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技術 エネルギー需給運用ガイダンス装置及び製鉄所内のエネルギー需給運用方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 小笠原知義垂水義彦亀谷岳文青山孝康藤城正人岡田浩和
出願日 2014年11月28日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2015-518700
公開日 2017年3月16日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 WO2015-093262
状態 特許登録済
技術分野 総合的工場管理 特定用途計算機 フィードバック制御一般
主要キーワード 制約上限 ガス需要量 自家発電量 リスクパラメータ 外部業者 分岐限定法 運用作業 ガイダンス装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月16日)のものです。
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図面 (7)

課題・解決手段

モデル計算部(16)が、操業リスクパラメータ収集部(15)によって収集された操業リスクパラメータを用いて、ガス蒸気、及び電力需給運用最適化計算を実行する。これにより、許容できる操業リスクのもとで操業コストを最小化するガス、蒸気、及び電力の需給運用を実行することができる。

概要

背景

一般に、製鉄所では、高炉から副生的に発生する高炉ガス(Bガス)、コークス炉から発生するコークスガス(Cガス)、及びLD転炉から発生する転炉ガス(LDガス)を直接又は混合ガス(Mガス)として製鉄所内で再利用している。ここで、ガスを貯蔵するガスホルダのレベルを超えてガスが余剰となる運用をした場合、余剰ガス大気放散しなければならず、損失となる。一方、ガス需要量ガス供給量より多くなり、ガスが不足する局面では、製鉄所の操業に影響が生じ、同様に損失となる。このため、製鉄所では、ガスの需給量に応じてガスを適切に運用する必要がある。

また、製鉄所では、ガスと同様に蒸気も適切に運用する必要があり、特に蒸気不足は回避すべきである。一般に、蒸気は、LDガスの排熱ボイラBTG(Boiler steam-Turbine Generator)、CDQ(Coke Dry Quenching system)等の自家発電用の蒸気タービンからの抽気タービンの途中から蒸気を取り出すこと)を実施することによって得られる。しかしながら、抽気を実施した場合、自家発電量が低下し、製鉄所の需要電力量満足するために買電量が増加し、電力コストが増加する。

また、抽気を実施したのにも係わらず蒸気不足が見込まれる場合、タービンを解列して蒸気を直接得るタービンバイパスが行われる。このタービンバイパスでは、タービンに蒸気が送られなくなるために、自家発電量がゼロになり、抽気実施時よりもさらに電力コストが増加する。しかしながら、タービンバイパスを実施しない場合、蒸気不足に対応するために外部業者から蒸気を購入する必要が生じ、蒸気コストがかかる。このように、蒸気コストと電力コストとはトレードオフの関係にあるために、蒸気及び電力の運用においては適切な判断が求められる。

以上のように、製鉄所においては、ガス、蒸気、及び電力を低コストで運用することが求められる。このような背景から、製鉄所又は各種エネルギーを供給するプラントの運用をコスト面で最適化する技術が提案されている。具体的には、特許文献1,2及び非特許文献1には、プラントとその操業コストとを線形混合整数計画問題又は非線形の混合整数計画問題として定式化し、様々な最適化手法を利用してプラントの運用をコスト面で最適化する技術が記載されている。

概要

モデル計算部(16)が、操業リスクパラメータ収集部(15)によって収集された操業リスクパラメータを用いて、ガス、蒸気、及び電力の需給運用の最適化計算を実行する。これにより、許容できる操業リスクのもとで操業コストを最小化するガス、蒸気、及び電力の需給運用を実行することができる。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、許容できる操業リスクのもとで操業コストを最小化するエネルギーの需給運用を実行可能なエネルギー需給運用ガイダンス装置及び製鉄所内のエネルギー需給運用方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

