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技術 非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池

出願人 三菱ケミカル株式会社
発明者 吉田博明川上大輔深水浩二
出願日 2014年12月18日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-553611
公開日 2017年3月23日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 WO2015-093580
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 反応暴走 タブレット型パソコン ピーク積分強度 特定金属元素 溶媒和能 次亜塩素酸ソーダ水溶液 パンチメタル 金属円柱
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図面 (1)

課題・解決手段

サイクル容量維持率低温抵抗特性に優れた非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池を提供することを課題とする。 本発明はサイクル容量維持率、および低温抵抗特性を改善する非水系電解液と、この非水系電解液を用いた非水系電解液電池を提供することを目的とする。 本発明は電解質とこれを溶解する非水系有機溶媒を含む非水系電解液であって、下記式(1)で示される化合物を含有する非水系電解液、この非水系電解液を含む非水系電解液二次電池。(式中、Xはヘテロ原子を含む有機基を表す。Yは硫黄原子リン原子、または炭素原子を表す。nは1又は2の整数を表し、mは2〜4の整数を表し、lは1または2の整数を表す。Zは炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す。)

概要

背景

近代の急速な産業発達による電子機器の小型化に伴い、二次電池の更なる高容量化が切望されるようになった。そこで、ニッケルカドミウム電池やニッケル・水素電池に比べてエネルギー密度の高いリチウム二次電池が開発され、また現在に至るまでこれの性能向上への取り組みも繰り返し行われてきた。
リチウム二次電池を構成する成分は主に正極、負極、セパレータ、及び電解液に大別される。これらのうち、電解液には一般に、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiCF3(CF2)3SO3等の電解質を、エチレンカーボネートプロピレンカーボネート等の環状カーボネートジメチルカーボネートジエチルカーボネートエチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネートγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類酢酸メチルプロピオン酸メチル等の鎖状エステル類等の非水系溶媒に溶解させた非水系電解液が用いられている。

近年では環境問題エネルギー問題等の地球規模の課題を背景に、リチウム二次電池の車載用電源定置電源等の大型電源への応用にも大きな期待が集まっている。しかし、このような電池は一般に、外気にさらされる環境下での使用が見込まれているため、開発に当たっては氷点下のような低温環境下における電池特性、特に低温抵抗特性が重要視されている。また、その用途から従来のリチウム二次電池以上の寿命性能が求められている。

リチウム二次電池の各種特性を更に向上させるための取り組みの一つとして、上記電解液に任意の化合物を加える取り組みがなされている。
例えば、特許文献1及び2には、負極に炭素材料を用いた非水電解質において、ヒドロキシ酸誘導体を使用する技術が紹介されている。また、特許文献3及び4には、非水電解質に特定のスルホン酸エステルを添加する技術が紹介されている。

概要

サイクル容量維持率と低温抵抗特性に優れた非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池を提供することを課題とする。 本発明はサイクル容量維持率、および低温抵抗特性を改善する非水系電解液と、この非水系電解液を用いた非水系電解液電池を提供することを目的とする。 本発明は電解質とこれを溶解する非水系有機溶媒を含む非水系電解液であって、下記式(1)で示される化合物を含有する非水系電解液、この非水系電解液を含む非水系電解液二次電池。(式中、Xはヘテロ原子を含む有機基を表す。Yは硫黄原子リン原子、または炭素原子を表す。nは1又は2の整数を表し、mは2〜4の整数を表し、lは1または2の整数を表す。Zは炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す。)

目的

本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、サイクル容量維持率と低温抵抗特性に優れた非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
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請求項1

電解質とこれを溶解する非水系溶媒を含有する非水系電解液であって、式(1):式中、Xは、ヘテロ原子を含む有機基であって、前記ヘテロ原子として少なくとも1個の酸素原子を有する有機基を表し、Yは、硫黄原子リン原子又は炭素原子を表し、nは、1又は2の整数を表し、mは2〜4の整数を表し、lは1又は2の整数を表し、Zは、炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基を表すで表される化合物の少なくとも1種を含有することを特徴とする非水系電解液。

請求項2

前記Xが、カルボニル基を含む有機基である、請求項1に記載の非水系電解液。

請求項3

前記Yが、硫黄原子である、請求項1又は2に記載の非水系電解液。

請求項4

前記Zが、炭素数4〜6のアルキレン基である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非水系電解液。

請求項5

前記式(1)で表される化合物の少なくとも1種を、非水系電解液100質量%中、0.01〜5質量%含有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非水系電解液。

請求項6

更に不飽和結合を有する環状カーボネートを含有する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非水系電解液。

請求項7

金属イオン吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非水系電解液を含むことを特徴とする非水系電解液二次電池

請求項8

金属イオンを吸蔵及び放出可能な正極が、少なくとも1種以上の層状遷移金属酸化物を含む、請求項7に記載の非水系電解液二次電池。

請求項9

金属イオンを吸蔵及び放出可能な負極が、少なくとも1種以上の炭素化合物を含む、請求項7に記載の非水系電解液二次電池。

請求項10

式(10):式中、Wは、ヘテロ原子を含む有機基であって、前記ヘテロ原子として少なくとも1個の酸素原子を有する有機基を表し、mは、2〜4の整数を表し、Zは、炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基を表すで表されるスルホン酸エステルの製造方法であって、式(11):式中、Z及びmは、式(10)と同義であるで表されるスルホン酸クロリドと、式(12):W−OH(12)式中、Wは、式(10)と同義であるで表されるアルコール性水酸基を有する化合物を反応させる工程、及び晶析により式(10)で表されるスルホン酸エステルを固体として取り出す工程を含むことを特徴とするスルホン酸エステルの製造方法。

請求項11

晶析を、式(10)で表されるスルホン酸エステルを含む溶液の温度を下げることによって行う、請求項11記載のスルホン酸エステルの製造方法。

請求項12

式(10)で表されるスルホン酸エステルを含む溶液が、メタノール溶液である、請求項11記載のスルホン酸エステルの製造方法。

請求項13

晶析を20℃以下の温度条件で行う、請求項10〜12のいずれか1項記載のスルホン酸エステルの製造方法。

請求項14

式(10)におけるZが直鎖構造の有機基である、請求項10〜13のいずれか1項記載のスルホン酸エステルの製造方法。

請求項15

式(11)で表されるスルホン酸クロリドが、式(21):式中、pは、4〜6の整数を表すで表される、請求項10〜14のいずれか1項記載のスルホン酸エステルの製造方法。

請求項16

式(12)で表されるアルコール性水酸基を有する化合物が、式(22):式中、Raは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rbは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表すで表される、請求項10〜15のいずれか1項記載のスルホン酸エステルの製造方法。

請求項17

式(12)で表されるアルコール性水酸基を有する化合物が、グリセロールカーボネートである、請求項10〜16のいずれか1項記載のスルホン酸エステルの製造方法。

請求項18

式(20):式中、Raは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rbは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、pは、4〜6の整数を表すで表されることを特徴とする化合物。

請求項19

式(30):式中、pは、4〜6の整数を表すで表される化合物。

技術分野

0001

本発明は、非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液二次電池に関する。

背景技術

0002

近代の急速な産業発達による電子機器の小型化に伴い、二次電池の更なる高容量化が切望されるようになった。そこで、ニッケルカドミウム電池やニッケル・水素電池に比べてエネルギー密度の高いリチウム二次電池が開発され、また現在に至るまでこれの性能向上への取り組みも繰り返し行われてきた。
リチウム二次電池を構成する成分は主に正極、負極、セパレータ、及び電解液に大別される。これらのうち、電解液には一般に、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3、LiAsF6、LiN(CF3SO2)2、LiCF3(CF2)3SO3等の電解質を、エチレンカーボネートプロピレンカーボネート等の環状カーボネートジメチルカーボネートジエチルカーボネートエチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネートγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類酢酸メチルプロピオン酸メチル等の鎖状エステル類等の非水系溶媒に溶解させた非水系電解液が用いられている。

0003

近年では環境問題エネルギー問題等の地球規模の課題を背景に、リチウム二次電池の車載用電源定置電源等の大型電源への応用にも大きな期待が集まっている。しかし、このような電池は一般に、外気にさらされる環境下での使用が見込まれているため、開発に当たっては氷点下のような低温環境下における電池特性、特に低温抵抗特性が重要視されている。また、その用途から従来のリチウム二次電池以上の寿命性能が求められている。

0004

リチウム二次電池の各種特性を更に向上させるための取り組みの一つとして、上記電解液に任意の化合物を加える取り組みがなされている。
例えば、特許文献1及び2には、負極に炭素材料を用いた非水電解質において、ヒドロキシ酸誘導体を使用する技術が紹介されている。また、特許文献3及び4には、非水電解質に特定のスルホン酸エステルを添加する技術が紹介されている。

先行技術

0005

国際公開第2009/113545号
国際公開第2011/034067号
特開2011−187235号
特開2014−26972号

発明が解決しようとする課題

0006

以上のように、これまでにも電池の寿命性能や低温抵抗特性を向上させるための取り組みが行われているが、十分な電池特性を達成させるためには未だ十分とはいえず、更なる改善が求められている。
本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、サイクル容量維持率と低温抵抗特性に優れた非水系電解液、及びそれを用いた非水系電解液二次電池を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、非水系電解液に、特定の化合物を含有させることで、非水系電解液二次電池のサイクル容量維持率と低温抵抗特性が同時に改善することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(a)電解質とこれを溶解する非水系溶媒を含有してなる非水系電解液であって、式(1):




式中、
Xは、ヘテロ原子を含む有機基であって、前記ヘテロ原子として少なくとも1個の酸素原子を有する有機基を表し、
Yは、硫黄原子リン原子又は炭素原子を表し、
nは、1又は2の整数を表し、mは2〜4の整数を表し、lは1又は2の整数を表し、
Zは、炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す
で表される化合物を含有することを特徴とする非水系電解液。
(b)前記Xが、カルボニル基を含む有機基である、(b)の非水系電解液。
(c)前記Yが、硫黄原子である、(a)又は(b)の非水系電解液。
(d)前記Zが、炭素数4〜6のアルキレン基である、(a)乃至(c)のいずれかの非水系電解液。
(e)前記式(1)で表される化合物の少なくとも1種が、非水系電解液100質量%中、0.01〜5質量%で含有されている、(a)乃至(d)のいずれかの非水系電解液。
(f)非水系電解液が更に不飽和結合を有する環状カーボネートを含有する、(a)乃至(e)のいずれかの非水系電解液。
(g)金属イオン吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに(a)乃至(f)のいずれかの非水系電解液を含む非水系電解液二次電池。
(h)金属イオンを吸蔵及び放出可能な正極が、少なくとも1種以上の層状遷移金属酸化物を含む、(g)の非水系電解液二次電池。
(i)金属イオンを吸蔵及び放出可能な負極が、少なくとも1種以上の炭素化合物を含む、(g)の非水系電解液二次電池。
(j)式(10):




