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技術 希土類オキシ硫化物の製造方法、セラミックスシンチレータ及びその製造方法並びにシンチレータアレイ及び放射線検出器

出願人 日立金属株式会社
発明者 寺澤慎祐新田英雄
出願日 2014年9月10日 (5年1ヶ月経過) 出願番号 2015-539090
公開日 2017年3月9日 (2年7ヶ月経過) 公開番号 WO2015-045870
状態 特許登録済
技術分野 アルカリ土類,Al,希土類金属化合物 X線可視像変換 放射線診断機器 酸化物セラミックスの組成1 酸化物セラミックスの組成2 発光性組成物
主要キーワード ホットバス 希土類オキシ硫化物 硫酸添加後 角ばった ビニル袋 中和水溶液 オキシ硫化物 希土類元素濃度
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

希土類オキシ硫化物の製造方法であって、希土類化合物硫酸及び/又は硫酸塩とを、希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.75〜1.75 molとなるように混合して反応液を調整し、生成物を得る混合工程と、生成物を仮焼して仮焼粉を得る仮焼工程と、仮焼粉を還元して希土類オキシ硫化物を得る還元工程と、含むことを特徴とする希土類オキシ硫化物の製造方法。

概要

背景

X線診断装置の一つにコンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography:以下CT装置と省略)がある。このCT装置は扇状ファンビームX線を発生するX線管と、多数のX線検出素子を被検体の周囲に配置させたX線検出器とから構成される。まず、X線管から出たファンビームX線は被検体に照射され、被検体を透過したX線の大きさをX線検出器で測定し、コンピュータでそのデータを解析することによって断層面内の状態を表示する機能を持つ。測定したデ−タに基づいてコンピュータ内で解析してX線を照射した断層面の個々の位置におけるX線吸収率が算出され、その吸収率に応じた画像が視覚化される。

X線等の放射線を検出するための放射線検出器として、Pr,Ce,Eu,Tb等を発光元素としたGd2O2S,Y2O2S,Lu2O2S等の希土類オキシ硫化物粉末焼結したセラミックスシンチレータシリコンフォトダイオードを組み合わせた放射線検出素子を用いた放射線検出器が開発実用化されている。放射線検出器には、複数の放射線検出素子が1列又は多数列に配列されており、1度に多くの位置のX線を検出できる構造が一般的である。セラミックスシンチレータを用いた放射線検出器では、検出素子を小型化することができるとともに、チャンネル数を増やすことが容易であることから、解像度の高い画像を得ることが可能となる。

こうした放射線検出素子においては、放射線の吸収に応じてシンチレータが発する光の強度(発光強度)が大きいほど高感度となる。また最近放射線を利用した診断装置には人体被爆線量の低減が強く求められてきており、走査時間の短縮が重要課題となってきている。現状より更に走査時間を短くしようとすると、一つの検出素子における積分時間は短くなり、積分時間中に吸収する放射線総量は低下することになる。そのため、特にシンチレータの発光効率が高い(発光強度が大きい)ことが必要である。

特許第2989184号公報は、十分な発光強度を有するセラミックスシンチレータを製造する方法として、希土類酸化物硫黄及びアルカリフラックスを混合し、アルミナルツボにて仮焼し、得られた仮焼物を純水にてほぐした後、純水、塩酸及び温水で順次洗浄してシンチレータ粉末を生成し、この粉末を軟鋼カプセルに入れて熱間静水圧プレスを用いて焼結する方法を開示している。

特開2000-313619号公報は、シンチレータに用いる希土類オキシ硫化物粉末を価格的に有利に製造する方法として、少なくとも一つの希土類酸化物を水中に懸濁させ、希土類の酸化物1molにつき硫酸1mol、又は少なくとも1つの希土類に相応して溶かした硫酸塩を添加し、得られた粉末状沈殿物を仮焼し、得られた希土類オキシ硫酸塩還元する方法を開示している。

特表2004-525848号公報は、希土類オキシ硫化物を有機粉砕液添加下湿式粉砕することにより10μm未満の粒径の粉末に調節し、この粉末から40〜60%の成形体密度を有する粉末体を製造し、得られた粉末体を真空中又は不活性ガス中で1200〜1450℃の温度で常圧下で焼結させることで、高密度半透明のシンチレータ—セラミックを製造する方法を開示している。

概要

希土類オキシ硫化物の製造方法であって、希土類化合物と硫酸及び/又は硫酸塩とを、希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.75〜1.75 molとなるように混合して反応液を調整し、生成物を得る混合工程と、生成物を仮焼して仮焼粉を得る仮焼工程と、仮焼粉を還元して希土類オキシ硫化物を得る還元工程と、含むことを特徴とする希土類オキシ硫化物の製造方法。

目的

本発明の目的の一つは、希土類オキシ硫化物を安価に製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

希土類オキシ硫化物の製造方法であって、希土類化合物硫酸及び/又は硫酸塩とを、希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.75〜1.75 molとなるように混合して反応させ、生成物を得る混合工程と、前記生成物を仮焼して仮焼粉を得る仮焼工程と、前記仮焼粉を還元して希土類オキシ硫化物を得る還元工程と、を含むことを特徴とする希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項2

前記希土類化合物は、希土類元素の酸化物水酸化物ハロゲン化物硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩リン酸塩及び炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項3

前記混合工程又は前記仮焼工程の後に、前記生成物又は前記仮焼粉を粉砕する粉砕工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項4

前記希土類化合物の希土類元素は少なくともガドリニウムを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項5

前記希土類化合物の希土類元素は少なくともガドリニウム及びプラセオジムを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項6

前記硫酸塩として前記希土類化合物と同じ希土類元素の硫酸塩を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項7

前記混合工程において、複数の希土類元素の希土類化合物を混合する場合、量の少ない希土類化合物から順に硫酸イオンを含む水溶液に添加することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項8

前記混合工程において、前記反応液を加温することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項9

前記混合工程において、前記反応液に含まれる生成物をろ過し、乾燥して粉末状の生成物を得ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項10

前記混合工程において、前記反応液を乾燥して粉末状の生成物を得ることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の希土類オキシ硫化物の製造方法。

請求項11

請求項1〜10のいずれかに記載の方法で製造された希土類オキシ硫化物粉末を造粒し、造粒粉末を得る造粒工程と、前記造粒粉末を成形し、成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼結し、希土類オキシ硫化物焼結体を得る焼結工程とを含むことを特徴とするセラミックスシンチレータの製造方法。

