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技術 医療用具およびその製造方法

出願人 テルモ株式会社
発明者 小濱弘昌徳江彩子
出願日 2014年7月18日 (7年6ヶ月経過) 出願番号 2015-534082
公開日 2017年3月2日 (4年11ヶ月経過) 公開番号 WO2015-029641
状態 特許登録済
技術分野 医療用材料
主要キーワード 基材コア 往復目 摺動抵抗値 基材表面層 減衰全反射法 評価試験装置 ミドル層 導入形態
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題・解決手段

本発明は、過酷な条件下での潤滑性に優れる医療用具およびその製造方法を提供する。本発明の医療用具は、基材の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を設けてなる生体内に挿入される医療用具であって、前記樹脂被覆層は、前記マレイン酸系高分子物質を、前記医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基共有結合させることにより形成され、前記マレイン酸系高分子物質は、赤外分光法(IR法)で測定した際の、カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さに対するカルボン酸塩のピーク高さの比が1.2〜1.7である。

概要

背景

気道気管消化管尿道、血管等の生体管腔組織中に挿入されるカテーテルガイドワイヤスタイレット等の医療用具は、組織を損傷させず、また目的部位まで確実に挿入することを可能とする操作性が要求され、さらには組織内に留置している間に摩擦によって粘膜を損傷したり、炎症を引き起こしたりすることを避けるために優れた潤滑性を示すことが要求される。

このような、要求を満足するため、生体内に挿入する医療用具の基材表面に、無水マレイン酸系高分子物質等の水溶性高分子共有結合させて、潤滑性を有する樹脂被覆層を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、無水マレイン酸系高分子物質等の水溶性高分子の被覆層下地層を介して基材上に形成した後、好ましくは水処理することによって、湿潤時に潤滑性を発揮させている。

概要

本発明は、過酷な条件下での潤滑性に優れる医療用具およびその製造方法を提供する。本発明の医療用具は、基材の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を設けてなる生体内に挿入される医療用具であって、前記樹脂被覆層は、前記マレイン酸系高分子物質を、前記医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより形成され、前記マレイン酸系高分子物質は、赤外分光法(IR法)で測定した際の、カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さに対するカルボン酸塩のピーク高さの比が1.2〜1.7である。

目的

本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、過酷な条件下での潤滑性に優れる医療用具およびその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基材の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を設けてなる生体内に挿入される医療用具であって、前記樹脂被覆層は、前記マレイン酸系高分子物質を、前記医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基共有結合させることにより形成され、前記マレイン酸系高分子物質は、赤外分光法(IR法)で測定した際の、カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さに対するカルボン酸塩のピーク高さの比が1.2〜1.7である、医療用具。

請求項2

前記反応性官能基は、イソシアネート基アミノ基、アルデヒド基またはエポキシ基である、請求項1に記載の医療用具。

請求項3

前記マレイン酸系高分子物質は、アルキルビニルエーテルマレイン酸エステル共重合体である、請求項1または2に記載の医療用具。

請求項4

反応性官能基を有する化合物を含む溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成し;前記下地層が形成された基材をマレイン酸系高分子物質で処理して、前記反応性官能基と前記マレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、前記下地層上にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を形成した後;前記下地層及び樹脂被覆層が形成された基材をアルカリ処理する、ことを有し、前記アルカリ処理は、前記下地層及び樹脂被覆層が形成された基材を、pHが9.5以上のアルカリ溶液中に25〜70℃で0.1〜20時間浸漬することによって行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医療用具の製造方法。

請求項5

前記アルカリ処理後の基材を、カルシウム濃度(Ca換算)が20mg/L未満の洗浄液洗浄することをさらに有する、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記pHが9.5以上のアルカリ溶液は、水酸化ナトリウム水溶液である、請求項4または5に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、医療用具およびその製造方法に関する。特に、本発明は、過酷な条件下での潤滑性に優れる医療用具およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

気道気管消化管尿道、血管等の生体管腔組織中に挿入されるカテーテルガイドワイヤスタイレット等の医療用具は、組織を損傷させず、また目的部位まで確実に挿入することを可能とする操作性が要求され、さらには組織内に留置している間に摩擦によって粘膜を損傷したり、炎症を引き起こしたりすることを避けるために優れた潤滑性を示すことが要求される。

0003

このような、要求を満足するため、生体内に挿入する医療用具の基材表面に、無水マレイン酸系高分子物質等の水溶性高分子共有結合させて、潤滑性を有する樹脂被覆層を形成することが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、無水マレイン酸系高分子物質等の水溶性高分子の被覆層下地層を介して基材上に形成した後、好ましくは水処理することによって、湿潤時に潤滑性を発揮させている。

先行技術

0004

特開昭60−259269号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に記載される医療用具は、通常の大気雰囲気中では十分な潤滑性を発揮できるものの、高温低温高湿度などの過酷な条件下では潤滑性が過度に低下するという問題があった。近年、医療用具を輸出する際の輸送工程中、あるいは使用する国の環境によっては、上記したような過酷な条件、特に高湿度の環境下に、医療用具がさらされる可能性がある。このため、高温、低温、高湿度などの過酷な条件下での潤滑性の維持・向上が強く要求される。

0006

したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、過酷な条件下での潤滑性に優れる医療用具およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、カルボン酸塩の割合を所定の範囲に調節したマレイン酸系高分子物質を含む被覆層を医療用具の基材上に形成することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。

0008

すなわち、上記目的は、基材の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を設けてなる生体内に挿入される医療用具であって、前記樹脂被覆層は、前記マレイン酸系高分子物質を、前記医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより形成され、前記マレイン酸系高分子物質は、赤外分光法(IR法)で測定した際の、カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さに対するカルボン酸塩のピーク高さの比が1.2〜1.7である、医療用具によって達成できる。

0009

また、上記目的は、反応性官能基を有する化合物を含む溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成し;前記下地層が形成された基材をマレイン酸系高分子物質で処理して、前記反応性官能基と前記マレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、前記下地層上にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を形成した後;前記下地層及び樹脂被覆層が形成された基材をアルカリ処理する、ことを有し、前記アルカリ処理は、前記下地層及び樹脂被覆層が形成された基材を、pHが9.5以上のアルカリ溶液中に25〜70℃で0.1〜20時間浸漬することによって行われる、本発明の医療用具の製造方法によっても達成できる。

図面の簡単な説明

0010

表面潤滑性評価試験装置摩擦測定機)の模式図である。図1中、1は水を;2はシャーレを;3は医療用具(サンプル)を;4は円柱ブチルゴム端子を;5は荷重を;6は移動テーブルを;および10は摩擦測定機を、それぞれ、示す。
表面潤滑性の評価結果を示すグラフである。

