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技術 電気化学素子及びその製造方法

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 白髪充朗三浦照久
出願日 2015年1月15日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2015-557771
公開日 2017年3月23日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 WO2015-107893
状態 特許登録済
技術分野 電池用電極の担体または集電体 電気二重層コンデンサ等 電池の電極及び活物質 二次電池(その他の蓄電池)
主要キーワード 交点箇所 スリット形 非対向領域 リード箔 各測定箇所 ドープ速度 限定事項 混成電位
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月23日)のものです。
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図面 (13)

課題・解決手段

正極(20)及び負極(10)がセパレータ(30)を介して積層または巻回された電気化学素子であって、負極(10)は、負極体(10A)と負極体(10B)とを備え、負極体(10A)、(10B)は、それぞれ、負極集電体(11)と、負極集電体(11)の第1の面に形成され、カチオンがドープされた負極電極層(12)とを有し、負極集電体(11)には、負極電極層(12)が形成されていない第2の面と、前記第1の面及び第2の面を貫通する複数の第1の貫通孔(50A)を備え、負極集電体(11)の第2の面はそれぞれ、互いに対向する対向領域を備えている。

概要

背景

一般に、リチウムイオンキャパシタは、活性炭等を活物質とする正極と、黒鉛等を活物質とする負極とを、セパレータを介して積層又は巻回した構成が採用されている。そして、予め負極にリチウムイオンをドープしておくことによって、高いエネルギー密度を実現している。

特許文献1には、キャパシタ内の端部に金属リチウム膜を配置し、負極と金属リチウムとを短絡させることによって、複数の負極に対して、リチウムイオンを一括してドープする方法が記載されている。このとき、リチウムイオンを通過させるために、正極及び負極の集電体には、複数の貫通孔が形成されている。

概要

正極(20)及び負極(10)がセパレータ(30)を介して積層または巻回された電気化学素子であって、負極(10)は、負極体(10A)と負極体(10B)とを備え、負極体(10A)、(10B)は、それぞれ、負極集電体(11)と、負極集電体(11)の第1の面に形成され、カチオンがドープされた負極電極層(12)とを有し、負極集電体(11)には、負極電極層(12)が形成されていない第2の面と、前記第1の面及び第2の面を貫通する複数の第1の貫通孔(50A)を備え、負極集電体(11)の第2の面はそれぞれ、互いに対向する対向領域を備えている。

目的

本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その主な目的は、リチウムイオンのドーピング時間を短縮し、製造コストを大幅に低減した電気化学素子及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

正極及び負極がセパレータを介して積層または巻回された電気化学素子であって、前記負極は、第1の負極体と第2の負極体とを備え、前記第1及び第2の負極体は、それぞれ、集電体と、該集電体の第1の面に形成され、カチオンがドープされた電極層とを有し、前記集電体はそれぞれ、前記電極層が形成されていない第2の面と、前記第の面1の面及び第2の面を貫通する複数の第1の貫通孔を備え、前記集電体が有する第2の面は、それぞれ、互いに対向し合う対向領域を備えている、電気化学素子。

請求項2

前記第2の面は前記第1の面の裏面に設けられ、前記第2の面の対向する領域の裏面に位置する前記電極層は、その外表面が前記セパレータを介して前記正極と対向している、請求項1に記載の電気化学素子。

請求項3

前記正極及び前記負極はシート状であり、前記正極及び負極が前記セパレータを介して巻回された電気化学素子であって、前記第2の面は前記第1の面の裏面に設けられ、前記負極を構成する第1及び第2の負極体うち少なくとも一方は、前記第2の面において、巻回方向の一端側に設けられた前記対向領域と、前記巻回方向の他端側に設けられた前記第1及び第2の負極体が互いに対向しない非対向領域を備えた、請求項1に記載の電気化学素子。

請求項4

前記第1及び第2の負極体は、前記第2の面の間に間隔を有する、請求項1に記載の電気化学素子。

請求項5

前記第2の面の間に設けられた間隔の距離が、120μm未満である、請求項4に記載の電気化学素子。

請求項6

前記電極層には、前記集電体の第1の貫通孔に連通する第2の貫通孔が形成されている、請求項1に記載の電気化学素子。

請求項7

前記第1の貫通孔は、6.0mm以下の間隔平均で形成されている、請求項1に記載の電気化学素子。

請求項8

前記第1の貫通孔及び第2の貫通孔の開口部の形状は、縦横比が1:20以上1:150以下の長方形である、請求項6に記載の電気化学素子。

請求項9

前記正極は、集電体の両面に電極層が形成された構成をなす、請求項1に記載の電気化学素子。

請求項10

集電体の第1の面に電極層が形成された第1の負極体及び第2の負極体を用意する工程(a)と、前記第1及び第2の負極体において、前記集電体の前記電極層が形成されていない第2の面に、カチオン供給源を形成する工程(b)と、前記電極層、前記集電体、及び前記カチオン供給源に、互いに連通する複数の貫通孔を形成する工程(c)と、前記第1及び第2の負極体を、前記集電体の第2の面に形成された前記カチオン供給源が互いに対向するように配置する工程(d)と、前記第1及び第2の負極体を、セパレータを介して、正極に対向させて配置する工程(e)と、前記第1及び第2の負極体の電極層に、前記カチオン供給源からカチオンをドープさせる工程(f)とを有する、電気化学素子の製造方法。

請求項11

前記工程(c)の代わりに、前記工程(a)の後、前記工程(b)の前に、前記電極層及び前記集電体に、互いに連通する複数の貫通孔を形成する工程を有する、請求項10に記載の電気化学素子の製造方法。

請求項12

前記カチオン供給源は、リチウム金属膜からなり、前記工程(b)において、前記リチウム金属膜は、シートに形成されたリチウム金属膜を、転写法により、前記集電体の第2の面に形成される、請求項10または11に記載の電気化学素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、リチウムイオンキャパシタ等の電気化学素子及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

