図面 (/)
課題・解決手段
請求項1
作業機械の保守運用を支援する保守運用支援装置であって、前記作業機械の稼働時間情報を含む運行実績データと前記作業機械に取り付けられたセンサにより計測されるセンサデータと、を受信する通信部と、前記作業機械の累積稼働時間に対する標準稼働率に関する情報を含む定格稼働率情報と、前記センサデータが示す値に対する閾値に関する情報を含むセンサ閾値情報と、を格納する格納部と、前記運行実績データと前記定格稼働率情報とに基づいて前記作業機械の稼働率と前記標準稼働率と比に関する情報である定格稼働率達成度を算出し、前記センサデータと前記センサ閾値情報とに基づいて特徴量を算出し、前記特徴量に基づいて、前記作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって前記作業機械の動作に関連する要因である動作要因と前記作業機械の動作環境に関連する要因である環境要因とを算出し、前記定格稼働率達成度と前記動作要因と前記環境要因とに基づいて、前記作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって前記作業機械に対する保守作業に関連する要因である保守要因を算出する処理部と、を有することを特徴とする保守運用支援装置。
請求項2
請求項1に記載の保守運用支援装置であって、前記処理部は、前記動作要因と前記環境要因とを前記特徴量に基づく主成分分析により算出すること、を特徴とする保守運用支援装置。
請求項3
請求項1に記載の保守運用支援装置であって、前記処理部は、前記定格稼働率達成度と前記動作要因と前記環境要因とに基づく因子分析により、前記作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって前記動作要因と前記環境要因以外の要因を算出し、前記動作要因と前記環境要因以外の要因を前記保守要因と推定する、ことを特徴とする保守運用支援装置。
請求項4
請求項1に記載の保守運用支援装置であって、前記処理部は、前記作業機械の稼働率を前記運行実績データに含まれる前記稼働時間情報に基づいて算出する、ことを特徴とする保守運用支援装置。
請求項5
請求項1に記載の保守運用支援装置であって、前記通信部は、前記センサデータとして、前記作業機械の積載量データ、TKPH(Ton・KmPerHour)データ、又は振動レベルデータを受信する、ことを特徴とする保守運用支援装置。
請求項6
請求項5に記載の保守運用支援装置であって、前記処理部は、前記特徴量として、前記積載量データに関する特徴量、前記TKPHに関する特徴量、又は前記振動レベルに関する特徴量を算出する、ことを特徴とする保守運用支援装置。
請求項7
作業機械に取り付けられたセンサとネットワークを介して通信し、前記作業機械の保守運用を支援する保守運用支援システムにおける保守運用支援方法であって、前記作業機械の稼働時間情報を含む運行実績データと前記センサにより計測されるセンサデータと、を受信し、前記運行実績データと前記作業機械の累積稼働時間に対する標準稼働率に関する情報を含む格稼働率情報とに基づいて、前記作業機械の稼働率と前記標準稼働率と比に関する情報である定格稼働率達成度を算出し、前記センサデータと前記センサデータが示す値に対する閾値に関する情報を含むセンサ閾値情報とに基づいて特徴量を算出し、前記特徴量に基づいて、前記作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって前記作業機械の動作に関連する要因である動作要因と前記作業機械の動作環境に関連する要因である環境要因とを算出し、前記定格稼働率達成度と前記動作要因と前記環境要因とに基づいて、前記作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって前記作業機械に対する保守作業に関連する要因である保守要因を算出する、ことを特徴とする保守運用支援方法。
請求項8
請求項7に記載の保守運用支援方法であって、前記動作要因と前記環境要因とを前記特徴量に基づく主成分分析により算出すること、を特徴とする保守運用支援方法。
請求項9
請求項7に記載の保守運用支援方法であって、前記定格稼働率達成度と前記動作要因と前記環境要因とに基づく因子分析により、前記作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって前記動作要因と前記環境要因以外の要因を算出し、前記動作要因と前記環境要因以外の要因を前記保守要因と推定する、ことを特徴とする保守運用支援方法。
請求項10
請求項7に記載の保守運用支援方法であって、前記作業機械の稼働率を前記運行実績データに含まれる前記稼働時間情報に基づいて算出する、ことを特徴とする保守運用支援方法。
請求項11
