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技術 トランジスタの製造方法

出願人 富士フイルム株式会社
発明者 中村誠吾
出願日 2015年2月27日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2016-506454
公開日 2017年4月6日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 WO2015-133391
状態 特許登録済
技術分野 ホトレジスト感材への露光・位置合せ 薄膜トランジスタ
主要キーワード 加熱冷却機構 温度制御領域 パターンズレ 伸縮処理 温度調節媒体 枯らし n型半導体 ベンゾチエノベンゾチオフェン
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題・解決手段

トランジスタの製造において、3個以上のアライメントマークが形成されたフィルム基板を用い、アライメントマークを検出して、その検出結果に応じて、基板伸縮を制御する処理を1回以上行う。これにより、フィルムを基板とするトランジスタの製造において、環境変化に起因する基板の伸縮によらず、ソース電極ドレイン電極等のトランジスタの構成部材パターンズレなく形成できる。

概要

背景

軽量化やフレキシブル化等が可能であることから、液晶ディスプレイ有機ELディスプレイに用いられるTFT(薄膜トランジスタ)、RFID(RFタグ)やメモリなどの論理回路を用いる装置等に、プラスチックフィルム等のフィルム基板が用いられている。

TFT等のトランジスタは、微細電極等を形成してなる微細構造を有する。従って、トランジスタの製造する際には、μmオーダの精度で電極等をパターン形成する必要がある。
周知のように、トランジスタの製造では、加熱や溶液の塗布等を伴う工程も多い。ところが、フィルム、特にプラスチックフィルムは、従来より基板として用いられているガラス等に比して、温度や湿度による伸縮が大きい。
そのため、フィルムを基板として用いる場合には、基板の伸縮に起因して、トランジスタを構成する部材のパターンズレ位置ズレ)が生じてしまい、適正なトランジスタを安定して製造することができない。

このような基板の伸縮(歪み)によらず、パターンズレを生じることなく適正な微細パターンを形成する方法として、特許文献1や特許文献2に示されるような、アライメントマークを用いる方法が知られている。

この方法は、基板表面の四隅などに、位置合わせを行うための目印となるアライメントマークを形成しておく。その上で、電極等のパターンの形成に先立って、アライメントマークの位置を検出する。なお、パターンの形成には、パターン露光も含まれる。
基板に形成したアライメントマークの位置は、当然、既知である。従って、検出したアライメントマークの位置や間隔と、もとのアライメントマークの形成位置や間隔との違いから、アライメントマークの位置ズレすなわち基板の伸縮を検出できる。従って、アライメントマークの検出結果に応じて、アライメントマークに対して適正な位置にパターンを形成するように、パターンを再設定(再演算)し、再設定したパターンに応じて、例えば、インクジェットレーザビーム露光等によってパターンを形成することで、パターンズレの無いトランジスタを作製できる。

概要

トランジスタの製造において、3個以上のアライメントマークが形成されたフィルム基板を用い、アライメントマークを検出して、その検出結果に応じて、基板の伸縮を制御する処理を1回以上行う。これにより、フィルムを基板とするトランジスタの製造において、環境変化に起因する基板の伸縮によらず、ソース電極ドレイン電極等のトランジスタの構成部材をパターンズレなく形成できる。

目的

本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、フィルムを基板として用いるトランジスタの製造において、アライメントマークを利用することにより、各構成部材のパターンズレが無い、位置関係が適正なトランジスタを製造でき、しかも、アライメントマークの検出結果に応じたパターンの再設定が不要で、フォトマスクの使用も可能なトランジスタの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

フィルム基板とするトランジスタの製造において、3つ以上のアライメントマークが形成された基板を用い、前記アライメントマークを検出して、前記アライメントマークの検出結果に応じて、前記基板の伸縮を制御する伸縮制御処理を、1回以上、行うことを特徴とするトランジスタの製造方法。

請求項2

前記トランジスタの製造が、少なくとも、ゲート電極の形成工程、ゲート絶縁膜の形成工程、半導体層の形成工程、ならびに、ソース電極およびドレイン電極の形成工程を含み、前記ゲート電極の形成工程、ゲート絶縁膜の形成工程、半導体層の形成工程、ならびに、ソース電極およびドレイン電極の形成工程の少なくとも1つの工程の途中あるいは前に、前記伸縮制御処理を行う請求項1に記載のトランジスタの製造方法。

請求項3

前記伸縮制御処理が、前記基板の温度制御および前記基板の湿度制御の少なくとも一方である請求項1または2に記載のトランジスタの製造方法。

請求項4

前記アライメントマークの検出結果から、前記アイメントマークズレの大きさを検出して、前記アイメントマークのズレの大きさと、前記基板の線膨張係数および吸湿膨張係数の少なくとも一方とから、前記基板の温度制御および前記基板の湿度制御の少なくとも一方を行う請求項3に記載のトランジスタの製造方法。

請求項5

前記基板をキャリアに固定して前記トランジスタの製造を行うものであり、前記基板をキャリアに固定した状態で、前記基板の線膨張係数および吸湿膨張係数の少なくとも一方を知見しておき、前記知見した情報を用いて、前記基板の温度制御および前記基板の湿度制御の少なくとも一方を行う請求項4に記載のトランジスタの製造方法。

請求項6

前記伸縮処理制御による基板の温度および湿度の少なくとも一方を保った状態で、印刷法もしくはフォトマスクを用いるパターン露光を行うことにより、トランジスタの製造におけるパターン形成を行う請求項3〜5のいずれか1項に記載のトランジスタの製造方法。

請求項7

前記伸縮制御処理が湿度制御であり、前記基板に湿度を制御したガスを吹き付けることにより、前記伸縮制御処理を行う請求項3〜6のいずれか1項に記載のトランジスタの製造方法。

請求項8

長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、前記アライメントマークの検出を行い、前記アライメントマークの検出位置の下流において前記伸縮制御処理を行い、前記伸縮制御処理の下流においてトランジスタの製造におけるパターン形成を行う請求項1〜7のいずれか1項に記載のトランジスタの製造方法。

請求項9

前記基板が、支持体ガスバリア膜を形成してなるガスバリアフィルムであって、前記ガスバリア膜が、有機層無機層とを交互に1層以上積層してなるものである請求項1〜8のいずれか1項に記載のトランジスタの製造方法。

請求項10

前記無機層が、窒化ケイ素膜である請求項9に記載のトランジスタの製造方法。

請求項11

有機半導体層の形成工程を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載のトランジスタの製造方法。

請求項12

最初に行う前記伸縮制御処理よりも前に、前記基板の熱処理を行う請求項1〜11のいずれか1項に記載のトランジスタの製造方法。

請求項13

前記アライメントマークの形成工程を含み、前記アライメントマークを、トランジスタの製造における最下層のパターンを行う際に形成する請求項1〜12のいずれか1項に記載のトランジスタの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、プラスチックフィルム等のフィルム基板として用いるトランジスタの製造方法に関する。詳しくは、パターンズレを生じることなくソース電極ドレイン電極等を形成できるトランジスタの製造方法に関する。

背景技術

0002

軽量化やフレキシブル化等が可能であることから、液晶ディスプレイ有機ELディスプレイに用いられるTFT(薄膜トランジスタ)、RFID(RFタグ)やメモリなどの論理回路を用いる装置等に、プラスチックフィルム等のフィルム基板が用いられている。