製鉄所内におけるガス及び蒸気需給バランス、前記ガス及び前記蒸気を利用して発電する発電設備及び前記ガスを貯蔵するガスホルダ入出力特性、及び前記製鉄所の電力需要量と前記発電設備及び電力会社からの電力供給量との電力需給バランス記述したプラントモデルと前記製鉄所の操業コストを記述したコストモデルとを用いて、前記製鉄所におけるガス、蒸気、及び電力の需給運用最適化計算を実行し、最適化計算結果をガイダンス出力値として出力するエネルギー需給運用ガイダンス装置であって、前記プラントモデルに含まれる変数最新値を取得する最新データ収集部と、前記製鉄所及び前記発電設備の稼働計画に関する情報を収集するプラント稼働予定収集部と、前記プラントモデル及び前記コストモデルの設定値を収集するモデルパラメータ収集部と、前記最新データ収集部、前記プラント稼働予定収集部、及び前記モデルパラメータ収集部によって収集された情報を用いて、前記製鉄所におけるガス、蒸気、及び電力の需給予測を行う需給予測部と、前記ガイダンス出力値の操業リスクを調整する操業リスクパラメータを収集する操業リスクパラメータ収集部と、前記需給予測部の需給予測結果、前記モデルパラメータが収集した前記プラントモデル及び前記コストモデルの設定値、及び前記操業リスクパラメータ収集部が収集した操業リスクパラメータを用いて、ガス、蒸気、及び電力の需給運用の最適化計算を実行するモデル計算部と、前記モデル計算部による最適化計算の結果をガイダンス出力値として出力するガイダンス部と、を備えることを特徴とするエネルギー需給運用ガイダンス装置。

請求項2

前記操業リスクパラメータには、少なくとも前記製鉄所においてガスが不足するリスクを表すガス不足リスクパラメータ及び前記製鉄所において蒸気が不足するリスクを表す蒸気不足リスクパラメータが含まれていることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー需給運用ガイダンス装置。

請求項3

請求項1又は2に記載のエネルギー需給運用ガイダンス装置から出力されたガイダンス出力値に基づいて、ガスの供給先をガスホルダと需要先とに振り分けると共に蒸気の供給先を需要先に振り分けることを特徴とする製鉄所内のエネルギー需給運用方法

請求項4

請求項1又は2に記載のエネルギー需給運用ガイダンス装置から出力されたガイダンス出力値に基づいて、ガスホルダのレベルがガス不足リスクに備えたレベル以下にならないようにガスを運用することを特徴とする製鉄所内のエネルギー需給運用方法。

請求項5

請求項1又は2に記載のエネルギー需給運用ガイダンス装置から出力されたガイダンス出力値に基づいて、蒸気不足に備えたタービンバイパスの設定を行うことを特徴とする製鉄所内のエネルギー需給運用方法。

技術分野

0001

本発明は、製鉄所内におけるガス蒸気、及び電力需給運用作業支援するエネルギー需給運用ガイダンス装置及び製鉄所内のエネルギー需給運用方法に関する。

背景技術

0002

一般に、製鉄所では、高炉から副生的に発生する高炉ガス(Bガス)、コークス炉から発生するコークスガス(Cガス)、及びLD転炉から発生する転炉ガス(LDガス)を直接又は混合ガス(Mガス)として製鉄所内で再利用している。ここで、ガスを貯蔵するガスホルダのレベルを超えてガスが余剰となる運用をした場合、余剰ガス大気放散しなければならず、損失となる。一方、ガス需要量ガス供給量より多くなり、ガスが不足する局面では、製鉄所の操業に影響が生じ、同様に損失となる。このため、製鉄所では、ガスの需給量に応じてガスを適切に運用する必要がある。

0003

また、製鉄所では、ガスと同様に蒸気も適切に運用する必要があり、特に蒸気不足は回避すべきである。一般に、蒸気は、LDガスの排熱ボイラBTG(Boiler steam-Turbine Generator)、CDQ(Coke Dry Quenching system)等の自家発電用の蒸気タービンからの抽気タービンの途中から蒸気を取り出すこと)を実施することによって得られる。しかしながら、抽気を実施した場合、自家発電量が低下し、製鉄所の需要電力量満足するために買電量が増加し、電力コストが増加する。

