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技術 樹脂組成物

出願人 AGC株式会社
発明者 中西智亮澤田敏亮小寺省吾和田真治
出願日 2014年12月19日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2015-554850
公開日 2017年3月23日 (3年7ヶ月経過) 公開番号 WO2015-098776
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 光起電力装置 高分子物質の処理方法 高分子組成物
主要キーワード 改善幅 切り抜き部分 ミクロ層分離構造 雨どい 農業用ビニルハウス 光線遮蔽性 最大点応力 環状構造体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月23日)のものです。
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図面 (3)

課題・解決手段

優れた機械的強度および伸度を有する樹脂組成物、その溶融混練物およびそれらの成形体の提供。ヒドロキシ基またはカルボニル基を有するフッ素樹脂と、フッ素原子を有しないエステル結合含有樹脂と、エステル交換触媒と、を含む樹脂組成物、該樹脂組成物を溶融混練してなる溶融混練物、該樹脂組成物や溶融混練物から得られる、成形体、フィルムまたはシート積層体太陽電池用バックシート、および該樹脂組成物や溶融混練物を用いた成形体の製造方法である。

概要

背景

フッ素樹脂は、耐溶剤性低誘電特性低表面エネルギー性、非粘着性耐候性等に優れていることから、汎用プラスチックスでは使用できない種々の用途に用いられている。中でもエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(以下、「ETFE」ともいう。)は、耐熱性難燃性耐薬品性、耐候性、低摩擦性、低誘電特性等に優れるフッ素樹脂であることから、耐熱電線用被覆材料、ケミカルプラント耐食配管材料農業用ビニルハウス用材料、金型用離型フィルム等の幅広い分野に用いられている。最近では、太陽電池用バックシートへの応用が注目されている。太陽電池用バックシートには、長年の使用に耐えるための耐熱性、耐候性、耐薬品性や、太陽電池システム全体の性能を向上させるための低誘電性等が一般に要求される。よって、ETFEをはじめとするフッ素樹脂の特性を活かすことができる用途といえる。

太陽電池用バックシートを含め、種々の用途に用いられるフッ素樹脂の特性をさらに改善するため、例えば、フッ素樹脂と他の樹脂とをブレンドする技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。

概要

優れた機械的強度および伸度を有する樹脂組成物、その溶融混練物およびそれらの成形体の提供。ヒドロキシ基またはカルボニル基を有するフッ素樹脂と、フッ素原子を有しないエステル結合含有樹脂と、エステル交換触媒と、を含む樹脂組成物、該樹脂組成物を溶融混練してなる溶融混練物、該樹脂組成物や溶融混練物から得られる、成形体、フィルムまたはシート積層体、太陽電池用バックシート、および該樹脂組成物や溶融混練物を用いた成形体の製造方法である。

目的

本発明の目的は、優れた機械的強度および伸度を有する成形体を製造するための、樹脂組成物またはその溶融混練物からなる成形用樹脂材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

ヒドロキシ基およびカルボニル基の少なくとも一方を有するフッ素樹脂と、フッ素原子を有しないエステル結合含有樹脂と、エステル交換触媒と、を含むことを特徴とする、樹脂組成物

請求項2

前記エステル結合含有樹脂が、ポリエステル樹脂またはポリカーボネート樹脂である、請求項1に記載の樹脂組成物。

請求項3

前記フッ素樹脂と前記エステル結合含有樹脂との体積比が、40/60〜99.9/0.1である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。

請求項4

前記エステル交換触媒の含有量が、前記フッ素樹脂と前記エステル結合含有樹脂とエステル交換触媒との合計100質量部に対し、0.001〜20質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。

請求項5

前記フッ素樹脂が、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体またはテトラフルオロエチレンペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。

請求項6

前記エステル交換触媒が、有機酸金属塩炭酸の金属塩、金属酸化物および金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。

請求項7

前記エステル交換触媒が、カルボン酸亜鉛塩、カルボン酸のマグネシウム塩炭酸亜鉛炭酸マグネシウム酸化亜鉛酸化マグネシウム水酸化亜鉛および水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の樹脂組成物。

請求項8

請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物の溶融混練物からなる成形用樹脂材料

請求項9

請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物を溶融混練することを特徴とする成形用樹脂材料の製造方法。

請求項10

請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物または請求項8に記載の成形用樹脂材料を溶融成形してなる成形体

請求項11

成形体が連続相分散相とを有するミクロ相分離構造を有し、前記連続相が前記フッ素樹脂であり、前記分散相が前記エステル結合含有樹脂である、請求項10に記載の成形体。

請求項12

成形体がフィルムまたはシートである、請求項10または11に記載の成形体。

請求項13

請求項10〜12のいずれか一項に記載の成形体の層とフッ素樹脂の層とエステル結合含有樹脂の層とを有する3層以上の層構造を有する積層体であって、前記成形体の層が前記フッ素樹脂の層と前記エステル結合含有樹脂の層との間に配置されている積層体。

請求項14

厚さ10〜100μmの請求項12に記載のフィルムまたはシートを含む、太陽電池用バックシート

請求項15

請求項8に記載の成形用樹脂材料を溶融成形することを特徴とする成形体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、フッ素樹脂を含む樹脂組成物、その溶融混練物、それらの成形体フィルムまたはシート積層体太陽電池用バックシートおよび成形体の製造方法に関する。

背景技術

0002

フッ素樹脂は、耐溶剤性低誘電特性低表面エネルギー性、非粘着性耐候性等に優れていることから、汎用プラスチックスでは使用できない種々の用途に用いられている。中でもエチレンテトラフルオロエチレン共重合体(以下、「ETFE」ともいう。)は、耐熱性難燃性耐薬品性、耐候性、低摩擦性、低誘電特性等に優れるフッ素樹脂であることから、耐熱電線用被覆材料、ケミカルプラント耐食配管材料農業用ビニルハウス用材料、金型用離型フィルム等の幅広い分野に用いられている。最近では、太陽電池用バックシートへの応用が注目されている。太陽電池用バックシートには、長年の使用に耐えるための耐熱性、耐候性、耐薬品性や、太陽電池システム全体の性能を向上させるための低誘電性等が一般に要求される。よって、ETFEをはじめとするフッ素樹脂の特性を活かすことができる用途といえる。

0003

太陽電池用バックシートを含め、種々の用途に用いられるフッ素樹脂の特性をさらに改善するため、例えば、フッ素樹脂と他の樹脂とをブレンドする技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3)。

先行技術

0004

特開昭57−121045号公報
特開昭60−72951号公報
特表2002−544359号公報

発明が解決しようとする課題

0005

フッ素樹脂は、一般に他の樹脂と非相溶である。そのため、上記の技術において、他の樹脂を、フッ素樹脂に単にブレンドした場合、非相溶の分散相が粗大化し、機械的強度伸度が低下する等の問題点があった。例えば、ポリカーボネート樹脂のようなエステル結合含有樹脂は、機械的特性に優れた樹脂であるが、フッ素樹脂に単にブレンドすることにより、フッ素樹脂の機械的特性の向上を図ろうとしても、非相溶の分散相の問題により、特性が低下する傾向があった。

