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技術 負帯電性トナー及びその製造方法

出願人 日本ゼオン株式会社
発明者 田口裕之黒川尚
出願日 2014年11月28日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2015-551027
公開日 2017年3月16日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 WO2015-080272
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 日本工業標準調査会 第二ブチルアルコール マイクロスタリンワックス 濃度分布データ コアシェル型構造 要求水準 プロピオン酸アミル ラボスケール
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課題・解決手段

重合法で製造しても粒径分布が狭い負帯電性トナーの製造方法、並びに高速印刷においても、低温定着性耐熱保存性バランスに優れ、細線再現性が良好であり、更にカブリの発生が少ない負帯電性トナーを提供する。少なくとも結着樹脂着色剤帯電制御剤及び軟化剤を含む着色樹脂粒子を含有する負帯電性トナーにおいて、前記帯電制御剤は、ビニル芳香族炭化水素と(メタアクリレートスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られ、且つスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が0.8〜4.0質量%である共重合体であり、前記軟化剤が、モノエステル化合物及びポリグリセリンエステル化合物の少なくともいずれか一方であることを特徴とする負帯電性トナー。

概要

背景

近年、電子写真法を用いた、複合機ファクシミリ、及びプリンター等の画像形成装置に対し、カラー化ニーズが高まってきている。カラー印刷では、写真のように高解像度且つ鮮明な色調の再現が求められる画像の印刷も行うことから、それに対応し得るカラートナーが求められている。また、このようなトナーに対しては、温度や湿度などの環境の変化による画質劣化防止の観点からの環境安定性や、印刷コストの低減の観点からの印字耐久性消費電力低減の観点からの低温定着性等、様々な印字性能が要求されている。

上記要求に応えるためには、良好な転写性ドット再現性両立できることから、小粒径で球形のトナーが適しており、その製造方法として、重合法が提案されている。従来の粉砕法では、特に小粒径のトナーを製造する場合、収率が低く、粉砕に多くのエネルギー消費するのに対し、重合法では、収率が高く、粉砕工程が不要なことから消費エネルギーも低く、さらに、球形のトナーを容易に製造することができる。

重合法によるトナー(以下、「重合トナー」という。)の製造方法としては、懸濁重合法、乳化重合法分散重合法等がある。懸濁重合法では、まず、重合性単量体着色剤、及び必要に応じてその他の添加物を混合して、重合性単量体組成物とし、それを、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に分散する。次に、重合性単量体組成物が分散した水系分散媒体を、高速攪拌機等を用い、高いシェアをかけることにより、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。その後、液滴形成された重合性単量体組成物が分散した水系分散媒体を重合開始剤の存在下に重合し、濾過材による濾過洗浄、乾燥を経て、着色樹脂粒子を得る。さらに、この着色樹脂粒子に無機微粒子等の外添剤を混合し、重合トナーとしている。

このように、重合法によって着色樹脂粒子を得る場合には、粒子を形成する段階(重合法では液滴形成及び重合を行う段階、一方、粉砕法では粉砕を行う段階)で、従来の粉砕法に比べ、小粒径で球形の着色樹脂粒子を形成でき、さらに粒径分布をよりシャープにできる大きな利点を有している。
しかしながら、近年、高解像度、高画質に対する要求水準のさらなる高まりに伴い、重合トナーであっても、解決しなければならない問題点が指摘されている。

負帯電性トナーに必要な摩擦帯電性を付与するため、一般的には帯電制御剤を添加することが行われている。帯電制御剤としては、サリチル酸ナフトエ酸コバルトクロム、鉄等の金属錯体が用いられてきた。しかし、帯電制御剤が高いイオン性を示すために、重合法によるトナーの製造では、帯電制御剤が着色樹脂粒子の表面近傍に存在し易く、カブリ等が起こりやすいという問題が生じている。

上記問題を解決するために、負帯電性を有する樹脂負帯電制御樹脂)を使用することで、結着樹脂との相溶化を高め、必要以上に着色樹脂粒子の表面近傍に存在することを防ぐことも提案されている。特許文献1〜3には、スルホン酸基含有単量体単位が特定範囲にあり、特定範囲の重量平均分子量を有する樹脂を負帯電制御樹脂として利用することが開示されている。また、特許文献4には、スルホン酸基含有単量体単位が異なる2つの負帯電制御樹脂を併用することが開示されている。

概要

重合法で製造しても粒径分布が狭い負帯電性トナーの製造方法、並びに高速印刷においても、低温定着性と耐熱保存性バランスに優れ、細線再現性が良好であり、更にカブリの発生が少ない負帯電性トナーを提供する。少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及び軟化剤を含む着色樹脂粒子を含有する負帯電性トナーにおいて、前記帯電制御剤は、ビニル芳香族炭化水素と(メタアクリレートスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られ、且つスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が0.8〜4.0質量%である共重合体であり、前記軟化剤が、モノエステル化合物及びポリグリセリンエステル化合物の少なくともいずれか一方であることを特徴とする負帯電性トナー。

目的

本発明の課題は、上記問題を解決し、重合法で製造しても粒径分布が狭い負帯電性トナーの製造方法、並びに高速印刷においても、低温定着性と耐熱保存性のバランスに優れ、細線再現性が良好であり、更にカブリの発生が少ないトナーを提供する

効果

実績

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請求項1

少なくとも結着樹脂着色剤帯電制御剤及び軟化剤を含む着色樹脂粒子を含有する負帯電性トナーにおいて、前記帯電制御剤は、ビニル芳香族炭化水素と(メタアクリレートスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られ、且つスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が0.8〜4.0質量%である共重合体であり、前記軟化剤が、モノエステル化合物及びポリグリセリンエステル化合物の少なくともいずれか一方であることを特徴とする負帯電性トナー。

請求項2

前記着色剤がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1に記載の負帯電性トナー。

請求項3

前記軟化剤の量が結着樹脂100質量部に対して1〜25質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の負帯電性トナー。

請求項4

前記帯電制御剤の重量平均分子量が5,000〜30,000であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の負帯電性トナー。

請求項5

前記帯電制御剤の量が結着樹脂100質量部に対して0.1〜8質量部であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の負帯電性トナー。

請求項6

少なくとも重合性単量体、着色剤、帯電制御剤及び軟化剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させることにより、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、並びに当該懸濁液を用いて重合開始剤の存在下で懸濁重合を行うことにより着色樹脂粒子を得る工程を含む負帯電性トナーの製造方法であって、前記懸濁工程において、帯電制御剤として、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートとスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られ、且つスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が0.8〜4.0質量%である共重合体を用い、軟化剤として、モノエステル化合物及びポリグリセリンエステル化合物の少なくともいずれか一方を用いることを特徴とする負帯電性トナーの製造方法。

請求項7

前記軟化剤の量が重合性単量体100質量部に対して1〜25質量部であることを特徴とする請求項6に記載の負帯電性トナーの製造方法。

請求項8

前記帯電制御剤の重量平均分子量が5,000〜30,000であることを特徴とする請求項6又は7に記載の負帯電性トナーの製造方法。

請求項9

前記帯電制御剤の量が重合性単量体100質量部に対して0.1〜8質量部であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の負帯電性トナーの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、複写機ファクシミリ、及びプリンター等の、電子写真法を利用した画像形成装置現像に用いることができる負帯電性トナー及びその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

近年、電子写真法を用いた、複合機、ファクシミリ、及びプリンター等の画像形成装置に対し、カラー化ニーズが高まってきている。カラー印刷では、写真のように高解像度且つ鮮明な色調の再現が求められる画像の印刷も行うことから、それに対応し得るカラートナーが求められている。また、このようなトナーに対しては、温度や湿度などの環境の変化による画質劣化防止の観点からの環境安定性や、印刷コストの低減の観点からの印字耐久性消費電力低減の観点からの低温定着性等、様々な印字性能が要求されている。

0003

上記要求に応えるためには、良好な転写性ドット再現性両立できることから、小粒径で球形のトナーが適しており、その製造方法として、重合法が提案されている。従来の粉砕法では、特に小粒径のトナーを製造する場合、収率が低く、粉砕に多くのエネルギー消費するのに対し、重合法では、収率が高く、粉砕工程が不要なことから消費エネルギーも低く、さらに、球形のトナーを容易に製造することができる。

0004

重合法によるトナー(以下、「重合トナー」という。)の製造方法としては、懸濁重合法、乳化重合法分散重合法等がある。懸濁重合法では、まず、重合性単量体着色剤、及び必要に応じてその他の添加物を混合して、重合性単量体組成物とし、それを、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に分散する。次に、重合性単量体組成物が分散した水系分散媒体を、高速攪拌機等を用い、高いシェアをかけることにより、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。その後、液滴形成された重合性単量体組成物が分散した水系分散媒体を重合開始剤の存在下に重合し、濾過材による濾過洗浄、乾燥を経て、着色樹脂粒子を得る。さらに、この着色樹脂粒子に無機微粒子等の外添剤を混合し、重合トナーとしている。

0005

このように、重合法によって着色樹脂粒子を得る場合には、粒子を形成する段階(重合法では液滴形成及び重合を行う段階、一方、粉砕法では粉砕を行う段階)で、従来の粉砕法に比べ、小粒径で球形の着色樹脂粒子を形成でき、さらに粒径分布をよりシャープにできる大きな利点を有している。
しかしながら、近年、高解像度、高画質に対する要求水準のさらなる高まりに伴い、重合トナーであっても、解決しなければならない問題点が指摘されている。

0006

負帯電性トナーに必要な摩擦帯電性を付与するため、一般的には帯電制御剤を添加することが行われている。帯電制御剤としては、サリチル酸ナフトエ酸コバルトクロム、鉄等の金属錯体が用いられてきた。しかし、帯電制御剤が高いイオン性を示すために、重合法によるトナーの製造では、帯電制御剤が着色樹脂粒子の表面近傍に存在し易く、カブリ等が起こりやすいという問題が生じている。