一般に、リチウムイオンキャパシタは、活性炭等を活物質とする正極と、黒鉛等を活物質とする負極とを、セパレータを介して積層又は巻回した構成が採用されている。そして、予め負極にリチウムイオンをドープしておくことによって、高いエネルギー密度を実現している。

0003

特許文献1には、キャパシタ内の端部に金属リチウム膜を配置し、負極と金属リチウムとを短絡させることによって、複数の負極に対して、リチウムイオンを一括してドープする方法が記載されている。このとき、リチウムイオンを通過させるために、正極及び負極の集電体には、複数の貫通孔が形成されている。

先行技術

0004

特開2008−123826号公報

発明が解決しようとする課題

0005

従来のリチウムイオンのドーピング方法では、キャパシタ内の端部に配置された金属リチウム膜から、複数の負極にリチウムイオンのドープを行うため、全ての負極にリチウムイオンをドープするまでに、長期間(例えば、2週間程度)を要してしまう。そのため、製造コストが高くなるという問題がある。

0006

本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その主な目的は、リチウムイオンのドーピング時間を短縮し、製造コストを大幅に低減した電気化学素子及びその製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明における電気化学素子は、負極が、第1の負極体と第2の負極体とを備え、これら第1、第2の負極体は、それぞれ、集電体と、該集電体の第1の面に形成され、カチオンがドープされた電極層とを有し、この集電体には、複数の第1の貫通孔が形成されており、第1、第2の負極体は、電極層が形成されていない集電体の第2の面を互いに対向させて配置されている。ここで、電極層は、集電体の第2の面に予め設けられた金属リチウム膜(リチウムイオン供給源)から、リチウムイオン(カチオン)がドープされている。

発明の効果

0008

本発明によれば、リチウムイオンのドーピング時間を短縮し、製造コストを大幅に低減した電気化学素子及びその製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の一実施形態におけるリチウムイオンキャパシタを構成する電極群を模式的に示した断面図である。
通常の使用状態のリチウムイオンキャパシタを構成する電極群を模式的に示した断面図である。
巻回して形成された電極群を模式的に示した図、及びその部分拡大図である。
(a)〜(e)は、本発明の一実施形態におけるリチウムイオンキャパシタの製造方法を説明した図である。
(a)〜(c)は、負極電極層負極集電体、及び金属リチウム膜に貫通孔を形成する方法を説明した図である。
(a)〜(f)は、本発明の他の実施形態におけるリチウムイオンキャパシタの製造方法を説明した図である。
(a)〜(d)は、本発明の他の実施形態におけるリチウムイオンキャパシタの製造方法を説明した図である。
第1の負極及び第2の負極を、金属リチウム膜を互いに対向させて配置した状態を示した図である。
本発明の他の実施形態における負極の構成を示した断面図である。
(a)及び(b)は、複数の貫通孔が形成された負極集電体の平面図である。
リチウムイオンキャパシタのドーピング時間の評価結果を示したグラフである。
金属リチウム膜の失活度合いの評価結果を示したグラフである。

0010

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。

0011

図1は、本発明の一実施形態におけるリチウムイオンキャパシタを構成する電極群を模式的に示した断面図である。この電極群を電解液と共にケース(不図示)内に収容して、リチウムイオンキャパシタが構成される。なお、図1に示した電極群は、リチウムイオンをドープする前の構成である。

0012

図1に示すように、負極10は、負極体10A(第1の負極体)と負極体10B(第2の負極体)とを備えている。負極体10A、10Bは、それぞれ、負極集電体11と、負極集電体11の第1の面に形成された負極電極層12を有している。また、負極集電体11の第2の面(第1の面と反対側の面)には、金属リチウム膜(リチウムイオン供給源)40が形成されている。さらに、負極電極層12、負極集電体11、及び金属リチウム膜40には、それぞれ複数の貫通孔50B、50A、50Cが形成され、それらは互いに連通して、負極貫通孔50を形成している。そして、負極体10A、10Bは、金属リチウム膜40を互いに対向させて配置されている。

0013

正極20は、正極集電体21と、正極集電体21の両面に形成された正極電極層22とを有している。そして、一対の負極体10A、10Bからなる負極10と正極20とは、セパレータ30を介して積層されている。

0014

本実施形態におけるリチウムイオンキャパシタによれば、まず、金属リチウム膜40(リチウムイオン供給源)を負極電極層12の近傍に配置することによって、負極電極層12へのリチウムイオンのドーピング時間を大幅に短縮することができる。さらに、負極電極層12内において、ドープのムラを抑えることができる。これは、金属リチウム膜40がプレドープを行う際に、負極電極層12と当接してない状態でプレドープを行うことができるためである。すなわち、金属リチウム膜40が負極電極層12に含まれる炭素材などの活物質と当接していると、炭素材に含まれる成分と反応してドープに寄与しないリチウム化合物が生成されるが、本実施形態では、これらの反応が抑制されるため、上記ドープのばらつきが抑えられ、その結果、負極電極層12の劣化のばらつきを抑えることができる。

0015

また、負極体10A、10Bを、金属リチウム膜40が設けられた第2の面を互いに対向させて配置することによって、負極体10A、10Bのうち、いずれか一方のみを負極として用いた構成に比べて、リチウムイオンキャパシタとして信頼性を高めることができる。これは、負極体10A及び負極体10Bに対して、負極貫通孔50を形成した時に、金属リチウム膜40の貫通孔50C、または負極集電体11の貫通孔50Aの開口部付近に生じたバリが、セパレータ30と向き合わない構成となるためである。この構成により、バリに起因する内部短絡の発生を防止することができる。さらに、上記負極貫通孔50を形成した際に上記バリが発生した場合に、そのバリを除去する処理を行うことが必須ではなくなるため、本実施形態のリチウムイオンキャパシタの製造方法を簡略化させることができる。したがって、本発明の一対の負極体10A、10Bの第2の面が互いに対向する対向領域は、セパレータ30を介して正極20と対峙している箇所に設けることが好ましい。

