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技術 酸素吸収剤の保存方法

出願人 三菱瓦斯化学株式会社
発明者 河合隆一郎田中宏和
出願日 2014年10月22日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2015-543888
公開日 2017年3月9日 (3年8ヶ月経過) 公開番号 WO2015-060356
状態 特許登録済
技術分野 食品の保存(凍結・冷却・乾燥を除く) 吸収による気体分離 固体収着剤及びろ過助剤
主要キーワード ガスバリア袋 水中保管 密閉包装体 通気性包装材 通気性小袋 粉石鹸 酸素吸収活性 水洗回数
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

本発明による酸素吸収剤保存方法は、(A)鉄、コバルトニッケル、および銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属と(B)アルミニウムとを含む合金を、塩基性水溶液処理に供して、前記アルミニウム(B)の少なくとも一部を溶出除去して得られる金属からなる酸素吸収剤であって、BET法により測定される比表面積が10m2/g以上である酸素吸収剤を準備し、前記酸素吸収剤を、キレート剤を含有する水溶液に浸潰して保存することを含む。

概要

背景

食品医薬品などの保存技術の一つとして酸素吸収剤脱酸素剤)による保存技術がある。具体的には、雰囲気中の酸素を除去する脱酸素剤を対象物と共に密閉包装体の内部に入れて、密閉包装体の内部を無酸素状態にすることによって、対象物の酸化劣化カビ、変色などを抑制する技術である。

これまでに雰囲気中の酸素を除去する脱酸素剤として、各種無機系材料からなるものおよび有機系材料からなるものが提案されている。中でも、アルミニウムと鉄からなる合金、または、アルミニウムとニッケルからなる合金から水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルミニウムを取り除いた金属を用いて、30%RH(25℃)以下であるような水分が無いか殆ど無い雰囲気中であっても、雰囲気中の酸素を従来の脱酸素剤と同等のレベルで吸収、除去し得る酸素吸収剤が開発されている(例えば、国際公開第2012/105457号等)。

また、国際公開第2012/105457号には、上記のようにして得られた金属からなる酸素吸収剤を、酸または緩衝機能を持った水溶液中に浸潰して保存することにより、酸素吸収剤の酸素吸収活性を維持しながら、長期安定的に酸素吸収剤を保存できることも開示されている。

概要

本発明による酸素吸収剤の保存方法は、(A)鉄、コバルト、ニッケル、および銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属と(B)アルミニウムとを含む合金を、塩基性水溶液処理に供して、前記アルミニウム(B)の少なくとも一部を溶出除去して得られる金属からなる酸素吸収剤であって、BET法により測定される比表面積が10m2/g以上である酸素吸収剤を準備し、前記酸素吸収剤を、キレート剤を含有する水溶液に浸潰して保存することを含む。

目的

本発明は、従来技術における上記課題を解決し、水分が無いか殆ど無い雰囲気下であっても雰囲気中の酸素を吸収する能力をもつ酸素吸収剤の保存方法として、安全性が高く、かつ低価格で、十分な酸素吸収性能を維持しながら長期安定的に酸素吸収剤を保存できる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

(A)鉄、コバルトニッケル、および銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属と、(B)アルミニウムと、を含む合金を、塩基性水溶液処理に供して、前記アルミニウム(B)の少なくとも一部を溶出除去して得られる金属からなる酸素吸収剤であって、BET法により測定される比表面積が10m2/g以上である酸素吸収剤を準備し、前記酸素吸収剤を、キレート剤を含有する水溶液に浸潰して保存する、ことを含んでなる、酸素吸収剤の保存方法

請求項2

前記キレート剤が、ヒドロキシカルボン酸の塩である、請求項1に記載の酸素吸収剤の保存方法。

請求項3

前記水溶液中のキレート剤の含有量が、前記酸素吸収剤100質量部に対して0.1〜20質量部である、請求項1または2に記載の酸素吸収剤の保存方法。

請求項4

前記水溶液のpHが、7〜12である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸素吸収剤の保存方法。

