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技術 メタクリル酸製造用触媒の製造方法

出願人 三菱ケミカル株式会社
発明者 加藤裕樹近藤正英
出願日 2014年9月10日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2014-545433
公開日 2017年3月2日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 WO2015-037611
状態 特許登録済
技術分野 触媒 有機低分子化合物及びその製造 触媒を使用する低分子有機合成反応
主要キーワード スラリー由来 伝熱コイル 熱処理容器 調合操作 製造バッチ モリブデン元素 脱離成分 希釈割合
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

メタクリル酸を高い選択率で製造できる触媒を提供する。また、繰り返し触媒を製造する際には安定した品質の触媒を製造する方法を提供する。(a)触媒原料を少なくとも二つに分けて、それぞれ異なる調合槽内において各触媒原料を溶媒に分散または溶解させて調合液として触媒原料スラリーまたは触媒原料溶液を得る工程と、(b)前記触媒原料スラリーまたは前記触媒原料溶液を全て一つの混合槽内において混合する工程と、を含み、前記調合槽と前記混合槽とが異なることを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

概要

背景

触媒の製造においては、以下の方法が一般に行われている。触媒原料を槽内にて調合し、混合し、必要に応じて加熱処理して、触媒前駆体粒子が得られる。その後、これを乾燥することにより触媒前駆体乾燥粉が得られ、さらに加熱処理することで触媒活性発現させる。原料溶液原料スラリーの調合や混合は、一般的にバッチ式で操作されることが多い。また、槽としては、槽内の温度調節ができるようにジャケット伝熱コイル付属され、熱媒体により加熱や冷却ができる槽が用いられる。

一方、例えば、メタクロレイン分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられるメタクリル酸製造用触媒としては、モリブデンおよびリンを含むヘテロポリ酸系触媒が知られている。このようなヘテロポリ酸系触媒としては、カウンターカチオンプロトンであるプロトン型ヘテロポリ酸、およびそのプロトンの一部をセシウムルビジウムカリウム等のアルカリ金属置換したヘテロポリ酸のアルカリ金属塩が知られている。以下、プロトン型へテロポリ酸を単に「ヘテロポリ酸」とも示し、プロトン型ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸のアルカリ金属塩を「ヘテロポリ酸(塩)」とも示す。なお、プロトン型ヘテロポリ酸は水溶性であるが、ヘテロポリ酸のアルカリ金属塩はカチオンイオン半径が大きいため、一般に難溶性である(非特許文献1)。

このように様々な原料を混合して合成される触媒の製造方法として、原料組成、原料の添加方法混合方法などに関する様々な方法が提案されている。例えば特許文献1には、触媒調合槽の表面を塩基性溶液洗浄した後、当該洗浄した触媒調合槽を用いて触媒を製造することで、残留物による次の製造バッチへの影響を低減し、効率的に触媒を製造できることが記載されている。

概要

メタクリル酸を高い選択率で製造できる触媒を提供する。また、繰り返し触媒を製造する際には安定した品質の触媒を製造する方法を提供する。(a)触媒原料を少なくとも二つに分けて、それぞれ異なる調合槽内において各触媒原料を溶媒に分散または溶解させて調合液として触媒原料スラリーまたは触媒原料溶液を得る工程と、(b)前記触媒原料スラリーまたは前記触媒原料溶液を全て一つの混合槽内において混合する工程と、を含み、前記調合槽と前記混合槽とが異なることを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

目的

本発明の目的は、メタクリル酸を高い選択率で製造できる触媒を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

(a)触媒原料を少なくとも二つに分けて、それぞれ異なる調合槽内において各触媒原料を溶媒に分散または溶解させて調合液として触媒原料スラリーまたは触媒原料溶液を得る工程と、(b)前記触媒原料スラリーまたは前記触媒原料溶液を全て一つの混合槽内において混合する工程と、を含み、前記調合槽と前記混合槽とが異なることを特徴とするメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項2

前記工程(a)において、少なくともリンおよびモリブデンを含む調合液1と、カチオン原料を含む調合液2とを調合する請求項1に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項3

前記カチオン原料が、アルカリ金属およびタリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素であるX元素を含む請求項2に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項4

前記調合液2の少なくとも一部が、使用済みのメタクリル酸製造用触媒を溶媒に分散または溶解させて得られる請求項2または3に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項5

前記工程(a)において、得られる触媒が前記使用済みのメタクリル酸製造用触媒の使用前の元素組成と同じになるように、前記使用済みのメタクリル酸製造用触媒から消失した元素を含む調合液3をさらに調合する請求項4に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項6

前記カチオン原料がヘテロポリ酸難溶性塩である請求項2に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項7

前記調合液1が、さらに、バナジウム元素を含む請求項2から6のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項8

前記工程(a)において、銅、アンチモンヒ素ケイ素ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルトおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種類のY元素を含む調合液4をさらに調合する請求項2から7のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項9

前記工程(a)において、アンチモンを含む調合液5をさらに調合する請求項2から8のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項10

前記工程(a)において、酸化剤を含む調合液6をさらに調合する請求項2から9のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項11

前記工程(a)において、リンとモリブデンを合計した量に対する、アルカリ金属およびタリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素であるX元素の原子比(X/(Mo+P))が0〜0.5である調合液1と、リンとモリブデンを合計した量に対するX元素の原子比(X/(Mo+P))が0.1〜4.0である調合液2とを調合する請求項1に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項12

前記工程(a)において、リンとモリブデンを合計した量に対する、アルカリ金属およびタリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素であるX元素の原子比(X/(Mo+P))が0〜0.5である調合液1と、少なくとも使用済みのメタクリル酸製造用触媒、アンモニウム原料、および溶媒としての水を含み、リンとモリブデンを合計した量に対するX元素の原子比(X/(Mo+P))が0.1〜4.0である調合液2とを調合する請求項1に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項13

前記工程(a)において、前記調合液1を得る際に、70〜150℃に加熱して、ヘテロポリ酸を含む水溶液または水性スラリーを調製する請求項2から12のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項14

