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技術 操作教示装置および経頭蓋磁気刺激装置

出願人 国立大学法人大阪大学学校法人関西大学帝人ファーマ株式会社
発明者 安室喜弘戎脇涼齋藤洋一松崎大河
出願日 2014年6月30日 (6年6ヶ月経過) 出願番号 2015-554587
公開日 2017年3月23日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 WO2015-098155
状態 特許登録済
技術分野 磁気治療器 電気治療装置
主要キーワード 装着具合 装置本体ユニット 保持ロッド トリガー入力 モニタ画 目標精度 特徴的領域 画像処理ライブラリ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月23日)のものです。
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図面 (18)

課題・解決手段

本発明に係る操作教示装置は、予め定められた位置及び方向に合わせるため、対象物2hの移動及び/又は回転の操作を行う際の操作教示に用いる操作教示装置であって、対象物の3次元形状情報を得るためのTOF式距離画像カメラ40と、対象物から反射された投射光受光手段が受光した受光強度の情報から得られた当該対象物の輝度画像を用いて、TOF式距離画像カメラ40で取得した3次元形状情報中から特徴的領域を抽出する抽出手段と、予め定められた位置及び方向での対象物の特徴領域を含む3次元形状情報と、現在の位置及び方向での対象物の特徴領域を含む3次元形状情報との偏差を算出して、操作教示のための情報を生成する生成手段と、を備えることを特徴としている。

概要

背景

近年、薬物治療が必ずしも有効でない数多くの神経疾患患者に対する治療法として、経頭蓋磁気刺激療法への関心が高まっている。この経頭蓋磁気刺激療法は、患者の頭皮表面に配置した磁場発生源により脳の特定部位(例えば、脳内神経)に磁気刺激を加えることによって、治療及び/又は症状の緩和を図ることができる比較的新しい治療法であり、開頭手術が必要で患者の抵抗感が非常に強い留置電極を用いる従来の電気刺激法とは違って、非侵襲的で患者への負担が少なくて済む治療法として普及が期待されている。

かかる経頭蓋磁気刺激療法の具体的な手法としては、患者の頭皮表面近傍に位置したコイル電流を流して、局所的に微小パルス磁場を生じさせ、電磁誘導原理を利用して頭蓋内に渦電流を起こすことにより、コイル直下の脳内神経に刺激を与える方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1においては、かかる方法で施した経頭蓋磁気刺激治療により難治性神経障害性疼痛が有効に軽減され、更に、より正確な局所刺激がより高い疼痛軽減効果を実現することが確認されている。但し、最適刺激部位は個々の患者によって微妙に異なることも明らかにされている。

従って、経頭蓋磁気刺激療法によるより高い効果を得るためには、個々の患者毎に、患者頭部の最適刺激部位を如何にして特定するか、すなわち患者頭部に対する治療用コイルの正確な3次元位置決めを如何にして行うかが重要である。尚、治療用コイルの位置が同じでも、その方位姿勢)によって得られる効果に差が生じることも知られている。
かかる治療用コイルの位置決めについては、例えば赤外線を用いた光学式トラッキングシステムを利用して患者頭部に対する治療用コイルの位置決めを行う構成のものが公知であり(例えば、特許文献2,3参照)、既に一部には市販され臨床応用されている。

上述のように、経頭蓋磁気刺激療法で疼痛軽減効果を得るためには、患者頭部の最適刺激部位を特定し正確に脳内神経に刺激を与えなければならない。頭蓋内に存在する脳は、外側から正確な位置を把握することは難しいが、頭部MRI画像(Magnetic Resonance Imaging)の3次元情報を用いることで、その位置を正確に把握することができる。経頭蓋磁気刺激療法の施術者医師等)は、MRI画像により得られた頭蓋内の3次元情報を参照しながら、光学式トラッキングシステムによる位置決め機能を利用して、患者頭部の最適刺激部位に治療用コイルを導き正確に磁気刺激を与えることが可能である。

このように経頭蓋磁気刺激療法において光学式トラッキングシステムを用いる場合、従来では、患者頭部と関連付けられた固定位置(例えば、患者が横たわるベッド)と治療用コイルとに赤外線反射マーカを設置しておき、これらマーカを検出して得られる両者の位置関係から治療用コイルの現在位置を推定し、MRI画像により得られた頭蓋内の3次元情報を参照しながら、患者頭部の最適刺激部位に治療用コイルを導くようにしている。従って、患者頭部とMRI画像との正確な位置合わせが求められることになる。このため、患者頭部をベッドに対して固定した状態で、キャリブレーション用マーカを用いて目,などを指定することで、MRI画像との正確な位置合わせが行われている。

概要

本発明に係る操作教示装置は、予め定められた位置及び方向に合わせるため、対象物2hの移動及び/又は回転の操作を行う際の操作教示に用いる操作教示装置であって、対象物の3次元形状情報を得るためのTOF式距離画像カメラ40と、対象物から反射された投射光受光手段が受光した受光強度の情報から得られた当該対象物の輝度画像を用いて、TOF式距離画像カメラ40で取得した3次元形状情報中から特徴的領域を抽出する抽出手段と、予め定められた位置及び方向での対象物の特徴領域を含む3次元形状情報と、現在の位置及び方向での対象物の特徴領域を含む3次元形状情報との偏差を算出して、操作教示のための情報を生成する生成手段と、を備えることを特徴としている。

目的

この発明は、かかる実情に鑑み、経頭蓋磁気刺激療法を実施するに際して、頭部拘束による患者の負担を軽減し、また、取り扱いや操作を簡単化する上で有用な操作教示装置、及びかかる操作教示装置を利用した経頭蓋磁気刺激装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

予め定められた位置及び方向に合わせるため、対象物の移動及び/又は回転の操作を行う際の、操作教示に用いる操作教示装置であって、前記対象物の表面を投射光照射して得られた撮影画像の各画素における、発光手段から前記対象物による反射を経て受光手段に至る前記投射光の伝播距離の情報から、当該対象物の3次元形状情報を得る、TOF(タイムオブフライト)式距離画像カメラ手段と、前記対象物から反射された投射光を前記受光手段が受光した受光強度の情報から得られた当該対象物の輝度画像を用いて、前記3次元形状情報中から特徴的領域を抽出する抽出手段と、前記予め定められた位置及び方向での前記対象物の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報と、現在の位置及び方向での前記対象物の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報との偏差を算出して、前記操作教示のための情報を生成する生成手段と、を備えることを特徴とする操作教示装置。

請求項2

対象物の表面を投射光で照射して得られた撮影画像の各画素における、発光手段から前記対象物による反射を経て受光手段に至る前記投射光の伝播距離の情報から当該対象物の3次元形状情報を得るとともに、移動及び/又は回転の操作が可能に構成された、TOF(タイム・オブ・フライト)式の距離画像カメラ手段と、前記距離画像カメラに対して、(A)相対的に予め定められた位置及び方向にある前記対象物の、前記3次元形状情報と、(B)現在の位置及び方向にある前記対象物の、前記3次元形状情報と、に基づいて、(1)前記予め定められた相対的位置及び相対的方向を示す、第一の指標、及び、(2)前記現在の相対的位置及び相対的方向を示す指標であって、前記予め定められた相対的位置及び相対的方向に近づくよう前記対象物又は前記距離画像カメラを相対的に移動させる操作を行うと、表示の態様が前記第一の指標の表示の態様に近づく、第二の指標、を生成する生成手段と、を備えることを特徴とする操作教示装置。