0011

本発明は、基材の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層(以下、単に「被覆層」とも称する)を設けてなる生体内に挿入される医療用具であって、前記樹脂被覆層は、前記マレイン酸系高分子物質を、前記医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより形成され、前記マレイン酸系高分子物質は、赤外分光法(IR法)で測定した際の、カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さに対するカルボン酸塩のピーク高さの比(以下、単に「ピーク高さ比」または「IR比」とも称する)が1.2〜1.7である、医療用具を提供する。本発明は、カルボン酸塩の割合を上記所定の範囲に調節したマレイン酸系高分子物質を含む被覆層を基材表面に設ける(形成する)ことを特徴とする。このような構成によって、医療用具は、高温、低温、高湿度などの過酷な条件下、特に高湿度の環境下におかれても、湿潤時の潤滑性が低下せず、優れた潤滑性を維持・発揮できる。ここで、上記したような効果を奏するメカニズムは、不明であるが、下記のように推測される。なお、本発明は、下記推測に限定されるものではない。すなわち、マレイン酸系高分子物質は体液や血液と接触すると、その物質中に存在するカルボン酸塩(例えば、カルボキシル基アルカリ金属塩)が体液や血液により膨潤してゲル化して、潤滑性を発揮する。このため、被覆層を構成するマレイン酸系高分子物質は、通常、マレイン酸系高分子物質のカルボン酸塩(例えば、カルボキシル基のアルカリ金属塩)の存在量が多い(ピーク高さ比が大きい)ほど、湿潤時の膨潤性(潤滑性)が高い。しかし、上記したような過酷な条件(特に、高湿条件)下では、カルボキシル基の金属塩(−COOX)がカルボキシル基(−COOH)に変換して、被覆層中のマレイン酸系高分子物質のカルボン酸塩の割合(ピーク高さ比)が低くなり、湿潤時の膨潤性(潤滑性)が低下してしまう。このため、本発明によるように、カルボン酸塩(カルボキシル基の金属塩)が多く存在するようにカルボン酸塩の割合(ピーク高さ比)を調節することによって、上記したような過酷な条件(特に、高湿条件)下におかれてカルボキシル基の金属塩の一部がカルボキシル基に変換した(−COOX→−COOH)後であっても、十分量のカルボン酸塩(カルボキシル基の金属塩)がマレイン酸系高分子物質中に残る。このため、本発明に係る被覆層は、高温、低温、高湿度などの過酷な条件下におかれた後であっても、十分量のカルボン酸塩(例えば、カルボキシル基のアルカリ金属塩)が体液や血液により膨潤してゲル化して、湿潤時の潤滑性が低下せず、優れた潤滑性を維持・発揮できる。したがって、本発明の医療用具は、過酷な条件下での潤滑性の低下を抑制・防止でき、優れた湿潤時の潤滑性を維持・発揮できる。ゆえに、本発明の医療用具は、輸送時または使用される国の過酷な環境などによる影響を受けた場合であっても、優れた潤滑性を維持・発揮できる。

0012

以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」及び「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で行われる。

0013

(医療用具)
本発明の医療用具は、生体内に挿入される基材(部分)の表面にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層が形成されてなる生体内に挿入される医療用具である。医療用具は、いずれの用途に使用されてもよいが、体液や血液との接触による潤滑性付与効果を考慮すると、体液や血液と接触して用いられることが好ましい。具体的には、留置針、IVHカテーテル、サーモダイリューションカテーテル、血管造影用カテーテル血管拡張用カテーテル(例えば、PCTAカテーテル)、ダイレーターあるいはイントロデューサーなどの血管内に挿入ないし留置されるカテーテル類、あるいは、これらのカテーテル用のガイドワイヤ、スタイレット;胃管カテーテル、栄養カテーテル経管栄養用(ED)チューブなどの経口もしくは経鼻的に消化器官内に挿入ないし留置されるカテーテル類;酸素カテーテル、酸素カヌラ気管内チューブのチューブやカフ気管切開チューブのチューブやカフ、気管内吸引カテーテルなどの経口または経鼻的に気道ないし気管内に挿入ないし留置されるカテーテル類;尿道カテーテル導尿カテーテル、尿道バルーンカテーテルのカテーテルやバルーンなどの尿道ないし尿管内に挿入ないし留置されるカテーテル類;吸引カテーテル排液カテーテル直腸カテーテルなどの各種体腔臓器、組織内に挿入ないし留置されるカテーテル類;人工気管人工気管支体外循環治療用の医療用具(人工肺人工心臓人工腎臓など)やその回路類;各種器管内挿入用内視鏡外表面など生体内挿入時、摺動時または留置時等に低い摩擦抵抗を要求される医療用具などが挙げられる。これらのうち、体液や血液との接触による潤滑性付与効果に対する要求が高いという面では、血管や尿管等の生体管腔内で使用されるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針の体液/血液接触面に本発明に係る被覆層を設けることが好ましい。

0014

(樹脂被覆層)
本発明に係る樹脂被覆層(被覆層)は、体液や血液や生理食塩水などの水系液体中で表面潤滑性を発揮して、カテーテルやガイドワイヤ等の医療用具を容易に生体管腔内に挿入できるなど、操作性を向上できる。また、本発明に係る樹脂被覆層(被覆層)は、上記操作中による組織粘膜の損傷を低減できる。

0015

上記樹脂被覆層は、マレイン酸系高分子物質を、医療用具を構成する基材の少なくとも表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより形成される。なお、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の医療用具において、必ずしもこれらの医療用具(基材)の全ての表面(表面全体)が潤滑性を有する必要はなく、少なくとも体液や血液と接触する表面部分(一部のみの場合もあれば全部の場合もある)のみに被覆層が形成されていればよい。このため、本発明は、医療用具を構成する基材の表面の一部のみあるいは基材の内部が潤滑性を有する場合を包含する。また、マレイン酸系高分子物質は、高い湿潤時の潤滑性およびその持続性を発揮できる。

0016

上記樹脂被覆層において、マレイン酸系高分子物質は、赤外分光法(IR法)で測定した際の、カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さに対するカルボン酸塩のピーク高さの比[=(カルボン酸塩のピーク高さ)/(カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さ)](ピーク高さ比またはIR比)が1.2〜1.7である。ここで、ピーク高さ比が1.2未満であると、通常の大気雰囲気下、例えば、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件下(通常条件下)では、優れた湿潤時の潤滑性を発揮・維持できるものの、高温、低温、高湿度などの過酷な条件下ではマレイン酸系高分子物質のカルボン酸塩の量(割合)が低下して、十分な潤滑性を発揮できない。逆に、ピーク高さ比が1.7を超えると、カルボン酸塩が被覆層中に過度に多く存在し、ピーク高さ比の調節を目的としてマレイン酸系高分子物質により形成した被覆層をアルカリ処理する際に、被覆層の一部が溶解し被覆層を形成することができない。過酷な条件下での湿潤時の膨潤性(潤滑性)の高さや当該効果の維持(耐久性)のより向上効果を考慮すると、ピーク高さ比は1.2〜1.6であることが好ましく、1.2〜1.5であることがより好ましい。

0017

本明細書において、マレイン酸系高分子物質の、「赤外分光法(IR法)で測定した際の、カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さに対するカルボン酸塩のピーク高さの比(ピーク高さ比またはIR比)」は、下記赤外分光法(infrared spectroscopy;IR法)によって、カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さに対するカルボン酸塩のピーク高さの比[=(カルボン酸塩のピーク高さ)/(カルボン酸エステルおよびカルボン酸の合計ピーク高さ)]として算出された値を意味する。すなわち、医療用具の樹脂被覆層を乾燥状態のまま減衰全反射法(attenuated total reflection;ATR法)により測定し、カルボン酸エステル及びカルボン酸の吸光度A(1710cm−1(カイザー付近)およびカルボン酸塩の吸光度B(1570cm−1(カイザー)付近)を、それぞれ、ベースライン(1800cm−1(カイザー))を基準に測定する。これらの吸光度A及びBを用いて、次の式により、ピーク高さ比(IR比)を算出する。

0018

0019

樹脂被覆層に使用されるマレイン酸系高分子物質は、マレイン酸、その塩またはそのエステル由来構成単位を有するものであれば、単独重合体または上記構成単位と他の単量体由来の構成単位から構成される共重合体など、いずれの構造を有するものであってもよい。ここで、マレイン酸、その塩またはそのエステル由来の構成単位は、下記式(a)、(a’)および(a”):