0006

本発明の目的は、優れた機械的強度および伸度を有する成形体を製造するための、樹脂組成物またはその溶融混練物からなる成形用樹脂材料を提供するものである。さらに、また該成形用樹脂材料から得られる、成形体、フィルムまたはシート、積層体、太陽電池用バックシート、および前記成形用樹脂材料を使用した成形体の製造方法を提供するものである。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、以下[1]〜[15]の構成を有する。
[1]ヒドロキシ基およびカルボニル基の少なくとも一方を有するフッ素樹脂と、フッ素原子を有しないエステル結合含有樹脂と、エステル交換触媒と、を含むことを特徴とする、樹脂組成物。
[2]前記エステル結合含有樹脂が、ポリエステル樹脂またはポリカーボネート樹脂である、[1]の樹脂組成物。
[3]前記フッ素樹脂と前記エステル結合含有樹脂との体積比が、40/60〜99.9/0.1である、[1]または[2]の樹脂組成物。
[4]前記エステル交換触媒の含有量が、前記フッ素樹脂と前記エステル結合含有樹脂とエステル交換触媒との合計100質量部に対し、0.001〜20質量部である、[1]〜[3]のいずれかの樹脂組成物。
[5]前記フッ素樹脂が、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体またはテトラフルオロエチレンペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である、[1]〜[4]のいずれかの樹脂組成物。
[6]前記エステル交換触媒が、有機酸金属塩炭酸の金属塩、金属酸化物および金属水酸化物からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[5]のいずれかの樹脂組成物。
[7]前記エステル交換触媒が、カルボン酸亜鉛塩、カルボン酸のマグネシウム塩炭酸亜鉛炭酸マグネシウム酸化亜鉛酸化マグネシウム水酸化亜鉛および水酸化マグネシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、[6]の樹脂組成物。

0008

[8]前記[1]〜[7]のいずれかの樹脂組成物の溶融混練物からなる成形用樹脂材料。
[9]前記[1]〜[7]のいずれかの樹脂組成物を溶融混練することを特徴とする成形用樹脂材料の製造方法。
[10]前記[1]〜[7]のいずれかの樹脂組成物または[8]の成形用樹脂材料を溶融成形してなる成形体。
[11]成形体が連続相と分散相とを有するミクロ相分離構造を有し、前記連続相が前記フッ素樹脂であり、前記分散相が前記エステル結合含有樹脂である、[10]の成形体。
[12]成形体がフィルムまたはシートである、[10]または[11]の成形体。

0009

[13]前記[10]〜[12]のいずれかの成形体の層とフッ素樹脂の層とエステル結合含有樹脂の層とを有する3層以上の層構造を有する積層体であって、前記成形体の層が前記フッ素樹脂の層と前記エステル結合含有樹脂の層との間に配置されている積層体。
[14]厚さ10〜100μmの[12]のフィルムまたはシートを含む、太陽電池用バックシート。
[15]前記[8]の成形用樹脂材料を溶融成形することを特徴とする成形体の製造方法。

発明の効果

0010

本発明の樹脂組成物から得られる成形体は、機械的強度および伸度に優れる。
本発明の太陽電池用バックシートは、機械的強度および伸度に優れるフィルムを有する。

図面の簡単な説明

0011

例7および14の溶融混練物を用いて作製したストランドの切断面の反射電子像である。
例7、19および20の樹脂組成物を溶融混練した際のトルク値の変化を示す図である。

0012

[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、ヒドロキシ基およびカルボニル基の少なくとも一方(以下、「官能基(I)」ともいう。)を有するフッ素樹脂と、フッ素原子を有しないエステル結合含有樹脂と、エステル交換触媒と、を含む。
官能基(I)は側鎖にあっても末端にあってもよい。フッ素原子を有しないエステル結合含有樹脂との反応性に優れる点からは、末端にあることが好ましく、フッ素樹脂中官能基数を多くできる点からは、側鎖にあることが好ましい。
官能基(I)が末端にある場合、その含有量は、106個の炭素原子あたり末端官能基(I)数が1〜50,000個であることが好ましく、10〜5,000個がより好ましく、100〜1,000個が特に好ましい。末端官能基(I)数が前記範囲であれば、フッ素樹脂の反応性、フッ素樹脂の成形性、機械的強度に優れる。なお、末端官能基(I)数は、特開昭60−240713号公報に記載の方法より、赤外線吸収スペクトル(IR)から算出できる。
官能基(I)が側鎖にある場合、官能基(I)を有する単位の含有量が、フッ素樹脂の全構成単位中0.01〜80モル%あることが好ましく、0.01〜60モル%がより好ましく、0.01〜30モル%が特に好ましい。なお、官能基(I)を有する単位の含有量は、1H−NMRと19F−NMRより算出できる。

0013

(フッ素樹脂)
本発明におけるフッ素樹脂は、フッ素原子を有する単位(以下、「含フッ素単位」ともいう。)を有する。含フッ素単位は、フッ素原子を有する単量体(以下、「含フッ素単量体」ともいう。)に基づく単位である。含フッ素単量体としては、CF2=CF2(以下、「TFE」ともいう。)、CF2=CFCl、CF2=CH2等のフルオロエチレン類;ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」ともいう。)、オクタフルオロブテン−1等の炭素原子数3〜5のペルフルオロオレフィン類;X1(CF2)nCY1=CH2(ここで、X1、Y1は、それぞれ水素原子またはフッ素原子であり、nは、2〜8の整数を示す。)で表されるポリフルオロアルキルエチレン類;RfOCFX2(CF2)mOCF=CF2(ここで、Rfは、炭素原子数1〜6のペルフルオロアルキル基であり、X2は、フッ素原子またはトリフルオロメチル基であり、mは、0〜5の整数を示す。)等のペルフルオロビニルエーテル類;CH3OC(=O)CF2CF2CF2OCF=CF2、FSO2CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF=CF2等の容易にカルボン酸基またはスルホン酸基に変換可能な基を有するペルフルオロビニルエーテル類;CF2=CFOCF2CF=CF2、CF2=CFO(CF2)2CF=CF2等のペルフルオロ(アルケニルビニルエーテル)類;ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等の脂肪族環構造を有する含フッ素単量体等が挙げられる。

0014

上記X1(CF2)nCY1=CH2で表されるポリフルオロアルキルエチレン類において、nは、2〜6が好ましく、2〜4が特に好ましい。具体例としては、CF3CF2CH=CH2(以下、「PFEE」ともいう。)、CF3(CF2)3CH=CH2、CF3(CF2)5CH=CH2、CF3CF2CF2CF=CH2、CF2HCF2CF2CF=CH2等が挙げられる。

0015

上記ペルフルオロビニルエーテル類の具体例としては、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(エチルビニルエーテル)、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、「PPVE」ともいう。)、CF2=CFOCF2CF(CF3)O(CF2)2CF3、CF2=CFO(CF2)3O(CF2)2CF3、CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)2(CF2)2CF3、CF2=CFOCF2CF2OCF2CF3、CF2=CFO(CF2CF2O)2CF2CF3等が挙げられる。
ペルフルオロビニルエーテル類としては、ペルフルオロアルキルビニルエーテルが好ましい。

0016

含フッ素単量体としては、フルオロエチレン類、ペルフルオロオレフィン類、ポリフルオロアルキルエチレン類、ペルフルオロビニルエーテル類が好ましく、TFE、HFP、PFEE、CF3(CF2)3CH=CH2、PPVEが特に好ましい。
含フッ素単位は、1種であっても、2種以上であってもよい。

