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技術 溶銑の脱硫方法および脱硫剤

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 市川彰中井由枝五十川徹田中秀栄錦織正規
出願日 2015年2月6日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2016-505021
公開日 2017年3月30日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 WO2015-129173
状態 特許登録済
技術分野 銑鉄の精製;鋳鉄の製造;転炉法以外の製鋼
主要キーワード 質量濃度比 アルミナ比率 リサイクル製品 定量切り出し 本調査 ガス撹拌 トピード 集塵フード
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月30日)のものです。
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図面 (4)

課題・解決手段

フッ素を用いずに所定の脱硫能を得ながらも脱硫処理に掛かるコストを低減することが可能な溶銑脱硫方法および脱硫剤を提供すること。溶銑(16)を撹拌させて脱硫処理する際に、溶銑(16)に、カルシウムアルミネート生石灰とを、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0.01以上0.20以下、かつ脱硫剤(18)中のカルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように混合させた脱硫剤(18)を添加する。

概要

背景

高炉から出銑された溶銑中には、コークス等の高炉で用いられる原料に起因して、高濃度硫黄(S)が含まれる。硫黄は、基本的に鋼の品質に悪影響を与える成分である。このため、製鋼工程では、要求される鋼の品質に応じて、溶銑脱硫および溶鋼脱硫が行われる。このうち、溶銑脱硫では、安価な生石灰(CaO)を主体とする脱硫剤を添加し、撹拌・混合する方法が用いられている。

このような脱硫処理においては、添加する脱硫剤の滓化を促進させるために造滓剤が用いられる。脱硫剤の滓化促進に優れた造滓剤としては、蛍石(CaF2)系造滓剤が知られている。しかし、蛍石に含まれるフッ素(F)は、環境や人体に悪影響を与える懸念があり、排出基準が設けられている元素である。このため、蛍石を用いた脱硫処理後スラグリサイクルする際に、リサイクル製品からのフッ素の溶出が問題となることから、脱硫能が高く、フッ素成分を含まない脱硫剤が求められている。

例えば、特許文献1には、脱硫の際に用いるフッ素成分を含まない脱硫剤として、融点の低いCaO・Al2O3系鉱物カルシウムアルミネート)を含有する鉄鋼添加剤が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、フッ素を含有しない脱硫剤として、化学成分が質量比でCaO:40〜60%、Al2O3:60〜40%であるカルシウムアルミネート、および上記カルシウムアルミネートと生石灰(CaO)とを混合させた脱硫剤が開示されている。

概要

フッ素を用いずに所定の脱硫能を得ながらも脱硫処理に掛かるコストを低減することが可能な溶銑脱硫方法および脱硫剤を提供すること。溶銑(16)を撹拌させて脱硫処理する際に、溶銑(16)に、カルシウムアルミネートと生石灰とを、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0.01以上0.20以下、かつ脱硫剤(18)中のカルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように混合させた脱硫剤(18)を添加する。

目的

本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、フッ素を用いずに所定の脱硫能を得ながらも脱硫処理に掛かるコストを低減することが可能な溶銑の脱硫方法および脱硫剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

溶銑撹拌させて脱硫処理する際に、前記溶銑に、カルシウムアルミネート生石灰とを、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0超0.20以下、かつ前記カルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように混合させた脱硫剤を前記溶銑に添加することを特徴とする溶銑の脱硫方法

請求項2

前記溶銑を脱硫する際に、機械撹拌脱硫装置を用いる請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。

請求項3

前記脱硫剤を前記溶銑に添加する際に、前記脱硫剤を上添加することを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑の脱硫方法。

請求項4

前記脱硫剤を前記溶銑に添加する際に、前記脱硫剤を上吹きランスを介して、前記脱硫剤の搬送用ガスと共に上吹き添加することを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑の脱硫方法。

請求項5

前記カルシウムアルミネートと前記生石灰とを前記上吹きランスへの搬送中に混合させることを特徴とする請求項4に記載の溶銑の脱硫方法。

請求項6

カルシウムアルミネートと生石灰とを、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0超0.20以下、かつ前記カルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように混合させた混合物であることを特徴とする脱硫剤。