式中、
Wは、ヘテロ原子を含む有機基であって、前記ヘテロ原子として少なくとも1個の酸素原子を有する有機基を表し、
mは、2〜4の整数を表し、
Zは、炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す
で表されるスルホン酸エステルの製造方法であって、
式(11):




式中、Z及びmは、式(10)と同義である
で表されるスルホン酸クロリドと、式(12):
W−OH (12)
式中、Wは、式(10)と同義である
で表されるアルコール性水酸基を有する化合物を反応させる工程、及び
晶析により式(10)で表されるスルホン酸エステルを固体として取り出す工程を含むことを特徴とするスルホン酸エステルの製造方法。
(k)晶析を、式(10)で表されるスルホン酸エステルを含む溶液の温度を下げることによって行う、(j)のスルホン酸エステルの製造方法。
(l)式(10)で表されるスルホン酸エステルを含む溶液が、メタノール溶液である、(k)のスルホン酸エステルの製造方法。
(m)晶析を20℃以下の温度条件で行う、(j)〜(k)のいずれかのスルホン酸エステルの製造方法。
(n)式(10)におけるZが直鎖構造の有機基である、(j)〜(m)のいずれかのスルホン酸エステルの製造方法。
(o)式(11)で表されるスルホン酸クロリドが、式(21):




pは、4〜6の整数を表す
で表される、(j)〜(o)のいずれかのスルホン酸エステルの製造方法。
(p)
式(12)で表されるアルコール性水酸基を有する化合物が、式(22):




式中、
Raは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
Rbは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す
で表される、(j)〜(o)のいずれかのスルホン酸エステルの製造方法。
(q)式(12)で表されるアルコール性水酸基を有する化合物が、グリセロールカーボネートである、(j)〜(p)のいずれかのスルホン酸エステルの製造方法。
(r)式(20):




式中、
Raは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
Rbは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
pは、4〜6の整数を表す
で表されることを特徴とする化合物。
(s)式(30):




式中、pは、4〜6の整数を表す
で表される化合物。

発明の効果

0008

本発明は、式(1)で表される化合物を非水系電解液に使用することを特徴の一つとしている。本発明の非水系電解液を非水系電解液二次電池に使用した場合、式(1)で表される化合物が負極表面上で電気化学的に還元されることによって、かかる化合物に由来する金属塩(例えばリチウム塩)が生成する。そして、かかる塩が負極皮膜の熱的な安定性を高めた結果、負極上での溶媒由来副反応が抑制されると考えられる。
すなわち、本発明の非水系電解液を用いることで、非水系電解液二次電池のサイクル容量維持率や、副反応由来の低温抵抗特性低下を改善することが期待できる。

0009

以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。

0010

1.非水系電解液
本発明は、電解質(例えばリチウム塩)とこれを溶解する非水系溶媒を含有してなる非水系電解液であって、式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする非水系電解液である。

0011

1−1.電解質
電解質としては、典型的にはリチウム塩が挙げられるが、これに限られず、ナトリウムカリウムカルシウムバリウム等の金属塩であってもよい。リチウム塩は、非水系電解液の用途に用いることが知られているものであれば特に制限がない。具体的には以下が挙げられる。
例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlF4、LiSbF6、LiTaF6、LiWF7等の無機リチウム塩;LiWOF5等のタングステン酸リチウム類;HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Li等のカルボン酸リチウム塩類;FSO3Li、CH3SO3Li、CH2FSO3Li、CHF2SO3Li、CF3SO3Li、CF3CF2SO3Li、CF3CF2CF2SO3Li、CF3CF2CF2CF2SO3Li等のスルホン酸リチウム塩類;LiN(FCO)2、LiN(FCO)(FSO2)、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のリチウムイミド塩類;LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等のリチウムメチド塩類;リチウムジフルオロオキサラトボレートリチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート、リチウムトリス(オキサラト)ホスフェート等のリチウムオキサラトホスフェート塩類;その他、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩類;等が挙げられる。

0012

中でも、LiPF6、LiBF4、LiSbF6、LiTaF6、FSO3Li、CF3SO3Li、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、リチウムビスオキサラトボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビスオキサラトホスフェート、LiBF3CF3、LiBF3C3F5、LiPF3(CF3)3、LiPF3(C2F5)3等が出力特性ハイレート充放電特性高温保存特性サイクル特性等を向上させる効果がある点から特に好ましい。

0013

これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の好ましい一例は、LiPF6とLiBF4や、LiPF6とFSO3Li等の併用であり、負荷特性やサイクル特性を向上させる効果がある。この場合、非水系電解液100質量%中のLiBF4又はFSO3Liの濃度に制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。また、LiPF6の濃度に制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.5mol/L以上、好ましくは0.8mol/L以上であり、また、通常3mol/L以下、好ましくは2mol/L以下である。

0014

他の一例は、無機リチウム塩と有機リチウム塩との併用であり、高温保存による劣化を抑制する効果がある。有機リチウム塩としては、CF3SO3Li、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3、リチウムビスオキサラトボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビスオキサラトホスフェート、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiPF3(CF3)3、LiPF3(C2F5)3等であるのが好ましい。この場合には、非水系電解液100質量%中の有機リチウム塩の割合は、好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。また、無機リチウム塩の濃度に制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。

0015

非水系電解液中のこれらのリチウム塩の濃度は、本発明の効果を損なわない限り、特に制限されない。電解液の電気伝導率を良好な範囲とし、良好な電池性能を確保する点から、非水系電解液中のリチウムの総モル濃度は、好ましくは0.3mol/L以上、より好ましくは0.4mol/L以上、更に好ましくは0.5mol/L以上であり、また、好ましくは3mol/L以下、より好ましくは2.5mol/L以下、更に好ましくは2.0mol/L以下である。この範囲であれば、荷電粒子であるリチウムが少なすぎず、また粘度を適切な範囲とすることができるため、良好な電気伝導度を確保しやすくなる。

0016

1−2.非水系溶媒
非水系溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステルエーテル系化合物スルホン系化合物等を使用することが可能である。

0017

<環状カーボネート>
環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられる。
炭素数2〜4の環状カーボネートの具体的な例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の炭素数2〜4のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート類が挙げられる。中でも、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率併有してもよい。

0018

環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、1種を単独で用いる場合の配合量の下限は、非水系溶媒100体積%中、5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。この範囲とすることで、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性、負極に対する安定性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。また上限は、95体積%以下、より好ましくは90体積%以下、更に好ましくは85体積%以下である。この範囲とすることで、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液二次電池の負荷特性を良好な範囲としやすくなる。

0019

また、環状カーボネートの2種以上を任意の組み合わせで用いる場合の好ましい組合せの一つは、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの組み合わせである。この場合のエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの体積比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水系溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの量を、0.1体積%以上、好ましくは1体積%以上、より好ましくは2体積%以上、また、通常20体積%以下、好ましくは8体積%以下、より好ましくは5体積%以下である。この範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、更に低温特性が優れるので好ましい。

0020

<鎖状カーボネート>
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7のものが好ましい。
具体的には、炭素数3〜7の鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネートジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネートイソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。

0021

中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネートが好ましく、特に好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートである。
また、フッ素原子を有する鎖状カーボネート類(以下、「フッ素化鎖状カーボネート」と略記する場合がある)も好適に用いることができる。フッ素化鎖状カーボネートが有するフッ素原子の数は、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下であり、好ましくは4以下である。フッ素化鎖状カーボネートが複数のフッ素原子を有する場合、それらは互いに同一の炭素に結合していてもよく、異なる炭素に結合していてもよい。フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート誘導体等が挙げられる。

0022

フッ素化ジメチルカーボネート誘導体としては、フルオロメチルメチルカーボネートジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、ビスフルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロ)メチルカーボネート、ビス(トリフルオロメチル)カーボネート等が挙げられる。
フッ素化エチルメチルカーボネート誘導体としては、2−フルオロエチルメチルカーボネート、エチルフルオロメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルメチルカーボネート、2−フルオロエチルフルオロメチルカーボネート、エチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、2,2−ジフルオロエチルフルオロメチルカーボネート、2−フルオロエチルジフルオロメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート等が挙げられる。

0023

フッ素化ジエチルカーボネート誘導体としては、エチル−(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、ビス(2−フルオロエチル)カーボネート、エチル−(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート、2,2−ジフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、ビス(2,2−ジフルオロエチル)カーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’−フルオロエチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチル−2’,2’−ジフルオロエチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。

0024

鎖状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
鎖状カーボネートの配合量は、非水系溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上である。このように下限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、イオン伝導度の低下を抑制し、ひいては非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。また、鎖状カーボネートは、非水系溶媒100体積%中、90体積%以下、より好ましくは85体積%以下であることが好ましい。このように上限を設定することにより、非水系電解液の誘電率の低下に由来する電気伝導率の低下を回避し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。

0025

環状カルボン酸エステル
環状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素原子数が3〜12のものが挙げられる。
具体的には、ガンマブチロラクトンガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトンイプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。

0026

環状カルボン酸エステルの配合量は、非水系溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。この範囲であれば、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、環状カルボン酸エステルの配合量は、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下である。このように上限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。

0027

<鎖状カルボン酸エステル>
鎖状カルボン酸エステルとしては、その構造式中の全炭素数が3〜7のものが挙げられる。
具体的には、酢酸メチル、酢酸エチル酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルプロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル酪酸エチル酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピルイソ酪酸メチルイソ酪酸エチル、イソ酪酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル等が挙げられる。

0028

中でも、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、酪酸メチル、酪酸エチル等が、粘度低下によるイオン伝導度の向上の点から好ましい。
鎖状カルボン酸エステルの配合量は、非水系溶媒100体積%中、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上である。このように下限を設定することで、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、鎖状カルボン酸エステルの配合量は、非水系溶媒100体積%中、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下である。このように上限を設定することで、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。

