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技術 車両の駆動トルク制御方法及び駆動トルク制御装置

出願人 ローベルトボッシュゲゼルシャフトミットベシュレンクテルハフツング
発明者 井苅佳秀
出願日 2015年2月27日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2016-506457
公開日 2017年4月6日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 WO2015-133396
状態 特許登録済
技術分野 自転車用入れ物、その他の付属品 車両の乗手推進、伝動装置 車両用機関または特定用途機関の制御 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 増大割合 衝撃発生 突然発生 電流量制御 対地センサ 重心付近 変速機段 モトクロス
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課題・解決手段

ウィリーが発生した場合でも、加速不良などを回避できる駆動トルク制御を提供すること。 車両のための駆動トルク制御方法であって、車両のウィリー量を検出又は算出し、ウィリーが発生した場合に、後輪に付与する駆動トルク正常状態時の駆動トルクよりも低減し、前記ウィリー量が減少した場合に、前記駆動トルクを維持又は増大させる。

概要

背景

車両、例えば一般的な二輪車自動二輪車)は、後輪駆動輪となっており、後輪によって車体の加速が行われる。このとき、後輪が路面に接する点と車体の重心との位置関係に起因して、重心に関して所定のモーメントが発生する。この加速時に生じるモーメントは、二輪車の前輪を浮き上がらせる方向に働くモーメントである。このため、二輪車で走行するときに急激なアクセル操作を行うと、前輪が浮き上がってしまう場合がある。このような現象は、一般的に「ウィリー」と呼ばれている。

ウィリーは、急激なアクセル操作の他に、発進時などにクラッチを急激に接続した場合にも発生する。また、近年販売されている二輪車は、軽量で且つ高出力のものも多い。このため、最新の高出力の二輪車では、従来の二輪車と比較してウィリーが発生しやすい。特に、軽量で車体の重心が高いモトクロスやモタードバイクなどは、この傾向が強い。ウィリーが発生すると車体は不安定になるため、一般的なライダーアクセルを戻したり、リアブレーキを作動させたりして、ウィリーを低減しようとする。

しかしながら、ウィリーは条件によっては突然発生するため、一般的なライダーでは適切に対処できない場合もある。このため、ライダーの意図とは関係なく、ウィリーを防ぐ、あるいは早期に終了させることができる駆動トルク制御が提案されている。ウィリーを低減するために駆動トルク制御を行うには、その前提としてウィリーを検出する必要がある。これら、ウィリーの検出および駆動トルク制御の方法としては、大きく2つに分類される。一つはトラクションコントロールベースとしたものであり、もう一つは車体に取り付けた各種センサからの情報をベースとしたものである。

まず、トラクションコントロールをベースとしたものは、前後の車輪速度の差に基づいてフィードバック制御を行うことで、ウィリーを低減するものである。具体的には、ウィリーが発生している間は前輪が空中に浮いているため、前輪の車輪速度は低下し、後輪の車輪速度との間で速度差が発生する。この速度差に基づいて、後輪の駆動トルク(すなわち、エンジン出力トルク)を低減するものである。

次に、各種センサの情報を用いるものとしては、車輪速度センサ加速度センササスペンションストロークセンサ、角速度(ジャイロセンサなどである。加速度センサは、路面に対する二輪車の加速度を検出するものである。車体の重心位置や重量などの情報と組み合わせ、加速度が所定値を超えた場合に、ウィリーの発生を予測できるからである。また、車輪速度センサは車輪速度を検出するものであるが、車輪速度から車体の加速度を算出できるため、加速度センサの場合と同様にウィリーを検出できる場合がある。

また、サスペンションストロークセンサは、サスペンションストローク伸び量又は縮み量)を検出することができる。ウィリーが発生している場合は、フロントフォークには路面からの外力が加わらないため、最大長のストロークが検出される。これによりウィリーを検出するのである。また、角速度センサは、車体の重心周りの角速度を検出するためのセンサである。このうち、ピッチ角速度を用いて、ウィリーの発生を検出するのである。そして、これらのセンサの少なくとも1つの情報に基づいて、ウィリーが発生した場
合に後輪の駆動トルク(すなわち、エンジン出力トルク)を低減するものである。具体的な例としては、ウィリー状態を角速度センサで検知することで、ウィリーの度合いに応じたエンジン出力低減制御を実行するものがある(特許文献1参照)。

図6は、ウィリーが発生した場合の従来の駆動トルク制御を説明するための概略図である。図6(A)において、横軸が時間で、縦軸が前輪及び後輪の車輪速度である。ここで、一点鎖線が前輪の車輪速度101Fで、破線が後輪の車輪速度101Rである。また、図6(B)において、横軸が時間で、縦軸が後輪の駆動トルクである。ここで、破線がライダーからの駆動トルク要求111Dであり、一点鎖線が実際に後輪に付与される駆動トルク111Rである。これらの図において、時刻T1でウィリーが発生して、時刻T3でウィリーが終了している。図6(A)から分かるように、前輪の車輪速度101Fは時刻T1までは後輪の車輪速度と同じように増大して、時刻T1から時刻T2までは減少する。これはウィリーによって前輪が路面から離れて、走行による路面からの回転力が無くなるからである。一方、後輪は駆動輪であるので、車速の増大と比例して車輪速度101Rも増大している。

