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技術 正極活物質およびその製造方法

出願人 住友化学株式会社
発明者 酒井智弘高杉翼寺谷拓也角崎健太郎福本浩大
出願日 2015年1月16日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2015-557898
公開日 2017年3月23日 (2年4ヶ月経過) 公開番号 WO2015-108163
状態 特許登録済
技術分野 電池の電極及び活物質 重金属無機化合物(II)
主要キーワード X線解析 オーバーフロー法 簡易密閉 携帯型電子機器用 リン酸塩水溶液 累積体積分布 共沈反応 マントルヒータ
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図面 (4)

課題・解決手段

放電容量が高く、かつDCRが低いリチウムイオン二次電池を与える正極活物質を提供する。リチウム含有複合酸化物一次粒子が複数凝集した二次粒子を含む正極活物質であり、該リチウム含有複合酸化物は、aLi(Li1/3Mn2/3)O2・(1−a)LiMO2(ただし、MはNi、CoおよびMnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0<a<1である。)で表され、該二次粒子は断面の空隙率が12〜40%であり、かつ、正極活物質の孤立気孔率が5%以下である正極活物質。また、Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも2種と、Naの炭酸塩、Kの炭酸塩、NaOHおよびKOHからなる群から選ばれる少なくとも1種とを、水溶液の状態で混合して共沈物を得た後、前記共沈物と炭酸リチウムとを混合して焼成する前記正極活物質の製造方法。

概要

背景

携帯電話ノート型パソコン等の携帯型電子機器等には、リチウムイオン二次電池が広く使用されている。リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiNi0.8Co0.2O2等のLiと遷移金属元素とを含有するリチウム含有複合酸化物が知られている。
また、リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、LiCoaNibMncO2(ただし、0<a<1、0<b<1、0<c<1である。)で表される、いわゆる3元系のリチウム含有複合酸化物も知られている。

ところで、近年、携帯型電子機器用車載用等のリチウムイオン二次電池では、小型化、軽量化の要求が高まっており、単位質量あたりの放電容量(以下、単に「放電容量」という。)のさらなる向上が求められている。
リチウムイオン二次電池の放電容量を高くできる正極活物質としては、LiとMnの含有量が多い正極活物質、いわゆるリチウムリッチ系正極活物質が注目されている。

リチウムリッチ系正極活物質としては、たとえば、下記の(i)及び(ii)のものが提案されている。
(i)α−NaFeO2型結晶構造を有し、Li1+αMe1−αO2(ただし、MeはCo、NiおよびMnを含む遷移金属元素であり、α>0であり、遷移金属元素に対するLiのモル比(Li/Me)が1.2〜1.6であり、遷移金属元素に対するCoのモル比(Co/Me)が0.02〜0.23であり、遷移金属元素に対するMnのモル比(Mn/Me)が0.62〜0.72である。)で表される正極活物質(特許文献1)。
(ii)zLi2MnO3・(1−z)LiNiu+△Mnu−△CowAyO2(ただし、AはMg、Sr、Ba、Cd、Zn、Al、Ga、B、Zr、Ti、Ca、Ce、Y、Nb、Cr、FeおよびVから選ばれる1種以上の元素であり、zは0.03〜0.47であり、△は−0.3〜0.3であり、2u+w+y=1であり、wは0〜1であり、uは0〜0.5であり、y<0.1である。)で表される正極活物質(特許文献2)。

概要

放電容量が高く、かつDCRが低いリチウムイオン二次電池を与える正極活物質を提供する。リチウム含有複合酸化物の一次粒子が複数凝集した二次粒子を含む正極活物質であり、該リチウム含有複合酸化物は、aLi(Li1/3Mn2/3)O2・(1−a)LiMO2(ただし、MはNi、CoおよびMnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0<a<1である。)で表され、該二次粒子は断面の空隙率が12〜40%であり、かつ、正極活物質の孤立気孔率が5%以下である正極活物質。また、Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも2種と、Naの炭酸塩、Kの炭酸塩、NaOHおよびKOHからなる群から選ばれる少なくとも1種とを、水溶液の状態で混合して共沈物を得た後、前記共沈物と炭酸リチウムとを混合して焼成する前記正極活物質の製造方法。

目的

本発明は、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くでき、かつDCRを低くできる正極活物質、および該正極活物質の製造方法の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

リチウム含有複合酸化物一次粒子が複数凝集した二次粒子を含み、前記リチウム含有複合酸化物は、一般式aLi(Li1/3Mn2/3)O2・(1−a)LiMO2(ただし、MはNi、CoおよびMnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0<a<1である。)で表され、前記二次粒子は断面の空隙率が12〜40%であり、かつ、正極活物質孤立気孔率が5%以下であることを特徴とする正極活物質。

請求項2

前記リチウム含有複合酸化物における、Ni、CoおよびMnの合計モル量(X)に対する、Niモル比(Ni/X)が0.15〜0.5であり、Coモル比(Co/X)が0〜0.33であり、かつMnモル比(Mn/X)が0.33〜0.8である、請求項1に記載の正極活物質。

請求項3

前記リチウム含有複合酸化物における、Ni、CoおよびMnの合計モル量(X)に対するLiのモル比(Li/X)が1.1〜1.7である、請求項1または2に記載の正極活物質。

請求項4

正極活物質の粒子径D50が3〜15μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の正極活物質。

請求項5

正極活物質の比表面積が0.1〜10m2である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の正極活物質。

請求項6

前記リチウム含有複合酸化物のX線回折パターンにおける、空間群R−3mの結晶構造帰属する(003)面のピーク積分強度(I003)に対する、空間群C2/mの結晶構造に帰属する(020)面のピークの積分強度(I020)の比(I020/I003)が0.02〜0.3である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の正極活物質。

請求項7

請求項1〜6のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法であって、下記工程(I)および(II)を有する正極活物質の製造方法。(I)Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも2種の硫酸塩(A)と、Naの炭酸塩、Kの炭酸塩、NaOHおよびKOHからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ(B)とを、それぞれ水溶液の状態で混合して共沈物析出させる工程。(II)前記共沈物と炭酸リチウムとを混合し、500〜1000℃で焼成する工程。

請求項8

硫酸塩(A)の水溶液中におけるNi、CoおよびMnを合計した濃度が0.1〜2mol/kgである、請求項7に記載の正極活物質の製造方法。

請求項9

アルカリ(B)の水溶液中におけるアルカリ(B)の濃度が0.1〜2mol/kgである、請求項7または8に記載の正極活物質の製造方法。

請求項10

共沈物に含まれるNi、CoおよびMnの合計モル量(X)に対するリチウム化合物に含まれるLiのモル量の比が1.1〜1.7である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、正極活物質およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

携帯電話ノート型パソコン等の携帯型電子機器等には、リチウムイオン二次電池が広く使用されている。リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiNi0.8Co0.2O2等のLiと遷移金属元素とを含有するリチウム含有複合酸化物が知られている。
また、リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、LiCoaNibMncO2(ただし、0<a<1、0<b<1、0<c<1である。)で表される、いわゆる3元系のリチウム含有複合酸化物も知られている。