0029

<エーテル系化合物>
エーテル系化合物としては、一部の水素フッ素にて置換されていてもよい炭素数3〜10の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
炭素数3〜10の鎖状エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジ(2−フルオロエチル)エーテル、ジ(2,2−ジフルオロエチル)エーテル、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2−フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2−フルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、(n−プロピル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタンメトキシエトキシメタンメトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタンメトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2−フルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2−フルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。

0030

炭素数3〜6の環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、2−メチル−1,3−ジオキサン、4−メチル−1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等、及びこれらのフッ素化化合物が挙げられる。
中でも、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが、リチウムイオンへの溶媒和能力が高く、イオン解離性を向上させる点で好ましく、特に好ましくは、粘性が低く、高いイオン伝導度を与えることから、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、エトキシメトキシメタンである。

0031

エーテル系化合物の配合量は、非水系溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上、また、好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、更に好ましくは50体積%以下である。この範囲であれば、鎖状エーテルのリチウムイオン解離度の向上と粘度低下に由来するイオン伝導度の向上効果を確保しやすく、負極活物質炭素質材料の場合、鎖状エーテルがリチウムイオンと共に共挿入されて容量が低下するといった事態を回避しやすい。

0032

<スルホン系化合物>
スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
炭素数3〜6の環状スルホンとしては、モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類等が挙げられる。中でも、誘電率と粘性の観点から、テトラメチレンスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類がより好ましく、テトラメチレンスルホン類(スルホラン類)が特に好ましい。

0033

スルホラン類としては、スルホラン及び/又はスルホラン誘導体(以下、スルホランも含めて「スルホラン類」と略記する場合がある)が好ましい。スルホラン誘導体としては、スルホラン環を構成する炭素原子上に結合した水素原子の1以上がフッ素原子やアルキル基で置換されたものが好ましい。
中でも、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホラン、2−フルオロスルホラン、3−フルオロスルホラン、2,2−ジフルオロスルホラン、2,3−ジフルオロスルホラン、2,4−ジフルオロスルホラン、2,5−ジフルオロスルホラン、3,4−ジフルオロスルホラン、2−フルオロ−3−メチルスルホラン、2−フルオロ−2−メチルスルホラン、3−フルオロ−3−メチルスルホラン、3−フルオロ−2−メチルスルホラン、4−フルオロ−3−メチルスルホラン、4−フルオロ−2−メチルスルホラン、5−フルオロ−3−メチルスルホラン、5−フルオロ−2−メチルスルホラン、2−フルオロメチルスルホラン、3−フルオロメチルスルホラン、2−ジフルオロメチルスルホラン、3−ジフルオロメチルスルホラン、2−トリフルオロメチルスルホラン、3−トリフルオロメチルスルホラン、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、3−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン、5−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)スルホラン等がイオン伝導度が高く入出力が高い点で好ましい。

0034

炭素数2〜6の鎖状スルホンとしては、ジメチルスルホンエチルメチルスルホンジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、n−ブチルエチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、t−ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プロピルスルホン、ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−t−ブチルスルホン等が挙げられる。

0035

中でも、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロメチル−t−ブチルスルホン等がイオン伝導度が高く入出力が高い点で好ましい。

0036

スルホン系化合物の配合量は、非水系溶媒100体積%中、好ましくは0.3体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは5体積%以上であり、また、好ましくは40体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは30体積%以下である。この範囲であれば、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすく、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができ、非水系電解液二次電池の充放電高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。

0037

これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用するのが好ましい。例えば、環状カーボネートやフッ素原子を有する環状カーボネート、環状カルボン酸エステル等の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネートや鎖状カルボン酸エステル等の低粘度溶媒を特定の配合量で組み合わせることにより、電池性能を著しく向上させることができるので好ましい。

0038

非水系溶媒の好ましい組合せの一つは、環状カーボネートと鎖状カーボネートを主体とする組合せである。中でも、非水系溶媒に占める環状カーボネートと鎖状カーボネートとの合計が、好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、更に好ましくは90体積%以上であり、かつ環状カーボネートと鎖状カーボネートとの合計に対する環状カーボネートの割合が好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは15体積%以上であり、好ましくは50体積%以下、より好ましくは35体積%以下、更に好ましくは30体積%以下、特に好ましくは25体積%以下のものである。これらの非水系溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後残存容量及び高負荷放電容量)のバランスが良くなることがある。

0039

環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエレンカーボネートが電池のサイクル特性と高温保存特性向上の点から好ましい。エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの好ましい組み合わせの具体例としては、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。

0040

これらのエチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせに、更にプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの体積比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水系溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは1体積%以上、更に好ましくは2体積%以上、また、好ましくは20体積%以下、より好ましくは8体積%以下、更に好ましくは5体積%以下である。この濃度範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートとジアルキルカーボネートとの組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れることがあるので好ましい。

0041

エチレンカーボネートと鎖状カーボネートとの組み合わせの中で、鎖状カーボネートとして非対称鎖状アルキルカーボネート類を含有するものが更に好ましく、特に、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートといったエチレンカーボネートと対称鎖状カーボネート類と非対称鎖状カーボネート類を含有するものが、サイクル特性と大電流放電特性のバランスがよいので好ましい。中でも、非対称鎖状カーボネート類がエチルメチルカーボネートであるのが好ましく、又、鎖状カーボネートのアルキル基は炭素数1〜2が好ましい。

0042

モノフルオロエチレンカーボネートと鎖状カーボネートの好ましい組み合わせの具体例としては、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート等が挙げられる。

0043

これらのモノフルオロエチレンカーボネートと鎖状カーボネート類との組み合わせに、更にエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートを加えた組み合わせも、好ましい組み合わせとして挙げられる。エチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートを加えた場合のモノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートの体積比は1:3〜3:1が好ましく、特に好ましくは1:2〜2:1である。この濃度範囲でエチレンカーボネート及び/又はプロピレンカーボネートを含有すると、負極に安定な保護皮膜を形成しつつ、電解液の電気伝導度を確保することができる。

0044

非水系溶媒中にジエチルカーボネートを含有する場合は、全非水系溶媒中に占めるジエチルカーボネートの割合が、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは25体積%以上、特に好ましくは30体積%以上であり、また、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは75体積%以下、特に好ましくは、70体積%以下となる範囲で含有させると、高温保存時におけるガス発生が抑制されることがある。

0045

非水系溶媒中にジメチルカーボネートを含有する場合は、全非水系溶媒中に占めるジメチルカーボネートの割合が、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更に好ましくは25体積%以上、特に好ましくは30体積%以上であり、また、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは75体積%以下、特に好ましくは、70体積%以下となる範囲で含有させると、電池の負荷特性が向上することがある。

0046

中でも、ジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを含有し、ジメチルカーボネートの含有割合をエチルメチルカーボネートの含有割合よりも多くすることにより、電解液の電気伝導度を確保しながら、高温保存後の電池特性が向上することがあり好ましい。
全非水系溶媒中に占めるジメチルカーボネートのエチルメチルカーボネートに対する体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、電解液の電気伝導度の向上と保存後の電池特性を向上の点で、1.1以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。上記体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、低温での電池特性を向上の点で、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。

0047

上記環状カーボネート類と鎖状カーボネート類を主体とする組合せにおいては、上記環状カーボネート類及び鎖状カーボネート類以外の環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、含硫黄有機溶媒、含燐有機溶媒、芳香族含フッ素溶媒等、他の溶媒を混合してもよい。

0048

好ましい非水系溶媒の他の例は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートよりなる群から選ばれた1種の有機溶媒、又は該群から選ばれた2以上の有機溶媒からなる混合溶媒を全体の60体積%以上を占めるものである。この混合溶媒を用いた非水系電解液は、高温で使用しても溶媒の蒸発液漏れが少なくなることがある。中でも、非水系溶媒に占めるエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとの合計が、好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、更に好ましくは90体積%以上であり、かつエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの体積比が好ましくは30:70〜60:40であるものを用いると、サイクル特性と高温保存特性等のバランスがよくなることがある。
本明細書において、非水系溶媒の体積は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。

0049

1−3.式(1)で表される化合物
本発明の非水系電解液は、式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。式(1)で表される化合物は、カルボン酸エステル構造スルホン酸エステル構造、及び/又はリン酸エステル構造を有する化合物である。これらの構造を複数有することによって、式(1)で表される化合物が負極表面上で電気化学的に還元される際に、負極皮膜の熱的安定性を高めるために好適な多価金属塩(例えばリチウム塩)の生成を促進する効果が発現されるものと考えられる。また、これらの構造は、収率良く効率的に形成することができるため、式(1)で表される化合物の合成を容易にし、製造コストを抑える役割も果たしているといえる。

0050

また、前記式(1)におけるZの炭素数が4〜12であることも、本発明の特徴の一つである。Zの炭素数が4〜12であることにより、分子のサイズが大きくなり、上述の多価金属塩(例えばリチウム塩)の電解液への溶解性が抑制されると考えられる。この効果は、Zが非極性である場合、例えばZが鎖状アルキレン基の場合等により効果的である。
多価金属塩(例えばリチウム塩)の電解液への溶解性が抑制されることで、負極皮膜がより安定化され、副反応が抑制されると考えられる。その結果、サイクル容量維持率、低温抵抗特性が向上すると考えられる。

0051

<式(1)で表される化合物>
本発明に係る化合物は、下記式(1)で表される。

0052

0053

式中、
Xは、ヘテロ原子を含む有機基であって、前記ヘテロ原子として少なくとも1個の酸素原子を有する有機基を表し、
Yは、硫黄原子、リン原子又は炭素原子を表し、
nは、1又は2の整数を表し、mは2〜4の整数を表し、lは1又は2の整数を表し、
Zは、炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す。

0054

ここで、ヘテロ原子は、炭素原子と水素原子以外の原子を表す。ヘテロ原子を含む有機基は、例えば、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子、ケイ素原子、酸素原子及びハロゲン原子からなる群から選ばれる原子を含む構造であるが、少なくとも1個の酸素原子を有することとする。Xに関し、ヘテロ原子を含む有機基は、炭素原子を含まない構造であってもよいが、好ましくは炭素原子を含む。Xに関し、ヘテロ原子を含む有機基の炭素数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは15以下、より好ましくは10以下である。Xに関し、ヘテロ原子を含む有機基は、炭素原子を含まない構造であってもよいが、少なくとも1個の酸素原子を有することとする。

