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技術 パン品質改良剤及びパン類の製造方法

出願人 オリエンタル酵母工業株式会社
発明者 近藤泰史渡邉元
出願日 2014年3月27日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2015-508732
公開日 2017年2月16日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 WO2014-157577
状態 特許登録済
技術分野 ベイカリー製品及びその製造方法
主要キーワード 側面写真 サブコントロール パン品質 焼き立て ステアロイル乳酸塩 官能評価結果 風香味 品質改良
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年2月16日)のものです。
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図面 (5)

課題・解決手段

課題パン類品質(例えばパン容積、パンの高さ、比容積表皮質など)を落とすことなく、冷凍パン生地からパン類を作製することができる冷凍生地に好適なパン品質改良剤、及び、当該改良剤を用いたパン類の製造方法等を提供する。 解決手段トランスグルタミナーゼL−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤を含有する冷凍生地用パン品質改良剤を用いる。また、この冷凍生地用パン品質改良剤を配合してパン生地を作製し、このパン生地を一次発酵成型又は最終発酵のいずれかの工程後に凍結し、常法に従ってパン類を製造する。

概要

背景

ベーカリーショップなどにおいて焼き立てパン類を作製する場合、消費者により早くパンを提供するために、小麦粉やその他の製パン原料ミキシングしてパン生地を作製するのではなく、あらかじめ冷凍保存した冷凍パン生地を用い、解凍した後、焼成してパン類を製造することが多い。これは、パン類の製造工程が長いということだけではなく、消費者のパン類の食スタイル嗜好多様化に対応して数多くの品種アイテム)を短時間に揃える必要がある、という背景があるためである。

このように、冷凍パン生地を用いてパン類を作製する方法は、パン類を品種毎に一から(小麦粉等のミキシングから)作製するよりも製造時間を短縮することができる効率的な方法ではあるが、当業界においては、得られるパン類に十分な容積体積)や高さが得られず、またパン類の食感が悪くなりやすい。そして、原料コスト高エネルギーコスト高による利益減の傾向などから、パン類の品質を落とすことなく更なる製造効率の向上や設備費の削減等を行うことが求められている。

冷凍パン生地を使用したパン類製造の更なる製造効率の向上を達成する手段のひとつとして、冷凍パン生地の解凍工程時間短縮方法が開発されている。例えば、冷凍パン生地を条件を変えて数段階に分け昇温し、昇温時間や最終発酵時間を短縮する方法(特許文献1〜3)などが知られている。けれども、これらの方法ではパン類の品質を充分に保つことができず、品質(パン容積、外観表皮質、食感など)が著しく落ちたパン類しか得られないため、結局、高品質のパン類を得るためには通常の製パン法を採用するしかないというのが当業界の技術常識である。

一方、トランスグルタミナーゼは、主にタンパク質ペプチド中のグルタミンリジン共有結合し、架橋する酵素であり、食品分野では主にかまぼこ等の魚肉練り製品の保型や、麺類コシを高めるために用いられている。しかし、ソフトな食感を求められるパン類に用いると、パンが固くなり、品質が悪くなる場合も多い。そこで、トランスグルタミナーゼをショートニング等の油脂に分散し、油脂組成物として冷凍生地製パン法に使用する技術(特許文献4)が提案されている。しかし、この技術では、トランスグルタミナーゼを油脂中に均一に分散させる必要があるだけでなく、油脂を多く配合するパン類や油脂を折り込む場合には、トランスグルタミナーゼの効果が充分に奏されず、冷凍生地製パン法で得られるパンの品質は充分とはいえない。

このような背景において、パン生地の製造時に小麦粉やその他の製パン原料に添加・配合するだけで、パン類の品質を落とすことなく冷凍パン生地からパン類を製造できるパン品質改良剤や冷凍生地製パン法の開発が当業界において引き続き求められていた。

概要

課題パン類の品質(例えばパン容積、パンの高さ、比容積、表皮質など)を落とすことなく、冷凍パン生地からパン類を作製することができる冷凍生地に好適なパン品質改良剤、及び、当該改良剤を用いたパン類の製造方法等を提供する。 解決手段トランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤を含有する冷凍生地用パン品質改良剤を用いる。また、この冷凍生地用パン品質改良剤を配合してパン生地を作製し、このパン生地を一次発酵成型又は最終発酵のいずれかの工程後に凍結し、常法に従ってパン類を製造する。