0003

ところで、近年、携帯型電子機器用車載用等のリチウムイオン二次電池では、小型化、軽量化の要求が高まっており、単位質量あたりの放電容量(以下、単に「放電容量」という。)のさらなる向上が求められている。
リチウムイオン二次電池の放電容量を高くできる正極活物質としては、LiとMnの含有量が多い正極活物質、いわゆるリチウムリッチ系正極活物質が注目されている。

0004

リチウムリッチ系正極活物質としては、たとえば、下記の(i)及び(ii)のものが提案されている。
(i)α−NaFeO2型結晶構造を有し、Li1+αMe1−αO2(ただし、MeはCo、NiおよびMnを含む遷移金属元素であり、α>0であり、遷移金属元素に対するLiのモル比(Li/Me)が1.2〜1.6であり、遷移金属元素に対するCoのモル比(Co/Me)が0.02〜0.23であり、遷移金属元素に対するMnのモル比(Mn/Me)が0.62〜0.72である。)で表される正極活物質(特許文献1)。
(ii)zLi2MnO3・(1−z)LiNiu+△Mnu−△CowAyO2(ただし、AはMg、Sr、Ba、Cd、Zn、Al、Ga、B、Zr、Ti、Ca、Ce、Y、Nb、Cr、FeおよびVから選ばれる1種以上の元素であり、zは0.03〜0.47であり、△は−0.3〜0.3であり、2u+w+y=1であり、wは0〜1であり、uは0〜0.5であり、y<0.1である。)で表される正極活物質(特許文献2)。

先行技術

0005

国際公開第2012/091015号
国際公開第2011/031546号

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、上記の(i)、(ii)のリチウムリッチ系正極活物質を有するリチウムイオン二次電池は、直流抵抗(以下、DCRと略す。)が高く、その結果、充放電サイクルを繰り返した際に充放電容量を維持する特性(以下、サイクル特性という)が低くなる問題がある。

0007

本発明は、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くでき、かつDCRを低くできる正極活物質、および該正極活物質の製造方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、前記の課題を達成するものであり、以下の要旨を有する。
[1]リチウム含有複合酸化物の一次粒子が複数凝集した二次粒子を含む正極活物質であり、
該リチウム含有複合酸化物は、一般式aLi(Li1/3Mn2/3)O2・(1−a)LiMO2(ただし、MはNi、CoおよびMnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0<a<1である。)で表され、
該二次粒子は断面の空隙率が12〜40%であり、かつ、正極活物質の孤立気孔率が5%以下であることを特徴とする正極活物質。
[2]前記リチウム含有複合酸化物は、Ni、CoおよびMnの合計モル量(X)に対してモル比で、Ni比(Ni/X)が0.15〜0.5、Co比(Co/X)が0〜0.33、Mn比(Mn/X)が0.33〜0.8である、前記[1]の正極活物質。
[3]前記リチウム含有複合酸化物における、Ni、CoおよびMnの合計モル量(X)に対するLiのモル比で、Li比(Li/X)が1.1〜1.7である、前記[1]または[2]の正極活物質。
[4]正極活物質の粒子径D50が3〜15μmである、前記[1]〜[3]のいずれかの正極活物質。
[5]正極活物質の比表面積が0.1〜10m2である、前記[1]〜[4]のいずれかの正極活物質。
[6]前記リチウム含有複合酸化物のX線回折パターンにおける、空間群R−3mの結晶構造に帰属する(003)面のピーク積分強度(I003)に対する、空間群C2/mの結晶構造に帰属する(020)面のピークの積分強度(I020)の比(I020/I003)が0.02〜0.3である、前記[1]〜[5]のいずれかの正極活物質。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかの正極活物質の製造方法であって、下記工程(I)および(II)を有する正極活物質の製造方法。
(I)Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも2種の硫酸塩(A)と、
Naの炭酸塩、Kの炭酸塩、NaOHおよびKOHからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ(B)とを、水溶液の状態で混合して共沈物析出させる工程。
(II)炭酸リチウムと前記共沈物とを混合し、500〜1000℃で焼成する工程。
[8]硫酸塩(A)の水溶液中におけるNi、CoおよびMnを合計した濃度が0.1〜2mol/kgである、前記[7]に記載の正極活物質の製造方法。
[9]アルカリ(B)の水溶液中におけるアルカリ(B)の濃度が0.1〜2mol/kgである、前記[7]または[8]に記載の正極活物質の製造方法。
[10]共沈物に含まれるNi、CoおよびMnの合計モル量(X)に対するリチウム化合物に含まれるLiのモル量の比が1.1〜1.7である、前記[7]〜[9]のいずれか一項に記載の正極活物質の製造方法。

発明の効果

0009

本発明の正極活物質を用いれば、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くでき、かつDCRを低減できる。また、本発明の正極活物質の製造方法によれば、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くでき、かつDCRを低くできる正極活物質が得られる。

図面の簡単な説明

0010

例1の正極活物質のX線回折パターンを示したグラフである。
例1の正極活物質の二次粒子断面のSEM画像である。
例8の正極活物質の二次粒子断面のSEM画像である。
例10の正極活物質の二次粒子断面のSEM画像である。

0011

以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「Li」との表記は、特に言及しない限り当該金属単体ではなく、Li元素であることを示す。Ni、Co、Mn等の他の表記も同様である。
正極活物質の組成分析は、誘導結合プラズマ分析法(以下、ICPという。)により行う。また、正極活物質における元素の比率は、初回充電前の正極活物質における値である。
「一次粒子」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される最小の粒子を意味する。また、「二次粒子」とは、一次粒子が凝集している粒子を意味する。
「D50」は、体積基準で求めた粒度分布の全体積を100%とした累積体積分布曲線において50%となる点の粒子径、すなわち、体積基準累積50%径を意味する。粒度分布は、レーザー散乱粒度分布測定装置で測定した頻度分布および累積体積分布曲線で求められる。粒子径の測定は、粉末水媒体中超音波処理等で充分に分散させて粒度分布を測定する(たとえば、レーザー回折散乱粒子径分布測定装置等を用いる)ことで行われる。

0012

<正極活物質>
本発明の正極活物質(以下、本活物質という)は、固溶体系のリチウム含有複合酸化物(1)(以下、複合酸化物(1)という)を含む。
複合酸化物(1)は、一般式aLi(Li1/3Mn2/3)O2・(1−a)LiMO2(ただし、MはNi、CoおよびMnから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、0<a<1である。)で表される。すなわち、複合酸化物(1)は、Li(Li1/3Mn2/3)O2とLiMO2の固溶体である。
本活物質は複合酸化物(1)を含むため、本活物質を有するリチウムイオン二次電池の放電容量を高くできる。

0013

前記一般式におけるaは、0.1〜0.78が好ましく、0.2〜0.75がより好ましい。本活物質は、aが0.1以上の複合酸化物(1)を含む場合、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くしやすい。本活物質は、aが0.7以下の複合酸化物(1)を含む場合、リチウムイオン二次電池の放電電圧が高くなりやすい。

0014

複合酸化物(1)のMは、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くする観点から、NiおよびMnを含有することが好ましく、Ni、CoおよびMnを含有することがより好ましい。