請求項7に記載の保守運用支援方法であって、前記センサデータとして、前記作業機械の積載量データ、TKPH(Ton・KmPerHour)データ、又は振動レベルデータを受信する、ことを特徴とする保守運用支援方法。
請求項12
請求項11に記載の保守運用支援方法であって、前記特徴量として、前記積載量データに関する特徴量、前記TKPHに関する特徴量、又は前記振動レベルに関する特徴量を算出する、ことを特徴とする保守運用支援方法。
請求項13
作業機械に取り付けられたセンサと前記作業機械の運行管理システムと前記作業機械の保守運用を支援する保守運用支援装置と端末装置と、を含む保守運用支援システムであって、前記運行管理システムは、前記作業機械の稼働時間情報を含む運行実績データを管理し、前記運行実績データを、ネットワークを介して前記保守運用支援装置に送信し、前記センサは、計測したセンサデータを、前記ネットワークを介して前記保守運用支援装置に送信し、前記保守運用支援装置は、前記作業機械の累積稼働時間に対する標準稼働率に関する情報を含む定格稼働率情報と、前記センサデータが示す値に対する閾値に関する情報を含むセンサ閾値情報とを備え、前記運行実績データと前記センサデータとを受信し、前記運行実績データと前記定格稼働率情報とに基づいて前記作業機械の稼働率と前記標準稼働率と比に関する情報である定格稼働率達成度を算出し、前記センサデータと前記センサ閾値情報とに基づいて特徴量を算出し、前記特徴量に基づいて、前記作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって前記作業機械の動作に関連する要因である動作要因と前記作業機械の動作環境に関連する要因である環境要因とを算出し、前記定格稼働率達成度と前記動作要因と前記環境要因とに基づいて、前記作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって前記作業機械に対する保守作業に関連する要因である保守要因を算出し、前記保守要因に関する情報を、前記ネットワークを介して前記端末装置に送信し、前記端末装置は、受信した前記保守要因に関する情報を表示部に表示する、ことを特徴とする保守運用支援システム。
請求項14
請求項13に記載の保守運用支援システムであって、前記保守運用支援装置は、前記動作要因と前記環境要因とを前記特徴量に基づく主成分分析により算出すること、を特徴とする保守運用支援システム。
請求項15
請求項13に記載の保守運用支援システムであって、前記保守運用支援装置は、前記定格稼働率達成度と前記動作要因と前記環境要因とに基づく因子分析により、前記作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって前記動作要因と前記環境要因以外の要因を算出し、前記動作要因と前記環境要因以外の要因を前記保守要因と推定する、ことを特徴とする保守運用支援システム。
技術分野
背景技術
0002
背景技術として特開2002−181668号公報(特許文献1)がある。この文献に記載されている技術では、鉱山で運用される鉱山機械について、鉱山機械が走行する路面の粗さ、走行速度、積載量から、機械の寿命を推定している。
先行技術
0003
特開2002−181668号公報
発明が解決しようとする課題
0004
従来技術では、センサデータを分析することで寿命や周辺環境の優劣を推定している。特許文献1で述べられていない稼働率へ影響を及ぼす要因として、機械に対する保守作業の実施状況などの保守要因が挙げられる。保守要因を定量評価する方法として、保守作業者が入力する保守作業ログの解析が挙げられる。しかしながら、現場の保守作業者によって入力される保守作業ログは不正確で入力漏れが発生する恐れがある。そのため、保守作業ログを解析し、保守要因を推定するためには、不正確さや入力漏れを補完する技術が必要となる。
0005
また、保守要因を推定する別の方法として、センサによる保守作業関連情報の取得が考えられる。しかしながら、保守作業が行われる際には、一般的には機械は稼働を停止しており、通常のセンサが使用できない。また、機器の着脱を検知する既存技術はあるものの、機器の洗浄や溶接など、センサでは取得が困難な作業に関する情報も多い。本発明は、従来、センサでは情報の取得が困難であった保守作業の状況を、保守作業ログに頼らずに、推定、可視化し、稼働率へ影響を及ぼす要因を網羅的に評価することを目的とする。
課題を解決するための手段
0006