0020

0021

で示される構成単位であることがより好ましい。上記式において、Xは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す。ここで、アルカリ金属としては、例えば、リチウムナトリウムカリウムルビジウムセシウムがある。また、アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウムカルシウムストロンチウムバリウムがある。好ましくは、Xは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムであり、ナトリウム、カルシウムであることがより好ましく、ナトリウムであることが特に好ましい。Xがナトリウムである場合、マレイン酸系高分子物質が体液や血液と接触した際に、マレイン酸系高分子物質中のカルボキシル基のナトリウム塩が体液や血液により容易に膨潤してゲル化して、特に優れた潤滑性を発揮できる。また、Rは、炭素原子数1〜24の直鎖または分岐鎖アルキル基である。ここで、アルキル基としては、メチル基エチル基プロピル基イソプロピル基ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基などが挙げられる。これらのうち、湿潤時の膨潤性(潤滑性)の高さや当該効果の維持(耐久性)などを考慮すると、Rは、炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基がより好ましい。上記構成単位は、それぞれ、1種が単独で存在してもあるいは2種以上が混合形態で存在してもよい。

0022

上記構成単位のうち、マレイン酸系高分子物質は、式(a’)の構成単位および/または式(a”)の構成単位を有することが好ましく、式(a’)の構成単位および式(a”)の構成単位を有することがより好ましい。なお、上記式(a)の構成単位、式(a’)の構成単位及び式(a”)の構成単位の組成は、マレイン酸系高分子物質のピーク高さ比が1.2〜1.7になるような組成であればよく、ピーク高さ比に応じて適宜決定される。

0023

また、マレイン酸、その塩またはそのエステル由来の構成単位と共重合可能な他の単量体は、本発明による効果(例えば、通常条件下での湿潤時の潤滑性および過酷な条件下での湿潤時の潤滑性ならびにこれらの潤滑維持性)を阻害しないものであれば特に制限されない。具体的には、アルキルビニルエーテルアクリルアミドやその誘導体ビニルピロリドンアクリル酸メタクリル酸及びそれらの誘導体、ジエン系化合物無水マレイン酸及びその塩、糖、リン脂質を側鎖に有する単量体を例示できる。より具体的には、メチルビニルエーテルエチルビニルエーテルプロピルビニルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ビニルピロリドン、2−メタクリロイルオキシエチルフォスフォリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド、2−メタクリロイルオキシエチル−D−マンノシドビニルメチルエーテルヒドロキシエチルメタクリレートなどが例示できる。これらのうち、湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性、潤滑維持性などを考慮すると、アルキルビニルエーテルが好ましく、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルが特に好ましい。すなわち、マレイン酸系高分子物質は、アルキルビニルエーテル−マレイン酸エステル共重合体であることが好ましく、上記式(a’)および/または(a”)(特に、上記式(a’)および(a”))で示されるマレイン酸エステル由来の構成単位および下記式(b):

0024

0025

で示されるアルキルビニルエーテル由来の構成単位から構成されるアルキルビニルエーテル−マレイン酸エステル共重合体であることが特に好ましい。上記式(b)において、アルキルビニルエーテル由来の構成単位における置換基R’は、炭素原子数1〜24の直鎖または分岐鎖のアルキル基である。ここで、「アルキル基」は、上記マレイン酸エステル由来の構成単位における置換基Rに関するアルキル基と同様の定義であるため、ここでは説明を省略する。これらのうち、R’は、炭素原子数1〜8の直鎖または分岐鎖のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基がより好ましい。なお、マレイン酸系高分子物質が共重合体である場合に、各構成単位は、ブロック状であってもまたはランダム状であってもよい。

0026

また、マレイン酸系高分子物質が共重合体である場合の、各構成単位(各構成単位を形成する単量体)の組成は、特に制限されず、所望の効果(例えば、通常条件下での湿潤時の潤滑性および過酷な条件下での湿潤時の潤滑性ならびにこれらの潤滑維持性)を考慮して、適宜選択される。具体的には、マレイン酸系高分子物質は、20〜80モル%のマレイン酸、その塩またはそのエステル由来の構成単位、および80〜20モル%の他の単量体由来の構成単位から構成されることが好ましく、30〜70モル%のマレイン酸、その塩またはそのエステル由来の構成単位、および70〜30モル%の他の単量体由来の構成単位から構成されることがより好ましい。ここで、マレイン酸、その塩またはそのエステル由来の構成単位および他の単量体由来の構成単位の合計量は、100モル%である。特に、マレイン酸系高分子物質は、40〜60モル%のアルキルビニルエーテル由来の構成単位および60〜40モル%マレイン酸エステル由来の構成単位(アルキルビニルエーテル由来の構成単位およびマレイン酸エステル由来の構成単位の合計量は100モル%である)から構成されるアルキルビニルエーテル−マレイン酸エステル共重合体であることが好ましい。

0027

また、マレイン酸系高分子物質は、分子鎖に自由度を有しかつ含水形態をとりうるものであれば、不溶化形態を有していてもよい。当該形態としては、分子鎖に自由度を有しかつ含水形態をとりうるものであれば、特に制限されない。具体的には、上記マレイン酸系高分子物質の縮合、付加、置換酸化還元反応などで得られるアミド化物無水物、ハロゲン化物エーテル化物、加水分解物アセタール化物ホルマール化物、アルキロール化物、4級化物ジアゾ化物ヒドラジド化物、スルホン化物ニトロ化物、イオンコンプレックスジアゾニウム基アジド基イソシアネート基酸クロリド基酸無水物基イミノ炭酸エステル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基水酸基アルデヒド基等、反応性官能基を2個以上有する物質とマレイン酸系高分子物質との架橋物などが挙げられる。このようなマレイン酸系高分子物質は、体液や血液と接触させると、生体管腔や組織との摩擦抵抗を著しく低下させることができ、潤滑剤として好適に使用できる。また、これらのマレイン酸系高分子物質の縮合または付加反応置換反応などで得られる誘導体や、一部架橋などされたものも潤滑剤として同様にして有効である。

0028

さらに、マレイン酸系高分子物質の分子量もまた、特に制限されず、所望の効果(例えば、通常条件下での湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性、潤滑維持性)を考慮して、適宜選択される。具体的には、マレイン酸系高分子物質の重量平均分子量は、好ましくは1万〜700万、より好ましくは10万〜500万である。なお、本明細書においては、マレイン酸系高分子物質の分子量(重量平均分子量)は、標準物質としてポリスチレン移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定している。なお、マレイン酸系高分子物質の分子量は、繰り返し単位の種類およびその繰り返し単位数により算出することもできる。

0029

(反応性官能基)
上記マレイン酸系高分子物質は、少なくとも基材表面に存在する反応性官能基と共有結合させることにより、被覆層を基材上に形成させる。この被覆層は、体液や血液などの水系液体中に溶解することなく、持続的な潤滑性を発揮できる。反応性官能基は、少なくとも基材表面に存在すればよい。これにより、被覆層中のマレイン酸系高分子物質と容易に結合できる。このため、反応性官能基は、基材表面に加えて基材の内部に存在していてもよい。

0030

ここで、反応性官能基は、マレイン酸系高分子物質と反応し、共有結合を形成するものであれば、特に制限はない。具体的には、ジアゾニウム基、アジド基、イソシアネート基、酸クロリド基、酸無水物基、イミノ炭酸エステル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、パーオキサイド基、アルデヒド基等が挙げられる。これらのうち、反応性官能基は、イソシアネート基、アミノ基、アルデヒド基またはエポキシ基であることが好ましい。上記反応性官能基は、1種単独で使用されてもあるいは2種以上を併用されてもよい。

0031

反応性官能基の導入形態は、特に制限されない。具体的には、(i)反応性官能基を少なくとも表面に有する基材(反応性官能基含有基材)を使用する形態;(ii)反応性官能基を予め少なくとも表面に導入した基材を使用する形態;および(iii)基材上に反応性官能基を有する別の層(下地層)を形成する形態など、いずれの形態を使用してもよい。これらのうち、基材選択の自由度などを考慮すると、(iii)の形態が好ましく、上記(iii)の形態において、反応性官能基を有する化合物の溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成することがより好ましい。

