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技術 改変単量体IgM

出願人 富士レビオ株式会社
発明者 佐藤英雄小見和也
出願日 2015年2月24日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2016-505215
公開日 2017年3月30日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 WO2015-129651
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理 生物学的材料の調査,分析 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 高品質タンパク質 組込型 EBL フェナントレン骨格 連続単位 硫酸抱合体 データ省略 アミノ酸抱合体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月30日)のものです。
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図面 (7)

課題・解決手段

本発明は、多量体抗体であるIgM特有の問題を克服したタンパク質改変IgMを提供する。具体的には、本発明は、IgM軽鎖、および改変IgM重鎖を含み、改変IgM重鎖が、A)可変領域およびC末端欠失定常領域(例、CH1・CH2隣接領域中、CH2・CH3隣接領域中、またはCH3上流領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域)から構成される重鎖領域、ならびにB)重鎖領域に融合したタンパク質を含む、改変単量体IgM;ならびに、このような改変単量体IgMを発現する形質転換細胞(例、哺乳動物細胞)などを提供する。

概要

背景

抗体を所定のタンパク質コンジュゲートさせることにより、タンパク質の機能が付与された抗体を作製できることが知られている。例えば、抗体を酵素とコンジュゲートさせることにより、酵素免疫測定用の標識抗体を作製する方法が一般的に行われている。コンジュゲートの作製に利用される抗体は単純な構造を有するほど好ましいことが知られており、IgG1をペプシン消化および還元して得られるF(ab’)断片を、その遊離システイン残基を介して酵素とコンジュゲートさせる方法が汎用されている。

また、タンパク質の機能が付与された抗体を作製するため、抗体とタンパク質とのコンジュゲーションの代わりに、抗体をタンパク質と融合させることも試みられている(特許文献1〜3)。

概要

本発明は、多量体抗体であるIgM特有の問題を克服したタンパク質改変IgMを提供する。具体的には、本発明は、IgM軽鎖、および改変IgM重鎖を含み、改変IgM重鎖が、A)可変領域およびC末端欠失定常領域(例、CH1・CH2隣接領域中、CH2・CH3隣接領域中、またはCH3上流領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域)から構成される重鎖領域、ならびにB)重鎖領域に融合したタンパク質を含む、改変単量体IgM;ならびに、このような改変単量体IgMを発現する形質転換細胞(例、哺乳動物細胞)などを提供する。

目的

本発明の目的は、多量体抗体であるIgM特有の問題を克服したタンパク質改変IgMを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

IgM軽鎖、および改変IgM重鎖を含み、改変IgM重鎖が、A)可変領域およびC末端欠失定常領域から構成される重鎖領域、ならびにB)重鎖領域に融合したタンパク質を含む、改変単量体IgM。

請求項2

前記定常領域が、CH1・CH2隣接領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である、請求項1記載の改変単量体IgM。

請求項3

前記定常領域が、CH2・CH3隣接領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である、請求項1記載の改変単量体IgM。

請求項4

前記定常領域が、CH3上流領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である、請求項1記載の改変単量体IgM。

請求項5

タンパク質が酵素である、請求項1〜4のいずれか一項記載の改変単量体IgM。

請求項6

IgM軽鎖、および改変IgMの重鎖領域が鳥類由来する、請求項1〜5のいずれか一項記載の改変単量体IgM。

請求項7

鳥類がニワトリである、請求項6記載の改変単量体IgM。

請求項8

請求項1〜7のいずれか一項記載の改変単量体IgMを発現する形質転換細胞

請求項9

前記細胞哺乳動物細胞である、請求項8記載の細胞。

請求項10

請求項1〜7のいずれか一項記載の改変単量体IgMを用いて、サンプルにおいて標的物質を測定することを含む、標的物質の測定方法

技術分野

0001

本発明は、改変単量体IgM形質転換細胞、および標的物質測定方法に関する。

背景技術

0002

抗体を所定のタンパク質コンジュゲートさせることにより、タンパク質の機能が付与された抗体を作製できることが知られている。例えば、抗体を酵素とコンジュゲートさせることにより、酵素免疫測定用の標識抗体を作製する方法が一般的に行われている。コンジュゲートの作製に利用される抗体は単純な構造を有するほど好ましいことが知られており、IgG1をペプシン消化および還元して得られるF(ab’)断片を、その遊離システイン残基を介して酵素とコンジュゲートさせる方法が汎用されている。

0003

また、タンパク質の機能が付与された抗体を作製するため、抗体とタンパク質とのコンジュゲーションの代わりに、抗体をタンパク質と融合させることも試みられている(特許文献1〜3)。

先行技術

0004

特開2010−17113号公報
特開平8−70875号公報
特開平10−323187号公報

発明が解決しようとする課題

0005

多量体IgM(五量体または六量体として存在)は、凝集し易いなど不安定である。また、免疫測定用の抗体として用いる場合、血清等の検体中の物質非特異反応を起こし易く、擬陽性の原因となる。したがって、タンパク質により改変されるべき抗体として多量体IgMを使用することは、一般的に好まれない。
また、多量体IgMの分子量は大きく(五量体の場合、約90万)、化学的な手法によりIgMをタンパク質で標識する場合、標識され得る部位が多数存在する。結果として、得られたタンパク質標識多量体IgM(コンジュゲート)としては、タンパク質による多量体IgMの標識部位や標識数が多様であり不均一なものが得られる。したがって、コンジュゲートのロット間差の低減が困難という問題がある。
さらに、ペプシン消化によりIgMのF(ab’)断片を調製することも可能ではあるが、このような断片を調製するための反応の制御が難しく、非効率的である。
また、宿主として動物細胞を用いて作製された組換えIgMは、多量体形成に問題があることが多い。したがって、このような問題を生じ得る多量体形成を回避することができれば、有益である。
上より、本発明の目的は、多量体抗体であるIgM特有の問題を克服したタンパク質改変IgMを提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の改変定常領域にタンパク質を融合させた改変IgMが、本来は多量体として機能する抗体にもかかわらず、単量体として抗体の機能を発揮し、しかも融合されたタンパク質の機能も良好に維持することを見出し、本発明を完成するに至った。

