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技術 熱間プレス部材の製造方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 中島清次森本美奈子安藤聡
出願日 2014年6月2日 (7年6ヶ月経過) 出願番号 2014-544274
公開日 2017年2月23日 (4年10ヶ月経過) 公開番号 WO2015-001705
状態 特許登録済
技術分野 電気メッキ方法,物品 熱処理 物品の熱処理 型打ち,へら絞り,深絞り
主要キーワード 部材表 大クラック X線回折法 成形開始温度 ブランキング加工 断面観察用 部材形状 押さえ圧
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図面 (2)

課題・解決手段

本発明は、耐食性に優れた熱間プレス部材の製造方法を提供することはもとより、めっき層中の亜鉛鋼板侵入することに起因する液体金属脆性割れが起こることのない、耐液体金属脆性に優れた熱間プレス部材の製造方法を提供することを目的とする。下地鋼板と、該下地鋼板上に形成されためっき層と、を備え、めっき層は10〜25質量%のNiを含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、片面あたりの付着量が10〜90g/m2であるめっき鋼板を、850〜950℃まで加熱し、加熱後のめっき鋼板の温度が650〜800℃のときに、熱間プレス成形を開始することを特徴とする熱間プレス部材の製造方法とする。

概要

背景

従来から、自動車足廻り部材車体構造部材等の多くは、所定の強度を有する鋼板プレス加工して製造される。近年、地球環境保全という観点から、自動車車体の軽量化が熱望され、使用する鋼板を高強度化して、その板厚を低減する努力が続けられている。しかし、鋼板の高強度化に伴って、プレス加工性が低下するため、鋼板を所望の部材形状に加工することが困難になる場合が多い。

そこで、特許文献1には、ダイとパンチからなる金型を用いて、加熱された鋼板を加工すると同時に急冷する熱間プレスと呼ばれる加工技術が提案されている。この加工技術によれば、加工の容易化と高強度化の両立が可能になる。

しかし、この熱間プレスでは、熱間プレス前に鋼板を950℃前後の高い温度に加熱するため、鋼板表面にはスケール鉄酸化物)が生成し、そのスケールが熱間プレス時に剥離して、金型を損傷させる。また、熱間プレスでは、スケールが熱間プレス後部材表面を損傷させるという問題がある。また、部材表面に残ったスケールは、外観不良や塗装密着性の低下の原因にもなる。したがって、通常は酸洗ショットブラスト等の処理を行って部材表面のスケールを除去する場合がある。

しかし、このようなスケールの除去は、熱間プレス部材の製造工程を複雑にし、生産性の低下を招く。

さらに、自動車の足廻り部材や車体構造部材等には優れた耐食性も必要とされる。上述のようなスケールを除去する工程を含む方法で製造された熱間プレス部材では、めっき層などの防錆皮膜が設けられていないため、部材の耐食性が不十分である。

このようなことから、熱間プレス前の鋼板の加熱時にスケールの生成を抑制するとともに、熱間プレス後の部材の耐食性を向上させることが可能な熱間プレス技術が求められる。この要求に対して、鋼板表面にめっき層を設けためっき鋼板を用いた熱間プレス方法が提案されている。例えば、特許文献2には、ZnまたはZnベース合金被覆された鋼板を熱間プレスして、Zn−Feベース化合物またはZn−Fe−Alベース化合物を表面に形成させることで、熱間プレス部材の耐食性を高める方法が開示されている。

また、特許文献3には、熱間プレス前の鋼板の高温熱処理時に、めっき層に含まれる溶融Znが下地鋼板侵入して起こる液体金属脆性割れを抑制する技術が開示されている。具体的には、特許文献3には、所定の鋼組成を有する鋼板表面に、Fe含有率が13〜80質量%で、Al含有率が0.4質量%以下のFe−Zn合金からなり、かつZn付着量が10〜65g/m2であるZnめっき層を備える熱処理用鋼板が開示されている。