上記目的を達成するために、本発明の一つの観点から、作業機械の保守運用を支援する保守運用支援装置が提供される。当該保守運用支援装置、作業機械の稼働時間情報を含む運行実績データと作業機械に取り付けられたセンサにより計測されるセンサデータと、を受信する通信部と、作業機械の累積稼働時間に対する標準稼働率に関する情報を含む定格稼働率情報と、センサデータが示す値に対する閾値に関する情報を含むセンサ閾値情報と、を格納する格納部とを有する。また、処理部は、運行実績データと定格稼働率情報とに基づいて作業機械の稼働率と標準稼働率と比に関する情報である定格稼働率達成度を算出し、センサデータとセンサ閾値情報とに基づいて特徴量を算出し、特徴量に基づいて、作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって作業機械の動作に関連する要因である動作要因と作業機械の動作環境に関連する要因である環境要因とを算出し、定格稼働率達成度と動作要因と環境要因とに基づいて、作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって作業機械に対する保守作業に関連する要因である保守要因を算出する。
0007
本発明の別の観点から、作業機械に取り付けられたセンサとネットワークを介して通信し、作業機械の保守運用を支援する保守運用支援システムにおける保守運用支援方法を提供する。当該保守運用支援方法は、作業機械の稼働時間情報を含む運行実績データと前記センサにより計測されるセンサデータとを受信し、運行実績データと作業機械の累積稼働時間に対する標準稼働率に関する情報を含む格稼働率情報とに基づいて、作業機械の稼働率と標準稼働率と比に関する情報である定格稼働率達成度を算出し、センサデータとセンサデータが示す値に対する閾値に関する情報を含むセンサ閾値情報とに基づいて特徴量を算出し、特徴量に基づいて、作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって作業機械の動作に関連する要因である動作要因と作業機械の動作環境に関連する要因である環境要因とを算出し、定格稼働率達成度と動作要因と環境要因とに基づいて、作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって作業機械に対する保守作業に関連する要因である保守要因を算出する。
0008
本発明の更に別の観点から、作業機械に取り付けられたセンサと作業機械の運行管理システムと作業機械の保守運用を支援する保守運用支援装置と端末装置と、を含む保守運用支援システムを提供する。当該保守運用支援システムでは、運行管理システムは、作業機械の稼働時間情報を含む運行実績データを管理し、運行実績データを、ネットワークを介して保守運用支援装置に送信する。センサは、計測したセンサデータを、ネットワークを介して保守運用支援装置に送信する。保守運用支援装置は、作業機械の累積稼働時間に対する標準稼働率に関する情報を含む定格稼働率情報と、センサデータが示す値に対する閾値に関する情報を含むセンサ閾値情報とを備え、運行実績データとセンサデータとを受信し、運行実績データと定格稼働率情報とに基づいて作業機械の稼働率と標準稼働率と比に関する情報である定格稼働率達成度を算出し、センサデータとセンサ閾値情報とに基づいて特徴量を算出し、特徴量に基づいて、作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって作業機械の動作に関連する要因である動作要因と作業機械の動作環境に関連する要因である環境要因とを算出し、定格稼働率達成度と動作要因と環境要因とに基づいて、作業機械の稼働率に影響を及ぼす要因であって作業機械に対する保守作業に関連する要因である保守要因を算出し、保守要因に関する情報を、ネットワークを介して端末装置に送信する。端末装置は、受信した保守要因に関する情報を表示部に表示する。
発明の効果
0009
本発明に依れば、既存のセンサデータに基づいて保守要因を分析、可視化することが可能となる。依って、本発明のユーザは、可視化した保守要因を元に稼働率向上の施策を検討することが可能となる。
図面の簡単な説明
0010
本実施形態における保守運用支援システムを含むネットワーク構成図である。
本実施形態における保守運用支援システムの機能ブロック図である。
本実施形態における運用実績データベース例を示す図である。
本実施形態における機械マスタデータベースにおける定格稼働率テーブルを示す図である。
本実施形態における機械マスタデータベースにおける機械スペックテーブル例示す図である。
本実施形態におけるセンサデータデータベース例を示す図である。
本実施形態におけるセンサデータ(積載量)の最大、平均、定格以上運転時間の関係を示す図である。
本実施形態における定格稼働率達成度データベース例を示す図である。
本実施形態における特徴量データベースにおける積載量テーブル例を示す図である。
本実施形態における特徴量データベースにおけるTKPHテーブル例を示す図である。
本実施形態における特徴量データベースにおける振動レベルテーブル例を示す図である。
