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技術 複合化合物、リチウム含有複合酸化物、及びそれらの製造方法

出願人 住友化学株式会社
発明者 河里健田村昌彦
出願日 2014年4月18日 (6年8ヶ月経過) 出願番号 2015-513733
公開日 2017年2月23日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 WO2014-175191
状態 特許登録済
技術分野 重金属無機化合物(II) 電池の電極及び活物質
主要キーワード 球状性 簡易密閉 スクリュー管瓶 酸化ケイ素化合物 累積体積分布 塗工スラリー 炭化ケイ素化合物 累積カーブ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年2月23日)のものです。
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図面 (3)

課題・解決手段

製造時のプレス圧力が低くても高い電極密度を得ることができ、単位体積あたりの放電容量、及びレート特性に優れ、更にサイクル特性が非常に優れるリチウム含有複合酸化物の前駆体として有用な複合化合物などの提供。ニッケル及びマンガンを含有し、レーザー散乱粒度分布測定における体積基準累積90%径(D90)と体積基準累積10%径(D10)との比(D90/D10)が2.00以下であり、タップ密度が1.9g/cm3以上であり、平均円形度が0.960以上である複合化合物である。

概要

背景

リチウムイオン二次電池は、携帯電話ノート型パソコンなどの携帯型電子機器に広く用いられている。リチウムイオン二次電池用正極活物質には、LiCoO2、LiNiO2、LiNi0.8Co0.2O2、LiMn2O4などの、リチウム遷移金属等との複合酸化物(以下、「リチウム含有複合酸化物」と称することがある。)が用いられている。

近年、携帯型電子機器、車載用などに用いるリチウムイオン二次電池には、小型化及び軽量化、更には長期使用可能性が求められている。そのため、正極活物質には、単位体積あたりの放電容量、及び充放電サイクルを繰り返した後に放電容量が低下しない特性(以下、「サイクル特性」と称することがある。)の更なる向上と、安全性との両立が求められている。特に、サイクル特性が不十分であると、例えば、携帯型電子機器においては、1回の充電における使用可能時間が経時的に低下するため、携帯型電子機器の商品価値が低下してしまう。そのため、サイクル特性の向上が強く求められている。

単位体積あたりの放電容量は、単位質量あたりの放電容量と正極活物質の充填密度によって決まる。そのため、正極における正極活物質の充填密度(以下、「電極密度」と称することがある。)を向上させるために、正極活物質の粒径、及び粒度分布を制御することが検討されている。また、正極における正極活物質の充填密度を向上させるために、正極活物質粒子の形状を球状又は板状に制御することが検討されている。

特許文献1には、正極活物質の体積基準の粒度分布において、10μm以下の粒子の割合を26〜60体積%にすることで、プレス密度を向上させる技術が提案されている。しかし、この提案の技術では、正極活物質の平均粒径が大きいためリチウムの拡散が遅くなり、レート特性が低下する、また、微粒子の割合が増えるため安全性が低下するという問題がある。

特許文献2には、組成、及び粒径の異なる大小の正極活物質粒子を混合する技術が提案されている。しかし、この提案の技術では、2種類の正極活物質を個別に合成する工程、及びそれらを混合する工程が必要であり、製造工程が煩雑という問題がある。

特許文献3には、短軸粒子径長軸粒子径との比率(短軸粒子径/長軸粒子径)が0.5〜1.0の範囲である粒子を熱分解することにより、正極活物質における結晶子及び粒子の形状を立体的にほぼ等方的形状にする技術が提案されている。しかし、この提案の技術では、得られる粒子の球状性が十分ではなく、十分な充填密度が得られないという問題がある。

特許文献4には、正極活物質の粒子径と平均円形度との間に正の相関関係を有する粒子を含むことで充填性を向上させる技術が提案されている。しかし、この提案の技術では、平均円形度の高い粒子と平均円形度の低い粒子が混在するため、リチウムの脱挿入に伴う体積変化が等方的でなく、充放電を繰り返すと電極に亀裂が生じるなどサイクル特性に問題がある。更に、比表面積の大きな小粒子が存在することにより反応性が高まるために安全性に問題がある。

正極における正極活物質の充填密度を向上させる他の方法としては、例えば、正極を製造する際に高い圧力を加える方法が挙げられる。しかし、この方法では、高い圧力に耐える夫な製造設備が必要である。また、製造された正極が切れ易く、歩留まりの低下や、リチウムイオン二次電池に用いた際に安全性の低下という問題がある。

概要

製造時のプレス圧力が低くても高い電極密度を得ることができ、単位体積あたりの放電容量、及びレート特性に優れ、更にサイクル特性が非常に優れるリチウム含有複合酸化物の前駆体として有用な複合化合物などの提供。ニッケル及びマンガンを含有し、レーザー散乱粒度分布測定における体積基準累積90%径(D90)と体積基準累積10%径(D10)との比(D90/D10)が2.00以下であり、タップ密度が1.9g/cm3以上であり、平均円形度が0.960以上である複合化合物である。

目的

本発明は、正極活物質含有層を形成する際のプレス圧力が低くても、密度の高い電極を製造でき、単位体積あたりの放電容量、及びレート特性に優れ、更にサイクル特性が非常に優れるリチウム含有複合酸化物の前駆体として有用な複合化合物、及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
2件

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請求項1

ニッケル及びマンガンを含有し、レーザー散乱粒度分布測定における体積基準累積90%径(D90)と体積基準累積10%径(D10)との比(D90/D10)が2.00以下であり、タップ密度が1.9g/cm3以上であり、平均円形度が0.960以上であることを特徴とする複合化合物

請求項2

水酸化物である請求項1に記載の複合化合物。

請求項3

体積基準累積50%径(D50)が5.0〜13.0μmである請求項1または2に記載の複合化合物。

請求項4

更にコバルトを含有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合化合物。

請求項5

複合化合物におけるニッケルの含有量が、ニッケル、マンガン及びコバルトの合計に対して、44〜68mol%であり、マンガンの含有量が22〜44mol%であり、コバルトの含有量が4〜28mol%である請求項4に記載の複合化合物。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載の複合化合物の製造方法であって、ニッケル及びマンガンを含有する水溶液アルカリとを第1の反応容器に連続的に添加して核粒子析出して、前記核粒子を含有する核粒子含有液を得る核粒子含有液作製工程と、第1の反応容器内の核粒子含有液の一部を、第1の反応容器から第2の反応容器へ連続的に移す移動工程と、前記核粒子含有液が入った第2の反応容器に、ニッケル及びマンガンを含有する水溶液とアルカリとを連続的に添加して核粒子を成長させつつ、得られた反応液から一部の上澄み液を除去する粒子成長工程とを含むことを特徴とする複合化合物の製造方法。

請求項7

移動工程が、第1の反応容器からオーバーフローした核粒子含有液を、第2の反応容器へ移す工程である請求項6に記載の複合化合物の製造方法。

請求項8

リチウム化合物と、請求項1から5のいずれかに記載の複合化合物とを混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を焼成する焼成工程とを含むことを特徴とするリチウム含有複合酸化物の製造方法。

請求項9

リチウム含有複合酸化物が、下記一般式(1)で表される化合物である請求項8に記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。LiaNixMnyCozMebOcFd・・・一般式(1)ただし、前記一般式(1)において、1.02≦a≦1.12、0<x≦1.0、0<y≦1.0、0≦z≦1.0、0≦b≦0.3、0.90≦x+y+z+b≦1.05、1.9≦c≦2.1、及び0≦d≦0.03であり、Meは、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種である。

