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技術 レールおよびその製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 木村達己高嶋由紀雄
出願日 2015年3月24日 (5年9ヶ月経過) 出願番号 2016-510035
公開日 2017年4月13日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 WO2015-146150
状態 特許登録済
技術分野 金属圧延一般 鋼の加工熱処理
主要キーワード 接触環境 断面減少 摩耗挙動 ラメラー組織 ブリネル硬さ レール交換 JIS規格 靱延性
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題・解決手段

レール長さ方向の硬さのばらつきを抑制して優れた耐摩耗性を確保したレールを提供する。 C:0.60〜1.0%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.035%以下、S:0.030%以下およびCr:0.1〜2.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物成分組成を有するレールであって、該レール長さ方向の表面硬さのばらつきを±HB15ポイント以下とする。

概要

背景

貨物輸送鉱山鉄道では積載重量客車と比較して重いため、貨車車軸にかかる荷重は高く、レール車輪との間の接触環境は非常に苛酷である。こうした環境に用いられるレールには耐摩耗性が求められており、従来、パーライト組織を有する鋼が用いられている。

近年、鉄道輸送における効率化のために貨物鉱物の積載重量の更なる増加などが進み、レールの摩耗が一層激しくなっており、レール交換寿命は短くなっている。そのため、レールの交換寿命延長にむけてレールの耐摩耗性向上が求められており、レール硬さを高めた高硬度のレールが数多く提案されている。
例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4には、セメンタイトの量を増加させた過共析レールおよびその製造方法について開示されている。さらに、特許文献5、特許文献6および特許文献7には、共析炭素レベルの鋼に対してパーライト組織のラメラー間隔微細化することによって高硬度化を図った技術が開示されている。

レールの製造法に関して、特許文献8には、レール鋼片圧延において、頭部表面温度850℃〜1050℃での最終仕上げを残した仕上げ圧延を行い、3秒以上1分以下のパス間時間の後、頭部表面温度で800℃〜950℃にて1パス当たり10%以下の圧下率で1パスまたは複数パスの最終仕上げ圧延を行い、その後、0.1〜10秒の間に冷却速度2〜4℃/秒の加速冷却を開始し、頭部およびコーナー部の表面下5mm未満の温度をAr1変態点以下まで冷却し、続いて表面の最大冷速4℃/秒以上30℃/秒以下の冷速で冷却することを特徴とする、頭部内部疲労損傷性に優れた高強度レールの製造方法が提案されている。

特許文献9には、C:0.60〜1.00%を含有する炭素鋼または低合金鋼鋼片レール形状粗圧延した後、該レールの表面温度が850〜1000℃の間を、1パス当たり断面減少圧下率が5〜30%の圧延を3パス以上でかつ圧延パス間を10秒以下とする連続仕上圧延を施し、以降放冷ないしは700℃以上の温度から700〜500℃の間を2〜15℃/秒で冷却する事を特徴とする、パーライト金属組織を呈した高靭性レールの製造法が示されている。

さらに、特許文献10には、質量%で、C:0.65〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%を含有し残部がFeおよび不可 避的不純物からなるレール圧延用鋼片に対して、少なくとも粗圧延及び仕上げ圧延を行うことにより耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールを製造する方法であって、前記仕上げ圧延において、レール頭部表面が900℃以下〜Ar3変態点もしくはArcm変態点以上の温度範囲で、頭部の累積減面率を20%以上、かつ、圧延機反力値を同一累積減面率かつ圧延温度950℃での反力値で除した値である反力比を1.25以上とする圧延を行い、その後、仕上げ圧延後のレール頭部表面を、冷却速度2〜30℃/secで少なくとも550℃まで加速冷却又は自然放冷することを特徴とする、耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法が開示されている。

貨物輸送や鉱山鉄道が主体高軸重鉄道用のレールには、レールの耐久性を向上させるために耐摩耗性の優れたレールが求められ、上記のとおり様々な高硬度化を指向したレールが提案されている。

概要

レール長さ方向の硬さのばらつきを抑制して優れた耐摩耗性を確保したレールを提供する。 C:0.60〜1.0%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.035%以下、S:0.030%以下およびCr:0.1〜2.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物成分組成を有するレールであって、該レール長さ方向の表面硬さのばらつきを±HB15ポイント以下とする。