0032

上記(i)の形態では、ポリウレタンポリアミドなどから形成される基材が、反応性官能基含有基材として好適に使用される。また、上記(ii)の形態では、基材表面にイオン化ガスプラズマ照射を行う方法が好適に使用できる。ここで、イオン化ガスプラズマ照射は、いずれの条件で行ってもよいが、酸素または窒素を含有するイオン化ガスプラズマを照射することが好ましい。例えば、基材表面に酸素を含有するイオン化ガスプラズマを照射することによって、基材表面が改質活性化されて、基材表面にカルボキシル基、水酸基、パーオキサイド基等の官能基が導入される。なお、上記方法において、イオン化ガス中の酸素の含有量は、上記したような効果を奏する量であれば特に制限されない。また、基材表面に窒素を含有するイオン化ガスプラズマを照射することによって、基材表面が改質、活性化されて、基材表面にカルボキシル基、水酸基、パーオキサイド基、アミノ基等の官能基が導入される。なお、上記方法においても、イオン化ガス中の窒素の含有量は、上記したような効果を奏する量であれば特に制限されない。

0033

上記(iii)の形態では、各種医療用具の外壁内壁などを構成する基材として、反応性官能基を含有していないものを使用する場合に特に好適に適用できる。すなわち、反応性官能基を有する化合物にて処理し、反応性官能基を基材に存在させ、この上にマレイン酸系高分子物質を共有結合させる。

0034

上記反応性官能基を有する化合物としては、上記反応性官能基を有するものであれば特に制限されない。例えば、反応性官能基としてイソシアネート基を有する化合物としては、エチレンジイソシアネートヘキサメチレンジイソシアネートキシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートトリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートMDI)、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネートシクロヘキシレンジイソシアネート、トルフェニルメタントリイソシアネートトルエントリイソシアネート等のポリイソシアネート、およびこれらポリイソシアネートとポリオール(例えばトリメチロールプロパン)とのアダクト付加体)またはプレポリマーなどが挙げられる。

0035

反応性官能基としてアミノ基を有する化合物としては、エチレンジアミントリメチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパンテトラメチレンジアミン、1,3−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2,4−ジアミノペンタンヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、デドカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンアシン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルトリメチレンジアミン、N,N−ジメチルトリメチレンジアミン、N,N−ジブチルトリメチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N−メチルトリメチレンジアミン、N−N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチルヘキサメチレンジアミンジエチレントリアミントリエチレンテトラミンテトラエチレンペンタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナエチレンデカミン、1,3−ビス(2’−アミノエチルアミノプロパン、ビス(3−ダミノプロパル)アミン、1,3−ビス(3’−アシノプロピルアミノ)プロパン、1,2,3−トリアミノプロパン、トリス(2−アミノエチル)アミン、テトラアミノメチルメタンメチルイミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスエチルアミンエチルイミノビスエチルアミン、N−アミノプロピル−2−モルホリン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−(2−ヒドロキシエチル)トリメチレンジアミン、キシリレンジアミンフェニレンジアミンピペラジンN−メチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミンN−アミノエチルピペラジン、N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラメチルテトラメチレンジアミン等の低分子ポリアミン、アミンとアルキレンジハライドあるいはエピクロルヒドリンから合成されるポリアルキレンポリアミン)〔エンサイクロピディア・オブポリマーサイエンスアンドテクノロジー(Encyclopedia of Polymer Science and Technology)10巻、616ページ〕、エチレンイミンプロピレンイミンなどのアルキレンイミン開環重合によって得られるアルキレンイミン重合体〔エンサイクロピディア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・テクノロジー、1巻、734ページ〕、ポリビニルアミンポリリジン等の高分子ポリアミンなどのポリアミンなどが挙げられる。

0036

反応性官能基としてアルデヒド基を有する化合物としては、グルタルアルデヒドテレフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒドジアルデヒドデンプンガリオキサール、マロンアルデヒドコハク酸アルドヒド、アジアルデヒド、ピメリンジアルデヒド、スベリンジアルデヒド、マレインアルデヒド、2−ペンテン−1,5−ジアルデヒド等のポリアルデヒドなどが挙げられる。

0037

反応性官能基としてエポキシ基を有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテルポリエチレングリコールジグリシジルエーテルプロピレングリコールジグリンジルエーテルポリプロピレンジグリンシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチエロールプロパントリグリシジルエーテル等のポリエポキシド、などが挙げられる。

0038

これらのうち、マレイン酸系高分子物質との結合性(即ち、通常条件下での湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性、潤滑維持性)などを考慮すると、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト、あるいはそのトリマー、ジエチレントリアミンが好ましい。上記反応性官能基を有する化合物は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。

0039

(基材)
本実施形態で用いられる基材は、いずれの材料から構成されてもよく、その材料は特に制限されず、表面に被覆層を設ける医療用具の種類によって適宜選択できる。具体的には、基材を構成(形成)する材料としては、金属材料高分子材料ガラス、およびセラミックス等が挙げられる。ここで、基材は、基材全体(全部)が上記いずれかの材料で構成(形成)されても、または、上記いずれかの材料で構成(形成)された基材コア部の表面に他の上記いずれかの材料を適当な方法で被覆コーティング)して、基材表面層を構成(形成)した構造を有していてもよい。後者の場合の例としては、樹脂材料等で形成された基材コア部の表面に金属材料が適当な方法(メッキ金属蒸着スパッタ等従来公知の方法)で被覆(コーティング)されて、基材表面層を形成してなるもの;金属材料やセラミックス材料等の硬い補強材料で形成された基材コア部の表面に、金属材料等の補強材料に比して柔軟な高分子材料が適当な方法(浸漬(ディッピング)、噴霧スプレー)、塗布・印刷等の従来公知の方法)で被覆(コーティング)あるいは基材コア部の補強材料と基材表面層の高分子材料とが複合化(適当な反応処理)されて、基材表面層を形成してなるものなどが挙げられる。よって、基材コア部が、異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。また、基材コア部と基材表面層との間に、さらに別のミドル層が形成されていてもよい。この際、基材表面層に上記反応性官能基を有する化合物を含ませてもよい。さらに、基材表面層に関しても異なる材料を多層に積層してなる多層構造体、あるいは医療用具の部分ごとに異なる材料で形成された部材を繋ぎ合わせた構造(複合体)などであってもよい。

0040

上記基材を構成(形成)する材料のうち、金属材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の医療用具に一般的に使用される金属材料が使用される。具体的には、SUS304、SUS316、SUS316L、SUS420J2、SUS630などの各種ステンレス鋼(SUS)、金、白金、銀、銅、ニッケルコバルトチタン、鉄、アルミニウム、スズあるいはニッケル−チタン(Ni−Ti)合金、ニッケル−コバルト(Ni−Co)合金、コバルト−クロム(Co−Cr)合金、亜鉛タングステン(Zn−W)合金等の各種合金などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記金属材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の基材として最適な金属材料を適宜選択すればよい。

0041

また、上記基材を構成(形成)する材料のうち、高分子材料としては、特に制限されるものではなく、カテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の医療用具に一般的に使用される高分子材料が使用される。具体的には、ポリアミド樹脂直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン樹脂ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂変性ポリオレフィン樹脂エポキシ樹脂ウレタン樹脂(ポリウレタン)、ジアリルフタレート樹脂アリル樹脂)、ポリカーボネート樹脂フッ素樹脂アミノ樹脂ユリア樹脂メラミン樹脂ベンゾグアナミン樹脂)、ポリエステル樹脂スチロール樹脂ポリアセタール樹脂酢酸ビニル樹脂フェノール樹脂塩化ビニル樹脂ポリ塩化ビニル)、シリコーン樹脂ケイ素樹脂)、ポリエーテル樹脂ポリイミド樹脂、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステルポリメタクリル酸エステルポリアクリロニトリルポリアクリルアミドポリアクリル酸ポリメタクリル酸ポリビニルアルコールポリ無水マレイン酸ポリエチレンイミンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。上記高分子材料には、使用用途であるカテーテル、ガイドワイヤ、留置針等の基材として最適な高分子材料を適宜選択すればよい。