目的

ベーカリーショップなどにおいて焼き立てのパン類を作製する場合、消費者により早くパンを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

請求項2

さらにグルテン、及びα−アミラーゼプロテアーゼセルラーゼヘミセルラーゼグルコースオキシダーゼから選ばれる1種以上の食品用酵素を含有する、請求項1に記載の剤。

請求項3

トランスグルタミナーゼが0.001〜0.02%(w/w:対粉)、L−アスコルビン酸が0.005〜0.05%(w/w:対粉)、パン類用乳化剤が0.1〜1.0%(w/w:対粉)、グルテンが0.5〜1.5%(w/w:対粉)、食品用酵素が0.005〜0.1%(w/w:対粉)の割合でパン生地に配合されるような組成比としてなる、請求項2に記載の剤

請求項4

パン類用乳化剤がステアロイル乳酸塩である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤

請求項5

冷凍生地が、パン生地に油脂を15%(w/w:対粉)以上折り込んで成型される油脂高含有パン生地である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の剤

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項に記載の冷凍生地用パン品質改良剤を配合して作製したパン生地を、一次発酵、成型又は最終発酵のいずれかの工程後に凍結する工程を含む、パン類の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、パン品質改良剤、及び、当該改良剤を用いたパン類の製造方法等に関する。詳細には、冷凍パン生地に添加・配合して用いられる、冷凍パン生地に好適なパン品質改良剤、及び、当該改良剤を用いたパン類の製造方法等に関する。

背景技術

0002

ベーカリーショップなどにおいて焼き立てのパン類を作製する場合、消費者により早くパンを提供するために、小麦粉やその他の製パン原料ミキシングしてパン生地を作製するのではなく、あらかじめ冷凍保存した冷凍パン生地を用い、解凍した後、焼成してパン類を製造することが多い。これは、パン類の製造工程が長いということだけではなく、消費者のパン類の食スタイル嗜好多様化に対応して数多くの品種アイテム)を短時間に揃える必要がある、という背景があるためである。

0003

このように、冷凍パン生地を用いてパン類を作製する方法は、パン類を品種毎に一から(小麦粉等のミキシングから)作製するよりも製造時間を短縮することができる効率的な方法ではあるが、当業界においては、得られるパン類に十分な容積体積)や高さが得られず、またパン類の食感が悪くなりやすい。そして、原料コスト高エネルギーコスト高による利益減の傾向などから、パン類の品質を落とすことなく更なる製造効率の向上や設備費の削減等を行うことが求められている。

0004

冷凍パン生地を使用したパン類製造の更なる製造効率の向上を達成する手段のひとつとして、冷凍パン生地の解凍工程時間短縮方法が開発されている。例えば、冷凍パン生地を条件を変えて数段階に分け昇温し、昇温時間や最終発酵時間を短縮する方法(特許文献1〜3)などが知られている。けれども、これらの方法ではパン類の品質を充分に保つことができず、品質(パン容積、外観表皮質、食感など)が著しく落ちたパン類しか得られないため、結局、高品質のパン類を得るためには通常の製パン法を採用するしかないというのが当業界の技術常識である。

0005

一方、トランスグルタミナーゼは、主にタンパク質ペプチド中のグルタミンリジン共有結合し、架橋する酵素であり、食品分野では主にかまぼこ等の魚肉練り製品の保型や、麺類コシを高めるために用いられている。しかし、ソフトな食感を求められるパン類に用いると、パンが固くなり、品質が悪くなる場合も多い。そこで、トランスグルタミナーゼをショートニング等の油脂に分散し、油脂組成物として冷凍生地製パン法に使用する技術(特許文献4)が提案されている。しかし、この技術では、トランスグルタミナーゼを油脂中に均一に分散させる必要があるだけでなく、油脂を多く配合するパン類や油脂を折り込む場合には、トランスグルタミナーゼの効果が充分に奏されず、冷凍生地製パン法で得られるパンの品質は充分とはいえない。

0006

このような背景において、パン生地の製造時に小麦粉やその他の製パン原料に添加・配合するだけで、パン類の品質を落とすことなく冷凍パン生地からパン類を製造できるパン品質改良剤や冷凍生地製パン法の開発が当業界において引き続き求められていた。