概要

本発明は、耐食性に優れた熱間プレス部材の製造方法を提供することはもとより、めっき層中の亜鉛が鋼板に侵入することに起因する液体金属脆性割れが起こることのない、耐液体金属脆性に優れた熱間プレス部材の製造方法を提供することを目的とする。下地鋼板と、該下地鋼板上に形成されためっき層と、を備え、めっき層は10〜25質量%のNiを含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、片面あたりの付着量が10〜90g/m2であるめっき鋼板を、850〜950℃まで加熱し、加熱後のめっき鋼板の温度が650〜800℃のときに、熱間プレス成形を開始することを特徴とする熱間プレス部材の製造方法とする。

目的

本発明は、耐食性に優れた熱間プレス部材の製造方法を提供することはもとより、めっき層中の亜鉛が鋼板に侵入することに起因する液体金属脆性割れが起こることのない、耐液体金属脆性に優れた熱間プレス部材の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

下地鋼板と、該下地鋼板上に形成された、10〜25質量%のNiを含有し残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき層と、を備え、前記めっき層の片面あたりの付着量が10〜90g/m2であるめっき鋼板を、850〜950℃まで加熱し、前記加熱後のめっき鋼板の温度が650〜800℃のときに、熱間プレス成形を開始することを特徴とする熱間プレス部材の製造方法。

請求項2

下地鋼板と、めっき層とを備え、該めっき層は、該下地鋼板上に、60質量%以上のNiを含有し残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき層Iと、該めっき層I上に、10〜25質量%のNiを含有し残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき層IIとを有し、前記めっき層Iの片面あたりの付着量が0.01〜5g/m2であり、前記めっき層IIの片面あたりの付着量が10〜90g/m2であるめっき鋼板を、850〜950℃の温度まで加熱し、前記加熱後のめっき鋼板の温度が650〜800℃のときに、熱間プレス成形を開始することを特徴とする熱間プレス部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、熱間プレス部材の製造方法に関する。特に、自動車足廻り部材車体構造部材等の製造に本発明を好ましく適用することができる。

背景技術

0002

従来から、自動車の足廻り部材や車体構造部材等の多くは、所定の強度を有する鋼板プレス加工して製造される。近年、地球環境保全という観点から、自動車車体の軽量化が熱望され、使用する鋼板を高強度化して、その板厚を低減する努力が続けられている。しかし、鋼板の高強度化に伴って、プレス加工性が低下するため、鋼板を所望の部材形状に加工することが困難になる場合が多い。

0003

そこで、特許文献1には、ダイとパンチからなる金型を用いて、加熱された鋼板を加工すると同時に急冷する熱間プレスと呼ばれる加工技術が提案されている。この加工技術によれば、加工の容易化と高強度化の両立が可能になる。

0004

しかし、この熱間プレスでは、熱間プレス前に鋼板を950℃前後の高い温度に加熱するため、鋼板表面にはスケール鉄酸化物)が生成し、そのスケールが熱間プレス時に剥離して、金型を損傷させる。また、熱間プレスでは、スケールが熱間プレス後部材表面を損傷させるという問題がある。また、部材表面に残ったスケールは、外観不良や塗装密着性の低下の原因にもなる。したがって、通常は酸洗ショットブラスト等の処理を行って部材表面のスケールを除去する場合がある。

0005

しかし、このようなスケールの除去は、熱間プレス部材の製造工程を複雑にし、生産性の低下を招く。

0006

さらに、自動車の足廻り部材や車体構造部材等には優れた耐食性も必要とされる。上述のようなスケールを除去する工程を含む方法で製造された熱間プレス部材では、めっき層などの防錆皮膜が設けられていないため、部材の耐食性が不十分である。

0007

このようなことから、熱間プレス前の鋼板の加熱時にスケールの生成を抑制するとともに、熱間プレス後の部材の耐食性を向上させることが可能な熱間プレス技術が求められる。この要求に対して、鋼板表面にめっき層を設けためっき鋼板を用いた熱間プレス方法が提案されている。例えば、特許文献2には、ZnまたはZnベース合金被覆された鋼板を熱間プレスして、Zn−Feベース化合物またはZn−Fe−Alベース化合物を表面に形成させることで、熱間プレス部材の耐食性を高める方法が開示されている。