0042

また、上記基材の形状は、特に制限されることはなく、シート状、線状(ワイヤ)、管状など使用態様により適宜選択される。

0043

(医療用具の製造方法)
本発明の医療用具は、基材表面に潤滑性を付与するための被覆層が設けられていればよく、その製造方法は特に制限されない。具体的には、本発明の医療用具は、基材表面に反応性官能基を導入した後、マレイン酸系高分子物質で処理して、反応性官能基とマレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、被覆層を形成した後、マレイン酸系高分子物質中のカルボン酸塩の割合をピーク高さ比が1.2〜1.7になるように調節することによって、製造することが好ましい。ここで、上述したように、反応性官能基は、基材上に反応性官能基を有する別の層(下地層)を形成することによって、基材表面に導入されることが好ましく、反応性官能基を有する化合物を含む溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成することによって、基材表面に導入されることがより好ましい。また、マレイン酸系高分子物質を含む被覆層は、上記下地層を有する基材をマレイン酸系高分子物質で処理して、反応性官能基とマレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、下地層上に形成することが好ましい。さらに、マレイン酸系高分子物質中のカルボン酸塩の割合(ピーク高さ比)は、上記したようにして形成された被覆層をアルカリ処理することによって、調節されることが好ましい。ここで、アルカリ処理条件は、マレイン酸系高分子物質中のピーク高さ比(カルボン酸塩の割合)が1.2〜1.7になるような条件であれば特に制限されない。具体的には、下地層及び樹脂被覆層が形成された基材を、pHが9.5以上のアルカリ溶液中に25〜70℃で0.1〜20時間浸漬することが好ましい。

0044

したがって、本発明の医療用具は、反応性官能基を有する化合物を含む溶液で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成し[工程(1)];
前記下地層が形成された基材をマレイン酸系高分子物質で処理して、前記反応性官能基と前記マレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、前記下地層上にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を形成した[工程(2)]後;
前記下地層及び樹脂被覆層が形成された基材をアルカリ処理する[工程(3)]ことによって、製造され、
前記アルカリ処理は、前記下地層及び樹脂被覆層が形成された基材を、pHが9.5以上のアルカリ溶液中に25〜70℃で0.1〜20時間浸漬することによって行われることが好ましい。以下、上記本発明の医療用具の好ましい製造方法について、詳述する。なお、本発明は、下記形態に限定されない。

0045

1.工程(1)
本工程では、反応性官能基を有する化合物を含む溶液(塗布溶液)で医療用具を構成する基材を処理して、該基材の少なくとも表面に反応性官能基が存在する下地層を形成する。

0046

反応性官能基を有する化合物を含む溶液による医療用具を構成する基材(基材)の処理方法は、特に制限されないが、反応性官能基を有する化合物を含む溶液を基材に塗布する方法が使用できる。ここで、塗布方法としては、ディップコーティング浸漬法)、噴霧、スピンコーティング滴下ドクターブレード刷毛塗りロールコーターエアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート混合溶液含浸スポンジコート等、従来公知の方法を適用することができる。また、塗布溶液中の反応性官能基を有する化合物の濃度は、反応性官能基を有する化合物が次工程(2)で十分量のマレイン酸系高分子物質と共有結合できる量存在すれば特に制限されない。次工程(2)での十分量のマレイン酸系高分子物質との反応性、マレイン酸系高分子物質による被覆量などを考慮すると、塗布溶液中の反応性官能基を有する化合物の濃度は、0.5〜10重量%であることが好ましく、2〜5重量%であることがより好ましい。

0047

塗布溶液を調製するための溶媒としては、反応性官能基を有する化合物を溶解できるものであれば特に制限されず、使用される反応性官能基を有する化合物の種類によって適宜選択できる。具体的には、アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン系溶媒酢酸ブチル酢酸エチルカルビトールアセテートブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶媒、メチルセロソルブエチルセロソルブブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒ブタンヘキサン等のアルカン系溶媒ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒ジクロロエタンクロロホルム塩化メチレン等のハロゲン系溶媒メタノールエタノールイソプロパノールエチレングリコール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。上記溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。上記溶媒は、基材が高分子材料(樹脂)製である場合、または下記に詳述するが基材の表面に予め高分子材料からなる層(基材表面層)が形成されている場合には、これらを溶解ないし膨潤させて、被覆層の被着強度を向上して、(通常条件及び過酷な条件下での)潤滑性をより長期間維持できる。

0048

塗布溶液は、反応性官能基を有する化合物以外の他の添加剤を含んでもよい。ここで、他の添加剤は、特に制限されないが、例えば、高分子材料、薬剤などが挙げられる。ここで、高分子材料としては、上記基材を構成(形成)する材料で例示された高分子材料が同様にして例示できる。これらのうち、下地層の形成のしやすさなどを考慮すると、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。また、薬剤は、医療用具の留置部位、適用される疾患などによって、適宜選択できる。ここで、他の添加剤の塗布溶液における濃度は、特に制限されないが、下地層の形成しやすさなどを考慮すると、0.5〜15重量%であることが好ましく、2〜10重量%であることがより好ましい。

0049

塗布溶液による基材の処理条件は、基材の所望の表面に反応性官能基を導入できる条件であれば特に制限されない。具体的には、塗布溶液で基材を、0〜50℃で1秒〜48時間塗布することが好ましい。

0050

また、特に、金属材料、ガラス、セラミックス等を基材とするときには、下地層を形成する前に、高分子材料からなる層(基材表面層)を予め基材表面に形成することが好ましい。これにより、基材と下地層とをより強固に密着でき、被覆層の被着強度を向上させることができる。ここで、高分子材料の種類は、特に制限されず、基材の種類によって適宜選択できる。具体的には、高分子材料としては、上記基材を構成(形成)する材料で例示された高分子材料が同様にして例示できる。これらのうち、潤滑性持続効果、下地層との密着性などを考慮すると、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ここで、高分子材料からなる層を予め基材表面に形成する場合の、高分子材料からなる層の厚みは、特に制限されないが、潤滑性持続効果、下地層との密着性などを考慮すると、1〜70μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。

0051

上記したようにして塗布溶液で基材を塗布した後は、塗膜を乾燥して、下地層を基材上に形成する。ここで、乾燥条件は、下地層が形成できる条件であれば特に制限されない。例えば、乾燥温度は、室温(25℃)〜80℃程度であることが好ましい。また、乾燥時間は、5分〜48時間程度であることが好ましい。

0052

2.工程(2)
本工程では、上記工程(1)で得られた下地層を有する基材(基材/下地層)を、マレイン酸系高分子物質で処理して、反応性官能基とマレイン酸系高分子物質とを共有結合させて、下地層上にマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を形成する。

0053

ここで、マレイン酸系高分子物質による基材/下地層の処理方法は、特に制限されないが、マレイン酸系高分子物質を含む溶液(被覆層形成溶液)を基材に塗布する方法が使用できる。ここで、塗布方法としては、ディップコーティング(浸漬法)、噴霧、スピンコーティング、滴下、ドクターブレード、刷毛塗り、ロールコーター、エアーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコート、混合溶液含浸スポンジコート等、従来公知の方法を適用することができる。また、被覆層形成溶液中のマレイン酸系高分子物質の濃度は、十分量のマレイン酸系高分子物質による被覆層が形成できる濃度であれば特に制限されない。マレイン酸系高分子物質による被覆量などを考慮すると、被覆層形成溶液中のマレイン酸系高分子物質の濃度は、0.1〜15重量%であることが好ましく、0.5〜10重量%であることがより好ましい。このような濃度であれば、医療用具(被覆層)は、優れた通常条件下での湿潤時の潤滑性、過酷な条件下での湿潤時の潤滑性および潤滑維持性を発揮できる。