0015

複合酸化物(1)において、Ni、CoおよびMnのそれぞれの含有量は、Ni、CoおよびMnの合計モル量(X)に対してモル比で、Ni比(Ni/X)が0.15〜0.5、Co比(Co/X)が0〜0.33、Mn比(Mn/X)が0.33〜0.8であることが好ましい。本活物質は、Ni比、Co比およびMn比がそれぞれ前記範囲である複合酸化物(1)を含む場合、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くしやすく、またサイクル特性を良好にしやすい。

0016

Ni比は、0.15〜0.45がより好ましく、0.15〜0.37が特に好ましい。本活物質は、Ni比が0.15以上である複合酸化物(1)を含む場合、リチウムイオン二次電池の放電電圧を高くしやすい。本活物質は、Ni比が0.45以下である複合酸化物(1)を含む場合、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くしやすい。

0017

Co比は、0〜0.3がより好ましく、0〜0.25が特に好ましい。Co比が上限値以下である複合酸化物(1)を含む正極活物質は、リチウムイオン二次電池のサイクル特性がより良好になる。

0018

Mn比は、0.4〜0.82がより好ましく、0.5〜0.8が特に好ましい。本活物質は、Mn比が0.4以上である複合酸化物(1)を含む場合、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くしやすい。本活物質は、Mn比が0.82以下である複合酸化物(1)を含む場合、リチウムイオン二次電池の放電電圧を高くしやすい。

0019

複合酸化物(1)における、Ni、CoおよびMnの合計モル量(X)に対するモル比で、Li比(Li/X)は、1.1〜1.7が好ましい。Li比は1.1〜1.67がより好ましく、1.25〜1.6が特に好ましい。本活物質はLi比が前記範囲内である複合酸化物(1)を含む場合、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くできる。

0020

複合酸化物(1)は、Li、Ni、CoおよびMn以外の他の元素を含有してもよい。他の元素としてはP等が挙げられる。好ましい本活物質は、Pを含有する複合酸化物(1)を含む場合、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上できる。

0021

複合酸化物(1)は、一般式aLi(Li1/3Mn2/3)O2・(1−a)LiNibCocMndO2(ただし、bは0.33〜0.6、cは0〜0.33、dは0・33〜0.5ある。)で表される化合物が好ましい。また、bは0.33〜0.5がより好ましい。

0022

複合酸化物(1)は、Li(Li1/3Mn2/3)O2と、LiMO2との固溶体であり、2つの結晶構造を有する。Li(Li1/3Mn2/3)O2は、空間群C2/mの層状岩塩型結晶構造を有する。空間群C2/mの結晶構造は、リチウム過剰相とも呼ばれる。LiMO2は、空間群R−3mの層状岩塩型結晶構造を有する。複合酸化物(1)がこれらの結晶構造を有することは、X線回折測定により確認できる。

0023

複合酸化物(1)のX線回折パターンにおける、空間群R−3mの結晶構造の(003)面のピークの積分強度(I003)に対する、空間群C2/mの結晶構造の(020)面のピークの積分強度(I020)の比(I020/I003)は、0.02〜0.3であることが好ましい。本活物質の好ましい態様において、I020/I003が前記範囲にある複合酸化物(1)は、前記した2つの結晶構造をバランスよく含むため、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くしやすい。リチウムイオン二次電池の放電容量を高くする観点から、I020/I003は、0.02〜0.28がより好ましく、0.02〜0.25がさらに好ましい。
なお、X線回折測定は、実施例に記載の方法で行える。空間群R−3mの結晶構造の(003)面のピークは、2θ=18〜19°に現れるピークである。空間群C2/mの結晶構造の(020)面のピークは、2θ=20〜21°に現れるピークである。

0024

本活物質は、複合酸化物(1)の一次粒子が複数凝集した二次粒子を含む。本活物質は、二次粒子の断面の空隙率が12〜40%である。空隙率が前記範囲内にある本活物質を用いれば、リチウムイオン二次電池のDCRを低減できる。空隙率の下限値は、13%が好ましく、14%がより好ましい。二次粒子の断面の空隙率の上限値は、38%が好ましく、33%がより好ましい。

0025

「二次粒子の断面の空隙率」とは、以下のようにして算出した値である。二次粒子の断面を観察したSEM画像を二値化した画像(例えば、一次粒子が存在する部分を白色、二次粒子内の一次粒子が存在しない空隙部分と二次粒子の外側を黒色とする。)において、画像解析ソフトを用いて、二次粒子の外側部分、および二次粒子内の空隙部分における外側部分と繋がっている部分を第三の色(白および黒以外の色)で塗り潰す。二次粒子断面における一次粒子が存在する部分(白色部分)のドット数の合計をNA、当該二次粒子断面の空隙部分における第三の色に塗り潰されなかった部分、すなわち二次粒子断面の空隙部分における外側と繋がっていない部分(黒色部分)のドット数の合計をNBとして、下式(1)により空隙率(%)を求める。合計20個の二次粒子について空隙率を求め、これらの平均値を二次粒子の断面の空隙率とする。
(空隙率)=NB/(NA+NB)×100 ・・・(1)

0026

本活物質の孤立気孔率は5%以下である。本活物質は、孤立気孔率が5%以下であるので、リチウムイオン二次電池のDCRを低減できる。孤立気孔率は、4%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。
また、本活物質は、二次粒子の内側に中空部を有し外部から中空部まで通じる孔(以下、貫通孔という)を有することが好ましい。正極活物質が貫通孔を有していると、孤立気孔率が小さくなるため好ましい。

0027

「正極活物質の孤立気孔率」とは、以下のようにして算出した値である。ピクノメーター法により窒素ガスを用いて正極活物質の見掛け密度d1を測定する。また、X線回折によって正極活物質の格子定数を測定し、格子定数から理論的結晶密度d2を計算する。下式(2)によって孤立気孔率(%)を算出する。
(孤立気孔率)=(d2−d1)/d2×100 ・・・(2)

0028

本活物質は、複合酸化物(1)を本活物質としてもよく、複合酸化物(1)の表面に被覆物を有して本活物質としてもよい。複合酸化物(1)の表面に被覆物を有する本活物質は、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上できるため好ましい。複合酸化物(1)の表面に被覆物を有すると、複合酸化物(1)と電解液との接触頻度が減少し、その結果、複合酸化物(1)中のMn等の遷移金属元素の溶出を低減できるためと考えられる。

0029

本活物質の複合酸化物(1)の表面に存在する被覆物としては、他の電池特性下げることなく、サイクル特性を向上できるため、Alの化合物(Al2O3、AlOOH、Al(OH)3等)が好ましい。
被覆物は、複合酸化物(1)の表面に存在すればよく、複合酸化物(1)の全面に存在してもよく、複合酸化物(1)の一部に存在してもよい。

0030

本活物質のD50は、3〜15μmが好ましい。D50が前記範囲内であれば、リチウムイオン電池の放電容量を高くしやすい。本活物質のD50は、5〜15μmがより好ましく、6〜12μmが特に好ましい。

0031

本活物質の比表面積は、0.1〜10m2/gが好ましい。本活物質は比表面積が0.1m2/g以上の場合、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くできる。本活物質は、比表面積が10m2/g以下の場合、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を良好にできる。本活物質の比表面積は、0.5〜7m2/gがより好ましく、0.5〜5m2/gが特に好ましい。本活物質の比表面積は、実施例に記載の方法で測定される。

