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技術 新規乳酸菌、新規乳酸菌を有効成分とする自然免疫活性化剤、及び新規乳酸菌を含有する飲食品

出願人 株式会社ゲノム創薬研究所株式会社ナチュレ・ホールディングス国立大学法人東京大学東北協同乳業株式会社
発明者 関水和久西田智
出願日 2014年10月17日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-542676
公開日 2017年3月9日 (2年8ヶ月経過) 公開番号 WO2015-056770
状態 特許登録済
技術分野 微生物、その培養処理 食品の着色及び栄養改善 乳製品
主要キーワード 有機炭素化合物 動物用薬品 液状化物 半数致死量 グルコピラノサイド システマティック ペースト化物 噴霧乾燥物
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

本発明は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)における受領番号がNITE ABP−01694であるラクトコッカス(Lactococcus)属に属する乳酸菌、該乳酸菌を有効成分とする自然免疫活性化剤、該乳酸菌又は該自然免疫活性化剤を含有する飲食品、並びに、乳酸菌を含有する発酵乳であり、該発酵乳は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌メチシリン耐性黄色ブドウ球菌緑膿菌、及び、エンテロコッカス・ムンディディからなる群から選ばれる少なくとも1つの菌に対して抵抗性を有する発酵乳に関する。

概要

背景

乳酸菌は古くから発酵食品に利用され、食品医薬品、プロバイオティクス生産産業的に利用されている。乳酸菌はグラム陽性カタラーゼ陰性内生胞子を形成しない、運動性がないという特徴がある。

Lactococcus lactis(L.lactis)は、非病原性のグラム陽性の乳酸菌で、ヒトの腸内フローラに属せず、口腔腸管コロニー形成をしないことが知られている。また、全ゲノム解読されているほか、遺伝学ベクター系遺伝子発現系解析がなされている。最近では、組換えL.lactisが動物の腸表皮を通じたサイトカインや特異的抗原のin situ合成、in vivoデリバリーに利用されていることが報告されている(非特許文献1〜4)。

自然免疫反応では、樹状細胞マクロファージといった免疫細胞が細菌やウイルス由来する自然免疫活性化物質応答してサイトカインを産生し、その後の免疫反応が起こることが知られている。自然免疫機構は、生物が共通に有する感染防御機構であり、非特異的であるために反応が素早く、多くの感染源に対して有効に機能することが特徴である。
ヒト等の高等脊椎動物においても、感染初期抵抗性、癌や生活習慣病の予防、組織修復等の観点からは、感染源に特異的な獲得免疫よりも、非特異的な自然免疫の方がより重要な位置を占めていると考えられる。

これまでに、本発明者により、カイコにおいて、自然免疫活性化反応を簡便に測定できる方法が開発されている(特許文献1)。また、本発明者により、自然免疫機構のみを有する生物を利用した、獲得免疫機構を有する生物に対する病原微生物感染のモデルが開発されている(特許文献2)。

自然免疫機構の異常は、様々な疾患を引き起こす原因となり、従って、このような自然免疫機構を所望に調節することが可能な、優れた自然免疫活性化剤や自然免疫を活性化させる飲食品の開発が望まれている。

また、食品としてのラクトバチルス属ビフィドバクテリウム属を用いたヨーグルトについては整腸効果が報告されてきたが、ヨーグルトとして食用したときの自然免疫の活性化については確認されていない。乳酸菌L.burgaliticsが分泌する多糖に自然免疫の活性化作用があるという報告があるが、ヨーグルトを食用する実験ではない(非特許文献5)。

また、自然免疫活性化のメカニズム研究として乳酸菌が持つ二本鎖RNATLR3経路を介して樹状細胞のIFNβ産生を促進していることが言われている(非特許文献6)。二本鎖RNAはCRISPR−Cas9経路で形成されていると考えられているが、L.lactisのゲノム塩基配列からはCRISPR−Cas9が見出されない。しかし、L.lactisではCpGDNAがTLR9経路を介して樹状細胞のIFNβ産生を活性化しているという報告がある(非特許文献7)。

概要

本発明は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)における受領番号がNITE ABP−01694であるラクトコッカス(Lactococcus)属に属する乳酸菌、該乳酸菌を有効成分とする自然免疫活性化剤、該乳酸菌又は該自然免疫活性化剤を含有する飲食品、並びに、乳酸菌を含有する発酵乳であり、該発酵乳は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌メチシリン耐性黄色ブドウ球菌緑膿菌、及び、エンテロコッカス・ムンディディからなる群から選ばれる少なくとも1つの菌に対して抵抗性を有する発酵乳に関する。

目的

自然免疫機構の異常は、様々な疾患を引き起こす原因となり、従って、このような自然免疫機構を所望に調節することが可能な、優れた自然免疫活性化剤や自然免疫を活性化させる飲食品の開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)における受領番号がNITEABP−01694であるラクトコッカス(Lactococcus)属に属する乳酸菌

請求項2

請求項1に記載の乳酸菌又はその自然的若しくは人工的に変異した乳酸菌であって、自然免疫活性化能を有する乳酸菌。

請求項3

配列表の配列番号1で示される16SrRNA領域の塩基配列を有する請求項1又は請求項2に記載の乳酸菌。

請求項4

請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の乳酸菌、該乳酸菌の死菌、又は、該乳酸菌の処理物を有効成分とする自然免疫活性化剤であって、上記乳酸菌の処理物は、乳酸菌の培養物濃縮物ペースト化物乾燥物液状化物希釈物破砕物、殺菌加工物、及び、該培養物からの抽出物よりなる群から選ばれる少なくとも1つの処理物であることを特徴とする自然免疫活性化剤。

請求項5

請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の乳酸菌を含有する飲食品

請求項6

請求項4に記載の自然免疫活性化剤を含有する飲食品。

請求項7

請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の乳酸菌を用いて発酵する工程を用いて製造された飲食品。

