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図面 (14)

課題・解決手段

本発明は、尿中有形成分として少なくとも精子及び酵母様真菌を検出するための尿試料分析方法及び尿試料分析用試薬キットに関する。

概要

背景

尿路系における感染症炎症性病変変性病変、結石症腫瘍などの疾患では、それぞれの疾患に応じて、尿中に種々の有形成分出現する。有形成分としては、赤血球円柱白血球上皮細胞酵母様真菌精子などが挙げられる。尿中のこれらの成分を分析することは、腎・尿路系の疾患や異常部位の推定をする上で重要である。

例えば、尿中の赤血球、精子及び酵母様真菌を検出するための試薬としては、特許文献1に記載の試薬が知られている。特許文献1には、赤血球を損傷させず、酵母様真菌を損傷させる物質と、赤血球、酵母様真菌及び精子を弁別可能に染色するための色素とを含む試薬を用いて尿試料を処理して測定試料を調製し、これをフローサイトメータで測定して、得られ光学的情報に基づいて赤血球、酵母様真菌及び精子を弁別して分析することが記載されている。また、尿試料の分析用試薬においては、一般に、試薬を安定に保存するために、防腐剤が試薬に添加される。

概要

本発明は、尿中有形成分として少なくとも精子及び酵母様真菌を検出するための尿試料分析方法及び尿試料分析用試薬キットに関する。

目的

本発明は、防腐剤を含む試薬を用いることができ、かつ、精子及び酵母様真菌を弁別して精度良く検出することを可能にする尿試料分析方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

尿試料と、核酸を染色可能な蛍光色素を含む第1試薬と、防腐剤として酢酸及び/又はその塩を含む第2試薬とを混合して測定試料を調製する工程と、調製工程で得られた測定試料に含まれる尿中有形成分に光を照射して光学的情報を取得する工程と、取得工程で得られた光学的情報に基づいて、尿中有形成分として少なくとも精子及び酵母様真菌を検出する工程とを含む、尿試料分析方法

請求項2

前記光学的情報が、散乱光情報および蛍光情報である請求項1に記載の尿試料分析方法。

請求項3

第2試薬が、赤血球溶血させ、核酸を有する尿中有形成分に前記蛍光色素が透過できる程度の損傷を与えるための界面活性剤をさらに含む請求項1に記載の尿試料分析方法。

請求項4

界面活性剤が、カチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つである請求項3に記載の尿試料分析方法。

請求項5

カチオン性界面活性剤が、4級アンモニウム塩型界面活性剤及びピリジニウム塩型界面活性剤から選択され、ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン系ノニオン性界面活性剤から選択される請求項4に記載の尿試料分析方法。

請求項6

カチオン性界面活性剤が、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドである請求項4に記載の尿試料分析方法。

請求項7

第2試薬のpHが、3以上6以下である請求項1に記載の尿試料分析方法。

請求項8

第2試薬が、キレート剤をさらに含む請求項1に記載の尿試料分析方法。

請求項9

キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA塩)である請求項8に記載の尿試料分析方法。

請求項10

核酸を染色可能な蛍光色素を含む第1試薬と、防腐剤として酢酸及び/又はその塩、及び、赤血球を溶血させ、核酸を有する尿中有形成分に前記蛍光色素が透過できる程度の損傷を与えるための界面活性剤を含む第2試薬とを含む、尿試料中の精子と酵母様真菌とを区別して検出するための尿試料分析用試薬キット

請求項11

界面活性剤が、カチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つである請求項10に記載の尿試料分析用試薬キット。

請求項12

カチオン性界面活性剤が、4級アンモニウム塩型界面活性剤及びピリジニウム塩型界面活性剤であり、ノニオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレン系ノニオン性界面活性剤である請求項11に記載の尿試料分析用試薬キット。

請求項13

カチオン性界面活性剤が、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドである請求項11に記載の尿試料分析用試薬キット。

請求項14

第2試薬のpHが、3以上6以下である請求項10に記載の尿試料分析用試薬キット。

請求項15

第2試薬が、キレート剤をさらに含む請求項10に記載の尿試料分析用試薬キット。

請求項16

キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA塩)である請求項15に記載の尿試料分析用試薬キット。

技術分野

0001

本発明は、尿中有形成分として少なくとも精子及び酵母様真菌を検出するための尿試料分析方法及び尿試料分析用試薬キットに関する。

背景技術

0002

尿路系における感染症炎症性病変変性病変、結石症腫瘍などの疾患では、それぞれの疾患に応じて、尿中に種々の有形成分出現する。有形成分としては、赤血球円柱白血球上皮細胞、酵母様真菌、精子などが挙げられる。尿中のこれらの成分を分析することは、腎・尿路系の疾患や異常部位の推定をする上で重要である。

0003

例えば、尿中の赤血球、精子及び酵母様真菌を検出するための試薬としては、特許文献1に記載の試薬が知られている。特許文献1には、赤血球を損傷させず、酵母様真菌を損傷させる物質と、赤血球、酵母様真菌及び精子を弁別可能に染色するための色素とを含む試薬を用いて尿試料を処理して測定試料を調製し、これをフローサイトメータで測定して、得られ光学的情報に基づいて赤血球、酵母様真菌及び精子を弁別して分析することが記載されている。また、尿試料の分析用試薬においては、一般に、試薬を安定に保存するために、防腐剤が試薬に添加される。