0032

<正極活物質の製造方法>
本発明の正極活物質の製造方法(以下、本製造方法という)は、下記の工程(I)および工程(II)を有することが好ましい。
(I)Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも2種の硫酸塩(A)と、Naの炭酸塩、Kの炭酸塩、NaOHおよびKOHからなる群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ(B)とを、水溶液の状態で混合し、混合液中で反応させて、金属を含む共沈物を析出させる工程。
(II)前記金属を含む共沈物と炭酸リチウムとを混合し、500〜1000℃で焼成する工程。

0033

[工程(I)]
工程(I)では、硫酸塩(A)とアルカリ(B)とを、水溶液の状態で混合し、混合液中で反応させる。これにより、Ni、CoおよびMnからなる群から選ばれる少なくとも2種の遷移金属元素を含む共沈物が析出する。工程(I)においては、必要に応じて他の溶液を混合してもよい。

0034

硫酸塩(A)とアルカリ(B)とを、水溶液の状態で混合する態様は、硫酸塩(A)とアルカリ(B)とが混合の際に水溶液の状態であれば特に限定されない。
具体的には、共沈物が析出しやすく、かつ共沈物の粒子径を制御しやすいことから、反応槽に硫酸塩(A)の水溶液と、アルカリ(B)の水溶液とを共に連続的に添加することが好ましい。反応槽には、予めイオン交換水、純水、蒸留水等を入れておくことが好ましい。さらに、アルカリ(B)や他の溶液を用いて反応槽中のpHを制御しておくことがより好ましい。
硫酸塩(A)とアルカリ(B)とを混合する際の混合液のpHは、共沈物を析出させやすいことから、7〜12の設定した値に保持することが好ましく、7.5〜10の設定した値に保持することがより好ましい。

0035

硫酸塩(A)は、Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩からなる群から選ばれる少なくとも2種の硫酸塩である。
Niの硫酸塩としては、たとえば、硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸ニッケル(II)・七水和物、硫酸ニッケル(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。
Coの硫酸塩としては、たとえば、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸コバルト(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。
Mnの硫酸塩としては、たとえば、硫酸マンガン(II)・五水和物、硫酸マンガン(II)アンモニウム・六水和物等が挙げられる。

0036

硫酸塩(A)としては、Niの硫酸塩およびMnの硫酸塩を含むことが好ましく、Niの硫酸塩、Coの硫酸塩およびMnの硫酸塩の全てを含むことがより好ましい。すなわち、工程(I)で得られる共沈物は、NiおよびMnを含む共沈物が好ましく、Ni、CoおよびMnの全てを含む共沈物がより好ましい。

0037

硫酸塩(A)の水溶液は、2種以上の硫酸塩(A)のそれぞれを別々の水溶液としてもよく、2種以上の硫酸塩(A)を含む1種の水溶液としてもよい。また、1種の硫酸塩(A)を含む水溶液と、2種以上の硫酸塩(A)を含む水溶液とを併用してもよい。2種のアルカリ(B)を使用する場合も同様である。

0038

硫酸塩(A)に含まれるNiの割合は、硫酸塩(A)に含まれるNi、CoおよびMnの合計モル量に対してモル比で、0.15〜0.5が好ましい。Niの割合が0.15〜0.5にあれば、所望の組成の複合酸化物(1)が得られる。同様の理由で、Niの割合は、0.15〜0.45がより好ましく、0.15〜0.37が特に好ましい。

0039

硫酸塩(A)に含まれるCoの割合は、硫酸塩(A)に含まれるNi、CoおよびMnの合計モル量に対してモル比で、0〜0.33が好ましい。Coの割合が、0〜0.33にあれば、所望の組成の複合酸化物(1)が得られる。同様の理由で、Coの割合は、0〜0.3がより好ましく、0〜0.25が特に好ましい。

0040

硫酸塩(A)に含まれるMnの割合は、硫酸塩(A)に含まれるNi、CoおよびMnの合計モル量に対してモル比で、0.33〜0.8が好ましい。Mnの割合が0.33〜0.8にあれば、所望の組成の複合酸化物(1)が得られる。同様の理由で、Mnの割合は、0.4〜0.82がより好ましく、0.5〜0.8が特に好ましい。

0041

硫酸塩(A)の水溶液中におけるNi、CoおよびMnを合計した濃度は、0.1〜2mol/kgが好ましく、0.5〜1.6mol/kgがより好ましい。前記濃度が下限値以上であれば、生産性が高い。硫酸塩(A)の濃度が2mol/kg以下であれば、硫酸塩(A)を水に充分に溶解できる。
硫酸塩(A)を含む水溶液を2種以上使用する場合は、それぞれの水溶液について遷移金属元素(X)の濃度を前記範囲内とすることが好ましい。

0042

アルカリ(B)は、Naの炭酸塩、Kの炭酸塩、NaOHおよびKOHからなる群から選ばれる少なくとも1種である。アルカリ(B)は、共沈物を析出させるためのpH調整剤としての役割も果たす。アルカリ(B)として、Naの炭酸塩またはKの炭酸塩を用いた場合、金属を含む炭酸化合物の共沈物が得られる。また、アルカリ(B)として、NaOHまたはKOHを用いた場合、金属を含む水酸化物の共沈物が得られる。
アルカリ(B)は、1種のみで使用してよく、2種以上の混合液としてもよい。複合酸化物(1)の製造容易性の観点から、アルカリ(B)としては、Naの炭酸塩およびKの炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の炭酸塩であることが好ましい。
Naの炭酸塩としては、炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
Kの炭酸塩としては、炭酸カリウム炭酸水素カリウムが挙げられる。
炭酸塩としては、安価で、かつ共沈物の粒子径を制御しやすい点では、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。

0043

アルカリ(B)の水溶液中におけるアルカリ(B)の濃度は、0.1〜2mol/kgが好ましく、0.5〜1.6mol/kgがより好ましい。前記アルカリ(B)の濃度が0.1〜2mol/kgであれば、共沈反応で共沈物を析出させやすい。
アルカリ(B)を含む水溶液を2種以上使用する場合は、それぞれの水溶液についてアルカリ(B)の濃度を前記範囲内とすることが好ましい。

0044

工程(I)で混合してもよい他の溶液としては、たとえば、アンモニア、またはアンモニウム塩を含む水溶液が挙げられる。これらは、pHや遷移金属元素の溶解度を調整する働きをする。アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム硫酸アンモニウム硝酸アンモニウム等が挙げられる。
アンモニアまたはアンモニウム塩は、硫酸塩(A)の供給と同時に混合液に供給することが好ましい。

0045

硫酸塩(A)の水溶液、アルカリ(B)の水溶液および他の溶液の溶媒としては、水が好ましい。硫酸塩(A)およびアルカリ(B)を溶解できれば、水以外の水性媒体を溶媒の全質量に対して、20%を上限として含有する混合媒体を溶媒としてもよい。
水以外の成分としては、たとえば、メタノールエタノール1−プロパノール2−プロパノールポリオール等が挙げられる。ポリオールとしては、たとえば、エチレングリコールプロピレングリコールジエチレングリコールジプロピレングリコールポリエチレングリコールブタンジオールグリセリン等が挙げられる。