目的

本発明は、レール長さ方向の硬さのばらつきを抑制して優れた耐摩耗性を確保したレールについて、その製造方法に併せて提案することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

質量%で、C:0.60〜1.0%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.035%以下、S:0.030%以下およびCr:0.1〜2.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物成分組成を有するレールであって、該レール長さ方向のレール頭部の表面硬さのばらつきが±HB15ポイント以下であるレール。

請求項2

前記成分組成はさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下およびV:0.15%以下の1種または2種以上を含有する請求項1に記載のレール。

請求項3

前記レール頭部の表面硬さがHB400以上である請求項1または2に記載のレール。

請求項4

前記表面硬さのばらつきが±HB10ポイント以下である請求項1乃至3のいずれかに記載のレール。

請求項5

C:0.60〜1.0%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.01〜1.5%、P:0.035%以下、S:0.030%以下およびCr:0.1〜2.0%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成になる鋼素材を、1200℃以上に加熱した後、熱間圧延を施してレールを製造するに当たって、前記熱間圧延において、1000℃以下の温度域にてレール長さ方向へ複数パスにわたる圧延を行い、該圧延を行う際の、レール長さ方向のパス間時間のばらつきを15s以内、レール頭部となる部分の累積減面率を40%以上、仕上げ圧延温度を900℃以上とし、該熱間圧延に引き続いて、レール頭部に、冷却開始温度:800℃以上、冷却停止温度:600℃以下および冷却速度:1〜10℃/sとした冷却を行うレールの製造方法。

請求項6

前記成分組成はさらに、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下およびV:0.15%以下の1種または2種以上を含有する請求項5に記載のレールの製造方法。

請求項7

前記冷却は、レールの長さ方向の冷却速度のばらつきを±1℃/s以下とする請求項5または6に記載のレールの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、レール、特に高硬度かつ硬さのばらつきが小さいレールおよびその製造方法に関する。

背景技術

0002

貨物輸送鉱山鉄道では積載重量客車と比較して重いため、貨車車軸にかかる荷重は高く、レールと車輪との間の接触環境は非常に苛酷である。こうした環境に用いられるレールには耐摩耗性が求められており、従来、パーライト組織を有する鋼が用いられている。

0003

近年、鉄道輸送における効率化のために貨物鉱物の積載重量の更なる増加などが進み、レールの摩耗が一層激しくなっており、レール交換寿命は短くなっている。そのため、レールの交換寿命延長にむけてレールの耐摩耗性向上が求められており、レール硬さを高めた高硬度のレールが数多く提案されている。
例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4には、セメンタイトの量を増加させた過共析レールおよびその製造方法について開示されている。さらに、特許文献5、特許文献6および特許文献7には、共析炭素レベルの鋼に対してパーライト組織のラメラー間隔微細化することによって高硬度化を図った技術が開示されている。

0004

レールの製造法に関して、特許文献8には、レール鋼片圧延において、頭部表面温度850℃〜1050℃での最終仕上げを残した仕上げ圧延を行い、3秒以上1分以下のパス間時間の後、頭部表面温度で800℃〜950℃にて1パス当たり10%以下の圧下率で1パスまたは複数パスの最終仕上げ圧延を行い、その後、0.1〜10秒の間に冷却速度2〜4℃/秒の加速冷却を開始し、頭部およびコーナー部の表面下5mm未満の温度をAr1変態点以下まで冷却し、続いて表面の最大冷速4℃/秒以上30℃/秒以下の冷速で冷却することを特徴とする、頭部内部疲労損傷性に優れた高強度レールの製造方法が提案されている。

0005

特許文献9には、C:0.60〜1.00%を含有する炭素鋼または低合金鋼鋼片レール形状粗圧延した後、該レールの表面温度が850〜1000℃の間を、1パス当たり断面減少圧下率が5〜30%の圧延を3パス以上でかつ圧延パス間を10秒以下とする連続仕上圧延を施し、以降放冷ないしは700℃以上の温度から700〜500℃の間を2〜15℃/秒で冷却する事を特徴とする、パーライト金属組織を呈した高靭性レールの製造法が示されている。