技術分野

0001

本開示は、溶銑脱硫方法および脱硫剤に関する。

背景技術

0002

高炉から出銑された溶銑中には、コークス等の高炉で用いられる原料に起因して、高濃度硫黄(S)が含まれる。硫黄は、基本的に鋼の品質に悪影響を与える成分である。このため、製鋼工程では、要求される鋼の品質に応じて、溶銑脱硫および溶鋼脱硫が行われる。このうち、溶銑脱硫では、安価な生石灰(CaO)を主体とする脱硫剤を添加し、撹拌・混合する方法が用いられている。

0003

このような脱硫処理においては、添加する脱硫剤の滓化を促進させるために造滓剤が用いられる。脱硫剤の滓化促進に優れた造滓剤としては、蛍石(CaF2)系造滓剤が知られている。しかし、蛍石に含まれるフッ素(F)は、環境や人体に悪影響を与える懸念があり、排出基準が設けられている元素である。このため、蛍石を用いた脱硫処理後スラグリサイクルする際に、リサイクル製品からのフッ素の溶出が問題となることから、脱硫能が高く、フッ素成分を含まない脱硫剤が求められている。

0004

例えば、特許文献1には、脱硫の際に用いるフッ素成分を含まない脱硫剤として、融点の低いCaO・Al2O3系鉱物カルシウムアルミネート)を含有する鉄鋼添加剤が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、フッ素を含有しない脱硫剤として、化学成分が質量比でCaO:40〜60%、Al2O3:60〜40%であるカルシウムアルミネート、および上記カルシウムアルミネートと生石灰(CaO)とを混合させた脱硫剤が開示されている。

先行技術

0005

特開2003−129122号公報
特開2007−46083号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、特許文献1に開示された鉄鋼添加剤は、製造コストの高いカルシウムアルミネートの脱硫剤中の混合比率が100%と高いため、脱硫処理に掛かるコストの増大を招いていた。
また、特許文献2に開示された鉄鋼添加剤は、製造コストの高いカルシウムアルミネートの脱硫剤中の混合比率が77%〜100%と高いため、特許文献1と同様に、脱硫処理に掛かるコストの増大を招いていた。

0007

そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、フッ素を用いずに所定の脱硫能を得ながらも脱硫処理に掛かるコストを低減することが可能な溶銑の脱硫方法および脱硫剤を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0008

上記目的を達成するために、本発明の一実施形態によれば、溶銑を撹拌させて脱硫処理する際に、溶銑に、カルシウムアルミネートと生石灰とを、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0超0.20以下、かつカルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように混合させた脱硫剤を溶銑に添加する脱硫方法が提供される。
また、本発明の一実施形態によれば、カルシウムアルミネートと生石灰とを、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0超0.20以下、かつカルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように混合させた混合物である脱硫剤が提供される。

発明の効果

0009

本発明に係る溶銑の脱硫方法および脱硫剤によれば、フッ素を用いずに所定の脱硫能を得ながらも脱硫処理に掛かるコストを低減することが可能となる。

図面の簡単な説明

0010

スラグ中アルミナ比率とスラグ中のS濃度の関係を示すグラフである。
本発明の第1の実施形態で用いる機械撹拌脱硫装置を示す概略図である。
本発明の第2の実施形態で用いる機械撹拌式脱硫装置を示す概略図である。

0011

以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、詳細に説明する。以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくとも1つ以上の実施形態が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。

0012

本発明に先立ち、本発明者らは、脱硫剤中のカルシウムアルミネートに含まれるアルミナ比率が脱硫能に与える影響に注目し、生石灰(CaO)とカルシウムアルミネートとを様々な混合比で混合させて作成した脱硫剤を溶銑中に投入し、生成したスラグについてスラグ中のアルミナ比率とスラグ中のS濃度(mass%)についてそれぞれ調査した。なお、アルミナ比率は、(1)式で示すスラグ中のCaOとAl2O3のmass%から算出される比率である。(1)式における、(%Al2O3)はスラグ中のAl2O3のmass%、(%CaO)はスラグ中のCaOのmass%をそれぞれ示す。

0013

0014

また、本調査では、質量濃度比でCaO/Al2O3=1/2となるように、生石灰とアルミナとを混合させた後、混合させた生石灰とアルミナとをプリメルトさせて製造したカルシウムアルミネートを使用した。さらに、上記の方法で製造したカルシウムアルミネートを粉砕し、粉砕したカルシウムアルミネートと生石灰とを、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0超0.46以下の範囲の所定の質量濃度比となるように混合させて製造した脱硫剤を使用した。なお、このような方法で製造される脱硫剤には、フッ素は含有されていない。

