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技術 1,5−D−アンヒドロフルクトースを含むアポトーシス関連スペック様カード蛋白質の機能阻害薬

出願人 国立大学法人鹿児島大学
発明者 丸山征郎野間聖
出願日 2014年7月28日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2015-529565
公開日 2017年3月2日 (4年2ヶ月経過) 公開番号 WO2015-016178
状態 特許登録済
技術分野 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード ノーベル賞 治療医学 アンヒドロフルクトース 塗り替え 炭疽菌感染 グルカンリアーゼ ALU プライミング処理
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、アポトーシス関連スペックカード蛋白質(ASC)が関与する疾患又は症状についての安全でかつ優れた治療薬、及び安全でかつ優れたASCの機能阻害薬を提供する。 1,5−D−アンヒドロフルクトースを有効成分とする、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)の機能阻害薬。

概要

背景

1,5−D−アンヒドロフルクトース(以下、1,5−AFという)は、ある種の子嚢菌紅藻由来酵素であるα−1,4−グルカンリアーゼ澱粉あるいは澱粉分解物に作用させることで生産することができる。1,5−AFは、その分子間内に二重結合を有しており、他の単糖類と比較して反応性富む糖である。

1,5−AFは食品に安全に添加される抗酸化剤等としての用途が開示されている(特許文献1及び2参照)。また、この単糖抗生物質ピロンミクロシンの前駆体でもある(特許文献3参照)。

また1,5−AFは、最近では、抗う蝕作用、血小板凝集抑制作用グリコーゲン分解酵素阻害アディポネクチンの産生増強、抗腫瘍作用等についても報告されており(特許文献4−11参照)、1,5−AFは健康食品あるいは医薬品等の様々な分野でもその多機能性を利用した展開が期待される糖質である。

「炎症(inflammation)」はヒトの感染症外傷基盤をなす病態であるため、臨床医学のみならず、基礎医学生物学の分野においても重要な分野である。この炎症は症候病理形態学的特徴から、「紅腫熱疼」として把握されてきた。すなわち炎症は、熱を帯びて紅く腫れ、かつ痛むという特徴を有しており、この病態像は長らく中核をなすコンセプトであり、いわば「古典的炎症像」とでも言うべき概念である。しかしこの十数年の研究でサイトカインと称される細胞間のメディエーター類、そしてそれらの受容体発見され、一挙に炎症の研究は細胞間のネットワークと細胞内のシグナル遺伝子発現解明の研究へとシフトしていった。その輝かしい成果で、ブルース・ボイトラー、ジュール・ホフマン、ラルフ・スタインマン各博士らが2011年にノーベル賞に輝いたことからも窺い知ることができるように、まさにこの分野は現在オンゴーイングの領域であるといえる。この3氏の研究により、炎症が免疫と密接にリンクしていること、そして細胞−受容体とその下流のシグナルにより、免疫は自然免疫獲得免疫に2大分類されること等の概念が確立された。これは古典的炎症像を塗り替える、いわば「近代的炎症像」とも言うべき炎症像である。これらの進歩は治療医学に関してもサイトカイン介入療法(抗サイトカイン、又はその受容体のブロッカー、又は抗体)へと発展していった。このうち抗体を用いる療法は「生物学的製剤」と言われ、慢性関節リウマチ等の疾患の治療においては進歩を遂げている。しかしこの生物学的製剤は全ての炎症に対して奏功するわけではなく一部の疾患に限られている。さらに、生物学的製剤が奏功する場合であっても、副作用及びコスト等の多くの問題があることが判明しつつある。

一方、上述のサイトカイン類とその受容体からのシグナルは肥満糖尿病動脈硬化高血圧、さらには加齢等によっても微量ではあるが慢性持続的に作動していることが判明し、「自然炎症」なる概念が登場してきつつある(図1)。このような概念の進化背景には、PAMPs(Pathogen Associated Molecular Patterns:病原微生物由来の分子、あるいはその断片)、DAMPs(Damage Associated Molecular Patterns:障害を受けた、あるいは病態下で生成された自己の細胞や蛋白、あるいは組織由来の分子等)を認識するPRRs(Pattern Recognition Receptors)が発見・同定されたこと、そしてそれからのシグナル伝達とそれによって活性化される細胞内マシナリー;NF-κBとインフラマソーム(inflammasome)が明らかになってきたことが挙げられる(図2)。

ここに至り、炎症の研究は一挙に細胞内シグナル伝達と細胞内マシナリー、特にインフラマソームの活性化と、その下流に移ってきつつある。従って今後、炎症とその治療の研究は、一斉に細胞内にシフトすることが予想され、事実その兆しは見えつつある。

上記細胞内炎発現のプロセスは図2、3−1に示すように、数千個にも上ると考えられ始めたPAMPs、DAMPsが生体内の細胞にあまねく発現している細胞表面、あるいは細胞内のPRRsによって認識されてシグナルは細胞内に伝達され、一つはNF-κBへ、あと一つはインフラマソームに収束することが判明してきた。すなわち「情報の収束」である。そして最終的にはNF-κBとインフラマソームからの情報はさらにプロカスパーゼ1(procaspase 1)のカスパーゼ1への活性化という一点に集中される。すなわち細胞内で炎症発現のためのシグナルのカスケード(瀑状型)反応を構築していると言い得る。

カスパーゼ1の生成により、pro−IL−18、pro−IL−1βの成熟化とIL−18、IL−1βの細胞外への放出、それによる免疫細胞(T細胞、B細胞樹状細胞好中球等)の「呼び寄せ(chemotaxis)」が開始され、当該部位に炎症巣が形成されることになる。この点で重要な点は先ず、NF−κBの活性化で、pro−IL−1βとpro−IL−18(いずれも前駆体)が細胞内に産生・蓄積され、次に活性化インフラマソームがプロカスパーゼ1をカスパーゼ1に活性化してはじめて、活性を持ったカスパーゼがそれぞれ、pro−IL−18とpro−IL−βを、成熟型の活性化IL−18,IL−1βに活性化して、細胞外に放出するということである(図3−1)。

インフラマソームは、図3−2に示すような7量体を形成することによりカスパーゼ1を活性化すると考えられている。具体的には、CARDには重合する性質があり、そのためカスパーゼ1(CARD・p20/p16)とASC(PYD・CARD)とがCARDを介して結合し、これにNLR(PYD/NACHT)がPYDを介して結合して7量体を形成する。

このASCは、本来、サイトゾルに存在し、トリトンX−100(フェニルポリエチレングリコール型のノンイオン界面活性剤)を含む緩衝液に可溶な蛋白質であるが、レチノイン酸抗癌剤等のアポトーシス誘発剤によって誘発されるアポトーシスに伴い、トリトンX−100を含む緩衝液に不溶化し、凝集を起こす。ASCがアポトーシスに伴ってトリトンX−100を含む緩衝液に対して溶性から不溶性に変化する原因は、コンフォメーションの変化によるものと考えられる。また、ASCは、自らアポトーシスを誘発する作用はないが、他の因子によって誘発されるアポトーシスを促進する作用を有する(特許文献12参照)。