請求項10

請求項8または9に記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法により得られることを特徴とするリチウム含有複合酸化物。

請求項11

タップ密度が1.9g/cm3〜3.0g/cm3であり、平均円形度が0.950以上である請求項10に記載のリチウム含有複合酸化物。

請求項12

請求項10または11に記載のリチウム含有複合酸化物と、バインダーと、導電材と、溶媒とを含有する塗布液を、正極集電体上に塗布して、リチウム含有複合酸化物と、バインダーと、導電材とを含有する正極活物質含有層を形成することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。

請求項13

正極活物質含有層に1t/cm以下の圧力を加える加圧工程を含む請求項12に記載のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。

請求項14

正極を作製する正極作製工程と、前記正極と、セパレータと、負極とを積層して積層物を作製する積層物作製工程と、前記積層物に非水電解質を含有させる非水電解質付与工程とを含み、前記正極作製工程が、請求項12または13に記載のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法であることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、リチウム含有複合酸化物の前駆体として有用な複合化合物、及びその製造方法、リチウム含有複合酸化物、及びその製造方法、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池の製造方法に関する。

背景技術

0002

リチウムイオン二次電池は、携帯電話ノート型パソコンなどの携帯型電子機器に広く用いられている。リチウムイオン二次電池用正極活物質には、LiCoO2、LiNiO2、LiNi0.8Co0.2O2、LiMn2O4などの、リチウム遷移金属等との複合酸化物(以下、「リチウム含有複合酸化物」と称することがある。)が用いられている。

0003

近年、携帯型電子機器、車載用などに用いるリチウムイオン二次電池には、小型化及び軽量化、更には長期使用可能性が求められている。そのため、正極活物質には、単位体積あたりの放電容量、及び充放電サイクルを繰り返した後に放電容量が低下しない特性(以下、「サイクル特性」と称することがある。)の更なる向上と、安全性との両立が求められている。特に、サイクル特性が不十分であると、例えば、携帯型電子機器においては、1回の充電における使用可能時間が経時的に低下するため、携帯型電子機器の商品価値が低下してしまう。そのため、サイクル特性の向上が強く求められている。

0004

単位体積あたりの放電容量は、単位質量あたりの放電容量と正極活物質の充填密度によって決まる。そのため、正極における正極活物質の充填密度(以下、「電極密度」と称することがある。)を向上させるために、正極活物質の粒径、及び粒度分布を制御することが検討されている。また、正極における正極活物質の充填密度を向上させるために、正極活物質粒子の形状を球状又は板状に制御することが検討されている。

0005

特許文献1には、正極活物質の体積基準の粒度分布において、10μm以下の粒子の割合を26〜60体積%にすることで、プレス密度を向上させる技術が提案されている。しかし、この提案の技術では、正極活物質の平均粒径が大きいためリチウムの拡散が遅くなり、レート特性が低下する、また、微粒子の割合が増えるため安全性が低下するという問題がある。

0006

特許文献2には、組成、及び粒径の異なる大小の正極活物質粒子を混合する技術が提案されている。しかし、この提案の技術では、2種類の正極活物質を個別に合成する工程、及びそれらを混合する工程が必要であり、製造工程が煩雑という問題がある。

0007

特許文献3には、短軸粒子径長軸粒子径との比率(短軸粒子径/長軸粒子径)が0.5〜1.0の範囲である粒子を熱分解することにより、正極活物質における結晶子及び粒子の形状を立体的にほぼ等方的形状にする技術が提案されている。しかし、この提案の技術では、得られる粒子の球状性が十分ではなく、十分な充填密度が得られないという問題がある。

0008

特許文献4には、正極活物質の粒子径と平均円形度との間に正の相関関係を有する粒子を含むことで充填性を向上させる技術が提案されている。しかし、この提案の技術では、平均円形度の高い粒子と平均円形度の低い粒子が混在するため、リチウムの脱挿入に伴う体積変化が等方的でなく、充放電を繰り返すと電極に亀裂が生じるなどサイクル特性に問題がある。更に、比表面積の大きな小粒子が存在することにより反応性が高まるために安全性に問題がある。

0009

正極における正極活物質の充填密度を向上させる他の方法としては、例えば、正極を製造する際に高い圧力を加える方法が挙げられる。しかし、この方法では、高い圧力に耐える夫な製造設備が必要である。また、製造された正極が切れ易く、歩留まりの低下や、リチウムイオン二次電池に用いた際に安全性の低下という問題がある。

先行技術

0010

日本特開2012−121805号公報
日本特開2012−74246号公報
日本特開2003−346809号公報
日本特開2009−283353号公報

発明が解決しようとする課題

0011

本発明は、正極活物質含有層を形成する際のプレス圧力が低くても、密度の高い電極を製造でき、単位体積あたりの放電容量、及びレート特性に優れ、更にサイクル特性が非常に優れるリチウム含有複合酸化物の前駆体として有用な複合化合物、及びその製造方法を提供することを課題とする。また本発明は、前記複合化合物を用いたリチウム含有複合酸化物、及びその製造方法を提供することを課題とする。さらに本発明は、前記リチウム含有複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池用正極の製造方法、並びに前記正極を用いたリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、リチウム含有複合酸化物の形状、及び粒度分布は、リチウム含有複合酸化物の前駆体である複合化合物の形状、及び粒度分布に大きく影響を受けることを見出した。
本発明は、以下の構成を有する複合化合物、及びその製造方法、リチウム含有複合酸化物、及びその製造方法、リチウムイオン二次電池用正極の製造方法、並びにリチウムイオン二次電池の製造方法を提供する。

0013

[1]ニッケル及びマンガンを含有し、レーザー散乱粒度分布測定における体積基準累積90%径(D90)と体積基準累積10%径(D10)との比(D90/D10)が2.00以下であり、タップ密度が1.9g/cm3以上であり、平均円形度が0.960以上であることを特徴とする複合化合物。
[2]水酸化物である上記[1]に記載の複合化合物。
[3] 体積基準累積50%径(D50)が5.0〜13.0μmである上記[1]または[2]に記載の複合化合物。
[4] 更にコバルトを含有する上記[1]〜[3]のいずれかに記載の複合化合物。
[5] 複合化合物におけるニッケルの含有量が、ニッケル、マンガン及びコバルトの合計に対して、44〜68mol%であり、マンガンの含有量が22〜44mol%であり、コバルトの含有量が4〜28mol%である上記[4]に記載の複合化合物。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の複合化合物の製造方法であって、
ニッケル及びマンガンを含有する水溶液アルカリとを第1の反応容器に連続的に添加して核粒子析出して、前記核粒子を含有する核粒子含有液を得る核粒子含有液作製工程と、
第1の反応容器内の前記核粒子含有液の一部を、第1の反応容器から第2の反応容器へ連続的に移す移動工程と、
前記核粒子含有液が入った第2の反応容器に、ニッケル及びマンガンを含有する水溶液とアルカリとを連続的に添加して核粒子を成長させつつ、得られた反応液から一部の水を除去する粒子成長工程とを含むことを特徴とする複合化合物の製造方法。
[7] 移動工程が、第1の反応容器からオーバーフローした核粒子含有液を、第2の反応容器へ移す工程である上記[6]に記載の複合化合物の製造方法。
[8]リチウム化合物と、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の複合化合物とを混合して混合物を得る混合工程と、
前記混合物を焼成する焼成工程とを含むことを特徴とするリチウム含有複合酸化物の製造方法。
[9] リチウム含有複合酸化物が、下記一般式(1)で表される化合物である上記[8]に記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法。
LiaNixMnyCozMebOcFd ・・・一般式(1)
ただし、前記一般式(1)において、1.02≦a≦1.12、0<x≦1.0、0<y≦1.0、0≦z≦1.0、0≦b≦0.3、0.90≦x+y+z+b≦1.05、1.9≦c≦2.1、及び0≦d≦0.03であり、Meは、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種である。
[10] 上記[8]または[9]に記載のリチウム含有複合酸化物の製造方法により得られることを特徴とするリチウム含有複合酸化物。
[11] タップ密度が1.9g/cm3〜3.0g/cm3であり、平均円形度が0.950以上である上記[10]に記載のリチウム含有複合酸化物。
[12] 上記[10]または[11]に記載のリチウム含有複合酸化物と、バインダーと、導電材と、溶媒とを含有する塗布液を、正極集電体上に塗布して、リチウム含有複合酸化物と、バインダーと、導電材とを含有する正極活物質含有層を形成することを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
[13] 正極活物質含有層に1t/cm以下の圧力を加える加圧工程を含む上記[12]に記載のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法。
[14] 正極を作製する正極作製工程と、
前記正極と、セパレータと、負極とを積層して積層物を作製する積層物作製工程と、
前記積層物に非水電解質を含有させる非水電解質付与工程とを含み、
前記正極作製工程が、上記[12]または[13]に記載のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法であることを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。