0017

本発明におけるフッ素樹脂は、フッ素原子を有しない単位(以下、「非フッ素単位」ともいう。)を含んでいてもよい。非フッ素単位は、フッ素原子を有しない単量体(以下、「非フッ素単量体」ともいう。)に基づく単位である。非フッ素単量体としては、エチレン、プロピレンブチレンイソブチレン等の炭素原子数2〜5のオレフィン類、ビニルエステル類ビニルアルコール等が挙げられる。
非フッ素単位は、1種であっても、2種以上であってもよい。

0018

本発明におけるフッ素樹脂は、全構成単位100モル%中の含フッ素単位が20モル%以上であることが好ましく、30モル%以上がより好ましく、45モル%以上が特に好ましい。上記の下限値以上であれば、耐溶剤性、低誘電特性、低表面エネルギー性、非粘着性、耐候性に優れる。

0019

本発明におけるフッ素樹脂としては、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレンエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。耐熱性および溶融成形性に優れる点から、ETFEが特に好ましい。

0020

本発明におけるETFEは、TFEに基づく単位とエチレンに基づく単位(以下、「Eに基づく単位」ともいう。)を有する共重合体である。ETFE中のTFEに基づく単位/Eに基づく単位のモル比は20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40が特に好ましい。ETFEは、TFEとEに基づく単位の他に他の単量体に基づく単位を含んでいてもよい。他の単量体としては上述のものが挙げられる。

0021

本発明のフッ素樹脂は、その容量流速(以下、「Q値」ともいう。)は、0.01〜1,000mm3/秒であることが好ましく、0.1〜500mm3/秒がより好ましく、1〜200mm3/秒が特に好ましい。Q値は、フッ素樹脂の溶融流動性を表す指標であり、分子量の目安となる。Q値が大きいと分子量が低く、小さいと分子量が大きいことを示す。Q値は、島津製作所製フローテスターを用いて、樹脂の融点より50℃高い温度において、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中に押出す際のフッ素樹脂の押出し速度である。フッ素樹脂の融点は、走査型示差熱量分析法DSC法)により、樹脂を空気雰囲気下に300℃まで10℃/分で加熱した際の吸熱ピークから求めた値である。フッ素樹脂のQ値が上記範囲であると、フッ素樹脂は押出し成形性、機械的強度に優れる。
本発明におけるフッ素樹脂は、1種でも、2種以上を使用してもよい。

0022

<ヒドロキシ基の導入>
フッ素樹脂の側鎖にヒドロキシ基を導入する方法としては、公知の方法が使用でき、ヒドロキシ基を有する単量体を共重合させる方法、エステル結合やエーテル結合を有する単量体を共重合させ、さらにエステル結合やエーテル結合を反応させてヒドロキシ基に転換する方法が挙げられる。
フッ素樹脂の末端にヒドロキシ基を導入する方法としては、公知の方法が使用でき、フッ素樹脂を構成する単量体の重合に際して、開始剤または連鎖移動剤ヒドロキシ基含有化合物を使用する方法が挙げられる。ヒドロキシ基の導入量の調整がしやすい点から、連鎖移動剤にヒドロキシ基含有化合物を使用する方法が好ましい。連鎖移動剤としては、たとえばメタノールエタノールn−プロパノールイソプロパノール2−ブタノール等のアルコール類が挙げられ、分子量が小さく、熱安定性に優れるメタノールが好ましい。アルコール類の使用量は、例えば、重合媒体中で、フッ素樹脂を構成する単量体の重合をさせる場合、重合媒体とアルコール類との合計(100質量%)に対して、0.01〜50質量%が好ましく、0.02〜40質量%がより好ましく、0.05〜20質量%が特に好ましい。ETFEの製造方法については、例えば、特開平6−298809号公報記載の方法を参照することができる。

0023

<カルボニル基の導入>
フッ素樹脂がカルボニル基を有するとは、構造中にカルボニル基(−C(=O)−)を含む基を有するフッ素樹脂であればよい。構造中にカルボニル基を含む基としては、炭化水素基炭素炭素原子間にカルボニル基を含む基、カーボネート基カルボキシ基ハロホルミル基アルコキシカルボニル基酸無水物残基等が挙げられる。
炭化水素基としては、炭素数2〜8のアルキレン基等が挙げられる。なお、アルキレン基の炭素数は、カルボニル基を含まない状態での炭素数である。アルキレン基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
ハロホルミル基は、−C(=O)−X2(ただしX2はハロゲン原子である。)で表される。X2は、フッ素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。

0024

フッ素樹脂の側鎖にカルボニル基を導入する方法としては、公知の方法が使用でき、含フッ素単量体およびカルボニル基を有する単量体とを共重合する方法、含フッ素単量体、非フッ素単量体およびカルボニル基を有する単量体とを共重合する方法等が挙げられる。
カルボニル基を有する単量体としては、カルボニル基を有しかつ環内に重合性不飽和基を有する環状炭化水素単量体が挙げられ、1つ以上の5員環または6員環からなる環状炭化水素であって、しかもジカルボン酸無水物基と環内重合性不飽和基を有する重合性化合物重合性に優れる点から好ましい。
環状炭化水素としては1つ以上の有橋多環構造を有する環状炭化水素が好ましい。すなわち、非縮合の有橋多環構造体からなる環状炭化水素、有橋多環構造体の2以上が縮合した環状炭化水素、または有橋多環構造体と他の環状構造体が縮合した環状炭化水素であることが好ましい。
環状炭化水素単量体は環内重合性不飽和基、すなわち炭化水素環を構成する炭素原子間に存在する重合性不飽和基、を1つ以上有する。
環状炭化水素単量体はさらにジカルボン酸無水物基(−CO−O−CO−)を有する。ジカルボン酸無水物基は、炭化水素環を構成する2つの炭素原子に結合していてもよく、環外の2つの炭素原子に結合していてもよい。好ましくは、ジカルボン酸無水物基は上記環状炭化水素の環を構成する炭素原子であってかつ隣接する2つの炭素原子に結合する。さらに、環状炭化水素の環を構成する炭素原子には、水素原子の代わりに、ハロゲン原子、アルキル基ハロゲン化アルキル基、その他の置換基が結合していてもよい。
環状炭化水素単量体の具体例としては、下式(1)〜(8)で表される化合物無水マレイン酸等が挙げられる。ここで、式(2)、(5)〜(8)におけるRは、炭素数1〜6の低級アルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子から選択されるハロゲン原子、または前記低級アルキル基中の水素原子がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基を示す。

0025

環状炭化水素単量体としては、なかでも、無水イタコン酸(以下、「IAH」ともいう。)、無水シトラコン酸(以下、「CAH」ともいう。)および5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、「NAH」ともいう。)からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。IAH、CAHおよびNAHからなる群から選ばれる1種以上を用いると、無水マレイン酸を用いた場合に必要となる特殊な重合方法(特開平11−193312号公報参照。)を用いることなく、酸無水物残基を含有する本発明におけるフッ素樹脂を容易に製造できる。