0015

図1に、上記の脱硫剤から生成されるスラグ中のアルミナ比率とスラグ中のS濃度とについての調査結果を示す。調査の結果、スラグ中のアルミナ比率が0%超20%以下の領域では、スラグ中のS濃度が2%以上と高くなることが明らかになった。この結果は、アルミナ比率が0%超20%以下と低い場合において、カルシウムアルミネートと生石灰とが事前に均一に混合されることで、カルシウムアルミネートの偏在が防止され、カルシウムアルミネートが生石灰粒子のまわりにムラなく存在することにより、石灰の脱硫能を改善する効果が効率良く得られたためと推察された。ここで、本調査の脱硫剤におけるアルミナ比率0%超20%以下の領域は、脱硫剤中のカルシウムアルミネートの比率0%超30%以下の領域に相当する。すなわち、本発明者らは、脱硫剤中のカルシウムアルミネートの比率が低い領域において、カルシウムアルミネートの作用であるアルミナによる脱硫剤の低融点化効果、およびカルシウムアルミネートの溶融により生成された液相による脱硫剤の溶解速度向上効果が得られ、脱硫剤の石灰の溶融が効果的に促進されることを想到した。

0016

一方、スラグ中のアルミナ比率が20%超の領域では、スラグ中のS濃度が急激に低下し、スラグ中のS濃度が2%未満となることが明らかになった。これは、アルミナが添加された脱硫剤の低融点化による液相率向上効果に比べ、アルミナがスラグ中のS分配比(溶銑中のS濃度に対するスラグ中のS濃度の比)を低下させる効果が大きいことが影響していると推察された。

0017

以上の調査結果より、本発明者らは、アルミナ比率およびカルシウムアルミネートの比率が低い脱硫剤について、定性的にはアルミナ比率が高い脱硫剤に比べ液相率が低下するものの、スラグ中のS分配比が高くなるため、アルミナを均一に分散させることで石灰の溶融を効果的に促進させることができることを明らかにした。これにより、本発明者らは、脱硫剤の質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)を0超0.20以下とすることで、カルシウムアルミネートの混合比が低く、液相率向上効果の低い脱硫剤においても、所定の脱硫能を得られることを想到し、本発明をなすに至った。なお、所定の脱硫能は、蛍石を用いた脱硫剤やカルシウムアルミネートの混合率が高い脱硫剤等と少なくとも同等の脱硫能である。

0018

<第1の実施形態>
[機械撹拌式脱硫装置の構成]
次に、図2を参照して、本発明の第1の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法について説明する。第1の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法は、機械撹拌式脱硫装置20aを用いた機械撹拌式脱硫方法である。まず、第1の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法で用いられる機械撹拌式脱硫装置20aの構成について説明する。

0019

機械撹拌式脱硫装置20aは、インペラ軸211の一端に設けられた耐火物からなるインペラ21と、脱硫剤18を貯蔵し溶銑16に添加する脱硫剤添加部24と、集塵フード22と、排気ダクト23とを備える。
インペラ21は、台車12に積載された溶銑鍋14に収容される溶銑16に浸漬・埋没し、回転することにより溶銑16を撹拌する撹拌羽根である。また、インペラ21は、インペラ軸211の他端側に設けられる不図示の昇降装置および回転装置により、鉛直方向に昇降可能に、且つインペラ軸211を回転軸として回転可能に構成される。

0020

脱硫剤添加部24は、脱硫剤18を溶銑16に上添加し、脱硫剤18を貯蔵するホッパ241と、ホッパ241から脱硫剤18を切り出しする切り出し装置242と、切り出された脱硫剤18を溶銑16に投入する投入シュート243とを有する。
脱硫剤18は、脱硫剤18中のアルミナの比率を示す質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0超0.20以下、かつ脱硫剤18中のカルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように、カルシウムアルミネートと生石灰とが均一に混合されることで製造される。ここで、上記の調査において、本願発明者らは、脱硫剤18のアルミナ比率を20%以下かつ、脱硫剤18中のカルシウムアルミネートの混合率を0mass%超30mass%以下とすることでスラグ中のS分配比を向上させることができることを明らかにした。さらに、後述の実施例で説明するように、本発明者らは、脱硫剤18のアルミナ比率を20%以下とすることにより、脱硫剤18中のカルシウムアルミネートの混合率が30mass%超75mass%以下の範囲についても、所定の脱硫能を得られることを確認した。