0008

また、特許文献3には、熱間プレス前の鋼板の高温熱処理時に、めっき層に含まれる溶融Znが下地鋼板侵入して起こる液体金属脆性割れを抑制する技術が開示されている。具体的には、特許文献3には、所定の鋼組成を有する鋼板表面に、Fe含有率が13〜80質量%で、Al含有率が0.4質量%以下のFe−Zn合金からなり、かつZn付着量が10〜65g/m2であるZnめっき層を備える熱処理用鋼板が開示されている。

先行技術

0009

英国特許第1490535号公報
日本特許第3663145号公報
日本特許第4329639号公報

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献2に記載の方法で製造された熱間プレス部材では、融点の低い亜鉛めっき鋼板亜鉛アルミニウムめっき鋼板を用いるため、熱間プレス成形時にめっき層中の亜鉛が鋼板に侵入して割れを引き起こす場合(液体金属脆性割れ)がある。

0011

また、特許文献3に記載のめっき鋼板を使用した場合でも、加熱温度や熱間プレス成形開始温度などの熱間プレス条件によっては液体金属脆性割れが生じる場合があり、液体金属脆性割れを完全に回避することは達成されていない。

0012

本発明は、耐食性に優れた熱間プレス部材の製造方法を提供することはもとより、めっき層中の亜鉛が鋼板に侵入することに起因する液体金属脆性割れが起こることのない、耐液体金属脆性に優れた熱間プレス部材の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

本発明者らは、上記の目的を実現するために、熱間プレス部材の製造方法について鋭意検討を行った。その結果、めっき層が溶融した状態でプレス成形が行われると、引張応力の加わった部位においてめっき層中の液体成分が鋼板に侵入し、液体金属脆性割れが生じることを知見した。さらに、これを回避するためには、めっき層の融点が熱間プレス成形の開始温度よりも十分に高いことが必要であることを見出し、本発明の完成に至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。

0014

(1)下地鋼板と、該下地鋼板上に形成された、10〜25質量%のNiを含有し残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき層と、を備え、前記めっき層の片面あたりの付着量が10〜90g/m2であるめっき鋼板を、850〜950℃まで加熱し、前記加熱後のめっき鋼板の温度が650〜800℃のときに、熱間プレス成形を開始することを特徴とする熱間プレス部材の製造方法。

0015

(2)下地鋼板と、めっき層とを備え、該めっき層は、該下地鋼板上に、60質量%以上のNiを含有し残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき層Iと、該めっき層I上に、10〜25質量%のNiを含有し残部がZnおよび不可避的不純物からなるめっき層IIとを有し、前記めっき層Iの片面あたりの付着量が0.01〜5g/m2であり、前記めっき層IIの片面あたりの付着量が10〜90g/m2であるめっき鋼板を、850〜950℃の温度まで加熱し、前記加熱後のめっき鋼板の温度が650〜800℃のときに、熱間プレス成形を開始することを特徴とする熱間プレス部材の製造方法。

発明の効果

0016

本発明により、液体金属脆性割れがほとんど生じることのない、耐液体金属脆性に優れた熱間プレス部材を製造することが可能となった。本発明の方法で製造した熱間プレス部材は、耐食性も優れる。

0017

また、下地鋼板の成分組成を特定の範囲にすることで、十分な強度を有する熱間プレス部材になる。また、Znベースの層を有するめっき層のため、加熱時のスケールの生成も抑えられる。したがって、本発明の方法で製造した熱間プレス部材は、自動車の足廻り部材や車体構造部材に好適である。

図面の簡単な説明

0018

図1は、実施例のハット型成形後の鋼板を示す図である。

0019

以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。

0020

本発明の熱間プレス部材の製造方法は、特定のめっき鋼板を850〜950℃まで加熱し、加熱後のめっき鋼板の温度が650〜800℃のときに、熱間プレス成形を開始することを特徴とする熱間プレス部材の製造方法である。また、上記特定のめっき鋼板は、下地鋼板と、下地鋼板上に形成されためっき層を備える。以下、下地鋼板、めっき層、めっき鋼板及び熱間プレス部材の製造方法の順で説明する。