発明の効果

0014

本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、正極活物質含有層を形成する際のプレス圧力が低くても、密度の高い電極を製造でき、単位体積あたりの放電容量、及びレート特性に優れ、更にサイクル特性が非常に優れるリチウム含有複合酸化物の前駆体として有用な複合化合物、及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によると、前記複合化合物を用いたリチウム含有複合酸化物、及びその製造方法を提供することができる。さらに本発明によると、前記リチウム含有複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池用正極の製造方法、並びに前記正極を用いたリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、実施例1及び比較例1の複合化合物の体積粒度分布曲線である。
図2は、実施例1〜5、及び比較例1〜6における複合化合物のタップ密度と、リチウム含有複合酸化物のタップ密度との関係を示すグラフである。

0016

本明細書において、「前駆体」とは、後述するリチウム化合物と混合、焼成することでリチウム含有複合酸化物を得ることができる化合物をいう。
(複合化合物)
本発明の複合化合物(以下、本複合化合物という)は、ニッケル(Ni)とマンガン(Mn)とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
本複合化合物は、レーザー散乱粒度分布測定における体積基準累積90%径(D90)と体積基準累積10%径(D10)との比(D90/D10)が2.00以下であり、タップ密度が1.9g/cm3以上であり、平均円形度が0.960以上である。
なお、本複合化合物は、リチウム含有複合酸化物の前駆体であって、リチウムを含有しない化合物である。
本複合化合物におけるNiとMnのモル比(Ni/Mn)は、1.5〜3.0であることが好ましく、1.65〜2.05であることがさらに好ましい。

0017

本複合化合物は、レート特性向上のために、更にコバルト(Co)を含有することが好ましい。
本複合化合物において、Niの量が多いほど、これを使用して得られるリチウム含有複合酸化物の容量を大きくできるが、安全性が低下する。そのため、本複合化合物のNi、MnおよびCoの合計に対して、Niの含有量は、44〜68mol%が好ましく、48〜58mol%がより好ましい。
本複合化合物において、Mnは充放電容量に寄与せず、層状構造維持するためである。そのため、本複合化合物のNi、MnおよびCoの合計に対して、Mnの含有量は、22〜44mol%が好ましく、26〜36mol%がより好ましい。
本複合化合物において、Coが少量存在すると、これを使用して得られるリチウム含有複合酸化物のレート特性が向上する。そのため、本複合化合物のNi、MnおよびCoの合計に対して、Coの含有量は、4〜28mol%が好ましく、16〜24mol%がより好ましい。

0018

複合化合物におけるNi、Mn及びCoの含有量は、例えば、複合化合物を酸に溶解し、得られた液をICP(高周波誘導結合プラズマ)測定することにより測定できる。
本複合酸化物に含まれるその他の成分は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)、およびジルコニウム(Zr)からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
本複合化合物は、炭酸塩酢酸塩、水酸化物、オキシ水酸化物、およびそれらの混合物であることが挙げられる。本複合化合物は、タップ密度を高くできることから、水酸化物であることが好ましい。

0019

本複合化合物としては、Mn0.5Ni0.5(OH)2、Ni0.5Co0.2Mn0.3(OH)2、Ni0.6Co0.2Mn0.2(OH)2などが挙げられる。
本複合化合物の(D90/D10)は、2.00以下であり、1.70〜1.98が好ましく、1.80〜1.95がより好ましい。本複合化合物の(D90/D10)は、2.00以下であるため、本複合化合物を使用して得られるリチウム含有複合酸化物はサイクル特性に優れる。(D90/D10)が、前記した好ましい範囲内であれば、電極密度を大きくできるため有利である。
本複合化合物のレーザー散乱粒度分布測定における体積基準累積50%径(D50)は、レート特性の点から、5.0〜13.0μmが好ましく、6.0〜12.0μmがより好ましく、7.0〜10.0μmが特に好ましい。

0020

ここで、D10、D50、及びD90は、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、その累積カーブが小粒径側から、それぞれ10%、50%、及び90%となる点の粒子径である。
D10、D50、及びD90は、例えば、レーザー散乱粒度分布測定装置で測定した頻度分布及び累積体積分布曲線を用いて求めることができる。測定は、粉末水媒体中超音波処理などで十分に分散して行う。前記装置としては、例えば、日機装社製レーザー回折散乱粒子径分布測定装置(装置名;MT−3300EX)、堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置Partica LA−950VII、日機装社製のマイクロトラックHRA(X−100)などが挙げられる。

0021

本複合化合物のタップ密度は、1.9g/cm3以上であり、1.9〜2.8g/cm3が好ましく、2.0〜2.4g/cm3がより好ましく、2.0〜2.2g/cm3が特に好ましい。本複合化合物はタップ密度が、1.9g/cm3以上であるため、本複合酸化物を使用して得られるリチウム含有複合酸化物はサイクル特性に優れる。タップ密度が、前記した好ましい範囲内であると、電極密度を大きくできるため有利である。
タップ密度は、容器充填した試料の質量を、所定回数タッピングした後の試料の体積で割ることで求めることができる。タップ密度は、例えば、700回タッピングして求める。タップ密度は、例えば、セイシン企業社製のタップデンサー KYT−4000を用いて測定できる。

0022

本複合化合物の平均円形度は、0.960以上であり、0.960〜0.990が好ましく、0.960〜0.980がより好ましい。本複合化合物は、平均円形度が、0.960以上であるため、本複合化合物を使用して得られるリチウム含有複合酸化物はサイクル特性に優れる。平均円形度が、前記した好ましい範囲内であると、電極密度を大きくできるため有利である。
円形度は、粒子を撮影し、撮影粒子投影面積相当円の周囲長を撮影粒子像の周囲長で割って求められる。前記平均円形度は、撮影した粒子の円形度の平均値である。平均円形度の測定は、例えば、粒子を水媒体中に超音波処理などで十分に分散させてフローセルを通過する粒子にストロボ光照射することで粒子を静止画像として撮影して画像解析することにより行われる。前記平均円形度は、例えば、フロー式粒子像分析装置(Malvern社製、FPIA−3000)を用いて得られた粒子画像解析することで求められる。