請求項8

上記飲食品が発酵乳である請求項7に記載の飲食品。

請求項9

請求項1ないし請求項3の何れかの請求項に記載の乳酸菌を含有する発酵乳であり、該発酵乳は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌メチシリン耐性黄色ブドウ球菌緑膿菌、及び、エンテロコッカス・ムンディディからなる群から選ばれる少なくとも1つの菌に対して抵抗性を有することを特徴とする発酵乳。

技術分野

0001

本発明は、新規乳酸菌、新規乳酸菌を有効成分とする自然免疫活性化剤、及び新規乳酸菌を含有する飲食品に関する。

背景技術

0002

乳酸菌は古くから発酵食品に利用され、食品医薬品、プロバイオティクス生産産業的に利用されている。乳酸菌はグラム陽性カタラーゼ陰性内生胞子を形成しない、運動性がないという特徴がある。

0003

Lactococcus lactis(L.lactis)は、非病原性のグラム陽性の乳酸菌で、ヒトの腸内フローラに属せず、口腔腸管コロニー形成をしないことが知られている。また、全ゲノム解読されているほか、遺伝学ベクター系遺伝子発現系解析がなされている。最近では、組換えL.lactisが動物の腸表皮を通じたサイトカインや特異的抗原のin situ合成、in vivoデリバリーに利用されていることが報告されている(非特許文献1〜4)。

0004

自然免疫反応では、樹状細胞マクロファージといった免疫細胞が細菌やウイルス由来する自然免疫活性化物質応答してサイトカインを産生し、その後の免疫反応が起こることが知られている。自然免疫機構は、生物が共通に有する感染防御機構であり、非特異的であるために反応が素早く、多くの感染源に対して有効に機能することが特徴である。
ヒト等の高等脊椎動物においても、感染初期抵抗性、癌や生活習慣病の予防、組織修復等の観点からは、感染源に特異的な獲得免疫よりも、非特異的な自然免疫の方がより重要な位置を占めていると考えられる。

0005

これまでに、本発明者により、カイコにおいて、自然免疫活性化反応を簡便に測定できる方法が開発されている(特許文献1)。また、本発明者により、自然免疫機構のみを有する生物を利用した、獲得免疫機構を有する生物に対する病原微生物感染のモデルが開発されている(特許文献2)。

0006

自然免疫機構の異常は、様々な疾患を引き起こす原因となり、従って、このような自然免疫機構を所望に調節することが可能な、優れた自然免疫活性化剤や自然免疫を活性化させる飲食品の開発が望まれている。

0007

また、食品としてのラクトバチルス属ビフィドバクテリウム属を用いたヨーグルトについては整腸効果が報告されてきたが、ヨーグルトとして食用したときの自然免疫の活性化については確認されていない。乳酸菌L.burgaliticsが分泌する多糖に自然免疫の活性化作用があるという報告があるが、ヨーグルトを食用する実験ではない(非特許文献5)。

0008

また、自然免疫活性化のメカニズム研究として乳酸菌が持つ二本鎖RNATLR3経路を介して樹状細胞のIFNβ産生を促進していることが言われている(非特許文献6)。二本鎖RNAはCRISPR−Cas9経路で形成されていると考えられているが、L.lactisのゲノム塩基配列からはCRISPR−Cas9が見出されない。しかし、L.lactisではCpGDNAがTLR9経路を介して樹状細胞のIFNβ産生を活性化しているという報告がある(非特許文献7)。

0009

国際公開2008/126905号
特開2007−327964号公報

先行技術

0010

Robinson K,Chamberlain LM,Schofield KM,Wells JM,Le Page RW.Nat Biotechnol.1997 Jul;15(7)653-7
Steidler L,Robinson K,Chamberlain L,Schofield KM,Remaut E,Le Page RW,Wells JM.Infect Immun.1998 Jul;66(7)3183-9
Steidler L,Hans W,Schotte L,Neirynck S,Obermeier F,Falk W,Fiers W,Remaut E.Science.2000 Aug 25;289(5483)1352-5
Steidler L,Neirynck S,Huyghebaert N,Snoeck V,Vermeire A,Goddeeris B,Cox E,Remon JP,Remaut E.Nat Biotechnol.2003 Jul;21(7)785-9
Makino S,Ikegami S,Kano H,Sashihara T,Sugano H,Horiuchi H,Saito T,Oda M.J Dairy Sci.2006 Aug;89(8):2873-81
Kawashima T,Kosaka A,Yan H,Guo Z,Uchiyama R,Fukui R,Kaneko D,Kumagai Y,You DJ,Carreras J,Uematsu S,JangMH,Takeuchi O,Kaisho T,Akira S,Miyake K,Tsutsui H,Saito T,Nishimura I,Tsuji NM.Immunity. 2013 Jun 27;38(6):1187-97
Jounai K,Ikado K,Sugimura T,Ano Y,Braun J,Fujiwara D.PLoS One.2012;7(4):e32588

発明が解決しようとする課題

0011

本発明の課題は、高い自然免疫活性化能を有する乳酸菌を提供することであり、また、該乳酸菌、該乳酸菌の死菌若しくは該乳酸菌の処理物を有効成分とする自然免疫活性化剤、及び、該乳酸菌若しくは該自然免疫活性化剤を含有する飲食品を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、キウイフルーツから新規の乳酸菌を分離した。そして、特許文献1に開示されている、自然免疫活性化反応を簡便に測定できる方法を用いて検討した結果、これまでに知られている乳酸菌より高い自然免疫活性化能を有していることが確認された。

0013

上記の自然免疫活性化能を有する乳酸菌は、その性状分析や16SrRNA塩基配列等の解析結果、ラクトコッカス(Lactococcus)属に属する新規乳酸菌株(以下、「11/19−B1株」と略記する場合がある)であることが判明した。