技術分野

0001

本発明は、酸素吸収剤保存方法に関し、より詳しくは、低湿度雰囲気中でも酸素を吸収、除去することができる酸素吸収剤の保存方法に関する。

背景技術

0002

食品医薬品などの保存技術の一つとして酸素吸収剤(脱酸素剤)による保存技術がある。具体的には、雰囲気中の酸素を除去する脱酸素剤を対象物と共に密閉包装体の内部に入れて、密閉包装体の内部を無酸素状態にすることによって、対象物の酸化劣化カビ、変色などを抑制する技術である。

0003

これまでに雰囲気中の酸素を除去する脱酸素剤として、各種無機系材料からなるものおよび有機系材料からなるものが提案されている。中でも、アルミニウムと鉄からなる合金、または、アルミニウムとニッケルからなる合金から水酸化ナトリウム水溶液を用いてアルミニウムを取り除いた金属を用いて、30%RH(25℃)以下であるような水分が無いか殆ど無い雰囲気中であっても、雰囲気中の酸素を従来の脱酸素剤と同等のレベルで吸収、除去し得る酸素吸収剤が開発されている(例えば、国際公開第2012/105457号等)。

0004

また、国際公開第2012/105457号には、上記のようにして得られた金属からなる酸素吸収剤を、酸または緩衝機能を持った水溶液中に浸潰して保存することにより、酸素吸収剤の酸素吸収活性を維持しながら、長期安定的に酸素吸収剤を保存できることも開示されている。

先行技術

0005

国際公開第2012/105457号

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上記特許文献に記載された酸素吸収剤、特に酸素吸収性能が高い酸素吸収剤は、酸性水溶液に敏感に反応してしまうため、酸素吸収剤を酸または緩衝機能を持った水溶液中に浸漬しても、十分な酸素吸収性能を維持しながら酸素吸収剤を保存できない場合があった。

0007

本発明は、従来技術における上記課題を解決し、水分が無いか殆ど無い雰囲気下であっても雰囲気中の酸素を吸収する能力をもつ酸素吸収剤の保存方法として、安全性が高く、かつ低価格で、十分な酸素吸収性能を維持しながら長期安定的に酸素吸収剤を保存できる方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、酸素吸収剤を製造する際に、成分(B)の溶出処理水酸化ナトリウム等の塩基により行うため、成分(B)の溶出処理によって金属に形成された微細孔中に、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物が残存し、水洗工程を経てもこの残存物が完全に除去できず、この残存物が、酸素吸収剤を水中保管した際に水中に徐々に溶出していくことに気付いた。そして、酸素吸収剤を水溶液中に保存すると、水溶液中に溶出した水酸化アルミニウム等の金属酸化物が、酸素吸収剤表面に継時的析出していくことにより、酸素吸収剤の酸素吸収活性が低下しているのではないかと推測した。さらなる検討の結果、金属水酸化物が水溶液中に浸潰しても、水溶液にキレート剤を添加することで、酸素吸収剤の酸素吸収活性を維持しながら保存できるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。

0009

すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供する。
[1](A)鉄、コバルト、ニッケル、および銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属と、
(B)アルミニウムと、
を含む合金を、塩基性水溶液処理に供して、前記アルミニウム(B)の少なくとも一部を溶出除去して得られる金属からなる酸素吸収剤であって、BET法により測定される比表面積が10m2/g以上である酸素吸収剤を準備し、
前記酸素吸収剤を、キレート剤を含有する水溶液に浸潰して保存する、
ことを含んでなる、酸素吸収剤の保存方法。
[2]前記キレート剤が、ヒドロキシカルボン酸の塩である、[1]に記載の酸素吸収剤の保存方法。
[3]前記水溶液中のキレート剤の含有量が、前記酸素吸収剤100質量部に対して0.1〜20質量部である、[1]または[2]に記載の酸素吸収剤の保存方法。
[4]前記水溶液のpHが、7〜12である、[1]〜[3]のいずれかに記載の酸素吸収剤の保存方法。