0021

カルシウムアルミネートは、所定の質量比で生石灰とアルミナとを混合させた後、プリメルトさせ、粉砕することで製造される。ここで、カルシウムアルミネートの生石灰とアルミナとの所定の質量比とは、脱硫剤18中のアルミナの比率およびカルシウムアルミネートの混合率が上記の条件を全て満たすように算出される質量比であり、質量比CaO/Al2O3で示される。例えば、脱硫剤18中のアルミナの比率が20%、かつカルシウムアルミネートの混合率が50%である場合、カルシウムアルミネートの質量比CaO/Al2O3は、3/2と算出される。

0022

集塵フード22は、溶銑鍋14の上部を覆うように設けられる。排気ダクト23は、集塵フード22に取り付けられる。機械撹拌式脱硫装置20aは、排気ダクト23を介して、処理中に発生する排気ダストを排気ダクト23に接続される集塵機(不図示)に吸引させる。
また、第1の実施形態の溶銑16には、どのような溶銑が用いられてもよい。すなわち、溶銑16には、高炉から出銑した状態の溶銑や、出銑した後に脱珪または脱燐の少なくとも一方の処理が予め行われた溶銑などが用いられる。

0023

[溶銑の脱硫方法]
次に、第1の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法について説明する。まず、インペラ21の位置が溶銑鍋14のほぼ中心となるように、溶銑鍋14を積載した台車12を移動する。次いで、インペラ21を下降させて溶銑16に浸漬させ、インペラ21を回転させる。さらに、ホッパ241に収容された脱硫剤18を切り出し装置242で必要量だけ切り出し、投入シュート243を介して溶銑16に上添加する。脱硫剤18の添加量は、脱硫剤18の脱硫能、溶銑16の成分・温度、目標とする処理後のS濃度、処理時間等の種々の条件から決定される。その後、所定時間の撹拌が行われたら、インペラ21の回転を停止し、インペラ21を上昇させ、脱硫処理が終了する。

0024

以上のように、第1の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法は、脱硫剤18を上添加する機械撹拌式脱硫装置20aを用いた脱硫方法において、カルシウムアルミネートと生石灰とを、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0超0.20以下、かつカルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように混合させた混合物を脱硫剤18として用いる。このため、アルミナによる脱硫剤18の低融点化およびカルシウムアルミネートの溶融により生成された液相による脱硫剤18の溶解速度向上効果を効率よく得ることが可能となる。これにより、カルシウムアルミネートの混合率が75%超と高い脱硫剤や、フッ素を含有する脱硫剤等を用いた場合と少なくとも同等となる所定の脱硫能を得ることが可能となる。したがって、カルシウムアルミネートの混合率が75%超と高い脱硫剤を用いる場合と比べ、高価なカルシウムアルミネートの使用量を削減することができ、脱硫処理に掛かるコストを低減することが可能となる。また、フッ素を含有する脱硫剤を用いる場合と比べ、処理後のスラグ中のフッ素含有量を低減することが可能となる。
なお、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0の場合、アルミナによる液相率向上効果が得られなくなるため、高い脱硫能は得られない。

0025

<第2の実施形態>
[機械撹拌式脱硫装置の構成]
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法について説明する。まず、第2の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法で用いられる機械撹拌式脱硫装置20bの構成について説明する。

0026

第2の実施形態の機械撹拌式脱硫装置20bは、第1の実施形態の機械撹拌式脱硫装置20aに対し、脱硫剤添加部25の構成が異なるが、それ以外の構成については第1の実施形態と同様である。すなわち、機械撹拌式脱硫装置20bは、第1の実施形態と同様に、インペラ21と、集塵フード22と、排気ダクト23とを備える。さらに、機械撹拌式脱硫装置20bは、脱硫剤18を貯蔵し、上吹き添加する脱硫剤添加部25を備える。脱硫剤添加部25は、脱硫剤18を貯蔵するディスペンサ251と、ディスペンサ251から脱硫剤18を切り出す切り出し装置252と、切り出された脱硫剤18と搬送用ガスGとを供給する紛体供給管253と、紛体供給管253の先端に接続され搬送用ガスGと共に脱硫剤18を溶銑16に噴射する上吹きランス254とを有する。
搬送用ガスGは、不活性ガス非酸化性ガスおよび還元性ガスのいずれか一種類以上とすることができ、例えば窒素アルゴン等であってもよい。
脱硫剤18は、第1の実施形態に係る脱硫剤18と同様である。