0007

すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕IgM軽鎖、および改変IgM重鎖を含み、
改変IgM重鎖が、A)可変領域およびC末端欠失定常領域から構成される重鎖領域、ならびにB)重鎖領域に融合したタンパク質を含む、改変単量体IgM。
〔2〕前記定常領域が、CH1・CH2隣接領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である、〔1〕の改変単量体IgM。
〔3〕前記定常領域が、CH2・CH3隣接領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である、〔1〕の改変単量体IgM。
〔4〕前記定常領域が、CH3上流領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である、〔1〕の改変単量体IgM。
〔5〕タンパク質が酵素である、〔1〕〜〔4〕のいずれかの改変単量体IgM。
〔6〕IgM軽鎖、および改変IgMの重鎖領域が鳥類由来する、〔1〕〜〔5〕のいずれかの改変単量体IgM。
〔7〕鳥類がニワトリである、〔6〕の改変単量体IgM。
〔8〕〔1〕〜〔7〕のいずれかの改変単量体IgMを発現する形質転換細胞。
〔9〕前記細胞哺乳動物細胞である、〔8〕の細胞。
〔10〕〔1〕〜〔7〕のいずれかの改変単量体IgMを用いて、サンプルにおいて標的物質を測定することを含む、標的物質の測定方法。

発明の効果

0008

本発明の抗体は、培養上清中に良好に分泌され、また、抗原に対する結合能を保持できる。本発明の抗体は、培養上清からの精製により容易に調製できることから、製造プロセスの大幅な簡略化に有用である。

図面の簡単な説明

0009

図1は、異なる長さのC末端領域を欠失させたIgM(抗体1)重鎖とALPとの融合タンパク質(改変IgM重鎖)を有する種々の改変抗体ウエスタンブロッティングを示す図である。略号は、以下のとおりである(Conj:コンジュゲート;ALP:アルカリホスファターゼ;S:培養上清;M:膜画分。以下同様)。
図2は、異なる長さのC末端領域を欠失させたIgM(抗体2)重鎖とALPとの融合タンパク質(改変IgM重鎖)を有する種々の改変抗体のウエスタンブロッティングを示す図である。
図3は、改変IgM重鎖のIgM軽鎖との会合を示す図である。PC:ポジティブコントロールNCネガティブコントロールBSA:ウシ血清アルブミン。ポジティブコントロール用のコンジュゲートは、CHO細胞により産生されたニワトリ由来の五量体IgM(25OH VD3と抗25OH VD3抗体の親和性複合体を認識する抗体)をALPにコンジュゲートすることにより作製した。PC、NC、BSA、ポジティブコントロール用のコンジュゲートは、以下同様である。
図4は、改変IgM重鎖を有する改変抗体(抗体2から誘導)による、25OH VD3と抗25OH VD3抗体との親和性複合体(間接的には、25OH VD3)の測定を示す図である。pNPPを、ALPの基質として用いた。pNPPは、酵素反応により、405nmの波長を吸収するパラニトロフェノールに変換される。本アッセイでは、405nmでの吸光度を測定した。
図5は、改変IgM重鎖を有する種々の改変抗体(抗体2から誘導)のウエスタンブロッティングを示す図である。
図6は、改変IgM重鎖を有する種々の改変抗体(抗体2から誘導)による、25OH VD3と抗25OH VD3抗体との親和性複合体(間接的には、25OH VD3)の測定を示す図である。AMPPDを、ALPの基質として用いた。AMPPDは、酵素反応により分解されて発光を生じる。本アッセイでは、その発光カウントを測定した。
図7は、改変IgM重鎖を有する改変抗体(抗体3および4から誘導)による、ヒトIgGの測定を示す図である。AMPPDを、ALPの基質として用いた。

0010

本発明は、改変単量体IgMを提供する。以下、本発明の改変単量体IgMを、必要に応じて、本発明の抗体と略称する。

0011

本発明の抗体は、IgMに由来し得る。IgMとしては、IgMを産生する能力を有する任意の動物に由来するものを利用できる。このような動物としては、例えば、鳥類(例、ニワトリ、ウズラダチョウ)、哺乳動物(例、ヒト、サルマウスラットハムスターウサギウシウマヒツジロバブタ)が挙げられる。

0012

本発明の抗体は、IgM軽鎖を含む。IgM軽鎖は、可変領域(VL)および定常領域(CL)から構成される。軽鎖としては、例えば、λ鎖およびκ鎖が挙げられる。

0013

本発明の抗体はまた、改変IgM重鎖を含む。通常のIgM重鎖は、可変領域(VH)、および定常領域(CH)から構成される。IgM重鎖のCHは、4つのドメイン(CH1、CH2、CH3、およびCH4)から構成される。IgM抗体の重鎖における定常領域中のドメイン(CH1、CH2、CH3、およびCH4)の帰属は、当該分野における技術常識により、重鎖のアミノ酸配列に基づいて決定することができる。

0014

IgMの定常領域は、特定の動物種で保存されていることが知られている。すなわち、特定の動物種が産生する、ある抗原に対するIgMの定常領域は、当該動物種が産生する、別の抗原に対するIgMの定常領域と同一であり得る。これは、IgMにはサブタイプが存在せず1種のみであり、IgMの定常領域をコードするμ遺伝子が特定の動物種で同一のためである。例えば、ニワトリ由来IgMの定常領域のアミノ酸配列は、1)X01613.1、2)CAA25762.1、および3)P01875.2のGenBankアクセッション番号またはSwiss−protアクセッション番号で開示されているが、定常領域のアミノ酸配列は、これらのIgM間で一致している。これらのアクセッション番号により開示される定常領域等のアミノ酸配列を配列番号1として示す。配列番号1のアミノ酸配列において、CH1(Cμ1ドメイン)は、1〜105位のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対応し、CH2(Cμ2ドメイン)は、106〜209位のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対応し、CH3(Cμ3ドメイン)は、210〜316位のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対応し、CH4(Cμ4ドメイン)は、317〜427位のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列に対応する。なお、配列番号1のアミノ酸配列において428〜446位のアミノ酸残基からなるアミノ酸配列は、C末端領域と称される。