本実施形態における動作・環境要因データベース例を示す図である。
本実施形態における保守要因データベース例を示す図である。
本実施例における全体の処理フロー図である。
本実施形態における保守運用支援方法の手順例を示すフロー図である。
本実施形態における出力例1を示す図である。
本実施形態における出力例2を示す図である。
本実施形態における稼働率と動作要因と環境要因と保守要因の関係を示す図である。
実施例
0011
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。本実施形態では、稼働率に影響を与える要因を動作要因と、環境要因と、保守要因、の三つによって表す。動作要因は作業機械のシリンダ油圧やエンジン回転数、モータ印可電圧などの作業機械の動作に関連する要因、環境要因は路面状況や周辺温度などの周辺環境に起因する要因、保守要因は保守作業の精度や定期保守実施の有無などの保守員の作業に起因する人的な要因、として定義する。本実施形態では、作業機械に取り付けられたセンサから動作要因および環境要因を数値化し、数値化した動作要因および環境要因から保守要員を推定する。図18は、本実施形態においてモデル化した動作要因と、環境要因と、保守要因と、定格稼働率達成度の関係を示す一例である。四角で囲まれたパラメータはセンサあるいは運行管理システムによって観測可能な値を表している。一方、楕円で囲まれたパラメータは、センサでは観測不可能な値を表している。動作要因と、環境要因、はセンサデータを元に主成分分析を実行することで推定される要因である。保守要因は、動作要因と、環境要因と、稼働率を元に因子分析を実行することで推定される要因である。本実施形態では、センサで観測可能なあらゆる値を用いることを許容しており、図18に示す保守要因はセンサで観測できない要因を意味する。本発明は、直接観測することが困難な保守要因を、センサデータおよび稼働率を元にした主成分分析、因子分析によって推定、可視化する。
0012
図1は本実施形態における図18のモデルを用いて、動作要因と、環境要因と、保守要因、を推定、可視化する保守運用支援システム100を含むネットワーク構成例を示す図である。図1に示す保守運用支援システム100は、保守の状況を可視化し、稼働率へ影響を及ぼす要因を網羅的に評価するためのコンピュータシステムである。
0013
本実施形態では、作業機械の例として、大型鉱山機械であるダンプトラックをとりあげて説明を行うものとする。ダンプトラックの稼働率は、動作に関する動作要因、周辺環境に関する環境要因、保守状況に関する保守要因から影響を受ける。本実施形態の保守運用支援システム100は、これら動作要因、環境要因、保守要因を可視化するものである。
0014
保守運用支援システム100はネットワーク160に接続され、鉱山機械140、運行管理システム150、クライアント端末170とデータ通信可能となっている。鉱山機械140に取付けられた各種センサで計測されたデータは、ネットワーク160を通じて、保守運用システム100に送信される。また、運行管理システム150によって収集された鉱山機械140の運行状況はネットワーク160を介して、保守運用システム100に送信される。クライアント端末170は、保守運用支援システム100にアクセスし、キーボードやマウス等における、ユーザからのデータ入力の受付処理や、保守計画立案支援システム100から得たデータのディスプレイ等における表示処理、の各処理を担っている。
0015
また、保守運用支援システム100のハードウェア構成は以下の如くとなる。保守運用支援システム100は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶装置で構成される記憶装置120、RAMなど揮発性記憶装置で構成されるメモリ113、記憶装置120に保持されるプログラムをメモリ113に読み出すなどして実行しシステム自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPU114(演算装置)、ネットワーク160と接続し他装置との通信処理を担う通信装置112を備える。
0016
記憶装置120に実装される機能としては、定格稼働率達成度算出機能124、特徴量算出機能126、動作・環境要因推定機能128、保守要因推定機能130、がある。図1で示す保守運用支援システム100の例では、こうした各機能群と、各機能が利用するデータを記憶するデータベース群を例示している。
0017
なお、本実施形態では、クライアント端末170によってデータ入出力を行うことを想定しているが、保守運用支援システム100が入出力機能及びデバイス(ディスプレイやキーボード等)を有しているとしてもよい。
0018