請求項12

前記焼結工程を大気圧下の不活性雰囲気にて行うことを特徴とする請求項11に記載のセラミックスシンチレータの製造方法。

請求項13

前記焼結工程を1300℃以上1600℃以下で行うことを特徴とする請求項11又は12に記載のセラミックスシンチレータの製造方法。

請求項14

前記焼結工程の後に、前記焼結体をアニールするアニール工程を含むことを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載のセラミックスシンチレータの製造方法。

請求項15

請求項11〜14のいずれかに記載の製造方法で製造されたセラミックスシンチレータ。

請求項16

請求項15のセラミックスシンチレータを備えたことを特徴とするシンチレータアレイ

請求項17

請求項15に記載のセラミックスシンチレータを備えたことを特徴とする放射線検出器

技術分野

0001

本発明は、希土類オキシ硫化物の製造方法、かかる希土類オキシ硫化物を使用したセラミックスシンチレータ及びその製造方法、並びにそれを用いたシンチレータアレイ及びX線CT装置等に用いる放射線検出器に関する。

背景技術

0002

X線診断装置の一つにコンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography:以下CT装置と省略)がある。このCT装置は扇状ファンビームX線を発生するX線管と、多数のX線検出素子を被検体の周囲に配置させたX線検出器とから構成される。まず、X線管から出たファンビームX線は被検体に照射され、被検体を透過したX線の大きさをX線検出器で測定し、コンピュータでそのデータを解析することによって断層面内の状態を表示する機能を持つ。測定したデ−タに基づいてコンピュータ内で解析してX線を照射した断層面の個々の位置におけるX線吸収率が算出され、その吸収率に応じた画像が視覚化される。

0003

X線等の放射線を検出するための放射線検出器として、Pr,Ce,Eu,Tb等を発光元素としたGd2O2S,Y2O2S,Lu2O2S等の希土類オキシ硫化物粉末焼結したセラミックスシンチレータとシリコンフォトダイオードを組み合わせた放射線検出素子を用いた放射線検出器が開発実用化されている。放射線検出器には、複数の放射線検出素子が1列又は多数列に配列されており、1度に多くの位置のX線を検出できる構造が一般的である。セラミックスシンチレータを用いた放射線検出器では、検出素子を小型化することができるとともに、チャンネル数を増やすことが容易であることから、解像度の高い画像を得ることが可能となる。

0004

こうした放射線検出素子においては、放射線の吸収に応じてシンチレータが発する光の強度(発光強度)が大きいほど高感度となる。また最近放射線を利用した診断装置には人体被爆線量の低減が強く求められてきており、走査時間の短縮が重要課題となってきている。現状より更に走査時間を短くしようとすると、一つの検出素子における積分時間は短くなり、積分時間中に吸収する放射線総量は低下することになる。そのため、特にシンチレータの発光効率が高い(発光強度が大きい)ことが必要である。

0005

特許第2989184号公報は、十分な発光強度を有するセラミックスシンチレータを製造する方法として、希土類酸化物硫黄及びアルカリフラックスを混合し、アルミナルツボにて仮焼し、得られた仮焼物を純水にてほぐした後、純水、塩酸及び温水で順次洗浄してシンチレータ粉末を生成し、この粉末を軟鋼カプセルに入れて熱間静水圧プレスを用いて焼結する方法を開示している。

0006

特開2000-313619号公報は、シンチレータに用いる希土類オキシ硫化物粉末を価格的に有利に製造する方法として、少なくとも一つの希土類酸化物を水中に懸濁させ、希土類の酸化物1molにつき硫酸1mol、又は少なくとも1つの希土類に相応して溶かした硫酸塩を添加し、得られた粉末状沈殿物を仮焼し、得られた希土類オキシ硫酸塩還元する方法を開示している。

0007

特表2004-525848号公報は、希土類オキシ硫化物を有機粉砕液添加下湿式粉砕することにより10μm未満の粒径の粉末に調節し、この粉末から40〜60%の成形体密度を有する粉末体を製造し、得られた粉末体を真空中又は不活性ガス中で1200〜1450℃の温度で常圧下で焼結させることで、高密度半透明のシンチレータ—セラミックを製造する方法を開示している。

発明が解決しようとする課題

0008

特許第2989184号公報の製造方法の場合、希土類酸化物と硫黄の反応時にアルカリフラックスを用いているため、得られた希土類オキシ硫化物粉末に付着しているアルカリ成分を除去するために、塩酸や純水などで洗浄する必要がある。そのため、フラックスや塩酸などが必要であるのに加え、工数も多くなり、コストがかかるという問題がある。従って、本発明の目的の一つは、希土類オキシ硫化物を安価に製造する方法を提供することである。

0009

特開2000-313619号公報の製造方法の場合、懸濁液中に希土類酸化物1molにつき硫酸1molが添加されているため、理論上は沈殿物を仮焼及び還元することにより一般式:RE2O2S(REは希土類元素を示す。)の希土類オキシ硫化物が得られる。しかし、実際は沈殿条件によって希土類イオン硫酸イオンが流出したり、仮焼時や還元時等に酸素と共に硫酸イオン等の硫化物が脱離したりすることがあり、硫黄の不足による成分ずれが生じている。それにより余剰となった希土類酸化物は希土類オキシ硫化物粉末内に不純物として残存する。そのため、かかる希土類オキシ硫化物を焼結してなるセラミックスシンチレータに希土類酸化物の異相が生じ、発光強度が悪化する。

0010

特表2004-525848号公報の製造方法では粉砕の際に生じる硫黄の脱離を完全に抑制することはできず、希土類オキシ硫化物に硫黄の空孔からなる格子欠陥が発生する。かかる希土類オキシ硫化物を焼結してなるセラミックスシンチレータにもこの格子欠陥は残存し、セラミックスシンチレータの発光強度の悪化に繋がる。従って、本発明の別の目的は、前記成分ずれや、異相が発生しにくく、大きな発光強度を有し、放射線に対して高感度な応答を示すセラミックスシンチレータ及びその製造方法を提供することである。

0011

本発明のさらに別の目的は、かかるセラミックスシンチレータを使用したシンチレータアレイ、及び、X線CT装置等に好適な放射線検出器を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

