図面 (/)

技術 位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 西村真澄南條崇金子由紀
出願日 2014年10月15日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2015-543806
公開日 2017年3月9日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 WO2015-060167
状態 特許登録済
技術分野 偏光要素 液晶4(光学部材との組合せ) 高分子成形体の製造
主要キーワード タッチローラー 紫外線硬化型接着剤層 スリット形 分散程度 許容内 剥離ローラー アルキルモノカルボン酸 紫外線硬化型接着剤組成物
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年3月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

課題・解決手段

本発明の課題は、白色LEDバックライト具備した液晶表示装置の斜め方向からの青色光光漏れによるカラーシフトの発生を低減し、かつウェブ流延ベルトでの剥離性劣化による横段の発生を改善して視認性の向上した位相差フィルムを提供することである。 本発明の位相差フィルムは、アセチル基置換度が2.56〜2.70であるセルロースアセテートと、ピロール環ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する含窒素複素環化合物の少なくとも1種とを含有し、かつフィルム厚さ方向のリターデーションが、下記式1を満たす波長分散性を示すことを特徴とする。 式1 1.0≦Rth(450)/Rth(650)≦1.2(ここでRth(450)及びRth(650)は、それぞれ23℃・55%RHの環境下、光波長450nm及び650nmで測定されるフィルム厚さ方向のリターデーション値Rth(nm)を表す。)

概要

背景

液晶テレビバックライトとして、従来用いられてきた冷陰極管は水銀を含むことによる有害性温度特性が悪い、消費電力が大きい、高速点滅ができない等の欠点があり、改善のため白色光を発する発光ダイオード(例えば、青色光を発する発光ダイオードと黄色/緑・赤の蛍光体との組合せ)の置き換えが進められている(例えば、特許文献1参照。)。
バックライトとして白色光を発する発光ダイオード(以下、白色LEDともいう。)を用いることで前記欠点を改善することができるが、長期間にわたり高温高湿環境下に液晶表示装置が置かれると、画像の色調変動が大きくなり、特に、50インチ以上に大画面化した場合には、画面の各所で明るさや色のばらつきが発生するという問題があった。さらにこの傾向は、液晶セルガラス等の部材を薄膜化した際において顕著に表れやすい。
本発明者らの検討によれば、当該問題の原因は、白色LEDバックライトの蛍光体(赤〜緑)の蛍光効率劣化し、結果として光源の青色光のみが強調され、当該青色光の斜め方向からの光漏れが多いことによって、カラーシフトが発生するものと推察された。
液晶表示装置には液晶セル層リターデーション光学的に補償するために、位相差フィルムが用いられているが、従来、コントラスト性能に優れているとされていた逆波長分散性を有する位相差フィルムでは、短波長側に光吸収ピークのある青色光の斜め方向からの光漏れを十分に抑えられないことが明らかになった。
したがって、白色LEDバックライトを用いた液晶表示装置の場合は、順波長分散性の位相差フィルムを用いて液晶セル層の厚さ方向のリターデーションを補償することが望ましい。

位相差フィルムに順波長分散性を持たせるには、アセチル基置換度を調整したセルロースアセテートを用いたり、リターデーション上昇剤を位相差フィルムに含有させたりすることが知られているが(例えば、特許文献2〜4を参照。)、当該アセチル基の置換度を調整したセルロースアセテートの種類によって、また当該リターデーション上昇剤を順波長分散性を発現する量まで含有させることによって、いずれもフィルム水素結合性が強くなるため、ウェブ流延ベルトでの剥離性が劣化して、ベルトからの剥離時に横段が発生しやすく、大画面の液晶表示パネルの観察時にスジ状のムラが見られるという新たな問題が発生した。

概要

本発明の課題は、白色LEDバックライトを具備した液晶表示装置の斜め方向からの青色光の光漏れによるカラーシフトの発生を低減し、かつウェブの流延ベルトでの剥離性の劣化による横段の発生を改善して視認性の向上した位相差フィルムを提供することである。 本発明の位相差フィルムは、アセチル基置換度が2.56〜2.70であるセルロースアセテートと、ピロール環ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する含窒素複素環化合物の少なくとも1種とを含有し、かつフィルム厚さ方向のリターデーションが、下記式1を満たす波長分散性を示すことを特徴とする。 式1 1.0≦Rth(450)/Rth(650)≦1.2(ここでRth(450)及びRth(650)は、それぞれ23℃・55%RHの環境下、光波長450nm及び650nmで測定されるフィルム厚さ方向のリターデーション値Rth(nm)を表す。)

目的

本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、白色LEDバックライトを具備した液晶表示装置の斜め方向からの青色光の光漏れによるカラーシフトの発生を低減し、かつウェブの流延ベルトでの剥離性の劣化による横段の発生を改善して視認性の向上した位相差フィルムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

アセチル基置換度が2.56〜2.70の範囲内であるセルロースアセテートと、ピロール環ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する含窒素複素環化合物の少なくとも1種とを含有し、かつフィルム厚さ方向のリターデーションが、下記式1を満たす波長分散性を示すことを特徴とする位相差フィルム。式11.0≦Rth(450)/Rth(650)≦1.2(ここでRth(450)及びRth(650)は、それぞれ23℃・55%RHの環境下、波長450nm及び650nmの光を用いて測定される下記式(ii)で表されるフィルム厚さ方向のリターデーション値Rth(nm)を表す。式(ii)Rth={(nx+ny)/2−nz}×d但し、nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは光学フィルムの厚さ(nm)を表す。)

請求項2

前記含窒素複素環化合物が、ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。

請求項3

前記含窒素複素環化合物が、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の位相差フィルム。(式中Aはピラゾール環を表す。Ar1及びAr2はそれぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、置換基を有してもよい。R1は水素原子アルキル基アシル基スルホニル基アルキルオキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表す。qは1又は2を表し、n及びmは1〜3の整数を表す。)

請求項4

さらに、糖エステル又は下記一般式(4)で表される構造を有する重縮合エステルを少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。一般式(4):B3−(G2−A)n−G2−B4(式中、B3及びB4は、それぞれ独立に脂肪族又は芳香族モノカルボン酸残基、若しくはヒドロキシ基を表す。G2は、炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表す。Aは、炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。)

請求項5

膜厚が20〜40μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の位相差フィルム。

請求項6

紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。

請求項7

請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の位相差フィルムが、水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて偏光子と貼合されていることを特徴とする偏光板

請求項8

前記偏光子の前記位相差フィルムが貼合されている面とは反対側の面に、ポリエステルフィルム又はアクリルフィルムが、水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて偏光子と貼合されていることを特徴とする請求項7に記載の偏光板。

請求項9

請求項7又は請求項8に記載の偏光板が具備されていることを特徴とする液晶表示装置

請求項10

バックライトとして、白色光を発する発光ダイオードが具備されていることを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。

技術分野

0001

本発明は、位相差フィルム偏光板及び液晶表示装置に関する。より詳しくは、白色光を発する発光ダイオードバックライトとして具備した液晶表示装置の、斜め方向からの青色光光漏れによるカラーシフトの発生を低減する位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。

背景技術

0002

液晶テレビのバックライトとして、従来用いられてきた冷陰極管は水銀を含むことによる有害性温度特性が悪い、消費電力が大きい、高速点滅ができない等の欠点があり、改善のため白色光を発する発光ダイオード(例えば、青色光を発する発光ダイオードと黄色/緑・赤の蛍光体との組合せ)の置き換えが進められている(例えば、特許文献1参照。)。
バックライトとして白色光を発する発光ダイオード(以下、白色LEDともいう。)を用いることで前記欠点を改善することができるが、長期間にわたり高温高湿環境下に液晶表示装置が置かれると、画像の色調変動が大きくなり、特に、50インチ以上に大画面化した場合には、画面の各所で明るさや色のばらつきが発生するという問題があった。さらにこの傾向は、液晶セルガラス等の部材を薄膜化した際において顕著に表れやすい。
本発明者らの検討によれば、当該問題の原因は、白色LEDバックライトの蛍光体(赤〜緑)の蛍光効率劣化し、結果として光源の青色光のみが強調され、当該青色光の斜め方向からの光漏れが多いことによって、カラーシフトが発生するものと推察された。
液晶表示装置には液晶セル層リターデーション光学的に補償するために、位相差フィルムが用いられているが、従来、コントラスト性能に優れているとされていた逆波長分散性を有する位相差フィルムでは、短波長側に光吸収ピークのある青色光の斜め方向からの光漏れを十分に抑えられないことが明らかになった。
したがって、白色LEDバックライトを用いた液晶表示装置の場合は、順波長分散性の位相差フィルムを用いて液晶セル層の厚さ方向のリターデーションを補償することが望ましい。

0003

位相差フィルムに順波長分散性を持たせるには、アセチル基置換度を調整したセルロースアセテートを用いたり、リターデーション上昇剤を位相差フィルムに含有させたりすることが知られているが(例えば、特許文献2〜4を参照。)、当該アセチル基の置換度を調整したセルロースアセテートの種類によって、また当該リターデーション上昇剤を順波長分散性を発現する量まで含有させることによって、いずれもフィルム水素結合性が強くなるため、ウェブ流延ベルトでの剥離性が劣化して、ベルトからの剥離時に横段が発生しやすく、大画面の液晶表示パネルの観察時にスジ状のムラが見られるという新たな問題が発生した。

先行技術

0004

特開2010−241995号公報
特許第4187593号公報
特開2012−214683号公報
特開2003−344655号公報

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、白色LEDバックライトを具備した液晶表示装置の斜め方向からの青色光の光漏れによるカラーシフトの発生を低減し、かつウェブの流延ベルトでの剥離性の劣化による横段の発生を改善して視認性の向上した位相差フィルムを提供することである。さらに当該位相差フィルムを具備する視認性の向上した偏光板及び液晶表示装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、特定のアセチル基置換度を有するセルロースアセテートと、特定の環構造を有する含窒素複素環化合物を含有し、かつ順波長分散性を有する位相差フィルムによって、本発明の課題が解決できることを見出した。

0007

すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。

0008

1.アセチル基置換度が2.56〜2.70の範囲内であるセルロースアセテートと、ピロール環ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する含窒素複素環化合物の少なくとも1種とを含有し、かつフィルム厚さ方向のリターデーションが、下記式1を満たす波長分散性を示すことを特徴とする位相差フィルム。
式1 1.0≦Rth(450)/Rth(650)≦1.2
(ここでRth(450)及びRth(650)は、それぞれ23℃・55%RHの環境下、波長450nm及び650nmの光を用いて測定される下記式(ii)で表されるフィルム厚さ方向のリターデーション値Rth(nm)を表す。
式(ii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
但し、nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは光学フィルムの厚さ(nm)を表す。)
2.前記含窒素複素環化合物が、ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する化合物であることを特徴とする第1項に記載の位相差フィルム。

