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技術 X線分析装置及びコンピュータプログラム

出願人 株式会社堀場製作所
発明者 大橋聡史小松原隆司越川浩行
出願日 2015年2月4日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-504021
公開日 2017年3月30日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 WO2015-125604
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 重み付加 水平面方向 真空箱 検出立体角 不感時間 スペクトル生成 同一強度 重み付き加算
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月30日)のものです。
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図面 (8)

課題・解決手段

試料の形状による影響を低減したX線強度分布を求めることができるX線分析装置及びコンピュータプログラムを提供する。 X線分析装置は、試料5上でビーム照射した各部分から発生したX線を複数のX線検出器で検出し、相対比の大きさに対して単純増加する重み係数を夫々に乗じた複数のX線強度加算した重み付き加算値を計算する。X線分析装置は、計算した重み付き加算値を試料5上の各部分でのX線強度として、試料5から発生したX線の強度分布を生成する。X線強度の重み付き加算値は、試料5の形状の影響で減衰したX線強度の寄与が小さく、減衰の無いX線強度に近い。重み付き加算値を試料5の各部分でのX線強度としたことで、試料5の形状による影響を低減したX線強度分布が得られる。

概要

背景

X線分析は、電子線又はX線等の放射線試料照射し、試料から発生するX線をX線検出器で検出し、特性X線又は蛍光X線スペクトルから試料に含有される元素定性分析又は定量分析を行う分析手法である。また放射線のビームで試料を走査しながら試料からのX線を検出することにより、特定の元素に起因する特性X線又は蛍光X線の強度分布を調べることができる。特定の元素に起因する特性X線又は蛍光X線の強度は特定の元素の量に対応するので、特定の元素に起因する特性X線又は蛍光X線の強度分布を調べることにより、試料に含有される特定の元素の濃度分布を得ることができる。電子線を用いるX線分析装置は、電子顕微鏡に組み込まれていることもある。

ところで、試料に凹凸が存在する場合は、試料の一部から発生したX線がX線検出器に検出される前に試料の他の部分に遮られることがある。このため、検出されるX線の強度は試料の形状に応じて変化する。X線分析装置が検出した特性X線又は蛍光X線の強度分布には、試料の形状による強度変化の影響が含まれており、正確な元素濃度分布を得ることができないことがある。このような場合には、試料を回転させる等の方法により、試料を観測する方向を変更する必要があった。

そこで、複数のX線検出器を用いて複数方向から試料を観測することができるX線分析装置が実用化されている。特許文献1には、2基のX線検出器を用いたX線分析装置が開示されている。また、2基のX線検出器へ入射するX線の強度比から、2基のX線検出器で検出したX線強度加算値補正するための補正係数を予め求めておき、補正係数を用いてX線強度を補正することによって、試料の形状による影響を低減させる技術も開示されている。

概要

試料の形状による影響を低減したX線強度分布を求めることができるX線分析装置及びコンピュータプログラムを提供する。 X線分析装置は、試料5上でビームを照射した各部分から発生したX線を複数のX線検出器で検出し、相対比の大きさに対して単純増加する重み係数を夫々に乗じた複数のX線強度を加算した重み付き加算値を計算する。X線分析装置は、計算した重み付き加算値を試料5上の各部分でのX線強度として、試料5から発生したX線の強度分布を生成する。X線強度の重み付き加算値は、試料5の形状の影響で減衰したX線強度の寄与が小さく、減衰の無いX線強度に近い。重み付き加算値を試料5の各部分でのX線強度としたことで、試料5の形状による影響を低減したX線強度分布が得られる。

目的

本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

試料ビーム走査する走査部と、該走査部による走査によって試料上でビームを照射された部分から発生したX線を検出する複数のX線検出器とを備えるX線分析装置において、前記走査部による走査によって試料上でビームを照射された複数の部分の夫々について、前記複数のX線検出器が検出した複数のX線強度を、各X線強度の相対比の大きさに対して単純増加する重み係数を各X線強度に乗じた上で加算した重み付き加算値を計算する計算部と、試料上でビームを照射された各部分に、各部分について前記計算部が計算した重み付き加算値を関連付けることにより、X線の修正された強度分布を生成する強度分布生成部とを備えることを特徴とするX線分析装置。

請求項2

前記計算部は、前記複数のX線強度の和で各X線強度を除した値を前記重み係数とするように構成してあることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。

請求項3

前記計算部は、前記複数のX線強度の内で最大のX線強度に対する重み係数を1とし、他のX線強度に対する重み係数を0とするように構成してあることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。

請求項4

前記計算部は、各X線検出器が検出したX線の特定のエネルギー範囲又は波長範囲積分値を、前記複数のX線検出器に亘って前記積分値を加算した値で除した値を、前記重み係数とするように構成してあることを特徴とする請求項1に記載のX線分析装置。

請求項5

前記計算部は、特定の元素に起因するX線を前記複数のX線検出器が検出した複数のX線強度に対して、前記重み付き加算値を計算するように構成してあり、前記強度分布生成部は、前記特定の元素に起因するX線の強度分布を生成するように構成してあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載のX線分析装置。

請求項6

試料へビームを照射する照射部と、試料上でビームを照射された部分から発生したX線を検出する複数のX線検出器とを備えるX線分析装置において、前記複数のX線検出器が検出した複数のX線強度を、各X線強度の相対比の大きさに対して単純増加する重み係数を各X線強度に乗じた上で加算した重み付き加算値を計算する計算部と、X線のエネルギー又は波長の夫々について前記計算部が計算した重み付き加算値をX線強度としたスペクトルを生成するスペクトル生成部とを備えることを特徴とするX線分析装置。