続いて、本実施形態の保守運用支援システム100が備える機能について図2を用いて説明する。保守運用支援システム100は、運行管理システム150より、運行実績データを受信し、当該受信した情報を、機械マスタデータベース122と照合して、定格稼働率達成度を算出する定格稼働率達成度算出機能124を有する。作業機械は一般に累積稼働時間が増えるにつれ、稼働率が下がる。定格稼働率達成度は、累積稼働時間毎の定格稼働率を用いて、累積稼働時間の影響を補正した値である。また、保守運用システム100は、鉱山機械140より、センサデータを受信し、当該受信した情報を、機械マスタデータベース122と照合して、特徴量を算出する特徴量算出機能126を有する。ここで、特徴量とは、センサデータの最大値や平均値、定格を超えて運転された時間、などで、稼働率へ特に影響を与えると考えられる特徴的な値とする。また、保守運用システム100は、上述の機能によって算出した特徴量と、機械マスタテーブル122を照合して、動作要因と環境要因を推定する動作・環境要因分析機能128を有する。また、保守運用システム100は、上述の機能によって算出した定格稼働率達成度と、動作要因と、環境要因から保守要因を算出する保守要因推定機能130を有する。
0019
続いて、本実施形態の保守運用支援システム100が用いるデータベース類について説明する。
0020
図3に、本実施形態における運用実績データベース121の一例を示す。運用実績データベース121は、鉱山機械の運用実績を蓄積したデータベースである。そのデータ構造は、機械ID201、および期間207をキーとして、累積稼働時間202と、稼働時間203と、計画停止時間204と、計画外停止時間205と、稼働率206からなるレコードの集合体である。
0021
上述の機械ID201には、鉱山機械を一意に特定するためのIDが格納されている。また、期間207には、各レコードの算出期間が格納されている。また、累積稼働時間202には、当該機械の当該期間末時点における、累積稼働時間が格納されている。また、稼働時間203には、当該機械の当該期間における稼働時間が、計画停止時間204には、当該機械の当該期間における計画停止時間が、計画外停止時間205には、当該機械の当該期間における計画外停止時間が格納されている。ここで、計画停止は予め定められた定期保守などによる機械の停止を、計画外停止は突発故障などによる機械の停止を意味する。また、稼働率206は、稼働時間/(稼働時間+計画停止時間+計画外停止時間)×100で表される稼働率が格納されている。なお、本実施形態では、期間207は月で区切っているが、任意の値を格納するとしてもよい。
0022
図4に、本実施形態における機械マスタデータベース122における定格稼働率テーブル210の一例を示す。定格稼働率テーブル210は、鉱山機械の標準的な稼働率を蓄積したデータベースである。そのデータ構造は、機種名211と、累積稼働時間212とをキーとして、定格稼働率213からなるレコードの集合体である。上述の機種名211には、機種を特定するための文字列が格納されている。また、累積稼働時間212には、機械の累積稼働時間の区分が格納されている。また、定格稼働率213には、ある機種がある累積稼働時間である場合に標準とされる稼働率が格納されている。この定格稼働率213は、機械の定期保守や部品の定期交換の間隔などから算出され、一般にメーカーあるいはベンダーから提供される。
0023
図5に、機械マスタデータベース122における機械スペックテーブル220の一例を示す。機械スペックテーブル220は、機械のスペックを蓄積する。そのデータ構造は、機械ID221をキーとして、サイトID222と、顧客ID223と、機種名224と、車体質量225と、車両総質量226と、TKPH(Ton・Km Per Hour)227からなるレコードの集合体である。上述の機械ID221は、機械を一意に特定するIDが格納される。サイトID222、および顧客ID223には、当該機械が稼働するサイトを一意に特定するID、および当該機械を保有する顧客を一意に特定するIDが格納される。機種名224には、機種を特定するための文字列が格納される。車体質量225には、当該機械の本体の質量が格納される。車両総質量226には、車両質量225と積載物の質量の和の定格最大値が格納される。TKPHは、荷重(Ton)、速度(Km)と外気温がタイヤに及ぼす影響のことを言い、TKPHには、車両質量225と積載物の質量の和した値(Ton)に、機械の運行速度(Km)を乗じた値の定格最大値が格納される。車体質量225と、車両総質量226と、TKPH227は一般にメーカーから提供されるスペックである。
0024