NF-κBとインフラマソームは上皮系細胞神経細胞等、免疫細胞以外の細胞や、免疫担当細胞、すなわちリンパ球細胞(lymphoid cells)がレジデントしていない組織臓器細胞群にもあまねく発現しているが、これらの非骨髄(non-myeloid)系細胞も当然、生体内外からの侵襲に会うので、生体防御的応答が要求される。この際に、non-myeloid組織はPAMPsやDAMPsの情報をキャッチして、免疫細胞の遊走因子であるIL−18、IL−1βを産生・放出して、myeloid系細胞を集簇させることで、その部位に免疫反応遂行しうる生体防御のためのリンパ球等から成るいわば擬似リンパ節を構築するものと考えられる。

非特許文献1及び2には以下の事項が記載されている。自然免疫や獲得免疫に関る細胞群(マクロファージや樹状細胞等)は細胞表面にToll−likeレセプターTLRs)を発現しており、これらの受容体にDAMPsやPAMPsが結合すると、これらの細胞は活性化され、種々のシグナルが伝達されるが、これらは合流し、1つはインフラマソームと称される蛋白複合体に収束する。この複合体はNod−like receptor(NLR)、Apoptosis−associated speck−like protein containing a caspase recruitment domain(ASC)、プロカスパーゼ1から構成される。NLRにTRLs同様、DAMPsやPAMPsが結合することにより、インフラマソームが活性化される。

炎症性サイトカインであるIL−1βの分泌には少なくとも2つのステップが必要である。1つはTLRsからの刺激(シグナル1)で、これによりpro−IL−1β(IL−1βの前駆体)が細胞質内で作られる。次に、インフラマソームの活性化(シグナル2)からのシグナルでプロカスパーゼ1がカスパーゼ1に活性化され、これによりカスパーゼ1がpro−IL−1βを切断し、活性化IL−1βが細胞外に分泌され、感染局所への免疫担当症細胞の遊走等、さまざまな免疫応答関与する。また、IL−18も同様のメカニズムで分泌される(非特許文献1及び2参照)。ここで最近の知見で重要な点はカスパーゼの活性化は、IL−1βとIL−18の生成と細胞外放出惹起するのみでなく、細胞DNAの断片化、pyroptosisと呼ばれる細胞の膨化細胞死炎症性programmed cell death)を引き起こすということである(図4)。

クライオピリン関連周期症候群(cryopyrin−associated periodic syndrome:CAPS)は、インフラマソームの主要成分であるNLRP3遺伝子に変異が生じ、インフラマソームが活性化した状態が続き、IL−1βの過剰産生が起こる。同様に家族性地中海熱、Pyogenic arthritiswith pyoderma gangrenosum and acne(PAPA)症候群、Majeed症候群、高IgD症候群、反復性胞状奇胎、DIRAにおいてもインフラマソームが活性化した状態が続き、IL−1βの過剰産生が起こることが知られている(非特許文献1及び2参照)。これらの疾患に対してIL−1βの阻害薬であるアナキンラリロナセプトカナキヌマブが臨床で使用されているが、すべての患者に対して効果があるわけではない(非特許文献3参照)。その上、これらのIL−1βの阻害薬アナキンラ、リロナセプト、カナキヌマブは、当然のことながらIL−18を阻害し得ない。

上記した疾患は、遺伝子性のものであるが、内因性の因子であるDAMPsや外来性PAMPsによるインフラマソームの活性化を経てプロカスパーゼ1活性化が関係する病気として痛風アルツハイマー病2型糖尿病、そしてこれらの病態における急性増悪急性転化が知られており(非特許文献2)、これらの病気も現状の治療法ではコントロールが効かないことが知られている。

このように、インフラマソームからカスパーゼ1の生成が炎症の発現に決定的に重要であることが判明してきたので、現在、インフラマソーム阻害剤カスパーゼ阻害剤は世界中でいっせいに研究開始されている。そして、確実に症状を抑制でき、かつ、安全で長期に使用し得る薬剤の開発が目指されている。一方ASCが自然免疫系の活性化、癌の抑制、自然炎症疾患の抑制等に寄与する蛋白質であることも明らかになってきている。

概要

本発明は、アポトーシス関連スペックカード蛋白質(ASC)が関与する疾患又は症状についての安全でかつ優れた治療薬、及び安全でかつ優れたASCの機能阻害薬を提供する。 1,5−D−アンヒドロフルクトースを有効成分とする、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)の機能阻害薬。

目的

本発明は、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)が関与する疾患又は症状についての安全でかつ優れた治療薬、及び安全でかつ優れたASCの機能阻害薬を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
0件

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請求項1

1,5−D−アンヒドロフルクトースを有効成分とする、アポトーシス関連スペックカード蛋白質(ASC)の機能阻害薬。

請求項2

ASCの機能が、カスパーゼ1及びNOD様受容体との複合体形成能である、請求項1に記載の阻害薬

請求項3

複合体がインフラマソームである、請求項2に記載の阻害薬。

請求項4

インフラマソームが関与する経路における、プロカスパーゼ1のカスパーゼ1への活性化を阻害する、請求項3に記載の阻害薬。

請求項5

1,5−D−アンヒドロフルクトースを有効成分とする、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)が関与する疾患又は症状の治療薬

請求項6

ASCが関与する疾患又は症状が、ASCとカスパーゼ1及びNOD様受容体との複合体形成が関与する疾患又は症状である、請求項5に記載の治療薬。

請求項7

複合体がインフラマソームである、請求項6に記載の治療薬。

請求項8

ASCが関与する疾患又は症状が、カスパーゼ1が関与する疾患又は症状である、請求項5〜7のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項9

ASCが関与する疾患又は症状が、IL−1β及び/又はIL−18が関与する疾患又は症状である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項10

ASCが関与する疾患又は症状が、全身性炎症性反応症候群SIRSである、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項11

ASCが関与する疾患又は症状が、慢性関節リウマチである、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項12

ASCが関与する疾患又は症状が、アルツハイマー病である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項13

ASCが関与する疾患又は症状が、クライオピリン関連周期熱症候群である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項14

ASCが関与する疾患又は症状が、家族性地中海熱である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項15

ASCが関与する疾患又は症状が、PAPA症候群である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項16

ASCが関与する疾患又は症状が、Majeed症候群である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項17

ASCが関与する疾患又は症状が、高IgD症候群である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項18

ASCが関与する疾患又は症状が、反復性胞状奇胎である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項19

ASCが関与する疾患又は症状が、DIRAである、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項20

ASCが関与する疾患又は症状が、炭疽菌感染症である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項21

ASCが関与する疾患又は症状が、急性呼吸促拍症候群である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項22