請求項7

ビームで走査された試料から発生したX線を複数のX線検出器で検出した結果をコンピュータ解析させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、走査によって試料上でビームを照射された複数の部分の夫々について、前記複数のX線検出器が検出した複数のX線強度を、各X線強度の相対比の大きさに対して単純増加する重み係数を各X線強度に乗じた上で加算した重み付き加算値を計算させるステップと、コンピュータに、試料上でビームを照射された各部分に、各部分について計算した重み付き加算値を関連付けることにより、X線の強度分布を生成させるステップとを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。

技術分野

0001

本発明は、試料から発生するX線強度分布分析するX線分析装置及びコンピュータプログラムに関する。

背景技術

0002

X線分析は、電子線又はX線等の放射線を試料へ照射し、試料から発生するX線をX線検出器で検出し、特性X線又は蛍光X線スペクトルから試料に含有される元素定性分析又は定量分析を行う分析手法である。また放射線のビームで試料を走査しながら試料からのX線を検出することにより、特定の元素に起因する特性X線又は蛍光X線の強度分布を調べることができる。特定の元素に起因する特性X線又は蛍光X線の強度は特定の元素の量に対応するので、特定の元素に起因する特性X線又は蛍光X線の強度分布を調べることにより、試料に含有される特定の元素の濃度分布を得ることができる。電子線を用いるX線分析装置は、電子顕微鏡に組み込まれていることもある。

0003

ところで、試料に凹凸が存在する場合は、試料の一部から発生したX線がX線検出器に検出される前に試料の他の部分に遮られることがある。このため、検出されるX線の強度は試料の形状に応じて変化する。X線分析装置が検出した特性X線又は蛍光X線の強度分布には、試料の形状による強度変化の影響が含まれており、正確な元素濃度分布を得ることができないことがある。このような場合には、試料を回転させる等の方法により、試料を観測する方向を変更する必要があった。

0004

そこで、複数のX線検出器を用いて複数方向から試料を観測することができるX線分析装置が実用化されている。特許文献1には、2基のX線検出器を用いたX線分析装置が開示されている。また、2基のX線検出器へ入射するX線の強度比から、2基のX線検出器で検出したX線強度加算値補正するための補正係数を予め求めておき、補正係数を用いてX線強度を補正することによって、試料の形状による影響を低減させる技術も開示されている。

先行技術

0005

特開2002−310957号公報

発明が解決しようとする課題

0006

複数方向から試料を観測できるX線分析装置では、一つの試料に対して複数のX線強度分布が得られる。いずれのX線強度分布にも、試料の形状による強度変化の影響が含まれている。観測の方向が異なると、試料の形状による強度変化も異なるので、X線強度分布は一致しない。このため、複数のX線強度分布はいずれも正確な元素濃度分布には対応しない。そこで、複数のX線強度分布から、元素濃度分布を導出する方法が求められる。複数のX線強度分布を単純に加算しただけでは、試料の形状による影響を除去することができないので、特許文献1に開示されたような試料の形状による影響を低減させる技術が必要である。しかしながら、2基のX線検出器を用いる方法では、二つの方向からしかX線を検出できないので、試料の形状による影響を低減させる効果が不十分になることがある。より多くのX線検出器を用いた場合は、補正係数が複雑になりすぎてしまい、分析が困難になるという問題がある。

0007

本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数のX線検出器で検出したX線強度を簡単な計算方法で補正することにより、試料の形状による影響を低減したX線強度分布を求めることができるX線分析装置及びコンピュータプログラムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係るX線分析装置は、試料をビームで走査する走査部と、該走査部による走査によって試料上でビームを照射された部分から発生したX線を検出する複数のX線検出器とを備えるX線分析装置において、前記走査部による走査によって試料上でビームを照射された複数の部分の夫々について、前記複数のX線検出器が検出した複数のX線強度を、各X線強度の相対比の大きさに対して単純増加する重み係数を各X線強度に乗じた上で加算した重み付き加算値を計算する計算部と、試料上でビームを照射された各部分に、各部分について前記計算部が計算した重み付き加算値を関連付けることにより、X線の修正された強度分布を生成する強度分布生成部とを備えることを特徴とする。

0009

本発明に係るX線分析装置は、前記計算部は、前記複数のX線強度の和で各X線強度を除した値を前記重み係数とするように構成してあることを特徴とする。

0010

本発明に係るX線分析装置は、前記計算部は、前記複数のX線強度の内で最大のX線強度に対する重み係数を1とし、他のX線強度に対する重み係数を0とするように構成してあることを特徴とする。

0011

本発明に係るX線分析装置は、前記計算部は、各X線検出器が検出したX線の特定のエネルギー範囲又は波長範囲積分値を、前記複数のX線検出器に亘って前記積分値を加算した値で除した値を、前記重み係数とするように構成してあることを特徴とする。

0012

本発明に係るX線分析装置は、前記計算部は、特定の元素に起因するX線を前記複数のX線検出器が検出した複数のX線強度に対して、前記重み付き加算値を計算するように構成してあり、前記強度分布生成部は、前記特定の元素に起因するX線の強度分布を生成するように構成してあることを特徴とする。

0013

本発明に係るX線分析装置は、試料へビームを照射する照射部と、試料上でビームを照射された部分から発生したX線を検出する複数のX線検出器とを備えるX線分析装置において、前記複数のX線検出器が検出した複数のX線強度を、各X線強度の相対比の大きさに対して単純増加する重み係数を各X線強度に乗じた上で加算した重み付き加算値を計算する計算部と、X線のエネルギー又は波長の夫々について前記計算部が計算した重み付き加算値をX線強度としたスペクトルを生成するスペクトル生成部とを備えることを特徴とする。