図6に、センサデータデータベース123の一例を示す。センサデータデータベース123は、鉱山機械140からネットワーク160を介して収集されたセンサデータを蓄積する。そのデータ構造は、機械ID301と、年月日302と、時刻303とをキーとして、n個のセンサデータ304からなるレコードの集合体である。機械ID301には、機械を一意に特定するIDが格納されている。年月日302と、時刻303には、データ304を取得した年月日と、時刻がそれぞれ格納されている。センサデータ304には、ネットワーク160を介して収集された各種センサデータが格納されている。
0025
図7に、センサデータ(積載量)の最大、平均、定格以上運転時間の関係を示す。最大と、平均は、ある指定した期間内のセンサデータの最大値と、平均値である。定格以上運転時間は、ある指定した期間内において、定格値を上回って運転された時間の総和を意味する。本実施形態では、最大、平均を定格比で表した値と、定格以上運転時間、を特徴量として扱う。
0026
図8に、定格稼働率達成度データベース125の一例を示す。定格稼働率達成度データベース125は、累積稼働時間から求めた標準的な稼働率と、実際の稼働率との比を蓄積する。そのデータ構造は、機械ID401と、期間403をキーとして、[稼働率]定格稼働率達成度402から成るレコードの集合体である。機械ID401には、機械を一意に特定するIDが格納される。期間403には、[稼働率]定格稼働率達成度402を算出するための期間が格納される。[稼働率] 定格稼働率達成度402には、当該機械の当該期間における稼働率206を、定格稼働率213で除し、100倍した値が定格稼働率達成度として格納される。なお、定格稼働率達成度の算出は、定格稼働率達成度算出機能124によってなされる。
0027
図9に、特徴量データベース127における、積載量テーブル500の一例を示す。積載量テーブル500は、センサデータベース123に蓄積された積載量データから、特徴量算出機能126によって抽出された積載量の特徴量を蓄積する。そのデータ構造は、機械ID501と、期間505をキーとして、[積載量]定格比最大502と、[積載量]定格比平均503と、[積載量]定格以上運転時間504からなるレコードの集合体である。機械ID501には機械を一意に特定するIDが格納される。期間505には、[積載量]定格比最大502と、[積載量]定格比平均503と、[積載量]定格以上運転時間504、を算出する期間が格納される。[積載量]定格比最大502と、[積載量]定格比平均503と、[積載量]定格以上運転時間504には、センサデータデータベース123のレコードから図7に示す特徴量を抽出した値が格納される。なお、特徴量の抽出は、特徴量算出機能126によって実行される。
0028
図10に、特徴量データベース127における、TKPHテーブル510の一例を示す。TKPHテーブル510は、センサデータデータベース123に蓄積されたTKPHデータから、特徴量算出機能126によって抽出された積載量の特徴量を蓄積する。そのデータ構造は、機械ID511と、期間515をキーとして、[TKPH]定格比最大512と、[TKPH]定格比平均513と、[TKPH]定格以上運転時間514からなるレコードの集合体であり、積載量テーブル500と同じ構造を持つ。
0029
図11に、特徴量データベース127における、振動レベルテーブル600の一例を示す。振動レベルテーブル600は、センサデータデータベース123に蓄積された振動レベルデータから、特徴量算出機能126によって抽出された振動レベルの特徴量を蓄積する。そのデータ構造は、機械ID601と、期間606、をキーとして、[振動レベル]幅方向最大602と、[振動レベル]幅方向平均603と、[振動レベル]周方向最大604と、[振動レベル]周方向平均605、からなるレコードの集合体である。その構造は、主として積載量テーブル500、およびTKPHテーブル510と同じであるが、本実施形態においては、振動レベルの定格を設定していないため、定格以上運転時間が存在しない。また、本実施例では振動の方向をタイヤの幅方向(602、603)と、周方向(604、605)に分けて示している。
0030
本実施形態においては、一般に稼働率への影響が大きいといわれている、積載量と、TKPHと、振動レベルを例として示したが、センサによって収集可能なデータであれば如何なるデータを用いてもよい。また、各センサデータを如何に規格化してもよい。
0031
図12に、動作・環境要因データベース129の一例を示す。動作・環境要因データベース129は、動作・環境要因分析機能128によって、特徴量データベース127から推定した各当該機械の動作要因と、環境要因を蓄積する。そのデータ構造は、機械ID701と、期間706、をキーとして、動作要因702と、環境要因703と、サイトID704と、顧客ID705からなるレコードの集合体からなる。機械ID701は機械を一意に特定するIDが格納される。期間706は、動作要因702と、環境要因703、を算出する期間が格納される。動作要因702と、環境要因703、はそれぞれ動作に関する動作要因、周辺環境に関する環境要因を期間706の間で算出した値が格納される。動作要因702と、環境要因703、は特徴量データベース127の各特徴量を元に、主成分分析を実行することによって得られる。サイトID704は、当該機械が稼働するサイトを一意に特定するIDが格納される。顧客ID705は、当該機械を保有する顧客を一意に特定するIDが格納される。
