図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2017年3月23日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題・解決手段

がんの新たな原因遺伝子であるポリヌクレオチド解明し、この知見に基づき、当該ポリヌクレオチド又はそれがコードするポリペプチド検出方法、前記検出のためのキット及びプライマーセット、前記ポリペプチドの阻害物質スクリーニング方法、並びに前記阻害物質を含有するがん治療用医薬組成物を提供する。 本発明の検出方法では、被験者から得た女性生殖器由来試料中の、FGFR融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子、あるいは、TACC3融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子を検出する。

概要

背景

染色体転座の結果、本来は別々の遺伝子が融合して融合遺伝子が作られる。これまで慢性骨髄性白血病におけるBCR−ABL融合体や、肺がんにおけるEML4−ALK融合体、肺がんを含む種々のがんにおけるROS1融合体のように、キナーゼ遺伝子の一部を構成要素に含む融合遺伝子はしばしば発がんに本質的な役割を担い、その機能を抑制する薬剤は極めて有効な抗がん剤となることが知られている(非特許文献1、特許文献1及び特許文献2)。
例えば、チロシンキナーゼ阻害剤イレッサタルセバの登場により、分子診断とがん治療効果の関係について、臨床で示されつつあり、分子診断による適応患者選別により、患者を層別化した上での治療薬投与というコンセプト広がりつつある。

GFR3(Fibroblast Growth Factor Receptor 3)−TACC3(Transforming, Acidic Coiled-coil Containing protein 3)融合体は、グリオブラストーマ(非特許文献2)、膀胱がん(特許文献3及び非特許文献3)及び肺がん(特許文献3及び非特許文献4)において、その存在が報告されていたが、女性生殖器がんではこれまで報告がなかった。また、FGFR3のキナーゼ領域が融合体の一部に成り得ること(すなわち、FGFR3のキナーゼ領域を含む融合体の存在)、及び、TACC3が融合体の一部になり得ること(すなわち、TACC3の少なくとも一部を含む融合体の存在)も、女性生殖器がんではこれまで報告がなかった。

概要

がんの新たな原因遺伝子であるポリヌクレオチド解明し、この知見に基づき、当該ポリヌクレオチド又はそれがコードするポリペプチド検出方法、前記検出のためのキット及びプライマーセット、前記ポリペプチドの阻害物質スクリーニング方法、並びに前記阻害物質を含有するがん治療用医薬組成物を提供する。 本発明の検出方法では、被験者から得た女性生殖器由来試料中の、FGFR3融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子、あるいは、TACC3融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子を検出する。

目的

本発明の課題は、がんの新たな原因因子である融合体(融合タンパク質及び融合遺伝子)を解明したことに基づき、融合タンパク質又は当該融合タンパク質をコードする融合遺伝子の検出方法、当該検出方法を用いたがんの診断方法、がん治療用医薬組成物の適用対象者の判定方法、前記検出方法のためのキット及びプライマーセット、前記融合タンパク質であるポリペプチドの活性及び/又は発現の阻害物質のスクリーニング方法、ならびに前記阻害物質を含有するがん治療用医薬組成物及び前記がん治療用医薬組成物を投与するがん治療方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

被験者から得た女性生殖器由来試料中の、FGFR融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子検出方法

請求項2

前記検出方法が、FGFR3タンパク質の切断、又は、FGFR3タンパク質をコードする遺伝子の切断、を検出する工程を含む、請求項1に記載の検出方法。

請求項3

前記検出方法が、FGFR3タンパク質とそれ以外の他のタンパク質とから構築される融合タンパク質の存在、又は、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子の存在、を検出する工程を含む、請求項1に記載の検出方法。

請求項4

前記融合タンパク質が、FGFR3タンパク質とTACC3タンパク質との融合タンパク質である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項5

前記融合タンパク質が、以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリペプチドである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出方法:(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(d)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、(e)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、及び(f)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1又は数個アミノ酸欠失置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。

請求項6

前記FGFR3融合遺伝子が、請求項5に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項7

前記融合遺伝子が、DNA又はmRNAである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項8

前記女性生殖器が、子宮、又は外陰である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項9

前記女性生殖器が、子宮頚部、膣、又は外陰である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項10

前記女性生殖器が、子宮頚部である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項11

FGFR3遺伝子5’末端ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、FGFR3遺伝子3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとを含む、FGFR3融合遺伝子の検出用キット

請求項12

FGFR3遺伝子と共にFGFR3融合遺伝子を構成する他の遺伝子の3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、FGFR3遺伝子5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとを含む、FGFR3融合遺伝子の検出用キット。

請求項13

FGFR3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの、5’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマー、ならびに、前記ポリヌクレオチドの3’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、FGFR3融合遺伝子の検出用キット。

請求項14

FGFR3タンパク質とTACC3タンパク質との融合タンパク質であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、FGFR3−TACC3融合遺伝子の検出用キット。

請求項15

以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、FGFR3−TACC3融合遺伝子の検出用キット:(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、(d)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、(e)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、及び(f)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。

請求項16

FGFR3タンパク質のN末端側領域を特異的に認識できる抗FGFR3抗体、及び、FGFR3タンパク質のC末端側領域を特異的に認識できる抗FGFR3抗体を含む、FGFR3融合タンパク質の検出用キット。

請求項17

FGFR3タンパク質と共にFGFR3融合タンパク質を構成する他のタンパク質のC末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体と、FGFR3タンパク質のN末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む、FGFR3融合タンパク質の検出用キット。

請求項18

前記他のタンパク質が、TACC3タンパク質である、請求項17に記載のキット

請求項19

FGFR3タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分から設計されるセンスプライマー及びTACC3タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、FGFR3遺伝子とTACC3遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、アンチセンスプライマーは請求項15に記載のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でアニールする核酸分子からなり、センスプライマーは請求項15に記載のポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でアニールする核酸分子からなるプライマーセット。

請求項20

FGFR3遺伝子とTACC3遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、配列番号1、配列番号3、又は配列番号5に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でアニールする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件下でアニールする核酸分子からなるセンスプライマーを含むプライマーセット。

請求項21

以下の(a)〜(c)からなる群から選択される、センスプライマー及びアンチセンスプライマー、を含む、プライマーセット:(a)配列番号1の塩基番号1から2628の間の任意の連続する少なくとも16塩基オリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー、及び配列番号1の塩基番号2635から5004の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマー、(b)配列番号3の塩基番号1から2628の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー、及び配列番号3の塩基番号2635から3561間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマー、(c)配列番号5の塩基番号1から2536の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー、及び配列番号5の塩基番号2537から3270間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマー。

請求項22

(1)請求項5に記載のポリペプチド、又は前記ポリペプチドを発現している細胞試験物質を接触させる工程、(2)前記ポリペプチドの活性及び/又は発現が阻害されるか否かを分析する工程、及び(3)前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質を選択する工程を含む、前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質をスクリーニングする方法。

請求項23

前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質が、FGFR3融合体陽性がん治療剤である、請求項22に記載のスクリーニング方法

請求項24

前記がんが女性生殖器がんである、請求項22又は23に記載のスクリーニング方法。

請求項25

前記がんが子宮がん、膣がん、又は外陰がんである、請求項22又は23に記載のスクリーニング方法。

請求項26

前記がんが子宮頚がん、膣がん、又は外陰がんである、請求項22又は23に記載のスクリーニング方法。

請求項27

前記がんが子宮頚がんである、請求項22又は23に記載のスクリーニング方法。

請求項28

FGFR3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質を含有する、FGFR3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物

請求項29

前記FGFR3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質が、キナーゼ阻害剤である、請求項28に記載の医薬組成物

請求項30

前記FGFR3融合タンパク質が、請求項5に記載のポリペプチドである、請求項28又は29に記載の医薬組成物。

請求項31

前記がんが、女性生殖器がんである、請求項28〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項32

前記がんが、子宮がん、膣がん、又は外陰がんである、請求項28〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項33

前記がんが、子宮頚がん、膣がん、又は外陰がんである、請求項28〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項34

前記がんが、子宮頸がんである、請求項28〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項35

被験者から得た女性生殖器由来試料中の、TACC3融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子の検出方法。

請求項36

前記検出方法が、TACC3タンパク質の切断、又は、TACC3タンパク質をコードする遺伝子の切断、を検出する工程を含む、請求項35に記載の検出方法。

請求項37

前記検出方法が、TACC3タンパク質とそれ以外の他のタンパク質とから構築される融合タンパク質の存在、又は、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子の存在、を検出する工程を含む、請求項35に記載の検出方法。

請求項38

前記融合遺伝子が、DNA又はmRNAである、請求項35〜37のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項39

前記女性生殖器が、子宮、膣、又は外陰である、請求項35〜38のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項40

前記女性生殖器が、子宮頸部、膣、又は外陰である、請求項35〜38のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項41

前記女性生殖器が、子宮頸部である、請求項35〜38のいずれか一項に記載の検出方法。

請求項42

TACC3遺伝子5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、TACC3遺伝子3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとを含む、TACC3融合遺伝子の検出用キット。

請求項43

TACC3遺伝子と共にTACC3融合遺伝子を構成する他の遺伝子の5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、TACC3遺伝子3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとを含む、TACC3融合遺伝子の検出用キット。

請求項44

TACC3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの、5’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマー、ならびに、前記ポリヌクレオチドの3’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、TACC3融合遺伝子の検出用キット。

請求項45

TACC3タンパク質のN末端側領域を特異的に認識できる抗TACC3抗体、及び、TACC3タンパク質のC末端側領域を特異的に認識できる抗TACC3抗体を含む、TACC3融合タンパク質の検出用キット。

請求項46

TACC3タンパク質と共にTACC3融合タンパク質を構成する他のタンパク質のN末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体と、TACC3タンパク質のC末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む、TACC3融合タンパク質の検出用キット。

請求項47

(1)請求項5に記載のポリペプチド、又は前記ポリペプチドを発現している細胞に試験物質を接触させる工程、(2)前記ポリペプチドの活性及び/又は発現が阻害されるか否かを分析する工程、及び(3)前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質を選択する工程を含む、前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質をスクリーニングする方法。

請求項48

前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質が、TACC3融合体陽性のがんの治療剤である、請求項47に記載のスクリーニング方法。

請求項49

前記がんが、女性生殖器がんである、請求項47又は48に記載のスクリーニング方法。

請求項50

前記がんが、子宮がん、膣がん、又は外陰がんである、請求項47又は48に記載のスクリーニング方法。

請求項51

前記がんが、子宮頸がん、膣がん、又は外陰がんである、請求項47又は48に記載のスクリーニング方法。

請求項52

前記がんが、子宮頸がんである、請求項47又は48に記載のスクリーニング方法。

請求項53

TACC3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質を含有する、TACC3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物。

請求項54

前記TACC3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質が、キナーゼ阻害剤である、請求項53に記載の医薬組成物。

請求項55

前記TACC3融合タンパク質が、請求項5に記載のポリペプチドである、請求項53又は54に記載の医薬組成物。

請求項56

前記がんが、女性生殖器がんである、請求項53〜55のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項57

前記がんが、子宮がん、膣がん、又は外陰がんである、請求項53〜55のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項58

前記がんが、子宮頸がん、膣がん、又は外陰がんである、請求項53〜55のいずれか一項に記載の医薬組成物。

請求項59

前記がんが、子宮頸がんである、請求項53〜55のいずれか一項に記載の医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、FGFRキナーゼ領域を含む融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子、及びそれらの検出方法に関する。
本発明は、TACC3の少なくとも一部を含む新規の融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子、及びそれらの検出方法に関する。

背景技術

0002

染色体転座の結果、本来は別々の遺伝子が融合して融合遺伝子が作られる。これまで慢性骨髄性白血病におけるBCR−ABL融合体や、肺がんにおけるEML4−ALK融合体、肺がんを含む種々のがんにおけるROS1融合体のように、キナーゼ遺伝子の一部を構成要素に含む融合遺伝子はしばしば発がんに本質的な役割を担い、その機能を抑制する薬剤は極めて有効な抗がん剤となることが知られている(非特許文献1、特許文献1及び特許文献2)。
例えば、チロシンキナーゼ阻害剤イレッサタルセバの登場により、分子診断とがん治療効果の関係について、臨床で示されつつあり、分子診断による適応患者選別により、患者を層別化した上での治療薬投与というコンセプト広がりつつある。

0003

FGFR3(Fibroblast Growth Factor Receptor 3)−TACC3(Transforming, Acidic Coiled-coil Containing protein 3)融合体は、グリオブラストーマ(非特許文献2)、膀胱がん(特許文献3及び非特許文献3)及び肺がん(特許文献3及び非特許文献4)において、その存在が報告されていたが、女性生殖器がんではこれまで報告がなかった。また、FGFR3のキナーゼ領域が融合体の一部に成り得ること(すなわち、FGFR3のキナーゼ領域を含む融合体の存在)、及び、TACC3が融合体の一部になり得ること(すなわち、TACC3の少なくとも一部を含む融合体の存在)も、女性生殖器がんではこれまで報告がなかった。

0004

特許第4303303号公報
WO2011/162295号パンフレット
WO2013/133351号パンフレット

先行技術

0005

Lugo TG, Pendergast AM, Muller AJ, Witte ON. Tyrosine kinase activity and transformation potency of bcr-abl oncogene products. Science. 1990 Mar 2;247(4946):1079-1082
Singh D et al. Transforming fusions of FGFRand TACCgenes in human glioblastoma. Science. 2012 Sep 7;337(6099):1231-1235.
WilliamsSVet al. Oncogenic FGFR3 gene fusions in bladder cancer.Hum Mol Genet. 2013 Feb 15;22(4):795-803.
Majewski IJ. Identification of recurrent FGFR3 fusion genes in lung cancer through kinome-centred RNA sequencing. J Pathol. 2013 Jul;230(3):270-276.

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の課題は、がんの新たな原因因子である融合体(融合タンパク質及び融合遺伝子)を解明したことに基づき、融合タンパク質又は当該融合タンパク質をコードする融合遺伝子の検出方法、当該検出方法を用いたがんの診断方法、がん治療用医薬組成物適用対象者の判定方法、前記検出方法のためのキット及びプライマーセット、前記融合タンパク質であるポリペプチド活性及び/又は発現阻害物質スクリーニング方法、ならびに前記阻害物質を含有するがん治療用医薬組成物及び前記がん治療用医薬組成物を投与するがん治療方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、子宮頚がん患者から得た検体における、TACC3遺伝子の一部と、キナーゼであるFGFR3遺伝子の一部との融合を確認し(実施例2)、これらの融合遺伝子が複数の子宮頚がん患者検体に存在すること(実施例3及び実施例4)を見出した。
本発明者は、これらの知見から、FGFR3融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子の検出方法を提供し、そのためのキット及びプライマーセットを提供し、この融合タンパク質又は当該融合タンパク質をコードする融合遺伝子を検出することにより、FGFR3阻害物質を用いた治療の対象となるがん患者を判別することを可能とし、当該がん患者にFGFR3阻害物質を投与する工程を含む、がんの治療方法を提供する。
本発明者は、これらの知見から、TACC3融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子の検出方法を提供し、そのためのキット及びプライマーセットを提供し、この融合タンパク質又は当該融合タンパク質をコードする融合遺伝子を検出することにより、TACC3阻害物質を用いた治療の対象となるがん患者を判別することを可能とし、当該がん患者にTACC3阻害物質を投与する工程を含む、がんの治療方法を提供する。