発明の効果

0010

本発明の酸素吸収剤の保存方法によれば、酸素吸収剤の製造後、安定的に保存が可能になり、長期保存後であっても、製造直後と同等の酸素吸収活性を維持でき、水分が無いかまたは殆ど無い雰囲気中であっても、雰囲気中の酸素を従来の脱酸素割と同等のレベルで、吸収、除去し得ることができる。

0011

以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。

0012

本発明による酸素吸収剤の保存方法は、酸素吸収剤を準備する工程と、準備した酸素吸収剤を、キレート剤を含有する水溶液に浸潰して保存する工程と、を含む。以下、各工程について詳述する。
<酸素吸収剤の準備工程
本実施態様による酸素吸収剤は、下記の(A)および(B)の2成分、即ち、(A)鉄、コバルト、ニッケル、銅からなる群より選択される少なくとも1種の遷移金属と、(B)アルミニウムとを含む合金を、塩基性水溶液に接触させて、前記合金から成分(B)の少なくとも一部を溶出除去して得られる金属を含んでなるものである。なお、本明細書において、「酸素吸収剤」とは、かかる剤を設置した周囲の雰囲気中から酸素を選択的に吸収することができるものをいう。

0013

成分(A)として使用可能な遷移金属は、鉄、コバルト、ニッケル、銅から選択されるものである。上記した遷移金属は、単独でも2種以上を組み合わせて用いても良く、例えば、鉄とニッケルが選択される場合、成分(A)として、Fe−Ni合金を使用しても良い。成分(A)としては、好ましくは、鉄、またはニッケルであり、より好ましくは、鉄である。このうち、鉄は、安全性が高く安価であるため好ましい。また、酸素吸収剤を構成する成分(B)としては、アルミニウムを使用する。

0014

本実施形態で用いる合金は、上記した成分(A)と成分(B)とを含むが、合金には、添加金属として、さらに、モリブデンクロムチタンバナジウムタングステンなどが含まれていてもよい。シアン酸類等の添加成分がさらに含まれていてもよい。

0015

上記したような成分(A)と成分(B)とを含む合金は、溶融法により調製することができる。このとき、成分(A)と成分(B)との組成の割合は、好ましくは、成分(A)が20〜80質量%であるとき、成分(B)は20〜80質量%であり、より好ましくは、成分(A)が30〜70質量%であるとき、成分(B)は30〜70質量%である。より具体的な例を挙げると、成分(A)が、鉄またはニッケルである場合、鉄またはニッケルの割合は30〜55質量%であり、アルミニウムの割合が45〜70質量%であることが好ましい。

0016

得られる合金は、そのまま、塩基性水溶液処理に供してもよいが、通常は、微粉砕した後に、塩基性水溶液処理に供する。なお、本明細書において「合金」とは、特定の結晶構造を有している単一組成のもののみならず、それらの混合物および金属自体の混合物を含むものとする。

0017

合金を微粉砕する方法としては、慣用の金属の解砕および粉砕のための方法を適宜使用することができ、例えば、ジョークラッシャーや、ロールクラッシャーハンマーミル等で合金を粉砕し、さらに必要に応じてボールミルで微粉砕することができる。あるいは、前記合金の溶湯アトマイズ法等の急冷凝固法により微粉化してもよい。ここでアトマイズ法による場合には、アルゴンガス等の不活性ガス中で行なうのが好ましい。アトマイズ法としては、例えば特開平5−23597号公報に記載の方法を使用することができる。