0006

さらに、特許文献10には、質量%で、C:0.65〜1.20%、Si:0.05〜2.00%、Mn:0.05〜2.00%を含有し残部がFeおよび不可 避的不純物からなるレール圧延用鋼片に対して、少なくとも粗圧延及び仕上げ圧延を行うことにより耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールを製造する方法であって、前記仕上げ圧延において、レール頭部表面が900℃以下〜Ar3変態点もしくはArcm変態点以上の温度範囲で、頭部の累積減面率を20%以上、かつ、圧延機反力値を同一累積減面率かつ圧延温度950℃での反力値で除した値である反力比を1.25以上とする圧延を行い、その後、仕上げ圧延後のレール頭部表面を、冷却速度2〜30℃/secで少なくとも550℃まで加速冷却又は自然放冷することを特徴とする、耐摩耗性および延性に優れたパーライト系レールの製造方法が開示されている。

0007

貨物輸送や鉱山鉄道が主体高軸重鉄道用のレールには、レールの耐久性を向上させるために耐摩耗性の優れたレールが求められ、上記のとおり様々な高硬度化を指向したレールが提案されている。

先行技術

0008

特許第4272385号公報
特許第3078461号公報
特許第3081116号公報
特許第3513427号公報
特許第4390004号公報
特開2009−108396号公報
特開2009−235515号公報
特許第3423811号公報
特許第3113137号公報
特開2008−50687号公報

発明が解決しようとする課題

0009

ところで、レールは鋼素材熱間圧延して製造され、その長さは100m以上にもなり、製造方法によってはレール長さ方向に硬さのばらつきを有してしまい、敷設された場合に偏摩耗を生じるために十分な効果を発揮できない場合がある。そのため、圧延長手方向の硬さのばらつきを軽減することは極めて重要なことであるが、この硬さのばらつきに関して上記の特許文献1〜10には何ら記載されていない。

0010

そこで、本発明は、レール長さ方向の硬さのばらつきを抑制して優れた耐摩耗性を確保したレールについて、その製造方法に併せて提案することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

発明者らは、硬さの異なるレール相当のパーライト組織を有する鋼材から、レール摩耗試験に供する試験片採取し、摩耗試験を行って硬さと摩耗量との関係を調査した。その調査結果を図1に示す。
なお、摩耗試験は、短時間で耐摩耗性を評価することができる西原式摩耗試験機を用いて実際のパーライト鋼レールと車輪との接触条件シミュレートした比較試験とした。すなわち、図2に示すように、レール頭部から採取した、外径30mmの西原式摩耗試験片1をタイヤ試験片2と接触させて回転させて試験を行う。同図中の矢印は、それぞれ西原式摩耗試験片1とタイヤ試験片2の回転方向を示す。タイヤ試験片は、JIS規格E1101に記載の普通レールの頭部から直径32mmの丸棒を採取し、ブリネル硬さ(Brinell荷重29.4kN)がHB370であり、組織焼戻しマルテンサイト組織となるように熱処理を行い、その後、図2に示す形状に加工を施し、タイヤ試験片とした。なお、西原式摩耗試験片1は、図3に示すようにレール頭部3の2箇所から採取する。レール頭部3の表層から採取するものを西原式摩耗試験片1aとし、内部から採取するものを西原式摩耗試験片1bとする。レール頭部3の内部から採取する西原式摩耗試験片1b の長手方向の中心は、レール頭部3の上面から24〜26mm(平均値25mm)の深さに位置する。試験環境条件は乾燥状態とし、接触圧力:1.2GPa,滑り率:−10%,回転速度: 750rpm(タイヤ試験片は750rpm)の条件で1.8×105回転後の摩耗量を測定する。摩耗量は、試験前後の試験片重量を測定し、その差によって算出した。