請求項3

被験者頭部内にある特定部位に対し、頭部外にある磁場発生手段を用いて磁気刺激を加えるための経頭蓋磁気刺激装置であって、前記磁場発生手段と一体で且つ移動及び/又は回転可能に設けられたカメラ手段であって、前記被験者頭部の表面を投射光で照射して得られた撮影画像の各画素における、発光手段から前記被験者頭部の表面による反射を経て受光手段に至る該投射光の伝播距離の情報から、当該被験者頭部の3次元形状情報を得る、TOF(タイム・オブ・フライト)式距離画像カメラ手段と、前記被験者頭部の表面から反射された投射光を前記受光手段が受光した受光強度の情報から得られた当該被験者頭部の輝度画像を用いて、前記3次元形状情報中から特徴的領域を抽出する抽出手段と、前記特定部位への磁気刺激を行う位置及び方向での前記被験者頭部の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報と、現在の位置及び方向での前記被験者頭部の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報との偏差を算出して、前記磁場発生手段と被験者頭部との相対的な位置および方向を変更操作するための教示情報を生成する生成手段と、を備えることを特徴とする経頭蓋磁気刺激装置。

請求項4

前記特徴的領域が前記被験者の鼻領域であることを特徴とする、請求項3に記載の経頭蓋磁気刺激装置。

請求項5

前記特徴的領域が前記被験者の耳領域であることを特徴とする、請求項3に記載の経頭蓋磁気刺激装置。

請求項6

被験者頭部内にある特定部位に対し、頭部外にある磁場発生手段を用いて磁気刺激を加えるための経頭蓋磁気刺激装置であって、前記磁場発生手段と一体で且つ移動及び/又は回転可能に設けられ、前記被験者頭部の表面を投射光で照射して得られた撮影画像の各画素における、発光手段から前記被験者頭部の表面による反射を経て受光手段に至る該投射光の伝播距離の情報から、当該被験者頭部の3次元形状情報を得る、TOF(タイム・オブ・フライト)式の距離画像カメラ手段と、(A)前記磁場発生手段が前記特定部位への磁気刺激を行う位置及び方向にあるときの被験者頭部の、前記3次元形状情報と、(B)前記磁場発生手段が現在の位置及び方向にあるときの被験者頭部の、前記3次元形状情報とに基づいて、(1)前記磁場発生手段が前記特定部位への磁気刺激を行うときの、目標となる位置及び方向を示す、第一の指標、及び、(2)前記磁場発生手段が現在の位置及び方向にあるときの、現在の位置及び方向を示す指標であって、前記特定部位への磁気刺激を行うときの位置及び方向に近づくよう当該磁場発生手段の移動操作を行うと、表示の態様が前記第一の指標の表示の態様に近づく、第二の指標、を生成する生成手段と、を備えたことを特徴とする経頭蓋磁気刺激装置。

技術分野

0001

本発明は、操作教示装置、及びかかる操作教示装置を利用した経頭蓋磁気刺激装置に関する。

背景技術

0002

近年、薬物治療が必ずしも有効でない数多くの神経疾患患者に対する治療法として、経頭蓋磁気刺激療法への関心が高まっている。この経頭蓋磁気刺激療法は、患者の頭皮表面に配置した磁場発生源により脳の特定部位(例えば、脳内神経)に磁気刺激を加えることによって、治療及び/又は症状の緩和を図ることができる比較的新しい治療法であり、開頭手術が必要で患者の抵抗感が非常に強い留置電極を用いる従来の電気刺激法とは違って、非侵襲的で患者への負担が少なくて済む治療法として普及が期待されている。

0003

かかる経頭蓋磁気刺激療法の具体的な手法としては、患者の頭皮表面近傍に位置したコイル電流を流して、局所的に微小パルス磁場を生じさせ、電磁誘導原理を利用して頭蓋内に渦電流を起こすことにより、コイル直下の脳内神経に刺激を与える方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1においては、かかる方法で施した経頭蓋磁気刺激治療により難治性神経障害性疼痛が有効に軽減され、更に、より正確な局所刺激がより高い疼痛軽減効果を実現することが確認されている。但し、最適刺激部位は個々の患者によって微妙に異なることも明らかにされている。

0004

従って、経頭蓋磁気刺激療法によるより高い効果を得るためには、個々の患者毎に、患者頭部の最適刺激部位を如何にして特定するか、すなわち患者頭部に対する治療用コイルの正確な3次元位置決めを如何にして行うかが重要である。尚、治療用コイルの位置が同じでも、その方位姿勢)によって得られる効果に差が生じることも知られている。
かかる治療用コイルの位置決めについては、例えば赤外線を用いた光学式トラッキングシステムを利用して患者頭部に対する治療用コイルの位置決めを行う構成のものが公知であり(例えば、特許文献2,3参照)、既に一部には市販され臨床応用されている。

0005

上述のように、経頭蓋磁気刺激療法で疼痛軽減効果を得るためには、患者頭部の最適刺激部位を特定し正確に脳内神経に刺激を与えなければならない。頭蓋内に存在する脳は、外側から正確な位置を把握することは難しいが、頭部MRI画像(Magnetic Resonance Imaging)の3次元情報を用いることで、その位置を正確に把握することができる。経頭蓋磁気刺激療法の施術者医師等)は、MRI画像により得られた頭蓋内の3次元情報を参照しながら、光学式トラッキングシステムによる位置決め機能を利用して、患者頭部の最適刺激部位に治療用コイルを導き正確に磁気刺激を与えることが可能である。

0006

このように経頭蓋磁気刺激療法において光学式トラッキングシステムを用いる場合、従来では、患者頭部と関連付けられた固定位置(例えば、患者が横たわるベッド)と治療用コイルとに赤外線反射マーカを設置しておき、これらマーカを検出して得られる両者の位置関係から治療用コイルの現在位置を推定し、MRI画像により得られた頭蓋内の3次元情報を参照しながら、患者頭部の最適刺激部位に治療用コイルを導くようにしている。従って、患者頭部とMRI画像との正確な位置合わせが求められることになる。このため、患者頭部をベッドに対して固定した状態で、キャリブレーション用マーカを用いて目,などを指定することで、MRI画像との正確な位置合わせが行われている。

先行技術

0007

国際公開第2007/123147号
特開2003−180649号公報
特開2004−000636号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、前記従来の方法では、キャリブレーションを行った後に、患者がその頭部の位置及び/又は姿勢を変化させると、患者頭部とMRI画像との正確な位置合わせが損なわれることになる。従って、患者は、キャリブレーションを行った後は磁気刺激治療を終えるまでは、頭部をベッドに対して固定した状態に拘束され身動きすることが許されず、このことが、患者にとって非常に大きな負担になっていた。

0009

また、前記特許文献1においては、上述の経頭蓋磁気刺激療法を行うと、疼痛軽減効果は、数時間程度は持続するが、数日間あるいはそれ以上持続するまでには至らないことが明らかにされている。従って、あまり時間間隔を空けずに、できれば毎日、継続的に上記療法を行うことが疼痛軽減の観点からは望ましいとされている。このような継続的な治療を、患者に過度の身体的,時間的等の様々な負担を強いること無く行えるようにするには、在宅、或いは近所のかかりつけの医院等での治療を可能とすることが理想的である。

0010

しかしながら、上記従来のコイル位置決め用の装置やシステム等を含む経頭蓋磁気刺激装置は、一般に、熟練した専門医師等が居る比較的大規模病院研究機関で用いることを前提としているので、取り扱い及び操作が複雑で、使用するには熟練を要する。このため、患者あるいはその家族、又は必ずしも専門ではない近所のかかりつけの医師などが操作して治療にあたることは一般に困難である。
従って、経頭蓋磁気刺激治療を受ける患者は、やはり、治療の度に熟練した専門医師等が居る大規模な病院まで通うか、若しくは入院せざるを得ず、継続反復して治療を受けるためには、様々な面で大きな負担が強いられるのが実情であった。

0011

この発明は、かかる実情に鑑み、経頭蓋磁気刺激療法を実施するに際して、頭部拘束による患者の負担を軽減し、また、取り扱いや操作を簡単化する上で有用な操作教示装置、及びかかる操作教示装置を利用した経頭蓋磁気刺激装置を提供することを、基本的な目的としてなされたものである。