このような場合、ウィリーが発生した時刻T1において、ライダーの駆動トルク要求111Dとは無関係に、実際に後輪に付与される駆動トルク111Rは低減される。そして、ウィリーが終了した時刻T2において、低減した駆動トルク111Rを増大させる方向に制御している。そして、後輪の実際の駆動トルク111Rが、ライダーからの駆動トルク要求111Dと同レベルに達するまでには、所定の時間を必要とする。

概要

ウィリーが発生した場合でも、加速不良などを回避できる駆動トルク制御を提供すること。 車両のための駆動トルク制御方法であって、車両のウィリー量を検出又は算出し、ウィリーが発生した場合に、後輪に付与する駆動トルクを正常状態時の駆動トルクよりも低減し、前記ウィリー量が減少した場合に、前記駆動トルクを維持又は増大させる。

目的

そこで本発明は、上記課題に鑑み、ウィリー発生時の駆動トルクの過度な低減を回避し、最適な加速状態を実現することができる駆動トルク制御を提供することを目的とする。なお、当該目的はあくまでも一例であって、本発明が当該目的によって限定解釈されるべきものではない。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

車両のための駆動トルク制御方法であって、前記車両のウィリー量を検出又は算出し、ウィリーが発生した場合に、後輪に付与する駆動トルク正常状態時の駆動トルクよりも低減し、前記ウィリー量が減少した場合に、前記駆動トルクを維持又は増大させる、方法。

請求項2

前記駆動トルクの維持又は増大は、前記ウィリー量の減少時又はこの減少時から所定時間経過後に開始する、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記駆動トルク制御は、所定のウィリー量以上の場合にのみ行う、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記駆動トルク制御は、前記ウィリーが発生してから所定時間経過後にのみ行う、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。

請求項5

前記ウィリー量は、車両のピッチ角速度の情報若しくはX方向の加速度、Z方向の加速度、前輪又は後輪の車輪速度、前輪又は後輪の車輪加速度、駆動トルク、サスペンションストローク量および対地センサによる情報の少なくとも1つを用いて算出する、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。

請求項6

前記ウィリー量の減少タイミングは、前記ピッチ角速度の値の正負符号逆転した時点もしくは所定の閾値を上回った又は下回った時点として判定する、請求項5に記載の方法。

請求項7

前記駆動トルクの増減量は、ピッチ角速度、ピッチ角、X方向の加速度、Z方向の加速度、駆動トルク、路面の状態、前輪又は後輪の車輪速度、前輪又は後輪の車輪加速度、バンク角速度バンク角変速機段位置、サスペンションのストローク量および対地センサによる情報の少なくとも1つを用いて補正する、請求項1から6何れか一項に記載の方法。

請求項8

車両のための駆動トルク制御装置であって、前記車両のウィリー量を検出若しくは算出するウィリー判定部と、前記ウィリーが発生した場合に、後輪に付与する駆動トルクを正常状態時の駆動トルクよりも低減する制御部とを備え、前記制御部は、前記ウィリー量が減少した場合に、前記駆動トルクを維持又は増大させる、装置。

請求項9

前記制御部による駆動トルクの維持又は増大は、前記ウィリー量の減少時又はこの減少時から所定時間経過後に開始される、請求項8に記載の装置。

請求項10

前記制御部による駆動トルク制御は、所定のウィリー量以上の場合にのみ行う、請求項8又は9に記載の装置。

請求項11

前記制御部による駆動トルク制御は、前記ウィリーが発生してから所定時間の経過後にのみ行う、請求項8から10の何れか一項に記載の装置。

請求項12

前記ウィリー判定部による前記ウィリー量の算出は、車両の角速度センサからのピッチ角速度の情報若しくはX方向の加速度、Z方向の加速度、前輪又は後輪の車輪速度、前輪又は後輪の車輪加速度、駆動トルク、サスペンションのストローク量および対地センサによる情報の少なくとも1つを用いて行われる、請求項8から11の何れか一項に記載の装置。

請求項13

前記ウィリー判定部によるウィリー量の減少タイミングの判定は、前記ピッチ角速度の符号が逆転した時点もしくは所定の閾値を上回った又は下回った時点として行われる、請求項12に記載の装置。

請求項14

駆動トルク補正部を更に備え、前記制御部による駆動トルクの増大量は、前記駆動トルク補正部からの情報を用いて補正されるものであり、前記駆動トルク補正部は、ピッチ角速度、ピッチ角、X方向の加速度、Z方向の加速度、駆動トルク、路面の状態、前輪又は後輪の車輪速度、前輪又は後輪の車輪加速度、バンク角速度、バンク角、変速機段位置、サスペンションのストローク量および対地センサによる情報の少なくとも何れか1つを用いて駆動トルクの補正量を算出する、請求項8から13の何れか一項に記載の装置。

請求項15

車体と、この車体に搭載された駆動手段と、この駆動手段からの駆動トルクを受け取る車輪と、上記請求項8から14の何れか一項に記載の駆動トルク制御装置と、を備える車両。

技術分野

0001

本発明は、車両の駆動トルク制御係り、特に、加速時に前輪が浮き上がる現象であるウィリーを制御できる、駆動トルク制御方法及び駆動トルク制御装置、並びにこれらを備えた車両に関する。