上記目的に鑑み鋭意研究の結果、発明者らは、希土類元素1molに対して0.75〜1.75 molの硫酸イオンを混合し、得られた生成物を仮焼及び還元することにより不純物の少ない希土類オキシ硫化物が得られ、かかる希土類オキシ硫化物粉末を用いて製造したセラミックスシンチレータは異相が少なく、大きな発光強度を有し、放射線に対して高感度な応答を示すことを見出し、この発明を完成した。

0013

すなわち、本発明の希土類オキシ硫化物の製造方法は、希土類化合物と硫酸及び/又は硫酸塩とを、希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.75〜1.75 molとなるように混合して反応させ、生成物を得る混合工程と、前記生成物を仮焼して仮焼粉を得る仮焼工程と、前記仮焼粉を還元して希土類オキシ硫化物を得る還元工程とを含むことを特徴とする。

0014

前記希土類化合物は、希土類元素の酸化物、水酸化物ハロゲン化物硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩リン酸塩及び炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つであるのが好ましい。

0015

前記混合工程又は前記仮焼工程の後に、前記生成物又は前記仮焼粉を粉砕する粉砕工程を含むのが好ましい。前記希土類化合物の希土類元素は少なくともガドリニウムを含むか、少なくともガドリニウム及びプラセオジムを含むのが好ましい。前記硫酸塩として前記希土類化合物と同じ希土類元素の硫酸塩を用いるのが好ましい。

0016

前記希土類化合物として、1種類の希土類元素の希土類化合物を用いても良いし、複数の希土類元素の希土類化合物を用いても良い。複数の希土類元素の希土類化合物を混合する場合、前記混合工程において、量の少ない希土類化合物から順に硫酸イオンを含む水溶液に添加するのが好ましい。

0017

前記混合工程において、生成物を安定的に生成するために、反応液を加温するのが好ましい。生成物を抽出する方法としては、反応液に含まれる生成物をろ過した後乾燥しても良いし、反応液を加熱等により乾燥しても良い。

0018

本発明のセラミックスシンチレータの製造方法は、上記方法により得られた希土類オキシ硫化物の粉末を造粒し、造粒粉末を得る造粒工程と、前記造粒粉末を成形し、成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼結し、希土類オキシ硫化物焼結体を得る焼結工程とを含むことを特徴とする。前記焼結工程を大気圧下の不活性雰囲気にて行うのが好ましく、1300℃以上1600℃以下で行うのが好ましい。前記焼結工程の後に、前記焼結体をアニールするアニール工程を含むのが好ましい。

0019

本発明のセラミックスシンチレータは、上記製造方法により得られることを特徴とする。

0020

本発明のシンチレータアレイ及び放射線検出器は、かかるセラミックスシンチレータを備えていることを特徴とする。

発明の効果

0021

本発明によれば、希土類化合物と硫酸及び/又は硫酸塩とを、希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.75〜1.75 molとなるように混合して反応液を生成した後に、得られた生成物を仮焼及び還元することにより希土類オキシ硫化物を製造しているので、アルカリフラックスを用いることなく安価に希土類オキシ硫化物の製造が可能であり、かつ不純物の希土類化合物が少ない希土類オキシ硫化物が得られる。かかる希土類オキシ硫化物粉末を用いて製造するセラミックスシンチレータは希土類化合物の異相が少なく、大きな発光強度を有し、放射線に対して高感度な応答を示す。

図面の簡単な説明

0022

本発明の第1の実施態様による希土類オキシ硫化物の製造方法を示す図である。
本発明の第2の実施態様による希土類オキシ硫化物の製造方法を示す図である。
実施例1の混合工程で得られた生成物の倍率5,000倍のSEM写真である。
実施例3の混合工程で得られた生成物の倍率1,000倍のSEM写真である。
比較例1の混合工程で得られた生成物の倍率5,000倍のSEM写真である。
実施例1〜3及び比較例1の混合工程で得られた生成物の粉末X線回折パターンを示すグラフである。
実施例1の粉砕工程で得られた生成物の倍率10,000倍のSEM写真である。
実施例3の粉砕工程で得られた生成物の倍率10,000倍のSEM写真である。
比較例1の粉砕工程で得られた生成物の倍率10,000倍のSEM写真である。
実施例1の仮焼工程で得られた粉末の外観を示す倍率10,000倍のSEM写真である。
実施例1の仮焼工程で得られた粉末の外観を示す倍率50,000倍のSEM写真である。
実施例3の仮焼工程で得られた粉末の外観を示す倍率10,000倍のSEM写真である。
実施例3の仮焼工程で得られた粉末の外観を示す倍率50,000倍のSEM写真である。
比較例1の仮焼工程で得られた粉末の外観を示す倍率10,000倍のSEM写真である。
比較例1の仮焼工程で得られた粉末の外観を示す倍率50,000倍のSEM写真である。
実施例1〜3及び比較例1の仮焼工程で得られた粉末のX線回折パターンを示すグラフである。
実施例1の還元工程で得られた希土類オキシ硫化物の外観を示す倍率10,000倍のSEM写真である。
実施例1の還元工程で得られた希土類オキシ硫化物の断面を示す倍率10,000倍のSEM写真である。
実施例3の還元工程で得られた希土類オキシ硫化物の外観を示す倍率10,000倍のSEM写真である。
実施例3の還元工程で得られた希土類オキシ硫化物の断面を示す倍率10,000倍のSEM写真である。
比較例1の還元工程で得られた希土類オキシ硫化物の外観を示す倍率10,000倍のSEM写真である。
比較例1の還元工程で得られた希土類オキシ硫化物の断面を示す倍率10,000倍のSEM写真である。
実施例1〜3及び比較例1の還元工程で得られた希土類オキシ硫化物のX線回折パターンを示すグラフである。
実施例1の仮焼工程において、仮焼温度と生成物の重量変化(TG)及び熱量変化DSC)との関係を示すグラフである。
実施例1の仮焼工程において、仮焼温度と生成物の発生ガス量(QMID)との関係を示すグラフである。
実施例3の仮焼工程において、仮焼温度と生成物の重量変化(TG)及び熱量変化(DSC)との関係を示すグラフである。
実施例3の仮焼工程において、仮焼温度と生成物の発生ガス量(QMID)との関係を示すグラフである。
比較例1の仮焼工程において、仮焼温度と生成物の重量変化(TG)及び熱量変化(DSC)との関係を示すグラフである。
比較例1の仮焼工程において、仮焼温度と生成物の発生ガス量(QMID)との関係を示すグラフである。
実施例1のセラミックスシンチレータの研磨面を示す倍率1,000倍のSEM写真である。
実施例3のセラミックスシンチレータの研磨面を示す倍率1,000倍のSEM写真である。
比較例1のセラミックスシンチレータの研磨面を示す倍率1,000倍のSEM写真である。