0018

得られる合金粉末粒径は、5〜200μmの範囲内となることが好ましく、またこの粒径分布はできるだけ狭いことが好ましい。粒径の大きなものを排除したり、粒径分布をそろえたりする観点から、市販の(例えば、200メッシュなど)を使用して篩い分け(分級)を適宜行っても良い。なお、アトマイズ法による場合、粉末は球状に近くなる傾向にあり、また、粒径分布を狭くできる傾向にある。なお、合金粉末の粒径は、粒度形状分布測定器等を用いて測定することができる。

0019

次いで、上記のようにして得られた合金または合金粉末を、塩基性水溶液処理に供して、合金から、成分(B)の少なくとも一部を溶出させ除去する。すなわち、本発明による保存方法において使用される酸素吸収剤としては、上記合金から成分(B)の少なくとも一部を溶出させ除去した後に得られる金属が使用される。塩基性水溶液としては、成分(A)を溶解しないか、または殆ど溶解しないものである一方で、成分(B)を溶解させて除去できるもの、すなわち合金から成分(B)を浸出(溶出)させることができるものであれば特に制限はなく、いずれのものも使用可能である。塩基性水溶液における塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物水酸化カルシウム水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩アンモニアなどを使用することができる。これら塩基性水溶液については、必要に応じて2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。

0020

本実施形態によれば、塩基性水溶液としてアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物の水溶液を用いることが好ましく、より好ましくは、水酸化ナトリウム水溶液である。例えば、塩基性水溶液として水酸化ナトリウムを用いると、水洗により過剰量の水酸化ナトリウムを除去し、また溶出したアルミニウムを除去することが容易であり、このため、水洗回数を削減できるという効果が期待できる。

0021

塩基性水溶液処理において、通常は、合金粉末であれば、合金粉末を塩基性水溶液中へ撹拌しながら少しずつ投入するが、合金粉末を水中にいれておき、ここにさらに濃厚な塩基性水溶液を滴下してもよい。

0022

塩基性水溶液処理において、使用する塩基性水溶液の濃度は、例えば、5〜60質量%であり、より具体的には、例えば水酸化ナトリウムの場合、10〜40質量%が好ましい。

0023

塩基性水溶液処理においては、水溶液の温度を、例えば、20〜120℃程度に加温して使用することが好ましい。好ましくは、塩基性水溶液の温度は25〜100℃である。

0024

合金または合金粉末を塩基性水溶液処理に供しておく処理時間は、使用する合金の形状、状態、およびその量、塩基性水溶液の濃度、処理する際の温度等により変化し得るが、通常は、30〜300分間程度であってよい。処理時間により、合金からの成分(B)の溶出量を調整することもできる。

0025

本実施形態においては、塩基性水溶液処理によって、合金から、成分(B)の少なくとも一部を溶出除去する。ここで、「成分(B)の少なくとも一部」を溶出除去するとは、成分(A)および成分(B)を含む合金から、成分(B)の一部を溶出させ除去することに加えて、成分(B)の全部を合金から溶出させ除去する場合も包含することを意味する。なお、成分(B)の溶出の過程では、結果として成分(A)の一部が溶解する可能性も否定できないので、「成分(B) の少なくとも一部」には、成分(B) のみが塩基性水溶液処理によって溶出される場合に限定して解釈する必要はない。

0026

塩基性水溶液処理によって、成分(B)の少なくとも一部、好ましくはその大部分が合金から溶出する。合金からの成分(B)の溶出の割合は、溶出除去によって得られる金属における成分(B)の含有率質量基準残存率)で示すことができる。

0027

酸素吸収剤として用いられる金属(即ち、成分(B)を溶出した後の金属)において、成分(B)の含有率は、好ましくは0.1〜60質量%であり、より好ましくは1〜40質量%である。より具体的には、例えば、合金が、Al−Fe合金である場合、塩基性水溶液処理によるアルミニウムの溶出除去によって得られる金属におけるアルミニウムの含有率は、好ましくは0.1〜50質量%であり、より好ましくは1〜40質量%、さらに好ましくは1〜5質量%である。なお、酸素吸収剤に用いられる金属中の成分(B)の含有量は、例えば、IPC法により測定することができる。