0008

本発明は、以下の発明に関する:
[1]FGFR3融合タンパク質。
[2]FGFR3とTACC3との融合タンパク質。
[3]以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリペプチドである、[1]に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(d)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(e)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、及び
(f)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1又は数個アミノ酸欠失置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[4][1]〜[3]のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド
[5][4]に記載のポリヌクレオチドを含むベクター
[6][5]に記載のベクターで形質転換された細胞
[7]被験者から得た試料中の、FGFR3融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子の検出方法。
[8]前記検出方法が、FGFR3タンパク質の切断、又は、FGFR3タンパク質をコードする遺伝子の切断、を検出する工程を含む、[7]に記載の検出方法。
[9]前記検出方法が、FGFR3タンパク質とそれ以外の他のタンパク質とから構築される融合タンパク質の存在、又は、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子の存在、を検出する工程を含む、[7]に記載の検出方法。
[10]前記融合タンパク質が、FGFR3タンパク質とTACC3タンパク質との融合タンパク質である、[7]〜[9]のいずれか一項に記載の検出方法。
[11]前記融合タンパク質が、以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリペプチドである、[7]〜[10]のいずれか一項に記載の検出方法:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(d)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(e)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、及び
(f)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[12]前記FGFR3融合遺伝子が、[3]に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[7]〜[11]のいずれか一項に記載の検出方法。
[13]前記融合遺伝子が、DNA又はmRNAである、[7]〜[12]のいずれか一項に記載の検出方法。
[14]前記試料が、女性生殖器由来試料である、[7]〜[13]のいずれか一項に記載の検出方法。
[15]前記女性生殖器が、子宮、又は外陰である、[14]に記載の検出方法。
[16]前記女性生殖器が、子宮頚部、膣、又は外陰である、[14]に記載の検出方法。
[17]前記女性生殖器が、子宮頚部である、[14]に記載の検出方法。
[18]FGFR3遺伝子5’末端ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、FGFR3遺伝子3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとを含む、FGFR3融合遺伝子の検出用キット
[19]FGFR3遺伝子と共にFGFR3融合遺伝子を構成する他の遺伝子の3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、FGFR3遺伝子5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとを含む、FGFR3融合遺伝子の検出用キット。
[20]FGFR3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの、5’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマー、ならびに、前記ポリヌクレオチドの3’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、FGFR3融合遺伝子の検出用キット。
[21]FGFR3タンパク質とTACC3タンパク質との融合タンパク質であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、FGFR3−TACC3融合遺伝子の検出用キット。
[22]以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、FGFR3−TACC3融合遺伝子の検出用キット:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(d)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(e)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、及び
(f)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[23]FGFR3タンパク質のN末端側領域を特異的に認識できる抗FGFR3抗体、及び、FGFR3タンパク質のC末端側領域を特異的に認識できる抗FGFR3抗体を含む、FGFR3融合タンパク質の検出用キット。
[24]FGFR3タンパク質と共にFGFR3融合タンパク質を構成する他のタンパク質のC末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体と、FGFR3タンパク質のN末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む、FGFR3融合タンパク質の検出用キット。
[25]前記他のタンパク質が、TACC3タンパク質である、[24]に記載のキット。
[26]FGFR3タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分から設計されるセンスプライマー及びTACC3タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、FGFR3遺伝子とTACC3遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、アンチセンスプライマーは[22]に記載のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でアニールする核酸分子からなり、センスプライマーは[22]に記載のポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でアニールする核酸分子からなるプライマーセット。
[27]FGFR3遺伝子とTACC3遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、配列番号1、配列番号3、又は配列番号5に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でアニールする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件下でアニールする核酸分子からなるセンスプライマーを含むプライマーセット。
[28]以下の(a)〜(c)からなる群から選択される、センスプライマー及びアンチセンスプライマー、を含む、プライマーセット:
(a) 配列番号1の塩基番号1から2628の間の任意の連続する少なくとも16塩基オリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー、及び配列番号1の塩基番号2635から5004の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマー、
(b) 配列番号3の塩基番号1から2628の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー、及び配列番号3の塩基番号2635から3561間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマー、及び、
(c) 配列番号5の塩基番号1から2536の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー、及び配列番号5の塩基番号2537から3270間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマー。
[29](1)[3]に記載のポリペプチド、又は前記ポリペプチドを発現している細胞に試験物質を接触させる工程、
(2)前記ポリペプチドの活性及び/又は発現が阻害されるか否かを分析する工程、及び
(3)前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質を選択する工程
を含む、前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質をスクリーニングする方法。
[30]前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質が、FGFR3融合体陽性のがんの治療剤である、[29]に記載のスクリーニング方法。
[31]前記がんが、女性生殖器がんである、[29]又は[30]に記載のスクリーニング方法。
[32]前記がんが、子宮がん、膣がん、又は外陰がんである、[29]又は[30]に記載のスクリーニング方法。
[33]前記がんが、子宮頚がん、膣がん、又は外陰がんである、[29]又は[30]に記載のスクリーニング方法。
[34]前記がんが、子宮頚がんである、[29]又は[30]に記載のスクリーニング方法。
[35]FGFR3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質を含有する、FGFR3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物。
[36]前記FGFR3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質が、キナーゼ阻害剤である、[35]に記載の医薬組成物
[37]前記FGFR3融合タンパク質が、[3]に記載のポリペプチドである、[35]又は[36]に記載の医薬組成物。
[38]前記がんが、女性生殖器がんである、[35]〜[37]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[39]前記がんが、子宮がん、膣がん、又は外陰がんである、[35]〜[37]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[40]前記がんが、子宮頸がん、膣がん、又は外陰がんである、[35]〜[37]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[41]前記がんが子宮頸がんである、[35]〜[37]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[42]TACC3融合タンパク質。
[43]FGFR3とTACC3との融合タンパク質。
[44]以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリペプチドである、[42]に記載の融合タンパク質:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(d)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(e)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、及び
(f)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[45][42]〜[44]のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[46][45]に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
[47][46]に記載のベクターで形質転換された細胞。
[48]被験者から得た試料中の、TACC3融合タンパク質又は該融合タンパク質をコードする融合遺伝子の検出方法。
[49]前記検出方法が、TACC3タンパク質の切断、又は、TACC3タンパク質をコードする遺伝子の切断、を検出する工程を含む、[48]に記載の検出方法。
[50]前記検出方法が、TACC3タンパク質とそれ以外の他のタンパク質とから構築される融合タンパク質の存在、又は、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子の存在、を検出する工程を含む、[48]に記載の検出方法。
[51]前記融合タンパク質が、FGFR3タンパク質とTACC3タンパク質との融合タンパク質である、[48]〜[50]のいずれか一項に記載の検出方法。
[52]前記融合タンパク質が、以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリペプチドである、[48]〜[51]のいずれか一項に記載の検出方法:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(d)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(e)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、及び
(f)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[53]前記TACC3融合遺伝子が、[44]に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドである、[48]〜[52]のいずれか一項に記載の検出方法。
[54]前記融合遺伝子が、DNA又はmRNAである、[48]〜[53]のいずれか一項に記載の検出方法。
[55]前記試料が女性生殖器である、[48]〜[54]のいずれか一項に記載の検出方法。
[56]前記女性生殖器が、子宮、膣、又は外陰である、[55]に記載の検出方法。
[57]前記女性生殖器が、子宮頸部、膣、又は外陰である、[55]に記載の検出方法。
[58]前記女性生殖器が、子宮頸部である、[55]に記載の検出方法。
[59]TACC3遺伝子5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、TACC3遺伝子3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとを含む、TACC3融合遺伝子の検出用キット。
[60]TACC3遺伝子と共にTACC3融合遺伝子を構成する他の遺伝子の5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、TACC3遺伝子3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとを含む、TACC3融合遺伝子の検出用キット。
[61]TACC3タンパク質をコードするポリヌクレオチドの、5’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマー、ならびに、前記ポリヌクレオチドの3’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、TACC3融合遺伝子の検出用キット。
[62]FGFR3タンパク質とTACC3タンパク質との融合タンパク質であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、FGFR3−TACC3融合遺伝子の検出用キット。
[63]以下の(a)〜(f)からなる群から選択されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、FGFR3−TACC3融合遺伝子の検出用キット:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(d)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(e)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、及び
(f)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[64]TACC3タンパク質のN末端側領域を特異的に認識できる抗TACC3抗体、及び、TACC3タンパク質のC末端側領域を特異的に認識できる抗TACC3抗体を含む、TACC3融合タンパク質の検出用キット。
[65]TACC3タンパク質と共にTACC3融合タンパク質を構成する他のタンパク質のN末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体と、TACC3タンパク質のC末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体を含む、TACC3融合タンパク質の検出用キット。
[66]前記他のタンパク質が、FGFR3タンパク質である、[65]に記載のキット。
[67]FGFR3タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分から設計されるセンスプライマー及びTACC3タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、FGFR3遺伝子とTACC3遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、アンチセンスプライマーは[63]に記載のポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でアニールする核酸分子からなり、センスプライマーは[63]に記載のポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でアニールする核酸分子からなるプライマーセット。
[68]FGFR3遺伝子とTACC3遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、配列番号1、配列番号3、又は配列番号5に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でアニールする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件下でアニールする核酸分子からなるセンスプライマーを含むプライマーセット。
[69]以下の(a)〜(c)からなる群から選択される、センスプライマー及びアンチセンスプライマー、を含む、プライマーセット:
(a)配列番号1の塩基番号1から2628の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー、及び配列番号1の塩基番号2635から5004の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマー、
(b)配列番号3の塩基番号1から2628の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー、及び配列番号3の塩基番号2635から3561間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマー、
(c)配列番号5の塩基番号1から2536の間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー、及び配列番号5の塩基番号2537から3270間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマー。
[70](1)[44]に記載のポリペプチド、又は前記ポリペプチドを発現している細胞に試験物質を接触させる工程、
(2)前記ポリペプチドの活性及び/又は発現が阻害されるか否かを分析する工程、及び
(3)前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質を選択する工程
を含む、前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質をスクリーニングする方法。
[71]前記ポリペプチドの活性及び/又は発現を阻害する物質が、TACC3融合体陽性のがんの治療剤である、[70]に記載のスクリーニング方法。
[72]前記がんが、女性生殖器がんである、[70]又は[71]に記載のスクリーニング方法。
[73]前記がんが、子宮がん、膣がん、又は外陰がんである、[70]又は[71]に記載のスクリーニング方法。
[74]前記がんが、子宮頸がん、膣がん、又は外陰がんである、[70]又は[71]に記載のスクリーニング方法。
[75]前記がんが、子宮頸がんである、[70]又は[71]に記載のスクリーニング方法。
[76]TACC3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質を含有する、TACC3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物。
[77]前記TACC3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質が、キナーゼ阻害剤である、[76]に記載の医薬組成物。
[78]前記TACC3融合タンパク質が、[44]に記載のポリペプチドである、[76]又は[77]に記載の医薬組成物。
[79]前記がんが、女性生殖器がんである、[76]〜[78]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[80]前記がんが、子宮がん、膣がん、又は外陰がんである、[76]〜[78]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[81]前記がんが、子宮頸がん、膣がん、又は外陰がんである、[76]〜[78]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[82]前記がんが、子宮頸がんである、[76]〜[78]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[83]FGFR3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質が、キナーゼ阻害剤である、FGFR3融合体陽性のがんの治療方法。
[84]FGFR3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質の、FGFR3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物の製造への使用。
[85]前記ポリペプチドを発現している細胞が、[6]に記載の形質転換細胞である、[29]〜[34]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[86]TACC3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質が、キナーゼ阻害剤である、TACC3融合体陽性のがんの治療方法。
[87]TACC3融合タンパク質の活性及び/又は発現を阻害する物質の、TACC3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物の製造への使用。
[88]前記ポリペプチドを発現している細胞が、[47]に記載の形質転換細胞である、[70]〜[75]のいずれかに記載のスクリーニング方法。

発明の効果

0009

本発明の検出方法は、FGFR3融合体陽性のがん(特に女性生殖器がん)を検出する方法として利用できる。また、本発明の検出方法によれば、被験者におけるFGFR3融合体陽性のがんを診断することができ、更に、FGFR3阻害物質の適用対象者であるか否かを判定することができる。本発明の検出用キット及びプライマーセットは、本発明の検出方法に用いることができる。更に、本発明の阻害物質スクリーニング方法によれば、当該融合体陽性のがん患者の治療に有効な物質をスクリーニングすることができる。前記スクリーニング方法により得られた物質は、FGFR3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物の有効成分として使用することができ、また、FGFR3融合体陽性のがんの治療に用いることができる。
本発明の検出方法は、TACC3融合体陽性のがん(特に女性生殖器がん)を検出する方法として利用できる。また、本発明の検出方法によれば、被験者におけるTACC3融合体陽性のがんを診断することができ、更に、TACC3阻害物質の適用対象者であるか否かを判定することができる。本発明の検出用キット及びプライマーセットは、本発明の検出方法に用いることができる。更に、本発明の阻害物質スクリーニング方法によれば、当該融合体陽性のがん患者の治療に有効な物質をスクリーニングすることができる。前記スクリーニング方法により得られた物質は、TACC3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物の有効成分として使用することができ、また、TACC3融合体陽性のがんの治療に用いることができる。

0010

≪定義等≫
<融合点
本明細書における「FGFR3融合遺伝子における融合点」とは、FGFR3融合遺伝子における、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドと、FGFR3遺伝子と共に融合遺伝子を構築する他の遺伝子由来のポリヌクレオチドとが結合した箇所又は領域を意味する。
本明細書における「TACC3融合遺伝子における融合点」とは、TACC3融合遺伝子における、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドと、TACC3遺伝子と共に融合遺伝子を構築する他の遺伝子由来のポリヌクレオチドとが結合した箇所又は領域を意味する。

0011

例えば、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子が配列番号1で表されるFGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント1(FGFR3ex18-TACC3ex4)の場合、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドの3’末端の塩基(第2628番)とインサート配列(AAACAG;第2629〜2634番)との結合箇所(第2628/2629番)、前記インサート配列(AAACAG)、及び、前記インサート配列(AAACAG)とTACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドの5’末端の塩基(第2635番)との結合箇所(第2634/2635番)を含む領域である。
また、配列番号3で表されるFGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント2(FGFR3ex18-TACC3ex9)の場合、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドの3’末端の塩基(第2628番)とインサート配列(AAACAG;第2629〜2634番)との結合箇所、前記インサート配列(AAACAG)、及び、前記インサート配列(AAACAG)とTACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドの5’末端の塩基(第2635番)との結合箇所(第2634/2635番)を含む領域である。
さらに、配列番号5で表されるFGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント3(FGFR3ex17-TACC3ex11)の場合、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドの3’末端の塩基(第2536番)と、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドの5’末端の塩基(第2537番)の結合した箇所(第2536/2537番)である。

0012

本明細書における「FGFR3融合タンパク質における融合点」とは、FGFR3融合タンパク質における、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドと、FGFR3遺伝子と共に融合遺伝子を構築する他の遺伝子由来のポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドとが結合した箇所又は領域を意味する。
本明細書における「TACC3融合タンパク質における融合点」とは、TACC3融合タンパク質における、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドと、TACC3遺伝子と共に融合遺伝子を構築する他の遺伝子由来のポリヌクレオチドにコードされるポリペプチドとが結合した箇所又は領域を意味する。

0013

例えば、FGFR3融合タンパク質又はTACC3融合タンパク質が配列番号2で表されるFGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント1の場合、FGFR3タンパク質由来のポリペプチドのC末端のアミノ酸(第791番)とインサート配列(Asn-Ser;第792〜793番)との結合箇所(第791/792番)、前記インサート配列(Asn-Ser)、及び、前記インサート配列(Asn-Ser)とTACC3タンパク質由来のポリペプチドのN末端のアミノ酸(第794番)との結合箇所(第793/794番)、を含む領域である。
また、配列番号4で表されるFGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント2の場合、FGFR3タンパク質由来のポリペプチドのC末端のアミノ酸(第791番)とインサート配列(Asn-Ser;第792〜793番)との結合箇所、前記インサート配列(Asn-Ser)、及び、前記インサート配列(Asn-Ser)とTACC3タンパク質由来のポリペプチドのN末端のアミノ酸(第794番)との結合箇所(第793/794番)、を含む領域である。
さらに、配列番号6で表されるFGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント3の場合、FGFR3タンパク質由来のポリペプチドのC末端のアミノ酸(第760番)と、前記他のタンパク質由来のポリペプチドのN末端のアミノ酸(第761番)の結合した箇所(第760/761番)である。

0014

<FGFR3遺伝子又はFGFR3タンパク質の切断>
更に、本明細書において、「FGFR3遺伝子の切断」又は「FGFR3遺伝子が切断されている」とは、遺伝子の転座又は逆位等によりFGFR3遺伝子の連続性が失われている状態、すなわち、FGFR3遺伝子がFGFR3キナーゼ領域を含むポリヌクレオチドと、それ以外のポリヌクレオチドと、の少なくとも2つのポリヌクレオチドとに分かれている状態を指す。なお、FGFR3遺伝子の切断点(break point)は、FGFR3遺伝子が切断されてできたポリヌクレオチドの少なくとも一つがコードするタンパク質がFGFR3キナーゼ活性を保持する範囲で限定されない。
また、「FGFR3遺伝子以外の他の遺伝子の切断」又は「FGFR3遺伝子以外の他の遺伝子が切断されている」とは、遺伝子の転座又は逆位等により他の遺伝子の連続性が失われている状態、すなわち、他の遺伝子が少なくとも2つのポリヌクレオチドに分かれている状態を指す。