0023

以下、本発明の希土類オキシ硫化物の製造方法、セラミックスシンチレータ及びその製造方法並びにシンチレータアレイ及び放射線検出器を詳細に説明するが、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。

0024

[1] 第1の実施形態
本発明の第1の実施形態による希土類オキシ硫化物の製造方法のフローチャートを図1(a)に示す。

0025

(1-1)量工程
まず秤量工程にて、所定の量の希土類化合物粉末と硫酸及び/又は硫酸塩とを準備する。希土類化合物は希土類元素の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩及び炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つを用いることができるが、高純度が得やすく、かつ化学的に安定な原料として、希土類元素の酸化物が特に好ましい。

0026

希土類元素は、スカンジウム(Sc),イットリウム(Y),ランタン(La),セリウム(Ce),プラセオジム(Pr),ネオジム(Nd),プロメチウム(Pm),サマリウム(Sm),ユウロピウム(Eu),ガドリニウム(Gd),テルビウム(Tb),ジスプロシウム(Dy),ホルミウム(Ho),エルビウム(Er),ツリウム(Tm),イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)の17種類の元素を示す。希土類化合物粉末として、上記希土類元素のうち、1種類の希土類元素の希土類化合物を用いても良く、複数の希土類元素の希土類化合物を用いても良い。1種類の希土類元素の希土類化合物を用いる場合、希土類元素はガドリニウムであるのが好ましい。複数の希土類元素の希土類化合物を用いる場合、希土類元素として少なくともガドリニウムを含むのが好ましく、ガドリニウムに加えてプラセオジムをさらに含んでいても良い。

0027

硫酸及び/又は硫酸塩の添加量は、希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.75〜1.75 molとなるように調整する。希土類元素を含む硫酸塩を用いる場合、上記希土類元素には、希土類化合物に含まれる希土類元素に加えて、硫酸塩に含まれる希土類元素も含まれる。また硫酸イオンを含む希土類化合物を用いる場合、上記硫酸イオンには、硫酸及び/又は硫酸塩に含まれる硫酸イオンに加えて、希土類化合物に含まれる硫酸イオンも含まれる。希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.75 mol未満であると、後に続く混合工程において粉末状生成物をろ過により回収する際や、仮焼工程や還元工程において加熱する際に硫黄が脱離することによる成分ずれにより、得られる希土類オキシ硫化物粉末内に不純物の希土類化合物が残存する。希土類元素1molに対して硫酸イオンが1.75 molを超えても硫酸イオンと希土類化合物との反応は変化しないが、硫黄を含むH2SやSOxなどの排ガスの生成を抑えるために、1.75 mol以下であるのが望ましい。

0028

(1-2) 混合工程
混合工程にて、希土類化合物と硫酸及び/又は硫酸塩とを混合して反応液を調整した後、生成した生成物を回収する。希土類化合物と硫酸を混合する方法としては、例えば、(1) 硫酸に希土類化合物の粉末を添加し、攪拌して反応させる方法と、(2) 水に希土類化合物の粉末を添加し、攪拌して反応させた後、硫酸を添加する方法が挙げられる。

0029

方法(1) の場合、硫酸の濃度は特に限定されないが、希土類化合物との反応速度の観点から、水1リットルにつき0.1〜2molの希硫酸であるのが好ましい。希土類化合物の粉末は公知の手段で添加して良い。複数の希土類元素の希土類化合物を添加する場合、希土類元素の量の少ない希土類化合物から順に希硫酸に添加するのが好ましい。それにより、量が少ない希土類化合物を事前に反応させ拡散させておくことで、生成物中の組成偏析しにくくなるためである。

0030

方法(2) の場合、希土類化合物−水混合液の濃度は特に限定されないが、希土類化合物との分散性(組成の均一性)と硫酸添加後の反応速度の観点から、水1リットルにつき0.05〜2molであるのが好ましい。上記混合液に硫酸を公知の手段で添加して良い。硫酸濃度は10〜98 mass%であるのが好ましい。尚、希土類化合物が希土類酸化物のように殆ど水に不溶の場合、水中で粉末粒子が分散した状態の混合液となる。

0031

希土類化合物と硫酸塩とを混合する場合、硫酸塩として硫安等を用いることができるが、希土類オキシ硫化物粉末と同じ希土類元素の硫酸塩を用いるのが望ましい。希土類化合物と硫酸塩を混合する方法として、例えば、(3) 水に硫酸塩を添加し、得られた水溶液に希土類化合物の粉末を添加し、攪拌して反応させる方法と、(4) 水に希土類化合物の粉末を添加し、攪拌して反応させた後、硫酸塩の水溶液を添加する方法が挙げられる。硫酸塩の添加はいずれも公知の方法を用いることができる。硫酸塩の添加量は、希土類元素1molにつき硫酸イオンが0.75〜1.75 molとなるように調整する。

0032

希土類化合物粉末と硫酸イオンとを混合させることにより反応熱が発生する。希土類化合物粉末と硫酸イオンとを添加して反応させた後の反応液中の希土類元素濃度と反応液の温度とは、温度が上がるほど反応液中の希土類元素濃度が小さくなり、生成物が発生するという、負の相関関係がある。そこで、可能な限り多くの生成物を回収するために、発生した生成物ごと反応液を所定の温度まで加温し、所定の時間維持しても良い。加温により生成物の発生が促される。発生した生成物の回収は、生成物を反応させていた液体と分離した後に加熱乾燥しても良く、反応液ごと加熱して、液体を蒸発させても良い。生成物を反応させていた液体と分離した後に加熱乾燥する場合、乾燥時間を短縮できるが、希土類硫酸塩等の硫黄化合物が液体に残留するおそれがある。反応液ごと加熱する場合、同時に熟成も進むため工数が低減できる。