0016

また、一対の負極体10A、10Bからなる負極10は、実質的に、負極集電体11の両面に負極電極層12が形成された構成になるため、正極20も、正極集電体21の両面に正極電極層22を形成した構成にすることができ、これにより、キャパシタのエネルギー密度の低下を抑制することができる。

0017

さらに、負極体10A、10Bに形成された負極貫通孔50は、負極電極層12や金属リチウム膜40を設けた後に形成するため、予め貫通孔が形成された負極集電体11が必須ではなくなり、特殊な塗工装置を用いることなく、通常の塗工方法で、負極集電体11の表面に負極電極層12を形成することができる。加えて、エキスパンドメタル等の高価な負極集電体11を用いる必要もないため、製造コストを低減することができる。

0018

そして、上記方法により負極貫通孔50を形成することにより、金属リチウム膜40を気相法や液相法で形成する際に、生産性を高めることができる。これは、金属リチウム膜40を形成した後に負極貫通孔50を形成することにより、金属リチウム膜40を負極集電体11の第2の面に設ける工程の段階では、上記第2の面は負極貫通孔50が未形成の状態で金属リチウム膜40を形成することができるためである。この手順で金属リチウム膜40を設けることにより、負極貫通孔50を通って金属リチウム膜40を構成する非常に細かい金属リチウム(気化リチウム液化リチウムなど)が第2の面上に堆積されず第2の面を透過することを抑制できる。

0019

このように、本発明によれば、リチウムイオンのドーピング時間を大幅に短縮することができ、かつ、エネルギー密度の低下を抑制し、製造コストを大幅に低減したリチウムイオンキャパシタを提供することができる。

0020

ところで、通常、負極集電体11の第2の面に形成された金属リチウム膜40は、負極電極層12へのリチウムイオンのドープ量に応じて、その膜厚が決定されている。従って、ドーピングが終了した後は、金属リチウム膜40は、全て電解液中に溶出し、その場所は負極体10A、10B間の空隙の一部となる。

0021

従って、通常使用されている状態のリチウムイオンキャパシタを構成する電極群は、図2に示すような構成になっている。すなわち、負極10は、負極体10Aと負極体10Bとを備え、これら負極体10A、10Bは、それぞれ、負極集電体11と、負極集電体11の第1の面に形成され、リチウムイオンがドープされた電極層12とを有する。また、負極集電体11及び負極電極層12には、それぞれ複数の第1の貫通孔50A、及び第2の貫通孔50Bが形成され、それらは互いに連通して、負極貫通孔50を形成している。負極体10A、10Bは、負極電極層12が形成されていない負極集電体11の第2の面(第1の面と反対側の面)をそれぞれ有し、これら第2の面は、互いに対向する対向領域を備えている。そして、負極体10Aと負極体10Bとの間は、金属リチウム膜40が消失した空隙60になっている。一方、正極20は、正極集電体21と、正極集電体21の両面に形成された正極電極層22とを有している。そして、一対の負極体10A、10Bからなる負極10と正極20とは、セパレータ30を介して積層されている。

0022

なお、負極電極層12に形成された貫通孔50Bの大きさは、負極電極層12にリチウムイオンのドープが完了すると、負極電極層12が膨張するため、貫通孔50Bの大きさは小さくなっている。従って、図2に例示した貫通孔50Bは、負極集電体11に形成した貫通孔50Aよりも大きくなっているが、リチウムイオンのドープが完了して、通常使用されている状態のリチウムイオンキャパシタでは、貫通孔50A、50Bの大きさが逆転している場合もある。

0023

本実施形態において、リチウムイオンキャパシタを構成する各部材は、特に限定されない。負極集電体11は、例えば、銅箔等を用いることができる。また、負極電極層12は、リチウムイオンをドープ、脱ドープ可能な材料、例えば、黒鉛等を用いることができる。また、正極集電体21は、例えば、アルミニウム箔等を用いることができる。また、正極電極層22は、活性炭等を用いることができる。また、電解液は、リチウムイオンを移送可能な電解質として、例えば、リチウム塩等を用いることができる。

0024

本実施形態において、負極10及び正極20をセパレータ30を介して積層して電極群を構成したが、負極10及び正極20をセパレータ30を介して巻回して電極群を構成してもよい。

0025

図3は、巻回して形成された本実施形態の電極群を模式的に示した図、及びその部分拡大図である。

0026

図3に示すように、本実施形態の電極群は、シート状の正極20及び負極10がセパレータ30を介して巻回されて構成されている。部分拡大図に示すように、負極10は、負極体10Aと負極体10Bとを備えている。これら負極体10A、10Bは、それぞれ、負極集電体11と、負極集電体11の第1の面に形成された負極電極層12を有している。また、負極集電体11の第2の面(第1の面と反対側の面)には、金属リチウム膜40(リチウムイオン供給源)が形成されている。さらに、負極電極層12、負極集電体11、及び金属リチウム膜40には、それぞれ複数の貫通孔50B、50A、50Cが形成され、それらは互いに連通して、負極貫通孔50を形成している。そして、負極体10A、10Bは、金属リチウム膜40を互いに対向させて配置されている。

