142bの下面から力センサの上端に加わった力が所定の大きさとなった時点で昇降部134による超音波プローブ141の上昇が停止される。つまり、第一検知部143として接触式センサを採用した場合には、接触式センサの上端が枠体142の水平方向延在部142bの裏面に当接した時点でフィルム77の裏面から枠体142に所定の大きさの力が加わったと判断され、第一検知部143として近接式センサを採用した場合には、近接式センサの上端と枠体142の水平方向延在部142bの裏面との間が所定の距離となった時点でフィルム77の裏面から枠体142に所定の大きさの力が加わったと判断され、第一検知部143として力センサを採用した場合には、力センサの上端に枠体142の水平方向延在部142bの裏面から所定の大きさの力が加わった時点でフィルム77の裏面から枠体142に所定の大きさの力が加わったと判断される。ちなみに、図7A図7Cに示した態様は、第一検知部143として接触式センサを採用した場合のものである。ところで、第一検知部143として接触式センサを採用した場合であっても、必ずしも接触式センサの上端が枠体142の水平方向延在部142bの裏面に当接した時点で昇降部134による超音波プローブ141の上昇を停止させる必要はなく、接触式センサの上端が枠体142の水平方向延在部142bの裏面に当接した箇所から所定量、超音波プローブ141を上方に押し込んでから超音波プローブ141の上昇を停止するようにしてもよい。

0074

図5に示すように本実施の形態の枠体142の上端の横断面は矩形状となっているが、これに限られることはなく様々な形状を採用することができ、一例としては円形状とすることもできるし、矩形の角に位置する4つのピンが上方に突出しており当該ピンがフィルム77の裏面に当接する態様にすることもできる。ちなみに、図5のように上端の横断面が矩形状となった枠体142を採用することで、振動子141aの振動に起因するフィルム77の振動が枠体142の周縁外方に広がることを効果的に防止することを期待できる。なお、枠体142の材料の一例としてはポリアセタール(POM)、硬質プラスチックゴム等を挙げることができる。ところで、一例を挙げるとすれば、振動子141aの先端の断面は直径が2mm程度の円形状となっており、枠体142の先端の断面は一辺が3mm〜4mm程度の正方形となっている。

0075

また、枠体142を二つ以上の部位から形成してもよく、例えば図8に示すように、枠体142が、フィルム77の裏面に当接する第一枠体142a1と、第一枠体142a1の下方側(基端側、第一検知部143側)に位置する第二枠体142a2とを有してもよい。

0076

本実施の形態の枠体142は、フィルム77の裏面から枠体142に加わる力が所定の大きさになるまで押し込まれる。そして、このようにフィルム77の裏面から枠体142に加わる力が所定の大きさになるまで押し込まれた後で、超音波プローブ141がさらに上昇し、振動子141aの上端がフィルム77の裏面の一部に選択的に所定の力で当接され、上下方向で超音波振動されて、不良細胞のコロニーがフィルム77の表面から剥離される。

0077

なお、上記では本発明による第一態様及び第二態様を例に取って説明したが、これに限られることはなく、超音波プローブ141に加わったフィルム77の裏面からの力又は振動子141aとフィルム77の裏面との間の距離を検知するための第二検知部163(図9参照)が設けられ、振動子141aが第二検知部163による検知結果に基づいてフィルム77の裏面から振動子141aに加わる力が所定の大きさになるまで押し込まれ、その後、フィルム77の裏面に当接した振動子141aが超音波振動する態様(第三態様)を採用することもできる。また、第三態様において枠体142も採用し、振動子141aが第二検知部163による検知結果に基づいてフィルム77の裏面から振動子141aに加わる力が所定の大きさになるまで押し込まれ、その後、フィルム77の裏面に枠体142が当接した状態で、フィルム77の裏面に当接した振動子141aが超音波振動する態様(第四態様)を採用することもできる。
図8に示すように枠体142が第一枠体142a1及び第二枠体142a2を有する態様を採用した場合、第一枠体142a1の弾性率は第二枠体142a2の弾性率よりも低くなっていてもよい。具体的には、例えば、第一枠体142a1は弾性体ゴム材等)から形成され、第二枠体142a2は硬質のプラスチックから形成され得る。このような態様では、枠体142がフィルム77に当接する際に、第一枠体142a1がフィルム77と第二枠体142a2との間に挟まれることで収縮され、第一枠体142a1の復元力によりフィルム77の裏面に枠体142が当接した状態が確実に維持され得る。すなわち、第一枠体142a1が弾性部材145と同様の機能を果たし得る。従って、このような態様では、図12に示すように、枠体142とプローブ保持部139との間から弾性部材145が省略され、枠体142とプローブ保持部139とが一体化(固定して連結)されてもよい。