0028

塩基性水溶液処理によって、成分(A)および/または成分(B)の金属水酸化物が、合金表面に形成される場合がある。酸素吸収剤の酸素吸収性能を向上させるために、合金から金属水酸化物を除去することができる。すなわち、合金から成分(B)を溶出した後、さらに濃度の高い塩基性水溶液で洗浄することにより、金属水酸化物を除去することができる。

0029

上記のようにして得られた金属は、多孔質形状(または多孔体)を有している。ここで、多乳質形状とは、電子顕微鏡にて確認できる程度の多数の細孔を表面および内部に有している状態をいう。本発明においては、金属が有する多孔質形状の程度は、その比表面積で表すことができる。具体的には、本発明の酸素吸収剤に用いられる金属のBET法による比表面積は10m2/g以上であり、好ましくは20m2/g以上、より好ましくは40m2/g以上、さらに好ましくは80m2/g以上である。

0030

例えば、本実施形態において成分(A)として鉄を用いた場合、得られる多孔質形状の金属の比表面積(BET法によるもの)は、10〜120m2/g程度である一方で、多孔質ではない通常の鉄粉還元鉄粉またはアトマイズ鉄粉)の場合、その比表面積は0.07〜0.13m2/g程度であり、多孔質形状であるか否かは明らかである。

0031

また、金属が有する多乳質形状の程度は、かさ密度で表すこともできる。上記のようにして得られる酸素吸収剤(金属)のかさ密度は、2g/cm3以下であり、好ましくは、1.5g/cm3以下である。なお、多孔質ではない通常の鉄粉(還元鉄粉またはアトマイズ鉄粉)の場合、そのかさ密度は、2〜3g/cm3程度である。なお、かさ密度は、JIS Z2504に準拠して測定することができる。

0032

本実施形態において、酸素吸収剤として用いられる多孔質の金属は、高い酸素吸収活性を有しているため、低湿度条件(例えば、30%RH(相対湿度)(25℃)以下の条件)の雰囲気下であっても、酸素吸収剤として好適に使用することができる。無論、高湿度条件(例えば、100%RH(相対湿度)(25℃)の条件)の雰囲気下であっても、酸素吸収剤として好適に使用できることは言うまでもない。

0033

したがって、上記のようにして得られた金属は、30%RH(相対湿度)(25℃)以下の低湿度の雰囲気において、少なくとも5mL/g以上の酸素、より好ましくは10 mL/g以上の酸素を吸収し得る。また、当該金属を酸素吸収剤として使用した場合の酸素吸収量は、例えば、30%RH(相対湿度)(25℃)以下の低湿度の雰囲気において、5〜150mL/gとなる。

0034

<酸素吸収剤の保存工程>
上記した金属は、成分(B)の溶出除去処理を行った後、通常は水洗が行われる。このようにして得られた金属または金属粉末は、大気中では直ちに酸化し、酸素吸収活性を失ってしまう。したがって、成分(A)と成分(B)とを含む合金を塩基性水溶液処理した後は、合金を酸素に極力触れさせないように配慮する必要がある。そのため、上記した一連の処理を水溶液中および水中で行ってそのまま保存したり、無酸素雰囲気、または不活性ガス雰囲気で保存することが考えられる。しかしながら、水中で当該金属を保存した場合、酸素吸収活性の急激な低下は防げるものの、経時的に酸素吸収活性が低下してしまうことが判明した。また、無酸素雰囲気、または不活性雰囲気で保存を行うには、装置等が必要になるためコスト増加を招く。

0035

本発明においては、キレート剤を含有させた水溶液中に金属からなる酸素吸収剤を浸漬させて保存することにより、製造後安定的に保存が可能になり、長期保存後であっても、製造直後と同等の酸素吸収活性を維持でき、水分が無いか殆ど無い雰囲気中であっても、雰囲気中の酸素を、従来の脱酸素剤と同等のレベルで、吸収、除去し得ることができる。