0012

図1に示すように、硬さの上昇とともに耐摩耗性は向上する。例えば、レールの硬さをHB400以上とすると、汎用熱処理レール(HB370)と比べて耐摩耗性を15%向上させることができる。しかしながら、レール長さ方向の硬さのばらつきが大きいと、硬い部分と軟らかい部分で摩耗挙動に差が生じることになる。例えばHB415ポイントで硬さのばらつきが±15以下(HB400以上HB430以下の範囲内でばらついている)の場合、摩耗量の変化は0.37gから0.3g変化するので摩耗量のばらつきは20%以内である。一方、HB415ポイントで硬さのばらつきが±30(HB385以上HB445以下の範囲内でばらついている)の場合を考えると、摩耗量の変化は0.40gから0.27gに変化するの で、摩耗量のばらつきは33%にもなる。こうしたことから、レールは使用中に車輪と接触することで摩耗が進行するため、できるだけ長さ方向に均等に摩耗することが好ましく、レールの高硬度化とともにレールの長手方向での硬さのばらつきを小さくすることで、レールの均一な摩耗が達成され、レール寿命の向上に寄与する。レール長さ方向の硬さのばらつきは、上述した摩耗試験の結果を考慮して20%以内の摩耗量ばらつきとすることが好ましく、表面硬さのばらつきは±HB15以内とすることで、長さ方向に対する優れた耐摩耗性が確保され、レール寿命向上に寄与することを見出し、本発明を完成させた。

0013

すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)質量%で、
C:0.60〜1.0%、
Si:0.1〜1.5%、
Mn:0.01〜1.5%、
P:0.035%以下、
S:0.030%以下および
Cr:0.1〜2.0%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物成分組成を有するレールであって、該レール長さ方向のレール頭部の表面硬さのばらつきが±HB15ポイント以下であるレール。
ここで、レール長さ方向の表面硬さのばらつきは、レール頭頂部を圧延長さ方向に5mピッチでレール全長(例えば25〜100m)にわたってブリネル硬さを測定し、測定結果から算出した平均値と、各測定点でのブリネル硬さの値との差のことを意味する。すなわち、レールの長さ方向の表面硬さのばらつきが±HB15ポイント以下とは、5mピッチで測定した全ての硬さの測定値(全長25mの場合は6点、全長50mの場合は11点、全長100mの場合は21点についての測定値)からブリネル硬さの平均値を求め、その平均値と各測定点についてのブリネル硬さとの差が最大で±15ポイント以内であることを意味する。なお、ブリネル硬さの測定に際しては、脱炭層グラインダなどで予め0.5mm以上除去した後に、測定を行う。

0014

(2)前記成分組成はさらに、質量%で、
Cu:1.0%以下、
Ni:0.5%以下、
Mo:0.5%以下および
V:0.15%以下
の1種または2種以上を含有する前記(1)に記載のレール。

0015

(3)前記レール頭部の表面硬さがHB400以上である前記(1)または(2)に記載のレール。

0016

(4)前記表面硬さのばらつきが±HB10ポイント以下である前記(1)乃至(3)のいずれかに記載のレール。

0017

(5)質量%で、
C:0.60〜1.0%、
Si:0.1〜1.5%、
Mn:0.01〜1.5%、
P:0.035%以下、
S:0.030%以下および
Cr:0.1〜2.0%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成になる鋼素材を、1200℃以上に加熱した後、熱間圧延を施してレールを製造するに当たって、
前記熱間圧延において、1000℃以下の温度域にてレール長さ方向へ複数パスにわたる圧延を行い、該圧延を行う際の、レール長さ方向のパス間時間のばらつきを15s以内、レール頭部となる部分の累積減面率を40%以上、仕上げ圧延温度を900℃以上とし、該熱間圧延に引き続いて、レール頭部に、冷却開始温度:800℃以上、冷却停止温度:600℃以下および冷却速度:1〜10℃/sとした冷却を行うレールの製造方法。

0018

(6)成分組成はさらに、質量%で、
Cu:1.0%以下、
Ni:0.5%以下、
Mo:0.5%以下および
V:0.15%以下
の1種または2種以上を含有する前記(5)に記載のレールの製造方法。