0046

硫酸塩(A)とアルカリ(B)とを水溶液の状態で混合する際は、反応槽中で撹拌しながら行うことが好ましい。
撹拌装置としては、たとえば、スリーワンモータ等が挙げられる。撹拌翼としては、たとえば、アンカー型プロペラ型パドル型等の撹拌翼が挙げられる。

0047

硫酸塩(A)とアルカリ(B)とを混合する際の混合液の温度は、共沈物が析出しやすいことから、20〜80℃が好ましく、25〜60℃がより好ましい。
また、硫酸塩(A)とアルカリ(B)とを混合する際は、析出した共沈物の酸化を抑制する点から、窒素雰囲気下またはアルゴン雰囲気下で混合を行うことが好ましく、コストの面から、窒素雰囲気下で混合を行うことが特に好ましい。

0048

硫酸塩(A)とアルカリ(B)とを水溶液の状態で混合して共沈物を析出させるための好ましい方法としては、反応槽内の混合液を、ろ過材濾布等)を用いて抜き出して共沈物を濃縮しながら析出反応を行う方法(以下、濃縮法という。)と、反応槽内の混合液をろ過材を用いずに共沈物と共に抜き出して炭酸化合物の濃度を低く保ちながら析出反応を行う方法(以下、オーバーフロー法という。)の2種類が挙げられる。

0049

工程(I)は、濃縮法が好ましい。濃縮法で得られ共沈物を使用して得られたリチウム含有複合酸化物の二次粒子は、該二次粒子の断面の空隙率が前記範囲を満たすものとなりやすい。また、濃縮法で得られた共沈物を使用して得られた正極活物質は、該正極活物質の孤立気孔率が前記範囲を満たすものとなりやすい。
これは以下のように考えられる。濃縮法では反応槽中の混合液中の共沈物の固形分濃度が高いため、共沈物の一次粒子が凝集して、密度の高い共沈物の二次粒子が形成されやすく、さらに、該共沈物の二次粒子が凝集しやすい。共沈物の二次粒子が凝集すると、粒子表面が密になる。例えば、共沈物が炭酸化合物である場合には、工程(II)において、リチウム化合物と炭酸化合物とを混合して混合物を焼成するときに、該粒子表面が密であると、リチウム化合物からLiが炭酸化合物の内部に侵入しにくくなる。そのため、焼成により炭酸が除去されつつ、炭酸化合物の内部の原子が炭酸化合物の表面に移動してリチウム含有複合酸化物が形成される傾向がある。その結果、焼成後に得られるリチウム含有複合酸化物の二次粒子は該混合物からの体積の減少が小さくなり、中空部と、外側から該中空部まで通じる孔が形成され、二次粒子の断面の空隙率と正極活物質の孤立気孔率が前記範囲を満たすものとなりやすい。

0050

これに対し、オーバーフロー法では、析出した共沈物が混合液と共に随時抜き出されるために反応槽中の混合液中の共沈物の固形分濃度が低い。そのため、共沈物の二次粒子は凝集を起こしにくく、Liが侵入可能な孔を多く有する球状で均一な共沈物の二次粒子が形成されやすい。例えば、共沈物が炭酸化合物である場合には、工程(II)において該炭酸化合物とリチウム化合物とを混合して、混合物を焼成するときに、炭酸が除去されつつ、該炭酸化合物の二次粒子内にLiが侵入してリチウム含有複合酸化物が形成される傾向がある。そのため、焼成後に得られるリチウム含有複合酸化物の二次粒子は、焼成前の混合物から体積が大きく減少し、中実な粒子となりやすいと考えられる。

0051

さらに析出反応の条件を制御することで所望の中空粒子が得やすくなる。
反応時間は長い方が好ましい。これにより、共沈物の粒子表面が密になりやすい。その結果、焼成後に中空粒子となりやすい。
反応槽の初期のpHが高いことが好ましい。これにより、反応槽中のイオン強度が高くなり共沈物の凝集が進みやすい。その結果、焼成後に中空粒子となりやすい。
反応中の制御pHが高く、反応温度が高い方が好ましい。これにより、共沈物の凝集が進みやすい。その結果、焼成後に中空粒子となりやすい傾向がある。

0052

得られる共沈物中のNi、CoおよびMnのそれぞれの割合の好ましい範囲は、前述した使用する全ての硫酸塩(A)中のNi、CoおよびMnのそれぞれの割合の好ましい範囲と同じである。

0053

共沈物のD50は、3〜15μmが好ましく、6〜15μmがより好ましく、6〜12μmが特に好ましい。共沈物のD50が前記範囲内であれば、正極活物質のD50を好ましい範囲に制御しやすく、充分な電池特性を示す正極活物質が得られやすい。

0054

共沈物の比表面積は、50〜300m2/gが好ましく、100〜250m2/gがより好ましい。共沈物の比表面積が前記範囲内であれば、正極活物質の比表面積を前記した範囲内に制御しやすく、高い放電容量およびサイクル特性を示すリチウムイオン二次電池が得られる正極活物質を製造しやすい。
なお、共沈物の比表面積は、当該共沈物を120℃で15時間乾燥した後に測定した値を意味する。共沈物の比表面積は、BET法により測定できる。

0055

工程(I)は、共沈物を得た後に、ろ過、または遠心分離によって水溶液を取り除く工程を有することが好ましい。ろ過または遠心分離には、加圧ろ過機、減圧ろ過機、遠心分級機フィルタープレススクリュープレス回転型脱水機等を用いることができる。
得られた共沈物は、不純物イオンを取り除くために、洗浄することが好ましい。共沈物の洗浄方法としては、たとえば、加圧ろ過と蒸留水への分散を繰り返す方法等が挙げられる。
洗浄後に、共沈物を乾燥することが好ましい。
乾燥する場合、乾燥温度は、60〜200℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましい。前記乾燥温度が下限値以上であれば、共沈物を短時間で乾燥できる。前記乾燥温度が上限値以下であれば、共沈物の酸化を抑制できる。
乾燥する場合、乾燥時間は、1〜300時間が好ましく、5〜120時間がより好ましい。

0056

[工程(II)]
工程(II)では、工程(I)で得られた共沈物と、リチウム化合物とを混合し、500〜1000℃で焼成する。これにより、複合酸化物(1)が形成される。
リチウム化合物としては、炭酸リチウム、水酸化リチウムおよび硝酸リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、取扱いの容易性の観点から炭酸リチウムがより好ましい。
共沈物と炭酸リチウムとを混合する方法は、たとえば、ロッキングミキサナウタミキサ、スパイラルミキサカッターミル、Vミキサ等を使用する方法等が挙げられる。

0057

工程(II)において、共沈物に含まれるNi、CoおよびMnの合計モル量(X)に対するリチウム化合物に含まれるLiのモル量の比(混合比)は、1.1〜1.7が好ましく、1.1〜1.67がより好ましく、1.25〜1.6が特に好ましい。混合比が前記範囲内であれば、複合酸化物(1)のLi比を所望の範囲にでき、高い放電容量を示す正極活物質が得られやすい。