0033

(1-3)仮焼工程
仮焼工程にて、得られた生成物を仮焼する。仮焼工程は大気圧の空気中で行っても良い。仮焼温度は400〜1100℃が好ましく、600〜900℃であるのがより好ましい。仮焼温度が1100℃超であると生成物中の希土類硫酸塩が分解しかねず、また生成物中に含まれる水和物中の結晶水を全て確実に放逐するために、少なくとも400℃の温度が好ましい。このとき発生した硫黄を含むH2SやSOxなどのガスは、中和水溶液中にてバブリングするなどの公知の技術で回収できる。

0034

(1-4)還元工程
還元工程にて、仮焼後に得られた仮焼粉を、還元剤として水素メタンプロパン等の炭化水素等のガス等を使用して、熱処理する。還元雰囲気には、上記還元剤に加えて、反応速度に応じて窒素(N2)やアルゴン(Ar)のような不活性ガスが含まれていても良い。還元処理は、例えば600〜1000℃の温度で10〜300分間行うのが好ましい。このときに発生する硫黄を含むH2SやSOxなどのガスも、中和水溶液中にてバブリングするなどの公知の技術で回収できる。

0035

このように、希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.75〜1.75 molとなるように希土類化合物と硫酸及び/又は硫酸塩とを混合して反応液を生成した後に、得られた生成物を仮焼及び還元することにより希土類オキシ硫化物を製造しているので、希土類化合物の不純物が少ない希土類オキシ硫化物が得られる。

0036

(2) 典型例
本発明の希土類オキシ硫化物の製造方法における化学反応を下記の典型例を用いて説明するが、本発明の希土類オキシ硫化物の製造方法は下記の典型例に限定されるものではない。また、以下に示す反応式は、XRDなどの測定から推定される反応式である。

0037

(2-1) 第1の典型例
ガドリニウム1molに対して硫酸イオンが1molとなるように、酸化ガドリニウム粉末と硫酸(酸化ガドリニウム1molに対して硫酸2mol)を準備する。水に硫酸を添加して希硫酸を調整し、希硫酸に酸化ガドリニウムの粉末を添加し、攪拌して反応させる。希硫酸と酸化ガドリニウムとの間に次式(1-1)の反応が生じる。

0038

得られた生成物を仮焼する。仮焼により次式(1-2)〜(1-3)の反応が生じる。






αは0≦α≦1の範囲の係数であり、仮焼温度が上昇するほどαの値が増大する。すなわち仮焼温度が高いほど式(1-2)中のGd2(SO4)3において、式(1-3)に示す反応が進み、仮焼により得られた仮焼粉中のガドリニウムオキシ硫酸塩(Gd2O2SO4)の量が増加する。ただし、1100℃を超えると生成物中のガドリニウムオキシ硫酸塩が分解しだすので、ガドリニウムオキシ硫酸塩の量は減少する。

0039

仮焼により得られた仮焼粉を、還元剤として水素を使用して、還元処理する。還元処理により、Gd2O2SO4は式(1-4)、Gd2(SO4)3は式(1-5)のようにそれぞれ反応が進み、全体としては式(1-6)の反応が生じる。









これによりガドリニウムオキシ硫化物(Gd2O2S)が得られる。仮焼工程や還元工程における硫黄の脱離による成分ずれが生じても、仮焼工程や還元工程において発生するSO3やH2Sの量が減少するに留まり、ガドリニウムオキシ硫化物中にガドリニウム酸化物はほとんど残らない。

0040

(2-2) 第2の典型例
ガドリニウム1molに対して硫酸イオンが1.5 molとなるように、酸化ガドリニウム粉末と硫酸(酸化ガドリニウム1molに対して硫酸3mol)を準備する。水に硫酸を添加して希硫酸を調整し、希硫酸に酸化ガドリニウムの粉末を添加し、攪拌して反応させる。希硫酸と酸化ガドリニウムとの間に次式(2-1)の反応が生じる。

0041

得られた生成物を仮焼する。仮焼により次式(2-2)及び(2-3)の反応が生じる。






βは0≦β≦1の範囲の係数であり、仮焼温度が上昇するほどβの値が増大する。すなわち仮焼温度が高くなると式(2-2)中のGd2(SO4)3の一部において式(2-3)に示す反応が進み、仮焼により得られた仮焼粉中にガドリニウムオキシ硫酸塩(Gd2O2SO4)が生じる。ただし、1100℃を超えると生成物中のガドリニウムオキシ硫酸塩が分解しだすので、ガドリニウムオキシ硫酸塩の量は減少する。

0042

仮焼により得られた仮焼粉を、還元剤として水素を使用して、還元処理する。還元処理により、Gd2O2SO4は式(2-4)、Gd2(SO4)3は式(2-5)のようにそれぞれ反応が進み、全体としては式(2-6)の反応が生じる。









これによりガドリニウムオキシ硫化物(Gd2O2S)が得られる。第1の典型例と同様に、仮焼工程や還元工程における硫黄の脱離による成分ずれが生じても、仮焼工程や還元工程において発生するSO3やH2Sの量が減少するに留まり、ガドリニウムオキシ硫化物中にガドリニウム酸化物はほとんど残らない。

0043

(2-3) 参考例
参考のため、従来の希土類オキシ硫化物の製造方法における化学反応を下記に示す。ガドリニウム1molに対して硫酸イオンが0.5 molとなるように、酸化ガドリニウム粉末と硫酸(酸化ガドリニウム1molに対して硫酸1mol)を準備する。水に硫酸を添加して希硫酸を調整し、希硫酸に酸化ガドリニウムの粉末を添加し、攪拌して反応させる。希硫酸と酸化ガドリニウムとの間に次式(3-1)及び(3-2)の反応が生じる。

0044

得られた生成物を仮焼する。仮焼により次式(3-3)の反応が生じる。

0045

仮焼により得られた仮焼粉を、還元剤として水素を使用して、還元処理する。還元処理により次式(3-4)の反応が生じる。



これによりガドリニウムオキシ硫化物(Gd2O2S)が得られる。第1及び第2の典型例と異なり、仮焼工程や還元工程においてSO3やH2Sのガスは発生しないが、混合工程での硫黄の流出や、仮焼工程や還元工程における硫黄の脱離による成分ずれが生じると、ガドリニウム酸化物が不純物としてガドリニウムオキシ硫化物中に残存するおそれがある。仮焼工程や還元工程における硫黄の脱離は、炉内の温度勾配雰囲気分圧の影響などが考えられる。