0054

被覆層形成溶液を調製するための溶媒としては、マレイン酸系高分子物質を溶解できるものであれば特に制限されず、使用されるマレイン酸系高分子物質の種類によって適宜選択できる。具体的には、上記工程(1)で記載された溶媒と同様の溶媒が使用できる。これらのうち、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン等が好ましい。これらの溶媒は、基材/下地層に存在する反応性官能基とほとんどまたは全く反応せず、また、基材/下地層に対して適度な溶解性や膨潤性を有する。なお、上記溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。

0055

被覆層形成溶液は、マレイン酸系高分子物質以外の他の添加剤を含んでもよい。ここで、他の添加剤は、特に制限されないが、例えば、高分子材料、薬剤などが挙げられる。ここで、高分子材料としては、上記基材を構成(形成)する材料で例示された高分子材料が同様にして例示できる。また、薬剤は、医療用具の留置部位、適用される疾患などによって、適宜選択できる。ここで、他の添加剤の被覆層形成溶液における濃度は、特に制限されないが、被覆層の形成しやすさなどを考慮すると、0.5〜15重量%であることが好ましく、2〜10重量%であることがより好ましい。

0056

被覆層形成溶液による基材/下地層の処理条件は、基材/下地層上に適量のマレイン酸系高分子物質の被覆層が形成できる条件であれば特に制限されない。具体的には、被覆層形成溶液で基材/下地層を、0〜80℃で1秒〜48時間塗布することが好ましく、10〜30℃で1秒〜1時間塗布することがより好ましい。

0057

上記したようにして被覆層形成溶液で基材/下地層を塗布した後は、塗膜を乾燥して、被覆層を基材/下地層上に形成する。ここで、乾燥条件は、被覆層が形成できる条件であれば特に制限されない。例えば、乾燥温度は、室温(25℃)〜80℃程度であることが好ましい。また、乾燥温度は、5分〜48時間程度であることが好ましい。

0058

3.工程(3)
本工程では、上記工程(2)で得られた下地層及び樹脂被覆層を有する基材をアルカリ処理する。ここで、アルカリ処理は、前記下地層及び樹脂被覆層を有する基材を、pHが9.5以上のアルカリ溶液中に25〜70℃で0.1〜20時間浸漬することによって行われることが好ましい。このようなアルカリ処理によって、下記反応により、被覆層中のマレイン酸系高分子物質中のカルボキシル基(−COOH)及びエステル部分(−COOR)がカルボン酸塩(−COOX)に変換して、カルボン酸塩の割合(ピーク高さ)が1.2〜1.7に調節される。なお、下記反応式において、置換基「R」および「R’」は、それぞれ、上記式(a)における置換基「R」および上記式(b)における置換基「R’」と同様の定義である。また、下記反応式において、置換基「X」は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表す。ここで、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムがある。また、アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムがある。好ましくは、Xは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムであり、ナトリウム、カルシウムであることがより好ましく、ナトリウムであることが特に好ましい。Xがナトリウムである場合、マレイン酸系高分子物質が体液や血液と接触した際に、マレイン酸系高分子物質中のカルボキシル基のナトリウム塩が体液や血液により容易に膨潤してゲル化して、特に優れた潤滑性を発揮できる。

0059

0060

なお、上記アルカリ処理では、カルボキシル基(−COOH)は速やかに塩(−COOX)の形態になるが、エステル部分(−COOR)はかなり強いアルカリ条件(例えば、高いpH、高い処理温度、長い処理時間)下でなければ塩(−COOX)の形態にならない。このため、下記比較例1に示されるようにアルカリ処理時間が短い場合には、カルボキシル基(−COOH)のみが塩(−COOX)の形態になる、即ち、ピーク高さが1.1にしかならない。

0061

上記アルカリ処理において、アルカリ溶液を調製するために使用されるアルカリは、特に制限されず、水酸化ナトリウム水酸化カリウム炭酸ナトリウム炭酸カリウム水酸化カルシウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム水酸化リチウム、ナトリウム、アンモニア等が挙げられる。これらのうち、アルカリ溶液のpHを考慮すると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムが好ましく、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウムがより好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。なお、上記アルカリは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。

0062

また、上記アルカリを溶解するための溶媒は、特に制限されないが、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族類、N,N−ジメチルホルムアミドDMF)等のアミド類などが挙げられる。これらのうち水が特に好ましい。すなわち、pHが9.5以上のアルカリ溶液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが特に好ましい。なお、上記溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。

0063

アルカリ溶液のpHは、9.5以上(上限:14)であることが好ましい。ここで、アルカリ溶液のpHが9.5未満であると、カルボキシル基(−COOH)は塩(−COOX)の形態になるが、十分量のエステル部分(−COOR)が塩(−COOX)の形態にならず、ピーク高さを1.2以上とすることができない可能性が高い(下記比較例3参照)。ピーク高さの調節のしやすさ、時間などを考慮すると、アルカリ溶液のpHは、10〜13.5がより好ましく、12〜13が特に好ましい。

0064

アルカリ溶液は、アルカリ以外に他の成分を含んでもよい。ここで、他の成分としては、塩化ナトリウム臭化ナトリウム塩化カリウム臭化カリウム塩化リチウム臭化リチウムスクロースなどが挙げられる。好ましくは塩化ナトリウムである。他の成分の好ましい濃度は、特に制限されないが、アルカリ溶液中、好ましくは0.01〜500ミリモル/Lの濃度となるような量である。

0065

また、下地層及び樹脂被覆層を有する基材のアルカリ溶液への浸漬温度は、25〜70℃であることが好ましい。ここで、浸漬温度は、アルカリ溶液の温度を意味する。浸漬温度が25℃未満であると、カルボキシル基(−COOH)は塩(−COOX)の形態になるが、十分量のエステル部分(−COOR)が塩(−COOX)の形態にならず、ピーク高さを1.2以上とすることができない可能性が高い(下記比較例1参照)。一方、浸漬温度が70℃を超えると、ピーク高さの調節が困難であり、好ましくない。ピーク高さの調節のしやすさ、時間などを考慮すると、浸漬温度は、30〜65℃であることがより好ましく、40〜60℃であることが特に好ましい。

0066

下地層及び樹脂被覆層を有する基材のアルカリ溶液への浸漬時間は、0.1〜20時間であることが好ましい。浸漬時間が0.1時間未満であると、カルボキシル基(−COOH)は塩(−COOX)の形態になるが、十分量のエステル部分(−COOR)が塩(−COOX)の形態にならず、ピーク高さを1.2以上とすることができない可能性が高い(下記比較例1参照)。一方、浸漬時間が20時間を超えると、樹脂被膜層剥離する可能性があり、好ましくない(下記比較例2参照)。ピーク高さの調節のしやすさ、大量生産容易性などを考慮すると、浸漬時間は、0.5〜14時間であることがより好ましく、1〜14時間であることが特に好ましい。

0067

上記アルカリ処理後は、必要であれば、洗浄工程を行ってもよい。当該洗浄工程により、アルカリ処理によるカルボキシル基(−COOH)及びエステル部分(−COOR)から塩(−COOX)への変換を容易に終了することができるため、所望のピーク高さを達成・維持できる。ここで、洗浄条件は、特に制限されない。例えば、洗浄工程に使用できる洗浄液としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、クロロホルム等のハロゲン化物、ブタン、ヘキサン等のアルカン類、テトラヒドロフラン、ブチルエーテル等のエーテル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族類、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等のアミド類などが挙げられる。上記洗浄液は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これらのうち、水が好ましい。