0003

TFT等のトランジスタは、微細電極等を形成してなる微細構造を有する。従って、トランジスタの製造する際には、μmオーダの精度で電極等をパターン形成する必要がある。
周知のように、トランジスタの製造では、加熱や溶液の塗布等を伴う工程も多い。ところが、フィルム、特にプラスチックフィルムは、従来より基板として用いられているガラス等に比して、温度や湿度による伸縮が大きい。
そのため、フィルムを基板として用いる場合には、基板の伸縮に起因して、トランジスタを構成する部材のパターンズレ(位置ズレ)が生じてしまい、適正なトランジスタを安定して製造することができない。

0004

このような基板の伸縮(歪み)によらず、パターンズレを生じることなく適正な微細パターンを形成する方法として、特許文献1や特許文献2に示されるような、アライメントマークを用いる方法が知られている。

0005

この方法は、基板表面の四隅などに、位置合わせを行うための目印となるアライメントマークを形成しておく。その上で、電極等のパターンの形成に先立って、アライメントマークの位置を検出する。なお、パターンの形成には、パターン露光も含まれる。
基板に形成したアライメントマークの位置は、当然、既知である。従って、検出したアライメントマークの位置や間隔と、もとのアライメントマークの形成位置や間隔との違いから、アライメントマークの位置ズレすなわち基板の伸縮を検出できる。従って、アライメントマークの検出結果に応じて、アライメントマークに対して適正な位置にパターンを形成するように、パターンを再設定(再演算)し、再設定したパターンに応じて、例えば、インクジェットレーザビーム露光等によってパターンを形成することで、パターンズレの無いトランジスタを作製できる。

先行技術

0006

特開2007−110048号公報
国際公開第2009/130791号

発明が解決しようとする課題

0007

アライメントマークを利用することにより、トランジスタを構成する各部材のパターンズレを無くして、例えば、ソース電極およびドレイン電極と、ソース電極との位置関係等が適正なトランジスタを製造できる。

0008

しかしながら、アライメントマークを用いる従来の方法では、アライメントマークの検出結果に応じて、各パターンの位置を再設定する必要があるため、トランジスタの製造コストが高くなってしまう。
また、フォトリソグラフィを利用するトランジスタの製造においては、フォトマスクを用いた露光によるパターンの形成が行われる。しかしながら、アライメントマークの検出結果に応じて、形成するパターンの位置を再設定する方法は、フォトマスクを用いる方法には利用できない。あるいは、アライメントマークの検出結果に応じて、形成するパターンの位置を再設定する方法を、フォトマスクを用いる方法に利用するためには、1つのパターンに対して、多数の種類のフォトマスクを用意する必要がある。

0009

本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、フィルムを基板として用いるトランジスタの製造において、アライメントマークを利用することにより、各構成部材のパターンズレが無い、位置関係が適正なトランジスタを製造でき、しかも、アライメントマークの検出結果に応じたパターンの再設定が不要で、フォトマスクの使用も可能なトランジスタの製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0010

このような目的を達成するために、本発明のトランジスタの製造方法は、フィルムを基板とするトランジスタの製造において、
3つ以上のアライメントマークが形成された基板を用い、
アライメントマークを検出して、アライメントマークの検出結果に応じて、基板の伸縮を制御する伸縮制御処理を、1回以上、行うことを特徴とするトランジスタの製造方法を提供する。

0011

このような本発明のトランジスタの製造方法において、トランジスタの製造が、少なくとも、ゲート電極の形成工程、ゲート絶縁膜の形成工程、半導体層の形成工程、ならびに、ソース電極およびドレイン電極の形成工程を含み、ゲート電極の形成工程、ゲート絶縁膜の形成工程、半導体層の形成工程、ならびに、ソース電極およびドレイン電極の形成工程の少なくとも1つの工程の途中あるいは前に、伸縮制御処理を行うのが好ましい。
また、伸縮制御処理が、基板の温度制御および基板の湿度制御の少なくとも一方であるのが好ましい。
また、アライメントマークの検出結果から、アイメントマークズレの大きさを検出して、アイメントマークのズレの大きさと、基板の線膨張係数および吸湿膨張係数の少なくとも一方とから、基板の温度制御および基板の湿度制御の少なくとも一方を行うのが好ましい。
また、基板をキャリアに固定してトランジスタの製造を行うものであり、基板をキャリアに固定した状態で、基板の線膨張係数および吸湿膨張係数の少なくとも一方を知見しておき、知見した情報を用いて、基板の温度制御および基板の湿度制御の少なくとも一方を行うのが好ましい。
また、伸縮処理制御による基板の温度および湿度の少なくとも一方を保った状態で、印刷法もしくはフォトマスクを用いるパターン露光を行うことにより、トランジスタの製造におけるパターン形成を行うのが好ましい。
また、伸縮制御処理が湿度制御であり、基板に湿度を制御したガスを吹き付けることにより、伸縮制御処理を行うのが好ましい。
また、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、アライメントマークの検出を行い、アライメントマークの検出位置の下流において伸縮制御処理を行い、伸縮制御処理の下流においてトランジスタの製造におけるパターン形成を行うのが好ましい。
また、基板が、支持体ガスバリア膜を形成してなるガスバリアフィルムであって、ガスバリア膜が、有機層無機層とを交互に1層以上積層してなるものであるのが好ましい。
また、無機層が、窒化ケイ素膜であるのが好ましい。
また、有機半導体層の形成工程を含むのが好ましい。
また、最初に行う伸縮制御処理よりも前に、基板の熱処理を行うのが好ましい。
さらに、アライメントマークの形成工程を含み、アライメントマークを、トランジスタの製造における最下層のパターンを行う際に形成するのが好ましい。

発明の効果

0012

このような本発明によれば、基板に形成したアライメントマークの検出結果に応じて、基板の温度制御や湿度制御などによって、アライメントマークの位置すなわち基板の伸縮を元に戻して、電極等を形成できる。
そのため、本発明の製造方法によれば、電極や配線等のパターンズレが無い適正なトランジスタを安定して製造できる。しかも、アライメントマークの検出結果に応じたパターンの再設定(再演算)が不要であるため、トランジスタの製造コストを低減できる。さらに、本発明の製造方法によれば、1つのフォトマスクで、フォトマスクを用いる方法にも対応できる。

図面の簡単な説明

0013

図1(A)〜図1(D)は、本発明のトランジスタの製造方法の一例を説明するための概念図である。
図2(E)〜図2(G)は、本発明のトランジスタの製造方法の一例を説明するための概念図である。
図3(A)は、本発明のトランジスタの製造方法をロールトゥ・ロールによる製造装置に利用した一例の概念図であり、図3(B)は、図3(A)に示す製造装置に用いられる基板の一例の概念図である。

0014

以下、本発明のトランジスタの製造方法について、添付の図面に示される好適例を基に、詳細に説明する。

0015

図1(A)〜図2(G)に、本発明のトランジスタの製造方法の一例を概念的に示す。
本発明のトランジスタの製造方法は、3つ以上のアライメントマークが形成されたフィルム基板10を用いて、トランジスタを形成するものである。
図1(A)〜図2(G)に示す例は、一例として、本発明のトランジスタの製造方法を、アライメントマーク12が形成されたフィルム基板10の上にゲート電極14を形成し、ゲート電極14を覆ってゲート絶縁膜16を形成し、ゲート絶縁膜16の上にソース電極18およびドレイン電極20を形成し、ゲート絶縁膜16ならびにソース電極18およびドレイン電極20の上に半導体層24を形成する、ボトムゲートボトムコンタクト型のトランジスタの製造に利用した例である。
しかしながら、本発明は、これに限定はされず、トップゲート−ボトムコンタクト型、ボトムゲート−トップコンタクト型、トップゲート−ボトムコンタクト型など、公知の各種のトランジスタの製造に利用可能である。