0004

また、抽気を実施したのにも係わらず蒸気不足が見込まれる場合、タービンを解列して蒸気を直接得るタービンバイパスが行われる。このタービンバイパスでは、タービンに蒸気が送られなくなるために、自家発電量がゼロになり、抽気実施時よりもさらに電力コストが増加する。しかしながら、タービンバイパスを実施しない場合、蒸気不足に対応するために外部業者から蒸気を購入する必要が生じ、蒸気コストがかかる。このように、蒸気コストと電力コストとはトレードオフの関係にあるために、蒸気及び電力の運用においては適切な判断が求められる。

0005

以上のように、製鉄所においては、ガス、蒸気、及び電力を低コストで運用することが求められる。このような背景から、製鉄所又は各種エネルギーを供給するプラントの運用をコスト面で最適化する技術が提案されている。具体的には、特許文献1,2及び非特許文献1には、プラントとその操業コストとを線形混合整数計画問題又は非線形の混合整数計画問題として定式化し、様々な最適化手法を利用してプラントの運用をコスト面で最適化する技術が記載されている。

0006

特開2006−85236号公報
特開2004−171548号公報

先行技術

0007

ハイブリッドシステム予測制御とそのプロセス制御への適用”、システム/制御/情報、Vol.46、No.3、pp.110-119、2002

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献1,2及び非特許文献1記載の技術では、プラント負荷機器入出力特性、及び燃料価格変動等の不確定要素を確率的な要因とみなし、その期待値や分散を目的関数に取り込むことによって、不確定要素を考慮してプラントの運用費用を最小化している。一方、特に製鉄所のエネルギー運用を担うオペレータ立場では、操業コストを最小にする運用を目指しつつもガス不足や蒸気不足による操業リスクを回避する運用を実施する必要がある。

0009

しかしながら、特許文献1,2及び非特許文献1記載の技術では、目的関数やプラントモデルの中に操業リスクを制御するパラメータが含まれていない。このため、特許文献1,2及び非特許文献1記載の技術によれば、操業リスクを考慮した解又はガイダンス出力を得ることができない。一般に、操業リスクと操業コストとはトレードオフの関係にある。操業リスクを表したパラメータを設定することによって許容できる操業リスクのもとで操業コストを最小化できれば、信頼性が高い解又はガイダンス出力を得ることができる。

0010

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、許容できる操業リスクのもとで操業コストを最小化するエネルギーの需給運用を実行可能なエネルギー需給運用ガイダンス装置及び製鉄所内のエネルギー需給運用方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明に係るエネルギー需給運用ガイダンス装置は、製鉄所内におけるガス及び蒸気の需給バランス、前記ガス及び前記蒸気を利用して発電する発電設備及び前記ガスを貯蔵するガスホルダの入出力特性、及び前記製鉄所の電力需要量と前記発電設備及び電力会社からの電力供給量との電力需給バランス記述したプラントモデルと前記製鉄所の操業コストを記述したコストモデルとを用いて、前記製鉄所におけるガス、蒸気、及び電力の需給運用の最適化計算を実行し、最適化計算結果をガイダンス出力値として出力するエネルギー需給運用ガイダンス装置であって、前記プラントモデルに含まれる変数最新値を取得する最新データ収集部と、前記製鉄所及び前記発電設備の稼働計画に関する情報を収集するプラント稼働予定収集部と、前記プラントモデル及び前記コストモデルの設定値を収集するモデルパラメータ収集部と、前記最新データ収集部、前記プラント稼働予定収集部、及び前記モデルパラメータ収集部によって収集された情報を用いて、前記製鉄所におけるガス、蒸気、及び電力の需給予測を行う需給予測部と、前記ガイダンス出力値の操業リスクを調整する操業リスクパラメータを収集する操業リスクパラメータ収集部と、前記需給予測部の需給予測結果、前記モデルパラメータが収集した前記プラントモデル及び前記コストモデルの設定値、及び前記操業リスクパラメータ収集部が収集した操業リスクパラメータを用いて、ガス、蒸気、及び電力の需給運用の最適化計算を実行するモデル計算部と、前記モデル計算部による最適化計算の結果をガイダンス出力値として出力するガイダンス部と、を備えることを特徴とする。