0027

正極20は、正極集電体21と、正極集電体21の両面に形成された正極電極層22とを有している。そして、一対の負極体10A、10Bからなる負極10と正極20とは、セパレータ30を介して巻回されている。
さらに、帯状である負極体10A、10Bは、互いに対向する構成において、それぞれ長手方向(巻回方向)にずれた状態で対向している。この構成により、負極体10A、10Bの負極集電体11に設けられた第2の面は、それぞれ、一方の負極集電体11の長手方向の一端側に位置し、他方の負極集電体11の第2の面と対向した対向領域と、一方の負極集電体11の長手方向の他端側に位置し、他方の負極集電体11の第2の面と対向しない非対向領域が形成される。このように対向した負極体10A、10Bを備えた負極10は、巻回方向の両端に負極体10A、10Bの非対向領域が位置し、この一対の非対向領域の間に対向領域が設けられた構成となる。

0028

この負極10が正極20とともに巻回されて電極群を構成する際、巻回方向両端に位置する上記一対の非対向領域のうち、一方の負極体の非対向領域は、第2の面を内側に向けながら巻回されて電極群の内周側(電極群の最内周を含む)に位置し、他方の負極体の非対向領域は、第1の面を内側(第2の面を外側)に向けながら巻回されて電極群の外周側(電極群の最外周を含む)に位置している。負極10が巻回された電極群において、上記のように、非対向領域を最内周および最外周部分に位置するよう構成するために、負極体10A、10Bが対向したときの負極10の非対向領域を含めた巻回方向の長さは、正極20の巻回方向の長さより長く構成されている。

0029

この構成により、巻回された電極群は、負極10の最内周面および最外周面に電極層が形成されていない第2の面を設けて巻回することができるため、正極に対向しない負極の電極層12の面積を低減することができ、容量に寄与しない空間を減らすことができる。さらに、最内周および最外周において電極層が形成されていない集電体の第2の面に、セパレータを巻回することにより、巻回して電極群を作製した後、第2の面に設けた金属リチウム膜40を使ってプレドープを行うときに、電解液を保持するセパレータが電解液源として機能するため、プレドープが行われる金属リチウム近傍での電解液の含浸性が高まり、プレドープの信頼性を向上させることができる。

0030

なお、上記電極群の説明では、負極10が巻回方向両端に非対向領域を有する構成で説明を行ったが、この構成に限定されず、負極体10A、10Bの巻回方向の長さが互いに異なる構成などにすることにより、上記非対向領域を巻回方向の両端のうち、一端側のみに設ける構成や、負極10A、10Bの巻回方向の長さを同一とし、非対向領域を設けず上記第2の面のすべてが対向領域となるように、負極10A、10Bを対向させて巻回した構成であってもよい。

0031

次に、図4(a)〜(e)を参照しながら、本実施形態におけるリチウムイオンキャパシタの製造方法を説明する。

0032

まず、図4(a)に示すように、負極集電体11の第1の面に負極電極層12が形成された負極体10A及び負極体10Bを用意する。

0033

次に、図4(b)に示すように、負極体10A、10Bにおいて、負極集電体11の負極電極層12が形成されていない第2の面(第1の面と反対側の面)に、金属リチウム膜40(リチウムイオン供給源)を形成する。ここで、金属リチウム膜40は、例えば、真空蒸着電子ビーム蒸着スパッタリング蒸着等の方法を用いて、負極集電体11上に形成することができる。これにより、20μm以下の薄い金属リチウム膜40を形成することができる。

0034

次に、図4(c)に示すように、負極電極層12、負極集電体11、及び金属リチウム膜40に、それぞれ複数の貫通孔50B、50A、50Cを形成する。これらの貫通孔50B、50A、50Cは互いに連通して、負極貫通孔50を形成している。

0035

次に、図4(d)に示すように、負極体10A、10Bを、負極集電体11の第2の面に形成された金属リチウム膜40を互いに対向させて配置する。

0036

次に、図4(e)に示すように、一対の負極体10A、10Bからなる負極10を、セパレータ30を介して、正極20に対向させて積層または巻回して、電極群を形成する。なお、正極20は、正極集電体21の両面に、正極電極層22が形成されている。

0037

最後に、電極群を、電解液とともにケース(不図示)内に収容した後、負極体10A、10Bの負極電極層12に、金属リチウム膜40からリチウムイオンをドープさせる。これにより、予め負極電極層12にリチウムイオンがドープされたリチウムイオンキャパシタが製造される。

0038

なお、負極集電体11の貫通孔50Aの開口率は、負極集電体11の面積に対して1%未満が好ましい。また、正極20の正極電極層22が形成されている正極集電体21、及び、一対の負極体10A、10Bの負極電極層12が形成されている負極集電体11は、電極層22、12の形成面に対して、負極集電体11の貫通孔50Aの開口率は、0.05%〜0.8%の範囲が好ましい。

0039

次に、図5(a)〜(c)を参照しながら、負極電極層12、負極集電体11、及び金属リチウム膜40に、互いに連通する複数の負極貫通孔50を形成する方法を説明する。

0040

図5(a)〜(c)に示すように、複数のパンチ刃71を有する治具70を、負極電極層12側に配置し、矢印の方向に移動させながら、パンチ刃71によって、負極電極層12、負極集電体11、及び金属リチウム膜40に、互いに連通する複数の負極貫通孔50を形成する。このとき、金属リチウム膜40の貫通孔50Cの開口部周辺には、バリ(不図示)が発生する。なお、金属リチウム膜40側から負極貫通孔50を形成すると、負極電極層12の貫通孔50Bの開口部周辺にバリが生じるが、負極電極層12は、図3に示したように、セパレータ30と対峙するため、このバリがセパレータ30を貫通して内部短絡が発生するおそれがある。従って、貫通孔50は、負極電極層12側から形成するのが好ましい。

0041

上記実施形態において、負極貫通孔50を、負極電極層12、負極集電体11、及び金属リチウム膜40全てを貫通するように形成したが、負極電極層12及び負極集電体11にだけ、貫通孔50B,50Aを形成してもよい。