0015

また、本明細書において、「FGFR3タンパク質の切断」又は「FGFR3タンパク質が切断されている」とは、FGFR3遺伝子が、前述のように切断されている状態であることに基づき、FGFR3タンパク質の連続性が失われている状態、すなわち、FGFR3タンパク質がFGFR3キナーゼ領域を含むポリペプチドと、それ以外のポリペプチドと、の少なくとも2つのポリペプチドに分かれている状態を指す。なお、FGFR3タンパク質の切断点は、FGFR3タンパク質が切断されてできたポリペプチドの少なくとも一つがFGFR3キナーゼ活性を保持する範囲で限定されない。
また、「FGFR3タンパク質以外の他のタンパク質の切断」又は「FGFR3タンパク質以外の他のタンパク質が切断されている」とは、他の遺伝子が、前述のように切断されている状態であることに基づき、他のタンパク質の連続性が失われている状態、すなわち、他のタンパク質が少なくとも2つのポリペプチドに分かれている状態を指す。

0016

<TACC3遺伝子又はTACC3タンパク質の切断>
更に、本明細書において、「TACC3遺伝子の切断」又は「TACC3遺伝子が切断されている」とは、遺伝子の転座又は逆位等によりTACC3遺伝子の連続性が失われている状態を指す。なお、TACC3遺伝子の切断点(break point)は、TACC3遺伝子と共にTACC3融合遺伝子を構築する他の遺伝子がコードするタンパク質の機能(例えば、当該タンパク質がキナーゼドメインを有する場合、キナーゼ活性)を保持する範囲で限定されない。
また、「TACC3遺伝子以外の他の遺伝子の切断」又は「TACC3遺伝子以外の他の遺伝子が切断されている」とは、遺伝子の転座又は逆位等により他の遺伝子の連続性が失われている状態、すなわち、他の遺伝子が少なくとも2つのポリヌクレオチドに分かれている状態を指す。

0017

また、本明細書において、「TACC3タンパク質の切断」又は「TACC3タンパク質が切断されている」とは、TACC3遺伝子が、前述のように切断されている状態であることに基づき、TACC3タンパク質の連続性が失われている状態、すなわち、TACC3タンパク質が少なくとも2つのポリペプチドに分かれている状態を指す。なお、TACC3タンパク質の切断点は、TACC3タンパク質と共にTACC3融合タンパク質を構築する他のタンパク質の機能(例えば、当該他のタンパク質がキナーゼドメインを有する場合、キナーゼ活性)を保持する範囲で限定されない。
また、「TACC3タンパク質以外の他のタンパク質の切断」又は「TACC3タンパク質以外の他のタンパク質が切断されている」とは、他の遺伝子が、前述のように切断されている状態であることに基づき、他のタンパク質の連続性が失われている状態、すなわち、他のタンパク質が少なくとも2つのポリペプチドに分かれている状態を指す。

0018

<5’末端側領域/3’末端側領域、N末端側領域/C末端側領域>
5’末端側領域とは、融合遺伝子の場合は、融合点より5’末端側のポリヌクレオチド、野生型遺伝子(融合遺伝子でない遺伝子)の場合は、当該野生型遺伝子が融合遺伝子を構築した場合の、切断点より5’末端側のポリヌクレオチドを示す。なお、5’末端側領域は、ゲノムDNA、mRNA、及びcDNAのいずれにおける領域であってもよく、例えば、ゲノムDNAの場合は、5’末端側ゲノム領域ともいう。
3’末端側領域とは、融合遺伝子の場合は、融合点より3’末端側のポリヌクレオチド、野生型遺伝子(融合遺伝子でない遺伝子)の場合は、当該野生型遺伝子が融合遺伝子を構築した場合の、切断点より3’末端側のポリヌクレオチドを示す。なお、3’末端側領域は、ゲノムDNA、mRNA、及びcDNAのいずれにおける領域であってもよく、例えば、ゲノムDNAの場合は、3’末端側ゲノム領域ともいう。

0019

N末端側領域とは、融合タンパク質の場合は、融合点よりN末端側のポリペプチド、野生型タンパク質(融合タンパク質でないタンパク質)の場合は、当該野生型タンパク質が融合遺伝子を構築した場合の、切断点よりN末端側のポリヌクレオチドを示す。
C末端側領域とは、融合タンパク質の場合は、融合点よりC末端側のポリペプチド、野生型タンパク質(融合タンパク質でないタンパク質)の場合は、当該野生型タンパク質が融合遺伝子を構築した場合の、切断点よりC末端側のポリヌクレオチドを示す。

0020

例えば、配列番号1で表されるFGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント1(FGFR3ex18-TACC3ex4)の場合、5’末端側領域は、第1〜2628番、3’末端側領域は、第2635〜5004番の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。配列番号2で表されるFGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント1の場合、N末端側領域は、前記FGFR3ex18-TACC3ex4の5’末端側領域のCDS(配列番号1の第257〜2628番塩基)にコードされるポリペプチド(配列番号2の第1〜791番アミノ酸)であり、C末端側領域は、前記FGFR3ex18-TACC3ex4の3’末端側領域のCDS(配列番号1の第2635〜4846番塩基)にコードされるポリペプチド(配列番号2の第794〜1529番アミノ酸)である。

0021

配列番号3で表されるFGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント2(FGFR3ex18-TACC3ex9)の場合、5’末端側領域は、第1〜第2628番、3’末端側領域は、第2635〜3561番の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。配列番号4で表されるFGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント2の場合、N末端側領域は、前記FGFR3ex18-TACC3ex9の5’末端側領域のCDS(配列番号3の第257〜2628番塩基)にコードされるポリペプチド(配列番号4の第1〜791番アミノ酸)であり、C末端側領域は、前記FGFR3ex18-TACC3ex9の3’末端側領域のCDS(配列番号3の第2635〜3403番塩基)にコードされるポリペプチド(配列番号4の第794〜1048番アミノ酸)である。

0022

配列番号5で表されるFGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント3(FGFR3ex17-TACC3ex11)の場合、5’末端側領域は、第1〜第2536番、3’末端側領域は、第2537〜3270番の塩基配列からなるポリヌクレオチドである。配列番号6で表されるFGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント3の場合、N末端側領域は、前記FGFR3ex17-TACC3ex11の5’末端側領域のCDS(配列番号5の第257〜2536番塩基)にコードされるポリペプチド(配列番号6の第1〜760番アミノ酸)であり、C末端側領域は、前記GFR3ex17-TACC3ex11の3’末端側領域のCDS(配列番号5の第2537〜3112番塩基)にコードされるポリペプチド(配列番号6の第761〜951番アミノ酸)である。

0023

<cDNAリファレンス配列
また、本明細書において、各由来遺伝子のcDNAリファレンス配列として、FGFR3はENST00000340107、TACC3はENST00000313288を、タンパク質のアミノ酸リファレンス配列としては、FGFR3はENSP00000339824、TACC3はENSP00000326550を用いた。

0024

<ストリンジェントな条件>
本明細書における「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのための条件として、「5×SSPE、5×Denhardt’s液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、200μg/mL鮭精子DNA、42℃オーバーナイト」、洗浄のための条件として、「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」の条件である。「よりストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのための条件として、「5×SSPE、5×Denhardt’s液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、200μg/mL鮭精子DNA、42℃オーバーナイト」、洗浄のための条件として、「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」の条件である。

0025

<腫瘍形成能>
あるポリペプチドが「腫瘍形成能を有する」ことは、公知の方法、例えば、WO2011/162295の実施例4の方法で確認することができる。具体的には、当該ポリペプチドを発現するプラスミドを導入した宿主(3T3繊維芽細胞)をヌードマウスの皮下に接種し、腫瘍形成の有無で判断する方法で確認する。なお、FGFR3−TACC3融合遺伝子については、導入細胞における形質転換及び導入細胞移植マウスにおける腫瘍形成能が示されており、本融合遺伝子又はその転写産物の存在は、発現部位におけるがんの原因であることが示唆されている(非特許文献2参照)。

0026

≪本発明の検出方法に係る試料≫
対象臓器
本発明に係る検出方法は、対象臓器に生じるがんの検出に好適に用いることができる。被験者の被験部位(対象臓器)としては、女性生殖器が好ましく、子宮、膣、又は外陰であることが更に好ましく、子宮頚部、膣、又は外陰であることがより好ましく、子宮頚部であることが最も好ましい。
被験部位の組織型は、本発明に係る検出方法が適用可能な範囲で制限されず、扁平上皮組織でも、腺組織でもよいが、扁平上皮組織が好ましい。

0027

<被験者からの採取物
本発明に係る検出方法における、被験者から得た試料としては、被験者からの採取物(生体から分離した試料)、具体的には、任意の採取された体液(好ましくは血液)、被験者患部からの摘出検体、生検試料又は擦過検体、経血、子宮からの分泌液洗浄液等を用いることができる。検出感度を考慮すると、前記対象臓器における被験部位の細胞が含まれる試料が好ましく、被験者の被験部位からの摘出検体又は生検試料が更に好ましい。

0028

<採取物の調製>
本発明に係るFGFR3融合遺伝子、又は、FGFR3融合タンパク質の検出方法は、被験者から得た試料の組織切片、又は、細胞懸濁液等を作成し、組織切片又は細胞懸濁液に含まれる細胞に対し、当業者に周知の技法により、FGFR3融合遺伝子、又は、FGFR3融合タンパク質を検出することにより実施できる。あるいは、前述の被験者から得た試料から、可溶化液を調製し、ここに含まれる遺伝子、又は、タンパク質を抽出し、この抽出試料において、当業者に周知の技法により、FGFR3融合遺伝子、又は、FGFR3融合タンパク質を検出してもよい。なお、FGFR3融合遺伝子の検出とは、FGFR3融合遺伝子のゲノムDNAの検出、当該ゲノムDNAの転写産物であるmRNA、又は、mRNAを鋳型として得られるcDNAの検出のいずれであってもよい。

0029

本発明に係るTACC3融合遺伝子、又は、TACC3融合タンパク質の検出方法は、被験者から得た試料の組織切片、又は、細胞懸濁液等を作成し、組織切片又は細胞懸濁液に含まれる細胞に対し、当業者に周知の技法により、TACC3融合遺伝子、又は、TACC3融合タンパク質を検出することにより実施できる。あるいは、前述の被験者から得た試料から、可溶化液を調製し、ここに含まれる遺伝子、又は、タンパク質を抽出し、この抽出試料において、当業者に周知の技法により、TACC3融合遺伝子、又は、TACC3融合タンパク質を検出してもよい。なお、TACC3融合遺伝子の検出とは、TACC3融合遺伝子のゲノムDNAの検出、当該ゲノムDNAの転写産物であるmRNA、又は、mRNAを鋳型として得られるcDNAの検出のいずれであってもよい。

0030

≪本発明の検出方法に係る検出対象
本発明の検出方法には、被験者から得た試料中の、FGFR3融合体の検出方法、すなわち、FGFR3キナーゼ領域を含む融合タンパク質(「FGFR3融合タンパク質」ともいう)の検出方法、又は、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子(「FGFR3融合遺伝子」ともいう)の検出方法が含まれる。
本発明の検出方法には、被験者から得た試料中の、TACC3融合体の検出方法、すなわち、TACC3融合タンパク質の検出方法、又は、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子(「TACC3融合遺伝子」ともいう)の検出方法が含まれる。

0031

<FGFR3融合体:FGFR3融合タンパク質とFGFR3融合遺伝子>
本発明に係るFGFR3融合体は、FGFR3融合タンパク質とFGFR3融合遺伝子を含む。
本発明に係るFGFR3融合タンパク質は、FGFR3タンパク質由来のポリペプチドと、FGFR3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドと、から構築される融合ポリペプチドであって、前記FGFR3タンパク質由来のポリペプチドは、FGFR3タンパク質における少なくともFGFR3キナーゼ領域のポリペプチドを含み、FGFR3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドは、他のタンパク質における少なくとも一部のポリペプチドを含む範囲で特に制限されない。

0032

前記他のタンパク質としては、FGFR3キナーゼドメインを含むFGFR3タンパク質の一部と融合することにより、構築されたFGFR3融合タンパク質が腫瘍形成能を有するものであれば特に制限されない。構築されたFGFR3融合タンパク質において、FGFR3キナーゼ活性化が恒常的に維持されることにより、FGFR3融合タンパク質が腫瘍形成能を有することが好ましい。

0033

また、FGFR3融合タンパク質は、FGFR3キナーゼ活性化が恒常的に維持され、構築されたFGFR3融合タンパク質が腫瘍形成能を有する範囲で、FGFR3タンパク質由来のポリペプチド、及び、FGFR3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドのいずれでもない、第3のポリペプチドを含んでいてもよい。第3のポリペプチドは、FGFR3融合タンパク質のN末端に位置していても、C末端に位置していても、或いは、FGFR3タンパク質由来のポリペプチドとFGFR3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドとの間に位置していてもよい。

0034

FGFR3融合タンパク質としては、前記他のタンパク質が、TACC3タンパク質である融合タンパク質が特に好ましい。すなわち、少なくともFGFR3キナーゼ領域のポリペプチドを含む、FGFR3タンパク質由来のポリペプチドと、TACC3タンパク質の少なくとも一部のポリペプチドを含む、TACC3タンパク質由来のポリペプチドと、から構築された、FGFR3タンパク質とTACC3タンパク質との融合タンパク質(以下、FGFR3−TACC3融合タンパク質ともいう)であることが好ましい。

0035

<TACC3融合体:TACC3融合タンパク質とTACC3融合遺伝子>
本発明に係るTACC3融合体は、TACC3融合タンパク質とTACC3融合遺伝子を含む。
本発明に係るTACC3融合タンパク質は、TACC3タンパク質由来のポリペプチドと、TACC3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドと、から構築される融合ポリペプチドであって、前記TACC3タンパク質由来のポリペプチドは、TACC3タンパク質における少なくとも一部のポリペプチドを含み、TACC3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドは、他のタンパク質における少なくとも一部のポリペプチドを含む範囲で特に制限されない。

0036

前記他のタンパク質としては、TACC3タンパク質の一部と融合することにより、構築されたTACC3融合タンパク質が腫瘍形成能を有するものであれば特に制限されない。当該他のタンパク質の有する機能性ドメイン(好ましくは、キナーゼドメイン)の活性化が恒常的に維持されることにより、TACC3融合タンパク質が腫瘍形成能を有することが好ましい。

0037

また、TACC3融合タンパク質は、TACC3タンパク質の一部と融合することによりTACC3タンパク質以外の他のタンパク質の機能性ドメインの活性化が恒常的に維持され、構築されたTACC3融合タンパク質が腫瘍形成能を有する範囲で、TACC3タンパク質由来のポリペプチド、及び、TACC3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドのいずれでもない、第3のポリペプチドを含んでいてもよい。第3のポリペプチドは、TACC3融合タンパク質のN末端に位置していても、C末端に位置していても、或いは、TACC3タンパク質由来のポリペプチドとTACC3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドとの間に位置していてもよい。

0038

TACC3融合タンパク質としては、前記他のタンパク質が、FGFR3タンパク質である融合タンパク質が特に好ましい。すなわち、TACC3タンパク質の少なくとも一部のポリペプチドを含む、TACC3タンパク質由来のポリペプチドと、少なくともFGFR3キナーゼ領域のポリペプチドを含む、FGFR3タンパク質の少なくとも一部のポリペプチドと、から構築された、FGFR3タンパク質とTACC3タンパク質との融合タンパク質(以下、FGFR3−TACC3融合タンパク質ともいう)であることが好ましい。

0039

「FGFR3−TACC3融合タンパク質」としては、下記(a)〜(f)に記載のポリペプチドが特に好ましい:
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(b)配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(c)配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
(d)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(e)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)、及び
(f)配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する)。

0040

配列番号2で表されるアミノ酸配列は、配列番号1で表される塩基配列、特には配列番号1の塩基番号257〜4846で表される塩基配列(CDS)によりコードされる配列である。配列番号1で表される塩基配列は、FGFR3遺伝子の5’−UTR(5’非翻訳領域)配列、FGFR3遺伝子の開始コドンATGからエクソン18の92番目の塩基まで、インサート配列であるAAACAG、及び、TACC3遺伝子のエクソン4からエクソン16の停止コドン、及びTACC3遺伝子の3’−UTR配列(3’非翻訳領域)の塩基配列からなる。配列番号1で表される塩基配列の内、塩基番号1〜2628の配列はFGFR3遺伝子に由来し、塩基番号2635〜5004の配列はTACC3遺伝子に由来する。本明細書において、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び、これをコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号1で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む)を、FGFR3ex18−TACC3ex4融合体(または、FGFR3ex18−TACC3ex4という場合もある)と称する。