0026

本発明におけるカルボニル基を有するフッ素樹脂としては、下記の含フッ素共重合体(A1)または含フッ素共重合体(A2)が好ましい。
含フッ素共重合体(A1):TFEおよび/またはCTFEに基づく単位と、前記環状炭化水素単量体に基づく単位と、含フッ素単量体(ただし、TFEおよびCTFEを除く。)に基づく単位とを含有する共重合体。
含フッ素共重合体(A2):TFEおよび/またはCTFEに基づく単位と、前記環状炭化水素単量体に基づく単位と、非含フッ素単量体(ただし、前記環状炭化水素単量体を除く。)に基づく単位とを含有する共重合体。
含フッ素共重合体(A1)の好ましい具体例としては、TFE/PPVE/NAH共重合体、TFE/PPVE/IAH共重合体、TFE/PPVE/CAH共重合体、TFE/HFP/NAH共重合体、TFE/HFP/IAH共重合体、TFE/HFP/CAH共重合体、TFE/VdF/IAH共重合体、TFE/VdF/CAH共重合体、TFE/PPVE/HFP/NAH共重合体等が挙げられる。
含フッ素共重合体(A2)の好ましい具体例としては、TFE/CH2=CH(CF2)4F/NAH/E共重合体、TFE/CH2=CH(CF2)4F/IAH/E共重合体、TFE/CH2=CH(CF2)4F/CAH/E共重合体、TFE/CH2=CH(CF2)2F/NAH/E共重合体、TFE/PFEE/IAH/E共重合体、TFE/PFEE/CAH/E共重合体、CTFE/CH2=CH(CF2)4F/NAH/E共重合体、CTFE/CH2=CH(CF2)4F/IAH/E共重合体、CTFE/CH2=CH(CF2)4F/CAH/E共重合体、CTFE/PFEE/NAH/E共重合体、CTFE/PFEE/IAH/E共重合体、CTFE/PFEE/CAH/E共重合体等が挙げられる。

0027

(エステル結合含有樹脂)
本発明はエステル交換原理から、エステル結合含有樹脂において適用可能であると考えられる。エステル結合含有樹脂は、エステル結合部位を有する樹脂であれば限定されず、具体的にはポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が挙げられ、耐熱性、成形性および機械的強度に優れる点から、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂が特に好ましい。本発明におけるエステル結合含有樹脂は、1種でも、2種以上を使用してもよい。

0028

(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、例えば、ジカルボン酸ジオールとの脱水縮合反応ヒドロキシカルボン酸の脱水縮合反応によって得ることができる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリ乳酸ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)樹脂、ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)等が挙げられ、耐熱性、成形性に優れる点から、PET、PBT、PCT、PBNおよびPENが好ましく、PET、PBT、PCTが特に好ましい。 ポリエステル樹脂の融点としては、成形性、耐熱性に優れる点から、180〜280℃が挙げられ、200〜270℃が好ましく、220〜260℃が特に好ましい。
ポリエステル樹脂は、1種でも、2種以上を使用してもよい。

0029

(ポリカーボネート樹脂)
ポリカーボネート樹脂は、例えば、二価フェノールカルボニル化剤との界面重縮合法、溶融エステル交換法等によって得ることができる。

0030

二価フェノールとしては、例えばハイドロキノンレゾルシノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルビス(4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル]メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンビスフェノールA)、2,2−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル]プロパン、2,2−ビス[(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス[(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル]フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられる。
入手容易な点から、ビスフェノールAが好ましい。

0031

カルボニル化剤としては、例えばホスゲン等のカルボニルハライドジフェニルカーボネート等のカーボネートエステル、二価フェノールのジハロホルメート等のハロホルメートが挙げられる。

0032

ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、界面重縮合法や溶融エステル交換法以外に、プレポリマーであるカーボネートの固相エステル交換法環状カーボネート開環重合法が挙げられる。

0033

ポリカーボネート樹脂の質量平均分子量は、機械的物性および成形性に優れる点から、10,000〜300,000が好ましく、30,000〜200,000がより好ましく、30,000〜100,000が特に好ましい。ここで、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された値である。

0034

ポリカーボネート樹脂は、市販品を用いてもよい。例えば、Lexan(SABICイノベーティプラスチックス社製)、Makrolon、Apec(バイエル社製)、Hiloy(コムアロイ社製)、Calibre(住化スタイロン社製)、Lupilonx(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)、Naxell(MRCポリマー社製)、Edgetek(ポリワン社製)、Trirex(三養化成社製)、Panlite(帝人社製)等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂は、1種でも、2種以上を使用してもよい。

0035

(エステル交換触媒)
本発明におけるエステル交換触媒としては、金属、金属の有機酸塩、金属の無機酸塩、金属の酸化物、金属の水酸化物、金属のハロゲン化物含硫黄オキソ酸含窒素塩基性化合物が挙げられる。

0036

金属としては、例えば亜鉛、鉄、カルシウムマグネシウムナトリウム、スズ、マンガンアルミニウムセリウムバリウムコバルトカリウムセシウム、鉛、ストロンチウムアンチモン等が挙げられる。
金属の有機酸塩、金属の無機酸塩、金属の酸化物、金属の水酸化物、金属のハロゲン化物における金属としては、上記金属が挙げられる。

0037

有機酸塩としては、カルボン酸塩が挙げられ、無機酸塩としては、炭酸塩硝酸塩リン酸塩ホウ酸塩等が挙げられる。
ハロゲン化物としては、フッ化物塩化物臭化物等が挙げられる。
含硫黄オキソ酸としては、硫酸スルホン酸スルフィン酸スルフェン酸等が挙げられる。
含窒素塩基性化合物としては、第4級アンモニウム塩、第3級アミン、第2級アミン、第1級アミン、ピリジン類イミダゾール類アンモニア類が挙げられる。

0038

本発明におけるエステル交換触媒としては、樹脂への分散性、熱安定性に優れ、樹脂組成物を溶融混練する際にブリードアウトしにくい点から、有機酸の金属塩、炭酸の金属塩、金属酸化物、金属水酸化物が好ましい。吸湿性潮解性が低く、水分の混入による成形体の発泡の問題を回避できる点から、マグネシウム、亜鉛、カルシウムの有機酸塩(例えば、カルボン酸塩)、炭酸塩、酸化物、水酸化物が好ましく、亜鉛のカルボン酸塩、マグネシウムのカルボン酸塩、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化マグネシウムがより好ましく、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛が特に好ましい。

0039

本発明におけるエステル交換触媒の形状は、特に制限されない。粒子の場合、例えば、球状、塊状、針状等のものを使用できる。粒径軸長は、樹脂組成物や溶融混練物の優れた成形性を確保し、フィルム成形後の応力欠陥の発生を回避しやすい点から、一定サイズ以下のものが望まれる。球状や塊状の場合、平均粒子径は0.01〜10μmが好ましく、0.01〜3μmが特に好ましい。針状の場合、平均軸長は0.01〜10μmが好ましく、0.1〜5μmが特に好ましい。ここで、平均粒子径および平均軸長は走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定した値である。
本発明におけるエステル交換触媒は、1種でも、2種以上を使用してもよい。

0040

(任意成分)
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、顔料紫外線吸収剤光安定剤表面調整剤顔料分散剤難燃剤可塑剤フィラー増粘剤密着改良剤つや消し剤等の任意成分を含んでいてもよい。

0041

(配合量)
本発明の樹脂組成物において、フッ素樹脂とエステル結合含有樹脂との質量比(フッ素樹脂の質量/エステル結合含有樹脂の質量)は、50/50〜99.9/0.1が好ましく、55/45〜99.9/0.1がより好ましく、65/35〜99.9/0.1が特に好ましい。上記範囲であれば、成形体において、フッ素樹脂が連続相(いわゆる「海」)であり、エステル結合含有樹脂が分散相(いわゆる「島」)である、ミクロ相分離構造(海島構造)を形成しやすい。
本発明の樹脂組成物において、フッ素樹脂とエステル結合含有樹脂との体積比(フッ素樹脂の体積/エステル結合含有樹脂の体積)は、40/60〜99.9/0.1が好ましく、50/50〜99.9/0.1がより好ましく、60/40〜99.9/0.1が特に好ましい。上記範囲であれば、成形体において、フッ素樹脂が連続相であり、エステル結合含有樹脂が分散相である、ミクロ相分離構造を形成しやすい。