先行技術

0004

特開2007−255954号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、防腐剤を含む試薬を用いることができ、かつ、精子及び酵母様真菌を弁別して精度良く検出することを可能にする尿試料分析方法を提供することを目的とする。また、本発明は、その方法に好適に用いられる尿試料分析用試薬キットを提供することも目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、鋭意検討の結果、精子及び酵母様真菌の弁別に影響を及ぼさない防腐剤として酢酸及びその塩を見出して、本発明を完成した。

0007

よって、本発明は、尿試料と、核酸を染色可能な蛍光色素を含む第1試薬と、防腐剤として酢酸及び/又はその塩を含む第2試薬とを混合して測定試料を調製する工程と、調製工程で得られた測定試料に含まれる尿中有形成分に光を照射して光学的情報を取得する工程と、取得工程で得られた光学的情報に基づいて、尿中有形成分として少なくとも精子及び酵母様真菌を検出する工程とを含む、尿試料分析方法を提供する。

0008

また、本発明は、核酸を染色可能な蛍光色素を含む第1試薬と、防腐剤として酢酸及び/又はその塩、及び、赤血球を溶血させ、核酸を有する尿中有形成分に前記蛍光色素が透過できる程度の損傷を与えるための界面活性剤を含む第2試薬とを含む、尿試料中の精子と酵母様真菌とを区別して検出するための尿試料分析用試薬キットを提供する。

発明の効果

0009

本発明によれば、防腐剤により試薬の保存安定性を維持することができ、尿試料中の精子及び酵母様真菌を弁別して精度良く検出することを可能にする。

図面の簡単な説明

0010

ピリジン系の防腐剤を添加した希釈用試薬を用いて調製した精子又は酵母様真菌を含む測定試料を測定したときの蛍光強度ヒストグラムである。
防腐剤として酢酸を添加した希釈用試薬を用いて調製した精子又は酵母様真菌を含む測定試料を測定したときの蛍光強度のヒストグラムである。
トリアジン系の防腐剤を添加した希釈用試薬を用いて調製した精子又は酵母様真菌を含む測定試料を測定したときの蛍光強度のヒストグラムである。
イソチアゾリン系の防腐剤を添加した希釈用試薬を用いて調製した精子又は酵母様真菌を含む測定試料を測定したときの蛍光強度のヒストグラムである。
防腐剤として酢酸を添加した希釈用試薬を調製した精子及び酵母様真菌を含む測定試料を測定したときのスキャッタグラムである。
防腐剤として酢酸を添加した希釈用試薬を調製した白血球を含む測定試料を測定したときのスキャッタグラムである。
防腐剤として酢酸を添加した希釈用試薬を調製した上皮細胞を含む測定試料を測定したときのスキャッタグラムである。
防腐剤として酢酸を添加した希釈用試薬を調製した異型細胞を含む測定試料を測定したときのスキャッタグラムである。
防腐剤として酢酸を添加した希釈用試薬を調製したトリコモナスを含む測定試料を測定したときのスキャッタグラムである。
防腐剤として酢酸を添加した希釈用試薬を調製した細菌を含む測定試料を測定したときのスキャッタグラムである。
精子、トリコモナス、及び酵母様真菌の分布を示すスキャッタグラムの模式図である。
白血球、異型細胞、及び上皮細胞の分布を示すスキャッタグラムの模式図である。
細菌の分布を示すスキャッタグラムの模式図である。
尿試料分析用試薬キットの一例を示す図である。

0011

[尿試料分析方法]
本実施形態の尿試料分析方法(以下、単に「方法」ともいう)は、核酸を有する尿中有形成分を分析対象とし、そのような尿中有形成分のうち精子及び酵母様真菌の分析に特に好適である。なお、酵母様真菌としては、例えば、カンジダ属真菌などが挙げられる。また、核酸を有する尿中有形成分としては、精子及び酵母様真菌以外に、白血球、上皮細胞、異型細胞、細菌、真菌、トリコモナスなどが挙げられる。

0012

本実施形態の方法では、まず、尿試料と、核酸を染色可能な蛍光色素を含む第1試薬と、防腐剤として酢酸及び/又はその塩を含む第2試薬とを混合して測定試料を調製する工程が行われる。

0013

本実施形態においては、尿試料は、尿中有形成分を含む液体試料であれば特に限定されないが、好ましくは被験者から採取した尿である。なお、被験者から採取した尿を試料として用いる場合、時間経過により尿中有形成分が劣化するおそれがあるので、採取後24時間以内、特に3〜12時間以内に尿試料を本実施形態の方法に用いることが望ましい。

0014

本実施形態の方法に用いられる第1試薬は、少なくとも精子及び酵母様真菌を含む尿中有形成分を染色するための試薬であり、第2試薬は、尿試料を希釈するための試薬である。本実施形態においては、尿試料と、第1試薬と、第2試薬とを混合する順序は特に限定されず、これらを同時に混合することもできる。第2試薬に後述の界面活性剤及び/又はキレート剤が含まれている場合は、尿試料と第2試薬とを先に混合し、ここへ第1試薬をさらに混合することが好ましい。あるいは、第1試薬と第2試薬とを先に混合し、ここへ尿試料をさらに混合してもよい。