0015

ところで、動物の系統個体差に伴うμ遺伝子の変異、ならびに遺伝子再構成後の段階、例えばIgM抗体産生細胞発生段階に生じ得るμ遺伝子の変異などにより、IgM抗体の定常領域のアミノ酸配列において僅かなアミノ酸残基の変異が生じることがある。したがって、特定の動物種が産生する、ある抗原に対するIgMの定常領域は、当該動物種が産生する、別の抗原に対するIgMの定常領域と完全に同一ではなく、「実質的に同一」である場合もあり得る。本発明では、IgMの定常領域全体について、表現「実質的に同一」とは、上述したような変異により生じた1または数個のアミノ酸残基の変異を含む定常領域のアミノ酸配列が意図される。ここで、IgMの定常領域全体について、用語「1または数個のアミノ酸残基」とは、1〜40個、好ましくは1〜30個、より好ましくは1〜20個、さらにより好ましくは1〜10個、特に好ましくは1〜5個のアミノ酸残基を意味する。変異としては、例えば、置換、挿入、欠失および付加が挙げられる。

0016

アミノ酸残基の変異が置換である場合、アミノ酸残基の置換は、保存的置換であってもよい。用語「保存的置換」とは、所定のアミノ酸残基を、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置換することをいう。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該分野で周知である。例えば、このようなファミリーとしては、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例、リジンアルギニンヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例、アスパラギン酸グルタミン酸)、非荷電性極性側鎖を有するアミノ酸(例、アスパラギングルタミンセリンスレオニンチロシンシステイン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例、グリシンアラニンバリンロイシンイソロイシンプロリンフェニルアラニンメチオニントリプトファン)、β位分岐側鎖を有するアミノ酸(例、スレオニン、バリン、イソロイシン)、芳香族側鎖を有するアミノ酸(例、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)、ヒドロキシル基(例、アルコール性フェノール性)含有側鎖を有するアミノ酸(例、セリン、スレオニン、チロシン)、および硫黄含有側鎖を有するアミノ酸(例、システイン、メチオニン)が挙げられる。好ましくは、アミノ酸の保存的置換は、アスパラギン酸とグルタミン酸との間での置換、アルギニンとリジンとヒスチジンとの間での置換、トリプトファンとフェニルアラニンとの間での置換、フェニルアラニンとバリンとの間での置換、ロイシンとイソロイシンとアラニンとの間での置換、およびグリシンとアラニンとの間での置換であってもよい。

0017

一実施形態では、IgMがニワトリに由来する場合、IgMの定常領域は、以下であってもよい。
a)配列番号1のアミノ酸配列中の1〜427位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列からなるポリペプチド;または
b)配列番号1のアミノ酸配列中の1〜427位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基の変異を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド。

0018

別の実施形態では、IgMがニワトリに由来する場合、IgMの定常領域は、配列番号1のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。アミノ酸配列のパーセント同一性は、好ましくは91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上であってもよい。本発明では、用語「同一性」とは、NEEDLEプログラム(J Mol Biol 1970;48:443−453)検索において、デフォルト設定パラメータを用いて得られた値(Identity)を意味する。このようなパラメータは、Gap penalty=10、Extend penalty=0.5、Matrix=EBLOSUM62である。

0019

改変IgM重鎖は、以下A)B)を含む:
A)可変領域およびC末端欠失定常領域から構成される重鎖領域;ならびに
B)重鎖領域に融合したタンパク質。

0020

A)で挙げられた重鎖領域は、可変領域およびC末端欠失定常領域から構成される。C末端欠失定常領域は、単量体IgMの形成を可能にするように、そのC末端領域が欠失されている定常領域である。C末端領域の欠失は、C末端アミノ酸残基からその上流にある所定のアミノ酸残基までの連続単位(C末端側にある領域)を欠失させることにより行われる。単量体IgMは、天然IgMにより形成される多量体(5量体または6量体)ではなく、1価の単量体(即ち、Fab様分子)または2価の単量体(即ち、F(ab’)様分子)である。ジスルフィド結合による重鎖と軽鎖との架橋関与するシステイン残基(以下、「CH1 Cys」と称することがある。)は、CH1中に位置し得る。ジスルフィド結合による重鎖間の架橋に関与するシステイン残基(以下、「CH2 Cys」と称することがある)は、CH2中に位置し得る。ジスルフィド結合による単量体IgM間の架橋(即ち、多量体IgMの形成)に関与するシステイン残基(以下、「CH3 Cys」と称することがある)は、CH3中に位置し得る。

0021

したがって、C末端欠失定常領域は、抗原結合部位の保持の観点から、定常領域として、N末端アミノ酸残基からCH1 Cysまでの必須領域を少なくとも含み、また、改変単量体IgMの形成の観点から、CH3 CysからC末端アミノ酸残基までの領域を少なくとも欠失する。このようなC末端欠失定常領域を有する改変単量体IgMは、抗体の機能(例、分泌能および結合能)およびタンパク質の機能(例、酵素活性)の双方を有し得る。C末端欠失定常領域が、定常領域として、必須領域に加えて、CH1 CysからCH2 Cysまでの領域をさらに含む場合、本発明の抗体は、2価の単量体であり得る。一方、C末端欠失定常領域が、定常領域として、必須領域に加えて、CH1 CysからCH2 Cysまでの領域をさらに含まない場合、換言すれば、CH2 CysからC末端アミノ酸残基までの領域を欠失する場合、本発明の抗体は、1価の単量体であり得る。