0014

また、上記の乳酸菌を含有するヨーグルトを食用したカイコに、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌メチシリン耐性黄色ブドウ球菌緑膿菌、又は、エンテロコッカス・ムンディディを注射した結果、該菌に感染したカイコは、高い抵抗性を示すことを見出して、本発明を完成するに至った。

0015

すなわち、本発明は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)における受領番号がNITE ABP−01694であるラクトコッカス(Lactococcus)属に属する乳酸菌を提供するものである。
以下、この発明の態様を「態様1」とする。

0016

また、本発明は、受領番号NITEABP−01694で寄託されているラクトコッカス属に属する乳酸菌、該乳酸菌の死菌、又は、該乳酸菌の処理物を有効成分とする自然免疫活性化剤であって、上記乳酸菌の処理物は、乳酸菌の培養物濃縮物ペースト化物噴霧乾燥物凍結乾燥物真空乾燥物、ドラム乾燥物等の乾燥物液状化物希釈物破砕物;殺菌加工物、及び、該培養物からの抽出物よりなる群から選ばれる少なくとも1つの処理物であることを特徴とする自然免疫活性化剤を提供するものである。
以下、この発明の態様を「態様2」とする。

0017

また、本発明は、受領番号NITEABP−01694で寄託されているラクトコッカス属に属する乳酸菌を含有する飲食品を提供するものであり、また、上記自然免疫活性化剤を含有する飲食品を提供するものである。また、該乳酸菌を用いて発酵する工程を用いて製造された飲食品を提供するものである。
以下、この発明の態様を「態様3」とする。

0018

また、本発明は、受領番号NITEABP−01694で寄託されているラクトコッカス属に属する乳酸菌を含有する発酵乳であり、該発酵乳は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌、及び、エンテロコッカス・ムンディディからなる群から選ばれる少なくとも1つの菌に対して抵抗性を有する発酵乳を提供するものである。
以下、この発明の態様を「態様4」とする。

発明の効果

0019

本発明によれば、これまでに知られている乳酸菌より高い自然免疫活性化能を有する新規の乳酸菌を提供することができる。
更には、該乳酸菌を有効成分とする自然免疫活性化剤、及び、該乳酸菌又は該自然免疫活性化剤を含有する飲食品を提供することができる。

0020

また、本発明の乳酸菌又は乳酸菌を含有する発酵乳を食用することにより、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、及び、エンテロコッカス・ムンディディからなる群から選ばれる少なくとも1つの菌に対して高い抵抗性を得ることができる。
これらの菌は院内感染を引き起こす原因菌であり、該発酵乳を食用することにより、これらの菌による感染を予防又は治療することができる。

図面の簡単な説明

0021

(A)緑膿菌、及び(B)メチシリン感受性黄色ブドウ球菌をカイコに感染させたときの11/19−B1ヨーグルトのプロバイオティクス効果を検証したグラフである。■が11/19−B1ヨーグルトを含有させたを食用させた結果、◆が通常の餌を食用させた結果を表す。
(A)メチシリン感受性黄色ブドウ球菌、(B)メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、及び(C)エンテロコッカス・ムンディディをカイコに感染させたときの11/19−B1ヨーグルトのプロバイオティクス効果を検証したグラフである。■が11/19−B1ヨーグルトを含有させた餌を食用させた結果、◆が通常の餌を食用させた結果を表す。
(A)11/19−B1ヨーグルト、及び(B)11/19−B1生菌粉末を含む餌をカイコに食用させた後、緑膿菌を感染させたときのプロバイオティクス効果を検証したグラフである。■が11/19−B1ヨーグルト(A)又は11/19−B1生菌粉末(B)を含有させた餌を食用させた結果、◆が通常の餌を食用させた結果を表す。
(A)餌に含有させる11/19−B1ヨーグルトの量を変化させることによるプロバイオティクス効果の変化を示したグラフである。(B)ヨーグルト摂取量及び緑膿菌のLD50の相関性を示すグラフである。

0022

以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。

0023

<態様1>
本発明の態様1は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)における受領番号がNITE ABP−01694であるラクトコッカス(Lactococcus)属に属する乳酸菌である。

0024

以下、この新規乳酸菌株(11/19−B1株)について詳述する。
形態:本11/19−B1株は、グラム陽性の桿菌であり、鞭毛は認められず、運動性がない。本株は、果実を分離源として分離された。

0025

培地における生育状況
(1)GAM及びMRS寒天培地上では白色のコロニーを形成する。拡散性色素は認められない。
(2)炭酸カルシウム入りMRS寒天培地上では乳酸の生成に伴う透明帯の形成が認められる。

0026

生理学的性質:本11/19−B1株の生理学的、化学分類学的性質は以下の通りである。
(1)酸素に対する態度嫌気的
(2)カタラーゼ:−
(3)アルカリフォスファターゼ:−
(4)エステラーゼ:−
(5)エステラーゼリパーゼ:−
(6)リパーゼ:−
(7)ロイシンアリルアミダーゼ:−
(8)バリンアリルアミダーゼ:−
(9)シスチンアリルアミダーゼ:−
(10)トリプシン:−
(11)α−キモトリプシン:−
(12)酸性フォスファターゼ:+
(13)ナフトール−AS−BI−フォスフォトロラーゼ:+
(14)α−ガラクトシダーゼ:−
(15)β−ガラクトシダーゼ:−
(16)β−グルクロニダーゼ:−
(17)α−グルコシダーゼ:−
(18)β−グルコシダーゼ:−
(19)N−アセチル−β−グルコサミニダーゼ:−
(20)α−マンノシダーゼ:−
(21)α−フコシダーゼ:−