0015

本実施形態において、尿試料と、第1試薬と、第2試薬との混合割合は特に限定されず、各試薬に含まれる成分濃度に応じて適宜決定すればよい。例えば、尿試料と第1試薬との混合割合は、体積比で1:0.01〜1の範囲から決定することができる。また、尿試料と第2試薬との混合割合は、体積比で1:0.5〜10の範囲から決定することができる。なお、尿試料の量は、第1試薬と第2試薬に応じて適宜決定すればよい。尿試料の量は測定時間が長くなり過ぎないようにする観点から1000μL以下が好ましい。尿試料の量は10〜1000μL程度で測定に十分である。

0016

調製工程における温度条件は10〜60℃、好ましくは37〜44℃である。各試薬を予めこれらの温度となるように加温していてもよい。また、尿試料と、第1試薬及び/又は第2試薬とを混合した後、1〜5分間、好ましくは3〜60秒間インキュベーションしてもよい。

0017

以下に、本実施形態の方法の調製工程に用いられる第1試薬および第2試薬について説明する。

0018

第1試薬は、核酸を染色可能な蛍光色素を含む。本実施形態において、蛍光色素は、核酸を染色できるかぎり特に限定されず、励起光波長に応じて当該技術において公知の蛍光色素の中から選択することができる。そのような蛍光色素としては、例えば、核酸を特異的に染色できるインターカレータ、及びDNAの副溝(minor groove)に結合する色素などが挙げられる。インターカレータとしては、例えば、シアニン系色素アクリジン系色素、フェナントリジウム系色素などが挙げられる。

0019

より具体的には、インターカレータとして、SYBR Green I、チアゾールオレンジアクリジンオレンジプロピジウムアイオダイドエチジウムブロマイドエチジウム−アクリジンヘテロダイマー、エチジウムジアジド、エチジウムホモダイマー−1、エチジウムホモダイマー−2、エチジウムモノアジドトリメチレンビス[[3-[[4-[[(3-メチルベンゾチアゾール-3-イウム)-2-イルメチレン]-1,4-ジヒドロキノリン]-1-イル]プロピルジメチルアミニウム]・テトラヨージド(TOTO-1)、4-[(3-メチルベンゾチアゾール-2(3H)-イリデン)メチル]-1-[3-(トリメチルアミニオ)プロピル]キノリニウムジヨージド(TO-PRO-1)、N,N,N',N'-テトラメチル-N,N'-ビス[3-[4-[3-[(3‐メチルベンゾチアゾール-3-イウム)-2-イル]-2-プロペニリデン]-1,4-ジヒドロキノリン-1-イル]プロピル]-1,3-プロパンジアミニウム・テトラヨージド (TOTO-3)、又は2-[3-[[1-[3-(トリメチルアミニオ)プロピル]-1,4-ジヒドロキノリン]-4-イリデン]-1-プロペニル]-3-メチルベンゾチアゾール-3-イウム・ジヨージド (TO-PRO-3)などが挙げられる。あるいは、下記の式(1)〜(3)のいずれかで表される蛍光色素を用いてもよい。

0020

0021

(式中、A1は−O−、−S−、−Se−又は−C(CH3)2−であり、R1は低級アルキル基、Xはハロゲン又は過塩素酸、Yは−CH=又は−NH−、mは1又は2、nは0又は1、Bは下記式

0022

0023

(式中、A2は−O−、−S−又は−C(CH3)2−であり、R2は低級アルキル基又は2つの低級アルコキシ基若しくは1つのジ低級アルキルアミノ基(この低級アルキルシアノ基置換されていてもよい)で置換されたフェニル基である))

0024

上記の式(1)〜(3)において、A1とA2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、R1とR2は同一であってもよいし、異なっていてもよい。

0025

上記の低級アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチルイソブチルペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。Xのハロゲン原子としては、フッ素塩素臭素ヨウ素が挙げられる。Bにおける2つの低級アルコキシ基で置換されたフェニル基とは、2つの炭素数1〜3のアルコキシ基、好ましくは炭素数1又は2のアルコキシ基、例えば、メトキシ基エトキシ基で置換されたフェニル基をいう。具体的には、2, 6-ジメトキシフェニル基、2, 6-ジエトキシフェニル基が挙げられる。また、Bにおけるジ低級アルキルアミノ基(該低級アルキル基はシアノ基で置換されていてもよい)で置換されたフェニル基とは、炭素数1〜3のアルキルアミノ基、好ましくは炭素数1又は2のアルキルアミノ基で置換されたフェニル基をいう。ここでいうアルキル基は、シアノ基で置換されていてもよく、例えば、メチル、エチル、シアノメチルシアノエチルなどを含む。好ましいジ低級アルキルアミノ基(該低級アルキルはシアノ基で置換されていてもよい)で置換されたフェニル基としては、4-ジメチルアミノフェニル基、4-ジエチルアミノフェニル基、4-(シアノエチルメチルアミノ)フェニル基などが挙げられる。