前記工程(a)において、前記調合槽内での前記調合液1の調合後の保持時間が6分以上、900分以下であり、かつ、前記工程(b)において、前記混合槽内で混合する時間が60分以上、320分以下である請求項2から13のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項15

同じ調合槽および混合槽をそのまま用いて、少なくとも1回以上繰り返し、触媒を製造する請求項1から14のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項16

前記工程(b)において、温度を20〜120℃に保持して混合を行う請求項1から15のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項17

前記工程(b)において、アンモニウム原料を添加して、pHを0.5から7の間に調整する請求項1から16のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項18

前記工程(b)で得られたすべての触媒原料を含む混合液を乾燥し、触媒乾燥物を得る工程を含む請求項1から17のいずれか1項に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項19

前記触媒乾燥物を成形して触媒成形品を得る工程を含む請求項18に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項20

前記触媒成形品を熱処理する工程を含む請求項19に記載のメタクリル酸製造用触媒の製造方法。

請求項21

請求項1から20のいずれか1項に記載の方法によりメタクリル酸製造用触媒を製造し、該触媒を反応管充填し、メタクロレインイソブチルアルデヒドイソブタン及びイソ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種を気相接触酸化してメタクリル酸を製造するメタクリル酸の製造方法。

技術分野

0001

本発明はメタクリル酸製造用触媒の製造方法に関する。

背景技術

0002

触媒の製造においては、以下の方法が一般に行われている。触媒原料を槽内にて調合し、混合し、必要に応じて加熱処理して、触媒前駆体粒子が得られる。その後、これを乾燥することにより触媒前駆体乾燥粉が得られ、さらに加熱処理することで触媒活性発現させる。原料溶液原料スラリーの調合や混合は、一般的にバッチ式で操作されることが多い。また、槽としては、槽内の温度調節ができるようにジャケット伝熱コイル付属され、熱媒体により加熱や冷却ができる槽が用いられる。

0003

一方、例えば、メタクロレイン分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられるメタクリル酸製造用触媒としては、モリブデンおよびリンを含むヘテロポリ酸系触媒が知られている。このようなヘテロポリ酸系触媒としては、カウンターカチオンプロトンであるプロトン型ヘテロポリ酸、およびそのプロトンの一部をセシウムルビジウムカリウム等のアルカリ金属置換したヘテロポリ酸のアルカリ金属塩が知られている。以下、プロトン型へテロポリ酸を単に「ヘテロポリ酸」とも示し、プロトン型ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸のアルカリ金属塩を「ヘテロポリ酸(塩)」とも示す。なお、プロトン型ヘテロポリ酸は水溶性であるが、ヘテロポリ酸のアルカリ金属塩はカチオンイオン半径が大きいため、一般に難溶性である(非特許文献1)。

0004

このように様々な原料を混合して合成される触媒の製造方法として、原料組成、原料の添加方法混合方法などに関する様々な方法が提案されている。例えば特許文献1には、触媒調合槽の表面を塩基性溶液洗浄した後、当該洗浄した触媒調合槽を用いて触媒を製造することで、残留物による次の製造バッチへの影響を低減し、効率的に触媒を製造できることが記載されている。

0005

国際公開第2007/004662号

先行技術

0006

正之、小野田武、触媒、vol.18、No.6(1976)

発明が解決しようとする課題

0007

ヘテロポリ酸のアルカリ金属塩などの不溶性塩析出させて触媒を得るような沈殿形成を伴う触媒の製造方法では、製造に用いられる槽内の壁面に触媒原料に起因する固形物が付着する場合がある。特に、ジャケットが付属された槽にて高温の熱媒体を供給することにより原料スラリー液を加熱する場合において、加熱面で水などの溶媒蒸発することがあり、その際固形物が析出しやすい。該固形物は均一な触媒を製造する上で除去されることが望ましい。しかしながら該固形物の生成を抑えることや除去することは難しい。また複数の調合槽で調合した調合液を固形物が付着している調合槽で混合すると、該固形物が調合液を混合した後に得られる触媒前駆体粒子中に混入する場合がある。該固形物に対する対策として特許文献1に記載の方法のように洗浄を行うことが考えられるが、工業的に触媒を繰り返し製造する場合には毎回調合槽等を、アルカリを用いて化学洗浄することは作業負荷が大きく、洗浄排水の処理が必要である等多くの課題がある。

0008

本発明の目的は、メタクリル酸を高い選択率で製造できる触媒を提供することにある。また、繰り返し触媒を製造する際には安定した品質の触媒を製造する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明に係るメタクリル酸製造用触媒の製造方法は、
(a)触媒原料を少なくとも二つに分けて、それぞれ異なる調合槽内において各触媒原料を溶媒に分散または溶解させて調合液として触媒原料スラリーまたは触媒原料溶液を得る工程と、
(b)前記触媒原料スラリーまたは前記触媒原料溶液を全て一つの混合槽内において混合する工程と、
を含み、
前記調合槽と前記混合槽とが異なることを特徴とする。

0010

本発明に係るメタクリル酸の製造方法は、本発明に係る方法によりメタクリル酸製造用触媒を製造し、該触媒を反応管充填し、メタクロレイン、イソブチルアルデヒドイソブタン及びイソ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種を気相接触酸化してメタクリル酸を製造する。

発明の効果

0011

本発明によれば、メタクリル酸を高い選択率で製造できる触媒を提供することができる。また、繰り返し触媒を製造する際に安定した品質の触媒を製造する方法を提供することができる。

0012

[メタクリル酸製造用触媒の製造方法]
本発明に係るメタクリル酸製造用触媒の製造方法は、(a)触媒原料を少なくとも二つに分けて、それぞれ異なる調合槽内において各触媒原料を溶媒に分散または溶解させて調合液として触媒原料スラリーまたは触媒原料溶液を得る工程(以下、調合工程とも示す)と、(b)前記触媒原料スラリーまたは前記触媒原料溶液を全て一つの混合槽内において混合する工程(以下、混合工程とも示す)と、を含み、前記調合槽と前記混合槽とが異なることを特徴とする。