課題を解決するための手段

0012

このため、本願の第1の発明に係る操作教示装置は、予め定められた位置及び方向に合わせるため、対象物の移動及び/又は回転の操作を行う際の、操作教示に用いる操作教示装置であって、(a)前記対象物の表面を投射光照射して得られた撮影画像の各画素における、発光手段から前記対象物による反射を経て受光手段に至る前記投射光の伝播距離の情報から、当該対象物の3次元形状情報を得る、TOF(タイムオブフライト)式距離画像カメラ手段と、(b)前記対象物から反射された投射光を前記受光手段が受光した受光強度の情報から得られた当該対象物の輝度画像を用いて、前記3次元形状情報中から特徴的領域を抽出する抽出手段と、(c)前記予め定められた位置及び方向での前記対象物の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報と、現在の位置及び方向での前記対象物の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報との偏差を算出して、前記操作教示のための情報を生成する生成手段と、を備えることを特徴としたものである。

0013

また、本願の第2の発明に係る操作教示装置は、(a)対象物の表面を投射光で照射して得られた撮影画像の各画素における、発光手段から前記対象物による反射を経て受光手段に至る前記投射光の伝播距離の情報から当該対象物の3次元形状情報を得るとともに、移動及び/又は回転の操作が可能に構成された、TOF(タイム・オブ・フライト)式の距離画像カメラ手段と、(b)前記距離画像カメラに対して、(A)相対的に予め定められた位置及び方向にある前記対象物の、前記3次元形状情報と、(B)現在の位置及び方向にある前記対象物の、前記3次元形状情報と、に基づいて、(1)前記予め定められた相対的位置及び相対的方向を示す、第一の指標、及び、(2)前記現在の相対的位置及び相対的方向を示す指標であって、前記予め定められた相対的位置及び相対的方向に近づくよう前記対象物又は前記距離画像カメラを相対的に移動させる操作を行うと、表示の態様が前記第一の指標の表示の態様に近づく、第二の指標、を生成する生成手段と、を備えることを特徴としたものである。

0014

本願の第3の発明に係る経頭蓋磁気刺激装置は、被験者頭部内にある特定部位に対し、頭部外にある磁場発生手段を用いて磁気刺激を加えるための経頭蓋磁気刺激装置であって、(a)前記磁場発生手段と一体で且つ移動及び/又は回転可能に設けられたカメラ手段であって、前記被験者頭部の表面を投射光で照射して得られた撮影画像の各画素における、発光手段から前記被験者頭部の表面による反射を経て受光手段に至る該投射光の伝播距離の情報から、当該被験者頭部の3次元形状情報を得る、TOF(タイム・オブ・フライト)式距離画像カメラ手段と、(b)前記被験者頭部の表面から反射された投射光を前記受光手段が受光した受光強度の情報から得られた当該被験者頭部の輝度画像を用いて、前記3次元形状情報中から特徴的領域を抽出する抽出手段と、(c)前記特定部位への磁気刺激を行う位置及び方向での前記被験者頭部の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報と、現在の位置及び方向での前記被験者頭部の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報との偏差を算出して、前記磁場発生手段と被験者頭部との相対的な位置および方向を変更操作するための教示情報を生成する生成手段と、を備えることを特徴としたものである。

0015

この場合において、前記特徴的領域は被験者の鼻領域または耳領域であることが好ましい。

0016

また、本願の第4の発明に係る経頭蓋磁気刺激装置は、被験者頭部内にある特定部位に対し、頭部外にある磁場発生手段を用いて磁気刺激を加えるための経頭蓋磁気刺激装置であって、(a)前記磁場発生手段と一体で且つ移動及び/又は回転可能に設けられ、前記被験者頭部の表面を投射光で照射して得られた撮影画像の各画素における、発光手段から前記被験者頭部の表面による反射を経て受光手段に至る該投射光の伝播距離の情報から、当該被験者頭部の3次元形状情報を得る、TOF(タイム・オブ・フライト)式の距離画像カメラ手段と、(b)(A)前記磁場発生手段が前記特定部位への磁気刺激を行う位置及び方向にあるときの被験者頭部の、前記3次元形状情報と、(B)前記磁場発生手段が現在の位置及び方向にあるときの被験者頭部の、前記3次元形状情報とに基づいて、(1)前記磁場発生手段が前記特定部位への磁気刺激を行うときの、目標となる位置及び方向を示す、第一の指標、及び、(2)前記磁場発生手段が現在の位置及び方向にあるときの、現在の位置及び方向を示す指標であって、前記特定部位への磁気刺激を行うときの位置及び方向に近づくよう当該磁場発生手段の移動操作を行うと、表示の態様が前記第一の指標の表示の態様に近づく、第二の指標、を生成する生成手段と、を備えることを特徴としたものである。

発明の効果

0017

本願の第1の発明に係る操作教示装置によれば、TOF式距離画像カメラ手段を用いたことにより、対象物の3次元形状情報をリアルタイムで得ることができ、また、前記抽出手段を備えたことにより、前記3次元形状情報中から特徴的領域を抽出することができる。そして、前記生成手段を備えたことにより、予め定められた位置及び方向での対象物の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報と、現在の位置及び方向での前記対象物の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報との偏差を算出して、前記操作教示のための情報を生成することができる。
従って、予め定められた位置及び方向に合わせるために、対象物の移動及び/又は回転の操作を行うに際して、対象物が予め定められた位置及び方向からずれた場合でも、前記操作教示のための情報に従って、対象物を移動及び/又は回転操作するだけの簡単な操作で、対象物を容易かつ確実に予め定められた位置及び方向に合わせることができる。また、抽出手段によって抽出した特徴領域を含む3次元形状情報の偏差を算出するので、比較的高速で操作教示のための情報を得ることができる。

0018

また、本願の第2の発明に係る操作教示装置によれば、TOF式距離画像カメラ手段を用いたことにより、対象物の3次元形状情報をリアルタイムで得ることができる。また、前記生成手段を備えたことで、操作をする者は、第一の指標及び第二の指標の表示から、移動操作の対象物をどの方向へ動かせばよいのかを直観的に把握することができ、操作が容易になる。

0019

本願の第3の発明に係る経頭蓋磁気刺激装置によれば、TOF式距離画像カメラ手段を用いたことにより、被験者頭部の3次元形状情報をリアルタイムで得ることができる。この場合において、前記TOF式距離画像カメラ手段と磁場発生手段とは一体で且つ移動及び/又は回転可能であるので、両者間の位置及び方向の相対関係は常に不変であり、改めて位置及び方向を合わせる必要はない。また、前記抽出手段を備えたことにより、前記被験者頭部の3次元形状情報中から特徴的領域を抽出することができる。そして、前記生成手段を備えたことにより、被験者頭部内の前記特定部位への磁気刺激を行う位置及び方向での前記被験者頭部の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報と、現在の位置及び方向での前記被験者頭部の前記特徴領域を含む前記3次元形状情報との偏差を算出して、前記磁場発生手段と被験者頭部との相対的な位置および方向を変更操作するための教示情報を生成することができる。
従って、頭部外にある磁場発生手段を被験者頭部内にある特定部位に対応した位置及び方向に導くために、前記磁場発生手段と被験者頭部との相対的な移動及び/又は回転の操作を行うに際して、前記磁場発生手段が被験者頭部の前記特定部位に対応した相対的な位置及び方向からずれた場合でも、前記操作教示のための情報に従って、前記磁場発生手段と被験者頭部とを相対的に移動及び/又は回転させるだけの簡単な操作で、前記磁場発生手段を被験者頭部の前記特定部位に対応した相対的な位置及び方向に、容易かつ確実に合わせることができる。これにより、経頭蓋磁気刺激療法を実施するに際して、頭部拘束による被験者の負担を軽減することができる。また、抽出手段によって抽出した特徴的領域を含む3次元形状情報の偏差を算出するので、比較的高速で操作教示のための情報を得ることができる。
以上のように、当該装置の使用者は、前記操作教示のための情報に従って、前記磁場発生手段と被験者頭部とを相対的に移動及び/又は回転させるだけで、従来のように特別な熟練性を要することもなく、所要の操作を行うことができる。つまり、被験者あるいはその家族、又は必ずしも専門ではない近所のかかりつけの医師などでも、比較的容易に操作して使用することができる。また、従来のような大掛かりで高価な装置を用いる必要がないので、コスト負担が小さくて済み、しかも被験者個人自宅や比較的小規模な医院や診療所等でも設置スペースの確保が容易である。このように、本発明によれば、取り扱いや操作が簡単で、且つ、より小型で安価な磁気刺激装置を提供することができ、これにより、被験者が、自宅や近所のかかりつけの医院などで日常的に継続反復して経頭蓋磁気刺激療法を行うことが可能になる。