0007

上記問題を解決するために、負帯電性を有する樹脂負帯電制御樹脂)を使用することで、結着樹脂との相溶化を高め、必要以上に着色樹脂粒子の表面近傍に存在することを防ぐことも提案されている。特許文献1〜3には、スルホン酸基含有単量体単位が特定範囲にあり、特定範囲の重量平均分子量を有する樹脂を負帯電制御樹脂として利用することが開示されている。また、特許文献4には、スルホン酸基含有単量体単位が異なる2つの負帯電制御樹脂を併用することが開示されている。

0008

特開平11−184165号公報
特開平11−288129号公報
特開平11−327208号公報
特開2009−168963号公報

先行技術

0009

しかしながら、上記特許文献のトナーを検討したところ、かかるトナーでは、カブリの抑制には繋がるものの、最低定着温度が未だ高く、細線再現性に劣り、更に帯電制御樹脂のイオン性により重合法でトナーを製造すると粒分布が広くなるという問題があった。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の課題は、上記問題を解決し、重合法で製造しても粒径分布が狭い負帯電性トナーの製造方法、並びに高速印刷においても、低温定着性と耐熱保存性バランスに優れ、細線再現性が良好であり、更にカブリの発生が少ないトナーを提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討を行った結果、帯電制御剤としてスルホン酸含有単量体単位が特定範囲にあり、且つ軟化剤として特定の化合物を使用することで、上記の問題を解決できることを見出した。

0012

即ち、本発明によれば、少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及び軟化剤を含む着色樹脂粒子を含有する負帯電性トナーにおいて、前記帯電制御剤は、ビニル芳香族炭化水素と(メタアクリレートスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られ、且つスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が0.8〜4.0質量%である共重合体であり、前記軟化剤が、モノエステル化合物及びポリグリセリンエステル化合物の少なくともいずれか一方であることを特徴とする負帯電性トナーが提供される。

0013

本発明の負帯電性トナーにおける前記着色剤がカーボンブラックであることが好ましい。

0014

本発明の負帯電性トナーにおける前記軟化剤の量が結着樹脂100質量部に対して1〜25質量部であることが好ましい。

0015

本発明の負帯電性トナーにおける前記帯電制御剤の重量平均分子量が5,000〜30,000であることが好ましい。

0016

本発明の負帯電性トナーにおける前記帯電制御剤の量が結着樹脂100質量部に対して0.1〜8質量部であることが好ましい。

0017

また、本発明によれば、少なくとも重合性単量体、着色剤、帯電制御剤及び軟化剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させることにより、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、並びに当該懸濁液を用いて重合開始剤の存在下で懸濁重合を行うことにより着色樹脂粒子を得る工程を含む負帯電性トナーの製造方法であって、前記懸濁工程において、帯電制御剤として、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートとスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られ、且つスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が0.8〜4.0質量%である共重合体を用い、軟化剤として、モノエステル化合物及びポリグリセリンエステル化合物の少なくともいずれか一方を用いることを特徴とする負帯電性トナーの製造方法が提供される。

0018

本発明の負帯電性トナーの製造方法における前記軟化剤の量が重合性単量体100質量部に対して1〜25質量部であることが好ましい。

0019

本発明の負帯電性トナーの製造方法における前記帯電制御剤の重量平均分子量が5,000〜30,000であることが好ましい。

0020

本発明の負帯電性トナーの製造方法における前記帯電制御剤の量が重合性単量体100質量部に対して0.1〜8質量部であることが好ましい。

発明の効果

0021

上記の如き本発明によれば、帯電制御剤として特定の共重合体を含み、かつ軟化剤として特定のモノエステル化合物及び/又はポリグリセリンエステル化合物を含むことにより、トナーの低温定着性、耐熱保存性、及び細線再現性を向上させると共に、カブリの生じにくい負帯電性トナーが提供される。また、上記の如き本発明の製造方法によれば、上記帯電制御剤及び軟化剤を用いることにより、粒径が比較的均一かつ優れた帯電性を有する上記負帯電性トナーを製造することができる。

0022

本発明の負帯電性トナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及び軟化剤を含む着色樹脂粒子を含有する負帯電性トナーであって、前記帯電制御剤は、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートとスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られ、且つスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が0.8〜4.0質量%である共重合体であり、前記軟化剤が、モノエステル化合物及びポリグリセリンエステル化合物の少なくともいずれか一方であることを特徴とする。

0023

本発明の負帯電性トナーの製造方法は、少なくとも重合性単量体、着色剤、帯電制御剤及び軟化剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含有する水系分散媒体中に懸濁させることにより、重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液を得る懸濁工程、並びに当該懸濁液を用いて重合開始剤の存在下で懸濁重合を行うことにより着色樹脂粒子を得る工程を含む負帯電性トナーの製造方法であって、前記懸濁工程において、帯電制御剤として、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートとスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られ、且つスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が0.8〜4.0質量%である共重合体を用い、軟化剤として、モノエステル化合物及びポリグリセリンエステル化合物の少なくともいずれか一方を用いることを特徴とする。

0024

本発明において、「(メタ)アクリレート」との表現は、アクリレート及びメタクリレートの両方を総称するものとする。また、本発明において、「(メタ)アクリルアミド」との表現は、アクリルアミド及びメタクリルアミドの両方を総称するものとする。

0025

以下、本発明の負帯電性トナー(以下、単に「トナー」と称することがある。)について説明する。
本発明のトナーは、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及び軟化剤を含む着色樹脂粒子を含有する。
以下、本発明に使用される着色樹脂粒子の製造方法、当該製造方法により得られる着色樹脂粒子、当該着色樹脂粒子を用いた本発明のトナーの製造方法及び本発明のトナーについて、順に説明する。

0026

1.着色樹脂粒子の製造方法
本発明に用いられる着色樹脂粒子は、以下に示すプロセスを含む懸濁重合法により製造される。

0027

(1)重合性単量体組成物の調製工程
まず、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤及び軟化剤、さらに必要に応じて添加される分子量調整剤等のその他の添加物を混合し、重合性単量体組成物の調製を行う。重合性単量体組成物を調製する際の混合には、例えば、メディア式分散機を用いて行う。

0028

本発明で重合性単量体は、重合可能官能基を有するモノマーのことをいい、重合性単量体が重合して結着樹脂となる。重合性単量体の主成分として、モノビニル単量体を使用することが好ましい。モノビニル単量体としては、例えば、スチレンビニルトルエン、及びα−メチルスチレン等のスチレン誘導体アクリル酸、及びメタクリル酸アクリル酸メチルアクリル酸エチル、アクリル酸プロピルアクリル酸ブチルアクリル酸2−エチルヘキシル、及びアクリル酸ジメチルアミノエチル等のアクリル酸エステルメタクリル酸メチルメタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステルアクリロニトリル、及びメタクリロニトリル等のニトリル化合物;アクリルアミド、及びメタクリルアミド等のアミド化合物エチレンプロピレン、及びブチレン等のオレフィン;が挙げられる。これらのモノビニル単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらのうち、モノビニル単量体として、スチレン、スチレン誘導体、及びアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルが、好適に用いられる。

0029

ホットオフセット改善及び耐熱保存性改善のために、モノビニル単量体とともに、任意の架橋性の重合性単量体を用いることが好ましい。架橋性の重合性単量体とは、2つ以上の重合可能な官能基を持つモノマーのことをいう。架橋性の重合性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼンジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレート等の2個以上の水酸基を持つアルコール炭素炭素二重結合を有するカルボン酸が2つ以上エステル結合したエステル化合物;N,N−ジビニルアニリン、及びジビニルエーテル等の、その他のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性の重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明では、架橋性の重合性単量体を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常、0.1〜5質量部、好ましくは0.3〜2質量部の割合で用いることが望ましい。

0030

また、さらに、重合性単量体の一部として、マクロモノマーを用いると、得られるトナーの保存性低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000の反応性の、オリゴマー又はポリマーである。マクロモノマーは、モノビニル単量体を重合して得られる重合体ガラス転移温度(以下、「Tg」と称することがある。)よりも、高いTgを有する重合体を与えるものが好ましい。マクロモノマーは、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.03〜5質量部、さらに好ましくは0.05〜1質量部用いる。

0031

本発明では、着色剤を用いるが、カラートナーを作製する場合、ブラックシアンイエローマゼンタの着色剤を用いることができる。
ブラック着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、並びに酸化鉄亜鉛、及び酸化鉄ニッケル等の磁性粉等を用いることができる。

0032

シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、その誘導体、及びアントラキノン化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー2、3、6、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、17:1、及び60等が挙げられる。

0033

イエロー着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントイエロー3、12、13、14、15、17、62、65、73、74、83、93、97、120、138、155、180、181、185、186、及び213等が挙げられる。

0034

マゼンタ着色剤としては、例えば、モノアゾ顔料、及びジスアゾ顔料等のアゾ系顔料、縮合多環系顔料等の化合物が用いられ、C.I.ピグメントレッド31、48、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、149、150、163、170、184、185、187、202、206、207、209、237、238、251、254、255、269及びC.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。

0035

本発明では、各着色剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。着色剤の量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部である。

0036

本発明に使用される着色樹脂粒子は、軟化剤として、モノエステル化合物及び/又はポリグリセリンエステル化合物を含有する。

0037

本発明に使用されるモノエステル化合物は、下記式(1)の構造を有することが好ましい。
R1−COO−R2 式(1)
(上記式(1)中、R1は炭素数15〜23の直鎖アルキル基を示し、R2は炭素数16〜24の直鎖アルキル基を示す。)
R1とR2は同じ基であってもよいし、互いに異なる基であってもよい。

0038

式(1)に示すモノエステル化合物において、原料脂肪酸における炭素数(すなわちR1の炭素数に1を加えた炭素数)と、原料アルコールにおける炭素数(すなわちR2の炭素数)との差は、0〜6であることが好ましく、2〜6であることがより好ましく、4〜6であることが更に好ましい。