0013

本発明に係る方法では、調合工程で用いる二つ以上の調合槽と、混合工程で用いる混合槽として、異なる槽を用いる。調合工程における調合操作は加熱して行うことが好ましく、調合槽内のスラリーまたは溶液は調合槽の加熱面で加熱され、蒸発し、固形物が発生する。該固形物は調合槽の加熱面である内壁に付着する。この状態の調合槽をそのまま混合槽として用いた場合、内壁に付着した付着物を核として結晶化し、結晶の付着量が多くなる。その結果、最終的に得られる触媒の組成が安定せず、メタクリル酸の選択性が低下する。本発明に係る方法では調合槽とは別の混合槽を用いるため、そのような影響を排除することができ、メタクリル酸の選択性が向上する。

0014

また、本発明に係る方法では、同じ調合槽および混合槽をそのまま用いて、少なくとも1回以上繰り返し、触媒を製造することが好ましい。すなわち、本発明に係る方法により触媒を製造した後、その触媒製造において用いた調合槽および混合槽を、洗浄などを行わずにそのまま用いて、同じ方法で触媒の製造を繰り返すことが好ましい。調合工程により触媒原料を含む調合液を複数調製し、その後混合工程により該調合液を混合する触媒の製造方法においては、調合液の混合により発生する析出物および溶液が蒸発して発生する固形物が混合槽の内壁面に付着する場合がある。ここで、本発明者らは、該固形物が残留している混合槽を調合槽として用いて、再度調合液を調合する場合、該固形物と調合液とが接触することにより、目的の触媒の構造や組成とは異なる物質が生成する結果、触媒の性能、特に目的生成物への選択性が低下することを見出した。固形物が調合液と接触した状態で存在すると、原料濃度が変化し、析出した固形物が核となって粒子生成が促進され、調合液中粒子径分布触媒組成が変化し、触媒の性能が低下すると考えられる。そのため、調合槽および混合槽として一つの同じ槽を用いて繰り返し触媒を製造する場合、新たに調合液を調合する際に、この固形物が付着した混合槽を調合槽として用いるため、固形物と調合液とが接触し、さらに不要な不純物の生成が助長される場合がある。しかし、調合槽および混合槽として別の槽を用いて繰り返し触媒を製造することで、調合液を調合する際に、調合液が混合工程で生成する固形物と接触しない。これにより、調合液に不純物が混入しないため、洗浄などの工程を追加せずにそのまま繰り返し触媒を製造しても、安定した品質の触媒を製造できる。

0015

本発明に係るメタクリル酸製造用触媒の製造方法は、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種を分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられるメタクリル酸製造用触媒の製造に好適に用いられる。以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の一例であり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。

0016

((a)調合工程)
調合工程では、触媒原料を少なくとも二つに分けて、それぞれ異なる調合槽内において各触媒原料を溶媒に分散または溶解させて調合液として触媒原料スラリーまたは触媒原料溶液を得る。触媒原料の分け方は、少なくとも二つに分ければ特に限定されず、例えば元素の種類によって分けてもよい。触媒原料を分けた際の各触媒原料の量も特に限定されず、それぞれ等量に分けてもよく、異なる分量に分けてもよい。触媒原料を分けた数の調合槽を用意し、それぞれの調合槽に分けた触媒原料をそれぞれ投入する。その後、それぞれの調合槽に溶媒を投入し、各触媒原料を分散または溶解させる。各調合槽に投入する溶媒の種類は同じであってもよく、異なっていてもよい。

0017

調合工程では、少なくともリンおよびモリブデンを含む調合液1と、カチオン原料を含む調合液2とを調合することがメタクリル酸の選択性向上の観点から好ましい。すなわち、少なくともリンおよびモリブデンを含む触媒原料を調合槽1内に投入し、溶媒に分散または溶解させて調合液1を得て、かつ、触媒原料であるカチオン原料を調合槽2内に投入し、溶媒に分散または溶解させて調合液2を得ることが好ましい。ここで、カチオン原料とは、アルカリ金属を含む化合物アルカリ土類金属を含む化合物、遷移金属を含む化合物、卑金属を含む化合物、窒素を含む化合物(アンモニウムイオンを含む化合物、アルキルアンモニウムイオンを含む化合物、窒素ヘテロ環化合物を含む)からなる群から選択される少なくとも一種を示す。アルカリ金属としては、リチウムナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。アルカリ土類金属としては、マグネシウムカルシウムストロンチウムバリウムが挙げられる。溶媒としては、水、エチルアルコールアセトン等が挙げられる。二種類以上の溶媒を混合して用いてもよいが、少なくとも水を用いることが好ましい。

0018

前記カチオン原料は、アルカリ金属およびタリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素であるX元素を含むことが好ましい。この場合、触媒に含まれるヘテロポリ酸塩が、ヘテロポリ酸と1価のカチオンとが塩を形成したものとなり、メタクリル酸製造用触媒として優位な構造である立方晶構造を取ることができると考えられる。

0019

また、触媒に含まれるヘテロポリ酸塩は難溶性塩であることが好ましい。そのため、前記カチオン原料はヘテロポリ酸難溶性塩であることが好ましい。この場合、メタクリル酸の選択的な製造により好ましいと考えられるヘテロポリ酸塩を選択的に触媒中に存在させることができる。ヘテロポリ酸難溶性塩としては、例えば12−モリブドリン酸、12−タングストリン酸、12−モリブドケイ酸、12−タングストケイ酸、12−モリブドヒ酸、12−タングストヒ酸などのヘテロポリ酸、またはこれらのモリブデン、タングステンの一部がバナジウムで置換されたもの、あるいはモリブデン、タングステン、バナジウムが混合配位したものなど(本発明においては、これらを総称して「ヘテロポリ酸」という)のカリウム、ルビジウム、セシウムおよびタリウムから選ばれる少なくとも1種の元素の塩が挙げられる。