0009

3.前記含窒素複素環化合物が、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の位相差フィルム。

0010

(式中Aはピラゾール環を表す。Ar1及びAr2はそれぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、置換基を有してもよい。R1は水素原子アルキル基アシル基スルホニル基アルキルオキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表す。qは1又は2を表し、n及びmは1〜3の整数を表す。)
4.さらに、糖エステル又は下記一般式(4)で表される構造を有する重縮合エステルを少なくとも1種含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。

0011

一般式(4):B3−(G2−A)n−G2−B4
(式中、B3及びB4は、それぞれ独立に脂肪族又は芳香族モノカルボン酸残基、若しくはヒドロキシ基を表す。G2は、炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表す。Aは、炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。)
5.膜厚が20〜40μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第4項のいずれか一項に記載の位相差フィルム。

0012

6.紫外線吸収剤を含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の位相差フィルム。

0013

7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の位相差フィルムが、水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて偏光子と貼合されていることを特徴とする偏光板。

0014

8.前記偏光子の前記位相差フィルムが貼合されている面とは反対側の面に、ポリエステルフィルム又はアクリルフィルムが、水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて偏光子と貼合されていることを特徴とする第7項に記載の偏光板。

0015

9.第7項又は第8項に記載の偏光板が具備されていることを特徴とする液晶表示装置。

0016

10.バックライトとして、白色光を発する発光ダイオードが具備されていることを特徴とする第9項に記載の液晶表示装置。

発明の効果

0017

本発明の上記手段により、白色LEDバックライトを具備した液晶表示装置の斜め方向からの青色光の光漏れによるカラーシフトの発生を低減し、かつウェブの流延ベルトでの剥離性の劣化による横段の発生を改善して視認性の向上した位相差フィルムを提供することができる。さらに当該位相差フィルムを具備する視認性の向上した偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。

0018

本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者らの検討によれば、バックライトとして白色LEDを用いる液晶表示装置は、長期間にわたり高温高湿環境下に置かれると、画面の各所で明るさや色のばらつきが生じるという問題が発生するが、これは白色LEDバックライトの蛍光体(赤〜緑)の蛍光効率が劣化し、結果として光源の青色光のみが強調され、当該青色光の斜め方向からの光漏れが多いことによってカラーシフトが発生するものと推察された。
光漏れに関しては、液晶表示装置の液晶セル層のリターデーションを光学的に補償する位相差フィルムを用いることが有効であるが、従来、コントラスト性能に優れているとされていた逆波長分散性を有する位相差フィルムでは、波長が長くなるにしたがって大きな面内方向の位相差を示すため、短波長すなわち青色光において効果的に光学補償作用を与えることができないため、青色光の斜め方向からの光漏れを十分に抑えられない。
したがって、短波長側に光吸収ピークのある青色光に対しては、長波長側よりも短波長側でリターデーションが大きい順波長分散性の位相差フィルムを用いて液晶セル層の厚さ方向のリターデーションを補償することが有効であるものと推察される。しかしながら、位相差フィルムを構成するセルロースアセテートの種類によって、また従来知られているリターデーション上昇剤を順波長分散性を発現する量まで位相差フィルムに含有させることによって、いずれもフィルムの水素結合性が強くなるためウェブの流延ベルトとの親和性が増し、ウェブの剥離性が劣化することによる横段が発生しやすくなる。当該横段は、特に大画面の液晶表示パネルでは、観察時にスジ状のムラとして観察されるという新たな視認性の問題が発生する。

0019

本発明者らは、この水素結合性に着目して検討した結果、水素結合性の弱い特定のセルロースアセテートと、後述するセルロースアセテートとのCH/π相互作用により、流延ベルトとの親和性を低下できる特定の含窒素複素環化合物をリターデーション上昇剤として用いる位相差フィルムによって、青色光の斜め方向からの光漏れを十分に抑制できる順波長分散性を付与しながら、ウェブの流延ベルトとの剥離性を改善してスジ状のムラのない視認性に優れる位相差フィルムが得られたものと推察される。

図面の簡単な説明

0020

本発明の位相差フィルムの好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程の一例を示す模式図

0021

本発明の位相差フィルムは、アセチル基置換度が2.56〜2.70の範囲内であるセルロースアセテートと、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する含窒素複素環化合物を少なくとも1種含有し、かつフィルム厚さ方向のリターデーションの波長分散性が前記式1を満たすことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項10までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。

0022

本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記含窒素複素環化合物が、ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する化合物であることが好ましい。さらに前記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることが、順波長分散性を付与して、白色LEDバックライトを具備した液晶表示装置の斜め方向からの青色光の光漏れによるカラーシフトの発生を低減し、かつウェブの流延ベルトでの剥離性の劣化による横段の発生を改善する効果も高く、好ましい。

0023

さらに糖エステル、又は前記一般式(4)で表される構造を有する重縮合エステルを少なくとも1種含有することが、リターデーションを調整し、かつリターデーションの安定性を向上する観点から、好ましい。

0024

本発明の位相差フィルムは、膜厚が20〜40μmの範囲内であることが、薄膜の液晶セルガラス等の部材の薄膜化に対して、当該部材の歪みを小さくでき、かつ当該歪みに起因する光漏れを低減できるため、好ましい。

0025

また、本発明の位相差フィルムは、紫外線吸収剤を含有することが、当該位相差フィルムを視認側に貼合した場合に、液晶セル層への不要な紫外線の影響を緩和する観点から、好ましい。

0026

本発明の位相差フィルムは、水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて偏光子と貼合されていることが、フィルムの伸縮を抑え、環境の湿度変動によるリターデーションの変動が小さい偏光板を提供することができ好ましく、さらに前記偏光子の前記位相差フィルムが貼合されている面とは反対側の面に、ポリエステルフィルム又はアクリルフィルムが、水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて偏光子と貼合されていることが、より環境変動に対する耐久性の高い偏光板を提供する観点から、好ましい。

0027

本発明の位相差フィルム及び偏光板は、液晶表示装置に好適に具備される。当該液晶表示装置は、バックライトとして、白色光を発する発光ダイオードが具備されていることが好ましい。

0028

以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。

0029

≪本発明の位相差フィルムの概要
本発明の位相差フィルムは、アセチル基置換度が2.56〜2.70の範囲内であるセルロースアセテートと、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する含窒素複素環化合物の少なくとも1種とを含有し、かつフィルム厚さ方向のリターデーションが、下記式1を満たす波長分散性を示すことを特徴とする。

0030

式1 1.0≦Rth(450)/Rth(650)≦1.2
(ここでRth(450)及びRth(650)は、それぞれ23℃・55%RHの環境下、波長450nm及び650nmの光を用いて測定される下記式(ii)で表されるフィルム厚さ方向のリターデーション値Rth(nm)を表す。)
式(ii) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(ここでRth(450)及びRth(650)は、それぞれ23℃・55%RHの環境下、波長450nm及び650nmの光を用いて測定される下記式(ii)で表されるフィルム厚さ方向のリターデーション値Rth(nm)を表す。
但し、nxは、光学フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは光学フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは光学フィルムの厚さ(nm)を表す。)
Rth(450)/Rth(650)の値は、白色LEDの種類にもよるが、1.0〜1.2の範囲内であることが必要である。1.0未満では逆波長分散性となり、短波長側のLED光に対する光学補償を行う本発明の効果を示さない。1.2を超える場合は、リターデーション上昇剤を多量に添加する必要があるため、内部ヘイズが高くなりコントラストが低下する。

0031

本発明の位相差フィルムの波長分散性は1.0〜1.15の範囲内であることが、光学補償機能を十分に発現し、同時にリターデーション上昇剤等がフィルムからブリードアウトしたり、内部ヘイズが高くなることを抑制でき、より好ましい範囲である。

0032

上記厚さ方向のリターデーション値Rthは自動複屈折率アクスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、450nm及び650nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから算出することができる。

0033

本発明の位相差フィルムは、水素結合性が弱く、かつリターデーションの出やすいセルロースアセテートと、水素結合性が最適に制御され、かつリターデーション上昇剤として機能する含窒素複素環化合物を含有する構成によって、白色LEDバックライトを具備した液晶表示装置の斜め方向からの青色光の光漏れによるカラーシフトの発生を低減し、かつウェブの流延ベルトでの剥離性の劣化による横段の発生を改善して視認性の向上した位相差フィルムを提供することができる。

0034

≪本発明の位相差フィルムの構成≫
<セルロースアセテート>
本発明の位相差フィルムを構成するセルロースアセテートは、アセチル基置換度が、2.56〜2.70の範囲内であるセルロースアセテートであり、水素結合性の弱いセルロースアセテートであることが特徴である。アセチル基置換度が2.0〜2.55の範囲のセルロースアセテートでは、水素結合性が強くウェブの流延ベルトからの剥離性が劣化する。また、2.70を超えるアセチル基置換度を有するセルロースアセテートでは、リターデーション発現性が小さく、リターデーション上昇剤の添加量が多く必要となり、ヘイズが上昇しやすく、ブリードアウト耐性も劣る。

0035

原料セルロースとしては、綿花リンタ木材パルプ広葉樹パルプ針葉樹パルプ)などがあり、いずれの原料セルロースから得られるセルロースアセテートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。

0036

セルロースアセテートは、アセチル基置換度が2.56〜2.70の範囲内のセルロースアセテートであることが、ウェブのベルトからの剥離性を向上し横段の発生を低減する観点から必要であり、さらにリターデーション発現性や順波長分散性に優れる。中でも2.60〜2.65であることがより好ましい。

0037

なお、アセチル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めることができる。

0038

本発明に係るセルロースアセテートの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは75000以上であり、75000〜300000の範囲であることがより好ましく、100000〜240000の範囲内であることが更に好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。セルロースアセテートの重量平均分子量(Mw)が75000以上であればセルロースアセテート層自身の自己成膜性密着改善効果が発揮され、好ましい。本発明では2種以上のセルロースアセテートを混合して用いることもできる。

0039

前記セルロースアセテートの平均分子量(Mn、Mw)は、それぞれゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の測定条件で測定することができる。

0040

溶媒メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器RIModel 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000の範囲内の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。

0041

<含窒素複素環化合物>
本発明に係る含窒素複素環化合物は、セルロースアセテートとのCH/π相互作用によって、水素結合性を制御し、流延ベルトとの親和性を低下することができ、当該化合物を含有させることによりウェブの流延ベルトとの剥離性を改善して、スジ状のムラのない視認性に優れる位相差フィルムを得ることができる。