先行技術

0007

特開平5−64539号公報
特開平7−79690号公報
特開2009−240203号公報
特開平11−276056号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、パン生地の製造時に添加・配合するだけで、パン類の品質(例えばパン容積、パンの高さ、比容積、外観・表皮質など)を落とすことなく、冷凍パン生地から優れた品質のパン類を製造することができる、冷凍パン生地に好適なパン品質改良剤、及び、当該改良剤を用いたパン類の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を行い、トランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤を配合してパン生地を作製し、このパン生地を、一次発酵成型又は最終発酵のいずれかの工程後に凍結して冷凍生地とすることで、高品質のパン類を得ることができることを見出し、本発明に至った。

0010

すなわち、本発明の実施形態は次のとおりである。
(1)トランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤を含有する冷凍生地用パン品質改良剤。
(2)さらにグルテン、及びα−アミラーゼプロテアーゼセルラーゼヘミセルラーゼグルコースオキシダーゼから選ばれる1種以上の食品用酵素を含有する、(1)に記載の剤。
(3)トランスグルタミナーゼが0.001〜0.02%(w/w:対粉)、好ましくは0.01〜0.02%(w/w:対粉)、L−アスコルビン酸が0.005〜0.05%(w/w:対粉)、好ましくは0.008〜0.012%(w/w:対粉)、パン類用乳化剤が0.1〜1.0%(w/w:対粉)、好ましくは0.3〜0.7%(w/w:対粉)、グルテンが0.5〜1.5%(w/w:対粉)、好ましくは0.7〜1.0%(w/w:対粉)、食品用酵素が0.005〜0.1%(w/w:対粉)、好ましくは0.02〜0.05%(w/w:対粉)の割合でパン生地に配合されるような組成比としてなる、(2)に記載の剤。
(4)パン類用乳化剤がステアロイル乳酸塩である、(1)〜(3)のいずれか1つに記載の剤
(5)冷凍生地が、パン生地に油脂を15%(w/w:対粉)以上、好ましくは20%(w/w:対粉)以上折り込んで成型される油脂高含有パン生地である、(1)〜(4)のいずれか1つに記載の剤
(6)(1)〜(5)のいずれか1つに記載の冷凍生地用パン品質改良剤を配合して作製したパン生地を、一次発酵、成型又は最終発酵のいずれかの工程後に凍結する工程を含む、パン類の製造方法。

0011

(7)トランスグルタミナーゼが0.001〜0.02%(w/w:対粉)、好ましくは0.01〜0.02%(w/w:対粉)、L−アスコルビン酸が0.005〜0.05%(w/w:対粉)、好ましくは0.008〜0.012%(w/w:対粉)、パン類用乳化剤が0.1〜1.0%(w/w:対粉)、好ましくは0.3〜0.7%(w/w:対粉)の割合でパン生地に配合されるような組成比としてなる、(1)に記載の剤。
(8)トランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤を含有する冷凍生地用パン品質改良剤を配合して作製したパン生地を、一次発酵、成型又は最終発酵のいずれかの工程後に凍結する工程を含む、パン類の製造方法。
(9)トランスグルタミナーゼを0.001〜0.02%(w/w:対粉)、好ましくは0.01〜0.02%(w/w:対粉)、L−アスコルビン酸を0.005〜0.05%(w/w:対粉)、好ましくは0.008〜0.012%(w/w:対粉)、パン類用乳化剤を0.1〜1.0%(w/w:対粉)、好ましくは0.3〜0.7%(w/w:対粉)の割合でパン生地に添加・配合して、パン生地を作製する、(8)に記載の方法。
(10)トランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤に、さらにグルテン、及びα−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼから選ばれる1種以上の食品用酵素を含有する、冷凍生地用パン品質改良剤を配合して作製したパン生地を、一次発酵、成型又は最終発酵のいずれかの工程後に凍結する工程を含む、(8)に記載の方法。
(11)トランスグルタミナーゼを0.001〜0.02%(w/w:対粉)、好ましくは0.01〜0.02%(w/w:対粉)、L−アスコルビン酸を0.005〜0.05%(w/w:対粉)、好ましくは0.008〜0.012%(w/w:対粉)、パン類用乳化剤を0.1〜1.0%(w/w:対粉)、好ましくは0.3〜0.7%(w/w:対粉)、グルテンを0.5〜1.5%(w/w:対粉)、好ましくは0.7〜1.0%(w/w:対粉)、食品用酵素を0.005〜0.1%(w/w:対粉)、好ましくは0.02〜0.05%(w/w:対粉)の割合でパン生地に添加・配合して、パン生地を作製する、(10)に記載の方法。
(12)パン類用乳化剤がステアロイル乳酸塩である、(7)〜(10)のいずれか1つに記載の方法。
(13)冷凍生地が、パン生地に油脂を15%(w/w:対粉)以上、好ましくは20%(w/w:対粉)以上折り込んで成型される油脂高含有パン生地である、(8)〜(12)のいずれか1つに記載の方法。