0020

また、触媒の再利用の観点から、前記カチオン原料の少なくとも一部として使用済みのメタクリル酸製造用触媒を用い、調合液2の少なくとも一部を使用済みのメタクリル酸製造用触媒を溶媒に分散または溶解させて得ることが好ましい。この場合、調合工程において、得られる触媒が使用済みのメタクリル酸製造用触媒の使用前の元素組成と同じになるように、前記使用済みのメタクリル酸製造用触媒から消失した元素を含む調合液3をさらに調合することが、使用前のメタクリル酸製造用触媒と同等のメタクリル酸選択性を示す触媒が得られる観点から好ましい。即ち、得られる触媒が使用前のメタクリル酸製造用触媒と同じ元素組成になるように、各消失構成元素を含む調合液3を調合する。得られた調合液3は、調合液1を調合した後の調合槽1へ投入してもよく、調合液2を調合した後の調合槽2へ投入してもよく、また混合槽へ投入し、各調合液と混合してもよい。なお、使用済みのメタクリル酸製造用触媒を用いた場合であっても、その使用前の元素組成とは異なる元素組成の触媒を製造してもよい。また、使用済みのメタクリル酸製造用触媒とは、本発明に係る方法により製造されたメタクリル酸製造用触媒を用いて、本発明に係る方法によりメタクリル酸を製造した後の触媒を示す。

0021

一方、調合工程において、リンとモリブデンを合計した量に対する、アルカリ金属およびタリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素であるX元素の原子比(X/(Mo+P))が0〜0.5である調合液1と、リンとモリブデンを合計した量に対するX元素の原子比(X/(Mo+P))が0.1〜4.0である調合液2とを調合することが、触媒反応に最適なヘテロポリ酸塩析出の観点から好ましい。調合液1の原子比(X/(Mo+P))は0〜0.2であることがより好ましい。また、調合液2の原子比(X/(Mo+P))は2.0〜4.0であることがより好ましい。

0022

また、調合工程において、リンとモリブデンを合計した量に対する、アルカリ金属およびタリウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素であるX元素の原子比(X/(Mo+P))が0〜0.5である調合液1と、少なくとも使用済みのメタクリル酸製造用触媒、アンモニウム原料、および溶媒としての水を含み、リンとモリブデンを合計した量に対するX元素の原子比(X/(Mo+P))が0.1〜4.0である調合液2とを調合することが好ましい。調合液2の触媒原料として使用済みのメタクリル酸製造用触媒を用いた場合、使用済みのメタクリル酸製造用触媒はメタクリル酸合成反応中にヘテロポリ酸の分解によりモリブデン元素が多く消失していることがわかっている。このため、モリブデン元素を多く補給する観点から、調合液1において、リンとモリブデンを合計した量に対するX元素の原子比(X/(Mo+P))が0〜0.5となる調合液1を調合し、その後調合液2と混合することが好ましい。調合液1の原子比(X/(Mo+P))は0〜0.2であることがより好ましい。また、調合液2の原子比(X/(Mo+P))は2.0〜4.0であることがより好ましい。

0023

前記調合液1は、さらにバナジウム元素を含むことが、メタクリル酸選択性の高い触媒の製造の観点から好ましい。

0024

また、メタクリル酸製造用触媒が銅、アンチモンヒ素ケイ素ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルトおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種類のY元素を含む場合には、調合工程において、銅、アンチモン、ヒ素、ケイ素、ホウ素、銀、ビスマス、鉄、コバルトおよびセリウムからなる群から選択される少なくとも1種類のY元素を含む調合液4をさらに調合し、その後混合槽において混合することが、メタクリル酸選択性の高い触媒の製造の観点から好ましい。

0025

また、メタクリル酸製造用触媒がアンチモンを含む場合には、調合工程において、アンチモンを含む調合液5をさらに調合し、その後混合槽において混合することが好ましい。アンチモンはヘテロポリ酸のヘテロ原子としても用いられるが、本触媒ではヘテロポリ酸塩に担持される形で存在する方が好ましいため、調合液5として別途調合し、その後混合することが好ましい。

0026

また、メタクリル酸製造用触媒の酸化状態を調整するために、酸化剤を用いてもよい。その場合、調合工程において、酸化剤を含む調合液6をさらに調合し、その後混合槽において混合することが、触媒の酸化数を最適化し酸化反応特性を向上させる観点から好ましい。酸化剤としては、例えば、次亜塩素酸亜塩素酸塩素酸過塩素酸ハロゲン、過マンガン酸塩硝酸セリウムアンモニウムクロム酸二クロム酸過酸化物などが挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。

0027

調合槽1においては、前記触媒原料を溶媒に分散又は溶解させる際に、攪拌を行うことが好ましい。また、調合槽1で調合した調合液1は、ヘテロポリ酸を含む水溶液または水性スラリーであることが、選択性向上の観点から好ましい。調合液1がヘテロポリ酸を含む水溶液または水性スラリーとなるようにするために、調合槽1を70〜150℃に加熱することが好ましく、75〜125℃に加熱することがより好ましく、80〜100℃に加熱することがさらに好ましい。調合槽1内の温度を70℃以上とすることで、反応速度が向上する。また、調合槽1内の温度を150℃以下とすることで、目的とする構造のヘテロポリ酸が得られる。

0028

また、調合槽1においてヘテロポリ酸を含む水溶液または水性スラリーを製造する時は、溶媒が蒸発するのを防ぐことが好ましい。例えば、調合槽1の上部が大気開放されており、蒸気揮発していくような構造であれば、調合槽1の上部に排気ダクト付設された蓋を設置し、その排気ダクトにコンデンサーを接続して凝縮した液を還流させる装置を設置することができる。また、排気ダクトが付設されていない蓋を設置し、蒸気が大気開放されるのを防ぐこともできる。

0029

また、調合槽1内での調合液1の調合後の保持時間は6分以上、900分以下が好ましい。該保持時間が6分以上であることにより、ヘテロポリ酸の合成反応が十分に進行する。また、該保持時間が900分以下であることにより、ヘテロポリ酸の合成反応が十分平衡に達する。該保持時間は60分以上、300分以下がより好ましく、80分以上、250分以下がさらに好ましく、100分以上、200分以下が特に好ましい。