0019

(7)前記冷却は、レールの長さ方向の冷却速度のばらつきを±1℃/s以下とする前記(5)または(6)に記載のレールの製造方法。

発明の効果

0020

本発明によれば、レール長さ方向の硬さのばらつきを極めて小さくすることができ、特に重貨物鉄道や鉱山鉄道などの高軸重環境に敷設されるレールの耐久性向上(長寿命化)に極めて有効であり、産業上大きな効果を発揮する。

図面の簡単な説明

0021

レール材における硬さと摩耗量との関係を示すグラフである。
耐摩耗性を評価する西原式摩耗試験片を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
西原式摩耗試験片の採取位置を示すレール頭部の断面図である。

0022

まず、レールの成分組成における各成分の限定理由について以下に述べる。なお、成分における「%」表示は特に断らないかぎり「質量%」を意味する。
C:0.60〜1.0%
Cは、パーライトレールにおいてセメンタイトを形成し硬さや強度を高め、耐摩耗性を向上させる重要な元素である。しかし、0.60%未満ではそれらの効果が小さいことから、下限を0.60%とする。一方、C量の増加はセメンタイト量の増加を意味しており、硬さや強度の上昇が期待できる反面延性は低下することになる。また、C量の増加はγ+θ温度範囲を拡大させ、溶接熱影響部の軟化を助長する。これらの影響を考慮してCの上限は1.0%とする。好ましい範囲は、0.73〜0.85%である。

0023

Si:0.1〜1.5%
Siは、レール材における脱酸材として、および平衡変態温度(TE)を上昇させてパーライト組織を強化ラメラー組織の微細化による硬さ上昇)するために添加するが、0.1%未満ではこれらの効果が小さい。一方、Siの増加は脱炭を促進させることや、レールの表面疵の生成を促進させることから、上限を1.5%とした。好ましくは、0.5〜1.3%の範囲である。

0024

Mn:0.01〜1.5%
Mnは、実際のパーライト変態温度を低下させてパーライト−ラメラー間隔を緻密にする効果があり、高硬度とするために有効な元素であるが、0.01%未満ではその効果が小さい。一方、焼入れ性も向上させることから1.5%を超えての添加は、ベイナイトマルテンサイト変態し易くなるため、上限を1.5%とした。好ましくは、0.3〜1.2%の範囲である。

0025

P:0.035%以下
Pは0.035%を超えると、靭性や延性を低下させる。そのため、Pの上限は0.035%とする。好適範囲としては0.025%を上限とする。一方、下限については、特殊精錬などを行うと溶製のコスト上昇を招くことから0.001%とすることが好ましい。

0026

S:0.030%以下
Sは、圧延方向に伸展した粗大なMnSを形成して、延性や靭性を低下させる。そのため、Sの含有量の上限は0.030%とした。一方、0.0005%未満にするためには、溶製処理時間の増大など溶製時のコスト上昇が著しいため、下限は0.0005%とすることが好ましい。好ましくは、0.001〜0.015%である。

0027

Cr:0.1〜2.0%
Crは、平衡変態温度(TE)を上昇させ、パーライト−ラメラー間隔の微細化に寄与して、硬さや強度を上昇させる。そのためには、0.2%以上の添加を必要 とする。一方、2.0%を超えての添加は、溶接欠陥の発生を増加させるとともに、焼入れ性を増加させマルテンサイトの生成を促進させるため、上限を 2.0%とした。より好ましくは、0.26〜1.00%の範囲である。

0028

上記の化学成分の他に、Cu:1.0%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下およびV:0.15%以下の1種または2種以上を添加することができる。
Cu:1.0%以下
Cuは、固溶強化により一層の高硬度化を図ることができる元素である。また、脱炭抑制にも効果がある。この効果を得るためには0.01%以上で添加することが好ましい。一方、1.0%を超えての添加は連続鋳造時や圧延時に表面割れを生じ易くすることから、上限を1.0%とすることが好ましい。さらに、0.05〜0.6%の範囲がより一層好ましい。

0029

Ni:0.5%以下
Niは、靭性や延性を向上させるのに有効な元素である。また、Cuと複合添加することでCu割れを抑制するのに有効な元素であるため、Cuを添加する場合にはNiを添加することが望ましい。但し、0.01%未満ではこれら効果が認められないことから、添加する場合には下限を0.01%以上とすることが好ましい。一方、0.5%を超えての添加は、焼入れ性を高めマルテンサイトの生成を促進させることになるため、上限を0.5%とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜0.50%の範囲である。