0042

ここでCH/π相互作用とは、セルロースアセテートのような水素結合供与性部位(例えば、ヒドロキシ基の水素原子)や水素結合受容性部位(例えば、エステル基カルボニル酸素原子)と添加剤の相溶性に関わるものであり、樹脂の主鎖又は側鎖に存在する水素結合性部位と、添加剤の芳香族化合物π電子との間の結合相互作用である。このCH/π相互作用によって、流延ベルトの極性成分と樹脂の水素結合性部位との相互作用よりも添加剤と樹脂の相互作用の方が強くなり、樹脂の水素結合性部位が流延ベルトの極性成分と接着する力を弱め、結果としてウェブの流延ベルトからの剥離性が向上する。

0043

樹脂の水素結合性部位(セルロースアセテート樹脂のCH)と添加剤のπを用いてCH/π相互作用を形成する場合、当然、添加剤のπ性は強い方がよい。このπ性の強さを端的に表す例としてNICS(nucleus−independent chemical shift)値という指標がある。

0044

このNICS値は、磁気的性質による芳香族性定量化に用いられる指標であり、環が芳香族であれば、その環電流効果によって環の中心が強く遮蔽化され、反芳香族なら逆に反遮蔽化される(J.Am.Chem.Soc.1996、118、6317)。NICS値の大小により、環電流の強さ、つまり環の芳香族性へのπ電子の寄与度を判断することができる。具体的には、環内部中心に直接配置した仮想リチウムイオン化学シフト計算値)を表し、この値が負に大きいほどπ性が強い。

0045

NICS値の測定値に関していくつか報告されている。例えば、Canadian Journal of Chemistry.,2004,82,50−69(文献A)やThe Journal of Organic Chemistry.,2000,67,1333−1338(文献B)に測定値が報告されている。

0046

具体的には、ベンゼン環(−7.98)やナフタレン環(−8.11)のような芳香族炭化水素よりも、ピロール環(−14.87)、チオフェン環(−14.09)フラン環(−12.42)、ピラゾール環(−13.82)、又はイミダゾール環(−13.28)などの5員の芳香族複素環、トリアゾール環(−13.18)、オキサジアゾール環(−12.44)又はチアゾール環(−12.82)などの6員の芳香族炭化水素環の方が、NICS値が大きくなり、このような芳香族5員環、又は芳香族6員環を有する化合物を用いることで、CH/π相互作用を強めることができるものと予測される(括弧内はNICS値を示す。)。

0047

本発明に係る含窒素複素環化合物は、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、又はイミダゾール環を有する含窒素複素環化合物であることが特徴であり、下記一般式(1)で表される構造を有する含窒素複素環化合物のうち、上記特定環構造を有する含窒素複素環化合物であることが好ましい。下記一般式(1)で表される構造を有する化合物はセルロースアセテートとともに用いることにより、偏光板を液晶表示装置に用いたとき、環境の湿度変動によるリターデーションの変動の発生を抑え、コントラスト低下色ムラの発生を抑制することができ、さらに、含窒素複素環化合物の種類と添加量を適宜調整することによって、順波長分散性を示す位相差上昇剤として機能する。

0048

分子量は100〜800の範囲内であることが、流延ベルトとの親和性を制御する観点から好ましい範囲であり、250〜450の範囲内であることがより好ましい。

0049

〈一般式(1)で表される構造を有する化合物〉

0050

前記一般式(1)において、A1、A2及びBは、それぞれ独立に、アルキル基(メチル基エチル基、n−プロピル基イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチヘキシル基等)、シクロアルキル基シクロヘキシル基シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表す。この中で、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が好ましく、特に5員若しくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環であることが好ましい。

0051

5員若しくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環の構造は、例えばベンゼン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、テトラゾール環、フラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、オキサジアゾール環、イソオキサジアゾール環、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、イソチアジアゾール環等が挙げられる。

0052

A1、A2及びBで表される5員若しくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環は、置換基を有していてもよく、当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子フッ素原子塩素原子臭素原子ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、アルケニル基ビニル基アリル基等)、シクロアルケニル基(2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、アルキニル基エチニル基プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基フェニル基、p−トリル基ナフチル基等)、芳香族複素環基(2−ピロール基、2−フリル基、2−チエニル基、ピロール基、イミダゾリル基オキサゾリル基チアゾリル基ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基ピラゾリノン基、ピリジル基ピリジノン基、2−ピリミジニル基トリアジン基、ピラゾール基、1,2,3−トリアゾール基、1,2,4−トリアゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、1,2,4−オキサジアゾール基、1,3,4−オキサジアゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、1,2,4−チオジアゾール基、1,3,4−チアジアゾール基等)、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基カルボキシ基アルコキシ基メトキシ基エトキシ基イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等)、アリールオキシ基フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アシルオキシ基ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等)、アミノ基(アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等)、アシルアミノ基ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等)、メルカプト基アルキルチオ基メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等)、アリールチオ基フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等)、スルファモイル基(N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N′−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等)、スルホ基、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等)等の各基が挙げられる。

0053

前記一般式(1)において、A1、A2及びBは、ベンゼン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3−トリアゾール環又は1,2,4−トリアゾール環を表すことが、光学特性の変動効果に優れ、かつ耐久性に優れた位相差フィルムが得られるために好ましい。

0054

前記一般式(1)において、T1及びT2は、それぞれ独立に、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3−トリアゾール環又は1,2,4−トリアゾール環を表す。これらの中で、ピラゾール環、トリアゾール環又はイミダゾール環であることが、湿度変動に対するリターデーションの変動抑制効果に特に優れ、かつ耐久性に優れた樹脂組成物が得られるために好ましく、ピラゾール環であることが特に好ましい。T1及びT2で表されるピラゾール環、1,2,3−トリアゾール環又は1,2,4−トリアゾール環、イミダゾール環は、互変異性体であってもよい。ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、1,2,3−トリアゾール環又は1,2,4−トリアゾール環の具体的な構造を下記に示す。

0055

0056

式中、※は一般式(1)におけるL1、L2、L3又はL4との結合位置を表す。R5は水素原子又は非芳香族置換基を表す。R5で表される非芳香族置換基としては、前記一般式(1)におけるA1が有してもよい置換基のうちの非芳香族置換基と同様の基を挙げることができる。R5で表される置換基が芳香族基を有する置換基の場合、A1とT1又はBとT1がねじれやすくなり、A1、B及びT1がセルロースアセテートとの相互作用を形成できなくなるため、光学的特性の変動を抑制することが難しい。光学的特性の変動抑制効果を高めるためには、R5は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアシル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。

0057

前記一般式(1)において、T1及びT2は置換基を有してもよく、当該置換基としては、前記一般式(1)におけるA1及びA2が有してもよい置換基と同様の基を挙げることができる。

0058

前記一般式(1)において、L1、L2、L3及びL4は、それぞれ独立に、単結合又は、2価の連結基を表し、2個以下の原子を介して、5員若しくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が連結されている。2個以下の原子を介してとは、連結基を構成する原子のうち連結される置換基間に存在する最小の原子数を表す。連結原子数2個以下の2価の連結基としては、特に制限はないが、アルキレン基アルケニレン基アルキニレン基、O、(C=O)、NR、S、(O=S=O)からなる群より選ばれる2価の連結基であるか、それらを2個組み合わせた連結基を表す。Rは、水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基の例には、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等)、芳香族炭化水素環基(フェニル基、p−トリル基、ナフチル基等)、芳香族複素環基(2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ピリジル基等)、シアノ基等が含まれる。L1、L2、L3及びL4で表される2価の連結基は置換基を有してもよく、置換基としては特に制限はないが、例えば、前記一般式(1)におけるA1及びA2が有してもよい置換基と同様の基を挙げることができる。

0059

前記一般式(1)において、L1、L2、L3及びL4は、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物の平面性が高くなることで、水を吸着する樹脂との相互作用が強くなり、光学的特性の変動が抑制されるため、単結合又は、O、(C=O)−O、O−(C=O)、(C=O)−NR又はNR−(C=O)であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。

0060

前記一般式(1)において、nは0〜5の整数を表す。nが2以上の整数を表すとき、前記一般式(1)における複数のA2、T2、L3、L4は同じであってもよく、異なっていてもよい。nが大きい程、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物と水を吸着する樹脂との相互作用が強くなることで光学的特性の変動抑制効果が優れ、nが小さいほど、水を吸着する樹脂との相溶性が優れる。このため、nは1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。

0061

〈一般式(2)で表される構造を有する化合物〉
一般式(1)で表される構造を有する化合物は、一般式(2)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。

0062

0063

(式中、A1、A2、T1、T2、L1、L2、L3及びL4は、それぞれ前記一般式(1)におけるA1、A2、T1、T2、L1、L2、L3及びL4と同義である。A3及びT3は、それぞれ一般式(1)におけるA1及びT1と同様の基を表す。L5及びL6は、前記一般式(1)におけるL1と同様の基を表す。mは0〜4の整数を表す。)
mが小さい方がセルロースアセテートとの相溶性に優れるため、mは0〜2の整数であることが好ましく、0〜1の整数であることがより好ましい。

0064

<一般式(1.1)で表される構造を有する化合物>
一般式(1)で表される構造を有する化合物は、下記一般式(1.1)で表される構造を有するトリアゾール化合物であることが好ましい。

0065

0066

(式中、A1、B、L1及びL2は、上記一般式(1)におけるA1、B、L1及びL2と同様の基を表す。kは、1〜4の整数を表す。T1は、1,2,4−トリアゾール環を表す。)
さらに、上記一般式(1.1)で表される構造を有するトリアゾール化合物は、下記一般式(1.2)で表される構造を有するトリアゾール化合物であることが好ましい。

0067

0068

(式中、Zは、下記一般式(1.2a)の構造を表す。qは、2〜3の整数を表す。少なくとも二つのZは、ベンゼン環に置換された少なくとも一つのZに対してオルト位又はメタ位に結合する。)

0069

(式中、R10は水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。pは1〜5の整数を表す。*はベンゼン環との結合位置を表す。T1は1,2,4−トリアゾール環を表す。)
前記一般式(1)、(2)、(1.1)又は(1.2)で表される構造を有する化合物は、水和物、溶媒和物若しくは塩を形成してもよい。なお、本発明において、水和物は有機溶媒を含んでいてもよく、また溶媒和物は水を含んでいてもよい。即ち、「水和物」及び「溶媒和物」には、水と有機溶媒のいずれも含む混合溶媒和物が含まれる。塩としては、無機又は有機酸で形成された酸付加塩が含まれる。無機酸の例として、ハロゲン化水素酸塩酸臭化水素酸など)、硫酸リン酸などが含まれ、またこれらに限定されない。また、有機酸の例には、酢酸トリフルオロ酢酸プロピオン酸酪酸シュウ酸クエン酸安息香酸アルキルスルホン酸メタンスルホン酸など)、アリスルホン酸ベンゼンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸など)などが挙げられ、またこれらに限定されない。これらのうち好ましくは、塩酸塩酢酸塩プロピオン酸塩酪酸塩である。