背景技術

0002

車両、例えば一般的な二輪車自動二輪車)は、後輪駆動輪となっており、後輪によって車体の加速が行われる。このとき、後輪が路面に接する点と車体の重心との位置関係に起因して、重心に関して所定のモーメントが発生する。この加速時に生じるモーメントは、二輪車の前輪を浮き上がらせる方向に働くモーメントである。このため、二輪車で走行するときに急激なアクセル操作を行うと、前輪が浮き上がってしまう場合がある。このような現象は、一般的に「ウィリー」と呼ばれている。

0003

ウィリーは、急激なアクセル操作の他に、発進時などにクラッチを急激に接続した場合にも発生する。また、近年販売されている二輪車は、軽量で且つ高出力のものも多い。このため、最新の高出力の二輪車では、従来の二輪車と比較してウィリーが発生しやすい。特に、軽量で車体の重心が高いモトクロスやモタードバイクなどは、この傾向が強い。ウィリーが発生すると車体は不安定になるため、一般的なライダーアクセルを戻したり、リアブレーキを作動させたりして、ウィリーを低減しようとする。

0004

しかしながら、ウィリーは条件によっては突然発生するため、一般的なライダーでは適切に対処できない場合もある。このため、ライダーの意図とは関係なく、ウィリーを防ぐ、あるいは早期に終了させることができる駆動トルク制御が提案されている。ウィリーを低減するために駆動トルク制御を行うには、その前提としてウィリーを検出する必要がある。これら、ウィリーの検出および駆動トルク制御の方法としては、大きく2つに分類される。一つはトラクションコントロールベースとしたものであり、もう一つは車体に取り付けた各種センサからの情報をベースとしたものである。

0005

まず、トラクションコントロールをベースとしたものは、前後の車輪速度の差に基づいてフィードバック制御を行うことで、ウィリーを低減するものである。具体的には、ウィリーが発生している間は前輪が空中に浮いているため、前輪の車輪速度は低下し、後輪の車輪速度との間で速度差が発生する。この速度差に基づいて、後輪の駆動トルク(すなわち、エンジン出力トルク)を低減するものである。

0006

次に、各種センサの情報を用いるものとしては、車輪速度センサ加速度センササスペンションストロークセンサ、角速度(ジャイロセンサなどである。加速度センサは、路面に対する二輪車の加速度を検出するものである。車体の重心位置や重量などの情報と組み合わせ、加速度が所定値を超えた場合に、ウィリーの発生を予測できるからである。また、車輪速度センサは車輪速度を検出するものであるが、車輪速度から車体の加速度を算出できるため、加速度センサの場合と同様にウィリーを検出できる場合がある。

0007

また、サスペンションストロークセンサは、サスペンションストローク伸び量又は縮み量)を検出することができる。ウィリーが発生している場合は、フロントフォークには路面からの外力が加わらないため、最大長のストロークが検出される。これによりウィリーを検出するのである。また、角速度センサは、車体の重心周りの角速度を検出するためのセンサである。このうち、ピッチ角速度を用いて、ウィリーの発生を検出するのである。そして、これらのセンサの少なくとも1つの情報に基づいて、ウィリーが発生した場
合に後輪の駆動トルク(すなわち、エンジン出力トルク)を低減するものである。具体的な例としては、ウィリー状態を角速度センサで検知することで、ウィリーの度合いに応じたエンジン出力低減制御を実行するものがある(特許文献1参照)。

0008

図6は、ウィリーが発生した場合の従来の駆動トルク制御を説明するための概略図である。図6(A)において、横軸が時間で、縦軸が前輪及び後輪の車輪速度である。ここで、一点鎖線が前輪の車輪速度101Fで、破線が後輪の車輪速度101Rである。また、図6(B)において、横軸が時間で、縦軸が後輪の駆動トルクである。ここで、破線がライダーからの駆動トルク要求111Dであり、一点鎖線が実際に後輪に付与される駆動トルク111Rである。これらの図において、時刻T1でウィリーが発生して、時刻T3でウィリーが終了している。図6(A)から分かるように、前輪の車輪速度101Fは時刻T1までは後輪の車輪速度と同じように増大して、時刻T1から時刻T2までは減少する。これはウィリーによって前輪が路面から離れて、走行による路面からの回転力が無くなるからである。一方、後輪は駆動輪であるので、車速の増大と比例して車輪速度101Rも増大している。

0009

このような場合、ウィリーが発生した時刻T1において、ライダーの駆動トルク要求111Dとは無関係に、実際に後輪に付与される駆動トルク111Rは低減される。そして、ウィリーが終了した時刻T2において、低減した駆動トルク111Rを増大させる方向に制御している。そして、後輪の実際の駆動トルク111Rが、ライダーからの駆動トルク要求111Dと同レベルに達するまでには、所定の時間を必要とする。

先行技術

0010

特開2010−229912号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、上述した従来の駆動トルク制御には、以下のような課題があった。すなわち、トラクションコントロールをベースとしたものは、前後輪の車輪速度差に基づいてフィードバック制御を行う。このため、ウィリー状態で前輪が空中に浮き上がっている間は、正常状態時の駆動トルクよりも常に低減した状態としていた。また、各種センサからの情報によって駆動トルク制御を行うものの場合も、ウィリーの発生を検知してからウィリーの終了を検知するまで、継続して駆動トルクを低減する制御が行われていた。