0042

本発明の樹脂組成物におけるエステル交換触媒の含有量は、フッ素樹脂とエステル結合含有樹脂とエステル交換触媒との合計100質量部に対し、0.001〜20質量部であることが好ましく、0.005〜15質量部がより好ましく、0.01〜10質量部が特に好ましい。エステル交換触媒の含有量が上記範囲の下限値以上であると、フッ素樹脂とエステル結合含有樹脂とエステル交換触媒とを溶融混練した際にエステル交換が充分に進行し、上限値以下であると、エステル結合含有樹脂が分解しにくい。

0043

[成形用樹脂材料]
本発明の樹脂組成物は、そのまま成形用樹脂材料(以下、「成形用樹脂組成物」ともいう。)として溶融成形に使用できる。また、本発明の樹脂組成物を溶融混練し冷却して成形用樹脂材料とし、それを溶融成形に使用することもできる。本発明の樹脂組成物を溶融混練し冷却して製造された成形用樹脂材料を、以下、溶融混練物ともいう。
成形用樹脂組成物は、前記樹脂組成物の各成分を混合した粉末状の組成物であってもよく、前記樹脂組成物を造粒した粒子等であってもよい。溶融混練物は、前記樹脂組成物を溶融混練してペレット状、塊状等の形状に成形したものや溶融混練し冷却したものを粉末化した粉体等であってもよい。
成形体におけるミクロ層分離構造は、成形用樹脂材料の溶融成形とその後の冷却によって生じる。ミクロ層分離構造は、成形用樹脂材料の段階で存在していなくてもよく、成形用樹脂材料の段階で存在していてもよい。上記成形用樹脂組成物はたとえ溶融過程を経て製造されたものであっても、混練の過程がないとミクロ層分離構造はほとんど存在していないと考えられる。一方、溶融混練物はある程度以上のミクロ層分離構造を有していると考えられる。
ミクロ層分離構造はほとんど存在していないと考えられる成形用樹脂組成物は、溶融混練過程を経る溶融成形法で成形することにより、ミクロ層分離構造を有する樹脂からなる成形体を製造できる。溶融混練過程を経る溶融成形法としては、たとえば、押出成形射出成形などが挙げられる。
ミクロ層分離構造を有していると考えられる溶融混練物は、溶融混練過程を経る溶融成形法は勿論、混練過程を有しないまたは混練が充分ではない溶融成形法であっても、ミクロ層分離構造を有する樹脂からなる成形体を製造できる。混練過程を有しないまたは混練が充分ではない溶融成形法としては、たとえば、溶融圧縮成形法、溶融注型成形トランスファ成形法などが挙げられる。
本発明における成形用樹脂材料としては、本発明の樹脂組成物を溶融混練して得られる、ミクロ層分離構造を有している溶融混練物が好ましい。ミクロ層分離構造を有している溶融混練物であれば、押出成形や射出成形に限られず、混練過程を有しないまたは混練が充分ではない溶融成形法に使用される成形用樹脂材料とすることができる。

0044

(溶融混練物)
ミクロ層分離構造を有する樹脂からなる成形物を製造するためには、本発明の樹脂組成物を溶融混練し、冷却して得られる溶融混練物を成形材料として使用することが好ましい。たとえば、本発明の樹脂組成物を溶融混練して線状に押出し、切断し、冷却して、ペレット状の成形材料とすることができる。
溶融混練物においては、フッ素樹脂とエステル結合含有樹脂とをエステル交換触媒存在下で溶融混練することにより、一部のフッ素樹脂中のヒドロキシ基またはカルボニル基と一部のエステル結合含有樹脂中のエステル結合とがエステル交換反応し、反応物を形成すると考えられる。そして、この反応物がフッ素樹脂とエステル結合含有樹脂との間で、相溶化剤として機能すると考えられる。その結果、溶融混練物を用いて得られた成形体において、連続相がフッ素樹脂であり、分散相がエステル結合含有樹脂である、ミクロ相分離構造を一層形成しやく、また、海島構造の島が細かく、かつ均一に分散されたモルフォロジーを形成しやすくなっていると考えられる。そのため、樹脂同士の相溶性の一層の向上が見込まれ、ひいては機械的強度と伸びに優れる成形体を与えることができると考えられる。

0045

<溶融混練温度および時間>
フッ素樹脂とエステル結合含有樹脂とエステル交換触媒との溶融混練温度は、260〜300℃が好ましく、270〜280℃が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であれば、樹脂組成物が溶融混練しやすく、上限値以下であれば、熱により樹脂が分解しにくい。溶融混練時間は、5〜60分が好ましく、5〜30分が特に好ましい。上記範囲の上限値以下であれば、熱により樹脂が分解しにくい。

0046

マスターバッチ法>
本発明の溶融混練物は、溶融混練物をマスターバッチとし、このマスターバッチにフッ素樹脂とエステル結合含有樹脂を配合して溶融成形を行う方法で成形体を製造してもよい。

0047

マスターバッチはエステル交換触媒の濃度が高いため、エステル交換反応が充分に進行し効率良く反応物を得ることができる。従って、得られる成形体における樹脂の相溶性が向上できる。

0048

マスターバッチ中のエステル交換触媒の濃度としては、マスターバッチ中のフッ素樹脂とエステル結合含有樹脂との合計100質量%に対して、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜25質量%が特に好ましい。上記の範囲であれば、エステル交換反応が充分に進行する。

0049

マスターバッチ中のフッ素樹脂とエステル結合含有樹脂との質量比と、後で添加するヒフッ素樹脂とエステル結合含有樹脂との質量比とは、同じであっても、異なっていてもよいが、均一な組成を得る点からは、同じであることが好ましい。マスターバッチ中のフッ素樹脂とエステル結合含有樹脂の質量比(フッ素樹脂の質量/エステル結合含有樹脂の質量)としては、50/50〜99.9/0.1が好ましく、55/45〜99.9/0.1がより好ましく、65/35〜99.9/0.1が特に好ましい。

0050

マスターバッチの量と、後で添加するフッ素樹脂とエステル結合含有樹脂との合計量の質量比は、0.1/99.9〜50/50が好ましく、1/99〜20/80が特に好ましい。上記範囲であれば、得られる成形体における樹脂の相溶性が向上できる。

0051

マスターバッチを製造する際の溶融混練温度としては、260〜300℃が好ましく、270〜280℃が特に好ましい。上記範囲の下限値以上であれば、溶融混練しやすく、上限値以下であれば、熱により樹脂が分解しにくい。溶融混練時間は、1〜60分が好ましく、1〜30分がより好ましく、1〜10分が特に好ましい。上記範囲の上限値以下であれば、熱により樹脂が分解しにくい。

0052

マスターバッチに、フッ素樹脂とエステル結合含有樹脂の残部を配合し、さらに溶融混練する際の温度としては、260〜300℃が好ましく、260〜280℃が特に好ましい。時間は、5〜60分が好ましく、5〜30分がより好ましく、10〜30分が特に好ましい。