0055

Xは、ヘテロ原子を含む有機基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の酸素原子を有する。化合物の末端に、ヘテロ原子(少なくとも1個は酸素原子である)を含んだこれらの構造を有することによって、負極表面上での反応性を高め、負極皮膜の熱的安定性を高めることができる。そのため、より好適な多価金属塩(例えばリチウム塩)を生成することができる。Xの具体例としては、以下が挙げられる。

0056

式中、R1〜R4は、独立して、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。

0057

上記炭素数1〜12の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基アリール基アルケニル基アルキニル基等が挙げられる。中でもアルキル基が好ましい。アルキル基としては、メチル基エチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記のXの具体例の中でも、スルホニル基又はカルボニル基を含有する以下に示す構造がより好ましい。これらの構造は負極表面上で結合開裂しやすく、これらを複数有することによって、負極皮膜の熱的安定性を極度に高めることができる。

0058

式中、R1〜R3は、上記と同義である。

0059

中でも、以下に示す構造がより好ましい

0060

式中、R1〜R3は、上記と同義である。

0061

中でも、カルボニル基を含有する以下に示す構造が更に好ましい。

0062

式中、R1〜R3は、上記と同義である。

0063

中でも、以下に示す構造が特に好ましい。

0064

0065

Yは、硫黄原子、リン原子又は炭素原子であるが、電池特性向上の点で硫黄原子又は炭素原子がより好ましく、硫黄原子が最も好ましい。
また、n及びlは1又は2の整数であるが、Yが硫黄原子である場合、nとlはそれぞれ1と2、又はそれぞれ1と1を表し、nとlがそれぞれ2と1を表す場合が好ましい。Yが炭素原子である場合、nとlはともに1を表す。
mは2〜4の整数であるが、負極皮膜の熱安定性の点から特に2であることが好ましい。

0066

Zは、炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基である。ヘテロ原子を有していてもよい有機基は、例えば、炭素原子、水素原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、硫黄原子、ケイ素原子、酸素原子及びハロゲン原子からなる群から選ばれる原子を含む構造であるが、ヘテロ原子を構造中に有していても、有していなくてもよい。Zに関し、炭素数は4〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数4〜6である。構造中、炭素原子は直鎖でも分岐していてもよいが、好ましくは直鎖である。
Zの有機基としては、アルキレン基、エーテル基エステル基が好ましく、アルキレン基、エーテル基がより好ましく、アルキレン基が更に好ましく、炭素数4〜6の直鎖状のアルキレン基が特に好ましい。ここで、Zは、Y同士をつなぐ連結基であって、複数あるYは、Z中のいずれの原子に結合してもよく、Z中の同一の原子に結合していても、異なる原子に結合していてもよい。好ましくは、Z中の異なる原子に結合している。

0067

式(1)で表される化合物の好ましい具体例としては、以下が挙げられる。

0068

0069

0070

0071

0072

0073

0074

0075

0076

0077

0078

0079

0080

0081

0082

0083

0084

0085

0086

0087

0088

0089

0090

上記で例示した化合物の中でも、以下がより好ましい。

0091

式(20):




式中、
Raは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
Rbは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
pは、4〜6の整数を表す
で表されることを特徴とする化合物。

0092

式(20)で表される化合物としては、以下が更に好ましい。

0093

0094

式(2)で表される化合物の他に、式(30):




式中、pは、4〜6の整数を表す
で表される化合物も好ましい。

0095

式(30)で表される化合物としては、以下が更に好ましい。

0096

式(1)で表される化合物としては、以下が特に好ましい。

0097

0098

<化合物の製造方法>
式(1)で表される化合物の製造方法について、式(10):




式中、
Wは、ヘテロ原子を含む有機基であって、前記ヘテロ原子として少なくとも1個の酸素原子を有する有機基を表し、
mは、2〜4の整数を表し、
Zは、炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す
で表されるスルホン酸エステルを例にとって説明する。
式中、Wは、Wに結合している部分を水酸基で置き換えたとき、その水酸基がアルコール性水酸基である。

0099

式(10)で表されるスルホン酸エステルは、対応するスルホン酸クロリドとアルコール骨格を有する化合物とを反応させて得ることができる。モノスルホン酸エステルに代表されるS系の化合物は、医薬用途から二次電池材料用途に至る幅広い技術分野で使用され、その製造に関する報告例も数多く存在する。しかしながら、ポリスルホン酸エステルについては、実質的に以下の二報のみが、式(10)に包含されるいくつかのスルホン酸エステルについて、具体的に製造方法を記載しているといえる(文献1:米国特許3748132A、文献2:Chemistry of Materials (2004), 16(9), 1770-1774)。

0100

文献1では、ジスルホン酸クロリドアルコール化合物との反応によりジスルホン酸エステルを製造する方法が記載されている。しかしながら、該文献のジスルホン酸エステルは、中間体として合成されており、特段の精製を行うことなく次反応に供している。よって、ジスルホン酸クロリド、アルコール体が残存する可能性が否定できず、また、2か所の反応点のうち、片方しか反応していないモノスルホン酸エステルの混入も否定できないが、それらを取り除いた高純度品単離方法は示されていない。

0101

文献2では、ブタンジスルホン酸クロリドと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの反応でジスルホン酸エステルを合成しているが、やはり精製に関する記述がなく、不純物の混入を否定できない。

0102

なお、文献3:特開2001−92127号公報の実施例にも、式(10)に包含されるいくつかのスルホン酸エステルの記載はあるが、その製造方法の記載はない。

0103

文献4:Chemical & Pharmaceutical Bulletin (1986), 34(8), 3252-66及び文献5:Armyanskii Khimicheskii Zhurnal28_8_669.にも、式(10)に包含されるいくつかのスルホン酸エステルの製造方法の記載はあるが、それぞれ、ジスルホン酸とジアゾ化合物を反応させる方法、ジスルホン酸クロリドとジメドンを反応させる方法であって、特定のスルホン酸エステルの製造にのみ適用され、製造方法としての汎用性はない。この他、スルホン酸エステルを合成する方法は、スルホン酸とジアゾ化合物を反応させる方法(特開昭57−193442号公報)、スルホン酸とオルトギ酸エステルを反応させる方法(特開2014−098857)等でも特定のスルホン酸エステルの調製が報告されているが、汎用性はなく、反応性も問題がある。

0104

記文献1〜5では、得られたスルホン酸エステルを精製する方法は、具体的に示されていない。反応点が複数存在する反応では、原料として用いた化学品塩基等の反応促進剤、更には反応点の一部しか反応していない化合物も混在する可能性があるため、目的物純度よく得るためには、特有精製法の設定が必要不可欠となる。特にリチウム二次電池材料等の不純物の影響を大きく受ける技術分野に応用する場合、化合物の純度は重要となり、精製法の確立は必須である。本発明は、このような問題に鑑みて、式(10)で表されるスルホン酸エステルを高純度で製造する方法を提供するものでもある。

0105

具体的には、式(10)で表されるスルホン酸エステルの製造について、対応するスルホン酸クロリドとアルコール性水酸基を有する化合物との反応後、得られたスルホン酸エステルを、溶媒中から晶析により単離することが可能であり、かつこの方法により目的物を高純度で得られることが見出された。

0106

本発明は、式(10):




式中、
Wは、ヘテロ原子を含む有機基であって、前記ヘテロ原子として少なくとも1個の酸素原子を有する有機基を表し、
mは、2〜4の整数を表し、
Zは、炭素数4〜12のヘテロ原子を有していてもよい有機基を表す
で表されるスルホン酸エステルの製造方法であって、
式(11):




式中、
m及びZは、式(10)と同義である
で表されるスルホン酸クロリドと、式(12):
W−OH
式中、Wは、式(10)と同義である
で表されるアルコール性水酸基を有する化合物を反応させる工程、及び
晶析により式(10)で表されるスルホン酸エステルを固体として取り出す工程を含むことを特徴とするスルホン酸エステルの製造方法に関する。

0107

式(10)、(11)及び(12)中、W、Z及びmの好ましい例は、式(1)で表される化合物におけるX、Z及びmに関する記載が適用されるが、Wは、Wに結合している部分を水酸基で置き換えたとき、その水酸基がアルコール性水酸基である。Wとしては、具体的には、脂肪族部分を有する有機基が挙げられる。

0108

これらのスルホン酸エステルは、それぞれ、対応するスルホン酸クロリド及びアルコール性水酸基を有する化合物から合成することができる。

0109

例えば、式(20):




式中、
Raは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
Rbは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
pは、4〜6の整数を表す
で表される化合物は、式(21):




式中、pは4〜6の整数を表す
で表されるスルホン酸クロリドを、式(22):




式中、
Raは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
Rbは、独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す
で表されるアルコール性水酸基を有する化合物を反応させることにより得ることができる。

0110

式(30):




式中、pは4〜6の整数を表す
で表される化合物は、式(31):




式中、pは4〜6の整数を表す
で表されるスルホン酸クロリドを、グリセロールカーボネートと反応させることにより得ることができる。

0111

エステル化反応
スルホン酸クロリドとアルコール性水酸基を有する化合物との反応は、無溶媒又は溶媒中で行うことができる。反応は、非水溶媒中、反応促進剤として塩基を加え、低温で行うことが好ましい。

0112

エステル化反応溶媒
溶媒中で反応を行う場合、非水溶媒を使用することができ、スルホン酸クロリドと反応しないものを用いるのが好ましい。例えば、ペンタンヘキサンヘプタンオクタン石油エーテル等の脂肪族炭化水素;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテルアニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルトリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;塩化メチレンクロロホルム四塩化炭素、1,2−ジクロロエタントリクロロエタンブロモプロパンクロロベンゼンジクロロベンゼン等の含ハロゲン化炭化水素アセトニトリルプロピオニトリルブチロニトリルベンゾニトリル等の含シア炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類ベンゼントルエンニトロベンゼン等の芳香族炭化水素アセトンメチルエチルケトン等のケトン類;が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、スルホン酸クロリドが分解しない量であれば水を混合して用いてもよい。コストの点から、脂肪族炭化水素、エーテル、含シアノ炭化水素、エステル類、芳香族炭化水素、ケトン類が好ましく、より好ましくは脂肪族炭化水素、エーテル、エステル類、芳香族炭化水素、ケトン類である。