0070

塩の例としては、親化合物に存在する酸性部分が、金属イオン(例えばアルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム又はマグネシウム塩アンモニウム塩アルカリ金属イオンアルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオンなど)により置換されるか、あるいは有機塩基エタノールアミンジエタノールアミントリエタノールアミンモルホリンピペリジン、など)と調整されたときに形成される塩が挙げられ、またこれらに限定されない。これらのうち好ましくはナトリウム塩、カリウム塩である。

0071

溶媒和物が含む溶媒の例には、一般的な有機溶剤のいずれも含まれる。具体的には、アルコール(例、メタノールエタノール2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、t−ブタノール)、エステル(例、酢酸エチル)、炭化水素(例、トルエンヘキサンヘプタン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン)、ニトリル(例、アセトニトリル)、ケトンアセトン)などが挙げられる。好ましくは、アルコール(例、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、t−ブタノール)の溶媒和物である。これらの溶媒は、前記化合物の合成時に用いられる反応溶媒であっても、合成後の晶析精製の際に用いられる溶媒であってもよく、又はこれらの混合であってもよい。

0072

また、2種類以上の溶媒を同時に含んでもよいし、水と溶媒を含む形(例えば、水とアルコール(例えば、メタノール、エタノール、t−ブタノールなど)など)であってもよい。

0073

なお、前記一般式(1)、(2)、(1.1)又は(1.2)で表される構造を有する化合物を、水や溶媒、塩を含まない形態で添加しても、本発明における樹脂組成物又は位相差フィルム中において、水和物、溶媒和物又は塩を形成してもよい。

0074

前記一般式(1)、(2)、(1.1)又は(1.2)で表される構造を有する化合物の分子量は特に制限はないが、小さいほど樹脂との相溶性に優れ、大きいほど環境湿度の変化に対する光学値の変動抑制効果が高いため、150〜2000であることが好ましく、200〜1500であることがより好ましく、300〜1000であることがより好ましい。

0075

さらに、本発明に係る含窒素複素環化合物は、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることが特に好ましい。

0076

(式中Aはピラゾール環を表す。Ar1及びAr2はそれぞれ芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、置換基を有してもよい。R1は水素原子、アルキル基、アシル基、スルホニル基、アルキルオキシカルボニル基、又はアリールオキシカルボニル基を表す。qは1又は2を表し、n及びmは1〜3の整数を表す。)
Ar1及びAr2で表される芳香族炭化水素環又は芳香族複素環は、それぞれ一般式(1)で挙げた5員若しくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環であることが好ましい。また、Ar1及びAr2の置換基としては、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物で示したのと同様な置換基が挙げられる。

0077

R1の具体例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等)、アシル基(アセチル基、ピバロイルベンゾイル基等)、スルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)等が挙げられる。

0078

qは1又は2を表し、n及びmは1〜3の整数を表す。

0079

以下に、本発明に用いられる5員若しくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を有する化合物の具体例を例示する。中でも前記一般式(1)、(2)、(1.1)、(1.2)で表される構造を有する化合物が好ましく、さらに一般式(3)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。本発明で用いることができる前記5員若しくは6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を有する化合物は、以下の具体例によって何ら限定されることはない。なお、前述のように、以下の具体例は互変異性体であってもよく、水和物、溶媒和物又は塩を形成していてもよい。

0080

0081

0082

0083

0084

0085

0086

0087

0088

0089

0090

0091

0092

0093

0094

0095

0096

0097

0098

0099

0100

0101

0102

0103

0104

0105

0106

0107

0108

0109

0110

0111

0112

0113

0114

0115

0116

0117

0118

0119

0120

0121

0122

0123

0124

0125

0126

0127

0128

0129

0130

0131

0132

0133

0134

0135

0136

0137

0138

0139

0140

0141

0142

0143

0144

0145

0146

0147

0148

0149

0150

0151

0152

0153

0154

0155

次に、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物の合成方法について説明する。

0156

前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、公知の方法で合成することができる。前記一般式(1)で表される構造を有する化合物において、1,2,4−トリアゾール環を有する化合物は、いかなる原料を用いても構わないが、ニトリル誘導体又はイミノエーテル誘導体と、ヒドラジド誘導体を反応させる方法が好ましい。反応に用いる溶媒としては、原料と反応しないと溶媒であれば、いかなる溶媒でも構わないが、エステル系(例えば、酢酸エチル、酢酸メチル等)、アミド系(ジメチルホルムアミドジメチルアセトアミド等)、エーテル系(エチレングリコールジメチルエーテル等)、アルコール系(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールイソプロパノールn−ブタノール2−ブタノールエチレングリコールエチレングリコールモノメチルエーテル等)、芳香族炭化水素系(例えば、トルエン、キシレン等)、水を挙げられることができる。使用する溶媒として、好ましくは、アルコール系溶媒である。また、これらの溶媒は、混合して用いても良い。

0157

溶媒の使用量は、特に制限はないが、使用するヒドラジド誘導体の質量に対して、0.5〜30倍量の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは、1.0〜25倍量であり、特に好ましくは、3.0〜20倍量の範囲内である。

0158

ニトリル誘導体とヒドラジド誘導体を反応させる場合、触媒を使用しなくても構わないが、反応を加速させるために触媒を使用する方が好ましい。使用する触媒としては、酸を用いても良く、塩基を用いても良い。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等が挙げられ、好ましくは塩酸である。酸は、水に希釈して添加しても良く、ガスを系中に吹き込む方法で添加しても良い。塩基としては、無機塩基炭酸カリウム炭酸ナトリウム炭酸水素カリウム炭酸水素ナトリウム水酸化カリウム水酸化ナトリウム等)及び有機塩基(ナトリウムメチラートナトリウムエチラートカリウムメチラート、カリウムエチラート、ナトリウムブチラート、カリウムブチラート、ジイソプロピルエチルアミン、N,N′−ジメチルアミノピリジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンN−メチルモルホリンイミダゾール、N−メチルイミダゾールピリジン等)のいずれを用いて良く、無機塩基としては、炭酸カリウムが好ましく、有機塩基としては、ナトリウムエチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムブチラートが好ましい。無機塩基は、粉体のまま添加しても良く、溶媒に分散させた状態で添加しても良い。また、有機塩基は、溶媒に溶解した状態(例えば、ナトリウムメチラートの28%メタノール溶液等)で添加しても良い。

0159

触媒の使用量は、反応が進行する量であれば特に制限はないが、形成されるトリアゾール環に対して1.0〜5.0倍モルの範囲内が好ましく、更に1.05〜3.0倍モルの範囲内が好ましい。

0160

イミノエーテル誘導体とヒドラジド誘導体を反応させる場合は、触媒を用いる必要がなく、溶媒中で加熱することにより目的物を得ることができる。

0161

反応に用いる原料、溶媒及び触媒の添加方法は、特に制限がなく、触媒を最後に添加しても良く、溶媒を最後に添加しても良い。また、ニトリル誘導体を溶媒に分散若しくは溶解させ、触媒を添加した後、ヒドラジド誘導体を添加する方法も好ましい。

0162

反応中の溶液温度は、反応が進行する温度であればいかなる温度でも構わないが、好ましくは、0〜150℃の範囲内であり、更に好ましくは、20〜140℃の範囲内である。また、生成する水を除去しながら、反応を行っても良い。

0163

反応溶液処理方法は、いかなる手段を用いても良いが、塩基を触媒として用いた場合は、反応溶液に酸を加えて中和する方法が好ましい。中和に用いる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸又は酢酸等が挙げられるが、特に好ましくは酢酸である。中和に使用する酸の量は、反応溶液のpHが4〜9になる範囲であれば特に制限はないが、使用する塩基に対して、0.1〜3倍モルが好ましく、特に好ましくは、0.2〜1.5倍モルの範囲内である。

0164

反応溶液の処理方法として、適当な有機溶媒を用いて抽出する場合、抽出後に有機溶媒を水で洗浄した後、濃縮する方法が好ましい。ここでいう適当な有機溶媒とは、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン、エーテル等非水溶性の溶媒、又は、前記非水溶性の溶媒とテトラヒドロフラン又はアルコール系溶媒との混合溶媒のことであり、好ましくは酢酸エチルである。

0165

一般式(1)で表される構造を有する化合物を晶析させる場合、特に制限はないが、中和した反応溶液に水を追加して晶析させる方法、若しくは、一般式(1)で表される構造を有する化合物が溶解した水溶液を中和して晶析させる方法が好ましい。

0166

例えば、例示化合物1は以下のスキームによって合成することができる。

0167

(例示化合物1の合成)

0168

n−ブタノール350mlにベンゾニトリル77.3g(75.0mmol)、ベンゾイルヒドラジン34.0g(25.0mmol)、炭酸カリウム107.0g(77.4mmol)を加え、窒素雰囲気下、120℃で24時間撹拌した。反応液を室温まで冷却し、析出物濾過後、濾液減圧下で濃縮した。濃縮物にイソプロパノール20mlを加え、析出物を濾取した。濾取した析出物をメタノール80mlに溶解し、純水300mlを加え、溶液のpHが7になるまで酢酸を滴下した。析出した結晶を濾取後、純水で洗浄し、50℃で送風乾燥することにより、例示化合物1を38.6g得た。収率は、ベンゾイルヒドラジン基準で70%であった。

0169

得られた例示化合物1の1H−NMRスペクトルは以下のとおりである。

0170

1H−NMR(400MHz、溶媒:重DMSO、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):7.56−7.48(6H、m)、7.62−7.61(4H、m)
(例示化合物6の合成)
例示化合物6は以下のスキームによって合成することができる。

0171

0172

n−ブタノール40mlに1,3−ジシアノベンゼン2.5g(19.5mmol)、ベンゾイルヒドラジン7.9g(58.5mmol)、炭酸カリウム9.0g(68.3mmol)を加え、窒素雰囲気下、120℃で24時間撹拌した。反応液を冷却後、純水40mlを加え、室温で3時間撹拌した後、析出した固体濾別し、純水で洗浄した。得られた固体に水及び酢酸エチルを加えて分液し、有機層を純水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製し、例示化合物6を5.5g得た。収率は、1,3−ジシアノベンゼン基準で77%であった。

0173

得られた例示化合物6の1H−NMRスペクトルは以下のとおりである。

0174

1H−NMR(400MHz、溶媒:重DMSO、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):8.83(1H、s)、8.16〜8.11(6H、m)、7.67−7.54(7H、m)
(例示化合物176の合成)
例示化合物176は以下のスキームによって合成することができる。