0016

本発明のトランジスタの製造方法において、フィルム基板10は、シリコン等の金属、セラミック、ガラス、プラスチックなど、いわゆる薄膜トランジスタにおいて基板として利用される、各種の材料からなるフィルム(フィルム状物)が利用可能である。以下の説明では、本発明のトランジスタの製造方法を、単に『本発明の製造方法』とも言う。また、以下の説明では、フィルム基板10を単に『基板10』とも言う。

0018

その中でも、このようなプラスチックフィルムを支持体として、その表面にガスバリア膜を形成してなる、ガスバリアフィルムは、基板10としてより好適に利用される。
その中でも特に、このようなプラスチックフィルムを支持体として、その表面に、ガスバリア膜として、アクリル樹脂やメタクリル樹脂等からなる有機層と、酸化ケイ素窒化ケイ素等からなる無機層とを交互に形成してなる、有機無機積層型のガスバリアフィルムは、基板10として特に好適に利用される。
基板10として有機−無機積層型のガスバリアフィルムを利用する場合において、有機層および無機層の形成材料は、各種のものが利用可能である。ここで、無機層は、一般的に伸縮に対して弱く、伸縮によってクラックを生じる場合がある。無機層にクラックが生じると、ガスバリア性能劣化が起こる。そのため、無機層は、窒化ケイ素膜が好ましく、特に、CVDで成膜した窒化ケイ素膜が好ましい。CVDで成膜した窒化ケイ素膜は、膜中に水素原子を含むため、水素結合により高い伸縮性が得られると考えられる。
なお、基板10として有機−無機積層型のガスバリアフィルムを用いる場合には、最下層は、有機層でも無機層でもよい。また、最上層も、有機層でも無機層でもよい。さらに、有機層と無機層との積層数も、1層ずつであってもよく、複数の有機層および無機層を交互に積層したものでもよく、有機層と無機層との数が異なるものでもよい。
ガスバリアフィルムの最下層とは、支持体表面に形成される層である。ガスバリアフィルムの最上層とは、支持体と逆側のガスバリアフィルムの表面の層である。

0019

基板10としてガスバリアフィルムを用いる場合には、トランジスタは、通常、ガスバリア膜の上に形成するのが好ましい。すなわち、基板10として有機−無機積層型のガスバリアフィルムを用いる場合には、トランジスタは、有機層もしくは無機層の表面に形成するのが好ましい。
基板10としてガスバリアフィルムを用いる場合に、トランジスタに対して、ガスバリア膜の内側に支持体が有ると、支持体に含まれる水分や支持体の経時変化が、トランジスタに悪影響を与える可能性が有る。これに対し、トランジスタをガスバリア膜の上に形成することにより、この不都合を回避できる。

0020

本発明の製造方法においては、トランジスタの製造に先立ち、基板10の熱処理を行うのが好ましい。
プラスチックフィルムは、通常、延伸を行って製造する。この際、MD方向とTD方向とで、延伸の量が異なる場合が多い。そのため、プラスチックフィルムは、多くの場合、MD方向とTD方向とで熱収縮率が異なる。MD方向とは、プラスチックの製造におけるフィルムの搬送方向であり、TD方向とは、MD方向すなわちフィルムの搬送方向と直交する方向である。
後述するが、本発明の製造方法では、好ましい態様として、基板10の温度制御や湿度制御によって、基板10の伸縮を制御する伸縮制御処理を行う。伸縮制御処理とは、言い換えれば、アライメントマークの位置ズレを改善する処理である。
しかしながら、MD方向とTD方向とで熱収縮率が異なると、温度制御や湿度制御による伸縮制御処理を適正に行うことができない。
そのため、本発明の製造方法においては、必要に応じて、トランジスタの製造に先立って、基板10すなわちプラスチックフィルムのMD方向とTD方向との熱収縮を無くすための熱処理(熱収縮枯らし熱緩和処理)を行うのが好ましい。

0021

熱処理は、ヒータによる加熱、恒温槽を用いる加熱、温風を用いる加熱等、公知の方法で行えばよい。
また、熱処理の温度や時間等の熱処理の条件は、使用する基板10の形成材料、厚さ等に応じて、トランジスタの製造プロセスを通じてMD方向とTD方向との収縮を無くすことができる条件を、適宜、設定すればよい。一例として、トランジスタの製造プロセス中における最高温度以上の温度で、熱処理を行う条件が例示される。

0022

本発明の製造方法は、このような基板10にトランジスタを製造する。
ここで、以下に示すトランジスタの製造は、基板10のみを用いて行ってもよい。しかしながら、基板10の形成材料や厚さ等によっては、基板10のみでは、剛性が弱く、基板10の形状が不安定になってしまう場合が有る。
従って、好ましくは、基板10の裏面(トランジスタの非形成面)にガラス板等のキャリア基板を貼着して、トランジスタの製造を行う。これにより、基板10の形状を適正に保った状態で、後述するゲート電極14の形成等を行うことができる。
基板10へのキャリア基板の貼着は、キャリアフィルム再剥離性能を有するフィルム)等を用いる公知の方法で行えばよい。

0023

図示例においては、図1(A)に概念的に示すように、まず、基板10の表面に、ゲート電極14をパターン形成する。
ゲート電極14の形成材料は、薄膜トランジスタでゲート電極として利用されている公知の物が、各種、利用可能である。一例として、アルミニウムクロム、銅、モリブデンタングステン、金、銀等の金属、合金酸化インジウム錫(ITO)等の透明導電性酸化物(TCO)、ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)等の導電性高分子、これらの積層構造等が例示される。

0024

また、ゲート電極14の形成方法も、形成材料に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。
一例として、スパッタリング真空蒸着等の気相成膜法気相堆積法)とフォトリソグラフィとを利用する方法、気相成膜法とシャドウマスクとを利用する方法、インクジェットなどの印刷による方法等が例示される。シャドウマスクとは、非形成部(非成膜部)を覆うマスクである。

0025

ここで、図示例においては、好ましい態様として、ゲート電極14の形成すなわち最下層のパターン形成を行う際に、ゲート電極14と一緒にアライメントマーク12も形成する。従って、この場合には、ゲート電極14とアライメントマーク12とは、同時に、同じ材料で形成される。なお、ゲート電極14の形成パターンによっては、ゲート電極14を、アライメントマークとして利用することもを可能である。
これにより、アライメントマークの検出を行わなくても、ゲート電極14(最下層のパターン)をアライメントマークとの位置関係を適正にして作製できる。また、ゲート電極14と同時にアライメントマークを形成できるため、アライメントマークを別に形成する場合と比較して、工程数を減らすことができる点でも好ましい。

0026

しかしながら、本発明の製造方法は、これに限定はされず、先にアライメントマークを形成した後、ゲート電極14の形成を行ってもよい。
この場合には、ゲート電極14とアライメントマーク12とは、同じ材料で形成されても、異なる材料で形成されてもよい。また、ゲート電極14とアライメントマーク12との形成方法が異なってもよい。

0027

なお、ゲート電極14と同時にアライメントマーク12を形成しない場合において、アライメントマークの形成材料は、薄膜トランジスタでアライメントマークとして利用されている公知の物が、各種、利用可能である。
具体的には、前述のゲート電極14の形成材料に加え、各種の染料顔料を含むインキ等が例示される。

0028

また、ゲート電極14と同時にアライメントマーク12を形成しない場合において、アライメントマークの形成方法は、薄膜トランジスタでアライメントマークの形成方法として利用されている公知の方法が、各種、利用可能である。
具体的には、前述のゲート電極14の形成方法等が例示される。