0023

本複合化合物の比表面積は、3.0〜12.0m2/gが好ましく、4.0〜10.0m2/gがより好ましく、5.0〜8.0m2/gが特に好ましい。比表面積が、3.0m2/g以上であれば、質量当りの容量に優れ、12.0m2/g以下であれば、電極密度を大きくすることができる。比表面積が、前記したより好ましい範囲内であると、レート特性に優れる点で有利である。
比表面積は、例えば、窒素ガスを用いたBET法により測定できる。

0024

(複合化合物の製造方法)
本発明の複合化合物の製造方法(以下、本製造方法という)は、核粒子含有液作製工程と、移動工程と、粒子成長工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。

0025

<核粒子含有液作製工程>
核粒子含有液作製工程は、Ni及びMnを含有する水溶液(以下、水溶液(1)という)とアルカリとを第1の反応容器に連続的に添加して核粒子を析出して、前記核粒子を含有する核粒子含有液を得る工程である。
核粒子含有液作製工程において、Ni、Mn、及びCoはそれぞれpHを変えた場合の溶解度が異なるため核粒子を析出させる際に偏析する可能性がある。核粒子含有液作製工程では、溶解度の異なる複数の金属元素を均一に析出させるために、金属イオンを安定化させる錯形成剤を連続的に添加することが好ましい。
水溶液(1)とアルカリとを第1の反応容器に連続的に添加する方法としては、滴下や、反応溶液中に挿入した配管から圧送する方法などが挙げられる。

0026

水溶液(1)は、更に、Coを含有する水溶液であることが好ましい。
水溶液(1)は、ニッケル化合物及びマンガン化合物と、好ましくはコバルト化合物とを水性媒体に溶解させることにより得ることができる。水性媒体としては、水のみ、又は水に加えて水以外の成分を含んでいてもよい。水以外の成分としては、メタノールエタノール1−プロパノール2−プロパノールポリオール等が挙げられる。ポリオールとしては、例えば、エチレングリコールプロピレングリコールジエチレングリコールジプロピレングリコールポリエチレングリコールブタンジオールグリセリン等が挙げられる。

0027

水以外の成分は、水性媒体に対して20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましく、含まないことが最も好ましい。水以外の成分の割合が少なければ、環境面、取扱い性、及びコストの点で優れている。
ニッケル化合物、マンガン化合物及びコバルト化合物としては、各元素を含む無機塩酸化物、水酸化物、有機化合物などが挙げられる。無機塩としては、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩が挙げられる。酸化物としては、NiO、Mn3O4、Mn2O3、MnO2、CoO、Co2O3、Co3O4などが挙げられる。水酸化物としては、Ni(OH)2、Mn(OH)2、Co(OH)2などが挙げられる。有機化合物としては、脂肪酸ニッケル、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン、Co(OAc)2などが挙げられる。これらの中でも、溶解性が高く、設備に対する腐食性が低いことから、硫酸塩が好ましい。

0028

ニッケル化合物、マンガン化合物及びコバルト化合物は、それぞれ同一種の化合物であってもよく、異種の化合物であってもよい。
水溶液(1)におけるニッケル化合物の含有量としては、1.0〜4.0mol/Lが好ましく、1.5〜3.5mol/Lがより好ましく、2.0〜3.0mol/Lが特に好ましい。

0029

水溶液(1)におけるマンガン化合物の含有量としては、0.3〜2.0mol/Lが好ましく、0.5〜1.5mol/Lがより好ましく、0.7〜1.3mol/Lが特に好ましい。

0030

水溶液(1)がCoを含有する場合、水溶液(1)におけるコバルト化合物の含有量としては、0.5〜3.0mol/Lが好ましく、1.0〜2.5mol/Lがより好ましく、1.2〜2.0mol/Lが特に好ましい。

0031

水溶液(1)を第1の反応容器に連続的に添加する際の添加量としては、0.1〜3.0L/時間が好ましく、0.5〜2.0L/時間がより好ましく、1.0〜1.5L/時間が特に好ましい。

0032

アルカリとしては、アルカリ金属元素を含有する水酸化物または炭酸塩が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム水酸化リチウム水酸化カリウム炭酸ナトリウム炭酸カリウム炭酸リチウムなどが挙げられる。アルカリは、水溶液の状態で用いること、即ちアルカリ水溶液として用いることが好ましい。
アルカリ水溶液の濃度としては、1〜12mol/kgが好ましく、6〜12mol/kgがより好ましい。

0033

アルカリを前記第1の反応容器に連続的に添加する際の添加量としては、アルカリ水溶液として、0.01〜0.5L/時間が好ましく、0.02〜0.1L/時間がより好ましい。

0034

錯形成剤としては、Ni、Mnと錯体を形成するものであればよく、アンモニア硫酸アンモニウム重炭酸アンモニウム炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。Ni、Co、Mn及び前記その他の成分の合計量に対する錯形成剤の量(モル比)は、粒子内の金属の偏析が抑えられるため、0.01〜10が好ましく、0.1〜1がより好ましい。

0035

核粒子含有液作製工程は、第1の反応容器内のpHを11.0〜13.5に保持して行うことが好ましく、12.0〜13.0に保持して行うことがより好ましい。反応容器内のpHが、11.0〜13.5に保持されていれば、水溶液(1)とアルカリとの接触が素早く起こり、核粒子の生成が支配的になり好ましい。核粒子としては、水酸化物であることが好ましい。

0036

核粒子含有液作製工程は、第1の反応容器内の温度を45〜70℃にして行うことが好ましい。

0037

核粒子含有液作製工程においては、水溶液(1)とアルカリとを第1の反応容器に連続的に添加する前に、第1の反応容器内に水を入れておいてもよい。水としては、イオン交換水などが挙げられる。

0038

<移動工程>
移動工程は、第1の反応容器内の核粒子含有液の一部を、第1の反応容器から第2の反応容器へ連続的に移す工程である。移動工程の具体的な方法としては、第1の反応容器からオーバーフローした核粒子含有液を第2の反応容器へ移す方法、第1の反応容器上部に配管を設け、前記配管を介して、核粒子含有液を第2の反応容器へ移す方法などが挙げられる。これらの中でも、第1の反応容器からオーバーフローした核粒子含有液を第2の反応容器へ移す方法が簡便であるため好ましい。

0039

<粒子成長工程>
粒子成長工程は、核粒子含有液が入った第2の反応容器に、Ni及びMnを含有する水溶液(以下、水溶液(2)という)とアルカリとを連続的に添加して核粒子を成長させつつ、得られた反応液から一部の上澄み液を除去する工程である。粒子成長工程においても、核粒子含有液作製工程と同様の理由から、更に錯形成剤を連続的に添加することが好ましい。