0175

0176

脱水テトラヒドロフラン520mlにアセトフェノン80g(0.67mol)、イソフタル酸ジメチル52g(0.27mol)を加え、窒素雰囲気下、氷水冷で撹拌しながら、ナトリウムアミド52.3g(1.34mol)を少しずつ滴下した。氷水冷下で3時間撹拌した後、水冷下で12時間撹拌した。反応液に濃硫酸を加えて中和した後、純水及び酢酸エチルを加えて分液し、有機層を純水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶にメタノールを加えて懸濁洗浄することにより、中間体Aを55.2g得た。

0177

テトラヒドロフラン300ml、エタノール200mlに中間体A55g(0.15mol)を加え、室温で撹拌しながら、ヒドラジン1水和物18.6g(0.37mol)を少しずつ滴下した。滴下終了後、12時間加熱還流した。反応液に純水及び酢酸エチルを加えて分液し、有機層を純水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン)で精製することによって、例示化合物176を27g得た。

0178

得られた例示化合物176の1H−NMRスペクトルは以下のとおりである。なお、互変異性体の存在により、ケミカルシフトが複雑化するのを避けるために、測定溶媒にトリフルオロ酢酸を数滴加えて測定を行った。

0179

1H−NMR(400MHz、溶媒:重DMSO、基準:テトラメチルシラン)δ(ppm):8.34(1H、s)、7.87〜7.81(6H、m)、7.55〜7.51(1H、m)、7.48−7.44(4H、m)、7.36−7.33(2H、m)、7.29(1H、s)
その他の化合物についても同様の方法によって合成が可能である。

0180

〈一般式(1)〜(3)で表される構造を有する化合物の使用方法について〉
本発明に係る前記一般式(1)〜(3)で表される構造を有する化合物は、適宜量を調整して位相差フィルムに含有することができるが、添加量としては位相差フィルム中に、0.1〜10質量%含むことが好ましく、特に、1〜5質量%含むことが好ましく、2〜5質量%含むことが特に好ましい。添加量はセルロースアセテートの種類、当該化合物の種類によって異なるものであるが、本発明の位相差フィルムが所望のリターデーション値を有し、かつ順波長分散性を示す添加量によって最適値を決定することができる。この範囲内であれば、本発明の位相差フィルムの機械強度を損なうことなく、環境湿度の変化に依存したリターデーションの変動を低減することができる。

0181

また、前記一般式(1)〜(3)で表される構造を有する化合物の添加方法としては、位相差フィルムを形成する樹脂に粉体で添加しても良く、溶媒に溶解した後、位相差フィルムを形成する樹脂に添加しても良い。

0182

本発明の位相差フィルムには、前記含窒素複素環化合物以外に、糖エステル、重縮合エステルをリターデーション調整剤、リターデーション安定剤として含有することが好ましい。

0183

〈糖エステル〉
本発明に係る糖エステルとしては、ピラノース環又はフラノース環の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基の全て若しくは一部をエステル化した糖エステルであることが好ましい。

0184

本発明に係る糖エステルとは、フラノース環又はピラノース環の少なくともいずれかを含む化合物であり、単糖であっても、糖構造が2〜12個連結した多糖であってもよい。そして、糖エステルは、糖構造が有するOH基の少なくとも一つがエステル化された化合物が好ましい。本発明に係る糖エステルにおいては、平均エステル置換度が、4.0〜8.0の範囲内であることが好ましく、5.0〜7.5の範囲内であることがより好ましい。

0185

本発明に係る糖エステルとしては、特に制限はないが、下記一般式(A)で表される構造を有する糖エステルを挙げることができる。

0186

一般式(A)
(HO)m−G−(O−C(=O)−R2)n
上記一般式(A)において、Gは、単糖類又は二糖類の残基を表し、R2は、脂肪族基又は芳香族基を表し、mは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合しているヒドロキシ基の数の合計であり、nは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R2)基の数の合計であり、3≦m+n≦8であり、n≠0である。

0187

一般式(A)で表される構造を有する糖エステルは、ヒドロキシ基の数(m)、−(O−C(=O)−R2)基の数(n)が固定された単1種の化合物として単離することは困難であり、式中のm、nの異なる成分が数種類混合された化合物となることが知られている。したがって、ヒドロキシ基の数(m)、−(O−C(=O)−R2)基の数(n)が各々変化した混合物としての性能が重要であり、本発明の位相差フィルムの場合、平均エステル置換度が、5.0〜7.5の範囲内である糖エステルが好ましい。

0188

上記一般式(A)において、Gは単糖類又は二糖類の残基を表す。単糖類の具体例としては、例えばアロースアルトロースグルコースマンノースグロースイドースガラクトースタロースリボースアラビノースキシロースリキソースなどが挙げられる。

0189

以下に、一般式(A)で表される構造を有する糖エステルの単糖類残基を有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物に限定されるものではない。

0190

0191

また、二糖類残基の具体例としては、例えば、トレハローススクロースマルトースセロビオースゲンチオビオースラクトース、イソトレハロース等が挙げられる。

0192

以下に、一般式(A)で表される構造を有する糖エステルの二糖類残基を有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物に限定されるものではない。

0193

0194

一般式(A)において、R2は、脂肪族基又は芳香族基を表す。ここで、脂肪族基及び芳香族基は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。

0195

また、一般式(A)において、mは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合しているヒドロキシ基の数の合計であり、nは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R2)基の数の合計である。そして、3≦m+n≦8であることが必要であり、4≦m+n≦8であることが好ましい。また、n≠0である。なお、nが2以上である場合、−(O−C(=O)−R2)基は互いに同じでもよいし異なっていてもよい。

0196

R2の定義における脂肪族基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、1〜20のものがより好ましく、2〜15のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、シクロプロピルn−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、n−ヘキシルシクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビシクロオクチル、アダマンチルn−デシル、tert−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ジデシル等の各基が挙げられる。

0197

また、R2の定義における芳香族基は、芳香族炭化水素基でもよいし、芳香族複素環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、ベンゼンナフタレンアントラセンビフェニルターフェニル等の各環が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環が特に好ましい。芳香族複素環基としては、酸素原子窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも一つを含む環が好ましい。複素環の具体例としては、例えば、フランピロールチオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジンピリダジントリアゾールトリアジンインドールインダゾールプリンチアゾリンチアジアゾールオキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾールキノリンイソキノリンフタラジンナフチリジンキノキサリンキナゾリンシンノリンプテリジンアクリジンフェナントロリンフェナジンテトラゾールベンズイミダゾールベンズオキサゾールベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールテトラインデン等の各環が挙げられる。芳香族複素環基としては、ピリジン環トリアジン環キノリン環が特に好ましい。

0198

次に、一般式(A)で表される糖エステルの好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの例示する化合物に限定されるものではない。

0199

糖エステルは一つの分子中に二つ以上の異なった置換基を含有していても良く、芳香族置換基脂肪族置換基を1分子内に含有、異なる二つ以上の芳香族置換基を1分子内に含有、異なる二つ以上の脂肪族置換基を1分子内に含有することができる。

0200

また、2種類以上の糖エステルを混合して含有することも好ましい。芳香族置換基を含有する糖エステルと、脂肪族置換基を含有する糖エステルを同時に含有することも好ましい。

0201

0202

0203

〈合成例:一般式(A)で表される糖エステルの合成例〉
以下に、本発明に好適に用いることのできる糖エステルの合成の一例を示す。

0204

0205

撹拌装置還流冷却器温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖を34.2g(0.1モル)、無水安息香酸を180.8g(0.8モル)、ピリジンを379.7g(4.8モル)、それぞれ仕込み、撹拌下で窒素ガス導入管から窒素ガスバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×102Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエンを1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液を300g添加し、50℃で30分間撹拌した後、静置して、トルエン層分取した。最後に、分取したトルエン層に水を100g添加し、常温で30分間水洗した後、トルエン層を分取し、減圧下(4×102Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物を得た。得られた混合物をHPLC及びLC−MASS解析したところ、A−1が7質量%、A−2が58質量%、A−3が23質量%、A−4が9質量%、A−5が3質量%で、糖エステルの平均エステル置換度が、6.57であった。なお、得られた混合物の一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、それぞれ純度100%のA−1、A−2、A−3、A−4及びA−5を得た。

0206

当該糖エステルの添加量は、セルロースアセテートに対して0.1〜20質量%の範囲で添加することが好ましく、1〜15質量%の範囲で添加することがより好ましい。

0207

また、糖エステルの50質量%トルエン溶液における色相APHAが10〜300の範囲内であることが好ましく、さらに10〜40の範囲であることがより好ましい。

0208

〈重縮合エステル〉
本発明の位相差フィルムは、下記一般式(4)で表される構造を有する重縮合エステルを用いることが、フィルム物性以外にリターデーション調整剤として機能するため、好ましい。

0209

当該重縮合エステルはその可塑的な効果から、本発明の位相差フィルムにおいては、1〜30質量%の範囲で含有することが好ましく、2〜20質量%の範囲で含有することがより好ましく、更に好ましくは3〜10質量%の範囲である。

0210

一般式(4)
B3−(G2−A)n−G2−B4
上記一般式(4)において、B3及びB4は、それぞれ独立に脂肪族又は芳香族モノカルボン酸残基、若しくはヒドロキシ基を表す。G2は、炭素数2〜12のアルキレングリコール残基、炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基を表す。Aは、炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。

0211

本発明において、重縮合エステルは、ジカルボン酸ジオールを反応させて得られる繰り返し単位を含む重縮合エステルであり、Aは重縮合エステル中のカルボン酸残基を表し、G2はアルコール残基を表す。

0212

重縮合エステルを構成するジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸であり、好ましくは芳香族ジカルボン酸である。ジカルボン酸は、1種類であっても、2種類以上の混合物であってもよい。特に芳香族、脂肪族を混合させることが好ましい。

0213

重縮合エステルを構成するジオールは、芳香族ジオール脂肪族ジオール又は脂環式ジオールであり、好ましくは脂肪族ジオールであり、より好ましくは炭素数1〜4のジオールである。ジオールは、1種類であっても、2種類以上の混合物であってもよい。

0214

中でも、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、炭素数1〜8のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含むジカルボン酸と、炭素数1〜8のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことがより好ましい。

0215

重縮合エステルの分子の両末端は、封止されていても、封止されていなくてもよい。

0216

一般式(4)のAを構成するアルキレンジカルボン酸の具体例としては、1,2−エタンジカルボン酸(コハク酸)、1,3−プロパンジカルボン酸(グルタル酸)、1,4−ブタンジカルボン酸アジピン酸)、1,5−ペンタンジカルボン酸(ピメリン酸)、1,8−オクタンジカルボン酸(セバシン酸)などから誘導される2価の基が含まれる。Aを構成するアルケニレンジカルボン酸の具体例としては、マレイン酸フマル酸などが挙げられる。Aを構成するアリールジカルボン酸の具体例としては、1,2−ベンゼンジカルボン酸フタル酸)、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。