0058

焼成装置には、電気炉連続焼成炉ロータリーキルン等を使用できる。焼成時に前駆体化合物(共沈物)は酸化されることから、焼成は大気下で行うことが好ましく、空気を供給しながら行うことが特に好ましい。
空気の供給速度は、炉の内容積1Lあたりに対して10〜200mL/分が好ましく、40〜150mL/分がより好ましい。
焼成時に空気を供給することで、共沈物中の遷移金属元素が充分に酸化され、結晶性が高く、かつ目的とする結晶相を有する複合酸化物(1)を含む正極活物質が得られる。

0059

焼成温度は、500〜1000℃であり、600〜1000℃が好ましく、800〜950℃が特に好ましい。焼成温度が、前記範囲内であれば、結晶性の高い複合酸化物(1)が得られる。
焼成温度は高い方が共沈物の内部の原子が共沈物の表面に移動しやすい。その結果、二次粒子の断面の空隙率と正極活物質の孤立気孔率が前記範囲を満たすものとなりやすい。一方で焼成温度が高すぎると複合酸化物の中にスピネル等の異相が発生するため好ましくない。

0060

焼成時間は、4〜40時間が好ましく、4〜20時間がより好ましい。
焼成時間を長くすると、共沈物の内部の原子が共沈物の表面に移動できる。そのため、二次粒子の断面の空隙率と正極活物質の孤立気孔率が前記範囲を満たすものとなりやすい。

0061

焼成は、500〜1000℃での1段焼成でもよく、400〜700℃の仮焼成を行った後に、700〜1000℃で本焼成を行う2段焼成でもよい。なかでも、Liがリチウム含有複合酸化物中に均一に拡散しやすいことから2段焼成が好ましい。
2段焼成の場合の仮焼成の温度は、400〜700℃が好ましく、500〜650℃がより好ましい。また、2段焼成の場合の本焼成の温度は、700〜1000℃が好ましく、800〜950℃がより好ましい。

0062

なお、本活物質に含まれる複合酸化物(1)の製造方法は、前記した方法には限定されない。
たとえば、工程(I)で得られた共沈物とリン酸塩水溶液リン酸水溶液リン酸二水素アンモニウム水溶液、リン酸水素二アンモニウム水溶液等)を混合し、水分を揮発させる工程を行ってもよい。この工程により、正極活物質の一次粒子にP(リン)をドープできる。

0063

二次粒子の表面に被覆物を形成する方法としては、粉体混合法気相法、スプレーコート法浸漬法等が挙げられる。これらの方法について、被覆物としてAlの化合物を使用する例を用いて説明する。
粉体混合法とは、二次粒子とAlの化合物とを混合した後に加熱する方法である。気相法とは、アルミニウムエトキシドアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート等のAlを含む有機化合物気化し、該有機化合物を二次粒子の表面に接触させ、反応させる方法である。スプレーコート法とは、二次粒子にAlを含む溶液を噴霧した後、加熱する方法である。
また、焼成後の二次粒子に、Alの化合物を形成するためのAl水溶性化合物酢酸アルミニウムシュウ酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム乳酸アルミニウム塩基性乳酸アルミニウム硝酸アルミニウム等)を溶媒に溶解させた水溶液をスプレーコート法等で接触させた後、加熱して溶媒を除去することで、該二次粒子の表面にAlの化合物を含む被覆物を形成してもよい。

0064

本活物質は、リチウムリッチ系正極活物質であるため、放電容量の高いリチウムイオン二次電池が得られる。また、本活物質は、二次粒子の断面の空隙率が12〜40%で、かつ正極活物質の孤立気孔率が5%以下という条件を満たす。これにより、本活物質を有するリチウムイオン二次電池のDCRを低くできる。

0065

特開2011−119092号公報には、二次粒子の内側に中空部を有し、外部から中空部まで貫通する貫通孔が形成された、Li1+mNipCoqMnrM1sO2(ただし、M1は、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、Ta、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、LaおよびCeからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、0≦m≦0.2であり、0.1≦p≦0.9であり、0≦q≦0.5であり、0≦r≦0.5であり、0≦s≦0.02であり、p+q+r+s=1である。)で表される、いわゆる3元系の正極活物質が開示されている。
また、国際公開第2012/153379号には、二次粒子に同様の中空部と貫通孔が形成された、Li1+eNifCogMn(1−f−g)M2hO2(ただし、M2は、Zr、W、Mg、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、0≦e≦0.2であり、0.1<f<0.9であり、0.1<g<0.4であり、0≦h≦0.01である。)で表される、いわゆる3元系の正極活物質が開示されている。
また、国際公開第2013/031478号には、二次粒子に同様の中空部と貫通孔が形成された、Li1+iNijCokMn(1−j−k)WβM3γO2(ただし、M2は、Zr、Mg、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Si、Sn、Al、BおよびFからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、0≦i≦0.2であり、0.1<j<0.9であり、0.1<k<0.4であり、0.0005≦β≦0.01であり、0≦γ≦0.1である。)で表される、いわゆる3元系の正極活物質が開示されている。
また、国際公開第2012/169083号には、Li1+δNiεMnηCoζM4φO2(ただし、M4は、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Wからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、ε+η+ζ+φ=1であり、−0.05≦δ≦0.50であり、0.3≦ε≦0.7であり、0.1≦η≦0.55であり、0≦ζ≦0.4であり、0≦φ≦0.1である。)で表され、中空部を有し、結晶構造が六方晶層状結晶リチウムニッケルマンガン複合酸化物単層からなる、いわゆる3元系の正極活物質が開示されている。

0066

これらの文献には、いずれも中空部を有する3元系の正極活物質が記載されている。しかし、これらの文献には、二次粒子の内側に中空部を有し、二次粒子の断面の空隙率と正極活物質の孤立気孔率が前記範囲を満たすリチウムリッチ系正極活物質とすることは記載されていない。また、このようなリチウムリッチ系の正極活物質を使用することで、リチウムイオン二次電池は高い放電容量が得られ、かつDCRを低くできることは開示されていない。さらに、3元系の正極活物質を使用するリチウムイオン二次電池はDCRが低いことから、リチウムイオン二次電池のDCRを下げることは、リチウムリッチ系正極活物質に固有の課題といえる。
本発明は、リチウムイオン二次電池の放電容量を高くできるが、DCRを低くできないというリチウムリッチ系正極活物質を用いる場合に特有の課題を解決したものであり、本発明によって該課題が解決できることは、特開2011−119092号公報、国際公開第2012/169083号、国際公開第2013/031478号および国際公開第2012/169083号の記載からは予測困難である。

0067

以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1〜7、12は実施例、例8〜11、13は比較例である。例14、15は参考例である。
[比表面積]
比表面積は、比表面積測定装置(マウンテック社製、装置名;HM model−1208)を使用して窒素吸着BET(Brunauer,Emmett,Teller)法により測定した。脱気は、200℃、20分の条件で行った。

0068

[粒子径]
粒子を水中に超音波処理によって充分に分散させ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(日機装社製、装置名;MT−3300EX)により測定を行い、頻度分布および累積体積分布曲線を得ることで体積基準の粒度分布を得た。得られた累積体積分布曲線において、累積体積が50%となる点の(平均)粒子径をD50とした。