0029

アライメントマーク12の数は、基板10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよいが、基本的に、3つ以上であればよい。なお、後述するRtoRであれば、基板10の大きさは、基板の長さと幅である。
3つ以上のアライメントマーク12を形成することで、x−y方向(2軸方向)でアライメントマーク12の位置ズレすなわち基板10の伸縮を検出できるので、後述する伸縮制御処理を適正に行うことが可能になる。

0030

アライメントマーク12の大きさ、形状、色等も、実施するトランジスタの製造工程や各部位の形成材料等に応じて、後述する伸縮制御処理を行う際に確実に検出できる大きさ等を、適宜、設定すればよい。すなわち、アライメントマークは、製造するトランジスタで必要な位置精度が得られる形状およびサイズであればよい。言い換えれば、アライメントマークは、製造するトランジスタに要求される位置精度(アライメント精度)から計算される必要な精度が得られる形状およびサイズであればよい。
さらに、アライメントマーク12の形成位置、各アライメントマーク12の間隔などの互いの位置関係も、後述する伸縮制御処理によって、アライメントマーク12の位置ズレを好適に直せる位置等を、基板10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。

0031

図1(A)〜図2(G)に示すトランジスタの製造において、基板10にアライメントマーク12およびゲート電極14を形成したら、図1(B)に概念的に示すように、基板10、アライメントマーク12およびゲート電極14を覆って、ゲート絶縁膜16すなわち絶縁体層を形成する。

0032

ゲート絶縁膜16の形成材料も、同様に、薄膜トランジスタでゲート絶縁膜として利用されている公知の物が、各種、利用可能である。
一例として、酸化ケイ素(SiOx)、酸化マグネシウム酸化アルミニウム酸化チタン酸化ゲルマニウム酸化イットリウム酸化ジルコニウム酸化ニオブ酸化タンタル等の金属酸化物、窒化ケイ素(SiNx)等の金属窒化物窒化酸化ケイ素(SiOxNy)等の金属窒化酸化物金属酸化化物)、ダイヤモンド状炭素(DLC)等の無機材料や各種高分子材料、これらの積層構造等が例示される。

0033

また、ゲート絶縁膜16の形成方法も、材料に応じた公知の各種の形成方法が利用可能である。
一例として、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の各種の物理的気相成膜法(PVD)、原子層堆積法(ALD法またはALE法)を含む各種の化学的気相成膜法(CVD)、塗布法、印刷法、転写法等が例示される。
なお、ゲート電極14を形成する際に、形成装置に対する位置決めに、基板10に形成したアライメントマーク12を利用してもよい。この点に関しては、後述する半導体層24やレジスト層32の形成等でも同様である。

0034

ゲート絶縁膜16を形成したら、ソース電極18およびドレイン電極20をパターン形成する。
ソース電極18およびドレイン電極20の形成材料は、有機薄膜トランジスタで利用されている公知の物が、各種、利用可能である。一例として、前述のゲート電極14で例示した各種の材料が例示される。

0035

また、ソース電極18およびドレイン電極20のパターン形成方法も、形成材料に応じた公知の方法が、各種、利用可能である。一例として、前述のゲート電極14で例示した各種の方法が例示される。また、ソース電極18およびドレイン電極20は、電荷注入層等をパターン形成して、その上に形成してもよい。なお、電荷注入層は、p型半導体の場合は正孔注入層n型半導体の場合は電子注入層である。

0036

図示例においては、気相成膜法とフォトリソグラフィとを利用して、ソース電極18およびドレイン電極20を形成する。
なお、シャドウマスクを用いる気相堆積による成膜、インクジェットなどの印刷等によってソース電極18およびドレイン電極20を形成する場合でも、パターン形成を行う前、好ましくはさらにパターンの形成中に、以下に示す温度制御や湿度制御等の伸縮制御処理を行えばよい。

0037

前述のようにゲート絶縁膜16を形成したら、図1(C)に示すように、ゲート絶縁膜16を覆って、ソース電極18およびドレイン電極20となる金属層30を形成する。金属層30は、真空蒸着等の気相堆積法で形成する。
次いで、図1(D)に示すように、金属層30を覆って、フォトレジストからなるレジスト層32を形成する。レジスト層32の形成は、レジスト層32となるフォトレジスト等を含む溶液をスピンコート等で塗布し、その後、ポストベークを行う方法等、トランジスタの製造で利用されている公知のレジスト層32の形成方法で行えばよい。

0038

レジスト層32を形成したら、基板10に形成したアライメントマーク12を検出して、基板10の伸縮を制御する伸縮制御処理を行う。
アライメントマーク12の検出は、CCDセンサ等の撮像素子を用いる方法、アライナー等と同様に顕微鏡を利用する方法等、アライメントマークを利用する薄膜トランジスタの製造で利用されている各種の方法が利用可能である。
なお、アライメントマーク12の検出は、表面すなわちトランジスタの形成面から行っても、裏面から行ってもよい。

0039

図示例においては、一例として、ここまでの製造工程での加熱や加湿温度変化湿度変化)等によって、図1(D)に概念的に示すように、基板10が収縮して、アライメントマーク12の位置ズレが生じていたとする。
これに対応して、図2(E)に概念的に示すように、フォトマスク34を用いるパターン露光すなわちパターン形成(パターンニング)を行う前に、レジスト層32を形成した基板10を温度調節手段40に載置して、基板10を加熱して伸長させて、基板10のアライメントマーク12とフォトマスク34のアライメントマーク36とを一致させる。
なお、基板10が伸長していた場合には、基板10を冷却して収縮させることにより、基板10のアライメントマーク12とフォトマスク34のアライメントマーク36とを一致させる。
さらに、必要に応じて、基板10および/またはフォトマスク34を移動して、基板10とフォトマスク34との位置および/または角度を合せる。

0040

次いで、この加熱状態を保ったまま、フォトマスク34によってレジスト層32の露光を行う。
フォトマスク34のアライメントマーク36は、レジスト層32を露光する際における面方向の位置が、基板10に形成したアライメントマーク12と一致するように形成されている。そのため、加熱による基板10のアライメントマーク12とフォトマスク34のアライメントマーク36とを一致させること、すなわちアライメントマーク12の位置ズレを改善することによって、基板10の伸縮を改善して、アライメントマーク12を形成した時と同じ状態にできる。
従って、この加熱によるアライメントマーク12の位置の改善によって、符号32aで示すソース電極18およびドレイン電極20の形成位置に正確に対応して、レジスト層32をパターン露光できる。すなわち、パターンズレを生じることなく、ゲート電極14に対して適正な位置に、ソース電極18およびドレイン電極20を形成できる。

0041

特許文献1や特許文献2に示されるように、フィルム基板を用いるトランジスタの製造において、アライメントマークを利用して、パターンズレを生じることなく電極等を形成することが知られている。
従来のアライメントマークを利用するトランジスタの製造方法では、アライメントマークの検出結果に応じて、パターンを再設定し、再設定したパターンに応じて電極等を形成することにより、パターンズレを防止している。しかしながら、このような従来の方法では、アライメントマークの検出結果に応じたパターンの再設定を行うため、トランジスタの製造コストが向上してしまう。また、アライメントマークの検出結果に応じて、形成するパターンを再設定する方法は、フォトマスクを用いる方法には利用できず、あるいは、1つのパターンに対して、多数のフォトマスクを用意する必要がある。

0042

これに対して、本発明の製造方法では、基板10に形成したアライメントマーク12の検出結果に応じて、基板10自身を伸長あるいは収縮させる、基板10の伸縮制御処理を行って、アライメントマーク12の位置ズレを改善して、パターン形成を行う。すなわち、アライメントマーク12の検出結果に応じて、基板10を伸長あるいは収縮させてアライメントマーク12の位置ズレを改善することにより、基板10をアライメントマーク12の形成時の状態に戻して、パターン形成を行う。
従って、本発明の製造方法によれば、パターンズレを生じることなく電極等をパターン形成できるのみならず、パターンの再設定を不要にして、トランジスタの製造コストを低減できる。また、本発明の製造方法によれば、1つのフォトマスクで、フォトマスクによるパターン露光が可能である。