0040

水溶液(2)としては、核粒子含有液作製工程で用いた水溶液(1)と同様の水溶液でもよい。連続的に添加する方法及び添加量は同様である。

0041

アルカリとしては、核粒子含有液作製工程で用いたアルカリと同様であり、連続的に添加する方法及び添加量も同様である。

0042

錯形成剤としては、核粒子含有液作製工程で用いた錯形成剤と同様である。

0043

水溶液(2)とアルカリとを、第2の反応容器に連続的に添加することで、前記核粒子が成長する。

0044

粒子成長工程では、核粒子を成長させつつ、得られた反応液から一部の水を除去する。水の除去方法としては、例えば、濾過などが挙げられる。

0045

粒子成長工程は、第2の反応容器内のpHを9.0〜11.5に保持して行うことが好ましく、9.5〜10.5に保持して行うことがより好ましい。反応容器内のpHが、9.0〜11.5に保持されていれば、粒子成長反応が進行しやすく好ましい。

0046

粒子成長工程は、第2の反応容器内の温度を20〜40℃にして行うことが好ましい。
粒子成長工程における反応時間は、特に制限はなく、目的とする粒子の大きさに応じて適宜選択することができる。

0047

複合化合物の製造方法において、核粒子含有液作製工程では、形成された核粒子の成長は抑制しておき、核粒子同士の結合を抑制するために、核粒子含有液の固形分濃度を核粒子同士の結合が抑制できる程度に維持する。
粒子成長工程では、反応液から上澄み液を一部除くことにより反応液の固形分濃度を徐々に高くすることで粒子の平均円形度を高め、粒子サイズが均一でシャープな粒度分布を有する、本発明の複合化合物の粒子を得ることができる。

0048

(リチウム含有複合酸化物、及びリチウム含有複合酸化物の製造方法)
本発明のリチウム含有複合酸化物の製造方法は、混合工程と、焼成工程とを少なくとも含む。
本発明のリチウム含有複合酸化物は、本発明のリチウム含有複合酸化物の製造方法により得られる。
リチウム含有複合酸化物とは、リチウムイオン二次電池の正極活物質として用いることができる複合酸化物である。

0049

本発明のリチウム含有複合酸化物の製造方法で得られるリチウム含有複合酸化物は、本複合化合物を用いて製造される。本複合化合物は、タップ密度が大きく、かつ、粒子の平均円形度が高いため、リチウム含有複合酸化物はタップ密度と平均円形度がともに高い。その結果、該リチウム含有複合酸化物を含む塗工スラリーは粘度が低い。そのため、取り扱いが容易で、かつスラリー中の固形分濃度を高くすることができる。更に、集電体基板上に塗布成形された電極密度が大きく、単位体積当たりの容量が大きい電池を作製することができる。更に、平均円形度が高く、粒子サイズが揃っていることから、充放電時の電極の膨張収縮が等方的であるので、導電パスの切断、及び集電体からの剥離が生じ難く、安全性に優れるとともに、サイクル特性が非常に優れる。

0050

<混合工程>
混合工程は、リチウム化合物と、本複合化合物とを混合して混合物を得る工程である。

0051

リチウム化合物は、リチウム含有複合酸化物のリチウム源となり、水酸化リチウム、炭酸リチウム、硝酸リチウム等を使用できる。
混合工程で使用するリチウム化合物は、前記リチウム含有複合酸化物とは異なる化合物である。

0052

混合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
混合における前記リチウム化合物の量は、複合化合物に含まれるNi、MnおよびCoの合計に対して、リチウム化合物に含まれるリチウム(Li)のモル比(Li/Ni+Mn+Co)が1.02〜1.12となる量が好ましく、1.03〜1.07となる量がより好ましい。

0053

<焼成工程>
焼成工程は、前記混合物を焼成する工程である。
焼成温度は、870〜970℃が好ましく、890〜940℃がより好ましい。
焼成雰囲気は、酸素含有雰囲気が好ましい。酸素含有雰囲気としては、例えば、大気雰囲気などが挙げられる。

0054

<リチウム含有複合酸化物>
リチウム含有複合酸化物は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
LiaNixMnyCozMebOcFd ・・・一般式(1)
ただし、前記一般式(1)において、1.02≦a≦1.12、0<x≦1.0、0<y≦1.0、0≦z≦1.0、0≦b≦0.3、0.90≦x+y+z+b≦1.05、1.9≦c≦2.1、及び0≦d≦0.03であり、Meは、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、及びZrからなる群から選ばれる少なくとも一種である。

0055

リチウム含有複合酸化物としては、LiMn0.5Ni0.5O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、Li1.02Ni0.49Co0.196Mn0.294O2、Li1.04Ni0.480Co0.192Mn0.288O2、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O1.99F0.01などが挙げられる。

0056

リチウム含有複合酸化物における金属元素の種類及び割合は、例えば、前記複合化合物と同様に、ICP測定することにより測定できる。

0057

リチウム含有複合酸化物のレーザー散乱粒度分布測定における体積基準累積50%径(D50)は、5〜20μmが好ましく、6〜13μmがより好ましく、7〜10μmが特に好ましい。D50が、5μm以上であれば、電極密度が充分に高く、20μm以下であれば、充放電効率やレート特性に優れる点で有利である。

0058

リチウム含有複合酸化物のレーザー散乱粒度分布測定における体積基準累積90%径(D90)と体積基準累積10%径(D10)との比(D90/D10)は、2.10以下が好ましく、2.00以下がより好ましい。リチウム含有複合酸化物の(D90/D10)が、2.10以下であれば、タップ密度が向上し、充填性が向上する点で有利である。

0059

リチウム含有複合酸化物のタップ密度は、1.9〜3.0g/cm3が好ましく、2.0〜2.7g/cm3がより好ましい。タップ密度が、1.9g/cm3以上であれば、電極密度が充分に高く、3.0g/cm3以下であれば、粒子内部まで電解液浸透しやすく、レート特性などの電池特性が向上する点で有利である。

0060

リチウム含有複合酸化物の平均円形度は、0.950以上が好ましく、0.960以上がより好ましい。平均円形度が、0.950以上であれば、タップ密度に優れ、充填性、電極の膨張収縮が等方的である点で有利である。

0061

リチウム含有複合酸化物の比表面積は、0.10〜10m2/gが好ましく、0.20〜1.0m2/gがより好ましい。比表面積が、好ましい範囲内であれば、放電容量が高く、かつ緻密な正極活物質含有層が得られ、サイクル特性が優れる点で有利である。

0062

リチウム含有複合酸化物の残存アルカリ量は、1.50mol%以下が好ましく、1.30mol%以下がより好ましい。残存アルカリ量が、1.50mol%以下であれば、電極塗工時にスラリーのゲル化が抑制できる点で有利である。
残存アルカリ量は、リチウム含有複合酸化物を水中に分散させた際に、リチウム含有複合酸化物中のLi1モルあたりから、水中に溶出するアルカリ量百分率で表した値(モル%)である。

0063

(リチウムイオン二次電池用正極の製造方法)
本発明のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法は、正極活物質含有層形成工程を少なくとも含み、好ましくは加圧工程を含む。

0064

<正極活物質含有層形成工程>
正極活物質含有層形成工程は、リチウム含有複合酸化物と、バインダーと、導電材とを含有する正極活物質含有層を形成する工程である。具体的には、リチウム含有複合酸化物と、バインダーと、導電材と、溶媒とを含有する塗布液を、正極集電体上に塗布する方法が挙げられる。

0065

バインダーとしては、フッ素系樹脂ポリオレフィン不飽和結合を有する重合体及び共重合体アクリル酸系重合体及び共重合体などが挙げられる。フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニリデンポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレンポリプロピレンなどが挙げられる。不飽和結合を有する重合体としては、スチレンブタジエンゴムイソプレンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられる。アクリル酸系重合体としては、アクリル酸重合体メタクリル酸重合体などが挙げられる。