0021

下地鋼板
下地鋼板は熱延鋼板冷延鋼板等の一般的に下地鋼板として使用されているものをさす。下地鋼板の成分組成は特に限定されないが、980MPa以上の強度を有する熱間プレス部材を製造しやすい成分組成であることが好ましい。

0022

上記のような強度を満足しやすい成分組成としては、例えば、質量%で、C:0.15〜0.5%、Si:0.05〜2.0%、Mn:0.5〜3%、P:0.1%以下、S:0.05%以下、Al:0.1%以下、N:0.01%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を挙げることができる。各成分元素の限定理由は以下の通りである。なお、成分の含有量を表す「%」は、特に断らない限り「質量%」を意味する。

0023

C:0.15〜0.5%
Cは鋼の強度を向上させる元素であり、熱間プレス部材のTSを980MPa以上にするには、その量を0.15%以上とすることが好ましい。一方、C量が0.5%を超えると、素材の鋼板のブランキング加工性が著しく低下する場合がある。したがって、C量は0.15〜0.5%が好ましい。

0024

Si:0.05〜2.0%
Siは、C同様、鋼の強度を向上させる元素であり、熱間プレス部材のTSを980MPa以上にするには、その量を0.05%以上とすることが好ましい。一方、Si量が2.0%を超えると、熱間圧延時に赤スケールと呼ばれる表面欠陥の発生が著しく増大するとともに、圧延荷重が増大したり、熱延鋼板の延性劣化を招いたりする場合がある。さらに、2.0%を超えるSi量は、Znを主体としためっきを鋼板表面に形成するめっき処理を施す際に、めっき処理性に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、Si量は0.05〜2.0%が好ましい。

0025

Mn:0.5〜3%
Mnは、フェライト変態を抑制して焼入れ性を向上させるのに効果的な元素である。また、Mnは、Ac3変態点を低下させるので、熱間プレス前の加熱温度を低下させるのにも有効な元素である。このような効果の発現のためには、その量を0.5%以上とすることが好ましい。一方、Mn量が3%を超えると、偏析して下地鋼板および熱間プレス部材の特性の均一性が低下する場合がある。したがって、Mn量は0.5〜3%が好ましい。

0026

P:0.1%以下
P量が0.1%を超えると、偏析して素材の鋼板および熱間プレス部材の特性の均一性が低下するとともに、靭性も著しく低下する場合がある。したがって、P量は0.1%以下が好ましい。

0027

S:0.05%以下
S量が0.05%を超えると、熱間プレス部材の靭性が低下する場合がある。したがって、S量は0.05%以下が好ましい。

0028

Al:0.1%以下
Al量が0.1%を超えると、素材の鋼板のブランキング加工性や焼入れ性が低下する場合がある。したがって、Al量は0.1%以下が好ましい。

0029

N:0.01%以下
N量が0.01%を超えると、熱間圧延時や熱間プレス前の加熱時にAlNの窒化物が形成し、素材の鋼板のブランキング加工性や焼入れ性が低下する場合がある。したがって、N量は0.01%以下が好ましい。

0030

残部はFeおよび不可避的不純物である。また、以下の理由により、Cr:0.01〜1%、Ti:0.2%以下、B:0.0005〜0.08%のうちから選ばれた少なくとも一種や、Sb:0.003〜0.03%が、個別にあるいは同時に含有されることが好ましい。

0031

Cr:0.01〜1%
Crは、鋼を強化するとともに、焼入れ性を向上させるのに有効な元素である。こうした効果の発現のためには、Cr量を0.01%以上とすることが好ましい。一方、Cr量が1%を超えると、著しいコスト高を招くため、その上限は1%とすることが好ましい。

0032

Ti:0.2%以下
Tiは、鋼を強化するとともに、細粒化により靭性を向上させるのに有効な元素である。また、Tiは次に述べるBよりも優先して窒化物を形成するため、Tiを含有すると固溶Bにより焼入れ性が向上する。しかし、Ti量が0.2%を超えると、熱間圧延時の圧延荷重が増大する場合がある。また、Ti量が0.2%を超えると、熱間プレス部材の靭性が低下する場合がある。そこで、その上限は0.2%とすることが好ましい。