0078

また、第二検知部163の代わりに又は第一検知部143に加えて、超音波プローブ141の出力を検知する第三検知部183が設けられていてもよい(図6参照)。このように第三検知部183で超音波プローブ141の出力をモニターしながら、超音波プローブ141をフィルム77の裏面に押し付けていくことで、超音波プローブ141のフィルム77に対する押し付け距離を測定し、制御することができる。このような第三検知部183を採用した場合には、第一検知部143や第二検知部163等の他の検知部を用いることなく、超音波プローブ141のフィルム77に対する押し付け距離を制御することができ、ひいては、フィルム77から剥離される細胞の範囲を制御することができる。なお、振動子141aが連続的に振動されながら超音波プローブ141が上方に移動されてもよいが、超音波プローブ141の出力を検知するときにだけ振動子141aが振動され、それ以外の例えば超音波プローブ141を上方に移動させる際には振動子141aは振動されていなくてもよい。

0079

ちなみに、出力を一定にして超音波プローブ141をフィルム77に押し付けた際、その押し付け距離に応じてフィルム77から剥離される細胞の範囲が変化する。具体的には、押し付け距離が大きければ大きいほど、フィルム77から剥離される細胞の範囲が広範囲となる。また、超音波プローブ141をフィルム77に押し付けた際、その押し付け距離に応じて超音波プローブ141の出力も変化する(図10参照)。具体的には、押し付け距離が大きければ大きいほど、超音波プローブ141の出力も大きくなる。このため、第三検知部183で超音波プローブ141の出力をモニターしながら超音波プローブ141をフィルム77の裏面に押し付けていくことで、フィルム77から剥離される細胞の範囲を制御することができる。なお、第三検知部183は、超音波プローブ141の先端がフィルム77の裏面に接触することで変化する超音波プローブ141からの入射又は反射エネルギーを検知するようになっている。超音波プローブ141で消費されるエネルギーを処理時間(例えば5秒)で割った値を平均の出力としたときに、図10は、超音波プローブ141の上下方向の移動距離を横軸にとり、超音波プローブ141の平均の出力を縦軸にとったグラフである。図10のグラフでは3つ目のプロットと4つ目のプロットとの間でフィルム77の裏面に超音波プローブ141の先端が接触した態様となっている。図10に示すように、フィルム77の裏面に超音波プローブ141の先端が接触する前では平均の出力はほぼ一定であるが、フィルム77の裏面に超音波プローブ141の先端が接触した後では、超音波プローブ141を上方に移動させるにつれて平均の出力が大きくなっている。このように第三検知部183は超音波プローブ141の出力をモニターすることで、第二検知部と同様に、振動子141aに加わったフィルム77の裏面からの力あるいは振動子141aとフィルム77の裏面との接触を検知することができる。

0080

《方法》
細胞検査除去部25,35によってフィルム77の表面側に付着した培養又は継代に不要な不良細胞のコロニーを剥離させる際には、以下のような工程を経ることとなる。

0081

インキュベータ部27,37で保持されていた第二密閉容器75が、装置(iPS細胞自動培養装置20又は分化細胞自動培養装置30)内の機内搬送部23,33によって、細胞検査部120に搬送される。