0042

以下、図6(a)〜(f)を参照しながら、本発明の他の実施形態におけるリチウムイオンキャパシタの製造方法を説明する。

0043

まず、図6(a)に示すように、負極集電体11の第1の面に負極電極層12が形成された負極体10A及び負極体10Bを用意する。

0044

次に、図6(b)に示すように、負極電極層12及び負極集電体11に、それぞれ複数の貫通孔50B、50Aを形成する。これらの貫通孔50B、50Aは互いに連通して、負極貫通孔50を形成している。ここで、負極貫通孔50は、負極電極層12側から形成される。

0045

次に、図6(c)〜(e)に示すように、表面に金属リチウム膜40が形成されたシート41を用意し、このシート41を、矢印の方向に移動させて、金属リチウム膜40を、負極電極層12が形成されていない負極集電体11の第2の面に押圧する。その後、シート41を引き離すことによって、金属リチウム膜40は、負極集電体11側に転写され、負極集電体11の表面に金属リチウム膜40が形成される。

0046

次に、図6(f)に示すように、負極体10A、10Bを、負極集電体11の第2の面に形成された金属リチウム膜40を互いに対向させて配置する。

0047

次に、図4(e)に示したのと同様に、一対の負極体10A、10Bからなる負極10を、セパレータ30を介して、正極20に対向させて積層または巻回して、電極群を形成する。

0048

最後に、電極群を、電解液とともにケース内に収容した後、負極体10A、10Bの負極電極層12に、金属リチウム膜40からリチウムイオンをドープさせる。これにより、予め負極電極層12にリチウムイオンがドープされたリチウムイオンキャパシタが製造される。

0049

本実施形態では、金属リチウム膜40を転写法により、負極集電体11の第2の面に形成するため、負極電極層12及び負極集電体11に貫通孔50B、50Aが形成されていても、蒸着法のように、蒸発した金属リチウムが貫通孔50B、50Aを通って、周り拡散するという不都合は生じない。

0050

本実施形態におけるリチウムイオンキャパシタにおいても、金属リチウム膜40から、リチウムイオンを負極貫通孔50を介して負極電極層12にドープすることができるため、負極電極層12へのリチウムイオンのドーピング時間を大幅に短縮することができる。また、負極体10A、10Bを、金属リチウム膜40を互いに対向させて配置することによって、万一、貫通孔50Bの形成時に生じた負極集電体11のバリが、金属リチウム膜40を貫通しても、貫通したバリは、セパレータ30側にはないため、バリに起因する内部短絡の発生を防止することができる。

0051

また、一対の負極体10A、10Bからなる負極10は、実質的に、負極集電体11の両面に負極電極層12が形成された構成になるため、正極20も、正極集電体21の両面に正極電極層22を形成した構成にすることができ、これにより、キャパシタのエネルギー密度の低下を抑制することができる。

0052

さらに、予め貫通孔50Aが形成された負極集電体11を用いる必要がないため、特殊な塗工装置を用いることなく、通常の塗工方法で、負極集電体11の表面に負極電極層12を形成することができる。加えて、エキスパンドメタル等の高価な負極集電体11を用いる必要もないため、製造コストを低減することができる。

0053

次に、図7(a)〜(d)を参照しながら、本発明の他の実施形態におけるリチウムイオンキャパシタの製造方法を説明する。本実施形態では、負極集電体11のみに貫通孔50Aを形成する。

0054

まず、図7(a)に示すように、複数の貫通孔50Aが形成された負極集電体11を用意する。負極集電体11は、予め貫通孔50Aが形成されたエキスパンドメタル等であっても、あるいは、図5(a)に示したような治具70を用いて、負極集電体11に貫通孔50Aを形成したものであってもよい。

0055

次に、図7(b)に示すように、負極集電体11の第1の面に、負極電極層12を形成する。この場合、負極電極層12は、負極集電体11を垂直にして、引き上げながら塗工する。

0056

次に、図7(c)に示すように、負極集電体11の負極電極層12が形成されていない第2の面に、金属リチウム膜40を形成する。この場合、金属リチウム膜40は、蒸着法、あるいは転写法で形成するこができる。しかし、蒸着法で形成した場合、負極集電体11に形成された貫通孔50Aは、負極電極層12によって塞がれているが、蒸発した金属リチウムが負極電極相層12の背面まで拡散するため、転写法で形成した方が好ましい。

0057

次に、図7(d)に示すように、負極体10A、10Bを、負極集電体11の第2の面に形成された金属リチウム膜40を互いに対向させて配置する。

0058

次に、図4(e)に示したのと同様に、一対の負極体10A、10Bからなる負極10を、セパレータ30を介して、正極20に対向させて積層または巻回して、電極群を形成する。

0059

最後に、電極群を、電解液とともにケース内に収容した後、負極体10A、10Bの負極電極層12に、金属リチウム膜40からリチウムイオンをドープさせる。これにより、予め負極電極層12にリチウムイオンがドープされたリチウムイオンキャパシタが製造される。

0060

本実施形態におけるリチウムイオンキャパシタにおいても、金属リチウム膜40から、リチウムイオンを貫通孔50Aを介して負極電極層12にドープすることができるため、負極電極層12へのリチウムイオンのドーピング時間を大幅に短縮することができる。

0061

また、一対の負極体10A、10Bからなる負極10は、実質的に、負極集電体11の両面に負極電極層12が形成された構成になるため、正極20も、正極集電体21の両面に正極電極層22を形成した構成にすることができ、これにより、キャパシタのエネルギー密度の低下を抑制することができる。