0027

(22)下記の糖類等からの酸及びガスの生成能
グリセロール(Glycerol):−
エリトリトール(Erythritol):−
D−アラビノース(D−Arabinose):−
L−アラビノース(L−Arabinose):+
D−リボース(D−Ribose):+
D−キシロース(D−Xylose):+
L−キシロース(L−Xylose):−
D−アドニトール(D−Adonitol):−
メチル−β−D−キシロピラノサイド(methyl−β−D−xylopyranoside):−
D−ガラクトース(D−Galactose):±
D−グルコース(D−Glucose):+
D−フルクトース(D−Fructose):+
D−マンノース(D−Mannose):+
L−ソルボース(D−Sorbose):−
L−ラムノース(L−Rhamnose):−
ズルシトール(Dulcitol):−
イノシトール(Inositol):−
D−マンニトール(D−Mannitol):+
D−ソルビトール(D−Sorbitol):−
メチル−α−D−マンノピラノサイド(methyl−α−D−mannopyranoside):−
メチル−α−D−グルコピラノサイド(methyl−α−D−glucopyranoside):−
N−アセチルグルコサミン(N−Acetyl glucosamine):+
アミグダリン(Amygdalin):±
アルブチン(Arbutin):+
エスクリン(Esculin):+
サリシン(Salicin):+
D−セロビオース(D−Cellobiose):−
D−マルトース(D−Maltose):+
D−ラクトース(D−Lactose):+
D−メリビオース(D−Melibiose):−
D−スクロース(D−Sucrose):+
D−トレハロース(D−Trehalose):+
インスリン(Insulin):−
D−メレジトース(D−Melezitose):−
D−ラフィノース(D−Raffinose):−
スターチ(Starch):−
グリコーゲン(Glycogen):−
キシリトール(Xylitol):−
ゲンチオビオース(Gentiobiose):+
D−ツラノース(D−Turanose):−
D−リキソース(D−Lyxose):−
D−タガトース(D−Tagatose):−
D−フコース(D−Fucose):−
L−フコース(L−Fucose):−
D−アラビトール(D−Arabitol):−
L−アラビトール(L−Arabitol):−
グルコネート(Gluconate):±
2−ケト−グルコネート(2−Keto−gluconate):−
5−ケト−グルコネート(5−Keto−gluconate):−

0028

分子生物学的解析結果:分子生物学的な系統分類指標として用いられている16SrRNAに関する11/19−B1株の解析結果は以下の通りである。
11/19−B1株のゲノムDNAから、PCRにより、16S rRNA領域の塩基配列を増幅し、シーケンサーによる解析を行った結果、5’末端側、3’末端側のいくつかの塩基を除く16S rRNAのほぼ全長に当たる塩基配列が見出された。この塩基配列を配列表の配列番号1に示す。配列表の配列番号1の塩基配列は、16S rRNAの全長ではないため、16S rRNA「領域」とした。
この塩基配列をNCBIのBLAST相同性検索を行ったところ、11/19−B1株の16S rRNA領域の塩基配列は、ラクトコッカス属であるLactococcus lactis subsp.lactisIL1403、Lactococcus lactis subsp.hordniae NCDO2181、Lactococcus lactis subsp.lactis NCDO 604株の塩基配列(NR_103918,NR_040956,NR_040955)と相同率99%を示した。しかしながら、完全には一致していないので、11/19−B1株とは異なるものである。

0029

以上の11/19−B1株の性質を、バージース・マニュアルオブシステマティックバクテリオロジー(Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology,vol.3 1989)による分類及びその他の文献の記載内容に照らし合わせ、更に、16SrRNA解析の結果を考慮して総合的に判断した結果、11/19−B1株は、ラクトコッカス(Lactococcus)属に属する微生物であると判断した。

0030

また、11/19−B1株の16SrRNA領域の塩基配列に一致する16S rRNA領域の塩基配列を有する微生物が存在しないこと、ラクトコッカス・ラクティスに属する既知の株と比べて、高い自然免疫活性化能を示すこと等を含め総合的に判断した結果、11/19−B1株は、新規な微生物株であると判断した。

0031

11/19−B1株は、千葉県木更津市かずさ足2−5−8、独立行政法人製品評価技術基盤機構(Natural Institute of Technology and Evaluation、以下、「NITE」と略記する)の特許微生物寄託センター(NPMD)に国内寄託され、受託番号:NITE P−01694(寄託日:2013年8月20日)として受託された微生物である。
「11/19−B1」は、その後、千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)に、原寄託申請書提出して、国内寄託(原寄託日:2013年8月20日)から、ブタペスト条約に基づく寄託への移管申請を行った(受領日:2014年10月15日、受領番号「NITE ABP−01694」)。

0032

バクテリアの一般的な性状として、その菌株としての性質は変異し易いため、11/19−B1株は、先に示した生理学的性状の範囲内に留まらない可能性も有している。また、かかる「変異」には、自然的な変異と人工的な変異の両方を含むことは言うまでもない。

0033

以下に、11/19−B1株の培養方法について記載する。11/19−B1株の培養方法は、ラクトコッカス属の微生物に対して行われる一般的な培養方法に準じて行えばよい。
培養は嫌気条件下で行うことが好ましい。培地中の炭素源としては、例えば、L−アラビノース、D−リボース、D−キシロース、D−ガラクトース、D−マンノース、D−マンニトール、N−アセチルグルコサミン、アミグダリン、アルブチン、エスクリン、サリシン、D−セロビオース、D−マルトース、D−ラクトース、D−トレハロース、ゲンチオビオース、グルコネート、D−グルコース、D−フラクトースシュクロース糖蜜水飴油脂類等の有機炭素化合物が用いられ、窒素源としては、肉エキスカゼインペプトン酵母エキス乾燥酵母胚芽大豆粉尿素アミノ酸アンモニウム塩等の有機無機窒素化合物を用いることができる。
また、塩類は、ナトリウム塩カリウム塩カルシウム塩マグネシウム塩リン酸塩鉄塩銅塩亜鉛塩コバルト塩等の無機塩類を必要に応じて適宜添加する。更に、ビオチンビタミンB1、シスチン、オレイン酸メチルラード油等の生育促進物質を添加することが、目的物の産生量を増加させる点で好ましい。
また、シリコン油界面活性剤等の消泡剤を添加してもよい。調製済みの培地としては、例えば、MRS培地、GAM培地等を用いることが好ましい。