0012

本発明に係るエネルギー需給運用ガイダンス装置は、上記発明において、前記操業リスクパラメータには、少なくとも前記製鉄所においてガスが不足するリスクを表すガス不足リスクパラメータ及び前記製鉄所において蒸気が不足するリスクを表す蒸気不足リスクパラメータが含まれていることを特徴とする。

0013

本発明に係る製鉄所内のエネルギー需給運用方法は、本発明に係るエネルギー需給運用ガイダンス装置から出力されたガイダンス出力値に基づいて、ガスの供給先をガスホルダと需要先とに振り分けると共に蒸気の供給先を需要先に振り分けることを特徴とする。

0014

本発明に係る製鉄所内のエネルギー需給運用方法は、本発明に係るエネルギー需給運用ガイダンス装置から出力されたガイダンス出力値に基づいて、ガスホルダのレベルがガス不足リスクに備えたレベル以下にならないようにガスを運用することを特徴とする。

0015

本発明に係る製鉄所内のエネルギー需給運用方法は、本発明に係るエネルギー需給運用ガイダンス装置から出力されたガイダンス出力値に基づいて、蒸気不足に備えたタービンバイパスの設定を行うことを特徴とする。

発明の効果

0016

本発明に係るエネルギー需給運用ガイダンス装置及び製鉄所内のエネルギー需給運用方法によれば、許容できる操業リスクのもとで操業コストを最小化するエネルギーの需給運用を実行することができる。

図面の簡単な説明

0017

図1は、本発明の一実施形態であるエネルギー需給運用ガイダンス装置の構成を示すブロック図である。
図2は、ガス不足リスクパラメータを説明するための図である。
図3は、タービンバイパスを説明するための図である。
図4は、製鉄所におけるガス、蒸気、電力の需給運用を最適化する最適化計算においてガス不足リスクパラメータを設定した場合と設定しない場合とにおけるガスホルダレベルの時間変化を示す図である。
図5は、製鉄所におけるガス、蒸気、電力の需給運用を最適化する最適化計算において蒸気不足リスクパラメータを設定しない場合における蒸気供給元の蒸気量のトレンドを示す図である。
図6は、製鉄所におけるガス、蒸気、電力の需給運用を最適化する最適化計算において蒸気不足リスクパラメータを設定した場合における蒸気供給元の蒸気量のトレンドを示す図である。

0018

以下、図面を参照して、本発明の一実施形態であるエネルギー需給運用ガイダンス装置及び製鉄所内のエネルギー需給運用方法について詳細に説明する。

0019

〔プラントモデル及びコストモデル〕
始めに、本発明の一実施形態であるエネルギー需給運用ガイダンス装置が操業コストを最小にするように製鉄所におけるガス、蒸気、及び電力の需給運用を最適化する最適化計算の際に用いるプラントモデル及びコストモデルについて説明する。

0020

プラントモデルは、以下の表1に示す製鉄所内で発生したガス及び蒸気を利用して発電する自家発電設備(BTG,CDQ,TRT等)及び製鉄所内で発生したガスを貯蔵するガスホルダの入出力特性と、以下の表2に示す製鉄所内におけるガス(Bガス、Cガス、LDガス、Mガス)及び蒸気の需給バランス及び製鉄所の電力需要量と自家発電設備及び電力会社からの電力供給量との電力需給バランスを記述した制約条件と、を含み、混合整数計画問題として定式化されている。なお、BTGやCDQにおいてタービンバイパスを実施するか否かの判断は、抽気量を最大にした時の蒸気の過不足量に応じてでき、混合整数計画問題として定式化できる。

0021

0022

コストモデルは、製鉄所内における電力コスト、蒸気コスト、及び自家発電コストの総和によって表され、各コストは以下に示す表3のように定式化されている。

0023

0024

〔エネルギー需給運用ガイダンス装置の構成〕
次に、図1を参照して、本発明の一実施形態であるエネルギー需給運用ガイダンス装置の構成について説明する。

0025

図1は、本発明の一実施形態であるエネルギー需給運用ガイダンス装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の一実施形態であるエネルギー需給運用ガイダンス装置は、最新データ収集部11、プラント稼働予定収集部12、モデルパラメータ収集部13、需給予測部14、操業リスクパラメータ収集部15、モデル計算部16、及びガイダンス部17を備えている。