0062

図8は、負極体10A、10Bを、負極集電体11の第2の面に形成された金属リチウム膜40を互いに対向させて配置した状態を示した図である。上述したように、通常、金属リチウム膜40は、負極電極層12へのリチウムイオンのドープ量に応じて、その膜厚が決定されている。従って、ドーピングが終了した後は、金属リチウム膜40は、リチウムイオンとして電解液中に溶出し、負極電極層12(炭素材料)内に、Cm−Lin化合物として吸蔵されて消失していく。そして、金属リチウム膜40のリチウムの量と負極電極層12の吸蔵量合致する場合、金属リチウム膜40が形成されていた空間は、点線で示すように集電体11どうしの間にある空隙の一部となる。

0063

本発明において、図8に示すように、負極体10A、10Bは、金属リチウム膜40どうしを、一定の間隔L1を開けて配置することが好ましい。この空間に、電解液が浸透することによって、金属リチウム膜40から電解液に溶出したリチウムイオンを、効率的に、負極貫通孔50を介して、負極電極層12にドープすることができる。なお、この間隔L1は、キャパシタのエネルギー密度の観点からは、小さい方が好ましい。これは、まず、この負極体間を移動するリチウムイオンの移動距離を減少、ドープ時間を減少させることができるためである。そして、この間隔L1が小さいと、リチウムイオンのドープ時に発生した水素等のガスが、気泡として、この間隙内に滞留しにくくなる。気泡が滞留した場合、金属リチウム膜40と接する電解液の量が減少し、電解液が不足することによるドープ時間の増加を改善することができる。従って、この間隔L1は、1μm以上、100μm以下、好ましくは、10μm以上、70μm以下、より好ましくは20μm以上、50μm以下とするのが好ましい。なお、ドーピングが終了し、金属リチウム膜40が全て消失すると、図8に示すように、負極体10A、10Bは、一定の間隔L2を開けて配置された状態になっている。この間隔L2は、間隔L1に対して、金属リチウム膜40の膜厚の2倍だけ大きくなっている。

0064

図9に示すように、図8に示した間隔L1の空間に、電解液と親和性の高いシート部材80を挿入してもよい。シート部材80に電解液が浸透することによって、リチウムイオンを効率的に負極電極層12まで拡散させることができる。シート部材80は、例えば、セパレータに使用する材料等を用いることができる。

0065

図10(a)、(b)は、複数の貫通孔50Aが形成された負極集電体11の平面図で、(a)は、積層用の負極集電体11、(b)は、巻回用の負極集電体11を示す。また、図中の11Aは、リード取出し部である。

0066

本発明において、貫通孔50Aの形状や、配置等は、特に限定されず、リチウムイオンの拡散性や、貫通孔50Aを形成した後の負極集電体11の強度等を考慮して決めればよい。例えば、貫通孔50Aの間隔は、12mm以下、好ましくは6mm以下、より好ましくは2mm以下とするのが好ましい。また、貫通孔50Aの開口部の形状は、円形多角形、あるいは、スリット形状等にすることができる。例えば、直径が0.5mm以下、好ましくは0.2mm以下の円、あるいは、縦横比が1:20以上、1:150以下の長方形とすることが好ましい。

0067

また、図10(b)に示すように、巻回用の負極集電体11において、スリット形状の貫通孔50Aを形成する場合、貫通孔50Aの長手方向を、負極集電体11の長手方向(巻回方向)に平行に配置することが好ましい。これにより、巻回時に、負極集電体11の長手方向に沿って張力が加わっても、貫通孔50Aが毀損するのを防止することができる。

0068

(実施例)
以下の実施例及び比較例で示すリチウムイオンキャパシタをそれぞれ作製し、リチウムイオンのドーピング時間、及び、金属リチウム膜の失活度合いを評価した。

0069

厚さ20μmの銅箔からなる負極集電体11の一方の面に、黒鉛を主成分とするスラリーを塗布して、厚さ20μmの負極電極層12を形成し、負極体10A、10Bを作製した。次に、負極集電体11の他方の面に、厚さ3.5μmの金属リチウム膜40を転写法により貼り付けた。次に、図5に示した治具70を用いて、ドライエアーの環境下で、負極電極層12の方から、負極電極層12、負極集電体11、及び金属リチウム膜40を貫通する負極貫通孔50を形成した。貫通孔50の形状は、縦横比が1:10のスリット形状で、その間隔は、2mmとした。なお、負極集電体11の貫通孔50の開口率は、負極集電体11の面積に対して1%未満である0.3%〜0.9%のもので構成した。

0070

また、厚さ22μmのアルミニウム箔からなる正極集電体21の両面に、活性炭を主成分とするスラリーを塗布して、厚さ20μmの正極電極層22を形成し、正極20を作製した。

0071

次に、図4(d)に示したように、負極体10A、10Bを、金属リチウム膜40を互いに対向させて配置して負極10を形成し、負極10及び正極20を、厚さ50μmのセルロースからなるセパレータ30を挟んで積層し、図4(e)に示したような電極群に近い構成のものを作製した。ここで、負極10は4枚、正極20は3枚とした。なお、最外側にある負極10は、一方の負極体10Aのみとし、さらに外側にセパレ−タ−30を配設した。

0072

また、正極電極層22が形成されている正極集電体21及び、一対の負極体10A、10Bの負極電極層12が形成されている負極集電体11は、電極層22、12の形成面に対して、負極集電体11、正極集電体21の開口率を0.05%〜0.8%の範囲で形成した。本実施例の構成では、当該部分を0.39%で構成した。

0073

次に、電極群を、ラミネートフィルムからなる外装材に収容し、電解液を注液後、開口部を封止して、リチウムイオンキャパシタを作製した。電解液は、LiPF6プロピレンカーボネートからなる溶媒に溶解させて、1.0モル/Lに調整したものを使用した。また、本実施例のリチウムイオンキャパシタは、負極10および正極20から電極を引き出すために、負極集電体11、正極集電体21にそれぞれ各集電体と同じ金属から成るリード箔(図示なし)の一端を電気的に接続し、上記各リード箔の他端が上記ラミネートフィルムの外部に表出した状態で封止が行われた構成である。