0033

B:0.0005〜0.08%
Bは、熱間プレス時の焼入れ性や熱間プレス後の靭性向上に有効な元素である。こうした効果の発現のためには、B量を0.0005%以上とすることが好ましい。一方、B量が0.08%を超えると、熱間圧延時の圧延荷重が増大し、また、熱間圧延後にマルテンサイト相ベイナイト相が生じて鋼板の割れなどが生じる場合がある。そこで、その上限は0.08%とすることが好ましい。

0034

Sb:0.003〜0.03%
Sbは、熱間プレス前に鋼板を加熱してから熱間プレスの一連の処理によって鋼板を冷却するまでの間に鋼板表層部に生じる脱炭層を抑制する効果を有する。このような効果の発現のためにはその量を0.003%以上とすることが好ましい。一方、Sb量が0.03%を超えると、圧延荷重の増大を招き、生産性を低下させる場合がある。したがって、Sb量は0.003〜0.03%とすることが好ましい。

0035

下地鋼板の製造方法は特に限定されず、下地鋼板が冷延鋼板の場合には、例えば、上述した化学成分を有する鋼を溶製し、連続鋳造などにより得られた鋼スラブを特定の条件で熱間圧延した後、酸洗および冷間圧延し、次いで、特定条件連続焼鈍および焼戻し処理を施す方法が挙げられる。

0036

めっき層
めっき層は、下地鋼板の表面に形成される。本発明では、耐液体金属脆性を確保するために、下地鋼板上にめっき層を有するめっき鋼板を用いる。本発明のめっき層は以下のいずれかである。

0037

1つは、10〜25質量%のNiを含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、片面あたりの付着量が10〜90g/m2の単層のめっき層である。

0038

もう1つは、下地鋼板上に、めっき層Iと、該めっき層I上に設けられためっき層IIとを備える2層構造のめっき層であり、めっき層Iは60質量%以上のNiを含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、片面あたりの付着量が0.01〜5g/m2であり、めっき層IIは10〜25質量%のNiを含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、片面あたりの付着量が10〜90g/m2である。

0039

先ず、共通点である、10〜25質量%のNiを含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、片面あたりの付着量が10〜90g/m2であるめっき(前者の単層のめっき層、後者のめっき層II)について説明する。

0040

Ni含有率を10〜25質量%とする理由は、めっき層の相構造を融点が881℃であるγ相とするためである。このようにすることで、液体金属脆性割れが起こりにくくなる。また、γ相は、亜鉛による犠牲防食作用を有するのみならず、緻密な腐食生成物を形成するという特徴を有する。加熱後にもこのγ相の一部が残存することによって、優れた耐食性を発揮することができる。γ相は、Ni2Zn11、NiZn3、Ni5Zn21のいずれかの結晶構造を有し、X線回折法により確認することが可能である。

0041

Ni以外の残部はZn及び不可避的不純物である。

0042

片面あたりの付着量を10〜90g/m2とする理由は、片面あたりの付着量が10g/m2未満では熱間プレス部材の耐食性が不十分であり、片面あたりの付着量が90g/m2を超えるとコストアップを招くためである。したがって、片面あたりの付着量は10〜90g/m2の範囲とする。

0043

次いで、2層構造のめっき層のめっき層Iについて説明する。上記の通り、めっき層Iは、60質量%以上のNiを含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなり、片面あたりの付着量が0.01〜5g/m2である。

0044

2層構造のめっき層の場合、鋼板表面にめっき層Iを設けることにより、めっき層IIが含有する亜鉛の下地鋼板への侵入が確実に遮蔽され、耐液体金属脆性を確実に確保することが可能となる。

0045

めっき層IのNi含有率を60質量%以上とする理由は、めっき層Iの融点を、熱間プレス前の加熱においても溶融することのない、1000℃以上の極めて高温とするためである。