0039

式(1)に示すモノエステル化合物として、具体的には、パルミチン酸エイコシル(C15H31−COO−C20H41)、パルミチン酸ベヘニル(C15H31−COO−C22H45)、ステアリン酸ステアリル(C17H35−COO−C18H37)、ステアリン酸エイコシル(C17H35−COO−C20H41)、ステアリン酸ベヘニル(C17H35−COO−C22H45)、エイコサン酸ヘキサデシル(C19H39−COO−C16H33)、エイコサン酸ステアリル(C19H39−COO−C18H37)、エイコサン酸エイコシル(C19H39−COO−C20H41)、ベヘン酸ヘキサデシル(C21H43−COO−C16H33)、ベヘン酸ステアリル(C21H43−COO−C18H37)、ベヘン酸エイコシル(C21H43−COO−C20H41)、ベヘン酸ベヘニル(C21H43−COO−C22H45)、及びリグノセリン酸ヘキサデシル(C23H47−COO−C16H33)等が挙げられる。これらのモノエステル化合物の中でも、モノエステル化合物は、パルミチン酸ベヘニル、パルミチン酸エイコシル、ステアリン酸ベヘニル、エイコサン酸エイコシル、ベヘン酸ヘキサデシル、ベヘン酸ステアリル及びベヘン酸ベヘニルがより好ましく、パルミチン酸ベヘニル、ステアリン酸ベヘニル、エイコサン酸エイコシルが更に好ましい。

0040

上記モノエステル化合物の水酸基価は、通常10mgKOH/g以下であることが好ましく、6mgKOH/g以下であることがより好ましく、3mgKOH/g以下であることが更により好ましい。水酸基価が10mgKOH/gより大きいと、耐熱保存性が悪化する場合がある。なお、モノエステル化合物の水酸基価は、日本工業標準調査会(JICS)制定の規準油脂分析手法である、JIS K 0070に準拠して測定される値である。

0041

上記モノエステル化合物の融点は60〜75℃であることが好ましく、63〜72℃であることがより好ましく、65〜70℃であることがさらに好ましい。モノエステル化合物の融点が60℃未満である場合には、トナーが耐熱保存性に劣るおそれがある。また、モノエステル化合物の融点が75℃を超える場合には、低温定着性が悪化する場合がある。
モノエステル化合物の融点は、例えば、示差走査熱量分析機(セイコーインツル社製、商品名:DSC−6220)等を用いて、特定の温度範囲において100℃/分で昇温する条件で測定を行い、得られたDSC曲線ピークトップを融点(TmD)とすることができる。

0042

上記モノエステル化合物の製造方法としては、酸化反応による合成法、カルボン酸及びその誘導体からの合成、マイケル付加反応に代表されるエステル基導入反応カルボン酸化合物アルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、酸ハロゲン化物とアルコール化合物からの反応、エステル交換反応等が挙げられる。これらモノエステル化合物の製造には適宜触媒を用いることもできる。触媒としては、エステル化反応に用いる一般の酸性又はアルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛チタン化合物等が好ましい。エステル化反応後再結晶蒸留等により目的生成物を精製してもよい。
モノエステル化合物の製造方法の典型例は以下の通りである。なお、本発明に用いられるモノエステル化合物の製造方法は、以下の典型例に限定されない。
まず、反応容器に、原料となるアルコールとカルボン酸を加える。アルコールとカルボン酸のモル比は、目的とする軟化剤の化学構造に合わせて適宜調整する。すなわち、モノエステル化合物の場合は、アルコール:カルボン酸=1:1のモル比となるようにアルコールとカルボン酸を混合する。なお、脱水縮合反応における反応性等を考慮して、アルコールとカルボン酸のうちいずれか一方を、上記比より若干過剰に加えてもよい。
次に、混合物を適宜加熱し、脱水縮合反応を行う。脱水縮合反応により得られるエステル化粗生成物に対し、塩基性水溶液、及び適宜有機溶媒を加え、未反応のアルコール及びカルボン酸を脱プロトン化水相に分離する。あとは、適宜水洗溶媒留去、及びろ過を行うことにより、所望のモノエステル化合物が得られる。

0043

本発明に使用されるポリグリセリンエステル化合物(ポリグリセリンエステルワックス)は、ポリグリセリン脂肪酸とのエステルであることが好ましい。軟化剤としてポリグリセリンエステル化合物を用いることで、得られるトナーの低温定着性、耐熱保存性、及び細線再現性のほか、高温放置後耐久性を高めることができる。
ポリグリセリンはグリセリン脱水縮合したもので、その重合度は3〜15のものが好ましく、4〜12のものがより好ましく、5〜9のものが更に好ましい。ポリグリセリンの重合度が3未満である場合には、得られるトナーの耐熱保存性や高温放置後の耐久性が悪化するおそれがある。一方、ポリグリセリンの重合度が15を超える場合には、低温定着性の効果が小さくなったり、離型性が損なわれたりするおそれがある。

0044

上記ポリグリセリンエステル化合物を構成する脂肪酸基は、炭素数10〜28の飽和脂肪酸基が好ましく、炭素数14〜24の飽和脂肪酸基がより好ましく、炭素数18〜22の飽和脂肪酸基が更に好ましい。

0045

上記ポリグリセリンエステル化合物として、具体的には、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミテートペンタグリセリンヘプタベヘネート、テトラグリセリンヘキサベヘネート、及びトリグリセリンペンタベヘネート等が挙げられる。これらのポリグリセリンエステル化合物の中でも、本発明においては、ヘキサグリセリンオクタベヘネート、ヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミテート、ペンタグリセリンヘプタベヘネート、及びテトラグリセリンヘキサベヘネートがより好ましく、ヘキサグリセリンオクタベヘネート及びヘキサグリセリンテトラベヘネートテトラパルミテートが更に好ましい。
これらのポリグリセリンエステル化合物は、1種類のみ使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0046

上記ポリグリセリンエステル化合物の水酸基価は、通常20mgKOH/g以下であることが好ましく、6mgKOH/g以下であることがより好ましく、3mgKOH/g以下であることが更に好ましい。水酸基価が20mgKOH/gより大きいと、耐熱保存性が悪化する場合がある。なお、ポリグリセリンエステル化合物の水酸基価は、上記モノエステル化合物の水酸基価と同様に測定できる。

0047

上記ポリグリセリンエステル化合物の融点は60〜75℃であることが好ましく、63〜72℃であることがより好ましく、65〜70℃であることがさらに好ましい。ポリグリセリンエステル化合物の融点が60℃未満である場合には、トナーが耐熱保存性に劣るおそれがある。また、ポリグリセリンエステル化合物の融点が75℃を超える場合には、低温定着性が悪化する場合がある。
ポリグリセリンエステル化合物の融点は、上記モノエステル化合物の融点と同様に測定できる。

0048

上記ポリグリセリンエステル化合物の製造方法としては、酸化反応による合成法、カルボン酸及びその誘導体からの合成、マイケル付加反応に代表されるエステル基導入反応、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、酸ハロゲン化物とアルコール化合物からの反応、エステル交換反応等が挙げられる。これらポリグリセリンエステル化合物の製造には適宜触媒を用いることもできる。触媒としては、エステル化反応に用いる一般の酸性又はアルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物等が好ましい。エステル化反応後、再結晶、蒸留等により目的生成物を精製してもよい。
ポリグリセリンエステル化合物の製造方法の典型例は以下の通りである。なお、本発明に用いられるポリグリセリンエステル化合物の製造方法は、以下の典型例に限定されない。
まず、反応容器に、原料となるポリグリセリンとカルボン酸を加える。ポリグリセリンとカルボン酸のモル比は、目的とする軟化剤の化学構造に合わせて適宜調整する。すなわち、ポリグリセリンとして例えばヘキサグリセリン(水酸基を8つ有する)を用いる場合は、ヘキサグリセリン:カルボン酸=1:8のモル比となるようにヘキサグリセリンとカルボン酸を混合する。なお、脱水縮合反応における反応性等を考慮して、ポリグリセリンとカルボン酸のうちいずれか一方を、上記比より若干過剰に加えてもよい。
次に、混合物を適宜加熱し、脱水縮合反応を行う。脱水縮合反応により得られるエステル化粗生成物に対し、塩基性水溶液、及び適宜有機溶媒を加え、未反応のポリグリセリン及びカルボン酸を脱プロトン化し水相に分離する。あとは、適宜水洗、溶媒留去、及びろ過を行うことにより、所望のポリグリセリンエステル化合物が得られる。

0049

軟化剤としてのモノエステル化合物及びポリグリセリンエステル化合物は、それぞれ本発明の効果発現において同様の寄与を示すが、これらの化合物を併用した場合、低温定着性及び細線再現性を共にさらに高めることができる利点がある。

0050

軟化剤の含有量は、重合性単量体(好適にはモノビニル単量体)100質量部に対して、通常1〜30質量部であり、好適には1〜25質量部である。2種類以上の軟化剤を用いる場合でも、重合性単量体100質量部に対して、全ての軟化剤の総含有量が通常1〜30質量部であり、好適には1〜25質量部である。当該含有量が1質量部未満である場合には、得られるトナーの低温定着性が悪くなるおそれがある。一方、当該含有量が30質量部を超える場合には、得られるトナーの耐熱保存性が悪くなるおそれがある。

0051

軟化剤としてモノエステル化合物を使用する場合、モノエステル化合物の含有量は、重合性単量体100質量部に対して、10〜25質量部であることが好ましく、12〜22質量部であることがより好ましく、15〜20質量部であることがさらに好ましい。

0052

軟化剤としてポリグリセリンエステル化合物を使用する場合、ポリグリセリンエステル化合物の含有量は、重合性単量体100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましく、2〜10質量部であることがより好ましく、3〜8質量部であることがさらに好ましい。

0053

また、軟化剤として上記ポリグリセリンエステル化合物を用いる場合、パラフィンワックス等の炭化水素ワックスを併用することが好ましい。

0054

前記炭化水素ワックスは、ポリエチレンワックスポリプロピレンワックスフィッシャートロプシュワックス石油系ワックス等が挙げられ、中でも、フィッシャートロプシュワックス、石油系ワックスが好ましく、石油系ワックスがより好ましい。
炭化水素ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。