0217

Aは、1種類であっても、2種類以上が組み合わされてもよい。中でも、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸と炭素原子数8〜12のアリールジカルボン酸との組み合わせが好ましい。

0218

一般式(4)中のG2は、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基、炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される2価の基、又は炭素原子数4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基を表す。

0219

G2における炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、及び1,12−オクタデカンジオール等から誘導される2価の基が含まれる。

0220

G2における炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される2価の基の例には、1,2−ジヒドロキシベンゼンカテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などから誘導される2価の基が含まれる。Gにおける炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコールテトラエチレングリコールジプロピレングリコールトリプロピレングリコールなどから誘導される2価の基が含まれる。

0221

G2は、1種類であっても、2種類以上が組み合わされてもよい。中でも、G2は、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基が好ましく、2〜5がさらに好ましく、2〜4が最も好ましい。

0222

一般式(4)におけるB3及びB4は、各々芳香環含有モノカルボン酸又は脂肪族モノカルボン酸から誘導される1価の基、若しくはヒドロキシ基である。

0223

芳香環含有モノカルボン酸から誘導される1価の基における芳香環含有モノカルボン酸は、分子内に芳香環を含有するカルボン酸であり、芳香環がカルボキシ基と直接結合したものだけでなく、芳香環がアルキレン基などを介してカルボキシ基と結合したものも含む。芳香環含有モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸メタトルイル酸、パラトルイル酸ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸アセトキシ安息香酸フェニル酢酸3−フェニルプロピオン酸などから誘導される1価の基が含まれる。中でも安息香酸、パラトルイル酸が好ましい。

0224

脂肪族モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸カプリル酸カプロン酸デカン酸ドデカン酸ステアリン酸オレイン酸などから誘導される1価の基が含まれる。中でも、アルキル部分の炭素原子数が1〜3であるアルキルモノカルボン酸から誘導される1価の基が好ましく、アセチル基(酢酸から誘導される1価の基)がより好ましい。

0225

本発明に係る重縮合エステルの重量平均分子量は、500〜3000の範囲であることが好ましく、600〜2000の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量は前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。

0226

以下、一般式(4)で表される構造を有する重縮合エステルの具体例を示すが、これに限定されるものではない。

0227

0228

0229

0230

以下、上記説明した重縮合エステルの具体的な合成例について記載する。

0231

〈重縮合エステルP1〉
エチレングリコール180g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応のエチレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステルP1を得た。酸価0.20、数平均分子量450であった。

0232

〈重縮合エステルP2〉
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸103g、アジピン酸244g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、下記重縮合エステルP2を得た。酸価0.10、数平均分子量450であった。

0233

0234

〈重縮合エステルP3〉
1,4−ブタンジオール330g、無水フタル酸244g、アジピン酸103g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応の1,4−ブタンジオールを減圧留去することにより、重縮合エステルP3を得た。酸価0.50、数平均分子量2000であった。

0235

〈重縮合エステルP4〉
1,2−プロピレングリコール251g、テレフタル酸354g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステルP4を得た。酸価0.10、数平均分子量400であった。

0236

〈重縮合エステルP5〉
1,2−プロピレングリコール251g、テレフタル酸354g、p−トロイル酸680g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、下記重縮合エステルP5を得た。酸価0.30、数平均分子量400であった。

0237

0238

〈重縮合エステルP6〉
180gの1,2−プロピレングリコール、292gのアジピン酸、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中200℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステルP6を得た。酸価0.10、数平均分子量400であった。

0239

〈重縮合エステルP7〉
180gの1,2−プロピレングリコール、無水フタル酸244g、アジピン酸103g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中200℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステルP7を得た。酸価0.10、数平均分子量320であった。

0240

〈重縮合エステルP8〉
エチレングリコール251g、無水フタル酸244g、コハク酸120g、酢酸150g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中200℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。重合度を観察しながら脱水縮合反応させた。反応終了後200℃で未反応のエチレングリコールを減圧留去することにより、重縮合エステルP8を得た。酸価0.50、数平均分子量1200であった。

0241

〈重縮合エステルP9〉
上記重縮合エステルP2と同様の製造方法で、反応条件を変化させて、酸価0.10、数平均分子量315の重縮合エステルP9を得た。

0242

<その他の添加剤>
本発明の位相差フィルムは、前記添加剤の他に、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤マット剤等を含有することも好ましい。

0243

多価アルコールエステル
本発明の位相差フィルムにおいては、可塑剤として多価アルコールエステルを含有することも好ましい。

0244

多価アルコールエステルは2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる化合物であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。

0245

本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(5)で表される。

0246

一般式(5) R11−(OH)n
ただし、R11はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/又はフェノール性ヒドロキシ基を表す。

0247

好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0248

アドニトールアラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオールガラクチトールマンニトール3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコールソルビトールトリメチロールプロパントリメチロールエタンキシリトール等を挙げることができる。

0249

特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。

0250

多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性保留性を向上させる点で好ましい。

0251

好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。

0252

脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースアセテートとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。

0253

好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸ウンデシル酸、ラウリン酸トリデシル酸、ミリスチン酸ペンタデシル酸、パルミチン酸ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸ベヘン酸リグノセリン酸セロチン酸ヘプタコサン酸、モンタン酸メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸リノール酸リノレン酸アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。

0254

好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸シクロヘキサンカルボン酸シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。

0255

好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。

0256

多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースアセテートとの相溶性の点では小さい方が好ましい。

0257

多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。

0258

以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。

0259

0260

0261

0262

0263

本発明に用いられる多価アルコールエステルは、位相差フィルムに対して0.5〜5質量%の範囲で含有することが好ましく、1〜3質量%の範囲で含有することがより好ましく、1〜2質量%の範囲で含有することが特に好ましい。

0264

本発明に用いられる多価アルコールエステルは、従来公知の一般的な合成方法に従って合成することができる。

0265

リン酸エステル
本発明の位相差フィルムは、可塑剤としてリン酸エステルを用いることができる。リン酸エステルとしては、トリアリールリン酸エステルジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物アリールホスフィンオキシド化合物縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等が挙げることができる。

0266

具体的なリン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシドフェニルホスホン酸トリス(β−クロロエチルホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。

0267

グリコール酸エステル類
また、本発明においては、多価アルコールエステル類の1種として、グリコール酸のエステル類(グリコレート化合物)を用いることができる。

0268

本発明に適用可能なグリコレート化合物としては、特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。

0269

アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えば、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられ、好ましくはエチルフタリルエチルグリコレートである。

0270

〈紫外線吸収剤〉
本発明の位相差フィルムは、偏光板の視認側やバックライト側に用いられることが好ましいことから、紫外線吸収機能を付与することを目的として、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。

0271

紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系等の紫外線吸収剤が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。

0272

なお、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、昇華しにくいか、あるいは高沸点で揮発しにくく、フィルムの高温乾燥時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる観点から好ましい。

0273

分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が、特に好ましい。

0274

これら紫外線吸収剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン社製チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビンシリーズ、あるいは2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては、株式会社ADEKA製のLA31)を好ましく使用できる。

0275

上記紫外線吸収剤は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。

0276

紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、一般には、セルロースアセテートに対して、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲で添加される。

0277

紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。

0278

無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースアセテート中にディゾルバーサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。

0279

〈酸化防止剤〉
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶表示装置などが置かれた場合には、位相差フィルムの劣化が起こる場合がある。

0280

酸化防止剤は、例えば、位相差フィルム中の残留溶媒量ハロゲンリン酸系可塑剤のリン酸等により位相差フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、本発明の位相差フィルム中に含有させるのが好ましい。

0281

このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールペンタエリスリチルテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−エチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。

0282

特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。

0283

これらの化合物の添加量は、位相差フィルムに対して質量割合で1ppm〜1.0%の範囲が好ましく、10〜1000ppmの範囲が更に好ましい。

0284

剥離促進剤
本発明の位相差フィルムには、剥離促進剤を含むことが、より剥離性と高める観点から好ましい。剥離促進剤は、例えば、0.001〜1質量%の割合で含めることができ、0.5質量%以下の添加であれば剥離剤のフィルムからの分離等が発生し難いため好ましく、0.005質量%以上であれば所望の剥離低減効果を得ることができるため好ましいため、0.005〜0.5質量%の割合で含めることが好ましく、0.01〜0.3質量%の割合で含めることがより好ましい。剥離促進剤としては、公知のものが採用でき、有機、無機の酸性化合物界面活性剤キレート剤等を使用することができる。中でも、多価カルボン酸及びそのエステルが効果的であり、特に、クエン酸のエチルエステル類が効果的に使用することができる。

0285

微粒子(マット剤)〉
位相差フィルムは、表面の滑り性を高めるため、必要に応じて微粒子(マット剤)をさらに含有してもよい。

0286

微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。無機微粒子の例には、二酸化ケイ素シリカ)、二酸化チタン酸化アルミニウム酸化ジルコニウム炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルククレイ焼成カオリン焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムなどが含まれる。中でも、二酸化ケイ素や酸化ジルコニウムが好ましく、得られるフィルムのヘイズの増大を少なくするためには、より好ましくは二酸化ケイ素である。

0287

二酸化ケイ素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100(以上日本触媒(株)製)などが含まれる。中でも、アエロジルR972V、NAX50、シーホスターKE−P30などが、得られるフィルムの濁度を低く保ちつつ、摩擦係数を低減させるため特に好ましい。

0288

微粒子の一次粒子径は、5〜50nmの範囲であることが好ましく、7〜20nmの範囲であることがより好ましい。一次粒子径が大きい方が、得られるフィルムの滑り性を高める効果は大きいが、透明性が低下しやすい。そのため、微粒子は、粒子径0.05〜0.3μmの範囲の二次凝集体として含有されていてもよい。微粒子の一次粒子又はその二次凝集体の大きさは、透過型電子顕微鏡にて倍率50〜200万倍で一次粒子又は二次凝集体を観察し、一次粒子又は二次凝集体100個の粒子径の平均値として求めることができる。

0289

微粒子の含有量は、位相差フィルムを形成する樹脂に対して0.05〜1.0質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜0.8質量%の範囲であることがより好ましい。

0290

≪位相差フィルムの製造方法≫
本発明の位相差フィルムの製造方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から製膜方法は、溶液流延製膜法溶融流延製膜法が選択でき、特に溶液流延製膜法であることが、均一で平滑な表面を得ることができる観点から好ましい。