0014

本発明に係るコンピュータプログラムは、ビームで走査された試料から発生したX線を複数のX線検出器で検出した結果をコンピュータ解析させるコンピュータプログラムにおいて、コンピュータに、走査によって試料上でビームを照射された複数の部分の夫々について、前記複数のX線検出器が検出した複数のX線強度を、各X線強度の相対比の大きさに対して単純増加する重み係数を各X線強度に乗じた上で加算した重み付き加算値を計算させるステップと、コンピュータに、試料上でビームを照射された各部分に、各部分について計算した重み付き加算値を関連付けることにより、X線の強度分布を生成させるステップとを含むことを特徴とする。

0015

本発明においては、X線分析装置は、ビームを照射した試料から発生したX線を複数のX線検出器で検出し、X線強度の相対比の大きさに対して単純増加する重み係数を乗じた上で複数のX線強度を加算した重み付き加算値を計算する。X線分析装置は、重み付き加算値を試料上の各部分でのX線強度として、X線の強度分布を生成する。X線強度の重み付加算値は、複数のX線検出器で検出したX線強度の内、相対的に大きい強度の寄与が大きくなり、試料の形状に応じてX線が減衰することによる影響が低減される。

0016

本発明においては、X線分析装置は、複数のX線検出器で検出したX線強度の和で各X線強度を除した値を重み係数として、X線強度の重み付加算値を計算する。試料の各部分でのX線強度として、複数のX線検出器で検出したX線強度の内で相対的に大きい強度の寄与が大きく、相対的に小さい強度の寄与が小さいX線強度が生成される。

0017

本発明においては、X線分析装置は、複数のX線検出器で検出したX線強度の内で最大のX線強度に対する重み係数を1とし、他のX線強度に対する重み係数を0として、X線強度の重み付加算値を計算する。これにより、X線分析装置は、複数のX線検出器で検出したX線強度の内の最大値を、試料から発生した特性X線の強度とする。

0018

本発明においては、X線分析装置は、各X線検出器で検出したX線の積分値を複数のX線検出器に亘って加算した値で、各積分値を除することによって、重み係数を得る。積分は特定のエネルギー又は波長の範囲で行われる。積分範囲は、例えば、X線を検出することができる全エネルギー若しくは全波長の範囲、又は特定の元素に起因する特性X線のエネルギー若しくは波長が含まれる範囲である。この重み係数を用いてX線強度の重み付加算値を計算することにより、複数のX線検出器で検出したX線強度の内で相対的に大きい強度の寄与が大きく、相対的に小さい強度の寄与が小さいX線強度が得られる。

0019

本発明においては、X線分析装置は、特定の元素に対応する特性X線の強度分布を生成する。これにより、特定の元素の試料上の濃度分布が得られる。

0020

本発明においては、X線分析装置は、計算したX線強度の重み付加算値からなるスペクトルを生成する。これにより、試料の形状による影響を低減したX線スペクトルが得られる。

発明の効果

0021

本発明にあっては、X線分析装置は、試料の形状による影響を低減した特性X線の強度分布を容易に生成することができる。このため、X線分析装置は、試料に含まれる元素の正確な濃度分布を得ることが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。

図面の簡単な説明

0022

実施の形態1に係るX線分析装置の構成を示すブロック図である。
X線検出部の模式的平面図である。
制御装置の内部構成を示すブロック図である。
個々のX線検出器が検出した特性X線の強度分布の例を示す模式図である。
制御装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
S3で生成された特性X線の強度分布の例を示す模式図である。
実施の形態5に係るX線分析装置の構成を示すブロック図である。

実施例

0023

以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るX線分析装置の構成を示すブロック図である。X線分析装置は、試料5に電子線(ビーム)を照射する電子銃41と、電子レンズ系42と、試料5が載置される試料台43とを備えている。電子レンズ系42は、電子線の方向を変更させる走査コイルを含んでいる。電子銃41及び電子レンズ系42は、本発明における走査部に対応する。また、電子銃41及び電子レンズ系42は、X線分析装置全体を制御する制御装置3に接続されている。

0024

電子レンズ系42と試料台43との間には、X線検出部1が配置されている。X線検出部1は、電子線を通すための孔を設けた形状に形成されている。図1中には、X線検出部1の断面を示している。また、X線検出部1は、夫々にSDD(Silicon Drift Detector)を用いてなる複数のX線検出器を含んで構成されている。図2は、X線検出部1の模式的平面図である。X線検出部1は、孔15を形成した基板に複数のX線検出器11,12,13,14が実装され、孔15を囲んでX線検出器11,12,13,14が配置された構成となっている。X線検出部1は、孔15を電子線が通る位置に配置され、X線の入射面が電子線の軸に交差して配置されている。また、X線検出部1には、ペルチェ素子等の図示しない冷却機構付属している。試料5が試料台43に載置された状態では、試料5の電子線が照射される面の前面にX線検出部1が配置されている。制御装置3からの制御信号に従って、電子銃41が電子線を放出し、電子レンズ系42が電子線の方向を定め、電子線はX線検出部1の孔15を通って試料台43上の試料5へ照射される。試料5上で、電子線を照射された部分では、特性X線が発生する。特性X線は、X線検出部1に含まれるX線検出器11,12,13,14で検出される。即ち、試料5上の同一の部分から同時に発生した特性X線が、複数のX線検出器で夫々独立に検出される。図1には、電子線を実線矢印で示し、特性X線を破線矢印で示している。X線検出器11,12,13,14は、検出した特性X線のエネルギーに比例した信号を出力する。X線分析装置の構成の内、少なくとも電子銃41、電子レンズ系42、X線検出部1及び試料台43は、図示しない真空箱の中に納められている。真空箱は、電子線及びX線を遮蔽する材料で構成されており、X線分析装置の動作中には真空箱の内部は真空に保たれている。