0043

図示例においては、アライメントマーク12の検出結果に応じて、温度調節手段40によって基板10を加熱あるいは冷却することによって、アライメントマーク12の位置ズレを改善している。すなわち、温度制御によって、伸縮制御処理を行う。
温度制御による伸縮制御処理は、一例として、アライメントマーク12の位置ズレ量と、基板10の線膨張係数(熱膨張係数)との関係を知見しておき、例えば、アライメントマーク12の位置ズレ量と、この位置ズレを改善するための加熱温度冷却温度との関係とを示すテーブル(LUT)や演算式を作成し、このテーブルや演算式を用いて、基板10の温度制御を行う方法が例示される。

0044

なお、前述のように、基板10にキャリア基板を貼着して、本発明の製造方法を行う場合も有る。
この場合には、キャリア基板に基板10を貼着(固定)した状態で、基板10の線膨張係数を知見して、アライメントマーク12の位置ズレ量と、この位置ズレを改善するための加熱温度/冷却温度との関係とを示すテーブルや演算式を作成するのが好ましい。

0045

温度制御による伸縮制御処理は、このテーブルや演算式のみを用いて行ってもよい。
しかしながら、好ましくは、温度制御による伸縮制御処理を行った状態でアライメントマーク12を再検出して、アライメントマーク12が位置ズレしている場合には、さらに温度調節を行って、アライメントマークを検出し、アライメントマーク12が、位置ズレ無く、適正な位置に有ることを確認した後に、パターン露光(パターン形成)を行うのが好ましい。

0046

また、図示例においては、基板10のアライメントマーク12とフォトマスク34のアライメントマーク36とを一致させることで、基板10のアライメントマーク12の位置ズレを改善している。
しかしながら、本発明は、この方法以外にも、各アライメントマーク12の間隔を検出して、適正な間隔となるように基板10の温度を制御する方法、基板10の端部からの距離など各アライメントマーク12の位置を検出して、各アライメントマーク12の位置が適正な位置となるように基板10の温度を制御する方法、これらを併用する方法等で、基板10のアライメントマーク12の位置ズレを改善してもよい。

0047

図示例においては、好ましい態様として、温度調節手段40に基板10を載置した状態で、フォトマスク34による露光を行っている。本発明は、これに限定はされず、温度調節手段40で伸縮制御処理を行ったら、温度制御手段から基板10取り外して、フォトマスク34による露光を行ってもよい。
しかしながら、図示例のように、温度制御を行った状態すなわち伸縮制御処理における基板温度を保った状態で、フォトマスク34等によるパターン露光、シャドウマスクを用いる気相堆積による成膜、インクジェットなどの印刷を行って、パターン形成を行うことにより、より適正にアライメントマーク12の位置ズレを無くした状態で、パターン形成を行うことが可能になる。

0048

なお、以上の点に関しては、後述する湿度制御による伸縮制御処理でも、同様である。

0049

基板10の温度制御方法温度調節方法)も、ヒータやホットプレートを利用する方法、温度調節媒体循環による方法、ペルチェ素子を用いる方法、公知のフィルム状物(シート状物)温度制御方法が、各種、利用可能である。

0050

さらに、レジスト層32のパターン露光の方法は、フォトマスク34を用いる方法以外にも、光ビーム走査による方法等の公知の各種の方法が利用可能である。

0051

アライメントマーク12の検出結果に応じて、アライメントマーク12の位置ズレを改善する処理すなわち基板10の伸縮を制御する伸縮制御処理は、図示例のような温度制御以外にも、基板10の湿度制御も好適に利用される。
なお、本発明の製造方法において、湿度制御は、水分のみならずレジスト層32を形成するための溶液等に用いられる溶剤も対象とする。従って、基板10の加湿および除湿とは、水分のみならず、基板10における溶剤含有量の制御を含んでもよい。

0052

湿度制御の方法も、公知のフィルム状物の湿度制御方法湿度調節方法)が、各種、利用可能である。
一例として、基板10を乾燥したガスあるいは湿らせたガス(加湿ガス)を吹き付ける方法、高湿雰囲気中あるいは乾燥雰囲気中に保持する方法、真空環境での脱水等が例示される。なお、基板10としてガスバリアフィルムを用いる場合には、ガスの吹き付けは、ガスバリア膜と逆側(支持体側)から行う必要が有る。
いずれの方法でも、基板10を収縮させる場合には除湿(乾燥)するように、基板10を伸長させる場合には加湿するように、湿度制御を行う。

0053

なお、本発明の製造方法においては、温度制御および湿度制御の両方を行って、伸縮制御処理を行ってもよい。
さらに、伸縮制御方法は、温度制御および湿度制御以外にも、基板10を引っ張ることで伸長して、アライメントマーク12の位置ズレを改善する方法も、利用可能である。

0054

このようにしてレジスト層32をパターン露光したら、レジスト層32を現像して、符号32aで示す領域を残してレジスト層32を除去する。次いで、残ったレジスト層32をマスクにして金属層30のエッチングを行って、図2(F)に示すように、ソース電極18およびドレイン電極20を形成する。
ここで、図示例においては、アライメントマーク12の検出結果に応じて、温度制御によって基板10を伸縮させる伸縮制御処理を行い、アライメントマーク12の位置ズレを改善した上で、レジスト層32のパターン露光を行っている。従って、パターンズレを生じることなく、ソース電極18およびドレイン電極20を形成できる。

0055

ソース電極18およびドレイン電極20を形成したら、図2(G)に示すように、ソース電極18およびドレイン電極20と、ゲート絶縁膜16とを覆って半導体層24を形成して、トランジスタを完成する。あるいは、さらに、封止層によって封止を行って、トランジスタを完成してもよい。
半導体層24の形成材料は、アモルファスシリコン多結晶シリコン有機半導体材料酸化物半導体等、薄膜トランジスタで利用されている、各種の材料が利用可能である。
中でも、軽量化、低コスト化、柔軟化等の点で、6,13−ビストリイソプロピルシリルエチニルペンタセン(TIPSペンタセン)等のペンタセン誘導体、5,11‐ビス(トリエチルシリルエチニル)アントラジチオフェン(TES‐ADT)等のアントラジチオフェン誘導体ベンゾジチオフェン(BDT)誘導体、ジオクチルベンゾチエノベンゾチオフェン(C8−BTBT)等のベンゾチエノベンゾチオフェン(BTBT)誘導体、ジナフトチエノチオフェンDNTT)誘導体、ジナフトベンゾジチオフェン(DNBDT)誘導体、6,12‐ジオキサアンタントレン(ペリキサンテノキサンテン)誘導体、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドNTCDI)誘導体、ペリレンテトラカルボン酸ジイミドPTCDI)誘導体、ポリチオフェン誘導体ポリ(2,5‐ビス(チオフェン‐2‐イルチエノ[3,2‐b]チオフェン)(PBTTT)誘導体、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)誘導体、オリゴチオフェン類フタロシアニン類フラーレン類等の有機半導体材料は、好適に利用される。

0056

半導体層24の形成方法も、塗布法や気相堆積法、これらの成膜方法とフォトリソグラフィとの組み合わせ、インクジェットなどの印刷による方法等、薄膜トランジスタの製造において半導体層の形成に利用されている、公知の各種の方法が利用可能である。