0053

(モルフォロジー)
本発明の成形体中の海島構造は、キャピログラフを用いて、混練温度と同じ温度で10分間予熱し、10mm/分の速度で、L/D(Lは孔長さであり、Dは孔直径である)が10、直径1mmのダイ穴から押出したストランドについて、ストランドの直径方向の切断面を電子顕微鏡で観察できる。本発明の成形体において、0.1〜1個/μm2の島を有する海島構造が好ましい。機械的強度および伸びに優れる成形体を与えることができる点から、海島構造の島は、0.2〜1個/μm2が特に好ましい。

0054

[成形体]
本発明の成形体は、樹脂組成物や溶融混練物を成形用樹脂材料として使用し、溶融成形して製造できる。
成形体の形状は特に限定されないが、フィルムやシート(以下、「フィルム等」ともいう。)が好ましい。本発明においてフィルム等はほぼ一定の厚さの成形体をいう。フィルムは厚さ0.2mm以下のものをいい、シートは厚さ0.2mmを超えるものをいう。ただし、太陽電池用バックシート等、慣用されている名称におけるフィルム等は必ずしも上記厚さに限定されるものではない。
本発明のフィルム等の厚さは1〜800μmが好ましく、5〜500μmが特に好ましい。
フィルム等は、耐候性の必要な農業用フィルム太陽電池バックシート等の用途に適する。太陽電池バックシートに使用する場合、本発明のフィルムを最外層として使用することが好ましい。本発明のフィルムの厚さは10〜100μmであるのが好適である。この範囲にあると低コストで、太陽電池バックシート等に求められる力学的強度、耐候性、光線遮蔽性光線遮蔽顔料の配合容易性)等に優れる。

0055

成形条件
成形方法は、特に制限されず、押出成形、インフレーション成形、射出成形が挙げられる。成形温度は、260〜280℃が好ましく、270〜280℃が特に好ましい。成形時間は、樹脂が分解しにくい点から、1〜60分が好ましく、1〜30分がより好ましく、5〜30分が特に好ましい。

0056

(積層体)
本発明の成形体は、フッ素樹脂フィルムまたはシート(以下、「フッ素樹脂フィルム等」ともいう。)と、エステル結合含有樹脂フィルムまたはシート(以下、エステル結合含有樹脂フィルム等)ともいう。)との間に配置されて、積層体を形成しうる。従来接着性が不充分なフッ素樹脂フィルム等とエステル結合含有樹脂フィルム等との間に本発明の成形体を用いることで、成形体が接着層となり、フッ素樹脂フィルム等とエステル結合含有樹脂フィルム等との接着性を向上することができる。
フッ素樹脂フィルム等としては、成形性の点からエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体が好ましい。フッ素樹脂フィルム等の厚さは1〜800μmが好ましく、5〜500μmが特に好ましい。
エステル結合含有樹脂フィルム等の厚さは100μm〜100,000μmが好ましく、300〜20,000μmが特に好ましい。エステル結合含有樹脂フィルム等としては、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
フッ素樹脂フィルム等とエステル結合含有樹脂フィルム等の本発明の成形体と接着していない側には、他のフィルム等がさらに積層されていてもよい。

0057

本発明の積層体における、フッ素樹脂フィルム等とエステル結合含有樹脂フィルム等との接着性は、これらの間に配置される本発明の成形体においてミクロ相分離した樹脂相がそれぞれと相性の良い方へ接触することで発現されると考えられる。成形体における相分離の程度は、各樹脂成分の体積比、層の厚さ、各樹脂成分の溶融流動性、成形温度、成形時間等を調整することにより制御することができる。一般的に、樹脂ブレンド中の各樹脂成分の体積が同程度の場合、相分離がより起こりやすい。本発明の積層体における成形体は、接着性の改善の点から、体積比(フッ素樹脂の体積/エステル結合含有樹脂の体積)が45/55〜55/45であることが好ましく、50/50が特に好ましい。
本発明の積層体における成形体は、接着性とコストに優れる点から、層の厚さが、10〜1,000μmが好ましく、25〜500μmがより好ましく、25〜200μmが特に好ましい。
本発明における積層体は、フッ素樹脂フィルム等、成形体およびエステル結合含有樹脂フィルム等を、フッ素樹脂フィルム等とエステル結合含有樹脂フィルム等で成形体を挟むようにして重ねて、260〜300℃に加熱したプレス機にセットし、0.01〜10MPaの面圧圧縮成形を行った後、0.01〜10MPaの圧力下で冷却し、その後、プレス機から取り出すことにより得ることができる。必要により、任意のフィルムやシートを上記フッ素樹脂フィルム等の側および/またはエステル結合含有樹脂フィルム等の側に配置して重ね、上記のように加熱加圧して、上記3層構造の積層体の片面または両面にさらに樹脂等の層を有する4層以上の構造の積層体を製造することができる。
さらに、本発明の成形用樹脂材料、フッ素樹脂およびエステル結合含有樹脂を共押出し成形して上記のような3層構造の積層体を製造することができ、また、任意の溶融成形可能な樹脂をさらに用いて上記のような4層以上の構造の積層体を製造することもできる。

0058

本発明の積層体は、防汚性、耐薬品性、耐候性を制御することができ、キッチン回り等の内装材等の外装装飾材外装用建材に好適に使用できる。

0059

以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。例2、4、8〜19、21、24、25、27〜30が実施例であり、例1、3、5〜7、20、22、23、26が比較例である。

0060

表1〜4中の各成分は、以下のとおりである。
エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)
・ETFE−1:国際公開第2008/069278号の実施例1(ただし、メタノールの仕込み量を7.70kgとした)を参照して製造した、ヒドロキシ基を有するETFE。
TFE/E/(ペルフルオロブチル)エチレンに基づく単位=54.2/44.1/1.7(モル比)。Q値:211mm3/秒、末端OH量(106個の炭素原子あたりの末端OH基数):740個、融点:245℃。
・ETFE−2:国際公開第2008/069278号の比較例1を参照して製造した、ヒドロキシ基を有しないETFE。
TFE/E/(ペルフルオロブチル)エチレンに基づく単位=54.4/44.2/1.4(モル比)、Q値:40mm3/秒、末端OH量(106個の炭素原子あたりの末端OH基数):0個、融点:257℃。
・ETFE−3:国際公開第2008/069278号の実施例1を参照して製造した、ヒドロキシ基を有するETFE。
TFE/E/(ペルフルオロブチル)エチレンに基づく単位=54.2/44.1/1.7(モル比)、Q値:44mm3/秒、末端OH量(106個の炭素原子あたりの末端OH基数):460個、融点:255℃。
・ETFE−4:後述する製造例1で得た、カルボニル基を有するETFE。
TFE/E/PFEE(CF3CF2CH=CH2)/IAHに基づく単位=58.2/38.4/3.1/0.3(モル比)、Q値:25.6mm3/秒、末端OH量(106個の炭素原子あたりの末端OH基数):検出限界以下、融点:221℃。
・ETFE−5:後述する製造例2で得た、ETFE。
TFE/E/PFEEに基づく単位=53.7/45.6/0.7(モル比)、Q値:38.1mm3/秒、末端OH量(106個の炭素原子あたりの末端OH基数):検出限界以下、融点:255℃。
・ETFE−6:後述する製造例3で得た、ETFE−4とETFE−5との混合物
Q値:21.3mm3/秒、末端OH量(106個の炭素原子あたりの末端OH基数):検出限界以下、融点:235℃。