0046

[2] 第2の実施形態
本発明の第2の実施形態による希土類オキシ硫化物の製造方法のフローチャートを図1(b) に示す。第2の実施形態は、混合工程により得られた生成物を粉砕する粉砕工程を含む以外は、第1の実施形態と同様である。還元して希土類オキシ硫化物になった後で粉砕工程を行うと、硫黄が抜けて欠陥の原因となりやすくなるため、還元工程の前の混合工程後か仮焼工程後に粉砕するのが好ましい。還元工程の前に生成物を粉砕して微細な粉末としておくことにより、還元工程後の希土類オキシ硫化物も微細な粉末となる。そのため、硫黄の欠損を防止しつつ、希土類オキシ硫化物の微細粉末が得られる。生成物の粉砕は、湿式ボールミルを用いた湿式粉砕であるのが好ましい。

0047

[3]セラミックスシンチレータ
得られた希土類オキシ硫化物粉末を造粒し、造粒粉末を生成する。造粒工程は公知の方法を用いて良い。希土類オキシ硫化物の造粒粉末を用いて、一軸プレスや冷間等方加圧等のそれ自体は公知な方法を用いて成形体を作成し、窒素(N2)やアルゴン(Ar)などの不活性雰囲気中で焼結を行うことにより、焼結体が得られる。焼結の温度は1300以上1600℃以下が好ましい。このとき加圧下で焼結しても良いが、装置が安価であることなどから大気圧程度の圧力で焼結するのが好ましい。さらに、得られた焼結体の歪などを取り除くために不活性雰囲気中で焼結体をアニールしても良い。アニールすることで発光強度がさらに向上する。

0048

得られた焼結体はセラミックスシンチレータとして用いることができる。例えば、希土類オキシ硫化物の希土類元素としてガドリニウム、プラセオジム及びセリウムを用いる場合、得られた焼結体は、プラセオジムを発光元素とし、セリウムを残光を調節するための添加物としたガドリニウムオキシ硫化物のセラミックスシンチレータとなる。本発明の希土類オキシ硫化物は不純物の希土類化合物が少ないため、かかる希土類オキシ硫化物を用いて製造するセラミックスシンチレータは希土類化合物の異相が少なく、大きな発光強度を有し、放射線に対して高感度な応答を示す。ここで「異相」とは焼結体中に現れる希土類オキシ硫化物以外の化合物であり、主に希土類オキシ硫化物の出発原料である希土類化合物、又は希土類オキシ硫化物を製造する過程で硫黄が脱離して生じた希土類酸化物を指す。

0049

[4]シンチレータアレイ
本発明のシンチレータアレイは、シンチレータの発光反射する反射材を備え、複数の上記セラミックスシンチレータを配列してなる。シンチレータアレイの構成・製造方法は公知のものを用いることができる。例えば、得られたセラミックスシンチレータを、両面粘着シートを介して支持プレートに固定する。その後に前記シンチレータ基板に溝を形成して複数のシンチレータセルを有する溝付きシンチレータ基板を形成する。その後に前記溝に反射材用液状硬化性樹脂充填し、前記液状硬化性樹脂を硬化させることによりシンチレータセル樹脂硬化体を形成する。次いで前記シンチレータセル樹脂硬化体から前記両面粘着シートを剥離することでシンチレータアレイを製造することができる。複数の放射線検出素子を備える放射線検出器を構成するために、反射材を備えたセラミックスシンチレータを複数配列したシンチレータアレイを構成するのが好ましい。

0050

[5]放射線検出器
本発明の放射線検出器は、上記のセラミックスシンチレータと、このセラミックスシンチレータの発光を検出するシリコンフォトダイオード等の検出素子とを有する。例えば、上述の方法で得たセラミックスシンチレータを用いたシンチレータアレイの発光面と受光素子受光面を対向させて、光学樹脂接着させることで製造することができる。このときシリコンフォトダイオードのアレイに対応させて、上記シンチレータアレイを用いることにより、効率的に放射線検出器を形成できるため好ましい。複数の放射線検出素子を備える放射線検出器を構成するために、セラミックスシンチレータに反射材を形成し、複数配列したシンチレータアレイを構成するのが好ましい。この放射線検出器は、X線CT、PET(Positron Emission Tomography)/CTなどの医療用画像診断装置に搭載することが好適である。発光強度が大きい本発明のセラミックスシンチレータを用いることにより、X線に対し高感度で、応答性が高く、さらに安定性の優れた高性能の放射線検出器が得られる。

0051

以下、本発明について実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明の希土類オキシ硫化物の製造方法、セラミックスシンチレータ及びその製造方法及び放射線検出器は下記の実施例に限定されるものではない。

0052

実施例1
希土類元素1molに対して硫酸イオンが1molとなるように、希土類化合物1molに対して2molの硫酸を使用する場合について示す。希土類オキシ硫化物の合成方法(工程1〜5)は第2の実施形態に従った。

0053

まず3Lビーカーに純水1600 mlを準備し、濃度96 mass%の硫酸163.62 gを秤量し、3Lビーカーの水に硫酸163.62 gを添加し、希硫酸を生成した(工程1)。

0054

3Lビーカーの希硫酸に硝酸セリウム0.0113 g、酸化プラセオジム0.2561 g及び酸化ガドリニウム290.00gをこの順で添加し、反応させた。得られた反応液をスターラー撹拌しつつ、ホットバスで90℃に加温し、150分間維持した(工程2)。

0055

上述の撹拌しつつ加温して、150分間維持した直後に反応液を撹拌しながら、ブフナーロートでろ過し、生成物を得た。生成物を120℃で12時間維持して乾燥した後、乳鉢を用いて目開き500μmのふるいを通るまで解砕した。得られた生成物の外観を表すSEM写真を図2(a) に示す。SEM写真は日立ハイテク製のS-9000を使用して撮影した。また得られた生成物のX線回折パターンを図3に示す。X線回折パターンはPANalytical製のX’Pert Powderを使用して測定した。X線回折装置X線発生源としてはCuのターゲットで、管電圧45 kV、管電流40 mAの条件で測定し、図3では複数のグラフが重ならないように適宜オフセットしている。