0036

本発明において、キレート剤を含有させた水溶液を用いることで、酸素吸収剤の酸素吸収活性を維持できる理由については明らかではないが、例えば以下の機構が推測される。すなわち、上記したように酸素吸収剤を製造する際に、成分(B)の溶出処理を水酸化ナトリウム等の塩基により行うため、成分(B)の溶出処理によって金属に形成された微細孔中には、水酸化アルミニウム等が残存する。水洗工程を経ても水酸化アルミニウム等が完全に除去できず、酸素吸収剤を水中で保存すると水中に水酸化アルミニウム等が徐々に溶出する。その後、アルミニウムを含む化合物が酸素吸収剤表面に析出して酸素吸収活性点閉塞する可能性が考えられる。しかしながら、キレート剤を含有させた水溶液を用いることで、キレート剤がアルミニウムイオン封鎖する。これにより、析出物による活性点の閉塞を防いでいるものと推測される。

0037

酸素吸収剤を浸潰させる保存媒体としては、安全性およびコストの観点からは水が適している。したがって、酸素吸収剤を浸潰させる水溶液としては、キレート剤を含有させた水溶液が用いられる。なお、水溶液のpHは7〜12が好ましく、8〜12がより好ましく、10〜11がさらに好ましい。水溶液のpHを上記範囲内とした場合、酸素吸収剤中の鉄(Fe)成分の溶解をより抑制することができる。

0038

上記したようなキレート剤として使用可能な物質としては、特に制限されるものではなく、具体的には、グリコール酸乳酸リンゴ酸酒石酸クエン酸ダルコン酸、ヘプトン酸等のヒドロキシカルボン酸の塩;コハク酸マロン酸シュウ酸フタル酸等のジカルボン酸の塩;ポリアクリル酸ポリマレイン酸等のポリカルボン酸の塩:グリシンニトリロ三酢酸エチレンジアミン四酢酸EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸ポリアミノポリカルボン酸等のアミノカルボン酸およびその塩;エチドロン酸(HEDP)、ニトリトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP) 等の亜りん酸系キレート剤およびその塩;エチレンジアミン、ジエチレントリアミントリエチレンテトラミン等のアミン系キレート剤などから選ばれる少なくとも1種、または2種以上を組合せて使用できる。これらの中でも、生体への安全性、コスト面等から、ヒドロキシカルボン酸の塩が好ましく、ヒドロキシカルボン酸のアルカリ金属塩がより好ましく、乳酸ナトリウムリンゴ酸ナトリウム酒石酸ナトリウムクエン酸ナトリウムグルコン酸ナトリウムがさらに好ましく、酒石酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウムが特に好ましい。

0039

また、本発明において使用するキレート剤として、キレート樹脂も好適に使用できる。キレート樹脂として使用可能な物質を例示すると、アンバーライトIRC748(オルガノ株式会社製)、ダイヤイオンCR11(三菱化学株式会社製)などが使用できる。

0040

また、本実施形態による酸素吸収剤の保存方法においては、水溶液中のキレート剤の含有量が、酸素吸収剤100質量部に対して0.1〜20質量部であるであることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部であり、特に好ましくは2〜5質量部である。キレート剤の濃度を上記範囲とすることで、酸素吸収剤の製造直後の酸素吸収活性をより一層維持しておくことができる。

0041

本実施形態においては、酸素吸収剤の質量の2倍量以上の質量の水溶液中に酸素吸収剤を浸潰させ、常温以下で保存することが好ましい。水溶液の量を酸素吸収剤の2倍以上とすることにより、酸素吸収剤を十分に水溶液中に浸漬することができる。