0026

DNAの副溝に結合する色素としては、例えば、Hoechst33342、Hoechst33258及び4', 6-ジアミジノ-2-フェニルインドールジヒドロクロリド(DAPI)が挙げられる。

0027

第1試薬中の蛍光色素は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。第1試薬中の蛍光色素の濃度は、上記のようにして調製した測定試料中において、少なくとも精子及び酵母様真菌を適切に染色することができるような終濃度で該蛍光色素が含まれるように設定することが望ましい。測定試料中の終濃度は、上記の蛍光色素の種類に応じて適宜設定される。例えば、蛍光色素としてチアゾールオレンジを用いる場合、測定試料中の終濃度は0.1μg/mL以上200μg/mL以下、好ましくは0.5μg/mL以上50μg/mL以下である。

0028

第1試薬は、上記の蛍光色素を適切な溶媒に溶解させることにより得ることができる。溶媒は、上記の蛍光色素を溶解させることができる水性溶媒であれば特に限定されず、例えば、水、水溶性有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの中でも、水溶性有機溶媒が特に好ましい。水溶性有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜3の低級アルコールエチレングリコールジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。

0029

第2試薬は、防腐剤としての酢酸及び/又はその塩を適切な溶媒に溶解させることにより得ることができる。尿試料の分析用試薬においては、一般に、試薬を安定に保存するために、防腐剤が試薬に添加される。本発明者は、分析用試薬に添加する防腐剤として酢酸及び/又はその塩を用いることによって、酵母様真菌の形態に変化が生じて該酵母様真菌の染色性が変わることを抑制し、精子及び酵母様真菌をより正確に検出できることを見出した。第2試薬の調製に用いる酢酸は、溶液であってもよいし、固体(氷酢酸)であってもよい。溶媒が水であるか又は水を含む場合は、酢酸に替えて、無水酢酸を用いて第2試薬を調製してもよい。

0030

本実施形態において、酢酸塩の種類は、細菌やカビなどの真菌に対する静菌作用を有するかぎり特に限定されないが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩が好ましい。例えば、酢酸ナトリウム酢酸カリウム酢酸カルシウム酢酸マグネシウムなどが挙げられ、それらの中でも酢酸ナトリウムが特に好ましい。また、酢酸と酢酸ナトリウムとを1:1で混合して得られる二酢酸ナトリウム(CAS No. 126-96-5)を防腐剤として用いてもよい。第2試薬に含まれる酢酸塩は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。

0031

第2試薬中の酢酸又は酢酸塩の濃度は、防腐剤としての効果を得られるかぎり特に限定されない。例えば、酢酸を用いる場合、試薬中の濃度は、通常100 ppm以上3000 ppm以下、好ましくは200 ppm以上1000 ppm以下である。なお、試薬中の酢酸濃度は、調製に用いる酢酸の純度に基づいて算出できる。

0032

第2試薬に用いられる溶媒は、酢酸及び/又はその塩を溶解させることができれば特に限定されず、例えば、水、水溶性有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。水溶性有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜3の低級アルコール、エチレングリコール、DMSOなどが挙げられる。本実施形態においては、水が特に好ましい。

0033

本実施形態において、第2試薬は、赤血球を溶血させ、核酸を有する尿中有形成分に前記蛍光色素が透過できる程度の損傷を与えるための界面活性剤をさらに含むことが好ましい。そのような界面活性剤としては、当該技術において公知のカチオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤から選択することができる。第2試薬に含まれる界面活性剤は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。2種類以上の界面活性剤を含む場合、その組み合わせは、カチオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤から任意に選択することができる。

0034

本実施形態においては、カチオン性界面活性剤として、第四級アンモニウム塩型界面活性剤及びピリジニウム塩型界面活性剤から選択される少なくとも1種を用いることができる。第四級アンモニウム塩型界面活性剤としては、例えば、以下の式(I)で表される、全炭素数が9〜30の界面活性剤が挙げられる。

0035

0036

上記の式(I)中、R1は炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であり;R2およびR3は互いに同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基であり;
R4は炭素数1〜4のアルキル基若しくはアルケニル基、又はベンジル基であり;X-はハロゲンイオンである。

0037

上記の式(I)中、R1としては、炭素数が6、8、10、12および14のアルキル基またはアルケニル基が好ましく、特に直鎖のアルキル基が好ましい。より具体的なR1としては、オクチル基、デシル基およびドデシル基が挙げられる。R2およびR3としては、メチル基エチル基およびプロピル基が好ましい。R4としては、メチル基、エチル基およびプロピル基が好ましい。

0038

ピリジニウム塩型界面活性剤としては、例えば、以下の式(II)で表される界面活性剤が挙げられる。

0039

0040

上記の式(II)中、R1は炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基であり;X-はハロゲンイオンである。

0041

上記の式(II)中、R1としては、炭素数が6、8、10、12および14のアルキル基またはアルケニル基が好ましく、特に直鎖のアルキル基が好ましい。より具体的なR1としてはオクチル基、デシル基およびドデシル基が挙げられる。