0041

配列番号4で表されるアミノ酸配列は、配列番号3で表される塩基配列、特には配列番号3の塩基番号257〜3403で表される塩基配列(CDS)によりコードされる配列である。配列番号3で表される塩基配列は、FGFR3遺伝子の5’−UTR配列、FGFR3遺伝子の開始コドンATGからエクソン18の92番目の塩基まで、インサート配列であるAAACAG、TACC3遺伝子のエクソン9からエクソン16の停止コドンまで、及びTACC3遺伝子の3’−UTR配列の塩基配列からなる。配列番号3で表される塩基配列の内、塩基番号1〜2628の配列はFGFR3遺伝子に由来し、塩基番号2635〜3561の配列はTACC3遺伝子に由来する。本明細書において、配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び、これをコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号3で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む)を、FGFR3ex18−TACC3ex9融合体(または、FGFR3ex18−TACC3ex9という場合もある)と称する。

0042

配列番号6で表されるアミノ酸配列は、配列番号5で表される塩基配列、特には配列番号5の塩基番号257〜3112で表される塩基配列(CDS)によりコードされる配列である。配列番号5で表される塩基配列は、FGFR3遺伝子の5’−UTR配列、FGFR3遺伝子の開始コドンATGからエクソン17まで、TACC3遺伝子のエクソン11からエクソン16の停止コドンまで、及びTACC3遺伝子の3’−UTR配列の塩基配列からなる。配列番号5で表される塩基配列の内、塩基番号1〜2536の配列はFGFR3遺伝子に由来し、塩基番号2537〜3270の配列はTACC3遺伝子に由来する。本明細書において、配列番号6で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び、これをコードする塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号5で表される塩基配列からなるポリヌクレオチドを含む)を、FGFR3ex17−TACC3ex11融合体(または、FGFR3ex17−TACC3ex11という場合もある)と称する。

0043

「機能的等価改変体」において置換、欠失、及び/又は挿入可能なアミノ酸数は、1〜数個であるが、好ましくは1〜10個、更に好ましくは1〜7個、最も好ましくは1〜5個である。

0044

「相同ポリペプチド」は、「配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、腫瘍形成能を有するポリペプチド」であるが、該同一性が、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上であるアミノ酸配列を含むポリペプチドが好ましい。なお、「配列番号2、配列番号4、又は配列番号6で表されるアミノ酸配列との同一性が80%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも、腫瘍形成能を有するポリペプチド」には、前記同一性を示し、且つ、少なくとも1つの置換、欠失、及び/又は挿入(好ましくは置換)を有するポリペプチド(狭義の相同ポリペプチド)と、同一性が100%であるポリペプチドとが含まれる。

0045

なお、本明細書における前記「同一性」とは、NEEDLEprogram(J Mol Biol 1970; 48: 443-453)検索によりデフォルトで用意されているパラメータを用いて得られた値Identityを意味する。前記のパラメータは以下のとおりである。
Gap penalty = 10
Extend penalty = 0.5
Matrix =EBLOSUM62

0046

本発明に係るFGFR3融合遺伝子は、FGFR3融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドである。本明細書において、FGFR3融合タンパク質およびFGFR3融合遺伝子をあわせて「FGFR3融合体」と称することがある。

0047

本発明に係るFGFR3融合体においては、FGFR3−TACC3融合体バリアント1(FGFR3ex18-TACC3ex4)、FGFR3−TACC3融合体バリアント2(FGFR3ex18-TACC3ex9)、FGFR3−TACC3融合体バリアント3(FGFR3ex17-TACC3ex11)が好ましい。特に、本発明に係るFGFR3融合タンパク質においては、FGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント1(FGFR3ex18-TACC3ex4)、FGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント2(FGFR3ex18-TACC3ex9)、FGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント3(FGFR3ex17-TACC3ex11)が好ましい。また、本発明に係るFGFR3融合遺伝子においては、FGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント1(FGFR3ex18-TACC3ex4)、FGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント2(FGFR3ex18-TACC3ex9)、FGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント3(FGFR3ex17-TACC3ex11)が好ましい。

0048

本発明に係るTACC3融合遺伝子は、TACC3融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドである。本明細書において、TACC3融合タンパク質およびTACC3融合遺伝子をあわせて「TACC3融合体」と称することがある。

0049

本発明に係るTACC3融合体においては、FGFR3−TACC3融合体バリアント1(FGFR3ex18-TACC3ex4)、FGFR3−TACC3融合体バリアント2(FGFR3ex18-TACC3ex9)、FGFR3−TACC3融合体バリアント3(FGFR3ex17-TACC3ex11)が好ましい。特に、本発明に係るTACC3融合タンパク質においては、FGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント1(FGFR3ex18-TACC3ex4)、FGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント2(FGFR3ex18-TACC3ex9)、FGFR3−TACC3融合タンパク質バリアント3(FGFR3ex17-TACC3ex11)が好ましい。また、本発明に係るTACC3融合遺伝子においては、FGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント1(FGFR3ex18-TACC3ex4)、FGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント2(FGFR3ex18-TACC3ex9)、FGFR3−TACC3融合遺伝子バリアント3(FGFR3ex17-TACC3ex11)が好ましい。

0050

≪本発明の検出方法の態様(融合タンパク質及び融合遺伝子の検出方法)≫
本発明の検出方法には、被験者から得た女性生殖器由来試料中の、FGFR3タンパク質の切断、又は、FGFR3タンパク質をコードするFGFR3遺伝子の切断、を検出する工程を含む検出方法と、被験者から得た女性生殖器由来試料中の、FGFR3タンパク質とFGFR3タンパク質以外の他のタンパク質とから構築される融合タンパク質の存在、又は、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子の存在、を検出する工程を含む検出方法が含まれる。
本発明の検出方法には、被験者から得た女性生殖器由来試料中の、TACC3タンパク質の切断、又は、TACC3タンパク質をコードするTACC3遺伝子の切断、を検出する工程を含む検出方法と、被験者から得た女性生殖器由来試料中の、TACC3タンパク質とTACC3タンパク質以外の他のタンパク質とから構築される融合タンパク質の存在、又は、前記融合タンパク質をコードする融合遺伝子の存在、を検出する工程を含む検出方法が含まれる。

0051

<FGFR3融合遺伝子を検出する態様>
以下、FGFR3融合遺伝子を検出する態様について述べるが、これらに限定されるものではない。
なお、以下の各態様における遺伝子の特定の領域の検出は、その例示に関わらず、あらかじめ解析した塩基配列に基づいて設計されたプローブ又はプライマーを用いて行っても、あるいは、シーケンシングによって行ってもよい。

0052

〔FGFR3融合遺伝子を検出する態様(1)〕
〈FGFR3融合遺伝子を検出する態様(1−a)〉
FGFR3融合遺伝子を検出する一態様として、FGFR3融合遺伝子が構築されているとき、FGFR3遺伝子が2つ以上のポリヌクレオチドに切断されていることに基づき、FGFR3遺伝子が切断されている状態、すなわち、FGFR3遺伝子の5’末端側領域とFGFR3遺伝子の3’末端側領域との連続性が失われていることを検出することにより、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。
具体的には、例えば、FGFR3遺伝子の5’末端側領域に特異的にハイブリダイズする第1のプローブと、FGFR3遺伝子の3’末端側領域に特異的にハイブリダイズする第2のプローブを用い、当該2つの遺伝子領域が染色体上で離れていることを検出することにより、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。
なお、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドと融合して融合遺伝子を構築している他の遺伝子が切断されている状態を前記方法で確認することにより、FGFR3融合遺伝子を検出してもよい。

0053

〈FGFR3融合遺伝子を検出する態様(1−b)〉
他の一態様として、FGFR3遺伝子の、5’末端側領域と、3’末端側領域の発現量をそれぞれ特異的に検出し、その発現量の比を求めることにより、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。具体的には、例えば、FGFR3遺伝子の5’末端側領域の発現量と、FGFR3遺伝子3’末端側領域の発現量とが異なる場合、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。
あるいは、FGFR3遺伝子と共にFGFR3融合遺伝子を構築しているFGFR3遺伝子以外の他の遺伝子について、前記方法で確認することにより、FGFR3融合遺伝子を検出してもよい。

0054

〈FGFR3融合遺伝子を検出する態様(1−c)〉
他の一態様として、FGFR3融合遺伝子の形成過程において、FGFR3遺伝子又はFGFR3遺伝子以外の他の遺伝子の少なくとも一部の複製(duplication)を伴う場合、すなわち、FGFR3遺伝子由来の重複したポリヌクレオチドと、FGFR3と共にFGFR3融合遺伝子を構築しているFGFR3遺伝子以外の他の遺伝子由来の重複したポリヌクレオチドとからFGFR3融合遺伝子が構築されている場合、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチド又は前記他の遺伝子由来のポリヌクレオチドの重複を検出することにより、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。

0055

〔FGFR3融合遺伝子を検出する態様(2)〕
FGFR3融合遺伝子を検出する一態様として、FGFR3融合遺伝子が、FGFR3遺伝子由来ポリヌクレオチドと、FGFR3遺伝子以外の他の遺伝子由来のポリヌクレオチドと融合して構築されていることに基づき、FGFR3融合遺伝子における、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドの少なくとも一部と、FGFR3遺伝子以外の遺伝子由来のポリヌクレオチドの少なくとも一部とが連続して含まれる融合ポリヌクレオチドを検出することにより、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。
具体的には、例えば、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドの5’末端側領域に特異的にハイブリダイズする第1のプローブと、FGFR3遺伝子以外の他の遺伝子由来のポリヌクレオチドの3’末端側領域に特異的にハイブリダイズする第2のプローブを用い、当該2つの遺伝子領域が染色体上で近接していることを検出することにより、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。FGFR3遺伝子以外の他の遺伝子が、TACC3遺伝子の場合、すなわちFGFR3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子である場合、第2のプローブはTACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドの3’末端側領域に特異的にハイブリダイズするプローブを用いればよい。

0056

〔FGFR3融合遺伝子を検出する態様(3)〕
FGFR3融合遺伝子を検出する一態様として、FGFR3融合遺伝子が、FGFR3遺伝子由来ポリヌクレオチドと、FGFR3遺伝子以外の他の遺伝子由来ポリヌクレオチドとが、融合点において融合して構築されていることに基づき、FGFR3融合遺伝子における、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドの少なくとも一部と、FGFR3遺伝子以外の他の遺伝子由来のポリヌクレオチドの少なくとも一部とが、融合点を含んで連続して含まれる融合ポリヌクレオチドを検出することにより、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。
具体的には、例えば、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドの5’末端側領域に特異的にアニールする第1のプライマーと、FGFR3遺伝子以外の他の遺伝子由来のポリヌクレオチドの3’末端側領域に特異的にアニールする第2のプライマーとを用いてPCR反応を行い、融合点の存在を示す所定のPCR産物が得られることを確認することにより、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。

0057

<FGFR3融合タンパク質を検出する態様>
以下、FGFR3融合タンパク質を検出する態様について述べるが、これらに限定されるものではない。

0058

〔FGFR3融合タンパク質を検出する態様(1)〕
〈FGFR3融合タンパク質を検出する態様(1−a)〉
FGFR3融合タンパク質を検出する態様として、FGFR3融合遺伝子が構築されているとき、FGFR3遺伝子にコードされるFGFR3タンパク質も切断されていることに基づき、FGFR3タンパク質が切断されている状態、すなわち、FGFR3タンパク質のN末端側領域とC末端側領域との連続性が失われていることを検出することにより、FGFR3融合タンパク質を検出することができる。
具体的には、例えば、FGFR3タンパク質のN末端側領域に特異的に結合する第1の抗体と、FGFR3タンパク質のC末端側領域に特異的に結合する第2の抗体を用い、当該2つの領域が、同一のタンパク質に存在しないことを確認することにより、FGFR3融合タンパク質を検出することができる。
あるいは、FGFR3タンパク質と共に融合タンパク質を構築しているFGFR3タンパク質以外の他のタンパク質が切断されている状態を前記方法により確認することで、FGFR3融合タンパク質を検出してもよい。

0059

〈FGFR3融合タンパク質を検出する態様(1−b)〉
他の一態様として、FGFR3タンパク質の、N末端側領域と、C末端側領域の発現量をそれぞれ特異的に検出し、その発現量の比を求めることにより、FGFR3融合タンパク質を検出することができる。具体的には、例えば、FGFR3タンパク質のN末端側領域の発現量と、FGFR3タンパク質C末端側領域の発現量とが異なることを指標として、FGFR3融合タンパク質を検出することができる。
あるいは、FGFR3タンパク質と共にFGFR3融合タンパク質を構築しているFGFR3タンパク質以外の他のタンパク質について、前記方法で確認することにより、FGFR3融合タンパク質を検出してもよい。

0060

〔FGFR3融合タンパク質を検出する態様(2)〕
FGFR3融合タンパク質を検出する一態様では、FGFR3融合タンパク質が、FGFR3タンパク質由来ポリペプチドと、FGFR3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドとが融合して構築されていることに基づき、FGFR3融合タンパク質における、FGFR3タンパク質由来のポリペプチドの少なくとも一部と、前記他のタンパク質由来のポリペプチドの少なくとも一部が連続して含まれる融合ポリペプチドを検出することにより、FGFR3融合タンパク質を検出することができる。
具体的には、例えば、FGFR3タンパク質のN末端側領域に特異的に結合する第1の抗体と、FGFR3タンパク質以外の他のタンパク質のC末端側領域に特異的に結合する第2の抗体を用い、当該2つの領域が、同一のタンパク質に存在することを確認することにより、FGFR3融合タンパク質を検出することができる。

0061

〔FGFR3融合タンパク質を検出する態様(3)〕
FGFR3融合タンパク質を検出する一態様では、FGFR3融合タンパク質が、FGFR3タンパク質由来ポリペプチドと、FGFR3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドとが融合点で融合して構築されていることに基づき、FGFR3融合タンパク質における、前記融合点を含むFGFR3タンパク質由来のポリペプチドの少なくとも一部と、前記他のタンパク質由来のポリペプチドの少なくとも一部が連続して含まれる融合ポリペプチドを検出することにより、FGFR3融合タンパク質を検出することができる。
具体的には、例えば、FGFR3融合タンパク質の融合点を含むポリペプチドを特異的に認識する抗体を用いた免疫学的測定法により、FGFR3融合タンパク質を検出することができる。

0062

〔FGFR3融合タンパク質を検出する態様(4)〕
FGFR3融合タンパク質を検出する一態様では、FGFR3融合タンパク質の活性を指標にFGFR3融合タンパク質を検出することができる。
具体的には、例えば、野生型FGFR3タンパク質に対して阻害活性のある物質を用いて野生型FGFR3タンパク質の活性を阻害した上で、FGFR3タンパク質のキナーゼ活性を測定し、FGFR3融合タンパク質を含まない(野生型FGFR3タンパク質のみを含む)場合に比較して、活性が高いことを指標にFGFR3融合タンパク質を検出することができる。なお、FGFR3タンパク質のキナーゼ活性の測定には当業者に周知の方法を適宜選択することができ、例えば、FGFR3によりリン酸化を受ける分子リン酸化状態を検出してもよい。

0063

なお、FGFR3融合タンパク質の検出は、FGFR3融合タンパク質を構成する全長ポリペプチドの存在、あるいは、FGFR3融合タンパク質の一部を構成するポリペプチドの存在を指標として行ってもよく、FGFR3融合タンパク質の存在が確認できる範囲で制限されない。

0064

<TACC3融合遺伝子を検出する態様>
以下、TACC3融合遺伝子を検出する態様について述べるが、これらに限定されるものではない。
なお、以下の各態様における遺伝子の特定の領域の検出は、その例示に関わらず、あらかじめ解析した塩基配列に基づいて設計されたプローブ又はプライマーを用いて行っても、あるいは、シーケンシングによって行ってもよい。

0065

〔TACC3融合遺伝子を検出する態様(1)〕
〈TACC3融合遺伝子を検出する態様(1−a)〉
TACC3融合遺伝子を検出する一態様として、TACC3融合遺伝子が構築されているとき、TACC3遺伝子が2つ以上のポリヌクレオチドに切断されていることに基づき、TACC3遺伝子が切断されている状態、すなわち、TACC3遺伝子の5’末端側領域とTACC3遺伝子の3’末端側領域との連続性が失われていることを検出することにより、TACC3融合遺伝子を検出することができる。
具体的には、例えば、TACC3遺伝子の5’末端側領域に特異的にハイブリダイズする第1のプローブと、TACC3遺伝子の3’末端側領域に特異的にハイブリダイズする第2のプローブを用い、当該2つの遺伝子領域が染色体上で離れていることを検出することにより、TACC3融合遺伝子を検出することができる。
なお、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドと融合して融合遺伝子を構築している他の遺伝子が切断されている状態を前記方法で確認することにより、TACC3融合遺伝子を検出してもよい。