0012

これに対し、ウィリーが続いている状態であっても、必ずしも駆動トルクを低減しなければならない訳ではない。例えば、ウィリーは、前輪が路面から離れて最高点に達し、その後前輪が下降して最終的に路面に接地することで終了する。このとき、前輪が下降し始めた時点で駆動トルクを低減しなくても、それ以上はウィリー量が増大しないことも考えられる。むしろ、良好な加速力を得るためには、駆動トルクを増大させる制御をした方が良い場合も多い。

0013

また、ウィリーが軽度(ウィリー量が小さい)の場合には、前輪が浮き上がろうとしている状態(ピッチ角が大きくなっている途中)であっても、駆動トルクを低減せずにそれ以上前輪が浮き上がらない場合も多い。このため、ウィリーが軽度の場合には、駆動トルクを低減する必要が無い場合がある。しかしながら、上述のように、従来の駆動トルク制御では、ウィリーが発生しているか否かを駆動トルク制御の条件としている。このため、駆動トルクを過度に低減することとなり、加速不良や前輪接地時の大きな衝撃発生などの問題を引き起こしてしまう。

0014

そこで本発明は、上記課題に鑑み、ウィリー発生時の駆動トルクの過度な低減を回避し、最適な加速状態を実現することができる駆動トルク制御を提供することを目的とする。なお、当該目的はあくまでも一例であって、本発明が当該目的によって限定解釈されるべきものではない。

課題を解決するための手段

0015

上記課題を解決するために、第1手段は、車両のための駆動トルク制御方法であって、車両のウィリー量を検出又は算出し、ウィリーが発生した場合に、後輪に付与する駆動トルクを正常状態時の駆動トルクよりも低減し、ウィリー量が減少した場合に、駆動トルクを維持又は増大させる、という構成を採っている。

0016

以上のような構成を採ることで、ウィリーが発生した場合には、駆動トルクの低減によってウィリー量の増大が抑制される。そして、ウィリー量が減少に転じた時点で、駆動トルクが維持又は増大されるため、駆動トルクの過度な低減が抑制されて、前輪が接地した場合の衝撃が緩和されると共に、加速不良も回避される。

0017

第2手段は、第1手段の構成に加え、駆動トルクの維持又は増大は、ウィリー量の減少時又はこの減少時から所定時間経過後に開始する、という構成を採っている。

0018

第3手段は、第1手段又は第2手段の構成に加え、駆動トルク制御は、所定のウィリー量以上の場合にのみ行う、という構成を採っている。

0019

第4手段は、第1手段から第3手段の何れかの構成に加え、駆動トルク制御は、ウィリーが発生してから所定時間経過後にのみ行う、という構成を採っている。

0020

第5手段は、第1手段から第4手段の何れかの構成に加え、ウィリー量は、車両のピッチ角速度の情報若しくはX方向の加速度、Z方向の加速度、前輪又は後輪の車輪速度、前輪又は後輪の車輪加速度、駆動トルク、サスペンションのストローク量および対地センサによる情報の少なくとも1つを用いて算出する、という構成を採っている。

0021

第6手段は、第5手段の構成に加え、ウィリー量の減少タイミングは、ピッチ角速度の値の正負符号逆転した時点もしくは所定の閾値を上回った又は下回った時点として判定する、という構成を採っている。

0022

第7手段は、第1手段から第6手段の何れかの構成に加え、駆動トルクの増減量は、ピッチ角速度、ピッチ角、X方向の加速度、Z方向の加速度、駆動トルク、路面の状態、前輪又は後輪の車輪速度、前輪又は後輪の車輪加速度、バンク角速度バンク角変速機段位置、サスペンションのストローク量および対地センサによる情報の少なくとも1つを用いて補正する、という構成を採っている。

0023

第8手段は、車両のための駆動トルク制御装置であって、車両のウィリー量を検出若しくは算出するウィリー判定部と、ウィリーが発生した場合に、後輪に付与する駆動トルクを正常状態時の駆動トルクよりも低減する制御部とを備え、制御部は、ウィリー量が減少した場合に、駆動トルクを維持又は増大させる、という構成を採っている。

0024

第9手段は、第8手段の構成に加え、制御部による駆動トルクの維持又は増大は、ウィリー量の減少時又はこの減少時から所定時間経過後に開始される、という構成を採っている。

0025

第10手段は、第8手段又は第9手段の構成に加え、制御部による駆動トルク制御は、
所定のウィリー量以上の場合にのみ行う、という構成を採っている。

0026

第11手段は、第8手段から第10手段の何れかの構成に加え、制御部による駆動トルク制御は、ウィリーが発生してから所定時間の経過後にのみ行う、という構成を採っている。

0027

第12手段は、第8手段から第11手段の何れかの構成に加え、ウィリー判定部によるウィリー量の算出は、車両のピッチ角速度の情報若しくはX方向の加速度、Z方向の加速度、前輪又は後輪の車輪速度、前輪又は後輪の車輪加速度、駆動トルク、サスペンションのストローク量および対地センサによる情報の少なくとも1つを用いて行われる、という構成を採っている。