0026

最終データ収集部11は、上述の表1及び表2に示すプラントモデルに含まれる変数の最新値を収集し、収集した最新値を需給予測部14に出力する。

0027

プラント稼働予定収集部12は、製鉄所の稼働計画に関する情報を収集し、収集した情報を需給予測部14に出力する。

0028

モデルパラメータ収集部13は、上述の表1及び表2に示すプラントモデル及び上述の表3に示すコストモデルの設定値を収集し、収集した設定値を需給予測部14及びモデル計算部16に出力する。

0029

需給予測部14は、最終データ収集部11、プラント稼働予定収集部12、及びモデルパラメータ収集部13から出力された情報を用いて、評価期間におけるガス、蒸気、及び電力の需給量を算出し、算出された需給量に関する情報をモデル計算部16に出力する。

0030

操業リスクパラメータ収集部15は、ガス、蒸気、及び電力の需給運用に関するガイダンス出力の操業リスクを調整するガス不足リスクパラメータα及び蒸気不足リスクパラメータβに関する情報を収集する。操業リスクパラメータ収集部15は、収集した情報をモデル計算部16に出力する。ガス不足リスクパラメータα及び蒸気不足リスクパラメータβの詳細については後述する。

0031

モデル計算部16は、モデルパラメータ収集部13、需給予測部14、及び操業リスクパラメータ収集部15から出力された情報を用いて、操業コストが最小になるように製鉄所におけるガス、蒸気、電力の需給運用を最適化する最適化計算を分岐限定法等の最適化手法により実行し、得られた最適解をガイダンス部17に出力する。

0032

ガイダンス部17は、モデル計算部16から出力された情報を製鉄所におけるガス、蒸気、及び電力の需給運用に関するガイダンス出力としてオペレータが操作するガイダンス画面表示出力する。オペレータは、ガイダンス画面に出力された情報を参考にしてガス、蒸気、及び電力の需給運用作業を実行する。

0033

〔ガス不足リスクパラメータ〕
次に、図2を参照して、ガス不足リスクパラメータαについて説明する。

0034

ガス不足リスクパラメータαとは、製鉄所においてガスが不足するリスクを数値化したパラメータである。具体的には、ガス不足リスクパラメータαを設定する操作は、図2(a)に示すように、ガス不足に備えてガスホルダ20のレベルのハード下限制約よりガス不足リスクパラメータα分だけ余裕を持たせた水準のソフト下限制約を追加する操作に相当する。

0035

なお、ソフト制約とは、ハード制約とは異なり、遵守する必要がない制約であるが、制約を破ると最適化計算における目的関数の値が悪化して望ましくないと判断される制約である。従って、目的関数を用いた最適化計算を実行することにより、ガスホルダレベルは、図2(b)に示すように、ソフト下限制約を下回る時間帯(時間T=T1〜T2)もあるが、ほぼハード下限制約+α以上の水準に保たれるようになる。

0036

結果、ガス需要量が急激に増加したり、ガス供給量が急激に低下したりした場合であっても、ガスホルダレベルがハード下限制約を下回り、ガス不足に陥ることが無くなる。なお、オペレータは、ガス不足リスクパラメータαの値を調整することによってガス不足リスクを調整し、運用上適切と考えられるガスホルダレベルの水準でガイダンス装置を利用することができる。

0037

〔蒸気不足リスクパラメータ〕
次に、図3を参照して、蒸気不足リスクパラメータβについて説明する。

0038

蒸気不足リスクパラメータβとは、製鉄所において蒸気が不足するリスクを数値化したパラメータである。通常、図3(a)に示すように、ボイラ31からの蒸気はタービン32で発電のために使用されるが、抽気という操作により本管33に供給することも可能である。これに対して、タービン32からの抽気量が最大であるのにも係わらず蒸気が不足する場合、すなわち最大抽気量と蒸気供給量との和よりも蒸気需要量が多い場合、図3(b)に示すように、ボイラ31からの蒸気をタービン32に供給せず、制御弁35を開くことによってバイパス流路34を介して蒸気を直接本管33に供給するタービンバイパスが実施される。