0030

Mo:0.5%以下
Moは、高強度化に有効な元素であり、0.01%未満ではその効果が小さいため、下限を0.01%とすることが好ましい。一方、0.5%を超えて添加すると、焼入れ性が高まる結果としてマルテンサイトが生成するため、靭性や延性を極端に低下させる。そのため、上限は0.5%とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜0.30%の範囲である。

0031

V:0.15%以下
Vは、VCあるいはVNなどを形成してフェライト中へ微細に析出し、フェライト析出強化を通して高強度化に寄与する元素である。また、VCあるいはVN の固溶温度は、TiやNbよりも十分低く、圧延時のオーステナイト再結晶挙動に及ぼす影響も小さいため、レール長さ方向の特性ばらつきに与える影響も小さい。さらに、水素トラップサイトとしても機能し、遅れ破壊を抑制する効果も期待できる。そのためには、0.001%以上で添加することが好ましい。一方、0.15%を超えて添加すると、上記の諸効果が飽和合金コストの上昇も甚だしいことから、上限は0.15%とすることが好ましい。より好適には、0.005〜0.12%の範囲である。

0032

なお、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
例えば、不可避的不純物として、Nは0.006%まで、Oは0.003%まで許容できる。また、Alは脱酸材として有効であるが、クラスター状のAlNを形成し転勤疲労特性を大きく低下させるため、Alについては0.003%以下とすることが望ましい。さらに、不可避的不純物として含まれる、NbおよびTiについては、次のとおりである。

0033

Nb:0.003%以下
Ti:0.003%以下
NbおよびTiは、炭化物あるいは炭窒化物を形成しマトリクスを強化することから、硬さや耐摩耗性の向上に対して有効な元素である。しかしながら、レール長手方向の硬さのばらつきを促進させる有害な元素であることから基本的には無添加とするが、不可避的に混入する量としては0.003%以下であれば許容できる。すなわち、NbやTiを添加すると、素材加熱、圧延あるいは冷却条件に応じて硬さの変化が大きくなるため、これら条件のばらつきに伴う圧延 長さ方向の硬さ変化に敏感に影響を与える。冶金的には、加熱オーステナイト粒不均一性が促進されると同時に、圧延中のオーステナイトの再結晶化の抑制とそれに伴うパーライト変態温度の変化が、NbやTiが無添加の鋼よりも極めて大きくなるため、硬さのばらつきを促進させていると考えられる。

0034

上記の成分組成に加えて、レール長さ方向の表面硬さのばらつきが±HB15ポイント以下であることが肝要である。なぜなら、硬さのばらつきが±HB15ポイントを超えると、レール摩耗量の変化が20%以上となるためである。さらに、硬さのばらつきが±HB10ポイント以下であれば、レール摩耗量の変化を15%未満とできるので、レール長さ方向の表面硬さのばらつきは±HB10ポイント以下であることがより好ましい。

0035

次に、レールの製造条件について具体的に述べる。
まず、鋼素材には、高炉溶銑予備処理転炉、RH脱ガスなどの溶製法プロセスにて、上記した成分組成に調整された溶鋼連続鋳造法にて鋳造して得た、鋳片を鋼素材として用いることが望ましい。

0036

この鋼素材を、常用孔型圧延ユニバーサル圧延により、熱間圧延を行うことでレール形状に成形する。その際の加熱や圧延の条件、さらに、その後の冷却条件の限定理由について以下に説明する。

0037

熱間圧延前加熱温度:1200℃以上]
溶製された鋼素材は、1200℃以上に加熱する必要がある。ここでは、十分に変形抵抗下げることで圧延負荷の軽減を図ることが主目的であるが、そのほか、均質化を図る目的もある。これらの効果を十分に得るには、加熱温度を1200℃以上とする必要がある。なお、上限は特に設定する必要はないが、スケールロスや脱炭の抑制の観点から1300℃以下とすることが好ましい。