0022

具体的には、本発明の抗体におけるC末端欠失定常領域としては、例えば、以下が挙げられる:
i)CH1 CysよりもC末端側にあるCH1中の所定のアミノ酸残基からC末端アミノ酸残基までを欠失する領域(即ち、CH1の一部から構成される領域);
ii)CH2からC末端アミノ酸残基までを欠失する領域(即ち、CH1の全体から構成される領域);
iii)CH2中の所定のアミノ酸残基からC末端アミノ酸残基までを欠失する領域(即ち、CH1の全体およびCH2の一部から構成される領域);
iv)CH3からC末端アミノ酸残基までを欠失する領域(即ち、CH1の全体およびCH2の全体から構成される領域);ならびに
v)CH3 CysからC末端アミノ酸残基までを欠失する領域(即ち、CH1の全体、CH2の全体およびCH3の一部から構成される領域)。

0023

特定の実施形態では、C末端欠失定常領域は、CH1・CH2隣接領域中、CH2・CH3隣接領域中、またはCH3上流領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である。このようなC末端欠失定常領域を有する本発明の抗体は、抗体の機能(例、分泌能および結合能)およびタンパク質の機能(例、酵素活性)の双方において特に優れ得る。

0024

本発明では、CH1・CH2隣接領域とは、CH1・CH2の境界(CH1−CH2)を基準にして、CH1のC末端アミノ酸残基の位置を「−1」、CH2のN末端アミノ酸残基の位置を「+1」と仮定したとき(このとき、「0位」のアミノ酸残基は存在せず、「−1位」および「+1位」のアミノ酸残基が互いにアミド結合により連結している)、CH1領域中の「−4位」のアミノ酸残基からCH2領域中の「+4位」のアミノ酸残基にわたる、連続する8個のアミノ酸残基からなる領域をいう。CH1・CH2隣接領域中のアミノ酸残基をC末端アミノ酸残基として有するC末端欠失定常領域は、上記i)、ii)またはiii)の領域に該当し得る。

0025

CH1・CH2隣接領域は、好ましくは、a)CH1領域中の「−3位」のアミノ酸残基からCH2領域中の「+3位」のアミノ酸残基にわたる、連続する6個のアミノ酸残基からなる領域、b)CH1領域中の「−2位」のアミノ酸残基からCH2領域中の「+2位」のアミノ酸残基にわたる、連続する4個のアミノ酸残基からなる領域、またはc)CH1領域中の「−1位」のアミノ酸残基からCH2領域中の「+1位」のアミノ酸残基にわたる、連続する2個のアミノ酸残基からなる領域であってもよい。

0026

C末端欠失定常領域が、CH1・CH2隣接領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である場合、C末端欠失定常領域は、ニワトリ由来であってもよい。この場合、C末端欠失定常領域は、以下であってもよい。
a1)配列番号1のアミノ酸配列中の1〜X位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列からなるポリペプチド;または
b1)配列番号1のアミノ酸配列中の1〜X位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基の変異を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド。
Xは、102以上109以下の任意の整数であり、好ましくは103以上108以下の任意の整数であり、より好ましくは104以上107以下の任意の整数であり、さらにより好ましくは105または106である。
また、C末端欠失定常領域は、配列番号1のアミノ酸配列中の1〜X位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。Xは、上述したとおりである。アミノ酸配列のパーセント同一性は、好ましくは91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上であってもよい。パーセント同一性の決定は、上述したとおり行うことができる。

0027

本発明では、CH2・CH3隣接領域とは、CH2・CH3の境界(CH2−CH3)を基準にして、CH2のC末端アミノ酸残基の位置を「−1」、CH3のN末端アミノ酸残基の位置を「+1」と仮定したとき(このとき、「0位」のアミノ酸残基は存在せず、「−1位」および「+1位」のアミノ酸残基が互いにアミド結合により連結している)、CH2領域中の「−4位」のアミノ酸残基からCH3領域中の「+4位」のアミノ酸残基にわたる、連続する8個のアミノ酸残基からなる領域をいう。CH2・CH3隣接領域中のアミノ酸残基をC末端アミノ酸残基として有するC末端欠失定常領域は、上記iii)、iv)またはv)の領域に該当し得る。

0028

CH2・CH3隣接領域は、好ましくは、a)CH2領域中の「−3位」のアミノ酸残基からCH3領域中の「+3位」のアミノ酸残基にわたる、連続する6個のアミノ酸残基からなる領域、b)CH2領域中の「−2位」のアミノ酸残基からCH3領域中の「+2位」のアミノ酸残基にわたる、連続する4個のアミノ酸残基からなる領域、またはc)CH2領域中の「−1位」のアミノ酸残基からCH3領域中の「+1位」のアミノ酸残基にわたる、連続する2個のアミノ酸残基からなる領域であってもよい。

0029

C末端欠失定常領域が、CH2・CH3隣接領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である場合、C末端欠失定常領域は、ニワトリ由来であってもよい。この場合、C末端欠失定常領域は、以下であってもよい。
a2)配列番号1のアミノ酸配列中の1〜Y位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列からなるポリペプチド;または
b2)配列番号1のアミノ酸配列中の1〜Y位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基の変異を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド。
Yは、206以上213以下の任意の整数であり、好ましくは207以上212以下の任意の整数であり、より好ましくは208以上211以下の任意の整数であり、さらにより好ましくは209または210である。
また、C末端欠失定常領域は、配列番号1のアミノ酸配列中の1〜Y位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。Yは、上述したとおりである。アミノ酸配列のパーセント同一性は、好ましくは91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上であってもよい。パーセント同一性の決定は、上述したとおり行うことができる。

0030

本発明では、CH3上流領域とは、CH3のN末端アミノ酸残基の位置を「+1」と仮定したとき、CH3領域中の「+1位」のアミノ酸残基から「+18位」のアミノ酸残基にわたる、連続する18個のアミノ酸残基からなる領域をいう。CH3上流領域中のアミノ酸残基をC末端アミノ酸残基として有するC末端欠失定常領域は、上記v)の領域に該当し得る。

0031

CH3上流領域は、好ましくは、CH3領域において、「+1位」のアミノ酸残基から、「+17位」、「+16位」、「+15位」、「+14位」、「+13位」、「+13位」、「+12位」、「+11位」、「+10位」、「+9位」、「+8位」、「+7位」、「+6位」、「+5位」、「+4位」、「+3位」、または「+2位」のアミノ酸残基にわたる、連続するアミノ酸残基からなる領域であってもよい。