0082

そして、細胞検査部120の光学顕微鏡121(図3参照)によって、フィルム77の表面側に形成された細胞のコロニーが観察される。そして、当該光学顕微鏡121によって得られた画像に基づいて細胞のコロニーの位置を認識するとともに各コロニーの良否が判断部122によって判断される。そして、不良細胞のコロニーが存在する場合にはその位置等が検査記憶部123に記憶される。

0083

不良細胞が存在する第二密閉容器75は、装置(iPS細胞自動培養装置20又は分化細胞自動培養装置30)内の機内搬送部23,33によって、細胞除去部130の容器保持部131まで搬送される(図4A及び図4B参照)。このように容器保持部131まで搬送された第二密閉容器75は、4つの受け部131aの内方に位置づけられる。その後、浮き上がり防止部131cが第二密閉容器75の1つの短辺の上面を覆い、押圧浮き上がり防止部131dが第二密閉容器75の別の短辺側の上面を覆うとともに水平方向で第二密閉容器75の短辺側の側面を押圧し、押圧部131bが第二密閉容器75の長辺側の側面を押圧する。この際、第二密閉容器75は、そのフィルム77が容器本体の下方にくるように位置づけられている。

0084

次に、XYステージ132によって第二密閉容器75が移動されることで、取り除かれるべき不良細胞のコロニーが存在する箇所が超音波プローブ141の振動子141aの上方に位置づけられる。

0085

このように第二密閉容器75が位置づけられると、昇降部134によって超音波プローブ141が上昇される。このように超音波プローブ141が上昇されると、まず、枠体142の上下方向延在部142aの上端がフィルム77の裏面に押し込まれる(図7A参照)。さらに超音波プローブ141を上昇させることによって、弾性部材145がフィルム77からの力を受けて縮み、超音波プローブ141に対して枠体142が相対的に下方に移動し、超音波プローブ141の振動子141aの上端と枠体142の上端とが同一平面上に位置する(図7B参照)。さらに超音波プローブ141を上昇させることによって、超音波プローブ141の振動子141aの上端が枠体142の上端の上方まで位置し(図7C参照)、第一検知部143による検知結果に基づいてフィルム77の裏面から枠体142及び振動子141aの上端に加わる力が所定の大きさになったと判断されることで昇降部134による超音波プローブ141の上昇が停止される。その後、振動子141aが上下方向で超音波振動することによって、第二密閉容器75のフィルム77に裏面側から超音波振動が加えられ、対象となっている不良細胞(iPS細胞又は分化細胞)が容器本体側の表面から剥離される。

0086

なお、第一検知部143として接触式センサを採用した場合には、枠体142の水平方向延在部142bの下面と接触式センサの上端とが接触した時点で昇降部134による超音波プローブ141の上昇が停止される。他方、第一検知部143として近接式センサを採用した場合には、枠体142の水平方向延在部142bの下面と近接式センサの上端との間が所定の距離となった時点で昇降部134による超音波プローブ141の上昇が停止される。

0087

対象となっている第二密閉容器75に関して複数の不良細胞のコロニーが存在する場合には、対象となっている不良細胞のコロニーがフィルム77の表面から剥離された後で、XYステージ132によって第二密閉容器75が水平方向に移動され、取り除かれるべき次の不良細胞のコロニーが存在する箇所が振動子141aの上方に位置づけられる。そして、当該不良細胞のコロニーが上述したのと同様の手法によってフィルム77の表面から剥離される。そして、当該第二密閉容器75に関して、取り除かれるべき不良細胞のコロニーが全てフィルム77の表面から剥離されるまで、上述した工程が繰り返して行われる。

0088

以上のようにして不良細胞の全てのコロニーが第二密閉容器75のフィルム77の表面から剥離されると、装置(iPS細胞自動培養装置20又は分化細胞自動培養装置30)内の機内搬送部23,33によって、第二密閉容器75が液体保管供給部26,36に運ばれる。その後で、液体培地が流入口から第二密閉容器75内に供給されることで、剥離され浮遊した不良細胞が流出口を介して第二密閉容器75から押し出されて、排出部28,38から排出される。なお、このように液体培地を交換するタイミングは、細胞検査除去部25,35にて細胞除去を行った直後であってもよいし、ある程度時間が経過した後であってもよい。