0061

上記において、Q値は、島津製作所製フローテスターを用いて、各樹脂の融点より50℃高い温度において、荷重7kg下に直径2.1mm、長さ8mmのオリフィス中に押出す際のフッ素樹脂の押出し速度である。また、融点は、走査型示差熱量分析法(DSC法)により、樹脂を空気雰囲気下に300℃まで10℃/分で加熱した際の吸熱ピークから求めた値である。
また、組成比は、溶融NMR分析および赤外吸収スペクトル分析の結果から求めた値である。

0062

ポリカーボネート樹脂(PC)
・PC−1:住化スタイロン社製Calibre 301-10
質量平均分子量55,000(GPCにより測定されたポリスチレン換算値)。メルトボリュームレート10cm3/10分(測定条件300℃/1.2kg)。
・PC−2:住化スタイロン社製Calibre 200-3
質量平均分子量77,000(GPCにより測定されたポリスチレン換算値)。メルトボリュームレート3cm3/10分(測定条件300℃/1.2kg)。

0063

エステル交換触媒
・C−1:水酸化マグネシウム:堺化学社製MGZ−1平均粒子径0.8μm
・C−2:水酸化マグネシウム:堺化学社製MGZ−3 平均粒子径0.1μm
・C−3:水酸化マグネシウム:神島化学社製マグシーズS−6平均粒径1.0μm
・C−4:酸化マグネシウム:堺化学社製SMO−2 平均粒子径:2μm
・C−5:酸化亜鉛:堺化学社製NZ−LARGE平均軸長:1.0μm
・C−6:酸化亜鉛:堺化学社製Finex30 平均粒子径:35nm

0064

なお、各成分の比重は以下の通りである。
ETFE:1.75g/cm3、ポリカーボネート樹脂:1.2g/cm3、水酸化マグネシウム:2.36g/cm3、酸化マグネシウム:3.65g/cm3、酸化亜鉛:5.61g/cm3。

0065

[製造例1:ETFE−4の製造]
内容積94Lの撹拌機付きステンレス鋼重合槽脱気し、(ペルフルオロペンチル)ジフルオロメタンの69.7kg、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(AK225cb、旭硝子社製)(以下、「AK225cb」ともいう。)の22.3kg、PFEEの528g、TFEの13.3kg、およびEの456gを圧入し、重合槽内を66℃ に昇温した。このとき圧力は1.49MPa/Gであった。重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの19gを仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFE/E=60/40のモル比の単量体混合ガスを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEとEの合計モル数に対して3モル%に相当する量のPFEEと0.3モル%に相当する量の無水イタコン酸(IAH)を連続的に仕込んだ。重合開始の5.6時間後、単量体混合ガスが11.5kg仕込まれた時点で、重合槽内温を室温まで冷却するとともに重合槽内の圧力を常圧までパージした。
得られたスラリを、水の100kgを仕込んだ300Lの造粒槽投入し、撹拌しながら105℃まで昇温し溶媒留出除去して造粒した。得られた造粒物を135℃で3時間乾燥することにより、ETFE−4の造粒物の12.2kgが得られた。

0066

[製造例2:ETFE−5の製造]
内容積94Lの撹拌機付きステンレス鋼製重合槽を脱気し、(ペルフルオロペンチル)ジフルオロメタンの71.0kg、AK225cbの27.3kg、PFEEの150g、TFEの12.6kg、およびEの752gを圧入し、重合槽内を66℃ に昇温した。このとき圧力は1.53MPa/Gであった。重合開始剤としてtert−ブチルペルオキシピバレートの9gを仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFE/E=51/46のモル比の単量体混合ガスを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEとEの合計モル数に対して0.7モル%に相当する量のPFEEを連続的に仕込んだ。重合開始の5.7時間後、単量体混合ガスが11.5kg仕込まれた時点で、重合槽内温を室温まで冷却するとともに重合槽内の圧力を常圧までパージした。
得られたスラリを用いる以外は製造例1と同様に造粒して、ETFE−5の造粒物の12.5kgを得た。

0067

[製造例3:ETFE−6の製造]
製造例1で得たETFE−4の20質量部と製造例2で得たETFE−5の80質量部とをドライブレンド(dryblend)した後、2軸押出機を用いて温度260℃、滞留時間2分で溶融混練し、ETFE−6を得た。

0068

[例1〜30]
(溶融混練物の製造)
例1〜8、10〜11、15、22〜25および28〜30については、以下のようにして、溶融混練物からなる成形用樹脂材料を製造した。270〜280℃に設定した東洋精機製作所社製ラボプラストミルミキサーに、表1〜3に示す組成で各成分を投入し、毎分20回転で1分間の予備混練の後、毎分50回転で、表1〜3に示す混練温度および混練時間で溶融混練を行い、溶融混練物を得た。

0069

例9、12〜14、16〜21、26〜27については、以下のようにして、溶融混練物を調製した。270〜280℃に設定した東洋精機製作所社製ラボプラストミル・ミキサーに、表1〜3に示すマスターバッチ中の触媒の濃度になるように、ETFE、ポリカーボネート樹脂およびエステル交換触媒を投入した。その後、毎分50回転で、表1〜3に示すマスターバッチ混練温度およびマスターバッチ混練時間で溶融混練を行い、マスターバッチを得た。次いで、ETFEおよびポリカーボネート樹脂の残部を投入し、毎分50回転で、表1〜3に示す混練温度および混練時間で溶融混練を行い、溶融混練物を得た。なお、マスターバッチ中のETFEとポリカーボネート樹脂の質量比と、残部のETFEとポリカーボネート樹脂の質量比は同じである。また、マスターバッチ中の触媒の濃度は、マスターバッチ中のETFEとポリカーボネート樹脂とエステル交換触媒との合計100質量%に対する、マスターバッチに使用したエステル交換触媒の量(質量%)である。

0070

(成形体の製造)
厚さ100μm、100mm角のSUS316製金型に得られた溶融混練物を充填し、270〜280℃に設定したプレス機(東洋精機製作所社製ミニテストプレスMP-WCL)にセットし、150mm×150mmのSUS316製鏡面板を蓋として用いた。5分間の予熱の後、面圧8.7MPaで5分間圧縮成形を行い、面圧8.7MPaで5分間冷却し、金型のサイズで成形された厚さ100μmのフィルムを得た。

0071

引張試験
ASTMD1822−Lに従い、スーパーダンベルカッター(ダンベル社製SDMK−100L)を用い、得られたフィルムからダンベルを打抜き、試験片とした。テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製)にて、10mm/分の速度で引張試験を行い、N数(試料数)=5〜8での最大点応力(MPa)と伸び(%)を求めた。結果を表1〜3に示す。
(PCT試験
例7、8、14および28〜30については、得られたフィルムをPCT装置ESPEC社製EHS−411MD)中で120℃、湿度過飽和状態の条件のもと168時間保持し、その後のフィルムを上記と同様の方法で引張試験を行い、N数(試料数)=5〜8での最大点応力(MPa)と伸び(%)を求めた。なお、「伸びの維持率(%)」とはPCT試験後の伸び/PCT試験前の伸び×100であり、「最大点応力の維持率(%)」とはPCT試験後の最大点応力/PCT試験前の最大点応力×100である。
結果を表1〜3に示す。