0046

めっき層Iにおいても、Ni以外の残部はZn及び不可避的不純物である。

0047

めっき層Iの片面あたりの付着量は0.01〜5g/m2とする。片面あたりの付着量が0.01g/m2未満ではめっき層Iを設ける効果が認められず、片面あたりの付着量が5g/m2を超えると効果が飽和するだけでなく、コストアップを招く。このため、めっき層Iの片面あたりの付着量は0.01〜5g/m2の範囲とする。

0048

めっき鋼板
熱間プレス部材の製造方法で使用するめっき鋼板は、上記の下地鋼板とめっき層とを備える。下地鋼板上にめっき層を形成する方法は特に限定されず、一般的な方法を採用可能である。形成方法の具体例としては、溶融亜鉛めっき電気めっき、溶射蒸着等が挙げられる。また、めっき層を形成する際には、下地鋼板となる鋼帯連続処理してもよいし、切り板単体で処理してもよい。一般には、生産効率に優れた連続処理が好ましい。

0049

また、本発明では、めっきの形成方法として、電気めっきを採用することが好ましい。

0050

熱間プレス部材の製造方法
本発明では、上記めっき鋼板を、850〜950℃の温度まで加熱した後、加熱後のめっき鋼板の温度が650〜800℃のときに金型と接触させて熱間プレス成形を開始する。

0051

熱間プレス前の鋼板の加熱温度を850〜950℃とする理由は、加熱温度が850℃未満であると鋼板の焼入れが不十分となり、所望の硬さが得られない場合があるからである。また、加熱温度が950℃を超えると、エネルギー的に不経済であるばかりでなく、亜鉛の酸化反応が進むため、耐食性が劣化するためである。さらに、加熱温度はAc3変態点以上であることが好ましい。加熱温度をAc3変態点以上とすることにより鋼板の焼入れが十分となり、所望の硬さが得られる。

0052

熱間プレス前の加熱方法としては、電気炉ガス炉などによる加熱、火炎加熱、通電加熱高周波加熱誘導加熱遠赤外線加熱などを例示できる。

0053

上記のとおり加熱されためっき鋼板を、ダイとパンチを有する金型にセットし、プレス成形を行い、所望の冷却条件で冷却することにより、熱間プレス部材が製造される。

0054

本発明では、鋼板を加熱した後、金型と接触させて熱間プレス成形を開始するときの鋼板の温度(成形開始温度)を650〜800℃の範囲に限定する。成形開始温度が650℃未満では、鋼板の焼入れが不十分となり、所望の硬さ(強度)が得られない場合がある。成形開始温度が800℃を超えると、液体金属脆性割れが生じる場合がある。上述の通り、本発明で用いる単層のめっき層又はめっき層IIは、融点が881℃のγ相で構成される。従来の熱間プレス工程においては、成形開始温度が800℃を超えるため、加熱炉からプレス機に搬送する間にめっき層の凝固反応が完全に終了しない。めっき層の凝固が確実に完了する温度は800℃以下だからである。一方で、液体金属脆性割れは、めっき層が液体であることと、プレス成形により鋼板の一部に引張応力が付与されることの両者が複合した場合に生じる。そこで、本発明では、成形開始温度を650〜800℃の範囲に限定することによって、めっき層の凝固が確実に完了してから熱間プレス成形を行う。その結果、液体金属脆性割れが生じることのない、耐液体金属脆性に優れた熱間プレス部材を製造できる。

0055

また、加熱後、成形開始温度まで低下させる方法は特に限定されず、冷却水等を用いて積極的に冷却したり、加熱炉からプレス機までの搬送時間を長くしたりする等して、めっき鋼板が650〜800℃の範囲になればよい。