0032

C末端欠失定常領域が、CH3上流領域中のアミノ酸残基を、C末端アミノ酸残基として有する定常領域である場合、C末端欠失定常領域は、ニワトリ由来であってもよい。この場合、C末端欠失定常領域は、以下であってもよい。
a3)配列番号1のアミノ酸配列中の1〜Z位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列からなるポリペプチド;または
b3)配列番号1のアミノ酸配列中の1〜Z位のアミノ酸残基に対応するアミノ酸配列において、1または数個のアミノ酸残基の変異を含むアミノ酸配列からなるポリペプチド。
Zは、210以上227以下の任意の整数である。好ましくは、Zは、226以下、225以下、224以下、223以下、222以下、221以下、220以下、219以下、218以下、217以下、216以下、215以下、214以下、213以下、212以下、または211以下であってもよい。

0033

B)で挙げられたタンパク質は、重鎖領域に融合されている。融合は、タンパク質のN末端アミノ酸残基を、重鎖領域のC末端アミノ酸残基にアミド結合を介して連結することにより行われる。このような融合タンパク質は、重鎖領域をコードするポリヌクレオチドの下流に、タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、読み枠を合わせて連結し、次いで、連結ポリヌクレオチド発現ベクターへの導入、および発現ベクターの細胞への導入を行い、最後に、細胞において融合タンパク質を発現させることにより、調製することができる。融合は、1または数個(例、1〜50個、1〜30個、1〜20個、1〜10個、または1〜5個)のアミノ酸残基からなるリンカーを介して、行われてもよい。

0034

本発明において、タンパク質は、本発明の抗体に何らかの性質を付与するアミノ酸重合体である。代表的なタンパク質としては、例えば、検出可能な物性(例、吸光度)を有し得る物質、もしくは検出可能なシグナル(例、発光、蛍光)を発生し得る物質を生成し得るタンパク質(例、酵素)、または検出可能な物性を有し得る、もしくは検出可能なシグナルを発生し得るタンパク質(例、蛍光タンパク質)が挙げられる。このようなタンパク質としては、例えば、上述した物質を生成し得る酵素(例、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼルシフェラーゼβガラクトシダーゼ)、シグナルを発生し得るタンパク質(例、緑色蛍光タンパク質赤色蛍光タンパク質)が挙げられる。タンパク質としては、可溶性タンパク質が好ましい。タンパク質の分子量は、例えば、10kDa以上、20kDa以上、30kDa以上、40kDa以上、または50kDa以上であってもよい。タンパク質の分子量はまた、例えば、200kDa以下、180kDa以下、または160kDa以下であってもよい。

0035

本発明の抗体は、抗原性を有する任意の抗原を認識することができる。このような抗原としては、例えば、低分子物質、タンパク質、ポリサッカリドアレルゲンが挙げられる。
用語「低分子物質」とは、分子量1,500未満の化合物をいう。低分子物質は、天然物質または合成物質である。低分子物質の分子量は、1,200未満、1,000未満、800未満、700未満、600未満、500未満、400未満または300未満であってもよい。低分子物質の分子量はまた、50以上、100以上、150以上または200以上であってもよい。低分子物質としては、例えば、リガンドホルモン、脂質、脂肪酸ビタミンオピオイド神経伝達物質(例、カテコールアミン)、ヌクレオシドヌクレオチドオリゴヌクレオチド単糖オリゴ糖、アミノ酸、およびオリゴペプチド、あるいは医薬毒物、および代謝産物が挙げられる。ホルモンとしては、例えば、ステロイドホルモン甲状腺ホルモンペプチドホルモンが挙げられる。
タンパク質としては、免疫グロブリン等の可溶性タンパク質、および膜タンパク質が挙げられる。免疫グロブリンとしては、例えば、IgG、IgAIgEIgDIgYが挙げられる。免疫グロブリン等のタンパク質は、上述したような任意の動物(好ましくは、ヒト等の哺乳動物)に由来するものを利用できる。

0036

本発明の抗体は、親和性複合体を認識するものであってもよい。用語「親和性複合体」とは、2以上の因子の会合または凝集(即ち、非共有結合)により形成される複合体をいう(例、WO2013/042426を参照)。親和性複合体を構成する少なくとも一つの因子は、好ましくは、タンパク質であってもよい。このようなタンパク質としては、例えば、親和的結合の能力を有するタンパク質(例、抗体)、凝集能を有するタンパク質が挙げられる。親和性複合体を構成する因子であるタンパク質が抗体である場合、本発明の抗体は、例えば、二次抗体として使用できる。親和性複合体を構成する少なくとも一つの因子はまた、低分子物質であってもよい。

0037

一実施形態では、低分子物質は、ビタミンであってもよい。ビタミンとしては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D、E、Kが挙げられる。好ましくは、ビタミンは、脂溶性ビタミン(例、ビタミンA、D、E、K)であり、より好ましくは、以下に示すようなビタミンDである。低分子物質はまた、ビタミンの代謝産物であってもよい。ビタミンの代謝産物としては、例えば、上述したようなビタミンにヒドロキシル基が付加された化合物、および抱合体(例、グルクロン酸抱合体硫酸抱合体グルタチオン抱合体、アセチル抱合体、アミノ酸抱合体)が挙げられる。低分子物質はさらに、ビタミン類治療用薬物またはその代謝産物であってもよい。