0055

上記「石油系ワックス」とは、石油の精製工程から製造され、側鎖を有する飽和炭化水素を主成分とする常温固体のものをいい、JIS K 2235では、パラフィンワックス、マイクロスタリンワックス、及びペトラタムの3種に大別している。本発明では、これらの3種の中から少なくとも1種を選択して用いることが好ましい。また、石油系ワックスの中でも、トナーの低温定着性、及び保存性のバランスを好適にする観点から、パラフィンワックス、及びマイクロスタリンワックスがより好ましい。

0056

炭化水素ワックスの含有量は、重合性単量体(好適にはモノビニル単量体)100質量部に対して、通常0.5〜10質量部である。当該含有量が0.5質量部未満である場合には、得られるトナーの低温定着性が悪くなるおそれがある。一方、当該含有量が10質量部を超える場合には、得られるトナーの耐熱保存性が悪くなるおそれがある。
炭化水素ワックスの含有量は、重合性単量体100質量部に対して、1〜8質量部であることが好ましく、2〜6質量部であることがより好ましい。
また、ポリグリセリンエステル化合物及び炭化水素ワックスの総含有量は、重合性単量体(好適にはモノビニル単量体)100質量部に対して、1.5〜30質量部であることが好ましく、3〜20質量部であることがより好ましく、5〜10質量部であることが更に好ましい。
炭化水素ワックスの数平均分子量は、300〜800であることが好ましく、400〜600であることがより好ましい。また、JIS K2235 5.4で測定される炭化水素ワックスの針入度は、1〜10であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。

0057

本発明では、帯電制御剤として、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートとスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとを共重合して得られるスルホン酸基含有共重合体を使用する。このスルホン酸基含有共重合体は、帯電制御樹脂ということがある。該スルホン酸基含有共重合体は、カラートナーを得るのに充分な程度に無色である。スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドを共重合することにより、共重合体中にスルホン酸基を含有させ、それによって、該スルホン酸基含有共重合体を負帯電性の帯電制御剤として使用することができる。スルホン酸基含有共重合体中のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合は、0.8〜4.0質量%の範囲内にあることが必要であり、好ましくは1.0〜3.5質量%の範囲内であり、更に好ましくは1.5〜3質量%の範囲内である。スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が0.8質量%未満では、負帯電性の付与効果が小さく、逆に、4.0質量%を越えると、重合時の重合性単量体組成物の液滴の分散安定性が低下して、均一な粒径の重合トナーを得ることができない。また、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合が過小でも過大でも、画質の環境安定性が悪くなる。
なお、本発明においてスルホン酸基とは、その塩(スルホン酸塩基)も含む。

0058

スルホン酸基含有共重合体中のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合(質量%)は、例えば、蛍光X線分析(XRF)等による元素分析によって、硫黄含有量を測定し、その結果から算出することができる。
また、スルホン酸基含有共重合体を合成した場合には、使用したスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの質量を、ビニル芳香族炭化水素、(メタ)アクリレート及びスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの総質量により除した値を、スルホン酸基含有共重合体中のスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドの共重合割合(質量%)とすることができる。

0059

ビニル芳香族炭化水素を共重合させることにより、スルホン酸基含有共重合体を安定して得ることができる。ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートとの共重合割合を調整することにより、スルホン酸基含有共重合体のガラス転移温度(Tg)を所望の範囲に制御することができ、それによって、耐熱保存性を損なうことなく、定着温度を比較的低くすることができる。また、ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートとを組み合わせて使用することにより、スルホン酸基含有共重合体と重合トナーの重合体成分との相溶性を向上させることができ、帯電性その他の諸特性が均質な重合トナーとすることができる。ビニル芳香族炭化水素と(メタ)アクリレートとの共重合割合(質量基準)は、通常、99:1〜50:50、好ましくは95:5〜70:30である。

0060

本発明で使用するスルホン酸基含有共重合体の重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算値で、5,000〜30,000の範囲内であることが必要であり、好ましくは8,000〜25,000、より好ましくは10,000〜20,000の範囲内である。スルホン酸基含有共重合体の重量平均分子量が大きすぎると、重合時に重合性単量体組成物の液滴の大きさが不均一になり、均一な粒径の重合トナーを得ることが困難で、ひいては、流動性や耐熱保存性が低下傾向を示し、画質の環境依存性や耐久性も悪くなり、さらに、定着温度を低くすることが困難となる。スルホン酸基含有共重合体の重量平均分子量が小さすぎると、得られる重合トナーの流動性が不充分となり、耐熱保存性も低下し、さらには、画質の環境依存性や耐久性も悪くなる傾向を示す。以下に、本発明で使用するスルホン酸基含有共重合体の原料及び製造方法について詳述する。

0061

スルホン酸基含有共重合体の製造に使用するビニル芳香族炭化水素は、芳香族炭化水素にビニル基が結合した構造を有する化合物(単量体)であり、具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−メチル−α−メチルスチレン、3−メチル−α−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレン、2−エチル−α−メチルスチレン、3−エチル−α−メチルスチレン、4−エチル−α−メチルスチレン、2−プロピル−α−メチルスチレン、3−プロピル−α−メチルスチレン、4−プロピル−α−メチルスチレン、2−イソプロピル−α−メチルスチレン、3−イソプロピル−α−メチルスチレン、4−イソプロピル−α−メチルスチレン、2−クロロ−α−メチルスチレン、3−クロロ−α−メチルスチレン、4−クロロ−α−メチルスチレン、2,3−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,3−ジエチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、2,6−ジエチルスチレン、2−メチル−3−エチルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、2−クロロ−4−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,6−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジエチル−α−メチルスチレン、3,4−ジエチル−α−メチルスチレン、2,4−ジエチル−α−メチルスチレン、2,6−ジエチル−α−メチルスチレン、2−エチル−3−メチル−α−メチルスチレン、2−メチル−4−プロピル−α−メチルスチレン、2−クロロ−4−エチル−α−メチルスチレンなどが挙げられる。これらのビニル芳香族炭化水素は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。

0062

スルホン酸基含有共重合体の製造に使用する(メタ)アクリレートは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであり、具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチルアクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ラウリルなどのアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチルメタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルメタクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル類;などの化合物が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。

0063

スルホン酸基含有共重合体の製造に使用するスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、4−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸などを挙げることができる。これらのスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミドは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。

0064

本発明で使用するスルホン酸基含有共重合体は、各単量体成分を、乳化重合分散重合、懸濁重合、溶液重合などの任意の重合法により、共重合することにより得ることができる。これらの重合法の中でも、共重合割合及び重量平均分子量の調整が容易である点で、溶液重合法が好ましい。スルホン酸基含有共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイック酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン二塩基酸、2,2−アゾビス−2−メチル−N−1,1−ビスヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシジエチルプロピオンアミド、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなどのジアミン化合物メチルエチルパーオキシドジ−t−ブチルパーオキシドアセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどの過酸化物;を挙げることができる。

0065

重合開始剤の使用量は、目的とする重量平均分子量に合わせて任意に選択することができるが、単量体全量100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。溶液重合では、アルカリ金属ブチルリチウム、アルカリ金属とナフタレンの反応物等のアニオン重合開始剤を用いることもできる。

0066

溶液重合等で用いる溶剤分散剤は、適宜選択することができる。具体的に、炭化水素化合物としては、ベンゼントルエンキシレン等の芳香族炭化水素系化合物;n−ヘキサン、シクロヘキサンメチルシクロヘキサンエチルシクロヘキサンノナン、デカン、デカリン、ドデカンなどの飽和炭化水素系有機化合物;が挙げられる。含酸素系有機化合物としては、メタノールエタノ−ル、n−プロピルアルコールイソプロピルアルコールn−ブチルアルコールイソブチルアルコール第二ブチルアルコールアミルアルコールイソアミルアルコール、メチルイソブチルカルビノ−ル、2−エチルブタノ−ル、2−エチルヘキサノ−ル、シクロヘキサノ−ル、フルフリルアルコールテトラヒドロフルフリルアルコールエチレングリコールヘキシレングリコール、グリセリンなどのヒドロキシル基を有する化合物;プロピルエーテルイソプロピルエーテルブチルエーテル、イソブチルエーテル、n−アミルエーテル、イソアミルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテル、メチルn−アミルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルイソブチルエーテル、エチルn−アミルエーテル、エチルイソアミルエーテルなどの脂肪族飽和エーテル類アリルエーテル、エチルアリルエーテルなどの脂肪族不飽和系エーテル類;アニソールフェネトールフェニルエーテルベンジルエーテルなどの芳香族エーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランジオキサンなどの環状エーテル類エチレングリコールモノメチルエーテルエチレングリコールモノエチルエーテルエチレングリコールモノブチルエーテルジエチレングリコールモノメチルエーテルジエチレングリコールモノエチルエーテルジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコール類ギ酸酢酸無水酢酸酪酸などの有機酸類;ギ酸ブチル、ギ酸アミル酢酸プロピル酢酸イソプロピル酢酸ブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル酢酸イソアミル酢酸2−エチルヘキシル酢酸シクロヘキシル、酢酸ブチルシクロヘキシルプロピオン酸エチルプロピオン酸ブチルプロピオン酸アミル酪酸ブチル炭酸ジエチルシュウ酸ジエチル乳酸メチル乳酸エチル乳酸ブチルリン酸トリエチルなどの有機酸エステル類;メチルイソプロピルケトンメチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンアセチルアセトンジアセトンアルコールシクロヘキサノンシクロペンタノンメチルシクロヘキサノンシクロヘプタノンなどのケトン類;1,4−ジオキサン、イソホロンフルフラールなどのその他の含酸素有機化合物などが挙げられる。

0067

重合温度及び重合時間は、重合法や使用する重合開始剤の種類などにより任意に選択できるが、通常、約50〜200℃であり、重合時間は、0.5〜20時間程度である。重合に際しては、通常知られている添加剤、例えば、アミンなどの重合助剤を併用することもできる。重合後の系からスルホン酸基含有共重合体を回収する方法は、貧溶剤を加えて共重合体を沈殿させる方法、スチームで溶剤を除去する方法、減圧で溶剤を除去する方法、加熱溶融で溶剤を除去する方法、凍結乾燥する方法、高濃度で重合しそのままトナー重合系に添加する方法等が用いられる。