ASCが関与する疾患又は症状が、炎症性細胞死である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

請求項23

ASCが関与する疾患又は症状が、石綿肺である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の治療薬。

技術分野

0001

本発明は、1,5−D−アンヒドロフルクトースを有効成分として含有する、アポトーシス関連スペックカード蛋白質(ASC)の機能阻害薬及びASCが関与する疾患又は症状の治療薬に関する。本発明はまた、1,5−D−アンヒドロフルクトースを有効成分として含有する、インフラマソーム経路阻害薬及びインフラマソーム経路が関与する疾患又は症状の治療薬に関する。

背景技術

0002

1,5−D−アンヒドロフルクトース(以下、1,5−AFという)は、ある種の子嚢菌紅藻由来酵素であるα−1,4−グルカンリアーゼ澱粉あるいは澱粉分解物に作用させることで生産することができる。1,5−AFは、その分子間内に二重結合を有しており、他の単糖類と比較して反応性富む糖である。

0003

1,5−AFは食品に安全に添加される抗酸化剤等としての用途が開示されている(特許文献1及び2参照)。また、この単糖抗生物質ピロンミクロシンの前駆体でもある(特許文献3参照)。

0004

また1,5−AFは、最近では、抗う蝕作用、血小板凝集抑制作用グリコーゲン分解酵素阻害アディポネクチンの産生増強、抗腫瘍作用等についても報告されており(特許文献4−11参照)、1,5−AFは健康食品あるいは医薬品等の様々な分野でもその多機能性を利用した展開が期待される糖質である。

0005

「炎症(inflammation)」はヒトの感染症外傷基盤をなす病態であるため、臨床医学のみならず、基礎医学生物学の分野においても重要な分野である。この炎症は症候病理形態学的特徴から、「紅腫熱疼」として把握されてきた。すなわち炎症は、熱を帯びて紅く腫れ、かつ痛むという特徴を有しており、この病態像は長らく中核をなすコンセプトであり、いわば「古典的炎症像」とでも言うべき概念である。しかしこの十数年の研究でサイトカインと称される細胞間のメディエーター類、そしてそれらの受容体発見され、一挙に炎症の研究は細胞間のネットワークと細胞内のシグナル遺伝子発現解明の研究へとシフトしていった。その輝かしい成果で、ブルース・ボイトラー、ジュール・ホフマン、ラルフ・スタインマン各博士らが2011年にノーベル賞に輝いたことからも窺い知ることができるように、まさにこの分野は現在オンゴーイングの領域であるといえる。この3氏の研究により、炎症が免疫と密接にリンクしていること、そして細胞−受容体とその下流のシグナルにより、免疫は自然免疫獲得免疫に2大分類されること等の概念が確立された。これは古典的炎症像を塗り替える、いわば「近代的炎症像」とも言うべき炎症像である。これらの進歩は治療医学に関してもサイトカイン介入療法(抗サイトカイン、又はその受容体のブロッカー、又は抗体)へと発展していった。このうち抗体を用いる療法は「生物学的製剤」と言われ、慢性関節リウマチ等の疾患の治療においては進歩を遂げている。しかしこの生物学的製剤は全ての炎症に対して奏功するわけではなく一部の疾患に限られている。さらに、生物学的製剤が奏功する場合であっても、副作用及びコスト等の多くの問題があることが判明しつつある。

0006

一方、上述のサイトカイン類とその受容体からのシグナルは肥満糖尿病動脈硬化高血圧、さらには加齢等によっても微量ではあるが慢性持続的に作動していることが判明し、「自然炎症」なる概念が登場してきつつある(図1)。このような概念の進化背景には、PAMPs(Pathogen Associated Molecular Patterns:病原微生物由来の分子、あるいはその断片)、DAMPs(Damage Associated Molecular Patterns:障害を受けた、あるいは病態下で生成された自己の細胞や蛋白、あるいは組織由来の分子等)を認識するPRRs(Pattern Recognition Receptors)が発見・同定されたこと、そしてそれからのシグナル伝達とそれによって活性化される細胞内マシナリー;NF-κBとインフラマソーム(inflammasome)が明らかになってきたことが挙げられる(図2)。

0007

ここに至り、炎症の研究は一挙に細胞内シグナル伝達と細胞内マシナリー、特にインフラマソームの活性化と、その下流に移ってきつつある。従って今後、炎症とその治療の研究は、一斉に細胞内にシフトすることが予想され、事実その兆しは見えつつある。

0008

上記細胞内炎発現のプロセスは図2、3−1に示すように、数千個にも上ると考えられ始めたPAMPs、DAMPsが生体内の細胞にあまねく発現している細胞表面、あるいは細胞内のPRRsによって認識されてシグナルは細胞内に伝達され、一つはNF-κBへ、あと一つはインフラマソームに収束することが判明してきた。すなわち「情報の収束」である。そして最終的にはNF-κBとインフラマソームからの情報はさらにプロカスパーゼ1(procaspase 1)のカスパーゼ1への活性化という一点に集中される。すなわち細胞内で炎症発現のためのシグナルのカスケード(瀑状型)反応を構築していると言い得る。

0009

カスパーゼ1の生成により、pro−IL−18、pro−IL−1βの成熟化とIL−18、IL−1βの細胞外への放出、それによる免疫細胞(T細胞、B細胞樹状細胞好中球等)の「呼び寄せ(chemotaxis)」が開始され、当該部位に炎症巣が形成されることになる。この点で重要な点は先ず、NF−κBの活性化で、pro−IL−1βとpro−IL−18(いずれも前駆体)が細胞内に産生・蓄積され、次に活性化インフラマソームがプロカスパーゼ1をカスパーゼ1に活性化してはじめて、活性を持ったカスパーゼがそれぞれ、pro−IL−18とpro−IL−βを、成熟型の活性化IL−18,IL−1βに活性化して、細胞外に放出するということである(図3−1)。

0010

インフラマソームは、図3−2に示すような7量体を形成することによりカスパーゼ1を活性化すると考えられている。具体的には、CARDには重合する性質があり、そのためカスパーゼ1(CARD・p20/p16)とASC(PYD・CARD)とがCARDを介して結合し、これにNLR(PYD/NACHT)がPYDを介して結合して7量体を形成する。

0011

このASCは、本来、サイトゾルに存在し、トリトンX−100(フェニルポリエチレングリコール型のノンイオン界面活性剤)を含む緩衝液に可溶な蛋白質であるが、レチノイン酸抗癌剤等のアポトーシス誘発剤によって誘発されるアポトーシスに伴い、トリトンX−100を含む緩衝液に不溶化し、凝集を起こす。ASCがアポトーシスに伴ってトリトンX−100を含む緩衝液に対して溶性から不溶性に変化する原因は、コンフォメーションの変化によるものと考えられる。また、ASCは、自らアポトーシスを誘発する作用はないが、他の因子によって誘発されるアポトーシスを促進する作用を有する(特許文献12参照)。