0025

X線検出器11,12,13,14の夫々は、出力した信号を処理する信号処理部2に接続されている。信号処理部2は、X線検出器11,12,13,14が出力した信号を受け付け、信号を値別にカウントし、信号の値が示す特性X線のエネルギーとカウント数とを対応付けた特性X線のスペクトルを取得する処理を行う。あるエネルギーに対応付けられたカウント数は、当該エネルギーを有する特性X線の強度である。信号処理部2は、制御装置3に接続されている。電子レンズ系42が電子線の方向を順次変更することにより、電子線は試料5を走査する。電子線が試料5を走査することにより、試料5上の走査領域内の夫々の部分に電子線が順次照射される。電子線が試料5を走査することに伴い、試料5上で電子線を照射された部分から発生した特性X線がX線検出器11,12,13,14で順次検出される。信号処理部2は、順次信号処理を行うことにより、試料5上の電子線を照射された複数の部分で発生した特性X線のスペクトルを順次生成する。信号処理部2は、X線検出器11,12,13,14の夫々が検出した特性X線のスペクトルを個別に生成する。即ち、試料5上で電子線が照射された複数の部分の夫々について、特性X線の複数のスペクトルが生成される。信号処理部2は、生成した特性X線のスペクトルのデータを制御装置3へ順次出力する。

0026

図3は、制御装置3の内部構成を示すブロック図である。制御装置3は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータを用いて構成されている。制御装置3は、演算を行うCPU(Central Processing Unit )31と、演算に伴って発生する一時的なデータを記憶するRAM(Random Access Memory)32と、光ディスク等の記録媒体6から情報を読み取るドライブ部33と、ハードディスク等の不揮発性の記憶部34とを備えている。また制御装置3は、使用者の操作を受け付けるキーボード又はマウス等の操作部35と、液晶ディスプレイ等の表示部36と、インタフェース部37とを備えている。インタフェース部37には、電子銃41、電子レンズ系42、及び信号処理部2が接続されている。CPU31は、記録媒体6に記録されたコンピュータプログラム61をドライブ部33に読み取らせ、読み取ったコンピュータプログラム61を記憶部34に記憶させる。コンピュータプログラム61は必要に応じて記憶部34からRAM32へロードされ、CPU31は、ロードされたコンピュータプログラム61に従って、X線分析装置に必要な処理を実行する。なお、コンピュータプログラム61は、制御装置3の外部からダウンロードされてもよい。制御装置3は、信号処理部2から出力された特性X線のスペクトルのデータをインタフェース部37で受け付け、試料5上で電子線を照射された部分の位置と特性X線のスペクトルとを関連付けたデータを記憶部34に記憶する。また、制御装置3は、インタフェース部37に接続された電子レンズ系42の動作を制御する。

0027

電子線による試料5の走査が終了した段階で、制御装置3は、X線検出器11,12,13,14の夫々で検出した特性X線のスペクトルのデータを試料5上の各部分に関連付けて記憶部34で記憶している。記憶されたデータから、X線検出器11,12,13,14の夫々が検出した特性X線の試料5上での強度分布を求めることも可能である。しかしながら、個々のX線検出器が検出する特性X線の強度は、試料5の形状による影響を受けている。このため、個々のX線検出器が検出した特性X線の強度分布は、試料5中の元素の濃度分布には対応しない。

0028

また、特性X線の強度は、各X線検出器の検出効率によっても影響を受ける。各X線検出器の検出効率は、一般的には種々の要因により互いに異なる。検出効率が異なる要因は、例えば、X線検出器の有効面積、試料からX線検出器までの距離、及び試料からの特性X線のX線検出器への入射角度から決まる検出立体角の差がある。また、例えば、X線検出器へ入射するX線が透過するX線窓又はX線検出器のX線入射面材質及び厚みの違いによるX線検出器の検出感度の差である。また、例えば、信号処理の速度又は時定数の違いによる不感時間の差である。しかし、これらの要因は特性X線の測定前に既知であるので、各X線検出器の検出効率の違いを補正係数で補正することができる。補正係数は、理論的又は実験的に予め定められており、記憶部34に記憶されている。制御装置3は、各X線検出器の検出効率による影響を補正した特性X線のスペクトルのデータを記憶部34に記憶する。

0029

図4は、個々のX線検出器が検出した特性X線の強度分布の例を示す模式図である。試料5の形状は球形であり、試料5上の各部分からは同一強度の特性X線が発生したと仮定する。図4Aは、X線検出器11が検出した特性X線の強度分布を示す。図4A〜D上のハッチングが濃い部分は、検出した特性X線の強度が小さいことを示している。図1及び図2に示すように、X線検出器11は、試料5の斜め上の位置で試料5からの特性X線を検出する。試料5上の各部分の内でX線検出器11から見て他の部分の陰に隠れる部分からの特性X線は、強度が減衰する。図2に示す平面図上で、試料5は孔15の位置にあり、X線検出器11は試料5に対して左上の位置にあるので、球状の試料5の右下部分は、X線検出器11から見て他の部分の陰に隠れている。従って、図4Aに示すように、X線検出器11が検出した特性X線の強度分布では、右下部分の特性X線強度が他の部分に比べて小さくなっている。

0030

図4Bは、X線検出器12が検出した特性X線の強度分布を示す。図2に示す平面図上で、X線検出器12は試料5に対して左下の位置にあるので、図4Bに示すように、X線検出器12が検出した特性X線の強度分布では、右上部分の特性X線強度が他の部分に比べて小さくなっている。図4Cは、X線検出器13が検出した特性X線の強度分布を示す。図2に示す平面図上で、X線検出器13は試料5に対して右上の位置にあるので、図4Cに示すように、X線検出器13が検出した特性X線の強度分布では、左下部分の特性X線強度が他の部分に比べて小さくなっている。図4Dは、X線検出器14が検出した特性X線の強度分布を示す。図2に示す平面図上で、X線検出器14は試料5に対して右下の位置にあるので、図4Dに示すように、X線検出器14が検出した特性X線の強度分布では、左上部分の特性X線強度が他の部分に比べて小さくなっている。