0057

図1(A)〜図2(G)に示す方法では、ボトムゲート−ボトムコンタクト型のトランジスタの製造において、ソース電極18およびドレイン電極20のパターン形成すなわちレジスト層32のパターン露光を行う際に、アライメントマーク12の検出して、その検出結果に応じて、アライメントマーク12の位置ズレを改善する処理すなわち基板10の伸縮を制御する伸縮制御処理を行っている。
しかしながら、本発明は、これ以外にも、前述のボトムゲート−ボトムコンタクト型のトランジスタのみならず、トップゲート−ボトムコンタクト型、ボトムゲート−トップコンタクト型、および、トップゲート−ボトムコンタクト型等の各種のトランジスタの製造において、ゲート電極の形成時、ゲート絶縁膜の形成時、半導体層の形成時、ソース電極およびドレイン電極の形成時等に、アライメントマーク12を検出して、その検出結果に応じて基板10の伸縮を制御する伸縮制御処理を行ってもよい。

0058

具体的には、伸縮制御処理は、パターン形成を伴う工程において、パターン形成に対応して行うのが好ましい。
特に、ボトムゲート型のトランジスタの製造におけるソース電極およびドレイン電極のパターン形成や、トップゲート型のトランジスタの製造におけるゲート電極のパターン形成など、上層あるいは下層のパターンとのパターンズレが問題になり、高精度なパターン形成が要求される工程に対応して、伸縮制御処理を行うのが好ましい。

0059

なお、伸縮制御処理は、トランジスタの製造において1回のみ行ってもよく、あるいは、ゲート電極の形成、ゲート絶縁膜の形成、半導体層の形成、ソース電極およびドレイン電極の形成などの複数の工程に対応して、複数回の伸縮制御処理を行ってもよい。

0060

図1(A)〜図2(G)に示す例は、いわゆるバッチ式によるトランジスタの製造であるが、本発明の製造方法は、いわゆるロール・トゥ・ロール(RtoR)によるトランジスタの製造でも、利用可能である。
周知のように、RtoRとは、長尺な基板(被処理物)を巻回してなるロールから、基板を送り出し、長手方向に搬送しつつ、塗布組成物の塗布や乾燥等を行い、処理済の基板をロール状に巻き取る製造方法である。

0061

図3(A)に、本発明の製造方法を実施するRtoRによる製造装置の一例を概念的に示す。
図3(A)に示す製造装置48は、長尺な被処理材50をロール状に巻回してなる被処理材ロール50Rから被処理材50を引き出して、長手方向に搬送しつつパターン形成を行い、描画を行った処理済材52をロール状に巻回して処理済材ロール52Rとするものである。
このような製造装置48は、基本的に、マーク検出部54と、伸縮制御部56と、パターン形成部58とを有して構成される。なお、製造装置48は、これらの部材以外にも、被処理材50等を適正に搬送するための搬送ローラ対ガイド部材、各種のセンサ等、公知のRtoRによる装置が有する各種の部材を有してもよい。

0062

製造装置48において、被処理材50は、例えば、図1(B)に示す、基板10の上にゲート電極14およびゲート絶縁膜16を形成してなる物や、図1(D)に示す、基板10の上にゲート電極14、ゲート絶縁膜16、金属層30およびレジスト層32を形成してなる物が例示される。中でも、図3(B)に示すような基板60に、ゲート電極14のパターンを形成してなる被処理材50や、ゲート絶縁膜16を形成してなる被処理材50が、好ましく例示される。この際において、ゲート絶縁膜16は、パターン化されたものでもよく、非パターンのものでもよい。
また、図3(B)に示すように、被処理材50の基板60には、長手方向の同位置において、幅方向両端部近傍に、長手方向に等間隔でアライメントマーク12が形成されている。なお、この長尺な基板60も、トランジスタの製造に先立ち、熱処理が施されるのが好ましい。さらに、この長尺な基板60にも、裏面にキャリア基板を貼着して、トランジスタの製造を行ってもよい。

0063

図3の製造装置48は、アライメントマーク12の位置ズレの改善およびパターン形成のみを行う。なお、アライメントマーク12の位置ズレの改善は、温度調節および/または湿度調節によって行う。
しかしながら、本発明の製造方法をRtoRに利用する場合には、これ以外にも、パターン形成を含む複数の工程あるいはトランジスタ製造の全工程を、1回のロールからの被処理材50の送り出し、および、処理済の被処理材50のロールへの巻取りの間に行ってもよい。
例えば、1回のロールからの被処理材50の送り出し、および、処理済の被処理材50のロールへの巻取の間に、レジスト液の塗布、プリベーク(塗布したレジスト液からの溶媒乾燥除去)、アライメントマーク12の位置ズレの改善(温度/湿度調節)、および、パターン形成を、連続的に行ってもよい。

0064

製造装置48において、被処理材50の搬送方向の被処理材ロール50Rの下流には、マーク検出部54が配置される。以下の説明では、被処理材50の搬送方向の下流を、単に『下流』とも言う。
マーク検出部54は、被処理材50の基板60に形成されたアライメントマーク12を検出して、検出結果を伸縮制御部56の制御部56aに送る。マーク検出部54によるアライメントマーク12の検出方法は、公知の各種の手段が利用可能であり、例えばCCDセンサ等の撮像素子を用いてアライメントマーク12を検出すればよい。

0065

マーク検出部54の下流には、伸縮制御部56が配置される。伸縮制御部56は、基板60の伸縮を制御する前述の伸縮制御処理を行うものであり、制御部56aと、温度調節手段56bとから構成される。

0066

制御部56aは、マーク検出部54によるアライメントマークの検出結果から、温度調節手段56bが行う温度調節を決定する部位である。
すなわち、制御部56aには、基板60に形成されたアライメントマーク12の正確な位置、および、前述のアライメントマーク12の位置ズレ量と、この位置ズレを改善するための加熱温度/冷却温度との関係を示すテーブルを記憶している。基板60に形成されたアライメントマーク12の正確な位置としては、一例として、幅方向および長手方向のアライメントマーク12の間隔等が例示される。
制御部56aは、マーク検出部54によるアライメントマークの検出結果から、アライメントマーク12の位置ズレ量を検出する。次いで、テーブルを用いて、位置ズレ量から温度調節手段56bによる加熱温度あるいは冷却温度を決定し、温度調節手段56bに指示を出す。

0067

温度調節手段56bは、公知の加熱/冷却手段であり、制御部56aから送られた加熱温度あるいは冷却温度に応じて、被処理材50(基板60)を加熱もしくは冷却する。
なお、温度調節手段56bによる温度調節は、パターン形成部58の上流までであってもよい。しかしながら、図示例の製造装置48においては、温度調節手段56bは、好ましい態様として、パターン形成部58によるパターン形成領域まで、被処理材50の温度調節(湿度調節)を行う。

0068

なお、先のバッチ式によるトランジスタの製造と同様、製造装置48による伸縮制御処理も、温度制御に限定はされず、湿度制御等も利用可能である。
この場合には、製造装置48には、温度調節手段56bに変えて、乾燥ガスや加湿ガスを被処理材50(基板60)に吹き付けるガスの吹き付け手段等が設けられる。また、制御部56aには、アライメントマーク12の位置ズレ量と、この位置ズレを改善するための加湿/除湿(乾燥)との関係を示すテーブルが記憶される。