0291

(A)溶液流延製膜法
以下、本発明の位相差フィルムを溶液流延法で製造する製造例について説明する。

0292

本発明の位相差フィルムの製造は、セルロースアセテート、含窒素複素環化合物及びその他の添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸する工程、更に乾燥する工程、及び冷却後巻き取る工程により行われる。本発明の位相差フィルムは固形分中に好ましくはセルロースアセテートを60〜95質量%の範囲で含有するものである。

0293

(1)溶解工程
セルロースアセテートに対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で当該セルロースアセテート、場合によって、本発明に係る含窒素複素環化合物、糖エステル、重縮合エステル、その他可塑剤等を撹拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいは当該セルロースアセテート溶液に、本発明に係る含窒素複素環化合物、糖エステル、重縮合エステル等のその他の化合物溶液を混合して主溶解液であるドープを形成する工程である。

0294

本発明の位相差フィルムを溶液流延法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、セルロースアセテート及びその他の化合物を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。

0295

例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンシクロヘキサノンギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用することができる。

0296

ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の範囲の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ないときは非塩素系有機溶媒系でのセルロースアセテート及びその他の化合物の溶解を促進する役割もある。本発明の位相差フィルムの製膜においては、得られる位相差フィルムの平面性を高める点から、アルコール濃度が0.5〜15.0質量%の範囲内にあるドープを用いて製膜する方法を適用することができる。

0297

特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、セルロースアセテート及びその他の化合物を、計15〜45質量%の範囲で溶解させたドープ組成物であることが好ましい。

0298

炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からメタノール及びエタノールが好ましい。

0299

セルロースアセテート、含窒素複素環化合物、糖エステル、重縮合エステル、及び多価アルコールエステル等のその他の化合物の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。

0300

ドープ中のセルロースアセテートの濃度は、10〜40質量%の範囲であることが好ましい。溶解中又は後のドープに化合物を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。

0301

濾過は捕集粒子径0.5〜5μmで、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることが好ましい。

0302

この方法では、粒子分散時に残存する凝集物主ドープ添加時発生する凝集物を、捕集粒子径0.5〜5μmで、かつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることで凝集物だけ除去できる。主ドープでは粒子の濃度も添加液に比べ十分に薄いため、濾過時に凝集物同士がくっついて急激な濾圧上昇することもない。

0303

図1は、本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程の一例を模式的に示した図である。

0304

仕込釜41より濾過器44で大きな凝集物を除去し、ストック42へ送液する。その後、ストック釜42より主ドープ溶解釜1へ各種添加液を添加する。

0305

その後、主ドープは主濾過器3にて濾過され、これに紫外線吸収剤添加液が16よりインライン添加される。

0306

多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。

0307

返材とは、位相差フィルムを細かく粉砕した物で、位相差フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでフィルムの規定値を越えた位相差フィルム原反が使用される。

0308

また、ドープ調製に用いられる樹脂の原料としては、あらかじめセルロースアセテート及びその他の化合物などをペレット化したものも、好ましく用いることができる。

0309

(2)流延工程
(2−1)ドープの流延
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限移送する無端の金属支持体31、例えば、ステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。

0310

流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.5〜3mの範囲、さらに好ましくは2〜2.8mの範囲とすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下、さらに好ましくは−30〜0℃の範囲に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃の範囲が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。

0311

ダイの口金部分スリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して重層してもよい。

0312

(3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブという。)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。

0313

溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。

0314

面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で当該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。

0315

(4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。

0316

金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃の範囲であり、さらに好ましくは11〜30℃の範囲である。

0317

なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生しやすいため、経済速度品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。

0318

ウェブの残留溶媒量は下記式(Z)で定義される。

0319

式(Z)
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。

0320

金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。

0321

本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜30℃の範囲内とするのが最も好ましい。

0322

(5)乾燥及び延伸工程
乾燥工程は予備乾燥工程、本乾燥工程に分けて行うこともできる。

0323

〈予備乾燥工程〉
金属支持体から剥離して得られたウェブを乾燥させる。ウェブの乾燥は、ウェブを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし、テンター乾燥機のようにウェブの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。

0324

ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ローラーマイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。

0325

ウェブの乾燥工程における乾燥温度は好ましくはフィルムのガラス転移点−5℃以下、100℃以上で10分以上60分以下の熱処理を行うことが効果的である。乾燥温度は100〜200℃の範囲内、更に好ましくは110〜160℃の範囲内で乾燥が行われる。

0326

〈延伸工程〉
本発明の位相差フィルムは、所望のリターデーションを付与するために、MD方向(長手方向ともいう。)及び/又はTD方向(幅手方向ともいう。)に延伸することが好ましく、少なくともテンター延伸装置によって、TD方向に延伸して製造することが好ましい。

0327

当該延伸は、一軸延伸又は二軸延伸とすることができ、二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方の方向の張力を緩和して収縮させる態様も含まれる。

0328

本発明のセルロースアセテートフィルムは、延伸後の膜厚が所望の範囲になるようにMD方向及び/又はTD方向に、好ましくはTD方向に、フィルムのガラス転移温度をTgとしたときに、(Tg+15)〜(Tg+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、リターデーションの調整がしやすく、また延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身着色性に優れた偏光板位相差フィルムが得られる。延伸温度は、(Tg+20)〜(Tg+40)℃の範囲で行うことが好ましい。

0329

なお、ここでいうガラス転移温度Tgとは、市販の示差走査熱量測定器を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。

0330

具体的な位相差フィルムのガラス転移温度Tgの測定方法は、JIS K7121(1987)に従って、セイコーインツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定する。

0331

本発明の位相差フィルムは、ウェブを少なくともTD方向に1.1倍以上延伸することが好ましい。延伸の範囲は、元幅に対して1.1〜1.5倍であることが好ましく、1.05〜1.3倍であることがより好ましい。上記範囲内であれば、フィルム中の分子の移動が大きく、所望のリターデーション値が得られるばかりではなく、フィルムの寸法変化の挙動を所望の範囲内に制御することができる。

0332

さらに、当該延伸は製膜した後残留溶剤量が40質量%以上であるときに該フィルムをMD方向に延伸を開始することが好ましく、残留溶剤量が40質量%未満であるときにTD方向に延伸することが好ましい。

0333

MD方向に延伸するために、剥離張力を130N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは150〜170N/mである。剥離後のウェブは高残留溶剤状態であるため、剥離張力と同様の張力を維持することで、MD方向への延伸を行うことができる。ウェブが乾燥し、残留溶剤量が減少するにしたがって、MD方向への延伸率は低下する。

0334

なお、MD方向の延伸倍率は、ベルト支持体の回転速度とテンター運転速度から算出できる。

0335

TD方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップ又はピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる)、中でも、クリップを用いるテンター方式、ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。

0336

本発明の位相差フィルムは延伸することにより必然的にリターデーションを有するが、面内リターデーション値Ro、及び厚さ方向のリターデーション値Rthは自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから算出することができる。

0337

本発明の位相差フィルムは、下記式(i)で定義される面内方向のリターデーション値Roが40〜70nmの範囲内であり、下記式(ii)で定義される厚さ方向のリターデーション値Rthが100〜300nmの範囲内であることが、VAモード型液晶表示装置に具備された場合に視認性を向上する観点から好ましい。本発明の位相差フィルムは、本発明に係るセルロースアセテート及び含窒素複素環化合物を含有し、少なくとも前記TD方向に延伸倍率を調整しながら延伸することで、上記リターデーション値の範囲内に調整することができる。

0338

式(i):Ro=(nx−ny)×d(nm)
式(ii):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)〔式(i)及び式(ii)において、nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
ナーリング加工
所定の熱処理又は冷却処理の後、巻取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。

0339

ナーリング加工は、加熱されたエンボスローラーを押し当てることにより形成することができる。エンボスローラーには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることができる。

0340

本発明の位相差フィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μm、幅5〜20mmが好ましい。

0341

また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻取りの前に設けることが好ましい。

0342

(6)巻取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。

0343

巻取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。

0344

(B)溶融流延法
本発明の位相差フィルムを溶融流延法で製造する方法は、B1)溶融ペレットを製造する工程(ペレット化工程)、B2)溶融ペレットを溶融混練した後、押し出す工程(溶融押出し工程)、B3)溶融樹脂冷却固化してウェブを得る工程(冷却固化工程)、B4)ウェブを延伸する工程(延伸工程)、を含む。

0345

B1)ペレット化工程
位相差フィルムの主成分であるセルロースアセテートを含む組成物は、あらかじめ混練してペレット化しておくことが好ましい。ペレット化は、公知の方法で行うことができ、例えば前述のセルロースアセテートと、必要に応じて可塑剤等の添加剤とを含む樹脂組成物を、押出機にて溶融混錬した後、ダイからストランド状に押し出す。ストランド状に押し出された溶融樹脂を、水冷又は空冷した後、カッティングしてペレットを得ることができる。

0346

ペレットの原材料は、分解を防止するために、押出機に供給する前に乾燥しておくことが好ましい。

0347

酸化防止剤と熱可塑性樹脂の混合は、固体同士で混合してもよいし、溶剤に溶解させた酸化防止剤を熱可塑性樹脂に含浸させて混合してもよいし、酸化防止剤を熱可塑性樹脂に噴霧して混合してもよい。また、押出機のフィーダー部分やダイの出口部分の周辺の雰囲気は、ペレットの原材料の劣化を防止するため等から、除湿した空気又は窒素ガス等の雰囲気とすることが好ましい。

0348

押出機では、樹脂の劣化(分子量の低下、着色、ゲルの生成等)が生じないように、低いせん断力又は低い温度で混練することが好ましい。例えば、二軸押出機で混練する場合、深溝タイプのスクリューを用いて、二つのスクリューの回転方向を同方向にすることが好ましい。均一に混錬するためには、二つのスクリュー形状が互いに噛み合うようにすることが好ましい。

0349

B2)溶融押出し工程
得られた溶融ペレットと、必要に応じて他の添加剤とを、ホッパーから押出機に供給する。ペレットの供給は、ペレットの酸化分解を防止するため等から、真空下、減圧下又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。そして、押出機にて、フィルム材料である溶融ペレット、必要に応じて他の添加剤を溶融混練する。

0350

押出機内のフィルム材料の溶融温度は、フィルム材料の種類にもよるが、フィルムのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、好ましくはTg〜(Tg+100)℃の範囲内であり、より好ましくは(Tg+10)〜(Tg+90)℃の範囲内である。

0351

さらに、可塑剤や微粒子等の添加剤を、押出機の途中で添加する場合、これらの成分を均一に混合するために、押出機の下流側に、スタチックミキサー等の混合装置をさらに配置してもよい。