0031

制御装置3は、試料5の形状による影響を除去するように、特性X線の強度分布を補正する計算を行う。試料5上の電子線を照射される各部分の位置を(x,y)で示す。複数のX線検出器の数をNとし、(x,y)の位置で発生した特性X線をi番目のX線検出器で検出した強度をIi (x,y)とする。Ii (x,y)は特性X線のカウント数であり、夫々のエネルギーについて得られる。本実施の形態に示す例では、N=4である。制御装置3は、下記の(1)式に従った計算により、複数のX線検出器で検出した特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算する。

0032

0033

(1)式中のwi (x,y)は、X線検出器別の重み係数である。重み係数wi (x,y)は、(x,y)の位置で発生した特性X線を検出した複数のX線検出器の夫々について、検出した特性X線の強度の相対比の大きさに対して単純増加するように定められる。具体的には、重み係数wi (x,y)は下記の(2)式で表される。

0034

0035

(2)式で表されるように、wi (x,y)は、(x,y)の位置で発生した特性X線を複数のX線検出器で検出した強度の和で、各X線検出器で検出した特性X線の強度を除した値である。(1)式及び(2)式を用いてI(x,y)を計算することにより、複数のX線検出器で検出した特性X線の強度の内、相対的に大きい強度のI(x,y)に対する影響をより大きく、相対的に小さい強度のI(x,y)に対する影響をより小さくする。複数の特性X線の強度の内、相対的に小さい強度は試料5の形状の影響により減衰したものであり、相対的に大きい強度は減衰の無い特性X線の強度に近い。複数のX線検出器で測定した特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)は、相対的に大きい強度の寄与が大きく、相対的に小さい強度の寄与が小さいので、試料5の形状による影響を低減した特性X線強度である。

0036

図5は、制御装置3が実行する処理の手順を示すフローチャートである。CPU31は、コンピュータプログラム61を記憶部34からRAM32へロードし、ロードしたコンピュータプログラム61に従って以下の処理を実行する。制御装置3は、電子銃41及び電子レンズ系42を制御して電子線で試料5を走査させながら、X線検出器11,12,13,14の夫々で検出した特性X線のスペクトルのデータを試料5上の各部分に関連付けて記憶部34に記憶する(S1)。CPU31は、記憶部34に記憶した特性X線のスペクトルのデータをRAM32へ読み出し、(1)式及び(2)式を用いて、X線検出器11,12,13,14で検出した特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算する(S2)。S2では、CPU31は、特性X線のスペクトルに含まれる夫々のエネルギーについて、特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算する。CPU31は、特性X線のエネルギーと計算したI(x,y)とを対応付けて、試料5の形状による影響を低減した特性X線のスペクトルを生成する。また、S2では、CPU31は、試料5上で電子線を照射された夫々の部分について、X線検出器11,12,13,14で検出した特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算し、試料5の形状による影響を低減した特性X線のスペクトルを生成する。

0037

CPU31は、次に、特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を、試料5から発生した特性X線の強度として、試料5上で発生した特性X線の強度分布を生成する(S3)。具体的には、CPU31は、試料5上で電子線を照射された夫々の部分の位置と計算した特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)とを関連付けることにより、特性X線の強度分布を生成する。S3では、CPU31は、試料5上の夫々の部分の位置と特性X線のスペクトルとを関連付けて、特性X線のスペクトル分布を生成する。また、CPU31は、試料5上の夫々の部分の位置と特性X線のスペクトルに含まれる特定のエネルギーのI(x,y)とを関連付けて、特定のエネルギーを有する特性X線の強度分布を生成することもできる。記憶部34は、特定の元素と当該元素に起因する特性X線のエネルギーとを対応付けたデータを記憶しておき、CPU31は、特定の元素に対応するエネルギーを有する特性X線の強度分布を生成してもよい。S3で得られた特性X線の強度分布は、試料5の形状による影響を低減するように修正された強度分布である。また、CPU31は、特定の元素に対応するエネルギーのI(x,y)から元素濃度を計算し、試料5上の夫々の部分の位置と特定の元素の濃度とを関連付けた元素濃度分布を生成してもよい。また、CPU31は、特定の元素に起因する特性X線のエネルギーのみについて、特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算し、特定の元素に起因する特性X線の強度分布又は特定の元素の濃度分布を生成してもよい。また、CPU31は、生成した特性X線の強度分布又は元素濃度分布の画像を表示部36に表示させることも可能である。CPU31は、特性X線の強度分布又は元素濃度分布を表すデータを記憶部34に記憶し、処理を終了する。

0038

以上詳述したごとく、本実施の形態においては、X線分析装置は、電子線を照射した試料5の各部分から発生した特性X線をX線検出器11,12,13,14で検出し、特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算する。X線分析装置は、計算した重み付き加算値I(x,y)を試料5の各部分での特性X線強度として、試料5から発生した特性X線の強度分布を生成する。特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)は、複数のX線検出器で検出した特性X線強度の内、相対的に大きい強度の寄与が大きい。試料5の同一部分から発生した特性X線を複数のX線検出器で検出した強度が異なる原因は、X線検出器の位置によって試料5の形状の影響による特性X線の減衰が異なることである。相対的に大きい強度は減衰の無い特性X線の強度に近いので、相対的に大きい強度の寄与が大きく相対的に小さい強度の寄与が小さい特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)は、試料5の形状による影響を低減した特性X線強度である。X線分析装置は、重み付き加算値I(x,y)を特性X線強度として、試料5から発生した特性X線の強度分布を生成することにより、試料5の形状による影響を低減した特性X線の強度分布を生成することができる。