0020

この場合において、被験者頭部の3次元形状情報中から抽出する特徴的領域を被験者の鼻領域または耳領域とすることにより、被験者頭部の顔形状の中でもとりわけ特徴的な領域を抽出することができ、生成手段での偏差算出の精度をより高めることができる。

0021

また、本願の第4の発明に係る経頭蓋磁気刺激装置によれば、TOF式距離画像カメラ手段を用いたことにより、被験者頭部の3次元形状情報をリアルタイムで得ることができる。この場合において、前記TOF式距離画像カメラ手段と磁場発生手段とは一体で且つ移動及び/又は回転可能であるので、両者間の位置及び方向の相対関係は常に不変であり、改めて位置及び方向を合わせる必要はない。また、前記生成手段を備えたことで、操作を行う者は、第一の指標及び第二の指標の表示から、被験者頭部やTOF式距離画像カメラ手段という移動操作の対象物をどの方向へ動かせばよいのかを直観的に把握することができるので、操作が容易なものとなり、経頭蓋磁気刺激装置を在宅や開業医外来などで治療に用いる場合の障壁を小さくすることができる。
従って、頭部外にある磁場発生手段を被験者頭部内にある特定部位に対応した位置及び方向に導くために、前記磁場発生手段と被験者頭部との相対的な移動及び/又は回転の操作を行うに際して、前記磁場発生手段が被験者頭部の前記特定部位に対応した相対的な位置及び方向からずれた場合でも、前記第一の指標及び第二の指標の表示に従って、前記磁場発生手段と被験者頭部とを相対的に移動及び/又は回転させるだけの簡単な操作で、前記磁場発生手段を被験者頭部の前記特定部位に対応した相対的な位置及び方向に、容易かつ確実に合わせることができる。これにより、経頭蓋磁気刺激療法を実施するに際して、頭部拘束による被験者の負担を軽減することができる。
以上のように、当該装置の使用者は、前記第一の指標及び第二の指標の表示に従って、前記磁場発生手段と被験者頭部とを相対的に移動及び/又は回転させるだけで、従来のように特別な熟練性を要することもなく、所要の操作を行うことができる。つまり、被験者あるいはその家族、又は必ずしも専門ではない近所のかかりつけの医師などでも、比較的容易に操作して使用することができる。また、従来のような大掛かりで高価な装置を用いる必要がないので、コスト負担が小さくて済み、しかも被験者個人の自宅や比較的小規模な医院や診療所等でも設置スペースの確保が容易である。このように、本発明によれば、取り扱いや操作が簡単で、且つ、より小型で安価な磁気刺激装置を提供することができ、これにより、被験者が、自宅や近所のかかりつけの医院などで日常的に継続反復して経頭蓋磁気刺激療法を行うことが可能になる。

図面の簡単な説明

0022

本発明の一実施形態に係る経頭蓋磁気刺激装置の模式的な構成図である。
図1の装置による磁気刺激治療を行う前に、「正解姿勢」での位置合わせ用データを取得する工程を説明するためのフローチャートである。
図1の装置を用いて行う磁気刺激治療の流れを説明するためのフローチャートである。
図1の装置が備えるTOFカメラ計測した表面形状データの一例を示す図である。
図4の表面形状データから抽出された顔形状データの一例を示す図である。
図5の顔形状データから抽出された「正解姿勢」での位置合わせ用データの一例を示す図である。
現在姿勢」での位置合わせ用データの一例を示す図である。
図1の装置が備えるTOFカメラで得られた反射輝度画像に対して顔認識処理を行って検出された鼻領域を示す図である。
図8の鼻周辺領域のみを抽出して得られた点群データを示す図である。
図1の装置の画像モニタ部が表示する教示情報の一例を示す図である。
前記画像モニタ部が表示する教示情報の一例を示す図である。
ICPアルゴリズムを用いた位置合わせ方法を説明するための模式図である。
前記位置合わせ方法を説明するための模式図である。
図1の装置の精度評価に用いた実験装置を示す模式的な構成図である。
図14の一部を拡大して示す拡大図である。
前記実験装置を用いた精度評価結果を説明する図である。
前記精度評価結果を説明する図である。

実施例

0023

以下、本発明の実施形態について、経頭蓋磁気刺激療法に適用した場合を例にとって、添付図面を参照しながら説明する。尚、本発明に係る画像データ処理装置は、被験者(例えば、患者や検査受検者など)の頭部以外の部位に対し、種々の疾患治療用磁気刺激療法を施す場合にも有効に適用し得るものである。

0024

[経頭蓋磁気刺激装置の構成の概要
図1は、本実施形態に係る経頭蓋磁気刺激装置の構成の概要を模式的に示す説明図である。この経頭蓋磁気刺激装置1は、被験者2の頭部2h内の特定部位(最適刺激部位)に磁気刺激を加えて治療を行なうためのものである。
図1に示すように、経頭蓋磁気刺激装置1(以下、適宜、単に「装置」と略称する)は、その主要な構成として、画像モニタ部10,装置本体ユニット20,磁気刺激コイル30(以下、適宜、「治療用コイル」、或いは、単に「コイル」と略称する),TOFカメラ40及びヘルメット50を備えている。

0025

前記TOFカメラ40は、TOF(タイム・オブ・フライト:飛行時間計測)式距離画像カメラであり、対象物の表面を投射光で照射して得られた撮影画像の各画素における、発光手段から対象物表面による反射を経て受光手段に至る前記投射光の伝播距離の情報から、対象物の3次元形状情報を得ることができる。TOFカメラ40は、要するに、投射光が対象物に反射して帰還するまでの時間を測定することで、視野内の全ての物体までの距離、すなわちカメラの視野に映っている物体の表面形状をリアルタイムに取得できるカメラであり、計測した表面形状データは点群データとして出力される。

0026

例えば、スイスチューリヒ市のMESイメージング社は、「SR4000」なる商品名の装置を市場に導入している。この装置では、測定対象物である被写体をCCDなど固体撮像素子を用いた撮像手段で撮影し、同じく投光手段から被写体へ投射された光が反射して固体撮像素子の一つ一つの画素(ピクセル)に到達した際に、投射してから画素へ到達するまでの時間を、投射光と画素到達光との光の位相差により検知し、この結果、撮像画面内の一つ一つの画素内に結像した被写体ポイントの距離が算出される。

0027

このようなTOFカメラ40を用いることで、近距離でも対象物表面の3次元形状をリアルタイムで測定することができる。また、対象物表面の3次元形状をリアルタイムに得ると同時に、対象物の表面から反射された投射光を前記受光手段が受光した受光強度の情報から、反射輝度画像をリアルタイムに得ることもできる。

0028

本実施形態では、前記TOFカメラ40は、所定の強度及び剛性を備えた保持アーム52の一端に固定され、この保持アーム52の他端はヘルメット50に固定されている。つまり、TOFカメラ40は、保持アーム52を介してヘルメット50に一体的に固定されている。また、磁気刺激コイル30も、ヘルメット50表面の所定箇所に一体的に固定されている。従って、磁気刺激コイル30とTOFカメラ40とは、ヘルメット50が移動すると一体として移動し、両者30,40間の位置及び方向の相対的な関係は常に一定である。