0038

[1000℃以下の温度域にてレール長さ方向へ複数パスにわたる圧延を行う際に、レール長さ方向のパス間時間のばらつきを15s以内]
こうして加熱された鋼素材は、熱間圧延によりレール形状へと成形するが、その際、1000℃以下で行う複数パスの圧延において一方向の圧延を繰り返すことによって、圧延のパス間時間のばらつきを小さくすることが肝要である。なお、圧延におけるパス間時間とは、レール圧延材の長手方向(圧延方向)のある部分がロールに噛み込んでから次のロールに噛み込むまでの時間のことを言う。そして、このパス間時間は、レール圧延材のトップ(先端)におけるものとボトム尾端)におけるものとで最も差が大きくなる。

0039

さて、従来のリバース圧延の場合には、圧延トップ部(先端)において、あるパスでロールが噛み込んでから次のパスでの噛み込みが始まるまでの時間は、次のパスが圧延ボトム部(尾端)から順にロールへ送り込む形態であるため、圧延トップ部におけるパス間時間は長くなる。一方、圧延ボトム部(尾端)は、あるパスを通過したのち次のパスで最初にロールへ噛みこまれることになるため、パス間時間は短くなる。こうしたリバース圧延特有の先端と尾端におけるパス間時間の差がオーステナイト組織状態に影響し、パーライト変態後の硬さばらつきに影響する。これに対して、一方向へ連続圧延すると、圧延材先端と尾端とのパス間時間の差は基本的に小さくなる。従って、上記のパス間時間差に応じて生じる、オーステナイト組織の不均質性を解消することになる。そのためには、このパス間時間の差を15s以内とする必要がある。すなわち、パス間時間の差を15s以内とすれば、レール長さ方向の硬さのばらつきを抑制することができる。好ましくは、12s以内である。

0040

上記の規定は、熱間圧延における1000℃以下で行う圧延に適用する条件であり、粗圧延工程に代表される1000℃を超える温度域の圧延には、リバース圧延を用いてもよい。要は、1000℃以下の圧延を一方向に連続して行うことができれば、その前段の1000℃超の温度域での圧延は任意である。熱間圧延における1000℃以下で行う圧延は、2〜7のパスにて行うことが好ましい。 なぜなら、1パス圧延では、圧延負荷が大きくなり造形が困難であり、逆に7パスを超えると、オーステナイトの状態がやや不均一で硬さのばらつきが大きくなる傾向にあるためである。

0041

[レール頭部となる部分の累積減面率を40%以上]
1000℃以下での圧延による減面率を累積で40%以上とする必要がある。なぜなら、オーステナイトの再結晶細粒化を促すためには1000℃以下で40%以上の減面加工が必要となるからである。1000℃以下の圧延での減面率が40%未満の場合には、オーステナイトの再結晶細粒化が不十分となり、部分的に粗大なオーステナイトが残存する結果、レール長さ方向(圧延方向)の硬さばらつきを増加させることになる。

0042

[仕上げ圧延温度:900℃以上]
一方向へ連続圧延を行うことによって、圧延材全長のパス間時間のばらつきを小さくするに当たって、仕上げ圧延温度は900℃以上とすることが望ましい。なぜなら、仕上げ圧延温度が900℃を下回ると、圧延後に引き続き実行されるオンライン熱処理の冷却開始温度が低温化すること、パーライト変態が促進する(高温化する)ことなどの理由により、全体的に硬さが低下しばらつきが大きくなるためである。こうした硬さ低下を防止するためには、仕上げ圧延温度を900℃以上とすることが好ましい。