0074

(比較例1)
厚さ30μmの銅製のエキスパンドメタルからなる負極集電体の両面に、黒鉛を主成分とするスラリーを、垂直引上げ法により塗布して、厚さ20μmの負極電極層を形成し、負極を作製した。

0075

厚さ30μmのアルミニウム製のエキスパンドメタルからなる正極集電体21の両面に、活性炭を主成分とするスラリーを、垂直引上げ法により塗布して、厚さ20μmの正極電極層22を形成し、正極20を作製した。

0076

次に、負極及び正極20を、厚さ50μmのセルロースからなるセパレータを挟んで積層し、最外側に、厚さ20μmの金属リチウム箔を配置して、電極群を作製した。ここで、負極10は4枚、正極20は3枚とした。

0077

次に、電極群を、ラミネートフィルムからなる外装材に収容し、電解液を注液後、開口部を封止して、リチウムイオンキャパシタを作製した。電解液は、LiPF6をプロピレンカーボネートからなる溶媒に溶解させて、1.0モル/Lに調整したものを使用した。

0078

(ドーピング時間の評価)
実施例及び比較例で作製したリチウムイオンキャパシタを、以下の方法で、リチウムイオンの負極電極層へのドーピング時間を評価した。

0079

一般的に、ドーピング時間を評価には、負極電位の測定により、ドープ量を算出する方法を用いる。しかしながら、負極背面に金属リチウム膜が残存した状態である負極に対して、この負極を外装材の中から取り出さずにリード箔などから負極電位を測定する場合、その負極電位は負極活物質と金属リチウムとの混成電位となり、負極電位から負極電極層へのドープ量を正確に算出することが難しい恐れがある。そのため、セル内部抵抗を測定することによって、負極電極層へのリチウムイオンのドーピング速度を評価した。セル内部抵抗は、リチウムイオンのドープ量が増加するほど低下する傾向を示すことから、内部抵抗の低下速度からリチウムイオンのドープ速度を評価する手法を用いた。

0080

セル内部抵抗は、以下のような方法で測定した。

0081

実施例と比較例のセルに電解液を注液後、直ちに封止し、一定時間毎に、1Aで放電を1秒間行い、その後、0.01Aで充電を100秒間行う充放電試験を繰り返した。得られた放電前電圧と、放電開始後0.5〜1.0秒間の電圧データから、最小二乗法を用いて近似関数を設け、この近似関数から放電開始0秒時の電圧の値を外挿して算出し、この電圧値をた放電開始電圧とし、この放電開始電圧を用いてから、次式により抵抗値を算出した。そして、上記一定時間毎に得られる各抵抗値と時間との関係を調べた。

0082

内部抵抗=(放電前電圧−放電開始0秒時電圧)/電流値
図11は、その結果を示したグラフで、曲線Aは実施例の結果、曲線Bは比較例の結果をそれぞれ示す。なお、縦軸は、正極、負極を含めたセルの抵抗(mΩ)を示し、横軸は、注液後からの経過時間(h)を示す。

0083

図11に示すように、比較例のキャパシタでは、時間が経過するに従い、リチウムイオンのドープが進み、セルの抵抗が徐々に下がるが、セルの抵抗が安定した値になるまでには、注入後から15時間以上を要している。一方、実施例のキャパシタでは、セルの抵抗は、注入後から4時間程度で、急激に下がり、5時間程度で安定した値になっている。ここで、セルの抵抗値の10分の1未満の抵抗値の変動が12時間以上続いたとき、セルの抵抗が安定したと判断し、その最初の時点を、セルの抵抗が安定した時間とした。

0084

このことから、実施例にけるリチウムイオンキャパシタは、金属リチウム膜40を負極電極層12の近傍に配置することによって、負極電極層12へのリチウムイオンのドーピング時間を大幅に短縮できることが分かる。

0085

なお、実施例で作製したキャパシタは、本発明の効果を検証するために作製したサンプルであるため、正極20の積層枚数は3枚としたが、量産時のキャパシタでは、正極20の積層枚数は10〜30枚となる。比較例では、積層枚数が増加するほどリチウムイオンの拡散距離一次関数的に増加してしまうため、例えば、積層枚数が20枚以上の場合、リチウムイオンのドープ完了までの時間は、2週間以上必要になる。一方、実施例では、積層枚数が増加しても各電極の背面に金属リチウム膜が配置されているため、比較例のように、ドープ完了までの時間が長時間化されることはない。すなわち、本発明において、正極20の積層枚数が20枚以上の場合、負極電極層12へのリチウムイオンのドーピング時間は、従来の2週間(約300時間)程度から、5時間程度まで大幅に短縮することができる。

0086

なお、実施例におけるリチウムイオンキャパシタでは、内部短絡の発生も見られなかった。これは、負極体10A、10Bを、金属リチウム膜40を互いに対向させて配置することによって、負極貫通孔50の形成時に生じた金属リチウム膜40のバリを、セパレータ30側に設けなかったためと考えられる。

0087

(金属リチウム膜の失活度合いの評価)
実施例及び比較例で作製したリチウムイオンキャパシタを、以下の方法で、金属リチウム膜の失活度合いを評価した。

0088

実施例と比較例のセルを、組立て直後から電解液を注液するまでの時間において、負極電位の変化を測定した。ここで、負極電位は、リチウム金属電位を基準にした電位である。また、測定は、露点が−30度以下の雰囲気下で行った。

0089

図12は、その結果を示したグラフで、曲線Aは実施例の結果、曲線Bは比較例の結果をそれぞれ示す。なお、縦軸は、リチウム金属の電位を基準にした電位(V vs. Li/Li+)
を示し、横軸は、組立て直後から電解液を注液するまでの時間(h)を示す。