0113

溶媒の使用量は、対応するスルホン酸クロリドに対し、通常1〜50倍重量の範囲が適当であり、好ましくは1〜20倍重量の範囲である。

0114

エステル化に用いる塩基>
塩基を用いる場合、塩基としては、炭酸カリウム炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム等の炭酸塩水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化リチウム水素化ナトリウム等の水酸化物塩;水素化ナトリウム、水素化カリウム金属ナトリウム金属カリウム等の無機塩基ナトリウムメトキシドカリウムメトキシドナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド等の金属アルコキシド類トリエチルアミントリメチルアミン等のアミン類ピリジンピコリン等のピリジン類;N,N−ジメチルアニリン等のアニリンメチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム等のアルキル金属化合物フェニルリチウム等のアリール金属化合物等を挙げることができる。塩基は、用いる溶媒の種類によって、適宜選択することができる。反応溶媒への溶解性と取扱いの容易さの点から、アミン類、ピリジン類、アニリン類が好ましく、より好ましくはアミン類、ピリジン類である。

0115

塩基の使用量は、アルコール性水酸基を有する化合物におけるアルコール性水酸基に対して1当量〜10当量の範囲が好ましく、更に好ましくは1当量〜3当量の範囲が好ましい。

0116

<エステル化の温度>
エステル化反応の上限温度は、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下である。本反応は発熱反応であるため、このように上限温度を設定することで、反応暴走を抑えることができ、更に生成したスルホン酸エステルの熱分解も抑制できる。また、エステル化反応の下限温度は、好ましくは−30℃以上、より好ましくは−25℃以上、更に好ましくは−20℃以上である。このように下限温度を設定することで、反応停止や反応の溜まり込みが起こる危険性を回避することができる。

0117

<エステル化の時間>
エステル化反応の時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上である。スルホン酸クロリドには、反応点が複数あるため、反応時間が短いと一部の反応点しか反応していない生成物が混在してしまう可能性があるが、そのような事態を容易に回避することができる。一方、反応の上限は特に限定されないが、生成したスルホン酸エステルが分解したり、時間が延びることによる生産性の低下を回避するため、反応時間は48時間以下とすることができ、好ましくは24時間以下、より好ましくは10時間以下である。

0118

エステル化反応は、常圧、加圧減圧条件下のいずれでも行うことができる。生産性及び安全性から常圧条件下で行うのが好ましい。

0119

エステル化反応の反応装置は、特に限定されないが、公知の金属製又はこれらの内面ガラス樹脂等のライニングを施したもの、更にはガラス製、樹脂製の装置等を用いることができる。強度及び安全の面等から、金属製又はこれらの内面にガラスライニングを施した装置が好ましい。金属製の材質は、公知のものを使用することができ、例えば、炭素鋼フェライト系ステンレス鋼、SUS410等のマルテンサイト系ステンレス鋼、SUS310、SUS304、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼クラッド鋼鋳鉄、銅、銅合金アルミニウムインコネルハステロイチタン等が挙げられる。

0120

<反応に用いる試薬
本発明の反応に用いられる試薬は、市販のものをそのまま用いても、精製して用いてもよい。他の化合物から製造して用いてもよい。純度については特に限定はされないが、反応点が複数ある反応のため、原料由来の不純物が少ない高純度の試薬が好ましく、90質量%以上であることが好ましい。

0121

<スルホン酸クロリド>
スルホン酸クロリドは、市販品をそのまま用いても、精製して用いてもよい。市販品がない場合は、別途製造して用いてもよい。別途製造する場合、例えば以下の方法が挙げられる。
a) 対応するアルキルチオロニウム塩の酸化塩素化により製造する方法:例)Synlett (2013), 24(16), 2165-2169.; Journal of the Chemical Society (1952), 3334-40.
b) 対応するチオールの酸化的塩素化により製造する方法:例) Inorganica Chimica Acta (2011), 369(1), 45-48.; Industrial & Engineering Chemistry Process Design and Development (1964), 3(2), 164-9.
c) 対応するスルホン酸やその金属塩を塩化チオニル五塩化リンなどで塩素化して製造する方法:例) Tetrahedron Letters (2009), 50(50), 7028-7031.;Journal of Organic Chemistry (1960), 25, 399-402.

0122

中でも、a)のアルキルチオロニウム塩を経由する方法は、反応速度が速く、短時間で目的のスルホン酸クロリドが得られ、後処理も容易であることから好ましい。アルキルチオロニウム塩の対イオン臭化物イオンヨウ化物イオンの場合、酸化的塩素化反応より、スルホン酸クロリド、スルホン酸ブロミド、スルホン酸ヨージドが混入する可能性があるが、これらはアルコール性水酸基を有する化合物との反応で、目的のスルホン酸エステルに変換され得る。そのため、これらの酸ハライドが混在していてもよい。

0123

<アルキルチオロニウム塩の酸化的塩素化>
アルキルチオロニウム塩の酸化的塩素化に用いる試薬は、塩素カチオンを生成する試薬であれば特に制限はないが、塩素ガス次亜塩素酸ソーダ水溶液亜塩素酸ソーダNCS、トリクロロイソシアヌル酸が反応速度や反応効率が高いことから好ましい。また、反応の後処理の容易さと酸化剤試薬のコスト、環境負荷の観点から次亜塩素酸水溶液、亜塩素酸ソーダがより好ましく、取扱いの容易さから次亜塩素酸水溶液が最も好ましい。これらの酸化的塩素化剤は、市販をそのまま用いても精製して用いてもよく、他の化合物から製造して用いてもよい。次亜塩素酸ソーダ水溶液は種々の濃度の水溶液が市販されているが、次亜塩素酸ソーダの濃度が濃いほど効率が向上し、生産性を上げることが可能であるため、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、最も好ましくは12質量%以上である。

0124

<アルキルチオロニウム塩の対イオン>
アルキルチオロニウム塩の対イオンは特に限定されないが、ハロゲン化物イオン硫酸イオンなどが報告されており、対応するハロアルカンから容易に合成できる観点から、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンが好ましい。これらの対イオンは単独でも、2種以上の対イオンの混合物でもよい。

0125

<晶析>
本発明において、晶析とは、式(10)で表されるスルホン酸エステルを含む溶液から、このスルホン酸エステルを固体として取り出す操作をいう。対応するスルホン酸クロリドとアルコール性水酸基を有する化合物の反応生成物を、場合によって濾過し、濃縮した後、溶媒と混合し、これを晶析工程に付すことができる。

0126

スルホン酸エステルは、溶媒に対して、完全に溶解していても、一部析出している状態であってもよい。一度完全に溶解させた後に晶析操作をすることで、格段に不純物除去能が向上することから、一度完全に溶解させることが好ましい。溶液中からスルホン酸エステルを取り出す操作としては、常圧又は減圧下、溶媒を揮発濃縮させて濃度をあげることで固体を析出させる方法、目的物の溶解性がより低い別の溶媒を貧溶媒として加え析出させる方法、溶媒と貧溶媒を組み合わせて析出させる方法、溶液の温度を溶解している温度から下げることで目的物を析出させる方法等が挙げられる。中でも、短時間で効率よく目的物を析出させることが可能であることから、貧溶媒を添加する方法、温度を下げる方法が好ましい。中でも、反応釜のサイズが大きくなることを抑制し、ろ過作業等の作業負荷を小さくすることができ、良好な生産性が得られることから、温度を下げる方法がより好ましい。晶析操作は少なくとも1回、好ましくは1回〜3回晶析することによって、高純度で目的物を得ることが可能となる。

0127

温度を下げる方法を用いる場合、スルホン酸エステルを含む溶液を調整する上限温度は、使用する溶媒の沸点が上限となるが、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下である。この上限温度範囲であれば、溶液中でスルホン酸エステルが安定に存在できると期待される。温度を下げることで目的のスルホン酸エステルを固体として析出させることが可能であるため、上限温度以下であれば、低温側の温度設定に制限はないが、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは20℃以下である。低温側の温度を設定することで、スルホン酸エステルの溶解度が下がり、収率よく目的物を得ることができる。

0128

<晶析時の溶媒>
溶媒は、目的物であるスルホン酸エステルを溶解することができる非水溶媒であれば特に限定されないが、メタノールエタノールプロパノールイソプロパノールブタノールイソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリメチレングリコール等のアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、アニソール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ブロモプロパン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の含ハロゲン化炭化水素;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル等の含シアノ炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも反応に用いる塩基やその塩の溶解性、晶析後の乾燥工程の容易さからメタノール、エタノール等の低沸アルコール類が好ましい。

0129

<晶析時の貧溶媒>
貧溶媒は、目的物であるスルホン酸エステルの溶解度が溶媒よりも低く、溶媒と混和する限り、特に制限はないが、溶解度の観点から、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、溶媒と貧溶媒の体積はどちらが多くてもよい。また、溶媒と混ざる限り、少量であれば水を用いても良い。

0130

<晶析後の後処理>
晶析により得られた式(10)で表されるスルホン酸エステルの固体には、晶析工程で用いた溶媒が残存している可能性があるため、乾燥により除去することが好ましい。除去の方法は特に限定されないが、減圧条件下にて溶媒を除去する方法が好ましい。温度条件は、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下、更に好ましくは50℃以下であり、また、好ましくは0℃以上、より好ましくは5℃以上、更に好ましくは10℃以上である。このような範囲であれば、目的物であるスルホン酸エステルの熱分解を回避しつつ、溶媒を十分に除去することができる。除去の時間は、十分な除去及び生産効率の両方の点から、好ましくは、30分以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは2時間以上であり、また、好ましくは48時間以下、より好ましくは36時間以下、更に好ましくは24時間以下である。

0131

<式(1)で表される化合物の量>
式(1)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。非水系電解液100質量%中の式(1)で表される化合物の配合量に制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。配合量は0.001質量%以上とすることができ、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、また、5質量%以下とすることができ、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。上記範囲を満たした場合、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等の効果がより向上する。
この際、式(1)で表される化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。

0132

1−4.助剤
本発明の非水系電解液二次電池において、式(1)で表される化合物以外に、目的に応じて適宜助剤を用いてもよい。助剤としては、以下に示される炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、フッ素原子を有する不飽和環状カーボネートモノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩過充電防止剤、並びにその他の助剤等が挙げられる。