0038

0039

別の実施形態では、低分子物質は、ステロイド化合物であってもよい。ステロイド化合物とは、ステロイド骨格シクロペンタペルヒドロフェナントレン骨格)を有する化合物をいう。ステロイド化合物としては、ステロイドホルモン、およびステロイド骨格を保持するその誘導体(例、タンパク質同化ステロイド抗男性ホルモン剤および抗卵胞ホルモン剤等の合成ステロイド)が挙げられる。ステロイドホルモンとしては、例えば、男性ホルモン、卵胞ホルモン、黄体ホルモンコルチコイド(例、糖質コルチコイド鉱質コルチコイド)が挙げられるが、卵胞ホルモンが好ましい。卵胞ホルモンとしては、例えば、エストロンエストラジオールエストリオールが挙げられる。低分子物質はまた、ステロイド化合物の代謝産物であってもよい。ステロイド化合物の代謝産物としては、例えば、上述したようなステロイド化合物にヒドロキシル基が付加された化合物、および抱合体が挙げられる。抱合体としては、例えば、グルクロン酸抱合体、硫酸抱合体(例、エストラジオールの3位もしくは17位のいずれかのヒドロキシル基、または3位および17位の双方のヒドロキシル基に硫酸基抱合された化合物)、グルタチオン抱合体、アセチル抱合体、アミノ酸抱合体が挙げられる。低分子物質はさらに、ステロイド化合物類似治療用薬物(例、エストラムスチン)またはその代謝産物(例、エストロスチン)であってもよい。

0040

さらに別の実施形態では、低分子物質は、アミノ酸化合物であってもよい。アミノ酸化合物とは、アミノ基およびカルボキシル基を有する化合物をいう。アミノ酸化合物としては、例えば、α−アミノ酸(例、グリシン、アラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、オルニチンシトルリン)、β−アミノ酸(例、β−アラニン)、γ−アミノ酸(例、γ-アミノ酪酸)、ならびに、アミノ基およびカルボキシル基を保持するそれらの誘導体が挙げられる。アミノ酸化合物は、L体またはD体であってもよい。低分子物質はまた、アミノ酸化合物の代謝産物であってもよい。アミノ酸化合物の代謝産物としては、例えば、上述したようなアミノ酸化合物にヒドロキシル基が付加された化合物、および上述したような抱合体が挙げられる。低分子物質はさらに、アミノ酸化合物類似治療用薬物またはその代謝産物であってもよい。
好ましくは、アミノ酸化合物は、チロシンから生合成されるチロシン誘導体であってもよい。チロシン誘導体としては、甲状腺ホルモン(例、トリヨードチロニンチロキシン)が挙げられる。チロシン誘導体はまた、甲状腺ホルモンの代謝産物であってもよい。甲状腺ホルモンの代謝産物としては、例えば、甲状腺ホルモンにヒドロキシル基が付加された化合物、および上述したような抱合体が挙げられる。低分子物質はさらに、甲状腺ホルモン類似治療用薬物またはその代謝産物であってもよい。

0041

本発明の抗体は、溶液中に溶解した形態で提供されてもよいが、支持体に固定された形態で提供されてもよい。支持体としては、例えば、粒子(例、磁性粒子)、メンブレン(例、ニトロセルロース膜)、ガラスプラスチック、金属、プレート(例、マルチウェルプレート)、デバイスが挙げられる。本発明の抗体はまた、濾紙等の媒体含浸された形態で提供されてもよい。

0042

本発明の抗体は、本発明の抗体を発現する本発明の形質転換細胞を調製し、次いで、本発明の形質転換細胞を培養することにより得ることができる。

0043

形質転換細胞の宿主としては、例えば、本発明の抗体を発現できる限り特に限定されず、例えば、原核生物細胞(例、大腸菌)、および真核生物細胞(例、酵母等の単細胞、および多細胞生物由来の細胞)を用いることができる。好ましくは、宿主は、任意の動物に由来する細胞を利用できる。このような動物としては、例えば、鳥類(例、ニワトリ、ウズラ、ダチョウ))、哺乳動物(例、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ロバ、ブタが挙げられる。より好ましくは、宿主は、高品質タンパク質(例、抗体等のタンパク質医薬)の商業生産のために汎用されている細胞であってもよい。このような細胞としては、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞およびその亜株(例、CHO−K1、DG44)、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞およびその亜株が挙げられる。

0044

本発明の形質転換細胞の調製は、IgM軽鎖および改変IgM重鎖を発現する1又は2つのベクターを宿主に導入することにより行うことができる。具体的には、このような調製は、IgM軽鎖の発現ベクター、および改変IgM重鎖の発現ベクターを一緒に宿主に導入することにより、またはIgM軽鎖および改変IgM重鎖を発現し得る単一の発現ベクターを宿主に導入することにより行うことができる。単一の発現ベクターは、IgM軽鎖をコードするポリヌクレオチド、および改変IgM重鎖をコードするポリヌクレオチドがそれぞれ異なるプロモーターに連結されている発現ベクターであっても、またはIgM軽鎖および改変IgM重鎖をコードするポリヌクレオチドが1つのプロモーターに連結されている発現ベクターであってもよい。発現ベクターとしては、例えば、プラスミドウイルスベクター(例、アデノウイルスレトロウイルス)、人工染色体、および組込型(integrative)ベクター(例、レトロウイルス)が挙げられる。発現ベクターはまた、一過的発現または恒常的(すなわち、安定的)発現のためのベクターである。

0045

本発明はまた、本発明の抗体を用いて、標的物質の測定方法を提供する。本発明の測定方法は、サンプルにおいて標的物質を測定することを含む。本発明の測定方法は、臨床検査生物学的アッセイ等の試験に有用である。

0046

サンプルは、標的物質を含有する、または含有すると疑われるサンプルである。サンプルの由来は特に限定されず、生物由来の生物学的サンプルであってもよく、または環境サンプルなどであってもよい。生物学的サンプルが由来する生物としては、例えば、哺乳動物(例、ヒト、サル、マウス、ラット、ウサギ、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ)等の動物、昆虫微生物、植物が挙げられる。生物学的サンプルはまた、血清、血液、血漿唾液組織または細胞抽出液であってもよい。環境サンプルとしては、例えば、土壌海水または淡水由来のサンプルが挙げられる。サンプルは、本発明の測定方法に付される前に、他の処理に付されてもよい。このような処理としては、例えば、遠心分離、抽出、ろ過、沈殿分画が挙げられる。