0066

〈TACC3融合遺伝子を検出する態様(1−b)〉
他の一態様として、TACC3遺伝子の、5’末端側領域と、3’末端側領域の発現量をそれぞれ特異的に検出し、その発現量の比を求めることにより、TACC3融合遺伝子を検出することができる。具体的には、例えば、TACC3遺伝子の5’末端側領域の発現量と、TACC3遺伝子3’末端側領域の発現量とが異なる場合、TACC3融合遺伝子を検出することができる。
あるいは、TACC3遺伝子と共にTACC3融合遺伝子を構築しているTACC3遺伝子以外の他の遺伝子について、前記方法で確認することにより、TACC3融合遺伝子を検出してもよい。

0067

〈TACC3融合遺伝子を検出する態様(1−c)〉
他の一態様として、TACC3融合遺伝子の形成過程において、TACC3遺伝子又はTACC3遺伝子以外の他の遺伝子の少なくとも一部の複製(duplication)を伴う場合、すなわち、TACC3遺伝子由来の重複したポリヌクレオチドと、TACC3と共にTACC3融合遺伝子を構築しているTACC3遺伝子以外の他の遺伝子由来の重複したポリヌクレオチドとからTACC3融合遺伝子が構築されている場合、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチド又は前記他の遺伝子由来のポリヌクレオチドの重複を検出することにより、TACC3融合遺伝子を検出することができる。

0068

〔TACC3融合遺伝子を検出する態様(2)〕
TACC3融合遺伝子を検出する一態様として、TACC3融合遺伝子が、TACC3遺伝子由来ポリヌクレオチドと、TACC3遺伝子以外の他の遺伝子由来のポリヌクレオチドと融合して構築されていることに基づき、TACC3融合遺伝子における、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドの少なくとも一部と、TACC3遺伝子以外の遺伝子由来のポリヌクレオチドの少なくとも一部とが連続して含まれる融合ポリヌクレオチドを検出することにより、TACC3融合遺伝子を検出することができる。
具体的には、例えば、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドの3’末端側領域に特異的にハイブリダイズする第1のプローブと、TACC3遺伝子以外の他の遺伝子由来のポリヌクレオチドの5’末端側領域に特異的にハイブリダイズする第2のプローブを用い、当該2つの遺伝子領域が染色体上で近接していることを検出することにより、TACC3融合遺伝子を検出することができる。TACC3遺伝子以外の他の遺伝子が、FGFR3遺伝子の場合、すなわちTACC3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子である場合、第2のプローブはFGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドの5’末端側領域に特異的にハイブリダイズするプローブを用いればよい。

0069

〔TACC3融合遺伝子を検出する態様(3)〕
TACC3融合遺伝子を検出する一態様として、TACC3融合遺伝子が、TACC3遺伝子由来ポリヌクレオチドと、TACC3遺伝子以外の他の遺伝子由来ポリヌクレオチドとが、融合点において融合して構築されていることに基づき、TACC3融合遺伝子における、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドの少なくとも一部と、TACC3遺伝子以外の他の遺伝子由来のポリヌクレオチドの少なくとも一部とが、融合点を含んで連続して含まれる融合ポリヌクレオチドを検出することにより、TACC3融合遺伝子を検出することができる。
具体的には、例えば、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドの3’末端側領域に特異的にアニールする第1のプライマーと、TACC3遺伝子以外の他の遺伝子由来のポリヌクレオチドの5’末端側領域に特異的にアニールする第2のプライマーとを用いてPCR反応を行い、融合点の存在を示す所定のPCR産物が得られることを確認することにより、TACC3融合遺伝子を検出することができる。

0070

<TACC3融合タンパク質を検出する態様>
以下、TACC3融合タンパク質を検出する態様について述べるが、これらに限定されるものではない。

0071

〔TACC3融合タンパク質を検出する態様(1)〕
〈TACC3融合タンパク質を検出する態様(1−a)〉
TACC3融合タンパク質を検出する態様として、TACC3融合遺伝子が構築されているとき、TACC3遺伝子にコードされるTACC3タンパク質も切断されていることに基づき、TACC3タンパク質が切断されている状態、すなわち、TACC3タンパク質のN末端側領域とC末端側領域との連続性が失われていることを検出することにより、TACC3融合タンパク質を検出することができる。
具体的には、例えば、TACC3タンパク質のN末端側領域に特異的に結合する第1の抗体と、TACC3タンパク質のC末端側領域に特異的に結合する第2の抗体を用い、当該2つの領域が、同一のタンパク質に存在しないことを確認することにより、TACC3融合タンパク質を検出することができる。
あるいは、TACC3タンパク質と共に融合タンパク質を構築しているTACC3タンパク質以外の他のタンパク質が切断されている状態を前記方法により確認することで、TACC3融合タンパク質を検出してもよい。

0072

〈TACC3融合タンパク質を検出する態様(1−b)〉
他の一態様として、TACC3タンパク質の、N末端側領域と、C末端側領域の発現量をそれぞれ特異的に検出し、その発現量の比を求めることにより、TACC3融合タンパク質を検出することができる。具体的には、例えば、TACC3タンパク質のN末端側領域の発現量と、TACC3タンパク質C末端側領域の発現量とが異なることを指標として、TACC3融合タンパク質を検出することができる。
あるいは、TACC3タンパク質と共にTACC3融合タンパク質を構築しているTACC3タンパク質以外の他のタンパク質について、前記方法で確認することにより、TACC3融合タンパク質を検出してもよい。

0073

〔TACC3融合タンパク質を検出する態様(2)〕
TACC3融合タンパク質を検出する一態様では、TACC3融合タンパク質が、TACC3タンパク質由来ポリペプチドと、TACC3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドとが融合して構築されていることに基づき、TACC3融合タンパク質における、TACC3タンパク質由来のポリペプチドの少なくとも一部と、前記他のタンパク質由来のポリペプチドの少なくとも一部が連続して含まれる融合ポリペプチドを検出することにより、TACC3融合タンパク質を検出することができる。
具体的には、例えば、TACC3タンパク質のC末端側領域に特異的に結合する第1の抗体と、TACC3タンパク質以外の他のタンパク質のN末端側領域に特異的に結合する第2の抗体を用い、当該2つの領域が、同一のタンパク質に存在することを確認することにより、TACC3融合タンパク質を検出することができる。

0074

〔TACC3融合タンパク質を検出する態様(3)〕
TACC3融合タンパク質を検出する一態様では、TACC3融合タンパク質が、TACC3タンパク質由来ポリペプチドと、TACC3タンパク質以外の他のタンパク質由来のポリペプチドとが融合点で融合して構築されていることに基づき、TACC3融合タンパク質における、前記融合点を含むTACC3タンパク質由来のポリペプチドの少なくとも一部と、前記他のタンパク質由来のポリペプチドの少なくとも一部が連続して含まれる融合ポリペプチドを検出することにより、TACC3融合タンパク質を検出することができる。
具体的には、例えば、TACC3融合タンパク質の融合点を含むポリペプチドを特異的に認識する抗体を用いた免疫学的測定法により、TACC3融合タンパク質を検出することができる。

0075

〔TACC3融合タンパク質を検出する態様(4)〕
TACC3融合タンパク質を検出する一態様では、TACC3融合タンパク質の活性を指標にTACC3融合タンパク質を検出することができる。
具体的には、例えば、TACC3タンパク質と共に融合タンパク質を構築するTACC3タンパク質以外の他のタンパク質が酵素活性を有するタンパク質である場合、TACC3融合タンパク質を含まない(野生型TACC3タンパク質のみを含む)場合に比較して、当該酵素活性が高いことを指標に、TACC3融合タンパク質を検出することができる。なお、酵素活性の測定には当業者に周知の方法を適宜選択することができ、例えば、前記他のタンパク質がキナーゼ活性を有するタンパク質(好ましくはFGFR3タンパク質)である場合、TACC3融合タンパク質によりリン酸化を受ける分子のリン酸化状態を検出してもよい。

0076

なお、TACC3融合タンパク質の検出は、TACC3融合タンパク質を構成する全長ポリペプチドの存在、あるいは、TACC3融合タンパク質の一部を構成するポリペプチドの存在を指標として行ってもよく、TACC3融合タンパク質の存在が確認できる範囲で制限されない。

0077

≪検出方法に用いる技法≫
以下、FGFR3融合遺伝子(ゲノムDNA、mRNA、又はcDNA)の検出、TACC3融合遺伝子(ゲノムDNA、mRNA、又はcDNA)の検出、FGFR3融合タンパク質の検出、TACC3融合タンパク質の検出の各工程及び各検出技法について、より詳細に説明するが、これらに制限されるものではない。
なお、被験者から得た試料から、遺伝子(ゲノムDNA、又は、mRNA)又は、タンパク質を抽出した場合、あるいは、組織切片、又は、細胞懸濁液等を作成した場合において、調製された試料においてFGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子、あるいは、FGFR3融合タンパク質又はTACC3融合タンパク質を検出するために好適な技法は、当業者が適宜選択することができる。

0078

<融合遺伝子の検出>
FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子の検出は、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子のゲノムDNAの検出、当該ゲノムDNAの転写産物であるmRNAの検出、又は、mRNAを鋳型として得られるcDNAの検出のいずれであってもよい。
被験者から得た試料中の、FGFR3融合遺伝子(ゲノムDNA、又は、mRNA)又はTACC3融合遺伝子(ゲノムDNA、又は、mRNA)を検出する技法としては、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子の少なくとも一部にハイブリダイズするプローブ(核酸プローブ等)を使用したハイブリダイゼーション技術、あるいは、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子の少なくとも一部にアニールするプライマーを用いた遺伝子増幅技術等、遺伝子の検出に用いられる当業者に周知のいかなる技法、及び、これらの技法を応用した技法を用いることができる。
すなわち、PCR、LCR(Ligase chain reaction)、SDA(Strand displacement amplification)、NASBA(Nucleic acid sequence-based amplification)、ICAN(Isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids)、LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法、TMA法(Gen-Probe’s TMA system)、インサイチュハイブリダイゼーション法、マイクロアレイ法ノーザンハイブリダイゼーション、サザンハイブリダイゼーション、ドットブロット法、RNAプロテクション法、DNAシーケンス、RNAシーケンス等のいかなる技法を用いてもよい。

0079

〔ゲノムDNAの検出〕
ゲノムDNAの検出には、インサイチュハイブリダイゼーション技術を好適に用いることができる。インサイチュハイブリダイゼーション技術を利用した検出は、例えば、公知のFISH法に従って実施することができる。又は、クロモジニックインサイチュハイブリダイゼーション(CISH)法とシルバーインサイチュハイブリダイゼーション(SISH)法を組み合わせたフュージョンアッセイ(fusion assay)で実施することができる。好適には、以下に詳述のFISH法スプリットアッセイ、又は、FISH法フュージョンアッセイで検出することができる。

0080

あるいは、ゲノムDNAの検出には、DNAシーケンス技術を好適に用いることができる。シーケンシングには、従来のサンガー法に基づくシーケンサーを使用してもよいが、解析の効率を考慮すると、次世代シーケンサーを使用することが好ましい(例えば、Metzker ML、Nat Rev Genet. 2010 Jan;11(1):31-46参照)。次世代シーケンサーとしては、Illumina社のMiSeq/HiSeq、Life Technogies社のSOLiDシステム、Roche社の454シーケンスシステム(GSFLX+/GS Junior)等が例示できる。シーケンシングにおいては、シーケンスキャプチャ技術等を用いて、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子が存在している可能性がある領域を濃縮(enrich)することで、解析の効率を向上させることができる。シーケンスキャプチャ技術としては、Roche社のRoche NimbleGen、Agilent Technologies社のSure Select等が例示できる。
以下に、ゲノムDNAの検出のための代表的な方法を例示するが、これらに限定されるものではない。

0081

〈FISH法スプリットアッセイ〉
FGFR3融合遺伝子のFISH法スプリットアッセイでは、検出用プローブとして、FGFR3遺伝子の5’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって蛍光標識したものと、同遺伝子の3’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって別の蛍光色素で標識したものとの組み合わせを使用する。正常な場合(野生型FGFR3遺伝子の場合)には、2つの遺伝子領域(各遺伝子ごとの5’末端側領域と3’末端側領域)が近接しているため、2つのシグナルが重なった色(例えば、赤色蛍光色素緑色蛍光色素を使用する場合には、黄色)として検出されるのに対して、転座又は逆位により2つの遺伝子領域が切断されている場合は、2種類の蛍光色素に由来するシグナル(例えば、赤色と緑色)が別々に離れて検出される。従って、FISH法スプリットアッセイでは、FGFR3遺伝子の5’末端側ゲノム領域とFGFR3遺伝子3’末端側ゲノム領域とが染色体上で離れていることを検出することにより、FGFR3融合遺伝子の存在を検出している。

0082

また、TACC3融合遺伝子のFISH法スプリットアッセイでは、検出用プローブとして、TACC3遺伝子の5’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって蛍光標識したものと、同遺伝子の3’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって別の蛍光色素で標識したものとの組み合わせを使用する。正常な場合(野生型TACC3遺伝子の場合)には、2つの遺伝子領域(各遺伝子ごとの5’末端側領域と3’末端側領域)が近接しているため、2つのシグナルが重なった色(例えば、赤色蛍光色素と緑色蛍光色素を使用する場合には、黄色)として検出されるのに対して、転座又は逆位により2つの遺伝子領域が切断されている場合は、2種類の蛍光色素に由来するシグナル(例えば、赤色と緑色)が別々に離れて検出される。従って、FISH法スプリットアッセイでは、TACC3遺伝子の5’末端側ゲノム領域とTACC3遺伝子3’末端側ゲノム領域とが染色体上で離れていることを検出することにより、TACC3融合遺伝子の存在を検出している。

0083

FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、検出用プローブとして、TACC3遺伝子の5’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって蛍光標識したものと、同遺伝子の3’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって別の蛍光色素で標識したものとの組み合わせ、あるいは、FGFR3遺伝子の5’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって蛍光標識したものと、同遺伝子の3’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって別の蛍光色素で標識したものとの組み合わせを使用することにより、FGFR3−TACC3融合遺伝子を検出することができる。

0084

〈FISH法フュージョンアッセイ〉
FGFR3融合遺伝子のFISH法フュージョンアッセイでは、例えば、FGFR3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、検出用プローブとして、FGFR3遺伝子の5’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって蛍光標識したものと、TACC3遺伝子の3’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって別の蛍光色素で標識したものとの組み合わせを使用することができる。正常な場合(野生型FGFR3遺伝子の場合)には、2種類の蛍光色素に由来するシグナル(例えば、赤色と緑色)が別々に離れて検出されるのに対して、転座又は逆位により2つの遺伝子領域が近接している場合は、2つのシグナルが重なった色(例えば、黄色)として検出される。

0085

また、TACC3融合遺伝子のFISH法フュージョンアッセイでは、例えば、TACC3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、検出用プローブとして、FGFR3遺伝子の5’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって蛍光標識したものと、TACC3遺伝子の3’末端側ゲノム領域をカバーするポリヌクレオチドであって別の蛍光色素で標識したものとの組み合わせを使用することができる。正常な場合(野生型TACC3遺伝子の場合)には、2種類の蛍光色素に由来するシグナル(例えば、赤色と緑色)が別々に離れて検出されるのに対して、転座又は逆位により2つの遺伝子領域が近接している場合は、2つのシグナルが重なった色(例えば、黄色)として検出される。

0086

〈FISH法を用いた遺伝子重複の検出〉
FGFR3融合遺伝子構築に伴う遺伝子重複は、例えば、FGFR3融合遺伝子が、FGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、後述の実施例1で詳細に説明するように、検出用プローブとして、FGFR3遺伝子の5’末端側ゲノム領域の少なくとも一部をカバーするポリヌクレオチドであって蛍光標識したものを使用することができる。そして、野生型FGFR3遺伝子のみを含む場合に比較して強いシグナル、例えば、2倍以上のシグナルが得られることを検出することで、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。
なお、FGFR3遺伝子由来のポリヌクレオチドと融合して融合遺伝子を構築している他の遺伝子(例えば、FGFR3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、TACC3遺伝子)の3’側ゲノム領域の検出用プローブを使用し、前記方法で、FGFR3融合遺伝子を検出してもよい。