0027

[溶銑の脱硫方法]
次に、第2の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法について説明する。まず、インペラ21の位置が溶銑鍋14のほぼ中心となるように、溶銑鍋14を積載した台車12を移動する。次いで、インペラ21を下降させて溶銑16に浸漬させ、インペラ21を回転させる。さらに、ディスペンサ251に収容された脱硫剤18を切り出し装置252で必要量だけ切り出し、切り出した脱硫剤18を紛体供給管253および上吹きランス254を介して搬送用ガスGと共に溶銑16に噴射し、上吹き添加する。脱硫剤18の添加量は、脱硫剤18の脱硫能、溶銑16の成分・温度、目標とする処理後のS濃度、処理時間等の種々の条件から決定される。その後、所定時間の撹拌が行われたら、インペラ21の回転を停止し、インペラ21を上昇させ、脱硫処理が終了する。

0028

以上のように、第2の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法は、脱硫剤18を上吹き添加する機械撹拌式脱硫装置20bを用いた脱硫方法において、カルシウムアルミネートと生石灰とを、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0超0.20以下、かつ脱硫剤18中のカルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように均一に混合させた脱硫剤18を用いる。このため、第1の実施形態と同様に、アルミナによる脱硫剤の低融点化およびカルシウムアルミネートの溶融により生成された液相による脱硫剤の溶解速度向上効果を効率よく得ることが可能となる。

0029

さらに、第2の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法は、脱硫剤18を上吹き添加することにより、脱硫剤18を上添加する場合に対し、粒度の小さい脱硫剤18を効率良く添加することができる。このため、第2の実施形態に係る溶銑16の脱硫方法は、第1の実施形態に比べ、粒度の小さい脱硫剤18を用いることで反応界面積を向上させることができ、高い脱硫能を得ることができる。

0030

<変形例>
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。

0031

例えば、本発明に係る溶銑の脱硫方法では、脱硫処理中に脱硫剤18に加え、金属アルミアルミ灰シリコン等の酸化剤を添加してもよい。この際、酸化剤は、機械撹拌式脱硫装置20a,20bに設けられた、ホッパ241やディスペンサ251とは別の容器に貯蔵され、脱硫剤18と同様に所定量が切り出されることで添加されてもよい。
また、例えば、本発明に係る機械撹拌式脱硫装置は、2つの脱硫剤添加部24,25を備えてもよい。このとき、脱硫剤18は、合計の添加量が所定の添加量となるように、2つの脱硫剤添加部24,25からそれぞれ添加される。

0032

また、第2の実施形態では、ディスペンサ251に生石灰とカルシウムアルミネートとを混合した脱硫剤18を貯蔵し、溶銑16に添加する構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば、ディスペンサ251を少なくとも2つ設け、異なるディスペンサ251に生石灰とカルシウムアルミネートとをそれぞれ別に貯蔵し、生石灰とカルシウムアルミネートとを所定量切り出し、搬送用ガスGと共に溶銑16に上吹き添加してもよい。この際、添加する生石灰とカルシウムアルミネートとは、総添加量に対するカルシウムアルミネートに含まれるアルミナの比率が0%超20%以下、かつ総添加量に対するカルシウムアルミネートの混合率が0mass%超75mass%以下となるように切り出される。さらに、生石灰とカルシウムアルミネートとは、同時に切り出され、搬送用ガスGによって、紛体供給管253および上吹きランス254を搬送される際に均一に混合される。このように脱硫剤18を噴射の直前に混合させることにより、第2の実施形態に係る脱硫剤添加部25に比べ、脱硫剤18のアルミナをより均一に分散させることが可能となる。