0069

[X線回折]
X線回折測定は、X線回折装置リガク社製、装置名:SmartLab)により行った。測定条件を表1に示す。測定は25℃で行った。得られたX線回折パターンについてリガク社製統合粉末X線解析ソフトウェアPDXL2を用いてピーク検索を行った。そこから、空間群R−3mの結晶構造に帰属する(003)面のピークの積分強度(I003)と、空間群C2/mの結晶構造に帰属する(020)面のピークの積分強度(I020)を求め、比(I020/I003)を算出した。

0070

0071

[空隙率]
エポキシ樹脂包埋した正極活物質をダイヤモンド砥粒研磨した試料を使用し、二次粒子の断面をSEMにより観察した。次いで、画像解析ソフトによって、得られたSEM画像を二値化した画像における、二次粒子の外側部分、および二次粒子内の空隙部分における外側部分と繋がっている部分を第三の色(緑色)で塗り潰した。次いで、二次粒子断面における一次粒子が存在する部分(白色部分)のドット数の合計をNA、当該二次粒子断面内の空隙部分における第三の色に塗り潰されなかった部分、すなわち当該二次粒子断面の空隙部分における外側と繋がっていない部分(黒色部分)のドット数の合計をNBとして、下式(1)により空隙率(%)を求めた。合計20個の二次粒子について空隙率を求め、これらの平均値を二次粒子断面の空隙率とした。
(空隙率)=NB/(NA+NB)×100 ・・・(1)

0072

[孤立気孔率]
全自動ピクノメーター(Ultrapyc 1200e、QUANTACHROME社製)を用い、ピクノメーター法により窒素ガスを用いて正極活物質の見掛け密度d1を測定した。また、X線回折の結果から二次粒子の格子定数を求め、格子定数から該正極活物質の理論的な結晶密度d2を計算により求めた。次に、下式(2)によって孤立気孔率(%)を算出した。
(孤立気孔率)=(d2−d1)/d2×100 ・・・(2)

0073

[組成分析]
正極活物質に含まれるリチウム含有複合酸化物の組成は、硫酸塩とリチウム化合物の仕込み量から算出した値である。aLi(Li1/3Mn2/3)O2・(1−a)LiNibCocMndO2で表したときのa、b、cおよびdを算出した。

0074

充電容量、放電容量、充放電効率
正極体シートの製造)
各例で得られた正極活物質と、導電材であるアセチレンブラック、およびポリフッ化ビニリデンバインダ)を、質量比で80:10:10となるように量し、これらをN−メチルピロリドンに加えて、スラリーを調製した。
次いで、該スラリーを、厚さ20μmのアルミニウム箔正極集電体)の片面上にドクターブレードにより塗工した。ドクターブレードのギャップ圧延後のシート厚みが30μmとなるように調整した。これを120℃で乾燥した後、ロールプレス圧延を2回行い、正極体シートを作製した。
リチウム二次電池の製造)
得られた正極体シートを直径18mmの円形打ち抜いたものを正極とし、ステンレス鋼簡易密閉セル型のリチウム二次電池をアルゴングローブボックス内で組み立てた。なお、負極集電体として厚さ1mmのステンレス鋼板を使用し、該負極集電体上に厚さ500μmの金属リチウム箔を形成して負極とした。セパレータには厚さ25μmの多孔質ポリプロピレンを用いた。また、エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の容積比1:1の混合溶液に、濃度が1mol/dm3となるようにLiPF6を溶解させた液を電解液として使用した。

0075

測定方法
例1〜13の正極活物質を有するリチウム二次電池の電池特性(充電容量、放電容量および充放電効率)は次の条件で測定した。正極活物質1gにつき20mAの負荷電流で4.6Vまで定電流充電した後、4.6Vの定電圧充電を行った。定電流充電と定電圧充電を合わせて23時間充電を行った。その後、正極活物質1gにつき20mAの負荷電流で2.0Vまで放電して初回充放電を行った。その時の充電容量に対する放電容量の割合を充放電効率とした。
例14および15の正極活物質を有するリチウム二次電池の電池特性は次の条件で測定した。正極活物質1gにつき16mAの負荷電流で4.3Vまで定電流充電した後、電流値が正極活物質1gにつき1.6mAとなるまで4.3Vの定電圧充電を行った。その後、正極活物質1gにつき16mAの負荷電流で2.0Vまで放電して初回充放電を行った。その時の充電容量に対する放電容量の割合を充放電効率とした。

0076

[DCR]
例1〜13の正極活物質を有するリチウム二次電池のDCRは次の条件で測定した。初回充放電後に3.75Vの定電流・定電圧充電を3時間半行い、その後正極活物質1gにつき60mAの負荷電流で1分間放電した。放電開始から10秒後の電圧降下を電流値で除算して、DCRの数値を計算した。
例14および15の正極活物質を有するリチウム二次電池のDCRは次の条件で測定した。初回充放電後に3.75Vの定電流・定電圧充電を3時間半行い、その後正極活物質1gにつき52mAの負荷電流で1分間放電した。放電開始から10秒後の電圧降下を電流値で除算して、DCRの数値を計算した。

0077

[例1]
硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物を、Ni、CoおよびMnの比率が表2に示すとおりとなるように、かつNi、CoおよびMnの合計濃度が1.5mol/Lとなるように蒸留水に溶解して硫酸塩水溶液を得た。また、炭酸ナトリウム1271gを蒸留水6729gに溶解させ、炭酸塩水溶液(pH調整液)を調製した。
次いで、2Lのバッフル付きガラス製反応槽に蒸留水を入れてマントルヒータで25℃に加熱し、反応槽内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼で撹拌しながら、添加速度は5.0g/分で前記硫酸塩水溶液を25時間添加した。前記硫酸塩水溶液の添加中は、反応槽内のpHを8.5に保つようにpH調整液を添加し、Ni、CoおよびMnを含む炭酸化合物(共沈物)を析出させた。混合液の初期のpHは7.0であった。析出反応中は、析出した共沈物が酸化しないように反応槽内に窒素ガスを流量2L/分で流した。また、析出反応に濃縮法を採用し、反応中に、反応槽内の液量が2Lを超えないようにろ布を用いて連続的に液の抜き出しを行った。

0078

得られた共沈物を加圧ろ過と蒸留水への分散を繰り返して洗浄し、不純物イオンを取り除いた。洗浄は、ろ液電気伝導度が20mS/m未満となった時点で終了した。次に、洗浄後の共沈物を120℃で15時間乾燥させた。
次に、乾燥後の共沈物と炭酸リチウムとを、共沈物中の遷移金属元素の合計モル量(X)に対するLiの混合比(Li/X)を表2に示す値で混合した。混合物を大気雰囲気下において、600℃で5時間仮焼成した後に900℃で16時間本焼成してリチウム含有複合酸化物を得た。このリチウム含有複合酸化物を正極活物質とした。

0079

[例2〜7、11]
析出反応条件とリチウム化条件を表2に示すとおりに変更した以外は、例1と同様にしてリチウム含有複合酸化物を得た。これらのリチウム含有複合酸化物を正極活物質とした。
例11では、硫酸アンモニウムを濃度が0.75mol/Lとなるように蒸留水に溶解して硫酸アンモニウム水溶液を調製し、該硫酸アンモニウム水溶液を硫酸塩水溶液と共に、炭酸化合物中の遷移金属元素の合計モル量(X)に対するアンモニウムイオンのモル比(NH4+/X)が表2に示すとおりとなるように28時間かけて添加した。