0030

調合槽2においては、前記触媒原料を溶媒に分散又は溶解させる際に、攪拌を行うことが好ましい。調合液2を調製する際の調合槽2内の温度は0〜80℃が好ましく、10〜40℃がより好ましい。該温度を前記範囲内とすることにより、触媒原料が溶媒に十分溶解する。また、該温度が80℃以下であることにより、触媒性能を向上させることができる。その理由は明確ではないが、該温度が80℃を超える場合、溶解した触媒原料が熱分解することで元素状態が変化し、混合工程において所望の触媒スラリーが得られない場合があるためと考えられる。

0031

((b)混合工程)
前記調合工程において調合された少なくとも二つの触媒原料スラリーまたは触媒原料溶液を全て一つの混合槽において混合させる。本発明では、混合槽は調合に用いた調合槽とは別のものを用いる。それぞれの調合槽から混合槽への移液方法は特に限定されず、例えば二つの調合液1と調合液2とを混合槽へ移液する場合には、調合液1と調合液2とを別々に混合槽へ投入してもよく、調合液1と調合液2を同時に混合槽へ投入してもよい。また、混合槽内で混合しながら複数の調合液を投入する場合には、それぞれの調合液の投入にかかる時間を自由に選ぶことができる。

0032

混合工程では少なくとも二つ以上の調合液を混合槽で混合するが、例えばアンチモンを触媒原料として用いる場合には、少なくともリンおよびモリブデンを含む調合液1、カチオン原料を含む調合液2、およびアンチモンを含む調合液4を混合槽にて混合することができる。

0033

特に、調合液1を混合槽へ投入した後で、調合液2を混合槽へ投入することが好ましい。また、各調合液を投入する際には攪拌を行うことが好ましい。混合槽内における混合は、温度を20〜120℃に保持して行うことが各調合液を混合して所望の沈殿を生成できるため好ましい。該温度は30〜110℃がより好ましく、40〜105℃がさらに好ましく、50〜100℃が特に好ましい。なお、20℃より低い温度では、溶解している触媒成分が溶解度以下となり再析出する可能性があるため、調合液の混合時に所望の触媒成分の沈殿が生成しない場合がある。温度調整は、調合液1を混合槽へ投入する前に調合槽1内で行ってもよいし、調合液1を混合槽へ投入した後、調合液2を投入する前に混合槽内で行ってもよい。また、調合液1を混合槽へ投入する際、調合液2を投入するときの目標温度となるように熱交換器を用いて調合槽1の温度を調整しながら調合液1を投入してもよい。熱媒体としては、冷却水エチレングリコール水溶液温水、蒸気などを用いることができる。加熱する際は、伝熱面での触媒成分の固着を防ぐ観点から、熱媒体として温水を用いることが好ましい。

0034

また、混合槽において触媒原料スラリーまたは触媒原料溶液を混合する時は、溶媒が蒸発するのを防ぐことが好ましい。例えば、混合槽の上部が大気開放されており、蒸気が揮発していくような構造であれば、混合槽の上部に排気ダクトが付設された蓋を設置し、その排気ダクトにコンデンサーを接続して凝縮した液を還流させる装置を設置することができる。また、排気ダクトが付設されていない蓋を設置し、蒸気が大気へ開放されるのを防ぐこともできる。

0035

混合槽内で混合する時間は、60分以上、320分以下が好ましい。該時間が60分以上であることにより、調合液を均一に混合することができる。また、該時間が320分以下であることにより、工程時間を短くすることができる。該時間は120分以上、280分以下がより好ましく、140分以上、240分以下がさらに好ましく、160分以上、220分以下が特に好ましい。なお、混合時間とは、混合槽において調合液1、2および残りの触媒原料の内、2種以上が投入されて接触した時点を混合開始とし、アンモニウム原料によるpHの調整も完了し終え、全ての触媒原料が混合し終わるまでの時間である。例えば、混合槽において調合液1を投入した後、調合液2または残りの触媒原料を投入した場合は、調合液2または残りの触媒原料を投入した時点を混合開始とし、また、調合液1と調合液2を同時に投入する場合は、同時に投入した時点を混合開始とする。

0036

また、混合槽にて調合液を混合する際に、さらにアンモニウム原料を添加して、pHを0.5〜7の間に調整することが、ヘテロポリ酸構造を安定化させる観点から好ましい。pHは1.5〜3.5がより好ましく、2〜3がさらに好ましい。なお、pHはカスニーACTpHメーターD−21(商品名、(株)堀場製作所製)を用いて、混合工程を経て得られたスラリーを測定した値である。アンモニウム原料としては、尿素アンモニウム塩またはアンモニアが挙げられる。アンモニウム塩としては、炭酸水素アンモニウム炭酸アンモニウム硝酸アンモニウムリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。

0037

その後、熟成濃縮、冷却等の操作が必要な場合には、熟成工程、濃縮工程、冷却工程等を適宜行ってもよい。これらの工程は混合槽内で実施してもよいが、これらの工程中に固形物付着等が生じる場合には、濃縮槽熟成槽冷却槽をそれぞれ用いて各工程を実施することが好ましい。熟成工程を行う場合には、例えば混合液を熟成槽で加熱して熟成処理することができる。熟成処理は30分以上加熱して行うことが好ましい。熟成処理の温度は80〜103℃が好ましい。熟成工程は必ずしも行う必要はないが、混合液が沈殿粒子を含むスラリー状の場合、この工程を行うことによって粒子成長させることができ、粒子が安定化する。

0038

その後、必要に応じて乾燥工程、成形工程熱処理工程を行い、触媒を製造することができる。

0039

(乾燥工程)
乾燥工程では、混合工程で得られたすべての触媒原料を含む混合液を乾燥し、触媒乾燥物を得ることができる。乾燥方法乾燥温度等の条件は特に限定されず、所望の乾燥物の形状や大きさにより適宣選択することができる。乾燥方法としては、例えば、箱型乾燥器を用いた乾燥方法、ドラム乾燥法気流乾燥法、蒸発乾固法、噴霧乾燥法等が挙げられる。乾燥温度は、例えば120〜500℃とすることができ、140〜400℃が好ましい。乾燥は、スラリーまたは溶液が乾固するまで行うことができる。