0012

NF-κBとインフラマソームは上皮系細胞神経細胞等、免疫細胞以外の細胞や、免疫担当細胞、すなわちリンパ球細胞(lymphoid cells)がレジデントしていない組織臓器細胞群にもあまねく発現しているが、これらの非骨髄(non-myeloid)系細胞も当然、生体内外からの侵襲に会うので、生体防御的応答が要求される。この際に、non-myeloid組織はPAMPsやDAMPsの情報をキャッチして、免疫細胞の遊走因子であるIL−18、IL−1βを産生・放出して、myeloid系細胞を集簇させることで、その部位に免疫反応遂行しうる生体防御のためのリンパ球等から成るいわば擬似リンパ節を構築するものと考えられる。

0013

非特許文献1及び2には以下の事項が記載されている。自然免疫や獲得免疫に関る細胞群(マクロファージや樹状細胞等)は細胞表面にToll−likeレセプターTLRs)を発現しており、これらの受容体にDAMPsやPAMPsが結合すると、これらの細胞は活性化され、種々のシグナルが伝達されるが、これらは合流し、1つはインフラマソームと称される蛋白複合体に収束する。この複合体はNod−like receptor(NLR)、Apoptosis−associated speck−like protein containing a caspase recruitment domain(ASC)、プロカスパーゼ1から構成される。NLRにTRLs同様、DAMPsやPAMPsが結合することにより、インフラマソームが活性化される。

0014

炎症性サイトカインであるIL−1βの分泌には少なくとも2つのステップが必要である。1つはTLRsからの刺激(シグナル1)で、これによりpro−IL−1β(IL−1βの前駆体)が細胞質内で作られる。次に、インフラマソームの活性化(シグナル2)からのシグナルでプロカスパーゼ1がカスパーゼ1に活性化され、これによりカスパーゼ1がpro−IL−1βを切断し、活性化IL−1βが細胞外に分泌され、感染局所への免疫担当症細胞の遊走等、さまざまな免疫応答に関与する。また、IL−18も同様のメカニズムで分泌される(非特許文献1及び2参照)。ここで最近の知見で重要な点はカスパーゼの活性化は、IL−1βとIL−18の生成と細胞外放出惹起するのみでなく、細胞DNAの断片化、pyroptosisと呼ばれる細胞の膨化細胞死炎症性programmed cell death)を引き起こすということである(図4)。

0015

クライオピリン関連周期症候群(cryopyrin−associated periodic syndrome:CAPS)は、インフラマソームの主要成分であるNLRP3遺伝子に変異が生じ、インフラマソームが活性化した状態が続き、IL−1βの過剰産生が起こる。同様に家族性地中海熱、Pyogenic arthritiswith pyoderma gangrenosum and acne(PAPA)症候群、Majeed症候群、高IgD症候群、反復性胞状奇胎、DIRAにおいてもインフラマソームが活性化した状態が続き、IL−1βの過剰産生が起こることが知られている(非特許文献1及び2参照)。これらの疾患に対してIL−1βの阻害薬であるアナキンラリロナセプトカナキヌマブが臨床で使用されているが、すべての患者に対して効果があるわけではない(非特許文献3参照)。その上、これらのIL−1βの阻害薬アナキンラ、リロナセプト、カナキヌマブは、当然のことながらIL−18を阻害し得ない。

0016

上記した疾患は、遺伝子性のものであるが、内因性の因子であるDAMPsや外来性PAMPsによるインフラマソームの活性化を経てプロカスパーゼ1活性化が関係する病気として痛風アルツハイマー病2型糖尿病、そしてこれらの病態における急性増悪急性転化が知られており(非特許文献2)、これらの病気も現状の治療法ではコントロールが効かないことが知られている。

0017

このように、インフラマソームからカスパーゼ1の生成が炎症の発現に決定的に重要であることが判明してきたので、現在、インフラマソーム阻害剤カスパーゼ阻害剤は世界中でいっせいに研究開始されている。そして、確実に症状を抑制でき、かつ、安全で長期に使用し得る薬剤の開発が目指されている。一方ASCが自然免疫系の活性化、癌の抑制、自然炎症疾患の抑制等に寄与する蛋白質であることも明らかになってきている。

0018

特表平9−505988号公報
特表2001−89377号公報
仏国特許出願公開第2617502号
特開2004−123604号公報
WO2010/082661
WO2004/045628
特開2012−1515号公報
特開2007−30146号公報
特開2007−91644号公報
特開2006−306814号公報
特開2005−154425号公報
特開2001−275681号公報

先行技術

0019

潤,日本臨床免疫学会会誌,Vol.34,(2011),20−28
増本純也,日本臨床免疫学会会誌,Vol.34,(2011),346−354
Biologic drugs in autoinflammatory syndromes,Caorsi,R.,et al.,Autoimmunity Reviews,12,(2012)81−86

発明が解決しようとする課題

0020

したがって本発明は、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)が関与する疾患又は症状についての安全でかつ優れた治療薬、及び安全でかつ優れたASCの機能阻害薬を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0021

本発明者らは、生体内糖代謝産物である1,5−AFがASCを標的蛋白とすることを見出し、本発明に到達した。さらに本発明者らは、1,5−AFがインフラマソーム経路を阻害することを見出した。これまでインフラマソーム経路の阻害系は見出されていなかった。つまり、インフラマソーム経路を阻害する化合物として初めて見出されたのが、1,5−AFである。

0022

本発明は以下の発明を包含する。

0023

(1)1,5−D−アンヒドロフルクトースを有効成分とする、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)の機能阻害薬。

0024

(2)ASCの機能が、カスパーゼ1及びNOD様受容体との複合体形成能である、上記(1)に記載の阻害薬。

0025

(3)複合体がインフラマソームである、上記(2)に記載の阻害薬。

0026

(4)インフラマソームが関与する経路における、プロカスパーゼ1のカスパーゼ1への活性化を阻害する、上記(3)に記載の阻害薬。

0027

(5)1,5−D−アンヒドロフルクトースを有効成分とする、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)が関与する疾患又は症状の治療薬。

0028

(6)ASCが関与する疾患又は症状が、ASCとカスパーゼ1及びNOD様受容体との複合体形成が関与する疾患又は症状である、上記(5)に記載の治療薬。

0029

(7)複合体がインフラマソームである、上記(6)に記載の治療薬。

0030

(8)ASCが関与する疾患又は症状が、カスパーゼ1が関与する疾患又は症状である、上記(5)〜(7)のいずれかに記載の治療薬。

0031

(9)ASCが関与する疾患又は症状が、IL−1β及び/又はIL−18が関与する疾患又は症状である、上記(5)〜(8)のいずれかに記載の治療薬。

0032

(10)ASCが関与する疾患又は症状が、全身性炎症性反応症候群SIRSである、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0033

(11)ASCが関与する疾患又は症状が、慢性関節リウマチである、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0034

(12)ASCが関与する疾患又は症状が、アルツハイマー病である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0035

(13)ASCが関与する疾患又は症状が、クライオピリン関連周期熱症候群である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0036

(14)ASCが関与する疾患又は症状が、家族性地中海熱である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0037

(15)ASCが関与する疾患又は症状が、PAPA症候群である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0038

(16)ASCが関与する疾患又は症状が、Majeed症候群である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0039

(17)ASCが関与する疾患又は症状が、高IgD症候群である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0040