0029

そして、被験者2がヘルメット50を頭部2hに装着すると、その装着具合(つまり、頭部2hに対するヘルメット50の装着姿勢)に応じて、被験者頭部2hの最適刺激部位と磁気刺激コイル30との(つまり、TOFカメラ40との)間の位置及び方向の相対的な関係が定まる。従って、被験者2がヘルメット50の装着具合を調節することにより、被験者頭部2hの最適刺激部位に対応する磁気刺激コイル30の(TOFカメラ40の)相対的な位置及び方向を調節することができる。

0030

被験者2が前記ヘルメット50を装着した状態で、TOFカメラ40を用いて被験者2の顔形状を計測することにより、この計測した顔形状から、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係を推定することができる。この位置及び方向の相対的な関係は、すなわち、被験者2がヘルメット50をどのような装着姿勢で着用しているかを表している。前述のように、ヘルメット50の特定の位置には磁気刺激コイル30が固定されており、磁気刺激コイル30とTOFカメラ40との間の位置及び方向の相対的な関係は常に一定であるので、磁気刺激コイル30が被験者2の脳の正しい部位(最適刺激部位)を刺激する際のTOFカメラ40と被験者2の顔の位置及び方向が得られるヘルメット50の装着姿勢を「正解姿勢」とし、この「正解姿勢」を記録しておく。

0031

その後、被験者2がヘルメット50を装着し直した後、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係を表すヘルメット50の現在の装着姿勢を「現在姿勢」として測定する。そして、後述するように、「正解姿勢」と「現在姿勢」との間の距離を計算し、この距離が規定範囲を越える場合には、磁気刺激治療を行うことなく、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び姿勢の相対的な関係について、変化させるべき方向を画像モニタ部10のモニタ画面12上で指示する。被験者2はモニタ画面12の指示に従い、ヘルメット50の装着具合を調節してTOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係を変化させ、再度「現在姿勢」を測定する。この操作を、「正解姿勢」と「現在姿勢」との間の距離が規定範囲内の値となるまで繰り返して実行することで、磁気刺激コイル30を正しい位置に誘導することができる。

0032

前記画像モニタ部10は、CRT画面もしくは液晶画面等のモニタ画面12を備え、画像情報を表示する機能を有している。パーソナルコンピュータ画像表示部を用いても勿論よい。この画像モニタ部10のモニタ画面12には、前述のように、「正解姿勢」と「現在姿勢」との間の距離が規定範囲を越える場合には、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び姿勢の相対的な関係について、変化させるべき方向が表示される。磁気刺激治療の施術者(不図示)は、モニタ画面12の表示を見ながら、「正解姿勢」と「現在姿勢」との間の距離が規定範囲内になるように、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係を調節した上で、適切な磁気刺激治療を行なう。

0033

装置本体ユニット20は、以下のような各構成を、一体に、または一部を別体に保持するものであって、保持される各構成は下記のものを含んでいる。尚、これら各構成は説明の便宜上、複数の構成に分けたものであって、実施にあたっては、パーソナルコンピュータに実装された実行ソフトとして実現しても勿論構わない。
装置本体ユニット20に含まれる画像表示制御部21は、教示情報生成部23からの入力などに基づいて、画像モニタ部10に表示させるべき各種の画像の表示制御を行うものである。また、磁気刺激コイル制御部22は、磁気刺激コイル30に印加する磁束生成電流のオンオフおよび電流を制御するものである。

0034

磁気刺激コイル30を被験者頭部2h内の最適刺激部位に適切に近接させた状態で、図示しない操作部を操作して前記磁気刺激コイル制御部22を作動させることにより、所定強度の磁束を印加して被験者頭部2hの脳内に誘起電流を生じさせ、最適刺激部位に磁気刺激を与える磁気刺激治療を行なうことができる。

0035

教示情報生成部23には、予め取得された「正解姿勢」での顔形状データに基づく位置合わせ用データを読み出し可能に保持されている。この「位置合わせ用データ」については後述する。尚、この「正解姿勢」での顔形状データ及びこれに基づく位置合わせ用データは、教示情報制御部23に付設された若しくは装置本体ユニット20の外部に付設されたメモリ装置に、読み出し可能に保持されていてもよい。

0036

また、教示情報生成部23には、TOFカメラ40から「現在姿勢」での顔形状データが入力され、この「現在姿勢」での顔形状データに基づいて、位置合わせ用データが取得される。教示情報生成部23では、この「現在姿勢」での位置合わせ用データと前記「正解姿勢」での位置合わせ用データとが位置合わせされ、「正解姿勢」と「現在姿勢」との間の距離が計算される。そして、その距離が規定範囲を越える場合には、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係について、「正解姿勢」と「現在姿勢」との間の距離が規定範囲内になるように、変化させるべき方向を教示する教示情報が生成され、その教示情報データが画像モニタ部10に出力される。

0037

以上の画像表示制御部21,磁気刺激コイル制御部22及び教示情報生成部23は、それぞれ所要の制御回路および演算回路等を備えて構成されている。ただし、前述のように、本装置による制御は、パーソナルコンピュータに実装された実行ソフトとして実現してもよく、この場合には、本装置は、プログラムされたコンピュータによって、或いは、記録媒体に記録されたプログラムを読み込んで実行するコンピュータによって、後述する所要の制御や制御のための演算を行うものである。また、コンピュータを利用して後述する所要の制御や演算を実行するためのプログラム、更には、かかる制御や演算に必要なデータ類についても、少なくともその一部を、例えば本装置と通信可能に連繋した外部サーバに保持させておき、装置側からの要求に応じて、その都度必要なプログラムやデータ類をダウンロードすることにより、コンピュータを利用して所要の制御や演算を実行する、ように構成することもできる。

0038

次に、図1に示す構成を備えた前記経頭蓋磁気刺激装置1の基本的な動作について、具体的に説明する。尚、以下の説明では、画像処理の具体的な算法など、データを処理する手順や方法を主眼として説明を行うので、図1を用いて先に説明をした本装置1の各構成の機能や動作として直接言及されない場合がある。しかし、その場合でも、これら説明がなされる機能や動作は、図1に図示した経頭蓋磁気刺激装置1の機能や動作として実現されているため、装置1のどの構成に対応するかは容易に特定が行なえるものである。

0039

磁気刺激治療を実施するに先立って、磁気刺激コイル30が被験者頭部2hの最適刺激部位を刺激する際のTOFカメラ40と被験者2の顔の位置及び方向に対応する「正解姿勢」について、顔形状データを計測し、この計測データに基づいて位置合わせ用データを取得し、記録しておく必要がある。図2は、「正解姿勢」での位置合わせ用データを取得する工程を説明するフローチャートである。この工程は、例えば、専門の医師等が病院で行う初期診療時などに行われることが好ましい。

0040

システムの作動が開始されると、先ず、ステップ#11で被験者2がヘルメット50を装着し、次に、ステップ#12で、医師が、被験者2のヘルメット50の装着具合を見ながら、また、被験者2が除痛効果(あるいは刺激の効果)を感じる領域での被験者2の反応等を参照しながら、「正解姿勢」を探索し、TOFカメラ40と被験者2の顔との相対的な位置及び方向が「正解姿勢」に到達したか否かが継続的に判定される(ステップ#13)。
そして、「正解姿勢」に到達してステップ#13での判定結果がYESになると、医師からのトリガー入力(図示しないスイッチ:ON)により、教示情報生成部23を介してTOFカメラ40が作動し、その時点での(つまり「正解姿勢」での)顔形状データが計測される(ステップ#14)。

0041

前述のように、TOFカメラは視野内の物体の表面形状データをリアルタイムに計測できるカメラであり、計測した表面形状データは、例えば図4に示すように点群データとして出力される。こうして得られた点群データには、背景などの対象以外のデータやノイズが含まれている。このため、距離情報カメラ感度信頼度情報を利用したマスキングとデータの時間平均によるノイズ除去を行う。これらの処理によって、例えば図5に示すような顔形状のみのデータを抽出することができる。