0089

《効果》
次に、上述した構成からなる第一態様、第二態様、第三態様及び第四態様によって達成される効果であって、まだ述べていない効果又はとりわけ重要な効果について説明する。

0090

第一態様、第二態様、第三態様及び第四態様によれば、振動子141aが第二密閉容器75のフィルム77の表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える(図7C参照)。このため、特許文献1に開示された技術では実現が難しかった、不良細胞等の所定の細胞のコロニーを超音波振動によって選択的に剥離することを実現することができる。

0091

また、第二態様によれば、上下方向で超音波振動する振動子141aが枠体142で取り囲まれ、振動子141aを備える超音波プローブ141と枠体142は昇降部134により上昇し、それらの上端がフィルム77の裏面に当接する。この際、枠体142に加わった上下方向の力が第一検知部143によって検知される。そして、枠体142が第一検知部143による検知結果に基づいてフィルム77の裏面から枠体142に加わる力が所定の大きさになるまで押し込まれ、その後で、フィルム77の裏面に枠体142の上端が当接した状態で振動子141aの上端がフィルム77の裏面に所定の力で当接する。そして、その後で、振動子141aが超音波振動する。このため、第二密閉容器75のフィルム77を適切な強さの力で裏面側から枠体142によって押圧しつつ、当該フィルム77の所定箇所に対して振動子141aによって超音波振動を与えることができる。この結果、振動子141aが強く押し当てられすぎて振動子141aがフィルム77を貫通してしまったり、フィルム77への当接が不十分であるために振動子141aから加わる振動が不均一となることで細胞のコロニーの剥離状況が不均一になることを防止したりすることができる。

0092

第一態様、第二態様及び第四態様によれば振動子141aの周りに枠体142が設けられている。そして、枠体142が振動子141aの上端を取り囲んでおり、振動子141aの上端の周りで第二密閉容器75のフィルム77の裏面を支持することができる。このため、振動子141aのみでフィルム77の裏面を支持する場合と比較してフィルム77の裏面に加わる圧力を小さくすることができる。また、第二態様では、単に枠体142が振動子141aの上端を取り囲んでいるだけでなく、枠体142が第一検知部143による検知結果に基づいてフィルム77の裏面から枠体142に加わる力を所定の大きさに留めることもできる。このため、振動子141a又は枠体142が強く押し当てられすぎて振動子141aがフィルム77を貫通することを防止することができる。また、第二態様では、フィルム77の裏面から枠体142に加わる力を所定の大きさとしたうえで、振動子141aがフィルム77の裏面に当接して超音波振動する。このため、細胞のコロニーを剥離する際に、ほぼ均一の力で撓んだフィルム77の裏面を枠体142の上端及び振動子141aの上端で支持したうえで、当該フィルム77の裏面に対して振動子141aから振動を与えることができる。この結果、下方に撓むフィルム77を枠体142により所定の力で支持したうえで、振動子141aの上端がフィルム77の裏面に所定の大きさの力で当接した状態とした後で、当該フィルム77の裏面に超音波振動を与えることができ、ひいては、振動子141aから加わる振動を均一なものとして、各回における細胞のコロニーの剥離状況を均一なものにすることができる。

0093

また、第一態様、第二態様及び第四態様では、枠体142が振動子141aの上端の周りで第二密閉容器75のフィルム77の裏面を支持した状態で、振動子141aが超音波振動する。このように枠体142の上端が振動子141aの周縁外方でフィルム77の裏面に当接していることから、振動子141aの振動に起因するフィルム77の振動が枠体142の周縁外方に広がることを防止することができる。このため、振動子141aによる振動の影響を対象となっている不良細胞のコロニーに極力限定することができ、当該不良細胞のコロニーに隣接する良好な細胞のコロニーが誤って剥離されることを防止することができる。