(18)ASCが関与する疾患又は症状が、反復性胞状奇胎である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0041

(19)ASCが関与する疾患又は症状が、DIRAである、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0042

(20)ASCが関与する疾患又は症状が、炭疽菌感染症である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0043

(21)ASCが関与する疾患又は症状が、急性呼吸促拍症候群である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0044

(22)ASCが関与する疾患又は症状が、炎症性細胞死である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0045

(23)ASCが関与する疾患又は症状が、石綿肺である、上記(5)〜(9)のいずれかに記載の治療薬。

0046

本発明者らは、1,5-AFの標的蛋白質がASCであることを見出した。さらに本発明者らは、特に生体細胞には細胞内炎症カスケードを制御するための装置があり、それが1,5-AF経路であることを見出した。1,5-AFは生体内分子であり、副作用も無いことから、炎症制御の大きな武器になるもと期待される。また、IL−1βの阻害薬アナキンラ、リロナセプト、カナキヌマブはいずれも蛋白質であり、製造コストが高いが、1,5−AFはこれらの蛋白質製剤に比べると格段に安いコストで製造できるため、本発明の薬剤はこれらと比較して経済的にも有利である。

0047

ASCが関与する疾患又は症状、特にインフラマソーム経路が関与する疾患又は症状、具体的には活性化プロカスパーゼ1が関与した自己炎症性疾患が起こっている哺乳動物個体に本発明の薬剤を適当量しかるべき方法で投与することにより、自然免疫の中心的役割を果たすIL−1β及び/又はIL−18生成を有意に抑え、自然免疫の過剰により発症する疾患群の発生を抑制することが可能となる。

発明の効果

0048

本発明の薬剤によれば、ASCが関与する疾患又は症状を緩和、抑制することが可能となる。また本発明の薬剤によれば、インフラマソーム経路が関与する疾患又は症状、特には活性型カスパーゼ1が関与する疾患又は症状を予防及び/又は治療し、活性化した自然免疫を有意に緩和、抑制することが可能となる。

図面の簡単な説明

0049

図1は、自然炎症と疾患との関係を説明する図である。
図2は、PAMPs及びDAMPsによるNF−κB及びインフラマソームの活性化を説明する図である。
図3−1は、インフラマソーム経路活性化を経てプロカスパーゼ1が活性化される経路を説明する図である。
図3−2は、インフラマソーム多重蛋白質複合体の形態を説明する図である。
図4は、プロカスパーゼ1が、IL−1β、IL−18の産生・放出のみならず、DNAの断片化、pyroptosisと呼ばれるプログラム化された細胞死をも引き起こすことを示した図である。
図5マウス由来骨髄マクロファージにおけるIL−1β生成に対する1,5−AFの抑制効果試験結果を示す図である。グラフ右は添加した物質で、括弧内は活性化されるNLRを示す。
図6は、マウス由来骨髄マクロファージにおけるIL−1β生成に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。グラフ右は添加した物質で、括弧内は活性化されるNLRを示す。
図7は、マウス由来骨髄マクロファージにおけるIL−18生成に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。グラフ右は添加した物質で、括弧内は活性化されるNLRを示す。
図8は、マウス由来骨髄マクロファージにおけるIL−18生成に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。グラフ右は添加した物質で、括弧内は活性化されるNLRを示す。
図9は、アラム又は尿酸塩によるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。
図10は、ニゲリシン及びATPによるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。
図11は、ATPによるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。
図12は、炭疽菌毒素によるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。
図13は、フラジェリンによるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。
図14は、poly(dA:dT)によるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。
図15は、1,5−AFがプロカスパーゼ1のカスパーゼ1への活性化を抑制することを示す図である。
図16は、ロテノンによるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。
図17は、マウスALIモデル肺組織像及び細胞数を示す図である。
図18は、SIRSモデルに1,5−AFを投与した後の時間と生存率との関係を示す図である。
図19は、1,5−AFの標的蛋白質がASCであることを示す図である。
図20a及びbは、石綿肺のモデル実験におけるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。
図21は、炭疽菌毒素によるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。
図22は、ヒト末梢血を用いて行った、ATPによるインフラマソーム活性化に対する1,5−AFの抑制効果の試験結果を示す図である。

0050

本発明の薬剤に使用される1,5−AFは、既に公知の方法、例えば、上記特許文献1に記載の方法によって調製可能である。

0051

本発明の薬剤は、アポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)の機能、特には、カスパーゼ1及びNOD様受容体との複合体形成能を阻害する。ここでASCが「複合体形成能」を有するとは、ASCがアダプター蛋白質として機能することを示す。特には複合体がインフラマソームである場合、本発明の薬剤は、インフラマソーム経路を阻害し、特にはプロカスパーゼ1のカスパーゼ1への活性化を抑制することができる。ここで、インフラマソーム経路とはインフラマソームを介して行われる一連シグナル伝達経路を示す(図3−1)。インフラマソームは、ASCがカスパーゼ1及びNOD様受容体と7量体の複合体を形成することによりカスパーゼ1を活性化すると考えられている(図3−2)。

0052

また、本発明の薬剤は、ASCが関与する疾患又は症状、特には、ASCとカスパーゼ1及びNOD様受容体との複合体形成が関与する疾患又は症状の治療薬である。特には複合体がインフラマソームである場合、本発明の薬剤は、インフラマソームが活性化した自己炎症性疾患の予防若しくは治療を目的として使用することができる。この場合インフラマソーム活性化、特にはカスパーセ1活性化に伴う自己炎症性疾患の自然免疫を抑えることによりその症状を抑えるものであり、よって、これらの疾患の予防若しくは治療を目的として使用することが可能である。

0053

ASCが関与する疾患又は症状としては、例えば癌、免疫抑制性疾患、自己免疫疾患ウイルス感染症神経変性疾患内分泌疾患、炎症性疾患臓器移植障害及び放射線障害等が挙げられる。

0054

さらに、上記疾患又は症状としては、インフラマソーム経路が関与する疾患又は症状、特には、インフラマソームを介して行われる一連のシグナル伝達により引き起こされる疾患又は症状が挙げられる。インフラマソーム経路が関与する疾患又は症状としては、活性化プロカスパーゼ1が関与した疾患又は症状が挙げられる。また、インフラマソーム経路が関与する疾患又は症状としては、自己炎症性疾患、特にはIL−1β及び/又はIL−18の生成により引き起こされる疾患が挙げられる。具体的には、インフラマソーム経路が関与する疾患としては、例えば、クライオピリン関連周期熱症候群、家族性地中海熱、PAPA症候群(Pyogenic arthritiswith pyoderma gangrenosum and acne)症候群、Majeed症候群、高IgD症候群、反復性胞状奇胎、DIRA(deficiency of the IL−1 receptor antagonist)、痛風、アルツハイマー病、2型糖尿病、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、炭疽菌感染症、急性肺障害(Acute Lung Injury)、急性呼吸促拍症候群(Acute Repiratory Distress syndrome)及び全身性炎症性反応症候群SIRS(Systemic Inflammatory Response syndrome)、石綿肺及び若年性特発性関節炎等が挙げられる。