0042

こうして計測された「正解姿勢」での顔形状データに基づいて、前述の「現在姿勢」との位置合わせを行うための位置合わせ用データを取得する(ステップ#15)。本実施形態では、「正解姿勢」と「現在姿勢」とがどれだけ異なっているかをICPアルゴリズム(後述するように、反復計算により対応点関の距離を最小化するような剛体変換パラメータを求める手法)による位置合わせを用いて求めるが、ステップ#14で取得した顔形状データをそのまま利用した場合、データ数が多すぎるため計算に時間がかかる、更には、形状の範囲が広すぎるため誤った局所解に陥りやすい、という問題が存在する。

0043

この問題を解消するために、顔の中でもとりわけ特徴的な領域である鼻及びその周辺の領域(以下、「鼻領域」と称する)を特徴的領域とし、ステップ#14で得られた顔形状データから特徴的領域である鼻領域の形状データのみを抽出し、この抽出した鼻領域の形状データを「正解姿勢」での位置合わせ用データとして取得する。この位置合わせ用データの一例を図6に示す。尚、この鼻領域の代わりに、やはり特徴的な領域である耳及びその周辺の領域(以下、「耳領域」と称する)を特徴的領域としてもよい。こうして得られた「正解姿勢」での位置合わせ用データは、教示情報制御部23、或いはそれに付設されたメモリ装置、若しくは装置本体ユニット20の外部に付設されたメモリ装置などに読み出し可能に格納され(ステップ#16)、「正解姿勢」での位置合わせ用データを取得する工程が終了する。

0044

本実施形態では、被験者2の顔形状データから鼻領域の形状データのみを抽出するに際して、画像処理ライブラリであるOpenCVの実装による顔認識機能を用いて、自動的に抽出するようにしている。
前記TOFカメラ40は、3次元表面形状をリアルタイムに得ると同時に、モノクロの反射輝度画像をリアルタイムに得ることができる。この反射輝度画像に対して顔認識処理を行うことで、図8に示すように鼻領域を検出することができる。その後、図5の顔形状点群に対して、図8の円で囲まれている領域のみを抽出する処理を行うこと、図9に示すように鼻周辺領域のみを抽出した点群データを得ることができる。

0045

<ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズム>
本実施形態では、前述のように、「正解姿勢」と「現在姿勢」とがどれだけ異なっているかをICPアルゴリズムによる位置合わせを用いて求めるようにしている。次に、このICPアルゴリズムについて、その概略を説明する。
ICPアルゴリズムとは、1992年にBesl等により提案された手法で(P.J.Besl and N.D.McKay:”A Method for Registration of 3−D Shapes”,IEEE Trans.Pattern Anal.Machine Intell,vol. 14,No.2,pp.239−256(1992−2))、反復計算により対応点間の距離を最小化するような剛体変換パラメータを求める手法であり、この手法によれば、対応が未知の点群どうしを高精度に一致させることができる。

0046

本実施形態では、ICPアルゴリズムは、ソフトウェアライブラリVTK(Visualization Tool Kit)の機能を用いて実装されており、実行することにより、剛体変換パラメータとして下記の回転行列Rと平行移動ベクトルtとが得られる。
このICPアルゴリズムを用いて、「正解姿勢」の時点で計測した鼻領域形状点群と、「現在姿勢」で計測した鼻領域形状点群の位置合わせを行うことにより、「正解姿勢」と「現在姿勢」がどれだけ異なっているか(ずれているか)を算出する。その結果、「現在姿勢」の点群をどちらにどれだけ動かせば「正解姿勢」の点群と一致するかを表す平行移動ベクトルtと回転行列Rの変換パラメータ(剛体変換パラメータ)を得ることができるのである。

0047

ここで得られる剛体変換パラメータはつまり、「現在姿勢」と「正解姿勢」がどれだけずれているかを表している。そこで、得られた剛体変換パラメータから、「現在姿勢」を「正解姿勢」に近付けるために、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係について、変化させるべき方向を計算し、例えば図10に示すように、画像モニタ部10のモニタ画面12に表示させるようにしている。

0048

この図10の例では、例えば赤色の円形C1がTOFカメラ40に、例えば緑色の円形C2が被験者2の顔(特徴的領域)に、それぞれ対応しており、両者C1,C2を結ぶ線分L12の方向が互いに移動させるべき方向を示している。従って、モニタ画面12中の線分L12が短くなり、最終的には2つの円形C1,C2が重なるように、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係を(つまり、ヘルメット50の装着姿勢を)変化させればよいことになる。

0049

3次元空間内の2点r1,r2間のユークリッド距離dは、下記の式(数1)のように表すことができる。

0050

ここで、N個の点aiからなる点群Aと、M個の点bjからなる点群Bの2つの点群が存在するものとする(次式(数2)及び図12参照)。

0051

点群Aに含まれる点aiと点群Bとの距離を、点群Bに含まれる点の中で最も距離の近い点との距離と定義し(次式(数3)及び図13参照)、点群Aの各点aiと点群Bとの距離d(ai,B)を求める。

0052

点aiに対応する点をmi∈Bとすると、剛体変換パラメータである回転行列R,平行移動ベクトルtは、次式(数4)に示す誤差関数E(R,t)を最小化することで求めることができる。

0053

以上の処理を纏めると、次の手順で位置合わせ剛体変換パラメータを求めることができることになる。
(i)点群Aの各点aiにおける点群Bとの最近点miを求める。
(ii)誤差Eを最小にする剛体変換パラメータを求める。
(iii)点群Aを求められたパラメータ(R,t)を用いて変換する。
(iv)誤差Eが閾値以下であれば反復計算を終了する。それ以外の場合には、(i)に戻って、同様のステップを繰り返して実行する。

0054

本発明の実施にあたっては、上述の剛体変換パラメータの決定方法は例示にすぎず、距離最小の点を近似計算出発とする点や、数4に示す誤差計算方法を、他の方法に転換することが可能である。3次元空間における剛体位置姿勢(6自由度)の一致度合い、すなわち誤差の大きさ、が数値評価できる方法であれば、他の如何なる方法によっても構わない。このことは、以後の記載においても同様である。

0055

次に、本実施形態に係る経頭蓋磁気刺激装置1を用いて行う磁気刺激治療について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。この磁気刺激治療は、被験者2自身あるいはその家族等が自宅で行う在宅治療として行うことも可能である。尚、在宅治療時には、図2のフローチャートで説明された工程で得られた「正解姿勢」での位置合わせ用データが、経頭蓋磁気刺激装置1の教示情報制御部23内の或いはそれに付設されたメモリ装置、若しくは装置本体ユニット20の外部に付設されたメモリ装置などに読み出し可能に格納されているものとする。

0056

システムの作動が開始されると、先ず、ステップ#21で被験者2がヘルメット50を装着し、次に、ステップ#22で、その装着状態での(つまり「現在姿勢」での)顔形状データが計測される。この「現在姿勢」での顔形状データの計測は、図2のステップ#14で行った「正解姿勢」での顔形状データの計測と同様にして行われる。つまり、TOFカメラで計測した表面形状データ(点群データ)に距離情報・カメラ感度の信頼度情報を利用したマスキングとデータの時間平均によるノイズ除去処理を行って、顔形状のみのデータが抽出される。

0057

こうして計測された「現在姿勢」での顔形状データに基づいて、前述の「正解姿勢」との位置合わせを行うための位置合わせ用データを取得する(ステップ#23)。この「現在姿勢」での位置合わせ用データの取得は、図2のステップ#15で行った「正解姿勢」での位置合わせ用データの取得と同様にして行われる。つまり、ステップ#22で得られた顔形状データから特徴的領域である鼻領域の形状データのみを抽出し、この抽出した鼻領域の形状データを「現在姿勢」での位置合わせ用データとして取得する。この「現在姿勢」での位置合わせ用データの一例を図7に示す。