0042

上記のカチオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドデシルトリメチルアンモニウムブロミドドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、オクチルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルピリジニウムクロライドなどが挙げられる。それらの中でもドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)が特に好ましい。

0043

本実施形態においては、ノニオン性界面活性剤として、以下の式(III)で表されるポリオキシエチレン系ノニオン界面活性剤が好適に用いられる。

0044

上記の式(III)中、R1は炭素数8〜25のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基であり;R2は−O−、−COO−または

0045

であり;nは10〜50の整数である。

0047

第2試薬中の界面活性剤の濃度は、上記のようにして調製した測定試料中において、赤血球を溶血させ、核酸を有する尿中有形成分(少なくとも精子及び酵母様真菌)に上記の蛍光色素が透過できる程度の損傷を与えることができるような終濃度で該界面活性剤が含まれるように設定することが望ましい。測定試料中の界面活性剤の終濃度は、上記の界面活性剤の種類に応じて適宜設定される。例えば、界面活性剤としてDTABを用いる場合、測定試料中の終濃度は100 ppm以上2500 ppm以下、好ましくは500 ppm以上2000 ppm以下である。

0048

本実施形態においては、尿試料中の赤血球を溶血させやすくするために、第2試薬のpHを3以上6以下、好ましくは5以上6以下とすることができる。よって、第2試薬は、pHを一定に保つために緩衝剤を含んでいてもよい。そのような緩衝剤としては、上記のpH範囲にて緩衝作用を有する緩衝剤であれば特に限定されず、例えば、クエン酸及びその塩、並びにリン酸及びその塩などの組み合わせが挙げられる。なお、防腐剤として、酢酸と、酢酸ナトリウム若しくは酢酸カリウムとの組み合わせを含む場合、この組み合わせは酢酸緩衝液として作用するので、第2試薬に緩衝剤をさらに添加する必要は特にない。

0049

尿試料には、リン酸アンモニウムリン酸マグネシウム炭酸カルシウムなどの無晶性塩類が含まれている場合がある。本実施形態においては、これらの無晶性塩類の影響を低減させるために、第2試薬はキレート剤を含んでいてもよい。キレート剤は、無晶性塩類を除去可能なキレート剤であれば特に限定されず、当該技術において公知の脱カルシウム剤、脱マグネシウム剤などから適宜選択することができる。具体的には、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA塩)、CyDTA、DHEG、DPTA-OH、EDDA、EDDP、GEDTA、HDTA、HIDA、Methyl-EDTA、NTA、NTP、NTPO、EDDPOなどが挙げられ、それらの中でもEDTA塩が特に好ましい。

0050

第2試薬中のキレート剤の濃度は、上記のようにして調製した測定試料中において、無晶性塩類の影響を低減できるような終濃度で該キレート剤が含まれるように設定することが望ましい。測定試料中の終濃度は、上記のキレート剤の種類に応じて適宜設定される。例えば、キレート剤としてEDTA2カリウム(EDTA-2K)を用いる場合、測定試料中の終濃度は100 mM以上300 mM以下、好ましくは150 mM以上250 mM以下である。

0051

尿の浸透圧は、50〜1300 mOsm/kgと広範囲に分布していることが知られているが、測定試料において浸透圧が低すぎるか又は高すぎる場合、白血球などの細胞が損傷するおそれがある。測定試料における適切な浸透圧は、100 mOsm/kg以上600 mOsm/kg以下、好ましくは150 mOsm/kg以上500 mOsm/kg以下である。尿の浸透圧が高すぎる場合は、水又は第2試薬で希釈することにより浸透圧を適宜調節することができる。反対に、尿の浸透圧が低すぎる場合は、第2試薬は浸透圧補償剤を含んでいてもよい。そのような浸透圧補償剤としては、無機塩類有機塩類、糖類などが挙げられる。無機塩類としては、塩化ナトリウム臭化ナトリウムなどが挙げられる。有機塩類としては、プロピオン酸ナトリウムプロピオン酸カリウム、プロピオン酸アンモニウムシュウ酸塩などが挙げられる。糖類としては、ソルビトールグルコースマンニトールなどが挙げられる。

0052

本実施形態の方法では、上記の調製工程で得られた測定試料に含まれる尿中有形成分に光を照射して光学的情報を取得する工程が行われる。

0053

この取得工程は、フローサイトメータにより行われることが望ましい。フローサイトメータによる測定では、染色された尿中有形成分がフローセルを通過する際に該有形成分に光を照射することにより、該有形成分から発せられるシグナルとして光学的情報を得ることができる。そのような光学的情報としては、散乱光情報および蛍光情報が好ましい。

0054

散乱光情報は、一般に市販されるフローサイトメータで測定できる散乱光の情報であれば特に限定されず、例えば、前方散乱光(例えば、受光角度0〜20度付近)や側方散乱光(受光角度90度付近)などの散乱光の強度及び波形情報などが挙げられる。より具体的には、散乱光情報として、散乱光強度散乱光パルス幅及び散乱光積分値などが挙げられる。当該技術においては、側方散乱光は、細胞の核や顆粒などの内部情報を反映し、前方散乱光は、細胞の大きさの情報を反映することが知られている。本実施形態においては、前方散乱光の情報を用いることが好ましい。