0068

ここで、洗浄液は、不純物、特にカルシウムを含まないことが好ましい。カルシウムが存在する場合、洗浄工程の際に、塩(特にナトリウム)がカルシウムに一部置換されてしまい、その形態が不安定になる場合がある。このため、このように不純物(特にカルシウム)を含まない洗浄液でアルカリ処理後の基材を洗浄することによって、膨潤性、特に過酷な条件下での膨潤性の低下をより有効に抑制・防止できる。洗浄液中カルシウム濃度は、低いほど好ましいく、具体的には、洗浄液中のカルシウム濃度(Ca換算)が20mg/L未満(下限:0mg/L)であることが好ましい。すなわち、アルカリ処理後の基材を、カルシウム濃度(Ca換算)が20mg/L未満の洗浄液で洗浄することが好ましい。より好ましくは、洗浄液中のカルシウム濃度(Ca換算)は0〜10mg/Lである。このようなカルシウム濃度の低い洗浄液でアルカリ処理後の基材を洗浄することによって、膨潤性、特に過酷な条件下での膨潤性、表面潤滑性の低下をさらにより有効に抑制・防止できる。この洗浄方法をピーク高さ比が1.1であるマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層に対して行っても、膨潤性、特に過酷な条件下での膨潤性、表面潤滑性の低下を有効に抑制・防止できる。

0069

ここで、洗浄液中のカルシウム濃度(Ca換算)は公知の方法によって測定できる。本明細書では、洗浄液中のカルシウム濃度(Ca換算)は高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置島津製作所製ICP発光分光分析装置CPS−8000)を用いて測定された値を意味する。

0070

このようなカルシウム濃度の低い洗浄液としては、特に制限されないが、蒸留水イオン交換水逆浸透(RO)水、純水、超純水軟水などが挙げられる。

0071

また、洗浄温度は、好ましくは0〜70℃であり、より好ましくは20〜65℃である。洗浄時間は、好ましくは0.1〜120分間であり、より好ましくは0.5〜30分間である。このような条件であれば、アルカリ溶液を十分除去できるため、所望のピーク高さを達成・維持できる。

0072

上記アルカリ処理または洗浄工程後に、必要であれば再度上記アルカリ処理または洗浄工程をおこなってカルボン酸塩への変換、ピーク高さの調節をしても良い。また、再度上記アルカリ処理または洗浄工程をおこなう前に必要であれば、塩酸硫酸クエン酸等の酸水溶液で洗浄してもよい。

0073

上記アルカリ処理または洗浄工程後に、必要であれば、下地層及び樹脂被覆層を有する基材を乾燥する。ここで、乾燥条件は、アルカリ処理または洗浄工程後の基材、下地層及び樹脂被覆層を十分乾燥できる条件であれば、特に制限されない。例えば、乾燥温度は、室温(25℃)〜80℃程度であることが好ましい。また、乾燥温度は、5分〜48時間程度であることが好ましい。

0074

上記したようにして得られた医療用具では、ピーク高さの比が1.2〜1.7であるマレイン酸系高分子物質が反応性官能基と共有結合して被覆層が生体内に挿入される基材の表面に形成される。一方、本発明の医療用具のうち、生体内に挿入されない部位には、非潤滑性処理が施されてもよい。ここで、非潤滑性処理としては、特に制限されないが、例えば、特開平4−144567号公報に記載されるイソシアネート化合物を使用する方法が好適に使用できる。イソシアネート化合物は、マレイン酸系高分子物質にグラフトしたり、一部これを架橋したりして、これを非潤滑化するものであると考えられる。

0075

上記したようにして得られた医療用具は、十分量のカルボン酸塩(カルボキシル基の金属塩)を有する。このため、過酷な条件(特に、高湿条件)下で、カルボキシル基の金属塩の一部がカルボキシル基(−COOH)に変換されても、十分量のカルボン酸塩(カルボキシル基の金属塩)が被覆層中に残る。ゆえに、本発明に係る被覆層は、高温、低温、高湿度などの過酷な条件下におかれても、湿潤時の潤滑性を低下させず、優れた潤滑性を維持・発揮できる。したがって、本発明の医療用具は、輸送時または使用される国の過酷な環境などによる影響を受けた場合であっても、優れた潤滑性を維持・発揮できる。

0076

本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われる。

0077

実施例1
外径0.25mmのNi−Ti合金製ワイヤに、熱可塑性ポリウレタン樹脂をコートし、外径0.3mmとした。次に、このポリウレタン樹脂をコートしたワイヤをポリ塩化ビニル(PVC)及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)のテトラヒドロフラン(THF)溶液(各濃度=5重量%)に室温(25℃)で1秒間浸漬し、室温(25℃)で30分間乾燥させた。

0078

さらに、ワイヤをメチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体商品名:GANTREZ AN−169 G.A.F.社製、重量平均分子量=1.98×106)のハーフエチルエステルエステル化度=約50%)の1重量%THF溶液中に室温(25℃)で1秒間浸漬し、約60℃で12時間乾燥させて、ガイドワイヤ未処理品を得た。なお、本実施例で使用した、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体のハーフエチルエステル(エステル化度=約50%)は、50モル%のマレイン酸およびそのエステル由来の構成単位、および50モル%のメチルビニルエーテル由来の構成単位から構成され、下記構成単位から構成される。

0079

0080

このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(pH=13)に2時間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、医療用具(1)を得た。このようにして得られた医療用具(1)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.2であった。

0081

実施例2
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0082

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に4時間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、医療用具(2)を得た。このようにして得られた医療用具(2)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.4であった。

0083

実施例3
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0084

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に6時間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、医療用具(3)を得た。このようにして得られた医療用具(3)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.5であった。

0085

実施例4
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0086

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に14時間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、医療用具(4)を得た。このようにして得られた医療用具(4)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.7であった。

0087

実施例5
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0088

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した1.2mmol/Lの炭酸ナトリウム水溶液(pH=10.5)に2時間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、医療用具(5)を得た。このようにして得られた医療用具(5)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.3であった。

0089

実施例6
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0090

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した塩化ナトリウム(51.3mmol/L)を添加した1.2mmol/Lの炭酸ナトリウム水溶液(pH=10.5)に2時間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、医療用具(6)を得た。このようにして得られた医療用具(6)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.3であった。

0091

実施例7
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0092

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した0.01mol/Lの水酸化カルシウム水溶液(pH=12.3)に1時間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、医療用具(7)を得た。このようにして得られた医療用具(7)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.4であった。

0093

実施例8
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0094

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した炭酸ナトリウム(15mmol/L)を添加した35mmol/Lの炭酸水素ナトリウム水溶液(pH=9.5)に2時間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、医療用具(8)を得た。このようにして得られた医療用具(8)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.3であった。

0095

実施例9
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0096

このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(pH=13)に2時間浸漬し、次いで約60℃に加温した水道水(カルシウム濃度:30mg/L)で2時間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、医療用具(9)を得た。このようにして得られた医療用具(9)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.2であった。

0097

比較例1
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0098

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、室温(25℃)で0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(pH=13)に1分間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、比較医療用具(1)を得た。このようにして得られた比較医療用具(1)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.1であった。

0099

比較例2
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0100

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約50℃に加温した0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬したところ、樹脂被覆層が剥離した(比較医療用具(2))。このため、比較医療用具(2)の被覆層でのピーク高さ比(IR比)は測定できなかった。