0028

第13手段は、第12手段の構成に加え、ウィリー判定部によるウィリー量の減少タイミングの判定は、ウィリー判定部によってピッチ角速度の符号が逆転した時点もしくは所定の閾値を上回った又は下回った時点として行われる、という構成を採っている。

0029

第14手段は、第8手段から第13手段の何れかの構成に加え、駆動トルク補正部を更に備え、制御部による駆動トルクの増大量は、駆動トルク補正部からの情報を用いて補正されるものであり、駆動トルク補正部は、ピッチ角速度、ピッチ角、X方向の加速度、Z方向の加速度、駆動トルク、路面の状態、前輪又は後輪の車輪速度、前輪又は後輪の車輪加速度、バンク角速度、バンク角、変速機段位置、サスペンションのストローク量および対地センサによる情報の少なくとも何れか1つを用いて駆動トルクの補正量を算出する、という構成を採っている。

0030

第15手段は車両であって、第8手段から第14手段の何れかの構成に加え、車体と、この車体に搭載された駆動手段と、この駆動手段からの駆動トルクを受け取る車輪とを更に備える車両、という構成を採っている。

図面の簡単な説明

0031

本発明の一実施形態に係る駆動トルク制御方法を説明するためのフローチャートである。
図1に開示した駆動トルク制御方法を説明するための図であり、図2(A)はある一例における前輪および後輪の車輪速度の時間経過を示し、図2(B)はライダーによる駆動トルク要求と実際の駆動トルクの時間経過を示し、図2(C)は二輪車のピッチ角速度の時間経過を示す図である。
図1に開示した駆動トルク制御方法において、二輪車の状態と駆動トルクの増減量の制御マップを示す図である。
本発明の一実施形態に係る駆動トルク制御装置を示し、図4(A)ブロックは図であり、図4(B)は二輪車の3軸を説明するための図である。
対地センサを備えた本実施形態の二輪車を示す図である。
従来の駆動トルク制御を説明するための図であり、図6(A)はある一例における前輪および後輪の車輪速度の時間経過を示し、図6(B)はライダーによる駆動トルク要求と実際の駆動トルクの時間経過を示す。

実施例

0032

以下、図面を参照して、本発明の一実施形態における、車両、例えば二輪車の駆動トルク制御方法について説明する。

0033

図1は、本実施形態に係る駆動トルク制御方法を示すフローチャートである。この図に示すように、先ず、ウィリー量が検出又は算出される(ステップS1)。ここで、「ウィ
リー量」とは、一例として二輪車のピッチ角である。「ピッチ角」は、前輪と後輪が接地している状態を「0」とし、ウィリー状態を正とする。このため、明細書において「ウィリー量が大きい」と既述した場合には、ピッチ角が大きいという意味になる。なお、二輪車には前後輪にサスペンションが装備されているため、ピッチ角が正の値として検出又は算出されたとしても、必ずしもウィリーが発生しているとは限らない。ウィリーが発生する過程で、前輪サスペンションが延び側にストロークしたり、後輪側サスペンションが縮み側にストロークするからである。このため、実際の制御においては、例えばピッチ角が所定角度以上ならばウィリーが発生していると判定することが想定される。

0034

次に、ウィリーが発生しているか否かが判断される(ステップS2)。ウィリーが発生していないと判断された場合は(ステップS2のN)、ウィリー量(ピッチ角)の算出が繰り返される。一方、ウィリーが発生していると判断された場合(ステップS2のY)、後輪に付与する駆動トルクが低減される(ステップS3)。具体的には、エンジン(図示略)からチェーンやシドライブャフトなどを介して後輪に伝えられる駆動トルクが低減されるのである。駆動トルクの低減のためには、キャブレターインジェクション等を制御して、エンジンの出力トルクを低減する。その他、燃料噴射量制御点火タイミング制御、電動モータを駆動手段として用いる場合の電流量制御駆動力制御に置き換えることも可能である。なお、駆動トルクの低減は、ウィリーの発生と同時に開始しても良いし、ウィリーの発生から所定時間経過後に開始してもよい。

0035

次に、前輪が降下しているか否かが判断される(ステップS4)。前輪の降下は、ピッチ角速度で判断することができる。すなわち、ある時点でのピッチ角速度の値が正であれば、前輪が上昇し続けていることになる。一方ピッチ角速度の符号が負に転じれば、前輪が降下し始めていることが分かる。前輪が降下していないと判断された場合には(ステップS4のN)、引き続き駆動トルクが低減される(ステップS3)。一方、前輪が降下していると判断された場合には(ステップS4のY)、駆動トルクを除々に増大させる(ステップS5)。なぜなら、前輪の降下はウィリーが終了に向かっている証拠であり、駆動トルクを増大させたとしても、それ以上ウィリー量が増大しないことが予測できるからである。駆動トルクの増大は、前輪の降下と同時に開始しても良いし、前輪の降下から所定時間経過後に開始してもよい。

0036

前輪の降下は、ピッチ角速度だけではなく、ピッチ角などの情報によっても判断することができる。すなわち、有る時点のピッチ角と所定時間経過後のピッチ角を比較し、ピッチ角が増大していれば前輪が上昇し続けていることが分かり、ピッチ角が減少していれば前輪が降下していることが分かる。