0068

帯電制御剤の含有量は、重合性単量体(好適にはモノビニル単量体)100質量部に対して、通常0.1〜8質量部であり、好ましくは0.2〜5質量部であり、更に好ましくは0.3〜3質量部である。帯電制御剤が0.1質量部より少ないと帯電が不十分となりカブリが発生する場合があり、逆に8質量部より多いと低温低湿環境下でカブリが発生する場合がある。

0069

重合して結着樹脂となる重合性単量体を重合する際に、その他の添加物として、分子量調整剤を用いることが好ましい。
分子量調整剤としては、一般にトナー用の分子量調整剤として用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、t−ドデシルメルカプタンn−ドデシルメルカプタンn−オクチルメルカプタン、及び2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン−4−チオール等のメルカプタン類テトラメチルチウラムジスルフィドテトラエチルチウラムジスルフィドテトラブチルチウラムジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;等が挙げられる。これらの分子量調整剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、分子量調整剤を、モノビニル単量体100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部の割合で用いることが望ましい。

0070

(2)懸濁液を得る懸濁工程(液滴形成工程)
本発明では、少なくとも重合性単量体、着色剤、帯電制御剤及び軟化剤を含有する重合性単量体組成物を、分散安定化剤を含む水系分散媒体中に分散させ、重合開始剤を添加した後、重合性単量体組成物の液滴形成を行う。液滴形成の方法は特に限定されないが、例えば、(インライン型乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:マイルダー)、高速乳化分散機(プライミクス社製、商品名:T.K.ホモミクサーMARKII型)等の強攪拌が可能な装置を用いて行う。

0071

重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩:4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシジエチルアセテート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルブタノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、及びt−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中で、残留重合性単量体を少なくすることができ、印字耐久性も優れることから、有機過酸化物を用いるのが好ましい。

0072

有機過酸化物の中でも、開始剤効率がよく、残留する重合性単量体も少なくすることができることから、パーオキシエステルが好ましく、非芳香族パーオキシエステルすなわち芳香環を有しないパーオキシエステルがより好ましい。

0073

重合開始剤は、前記のように、重合性単量体組成物が水系分散媒体中へ分散された後、液滴形成前に添加されても良いが、水系分散媒体中へ分散される前の重合性単量体組成物へ添加されても良い。

0074

重合性単量体組成物の重合に用いられる、重合開始剤の添加量は、モノビニル単量体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは0.3〜15質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部である。

0075

本発明において、水系分散媒体は、水を主成分とする媒体のことを言う。

0076

本発明において、水系分散媒体には、分散安定化剤を含有させることが好ましい。分散安定化剤としては、例えば、硫酸バリウム、及び硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩リン酸カルシウム等のリン酸塩酸化アルミニウム、及び酸化チタン等の金属酸化物水酸化アルミニウム水酸化マグネシウム、及び水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等の無機化合物や、ポリビニルアルコールメチルセルロース、及びゼラチン等の水溶性高分子アニオン性界面活性剤ノニオン性界面活性剤両性界面活性剤;等の有機化合物が挙げられる。上記分散安定化剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。

0077

上記分散安定化剤の中でも、無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドが好ましい。無機化合物、特に難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることにより、着色樹脂粒子の粒径分布を狭くすることができ、また、洗浄後の分散安定化剤残存量を少なくできるため、得られるトナーが画像を鮮明に再現することができ、且つ環境安定性に優れたものとなる。

0078

(3)重合工程
上記(2)のようにして、液滴形成を行い、得られた水系分散媒体を加熱し、重合を開始し、着色樹脂粒子の水分散液を形成する。
重合性単量体組成物の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。

0079

着色樹脂粒子は、そのまま外添剤を添加して重合トナーとして用いてもよいが、この着色樹脂粒子をコア層とし、その外側にコア層と異なるシェル層を作ることで得られる、所謂コアシェル型(又は、「カプセル型」ともいう)の着色樹脂粒子とすることが好ましい。コアシェル型の着色樹脂粒子は、低軟化点を有する物質よりなるコア層を、それより高い軟化点を有する物質で被覆することにより、定着温度の低温化と保存時の凝集防止とのバランスを取ることができる。

0080

上述した、上記着色樹脂粒子を用いて、コアシェル型の着色樹脂粒子を製造する方法としては特に制限はなく、従来公知の方法によって製造することができる。insitu重合法や相分離法が、製造効率の点から好ましい。

0081

insitu重合法によるコアシェル型の着色樹脂粒子の製造法を以下に説明する。
着色樹脂粒子が分散している水系分散媒体中に、シェル層を形成するための重合性単量体(シェル用重合性単量体)と重合開始剤を添加し、重合することでコアシェル型の着色樹脂粒子を得ることができる。

0082

シェル用重合性単量体としては、前述の重合性単量体と同様なものが使用できる。その中でも、スチレン、アクリロニトリル、及びメチルメタクリレート等の、Tgが80℃を超える重合体が得られる単量体を、単独であるいは2種以上組み合わせて使用することが好ましい。

0083

シェル用重合性単量体の重合に用いる重合開始剤としては、過硫酸カリウム、及び過硫酸アンモニウム等の、過硫酸金属塩;2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、及び2,2’−アゾビス−(2−メチル−N−(1,1−ビス(ヒドロキシメチル)2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)等の、アゾ系開始剤;等の水溶性重合開始剤を挙げることができる。これらは、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。重合開始剤の量は、シェル用重合性単量体100質量部に対して、好ましくは、0.1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。

0084

シェル層の重合温度は、好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60〜95℃である。また、重合の反応時間は好ましくは1〜20時間であり、更に好ましくは2〜15時間である。

0085

(4)洗浄、ろ過、脱水、及び乾燥工程
重合により得られた着色樹脂粒子の水分散液は、重合終了後に、常法に従い、ろ過、分散安定化剤の除去を行う洗浄、脱水、及び乾燥の操作が、必要に応じて数回繰り返されることが好ましい。

0086

上記の洗浄の方法としては、分散安定化剤として無機化合物を使用した場合、着色樹脂粒子の水分散液への酸、又はアルカリの添加により、分散安定化剤を水に溶解し除去することが好ましい。分散安定化剤として、難水溶性の無機水酸化物のコロイドを使用した場合、酸を添加して、着色樹脂粒子水分散液のpHを6.5以下に調整することが好ましい。添加する酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸等の無機酸、並びに蟻酸、及び酢酸等の有機酸を用いることができるが、除去効率の大きいことや製造設備への負担が小さいことから、特に硫酸が好適である。

0087

脱水、ろ過の方法は、種々の公知の方法等を用いることができ、特に限定されない。例えば、遠心ろ過法、真空ろ過法加圧ろ過法等を挙げることができる。また、乾燥の方法も、特に限定されず、種々の方法が使用できる。

0088

2.着色樹脂粒子
上記懸濁重合法により、着色樹脂粒子が得られる。
以下、トナーを構成する着色樹脂粒子について述べる。なお、以下で述べる着色樹脂粒子は、コアシェル型のものとそうでないもの両方を含む。

0089

着色樹脂粒子の体積平均粒径(Dv)は、好ましくは4〜12μmであり、より好ましくは5〜10μmである。Dvが4μm未満である場合には、トナーの流動性が低下し、転写性が悪化したり、画像濃度が低下したりする場合がある。Dvが12μmを超える場合には、画像の解像度が低下する場合がある。

0090

また、着色樹脂粒子は、その体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が、好ましくは1.0〜1.3であり、更に好ましくは1.0〜1.2である。Dv/Dnが1.3を超える場合には、転写性、画像濃度及び解像度の低下が起こる場合がある。着色樹脂粒子の体積平均粒径、及び個数平均粒径は、例えば、粒度分析計ベックマンコールター製、商品名:マルチサイザー)等を用いて測定することができる。
このように本発明においては、重合法により製造しても粒径分布が狭い負帯電性トナーが得られる。

0091

本発明の着色樹脂粒子の平均円形度は、画像再現性の観点から、0.96〜1.00であることが好ましく、0.97〜1.00であることがより好ましく、0.98〜1.00であることがさらに好ましい。
上記着色樹脂粒子の平均円形度が0.96未満の場合、印字の細線再現性が悪くなるおそれがある。

0092

本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、着色樹脂粒子の凹凸度合いを示す指標であり、平均円形度は着色樹脂粒子が完全な球形の場合に1を示し、着色樹脂粒子の表面形状が複雑になるほど小さな値となる。

0093

3.トナーの製造方法
本発明においては、上記着色樹脂粒子を、外添剤と共に混合攪拌して外添処理を行うことにより、着色樹脂粒子の表面に、外添剤を付着させて1成分トナー(現像剤)とすることが好ましい。なお、1成分トナーは、さらにキャリア粒子と共に混合攪拌して2成分現像剤としてもよい。

0094

外添処理を行う攪拌機は、着色樹脂粒子の表面に外添剤を付着させることができる攪拌装置であれば特に限定されず、例えば、FMミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、スーパーミキサー(:商品名、川田製作所社製)、Qミキサー(:商品名、日本コークス工業社製)、メカノフュージョンシステム(:商品名、ホソカワミクロン社製)、及びメカノミル(:商品名、岡田精工社製)等の混合攪拌が可能な攪拌機を用いて外添処理を行うことができる。

0095

外添剤としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び/又は酸化セリウム等からなる無機微粒子;ポリメタクリル酸メチル樹脂シリコーン樹脂、及び/又はメラミン樹脂等からなる有機微粒子;等が挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、無機微粒子の中でも、シリカ、及び/又は酸化チタンが好ましく、特にシリカからなる微粒子が好適である。
なお、これらの外添剤は、それぞれ単独で用いることもできるが、2種以上を併用して用いることができる。中でも粒径の異なる2種以上のシリカを併用することが好ましい。

0096

本発明では、外添剤を、着色樹脂粒子100質量部に対して、通常、0.05〜6質量部、好ましくは0.2〜5質量部の割合で用いることが望ましい。外添剤の添加量が0.05質量部未満の場合には転写残が発生することがある。外添剤の添加量が6質量部を超える場合にはカブリが発生することがある。