0101

比較例3
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0102

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、約60℃の温水にNaClを0.1重量%及びNaHCO3を0.05重量%溶解した溶液(pH=8.2)に4時間浸漬し、次いで60℃の温水(カルシウム濃度:30mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、比較医療用具(3)を得た。このようにして得られた比較医療用具(3)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.1であった。

0103

比較例4
実施例1と同様にして、ガイドワイヤ未処理品を得た。

0104

次に、このようにして得られたガイドワイヤ未処理品を、室温(25℃)で0.01mol/Lの水酸化カルシウム水溶液(pH=12.3)に1分間浸漬し、次いで室温(25℃)にて蒸留水(カルシウム濃度:0mg/L)で1分間洗浄し、室温(25℃)で24時間乾燥して、比較医療用具(4)を得た。このようにして得られた比較医療用具(4)について、ピーク高さ比(IR比)を測定したところ、1.1であった。

0105

上記実施例1〜8で作製された医療用具(1)〜(8)及び比較例1〜3で作製された比較医療用具(1)〜(3)について、下記試験を行い、通常の環境下での膨潤性、過酷な条件下での膨潤性および表面潤滑性を評価した。その結果を下記表2に示す。

0106

通常環境下での膨潤性の評価)
各医療用具を蒸留水中に、25℃で1分間浸漬し、十分膨潤させた後、顕微鏡にて膜厚(μm)を測定する。測定された膜厚によって、下記のとおりに分類する。なお、この膜厚が20μm以上(下記表2、3中の「○」)であれば、その医療用具は十分な潤滑性を発揮できると判定される。また、この膜厚が10μm以上(下記表2、3中の「○」及び「△」)であれば、その医療用具は潤滑性の点で許容できると判定される。

0107

0108

(過酷な条件下での膨潤性の評価)
各医療用具について、下記表1に示される条件で温湿度サイクル試験を行った。温湿度サイクル試験後の各医療用具を蒸留水中に、25℃で1分間浸漬し、十分膨潤させた後、顕微鏡にて膜厚(μm)を測定する。測定された膜厚によって、上記(通常の環境下での膨潤性の評価)と同様にして分類する。なお、この膜厚が20μm以上(下記表2、3中の「○」)であれば、その医療用具は十分な潤滑性を発揮できると判定される。また、この膜厚が10μm以上(下記表2、3中の「○」及び「△」)であれば、その医療用具は潤滑性の点で許容できると判定される。

0109

0110

0111

表2から、ピーク高さ比(IR比)が1.2以上である実施例1〜6、8の医療用具(1)〜(6)、(8)は、通常の環境下(室温)及び過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)双方において、膨潤時膜厚は20μm以上と良好な潤滑性を示すことが分かる。また、ピーク高さ比(IR比)が1.2以上である実施例7の医療器具(7)は、通常の環境下(室温)おいて膨潤時膜厚は20μm以上と良好な潤滑性を示した。一方、過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)では、膨潤時膜厚は10μm以上20μm未満と少し潤滑性が低下した。しかし、通常の環境下及び過酷な環境下双方において、許容できる潤滑性を示すことが分かる。これに対して、ピーク高さ比(IR比)が1.2未満である比較例1及び3の比較医療用具(1)及び(3)は、通常の環境下(室温)では、膨潤時膜厚は20μm以上と良好な潤滑性を示すものの、過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)では、膨潤時膜厚は10μm未満となり、潤滑性が許容範囲より劣ることが分かる。なお、実施例2の医療用具(2)及び実施例7の医療用具(7)のピーク高さ比は双方とも1.4であるが、ナトリウム塩の形態のマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を有する実施例2の医療用具(2)の方が、カルシウム塩の形態のマレイン酸系高分子物質を含む樹脂被覆層を有する実施例7の医療用具(7)に比して、通常環境下及び過酷な条件下双方でより優れた膨潤性を発揮した。この結果から、樹脂被覆層に含まれるマレイン酸系高分子物質のピーク高さ比に加えて、塩の形態も膨潤性の点で重要な役割を果たすことが考察される。すなわち、ナトリウム塩の形態のマレイン酸系高分子物質は、体液や血液と接触した際により効率よく膨潤してゲル化して、さらに優れた潤滑性を発揮できると、考えられる。

0112

(表面潤滑性の評価)
温湿度サイクル試験を行った各医療用具(以下、単に「サンプル」とも略記する)について、下記方法にしたがって、図1に示される摩擦測定機(トリニティーラボ社製、ハンディトライマスターTL201)10を用いて、表面潤滑層の潤滑性を評価した。

0113

すなわち、温湿度サイクル試験後の上記各サンプル3をシャーレ2中に固定し、サンプル3全体が浸る高さの水1中に浸漬した。このシャーレ2を、図1に示される摩擦測定機10の移動テーブル6に載置した。円柱状ブチルゴム端子(φ=7mm)4をサンプル3に接触させ、端子4上に70gの荷重5をかけた。速度10m/秒、移動距離25mmの設定で、移動テーブル6を水平に5回往復移動させ、5往復目摺動抵抗値(gf)を記録した。結果を図2に示す。

0114

図2から、本発明の医療用具は、過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)において、医療用具表面に、従来技術に比べて優れた潤滑性を付与できると、考察される。なお、図示しないものの、実施例2、3、5、6、及び8の医療用具(2)、(3)、(5)、(6)、及び(8)は、下記実施例1の医療用具(1)と同等の摺動抵抗値であった。

0115

上記実施例1、7及び9で作製された医療用具(1)(7)及び(9)ならびに比較例4で作製された比較医療用具(4)について、上記表1に示される条件で温湿度サイクル試験後に、再度ピーク高さ比を測定した。この結果を、通常の環境下での膨潤性、過酷な条件下での膨潤性および表面潤滑性の結果と共に、下記表3に示す。なお、下記表3の表面潤滑性の項において、「○」は5往復目の摺動抵抗値(gf)が6gf未満である場合を示し、「△」は5往復目の摺動抵抗値(gf)が6gf以上で8gf未満である場合を示し、「×」は5往復目の摺動抵抗値(gf)が8gf以上である場合を示す。また、上記分類において、○(5往復目の摺動抵抗値(gf)が6gf未満)であれば、その医療用具は十分な表面潤滑性を発揮できると判定される。また、△(5往復目の摺動抵抗値(gf)が6gf以上で8gf未満)であれば、その医療用具は表面潤滑性の点で許容できると判定される。

0116

0117

上記表3から、ピーク高さ比(IR比)が1.2以上である実施例1、7及び9の医療用具(1)(7)及び(9)は、通常の環境下(室温)及び過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)双方において、膨潤時膜厚は10μm以上と良好なまたは許容できる潤滑性を示すことが分かる。これに対して、ピーク高さ比(IR比)が1.2未満である比較例4の比較医療用具(4)は、通常の環境下(室温)では、膨潤時膜厚は20μm以上と良好な潤滑性を示すものの、過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)では、膨潤時膜厚は10μm未満となり、潤滑性が許容範囲より劣ることが分かる。

0118

また、アルカリ処理後にカルシウム濃度の低い蒸留水で洗浄した実施例1では、過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)後でも、ピーク高さ比、膨潤性及び表面潤滑性すべてを良好に維持できることが分かる。これに対して、アルカリ処理後にカルシウム濃度の高い水道水で洗浄した実施例9では、過酷な条件下(温湿度サイクル試験後)後では、ピーク高さ比、膨潤性及び表面潤滑性が低下していることが分かる。これらの結果から、アルカリ処理後の洗浄は、カルシウム濃度の低い洗浄液で行うことが、過酷な条件下でのピーク高さ比、膨潤性及び表面潤滑性の維持の観点から好ましいと、考察される。

実施例

0119

本出願は、2013年9月2日に出願された日本特許出願番号2013−181442号および2014年1月28日に出願された日本特許出願番号2014−013431号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

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