0040

(成形工程)
前記乾燥工程によって得られた触媒乾燥物に対して後述する熱処理工程を行う前に、触媒乾燥物を成形して触媒成形品を得る成形工程を行ってもよい。成形方法は特に制限されず、乾式及び湿式の成形方法が適用できる。成形方法としては、例えば、打錠成形プレス成形押出成形造粒成形等が挙げられる。成形品の形状についても特に限定されず、例えば、円柱状、リング状、球状等が挙げられる。また、成形時には、触媒乾燥物に担体等を添加せずに成形することが好ましいが、必要に応じて、例えばグラファイトタルク等の添加剤を加えてもよい。担体を用いる場合には、担体の種類は特に限定されない。

0041

(熱処理工程)
熱処理工程では、触媒乾燥物または触媒成形品を熱処理することで、触媒活性を十分に発現させることができる。熱処理工程では、空気及び不活性ガスの少なくとも一方の流通下で熱処理することができる。しかしながら、空気等の酸素含有ガス流通下で熱処理することが好ましい。ここで、不活性ガスとは触媒活性を低下させない気体のことを示し、例えば窒素、炭酸ガスヘリウムアルゴン等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種類以上を混合して使用してもよい。

0042

熱処理容器の形状は特に制限されないが、断面積が2平方センチメートル以上、100平方センチメートル以下である管状熱処理容器を用いることが好ましい。熱処理温度最高温度は300℃以上が好ましく、320℃以上がより好ましい。熱処理温度の最高温度が300℃以上であることにより、触媒中に含まれる脱離成分が十分に脱離する。なお、脱離成分とは、触媒原料に含まれる陰イオン成分や成形時に添加した添加剤等を示す。また、熱処理温度の最高温度は700℃以下が好ましく、500℃以下がより好ましい。熱処理温度の最高温度が700℃以下であることにより、触媒自体の分解を抑制することができる。

0043

[メタクリル酸製造用触媒]
本発明に係る方法により製造される触媒は、特にメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する際に用いられるメタクリル酸製造用触媒として好適である。本発明に係る方法により製造される触媒の酸素を除く元素組成としては、下記式(1)で示される組成が好ましい。

0044

MoaPbVcCudAeBfZgOh (1)
式(1)中、Mo、P、V、CuおよびOはそれぞれモリブデン、リン、バナジウム、銅および酸素を示す元素記号である。Aはケイ素、チタンゲルマニウム砒素、アンチモンおよびセリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Bはビスマス、ジルコニウム、銀、鉄、亜鉛クロム、マグネシウム、コバルト、マンガン、バリウム、セリウムおよびランタンからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示し、Zはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素を示す。a、b、c、d、e、f、gおよびhは各元素の原子比率を表し、a=12の時、b=0.5〜3、c=0.01〜3、d=0.01〜2、e=0〜3、f=0〜3、g=0.01〜3であり、hは前記核元素の原子価満足するのに必要な酸素の原子比率である。なお、該元素組成は原料の仕込み量から算出される値である。eは0.1〜3であることが好ましい。

0045

[メタクリル酸の製造方法]
本発明に係る方法により製造された触媒は、成形体または担持体として固定床で使用することが好ましいが、粒状として流動床で使用してもよい。本発明に係るメタクリル酸製造用触媒を反応管に充填し、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種を気相接触酸化してメタクリル酸を製造することができる。以下、本発明に係る触媒を用いてメタクリル酸を製造する際の実施形態を説明する。

0046

具体的には、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種と分子状酸素とを含む原料ガスと、本発明に係る触媒とを接触させることでメタクリル酸を製造する。この反応は固定床で行うことができる。触媒層は1層でもよく、2層以上であってもよい。なお、触媒活性が高い場合には、固定床反応器の原料ガスの入口部分で急激に反応が起こり、反応熱により温度が高くなり安定運転できない場合があるため、入口部分では触媒を触媒活性のない安定な物質と混合して、希釈して用いることができる。このような場合には触媒層を2層として、反応ガス入口側で触媒を希釈して用いることができる。また、段階的に触媒の希釈割合を変更し、触媒層を2層以上としてもよい。さらに、本発明に係る方法により製造された触媒に対し、その他の添加剤を混合して用いてもよい。

0047

原料ガス中のメタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種の濃度は特に限定されないが、1〜20容量%が好ましく、3〜10容量%がより好ましい。これら原料は、不純物を少量含んでいてもよい。

0048

原料ガス中の分子状酸素の濃度は、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種1モルに対して0.4〜4モルが好ましく、0.5〜3モルがより好ましい。なお、分子状酸素源としては、経済性の観点から空気が好ましい。必要であれば、空気に純酸素を加えて分子状酸素を富化した気体等を用いてもよい。

0049

原料ガスは、メタクロレイン、イソブチルアルデヒド、イソブタン及びイソ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種と分子状酸素源とを、窒素、炭酸ガス等の不活性ガスで希釈したものであってもよい。さらに、原料ガスに水蒸気を加えてもよい。水蒸気の存在下で反応を行うことにより、メタクリル酸をより高い選択率で得ることができる。原料ガス中の水蒸気の濃度は、0.1〜50容量%が好ましく、1〜40容量%がより好ましい。

0050

原料ガスと本発明に係る方法により製造された触媒との接触時間は、1.5〜15秒が好ましく、2〜5秒がより好ましい。反応圧力は、0.1MPaG(大気圧)〜1MPaGが好ましい。反応温度は200〜450℃が好ましく、250〜400℃がより好ましい。

0051

以下、実施例および比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例および比較例において「部」は質量部を意味する。原料ガスおよび生成物分析は、ガスクロマトグラフィーを用いて行った。ガスクロマトグラフィーの結果から、メタクリル酸選択率を下記式にて求めた。

0052

メタクリル酸選択率(%)=(B/A)×100
式中、Aは反応生成物全体の炭素数、Bは生成したメタクリル酸中の炭素数を示す。

0053

[実施例1]
((a)調合工程)
調合槽1において、純水400部に、三酸化モリブデン100部、メタバナジン酸アンモニウム7.8部、85質量%リン酸水溶液8.0部、60質量%砒酸水溶液2.1部および硝酸銅(II)3水和物5.6部を溶解させた。これを攪拌しながら95℃に昇温し、液温を95℃に保ちつつ150分攪拌した。このようにして得られた水性スラリーを調合液1とした。また、調合槽2において、重炭酸セシウム8.5部を純水20部に添加し、攪拌して重炭酸セシウムを溶解させ、得られる液を調合液2とした。