0042

<酸素吸収剤の使用方法
キレート剤を含有する水溶液中に保存した酸素吸収剤を使用するに際しては、当該水溶液から酸素吸収剤を取り出して乾燥させればよい。但し、酸素吸収剤は、上記したように大気中では酸化し劣化し易いものであることから、酸素吸収活性を損なわないために、例えば、真空乾燥などの手段により、酸素による影響をできるだけ排除した条件にて、乾燥を行い、使用することが望ましい。

0043

上記したように、本発明による酸素吸収剤は、大気中では酸化し劣化し易いものであることから、使用に際しては、酸素吸収剤を樹脂に混合(混練)し、得られる酸素吸収性樹脂の形態で使用することができる。

0044

使用できる樹脂として、その種類に特に制限はないが、ポリオレフィン樹脂ポリエステル樹脂ポリアミド樹脂ポリビニルアルコール樹脂および塩素系樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。特に、ポリエチレンポリプロピレンエチレン酢酸ビニル共重合体エラストマー、またはこれらの混合物を好適に使用することができる。

0045

低湿度の保存条件を必要とする低水含有物品を保存するためには、低水分含有物品を保存する雰囲気の相対湿度(RH)は、好ましくは20〜70%、より好ましくは20〜50%である。低水分含有物品の水分含有率は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下のものが全て該当する。低湿度の保存条件を必要とする低水分含有物品(被包装物)として、例えば、粉末、顆粒食品類(粉末スープ粉末飲料、粉末菓子調味料穀物粉栄養食品、健康食品、着色料着香料香辛料)、粉末、顆粒薬品散薬類、粉石鹸歯磨粉、工業薬品)、これらの成形体錠剤型)などの、水分の増加を嫌い、異物混入を避ける必要のある食品、薬品等を例示することができる。特に、後記するような酸素吸収性包装体に、これら被包装物を充填した場合、水分が無いか殆ど無い雰囲気中であっても、雰囲気中の酸素を、従来の脱酸素剤と同等のレベルで、吸収、除去し得ることが可能である。したがって、従来の脱酸素剤の適用の難しかった水分を嫌う乾燥食品、医薬品、電子材料パッケージの雰囲気中を脱酸素状態にするなどの用途に好適に使用することができる。例えば、粉末調味料粉末コーヒーコーヒー豆、米、、豆、おかき、せんべい等の乾燥食品や医薬品、ビタミン剤等の健康食品に好適に使用することができる。

0046

本発明の別の態様による酸素吸収性包装体は、上記した酸素吸収剤または酸素吸収性樹脂組成物を、通気性包装材を全部または一部に用いた包装材包装したものである。ここで、包装材としては、2枚の通気性包装材を貼り合わせて袋状としたものや、1枚の通気性包装材と1枚の非通気性包装材とを貼り合わせて袋状としたもの、あるいは、1枚の通気性包装材を折り曲げ、折り曲げ部を除く緑部同士をシールして袋状としたものが挙げられる。また、通気性包装材としては、酸素と二酸化炭素とを透過する包装材を使用できる。このような通気性包装材としては、紙や不織布の他、従来公知のプラスチックフィルム通気性を付与したものが挙げられる。

0047

以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。

0048

<酸素吸収剤の製造および評価>
Al(アルミニウム)粉とFe(鉄)粉とを、それぞれ50質量%の割合で混合し、窒素中で溶解して、Al−Fe合金を得た。次いで、得られたAl−Fe合金を、ジョークラッシャー、ロールクラッシャーおよびポールミルを用いて粉砕し、粉砕物を目開き200メッシュ(0.075mm)の節を用いて分級し、粒径が200メッシュ以下のAl−Fe合金粉を得た。このようにして得られたAl−Fe合金粉150gを、30質量%の水酸化ナトリウム水溶液中に50℃で1時間撹拌混合した後、濾別を行い、更に40質量% 水酸化ナトリウム水溶液中で50℃で1時間攪拌混合を行った。続いて、混合溶液静置し、上層液を取り除いた。残った沈殿物をpHが11以下になるまで蒸留水で洗浄し、Al−Fe多孔質合金粉を得た。このように、多孔質合金粉は、酸素に接触させることを回避すべく水溶液中での反応により作製した。