0097

4.本発明のトナー
上記工程を経て得られるトナーは、高速印刷においても、定着性及び細線再現性に優れ、カブリが少なく、かつ耐熱保存性が良好なトナーである。

0098

以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り質量基準である。
本実施例及び比較例において行った試験方法は以下のとおりである。

0099

実施例シリーズI>
I−1.スルホン酸基含有共重合体の製造
[製造例I−1]
3Lの反応容器に、トルエン900部、スチレン83部、2−エチルヘキシルアクリレート14.5部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸2.5部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.4部を仕込み、攪拌しながら、80℃で8時間共重合反応させた。反応終了後、凍結乾燥により溶剤を除去し、重量平均分子量18,000、ガラス転移温度が56.2℃のスルホン酸基含有共重合体I−1を得た。その特性を表I−1に示す。

0100

[製造例I−2〜I−6]
製造例I−1において、共重合に使用するモノマーの使用量を下記表I−1のように変更した以外は、製造例I−1と同様にして、スルホン酸基含有共重合体I−2〜I−6を得た。その特性を表I−1に示す。

0101

スルホン酸基含有共重合体I−1〜I−6の組成及び測定結果を表I−1に示す。なお、下記表I−1中、「ST(wt%)」とはスチレンの添加量(質量%)を、「2EHA(wt%)」とは2−エチルヘキシルアクリレートの添加量(質量%)を、「AAMPS(wt%)」とは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の添加量(質量%)を、それぞれ意味する。

0102

0103

I−2.軟化剤の製造
[製造例I−7]
温度計窒素導入管、攪拌機、ディーンスタークトラップ及びジムロート冷却管を備える反応容器に、ベヘニルアルコール100部及びステアリン酸79.8部(ベヘニルアルコールの1.05モル当量)を加え、窒素気流下220℃で、反応により生じる水を留去しつつ15時間常圧で反応を行って、エステル化粗生成物を得た。
このエステル化粗生成物にトルエン20部及びイソプロパノール25部を添加し、エステル化粗生成物の酸価の1.5倍当量に相当する量の10%水酸化カリウム水溶液190部を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置した後水層部を除去して脱酸工程を終了した。次いで、20部のイオン交換水を入れて70℃で30分間攪拌した後、30分間静置後に水層部を除去した。除去した水層のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。エステル層を180℃、1kPaの条件下で減圧して溶媒を留去し、ろ過を行い、最終目的物であるステアリン酸ベヘニルを952.3g得た。脱酸処理に供したエステル化粗生成物に対する収率は95.2%であった。

0104

[製造例I−8]
上記製造例I−7において、ベヘニルアルコール100部の代わりにペンタエリスリトール100部を用い、ステアリン酸79.8部の代わりにミリスチン酸704.5部(ペンタエリスリトールの4.2モル当量)を用いたこと以外は、製造例I−7と同様にして、ペンタエリスリトールテトラミリステートを得た。

0105

I−3.負帯電性トナーの製造
[実施例I−1]
重合性単量体としてスチレン75部とn−ブチルアクリレート25部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)7部を、分散機シンマルエンタープライゼス製、商品名:ダイノミル)を用いて分散させることにより、重合性単量体混合物を得た。
上記重合性単量体混合物に、帯電制御剤として上記製造例I−1で得られたスルホン酸基含有共重合体I−1 0.8部、軟化剤としてステアリン酸ベヘニル20部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6)0.3部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、及び分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン1.5部を添加し、混合及び溶解して、重合性単量体組成物を調製した。

0106

他方、室温下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.2部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)の水分散液を調製した。

0107

上記水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、攪拌した。そこへ重合開始剤(化薬アクゾ社製、商品名:トリノックス27)4.4部を投入した後、インライン型乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:キャビトロン)を用いて、15,000rpmの回転数で1分間高剪断攪拌して、水系分散媒体中に重合性単量体組成物の微小な液滴を形成した。このようにして、重合性単量体組成物の液滴が分散した水分散液を調製した。

0108

上記重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。重合転化率が、ほぼ100%に達したときに、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート1部、及びイオン交換水10部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)0.3部を添加し、90℃で4時間反応を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型構造を有する着色樹脂粒子の水分散液を得た。

0109

上記着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、室温下で硫酸を滴下し、pHが6.5以下となるまで酸洗浄を行った。次いで、濾過分離を行い、得られた固形分にイオン交換水500部を加えて再スラリー化させて、水洗浄処理(洗浄、濾過及び脱水)を数回繰り返し行った。次いで、濾過分離を行い、得られた固形分を乾燥機容器内に入れ、40℃で24時間乾燥を行い、体積平均粒径Dvが7.8μm、粒径分布Dv/Dnが1.11のコアシェル型着色樹脂粒子を得た。

0110

乾燥した上記着色樹脂粒子100部に、外添剤として、疎水化された平均一次粒径50nmの負帯電性シリカクラリアント社製)1.0部、疎水化された平均一次粒径12nmの負帯電性シリカ(日本アエロジル社製)0.8部を添加して、冷却用ジャケットを有する容量10Lのラボスケール高速攪拌装置(日本コークス工業社製、商品名:FMミキサー)を用いて、攪拌翼の周速40m/秒、外添処理時間300秒で混合攪拌して外添処理を行い、実施例I−1の負帯電性トナーを得た。その評価結果を表I−2に示す。

0111

[実施例I−2〜I−5、及び比較例I−1〜I−8]
実施例I−1において、帯電制御剤及び軟化剤を表I−2に示すように変更した以外は、実施例I−1と同様にして実施例I−2〜I−5、及び比較例I−1〜I−8の負帯電性トナーを得た。その評価結果を表I−2に示す。なお、表I−2中、軟化剤の「FT−100」とは、天然ガス系フィッシャートロプシュワックス(Dシェル・MS社製)の商品名を指す。

0112

I−4.着色樹脂粒子及びトナーの特性評価
上記実施例I−1〜I−5、及び比較例I−1〜I−8の負帯電性トナー、並びにこれら負帯電性トナーに使用した着色樹脂粒子について、特性を調べた。詳細は以下の通りである。

0113

(1)着色樹脂粒子の粒径測定
着色樹脂粒子の体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、及び粒径分布Dv/Dnは粒径測定機(ベックマン・コールター社製、商品名:マルチサイザー)により測定した。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、分散媒体アイトンII(:商品名)、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行った。
具体的には、着色樹脂粒子サンプル0.2gをビーカーに取り、その中に分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸水溶液(富士フィルム社製、商品名:ドライウェル)を加えた。そこへ、更に分散媒体を2mL加え、着色樹脂粒子を湿潤させた後、分散媒体を10mL加え、超音波分散器で1分間分散させてから上記の粒径測定器による測定を行った。

0114

(2)耐熱保存性
容量100mLのポリエチレン製容器にトナーを20g充填し、水の浸入がないよう、蓋をシールして密閉し、所定の温度に設定した恒温水槽(ヤマト科学社製、商品名:BK300)内の水中に該容器を沈め、8時間経過した後に取り出した。取り出した容器からトナーを42メッシュ(目開き355μm)の上にできるだけ振動を与えないように移し、粉体測定機(ホソカワミクロン社製、商品名:パウダテスタPT−X)にセットした。篩の振幅を1.0mmに設定して、30秒間振動した後、篩上に残ったトナーの質量を測定し、これを凝集したトナーの質量とみなし、凝集したトナー質量が最初に容器に入れたトナー質量の5%以下となる最高の温度を耐熱温度とし、耐熱保存性の指標とした。

0115

I−5.トナーの印字評価
上記実施例I−1〜I−5、及び比較例I−1〜I−8の負帯電性トナーについて、印字評価を行った。詳細は以下の通りである。

0116

(1)最低定着温度
市販の非磁性一成分現像方式ブリンター(20枚機)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着試験を行った。定着試験は、黒ベタ印字濃度100%)を印字して、改造プリンターの定着ロールの温度を5℃ずつ変化させて、それぞれの温度でのトナーの定着率を測定し、温度−定着率の関係を求めて行った。定着率は、黒ベタ(印字濃度100%)の印字領域においてテープ剥離を行い、テープ剥離前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID(前)、テープ剥離後の画像濃度をID(後)とすると、定着率は、下記計算式1により算出できる。
計算式1:定着率(%)=(ID(後)/ID(前))×100

0117

テープ剥離操作とは、試験用紙測定部分粘着テープ(住友スリエム社製、商品名:スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。画像濃度は、反射式画像濃度計(マクベス社製、商品名:RD914)を用いて測定した。この定着試験において、定着率が80%を超える最低の定着ロールの温度をトナーの最低定着温度とした。

0118

(2)細線再現性
細線再現性試験には、前述と同様のプリンターを用い、現像装置トナーカートリッジに、トナーを充填した後、印字用紙をセットした。
常温常湿(N/N)環境下(温度:23℃、湿度:50%)で、24時間放置した後、同環境下にて、2×2ドットライン(幅約85μm)で連続して線画像を形成し、10,000枚まで連続印刷を行った。
500枚毎に、印字評価システム(YA−MA社製、商品名:RT2000)を用いて線画像の濃度分布データ採取した。
採取した線画像の濃度分布データより、濃度の最大値半値における線画像の線の全幅線幅とし、1枚目に採取した印字用紙に形成された線幅を基準にして、当該線幅の差を10μm以下に維持できる連続印刷枚数を調べた。

0119

(3)カブリ試験
市販の非磁性一成分現像方式プリンター(印刷速度:28枚/分)に印字用紙をセットし、現像装置にトナーを入れ、温度35℃、湿度80%RHの高温高湿(H/H)環境下及び温度10℃/相対湿度20%の低温低湿(L/L)環境下でそれぞれ24時間放置した後、同環境下にて、5%印字濃度で3枚連続印字を行った。
その後、白ベタ印字を行い、そして印字を途中で停止し、現像後の感光体上にある非画像部のトナーを粘着テープで剥ぎ取り、それを新しい印字用紙に貼り付けた。前述の反射式画像濃度計を用いて、その色調を測定し、それぞれLab空間座標として表し、色差ΔEを算出して、カブリ値とした。この値の小さい方が、カブリが少ないことを示す。