0094

また、図7A図7Cに示す態様では、フィルム77に枠体142が接触していないときには、振動子141aの上端は枠体142の内方に収容されているが(図7A参照)、フィルム77に枠体142を押しつけることで振動子141aの上端が枠体142の上方に突出するようになっている(図7C参照)。このため、フィルム77の裏面にまず断面積の大きな枠体142の上端を当接させた後で断面積の小さな振動子141aの上端を当接させることができ、フィルム77に局所的に力が加わり過ぎて、フィルム77が破れてしまうことを防止することができる。

0095

また、第一検知部143として接触式センサを採用した場合には、水平方向延在部142bの下面と接触式センサの上端とが接触した時点で昇降部134による超音波プローブ141の上昇を停止し、また、第一検知部143として近接式センサを採用した場合には、水平方向延在部142bの下面と近接式センサの上端との間が所定の距離となった時点で昇降部134による超音波プローブ141の上昇を停止することができる。このため、水平方向延在部142bとプローブ保持部139との間の上下方向の距離を常に一定にした状態で超音波プローブ141の上昇を停止させることができ、ひいては、枠体142の上端から飛び出す振動子141aの位置を常に一定のものとしたうえで、振動子141aを超音波振動させることができる。つまり、振動子141aが静止している状態において、フィルム77と枠体142間にかかる力及びフィルム77と振動子141a間にかかる力を常に一定とすることができる。このため、各回における第二密閉容器75のフィルム77の振動子141a及び枠体142に対する撓み具合を同様のものとすることでき、不良細胞を含むコロニーの剥離状況を各回において均一なものにすることができる。

0096

なお、上述した第三検知部183(図6参照)を採用した場合には、第三検知部183で超音波プローブ141の出力をモニターしながら、超音波プローブ141をフィルム77の裏面に押し付けていくことで、超音波プローブ141のフィルム77に対する押し付け距離を測定し、制御することができ、ひいては、フィルム77から剥離される細胞の範囲を制御することができる。

0097

また、枠体142が、硬質のプラスチック、ゴム等から形成され、高い弾性率となっている場合には、弾性率の高い材料で振動子141aの振動に起因するフィルム77の振動の広がりを防止することができる。このため、振動子141aによる振動の影響を対象となっている不良細胞のコロニーに、より確実に限定することができ、当該不良細胞のコロニーに隣接する良好な細胞のコロニーが誤って剥離されることをより確実に防止することができる。なお、図8に示すように枠体142が第一枠体142a1及び第二枠体142a2を有する態様を採用した場合であって、第一枠体142a1が硬質のプラスチック、ゴム等から形成され、第一枠体142a1の弾性率が高くなっている場合にも同様の効果を奏することができる。

0098

また、図5に示す態様では、4つの弾性部材145が均等な間隔で配置されていることから、フィルム77の裏面に当接した枠体142が偏った方向で傾くことなく、撓んだフィルム77の法線方向に極力沿った方向でフィルム77の裏面を押圧することができる。このため、各回における第二密閉容器75のフィルム77の振動子141a及び枠体142に対する撓み具合を同様のものとすることでき、ひいては、不良細胞を含むコロニーの剥離状況を各回において均一なものにすることができる。

0099

第五態様及び第六態様は、フィルム77の裏面に振動子141aを当接させた際に当該振動子141aの周縁方向外方でフィルム77の裏面に当接する枠体150を採用したものである。枠体150は、フィルム77の裏面において剥離操作対象となる範囲を取り囲んで配置されている。この枠体150は、容器保持部131で第二密閉容器75を保持する際に、第二密閉容器75の下方に載置されて、容器保持部131によって第二密閉容器75と一緒に保持されてもよいし、あらかじめ各第二密閉容器75に接着されていてもよい。

0100

また、第五態様及び第六態様では、枠体に加わったフィルム77の裏面からの力又は枠体とフィルム77の裏面との間の距離を検知するための第一検知部143の代わりに、振動子141aに加わったフィルム77の裏面からの力又は振動子141aとフィルム77の裏面との間の距離を検知するための第二検知部163が設けられていてもよい(図9参照)。そして、振動子141aは第二検知部163による検知結果に基づいてフィルム77の裏面から振動子141aに加わる力が所定の大きさになるまで押し込まれ、その後、フィルム77の裏面に枠体150が当接した状態で振動子141aが超音波振動することとなる。