0069

パターン形成部58は、トランジスタの製造における各種のパターン形成に利用される公知の手段によって、トランジスタを製造するためのパターン形成を行うものである。
例えば、製造装置48が、図1(B)に示す、基板10の上にゲート電極14およびゲート絶縁膜16を形成してなる物を被処理材50とする装置である場合には、パターン形成部58としては、ソース電極18およびドレイン電極20をパターン形成するための、被処理材50の幅方向(搬送方向と直交する方向)にノズル列を有するインクジェットプリンタが例示される。
あるいは、製造装置48が、図1(D)に示す、基板10の上にゲート電極14、ゲート絶縁膜16、金属層30およびレジスト層32を形成してなる物を被処理材50とする装置である場合には、パターン形成部58としては、レジスト層32をパターン露光するための、被処理材50の幅方向に光ビーム走査する光ビーム走査装置が例示される。
また、被処理材50(レジスト層32等)にパターン露光を行う場合には、パターン形成部58は、フォトマスクを利用する露光装置であってもよい。

0070

なお、製造装置48においては、パターン形成部58の上流の温度調節手段56bによる温度制御領域に、さらに、第2のアライメント検出部を配置し、第2のアライメント検出部によるアライメントマーク12の検出結果から、温度調節手段56bによる温度調節を補正するようにしてもよい。

0071

以下、製造装置48の作用を説明する。
製造装置48において、被処理材ロール50Rから引き出され、長手方向に搬送されると、マーク検出部54が基板60に形成されたアライメントマーク12を検出し、アライメントマーク12の検出結果を伸縮制御部56の制御部56aに送る。
制御部56aは、アライメントマークの検出結果から、アライメントマーク12の位置ズレ量を検出し、前述のテーブルを用いて、温度調節手段56bによる加熱温度あるいは冷却温度を決定し、温度調節手段56bに指示を出す。
温度調節手段56bは、制御部56aからの指示に応じて、被処理材50を加熱もしくは冷却する。これにより、基板60が伸縮して伸縮制御処理され、アライメントマークの位置ズレが改善される。さらに、温度調節を行った後、必要に応じて、インクジェットヘッドやフォトマスクの位置および/または角度を調節して、被処理材50とパターン形成部58との位置および/または角度を合せる。
パターン形成部58は、長手方向に搬送され、温度調節手段56bによって温度調節された被処理材50にパターン形成を行う。ここで、被処理材50は、温度調節手段56bによる温度調節によって、アライメントマークの位置ズレが改善されている。従って、パターン形成部58は、パターンズレを生じることなく、被処理材50の適正な位置にパターンを形成できる。
パターンを形成された処理済材52は、次いで、処理済材ロール52Rにロール状に巻回される。

0072

以上、本発明のトランジスタの製造方法について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。

0073

以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明のトランジスタの製造方法について、より詳細に説明する。

0074

[実施例1および比較例1]
基板として、5×5cmのガスバリアフィルムを用意した。
このガスバリアフィルムは、厚さ100μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを支持体として、表面に、厚さ2μmのアクリル系ポリマーからなる有機層を有し、この有機層の上に、プラズマCVD法によって形成した厚さ30nmの窒化ケイ素からなる無機層を有する、前述の有機−無機積層型のガスバリアフィルムである。
まず、この基板に、150℃の熱処理を24時間行った。次いで、熱処理を行った基板の裏面(PENフィルム側)に、キャリアフィルムを用いて、キャリア基板としてガラス板を貼着した。

0075

この基板の無機層側の表面に、真空蒸着によって厚さ50nmの金薄膜を成膜した。
この金薄膜の上に、レジスト層を形成した。レジスト層は、スピンコータによって形成した。
レジスト層を形成した基板を、顕微鏡のステージに載置した。この顕微鏡のステージは、加熱冷却機構を有する。ステージ上に載置した基板の上に、アライメントマークに対応する遮光部を有するガラスマスクを重ねて、ステージ上で紫外線による露光を行った。
露光後、顕微鏡のステージから基板を取り外し、現像によってアライメントマークの形成部以外のレジストを除去した。その後、エッチングを行って金薄膜を除去し、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。

0076

このようにして作製した基板を、室温で24時間、放置した。
放置後、同じ顕微鏡のステージに基板を載置し、露光を行ったガラスマスクを重ねて、顕微鏡によって、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、3μmであった(比較例1)。
なお、本例におけるアライメントマークの位置ズレとは、基板の1つのアライメントマークを、ガラスマスクのアライメントマークに重ねた状態における、他の3つのアライメントマークの位置ズレの平均である。

0077

次いで、顕微鏡のステージの加熱冷却機構を駆動して、基板を28℃に加熱した。基板を加熱した後、同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、1μm未満であった(実施例1)。

0078

[実施例2および比較例2]
実施例1と同様にして、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。
この基板を、トランジスタの製造工程を想定した模擬プロセスとして、150℃の環境に30分放置した。
放置後、実施例1と同様にアライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、10μmであった(比較例2)。
次いで、顕微鏡のステージの加熱冷却機構を駆動して、基板を35℃に加熱した。基板を加熱した後、同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、1μm未満であった(実施例2)。

0079

[実施例3および比較例3]
実施例1と同様にして、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。
この基板を、トランジスタの製造工程を想定した模擬プロセスとして、水に5分浸漬した。
浸漬後、実施例1と同様にアライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、6μmであった(比較例3)。
次いで、顕微鏡のステージの加熱冷却機構を駆動して、基板を20℃に冷却した。基板を冷却した後、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、1μm未満であった(実施例3)。

0080

[実施例4および比較例4]
実施例1と同様にして、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。
この基板を、トランジスタの製造工程を想定した模擬プロセスとして、アセトンに5分浸漬した。
浸漬後、実施例1と同様にアライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、5μmであった(比較例4)。
次いで、顕微鏡のステージの加熱冷却機構を駆動して、基板を20℃に冷却した。基板を冷却した後、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、1μm未満であった(実施例4)。

0081

[実施例5〜7]
基板として、ガスバリアフィルムに変えて厚さ100μmのポリイミド(PI)フィルムを用いた以外(実施例5)、
基板として、ガスバリアフィルムに変えて厚さ100μmのPENフィルムを用いた以外(実施例6)、
基板として、ガスバリアフィルムに変えて厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた以外(実施例7)、
は、実施例1と同様にして、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。

0082

各基板を、実施例1と同様に、室温で24時間、放置した。
放置後、同じ顕微鏡のステージに基板を載置し、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。測定後、顕微鏡のステージの加熱冷却機構を駆動して、
基板を29℃に加熱(実施例5)、
基板を27℃に加熱(実施例6)、
基板を22℃に冷却(実施例7)、した。
基板の温度調節を行った後、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、何れの例も、アライメントマークの位置ズレは、1μm未満であった。
結果を、下記の表1にまとめて示す。

0083

0084

表1に示されるように、フィルム基板を用いた場合には、模擬プロセスの実施の有無によらず、基板の伸縮によってアライメントマークの位置ズレが生じている。各フィルムの線膨張係数や吸湿膨張係数から、1℃の温度変化や、1%RHの湿度変化が生じても、アライメントマークの位置ズレを生じると考えられる。
また、この特性を利用して、基板の温度制御による伸縮制御処理を行う本発明によれば、アライメントマークの位置ズレを改善して、パターンズレの無いトランジスタを製造できる。

0085

[実施例8および比較例8]
実施例1と同様にして、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。
この基板を、実施例1と同様に、室温で24時間、放置した。
放置後、実施例1と同様にアライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは3μmであった(比較例8)。

0086

次いで、ステージから基板を取り外し、キャリア基板としてのガラス板を剥離した。
その後、基板に、水に潜らせた空気を、30秒間、吹き付けた。以下、水に潜らせた空気を『加湿空気』とも言う。加湿空気の吹きつけは、PENフィルム側から行った。
加湿空気を吹き付けた後、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、1μm未満であった(実施例8)。