0133

<炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート>
本発明の非水系電解液において、非水系電解液二次電池の負極表面に皮膜を形成し、電池の長寿命化を達成するために、式(1)で表される化合物に加えて、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」と略記する場合がある)を用いるとより効果的である。

0134

不飽和環状カーボネートとしては、炭素−炭素二重結合を有する環状カーボネートであれば特に制限はなく、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有する置換基を有する環状カーボネートも、不飽和環状カーボネートに包含されることとする。
不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート類、芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類等が挙げられる。

0135

ビニレンカーボネート類としては、ビニレンカーボネート(以下、「VC」と略記する場合がある)、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート等が挙げられる。

0136

芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類としては、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、4−フェニル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−フェニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート等が挙げられる。

0137

中でも、特に式(1)で表される化合物と併用するのに好ましい不飽和環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネートが、安定な界面保護皮膜を形成するので、より好適に用いられる。

0138

不飽和環状カーボネートの分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、86以上、250以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対する不飽和環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本発明の効果が十分に発現されやすい。不飽和環状カーボネートの分子量は、より好ましくは150以下である。不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。

0139

不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。また、不飽和環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。不飽和環状カーボネートの配合量は、非水系電解液100質量%中、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。この範囲であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。一方で少なすぎると、本発明における効果が十分に発揮しにくい場合があり、また多すぎると、抵抗が増加して出力や負荷特性が低下する場合がある。

0140

<フッ素原子を有する不飽和環状カーボネート>
フッ素原子を有する不飽和環状カーボネートとして、不飽和結合とフッ素原子とを有する環状カーボネート(以下、「フッ素化不飽和環状カーボネート」と略記する場合がある)を用いることも好ましい。フッ素化不飽和環状カーボネートが有するフッ素原子の数は1以上であれば、特に制限されない。中でも、フッ素原子が通常6以下、好ましくは4以下であり、1個又は2個のものが最も好ましい。

0141

フッ素化不飽和環状カーボネートとしては、フッ素化ビニレンカーボネート誘導体、芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネート誘導体等が挙げられる。
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート等が挙げられる。

0142

芳香環又は炭素−炭素二重結合を有する置換基で置換されたフッ素化エチレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−アリルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート等が挙げられる。

0143

中でも、特に式(1)で表される化合物と併用するのに好ましいフッ素化不飽和環状カーボネートとしては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−アリルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネートが、安定な界面保護皮膜を形成するので、より好適に用いられる。

0144

フッ素化不飽和環状カーボネートの分子量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。分子量は、好ましくは、86以上であり、また、250以下である。この範囲であれば、非水系電解液に対するフッ素化環状カーボネートの溶解性を確保しやすく、本発明の効果が発現されやすい。フッ素化不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。分子量は、より好ましくは150以下である。

0145

フッ素化不飽和環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。また、フッ素化不飽和環状カーボネートの配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。フッ素化不飽和環状カーボネートの配合量は、非水系電解液100質量%中、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。この範囲であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。一方で少なすぎると、本発明における効果が十分に発揮しにくい場合があり、また多すぎると、抵抗が増加して出力や負荷特性が低下する場合がある。

0146

<モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩>
モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び、NR5R6R7R8(式中、R5〜R8は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表す。)で表されるアンモニウム等が例示として挙げられる。

0147

上記アンモニウムのR5〜R8で表される炭素数1〜12の有機基としては特に限定はないが、例えば、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されていてもよいシクロアルキル基、ハロゲン原子又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基、置換基を有していてもよい窒素原子含有複素環基等が挙げられる。中でも、R5〜R8として、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又は窒素原子含有複素環基等が好ましい。

0148

モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩の具体例としては、モノフルオロリン酸リチウムモノフルオロリン酸ナトリウムモノフルオロリン酸カリウムジフルオロリン酸リチウムジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸カリウム等が挙げられ、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムが好ましく、ジフルオロリン酸リチウムがより好ましい。

0149

モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有してもよい。また、モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。モノフルオロリン酸塩及びジフルオロリン酸塩の配合量は、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。この範囲内であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。

0150

<過充電防止剤>
本発明の非水系電解液において、非水系電解液二次電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂発火を効果的に抑制するために、過充電防止剤を用いることができる。
過充電防止剤としては、ビフェニルアルキルビフェニルターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテルジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分フッ素化物;2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物等が挙げられる。中でも、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物が好ましい。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合は、特に、シクロヘキシルベンゼンとt−ブチルベンゼン又はt−アミルベンゼンとの組み合わせ、ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン等の酸素を含有しない芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種と、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の含酸素芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種を併用するのが過充電防止特性と高温保存特性のバランスの点から好ましい。

0151

過充電防止剤の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。過充電防止剤は、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.1質量%以上であり、また、5質量%以下である。この範囲でれば、過充電防止剤の効果を十分に発現させやすく、また、高温保存特性等の電池の特性が低下するといった事態も回避しやすい。過充電防止剤は、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。

0152

<その他の助剤>
本発明の非水系電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。その他の助剤としては、エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物無水コハク酸無水グルタル酸無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸無水ジグリコール酸シクロヘキサンジカルボン酸無水物、及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン、1−ブテン−1,4−スルトン、3−ブテン−1,4−スルトン、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチルメタンスルホン酸エチルブスルファンスルホレンジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;ヘプタン、オクタン、ノナンデカンシクロヘプタン等の炭化水素化合物、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼンヘキサフルオロベンゼンベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。

0153

その他の助剤の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。その他の助剤は、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.01質量%以上であり、また、5質量%以下である。この範囲であれば、その他助剤の効果が十分に発現させやすく、高負荷放電特性等の電池の特性が低下するといった事態も回避しやすい。その他の助剤の配合量は、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。

0154

本発明の非水系電解液は、非水系電解液二次電池の内部に存在する非水系電解液も包含される。具体的には、電解質(例えばリチウム塩)、非水系溶媒、式(1)で表される化合物、及び任意の助剤等の非水系電解液の構成要素を別途合成して実質的に単離し、これらから非水系電解液を調製し、別途組み立てた電池内に注液して得た非水系電解液二次電池内の非水系電解液である場合、本発明の非水系電解液の構成要素を個別に電池内に入れておき、電池内にて混合させることにより本発明の非水系電解液と同じ組成を得る場合、更には、本発明の非水系電解液を構成する構成要素を該非水系電解液二次電池内で発生させて、本発明の非水系電解液と同じ組成を得る場合も包含されるものとする。

0155

2.電池構成
本発明の非水系電解液は、非水系電解液二次電池の中でも二次電池用、例えばリチウム二次電池用の電解液として好適である。本発明の非水系電解液二次電池は、公知の構造を採ることができ、典型的には、金属イオン(例えば、リチウムイオン)を吸蔵・放出可能な負極及び正極と、本発明の非水系電解液とを備える。

0156

2−1.負極
負極に使用される負極活物質は、電気化学的に金属イン(例えばリチウムイオン)を吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。

0157

<負極活物質>
負極活物質としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。
負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛
(2)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400〜3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる結晶性を有する炭素質からなり、かつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる配向性を有する炭素質からなり、かつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよく好ましい。

0158

また、(1)〜(4)の炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記(2)の人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質としては、天然黒鉛、石炭系コークス石油系コークス石炭系ピッチ石油系ピッチ及びこれらピッチ酸化処理したもの、ニードルコークスピッチコークス及びこれらを一部黒鉛化した炭素材ファーネスブラックアセチレンブラックピッチ系炭素繊維等の有機物熱分解物炭化可能な有機物及びこれらの炭化物、又は炭化可能な有機物をベンゼン、トルエン、キシレンキノリン、n−へキサン等の低分子有機溶媒に溶解させた溶液及びこれらの炭化物等が挙げられる。

0159

負極活物質として用いられる合金系材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、リチウム単体リチウム合金を形成する単体金属及び合金、又はそれらの酸化物、炭化物、窒化物ケイ化物硫化物若しくはリン化物等の化合物のいずれであってもよく、特に制限されない。リチウム合金を形成する単体金属及び合金としては、13族及び14族の金属・半金属元素(即ち炭素を除く)を含む材料であることが好ましく、より好ましくはアルミニウム、ケイ素及びスズ(以下、「特定金属元素」と略記する場合がある)の単体金属及びこれら原子を含む合金又は化合物である。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。

0160

特定金属元素から選ばれる少なくとも1種の原子を有する負極活物質としては、いずれか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素からなる合金、1種又は2種以上の特定金属元素とその他の1種又は2種以上の金属元素とからなる合金、並びに、1種又は2種以上の特定金属元素を含有する化合物、及びその化合物の酸化物、炭化物、窒化物、ケイ化物、硫化物若しくはリン化物等の複合化合物が挙げられる。負極活物質としてこれらの金属単体、合金又は金属化合物を用いることで、電池の高容量化が可能である。

0161

また、これらの複合化合物が、金属単体、合金又は非金属元素等の数種の元素と複雑に結合した化合物も挙げられる。具体的には、例えばケイ素やスズでは、これらの元素と負極として動作しない金属との合金を用いることができる。例えば、スズの場合、スズとケイ素以外で負極として作用する金属と、更に負極として動作しない金属と、非金属元素との組み合わせで5〜6種の元素を含むような複雑な化合物も用いることができる。

0162

これらの負極活物質の中でも、電池にしたときに単位質量当りの容量が大きいことから、いずれか1種の特定金属元素の金属単体、2種以上の特定金属元素の合金、特定金属元素の酸化物、炭化物、窒化物等が好ましく、特に、ケイ素及び/又はスズの金属単体、合金、酸化物や炭化物、窒化物等が、単位質量当りの容量及び環境負荷の観点から好ましい。

0163

負極活物質として用いられるリチウム含有金属複合酸化物材料としては、リチウムを吸蔵・放出可能であれば、特に制限されないが、高電流密度充放電特性の点からチタン及びリチウムを含有する材料が好ましく、より好ましくはチタンを含むリチウム含有複合金属酸化物材料が好ましく、更にリチウムとチタンの複合酸化物(以下、「リチウムチタン複合酸化物」と略記する場合がある)である。即ちスピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物を、非水系電解液二次電池用負極活物質に含有させて用いると、出力抵抗が大きく低減するので特に好ましい。