0039

図6は、S3で生成された特性X線の強度分布の例を示す模式図である。図6には、図4A〜Dに示した特性X線の検出結果から試料5の形状による影響を低減して生成した特性X線の強度分布を示している。試料5の形状に起因して特性X線の強度が低下している部分が無くなり、試料5上の各部分からは均一な強度で特性X線が発生したことが示されている。

0040

本実施の形態に係る特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)の計算方法は、簡単な計算方法であり、X線検出器の数が多くなったとしても複雑になることが無い。従って、X線分析装置は、X線検出器の数が多い場合でも、試料の形状による影響を低減したX線強度分布を容易に求めることができる。そして、X線分析装置は、多数のX線検出器を用いることで、試料の形状による影響を十分に低減したX線強度分布を得ることが可能となる。

0041

X線分析装置が生成した特性X線の強度分布では、試料5上の位置の違いによる特性X線強度の違いに対して、試料5の形状による影響は小さい。このため、この強度分布は、特性X線の原因となる元素の試料5上での濃度分布を反映している。従って、X線分析装置は、試料5に含まれる元素の正確な濃度分布を得ることが可能となる。

0042

なお、X線分析装置は、特性X線の強度分布又は元素濃度分布の画像を表示部36に表示する形態に限るものではなく、外部の表示装置に画像を表示させる形態であってもよい。また、信号処理部2は、本実施の形態で説明した制御装置3の処理の一部を実行する形態であってもよく、制御装置3は、本実施の形態で説明した信号処理部2の処理の一部を実行する形態であってもよい。また、X線分析装置は、信号処理部2と制御装置3とが一体になった形態であってもよい。また、X線分析装置は、SEM走査型電子顕微鏡)又はTEM透過型電子顕微鏡)に組み込まれた形態であってもよい。この形態では、X線分析装置には、SEM又はTEM用に、反射電子二次電子又は透過電子等の電子を検出する検出器と、検出器からの信号を処理する信号処理部とが備えられる。

0043

(実施の形態2)
実施の形態2に係るX線分析装置の構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態2においては、X線分析装置は、特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を実施の形態1とは異なる方法で計算する。

0044

X線分析装置は、実施の形態1と同様に、試料5へ電子線を照射し、試料5の各部分から発生した特性X線をX線検出器11,12,13,14で検出し、特性X線のスペクトルを信号処理部2で生成する。制御装置3は、実施の形態1と同様に、S1〜S3の処理を実行する。この処理の内、S2では、CPU31は、重み係数wi (x,y)を計算するために(2)式を使用せずに他の方法で計算を行う。CPU31は、試料5上の(x,y)の位置で発生した特性X線を複数のX線検出器で検出した強度Ii (x,y)の内、最大の強度に対する重み係数を1とし、他のX線強度に対する重み係数を0とする。即ち、N個のIi (x,y)の内の最大値をIj (x,y)とすると、wj (x,y)=1、i≠jのwi (x,y)=0となる。特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)は、(1)式より、I(x,y)=Ij (x,y)となる。CPU31は、S2で、このようにして特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算する。

0045

以上のように、本実施の形態においては、X線分析装置は、X線検出器11,12,13,14で検出した特性X線の強度の内の最大値を、試料5から発生した特性X線の強度とし、試料5上で発生した特性X線の強度分布を生成する。複数のX線検出器で検出した特性X線強度の内の最大値は、試料5の形状の影響による特性X線の減衰が最少になっている。この最大値を特性X線の強度とすることにより、X線分析装置は、試料5の形状による影響を可及的に低減した特性X線強度を得ることができる。X線分析装置は、得られた特性X線の強度分布を生成することにより、試料5の形状による影響を可及的に低減した特性X線の強度分布を生成することができる。また、X線分析装置は、実施の形態1と同様に、試料5に含まれる元素の正確な濃度分布を得ることが可能となる。

0046

本実施の形態では、複数のX線検出器で検出した特性X線強度の加算を実際には行わない。加算による特性X線強度の平滑化が行われないので、実施の形態1に比べて、特性X線の強度分布及び元素の濃度分布のSN比が悪化する。しかしながら、実施の形態1に必要な特性X線強度の加算、除算及び乗算が不必要であるので、本実施の形態では制御装置3の計算負荷が低下する。従って、本実施の形態では、より小さい計算リソースでX線分析装置を実現することができる。

0047

なお、本実施の形態においては、複数のX線検出器で検出した特性X線の強度の内で最大値のみを使用する形態を示したが、X線分析装置は、相対的に値が大きい複数の特性X線強度を使用する形態であってもよい。例えば、X線分析装置は、複数のX線検出器で検出した特性X線の強度の内、相対的に値が大きい所定数の特性X線強度に対する重み係数を正の値とし、その他の特性X線強度に対する重み係数を0として、特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算する形態であってもよい。

0048

(実施の形態3)
実施の形態3に係るX線分析装置の構成は、実施の形態1と同様である。X線分析装置は、実施の形態1と同様に、試料5へ電子線を照射し、試料5の各部分から発生した特性X線をX線検出器11,12,13,14で検出し、特性X線のスペクトルを信号処理部2で生成する。制御装置3は、実施の形態1と同様に、S1〜S3の処理を実行する。この処理の内、S2では、CPU31は、重み係数wi (x,y)を計算するために(2)式を使用せずに、下記の(3)式で表される重み係数wi (x,y)を使用する。