0055

蛍光情報は、適当な波長の励起光を染色された尿中有形成分に照射して、励起された蛍光を測定して得られる情報であれば特に限定されず、例えば、蛍光の強度及び波形情報が挙げられる。より具体的には、蛍光情報として、蛍光強度、蛍光パルス幅及び蛍光積分値などが挙げられる。なお、蛍光は、第1試薬に含まれる蛍光色素によって染色された有形成分内の核酸などから発せられる。また、受光波長は、第1試薬に含まれる蛍光色素に応じて適宜選択することができる。

0056

本実施形態においては、フローサイトメータの光源は特に限定されず、蛍光色素の励起に好適な波長の光源を適宜選択することができる。例えば、赤色半導体レーザ青色半導体レーザアルゴンレーザHe-Neレーザ水銀アークランプなどが使用される。特に半導体レーザは、気体レーザに比べて非常に安価であるので好適である。

0057

本実施形態の方法では、上記の取得工程で得られた光学的情報に基づいて、尿中有形成分として少なくとも精子及び酵母様真菌を検出する工程が行われる。なお、「検出」には、測定試料中に尿中有形成分の存在を見出すことだけではなく、尿中有形成分を分類及び計数することも含まれる。

0058

本実施形態において、尿中有形成分の検出は、散乱光情報と蛍光情報とを二軸とするスキャッタグラムを作成し、得られたスキャッタグラムを適当な解析ソフトを用いて解析することにより行われることが好ましい。例えば、X軸を蛍光強度とし、Y軸を前方散乱光強度としてスキャッタグラムを描いた場合、各尿中有形成分の粒子サイズ及び染色性(核酸含有量)に応じて、それぞれの集団(クラスター)がスキャッタグラム上に出現する。本実施形態の方法においては、少なくとも精子及び酵母様真菌を、それぞれ異なる領域に出現する2種類の集団として検出することができる。

0059

なお、本実施形態においては、精子及び酵母様真菌に加え、トリコモナス、白血球、上皮細胞、異型細胞、及び細菌を、それぞれ異なる領域に出現する集団として検出することができる。

0060

精子、トリコモナス、及び酵母様真菌は、白血球、上皮細胞、及び異型細胞よりも核酸量が少なく、白血球、上皮細胞、及び異型細胞よりも染色色素に対する染色性が低い。よって、精子、トリコモナス、及び酵母様真菌と、白血球、上皮細胞、及び異型細胞とは、蛍光強度に基づいて分類することができる。細菌は、精子、トリコモナス、酵母様真菌、白血球、上皮細胞、及び異型細胞に比べて非常にサイズが小さく、また核酸量も少ないので、精子、トリコモナス、酵母様真菌、白血球、上皮細胞、及び異型細胞よりも染色色素に対する染色性が低い。よって、細菌と、精子、トリコモナス、酵母様真菌、白血球、上皮細胞、及び異型細胞とは、蛍光強度に基づいて分類することができる。

0061

図8は、精子、トリコモナス、及び酵母様真菌の分布を示すスキャッタグラムの模式図である。図8に示す領域R41に含まれる粒子が精子として検出され、その数が計数される。また、図8に示す領域R42に含まれる粒子が酵母様真菌として検出され、その数が計数される。さらに、図8に示す領域R43に含まれる粒子がトリコモナスとして検出され、その数が計数される。

0062

精子と酵母様真菌とは、蛍光強度の分布領域が異なっている。これは、精子の核酸量が酵母様真菌の核酸量よりも多いからである。また、精子及び真菌と、トリコモナスとは前方散乱光強度の分布領域が異なっている。これは、トリコモナスの方が精子及び真菌よりもサイズが大きいからである。したがって、精子、トリコモナス、及び酵母様真菌は、蛍光強度及び前方散乱光強度に基づいて分類することができる。

0063

図9は、白血球、異型細胞、及び上皮細胞の分布を示すスキャッタグラムの模式図である。図9に示す領域R31に含まれる粒子が異型細胞として検出され、その数が計数される。また、図9に示す領域R32に含まれる粒子が白血球として検出され、その数が計数される。さらに、図9に示す領域R33に含まれる粒子が上皮細胞として検出され、その数が計数される。

0064

白血球及び上皮細胞と、異型細胞とは蛍光強度の分布領域が異なっている。これは、白血球と上皮細胞とには核酸量に概ね差異がなく、異型細胞の方が白血球及び上皮細胞よりも核酸量が多く、蛍光強度は核酸量を反映しているからである。また、白血球と上皮細胞とは、前方散乱光強度の分布領域が異なっている。これは、上皮細胞は白血球よりもサイズが大きく、前方散乱光強度は粒子の大きさを反映しているからである。したがって、白血球、上皮細胞、及び異型細胞は、蛍光強度及び前方散乱光強度に基づいて分類することができる。