発明の効果

0012

本発明によれば、パン生地の製造時に添加・配合するだけで、パン類の品質(例えばパン容積、パンの高さ、比容積、外観・表皮質など)を落とすことなく、冷凍パン生地からパン類を製造することができる、冷凍パン生地に好適なパン品質改良剤が提供される。また、パン生地の製造時に添加・配合するだけで、パン生地の冷凍工程を経ない通常の方法と遜色ない品質のパン類が得られる冷凍生地製パン法が提供される。さらには、本発明はこのような簡便な方法でありながら、製パン機耐性も向上し(製造中のパン生地ダメージ緩和し)、特にパン焼成中のカマ伸びが極めて大きく、得られるパン類の品質、例えばパン容積(体積)、パンの高さ、外観(色合い等)表皮質、食感(しっとり感、やわらかさ)は、生地の冷凍工程を経ない通常工程で得たパン類と遜色なく、また、製品毎のばらつきも少なく、品質の安定したものとなる。

図面の簡単な説明

0013

製型後に冷凍したパン生地を最終発酵し、次いで焼成して製造した結びパンの焼成後の外観写真、パン容積×高さ、官能評価結果を示す図である(図面代用写真)。左側がコントロール、右側が本発明品のパン品質改良剤を用いて製造したものである。
最終発酵後に冷凍したパン生地を焼成して製造したクロワッサンの焼成後外観写真、パン容積×高さ、官能評価結果を示す図である(図面代用写真)。左側がコントロール、右側が本発明品のパン品質改良剤を用いて製造したものである。
冷凍パン生地を解凍後又はそのまま最終発酵させてから焼成する工程で製造した結びパンの焼成後外観写真(パン上面)を示す図である(図面代用写真)。上から順にコントロール、サブコントロール、本発明品(本発明品のパン品質改良剤を用いて製造したパン)を示す。
製型後に冷凍したパン生地を解凍後又はそのまま最終発酵させてから焼成する工程で製造した結びパンの焼成後外観写真(パン側面)を示す図である(図面代用写真)。上から順にコントロール、サブコントロール、本発明品(本発明品のパン品質改良剤を用いて製造したパン)を示す。
最終発酵後に冷凍したパン生地を焼成して製造したクロワッサンの焼成後外観写真を示す図である(図面代用写真)。左側が上面写真、中央が断面写真、右側が側面写真であり、上段が本発明品(凍結前発酵20℃・60分)、下段比較品(凍結前発酵なし)を示す。

0014

まず、本発明においては、冷凍生地製パン法により高品質のパン類を製造するため、パン生地作製時に品質改良の有効成分としてトランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤、好ましくはこれらにさらにグルテン(小麦グルテン)及び/又は食品用酵素(α−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼ、から選ばれる1種以上)を配合する。本発明は、これら成分の組み合わせ使用によってはじめて所望の効果を奏するものである。

0015

そして、品質改良の有効成分となるトランスグルタミナーゼは、微生物由来のもの、由来のもの、その他の動物由来のものの何れも使用することができるが、特許文献4に記載される微生物由来のトランスグルタミナーゼが好ましい。また、食品用の微生物由来トランスグルタミナーゼは市販されており、これを使用することができる。トランスグルタミナーゼの使用量は、由来や種類により異なるが、通常はトランスグルタミナーゼが0.001〜0.02%(w/w:対粉)、好ましくは0.005〜0.02%(w/w:対粉)になるように添加配合する。本発明においては、トランスグルタミナーゼを油脂に分散させて使用する必要はなく、他の有効成分と一緒粉体等の固体の状態で使用する。

0016

また、パン類用乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステルショ糖脂肪酸エステルポリグリセリン脂肪酸エステルレシチン、ステアロイル乳酸塩(例えば、ナトリウム塩カルシウム塩)等が使用することができるが、ステアロイル乳酸塩を用いるのが好適である。そして、このステアロイル乳酸塩等のパン類用乳化剤やL−アスコルビン酸はいずれも、一定の精製が行われた精製品合成品などを使用することができ、また、市販品(食品添加物)の使用も可能である。その際は、純度が一定以上(例えば、90%以上、好ましくは95%以上)のものを使用するのが良い。