0090

図12に示すように、比較例のキャパシタでは、時間が経過するに従い、負極電位が徐々に上昇した。これは、金属リチウム膜が、負極電極層に直接形成されているため、金属リチウムが負極電極層の材料である炭素と反応して、負極電極層に反応生成物が生成されたためと考えられる。この場合、金属リチウム膜は、その一部が失活するため、負極電極層にドープされるリチウムイオンのドープ量にバラツキが生じる。

0091

一方、実施例のキャパシタでは、時間が経過しても、負極電位の上昇はほとんどなかった。これは、金属リチウム膜が、負極電極層が形成されていない負極集電体の背面に形成されているため、金属リチウム膜が負極電極層と反応するのを抑制できたためと考えられる。この場合、金属リチウム膜の失活が抑制できるため、負極電極層に、安定してリチウムイオンをドープすることができる。

0092

このことから、実施例にけるリチウムイオンキャパシタは、負極集電体の負極電極層が形成されていない面に、金属リチウム膜を形成することによって、金属リチウムの失活が防止でき、負極電極層へのリチウムイオンのドーピングを安定して行うことができる。これにより、製造時の金属リチウム膜の管理が容易になり、リチウムイオンキャパシタの信頼性も高めることができる。

0093

(貫通孔のピッチとドープ速度との関係)
負極集電体に形成された複数の貫通孔の間隔(ピッチ)を変えて、リチウムイオンキャパシタを作製し、貫通孔のピッチとドープ速度との関係を調べた。なお、リチウムイオンキャパシタは、上記実施例で作製した条件のうち、負極集電体に形成された貫通孔のピッチだけを変えて作製した。また、貫通孔は、長さ0.8mm、幅0.02mmのスリット形状とした。また、本試験においてピッチは、負極集電体の長手方向と幅方向の間隔の平均値(間隔平均)とした。

0094

本試験において、ドープ速度は、以下のような方法で測定した。

0095

各リチウムイオンキャパシタに対して、同じ時間だけプレドープを行い、プレドープ終了後の各キャパシタの負極電位を比較して評価した。このとき、負極電位の測定方法は、プレドープ後に外装材から負極を取り出し、負極電極層に対して、電極層の面方向に並ぶように数箇所、測定箇所を設けて各測定箇所で電極層の局所的な電位を測定し、各測定箇所で測定された電位の値の平均値を最終的な各リチウムイオンキャパシタの負極電位とした。上記測定箇所には、少なくともリード箔と負極集電体が接続した箇所(又はその近傍)と、負極電極層において、この接続箇所から最も遠い箇所を少なくとも含むように測定を行う。たとえば、負極電極層が矩形状である場合、接続箇所と、負極電極層の矩形の四隅、四端辺中点箇所(4箇所)、および上記四隅を結ぶ一対の対角線交点箇所の計10箇所を測定することが好ましい。各測定箇所の負極電位を測定する方法として、測定箇所のみに、電解液を含浸したセパレータを介してリチウム参照電極を当接させた状態で、各測定箇所について個別に測定を行った。

0096

表1は、その結果を示した表である。表1に示すように、ピッチが大きくなるに従い、負極電位は大きくなっている。これは、ピッチが大きくなると、リチウムイオンの負極電極層へのドープ速度が遅くなっていることを意味している。従って、ドープ速度を早めるためには、貫通孔のピッチ(間隔平均)を6mm以下にすることが好ましい。

0097

0098

(負極体間の距離とドープばらつきとの関係)
一対の第1の負極と第2の負極体間の距離(負極集電体の第2の面の間に間隔)を変えてリチウムイオンキャパシタを作製し、負極体間の距離とドープばらつきとの関係を調べた。なお、本試験におけるリチウムイオンキャパシタの構成は、上記負極体間の距離以外は上記実施例で作製した構成と同じ構成を用いた。

0099

ドープばらつきは、以下のような方法で測定した。

0100

ドープばらつきについては、負極の対向領域、非対向領域について電極層の電位を個別に測定し、各領域で測定された電位を比(対向領域の電位/非対向領域の電位)として表現した。なお、各領域における電位の測定方法は、上記ピッチとドープ速度の関係を調べた試験のときに用いた方法と同じ方法を用いた。

0101

表2は、その結果を示した表である。表2に示すように、負極体間の距離が大きくなると、負極内の電位比が大きくなっている。これは、負極体間の距離が大きくなると、この負極体間における電解液に対する毛細管力が低下し、この負極体間を十分に電解液が満たすことが困難になるため、ドープばらつきが大きくなっていることを意味している。従って、ドープばらつきを小さくするためには、負極体間の距離(負極集電体の第2の面の間に間隔)を100μm以下のすることが好ましい。

0102

0103

以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、リチウムイオンキャパシタを例に説明したが、負極電極層に、他のカチオン(例えば、カリウムイオンナトリウムイオンカルシウムイオンマグネシウムイオンなど、少なくとも単原子のカチオン)が予めドープされたキャパシタ(電気化学素子)にも適用することができる。また、正極電極層に、リチウムイオンを出し入れ可能なLiCoO2等のリチウム含有金属酸化物を用いたリチウムイオン電池にも適用することができる。

実施例

0104

また、上記実施形態では、金属リチウム膜40を、負極集電体11の負極電極層12が形成されていない第2の面に形成したが、第1の負極体10A、10Bを、両面に金属リチウム膜40が担持されたシートを挟んで、負極集電体11の第2の面を互いに対向させて配置してもよい。

0105

10 負極
10A、10B 負極体
11負極集電体
12負極電極層
20 正極
21正極集電体
22正極電極層
30セパレータ
40金属リチウム膜
41シート
50負極貫通孔
50A、50B、50C貫通孔
60 空隙
70治具
71パンチ刃
80 シート部材

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