0101

第五態様及び第六態様では、容器保持部131がこれら第二密閉容器75及び枠体150を保持することで、枠体150がフィルム77の裏面に当接される。次いで、枠体150に設けられた隙間を介して振動子141aをフィルム77の裏面に押し込む。この際、第二検知部163による検知結果に基づいて、フィルム77の裏面から振動子141aに加わる力が所定の大きさになるまで振動子141aをフィルム77の裏面に押し込む。次いで、枠体150をフィルム77の裏面に当接した状態でフィルム77の裏面に当接した振動子141aを超音波振動する。この際、振動子141aはフィルム77の表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与えることとなる。

0102

第五態様及び第六態様において、その他の構成は、第二態様と略同一の態様となっている。第五態様及び第六態様において、第二態様と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。

0103

第五態様及び第六態様では、第一態様、第二態様、第三態様及び第四態様で述べた効果と同様の効果を奏することができる。以下では、第五態様及び第六態様で達成される主な効果について説明する。

0104

第五態様及び第六態様によれば、振動子141aが第二密閉容器75のフィルム77の表面に付着した所定の細胞に対して選択的に超音波振動を与える(図7C参照)。このため、特許文献1に開示された技術では実現が難しかった、不良細胞等の所定の細胞のコロニーを超音波振動によって領域選択的に剥離することを実現することができる。

0105

また、第六態様によれば、上下方向で超音波振動する振動子141aが枠体150の枠体ユニット151a,151bで取り囲まれ、振動子141aを備える超音波プローブ141は昇降部134により上昇し、その上端がフィルム77の裏面に当接する。この際、振動子141aに加わった上下方向の力が第二検知部163によって検知される。そして、振動子141aが第二検知部163による検知結果に基づいてフィルム77の裏面から振動子141aに加わる力が所定の大きさになるまで押し込まれ、その後で、フィルム77の裏面に枠体150が当接した状態で振動子141aの上端がフィルム77の裏面に所定の力で当接した状態で超音波振動する。このため、第二密閉容器75のフィルム77を適切な強さの力で裏面側から振動子141aによって押圧した後で、当該フィルム77の所定箇所に対して振動子141aによって超音波振動を与えることができる。この結果、振動子141aが強く押し当てられすぎて振動子141aがフィルム77を貫通してしまったり、フィルム77への当接が不十分であるために振動子141aから加わる振動が不均一となることで細胞のコロニーの剥離状況が不均一になることを防止したりすることができる。

0106

この点について説明する。第六態様によれば振動子141aの周りに枠体150の枠体ユニット151a,151bが載置されることとなる。そして、枠体150の枠体ユニット151a,151bが振動子141aの上端を取り囲んでおり、振動子141aの上端の周りで第二密閉容器75のフィルム77の裏面を支持することができる。このため、振動子141aのみでフィルム77の裏面を支持する場合と比較してフィルム77の裏面に加わる圧力を小さくすることができる。また、第六態様では、第二検知部163による検知結果に基づいてフィルム77の裏面から振動子141aに加わる力を所定の大きさに留めることもできる。これらのことから、振動子141aが強く押し当てられすぎて振動子141aがフィルム77を貫通することを防止することができる。また、第六態様では、フィルム77の裏面から振動子141aに加わる力を所定の大きさとした後で、振動子141aがフィルム77の裏面に当接して超音波振動する。このため、細胞のコロニーを剥離する際の各回において、ほぼ均一の力でフィルム77の裏面に対して振動子141aから振動を与えることができる。この結果、振動子141aの上端がフィルム77の裏面に所定の大きさの力で当接した状態とした後で、当該フィルム77の裏面に超音波振動を与えることができ、ひいては、振動子141aから加わる振動を均一なものとして、各回における細胞のコロニーの剥離状況を均一なものにすることができる。