0087

なお、本例、および、以降の実施例9〜14では、顕微鏡のステージの加熱冷却機構は駆動していない。

0088

[実施例9および比較例9]
実施例1と同様にして、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。
この基板を、トランジスタの製造工程を想定した模擬プロセスとして、150℃の環境に30分放置した。
放置後、実施例1と同様にアライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは10μmであった(比較例9)。
次いで、ステージから基板を取り外し、キャリア基板としてのガラス板を剥離した。
その後、PENフィルム側から、基板に加湿空気を、2分間、吹き付けた。
加湿空気を吹き付けた後、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、1μm未満であった(実施例9)。

0089

[実施例10および比較例10]
実施例1と同様にして、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。
この基板を、トランジスタの製造工程を想定した模擬プロセスとして、水に5分間浸漬した。
浸漬後、実施例1と同様にアライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは6μmであった(比較例10)。
次いで、ステージから基板を取り外し、キャリア基板としてのガラス板を剥離した。
その後、PENフィルム側から、基板に乾燥空気を、1分間、吹き付けた。
乾燥空気を吹き付けた後、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、1μm未満であった(実施例10)。

0090

[実施例11および比較例11]
実施例1と同様にして、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。
この基板を、トランジスタの製造工程を想定した模擬プロセスとして、アセトンに5分間浸漬した。
浸漬後、実施例1と同様にアライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは5μmであった(比較例11)。
次いで、ステージから基板を取り外し、キャリア基板としてのガラス板を剥離した。
その後、PENフィルム側から、基板に乾燥空気を、1分間、吹き付けた。
乾燥空気を吹き付けた後、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、1μm未満であった(実施例11)。

0091

[実施例12〜14]
基板として、ガスバリアフィルムに変えて厚さ100μmのPIフィルムを用いた以外(実施例12)、
基板として、ガスバリアフィルムに変えて厚さ100μmのPENフィルムを用いた以外(実施例13)、
基板として、ガスバリアフィルムに変えて厚さ100μmのPETフィルムを用いた以外(実施例14)、
は、実施例1と同様にして、4隅に金のアライメントマークを有する基板を作製した。

0092

各基板を、実施例1と同様に、室温で24時間、放置した。
放置後、同じ顕微鏡のステージに基板を載置し、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。
次いで、ステージから基板を取り外し、キャリア基板としてのガラス板を剥離した。
その後、
基板に加湿空気を(実施例12)、
基板に加湿空気を(実施例13)、
基板に乾燥空気を(実施例14)、
それぞれ、30秒間、吹き付けた。
空気を吹き付けた後、実施例1と同様に、アライメントマークの位置ズレを測定した。その結果、アライメントマークの位置ズレは、いずれも1μm未満であった。
結果を下記の表2にまとめて示す。

0093

0094

表2に示されるように、基板の温度制御に変えて、基板の湿度を制御することによっても、アライメントマークの位置ズレを改善して、パターンズレの無いトランジスタを製造できる。

0095

[実施例15]
図1(A)〜図2(G)に示す方法で、実施例1と同様の基板10の上に、16個のボトムゲートボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタを作製した。実施例1と同様の基板10とは、前述のように、PENフィルムを支持体として、支持体の表面に有機層を有し、有機層の上に無機層を有する、有機−無機積層型のガスバリアフィルムである。

0096

まず、基板10に、実施例1と同様の熱処理を行い、裏面にキャリア基板としてガラス板を貼着した。
この基板の無機層側の表面に、真空蒸着によって、厚さ50nmのアルミニウム膜を形成した。
次いで、フォトマスクを用いるフォトリソグラフィによって、長さ10μmのゲート電極14を形成した。また、ゲート電極14の形成と同時に、基板10の4隅に円形のアライメントマーク12を形成した。

0097

その上にゲート絶縁膜用組成物PGMEAプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶液をスピンコートし、150℃で60分間ベークを行い、膜厚400nmのゲート絶縁膜16を形成した。ゲート絶縁膜用組成物は、質量比1/1のポリビニルフェノールメラミンを用い、PGMEA溶液溶液濃度を2質量%とした。
次いで、ゲート絶縁膜16の上に、金を真空蒸着して、金属層30を形成した。さらに、金属層30の上に、フォトレジストを含む溶液をスピンコートによって塗布して、レジスト層32を形成した。

0098

基板10に形成したアライメントマーク12に対応するアライメントマーク36を有するフォトマスク34を用いて、レジスト層32の露光を行った。
なお、露光に先立ち、フォトマスク34のアライメントマーク36を用いて、基板10のアライメントマーク12の位置ズレを検出した。さらに、露光前および露光中に、基板10を36℃に加熱した。

0099

露光後、レジスト層32を現像して不要なレジストを除去し、次いで、エッチングを行って、チャネル長5μm、チャネル幅180μmのソース電極18およびドレイン電極20を形成した。

0100

ソース電極18およびドレイン電極20、ならびにゲート絶縁膜16の上に、厚さ100nmとなるように有機半導体層(TIPS-Pentacene)をスピンコートで形成した。その後、カッター素子毎に有機半導体層を分離して、半導体層24とした。
さらに、半導体層24の上に、封止層形成用組成物(Cytop CTL-107MK、AGC社製)をスピンコートして、140℃で20分間ベークを行い、厚さ2μmの封止層(最上層)を形成して、16個の有機薄膜トランジスタを得た。

0101

[実施例16]
フォトマスク34を用いるレジスト層32の露光前および露光中における加熱に変えて、キャリア基板としてのガラス板を剥離し、支持体(PENフィルム側)から加湿空気を、2分間、吹き付け、その後、フォトマスク34を用いる露光を行い、その後、再度、キャリア基板としてのガラス板を貼着して、これ以降の工程を行った以外は、実施例15と同様に、16個の有機薄膜トランジスタを作製した。

0102

[比較例12]
フォトマスク34を用いるレジスト層32の露光前および露光中における加熱を行わない以外は、実施例15と同様に、16個の有機薄膜トランジスタを作製した。

0103

このようにして作製した有機薄膜トランジスタの各電極と、半導体パラメータアナライザ(4155C、Agilent Technologies社製)に接続されたマニュアルプローバの各端子とを接続して、電界効果トランジスタFET)の評価を行なった。
その結果、実施例15および実施例16は、16個の有機薄膜トランジスタが、全て、適正に作動した。
これに対し、比較例12では、16個の有機薄膜トランジスタの内、4個しか適正に作動しなかった。

実施例

0104

また、有機半導体として、TIPS-Pentaceneに変えてC8−BTBTを用い、かつ、封止層を形成しない以外には、実施例15および16、比較例12と同様に16個の有機薄膜トランジスタを作製し、同様の評価を行った。
その結果、フォトマスク34を用いるレジスト層32の露光に対応して、実施例15と同様の温度制御を行った場合、および、実施例16と同様の湿度制御を行った場合には、同様に、16個の有機薄膜トランジスタが、全て、適正に作動した。
これに対し、比較例12と同様に伸長制御処理を行わなかった場合には、同様に、16個の有機薄膜トランジスタの内、4個しか適正に作動しなかった。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。

0105

フィルムを基板とする薄膜トランジスタの製造に、好適に利用可能である。

0106

10,60基板
12,36アライメントマーク
14ゲート電極
16ゲート絶縁膜
18ソース電極
20ドレイン電極
24半導体層
30金属層
32レジスト層
34フォトマスク
48製造装置
50被処理材
52処理済材
54マーク検出部
56伸縮制御部
56a 制御部
56b温度調節手段
58パターン形成部

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