0054

((b)混合工程)
調合槽1および2とは別に用意した混合槽に調合液1を投入し、液温を95℃に保持した。混合槽に4枚の邪魔板を設置し、回転翼攪拌機を用いて調合液1を攪拌しながら調合液2を添加した。その後、15分攪拌を引き続き行った。その後、炭酸アンモニウム15部を純水24部に溶解した溶液を添加した。その後、引き続き15分攪拌を行った。この時のスラリーのpHは2.9であった。なお、調合槽1、調合槽2および混合槽は、使用前に入念に洗浄を行い、固形物の付着等のない状態で使用を開始した。混合槽において、調合液2の添加を開始してから炭酸アンモニウムを添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、190分であった。

0055

その後、前記混合工程で得られたスラリーを濃縮槽へ移し、100℃で濃縮した。さらに、濃縮したスラリーを冷却槽へ移し、40℃まで冷却した。その後、冷却したスラリーに対し噴霧乾燥を実施し、乾燥粉を得た。該乾燥粉を成形し、内径センチメートルの円筒石英ガラス焼成容器成形物を入れた。空気流通下、10℃/hで昇温し、380℃にて15時間焼成して触媒を得た。酸素を除く触媒の元素組成はMo12P1.2V1.2Cu0.4As0.2Cs0.8であった。なお、触媒の元素組成は原料の仕込み量から算出した値である。

0056

得られた触媒を反応管に充填し、メタクロレイン5容量%、酸素10容量%、水蒸気30容量%および窒素55容量%からなる原料ガスを反応温度300℃、接触時間3.6秒で通じた。生成物を捕集し、ガスクロマトグラフィーで分析して、メタクリル酸選択率を算出した。結果を表1に示す。

0057

[実施例2]
実施例1において触媒製造に使用した調合槽1、調合槽2および混合槽を洗浄することなくそのまま用いて、実施例1と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。なお、混合槽において、調合液2の添加を開始してから炭酸アンモニウムを添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、180分であった。得られたスラリーのpHは2.5であった。結果を表1に示す。なお、調合槽1内の調合液1を混合槽へ投入後、調合槽1の内壁面を観察したところ、固形物の付着が確認された。また、混合槽の内容物を取り出した後、混合槽の内壁面を観察したところ、混合工程で得られたスラリー由来の固形物の付着が確認された。

0058

[実施例3]
実施例2において触媒製造に使用した調合槽1、調合槽2および混合槽を洗浄することなくそのまま用いて、実施例1と同様の方法により混合工程まで実施した。なお、混合槽において、調合液2の添加を開始してから炭酸アンモニウムを添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、190分であった。得られたスラリーのpHは2.9であった。その後、濃縮操作を行わず、混合槽において40℃まで冷却した。それ以外は実施例1と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。結果を表1に示す。なお、調合槽1内の調合液1を混合槽へ投入後、調合槽1の内壁面を観察したところ、固形物の付着が確認された。また、混合槽の内容物を取り出した後、混合槽の内壁面を観察したところ、混合工程で得られたスラリー由来の固形物の付着が確認された。

0059

[比較例1]
実施例1と同様に、調合液1および2を調製した。なお、調合槽1、調合槽2および混合槽は、実施例1と同様に、使用前に入念に洗浄を行い、固形物の付着等のない状態で使用を開始した。その後、調合槽1を混合槽として用い、調合液1が入った状態で液温を95℃に保持し、調合液2を添加し、15分攪拌した。その後、炭酸アンモニウム15部を純水24部に溶解した溶液を滴下して15分攪拌し、ヘテロポリ酸のセシウム塩を析出させた。得られたスラリーのpHは2.6であった。なお、混合槽において、調合液2の添加を開始してから炭酸アンモニウムを添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、120分であった。それ以降は実施例1と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。結果を表1に示す。

0060

[比較例2]
比較例1において触媒製造に使用した調合槽1および調合槽2を洗浄することなくそのまま用いて、比較例1と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。なお、混合槽において、調合液2の添加を開始してから炭酸アンモニウムを添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、180分であった。得られたスラリーのpHは2.3であった。結果を表1に示す。なお、調合槽1内の内容物を取り出した後に、調合槽1の内壁面を観察したところ、前回の製造時のスラリー由来の固形物が内壁面に付着していることが確認された。

0061

[実施例4]
((a)調合工程)
調合槽1において、純水400部に、三酸化モリブデン100部、メタバナジン酸アンモニウム7.8部、85質量%リン酸水溶液6.8部、三酸化アンチモン5.1部および硝酸銅(II)3水和物5.6部を溶解させた。これを攪拌しながら95℃に昇温し、液温を95℃に保ちつつ180分攪拌した。その後、液温を50℃にし、このようにして得られた水性スラリーを調合液1とした。また、調合槽2において、硝酸セシウム8.5部を純水20部に添加し、50℃で攪拌して硝酸セシウムを溶解させ、得られる液を調合液2とした。

0062

((b)混合工程)
調合槽1および2とは別に用意した混合槽に調合液1を投入し、液温を50℃に保持した。混合槽に4枚の邪魔板を設置し、回転翼攪拌機を用いて調合液1を攪拌しながら調合液2を添加した。その後、25質量%アンモニア水溶液25.3部を添加した。さらに、硝酸鉄4.2部を純水3.0部に溶解した溶液を滴下し、引き続き攪拌を15分行った。この時のスラリーのpHは3.2であった。混合槽において、調合液2の添加を開始してから硝酸鉄の溶液を添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、200分であった。なお、調合槽1、調合槽2および混合槽は、使用前に入念に洗浄を行い、固形物の付着等のない状態で使用を開始した。

0063

それ以降は実施例1と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。なお、得られた触媒の酸素を除く触媒の元素組成はMo12P1V1.2Cu0.4Sb0.3Fe0.3Cs0.8であった。なお、触媒の元素組成は原料の仕込み量から算出した値である。結果を表1に示す。