0033

また、上記実施形態では、溶銑鍋14中の溶銑16を、インペラ21を用いて撹拌・混合する機械撹拌式脱硫装置20a,20bを用いたが、本発明はこれに限らない。例えば、溶銑16の撹拌にインペラ21等の機械撹拌式の脱硫装置を用いずに、上吹きランスから噴射されるガス、または溶銑16中に浸漬されるランスや溶銑鍋14の底部に設けられた羽口から噴射されるガスにより撹拌されるガス撹拌式の脱硫装置を用いてもよい。このとき、脱硫剤18は、第1の実施形態のように上添加されてもよく、撹拌ガスを噴射するランスから撹拌ガスと共に噴射されてもよい。さらに、このようなガス撹拌式の脱硫装置では、溶銑鍋14の代わりに、転炉トピード等の溶銑16を収容可能な他の容器が用いられてもよい。

0034

また、上記実施形態では、生石灰とアルミナとを混合させた後、プリメルトさせることで、カルシウムアルミネートを製造したが、本発明はこれに限らない。例えば、カルシウムアルミネートは、主要成分がCaOおよびAl2O3からなる複数種類の鉱物(3CaO・Al2O3、12CaO・7Al2O3、CaO・Al2O3、CaO・2Al2O3等)、生石灰およびアルミナから、CaO/Al2O3が上記実施形態と同様の所定の質量比となるように、複数の原材料が選択および混合され、さらにプリメルトされたものが用いられてもよい。

0035

次に、本発明者が行った実験とその結果を、実施例として説明する。
本実施例では、図1に示すように、第1および第2の実施形態に相当する2水準の実施例、および3水準の比較例について実験を行った。実験では、表1に示す各種条件で200tの溶銑16に対して脱硫処理を行い、処理前および処理後の溶銑中のS濃度について調査した。

0036

実施例1,3,4では、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0.20、かつカルシウムアルミネートの混合率が30mass%,75mass%,50mass%の脱硫剤を用い、第1の実施形態に係る脱硫方法でそれぞれ処理を行った。また、実施例2では、質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0.20、かつカルシウムアルミネートの混合率が30mass%の脱硫剤を用い、第2の実施形態に係る脱硫方法で処理を行った。さらに、比較例1では、脱硫剤として質量濃度比Al2O3/(Al2O3+CaO)が0.50、且つカルシウムアルミネートの配合率が75mass%の生石灰とカルシウムアルミネートとの混合物を用い、第1の実施形態と同様に上添加し処理を行った。さらに、比較例2では、蛍石を用いた脱硫剤として、生石灰を97mass%、蛍石を3mass%混合させた混合物を用い、第1の実施形態と同様に上添加し処理を行った。さらに、比較例3では、脱硫剤として生石灰のみを用い、第1の実施形態と同様に脱硫剤を上添加して処理を行った。なお、インペラ21の回転数や、処理時間等の他の条件は、全ての水準で同様である。

0037

実施例

0038

実験の結果、実施例1〜4では、比較例3の脱硫剤として生石灰のみを用いた場合に比べ、脱硫率が向上することが確認できた。また、実施例1〜4では、比較例1〜2と同等の脱硫率となっており、比較例1〜2と同等の脱硫能が得られることが確認できた。これにより、本実施例における脱硫方法および脱硫剤によれば、フッ素を用いずに所定の脱硫能を得ながらも脱硫処理に掛かるコストを低減することが可能となることが確認できた。

0039

12台車
14溶銑鍋
16溶銑
18脱硫剤
20a,20b機械撹拌式脱硫装置
21インペラ
211インペラ軸
24 脱硫剤添加部(上添加)
241 ホッパ
242切り出し装置
243投入シュート
25 脱硫剤添加部(上吹き添加)
251ディスペンサ
252 切り出し装置
253紛体供給管
254 上吹きランス
G 搬送用ガス

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  • 日本製鉄株式会社の「 予備用の混銑車の加熱方法および加熱装置」が 公開されました。( 2020/12/10)

    【課題】製鉄所内の混銑車の回転率を向上させて稼働中の混銑車の温度低下を抑制するとともに、予備用の混銑車を、非常時には迅速に溶銑を受け入れ可能となるような温度に保熱しておくための加熱方法および加熱装置を... 詳細

  • 宝山鋼鉄股分有限公司の「 KR脱硫攪拌パドル注型材及びその製造方法」が 公開されました。( 2020/11/26)

    【課題・解決手段】KR脱硫攪拌パドル注型材及びその製造方法は提供される。注型材はベース材と添加剤からなる;ベース材は、重量百分率で、下記の原料からなる:60〜80%のM70焼結ムライト、5〜20%のフ... 詳細

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