0120

実施例I−1〜I−5及び比較例I−1〜I−8の負帯電性トナーの測定及び評価結果を表I−2に示す。なお、下記表I−2中、「共重合割合(wt%)」とは、スルホン酸基含有共重合体I−1〜I−6における2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の各共重合割合(質量%)を意味する。また、下記表I−2中、「カブリ」の「HH」とは、上記カブリ試験における高温高湿(H/H)環境下でのカブリ値を意味し、「カブリ」の「LL」とは、上記カブリ試験における低温低湿(L/L)環境下でのカブリ値を意味する。

0121

0122

I−6.トナー評価のまとめ
以下、表I−1及び表I−2を参照しながら、トナー評価について検討する。
まず、比較例I−1、I−3及びI−4のトナーについて検討する。表I−2より、これらのトナーは、軟化剤としてペンタエリスリトールテトラミリステート10部を含むトナーである。
表I−2より、比較例I−1、I−3及びI−4のトナーは、耐熱温度が55℃といずれも低く、最低定着温度がいずれも145℃と高く、細線再現性の評価枚数が8,500枚以下と少なく、HHカブリの値が1.5以上と高く、LLカブリの値が0.8以上と高い。
上より、軟化剤としてモノエステル化合物の替わりにテトラエステル化合物を含む比較例I−1、I−3及びI−4のトナーは、耐熱保存性及び低温定着性に乏しく、細線再現性に劣り、さらにカブリが生じやすいことが分かる。

0123

次に、比較例I−2のトナーについて検討する。表I−2より、比較例I−2のトナーは、軟化剤としてFT−100 2部を含むトナーである。
表I−2より、比較例I−2のトナーは、耐熱温度が55℃と低く、最低定着温度が150℃と高く、細線再現性の評価枚数が7,000枚と少なく、HHカブリの値が2.1と高く、LLカブリの値が1.2と高い。特に、最低定着温度は、今回測定したトナー中最も高い。
以上より、軟化剤としてモノエステル化合物の替わりにフィッシャートロプシュワックスを含む比較例I−2のトナーは、低温定着性に特に乏しく、耐熱保存性及び細線再現性に劣り、さらにカブリが生じやすいことが分かる。

0124

続いて、比較例I−5〜I−7のトナーについて検討する。表I−2より、比較例I−5及びI−6のトナーは、軟化剤としてペンタエリスリトールテトラミリステート10部を含み、かつ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が5質量%以上のスルホン酸基含有共重合体I−4又はI−5を含むトナーである。また、表I−2より、比較例I−7のトナーは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が10質量%のスルホン酸基含有共重合体I−5を含むトナーである。
表I−2より、比較例I−5〜I−7のトナーのDv/Dnは1.22以上と大きい。これは、上記共重合割合が4.0質量%を超えるため、均一な粒径のトナーが得られにくくなったことによる。
このようにトナーの粒径が不均一であることは、特に耐熱保存性及び帯電性に悪影響を及ぼしている。表I−2より、比較例I−5〜I−7のトナーは、耐熱温度が55℃以下と低く、細線再現性の評価枚数が7,000枚以下と少なく、HHカブリの値が1.7以上と高く、LLカブリの値が0.9以上と高い。
以上より、帯電制御剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が4.0質量%を超えるスルホン酸基含有共重合体を含む比較例I−5〜I−7のトナーは、均一な粒径が得られにくいため帯電性に乏しく、その結果、耐熱保存性及び細線再現性に劣り、さらにカブリが生じやすいことが分かる。

0125

さらに、表I−2より、比較例I−5及びI−6のトナーは、最低定着温度が145℃以上と高い。
したがって、軟化剤としてモノエステル化合物の替わりにテトラエステル化合物を含む比較例I−5及びI−6のトナーは、低温定着性にも乏しいことが分かる。

0126

続いて、比較例I−8のトナーについて検討する。表I−2より、比較例I−8のトナーは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が0.5質量%のスルホン酸基含有共重合体I−6を含むトナーである。
表I−2より、比較例I−8のトナーは、耐熱温度が56℃であり、最低定着温度が130℃であり、LLカブリの値は0.2である。したがって、比較例I−8のトナーは、少なくとも耐熱保存性、低温定着性及び低温低湿(L/L)条件下におけるカブリに問題は見られない。しかし、比較例I−8のトナーは、細線再現性の評価枚数が8,000枚と少なく、HHカブリの値が5.5と高い。特に、比較例I−8のHHカブリの値は、今回測定したトナー中最も高い。
以上より、帯電制御剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が0.8質量%未満であるスルホン酸基含有共重合体を含む比較例I−8のトナーは、細線再現性に劣り、さらにカブリが生じやすいことが分かる。

0127

一方、表I−2より、実施例I−1〜実施例I−5のトナーは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が1〜3.5質量%のスルホン酸基含有共重合体I−1〜I−3のいずれか1つを含み、かつステアリン酸ベヘニル14〜20部又はベヘン酸ベヘニル20部を含むトナーである。
表I−2より、実施例I−1〜実施例I−5のトナーは、Dv/Dnが1.15以下と小さく、耐熱温度がいずれも56℃と高く、最低定着温度が135℃以下と低く、細線再現性の評価枚数が9,000枚以上と多く、HHカブリの値が1.2以下と低く、LLカブリの値が0.6以下と低い。
したがって、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が0.8〜4.0質量%であるスルホン酸基含有共重合体を含み、さらに軟化剤がモノエステル化合物である実施例I−1〜実施例I−5のトナーは、高速印刷においても、低温定着性と耐熱保存性のバランスに優れ、細線再現性が良好であり、更にカブリの発生が少ないトナーであることが分かる。

0128

<実施例シリーズII>
II−1.スルホン酸基含有共重合体の製造
[製造例II−1〜II−6]
上記実施例シリーズIにおけるスルホン酸基含有共重合体I−1〜I−6と同様に、スルホン酸基含有共重合体II−1〜II−6を調製した。スルホン酸基含有共重合体II−1〜II−6の組成及び物性は、上記表I−1のスルホン酸基含有共重合体I−1〜I−6の組成及び物性にそれぞれ対応する。

0129

II−2.軟化剤の製造
[製造例II−7]
温度計、窒素導入管、攪拌機、ディーンスタークトラップ及びジムロート冷却管を備えたる反応容器に、ヘキサグリセリン100部及びベヘン酸605部(ヘキサグリセリンの8.2モル当量)を加え、窒素気流下220℃で、反応により生じる水を留去しつつ15時間常圧で反応を行って、エステル化粗生成物を得た。
このエステル化粗生成物にトルエン20部及びイソプロパノール25部を添加し、エステル化粗生成物の酸価の1.5倍当量に相当する量の10%水酸化カリウム水溶液190部を加え、70℃で30分間攪拌した。30分間静置した後水層部を除去して脱酸工程を終了した。次いで、20部のイオン交換水を入れて70℃で30分間攪拌した後、30分間静置後に水層部を除去した。除去した水層のpHが中性になるまで水洗を4回繰り返した。エステル層を180℃、1kPaの条件下で減圧して溶媒を留去し、ろ過を行い、最終目的物であるヘキサグリセリンオクタベヘネートを得た。

0130

[製造例II−8]
上記製造例II−7において、ヘキサグリセリン100部の代わりにペンタエリスリトール100部を用い、ベヘン酸605部の代わりにミリスチン酸704.5部(ペンタエリスリトールの4.2モル当量)を用いたこと以外は、製造例II−7と同様にして、ペンタエリスリトールテトラミリステートを得た。

0131

II−3.負帯電性トナーの製造
[実施例II−1]
重合性単量体としてスチレン75部とn−ブチルアクリレート25部、ブラック着色剤としてカーボンブラック(三菱化学社製、商品名:#25B)7部を、分散機(シンマルエンタープライゼス製、商品名:ダイノミル)を用いて分散させることにより、重合性単量体混合物を得た。
上記重合性単量体混合物に、帯電制御剤として上記製造例II−1で得られたスルホン酸基含有共重合体II−1 0.8部、軟化剤として上記製造例II−7で合成したヘキサグリセリンオクタベヘネート5部及び融点68℃のパラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:HNP−11)5部、マクロモノマーとしてポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名:AA6)0.3部、架橋性の重合性単量体としてジビニルベンゼン0.6部、及び分子量調整剤としてテトラエチルチウラムジスルフィド1部を添加し、混合及び溶解して、重合性単量体組成物を調製した。

0132

他方、室温下で、イオン交換水250部に塩化マグネシウム10.2部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム6.2部を溶解した水溶液を、攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)の水分散液を調製した。

0133

上記水酸化マグネシウムコロイド分散液に、室温下で、上記重合性単量体組成物を投入し、攪拌した。そこへ重合開始剤(化薬アクゾ社製、商品名:トリゴノックス27)4.4部を投入した後、インライン型乳化分散機(太平洋機工社製、商品名:キャビトロン)を用いて、15,000rpmの回転数で1分間高剪断攪拌して、水系分散媒体中に重合性単量体組成物の微小な液滴を形成した。このようにして、重合性単量体組成物の液滴が分散した水分散液を調製した。

0134

上記重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液(重合性単量体組成物分散液)を、攪拌翼を装着した反応器内に投入し、90℃に昇温し、重合反応を開始させた。重合転化率が、ほぼ100%に達したときに、シェル用重合性単量体としてメチルメタクリレート1部、及びイオン交換水10部に溶解したシェル用重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)0.3部を添加し、90℃で4時間反応を継続した後、水冷して反応を停止し、コアシェル型構造を有する着色樹脂粒子の水分散液を得た。

0135

上記着色樹脂粒子の水分散液を攪拌しながら、室温下で硫酸を滴下し、pHが6.5以下となるまで酸洗浄を行った。次いで、濾過分離を行い、得られた固形分にイオン交換水500部を加えて再スラリー化させて、水洗浄処理(洗浄、濾過及び脱水)を数回繰り返し行った。次いで、濾過分離を行い、得られた固形分を乾燥機の容器内に入れ、40℃で24時間乾燥を行い、体積平均粒径Dvが7.8μm、粒径分布Dv/Dnが1.13のコアシェル型着色樹脂粒子を得た。