0066

導電材としては、カーボンブラック黒鉛カーボンファイバーなどが挙げられる。前記カーボンブラックとしては、アセチレンブラックケッチェンブラックなどが挙げられる。

0067

塗布液中の溶媒としては、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。

0068

正極集電体の材質としては、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、ニッケルなどが挙げられる。

0069

塗布方法としては、ドクターブレード塗工などが挙げられる。

0070

正極活物質含有層の厚みは、20〜80μmが好ましく、30〜50μmがより好ましい。

0071

<加圧工程>
加圧工程は、正極活物質含有層形成工程において、正極集電体上に形成された正極活物質含有層をロールプレス機等により加圧する工程である。加圧圧力は、1t(トン)/cm以下が好ましく、0.5t/cm以下がより好ましい。加圧圧力は、0.1t/cm以上が好ましい。

0072

本発明のリチウム含有複合酸化物は、正極の製造において加圧圧力が低くても電極密度が高い正極活物質含有層が得られる。加圧圧力が低いため、高い圧力に耐えうる丈夫な製造設備は不要である。また、加圧圧力が低いことで、正極を製造する際の正極の破損による歩留まり低下が抑制でき、更にはリチウムイオン二次電池に用いる際の安全性の低下を抑制することができると考えられる。

0073

(リチウムイオン二次電池の製造方法)
本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法は、正極作製工程と、積層物作製工程と、非水電解質付与工程とを少なくとも含む。

0074

<正極作製工程>
正極作製工程は、正極を作製する工程であり、本発明のリチウムイオン二次電池用正極の製造方法である。

0075

<積層物作製工程>
積層物作製工程は、前記正極と、セパレータと、負極とを積層して積層物を作製する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

0076

セパレータの材質としては、紙、セロハン、ポリオレフィン不織布、ポリアミド不織布、ガラス繊維不織布、多孔質ポリプロピレンなどが挙げられる。紙としては、クラフト紙、ビニロン混抄紙合成パルプ混抄紙などが挙げられる。
セパレータの形状としては、シート状である。セパレータの構造は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。

0077

負極は、負極集電体と、負極活物質含有層とを少なくとも含有する。

0078

負極極集電体の材質としては、ニッケル、銅、ステンレス鋼などが挙げられる。

0079

負極活物質含有層は、負極活物質を少なくとも含有する。更に必要に応じてバインダーを含有する。

0080

負極活物質としては、リチウムイオン吸蔵、及び放出可能な材料であればよく、リチウム金属リチウム合金、リチウム化合物、炭素材料炭化ケイ素化合物酸化ケイ素化合物硫化チタン炭化ホウ素化合物、若しくはケイ素、スズ、またはコバルトを主体とする合金などが挙げられる。

0081

炭素材料としては、難黒鉛化性炭素人造黒鉛天然黒鉛熱分解炭素類、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体炭素繊維活性炭カーボンブラック類などが挙げられる。前記コークス類としては、ピッチコークスニードルコークス石油コークスなどが挙げられる。有機高分子化合物焼成体としては、フェノール樹脂フラン樹脂などを適当な温度で焼成し炭素化したものが挙げられる。

0082

その他に、比較的低い電位でリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料であれば、例えば、酸化鉄酸化ルテニウム酸化モリブデン酸化タングステン酸化チタン酸化スズ、Li2.6Co0.4Nなども前記負極活物質として用いることができる。
バインダーとしては、正極活物質含有層形成工程で用いたバインダーと同様である。

0083

負極活物質含有層の形成方法としては、負極活物質とバインダーと溶媒とを混合することによってスラリーを調製し、調製したスラリーを負極集電体上に塗布し、続いて乾燥した後に、プレスする方法などが挙げられる。

0084

<非水電解質付与工程>
非水電解質付与工程としては、前記積層物に非水電解質を含有させる工程であればよく、積層物に非水電解質を注入する方法、非水電解質に積層物を浸漬する方法などが挙げられ
る。

0085

非水電解質としては、非水電解液無機固体電解質電解質塩を混合又は溶解させた固体状又はゲル状の高分子電解質などが挙げられる。

0086

非水電解液としては、有機溶媒と電解質塩とを適宜組み合わせて調製したものが挙げられる。
有機溶媒としては、環状カーボネート鎖状カーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンジグライムトリグライムγ−ブチロラクトンジエチルエーテルスルホランメチルスルホランアセトニトリル酢酸エステル酪酸エステルプロピオン酸エステルなどが挙げられる。環状カーボネートとしては、プロピレンカーボネートエチレンカーボネートなどが挙げられる。鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネートジメチルカーボネートなどが挙げられる。これらの中でも、電圧定性の点から、環状カーボネート、鎖状カーボネートが好ましく、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水電解液に含まれる電解質塩としては、LiClO4、LiPF6、LiBF4、CF3SO3Li、LiCl、LiBrなどが挙げられる。

0087

無機固体電解質としては、窒化リチウムヨウ化リチウムなどが挙げられる。
電解質塩を混合又は溶解させた固体状の高分子電解質に用いられる高分子化合物としては、ポリエチレンオキサイドポリプロピレンオキサイドポリホスファゼンポリアジリジン、ポリエチレンスルフィドポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、及びこれらの誘導体、混合物、並びに複合体などが挙げられる。

0088

電解質塩を混合又は溶解させたゲル状の高分子電解質に用いられる高分子化合物としては、フッ素系高分子化合物ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルの共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドの共重合体などが挙げられる。フッ素系高分子化合物としては、ポリ(ビニリデンフルオロライド)、ポリ(ビニリデンフルオロライド−co−ヘキサフルオロプロピレン)などが挙げられる。
ゲル状電解質マトリックスとしては、酸化還元反応に対する安定性の観点から、フッ素系高分子化合物が好ましい。

0089

以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。

0090

粒度分布測定
複合化合物又はリチウム含有複合酸化物を、水中に超音波を用いて分散させ、日機装社製レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名;MT−3300EX)により測定を行い、頻度分布及び累積体積分布曲線を得た。得られた累積体積分布曲線より、D10、D50、及びD90を算出し、D90/D10を求めた。

0091

<比表面積(SSA)>
複合化合物及びリチウム含有複合酸化物の比表面積(SSA)は、マウンテック社製比表面積測定装置(装置名;HM model−1208)によりBET(Brunauer Emmett Teller)法を用いて測定した。

0092

<タップ密度>
複合化合物及びリチウム含有複合酸化物のタップ密度は、セイシン企業社製タップ密度測定器(装置名;タップデンサー KYT−4000K)を用いて測定した。20mLのプラスチックタッピングセルに正極活物質を充填し、20mmのストロークで700回タッピングを行った後の容積からタップ密度を計算した。

0093

<残存(遊離)アルカリ量の測定方法
30mLのスクリュー管瓶にリチウム含有複合酸化物1gを量し、純水を50g投入し、スターラにて30分間撹拌した後に濾過した。平自動適定装置(日立ハイテク社製、COM−1750)を用いて、得られた濾液に対して、0.02モル/Lの塩酸終点pH4.0まで中和適定を行った。その後、滴定量から、正極活物質に含まれるLiの1モルあたりの水中への残存アルカリ量(mol%)を計算した。

0094

<平均円形度>
複合化合物及びリチウム含有複合酸化物の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(Malvern社製、FPIA−3000)を用いて測定した。