0087

TACC3融合遺伝子構築に伴う遺伝子重複は、例えば、TACC3融合遺伝子が、FGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、後述の実施例1で詳細に説明するように、検出用プローブとして、TACC3遺伝子の3’末端側ゲノム領域の少なくとも一部をカバーするポリヌクレオチドであって蛍光標識したものを使用することができる。そして、野生型TACC3遺伝子のみを含む場合に比較して強いシグナル、例えば、2倍以上のシグナルが得られることを検出することで、TACC3融合遺伝子を検出することができる。
なお、TACC3遺伝子由来のポリヌクレオチドと融合して融合遺伝子を構築している他の遺伝子(例えば、TACC3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、FGFR3遺伝子)の5’側ゲノム領域の検出用プローブを使用し、前記方法で、TACC3融合遺伝子を検出してもよい。

0088

CGアレイ解析を用いた遺伝子重複の検出〉
FGFR3融合遺伝子構築又はTACC3融合遺伝子構築に伴う遺伝子重複は、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)アレイ解析(例えば、Agilent CGH/CNV Array解析;アジレントテクノロジー社)により、検出することができる。

0089

〈次世代シーケンサーを用いた遺伝子重複の検出〉
FGFR3融合遺伝子構築又はTACC3融合遺伝子構築に伴う遺伝子重複は、次世代シーケンサーにより、検出することができる。具体的には、次世代シーケンサーを用いた解析において、遺伝子重複部分のカバレッジが高い(解析対象としたDNA断片のシーケンスをリファレンス配列にアノテーションした際の該当部分の冗長度が高い)ことを検出することで、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子を検出することができる。

0090

〈検出に用いるプローブ(ゲノム用)〉
FGFR3融合遺伝子を検出するための、ハイブリダイゼーションに用いるプローブとしては、FGFR3融合遺伝子の少なくとも一部のヌクレオチド又はそれらの相補鎖にストリンジェントな条件下で(好ましくはよりストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするプローブが好ましい。

0091

例えば、融合点を含むFGFR3融合遺伝子のゲノムDNAを検出する場合、FGFR3融合遺伝子の融合点をはさんでその上流及び下流のそれぞれ16塩基からなる、連続した少なくとも32塩基の核酸分子、又はそれらの相補鎖を含むプローブを用いてもよい。

0092

TACC3融合遺伝子を検出するための、ハイブリダイゼーションに用いるプローブとしては、TACC3融合遺伝子の少なくとも一部のヌクレオチド又はそれらの相補鎖にストリンジェントな条件下で(好ましくはよりストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするプローブが好ましい。

0093

例えば、融合点を含むTACC3融合遺伝子のゲノムDNAを検出する場合、TACC3融合遺伝子の融合点をはさんでその上流及び下流のそれぞれ16塩基からなる、連続した少なくとも32塩基の核酸分子、又はそれらの相補鎖を含むプローブを用いてもよい。

0094

例えば、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子が、FGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、FISH法フュージョンアッセイに用いることのできるプローブとしては、FGFR3遺伝子又はTACC3遺伝子のいずれか一方の遺伝子の5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、残る一方の遺伝子の3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとの組み合わせ(好ましくは、FGFR3遺伝子の5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、TACC3遺伝子の3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとの組み合わせ)を用いることができる。
一方、例えば、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子が、FGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、FISH法スプリットアッセイに用いることのできるプローブとしては、FGFR3遺伝子5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、FGFR3遺伝子の3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとの組み合わせ、あるいは、TACC3遺伝子5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、TACC3遺伝子3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとの組み合わせ(好ましくは、FGFR3遺伝子の5’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第1のプローブと、FGFR3遺伝子の3’末端側ゲノム領域を特異的に認識できる第2のプローブとの組み合わせ)を用いることができる。

0095

〔mRNAの検出〕
mRNAの検出は、ノーザンハイブリダイゼーション法等によりmRNA自体を解析することにより行っても、又は、当業者に周知の方法によりmRNAを鋳型として合成した、相補的DNA(cDNA)を解析することにより行ってもよい。
上記RNAの検出には、シーケンス技術を好適に用いることができる。シーケンシングには、解析の効率を考慮すると、次世代シーケンサーを使用することが好ましい(例えば、Metzker ML、Nat Rev Genet. 2010 Jan;11(1):31-46参照)。次世代シーケンサーとしては、Illumina社のMiSeq/HiSeq、Life Technogies社のSOLiDシステム、Roche社の454シーケンスシステム(GSFLX+/GS Junior)等が例示できる。シーケンシングにおいては、後述の遺伝子増幅反応方法、シーケンスキャプチャ技術等を用いて、FGFR3融合遺伝子が存在している可能性がある領域を濃縮(enrich)することで、解析の効率を向上させることができる。シーケンスキャプチャ技術としては、Roche社のRoche NimbleGen、Agilent Technologies社のSure Select等が例示できる。

0096

〈遺伝子増幅反応方法による検出〉
mRNAは、検出対象であるFGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子の少なくとも一部のポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したプライマーを用いた、遺伝子増幅反応方法にて検出することができる。以下に、mRNAの検出のための代表的な方法を例示するが、これらに限定されるものではない。

0097

==PCR法==
例えば、PCR法では、PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって分析し、エチジウムブロマイド染色等によって目的とするサイズの増幅断片が得られたか否かを確認できる。目的とするサイズの増幅断片が得られた場合は、被験者から得た試料において、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子が存在していたことになる。このように、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子を検出することができる。
本発明のFGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子の検出方法としては、被験者から得た試料中の、特定のポリヌクレオチドを遺伝子増幅反応により増幅する工程に加え、更に目的とするサイズの増幅断片が得られたか否かを検出する工程を含むことが好ましい。

0098

PCR法は、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子を定量的に検出することに適している。
従って、前述の<FGFR3融合遺伝子を検出する態様(1−b)>に記載のように、FGFR3遺伝子の5’末端側領域と3’末端側領域の発現量をそれぞれ特異的に検出し、その発現量の比を求めることによってFGFR3融合遺伝子を検出することができる。或いは、FGFR3遺伝子と共にFGFR3融合遺伝子を構築しているFGFR3遺伝子以外の他の遺伝子の5’末端側領域と3’末端側領域の発現量をそれぞれ特異的に検出し、その発現量の比を求めることによって、FGFR3融合遺伝子を検出することができる。
また、前述の<TACC3融合遺伝子を検出する態様(1−b)>に記載のように、TACC3遺伝子の5’末端側領域と3’末端側領域の発現量をそれぞれ特異的に検出し、その発現量の比を求めることによってTACC3融合遺伝子を検出する方法に好適に用いることができる。あるいは、TACC3遺伝子と共にTACC3融合遺伝子を構築しているTACC3遺伝子以外の他の遺伝子の5’末端側領域と3’末端側領域の発現量をそれぞれ特異的に検出し、その発現量の比を求めることによって、TACC3融合遺伝子を検出することができる。

0099

なお、PCR法、及び、これに用いるプライマー設計法は、公知の方法に従って当業者が行うことができる。
例えば、FGFR3遺伝子の5’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマー、ならびに、FGFR3遺伝子の3’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを用いることができる。
例えば、TACC3遺伝子の5’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマー、ならびに、TACC3遺伝子の3’末端側領域を特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを用いることができる。

0100

==リアルタイムPCR法==
更には、PCR法においては、遺伝子の増幅過程においてPCR増幅モニターリアルタイムPCR)法(Genome Res., 6(10), 986, 1996)を用いることにより、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子の検出において、より定量的な解析を行うことが可能である。PCR増幅モニター法としては、例えば、ABIRISM7900(PEバイオシステムズ社)を用いることができる。リアルタイムPCRは公知の方法であり、そのための装置及びキットは市販されており、これらを利用して簡便に行える。

0101

より具体的には、例えばFGFR3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子であって、mRNAを指標にしてFGFR3融合遺伝子を検出する場合、センスプライマー(5’−プライマー、フォワードプライマー)を、FGFR3遺伝子由来の任意の部分から、アンチセンスプライマー(3’−プライマー、リバースプライマー)を、TACC3遺伝子由来の任意の部分から設計する。
また、例えばTACC3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子であって、mRNAを指標にしてTACC3融合遺伝子を検出する場合、センスプライマー(5’−プライマー、フォワードプライマー)を、FGFR3遺伝子由来の任意の部分から、アンチセンスプライマー(3’−プライマー、リバースプライマー)を、TACC3遺伝子由来の任意の部分から設計する。

0102

==マルチプレックスPCR==
FGFR3融合遺伝子を検出するためのPCR法では、FGFR3遺伝子と融合してFGFR3融合遺伝子を構成する他の各遺伝子、及び、複数の融合点に対応した上記センスプライマーを混ぜることにより、1反応液により全ての融合ポリヌクレオチドを検出するマルチプレックスPCR(Multiplex PCR)を設計することもできる。
TACC3融合遺伝子を検出するためのPCR法では、TACC3遺伝子と融合してTACC3融合遺伝子を構成する他の各遺伝子、及び、複数の融合点に対応した上記センスプライマーを混ぜることにより、1反応液により全ての融合ポリヌクレオチドを検出するマルチプレックスPCR(Multiplex PCR)を設計することもできる。

0103

==質量分析による検出==
上記遺伝子増幅反応方法を用いた検出方法において、増幅断片の解析のために、特開2012-100628号公報に記載の質量分析法を用いることができる。

0104

==検出に用いるプライマーセット==
本発明のFGFR3融合遺伝子を検出するための検出方法に用いられるプライマーセットは、検出対象であるFGFR3融合遺伝子の少なくとも一部を特異的に増幅でき、FGFR3融合遺伝子を検出できるものであれば、特には限定されず、当業者が、検出対象ポリヌクレオチドの塩基配列に基づいて設計することができる。
本発明のTACC3融合遺伝子を検出するための検出方法に用いられるプライマーセットは、検出対象であるTACC3融合遺伝子の少なくとも一部を特異的に増幅でき、TACC3融合遺伝子を検出できるものであれば、特には限定されず、当業者が、検出対象ポリヌクレオチドの塩基配列に基づいて設計することができる。
PCR増幅モニター法におけるプライマー設計は、プライマー設計ソフトウェア(例えば、Primer Express; PE Biosystems)などを利用してできる。また、PCR産物のサイズが大きくなると増幅効率が悪くなるため、センスプライマーとアンチセンスプライマーは、mRNA又はcDNAを対象に増幅したときの増幅産物の大きさが1kb以下になるように設定するのが適切である。

0105

〈ハイブリダイゼーション法による検出〉
mRNAは、検出対象であるFGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子の少なくとも一部のポリヌクレオチドにハイブリダイズするプローブを用いた、ハイブリダイゼーション法にて検出することができる。
ハイブリダイゼーション技術を利用した検出は、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション、ドットブロット法、DNAマイクロアレイ法、RNAプロテクション法などが挙げられる。

0106

==プローブ(mRNA用)==
ハイブリダイゼーションに用いるプローブとしては、FGFR3融合遺伝子の少なくとも一部又はそれらの相補鎖にストリンジェントな条件下で(好ましくはよりストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズするプローブが好ましい。

0107

<融合タンパク質の検出>
被験者から得た試料中の、FGFR3融合タンパク質又はTACC3タンパク質を検出する技法としては、タンパク質を解析するために用いられる当業者に周知いかなる技法、又は、これらの技法を応用したいかなる技法を用いてもよい。

0108

例えば、FGFR3融合タンパク質の検出に用いる方法としては、FGFR3タンパク質、又は、FGFR3タンパク質と共にFGFR3融合タンパク質を構築するFGFR3タンパク質以外の他のタンパク質を特異的に認識する抗体、あるいは、FGFR3融合タンパクを特異的に認識する抗体を用いた免疫学的測定法(イムノアッセイ法)、酵素活性測定法ELISA法)、2抗体サンドイッチELISA法、蛍光免疫測定法放射免疫測定法ウェスタンブロッティング法、免疫組織化学法、免疫沈降法、iAEP(intercalated antibody-enhanced polymer)法、FRET法を例示することができる。あるいは、これらと組み合わせて、または単独で、質量分析法、アミノ酸シーケンス法を用いることができる。

0109

例えば、TACC3融合タンパク質の検出に用いる方法としては、TACC3タンパク質、又は、TACC3タンパク質と共にTACC3融合タンパク質を構築するTACC3タンパク質以外の他のタンパク質を特異的に認識する抗体、あるいは、TACC3融合タンパクを特異的に認識する抗体を用いた免疫学的測定法(イムノアッセイ法)、酵素活性測定法(ELISA法)、2抗体サンドイッチELISA法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法、ウェスタンブロッティング法、免疫組織化学法、免疫沈降法、iAEP(intercalated antibody-enhanced polymer)法、FRET法を例示することができる。あるいは、これらと組み合わせて、または単独で、質量分析法、アミノ酸シーケンス法を用いることができる。
以下に、タンパク質の検出のための代表的な方法を例示するが、これらに限定されるものではない。

0110

〔検出に用いる代表的な手法〕
抗体を用いる検出方法としては、上記公知の方法によればよいが、例えば以下の方法を用いることができる。

0111

〈免疫組織化学法〉
例えば、検出対象のFGFR3融合タンパク質又はTACC3融合タンパク質が、FGFR3−TACC3融合タンパク質の場合、検出対象の融合タンパク質が存在している可能性のある組織切片に対し、FGFR3タンパク質のN末端側領域のポリペプチドに結合する抗FGFR3抗体及びTACC3タンパク質のC末端側領域のポリペプチドに結合する抗TACC3抗体を用いた免疫染色を行い、それらの抗体が近接していることを指標に、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。また、FGFR3タンパク質のN末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体と、FGFR3タンパク質のC末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体を用いた免疫染色を行い、それらの抗体が離れて局在していることを指標に、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。また、TACC3タンパク質のN末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体と、TACC3タンパク質のC末端側領域のポリペプチドに特異的に結合する抗体を用いた免疫染色を行い、それらの抗体が離れて局在していることを指標に、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。また、融合点を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体を用いた免疫染色を行い、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。

0112

〈ウェスタンブロッティング法〉
例えば、検出対象のFGFR3融合タンパク質又はTACC3融合タンパク質がFGFR3−TACC3融合タンパク質の場合、検出対象の融合タンパク質が存在している可能性のある細胞抽出液を、当業者に周知の方法により電気泳動して細胞抽出液中のタンパク質を分離した後、メンブレンブロッティングする。
そして、タンパク質がブロッティングされたメンブレンに対し、FGFR3タンパク質のN末端側領域のポリペプチドに結合する抗FGFR3抗体及びTACC3タンパク質のC末端側領域に結合する抗TACC3抗体を用いた免疫染色を行い、メンブレン上の所望の位置に、抗FGFR3抗体と抗TACC3抗体が結合していることを指標に、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。
また、融合点を含むポリペプチドに特異的に結合する抗体を用い、当該抗体がメンブレン上の所望の位置に結合していることを指標に、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。
あるいは、抗FGFR3抗体を用い、当該抗体が、メンブレン上のFGFR3−TACC3融合タンパク質に結合していることを指標に、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。この際、メンブレン上で野生型FGFR3タンパク質が予測される位置とは異なる位置に抗FGFR3抗体が結合することを指標に、検出対象の融合タンパク質の存在を検出してもよい。
抗TACC3抗体を用い、抗FGFR3抗体を用いた場合と同じ原理で、FGFR3−TACC3融合タンパク質を検出してもよい。

0113

〈免疫沈降法〉
例えば、検出対象のFGFR3融合タンパク質又はTACC3融合タンパク質が、FGFR3−TACC3融合タンパク質の場合、検出対象の融合タンパク質が存在している可能性のある細胞抽出液に対し、FGFR3タンパク質のN末端側領域のポリペプチドに結合する抗FGFR3抗体又はTACC3タンパク質C末端側領域のポリペプチドに結合する抗TACC3抗体のいずれか一方の抗体で免疫沈降を行い、その沈降物に対して残るもう一方の抗体で検出することで、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。上記の通り、免疫沈降と検出をした後、更には、検出抗体により、検出したポリペプチドが目的の検出対象ポリペプチドの大きさであることを確認することが好ましい。

0114

あるいは、検出対象のFGFR3融合タンパク質が存在している可能性のある細胞抽出液に対し、FGFR3タンパク質のN末端側領域のポリペプチドに結合する抗FGFR3抗体で免疫沈降を行い、更にその沈降物の質量分析を行うことにより、野生型FGFR3と異なる質量の抗FGFR3抗体と結合するタンパク質の存在を確認することで、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。
検出対象のTACC3融合タンパク質が存在している可能性のある細胞抽出液に対し、TACC3タンパク質のC末端側領域のポリペプチドに結合する抗TACC3抗体で免疫沈降を行い、さらにその沈降物の質量分析を行うことにより、野生型TACC3と異なる質量の抗TACC3抗体と結合するタンパク質の存在を確認することで、検出対象の融合タンパク質の存在を検出することもできる。