0037

次に、ウィリーが終了したか否かが判断される(ステップS6)。ウィリーが終了したか否かも、二輪車のピッチ角速度やピッチ角で判断することができる。ウィリーが終了していないと判断された場合(ステップS6のN)、再度、前輪が降下しているか否かが判断される(ステップS4)。前輪が降下を続けていれば(ステップS4のY)、更に駆動トルクを増大させる(ステップS5)。そして、ウィリーが終了したか否かが再度判断され(ステップS6)、ウィリーが終了したと判断された場合には(ステップS6のY)、本実施形態の駆動トルク制御が終了する。

0038

図2は、上述のような駆動トルク制御が行われた場合の、前後輪の車輪速度、駆動トルクおよびピッチ角速度の時間経過の関係を説明する図である。図2(A)において、横軸が時間Tであり、縦軸が車輪速度Vである。ここで、実線で示された線が、本実施形態に係る駆動トルク制御による前輪の車輪速度1Fを示す。また、破線で示された線が、後輪の車輪速度1Rであり、一点鎖線で示された線が従来技術のトルク制御による前輪の車輪速度101Fである。この例では、ウィリーが発生した場合でも、後輪の車輪速度1Rは
一定の加速度で上昇している場合を仮定した。

0039

図2(A)から分かるように、ウィリーが発生する前(時刻T1まで)は、前輪は二輪車の走行に伴って従動するため、前輪と後輪とは略同じ車輪速度である。一方、時刻T1から時刻T4までは、前輪の車輪速度1Fは継続して低下し、時刻T4の直後に後輪の車輪速度1Rと同等となる。これは、時刻T1においてウィリーが発生して、前輪が路面から離れるが、時刻T4においてウィリーが終了するからである。因みに、図2(A)の一点鎖線の線から分かるように、従来技術による駆動トルク制御では、本実施形態の場合と比較して、時刻T4よりも早い時刻T3で前輪の車輪速度101Fと後輪の車輪速度1Rが一致している。これは、本実施形態に係る駆動トルク制御と比較して、駆動トルクを増大させるタイミングが遅く、時刻T3で前輪が路面に接地するからである。なお、トラクションコントロールを装備する二輪車の場合、前輪と後輪の車輪速度に差が生じた場合、フィードバック制御による駆動力制御が介入する場合がある。しかしながら、本実施形態においては、ピッチ角速度の情報に基づいてウィリーの発生を検出しており、その場合は一時的にトラクションコントロールのフィードバック制御が無効となる。これにより、本実施形態に係る駆動トルク制御が優先的に実行される。

0040

図2(B)は、後輪へ付与される駆動トルクの時間経過を示している。図2(B)において、横軸が時間Tであり、縦軸が駆動トルクMである。ここで、図2(B)において、実線で示された線が、本実施形態に係る駆動トルク制御による駆動トルク11Rを示す。また、破線で示された線がライダーによる駆動トルク要求11Dである。更に、一点鎖線で示された線が、従来技術による駆動トルク111Rを示す。この図2(B)において、ライダーによる駆動トルク要求11Dは、時刻T1から時刻T4まで一定と仮定している。しかしながら、時刻T1から時刻T2の期間は、後輪に付与される駆動トルク11Rを除々に低減させている。時刻T1から時刻T2の間は、後述するようにウィリー量が増大している期間である。このため、駆動トルクを低減させて、ウィリー量の増大を防ぐのである。

0041

一方、時刻T2から時刻T4までの期間は、後輪に付与する駆動トルク11Rを除々に増大させている。時刻T2は、後述するように、ウィリー量が減少に転じる時点である。ウィリー量が減少し始めた場合には、駆動トルク11Rを増大させたとしても、一般的にはウィリー量が増大しない場合が多い。このため、本実施形態の駆動トルク制御では、一定の割合で後輪に付与する駆動トルクを増大させている。なお、駆動トルクの増大割合は、後述するように、様々なパラメータに基づいて補正する。また、従来技術に係る駆動トルク制御によれば、駆動トルク111Rは時刻T3まで継続して低減されている。これは、ウィリーが発生している時刻T3までは、継続して駆動トルク111Rを低減する制御を実行しているからである。そして、時刻T3から駆動トルク111Rを増大させる制御を開始している。この点で、時刻T3よりも早いタイミングである時刻T2から駆動トルク11Rの増大を開始している本実施形態の駆動トルク制御とは異なる。

0042

また、図2(C)は、二輪車のピッチ角速度の時間経過を示している。図2(C)において、横軸が時間Tであり、縦軸がピッチ角速度PRである。図中、実線が本実施形態の駆動トルク制御の場合のピッチ角速度である。ここで、ピッチ角速度とは、二輪車が前のめりになる或いはウィリーする時の、ピッチング方向の角速度である。時刻T1まではピッチ角速度21Pが略「0」である。これは、基本的にウィリーが発生していない状態である。また、時刻T1からT2まではピッチ角速度21Pが正である。これは、ウィリーが発生して、さらにウィリー量が増大していることを示すものである。これに伴い、前輪は路面から離れるため、前輪の車輪速度が低下し始める(図2(A)参照)。