0352

押出機から押し出された溶融樹脂を、必要に応じてリーフディスクフィルター等で濾過した後、スタチックミキサー等でさらに混合して、ダイからフィルム状に押し出す。

0353

押出し流量は、ギヤポンプを用いて安定化させることが好ましい。また、異物の除去に用いるリーフディスクフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターであることが好ましい。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合わせた上で圧縮し、接触箇所焼結して一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。

0354

ダイの出口部分における樹脂の溶融温度は、200〜300℃程度の範囲内とし得る。

0355

B3)冷却固化工程
ダイから押し出された樹脂を、冷却ローラー弾性タッチローラーとでニップして、フィルム状の溶融樹脂を所定の厚さにする。そして、フィルム状の溶融樹脂を、複数の冷却ローラーで段階的に冷却して固化させる。

0356

冷却ローラーの表面温度は、得られたフィルムのガラス転移温度をTg(℃)としたとき、Tg(℃)以下とし得る。複数の冷却ローラーの表面温度は異なっていてもよい。

0357

弾性タッチローラーは挟圧回転体ともいう。弾性タッチローラーは、市販のものを用いることもできる。弾性タッチローラー側のフィルム表面温度は、フィルムのTg〜(Tg+110)℃の範囲とし得る。

0358

冷却ローラーから固化したフィルム状の溶融樹脂を剥離ローラー等で剥離してウェブを得る。フィルム状の溶融樹脂を剥離する際は、得られたウェブの変形を防止するために、張力を調整することが好ましい。

0359

B4)延伸工程
得られたウェブを、延伸機にて延伸してフィルムを得る。延伸は、ウェブの幅方向、搬送方向又は斜め方向のいずれかに行う。

0360

ウェブの延伸方法、延伸倍率及び延伸温度は、前述と同様とし得る。

0361

<位相差フィルムの物性>
(ヘイズ)
本発明の位相差フィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。ヘイズは、JIS K7136に準じて、ヘイズメーター(NDH2000型、日本電色工業(株)製)を用いて測定することができる。

0362

平衡含水率
本発明の位相差フィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。平衡含水率を4%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。平衡含水率は、試料フィルムを23℃、相対湿度20%に調湿された部屋に4時間以上放置した後、23℃80%RHに調湿された部屋に24時間放置し、サンプルを微量水分計(例えば三菱化学(株)製、CA−20型)を用いて、温度150℃で水分を乾燥・気化させた後、カールフィッシャー法により定量する。

0363

フィルム長、幅、膜厚)
本発明の位相差フィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明の位相差フィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.4m以上であり、特に1.4〜4mであることが好ましい。

0364

フィルムの膜厚は、表示装置薄型化、生産性の観点から、10〜100μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が10μm以上であれば、一定以上のフィルム強度やリターデーションを発現させることができる。膜厚が100μm以下であれば、熱や湿度によるリターデーションの変動を抑えることができる。好ましくは、20〜70μmの範囲内である。

0365

フィルムの膜厚ムラは、厚さ方向又は幅方向のいずれも0〜5μmの範囲内が好ましく、より好ましくは0〜3μmの範囲内であり、さらに好ましくは0〜2μmの範囲内である。

0366

<偏光板>
本発明の偏光板は、本発明の位相差フィルムが、水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて、少なくとも偏光子の一方の面に貼合されていることが好ましい。

0367

また、前記偏光子の前記位相差フィルムが貼合されている面とは反対側の面に、ポリエステルフィルム又はアクリルフィルムが、水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて偏光子と貼合されていることが、湿度に対するリターデーションの変動をより小さくすることから、好ましい。

0368

本発明の偏光板が視認側の偏光板として用いられる場合は、偏光板の視認側のフィルムは、防眩層あるいはクリアハードコート層反射防止層帯電防止層防汚層等を設けることが好ましい。

0369

〔偏光子〕
本発明の偏光板の主たる構成要素である偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。

0370

偏光子としては、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物耐久性処理を行った偏光子が用いられ得る。偏光子の膜厚は2〜30μmが好ましく、特に2〜15μmであることが好ましい。

0371

また、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能及び耐久性能に優れている上に、色ムラが少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。

0372

積層フィルム型の偏光子〉
また、本発明の偏光板は薄膜とすることが好ましく、偏光子の厚さは2〜15μmの範囲内であることが、偏光板の強度と薄膜化を両立する観点から特に好ましい。

0373

このような薄膜の偏光子としては、特開2011−100161号公報、特許第4691205号公報、特許4751481号公報、特許第4804589号公報に記載の方法で、積層フィルム型の偏光子を作製することが好ましい。

0374

一例として、以下の工程によって製造される薄膜の積層フィルム型の偏光子(偏光性積層フィルム)を用いることが、偏光板の全体の厚さを薄くして軽量化できる観点から好ましい。

0375

(偏光性積層フィルムの製造方法)
本発明に用いられる偏光性積層フィルムの製造方法は下記工程を含む。
(a)熱可塑性樹脂にゴム成分が分散されてなる基材フィルムの一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得る積層工程、
(b)積層フィルムを一軸延伸して延伸フィルムを得る延伸工程、
(c)延伸フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を二色性色素で染色して、染色フィルムを得る染色工程、
(d)染色フィルムのポリビニルアルコール系樹脂層を、架橋剤を含む溶液に浸漬して偏光子層を形成し、架橋フィルムを得る架橋工程、及び
(e)架橋フィルムを乾燥する乾燥工程
以下、各工程を説明すると、
(a)積層工程
本工程では、熱可塑性樹脂にゴム成分が分散(ブレンド分散)されてなるフィルムを基材フィルムとして、その一方の面にポリビニルアルコール系樹脂層を形成して積層フィルムを得ることが好ましい。

0376

(1)基材フィルム
基材フィルムのベースとなる熱可塑性樹脂は、透明性、機械的強度熱安定性延伸性などに優れる熱可塑性樹脂であることが好ましい。このような熱可塑性樹脂の具体例を挙げれば、例えば、鎖状ポリオレフィン系樹脂環状ポリオレフィン系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂ポリエステル系樹脂セルロースアシレート系樹脂ポリカーボネート系樹脂ポリビニルアルコール系樹脂酢酸ビニル系樹脂ポリアリレート系樹脂ポリスチレン系樹脂ポリエーテルスルホン系樹脂ポリスルホン系樹脂ポリアミド系樹脂ポリイミド系樹脂;及びこれらの混合物又は共重合物などが挙げられる。

0377

熱可塑性樹脂に分散されるゴム成分はゴム弾性を有する樹脂成分であり、通常、ゴム粒子として熱可塑性樹脂中に均一に分散される。ゴム成分を混合分散させることにより、基材フィルム、ひいては延伸フィルムの引き裂き強度を向上させることができる。ゴム成分は、ゴム弾性を有する樹脂である限り特に制限されないが、熱可塑性樹脂との相溶性の観点から、用いる熱可塑性樹脂と同種あるいは類似の樹脂から構成されることが好ましい。

0378

例えば、熱可塑性樹脂が鎖状ポリオレフィン系樹脂である場合、ゴム成分は、エチレン及びα−オレフィンから選択される2種以上のモノマー共重合体であることができる。この場合において、当該共重合体を構成する各モノマーの含有量(重合比率)は、90質量%未満であることが好ましく、80質量%未満であることがより好ましい。

0379

熱可塑性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂である場合、相溶性の観点から、ゴム成分としてゴム弾性を有するアクリル系重合体を含有することが好ましい。アクリル系重合体は、アクリル酸アルキル主体とする重合体であるのがよく、アクリル酸アルキルの単独重合体であってもよいし、アクリル酸アルキル50質量%以上と他のモノマー50質量%以下との共重合体であってもよい。

0380

ゴム成分の配合量は、好ましくは熱可塑性樹脂の5〜50質量%であり、より好ましくは10〜45質量%である。ゴム成分の配合量が少なすぎると、十分な引き裂き強度向上効果が得られにくい傾向にあり、ゴム成分の配合量が多すぎると、基材フィルムの取扱い性が低下する傾向にある。

0381

ゴム成分の熱可塑性樹脂への分散方法は特に限定されず、例えば別々に作製した熱可塑性樹脂とゴム成分(ゴム粒子)をプラストミル等で混練して分散させる方法や、熱可塑性樹脂調製時に同じ反応容器内でゴム成分も調製してゴム成分が分散された熱可塑性樹脂を得るリアクターブレンド法などを挙げることができる。リアクターブレンド法は、ゴム成分の分散程度を向上させる上で有利である。

0382

(2)ポリビニルアルコール系樹脂層
ポリビニルアルコール系樹脂層を形成するポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂及びその誘導体が挙げられる。ポリビニルアルコール樹脂の誘導体としては、ポリビニルホルマールポリビニルアセタールなどの他、ポリビニルアルコール樹脂をエチレン、プロピレン等のオレフィンアクリル酸メタクリル酸クロトン酸等の不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のアルキルエステルアクリルアミドなどで変性したものが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール樹脂を用いるのが好ましい。

0383

ポリビニルアルコール系樹脂は、完全ケン化品であることが好ましい。ケン化度の範囲は、好ましくは80.0〜100.0モル%の範囲であり、より好ましくは90.0〜99.5モル%の範囲であり、さらに好ましくは94.0〜99.0モル%の範囲である。

0384

上述のポリビニルアルコール系樹脂には、必要に応じて、可塑剤、界面活性剤等の添加剤が添加されてもよい。可塑剤としては、ポリオール及びその縮合物などを用いることができ、例えばグリセリンジグリセリントリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどが例示される。添加剤の配合量は特に制限されないが、ポリビニルアルコール系樹脂の20質量%以下とするのが好適である。

0385

ポリビニルアルコール系樹脂溶液を基材フィルムに塗工する方法としては、ワイヤーバーコーティング法リバースコーティンググラビアコーティング等のロールコーティング法、スピンコーティング法スクリーンコーティング法ファウンテンコーティング法、ディッピング法スプレー法などの公知の方法から適宜選択できる。乾燥温度は、例えば50〜200℃の範囲であり、好ましくは60〜150℃の範囲である。乾燥時間は、例えば2〜20分の範囲である。

0386

積層フィルムにおけるポリビニルアルコール系樹脂層の厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上45μm以下がより好ましい。3μm以下であると延伸後に薄くなりすぎて染色性が著しく悪化してしまい、50μmを超えると、得られる偏光性積層フィルムが厚くなる。

0387

本発明に用いる偏光子としてのポリビニルアルコール系樹脂層の厚さは、薄膜化と偏光子としての強度、柔軟性の観点から、下記延伸処理後の膜厚として2〜15μmの範囲内であることが好ましい。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