0115

〔検出に用いる抗体〕
なお、本発明に係る検出方法に用いる抗体は、FGFR3融合タンパク質又はTACC3融合タンパク質の所望の部位に特異的に結合する範囲で特に制限されず、モノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよく、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を組みあわせて用いることもできる。前記抗体としては、免疫グロブリンそれ自体であっても、抗原結合能を保持した抗体断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はFvでもよい。また、抗体の結合を検出するため、当業者に周知のいかなる標識やシグナル増幅法が用いられてもよい。

0116

<標識手法>
上記遺伝子(ゲノムDNA、mRNA、cDNA等)及びタンパク質の検出方法において、プローブ、プライマー、増幅産物、抗体等の標識は公知の技術を用いればよい。例えば、蛍光標識、化学発光標識放射性標識酵素標識ビオチン標識アビジン標識等を挙げることができる。
プローブを用いた検出方法において、プローブを標識する場合、その標識方法は上記のとおり、公知の方法によればよく、例えば、BACクローンから、標識された核酸プローブを作製する場合、ニックトランスレーションランダムプライム法等の公知手法を用いることができる。またその際、ビオチン−dUTP(例えば、Roche Applied Science社製)を用いてプローブをビオチン標識し、アビジンと結合させた、蛍光体放射性同位体酵素等、を更に処理することでプローブを標識することができる。
抗体を用いた検出方法において、抗体を標識する場合、その標識方法は上記のとおり、公知の方法によればよいが、例えば、下記の標識方法が挙げられる。

0117

〔iAEP(intercalated antibody-enhanced polymer)法〕
検出対象となるタンパク質に結合する第一抗体と、ポリマー試薬の間に介在抗体を入れることにより、染色感度を上げることが可能である(Takeuchiら、Clin Cancer Res, 2009 May 1; 15(9):3143-3149)。

0118

蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)〕
2つの抗体の近接を検出する手法として、例えば、FRET現象を利用したプローブ(FRETプローブ)を用いることができる。抗体の一つをドナー蛍光物質(CFP等)で標識し、他の抗体をアクセプター蛍光物質(YFP等)で標識した場合、両者が十分に近い距離にあると、FRET現象により、YFPが励起状態となり、基底状態に戻る際に蛍光を発する。この蛍光を検出することで、2つの抗体が近接していることを検出することができる。

0119

≪FGFR3阻害物質による治療の適用対象の判定≫
本発明の検出方法における検出対象のFGFR3融合遺伝子又は検出対象のFGFR3融合タンパク質が、被験者から得た試料から検出された場合は、当該被験者は、FGFR3融合体陽性のがんを有する対象(患者)であり、FGFR3阻害物質による治療の適用対象となる。

0120

≪TACC3阻害物質による治療の適用対象の判定≫
本発明の検出方法における検出対象のTACC3融合遺伝子又は検出対象のTACC3融合タンパク質が、被験者から得た試料から検出された場合は、当該被験者は、TACC3融合体陽性のがんを有する対象(患者)であり、TACC3阻害物質による治療の適用対象となる。

0121

≪検出用キット≫
本発明の検出用キットには、検出対象のFGFR3融合遺伝子の検出用キット、又は、検出対象のFGFR3融合タンパク質の検出用キットが含まれる。
本発明の検出用キットには、検出対象のTACC3融合遺伝子の検出用キット、又は、検出対象のTACC3融合タンパク質の検出用キットが含まれる。

0122

本発明の検出対象のFGFR3融合遺伝子の検出用キット、又は、TACC3融合遺伝子の検出用キットには、本発明の検出方法においてFISH法フュージョンアッセイ又はFISH法スプリットアッセイに用いることのできるプローブ、あるいは、本発明の検出方法における検出対象のFGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子の少なくとも一部を特異的に増幅できるように設計したセンス及びアンチセンスプライマーが含まれる。センス及びアンチセンスプライマーセットは、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子の少なくとも一部のポリヌクレオチドであり、かつ、増幅対象であるポリヌクレオチドの増幅用のプライマーとして機能するポリヌクレオチドのセットである。

0123

また、本発明の検出対象のFGFR3融合タンパク質又はTACC3融合タンパク質の検出用キットには、本発明の検出方法に用いることができる抗体が含まれる。

0124

<プローブ>
本発明のFGFR3融合遺伝子の検出用キットは、FGFR3融合遺伝子の少なくとも一部のポリヌクレオチド、又は、その相補鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記FGFR3融合遺伝子を検出できるプローブを1種類、あるいは、2種類以上の組み合わせで含むことができる。
本発明のTACC3融合遺伝子の検出用キットは、TACC3融合遺伝子の少なくとも一部のポリヌクレオチド、又は、その相補鎖にストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、前記TACC3融合遺伝子を検出できるプローブを1種類、あるいは、2種類以上の組み合わせで含むことができる。

0125

プローブとして、前述の≪検出方法に用いる技法≫に記載したいずれか1種類以上のプローブが例示できる。
例えば、FGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子がFGFR3−TACC3融合遺伝子の場合、FGFR3遺伝子由来ポリヌクレオチドにハイブリダイズする1種類以上の(好ましくは2種類以上の)プローブ、又は、TACC3遺伝子由来ポリヌクレオチドにハイブリダイズする1種類以上の(好ましくは2種類以上の)プローブ、のいずれかのみを含んでも、FGFR3遺伝子由来ポリヌクレオチドにハイブリダイズする1種類以上のプローブ、及び、TACC3遺伝子由来ポリヌクレオチドにハイブリダイズする1種類以上のプローブ、の両方を含んでも、あるいは、FGFR3融合遺伝子の融合点を含むポリヌクレオチドにハイブリダイズする1種類以上のプローブ、又は、TACC3融合遺伝子の融合点を含むポリヌクレオチドにハイブリダイズする1種類以上のプローブを含んでもよい。

0126

<プライマーセット>
本発明のFGFR3融合遺伝子の検出用キットは、FGFR3融合遺伝子の少なくとも一部を特異的に増幅でき、FGFR3融合遺伝子を検出できるプライマーセットを1セット、あるいは、2セット以上の組み合わせで含むことができる。
本発明のTACC3融合遺伝子の検出用キットは、TACC3融合遺伝子の少なくとも一部を特異的に増幅でき、TACC3融合遺伝子を検出できるプライマーセットを1セット、あるいは、2セット以上の組み合わせで含むことができる。
プライマーセットとして、前述の≪本発明の検出方法の態様≫又は≪検出方法に用いる技法≫に記載したいずれか1種類以上のプライマーセットが例示できる。

0127

本発明のプライマーセットには、好ましくは、
(1)FGFR3タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分から設計されるセンスプライマー及びTACC3タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、FGFR3遺伝子とTACC3遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、アンチセンスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」にストリンジェントな条件下(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でアニールする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなり、センスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」の相補鎖にストリンジェントな条件(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でアニールする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなるプライマーセット、が含まれる。

0128

また、前記プライマーセット(1)のより具体的な態様として、本発明のプライマーセットには、以下の(2)〜(6)のプライマーセットが含まれる。

0129

(2)配列番号1(FGFR3ex18−TACC3ex4)の塩基番号1から2634間の、好ましくは塩基番号1から2628間の、任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号2629から5004間の、好ましくは塩基番号2635から5004間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
(3)配列番号3(FGFR3ex18−TACC3ex9)の塩基番号1から2634間の、好ましくは塩基番号1から2628間の、任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号2629から3561間の、好ましくは塩基番号2635から3561間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
(4)配列番号5(FGFR3ex17−TACC3ex11)の塩基番号1から2536間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号5の塩基番号2537から3270間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
(5)配列番号1、3、及び、5で表されるFGFR3融合遺伝子を検出するための、以下のプライマーセット。
fgfr3-1781-F:GTGAAGATGCTGAAAGACGATG(配列番号14)
tacc3-2559-R:GGTCAGCTCCTCGTTCTCTTTAG(配列番号15)
(6)配列番号1、3、及び、5で表されるFGFR3融合遺伝子を検出するための、以下のプライマーセット。
fgfr3-1990-F:CTACTCCTTCGACACCTGCAAG(配列番号7)
tacc3-2612-R:CCGTGGAGGTCAGATCTTCTC(配列番号8)
(7)配列1、3、及び、5で表されるFGFR3融合遺伝子を検出するための、以下のプライマーと、当該プライマーと共に3’−RACE法を実施できる任意のアンチセンスプライマーとからなる、プライマーセット。
fgfr3-2022-F:AGCAGCTCACCTTCAAGGACCTGG(配列番号13)

0130

また、本発明のプライマーセットは、前述の〈遺伝子増幅反応方法による検出〉==PCR法==に記載のように、FGFR3遺伝子の5’末端側領域と3’末端側領域の発現量を検出するためのプライマーセット、又は、FGFR3遺伝子と共に融合遺伝子を構築する他の遺伝子の5’末端側領域と3’末端側領域の発現量を検出するためのプライマーセットであってもよい。
このようなプライマーセットとして、FGFR3遺伝子の5’末端側領域と、3’末端側領域とをそれぞれ検出するための以下の(8)、(9)のプライマーセットを例示できる。
(8)FGFR3遺伝子 5’末端側領域検出用プライマーセット。
fgfr3-469-F:CACTGTCTGGGTCAAGGATG (配列番号9)
fgfr3-651-R:TCCCCGTCTTCGTCATCTC(配列番号10)
(9)FGFR3遺伝子 3’末端側領域検出用プライマーセット。
fgfr3-3213-F:CTGAAATTACGGGTACCTGAAG(配列番号11)
fgfr3-3352-R:TCCGTTGTACCAGCCTTTTC(配列番号12)

0131

これらのプライマーセット(1)〜(9)においては、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーの選択位置の間隔が1kb以下であるか、あるいは、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下であることが好ましい。
また、本発明のプライマーは、通常、15〜40塩基、好ましくは16〜24塩基、更に好ましくは18〜24塩基、特に好ましくは20〜24塩基の鎖長を有する。

0132

本発明のプライマーセットは、本発明の検出方法において、検出対象ポリヌクレオチドを増幅及び検出するために用いることができる。また、本発明のプライマーセットに含まれる各プライマーは、特に限定されるものではないが、例えば、化学合成法によって製造することができる。

0133

<抗体>
本発明のFGFR3融合タンパク質の検出用キットには、FGFR3融合タンパク質の任意の部位に特異的に結合する抗体を1種類、あるいは、2種類以上の組み合わせで含むことができる。具体的には、前述の<融合タンパク質の検出>に記載した抗体が例示できる。
本発明のTACC3融合タンパク質の検出用キットには、TACC3融合タンパク質の任意の部位に特異的に結合する抗体を1種類、あるいは、2種類以上の組み合わせで含むことができる。具体的には、前述の<融合タンパク質の検出>に記載した抗体が例示できる。
例えば、FGFR3融合タンパク質又はTACC3融合タンパク質が、FGFR3−TACC3融合タンパク質の場合、FGFR3タンパク質由来ポリペプチドに結合する1種類以上の(好ましくは2種類以上の)抗体、又は、TACC3タンパク質由来ポリペプチドに結合する1種類以上の(好ましくは2種類以上の)抗体、のいずれかのみを含んでも、FGFR3タンパク質由来ポリペプチドに結合する1種類以上の抗体、及び、TACC3タンパク質由来ポリペプチドに結合する1種類以上の抗体、の両方を含んでも、あるいは、FGFR3融合タンパク質の融合点を含むポリペプチドに結合する1種類以上の抗体、又は、TACC3融合遺伝子の融合点を含むポリヌクレオチドに結合する1種類以上の抗体を含んでもよい。

0134

≪阻害物質のスクリーニング方法≫
<ポリペプチドを阻害する物質をスクリーニングする工程>
本発明の、阻害物質のスクリーニング方法は、前記検出対象ポリペプチドを阻害する物質をスクリーニングすることができ、
(1)検出対象ポリペプチド、又は前記ポリペプチドを発現している細胞に試験物質を接触させる工程、
(2)前記ポリペプチドが阻害されるか否かを分析する工程、及び
(3)前記ポリペプチドを阻害する物質を選択する工程
を含む。

0135

本明細書において、「ポリペプチドの阻害」には、ポリペプチドの活性の阻害と、ポリペプチドの発現の阻害とが含まれる。また、「阻害」は、少なくとも一部の阻害を意味する。

0136

<阻害物質スクリーニング工程とその指標>
本発明のスクリーニング方法には、
(A)精製又は粗製のポリペプチドを用いて、インビトロでポリペプチドの活性阻害を指標とする方法、
(B)ポリペプチドを発現している細胞を用いて、ポリペプチドの活性阻害を指標とする方法、
(C)ポリペプチドを発現している細胞を用いて、ポリペプチドの発現阻害を指標とする方法
が含まれる。

0137

〔(A)精製又は粗製ポリペプチドを用い、活性阻害を指標とする方法〕
前記方法(A)には、インビトロでポリペプチドに試験物質を添加して接触させる工程、前記試験物質により前記ポリペプチドの活性が阻害されたか否かを、対照(試験物質を接触させなかったポリペプチド)と比較して分析する工程、ポリペプチドの活性を阻害した物質を選択する工程を含む方法が含まれる。
インビトロにおけるポリペプチド活性の測定は、公知のキナーゼ活性測定法を用いることができ、例えば、キナーゼ反応により生成するADP量を指標としても、あるいは、ポリペプチドのチロシンリン酸化ベルを指標としてもよく、市販のキナーゼ活性測定キットを用いることもできる。

0138

〔(B)ポリペプチド発現細胞を用い、活性阻害を指標とする方法〕
前記方法(B)には、ポリペプチドを発現している細胞に試験物質を添加して接触させる工程、前記試験物質により前記ポリペプチドの活性が阻害されたか否かを、対照(試験物質を接触させなかった細胞)と比較して分析する工程、ポリペプチドの活性を阻害した物質を選択する工程を含む方法が含まれる。
前記細胞におけるポリペプチド活性の測定は、公知のキナーゼ活性測定法を用いることができ、例えば、キナーゼ反応により生成するADP量を指標としても、あるいは、ポリペプチドのチロシンリン酸化レベルを指標としてもよく、市販のキナーゼ活性測定キットを用いることもできる。

0139

〔(C)ポリペプチド発現細胞を用い、発現阻害を指標とする方法〕
前記方法(C)には、ポリペプチドを発現している細胞に試験物質を添加して接触させる工程、前記試験物質により前記ポリペプチドの発現が阻害されたか否かを、対照(試験物質を接触させなかった細胞)と比較して分析する工程、ポリペプチドの発現を阻害した物質を選択する工程を含む方法が含まれる。
前記細胞におけるポリペプチドの発現は、タンパク質又はmRNAの量を測定することにより分析することができる。タンパク質量の測定には、例えば、ELISA法、イムノブロット法を用いることができ、mRNA量の測定には、例えば、RT−PCR法、ノーザンブロット法を用いることができる。

0140

ここで、FGFR3融合遺伝子は、腫瘍形成能を有する遺伝子である。従って、本発明の阻害物質スクリーニング方法で選択したポリペプチド阻害物質は、FGFR3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物の有効物質又はその候補物質として有用であり、本発明方法は、所望により、前記阻害物質がFGFR3融合体陽性のがんに対する治療活性を有することを確認する工程を更に含むことができる。
また、TACC3融合遺伝子は、腫瘍形成能を有する遺伝子である。従って、本発明の阻害物質スクリーニング方法で選択したポリペプチド阻害物質は、TACC3融合体陽性のがんの治療薬又はその候補物質として有用であり、本発明方法は、所望により、前記阻害物質がTACC3融合体陽性のがんに対する治療活性を有することを確認する工程を更に含むことができる。
前記確認工程は、公知の評価系を用いて実施することができ、例えば、培養細胞を用いるインビトロ評価系、腫瘍細胞を移植した担がんモデル動物を用いる評価系などを挙げることができる。

0141

前記ポリペプチド発現細胞は、本発明のポリヌクレオチドを、常法に従って、所望の細胞に導入することで得ることもできる(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th Edition(2012)、Cold Spring Harbor Laboratory Press参照)。具体的には、例えば、本発明のFGFR3融合遺伝子又はTACC3融合遺伝子であるcDNAを、組換えベクターに導入し、これを更に細胞に導入することで、前記ポリペプチド発現細胞(形質転換細胞)を得ることができる。