0043

次に、時刻T2においてピッチ角速度21Pが「0」となっている。ピッチ角速度21
Pが「0」ということは、前輪の浮き上がりが停止したことを意味する。このため、時刻T2において最大のウィリー量となっている。そして、時刻T2から時刻T4まではピッチ角速度21Pが負の値となる。すなわち、時刻T2から前輪が降下し始めることを意味する。従って、時刻T2からウィリー量が減少し始める。このウィリー量の減少時か、又はウィリー量の減少時から所定時間経過後に、駆動トルク11Rを増大させるための駆動トルク制御が開始される(図2(B)の実線参照)。時刻T4においてピッチ角速度21Pが急激に「0」となっているのは、前輪が路面に接地して二輪車のピッチ角の変化が無くなるからである。なお、ピッチ角速度21Pの正負の符号は説明の便宜のためであり、前輪の降下開始時点を特定するためには、ピッチ角速度21Pの符号が逆転する時点として判断すればよい。

0044

なお、図2(C)の一点鎖線は、従来技術の駆動トルク制御によるピッチ角速度121Pの線図であるが、本実施形態の場合と比較して、ピッチ角速度の負の傾きが大きい(前輪の降下速度が速い)。これは、本実施形態のような駆動トルクの増大制御が時刻T3までは実行されておらず、早いピッチ角速度121Pで前輪が降下するからである。そして、時刻T3の直後に前輪が路面に接地し、ピッチ角速度が「0」となっている。

0045

尚、上述の実施形態では、ウィリー量の減少に伴って、駆動トルクを増大させる場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、駆動トルクをその時点の駆動トルクに維持する制御も含まれる。これは、このような制御であっても、従来技術のようにウィリーの終了まで駆動トルクを低減し続ける場合と比較して、加速不良を有効に回避することができるからである。

0046

次に、図3に基づいて、本実施形態に係る駆動トルク制御の制御マップの一例について説明する。当該制御マップでは、横軸をピッチ角速度PR、縦軸をピッチ角PA、鉛直軸を駆動トルクの増大量MI低減量MDとしている。原点O’において、ピッチ角速度及びピッチ角は共に「0」である。この制御マップの点Oにおいては、ピッチ角速度が上昇方向に大きく、ピッチ角は「0」である。この場合次の瞬間に急激にピッチ角が上昇しウィリー状態になる可能性が非常に高いため、駆動トルクを増大させない。次に、点Aは、ピッチ角速度が減少方向に大きく、ピッチ角が「0」の場合である。これは、速いピッチ角速度で前輪が降下しており、ウィリーが終了する直前の状態である。このような状態では、それ以上ウィリーが増大することは無いので、駆動トルクの増大量が最大となっている。

0047

また、点Bは、ピッチ角速度は上昇方向に大きく、ピッチ角が大きい場合である。これは、ウィリー量が最大値の場合と言い換えることができる。この場合は、駆動トルクの低減量が最大となっている。なぜなら、それ以上駆動トルクを増大したり維持したりすると、ウィリー量が更に増大してしまい、二輪車の姿勢が不安定になる可能性があるからである。更に、点Cは、ピッチ角速度は減少方向に大きく、ピッチ角が大きい場合である。これは、ウィリー量が大きい状態で、速い角速度で前輪が降下している場合である。この場合は、車両が未だ不安定な状態にあると言えるので、駆動トルクの増大量は0となっており、駆動トルクの増大は行われない。

0048

図4は、本実施形態に係る駆動トルク制御を実現するための駆動トルク制御装置51aを含むブロック図である。この図から分かるように、駆動トルク制御装置51aは、ウィリー判定部53と、ウィリー判定部53からの情報に基づいて駆動トルクを制御する制御部55とを備えている。なお、制御部55は、駆動トルク制御だけではなく、二輪車のその他の制御を行う機能を併せ持ったものであってもよい。また、ウィリー判定部53と制御部55に加え、駆動トルク補正部57を備えるようにしてもよい。駆動トルク補正部57は、二輪車の様々なパラメータに基づいて、駆動トルクの増減量を補正するためのもの
である。このため、駆動トルク補正部57の出力は、制御部55に入力されるようになっている。なお、図4では駆動トルク補正部57を制御部55とは別のものとして記載しているが、駆動トルク補正部57を制御部55に組み込んでもよい。

0049

ウィリー判定部53は、二輪車に取り付けられた様々なセンサ59からの情報に基づいて、ウィリーが発生しているか否か、ウィリー量、ウィリー量の変化などの少なくとも1つを検出又は算出して、判定するものである。ウィリーの判定に用いられるセンサ59の例としては、X方向加速度センサ、Z方向加速度センサ、ピッチ角速度センサ、前後輪車輪速度センサ、駆動トルクセンサ、サスペンションストロークセンサ、対地センサ、変速機段位置センサなどが考えられる。本実施形態では、X−Y−Z3方向加速度センサ及びX軸並びにY軸周り角加速度センサが組み合わされた5次元センサ61を用いた。但し、5次元センサ61以外の情報でもウィリー量等を検出又は算出できるので、5次元センサ61からの情報と共に、或いは5次元センサ61からの情報に代えて、上記各種センサ59からの情報を利用するようにしてもよい。