0055

全身性炎症性反応症候群SIRSには、外傷、熱傷膵炎、侵襲の強い術後等感染を伴わない様々な原因によるものと、細菌、真菌寄生虫ウイルス等による感染を伴うものがあり、特に感染に起因するSIRSとして敗血症(sepsis)を挙げることができる。敗血症は、炎症性サイトカインによる全身の反応性炎症SIRSの病態に加えて、血管内凝固障害(出血血栓等)、尿量減少、血圧低下等の全身の臓器障害が顕著に出現した病態である。つまり、いずれもインフラマソームの活性化に起因する病態であるが、SIRSは主として全身の炎症性病態、インフラマソームの活性化に主眼を置いた概念であり、一方敗血症はインフラマソームの活性化に引き続き、血液凝固系の障害や循環障害等によって多臓器障害等を合併している病態であるといえる。

0056

さらには、インフラマソーム経路が関与する症状としては、炎症性細胞死(pyroptosis)及びDNAの断片化に伴う症状が挙げられる。

0057

本発明の薬剤は、その剤形に応じてそれ自体公知の種々の方法で投与することが可能であり、その投与量、投与部位、投与する間隔、期間等は、患者の年齢や体重、病状あるいは他の薬剤や治療法と併用した場合等を考慮して適宜決定することができる。投与方法としては、速やかに体内、あるいは病巣局所に1,5−AFを送達することができる限り特に制限されないが、例えば、経口投与、注射や点滴、経気管支等の方法、あるいは貼付、塗布を挙げることができる。

0058

本発明の一実施形態において、本発明の薬剤の投与量は、その剤形、投与方法、又は予防若しくは治療しようとする症状により異なるが、例えば、体重1kgあたりの投与量として有効成分(1,5−AF)換算で1mg〜500mg、好ましくは10mg〜100mgとすることができ、1日1回又は数回、あるいは持続点滴等、さらには数日毎に1回というような、適当な投与頻度によって投与することが可能である。また肺障害が強い場合には経気道投与等の方法も考えられる。

0059

本発明の一実施形態において、本発明の薬剤の投与量は、その剤形、投与方法、又は予防若しくは治療しようとする症状により異なるが、例えば、体重1kgあたりの投与量として有効成分(1,5−AF)換算で0.001μg〜10000mg、好ましくは0.01mg〜5,000mgとすることができ、1日1回又は数回、あるいは数日毎に1回というような、適当な投与頻度によって投与することが可能である。

0060

本発明は、本発明の薬剤を含む製剤にも関する。本発明の製剤の形態としては、例えば、点滴、錠剤カプセル剤散剤顆粒剤坐剤注射剤経皮吸収剤クリームペーストゲルスプレー等が挙げられるが、特に制限されない。また本発明の薬剤を含む製剤は、さらに必要な成分、例えば、製剤担体賦形剤、安定剤等を含有することもできる。

0061

さらに、本発明の効果を奏する限り、本発明の製剤は、他の薬剤あるいはその他の薬理成分あるいはブドウ糖等の栄養成分を含むことも可能である。上述したように、例えば1,5−AFは抗炎症作用を有し、さらに炎症性細胞死をも強く抑制する。よって、特に敗血症の治療においては、1,5−AFを、凝固を抑制する抗凝固剤(例えば、遺伝子組換えトロンボモジュリン商品リコモジュリン等)と併用することにより、複合した病態を軽減することができる。

0062

また本発明の薬剤は、医薬品用途に限られるものではなく、医薬部外品化粧品、食品、飲料、飼料等に配合することも可能である。例えば、1,5−AFを食品に添加して、各種疾患における症状の予防あるいは治療を目的とした機能性食品のような形態をとることもできる。

0063

本発明の薬剤を含む製剤は、皮膚症状の治療を目的とする医薬部外品あるいは化粧品等の形態をとることも可能である。

0064

本発明の薬剤は、人間以外の哺乳動物にも投与することができる。その場合、哺乳動物に対し、1,5−AFを適量投与することによって治療を行うことができる。

0065

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。

0066

[1]1,5−AFは、NLRP1、NLRP3、NLRC4及びAIM2が関連する全てのインフラマソーム経路を介したプロカスパーゼ1の活性化を抑制した
[実施例1]
インフラマソームの構成成分であるNLRは、細胞内の病原体等を認識するパターン認識受容体であり、これにDAMPsやPAMPsが結合することによりインフラマソームが活性化される。NLRは多くのものが知られているが、本実施例においてはNLRの代表としてNLRP1、NLRP3、NLRC4、AIM2を活性化する薬剤を用いて実験を行った。各NLRを活性化するものとして以下の薬剤を用いた:
NLRP1 Anthrax PAとLF(ANT)(List Biologist社)
NLRP3ATP、nigericin(NIG)、尿酸塩(MSU)、Imject Alum Ajuvant(ALU
NLRC4フラジェリンFL
AIM2 poly(dA:dT)(POL)(Sigma社)、リポフェクタミン2000(LIP)(Invitrogen社)。

0067

本実施例において、Nakahira,Kらの方法(Nat.Immunol.12 (2011)222−30)に従ってマウス由来骨髄マクロファージを作製した。C57/BL6の雄性マウス大腿骨及び脛骨より、骨髄幹細胞を抽出し、L929細胞より抽出した培養上清液(M−CSFを含む)を25%含むDMEM液体培地(10%FBS及び2%ペニシリンストレプトマイシン含有)中で6日間培養し、マクロファージへと分化させた。6日間経過後に、マウス由来骨髄マクロファージを回収し、細胞数を調節し、各デッシュにまきなおし、オーバーナイト接着させた後に、LPS、及びインフラマソームを誘導する薬剤を添加した。

0068

最初に、TLRsからの刺激(シグナル1)でpro−IL−1β(IL−1βの前駆体)及びpro−IL−18(IL−18の前駆体)を細胞質内で作らせる目的で、LPSの添加を行った。LPSは、Invitrogen社のUltrapure LPSを使用し、100ng/ml濃度で4時間刺激を行った。

0069

その後、1,5−AFを30分間インキュベートし、さらにインフラマソームを誘導する薬剤を添加した。

0070

NLRP1を活性化する場合は、Anthrax PAとLF(ANT)を5 μg/mlずつ入れ6時間インキュベートして誘導した。NLRP3の場合は、ATP5mMで1時間、ニゲリシン(Nigericin:NIG) 5μMで1時間、Imject Alum Ajuvant(ALU) 200μg/mlで6時間、尿酸塩(MSU) 150μg/mlで6時間インキュベートして誘導した。NLRC4の場合は、フラジェリン(FLA)2.5μg/mlで6時間インキュベートして誘導した。AIM2の場合は、リポフェクタミン2000(LIP)を使用し、poly(dA:dT)(POL)をトランスフェクションさせることで誘導した。IL−1βやIL−18の定量はR&D社のELISAキットを用いて行った。