0032
図13に、保守要因データベース131の一例を示す。保守要因データベース131は、保守要因推定機能130によって、定格稼働率達成度データベース125と、動作・環境要因データベース129、から推定した保守要因を蓄積する。そのデータ構造は、機械ID711と、期間716、をキーとして、環境要因712と、サイトID713と、顧客ID714からなるレコードの集合体からなる。機械ID711は機械を一意に特定するIDが格納される。期間715は、保守要因712を算出する期間が格納される。保守要因712は、稼働率へ影響を与える保守状況に関する要因が格納される。これは、定格稼働率達成度データベース125の[稼働率]定格稼働率達成度402と、動作・環境要因データベース129の動作要因702と、環境要因703、を元に因子分析を実行することで得られる。サイトID713は、当該機械が稼働するサイトを一意に特定するIDが格納される。顧客ID714は、当該機械を保有する顧客を一意に特定するIDが格納される。
0033
図14は、本実施例の処理手順を説明する全体フロー図である。保守運用システム140は、鉱山機械140から各種センサデータを取得する(S1401)。保守運用システム100は、取得したセンサデータを機械マスタデータベースと照合して、特徴量を算出する(S1402)。保守運用システム140は、運行管理システム150から、鉱山機械140の運行実績データを取得する(S1403)。保守運用管理システム100は、取得した運行実績データを機械マスタデータベースと照合して、定格稼働率達成度を算出する(S1404)。保守運用管理システム100は、算出した特徴量と機械マスタテーブルを照合して、動作要因と環境要因を算出する(S1405)。保守運用システム100は、算出した定格稼働率達成度と、動作要因と、環境要因から保守要因を算出する(S1406)。保守運用システム100は、クライアント端末170から保守要因に関連するデータの問い合わせを受信し(S1407)、クライアント端末170に対し保守要因に関連するデータを送信する(S1408)。クライアント端末170は、受信した保守要因に関連するデータを表示部に出力する(S1409)。出力イメージは図16、17である。
0034
図15は本実施形態における図18のモデルを用いて、動作要因と、環境要因と、保守要因を推定、可視化する保守運用支援方法の処理手順例を示すフロー図である。本フローでは、運行実績と、機械マスタと、センサデータ、を入力として、稼働率へ影響を与える動作要因、環境要因、保守要因、を推定、可視化する。まず、処理S801は定格稼働率達成度算出機能124によって実行される。定格稼働率達成度算出機能124は、運行実績データベース121、および機械マスタデータベース122の定格稼働率テーブ210を参照し、運行実績データベース121の機械ID201と、累積稼働時間202と、機械スペックテーブル220の機種名224をメモリ112に格納する。定格稼働率達成度算出機能124は、機械ID201と、累積稼働時間202と、機種名224、を用いて定格稼働率テーブル210を参照し、当該機械の定格稼働率213をメモリ112に格納する。定格稼働率達成度算出機能124は、メモリ112に格納した当該機械の定格稼働率213と、運行実績データベース121に格納されている稼働率206から、稼働率/定格稼働率×100、によって定格稼働率達成度を算出し、メモリ112に格納する。
0035
次に、処理S802で定格稼働率達成度算出機能124は、処理S801においてメモリ112に格納した定格稼働率達成度を、定格稼働率達成度データベース125の[稼働率]定格稼働率達成度402に格納する。
0036
また、処理S803は、特徴量算出機能126によって実行される。特徴量算出126は、運行実績データベース121と、機械マスタデータベース122の機械スペックテーブル220と、センサデータデータベース123、を参照し、運行実績データベース121の機械ID201と、期間207と、機械スペックテーブル220の車体質量225と、車両総質量226と、TKPH227と、センサデータデータベース123のセンサデータ304をメモリ112に格納する。特徴量算出機能126は、メモリ112に格納した、車体質量と、車両総質量と、TKPHなどの定格値と、センサデータから、図3Aに示す最大値、平均値、定格以上運転時間を算出し、メモリ112に格納する。また、特徴量算出機能126は、メモリ112に格納した最大値と、平均値を、各々の定格値を用いて規格化を行い、定格比最大と定格比平均としてメモリ112に格納する。なお、本実形態においては、一般的に稼働率への影響が大きいといわれる積載量と、TKPHと、振動レベルを用いて特徴量を算出しているが、センサによって収集可能なデータであれば如何なるデータを用いてもよい。また、各センサデータを如何に規格化してもよい。