0049

得られた多孔質合金粉を、200Pa以下、80℃で2時間、真空乾燥してAl−Fe多孔質合金粉の乾燥物を得た。得られた合金粉のかさ密度は0.9g/cm3(JIS Z2504に準拠して測定)であった。得られた合金粉0.5gを、通気性小袋内に包装し、乾燥剤と共にガスバリア袋(Al箔ラミネートプラスチック袋)に入れ、50mLの空気(酸素濃度20.9容量%)を充填して密封し、25℃で7日間保存した後の酸素濃度を測定したところ、9.1容量%であった。ガスバリア袋内の減少した酸素濃度から酸素吸収量を算出した結果、酸素吸収量は130mL/gであった。

0050

また、得られたAl−Fe多孔質合金粉の平均粒径を、粒度−形状分布測定器(株式会社セイシン企業製「PITA−2」)を使用して測定したところ、平均粒径は31μmであった。さらに、得られたAl−Fe多孔質合金粉の比表面積を、自動比表面積測定装置(株式会社島津製作所製「ジェミニVII2390」)を使用して測定したところ、比表面積は100m2/gであった。

0051

実施例1
上記のようにして得られたAl−Fe多孔質合金粉からなる酸素吸収剤100gを含む水スラリー300gに、キレート剤として酒石酸ナトリウムを2g添加して保存した。保存開始から14日後、28日後および56日後に酸素吸収剤の一部をサンプリングし、200Pa以下、80℃で水分量1質量%以下になるまで真空乾燥を行った。その後、上記と同様にして酸素濃度の測定を行い、酸素吸収剤の酸素吸収量を算出した。得られた酸素吸収量から、下記式を用いて酸素吸収性能維持率(%)を算出した。
酸素吸収性能維持率(%)
=(保存後の酸素吸収量)/(調製直後の酸素吸収量=130)×100
結果は下記の表1に示される通りであった。

0052

実施例2
実施例1において用いた酒石酸ナトリウムの添加量を、5gに変更した以外は実施例1と同様の測定を行い、酸素吸収性能維持率を算出した。結果は下記の表1に示される通りであった。

0053

実施例3
実施例1おいて用いた酒石酸ナトリウムを、グルコン酸ナトリウムに変更した以外は実施例1と同様の測定を行い、酸素吸収性能維持率を算出した。結果は下記の表1に示される通りであった。

0054

比較例1
実施例1において、水スラリーに酒石酸ナトリウムの添加しなかった以外は、実施例1と同様の測定を行い、酸素吸収性能維持率を算出した。結果は下記の表1に示される通りであった。

0055

比較例2
実施例1 において用いた酒石酸ナトリウムをクエン酸に変更した以外は実施例1と同様の測定を行い、酸素吸収性能維持率を算出した。結果は下記の表1に示される通りであった。

0056

比較例3
実施例1において用いたAl−Fe多孔質合金粉からなる酸素吸収剤100gを含む水スラリー200gに、濃度が0.2Mとなるように調製されたpH6のクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液を100g添加して保存したこと以外は実施例1と同様の測定を行い、酸素吸収性能維持率を算出した。結果は下記の表1に示される通りであった。

0057

実施例

0058

保存液にキレート剤を含有する水溶液を用いた実施例1〜5では、28日後の酸素吸収性維持率が76〜91%と高い値であり、酸素吸収剤の性能低下を抑制できることがわかる。一方、水やクエン酸水溶液などを酸素吸収剤の保存液として用いた比較例1〜3では28日後の酸素吸収性能維持率11〜66%となり、酸素吸収剤の性能低下を抑制できないことが明らかになった。

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