0056

下地鋼板として、質量%で、C:0.23%、Si:0.25%、Mn:1.2%、P:0.01%、S:0.01%、Al:0.03%、N:0.005%、Cr:0.2%、Ti:0.02%、B:0.0022%、Sb:0.008%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、Ac3変態点が820℃で、板厚1.6mmの冷延鋼板を用いた。この冷延鋼板の両面に、電気めっき法により、Zn−Niめっきを施して鋼板No.1〜17を作製した。Zn−Niめっきは、200g/Lの硫酸ニッケル六水和物、10〜100g/Lの硫酸亜鉛七水和物を含有するpH1.5、浴温50℃のめっき浴中で、電流密度を5〜100A/dm2としてめっきを行い、硫酸亜鉛七水和物の添加量と電流密度を変化させることによりNi含有率を調整し、通電時間を変化させることによりめっき付着量を調整した。鋼板No.10〜13では、Zn−Niめっきに先立ち、めっき層Iとして、Niめっき、またはNi−Znめっきを施した。Niめっきは、240g/Lの硫酸ニッケル六水和物、30g/Lのホウ酸を含有するpH3.6、浴温50℃のめっき浴中で、電流密度を5A/dm2としてめっきを行い、通電時間を変化させることによりめっき付着量を調整した。また、鋼板No.11では硫酸亜鉛七水和物を添加することによりNi含有率を調整した。また、上記冷延鋼板の両面に、溶融亜鉛めっきを施した溶融亜鉛めっき鋼板GI)、合金化溶融亜鉛めっきを施した合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)を作製し、鋼板No.18、19とした。なお、鋼板No.18(GI)は、めっき層の組成がAl:0.7%、残部Znおよび不可避的不純物から成り、めっき層の融点は420℃、めっき層の片面あたりの付着量は60g/m2である。また、鋼板No.19(GA)は、めっき層の組成がFe:10%、Al:0.2%、残部Znおよび不可避的不純物から成り、めっき層の融点は665℃、めっき層の片面あたりの付着量は45g/m2である。鋼板No.1〜19のめっき層の詳細を表1に示す。

0057

このようにして作製した鋼板No.1〜19から100mm×200mmの試験片採取し、電気炉により表1に示す加熱温度まで鋼板を加熱し、次いで、表1に示す成形開始温度で熱間プレス成形を行った。成形開始温度の調整は、加熱炉からプレス機までの搬送時間を調整することにより行った。熱間プレス成形は、半径6mmの肩R部を有するポンチおよび半径6mmの肩R部を有するダイからなるハット型金型を用いた。しわ押さえ圧を20tonとし、200mm/sの速度で、ハット型成形を行い、図1に示す成形高さ40mmのハット型部品を作製した。

0058

作製したハット型部品について、以下の方法により焼入れ性および耐液体金属脆性の評価を行った。

0059

焼入れ性:ハット型部品から、断面を輪切りにしたサンプルを採取し、20mmピッチで10箇所のビッカース硬さ測定(荷重:5kgf)を行い、その最小値により評価した。
○:ビッカース硬さ≧400
×:ビッカース硬さ<400
耐液体金属脆性:ハット型部品の肩R部(外面側)より断面観察用のサンプルを採取し、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、母材に侵入しているクラックの最大深さを評価した。
○:最大クラック深さ=0mm(発生なし)
×:最大クラック深さ>0mm(発生あり)
焼入れ性および耐液体金属脆性の評価結果を表1に示す。

0060

0061

本発明の熱間プレス部材の製造方法により製造された鋼板No.1〜13は、焼入れ性および耐液体金属脆性に優れていることがわかる。また、本発明の熱間プレス用部材の製造方法により製造したハット型部品は全て980MPa以上の強度が得られた。

0062

下地鋼板として、表2に示す鋼板成分組成を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表2に示すAc3変態点を有する、板厚が1.6mmの冷延鋼板を用いた。この冷延鋼板の両面に、実施例1と同様にしてZn−Niめっきを施して、表3に示すNi含有率およびめっき付着量の鋼板No.20〜39を作製した。なお、鋼板No.35〜39では、Zn−Niめっきに先立ち、めっき層Iとして、実施例1と同様にしてNiめっきを施した。

0063

このようにして作製した鋼板No.20〜39について、実施例1同様に、ハット型部品を作製し、焼入れ性および耐液体金属脆性の評価を行った。

0064

焼入れ性および耐液体金属脆性の評価結果を表3に示す。

0065

0066

実施例

0067

本発明の熱間プレス部材の製造方法により製造された鋼板No.20〜39は、焼入れ性および耐液体金属脆性に優れていることがわかる。また、本発明の熱間プレス用部材の製造方法により製造したハット型部品は全て980MPa以上の強度が得られた。

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