0164

また、リチウムチタン複合酸化物のリチウムやチタンが、他の金属元素、例えば、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素で置換されているものも好ましい。
上記金属酸化物が、一般式(A)で表されるリチウムチタン複合酸化物であり、一般式(A)中、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンのドープ・脱ドープの際の構造が安定であることから好ましい。

0165

LixTiyMzO4 (A)
[一般式(A)中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。]
上記の一般式(A)で表される組成の中でも、
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。

0166

上記化合物の特に好ましい代表的な組成は、(a)ではLi4/3Ti5/3O4、(b)ではLi1Ti2O4、(c)ではLi4/5Ti11/5O4である。また、Z≠0の構造については、例えば、Li4/3Ti4/3Al1/3O4が好ましいものとして挙げられる。

0167

<炭素質材料の物性>
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ましい。

0168

X線パラメータ
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下が更に好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることが更に好ましい。

0169

体積基準平均粒径
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準平均粒径メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、25μm以下が特に好ましい。

0170

体積基準平均粒径が上記範囲を下回ると、不可逆容量が増大して、初期の電池容量の損失を招くことになる場合がある。また、上記範囲を上回ると、塗布により電極を作製する際に、不均一な塗面になりやすく、電池製作工程上望ましくない場合がある。
体積基準平均粒径の測定は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約10mL)に炭素粉末を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計(堀場製作所社製LA−700)を用いて行なう。該測定で求められるメジアン径を、本発明の炭素質材料の体積基準平均粒径と定義する。

0171

ラマンR値ラマン半値幅
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上が更に好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下が更に好ましく、0.5以下が特に好ましい。
また、炭素質材料の1580cm−1付近のラマン半値幅は特に制限されないが、通常10cm−1以上であり、15cm−1以上が好ましく、また、通常100cm−1以下であり、80cm−1以下が好ましく、60cm−1以下が更に好ましく、40cm−1以下が特に好ましい。

0172

ラマンR値及びラマン半値幅は、炭素質材料表面の結晶性を示す指標であるが、炭素質材料は、化学的安定性の観点から適度な結晶性が有し、かつ充放電によってLiが入り込む層間のサイト消失しない、即ち充電受入性が低下しない程度の結晶性であることが好ましい。なお、集電体に塗布した後のプレスによって負極を高密度化する場合には、電極板と平行方向に結晶配向しやすくなるため、それを考慮することが好ましい。ラマンR値又はラマン半値幅が上記範囲であると、負極表面に好適な皮膜を形成して保存特性やサイクル特性、負荷特性を向上させることができるとともに、非水系電解液との反応に伴う効率の低下やガス発生を抑制することができる。

0173

ラマンスペクトルの測定は、ラマン分光器(日本分光社製ラマン分光器)を用いて、試料測定セル内へ自然落下させて充填し、セル内のサンプル表面アルゴンイオンレーザー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させることにより行なう。得られるラマンスペクトルについて、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出する。該測定で算出されるラマンR値を、本発明の炭素質材料のラマンR値と定義する。また、得られるラマンスペクトルの1580cm−1付近のピークPAの半値幅を測定し、これを本発明の炭素質材料のラマン半値幅と定義する。

0174

また、上記のラマン測定条件は、次の通りである。
・アルゴンイオンレーザー波長:514.5nm
・試料上のレーザーパワー:15〜25mW
分解能:10〜20cm−1
測定範囲:1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析バックグラウンド処理
スムージング処理:単純平均、コンボリューション5ポイント

0175

BET比表面積
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g−1以上であり、0.7m2・g−1以上が好ましく、1.0m2・g−1以上が更に好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g−1以下であり、25m2・g−1以下が好ましく、15m2・g−1以下が更に好ましく、10m2・g−1以下が特に好ましい。

0176

BET比表面積の値が上記範囲であると、電極表面へのリチウムの析出を抑制することができる一方、非水系電解液との反応によるガス発生を抑制することができる。
BET法による比表面積の測定は、表面積計(大理研全自動表面積測定装置)を用いて、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なう。該測定で求められる比表面積を、本発明の炭素質材料のBET比表面積と定義する。

0177

円形度
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、また、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.85以上が更に好ましく、0.9以上が特に好ましい。高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほど、充填性が向上し、粒子間の抵抗を抑えることができるため、高電流密度充放電特性は向上する。従って、円形度が上記範囲のように高いほど好ましい。

0178

円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FPIA)を用いて行う。試料約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が3〜40μmの範囲の粒子について測定する。該測定で求められる円形度を、本発明の炭素質材料の円形度と定義する。

0179

円形度を向上させる方法は、特に制限されないが、球形化処理を施して球形にしたものが、電極体にしたときの粒子間空隙の形状が整うので好ましい。球形化処理の例としては、せん断力圧縮力を与えることによって機械的に球形に近づける方法、複数の微粒子バインダーもしくは、粒子自身の有する付着力によって造粒する機械的・物理処理方法等が挙げられる。

0180

タップ密度
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上が更に好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下が更に好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、粒子間の抵抗の増大を抑制することができる。

0181

タップ密度の測定は、目開き300μmのを通過させて、20cm3のタッピングセルに試料を落下させてセルの上端面まで試料を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の質量からタップ密度を算出する。該測定で算出されるタップ密度を、本発明の炭素質材料のタップ密度として定義する。

0182

配向比
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上が更に好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲であると、優れた高密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。

0183

配向比は、試料を加圧成型してからX線回折により測定する。試料0.47gを直径17mmの成型機に充填し58.8MN・m−2で圧縮して得た成型体を、粘土を用いて測定用試料ホルダーの面と同一面になるようにセットしてX線回折を測定する。得られた炭素の(110)回折と(004)回折のピーク強度から、(110)回折ピーク強度/(004)回折ピーク強度で表される比を算出する。該測定で算出される配向比を、本発明の炭素質材料の配向比と定義する。

0184

X線回折測定条件は次の通りである。なお、「2θ」は回折角を示す。
ターゲット:Cu(Kα線グラファイトモノクロメーター
スリット
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒

0185

アスペクト比(粉))
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下が更に好ましい。上記範囲であると、極板化時のスジ引きを抑制し、更に均一な塗布が可能となるため、優れた高電流密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。

0186

アスペクト比の測定は、炭素質材料の粒子を走査型電子顕微鏡拡大観察して行う。厚さ50μm以下の金属の端面に固定した任意の50個の黒鉛粒子を選択し、それぞれについて試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、3次元的に観察した時の炭素質材料粒子の最長となる径Aと、それと直交する最短となる径Bを測定し、A/Bの平均値を求める。該測定で求められるアスペクト比(A/B)を、本発明の炭素質材料のアスペクト比と定義する。

0187

菱面体晶率
本発明で定義される菱面体晶率は、X線広角回折法(XRD)による菱面体晶構造黒鉛層(ABCスタッキング層)と六方晶構造黒鉛層(ABスタッキング層)の割合から次式を用いて求めることができる。
菱面体晶率(%)=XRDのABC(101)ピークの積分強度÷
XRDのAB(101)ピーク積分強度×100

0188

ここで、菱面体晶率は、通常0%以上、好ましくは0%より大きく、より好ましくは3%以上、更に好ましくは5%以上、特に好ましくは12%以上、また、通常35%以下、好ましくは27%以下、更に好ましくは24%以下、特に好ましくは20%以下の範囲である。ここで、菱面体晶率が0%とは、ABCスタッキング層に由来するXRDピークが全く検出されないことを指す。また0%より大きいとは、ABCスタッキング層に由来するXRDピークが僅かでも検出されていることを指す。

0189

菱面体晶率が大きすぎると、負極活物質の結晶構造中に欠陥が多く含まれているので、Liの挿入量が減少し高容量が得られ難い傾向がある。また、前記欠陥によってサイクル中に電解液が分解するため、サイクル特性が低下する傾向がある。これに対し、菱面体晶率が本発明の範囲内であれば、例えば、負極活物質の結晶構造中に欠陥が少なく電解液との反応性が小さく、サイクル中の電解液の消耗が少なくサイクル特性に優れるので好ましい。

0190

菱面体晶率を求めるためのXRDの測定方法は、以下の通りである。
0.2mmの試料板に負極活物質粉体が配向しないように充填し、X線回折装置(例えば、PANalytical社製X'Pert Pro MPDでCuKα線にて、出力45kV、40mA)で測定する。得られた回折パターンを使用し解析ソフトJADE5.0を用い、非対称ピアソンVII関数を用いたプロファイルフィッティングにより前記ピーク積分強度をそれぞれ算出し、前記式から菱面体晶率を求める。

0191

X線回折測定条件は次の通りである。なお、「2θ」は回折角を示す。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット:
ソーラースリット0.04度
発散スリット0.5度
発散マスク15mm
散乱防止スリット 1度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(101)面:41度≦2θ≦47.5度 0.3度/60秒
バックグラウンド補正:42.7から45.5度の間を直線で結び、バックグラウンドとし差し引く。
・菱面体晶構造黒鉛粒子層のピーク:43.4度付近のピークのことを指す。
・六方晶構造黒鉛粒子層のピーク:44.5度付近のピークのことを指す。

0192

<負極の構成と作製法
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤導電材充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。

0193

(集電体)
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔金属円柱金属コイル金属板金属薄膜エキスパンドメタルパンチメタル発泡メタル等が挙げられる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、更に好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。
集電体の厚さは、電池容量の確保、取扱い性の観点から、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。

0194

(集電体と負極活物質層との厚さの比)
集電体と負極活物質層の厚さの比は特に制限されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下が更に好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上が更に好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、高電流密度充放電時における集電体の発熱を抑制することができる。

0195

結着剤
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレンポリプロピレンポリエチレンテレフタレートポリメチルメタクリレート芳香族ポリアミドポリイミドセルロースニトロセルロース等の樹脂系高分子SBRスチレンブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレンプロピレンゴム等のゴム高分子;スチレン・ブタジエンスチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレンジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデンポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。

0196

負極活物質に対するバインダーの割合は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.6質量%以上が特に好ましく、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、8質量%以下が特に好ましい。負極活物質に対するバインダーの割合が、上記範囲であると、電池容量と負極電極の強度を十分に確保することができる。

0197

特に、SBRに代表されるゴム状高分子を主要成分に含有する場合には、負極活物質に対するバインダーの割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分に含有する場合には負極活物質に対する割合は、通常1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上が更に好ましく、また、通常15質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、8質量%以下が更に好ましい。