0065

図10は、細菌の分布を示すスキャッタグラムの模式図である。図10に示す領域R5に含まれる粒子が細菌として検出され、その数が計数される。

0066

また、解析ソフトによって、スキャッタグラム上にて各集団を囲むウィンドウを設け、各ウィンドウ中の粒子数を計数することができる。

0067

[尿試料分析用試薬キット]
本実施形態の尿試料分析用試薬キット(以下、単に「試薬キット」ともいう)は、尿試料中の精子と酵母様真菌とを区別して検出するための試薬キットである。この試薬キットは、核酸を染色可能な蛍光色素を含む第1試薬と、防腐剤として酢酸及び/又はその塩、及び、赤血球を溶血させ、核酸を有する尿中有形成分に該蛍光色素が透過できる程度の損傷を与えるための界面活性剤を含む第2試薬とを含む。

0068

試薬キットに含まれる第1試薬については、本実施形態の尿試料分析方法に用いた第1試薬について述べたことと同じである。

0069

試薬キットに含まれる第2試薬については、防腐剤としての酢酸及び/又はその塩、及び界面活性剤を含むことを除いて、本実施形態の尿試料分析方法に用いた第2試薬について述べたことと同じである。なお、試薬キットに用いられる防腐剤としての酢酸及び/又はその塩、及び界面活性剤についても、本実施形態の尿試料分析方法の説明において述べたことと同じである。

0070

本実施形態においては、第1試薬と第2試薬とを別々の容器に収容し、これらを備えた2試薬型の試薬キットとすることが好ましい。図11に、容器に収容された第1試薬11及び容器に収容された第2試薬22を含む本実施形態の試薬キットの一例を示した。

0071

本発明の範囲には、尿試料中の精子と酵母様真菌とを区別して検出するための、核酸を染色可能な蛍光色素を含む第1試薬と、防腐剤として酢酸及び/又はその塩、及び、赤血球を溶血させ、核酸を有する尿中有形成分に該蛍光色素が透過できる程度の損傷を与えるための界面活性剤を含む第2試薬とを含む試薬キットの使用も含まれる。

0072

以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0073

実施例1
実施例1では、フローサイトメータによる精子と酵母様真菌との弁別に適した防腐剤を検討するために、各種の防腐剤を含む分析用試薬を用いて弁別性能を比較した。なお、弁別性能は、精子を含む試料についての平均測定値と、酵母様真菌を含む試料についての平均測定値との差に基づいて評価した。

0074

(1)試料
・精子を含む試料
健常ボランティアから採取した精子(200μL)を生理食塩水(50mL)に懸濁して、精子を含む試料を調製した。
・酵母様真菌を含む試料
培養したカンジダアルビカンス(C. albicans:ATCCより入手)を、1.0×106 cells/mLの濃度なるように生理食塩水に懸濁して、酵母様真菌を含む試料を調製した。

0075

(2)試薬
・染色用試薬
核酸を染色可能な蛍光色素としてNK-9536(チアゾールオレンジ:林原生化学研究所)を、0.20 mg/mLの濃度となるようにエチレングリコール(ナカライテスク株式会社)に溶解して、染色用試薬を調製した。

0076

・希釈用試薬
希釈用試薬として、下記の組成希釈液A〜Dを調製した。希釈液A〜Dはそれぞれ、防腐剤として、ピリジン系のマテリアルTKMA、酢酸、トリアジン系のモルノン650及びイソチアゾリン系のプロキセルGXLを含む。なお、希釈液A〜Dには、逆浸透膜濾過した水を溶媒として用いた。また、希釈液Bの調製に用いた酢酸の純度は99%である。
希釈液A(pH 5.6):DTAB(1250 ppm)(東京化成工業株式会社)、EDTA-2K(25 mM)(中部キレスト株式会社)及びマテリアルTKMA(1000 ppm:エーピーアイコーポレーション社)
希釈液B(pH 5.6):DTAB(1250 ppm)、EDTA-2K(25 mM)及び酢酸(1000 ppm)(和光純薬工業株式会社)
希釈液C(pH 5.6):DTAB(1250 ppm)、EDTA-2K(25 mM)及びモルノン650(1000 ppm)(片山化学株式社)
希釈液D(pH 5.6):DTAB(1250 ppm)、EDTA-2K(25 mM)及びプロキセルGXL(1000 ppm)(アーチケミカルズ社)

0077

シース液
シース液として、UF-Fシース(シスメックス株式会社)を用いた。

0078

(3)測定及び結果
試料の測定はフローサイトメータUF-1000i(シスメックス株式会社製)を用いて行った。このフローサイトメータによる測定の具体的な工程は、次のとおりである。まず、試料(200μL)と、予め42℃に加温した希釈液(580μL)とを混合し、42℃にて7秒間反応させた。次いで、得られた混合液と、染色用試薬(20μL)とを混合し、42℃にて3秒間反応させて測定試料を調製した。そして、得られた測定試料に光を照射して、蛍光強度を取得した。なお、フローサイトメータの光源として、励起波長488 nmの半導体レーザを用いた。得られた結果を図1A〜Dに示す。