0047

本発明の測定方法は、定性的または定量的に行うことができる。本発明の測定方法はまた、免疫学的手法により行うことができる。このような免疫学的手法としては、例えば、酵素免疫測定法EIA)(例、直接競合ELISA、間接競合ELISA、サンドイッチELISA)、放射免疫測定法RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、磁性粒子法、免疫クロマト法ルミネッセンス免疫測定法スピン免疫測定法、ウエスタンブロット法ラテックス凝集法が挙げられる。

0048

以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。

0049

以下の実施例において、改変抗体の重鎖としては、WO2013/042426に開示される方法により調製された、25OH VD3と抗25OH VD3抗体(1次抗体)との複合体(親和性複合体)を認識する2種のニワトリ由来IgM(抗体1、抗体2)において、異なる長さのC末端領域を欠失させた重鎖を、タンパク質(ALP,分子量:140kDa)と融合させたものを用いた。あるいは、抗原としてヒトIgGを用い、かつADLib(Autonomously Diversifying Library)システム(例、WO2004/011644を参照)を利用することにより調製された、ヒトIgGを認識する2種のニワトリ由来IgM(抗体3、抗体4)において、異なる長さのC末端領域を欠失させた重鎖を、タンパク質(ALP,分子量:140kDa)と融合させたものを、改変抗体の重鎖として用いた。
抗体1〜4のアミノ酸残基の位置と抗体領域との関係は、表1に記載のとおりである。

0050

0051

表1の捕捉説明は、以下のとおりである。
1)抗体1〜4は、可変領域(Vμ)のアミノ酸配列は異なるが、定常領域(Cμ1、Cμ2、Cμ3、Cμ4)のアミノ酸配列は完全に同一である。例えば、抗体1および2の関係について説明すると、抗体1および2の可変領域を構成するアミノ酸残基の個数は、6個異なる。したがって、抗体1の各定常領域の開始および終了アミノ酸残基の位置(n位)を基準とすると、抗体2の各定常領域の開始および終了アミノ酸残基の位置は、「(n+6)位」である。
2)ジスルフィド結合による重鎖と軽鎖との架橋に関与するシステイン残基は、Cμ1中に存在する(抗体1:160位のシステイン;抗体2:166位のシステイン:抗体3:158位のシステイン;抗体4:157位のシステイン)。
3)ジスルフィド結合による重鎖間の架橋(即ち、IgM単量体の形成)に関与するシステイン残基は、Cμ2中に存在する(抗体1:347位のシステイン;抗体2:353位のシステイン:抗体3:345位のシステイン;抗体4:344位のシステイン)。
4)ジスルフィド結合によるIgM単量体間の架橋(即ち、IgM多量体の形成)に関与するシステイン残基は、Cμ3中に存在する(抗体1:426位のシステイン;抗体2:432位のシステイン:抗体3:424位のシステイン;抗体4:423位のシステイン)。

0052

実施例1:改変IgM重鎖を有する改変抗体の発現および分泌
異なる長さのC末端領域を欠失させた抗体重鎖H鎖)断片の遺伝子とアルカリホスファターゼ(ALP)の遺伝子を連結(5’末端側:H鎖断片:3’末端側:ALP。以下同様)した発現ベクター(抗体1および2について、それぞれ6種類の発現ベクター)、ならびにIgM抗体軽鎖(L鎖(λ))全長の発現ベクターを、CHO細胞にコトランスフェクトし、改変抗体を一過性に発現させた。得られたCHO細胞の培養上清について、ウエスタンブロッティング(WB)による分析を行った。作製した改変抗体は、改変IgM重鎖について、「数字+タンパク質(ALP)」で表記している。例えば、250ALPは、「IgM抗体H鎖の1番目から250番目までのアミノ酸残基から構成されるH鎖(換言すれば、251番目のアミノ酸残基からC末端アミノ酸残基までを欠失させたH鎖)とタンパク質(ALP)を融合したもの」と「IgM抗体L鎖全長」からなる改変抗体を意味する。
その結果、作製した全ての改変抗体は、少なくともその一部が膜画分(M)中に局在していることが認められた(図1、2)。このことは、全ての改変抗体が発現していることを示す。一方、培養上清(S)への分泌が認められた改変抗体は、250ALP、342ALP、および366ALPに対応する3種の改変IgM重鎖(抗体1から誘導)、ならびに256ALP、348ALP、および372ALPに対応する3種の改変IgM重鎖(抗体2から誘導)を有するもののみであった(図1、2)。

0053

実施例2:改変IgM重鎖とIgM軽鎖との会合
実施例1で得られたCHO細胞の培養上清について、Native PAGE後にWBを行った。その結果、抗ALP抗体を用いて検出されたバンドの位置は、抗L鎖抗体を用いて検出されたバンドの位置と同じであった(データ省略)。
次いで、以下のアッセイ系A〜Dにより、改変IgM重鎖がIgM軽鎖と会合しているかを評価した。なお、改変抗体としては、抗体1(366ALP)または抗体2(372ALP)を含む、実施例1で得られたCHO細胞の培養上清を用いた。
(アッセイ系A)
抗L鎖抗体(マウス由来)をELISAプレートウェル中に固定した。改変抗体、続いて抗ALP抗体(ウサギ由来)をウェルに添加し、反応させた。
(アッセイ系B)
抗L鎖抗体(マウス由来)をELISAプレートのウェル中に固定した。改変抗体、続いて抗H鎖抗体(ヤギ由来)をウェルに添加し、反応させた。
(アッセイ系C)
抗H鎖抗体(ヤギ由来)をELISAプレートのウェル中に固定した。改変抗体、続いて抗L鎖抗体(マウス由来)をウェルに添加し、反応させた。
(アッセイ系D)
抗ALP抗体(ウサギ由来)をELISAプレートのウェル中に固定した。改変抗体、続いて抗L鎖抗体(マウス由来)をウェルに添加し、反応させた。
アッセイ系A〜Dにおいて、反応後、HRP標識抗ウサギIg抗体、続いてTMB(基質)をウェルに加え、HRPによる酵素反応を行なった後、硫酸で反応を停止させた。最後に、450nmの吸光度を測定した。
その結果、アッセイ系A〜Dにより、シグナルが検出された(図3)。したがって、改変IgM重鎖がIgM軽鎖と会合していることが確認された。