0034

培養条件は、先に記したようにラクトコッカス属の微生物に対して行われる一般的な培養条件に準じて行えばよい。液体培養法であれば静置培養が望ましい。小規模であれば蓋付ガラス瓶による静置培養法を用いてもよい。培養温度は、25℃〜37℃間に保つことが好ましく、37℃近辺で行うことがより好ましい。培養pHは、7付近で行うことが好ましい。培養期間は、用いた培地組成、培養温度等により変動するファクターであるが、11/19−B1株の場合、通常は12〜48時間程度、好ましくは12〜24時間程度の短期間に充分な量の目的物を確保することができる。

0035

<態様2>
本発明の態様2は、態様1の乳酸菌、該乳酸菌の死菌、又は、該乳酸菌の処理物を有効成分とする自然免疫活性化剤であって、
上記乳酸菌の処理物は、乳酸菌の培養物、濃縮物、ペースト化物、噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物等の乾燥物、液状化物、希釈物、破砕物、殺菌加工物及び該培養物からの抽出物よりなる群から選ばれる少なくとも1つの処理物であることを特徴とする自然免疫活性化剤である。
すなわち、本発明の態様2は、態様1の乳酸菌、該乳酸菌の死菌、又は、該乳酸菌の処理物を有効成分とする自然免疫活性化剤である。

0036

本発明の自然免疫活性化剤は、態様1の乳酸菌を種々の状態で含むことができ、例えば、乳酸菌懸濁液、乳酸菌培養物菌体培養上清液培地成分を含む))が挙げられる。

0037

本発明の自然免疫活性化剤は、態様1の乳酸菌をそのまま含んでもよく、又は、態様1の乳酸菌に何らかの処理を施した乳酸菌処理物として含んでもよい。
本発明の自然免疫活性化剤に用いられる乳酸菌の処理物としては、具体的には、例えば、乳酸菌の培養物;濃縮物;ペースト化物;噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物等の乾燥物;液状化物;希釈物;破砕物;殺菌加工物;該培養物からの抽出物;等が挙げられる。

0038

乳酸菌としては、生菌体、湿潤菌、乾燥菌等が適宜使用可能である。
また、殺菌、すなわち、加熱殺菌処理放射線殺菌処理破砕処理等を施した死菌であってもよい。

0039

本発明の自然免疫活性化剤中の有効成分である、乳酸菌、該乳酸菌の死菌、該乳酸菌の処理物の、自然免疫活性化剤全体に対する含有量は、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができるが、自然免疫活性化剤全体を100質量部としたときに、乳酸菌、該乳酸菌の死菌、該乳酸菌の処理物の合計量として、0.001〜100質量部の含量で配合することが好ましく、より好ましくは0.01〜99質量部、特に好ましくは0.1〜95質量部、更に好ましくは1〜90質量部の含量で配合することができる。

0040

また、前記有効成分は、何れか1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の、前記自然免疫活性化剤中の各々の有効成分の含有比についても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0041

本発明の自然免疫活性化剤は、粉ミルク等、生物学的規格を有する医薬品及び/又は飲食品においても添加することも可能であり、医薬品及び/又は飲食品の形態等によらず様々な医薬品及び/又は飲食品に応用できる。

0042

また、本発明の自然免疫活性化剤は、有効成分である、乳酸菌、該乳酸菌の死菌、該乳酸菌の処理物に加えて、「その他の成分」を含有することができる。

0043

前記自然免疫活性化剤における、上記「その他の成分」としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬学的に許容され得る担体等が挙げられる。
かかる担体としては、特に制限はなく、例えば、後述する剤型等に応じて適宜選択することができる。また、前記自然免疫活性化剤中の前記「その他の成分」の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0044

本発明の自然免疫活性化剤の剤型としては、特に制限はなく、例えば、後述するような所望の投与方法に応じて適宜選択することができる。
具体的には、例えば、経口固形剤錠剤被覆錠剤顆粒剤散剤カプセル剤等)、経口液剤内服液剤シロップ剤エリキシル剤等)、注射剤溶剤懸濁剤等)、軟膏剤貼付剤ゲル剤クリーム剤外用散剤、スプレー剤吸入散布剤等が挙げられる。

0045

前記経口固形剤としては、例えば、前記有効成分に、賦形剤、更には必要に応じて結合剤崩壊剤滑沢剤着色剤、矯味・矯臭剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖白糖塩化ナトリウムブドウ糖デンプン、炭酸カルシウム、カオリン微結晶セルロース珪酸等が挙げられる。
前記結合剤としては、例えば、水、エタノールプロパノール単シロップブドウ糖液デンプン液ゼラチン液カルボキシメチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルスターチメチルセルロースエチルセルロースシェラックリン酸カルシウムポリビニルピロリドン等が挙げられる。
前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプンアルギン酸ナトリウムカンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウムステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。
前記滑沢剤としては、例えば、精製タルクステアリン酸塩ホウ砂ポリエチレングリコール等が挙げられる。
前記着色剤としては、例えば、酸化チタン酸化鉄等が挙げられる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸酒石酸等が挙げられる。

0046

前記経口液剤としては、例えば、前記有効成分に、矯味・矯臭剤、緩衝剤安定化剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、トラガントアラビアゴムゼラチン等が挙げられる。

0047

前記注射剤としては、例えば、前記有効成分に、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下用、筋肉内用静脈内用等の注射剤を製造することができる。
前記pH調節剤及び前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウムリン酸ナトリウム等が挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウムEDTAチオグリコール酸チオ乳酸等が挙げられる。前記等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。前記局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン塩酸リドカイン等が挙げられる。

0048

前記軟膏剤としては、例えば、前記有効成分に、公知の基剤、安定剤、湿潤剤保存剤等を配合し、常法により混合し、製造することができる。
前記基剤としては、例えば、流動パラフィン白色ワセリンサラシミツロウオクチルドデシルアルコールパラフィン等が挙げられる。前記保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチルパラオキシ安息香酸エチルパラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。