0107

また、第五態様及び第六態様では、枠体150が振動子141aの上端の周りで第二密閉容器75のフィルム77の裏面を支持した状態で、振動子141aが超音波振動する。このように枠体142の上端が振動子141aの周縁外方でフィルム77の裏面に当接していることから、振動子141aの振動に起因するフィルム77の振動が枠体142の周縁外方に広がることを防止することができる。このため、振動子141aによる振動の影響を対象となっている不良細胞のコロニーに極力限定することができ、当該不良細胞のコロニーに隣接する良好な細胞のコロニーが誤って剥離されることを防止することができる。

0108

なお、上述した各態様において、第二密閉容器75のフィルム77は、熱硬化性樹脂材料、とくに熱硬化性ゴム(たとえば、シリコーンゴム)から形成されていることが好ましい。フィルム77が熱可塑性樹脂材料(たとえば、ポリスチレンフィルム)から形成されている場合、領域選択性が悪く、振動子141aの当接領域だけでなく周囲の良好な細胞のコロニーも剥離されるおそれがある。また、振動子141aの発振時間が長すぎたり、押し付けが強すぎたりすると、摩擦熱によりフィルム77が溶けて穴が空き、液漏れが発生するおそれがある。一方、フィルム77が熱硬化性材料、とくに熱硬化性ゴム(たとえば、シリコーンゴム)から形成されている場合、領域選択性が向上するとともに、摩擦熱によりフィルム77が溶けて穴が空くことは無い。

0109

図11に示すように、振動子141aのフィルム77側の端部は、ローレット(knurling)加工されていることが好ましい。振動子141aのフィルム77側の端部が平面状に形成されている場合、端部の中央部の超音波振動エネルギーが外周部に比べて強くなる。一方、振動子141aのフィルム77側の端部がローレット加工されている場合、端部の中央部に超音波振動エネルギーが集中することが抑えられ、端部における超音波振動エネルギーの分布が均一となる。これにより、フィルム77の裏面に振動子141aが当接される際に、超音波振動エネルギーが当接範囲の一部に過剰に供給されることを抑えることができ、フィルム77が破れるリスクをさらに軽減することができる。

0110

本件発明者が、0.05mm厚のシリコーンゴムをフィルム77の基材としたOptiCell(商標)を用意し、ローレット加工された直径1.8mmの振動子141aの先端を、枠体142または150を使用せずにフィルム77の裏面に当接させ、70kHzで2秒間発振させたところ、実効剥離領域を、振動子141aの先端の直径(1.8mm)+0.8mmに抑えることができた。iPS細胞のコロニーは直径3.0mm程度以下で培養されることが未分化維持のために望ましいことを考慮すると、振動子141aの先端の直径は2.2mm(3mm−0.8mm)以下であることが望ましい。また、iPS細胞のコロニーは直径1mm以上まで培養する手法が広く用いられていることを考慮すると、振動子141aの先端の直径は1mm以上であることが望ましい。また、本件発明者が、この振動子141aをフィルム77の裏面に1mm押し込んだ状態で発振させても、フィルム77が破れることは無かった。また、本件発明者が、この振動子141aをフォルム77の裏面に当接させた状態で、70kHzで10秒間発振させても、フィルム77が破れることは無かった。

0111

次に、本件発明者が、0.07mm厚のポリスチレンフィルムをフィルム77の基材としたOptiCell(商標)を用意し、ローレット加工されていない直径2mmの振動子141aの先端を、枠体142または150を使用せずにフィルム77の裏面に当接させ、70kHzで2秒間発振させたところ、実効剥離領域は、直径5mm以上であった。また、本件発明者が、この振動子141aをフィルム77の裏面に当接させた状態で、70kHzで5秒間発振させたところ、フィルム77が熱で溶けて穴が空き、培地が漏れてしまった。

0112

最後になったが、上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。

0113

75 第二密閉容器
77フィルム(細胞培養膜)
140細胞剥離装置
141超音波プローブ
141a振動子
142枠体
142a1 第一枠体
142a2 第二枠体
143 第一検知部
145弾性部材
150 枠体
151a枠体ユニット
151b 枠体ユニット

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