0037
次に、処理S804で特徴量算出機能126は、処理S803においてメモリ112に格納した特徴量を、機械IDと期間に紐づけて、特徴量データベース127の各テーブルに格納する。
0038
次に、処理S805は、動作・環境要因分析機能128によって実行される。動作・環境要因分析機能128は、特徴量データベース127と機械マスタデータベース122の機械スペックテーブル220を参照し、特徴量データベース127から各特徴量と、機械IDと、期間と、機械スペックテーブル220から当該機械のサイトID222と、顧客ID223を読み込み、メモリ112に格納する。動作・環境要因分析機能は、各特徴量を元に主成分分析を実行し、得られた主成分を動作要因と、環境要因として算出、メモリ112に格納する。ここで、動作要因は積載量やTKPHなど動作に起因する特徴量と相関が強い主成分を指し、環境要因は路面状況に依存する振動レベルなど周辺環境に起因する特徴量と相関が強い主成分を指す。
0039
次に、処理S806で動作・環境要因分析機能128は、処理S805でメモリ112に格納した動作要因と、環境要因と、特徴量データベース127から読み込んだ機械IDと、期間と、機械スペックテーブル220から読み込んだサイトIDと、顧客ID、を動作・環境要因データベース129に格納する。
0040
また、処理S807は、保守要因推定機能130によって実行される。保守要因推定機能130は、定格稼働率達成度データベース125と、動作・環境要因データベース129を参照し、定格稼働率達成度データベース125から機械ID401と、期間403と、[稼働率]定格稼働率達成度402と、動作・環境要因データベース129から動作要因702と、環境要因703と、サイトID704と、顧客ID705、を読み込み、メモリ112に格納する。保守要因推定機能130は、[稼働率]定格稼働率達成度402と、動作要因702と、環境要因703、を用いて、因子分析を実行し、動作要因702と、環境要因703、以外の稼働率へ影響を与える要因を推定し、保守要因としてメモリ112に格納する。ここで、動作要因702と、環境要因703、は任意のセンサデータより求まる要因であり、これらの要因に繰り込まれない要因として保守要因を定義している。各要因の関係は図18の説明で詳述する。なお、作業機械に取り付けられたセンサの数が不十分で、環境要因および動作要因が既知と言えない場合、未計測に起因する要因を加えて分析しても良い。この場合、主成分分析によって得られた動作要因、あるいは、環境要因に対して強い相関を示す要因を、それぞれ、未計測に起因する動作要因、あるいは、環境要因として用いる。
0041
次に、処理S808で保守要因推定機能130は、処理S807でメモリ112に格納した保守要因と、機械IDと、期間と、サイトIDと、顧客ID、を保守要因データベース131に格納する。
0042
図16と図17は、本実施形態の出力結果の一例である。図9では、顧客ID714を横軸にとり、保守要因712をプロットしている。図9Aでは、顧客ID=“customer−001”のサイトID713を横軸にとり、保守要因712をプロットしている。図9より、ユーザは、“customer−001”の保守要因のばらつきが、“customer−002”の保守要因のばらつきに比べ大きいことを見ることが出来る。次に、図9Aの“customer−001”のサイト毎の保守要因から、例えば、“site−D”が他のサイトと比較して保守要因が低くなっていることを見ることが出来る。この結果を元に、 “site−D”の保守状況の調査など、稼働率改善に向けた提案が可能となる。
0043
100保守運用支援システム
111 I/O(出力装置)
112通信装置
113メモリ
114 CPU(演算装置)
120記憶装置
121運行実績データベース
122機械マスタデータベース
123センサデータデータベース
124 定格稼働率達成度算出機能
125 定格稼働率達成度データベース
126特徴量算出機能
127特徴量データベース
128 動作・環境要因分析機能
129 動作・環境要因データベース
130保守要因推定機能
131 保守要因データベース
140鉱山機械(作業機械)
150運行管理システム
160ネットワーク
170 クライアント端末