0049

前記貼付剤としては、例えば、公知の支持体に前記軟膏剤としてのクリーム剤、ゲル剤、ペースト剤等を、常法により塗布し、製造することができる。前記支持体としては、例えば、綿、スフ化学繊維からなる織布、不織布、軟質塩化ビニルポリエチレンポリウレタン等のフィルム発泡体シート等が挙げられる。

0050

本発明の自然免疫活性化剤は、例えば、自然免疫機構の活性化を必要とする個体(例えば、健康維持や疲労回復を必要とする個体;癌や生活習慣病の予防や治療を必要とする個体;細菌、真菌、ウイルス等に感染した個体;等)に投与することにより使用することができる。

0051

本発明の自然免疫活性化剤の投与対象動物としては、特に制限はないが、例えば、ヒト;マウスラットサルウマウシブタヤギニワトリ等の家畜ネコイヌ等のペット;等が挙げられる。

0052

また、前記自然免疫活性化剤の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、前記自然免疫活性化剤の剤型等に応じ、適宜選択することができ、経口投与腹腔内投与、血液中への注射、腸内への注入等が挙げられる。
また、前記自然免疫活性化剤の投与量としては、特に制限はなく、投与対象である個体の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、成人への1日の投与量は、有効成分の量として、1mg〜30gが好ましく、10mg〜10gがより好ましく、100mg〜3gが特に好ましい。
また、前記自然免疫活性化剤の投与時期としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、予防的に投与されてもよいし、治療的に投与されてもよい。

0053

<態様3>
本発明の態様3は、上記本発明の乳酸菌又は上記本発明の自然免疫活性化剤を含有する飲食品である。

0054

上記乳酸菌又は上記自然免疫活性化剤を含有する飲食品(以下、「本発明の飲食品」と略記する場合がある)中の、乳酸菌又は自然免疫活性化剤の含有量は、特に制限がなく、目的や飲食品の態様(種類)に応じて、適宜選択することができるが、飲食品全体を100質量部としたときに、上記自然免疫活性化剤の合計量で、0.001〜100質量部で含有することが好ましく、より好ましくは0.01〜100質量部、特に好ましくは0.1〜100質量部の含量である。

0055

また、乳酸菌又は自然免疫活性化剤の何れか1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合の、前記飲食品中の各々の物質の含有量比には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0056

本発明の態様3の飲食品は、自然免疫活性化作用を有する。
本発明の飲食品は、本発明の態様2の自然免疫活性化剤に加えて、更に、「その他の成分」を含有することができる。

0057

かかる自然免疫活性化作用を有する本発明の飲食品における、前記「その他の成分」としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種食品原料等が挙げられる。また、「その他の成分」の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0058

前記飲食品の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゼリーキャンディーチョコレートビスケット等の菓子類緑茶紅茶コーヒー清涼飲料等の嗜好飲料;発酵乳、ヨーグルト、アイスクリーム等の乳製品野菜飲料果実飲料ジャム類等の野菜果実加工品スープ等の液体食品パン類麺類等の穀物加工品;各種調味料;等が挙げられる。中でも、ヨーグルト、発酵乳等の乳製品が好ましい。
これらの飲食品の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、通常の各種飲食品の製造方法に応じて、適宜製造することができる。

0059

また、前記飲食品は、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口固形剤や、内服液剤、シロップ剤等の経口液剤として製造されたものであってもよい。前記経口固形剤、経口液剤の製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記した薬剤の経口固形剤、経口液剤の製造方法にならい、製造することができる。

0060

前記飲食品は、自然免疫機構の活性化を目的とした、機能性食品、健康食品等として、特に有用であると考えられる。

0061

上記11/19−B1株は、キウイフルーツから人為的に分離された、新規の乳酸菌である。キウイフルーツ以外には、自然界において、11/19−B1株は単離された形では存在しない。従って、人為的に分離された11/19−B1株は自然界に存在する物質そのものでない。従って、該11/19−B1株を含有する自然免疫活性化剤も、該11/19−B1株を含有する飲食品も、何れも自然産物には該当しない。
況や、自然界では、上記11/19−B1株と乳とが接触することはなく、上記菌株が飲食品として存在することもないので、本発明の発酵乳と飲食品は自然界に存在していたことはなく、従ってこれらは何れも自然産物には該当しない。

0062

本発明の乳酸菌又は自然免疫活性化剤を飲食品の製造に使用する場合、製造方法は当業者に周知の方法によって行うことができる。当業者であれば、本発明の乳酸菌の菌体又は処理物を他の成分と混合する工程、成形工程、殺菌工程、発酵工程、焼成工程、乾燥工程、冷却工程、造粒工程、包装工程等を適宜組み合わせ、目的の飲食品を作ることが可能である。

0063

また、本発明の乳酸菌を各種発酵乳の製造に使用する場合、当業者に周知の方法を用いて製造することができる。例えば、本発明の乳酸菌を発酵乳に死菌として所要量添加する工程を用いて製造された飲食品や、乳酸菌スターターとして本発明の乳酸菌を用いて発酵する工程を用いて製造された飲食品が挙げられる。
乳酸菌スターターとして本発明の乳酸菌を用いて発酵を行う場合、本発明の乳酸菌の培養条件と同様の条件等で行うことができる。

0064

<態様4>
本発明の態様4は、上記本発明の乳酸菌を含有する発酵乳であり、該発酵乳は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌、及び、エンテロコッカス・ムンディディからなる群から選ばれる少なくとも1つの菌に対して抵抗性を有することを特徴とする発酵乳である。