0043

さらに、上記の熱間圧延に引き続いて以下に述べる条件にて冷却処理を行う。
「レール頭部に冷却開始温度:800℃以上、冷却停止温度:600℃以下、冷却速度:1〜10℃/sとした冷却を行う」
まず、冷却開始温度は、800℃以上が望ましい。すなわち、冷却開始温度が800℃未満では過冷度が十分に確保されずに十分な表面硬さを得ることができないおそれがある。冷却停止温度は600℃以下まで行う必要がある。600℃以上では十分な硬さを得ることができないためである。下限については特に規定しないが、400℃以下まで冷却しても硬さが飽和すること、加えて冷却時間が長くなるために生産性阻害することから、400℃以上で冷却を停止することが望ましい。
冷却速度は1〜10℃/sの範囲である。冷却速度が10℃/sを超えるとパーライト変態する時間が十分確保できず、ベイナイトやマルテンサイトが生成し、靱延性や疲労損傷性を低下させる。一方、1℃/s未満では十分な硬さを得ることはできない。好ましくは、2〜8℃/sの範囲である。
さらに、圧延長手方向での冷却速度のばらつきを±1℃/s以下にすることが好ましい。冷却速度のばらつきを±1℃/s以下とすることで、パーライト−ラメラー間隔のばらつきがより小さくなり、硬さのばらつき±HB10以下を達成でき、レール長手方向で耐摩耗性や耐疲労損傷性にばらつきがより小さくなるためである。
また、上記の熱間圧延に引き続いて行う冷却は、衝風冷却あるいはミスト冷却を行うことが好ましい。ここで、衝風冷却とは、エアー強制的にレール頭部に吹き付けることで加速冷却を行うことである。また、ミスト冷却とは、水とエアーとを混合して水を霧状にしてレール頭部に吹き付けることである。

0044

圧延長さ方向の冷却速度をよりばらつき少なく制御するには、例えば、衝風冷却の場合には、5m以下(好ましくは3m以下)の間隔でエアー圧を制御し、冷却前に計測したレールの長手方向の温度ばらつきに応じたエアー圧の調整をオンラインで行い、長さ方向で一定の冷却速度になるように制御する必要がある。ミスト冷却の場合も、同様に長手方向の水量や圧力を制御して、冷却することが望ましい。

0045

以上の成分組成と圧延および冷却を行うことにより、レール長さ方向の表面硬さが好ましくはHB400以上で、そのばらつきが±HB15ポイント以下である、圧延長さ方向に硬さばらつきが小さい均質な高硬度パーライト鋼レールを得ることができる。

0046

表1に示す化学組成を有する鋼を溶製し、連続鋳造によって得た鋳片に、加熱、熱間圧延、そして冷却を施すことによって、136ポンドあるいは141ポンドのレールをそれぞれ製造した。その製造条件と、表面硬さおよびそのばらつきの調査結果とを表2に併記する。

0047

0048

ここで、圧延条件におけるパス間時間のばらつきは、圧延材の先端が圧延されてから次に圧延されるまでの時間と、圧延材の尾端が圧延されてから次に圧延されるまでの時間との差を指す。前述のとおり、従来のリバース圧延による圧延では、圧延トップ部におけるパス間時間が長くなる一方、圧延ボトム部におけるパス間時間は短くなる。かように、圧延材の先端(トップ部)と尾端(ボトム部)におけるパス間時間の差は、リバ−ス圧延において顕著である。これに対して、一方向へ連続圧延すると圧延材先端と尾端に伴うパス間時間の差は小さくなるため、生成する組織の不均質性を解消することができるのは、表2に示すとおりである。

0049

なお、冷却開始温度および停止温度はレールコーナー部の表面温度をサーモビュアにて計測した結果である。レールの冷却速度については、長さ方向5mピッチで計測した冷却開始と冷却停止温度と冷却時間とから冷却速度を計測して平均化させた。一方、長さ方向の冷却速度ばらつきについては、個々の冷却速度のばらつきの最大値最小値の差が±1℃/s超か±1℃/s以下であるかを求めた。
さらに、製造されたレールについて、その頭部の表面硬さおよびミクロ組織を評価した。レール頭部表面の硬さについては、脱炭層を0.5mm以上グラインダにて除去し、レール長さ方向に5mピッチの点において、それぞれブリネル硬さを測定した。同様に顕微鏡サンプルを切り出し、ミクロ組織を観察した。
これらの評価結果を表2に示す。

0050

実施例

0051

本発明に従うレールは、その長さ方向の硬さばらつきが±HB15以下と極めて小さいのに対して、成分組成および圧延条件のいずれかが本発明の範囲から逸脱したレールは、硬さのばらつきが±HB15を超えていた。

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