0095

(実施例1)
<複合化合物の製造>
硫酸ニッケル(硫酸ニッケル(II)六水和物和光純薬工業社製)、硫酸コバルト(硫酸コバルト(II)七水和物、和光純薬工業社製)、及び硫酸マンガン(硫酸マンガン(II)五水和物、和光純薬工業社製)をイオン交換水に溶解して得た溶液を濾過して、2.5mol/Lの硫酸ニッケルと1.0mol/Lの硫酸コバルトと1.5mol/Lの硫酸マンガンを含有する水溶液(1)を調製した。

0096

次いで、容量1Lの第1の反応槽にイオン交換水500gを入れ、窒素ガスでバブリングしながら60℃に保持しつつ400rpmで攪拌した。このイオン交換水中に、前記水溶液(1)を1.2L/時間で、かつ28質量%アンモニア水溶液を0.03L/時間で同時に連続的に供給しつつ、18mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にて反応槽内のpHが12.5を保つようにした。

0097

そして、前記第1の反応槽からオーバーフローにより、前記第1の反応槽内で得られた核粒子含有液を、第2の反応槽(容量:2L)に80%の容量になるまで貯蔵した。

0098

次に、第2の反応槽で核粒子含有液を窒素ガスでバブリングしながら30℃に保持しつつ400rpmで攪拌した。この溶液中に、前記水溶液(1)を1.2L/時間で、かつ28質量%アンモニア水溶液を0.03L/時間で同時に連続的に添加しつつ、18mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にて前記第2の反応槽内のpHが10を保つようにした。フィルターを通した吸引濾過により、反応液から上澄み液を抜きとり、反応系内の液量を調節し、30℃で72時間粒子成長した。その後、反応液を濾過し、次いで水洗して複合化合物を得た。

0099

更に、得られた複合化合物を120℃で12時間乾燥することにより複合化合物の粉末を得た。
得られた複合化合物の粉末の金属成分の組成は、Ni:Co:Mn=50.2:20.0:29.8(モル比)であった。
この複合化合物の粒度分布(D10、D50、D90、D90/D10)、比表面積、タップ密度、及び平均円形度を表1に示す。
図1に、この複合化合物の粒度分布を示す。

0100

<リチウム含有複合酸化物の製造>
前記複合化合物200.00gと、Li含量26.96mol/kgの炭酸リチウム(Li2CO3、SQM社製)83.67gとを混合し、大気雰囲気下で、910℃で8時間焼成して仕込み組成でLi1.014Ni0.495Co0.197Mn0.294O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。

0101

得られたリチウム含有複合酸化物粉末の粒度分布(D10、D50、D90、D90/D10)、比表面積、タップ密度、及び平均円形度を表2に示す。

0102

(実施例2)
<リチウム含有複合酸化物の製造>
実施例1に記載の方法と同様にして得られた複合化合物200.00gと、Li含量26.96mol/kgの炭酸リチウム(Li2CO3、SQM社製)83.59gと、フッ化リチウム(LiF、和光純薬工業社製)0.06gとを混合し、大気雰囲気下にて、910℃で8時間焼成した以外は、実施例1同様にして、仕込み組成Li1.014Ni0.495Co0.197Mn0.294O1.999F0.001のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られたリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表2に示す。

0103

(実施例3)
<複合化合物の製造>
実施例1において、第2の反応槽における粒子成長工程の条件を、30℃で96時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、複合化合物を得た。
得られた複合化合物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表1に示す。

0104

<リチウム含有複合酸化物の製造>
実施例1において、上記で得られた複合化合物を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、Li1.014Ni0.491Co0.198Mn0.297O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られたリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表2に示す。

0105

(実施例4)
<複合化合物の製造>
実施例1において、第2の反応槽における粒子成長工程の条件を、30℃で120時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、複合化合物を得た。
得られた複合化合物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表1に示す。

0106

<リチウム含有複合酸化物の製造>
得られた複合化合物200gと、Li含量26.96mol/kgの炭酸リチウム(Li2CO3、SQM社製)83.92gと、酸化ジルコニウムPCS、日本電工社製)0.81gとを混合し、大気雰囲気下にて、910℃で8時間焼成したこと以外は、実施例1と同様にして、仕込み組成Li1.014Ni0.489Co0.197Mn0.297Zr0.003O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られたリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表2に示す。

0107

(実施例5)
<複合化合物の製造>
実施例1において、第1の反応槽の保持温度を70℃に変更し、第2の反応槽における粒子成長工程の条件を30℃で60時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、複合化合物を得た。
得られた複合化合物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表1に示す。

0108

<リチウム含有複合酸化物の製造>
実施例1において、上記で得られた複合化合物を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、Li1.014Ni0.493Co0.198Mn0.295O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られたリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表2に示す。

0109

(比較例1)
<複合化合物の製造>
硫酸ニッケル(硫酸ニッケル(II)六水和物、和光純薬工業社製)、硫酸コバルト(硫酸コバルト(II)七水和物、和光純薬工業社製)及び硫酸マンガン(硫酸マンガン(II)五水和物、和光純薬工業社製)をイオン交換水に溶解して得た溶液を濾過して、2.5mol/Lの硫酸ニッケルと1.0mol/Lの硫酸コバルトと1.5mol/Lの硫酸マンガンを含有する水溶液(1)を調製した。

0110

次いで、反応槽にイオン交換水500gを入れ、窒素ガスでバブリングしながら60℃に保持しつつ400rpmで攪拌した。このイオン交換水中に、前記水溶液(1)を1.2L/時間で、かつ28質量%アンモニア水溶液を0.03L/時間で同時に連続的に供給しつつ、18mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にて反応槽内のpHが12.5を保つようにした。フィルターを通した吸引濾過により反応液から上澄み液を除去して反応系内の液量を調節し、60℃で72時間粒子成長した。その後、得られた反応液を濾過し、次いで水洗して複合化合物を得た。

0111

更に、得られた複合化合物を120℃で12時間乾燥することにより複合化合物粉末を得た。
得られた複合化合物の金属成分の組成は、Ni:Co:Mn=50.0:20.1:29.9(モル比)であった。
この複合化合物の粒度分布を、水溶媒中にて測定した。結果を表1に示す。
図1に、この複合化合物の粒度分布を示す。
前記複合化合物のタップ密度、比表面積、及び平均円形度を測定した。結果を表1に示す。

0112

<リチウム含有複合酸化物の製造>
前記複合化合物200.00gとLi含量26.96mol/kgの炭酸リチウム(Li2CO3、SQM社製)83.67gとを混合し、大気雰囲気下にて、910℃で8時間焼成して仕込み組成でLi1.014Ni0.493Co0.198Mn0.295O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られたリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表2に示す。

0113

(比較例2)
<複合化合物、及びリチウム含有複合酸化物の製造>
比較例1において、反応条件を、pH10.0、30℃で72時間に変更した以外は、比較例1と同様にして、複合化合物を得た。更に、仕込み組成Li1.014Ni0.493Co0.196Mn0.297O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られた複合化合物及びリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。

0114

(比較例3)
<複合化合物、及びリチウム含有複合酸化物の製造>
比較例1において、粒子成長工程の条件を、30℃で60時間に変更した以外は、比較例1と同様にして、複合化合物を得た。更に、仕込み組成Li1.014Ni0.495Co0.197Mn0.294O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られた複合化合物及びリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。