0080

[例8]
析出反応条件において、オーバーフロー法を採用し、反応槽からの液の抜き出しでろ布を使用しなかったこと以外は、例1と同様にして共沈物を得た。反応開始から15〜18時間の間にオーバーフローした炭酸化合物を使用した。
リチウム化条件は表2に示すとおり変更した以外は、例1と同様にしてリチウム含有複合酸化物を得た。得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質とした。

0081

[例9]
析出反応条件とリチウム化条件を表2に示すとおりとし、反応開始から12〜15時間の間にオーバーフローした共沈物を使用する以外は例8と同様にしてリチウム含有複合酸化物を得た。得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質とした。

0082

[例10]
硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸コバルト(II)・七水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物を、Ni、CoおよびMnの比率が表2に示すとおりとなるように、かつNi、CoおよびMnの合計濃度が1.5mol/Lとなるように蒸留水に溶解して硫酸塩水溶液を得た。また、質量割合で48%の水酸化ナトリウム水溶液をpH調整液として準備した。
次いで、2Lのバッフル付きガラス製反応槽に蒸留水を入れてマントルヒータで50℃に加熱し、反応槽内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼で撹拌しながら、前記硫酸塩水溶液を添加速度5.0g/分で28時間添加した。また、混合液のpHを10.0に保つようにpH調整液を添加して、Ni、CoおよびMnを含む水酸化物(共沈物)を析出させた。混合液の初期のpHは10.0であった。析出反応中は、析出した水酸化物が酸化しないように、反応槽内に窒素ガスを流量2L/分で流した。

0083

得られた共沈物を加圧ろ過と蒸留水への分散を繰り返して洗浄し、不純物イオンを取り除いた。洗浄は、ろ液の電気伝導度が20mS/m未満となった時点で終了した。洗浄後の共沈物を120℃で15時間乾燥させた。
次に、乾燥後の共沈物と炭酸リチウムとを、共沈物に含まれる遷移金属元素(X)の合計量に対するLiの混合比(Li/X)が表2となるように混合した。そして、混合物を大気雰囲気下において、600℃で5時間仮焼成した後に850℃で本焼成して、リチウム含有複合酸化物を得た。得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質とした。

0084

[例12]
硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸マンガン(II)・五水和物を、NiおよびMnの比率が表2に示すとおりとなるように、かつNiおよびMnの合計濃度が1.5mol/Lとなるように蒸留水に溶解して硫酸塩水溶液を得た。また、質量割合で48%の水酸化ナトリウム水溶液をpH調整液として準備した。硫酸アンモニウムを濃度が0.75mol/Lとなるように蒸留水に溶解して硫酸アンモニウム水溶液を調製した。
次いで、2Lのバッフル付きガラス製反応槽に蒸留水を入れてマントルヒータで50℃に加熱し、反応槽内の溶液を2段傾斜パドル型の撹拌翼で撹拌しながら、前記硫酸塩水溶液を添加速度5.0g/分で、硫酸アンモニウム水溶液を共沈物中の遷移金属元素の合計モル(X)に対するアンモニウムイオンのモル比(NH4+/X)が表2に示すとおりとなる添加速度で28時間添加した。また、混合液のpHを11.0に保つようにpH調整液を添加して、Ni、CoおよびMnを含む水酸化物(共沈物)を析出させた。混合液の初期のpHは11.0であった。析出反応中は、析出した水酸化物が酸化しないように、反応槽内に窒素ガスを流量2L/分で流した。

0085

得られた共沈物を加圧ろ過と蒸留水への分散を繰り返して洗浄し、不純物イオンを取り除いた。洗浄は、ろ液の電気伝導度が20mS/m未満となった時点で終了した。洗浄後の共沈物を120℃で15時間乾燥させた。
次に、乾燥後の共沈物と炭酸リチウムとを、共沈物に含まれる遷移金属元素(X)の合計量に対するLiの混合比(Li/X)が表2となるように混合した。そして、混合物を大気雰囲気下において、600℃で5時間仮焼成した後に935℃で本焼成して、リチウム含有複合酸化物を得た。得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質とした。

0086

[例13]
析出反応条件とリチウム化条件を表2に示すとおりとする以外は例12と同様にしてリチウム含有複合酸化物を得た。得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質とした。

0087

[例14、15]
Ni、CoおよびMnの比率が、モル比でNi:Co:Mn=5:2:3の水酸化物と炭酸リチウムとを混合し、表2に示す条件で焼成して、リチウム含有複合酸化物を得た。得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質とした。

0088

各例で得られた正極活物質のD50、比表面積、見掛け密度d1、二次粒子の断面の空隙率、および正極活物質の孤立気孔率を表3に示す。また、正極活物質のX線回折パターンの代表例として、例1の正極活物質のX線回折パターンを図1に示す。また、図1に示すような、各例で得られた正極活物質のX線回折パターンから算出したI003、I020、I020/I003の値、および正極活物質をaLi(Li1/3Mn2/3)O2・(1−a)LiNibCocMndO2で表したときのa、b、cおよびdの値を表3に示す。
また、正極活物質の二次粒子断面の代表例として、例1、8、10のSEM画像を図2〜4に示す。なお、表2における「OF法」とは、析出反応にオーバーフロー法を採用したことを意味する。

0089

0090

0091

0092

表3および図2〜4に示すように、例1〜7および12の正極活物質は、該正極活物質に含まれるリチウム含有複合酸化物の二次粒子の断面の空隙率が12〜40%であり、かつ正極活物質の孤立気孔率が5%以下である。そのため、表4に示すように例1〜7および12の正極活物質を有するリチウム二次電池はDCRが低く、放電容量および充放電効率が高い。
一方、二次粒子の断面の空隙率が低い、いわゆる中実の正極活物質である例8、9、11および13を有するリチウム二次電池は、放電容量は高いが、DCRが高かった。
また、二次粒子の断面の空隙率は12〜40%であるが、正極活物質の孤立気孔率が5%超である例10の正極活物質を有するリチウム二次電池はDCRが高かった。これは、中空であるが貫通孔を有さず、孤立気孔率が高いことが原因と考えられる。

実施例

0093

さらに、3元系の正極活物質の場合、空隙率が12%以上の例14と空隙率が12%未満の例15とでは、リチウム二次電池のDCRの変化がほとんどない。このように、3元系の正極活物質の場合、二次粒子の空隙率を制御しても該正極活物質を有するリチウム二次電池のDCRを低減させる効果は見られない。
以上のことから、リチウムリッチ系の正極活物質を用いた場合には、二次粒子の空隙率と正極活物質の孤立気孔率を所定の大きさに制御することで、該正極活物質を有するリチウム二次電池のDCRを低減する顕著な効果が発現するといえる。すなわち、該効果は、3元系の正極活物質では見られず、リチウムリッチ系の正極活物質における特有の効果である。

0094

本発明の正極活物質は、携帯型電子機器用、車載用等の広い分野で使用されるリチウムイオン二次電池の正極活物質として使用される。
なお、2014年1月20日に出願された日本特許出願2014−008063号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

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