0056

ボールミルに生成物100gとエタノール200 mlを入れ、100 rpmで15時間湿式粉砕した。粉砕後のスラリーを100℃で4〜6時間乾燥した。乾燥した生成物を、乳鉢を用いて目開き500μmのふるいを通るまでさらに解砕することで、微粒子の生成物を得られた(工程3)。粉砕後の生成物の外観を表すSEM写真を図4(a) に示す。粉砕後の生成物は、この後説明する図4(b)や図4(c) に示す実施例3及び比較例1の粉砕後の生成物と同様に、何れの粒子も同じ程度の大きさに粉砕されていることが分かった。

0057

湿式粉砕した生成物をアルミナるつぼに入れ、大気雰囲気電気炉を使用し、大気圧の空気中にて900℃で1時間仮焼を行った(工程4)。反応時に発生したH2Oガス及びSO3ガスはガス処理装置で処理を行った。仮焼後粉末のSEM写真を図5(a) 及び図5(b)に示し、X線回折パターンを図6に示す。

0058

仮焼工程において、仮焼温度と生成物の重量変化(TG)及び熱量変化(DSC)の関係を図9(a)に示し、仮焼温度と発生ガス量(QMID)の関係を図9(b)に示す。これらのデータはNETZSCH製の2つの装置を同期させて同時に測定した。図9(a)に示した重量変化(TG)及び熱量変化(DSC)の測定にはTG 449 F3 Jupiter(登録商標)を使用し、図9(b)に示した発生ガス量(QMID)の測定にはQMS 403 DAeolos(登録商標)を使用した。図9(a)に示す通り、仮焼によりRE2O2SO4とRE2(SO4)3が生成され、仮焼温度が上昇するにつれてRE2O2SO4の生成量が増大している。また仮焼工程において放逐されるガスは、図9(b)に示す通り仮焼温度により決まり、約700℃以下でH2Oガスの発生量が多く、約850℃を超えるあたりからSO3が発生する。実施例1の仮焼条件では(Gd,Pr,Ce)2O2SO4+ (Gd,Pr,Ce)2(SO4)3を主成分とする組成を有する仮焼体が得られたものと推測される。

0059

アルミナるつぼに仮焼処理を行った粉末を入れ、水素雰囲気還元炉を使用し、水素ガス雰囲気下で、800℃で3時間保持し、還元処理を行った(工程5)。還元処理時に発生するH2Oガス及びH2Sガスはガス処理装置で処理した。この還元反応により希土類オキシ硫化物(Gd,Pr,Ce)2O2Sが得られた。この希土類オキシ硫化物のSEM写真を図7(a)及び図7(b)に示し、X線回折パターンを図8に示す。図7(a)は希土類オキシ硫化物の外観を表し、図7(b)は希土類オキシ硫化物の断面を表す。希土類オキシ硫化物の断面は、希土類オキシ硫化物の粉末に樹脂含浸させ、研磨した研磨面をSEMにより撮影した。

0060

実施例2
希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.75 molとなるように、希土類化合物1molに対して1.5 molの硫酸を使用した以外は、実施例1と同じ条件で希土類オキシ硫化物(Gd,Pr,Ce)2O2Sを生成した。つまり純水1600 mlに硫酸122.72 gを投入した。実施例1と同様に、仮焼工程や還元工程等においてH2Oガスとともに、SO3ガス及びH2Sガスが発生した。得られた生成物、仮焼後粉末及び希土類オキシ硫化物のX線回折パターンを実施例1と同様にそれぞれ図3,6及び8に示す。

0061

実施例3
希土類元素1molに対して硫酸イオンが1.5 molとなるように、希土類化合物1molに対して3molの硫酸を使用した以外は、実施例1と同じ条件で土類オキシ硫化物(Gd,Pr,Ce)2O2Sを生成した。つまり純水1600 mlに硫酸245.43 gを投入した。得られた生成物、仮焼後粉末及び希土類オキシ硫化物のSEM写真を実施例1と同様にそれぞれ図2(b),図4(b),図5(c),図5(d),図7(c)及び図7(d)に示し、X線回折パターンを実施例1と同様にそれぞれ図3,6及び8に示す。

0062

仮焼工程において、仮焼温度と生成物の重量変化(TG)及び熱量変化(DSC)の関係を図10(a)に示し、仮焼温度と発生ガス量(QMID)の関係を図10(b)に示す。図10(a)に示す通り、仮焼によりRE2(SO4)3が生成され、仮焼温度が上昇するにつれてRE2O2SO4が生じている。また仮焼工程において放逐されるガスは、図10(b)に示す通り仮焼温度により決まり、約400℃以下でH2Oガスが発生し、850℃を超えるあたりからSO3ガスが発生する。実施例2の仮焼条件では(Gd,Pr,Ce)2(SO4)3を主成分として(Gd,Pr,Ce)2O2SO4を含む組成を有する仮焼体が得られたものと推測される。

0063

実施例4
実施例1と同様に希土類元素1molに対して硫酸イオンが1molとなるように、希土類化合物1molに対して2molの硫酸を使用し、希土類化合物及び硫酸の添加量を実施例1の20倍に増加し、ビーカーの代わりに内壁フッ素樹脂で覆われたステンレス容器を用いたこと以外は同じ条件で希土類オキシ硫化物を作製した。XRDにて確認したところ、得られた希土類オキシ硫化物粉末内に希土類酸化物が不純物としてほとんど含まれていなかった。

0064

実施例5
実施例1と同様に希土類元素1molに対して硫酸イオンが1molとなるように、希土類化合物1molに対して2molの硫酸を使用し、酸化プラセオジムの代わりに酸化テルビウムを用いたこと以外は同じ条件で希土類オキシ硫化物を作製した。同様に、酸化プラセオジムの代わりに酸化ネオジウム又は酸化ユーロピウムを用いたこと以外は同じ条件で希土類オキシ硫化物を作製した。XRDにて確認したところ、これらの希土類オキシ硫化物粉末内にはいずれも希土類酸化物が不純物としてほとんど含まれていなかった。