0142

≪阻害物質を含有するがん治療用医薬組成物≫
本発明の、FGFR3融合体陽性のがん(例えば、子宮がん)の治療用医薬組成物は、FGFR3融合遺伝子又はその転写産物に対する阻害物質を含む。例えば、本発明の阻害物質スクリーニング方法で得られる阻害物質(例えば、低分子化合物二重鎖核酸(siRNAを含む)、タンパク質(抗体又は抗体断片を含む)、ペプチド、又はそれ以外の化合物)を有効成分として含有し、所望により、製剤学的許容される担体を含有することができる。
本発明のTACC3融合体陽性のがんの治療用医薬組成物は、TACC3融合遺伝子又はその転写産物に対する阻害物質を含む。例えば、本発明の阻害物質スクリーニング方法で得られる阻害物質(例えば、低分子化合物、二重鎖核酸(siRNAを含む)、タンパク質(抗体又は抗体断片を含む)、ペプチド、又はそれ以外の化合物)を有効成分として含有し、所望により、製剤学的に許容される担体を含有することができる。

0143

<FGFR3融合遺伝子又は転写産物、あるいは、TACC3融合遺伝子又は転写物に対する阻害物質>
FGFR3融合遺伝子又はその転写産物に対する阻害物質としては、キナーゼ阻害剤、例えば、FGFR3阻害物質、又は、FGFR3遺伝子と共に融合遺伝子を構築するもう一方の遺伝子又はその転写物質に対する阻害物質を挙げることができる。
TACC3融合遺伝子又はその転写産物に対する阻害物質としては、キナーゼ阻害剤、例えば、TACC3阻害物質、又は、TACC3遺伝子と共に融合遺伝子を構築するもう一方の遺伝子又はその転写物質に対する阻害物質を挙げることができる。

0144

〔低分子化合物〕
前記阻害物質のうち、低分子化合物の具体例としては、
LY287455((R)-(E)-2-(4-(2-(5-(1-(3,5-Dichloropyridin-4-yl)ethoxy)-1H-indazol-3yl)vinyl)-1H-pyrazol-1-yl)ethanol、Zhao G et al. Mol Cancer Ther. 2011 Nov;10(11):2200-2010参照)、PD173074(1-tert-butyl-3-[6-(3,5-dimethoxy-phenyl)-2-(4-diethylamino-butylamino)-pyrido[2,3-d]pyrimidin-7-yl]-urea、Miyake M et al. J Pharmacol Exp Ther. 2010 Mar;332(3):795-802参照)、SU5402(3-[(3-(2-carbox-yethyl)-4-methylpyrrol-2-yl)methylene]-2-indolinone)、Grand EK et al. Leukemia. 2004 May;18(5):962-966参照)、dovitinib(TKI-258、CHI-258、4-amino-5-fluoro-3-[6-(4-methylpiperazin-1-yl)-1H-benzimidazole-2-yl]quinolin-2(1H)-one、Trudel S et al. Blood. 2005 Apr 1;105(7):2941-2948参照)、masitinib (4-[(4-methylpiperazin-1-yl)methyl]-N-(4-methyl-3-{[4-(pyridin-3-yl)-1,3-thiazol-2-yl]amino}phenyl)benzamide、Dubreuil P et al.PLoS One. 2009 Sep 30;4(9):e7258参照)、Ponatinib(3-[2-(imidazo[1,2-b]pyridazin-3-yl)ethynyl]-4-methyl-N-{4-[(4-methylpiperazin-1-yl)methyl]-3-(trifluoromethyl)phenyl}benzamide、Katoh, M. and Nakagama, H. Med. Res. Rev. 2013 May. doi: 10.1002/med.21288参照)、TAS-2985(Taiho Pharmaceutical Co Ltd)、
JNJ-42756493(Janssen Biotech Inc)、lenvatinib(4-{3-chloro-4-[(cyclopropylcarbamoyl)amino]phenoxy}-7-methoxyquinoline-6-carboxamide)、BGJ-398(3-(2,6-dichloro-3,5-dimethoxy-phenyl)-1-{6-[4-(4-ethyl-piperazin-1-yl)-phenylamino]-pyrimidin-4-yl}-1-methyl-urea、Cheng T et al. PLoS One. 2013;8(2):e57284参照)、AZD-4547(N-[5-[2-(3,5-Dimethoxyphenyl)ethyl]-2H-pyrazol-3-yl]-4-(3,5-diemthylpiperazin-1-yl)benzamide、Gavine PR et al. Cancer Res. 2012 Apr 15;72(8):2045-2056参照)、KHS-101(N4-isobutyl-N2-((2-phenylthiazol-4-yl)methyl)pyrimidine-2,4-diamine, Sigma-Aldrich, Wurdak H. et al., Proc Natl Acad Sci USA. 2010 Sep 21;107(38):16542-7参照)、および、これらの薬学的に許容される塩等を挙げることができる。

0145

〔二重鎖核酸〕
二重鎖核酸は、二重鎖核酸(RNA又はDNA)部分と、好ましくはセンス鎖及びアンチセンス鎖の3’末端のオーバーハングとからなり、RNAiを誘導する。RNAiは進化的に保存された現象で、RNaseIIIエンドヌクレアーゼによって生じる21〜23塩基の二重鎖核酸を介して起こる(Genes Dev. 15, 485-490, 2001)。3’側のオーバーハングはそれぞれ1又は2塩基の任意の核酸であるが、2塩基が好ましい。なお、前記塩基数(21〜23塩基)は、オーバーハングを含むセンス鎖又はアンチセンス鎖の各々の塩基数である。また、センス鎖及びアンチセンス鎖は、同じ塩基数であることもできるし、異なる塩基数であることもできるが、同じ塩基数であることが好ましい。

0146

二重鎖核酸の3’側オーバーハングを構成するリボ核酸としては、例えば、U(ウリジン)、A(アデノシン)、G(グアノシン)、又はC(シチジン)を用いることができ、3’側のオーバーハングを構成するデオキシリボ核酸としては、例えば、dT(デオキシチミジン)、dA(デオキシアデノシン)、dG(デオキシグアノシン)、又はdC(デオキシシチジン)を用いることができる。

0147

本発明の医薬組成物の有効成分として用いることのできる二重鎖核酸は、FGFR3融合遺伝子に対する阻害作用又はTACC3融合遺伝子に対する阻害作用を有するものであれば、特に限定されない。例えば、二重鎖部分が融合点を含むポリヌクレオチドの塩基配列、例えば、配列番号1の第2628番〜第2635番を含む塩基配列、配列番号3の第2628番〜第2635番を含む塩基配列、或いは、配列番号5の第2536番〜第2537番を含む塩基配列に基づいて設計することができる。あるいは、二重鎖部分が、キナーゼ部分をコードするポリヌクレオチドの塩基配列に基づいて設計することができる。本発明の二重鎖核酸は、常法(例えば、J. Am. Chem. Soc., 120, 11820-11821, 1998; 及びMethods, 23, 206-217, 2001)により製造することができる。また、二重鎖核酸を委託製造する会社(例えば、RNAi社)は、当業者によく知られており、二重鎖核酸の製造に利用できる。また、siRNA配列設計システム(商用siDirect(登録商標);RNAi社)により、二重鎖核酸を設計することができる。

0148

〔タンパク質・抗体〕
本発明の医薬組成物の有効成分として用いることのできる抗体は、FGFR3融合遺伝子の転写産物又はTACC3融合遺伝子の転写物、好ましくは、FGFR3−TACC3遺伝子の転写産物を阻害するものであれば、限定されない。例えば、FGFR3融合タンパク質又はTACC3融合タンパク質の活性、好ましくはキナーゼ活性を阻害するものが挙げられる。

0149

以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
なお、実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キット測定装置を用いている場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。

0150

[実施例1]臨床検体での遺伝子異常のFISH法による検出
臨床検体での遺伝子異常をFISH法で検出した。手術により摘出され、20%ホルマリン固定化されパラフィン包埋された子宮がん組織を4μmの厚さで切りスライドガラス上に乗せ病理切片を作製した。FISH法は文献(Takeuchi K, Choi YL, Soda M, Inamura K, Togashi Y, Hatano S, Enomoto M, Takada S, Yamashita Y, Satoh Y, Okumura S, Nakagawa K, Ishikawa Y, Mano H. Multiplex reverse transcription-PCRscreening forEML4-ALK fusion transcripts. Clin Cancer Res. 2008;14:6618-6624.)の方法に従い行った。作製した未染色の切片は、Histology FISHアクセサリーキット(Dako社)で処理し、続いて、赤(TexasRed)の蛍光標識したFGFR3遺伝子5’末端側領域をカバーするBAC(bacterial artificial chromosome)クローンクローン番号RP11-585J22)と、緑(FITC)の蛍光標識したFGFR3遺伝子3’末端側領域をカバーするBACクローン(クローン番号 RP11-241P10およびRP11-262P20)とを用いてハイブリダイゼーションした。更に続いて4,6−ジアミノ−2−フェニルインドール(4,6-diamino-2-phenylindole)で染色を行った。蛍光観察蛍光顕微鏡BX51(Olympus社)を使用した。約240例の病理検体での検討から、緑シグナル(FITC)が通常のFGFR3遺伝子領域の構造異常がない場合に比べて強く認められた、1例のFGFR3遺伝子領域のゲノム構造異常を示唆する検体(子宮頚がん患者由来)を見出した。また、このFGFR3遺伝子領域のゲノム構造異常は、上記検出されたシグナルパターンから、同一染色体上でFGFR3遺伝子の重複を伴っていることが示唆された。

0151

[実施例2]FGFR3融合遺伝子の検出(RT−PCR(1))
融合点を含む領域を直接増幅するRT−PCRで融合遺伝子の検出を行い、融合遺伝子ががん組織に存在していることを示した。具体的には、実施例1でFGFR3遺伝子領域のゲノム構造異常が示唆された検体由来RNAテンプレートからcDNAを合成し、このcDNAに対して、FGFR3遺伝子上に設計したセンスプライマーfgfr3-1990-F(配列番号7、表1)と、TACC3遺伝子上に設計したアンチセンスプライマーTACC3-2612-R(配列番号8、表1)と、を使用してPCRを行った。

0152

その結果、約3000bpおよび約1500bpの異なるサイズの増幅産物が得られ、FGFR3遺伝子とTACC3遺伝子の融合遺伝子の存在、さらには複数のバリアントの存在が示唆された。
さらに、これらのDNA断片を精製し、常法に従いTAクローニング(pT7Blue-2)後にシーケンス解析した。その結果、FGFR3遺伝子のキナーゼ領域を含む一部が、TACC3遺伝子の3’側の一部に融合していることが明らかとなった。また、その融合は、FGFR3遺伝子のエクソン18とTACC3遺伝子のエクソン4との間、または、FGFR3遺伝子のエクソン18とTACC3遺伝子のエクソン9との間で生じていることが判明した。

0153

[実施例3]FGFR3融合遺伝子の同定(3’−RACE)
実施例1で使用した約240例の病理検体について、FGFR3遺伝子の5’末端側を、センスプライマーfgfr3-469-F(配列番号9)および、アンチセンスプライマーfgfr3-651-R(配列番号10)のプライマーセットを用いて、また、FGFR3遺伝子の3’末端側を、センスプライマーfgfr3-3213-F(配列番号11)および、アンチセンスプライマーfgfr3-3352-R(配列番号12)のプライマーセットを用いて、それぞれリアルタイムPCR法をおこない、発現量の違いを比較した。その結果、FGFR3遺伝子の5’末端側の発現量が、3’末端側の発現量に比して高い検体が複数認められた。この中から、FGFR3遺伝子の5’末端側の発現量が、3’末端側の発現量に比して、特に高い検体を5例選択し、これらの組織由来のRNAをテンプレートに3’−RACEキット(SMARTer(登録商標)RACEcDNAAmplification Kit; Clonetech社)のプロトコールに従い、FGFR3遺伝子キナーゼ領域の3’側に存在する遺伝子を調べた。

0154

具体的には、ファーストストランドcDNA(1st strand cDNA)合成は、臨床検体由来のRNA0.5μgを用いて行った。さらに、3’−RACE(rapid amplification of cDNA ends)PCRは、キットに含まれるUPMプライマー、センスプライマー(配列番号13)、および、DNAポリメラーゼ(AmpliTaq Gold(登録商標);ライフテクノロジージャパン株式会社)を用いて行った。
本RACE産物を電気泳動し、1−2kbp付近のDNA断片を精製し、常法に従いTAクローニング後に、MiSeq(イルミナ社)を用いてシーケンス解析した。その結果、FGFR3遺伝子のキナーゼ領域を含む5’末端側の一部が、TACC3遺伝子の3’末端側の一部に融合していることが明らかとなった。

0155

また、その融合は、FGFR3遺伝子のエクソン18とTACC3遺伝子のエクソン4(配列番号1、FGFR3ex18-TACC3ex4、バリアント1)、FGFR3遺伝子のエクソン18とTACC3遺伝子のエクソン9(配列番号3、FGFR3ex18-TACC3ex9、バリアント2)、または、FGFR3遺伝子のエクソン17とTACC3遺伝子のエクソン11(配列番号5、FGFR3ex17-TACC3ex11、バリアント3)との間で生じていることが判明した。
FGFR3ex18-TACC3ex4においては、FGFR3はエクソン18の92番塩基まで(エクソン18の残り1665塩基を含まず)、その後、6塩基の挿入があり、TACC3のエクソン4の頭から融合していた。FGFR3ex18-TACC3ex9においては、FGFR3はエクソン18の92番塩基まで(エクソン18の残り1665塩基を含まず)、その後、6塩基の挿入があり、TACC3のエクソン9の頭から融合していた。FGFR3ex17-TACC3ex11においては、FGFR3はエクソン17の末尾まで、その後TACC3のエクソン11の頭から融合していた。

0156

[実施例4]FGFR3融合遺伝子の検出(RT−PCR(2))
実施例3においてFGFR3−TACC3融合遺伝子の存在が確認できた3種のバリアント(FGFR3ex18-TACC3ex4、FGFR3ex18-TACC3ex9、および、FGFR3ex17-TACC3ex11)を含む4検体からmRNAを回収し、FGFR3遺伝子上に設計したセンスプライマーfgfr3-1781-F(配列番号14、表1)およびTACC3遺伝子上に設計したアンチセンスプライマーtacc3-2559-R(配列番号15、表1)のプライマーペアを用いて、RT−PCRを実施した。
その結果、上記3種のバリアントに相当する長さ(3024bp、1581bp、1290bp)のPCR増幅産物が得られた。したがって、上記プライマーペアを用いて、FGFR3−TACC3融合遺伝子のバリアント群、好ましくは、FGFR3ex18-TACC3ex4、FGFR3ex18-TACC3ex9、および、FGFR3ex17-TACC3ex11の3バリアント、について、PCRによる検出を行うことが可能であることが明らかとなった。

0157

女性生殖器がんにおいて、これらの融合遺伝子及びその転写産物の存在は報告されておらず、初めて示されたものであった。また、女性生殖器がんにおけるFGFR3融合遺伝子およびその転写産物の存在もこれまで報告はなく、初めて示されたものであった。
当該融合遺伝子については、導入細胞における形質転換及び導入細胞移植マウスにおける腫瘍形成能が示されており、本融合遺伝子又はその転写産物の存在は、発現部位におけるがんの原因であることが示唆されている(非特許文献1参照)。

0158

実施例

0159

上より、本発明において、一部の女性生殖器がん患者においてFGFR3遺伝子の融合遺伝子が存在し、その遺伝子ががんの原因となっていることが明らかとなった。すなわち、FGFR3阻害物質による治療の対象となるがん患者を、FGFR3融合体、すなわち、FGFR3融合遺伝子およびその転写産物を検出することで、好ましくは、FGFR3ex18-TACC3ex4、FGFR3ex18-TACC3ex9、および、FGFR3ex17-TACC3ex11、並びにそれらの転写産物を検出することで、選別できることが明らかとなった。

0160

本発明の検出方法は、FGFR3融合体陽性のがん患者の判定に有用である。本発明の検出用キット及びプライマーセットは、前記検出方法に用いることができる。本発明の阻害物質スクリーニング方法は、当該融合体陽性のがん患者の治療に有効な物質をスクリーニングするのに用いることができる。前記スクリーニングにより得られる物質は、当該融合体陽性のがんの治療用医薬組成物の有効成分として使用することができる。前記検出方法により、当該融合体陽性のがん患者と判定された患者に、前記物質を投与することにより、がんを治療することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

0161

配列表の配列番号7〜15の配列で表される塩基配列は、合成プライマー配列である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