0071

実施例1の結果を図5−8に示す。図5−8より、1,5−AFは、NLRP1、NLRP3、NLRC4及びAIM2が関連する全てのインフラマソーム経路を介したプロカスパーゼ1の活性化によるIL−1β、IL−18の生成を抑制したことがわかる。図5−8に示す結果について以下に説明する。

0072

LPSで刺激した骨髄マクロファージのメディウム中にATP、ニゲリシン、尿酸塩又はアラムを添加することによりNLRP3インフラマソーム経路を活性化した。LPSでインキュベートした骨髄マクロファージに対して、サルモネラ菌菌体成分を抽出したフラジェリン(FLA)を添加することによりNLRC4インフラマソーム経路を活性化した。LPSでインキュベートした骨髄マクロファージに対して、DNAを抽出したpoly(dA:dT)(POL)を、リポフェクタミン2000を使用してトランスフェクションすることによりAIM−2インフラマソーム経路を活性化した。

0073

アラム(ALU)又は尿酸塩(MSU)は、NLRP3経路を活性化する代表的な分子である。LPSで刺激した骨髄マクロファージにアラム又は尿酸塩を加えるとNLRP3インフラマソームが活性化された(Nature Immunology, 2013 May;14(5):454−60)。これに対し、1,5−AFが存在する場合には、アラム又は尿酸塩によるNLRP3インフラマソームの活性化は抑制された(図9も参照)。

0074

細菌毒素一種であるニゲリシン(NIG)はNLRPsを活性化し、カスパーゼ1を介してIL−1β及びIL−18を再生、放出させて、炎症を引き起こす。LPSで刺激した骨髄マクロファージにニゲリシンを加えるとインフラマソームが活性化された。これに対し、1,5−AFが存在する場合には、ニゲリシンによるインフラマソーム活性化、すなわちIL−1β及びIL−18の産生、放出は強く抑制された(図10も参照)。

0075

ATPはNLRP3経路でインフラマソームを活性化する。LPSで刺激した骨髄マクロファージにATPを加えるとインフラマソームが活性化された。これに対し、1,5−AFが存在する場合には、ATPによるインフラマソーム活性化、すなわちIL−1β及びIL−18の産生、放出は抑制された(図11も参照)。また、アンヒドログルコース(AG)及びフルクトースと比較して、1,5−AFはATPによるインフラマソーム活性化、すなわちIL−1β及びIL−18の産生、放出を濃度依存性に抑制した(図11参照)。

0076

炭疽菌毒素(anthorax toxin:ANT)はNLRP1経路でインフラマソームを活性化する。炭疽菌毒素は強い肺障害を起こし、バイオテロに使用される危険性からその対策が急がれている。LPSで刺激した骨髄マクロファージに炭疽菌毒素を加えるとNLRP1インフラマソームが活性化された。これに対し、1,5−AFが存在する場合には、炭疽菌毒素よるインフラマソーム活性化、すなわちIL−1β及びIL−18の産生、放出は強く抑制された(図12も参照)。

0077

フラジェリン(FLA)はNLRP4を活性化し、カスパーゼ1を介してIL−1β及びIL−18を再生、放出させて、炎症を引き起こす。フラジェリン(FLA)は、鞭毛を有する細菌(ピロリ菌等)の鞭毛の構成タンパク質の一種で、樹状細胞等に発現しているトール様受容体5(Toll like receptor 5)を介して炎症を惹起する。LPSで刺激した骨髄マクロファージにフラジェリンを加えるとインフラマソームが活性化された。これに対し、1,5−AFが存在する場合には、フラジェリンによるインフラマソーム活性化、すなわちIL−1β及びIL−18の産生、放出は強く抑制された(図13も参照)。

0078

宿主の2重鎖DNA(dsDNA)はAIM2/ASC経由でカスパーゼを活性化して、IL−1β及びIL−18を産生放出し、炎症を引き起こすことが判明している。dsDNAとしてpoly(dA:dT)(POL)で骨髄マクロファージを刺激した。1,5−AFが存在する場合には、コントロールに比べ、1,5−AFを添加した群の培養上清中のIL−1βの産生は顕著に抑制されており、1,5−AFがAIM2/ASC経路からのインフラマソーム活性化を抑制していることが実証された(図14も参照)。

0079

[2](i)LPSとATPの両方の刺激があったもののみプロカスパーゼ−1のカスパーゼ1への活性化とIL−1β前駆体(proIL−1β)のIL−1βへの成熟化、細胞外への分泌が起きた
(ii)1,5−AFはインフラマソームの活性化を介したプロカスパーゼ1からカスパーゼ1への活性化を抑制した
[実施例2]
実施例1同様に、本実験はNakahira,Kらの方法(Nat.Immunol.12 (2011)222−30)に従ってマウス由来骨髄マクロファージを作製し、実験を行った。C57/BL6の雄性マウスの大腿骨及び脛骨より、骨髄幹細胞を抽出し、L929細胞より抽出した培養上清液(M−CSFを含む)を25%含むDMEM液体培地(10%FBS及び2%ペニシリンストレプトマイシン含有)中で6日間培養し、マクロファージへと分化させた。6日間経過後に、マウス由来骨髄マクロファージを回収し、細胞数を調節し、各デッシュにまきなおし、オーバーナイトで接着させた後に、LPS、及びインフラマソームを誘導する薬剤を添加した。

0080

最初に、TLRsからの刺激(シグナル1)でpro−IL−1β(IL−1βの前駆体)を細胞質内で作らせる目的で、LPSの添加を行った。LPSは、invivoGen社のUltrapure LPSを使用し、100ng/ml濃度で4時間刺激を行った。

0081

その後、1,5−AFを30分間インキュベートし、さらにインフラマソームを誘導する薬剤を添加した。NLRP3の場合は、ATP5mMで時間インキュベートし誘導した。各サンプルの細胞と上清各分を電気泳動にかけ、カテプシンB抗体(Santa Cruz社、sc−13985)、ASC抗体(Santa Cruz社、sc−22514−R)、カスパーゼ−1抗体(Santa Cruz社、sc−514)、IL−1β抗体(Biovision社、5129−100)、β−アクチン抗体(Sigma社、A1978)を用いて、ウエスタンブロッティングを行った。

0082

実施例2の結果を図15に示す。図15より、LPSとATPの両方の刺激があったもののみプロカスパーゼ−1のカスパーゼ1への活性化とIL−1β前駆体(proIL−1β)のIL−1βへの成熟化、細胞外への分泌が起きたことがわかる。そして、1,5−AFはインフラマソームの活性化を介したプロカスパーゼ1からカスパーゼ1への活性化を抑制することが明らかとなった。