0050

本実施形態では、一例として、Y軸周りの角加速度の情報を利用する。X軸、Y軸、Z軸のそれぞれの方向は、図4(B)に示されている。すなわち、X軸が二輪車の前後方向であり、Y軸が二輪車の幅方向であり、Z軸が二輪車の高さ方向である。5次元センサ61は二輪車の重心付近に設置されている。ウィリーが発生すると、車体にピッチングが生じ、Y軸周りの角加速度が検出される。ここで検出された角加速度を時間積分することで、リアルタイムでウィリー量としてのピッチ角(車体の傾斜角度)を算出することができる。また、検出された角速度を時間微分することで、Y軸周りのリアルタイムの角加速度が算出される。

0051

本実施形態では、上述したように、ウィリーが発生した後に前輪が降下を始める時点の特定が重要である。この時点が、ウィリー量が減少する時点だからである。このため、ウィリー判定部53では、Y軸周りの角速度をリアルタイムで算出し、ピッチ角速度が正(ウィリー量が増大している状態)から負(ウィリー量が減少している状態)に転じる時点を特定する。ウィリー量が減少したと判断された場合に、ウィリー判定部53は、制御部55に対してウィリー量が減少したことを示す信号を送信する。本実施形態では、ウィリーが発生している場合の駆動トルクは、正常状態時の駆動トルクに比べて低減されている。しかしながら、制御部55がウィリー量の減少の信号を受信すると、駆動トルク増大制御が実行される。具体的には、エンジンに対して駆動トルクを増大させるように、所定の信号が送られる。これにより、後輪に付与する駆動トルクの過度な低減を防ぎ、前輪接地時の衝撃や加速不良を回避することができる。

0052

次に、駆動トルク補正部57について説明する。駆動トルク補正部57は、ウィリーが発生している場合の駆動トルクの増減量を補正するためのものである。駆動トルクの増減量は、ウィリー量によって一義的に決定できるものではなく、二輪車の走行状態によって種々の補正が必要だからである。補正のためのパラメータとしては種々のものが考えられるが、例えば、ピッチ角速度、ピッチ角、X方向の加速度、Z方向の加速度、駆動トルク、路面の状態、前輪又は後輪の車輪速度、前輪又は後輪の車輪加速度、バンク角速度、バンク角、変速機段位置、サスペンションのストローク量および対地センサの情報などである。二輪車の速度及び加速度は、5次元センサからの情報によって算出できる。バンク角やバンク角速度も、5次元センサのX軸周りの角加速度センサからの情報によって算出できる。変速機段位置は、変速機段位置センサから取得することができる。

0053

駆動トルクの補正手法は様々なものが考えられる。例えば、二輪車の速度が高い場合には、駆動トルクを減少させるように補正する。また、二輪車の加速度が大きい場合にも、駆動トルクを減少させるように補正する。これは、速度や加速度が高いほど、ウィリーを
早期に終了させる必要があるからである。また、バンク角が大きい場合にも、直立状態の場合と比較して駆動トルクを減少させるように補正する。バンク角が大きい場合には、駆動トルクが大きいと後輪がスリップするなどの不都合が生じるからである。また、変速機段位置については、変速機段位置が低い(低速用の変速機段位置)ほど、駆動トルクを低減させるように補正する。これは、変速機段位置が低いほど後輪には大きな駆動トルクが伝達され、ウィリー量が増大しやすくなるからである。

0054

駆動トルク補正部57からの信号は制御部55に送信され、ウィリー判定部53からの信号と共に制御部55に受け入れられる。制御部55では、ウィリー判定部53からの信号に基づいて、駆動トルクの増減量を算出すると共に、駆動トルク補正部57からの信号に基づいて、最終的な駆動トルクに補正する。そして、この最終的な駆動トルクに対応する信号がエンジン63に送信される。エンジン63では、電子式のキャブレターやインジェクション装置が制御部55からの信号を受け取り、必要な燃料や空気等をエンジン63のシリンダ(図示略)に供給するようになっている。そして、エンジン63からの駆動トルクが、後輪65に伝達される。なお、図4の例では、駆動トルク補正部57はウィリー判定部53と別個に設けられている。しかしながら、駆動トルク補正部57をウィリー判定部53に組み込んで、一体としてもよい。また、ウィリー判定部53、制御部55及び駆動トルク補正部57をまとめて、駆動トルク制御装置51bとしてもよい。

0055

図5は、二輪車71の車体に対地センサ73を設置した場合を説明するための図である。ここで、「対地センサ」73とは、車体に取り付けられて直接ウィリー量を検出するためのセンサである。本実施形態では、フレームダウンチューブ75に距離センサが設置されており、リアルタイムで対地センサ73と路面77との間の距離Dを測定している。正常状態時(ウィリーが発生していない状態)の路面77との距離Dに対して、対地センサ73で検出された距離が大きければ、ウィリーが発生していると推測することが可能である。そして、路面77との距離Dが減少していることを検出することで、ウィリー量の減少時点を特定することができる。

0056

以上の説明では、基本的に二輪車の駆動トルク制御に着目しているが、三輪車トライク)や四輪車にも適用することが可能である。また、上記説明ではエンジンを備えた二輪車を例にして詳述したが、電動モータを駆動手段とする車両やその他の駆動手段を用いる車両にも適用可能である。

0057

本発明は、車両の駆動トルク制御、特に、ウィリーが発生した場合に後輪に付与する駆動トルクを制御するために利用できる。

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