0039

しかしながら、タービンバイパスを実施する判断がされた時には既に蒸気が不足していることから、蒸気不足を避けるためにはタービンバイパスの実施条件緩和する必要がある。そこで、本実施形態では、蒸気不足リスクパラメータβ(0<β<1)を導入し、条件式:最大抽気量×β+蒸気供給量<蒸気需要量が満足される場合にタービンバイパスを実施することによって蒸気不足を回避する。すなわち、タービンバイパスを実施するタイミングを早くする。これにより、蒸気不足に対応するために外部業者から蒸気を購入することを抑制できる。なお、オペレータは、蒸気不足リスクパラメータβの値を調整することによって蒸気不足リスクを調整し、運用上適切と考えられる蒸気量の水準でガイダンス装置を利用することができる。

0040

以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態であるエネルギー需給運用ガイダンス装置では、モデル計算部16が、操業リスクパラメータ収集部15によって収集された操業リスクパラメータを用いて、ガス、蒸気、及び電力の需給運用の最適化計算を実行するので、許容できる操業リスクのもとで操業コストを最小化するガス、蒸気、及び電力の需給運用を実行することができる。

0041

図4は、製鉄所におけるガス、蒸気、電力の需給運用を最適化する最適化計算においてガス不足リスクパラメータαを設定した場合と設定しない場合とにおけるガスホルダレベルの時間変化を示す図である。なお、図4に示す例では、ガス不足リスクパラメータαの値は(ハード制約上限−ハード制約下限)/2×0.7として最適化計算を実施した。

0042

図4に示すように、ガス不足リスクパラメータαを設定せずに最適化計算を実施した場合、18時、19時、及び24時にガスホルダレベルが400GJを割り込み、ガス不足が懸念される水準までガスホルダレベルが落ち込んでいる。これに対して、ガス不足リスクパラメータαを設定して最適化計算を実施した場合には、全ての時刻でガスホルダレベルが400GJ以上に保たれ、ガス不足リスクが低い状態になっている。

0043

図5及び図6はそれぞれ、製鉄所におけるガス、蒸気、電力の需給運用を最適化する最適化計算において蒸気不足リスクパラメータβを設定しない場合と設定した場合とにおける蒸気供給元の蒸気量のトレンドを示す図である。

0044

図5に示すように最適化計算において蒸気不足リスクパラメータβを設定しない場合、蒸気負荷が高い時刻(例えば8時)であっても、抽気と購入とによって蒸気需要対処することになる。実際にこのような運用をすると、蒸気負荷がさらに高くなった場合に蒸気の需給バランスが破綻し、製鉄所の操業に影響が生じるために、操業リスクが高くなる。これに対して、図6に示すように最適化計算において蒸気不足リスクパラメータβを設定した場合には、蒸気負荷が高い時刻(例えば8時)においては、タービンバイパスを実施することによって大量の蒸気を抽出することにより蒸気不足リスクを回避している。

0045

以上のことから、ガス不足リスクパラメータα及び蒸気不足リスクパラメータβを考慮してエネルギー需給運用の最適化計算を実行することによって、許容できる操業リスクのもとで操業コストを最小化するエネルギーの需給運用を実行できることが確認された。

実施例

0046

以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。

0047

本発明によれば、許容できる操業リスクのもとで操業コストを最小化するエネルギーの需給運用を実行可能なエネルギー需給運用ガイダンス装置及び製鉄所内のエネルギー需給運用方法を提供することができる。

0048

11最新データ収集部
12プラント稼働予定収集部
13モデルパラメータ収集部
14需給予測部
15操業リスクパラメータ収集部
16モデル計算部
17ガイダンス部
20ガスホルダ
31ボイラ
32タービン
33 本管

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