0065

比較例1
希土類元素1molに対して硫酸イオンが0.5 molとなるように、希土類化合物1molに対して1molの硫酸を使用した場合について示す。つまり純水1600 mlに硫酸81.81 gを投入し、その他の条件については実施例1と同じ条件で土類オキシ硫化物(Gd,Pr,Ce)2O2Sを得た。得られた生成物、仮焼後粉末及び希土類オキシ硫化物のSEM写真を実施例1と同様にそれぞれ図2(c),図4(c),図5(e),図5(f),図7(e)及び図7(f)に示し、X線回折パターンを実施例1と同様にそれぞれ図3,6及び8に示す。

0066

仮焼工程において、仮焼温度と生成物の重量変化(TG)及び熱量変化(DSC)の関係を図11(a)に示し、仮焼温度と発生ガス量(QMID)の関係を図11(b)に示す。図11(a)に示す通り、仮焼によりRE2O2SO4が生成されている。比較例1の仮焼条件では(Gd,Pr,Ce)2O2SO4の組成を有する仮焼体が得られたものと推測される。仮焼工程や還元工程等においてH2Oガスのみが発生し、SO3ガス及びH2Sガスは発生しなかった。

0067

実施例1〜3の仮焼工程及び還元工程において、硫黄成分の一部がSO3ガス及びH2Sガスとして放逐され、希土類オキシ硫化物(Gd,Pr,Ce)2O2Sの粉末単体が得られた。希土類元素1molに対して2mol又は3molの硫酸を過剰に添加して生成した仮焼粉末は、図5に示すように、粒子間の架橋が促進され、粒成長しているのが分かる。さらに、図4(a),(b)及び(c)と図5(a),(c)及び(e)とを比較すると、生成物と仮焼後の粉末粒子の形状がよく似ており、高倍率に拡大した図5(b),(d)及び(f)から粒子が集合してなる2次粒子であることが分かった。かかる仮焼粉末を還元してなる希土類オキシ硫化物も、図7に示すように、仮焼粉形状を反映した粒成長した粉形状を有していた。図5の仮焼工程後の粉末において、図5(f)に示すように比較例1は角ばった粒子が殆どであり、図5(d)に示すように実施例3は丸みを帯びた粒子が殆どであり、図5(b)に示すように実施例1はその両方を有している。X線回折パターンの結果を踏まえて考察すると、角ばった粒子がGd2O2SO4で、丸みを帯びた粒子がGd2(SO4)3と推察される。図7の希土類オキシ硫化物において、図5と比較すると、形状は仮焼工程後の粉末と同じような形状を維持している。実施例1〜3では希土類元素に対して硫酸イオンを過剰に添加しているので、仮焼工程や還元工程における硫黄の脱離による成分ずれによっても、得られる希土類オキシ硫化物粉末内に希土類酸化物が不純物としてほとんど含まれていないものと思われる。

0068

実施例1〜3及び比較例1の希土類オキシ硫化物を用いて、以下に説明する工程6〜8に従い希土類オキシ硫化物の焼結体からなるセラミックスシンチレータを作成した。

0069

実施例1〜3及び比較例1の各希土類オキシ硫化物を乳鉢で撹拌しつつ、バインダーを添加し、顆粒を形成した(工程6)。

0070

一軸加圧成形機を用いて49 MPaで加圧成形後ビニル袋真空封止CIP成形機にて294 MPaで加圧成形した(工程7)。

0071

得られた成形体を高温焼結炉を用いて、窒素雰囲気中で1500℃に保持し、焼結した。焼結体は微量酸素を含むアルゴン雰囲気中にて1100℃で2時間熱処理し、アニール処理を行った(工程8)。

0072

得られたセラミックスシンチレータの発光出力は、WターゲットのX線管球を用いて、管電圧90 kV、管電流20 mAの条件でX線を発生させ、セラミックスシンチレータに照射し、Siフォトダイオードの受光素子を用いて測定した。比較例1の発光出力を100%としたときの実施例1〜3の発光出力を表1に示す。また各セラミックスシンチレータの表面を研磨し、研磨面のX線回折パターンを測定し、異相の有無を確認した。

0073

「有」・・・異相のピーク強度が、希土類オキシ硫化物の3%以上
「無」・・・異相のピーク強度が、希土類オキシ硫化物の3%未満

0074

表1から分かるように、希土類元素に対して硫酸イオンを過剰に添加した実施例1〜3の希土類オキシ硫化物を用いて製造したセラミックスシンチレータは、比較例1の場合と比べて優れた発光出力を有している。また実施例1〜3の希土類オキシ硫化物は比較例1の希土類オキシ硫化物と比べて表面の異相が少なかった。比較例1の希土類オキシ硫化物粉末とくらべて粒成長した粉形状を有し、希土類酸化物を不純物として含まない実施例1〜3の希土類オキシ硫化物粉末を用いて作製する焼結体には希土類酸化物の異相がほとんど生じないため、セラミックスシンチレータの発光特性が向上した。

0075

さらに電子顕微鏡を用いて実施例1,実施例3及び比較例1のセラミックスシンチレータの上記研磨面の反射電子像をSEMにより撮影し、異相の有無を確認した。実施例1,実施例3及び比較例1の各反射電子像を図12(a)〜図12(c)に示す。図12(c)に示すように比較例1のセラミックスシンチレータの研磨面にはGd2O3の異相が確認できたが、実施例1及び実施例3のセラミックスシンチレータの研磨面に異相は確認できなかった。

0076

実施例6及び7
実施例1の希土類オキシ硫化物を用いて、焼成温度をそれぞれ1300℃及び1400℃としたこと以外は同じ条件で上記工程6〜8を行い、セラミックスシンチレータを作製した。各実施例6及び7のセラミックスシンチレータの発光出力及び異相の有無を上記と同じ方法により求めた。得られた結果を表2に示す。

0077

実施例

0078

表2から分かるように、実施例1と焼結温度を変えた実施例6及び7の希土類オキシ硫化物を用いて製造したセラミックスシンチレータは、実施例1〜3と同様に、比較例1の場合と比べて優れた発光出力を有している。また実施例6及び7の希土類オキシ硫化物も、実施例1〜3と同様に、比較例1の希土類オキシ硫化物と比べて表面の異相が少なかった。比較例1の希土類オキシ硫化物粉末とくらべて粒成長した粉形状を有し、希土類酸化物を不純物として含まない実施例6及び7の希土類オキシ硫化物粉末を用いて作製する焼結体も、実施例1〜3と同様に、希土類酸化物の異相がほとんど生じないため、セラミックスシンチレータの発光特性が向上した。

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