0065

発酵乳とは、等の乳を、乳酸菌や酵母で発酵させた乳製品であり、例えば、ヨーグルト、等が挙げられる。

0066

上記本発明の乳酸菌を含有する発酵乳が、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(Methicillin−sensitive Staphylococcus aureus(MSSA))、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin−resistant Staphylococcus aureus(MRSA))、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、及び、エンテロコッカス・ムンディディ(Enterococcus mundtii)の何れの菌についても抵抗性を有することは、実施例4〜6の結果に示されている。

0067

上記発酵乳の接種対象者は、健常者も種々の感染症に対する抵抗力を高めるという意味でもちろん摂取対象者であり、各種の感染症を有する者も自然免疫機能の低下に伴う疾患者に限定することなく、全身の自然免疫機能の活性化を目的としてほとんどの疾患を有する者に使用することができる。更に動物に対しても、飼料動物用薬品等種々の形態で適用することができる。
上記発酵乳は、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌、緑膿菌、及び、エンテロコッカス・ムンディディによる感染の予防又は治療に用いられることが好ましく、特に緑膿菌感染の予防又は治療に用いられることが好ましい。

0068

以下、実施例及び検討例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等の具体的範囲に限定されるものではない。

0069

実施例において使用する「11/19−B1株」は、上述の如く、キウイフルーツから分離されたものである。ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)に属する乳酸菌11/19−B1株として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に寄託されている(受託番号:NITEP−01694、寄託日:2013年8月20日)。
「11/19−B1」は、その後、千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)に、原寄託申請書を提出して、国内寄託(原寄託日:2013年8月20日)から、ブタペスト条約に基づく寄託への移管申請を行った(受領日:2014年10月15日、受領番号「NITE ABP−01694」)。

0070

実施例1
<自然免疫活性化活性の測定>
GAM培地で一晩培養した11/19−B1株を、121℃、20分で滅菌処理後、50μLを5齢カイコの断頭筋肉標本に注射し、緩行性筋収縮により自然免疫活性化活性を測定した。
緩行性筋収縮による自然免疫活性化活性の測定は、Ishii K.,Hamamoto H., Kamimura M., Sekimizu K., J.Biol.Chem. Jan.25;283(4):2185-91(2008)に記載の方法に従って行った。
すなわち、5齢カイコの断頭筋肉標本に、上記試料0.05mLを血液内投与し、C値が最大となったとき(約10分後)に体長を測定して、注射前の体長から注射後の体長を引き算し、その値を注射前の体長で割り算した値であるC値(Contraction Value)を測定した。

0071

比較例1
GAM培地で一晩培養した培養したラクトバチルスブルガリクスLL1073株を、121℃、20分で滅菌処理後、50μLを断頭カイコに注射し、筋収縮により自然免疫活性化活性を測定した。

0072

比較例2
GAM培地で一晩培養した培養したラクトバチルス・カゼイYIT9029株を、121℃、20分で滅菌処理後、50μLを断頭カイコに注射し、筋収縮により自然免疫活性化活性を測定した。

0073

比較例3
GAM培地で一晩培養した培養したラクトコッカス・ラクティスJCM5805株を、121℃、20分で滅菌処理後、50μLを断頭カイコに注射し、筋収縮により自然免疫活性化活性を測定した。

0074

実施例1及び比較例1〜3の結果を表1に示す。C値=0.15を、1(U)ユニットと定義する。

0075

0076

比較例1〜3の乳酸菌は、実際に市販の発酵乳の製造に用いられている乳酸菌である。
表1に示されるように、実施例1の乳酸菌は、比較例1〜3に比べてより高い自然免疫活性化能を有することが分かった。
11/19−B1株、及び、その死菌は、自然免疫活性化能が高いことから、11/19−B1株は、自然免疫を活性化させる「発酵乳等の飲食品」の生産菌として有望であることが示唆された。

0077

検討例1
<16SrRNA解析>
11/19−B1株の16S rDNAの塩基をゲノムDNAからPCR法によって増幅し、増幅できたDNA断片についてシーケンサーによって解析し、5’末端側、3’末端側のいくつかの塩基を除く配列番号1に示すほぼ16S rRNA領域全長に相当する塩基配列を決定した。
この塩基配列を元に、NCBIのBLASTを用いて既存の菌株との相同性検索を行った。その結果、11/19−B1株は、既存のLactococcus lactisIL1403株と99%の相同性を示したことから、ラクトコッカス(Lactococcus)属に属する微生物であると考えられた。

0078

<11/19−B1株の新規性について>
11/19−B1株は、糖の発酵能化学的性質について既存のLactococcus lactisに相似する点が多く、細菌944株のapi web v5.1 database(シスメックスビオメリュー)による解析では、Lactococcus lactis ssp lactis 1と77.2%の同一性を示し、Lactobacillus brevis 1と21.9%の同一性を示した点で全く異なっている。この点は、既存の菌株との大きな相違点である。尚、Lactobacillus brevisである可能性は11/19−B1株のグラム染色像がグラム陽性球菌であることから排除される。よって、以上の結果から、11/19−B1株は、ラクトコッカス(Lactococcus)属に属する新規な微生物であると判定した。

0079

実施例2
<自然免疫活性化剤の製造>
<<錠剤>>
培養した11/19−B1株を、121℃、20分で滅菌処理後、濃縮した。該濃縮させた11/19−B1株の培養液20.0mg、ラクトース40mg、デンプン20mg、及び、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース5mgを均一に混合した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース8質量%水溶液を結合剤として湿式造粒法打錠用顆粒を製造した。これに、滑沢性を与えるのに必要なステアリン酸マグネシウムを0.5mg〜1mg加えてから打錠機を用いて打錠し、錠剤とした。

0080

<<液剤>>
上記濃縮させた11/19−B1株の培養液10.0mgを、2質量%の2−ヒドロキシプロピル−β−サイクロデキストリン水溶液10mLに溶解し、注射用液剤とした。