0136

乾燥した着色樹脂粒子100部に、外添剤として、疎水化された平均一次粒径50nmの負帯電性シリカ(クラリアント社製)1.0部、疎水化された平均一次粒径12nmの負帯電性シリカ(日本アエロジル社製)0.8部を添加して、冷却用ジャケットを有する容量が10Lのラボスケールの高速攪拌装置(日本コークス工業社製、商品名:FMミキサー)を用いて、攪拌翼の周速40m/秒、外添処理時間300秒で混合攪拌して外添処理を行い、実施例II−1の負帯電性トナーを得た。その評価結果を表II−1に示す。

0137

[実施例II−2〜II−5、及び比較例II−1〜II−8]
実施例II−1において、負帯電制御樹脂及び軟化剤を表II−1に示すように変更した以外は、実施例II−1と同様にして実施例II−2〜II−5、及び比較例II−1〜II−8の負帯電性トナーを得た。その評価結果を表II−1に示す。

0138

II−4.着色樹脂粒子及びトナーの特性評価
上記実施例II−1〜II−5、及び比較例II−1〜II−8の負帯電性トナーについて、上記実施例シリーズIにおける「(2)耐熱保存性」と同様の方法で、トナーの耐熱温度を測定した。また、これら負帯電性トナーに使用した着色樹脂粒子について、上記実施例シリーズIにおける「(1)着色樹脂粒子の粒径測定」と同様の方法で、着色樹脂粒子の粒径を測定した。

0139

II−5.トナーの印字評価
上記実施例II−1〜II−5、及び比較例II−1〜II−8の負帯電性トナーについて、上記実施例シリーズIにおける「(1)最低定着温度」、「(2)細線再現性」、及び「(3)カブリ試験」と同様の方法で、印字評価を行った。なお、細線再現性について、表II−1の試験結果に「10000<」とあるのは、10,000枚連続で印字しても、当該線幅の差を10μm以下に維持できることを示す。
また、これら負帯電性トナーについて、以下の通り高温放置後耐久性を評価した。

0140

(4)高温放置後耐久性
負帯電性トナーを、密閉できる容器に温度23℃及び湿度50%の常温常湿(N/N)環境下で入れて密閉した。この容器を、温度50℃の環境下に5日間保存した後、開封して、温度23℃及び湿度50%の常温常湿(N/N)環境下に戻した。容器内から負帯電性トナーを取り出し、この負帯電性トナーを用いて、上記実施例シリーズIにおける「(3)カブリ試験」の項で説明した方法と同様にカブリ値を算出した。当該カブリ値が1以下の画質を維持できる連続印字枚数を調べた。なお、表II−1の試験結果に「10000<」とあるのは、10,000枚連続で印字しても、当該カブリ値が1以下の画質を維持できることを示す。

0141

実施例II−1〜II−5及び比較例II−1〜II−8の負帯電性トナーの測定及び評価結果を表II−1に示す。なお、下記表II−1中、「共重合割合(wt%)」とは、スルホン酸基含有共重合体II−1〜II−6における2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の各共重合割合(質量%)を意味する。また、下記表II−1中、「カブリ」の「HH」とは、上記カブリ試験における高温高湿(H/H)環境下でのカブリ値を意味し、「カブリ」の「LL」とは、上記カブリ試験における低温低湿(L/L)環境下でのカブリ値を意味する。

0142

0143

II−6.トナー評価のまとめ
以下、主に表II−1を参照しながら、トナー評価について検討する。
まず、比較例II−1、II−3及びII−4のトナーについて検討する。表II−1より、これらのトナーは、軟化剤としてペンタエリスリトールテトラミリステート10部を含むトナーである。
表II−1より、比較例II−1、II−3及びII−4のトナーは、HHカブリの値が1.5以上と高く、LLカブリの値が0.8以上と高い。
以上より、軟化剤としてポリグリセリンエステル化合物の替わりにエリスリトールエステル化合物を含む比較例II−1、II−3及びII−4のトナーは、どの温度及び湿度環境下においてもカブリが生じやすいことが分かる。

0144

次に、比較例II−2のトナーについて検討する。表II−1より、比較例II−2のトナーは、軟化剤としてパラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:HNP−11)のみを含むトナーである。
表II−1より、比較例II−2のトナーは、最低定着温度が150℃と高く、細線再現性の評価枚数が6,000枚と少なく、HHカブリの値が2.1と高く、LLカブリの値が1.2と高く、高温放置後耐久性の評価枚数が7,000枚と少ない。特に、最低定着温度は、今回測定したトナー中最も高い。
以上より、軟化剤としてパラフィンワックスのみを含む比較例II−2のトナーは、低温定着性に特に乏しく、耐熱保存性、細線再現性、及び高温放置後耐久性に劣り、さらにカブリが生じやすいことが分かる。

0145

続いて、比較例II−5〜II−7のトナーについて検討する。表II−1より、比較例II−5及びII−6のトナーは、軟化剤としてペンタエリスリトールテトラミリステート10部を含み、かつ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が5質量%以上のスルホン酸基含有共重合体II−4又はII−5を含むトナーである。また、表II−1より、比較例II−7のトナーは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が10質量%のスルホン酸基含有共重合体II−5を含むトナーである。
表II−1より、比較例II−5〜II−7のトナーのDv/Dnは1.22以上と大きい。これは、上記共重合割合が4.0質量%を超えるため、均一な粒径のトナーが得られにくくなったことによる。
このようにトナーの粒径が不均一であることは、特に帯電性及び高温放置後耐久性に悪影響を及ぼしている。表II−1より、比較例II−5〜II−7のトナーは、HHカブリの値が1.7以上と高く、LLカブリの値が0.9以上と高く、高温放置後耐久性の評価枚数が7,000枚以下と少ない。
以上より、帯電制御剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が4.0質量%を超えるスルホン酸基含有共重合体を含む比較例II−5〜II−7のトナーは、均一な粒径が得られにくいため帯電性に乏しく、その結果、高温放置後耐久性に劣り、さらにカブリが生じやすいことが分かる。

0146

さらに、表II−1より、比較例II−5及びII−6のトナーは、耐熱温度が54℃と低い。
したがって、軟化剤としてポリグリセリンエステル化合物の替わりにエリスリトールエステル化合物を含む比較例II−5及びII−6のトナーは、耐熱保存性にも乏しいことが分かる。

0147

続いて、比較例II−8のトナーについて検討する。表II−1より、比較例II−8のトナーは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が0.5質量%のスルホン酸基含有共重合体II−6を含むトナーである。
表II−1より、比較例II−8のトナーは、耐熱温度が56℃であり、最低定着温度が130℃であり、細線再現性の評価枚数が9,000枚であり、LLカブリの値が0.2であり、高温放置後耐久性の評価枚数が9,500枚である。したがって、比較例II−8のトナーは、少なくとも耐熱保存性、低温定着性、細線再現性、低温低湿(L/L)条件下におけるカブリ、及び高温放置後耐久性に問題は見られない。しかし、比較例II−8のトナーは、HHカブリの値が5.5と高い。このHHカブリの値は、今回測定したトナー中最も高い。
以上より、帯電制御剤として2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が0.8質量%未満であるスルホン酸基含有共重合体を含む比較例II−8のトナーは、高温高湿環境下においてカブリが特に生じやすいことが分かる。

0148

一方、表II−1より、実施例II−1〜II−5のトナーは、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が1〜3.5質量%のスルホン酸基含有共重合体II−1〜II−3のいずれか1つを含み、かつヘキサグリセリンオクタベヘネートを含むトナーである。
表II−1より、実施例II−1〜II−5のトナーは、Dv/Dnが1.15以下と小さく、耐熱温度がいずれも55℃以上と高く、最低定着温度が145℃以下と低く、細線再現性の評価枚数が7,000枚以上と多く、HHカブリの値が1.2以下と低く、LLカブリの値が0.6以下と低く、高温放置後耐久性の評価枚数が8,500枚以上と多い。
したがって、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が0.8〜4.0質量%であるスルホン酸基含有共重合体を含み、さらに軟化剤がポリグリセリンエステル化合物である実施例II−1〜II−5のトナーは、高速印刷においても、低温定着性と耐熱保存性のバランスに優れ、細線再現性が良好であり、更にカブリの発生が少なく耐久性に優れるトナーであることが分かる。

0149

実施例II−1〜II−3のトナーは、軟化剤としてさらにパラフィンワックス(日本精蝋社製、商品名:HNP−11)を含むトナーである。
表II−1より、実施例II−1〜II−3のトナーは、耐熱温度がいずれも56℃以上とより高く、最低定着温度が140℃以下とより低く、細線再現性の評価枚数が9,000枚以上とより多く、HHカブリの値が1.1以下とより低く、高温放置後耐久性の評価枚数がいずれも10,000枚を超える。
したがって、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合割合が0.8〜4.0質量%であるスルホン酸基含有共重合体を含み、さらに軟化剤としてポリグリセリンエステル化合物及びパラフィンワックスを含む実施例II−1〜II−3のトナーは、耐熱保存性、低温定着性、細線再現性、高温高湿(H/H)環境下における帯電性及び耐久性にさらに優れるトナーであることが分かる。

0150

[実施例III−1]
実施例II−4において、軟化剤としてステアリン酸ベヘニルを14部さらに追加したこと以外は、実施例II−4と同様にして実施例III−1の負帯電性トナーを得た。実施例II−4と同様に着色樹脂粒子及び負帯電性トナーを評価したところ、実施例II−4と比べて全体に高い評価結果が得られた。結果を表III−1に示す。特に、実施例III−1の最低定着温度は実施例II−4の最低定着温度よりも15℃低い。また、実施例III−1の細線再現性の評価枚数は、実施例II−4の細線再現性の評価枚数よりも2,000枚以上多い。以上の結果から、実施例III−1の負帯電性トナーの低温定着性及び細線再現性は、実施例II−4よりもさらに優れることが分かる。

実施例

0151

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