0049

0050

(3)式中のSi (x,y)は、下記の(4)式で表される。

0051

0052

(4)式中のEは特性X線のエネルギーであり、Emin はX線検出器11,12,13,14で検出することが可能な特性X線のエネルギーの下限値、Emax は上限値である。Si (x,y)は、特性X線の全エネルギーに亘るカウント数の総和である。CPU31は、S2で、(3)式及び(4)式を用いて重み係数wi (x,y)を計算し、(1)式を用いて特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算する。CPU31は、S3では、実施の形態1と同様の処理を行い、特性X線の強度分布を生成する。また、X線分析装置は、実施の形態1と同様に、試料5に含まれる元素の正確な濃度分布を得ることが可能である。本実施の形態においても、X線分析装置は、試料5の形状による影響を可及的に低減した特性X線の強度分布を生成することができ、また、試料5に含まれる元素の正確な濃度分布を得ることが可能となる。

0053

以上のように、本実施の形態では、特性X線の全エネルギーに亘るカウント数の総和から重み係数wi (x,y)を計算する。これにより、いずれのエネルギーにおいても重み係数wi (x,y)が同一となる。特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算する際には、特性X線のスペクトルに含まれる夫々のエネルギーについて重み係数wi (x,y)を逐一計算する必要が無くなり、必要な計算量が低減される。また、夫々のエネルギーについて重み係数を計算する場合に比べて、特性X線強度の重み付き加算値I(x,y)の変動が小さくなり、特性X線の強度分布及び元素の濃度分布のSN比が改善される。

0054

(実施の形態4)
実施の形態4に係るX線分析装置の構成は、実施の形態1と同様である。実施の形態1〜3では、あるエネルギーを有するX線のカウント数をX線の強度としたが、実施の形態4においては、X線分析装置は、特定のエネルギー範囲でX線のカウント数を積分した値をX線の強度とする。

0055

X線分析装置は、実施の形態1と同様に、試料5へ電子線を照射し、試料5の各部分から発生した特性X線をX線検出器11,12,13,14で検出し、特性X線のスペクトルを信号処理部2で生成する。(x,y)の位置で発生した特性X線をi番目のX線検出器で検出した強度をRi (x,y)とする。Ri (x,y)は、特定のエネルギー範囲で特性X線のカウント数を積分した値である。Ri (x,y)は下記の(5)式で表される。

0056

0057

(5)式の積分範囲は、特定の元素に起因する特性X線のエネルギーが含まれた特定のエネルギー範囲である。E1 は特定のエネルギー範囲に含まれるエネルギーの下限値であり、E2 は上限値である。特定の元素に対応するエネルギー範囲は、所謂ROI(region of interest)である。特性X線のスペクトル中では、特定の元素に対応するピークはROIの範囲内に含まれる。特定の元素に対応するROIは複数設定することも可能であり、(5)式の積分範囲は複数のROIを含んでいてもよい。

0058

制御装置3は、実施の形態1と同様に、S1〜S3の処理を実行する。この処理の内、S2では、制御装置3は、下記の(6)式に従った計算により、複数のX線検出器で検出した特性X線強度の重み付き加算値R(x,y)を計算する。

0059

0060

本実施の形態におけるX線検出器別の重み係数wi (x,y)は、下記の(7)式で表される。

0061

0062

CPU31は、(5)式及び(7)式を用いて重み係数wi (x,y)を計算し、(6)式を用いて特性X線強度の重み付き加算値R(x,y)を計算する。元素濃度分布を生成すべき特定の元素が複数存在する場合は、CPU31は、夫々の元素のROIについて、重み係数wi (x,y)を計算し、特性X線強度の重み付き加算値R(x,y)を計算する。CPU31は、S3では、実施の形態1と同様の処理を行い、特性X線の強度分布を生成する。また、X線分析装置は、実施の形態1と同様に、試料5に含まれる元素の正確な濃度分布を得ることが可能である。本実施の形態においても、X線分析装置は、試料5の形状による影響を可及的に低減した特性X線の強度分布を生成することができ、また、試料5に含まれる元素の正確な濃度分布を得ることが可能となる。

0063

以上のように、本実施の形態では、特定の元素に対応するROIの範囲内で特性X線のカウント数を積分した値を、特定の元素に起因する特性X線の強度とし、重み付き加算値R(x,y)を計算する。夫々のエネルギーについてのカウント数に比べて、ROIの範囲内でカウント数を積分した値は、値が大きくなるので、特性X線強度の重み付き加算値R(x,y)の変動が小さくなり、特性X線の強度分布及び元素の濃度分布のSN比が改善される。また、各元素に対応するROIについて重み係数及び特性X線強度の重み付き加算値を計算すればよく、夫々のエネルギーについて逐一計算する必要が無いので、必要な計算量が低減される。

0064

なお、CPU31は、S2で、(7)式ではなく(3)式を用いて重み係数wi (x,y)を計算してもよい。この場合は、重み係数wi (x,y)が同一となり、必要な計算量が低減される。また、CPU31は、S2で、(7)式の計算に用いるためのRi (x,y)を計算する際の積分範囲を、複数の元素に対応する複数のROIを含んだ範囲として、重み係数wi (x,y)を計算してもよい。この場合は、重み係数wi (x,y)が同一となるとともに、(3)式を用いて重み係数を計算した場合と比べて、元素濃度分布を生成すべき複数の元素以外の元素からの影響を低減することができる。