0198

(スラリー形成溶媒)
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミドジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤等を含有させ、SBR等のラテックスを用いてスラリー化することが好ましい。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。

0199

(増粘剤)
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロースメチルセルロースヒドロキシメチルセルロースエチルセルロースポリビニルアルコール、酸化スターチリン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。

0200

更に増粘剤を用いる場合には、負極活物質に対する増粘剤の割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上が更に好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下が更に好ましい。負極活物質に対する増粘剤の割合が、上記範囲であると、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制できるとともに、良好な塗布性を確保することができる。

0201

電極密度
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上が更に好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下が更に好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲であると、負極活物質粒子破壊を防止して、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を抑制することができる一方、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制することができる。

0202

(負極板の厚さ)
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。

0204

2−2.正極
正極活物質
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
(組成)
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。

0205

リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはV、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、LiCoO2等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO4等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をNa、K、B、F、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Nb、Mo、Sn、W等の他の元素で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiNi0.45Co0.10Al0.45O2、LiMn1.8Al0.2O4、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。

0206

リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、V、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO4、Li3Fe2(PO4)3、LiFeP2O7等のリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Nb、Si等の他の元素で置換したもの等が挙げられる。

0207

また、正極活物質にリン酸リチウムを含ませると、連続充電特性が向上するので好ましい。リン酸リチウムの使用に制限はないが、前記の正極活物質とリン酸リチウムを混合して用いることが好ましい。使用するリン酸リチウムの量は前記正極活物質とリン酸リチウムの合計に対し、下限が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、上限が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。

0208

(表面被覆)
また、上記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。

0209

これら表面付着物質は、例えば、溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加、乾燥する方法、表面付着物質前駆体を溶媒に溶解又は懸濁させて該正極活物質に含浸添加後、加熱等により反応させる方法、正極活物質前駆体に添加して同時に焼成する方法等により該正極活物質表面に付着させることができる。なお、炭素を付着させる場合には、炭素質を、例えば、活性炭等の形で後から機械的に付着させる方法も用いることもできる。

0210

表面付着物質の量としては、該正極活物質に対して質量で、下限として好ましくは0.1ppm以上、より好ましくは1ppm以上、更に好ましくは10ppm以上、上限として、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下で用いられる。表面付着物質により、正極活物質表面での電解液の酸化反応を抑制することができ、電池寿命を向上させることができるが、その付着量が少なすぎる場合その効果は十分に発現せず、多すぎる場合には、リチウムイオンの出入りを阻害するため抵抗が増加する場合がある。
本発明においては、正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものも「正極活物質」という。

0211

(形状)
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられる。また、一次粒子凝集して、二次粒子を形成していてもよい。

0212

(タップ密度)
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、更に好ましくは1.0g/cm3以上である。該正極活物質のタップ密度が上記範囲であると、正極活物質層形成時に必要な分散媒量及び導電材や結着剤の必要量を抑えることができ、結果正極活物質の充填率及び電池容量を確保することができる。タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく、特に上限はないが、好ましくは4.0g/cm3以下、より好ましくは3.7g/cm3以下、更に好ましくは3.5g/cm3以下である。上記範囲であると負荷特性の低下を抑制することができる。
なお、本発明では、タップ密度は、正極活物質粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度(タップ密度)g/ccとして求める。

0213

(メジアン径d50)
正極活物質の粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.0μm以上であり、上限は、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、更に好ましくは25μm以下、最も好ましくは22μm以下である。上記範囲であると、高タップ密度品が得られ、電池性能の低下を抑制できる一方、電池の正極作成、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化して薄膜状に塗布する際に、スジ引き等の問題を防止することができる。ここで、異なるメジアン径d50をもつ該正極活物質を2種類以上混合することで、正極作成時の充填性を更に向上させることができる。

0214

なお、本発明では、メジアン径d50は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定される。粒度分布計としてHORIBA社製LA−920を用いる場合、測定の際に用いる分散媒として、0.1質量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散後に測定屈折率1.24を設定して測定される。

0215

平均一次粒子径
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、該正極活物質の平均一次粒子径としては、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.2μm以上であり、上限は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記範囲であると、粉体充填性及び比表面積を確保し、電池性能の低下を抑制することができる一方、適度な結晶性が得られることによって、充放電の可逆性を確保することができる。

0216

なお、本発明では、一次粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により測定される。具体的には、10000倍の倍率写真で、水平方向の直線に対する一次粒子の左右の境界線による切片の最長の値を、任意の50個の一次粒子について求め、平均値をとることにより求められる。

0217

(BET比表面積)
正極活物質のBET比表面積は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.2m2/g以上、更に好ましくは0.3m2/g以上であり、上限は50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、更に好ましくは30m2/g以下である。BET比表面積が上記範囲であると、電池性能を確保できるとともに、正極活性物質の塗布性を良好に保つことができる。
なお、本発明では、BET比表面積は、表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、試料に対して窒素流通下150℃で30分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調製した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した値で定義される。

0218

(正極活物質の製造法
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。特に球状ないし楕円球状の活物質を作成するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷移金属の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作成回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、Li2CO3、LiNO3等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。

0219

正極の製造のために、前記の正極活物質を単独で用いてもよく、異なる組成の1種以上とを、任意の組み合わせ又は比率で併用してもよい。この場合の好ましい組み合わせとしては、LiCoO2とLiNi0.33Co0.33Mn0.33O2等のLiMn2O4若しくはこのMnの一部を他の遷移金属等で置換したものとの組み合わせ、あるいは、LiCoO2若しくはこのCoの一部を他の遷移金属等で置換したものとの組み合わせが挙げられる。

0220

<正極の構成と作製法>
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着剤とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着剤、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解又は分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成されることにより正極を得ることができる。

0221

正極活物質の、正極活物質層中の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは82質量%以上、特に好ましくは84質量%以上であり、また、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。上記範囲であると、正極活物質層中の正極活物質の電気容量を確保できるとともに、正極の強度を保つことができる。
塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレスローラープレス等により圧密化することが好ましい。正極活物質層の密度は、下限として好ましくは1.5g/cm3以上、より好ましくは2g/cm3、更に好ましくは2.2g/cm3以上であり、また、好ましくは5g/cm3以下、より好ましくは4.5g/cm3以下、更に好ましくは4g/cm3以下の範囲である。上記範囲であると、良好な充放電特性が得られるとともに、電気抵抗の増大を抑制することができる。

0222

(導電材)
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また上限は、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。上記範囲であると、十分な導電性と電池容量を確保することができる。

0223

(結着剤)
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。

0224

正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、更に好ましくは1.5質量%以上であり、上限は、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは10質量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう場合がある。一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる場合がある。

0225

(スラリー形成溶媒)
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系媒体としては、例えば、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系媒体としては、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;キノリン、ピリジン等の複素環化合物;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。

0226

特に水系媒体を用いる場合、増粘剤と、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のラテックスを用いてスラリー化するのが好ましい。増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。更に増粘剤を添加する場合には、活物質に対する増粘剤の割合は、0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上であり、また、上限としては5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下の範囲である。上記範囲であると、良好な塗布性が得られるとともに、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制することができる。

0227

(集電体)
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料;カーボンクロスカーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。

0228

集電体の形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられ、炭素材料の場合、炭素板炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。これらのうち、金属薄膜が好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。薄膜の厚さは任意であるが、集電体としての強度及び取扱い性の観点から、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、また上限は、通常1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。

0229

また、集電体の表面に導電助剤が塗布されていることも、集電体と正極活物質層の電子接触抵抗を低下させる観点で好ましい。導電助剤としては、炭素や、金、白金、銀等の貴金属類が挙げられる。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(電解液注液直前の片面の正極活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)の値が20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、最も好ましくは10以下であり、下限は、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、最も好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。上記範囲であると、高電流密度充放電時の集電体の発熱を抑制し、電池容量を確保することができる。

0230

電極面積
本発明の非水系電解液を用いる場合、高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケース外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する正極の電極面積の総和が面積比で15倍以上とすることが好ましく、更に40倍以上とすることがより好ましい。外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。

0231

(正極板の厚さ)
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して下限として、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上で、上限としては、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下である。

0232

(正極板の表面被覆)
また、上記正極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。

0233

2−3.セパレータ
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。

0234

樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホンガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレフィンであり、更に好ましくはポリオレフィンである。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。

0235

セパレータの厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、5μm以上が好ましく、8μm以上が更に好ましく、また、通常50μm以下であり、40μm以下が好ましく、30μm以下が更に好ましい。上記範囲であると、絶縁性及び機械的強度を確保できる一方、レート特性等の電池性能及びエネルギー密度を確保することができる。
更に、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以上が更に好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下が更に好ましい。空孔率が、上記範囲であると、絶縁性及び機械的強度を確保できる一方、膜抵抗を抑え良好なレート特性を得ることができる。

0236

また、セパレータの平均孔径も任意であるが、通常0.5μm以下であり、0.2μm以下が好ましく、また、通常0.05μm以上である。平均孔径が、上記範囲を上回ると、短絡が生じ易くなる。平均孔径が、上記範囲であると、短絡を防止ししつつ、膜抵抗を抑え良好なレート特性を得ることができる。一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナ二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミ窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。

0237

形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。上記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着剤を用いて上記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着剤として多孔層を形成させることが挙げられる。

0238

2−4.電池設計
電極群
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。電極群占有率が、上記範囲であると、電池容量を確保できるとともに内部圧力の上昇に伴う充放電繰り返し性能や高温保存等の特性低下を抑制し、更にはガス放出弁の作動を防止することができる。

0239

集電構造
集電構造は、特に制限されないが、本発明の非水系電解液による高電流密度の充放電特性の向上をより効果的に実現するには、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。このように内部抵抗を低減させた場合、本発明の非水系電解液を使用した効果は特に良好に発揮される。

0240

電極群が上記の積層構造のものでは、各電極層金属芯部分を束ねて端子に溶接して形成される構造が好適に用いられる。一枚の電極面積が大きくなる場合には、内部抵抗が大きくなるので、電極内に複数の端子を設けて抵抗を低減することも好適に用いられる。電極群が上記の捲回構造のものでは、正極及び負極にそれぞれ複数のリード構造を設け、端子に束ねることにより、内部抵抗を低くすることができる。

0241

<外装ケース>
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルムラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。

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