0064

[実施例5]
実施例4において触媒製造に使用した調合槽1、調合槽2および混合槽を洗浄することなくそのまま用いて、実施例4と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。なお、混合槽において、調合液2の添加を開始してから硝酸鉄の溶液を添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、200分であった。得られたスラリーのpHは3.7であった。結果を表1に示す。なお、調合槽1内の調合液1を混合槽へ投入後、調合槽1の内壁面を観察したところ、固形物の付着が確認された。また、混合槽の内容物を取り出した後、混合槽の内壁面を観察したところ、混合工程で得られたスラリー由来の固形物の付着が確認された。

0065

[実施例6]
実施例5において触媒製造に使用した調合槽1、調合槽2および混合槽を洗浄することなくそのまま用いて、実施例4と同様の方法により混合工程まで実施した。混合槽において、調合液2の添加を開始してから硝酸鉄の溶液を添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、200分であった。得られたスラリーのpHは3.7であった。その後、濃縮操作を行わず、混合槽において40℃まで冷却した。それ以外は実施例4と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。結果を表1に示す。なお、調合槽1内の調合液1を混合槽へ投入後、調合槽1の内壁面を観察したところ、固形物の付着が確認された。また、混合槽の内容物を取り出した後、混合槽の内壁面を観察したところ、混合工程で得られたスラリー由来の固形物の付着が確認された。

0066

[比較例3]
実施例4と同様に、調合液1および2を調製した。なお、調合槽1、調合槽2および混合槽は、実施例4と同様に、使用前に入念に洗浄を行い、固形物の付着等のない状態で使用を開始した。その後、調合槽1を混合槽として用い、調合液1が入った状態で液温を50℃とした後、調合液2を添加し、15分攪拌した。その後、25質量%アンモニア水溶液25.3部を添加した。さらに、硝酸鉄4.2部を純水3.0部に溶解した溶液を滴下した。混合槽において、調合液2の添加を開始してから硝酸鉄の溶液を添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、150分であった。この時のスラリーのpHは3.6であった。それ以降は実施例4と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。結果を表1に示す。

0067

[比較例4]
比較例3において触媒製造に使用した調合槽1および調合槽2を洗浄することなくそのまま用いて、比較例3と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。混合槽において、調合液2の添加を開始してから硝酸鉄の溶液を添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、150分であった。得られたスラリーのpHは3.7であった。結果を表1に示す。なお、調合槽1内の内容物を取り出した後に、調合槽1の内壁面を観察したところ、前回の製造時のスラリー由来の固形物が内壁面に付着していることが確認された。

0068

[実施例7]
((a)調合工程)
調合槽1において、純水400部に、約1000時間メタクリル酸選択率の算出に使用された実施例4の触媒である使用済みのメタクリル酸製造用触媒98部を分散させた。これを攪拌しながら95℃に昇温し、液温を95℃に保ちつつ150分攪拌した。このようにして得られた水性スラリーを調合液1とした。また、調合槽2において、三酸化モリブデン20部、重炭酸セシウム1.1部を純水20部に添加し、攪拌して分散させ、得られる液を調合液2とした。

0069

((b)混合工程)
調合槽1および2とは別に用意した混合槽に調合液1を投入し、液温を95℃に保持した。混合槽に4枚の邪魔板を設置し、回転翼攪拌機を用いて調合液1を攪拌しながら調合液2を添加した。その後、15分攪拌を引き続き行った。その後、硝酸アンモニウム15部を純水24部に溶解した溶液を添加した。その後、引き続き15分攪拌を行った。この時のスラリーのpHは1.9であった。混合槽において、調合液2の添加を開始してから炭酸アンモニウムを添加し攪拌を終えるまでの混合時間は、190分であった。それ以降は実施例1と同様の方法により触媒を製造し、該触媒を用いてメタクリル酸の製造を行い、メタクリル酸選択率を算出した。なお、得られた触媒の酸素を除く触媒の元素組成はMo12P1V1.2Cu0.4Cs0.8であった。なお、触媒の元素組成は原料の仕込み量から算出した値である。結果を表1に示す。

0070

0071

実施例1では、調合液1および2をそれぞれ調合槽1および2で調合し、その後、調合槽とは違う混合槽を用いて、調合液1および2を混合した。この結果、比較例1で示すように、調合槽1を混合槽として用いて製造された触媒よりも選択率が高い触媒を製造することができた。

0072

実施例2および3では、実施例1で用いた調合槽1、調合槽2および混合槽をそのまま用いて触媒の製造を行い、調合槽1の内壁面に固形物の付着が確認されたが、繰り返し触媒の製造を行っても選択率は低下せず、安定して触媒を製造することができた。一方、比較例2では、比較例1の後に同じ調合槽をそのまま用い、調合槽1を混合槽として用いたため、スラリー由来の固形物が調合槽1の内壁面に付着し、その影響によって触媒を安定して製造することができず、選択率が低下したと考えられる。

0073

実施例4では、調合液1および2をそれぞれ調合槽1および2で調合し、その後、調合槽とは違う混合槽を用いて、調合液1および2を混合した。この結果、比較例3で示すように、調合槽1を混合槽として用いて製造された触媒よりも選択率が高い触媒を製造することができた。

0074

また、実施例5も同様に、実施例4で用いた調合槽1、調合槽2および混合槽をそのまま用いて触媒の製造を行い、調合槽1の内壁面に固形物の付着が確認されたが、繰り返し触媒の製造を行っても選択率は低下せず、安定して触媒を製造することができた。一方、比較例4では、比較例3の後に同じ調合槽をそのまま用い、調合槽1を混合槽として用いたため、スラリー由来の固形物が調合槽1の内壁面に付着し、その影響によって触媒を安定して製造することができず、選択率が低下したと考えられる。

0075

この出願は、2013年9月11日に出願された日本出願特願2013−188195を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

実施例

0076

以上、実施形態及び実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。

0077

本発明に係るメタクリル酸製造用触媒の製造方法は、メタクリル酸選択率が高い触媒を安定的に繰り返し製造することができるため、工業的に有用である。

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