0079

図1A〜Dより、精子を含む試料については、いずれの防腐剤を用いた場合でも、蛍光強度の平均値及びヒストグラムに大きな差は認められなかった。酵母様真菌を含む試料については、酢酸以外の防腐剤を用いた場合、蛍光強度の平均値は、精子を含む試料についての平均値に近かった(図A、C及びD参照)。一方、防腐剤として酢酸を用いた場合、他の防腐剤を用いた場合に比べて、酵母様真菌を含む試料についての蛍光強度の平均値が低かった(図1B参照)。よって、精子を含む試料についての平均測定値と、酵母様真菌を含む試料についての平均測定値との差は、酢酸を用いた場合のほうが、酢酸以外の防腐剤を用いた場合に比べて顕著に大きいことがわかった。これらの結果より、酢酸を防腐剤として含む希釈液を用いた場合、従来慣用されている市販の防腐剤を含む希釈液を用いた場合よりも、精子と酵母様真菌との弁別性能が高くなることが示された。

0080

実施例2
実施例2では、染色用試薬と、防腐剤として酢酸を含む希釈用試薬とを用いて、精子及び酵母様真菌を含む試料をフローサイトメータにより測定し、弁別性能を評価した。なお、弁別性能は、取得した蛍光強度及び散乱光強度から作成したスキャッタグラムに基づいて評価した。

0081

(1)試料
・精子及び酵母様真菌を含む試料
健常ボランティアから採取した精子(200μL)を生理食塩水(50 mL)に懸濁して、精子を含む懸濁液を調製した。この懸濁液に、培養したカンジダ・アルビカンスを、5.0×105 cells/mLの濃度なるように懸濁して、精子及び酵母様真菌を含む試料を調製した。
・白血球を含む試料
白血球を生理食塩水に懸濁して、白血球を含む試料を調製した。
・上皮細胞を含む試料
上皮細胞を生理食塩水に懸濁して、上皮細胞を含む試料を調製した。
・異型細胞を含む試料
異型細胞を生理食塩水に懸濁して、異型細胞を含む試料を調製した。
・トリコモナスを含む試料
トリコモナスを生理食塩水に懸濁して、トリコモナスを含む試料を調製した。
・細菌を含む試料
細菌を生理食塩水に懸濁して、細菌を含む試料を調製した。

0082

(2)試薬
染色用試薬として、実施例1と同じ染色用試薬を用いた。希釈用試薬として、実施例1と同じ希釈液Bを用いた。シース液として、実施例1と同じUF-Fシース(シスメックス株式会社)を用いた。

0083

(3)測定及び結果
試料の測定は、フローサイトメータUF-1000i(シスメックス株式会社製)を用いて行った。なお、測定試料は実施例1と同様にして調製した。そして、得られた測定試料に光を照射し、蛍光強度及び前方散乱光強度を取得した。なお、フローサイトメータの光源として、励起波長488 nmの半導体レーザを用いた。これらの測定値に基づいてスキャッタグラムを作成した。結果を図2〜7に示す。なお、図2〜7において、X軸(横軸)は蛍光強度を示し、Y軸(縦軸)は前方散乱光強度を示す。図2より、防腐剤として酢酸を含む希釈用試薬を用いることで、蛍光強度及び前方散乱光強度に基づくスキャッタグラムにおいて、酵母様真菌の領域(R1)と精子の領域(R2)とに分画できることが示された。同様に、図3〜7により、防腐剤として酢酸を含む希釈用試薬を用いることで、蛍光強度及び前方散乱光強度に基づくスキャッタグラムにおいて、白血球、上皮細胞、異型細胞、トリコモナス、及び細菌を検出できることが示された。

0084

実施例3
本実施例では、種々の細菌に対する酢酸の抗菌力を評価した。また、コントロールとして、生理食塩水を用いた。なお、抗菌力は、固形培地上の細菌のコロニー数に基づいて評価した。

0085

(1)使用した細菌
大腸菌(E. coli:ATCCより入手)
黄色ブドウ球菌(S. aureus:ATCCより入手)
緑膿菌(P. aeruginosa:ATCCより入手)
(2)試薬
酢酸水溶液(1000 ppm)
・生理食塩水

0086

(3)抗菌力の評価
酢酸水溶液及び生理食塩水のそれぞれに、各種の細菌を1×105 cells/mLの濃度なるように添加して、細菌懸濁液を得た。得られた細菌懸濁液から100μLずつ取り、これらを培養0日目のサンプルとした。残りの細菌懸濁液を大腸菌およびブドウ球菌は37℃、緑膿菌は25℃にて7日間培養し、培養後の懸濁液から100μLずつ取り、これらを培養7日目のサンプルとした。各サンプル100μLをハートインフュージョン寒天培地塗抹し、それぞれの培養温度にて培養した。なお、培養時間は、大腸菌については20時間、黄色ブドウ球菌については24時間、緑膿菌については48時間であった。培養後、寒天培地上のコロニー数をカウントし、菌数(CFU/mL)を算出した。結果を表1に示す。

0087

0088

表1より、1000 ppmの酢酸水溶液中では、7日間培養しても、大腸菌、黄色ブドウ球菌及び緑膿菌のいずれも繁殖できないことが示された。よって、希釈用試薬のための防腐剤として酢酸を用いることにより、これらの細菌に対する十分な防腐効果が得られることが示された。

実施例

0089

本出願は、2014年2月28日に出願された日本国特許出願特願2014−39283号に関し、これらの特許請求の範囲、明細書、図面及び要約書の全ては本明細書中に参照として組み込まれる。

0090

11 第1試薬
22 第2試薬

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