0058

次に、前述のICPアルゴリズムを用いて、教示情報制御部23内の或いはそれに付設されたメモリ装置、若しくは装置本体ユニット20の外部に付設されたメモリ装置などから読み出された「正解姿勢」での位置合わせ用データと、「現在姿勢」での位置合わせ用データとを位置合わせする(ステップ#24)。つまり、「正解姿勢」と「現在姿勢」との間の距離を算出し(ステップ#25)、この算出距離規定値以下であるか否かを判定する(ステップ#26)。算出距離が規定値を越える場合には(ステップ#26:NO)、磁気刺激治療を行うことなく、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係について、変化させるべき方向を画像モニタ部10のモニタ画面12上で指示する(ステップ#27)。

0059

前述のように、このモニタ画面12上には、TOFカメラ40及び被験者2の顔が前述した「正解姿勢」からどの方向にどのくらいの大きさで偏差しているか、を示す指標として、被験者2の頭部2hのある決められた一点から見た現状姿勢でのTOFカメラ40の位置を例えば赤色の円形C1で示し、同じく被験者2頭部の同じ一点から見た正解姿勢でのTOFカメラ40の位置を例えば緑色の円形C2で表示(図10参照)している。
そして、2つの指標C1,C2を結ぶ線分L12の向きは、「現在姿勢」を「正解姿勢」に近づけるために、TOFカメラ40、被験者2の顔の相対的な位置を移動させるべき移動方向を、線分L12の長さは同じく移動させるべき移動距離を示している。

0060

また、2つの指標C1とC2を円形で表示している理由は、3次元空間内におけるこれらTOFカメラ40の位置を表現しているためである。すなわちTOFカメラ40が被験者2の頭部2hに近いと例えば、指標C1,C2の円形も大きく表示されるようにしている。位置合わせの状況により、TOFカメラ40(あるいはTOFカメラ40が一体に固定されたヘルメット50)を前後方向にずらすなどして調整すれば2つの指標C1,C2が同じ大きさになり、3次元位置として「現在姿勢」でのTOFカメラの位置を、「正解姿勢」でのTOFカメラ40の位置に一致させることが可能になる。

0061

位置合わせの具体的な操作は、被験者2の頭部2hを現状の位置に止めておき、指標C2を動かして、指標C1と重なり大きさも一致して見えるように、TOFカメラ40(言い換えればヘルメット50)を動かすように実施される。
あるいは、TOFカメラ40と一体になったヘルメット50を現状の位置に止めておき、被験者2の顔(頭)を動かせば指標C1を指標C2に近づけることができるので、同様に位置合わせの操作として実施される。

0062

被験者2の顔を動かして「正解姿勢」に近づけようとする場合、顔の移動に伴い表示画面内の赤色の円形C1が移動するので、被験者2などの操作を行う者は、線分L12上を赤色の円形C1が移動して緑色の円形C2へ近づくように、顔を移動させる。
あるいは、TOFカメラ40を動かして「正解姿勢」に近づけようとする場合、TOFカメラ40の移動に伴い同様にして表示画面内の赤色の円形C1が移動するので、同じく線分L12上を赤色の円形C1が移動して緑色の円形C2へ近づくように操作を行う。あるいはこれらの操作を併用してもよい。

0063

ところで、「正解姿勢」に応じた緑色の円形C2は、本実施例では表示画面12の中央に表示され、一方、「現在姿勢」に応じた赤色の円形C1は、被験者2から見たTOFカメラ40の位置及び方向を変更操作することで画面12内の表示の位置や大きさが変化するとともに、「現在姿勢」が「正解姿勢」に一致すると円形C1が円形C2と同じく画面12の中央に表示がされるのであるから、円形C1の表示の仕方(態様)は、現在のTOFカメラ40と顔との相対的な位置及び方向が変わることにより、画面12内での表示位置や表示の大きさが変化することになる。
更に、「現在姿勢」が移動操作に応じて「正解姿勢」に近づくと、円形C1の表示の態様である画面12内の表示位置や表示の大きさが円形C2に近づくことになる。

0064

本発明の実施にあたっては、上記の実施例に限定されることなく、様々な態様が考えられ、例えば「正解姿勢」に近づくと、指標C1の表示色や形状が指標C2に近づくようにしてもよい。また、操作の教示を画面表示に限ることなく、音声など他の伝達手段にて行ってもよい。
なお、上記に用いた「移動」とは、被験者2の顔と、TOFカメラ40との相対的な位置および方向を変化させる動作、すなわち被験者2の顔とTOFカメラ40いずれか一方あるいは双方の、位置の移動、および回転の操作を含めて用いている。

0065

このようにして、被験者2あるいはその家族等は、モニタ画面12中の線分L12が短くなり、最終的には2つの円形C1,C2が重なるように、TOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係を(つまり、ヘルメット50の装着具合を)変化させる。
なお、上記の実施態様では、「正解姿勢」となるように指標としての円形C1と円形C2を最終的に重ねているが、円形C1と円形C2を重ねずに、ある特定の位置関係によって「正解姿勢」を表示する態様であってもよい。

0066

被験者2あるいはその家族等はモニタ画面12の指示に従い、ヘルメット50の装着具合を調節してTOFカメラ40と被験者2の顔との間の位置及び方向の相対的な関係を変化させた後(ステップ#28)、ステップ#22に戻って再度「現在姿勢」でのデータを計測する。このステップ#22からステップ#26までの各ステップを、「正解姿勢」と「現在姿勢」との間の距離が規定値以下(ステップ#26:YES)となるまで繰り返して実行することで、磁気刺激コイル30を正しい位置に誘導することができる。

0067

そして、「正解姿勢」と「現在姿勢」との間の距離が規定値以下(ステップ#26:YES)となって磁気刺激コイル30が正しい位置に誘導されると、図11に示すように、画像モニタ部10のモニタ画面12には、誘導工程の終了を表す例えば黄色の単一の円形C3が表示され、誘導工程が終了する(ステップ#29)。
このようにして磁気刺激コイル30が正しい位置及び方向に誘導された状態で、磁気刺激治療が行われる(ステップ#30)。すなわち、被験者2自身あるいはその家族等は、前記磁気刺激コイル制御部22を作動させて、磁気刺激コイル30から所定強度の磁束を印加して被験者2の頭部2hの脳内に誘起電流を生じさせ、最適刺激部位に磁気刺激を加える。

0068

本願発明実施例の経頭蓋磁気治療装置1は、上記のような操作教示を行うようにしたので、操作を行う者は、被験者2の顔やTOFカメラ40という移動操作の対象物をどの方向へ動かせばよいのか、表示画面12から直観的に把握することができるので、操作が容易なものとなり、経頭蓋磁気刺激装置1を在宅や開業医外来などで治療に用いる場合の障壁が小さく、普及拡大が進む効果が発揮される。
また、操作の対象物が被験者2の顔、TOFカメラ40と複数あるよう構成したので、被験者2の疾患の病態、すなわち脳卒中などの後遺症から肢体運動能力がどのくらい低下しているか、利き手がどちらであるか、介助者が存在するか、などの諸条件に合わせて、顔とTOFカメラ40のどちらを移動させるか、あるいは双方を移動させるか、選択が可能であるため操作性に大きな自由度が生じて、同様に治療装置使用の障壁を小さなものとして普及拡大を促進する効果がある。

0069

そして、所定の治療効果が得られて(或いは所定時間が経過して)磁気刺激治療が終了するまで(ステップ#31:NO)、磁気刺激治療が継続して行われ、磁気刺激治療が終了すると(ステップ#31:YES)、装置1の作動が停止されるようになっている。