0081

実施例3
<発酵乳の製造>
牛乳を95℃で5分間殺菌した後、40℃に冷却し、11/19−B1株を0.001質量部加えた。そして、37℃、72時間で発酵して、発酵乳を得た。該発酵乳を10℃以下で冷却してから、風味と物性を確認した。
その結果、風味と物性は何れも極めて良好であった。

0082

実施例4
<11/19−B1ヨーグルトのプロバイオティクス効果>
生体外の実験では、11/19−B1株の培養液、培養上清、及び、11/19−B1株を用いて製造されたヨーグルトには抗菌活性が見られなかった(図示せず)。
11/19−B1株を用いて製造されたヨーグルトのプロバイオティクス効果(生菌を利用して腸内バランスを改善し、抵抗力や免疫力を高める効果)を検証した。

0083

<<カイコ菌感染モデルの作製>>
LB培地で一晩培養した緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa PAO1)又はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureusMSSA1)の培養液を、滅菌した0.9質量%NaCl溶液希釈し、5齢2日目のカイコ幼虫平均体重2g)に50μLずつ血液内注射した。

0084

<<ヨーグルトの作製>>
乳酸菌(11/19−B1株)末50mgを生理食塩水滅菌済み0.9質量%NaCl溶液)1mLに懸濁し、懸濁液50μLを、0.267質量%グルコース及び0.025質量%カザミノ酸を含む牛乳200mL中に混ぜ、滅菌したガラス瓶中で、37℃、3日間保温した。以下、作製したヨーグルトを、「11/19−B1ヨーグルト」と略記する。

0085

<<検証方法>>
11/19−B1ヨーグルトを含有する餌、又は、対照として通常の餌をカイコに一晩与えた後、カイコに菌を感染させた。通常の餌として、人工飼料シルクメイト2S(日本農産工業)を用いた。ここで、「11/19−B1ヨーグルトを含有する餌」とは、通常の餌に、11/19−B1ヨーグルトを混合させた餌である。
1群当たりのカイコの総数は7匹とし、緑膿菌又はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌の接種2日後に生死を判定し、生存曲線からLD50(50%半数致死量)を算出した。ネガティブコントロールには0.9質量%NaCl溶液を用いた。結果を図1に示す。
図1中、縦軸生存率(Survival%)、横軸は感染2日後の生存率における菌の用量依存性を表す(OD600)。

0086

また、同様の手法を用い、グラム陽性細菌である、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(S.aureusMSSA1)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S.aureusMRSA4)、又は、エンテロコッカス・ムンディディ(Enterococcus mundtii 12/5−1)をカイコに感染させ、プロバイオティクス効果を検証した。結果を図2に示す。

0087

図1及び図2の結果より、カイコに感染させたP.aeruginosa PAO1、S.aureusMSSA1、S.aureusMRSA4及びエンテロコッカス・ムンディディについて、11/19−B1ヨーグルトを含有させた餌を食用させることにより、カイコは何れの菌についても高い抵抗性を示した。

0088

以上の結果から、11/19−B1ヨーグルトのプロバイオティクス効果が認められた。特に、緑膿菌を感染させたとき(図1(A))に強い効果が認められたことより、緑膿菌感染の予防の可能性が示唆された。

0089

実施例5
<カイコ緑膿菌感染モデルでの11/19−B1ヨーグルト及び11/19−B1生菌粉末の効果の比較>
次に、緑膿菌を感染させたときに強い効果を示した要因を検証した。
10リットルスケールで11/19−B1株を培養し、生菌粉末を作製した。以下、作製した生菌粉末を、「11/19−B1生菌粉末」と略記する。
実施例4と同様の手法により、11/19−B1ヨーグルト(8×107 cfu/g、0.5g/個体)を含有する餌、11/19−B1生菌粉末(4×108 cfu/g、0.1g/個体)を含有する餌、又は、通常の餌をカイコに一晩与えた後、カイコに緑膿菌(P.aeruginosa PAO1)を感染させた。
結果を図3及び表2に示す。

0090

0091

また、図3及び表2の結果より、カイコに感染させた緑膿菌(P.aeruginosa PAO1)について、11/19−B1生菌粉末によるプロバイオティクス効果が認められた。
また、11/19−B1ヨーグルト及び11/19−B1生菌粉末は同等の効果であったから、11/19−B1による緑膿菌感染死の予防効果は、菌自体に含まれる成分によるプロバイオティクス効果であるものではないかと示唆された。

0092

実施例6
<カイコ緑膿菌感染モデルでの11/19−B1ヨーグルト摂取量とLD50との相関性>
実施例4と同様の手法により、餌全体に対して、11/19−B1ヨーグルトを6質量%、11質量%、20質量%、33質量%をそれぞれ含有する餌、又は、対照として通常の餌をカイコに一晩与えた後、カイコに緑膿菌(P.aeruginosa PAO1)を感染させた。

0093

結果を図4に示す。図4Bは、ヨーグルト摂食量と、(P.aeruginosa PAO1)のLD50との相関性を示したグラフである。図4B中、縦軸は、LD50比((11/19−B1ヨーグルトを含有する餌を与えた場合のLD50値)/(11/19−B1ヨーグルトを含有していない通常の餌を与えた場合のLD50値))であり、横軸は、餌全体に対するヨーグルトの割合(質量%)である。

実施例

0094

図4の結果、ヨーグルト摂食量とLD50とは相関性があることがわかった。

0095

本発明の新規乳酸菌は、高い自然免疫活性化能を有する。よって、本発明の乳酸菌を利用した、自然免疫を活性化させる自然免疫活性化剤又は飲食品を提供することができ、食品業界や医薬品業界等で広く利用可能である。

0096

本願は、2013年10月17日に出願した日本の特許出願である特願2013−216517に基づくものであり、その出願の全ての内容はここに引用し、本発明の明細書の開示として取り込まれるものである。

受領番号

0097

NITEABP−01694

0098

配列番号1は、ラクトコッカス(Lactococcus)属に属する未知の菌株の、16SrRNAのほぼ全長にあたる塩基配列である。

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