0115

(比較例4)
<複合化合物、及びリチウム含有複合酸化物の製造>
比較例1において、反応条件を、60℃で60時間に変更した以外は、比較例1と同様にして、複合化合物を得た。更に、仕込み組成Li1.014Ni0.496Co0.197Mn0.293O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られた複合化合物及びリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。

0116

(比較例5)
<複合化合物、及びリチウム含有複合酸化物の製造>
比較例1において、反応条件を、pH10.0、50℃で60時間に変更した以外は、比較例1と同様にして、複合化合物を得た。更に、仕込み組成Li1.014Ni0.496Co0.197Mn0.293O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られた複合化合物及びリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。

0117

(比較例6)
<複合化合物、及びリチウム含有複合酸化物の製造>
比較例1において、反応条件を、pH12.5、60℃で120時間に変更した以外は、比較例1と同様にして、複合化合物を得た。更に、仕込み組成Li1.014Ni0.496Co0.197Mn0.293O2のリチウム含有複合酸化物を得た。なお、得られたリチウム含有複合酸化物の組成比は、仕込み比と一致した。
得られた複合化合物及びリチウム含有複合酸化物について、実施例1と同様にして、各種特性を評価した。結果を表1及び表2に示す。

0118

0119

0120

(正極の製造)
正極活物質として、それぞれ実施例1〜5、及び比較例1〜6の正極活物質(リチウム含有複合酸化物)と、アセチレンブラック(導電材、商品名:デンカブラック電気化学工業社製)と、ポリフッ化ビニリデン(バインダー、商品名:KFL#1120、呉羽化学工業社製)を12.1質量%含むポリフッ化ビニリデン溶液(溶媒:N−メチルピロリドン)とを混合し、更にN−メチルピロリドンを添加してスラリーを作製した。混合の際の、正極活物質と、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデンとの比率は、質量比(正極活物質/アセチレンブラック/ポリフッ化ビニリデン)で、90/5/5とした。スラリーを平均厚み20μmのアルミニウム箔(正極集電体、商品名:E-FOIL、東洋アルミニウム社製)にドクターブレードを用いて片面塗工した。120℃で乾燥し、ロールプレス圧延(0.3t/cm)を2回行うことにより正極体シートを作製した。実施例1〜5の正極活物質から得た正極体シートを、それぞれ正極体シート1〜5と、比較例1〜6の正極活物質から得た正極体シートを、それぞれ正極体シート6〜11とする。

0121

(電池の製造)
前記で製造した正極体シート1〜11を正極に用い、ステンレス鋼製簡易密閉セル型のリチウムイオン二次電池をアルゴングローブボックス内で組み立てた。
その他の材料は以下のとおりである。
・負極:平均厚み500μmの金属リチウム箔(リチウムフォイル、本荘ケミカル社製)
・負極集電体:平均厚み1mmのステンレス鋼板
・セパレータ:平均厚み25μmの多孔質ポリプロピレン(セルガード#2500、セルガード社製)
・電解液:濃度1mol/dm3のLiPF6/EC(エチレンカーボネート)+DEC(ジエチルカーボネート)(1:1)溶液(LiPF6を溶質とするECとDECとの体積比(EC:DEC=1:1)の混合溶液を意味する。)
正極体シート1〜11を用いたリチウムイオン二次電池をリチウム電池1〜11とする。

0122

(電池特性評価)
得られたリチウム電池1〜11について、以下の電池特性の評価を行った。結果を表3に示す。なお、評価は、25℃で行った。

0123

初期特性
前記で製造したリチウム電池1〜11を用いて下記評価を行った。
即ち、正極活物質1gにつき192mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき32mAの負荷電流にて2.75Vまで放電した。4.3V〜2.75Vにおける放電容量を初期容量として、TOSCAT-3000(東洋システム社製)を用いて測定した。
また、初期の効率を、初回放電容量初回充電容量により求めた。
また、初期の電圧を、初回平均放電電圧により求めた。
結果を表3に示す。

0124

<レート特性>
前記で製造したリチウム電池1〜11を用いて下記評価を行った。
即ち、正極活物質1gにつき192mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき32mAの負荷電流にて2.75Vまで放電した。続いて正極活物質1gにつき192mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき480mAの負荷電流(1Cレート)にて2.75Vまで放電した。更に、正極活物質1gにつき192mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき800mAの負荷電流(5Cレート)にて2.75Vまで放電した。この時の初期容量に対する容量をレート特性として求めた。結果を表3に示す。

0125

<電極密度>
電極密度は、アルミニウム箔に塗工した電極を直径1.8cmφの円板打ち抜き、電子天秤で質量を測定し、マイクロメーターで厚みを測定する。次に、電極を塗工していないアルミニウム箔を直径1.8cmφに打ち抜き、同様に質量と厚みを測定する。電極密度は以下に示す式(2)にて算出した。
塗工電極の厚み−アルミニウム箔の厚み)×0.92×π(円周率)/(塗工電極の質量−アルミニウム箔の質量) 式(2)

0126

<サイクル特性>
前記で製造したリチウム電池1〜11を用いて下記評価を行った。
即ち、正極活物質1gにつき192mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき32mAの負荷電流にて2.75Vまで放電した。続いて正極活物質1gにつき192mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき480mAの負荷電流にて2.75Vまで放電した。更に、正極活物質1gにつき192mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき800mAの負荷電流にて2.75Vまで放電した。
次いで、正極活物質1gにつき192mAの負荷電流で4.3Vまで充電し、正極活物質1gにつき160mAの負荷電流にて2.75Vまで放電する充放電サイクルを50回繰返した。4.3V充放電サイクル50回目の放電容量を4.3V初期容量で割った値をサイクル維持率とする。

0127

0128

実施例1〜5では、正極活物質含有層を形成するプレス圧力が低くても、比較例1〜6より高い電極密度を得ることができ、良好な初期特性、レート特性、サイクル特性が得られた。
実施例1〜5の初期容量、初期効率初期電圧、及びレート特性は、比較例1〜6とともに優れた結果であった。

実施例

0129

一方、実施例1〜5のサイクル特性は、比較例のうちで最も結果がよかった比較例5のサイクル特性93.1%よりも1.0%以上優れていた。
本実施例では、負極に用いているLi負極が劣化するため、長期サイクル評価ができず、サイクル特性の繰り返し数を50としている。しかし、サイクル特性は経験的にサイクル回数の1/2乗に比例する傾向にある。上記結果を1,000サイクルに換算すると、50サイクルにおける94.0%は、73.0%となり、50サイクルにおける93.0%は、69.0%となる。更に、5,000サイクルに換算すると、50サイクルにおける94.0%は、40%となり、93.0%は、30%となる。
そのため、実施例1〜5は、比較例1〜6と比べて、サイクル特性の点で非常に優れていることが確認できた。特に、実施例1では、サイクル特性が96.4%あり、非常に良好な結果であった。

0130

本発明の複合化合物は、製造時のプレス圧力が低くても高い電極密度を得ることができ、安全性が高く、単位体積あたりの放電容量、及びレート特性に優れ、更にサイクル特性が非常に優れるリチウム含有複合酸化物の前駆体として好適に用いることができる。
本発明のリチウム含有複合酸化物は、製造時のプレス圧力が低くても高い電極密度を得ることができ、安全性が高く、単位体積あたりの放電容量、及びレート特性に優れ、更にサイクル特性が非常に優れることから、リチウムイオン二次電池に好適に用いることができる。
なお、2013年4月25日に出願された日本特許出願2013−092486号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

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