0072

0073

0074

0075

電子顕微鏡観察
例7および14で得た溶融混練物をキャピログラフ(東洋精機製作所社製CAPIROGRAPH 1C)で10分間予熱し、10mm/分の速度で、L/D10、直径1mmのダイ穴から押し出して、ストランドを作製した。得られたストランドを液体窒素で冷却し、剃刀により割断してサンプルを作成し、カーボンコートして加速電圧5kVにて断面の走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S4300)の反射電子像を撮影した(倍率1,000倍)。図1に結果を示す。(A)および(B)は、それぞれ例7および14に対応する。明部がETFEの連続相であり、暗部がポリカーボネート樹脂の分散相である。

0076

トルク評価)
例7、19および20について、東洋精機製作所社製ラボプラストミル・ミキサーで溶融混練を行った際の回転軸にかかるトルク値の変化を測定した。トルク値の変化は、溶融混練物の粘度の変化として見積もられ、トルク値の上昇は粘度が上昇することに対応する。

0077

(積層体の製造)
厚さ300μmの金型を用いたこと以外は、上記の(成形体の製造)に記載される方法に従って、厚さ300μmのフッ素樹脂シートを得た。用いたフッ素樹脂は、ETFE−2またはETFE−3である。
厚さ600μmの金型を用いたこと以外は、上記の(成形体の製造)に記載される方法に従って、厚さ600μmのポリカーボネート樹脂シートを得た。用いたポリカーボネート樹脂はPC−2である。
厚さ125μm、幅15cm角のポリイミド商品名:カプトン)のシートの中心を7cm角となるように切り抜いた。切り抜き部分に、表4に示す例の溶融混練物を充填したものを使用したことを以外は、上記の(成形体の製造)に記載される方法に従って、接着層となる成形体を得た。
厚さ1,100μmの金型に、表4に示すフッ素樹脂シート、接着層となる成形体およびポリカーボネート樹脂シートをこの順で重ねて280℃に設定したプレス機(東洋精機製作所社製ミニテストプレスMP−WCL)にセットし、150mm×150mmの鏡面板を蓋として用いた。5分間の予熱の後、面圧8.7MPaで5分間圧縮成形を行い、面圧8.7MPaで5分間冷却し、金型のサイズに成形された積層体を得た。

0078

剥離試験
得られた積層体を幅1cm、長さ10cmに切断し、剥離試験片とした。テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製)にて、試験片の短辺のエッジのポリカーボネート樹脂シート部分とフッ素樹脂シート部分を掴んで、20mm/分の速度で引張試験を行い、N数(試料数)=3〜8での剥離力を求めた。引っ張り距離30mmから100mmに働く力の平均値をそのサンプルの初期剥離力と定義した。結果を表4に示す。

0079

(PCT試験)
得られた積層体をPCT装置(ESPEC社製EHS−411MD)中で120℃、湿度過飽和状態の条件のもと24時間保持し、その後の積層体を上記と同様の方法で剥離試験を行い、N数(試料数)=2〜3での剥離力を測定した。接着力を以下のように定義して接着性の比較を行った。
◎(優良):24時間のPCT試験の前後でともに接着大
○(良好):初期は接着大であるが、24時間のPCT試験の後に接着小
△(可):24時間のPCT試験の前後でともに接着小
×(不可):初期に接着無し
ここで、
接着大:30から100mmに働く力の平均値が10N/cm以上の剥離力
接着小:30から100mmに働く力の平均値が1N/cm以上10N/cm未満の剥離力
接着無し:30から100mmに働く力の平均値が1N/cm未満の剥離力
である。
表4に結果を示す。

0080

0081

例2、4、8〜19、21、24、25および27〜30(いずれも実施例)は、いずれも優れた機械的強度(最大点応力)および伸びを示した。
例1(比較例)と例2(実施例)、例3(比較例)と例4(実施例)、例7(比較例)と例8(実施例)、例22(比較例)と例24、25および27(いずれも実施例)との対比から、ヒドロキシ基を有するETFEを使用した場合に、エステル交換触媒の添加により、機械的強度および伸びが改善されることが確認できる。一方、ヒドロキシ基を有しないETFEを使用した例5(比較例)と例6(比較例)、例23(比較例)と例26(比較例)との対比から、エステル交換触媒を配合しても効果がなく、かえって伸びが低下することが確認できる。
例15(実施例)と例16(実施例)との対比から、マスターバッチ法を使用した例16の方が、一層優れた機械的強度および伸びが得られることが確認できる。さらに、例13(実施例)と例15(実施例)との対比から、マスターバッチ法を使用することにより、少ないエステル交換触媒でも、機械的強度および伸びの改善が見込めることが確認できる。
例27(実施例)と例28(実施例)との対比から、ヒドロキシ基を有するETFEを使用しマスターバッチ法を使用した例27よりも、カルボニル基を有するETFEを使用しマスターバッチ法を使用していない例28の方が、一層優れた機械的強度および伸びが得られることが確認できる。これは、分子量を低下させずにETFEにカルボニル基を導入するできたことと、溶融混練の際にETFEとPCとの反応を効率的に行えたためと考えられる。
例17(実施例)と例19(実施例)との対比から、平均粒子径が小さい酸化亜鉛を使用することにより、機械的強度および伸びについて、大きな改善幅が見込めることが確認できる。
さらに、例7(比較例)と例8(実施例)との対比から、本発明はPCT試験後でも優れた機械的強度および伸びが維持されることが確認できる。また、例14(実施例)においても、PCT試験後の優れた機械的強度および伸びが維持されることが確認できる。
図1に示す例7(比較例)および例14(実施例)のストランドの反射電子像より、例14(実施例)では、ストランドとしたとき、海島構造の島が細かく、かつ均一に分散されたモルフォロジーを有することが確認できる。

実施例

0082

さらに、図2に示すように、例19(実施例)では、トルク値がいったん低下した後、時間の経過とともに上昇している。このような現象は、ヒドロキシ基を有しないETFEを使用した例20(比較例)、エステル触媒を使用していない例7(比較例)では観察されない。ETFEとポリカーボネート樹脂がエステル交換反応して、反応物を形成しているため、粘度が上昇し、トルク値の上昇として観測されたものと解される。
例19(実施例)と例27(実施例)との対比から、本発明の樹脂組成物はETFEとポリカーボネート樹脂の体積比を50/50付近にすることが成形体の接着性発現の点から好ましいことがわかる。また、例22(比較例)と例24、25および27(いずれも実施例)との対比から、本発明による成形物はエステル交換触媒を含有することによって、24時間のPCT試験後にも高い接着性を維持できることがわかる。さらに、例23(比較例)と例26(比較例)に示されるように、ヒドロキシ基を有しないETFEを使用すると、エステル交換触媒を配合しても、24時間のPCT試験後の接着性の改善に効果がないことがわかる。これらの結果から、本発明の樹脂組成物において、フッ素樹脂とエステル結合含有樹脂の組成比を制御することで、その成形体を積層体の接着層としたときに、耐湿熱性を発揮することがわかる。

0083

本発明によれば、優れた機械的強度および伸度を有する成形体を製造できる樹脂組成物およびその溶融混練物、さらには、その成形体、フィルムまたはシート、積層体および太陽電池用バックシートを提供することができる。
本発明の成形体は、具体的には、雨どい等の樹脂建材標識類成形品自動車外装品等に用いることができる。また、フィルム状やシート状に成形することにより、太陽電池用バックシート用に使用されるのみならず、離型フィルムや高耐候性シート等にも適用可能である。また、本発明の成形体を積層体の接着層に用いることもできる。
なお、2013年12月27日に出願された日本特許出願2013−271747号および2014年7月28日に出願された日本特許出願2014−153221号の明細書、特許請求の範囲、要約書および図面の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

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