0070

以上、説明したように、本実施形態に係る経頭蓋磁気刺激装置1においては、TOFカメラ40を用いたことにより、被験者頭部2hの3次元形状情報をリアルタイムで得ることができる。この場合において、前記TOFカメラ40と磁気刺激コイル30とは一体で且つ移動及び/又は回転可能であるので、両者間40,30の位置及び方向の相対関係は常に不変であり、改めて位置及び方向を合わせる必要はない。また、被験者頭部2hの3次元形状情報中から顔形状の特徴的領域(例えば鼻領域)を抽出して「正解姿勢」及び「現在姿勢」での位置合わせ用データを取得し、両データに基づいて「正解姿勢」と「現在姿勢」との偏差を算出して、磁気刺激コイル30と被験者頭部2hとの相対的な位置および方向を変更操作するための教示情報を生成し、画像モニタ部10のモニタ画面12に表示することができる。

0071

従って、頭部外にある磁気刺激コイル30を被験者頭部2h内にある特定部位に対応した位置及び方向に導くために、磁気刺激コイル30と被験者頭部2hとの相対的な移動及び/又は回転の操作を行うに際して、ヘルメット50の装着姿勢がずれて磁気刺激コイル30が被験者頭部2hの前記特定部位に対応した相対的な位置及び方向からずれた場合でも、モニタ画面12の表示情報に従って、ヘルメット50の装着姿勢を調節して磁気刺激コイル30と被験者頭部2hとを相対的に移動及び/又は回転させるだけの簡単な操作で、磁気刺激コイル30を被験者頭部2hの前記特定部位に対応した相対的な位置及び方向に、容易かつ確実に合わせることができる。これにより、経頭蓋磁気刺激療法を実施するに際して、頭部拘束による被験者2の負担を軽減することができる。また、被験者頭部2hの3次元形状情報中から顔形状の特徴的領域を抽出して3次元形状情報の偏差を算出するので、比較的高速で操作教示のための情報を得ることができる。

0072

以上のように、当該装置1の使用者は、モニタ画面12に表示された操作教示のための情報に従って、ヘルメット50の装着姿勢を調節して磁気刺激コイル30と被験者頭部2hとを相対的に移動及び/又は回転させるだけで、従来のように特別な熟練性を要することもなく、所要の操作を行うことができる。つまり、被験者2あるいはその家族、又は必ずしも専門ではない近所のかかりつけの医師などでも、比較的容易に操作して使用することができる。また、従来のような大掛かりで高価な装置を用いる必要がないので、コスト負担が小さくて済み、しかも被験者個人の自宅や比較的小規模な医院や診療所等でも設置スペースの確保が容易である。このように、本発明によれば、取り扱いや操作が簡単で、且つ、より小型で安価な経頭蓋磁気刺激装置1を提供することができ、これにより、被験者2が、自宅や近所のかかりつけの医院などで日常的に継続反復して経頭蓋磁気刺激療法を行うことが可能になる。

0073

次に、本実施形態に係る経頭蓋磁気刺激装置1による磁気刺激コイル30の誘導精度を調べるために、被験者2とヘルメット50との間の位置及び方向の調節精度を調べる実験を行った。図14は、この精度評価に用いた実験装置を示す模式的な構成図である。また、図15は、図14の一部を拡大して示す拡大図である。

0074

これらの図に示すように、本実験では、ヘルメット50の頂部に真直した保持ロッド61が固定され、この固定部分はアーム状支持部材65の端末部に結合されている。つまり、ヘルメット50及び保持ロッド61の全体が、支持部材65によって支持されている。前記保持ロッド61の一側(被験者2の正面側)に、当該ロッド61に沿ってスライド調節可能な継手62及び多関節型の保持アーム63を介して、TOFカメラ40が取り付けられている。つまり、TOFカメラ40は、保持アーム63,継手62及び保持ロッド61を介して、ヘルメット50に対して一体的に固定されている。なお、保持ロッド61の他側(被験者2の背面側)には、TOFカメラ40の重量とバランスを取るために、重錘バランサー)64が取り付けられている。

0075

本実験では、前記TOFカメラ40として、スイス国MESA社製のSwissRanger SR4000を用いた。このTOFカメラ40は、その前面の中央に受光部42を備え、この受光部42の周囲に複数の発光部44が設けられている。尚、図1に示した装置1で用いられるTOFカメラ40も同様の構成を備えたものである。

0076

図1では、装置1の構成を説明するに際して、便宜上、画像モニタ部10と装置本体ユニット20とが別体のものとして描かれているが、実際には、図14に示されるように、両者10,20が一体化されて所謂パーソナルコンピュータ(PC)70を構成することが好ましい。このように構成することで、経頭蓋磁気刺激装置1がコンパクトになり、設置スペースも小さくて済み、在宅で用いるのにより好適なものとなる。前記TOFカメラ40は、パーソナルコンピュータ70の装置本体ユニット20に、信号授受可能に接続されている。

0077

また、本実験では、被験者2とヘルメット50との間の相対的な位置及び姿勢の関係を正確に測定するために、NDI社製ポラリス(Polaris Vicra)を利用した。ポラリス・システムは、高性能な光学式3D計測システムであり、赤外線反射マーカの3次元位置を高精度で測定することができる。図15に示すように、被験者2とヘルメット50のそれぞれにポラリス用マーカ68,69を貼付し、2つのマーカ68,69間の相対的な位置及び姿勢の関係から誘導の精度を調べた。

0078

実験では、先ず、被験者2にヘルメット50を装着させ、「正解姿勢」を設定する。この「正解姿勢」において、被験者2の鼻領域形状をTOFカメラ40で測定し、ポラリス用マーカ68,69の相対的な位置及び方向の関係をポラリスで測定する。その後、被験者2がヘルメット50を装着し直し、この「現在姿勢」について同様の測定を行う。そして、「現在姿勢」が「正解姿勢」と一致するまで被験者2の顔とカメラを動かし、両者が一致して誘導が終了すると、その誘導終了後のマーカの位置関係をポラリスで測定する。このような試行を10回繰り返し、2つのポラリス用マーカ68,69間の距離と方向の変化角度を計測し、この計測データに基づいて、誘導終了後の被験者2とヘルメット50の装着姿勢が「正解姿勢」と比較して目標範囲内にあるか否かによって精度を評価するようにした。

0079

磁気刺激治療を行う際の有効精度は、頭蓋内部で直径6mm程度、磁気刺激を行う際の姿勢変化角度は5度程度とされている。よって、目標精度は、距離の誤差が6mm以下、角度の誤差は5度以下とした。

0080

実験結果を図16マーカ間の距離)及び図17(マーカ間の姿勢変化角度)に示す。これらのグラフから分かるように、全試行を通じて、距離の誤差および角度の誤差は共に、目標精度(直径6mm及び5度)内に収まっている。また、距離の誤差は平均1.54mm、標準偏差1.40であった。更に、角度の誤差は平均2.04度、標準偏差1.02度であった。

0081

この実験結果より、距離の誤差・角度の誤差は、全試行を通じて目標精度を満たしており、また、平均値・標準偏差についても良好な結果が得られており、本システムは、磁気刺激治療が必要とする精度を満たしていることが確かめられた。

0082

尚、以上の説明は、全て、磁気刺激用コイルにより被験者の脳内神経に磁気刺激を加えて神経障害性疼痛を緩和する経頭蓋磁気刺激療法に用いる場合についてのものであったが、本発明は、かかる場合に限定されるものではなく、他の磁気刺激用途においても、有効に適用できるものである。

0083

このように、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や設計上の改良等を行い得るものであることは、言うまでもない。

0084

本発明は、経頭蓋磁気刺激療法を実施するに際して、頭部拘束による患者の負担を軽減し、また、取り扱いや操作を簡単化する上で有用な操作教示装置として、及びかかる操作教示装置を利用した経頭蓋磁気刺激装置として、有効に利用することができる。

0085

1経頭蓋磁気刺激装置
2被験者
2h 被験者の頭部
10画像モニタ部
12モニタ画面
20装置本体ユニット
21画像表示制御部
22磁気刺激コイル制御部
23教示情報生成部
30 磁気刺激コイル
40TOFカメラ
42受光部
44発光部
50ヘルメット
68,69 ポラリス用マーカ
70 パーソナルコンピュータ

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