0054

実施例3:改変抗体の機能の確認(1)
25OH VD3と抗25OH VD3抗体(1次抗体)との複合体(親和性複合体)に対する本発明の抗体の機能を確認するため、WO2013/042426の実施例に開示される方法と同様の方法にしたがって、25OH VD3の測定をELISAにより行った。先ず、異なる長さのC末端領域を欠失させた抗体重鎖(H鎖)断片の遺伝子とアルカリホスファターゼ(ALP)の遺伝子を連結した発現ベクター(抗体2について、3種類の発現ベクター)、およびIgM抗体軽鎖(L鎖(λ))全長の発現ベクターを、CHO細胞にコトランスフェクトし、抗体2から誘導された改変抗体を一過性に発現させた。次いで、得られたCHO細胞の培養上清を用いてアッセイを行った。
その結果、256ALPおよび372ALPに対応する2種の改変IgM重鎖を有する改変抗体は、高い吸光度の値を示した。このことは、これらの改変抗体が、単量体として元の抗体(多量体IgM)の機能(分泌能および結合能)およびタンパク質(ALP)の機能(酵素活性)の双方を有することを示す(図4)。
以上より、重鎖架橋システイン(353位)よりもN末端側に位置するCH1・CH2隣接領域中のアミノ酸残基、ならびに重鎖架橋システイン(353位)よりもC末端側に位置するCH3上流領域中のアミノ酸残基をC末端アミノ酸残基として有するC末端欠失定常領域を有する改変単量体抗体が、元の抗体の機能およびタンパク質の機能の双方を有し得ることが確認された。

0055

実施例4:改変抗体の機能の確認(2)
異なる長さのC末端領域を欠失させた抗体重鎖(H鎖)断片の遺伝子とアルカリホスファターゼ(ALP)の遺伝子を連結した発現ベクター(抗体2について、実施例1〜4とは異なる11種類の発現ベクター、および先の実施例と同様の6種の発現ベクター)、ならびにIgM抗体軽鎖(L鎖(λ))全長の発現ベクターを、CHO細胞にコトランスフェクトし、抗体2から誘導された改変抗体を一過性に発現させた。得られたCHO細胞の培養上清を用いて25OH VD3を測定した。25OH VD3の測定は、WO2013/042426の実施例に開示される方法と同様の方法にしたがって、ELISAにより行った。
その結果、改変IgM重鎖を有する改変抗体のうち、ELISAにおいて高いカウントを示した改変抗体は、357ALP、362ALP、367ALP、372ALP、373ALP、374ALP、および375ALPであった(図5、6)。また、WBとELISAの結果(図5、6)より、これらの改変抗体については、発現量と活性にある程度の相関性が確認された。250ALPについても、低いカウントを示したことから、僅かながらも機能の保持が確認された(図5、6)。
以上より、元の抗体の機能(分泌能および結合能)、ならびに抗体に融合されるタンパク質の機能(活性)の良好な保持の観点から、重鎖定常領域中のC末端アミノ酸残基の位置は、CH1・CH2隣接領域、あるいは重鎖架橋システインよりもC末端側の領域(特に、CH2・CH3隣接領域またはCH3上流領域)中にあることが重要であると考えられる。特に、優れた機能を有し得る改変抗体を培養上清中に大量に得るためには、重鎖架橋システインよりもC末端側の領域(特に、CH2・CH3隣接領域またはCH3上流領域)中にあることが重要であり得る。

実施例

0056

実施例5:異なる抗原に結合能を有する抗体に由来する改変抗体の作製および評価
異なる長さのC末端領域を欠失させた抗体重鎖(H鎖)断片の遺伝子とアルカリホスファターゼ(ALP)の遺伝子を連結(5’末端側:H鎖断片:3’末端側:ALP。以下同様)した発現ベクター(抗体3および4について、それぞれ1種類の発現ベクター)、ならびにIgM抗体軽鎖(L鎖(λ))全長の発現ベクターを、CHO細胞にコトランスフェクトし、改変抗体である抗体3(364ALP)および抗体4(363ALP)を一過性に発現させた。抗体3(364ALP)および抗体4(363ALP)の定常領域は、抗体2(372ALP)のものと同一である(表1を参照)。得られたCHO細胞の培養上清を用いて、ELISAを行った。
ELISAは、下記の手順により行った。アッセイプレートのウェルに、5μg/mLの濃度のヒトIgGまたはバッファーのみを加え4℃で一晩インキュベートした。ウェルをTBSTで3回洗浄し、次いで1% BSA/TBSで1時間ブロッキングした後、TBSTで3回洗浄した。ウェルにCHO細胞の培養上清を加え一定時間放置した後、TBSTで3回洗浄した。ウェルにAMPPDを加え、発光反応を行った。最後に、発光カウントを測定した。
その結果、CHO細胞の培養上清において発光カウントが良好に測定された(図7)ことから、重鎖架橋システインよりもC末端側に位置するCH3上流領域中のアミノ酸残基をC末端アミノ酸残基として有するC末端欠失定常領域を有する改変単量体抗体が、元の抗体(多量体IgM)の機能(分泌能およびヒトIgGへの結合能)およびタンパク質(ALP)の機能(酵素活性)の双方を有することが確認された。このことは、元の抗体が結合能を有する抗原の種類(即ち、元の抗体の可変領域のアミノ酸配列の種類)にかかわらず、上記と同様の領域中のアミノ酸残基をC末端アミノ酸残基として有するC末端欠失定常領域を有するように改変することで、元の抗体の機能およびタンパク質の機能の双方が維持された本発明の改変単量体抗体を作製できることを示す。
以上より、本発明は、種々の抗原に対する改変単量体抗体の作製に有用であると考えられる。

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