0065

(実施の形態5)
図7は、実施の形態5に係るX線分析装置の構成を示すブロック図である。X線分析装置は、電子銃41及び電子レンズ系42は備えておらず、X線源44と試料台43を水平方向へ移動させる駆動部45とを備えている。X線源44はX線管を用いて構成されている。X線源44は、試料台43上の試料5へX線ビームを照射する。X線検出部1は、X線源44と試料台43との間に配置されている。X線検出部1の構成は実施の形態1と同様である。X線検出部1に含まれるX線検出器11,12,13,14は、X線ビームの照射によって試料5から発生した蛍光X線を検出する。信号処理部2は、X線検出器11,12,13,14が出力した信号に基づいて、蛍光X線のスペクトルを取得する。制御装置3は、駆動部45の動作を制御して、試料台43を水平面方向へ移動させ、移動した試料台43上の試料5へX線ビームを照射させることによって、X線ビームで試料5を走査する処理を実行する。X線源44及び駆動部45は、本発明における走査部に対応する。信号処理部2は、X線ブームが照射された試料5上の夫々の部分について、蛍光X線の複数のスペクトルを生成する。

0066

なお、X線分析装置は、X線ビームを試料5へ導くための図示しないX線光学系を備えた形態であってもよい。また、X線分析装置は、加速器を用いたX線源等、X線管を用いたX線源44以外のX線源を備えた形態であってもよい。

0067

制御装置3は、実施の形態1と同様に、S1〜S3と同様の処理を実行する。即ち、制御装置3は、X線検出器11,12,13,14の夫々で検出した蛍光X線のスペクトルのデータを試料5上の各部分に関連付けて記憶部34で記憶する。CPU31は、X線検出器11,12,13,14で検出した蛍光X線強度の重み付き加算値を計算する。このとき、CPU31は、実施の形態1〜3と同様の計算方法で蛍光X線強度の重み付き加算値I(x,y)を計算するか、又は実施の形態4と同様の計算方法で蛍光X線強度の重み付き加算値R(x,y)を計算する。CPU31は、次に、蛍光X線強度の重み付き加算値を、試料5から発生した蛍光X線の強度として、試料5上で発生した蛍光X線の強度分布を生成する。具体的には、CPU31は、試料5上でX線ビームを照射された夫々の部分の位置と計算した蛍光X線強度の重み付き加算値とを関連付けることにより、蛍光X線の強度分布を生成する。このとき、CPU31は、蛍光X線のスペクトル分布を生成することができる。また、CPU31は、特定のエネルギーを有する蛍光X線の強度分布を生成することもできる。記憶部34は、特定の元素と当該元素に起因する蛍光X線のエネルギーとを対応付けたデータを記憶しておき、CPU31は、特定の元素に対応するエネルギーを有する蛍光X線強度を生成してもよい。また、CPU31は、特定の元素に対応するエネルギーを有する蛍光X線強度から元素濃度を計算し、試料5に含まれる特定の元素の濃度分布を生成してもよい。また、CPU31は、生成した蛍光X線の強度分布又は元素濃度分布の画像を表示部36に表示させることも可能である。CPU31は、蛍光X線の強度分布又は元素濃度分布を表すデータを記憶部34に記憶する。

0068

本実施の形態においては、X線分析装置は、実施の形態1〜4と同様に、試料5の形状による影響を低減した蛍光X線強度を得ることができる。同様に、X線分析装置は、得られた蛍光X線の強度分布を生成することにより、試料5の形状による影響を低減した蛍光X線の強度分布を生成することができる。また、同様に、X線分析装置は、試料5に含まれる元素の正確な濃度分布を得ることが可能となる。

0069

なお、以上の実施の形態1〜5においては、複数のX線検出器で検出したX線のスペクトルを生成した上でX線強度分布を生成する形態を示したが、X線分析装置は、X線のスペクトルを生成することなくX線強度分布を生成する形態であってもよい。例えば、X線分析装置は、特定のエネルギーを有するX線のみの強度分布を生成する形態であってもよい。また、実施の形態1〜5においては、試料5の走査が終了した後でX線強度の重み付き加算値を計算する形態を示したが、X線分析装置は、走査と並行して、試料5上の各点から発生したX線の強度の重み付き加算値を計算する形態であってもよい。また、本発明におけるビームとして、実施の形態1〜4においては電子線を用いた形態を示し、実施の形態5においてはX線ビームを用いた形態を示したが、本発明におけるビームはその他のエネルギー線であってもよい。例えば、X線分析装置は、荷電粒子のビームを試料5へ照射する形態であってもよい。

0070

また、X線分析装置は、実施の形態1〜5で示した方法以外の方法で重み係数を定めることも可能である。重み係数は、複数のX線検出器の夫々について、検出した特性X線の強度の相対比の大きさに対して単純増加するように定められる。単純増加であるので、一のX線検出器で検出した特性X線の強度が他のX線検出器で検出した特性X線の強度よりも大きい場合、一のX線検出器についての重み係数は、他のX線検出器での重み係数以上であればよい。例えば、強度の相対比の増加に対して、重み係数はステップ状に増加してもよい。二つのX線検出器で検出した特性X線の強度が同一である場合、強度の相対比がより小さい他のX線検出器と比較して、一方のX線検出器については重み係数が同一であり、他方のX線検出器については重み係数がより大きくなってもよい。

0071

また、実施の形態1〜5においては、X線検出器11,12,13,14はSDDを用いた半導体検出器であるとしたが、X線検出器11,12,13,14は、SDD以外の半導体検出器であってもよく、半導体検出器以外の検出器であってもよい。また、実施の形態1〜5においては、X線をエネルギー別に分離して検出するエネルギー分散型の形態を示したが、X線分析装置は、X線を波長別に分離して検出する波長分散型の形態であってもよい。この形態では、X線分析装置は、X線の波長とカウント数とが対応づけられたスペクトルを生成し、また、特定の元素に対応する波長のX線の強度分布を生成する。

0072

1X線検出部
11、12、13、14X線検出器
2信号処理部
3制御装置
31 CPU
32 RAM
34 記憶部
41電子銃
42電子レンズ系
43試料台
44X線源
45 駆動部
5試料
6記録媒体
61 コンピュータプログラム

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