0083

[3]1,5−AFは実験的アルツハイマー病やパーキンソン病に使われる神経障害因子であるロテノンによるインフラマソーム活性化を抑制した
[実施例3]
イルドタイプマウスより腹腔マクロファージを抽出し、これにLPSを添加してプライミングした後に、インフラマソームを誘導する薬剤としてロテノン(rotenon)を添加(1時間)して上清中のIL−1βの定量をELISAキットを用いて行った。ロテノンは、ミトコンドリア障害因子であり、実験的アルツハイマー病やパーキンソン病に使われる神経障害因子である。ミトコンドリアが障害されると、障害ミトコンドリアから大量のATPが放出されて、インフラマソームが活性化されて炎症が惹起されることが知られている。神経系の場合にはこのことがアルツハイマー病やパーキンソン病の原因となることがわかっている。

0084

1,5−AFは、ロテノンによるインフラマソーム活性化、すなわちIL−1βの産生、放出を抑制した(図16)。

0085

[4]1,5−AFをALIの代表的モデルに腹腔内投与すると顕著に肺組織像と気管支肺胞洗浄液中の炎症性細胞浸潤が抑制された
[実施例4]
C57/BL6ワイルドマウスにLPSを経気管投与してALIモデルを作製した。LPS(エンドトキシン)を経気管投与すると激しい肺障害が惹起され、これはALIの代表的モデルとされている(Gustavo Matute−Bello,et al. “Animal models of acute lung injury”, Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 295: L379−L399, 2008)。急性肺障害(acute lung injury, ALI)や急性呼吸促拍症候群(acute respiratory distress syndrome, ARDS)はインフラマソーム活性化に伴う代表的な疾患である。

0086

作製したマウス(ALIモデル)に1,5−AFを腹腔内投与すると顕著に肺組織像と気管支肺胞洗浄液中の炎症性細胞浸潤が抑制された(図17)。

0087

[5]1,5−AFをSIRSモデルに投与すると顕著に生存率が改善された
[実施例5]
C57/BL6ワイルドタイプマウスにLPSを腹腔内投与してSIRSモデルを作製した。全身性にインフラマソームが活性化されるとIL−1β等の炎症性サイトカインが全身を循環しSIRSを引きおこし、臨床上も重要な病態となっている。

0088

作製したマウス(SIRSモデル)に治療群として1,5−AFを100mg/kg、LPS投与2、6、12、24時間後に投与し、5日間観察したところ、顕著に生存率が改善された(図18)。

0089

[6]1,5−AFはプロカスパーゼ1のカスパーゼ1への活性化を抑制して炎症性細胞死を抑制した
[実施例6]
プロカスパーゼ1のカスパーゼ1への活性化は、単にpro−IL−1βとpro−IL−18のIL−1β、IL−18への活性化で免疫担当細胞を病巣部へリクルートするのみでなく、プログラム化された炎症性細胞死(pyroptosis)をも引き起こす。これらは新しい炎症の概念である。本発明者らは、1,5−AFがプロカスパーゼ1のカスパーゼ1への活性化を抑制して、炎症性細胞死を抑制することを検証した。

0090

マウス骨髄細胞をLPSで4時間インキュベーションしてプライミングし、次に1,5−AFと30分間インキュベーションした後に、完全に1,5−AFを洗い去り、次にニゲリシン(5μM)で1時間インキュベーションして、炎症性細胞死を検討した。

0091

3つのサンプルについての結果を表1に示す。LPSとニゲリシンを加えたものは、炎症性細胞死が誘導されて、生細胞数はLPS単独に比べ、約1/6に減少していたが、1,5—AF(10mg/ml)を添加した場合、炎症性細胞死した細胞数は約1/3程度に収まり、細胞死は抑制され、生細胞数は50%近くまで増加した。すなわち1,5−AFによりニゲリシンによる炎症性細胞死は抑制された。

0092

[7]1,5−AFはアポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)を標的とする
[実施例7]
ASCを発現させたHEK細胞をエンドトキシン刺激し(第1刺激)、次にpoly(dA:dT)を加えた(第2刺激)場合、図19の列5のようにASCモノマーは、ダイマートリマー及びテトラマーを形成した。しかしながら、1,5−AFの存在下では、このようなASCモノマーの重合体は観察されなかった(図19の6列参照)。つまり、1,5−AFはASCの重合を抑制していることが示唆された。結果として1,5−AFは図3−2に示されるASC重合阻害を介してカスパーゼ1の生成を阻害して、結果的にIL−1b、IL−18の産生を抑制しているものといえる。

0093

[8]1,5−AFは、シリカによるインフラマソーム活性化を抑制した
[実施例8]
マウス骨髄単核球を培養し、シリカ(珪酸マグネシウム:50μg/ml)による刺激した後、1,5-AF(5μg/ml)を添加して1時間後、IL−18の濃度を測定した(図20a)。同様に、各濃度のシリカで骨髄単核球を刺激した後、5時間後に1,5−AF(2〜10mg/ml)加え、IL−1βの濃度を測定した(図20b)。

0094

1,5−AFは、シリカによるインフラマソーム活性化、すなわちIL−18、IL−1βの産生、放出を抑制した(図20)。

0095

石綿肺のモデル実験において、炎症を抑制し、石綿肺防止剤として利用できることが分かった。

0096

[9]1,5−AFは、炭疽菌毒素によるインフラマソーム活性化IL−1βの産生、放出を抑制した
[実施例9]
マウス骨髄単核球を炭疽菌毒素(anthorax toxin:1mg/ml)又はアラム(50μg/ml)で4時間培養刺激した後、1,5−AF(5mg/ml)を添加して、2時間後のIL−1βの濃度を測定した(図21)。アラムはポジティブコントロールとして使用した。

0097

1,5−AFは、炭疽菌毒素によるインフラマソーム活性化、すなわちIL−1βの産生、放出を抑制した(図21)。

0098

炭疽菌によるバイオテロへの防御剤として利用できることが分かった。

0099

[10]1,5−AFは、LPS+シリカ又はATPで刺激したヒト末梢血単核細胞に対してもIL−1βの放出を抑制する効果を有する
[実施例10]
ヒト末梢血を採取し、Lymphoprep(Ficoll)を使用してヒト末梢血単核細胞(PBMC)を分離した。PBMCを、DMEM+10%FBS培地に当たり0.1x106個/ウェルずつまいて、実験に用いた。LPS 500ng/mlで3時間プライミング処理した。1,5−AF(2〜10mg/ml)を加え、30分インキュベートした後にシリカ(250μg/ml)で2時間刺激した後、上清を回収した。

0100

[実施例11]
ヒト末梢血を採取し、Lymphoprep(Ficoll)を使用してヒト末梢血単核細胞(PBMC)を分離した。PBMCを、DMEM+10%FBS培地に当たり0.1x106個/ウェルずつまいて実験に用いた。LPS500ng/mlで3時間プライミング処理した。1,5−AF(2〜10mg/ml)を加え、30分インキュベートした後にATP(2〜5mM)で1時間刺激した後、上清を回収した。

実施例

0101

1,5−AFは、LPS+ATPで刺激したヒト末梢血単核細胞に対してもIL−1βの放出を抑制する効果を有することが分かった(図22)。

0102

本願の薬剤は、現在の生物学的製剤(抗体)に代わるアポトーシス関連スペック様カード蛋白質(ASC)制御剤として使用することができる。

0103

本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

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