0017

グルテンとしては小麦グルテン、トウモロコシグルテン等が使用できるが、小麦グルテンが好ましい。また、α−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼは、いずれもパン類の製造で使用されることがあり、食品用酵素として市販されている酵素を適時選択して使用すれば良い。好ましい実施形態として、α−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼは、このうちの少なくとも1つを使用するが、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上を併用する。

0018

なお、本発明では、トランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤を所要の範囲の配合比で併用することがより好ましい。具体的には、トランスグルタミナーゼが0.001〜0.02%(w/w:対粉)、好ましくは0.01〜0.02%(w/w:対粉)、L−アスコルビン酸が0.005〜0.05%(w/w:対粉)、好ましくは0.008〜0.012%(w/w:対粉)、パン類用乳化剤が0.1〜1.0%(w/w:対粉)、好ましくは0.3〜0.7%(w/w:対粉)の割合でパン生地に配合されるのが好適である。

0019

また、好ましい実施形態として、上記の範囲のトランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤に加えて、さらに、グルテンが0.5〜1.5%(w/w:対粉)、好ましくは0.7〜1.0%(w/w:対粉)、α−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼから選ばれる1種以上の食品用酵素が0.005〜0.1%(w/w:対粉)、好ましくは0.02〜0.05%(w/w:対粉)の割合でパン生地に配合される。本発明は、有効成分がこの配合比の範囲内にある場合に非常に顕著な効果を奏するものであるが、この範囲から逸脱した態様を完全に除外するものではない。なお、本発明において「%(w/w:対粉)」はベーカーズ%を意味する。

0020

本発明では、トランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及び食品用乳化剤、あるいはトランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸、食品用乳化剤、グルテン及び食品用酵素を混合製剤としておく(特に、上記割合でパン生地に配合されるような組成比としてなる混合製剤としておく)のが好ましいが、製剤化に際しては、これらの成分のみで製剤としても良いし、これらの成分以外に有効成分ではない製剤化原料を助剤として使用しても良い。製剤化の助剤としては特に限定はされないが、小麦粉、澱粉食塩多糖類デキストリンセルロースなど)等が好ましいものとして例示される。なお、これらの成分を製剤化せず、各成分をパン生地作製の段階で所要量使用する方法を用いても差し支えない。

0021

このようにして、小麦粉やその他の製パン原料に上記有効成分を配合して常法に従って作製したパン生地は、そのまま、分割・成型、又は最終発酵のいずれかの工程後に常法(例えば、−40℃で60分程度、及び/又は、−20℃で数時間程度など)により冷凍する。パン生地は、分割・成型前に冷凍した場合には、解凍後、常法に従ってパン類を製造すればよい。分割・成型後又は最終発酵(ホイロ)後に冷凍した場合、冷凍パン生地は解凍後、あるいは解凍せずそのまま、最終発酵又は焼成工程に供する。なお、本発明のパン品質改良剤は、パン生地に油脂を15%(w/w:対粉)以上、好ましくは20%(w/w:対粉)以上、例えば、20〜50(w/w:対粉)%、折り込んで成型した冷凍パン生地に好適に用いられる。

0022

本発明の対象となるパン類は、通常、冷凍生地製パン法により製造されるパン類であれば特に限定はされないが、食パンロールパン、結びパン、菓子パンフランスパンブリオッシュ、ベーグル、クロワッサンなどが例示される。また、クロワッサン、デニッシュなどは最終発酵後に冷凍したパン生地をそのまま焼成してもよい。

0023

また、本発明での「パン品質改良」とは、パン容積の増大、パンの高さの増加、パン表皮質改善(パン表面の皮のやわらかさ、なめらかさ、ハリなどの向上)、パン内相の改善(パン内相の均一性)、パン風香味向上、製造中のパン生地ダメージ緩和から選ばれる少なくとも1以上をすることを意味する。

0024

本発明は、上述の通り、パン類の品質が低下しやすい冷凍生地製パン法であっても、本発明のパン品質改良剤をパン生地の製造時に添加・配合するだけで高品質のパン類が短時間で得られることが特徴であり、本発明のパン品質改良剤は、パン生地に油脂を15%(w/w:対粉)以上折り込んで成型した冷凍パン生地に好適に用いられる。そして、本発明によれば、パン生地を分割・成型後又は最終発酵後に冷凍した場合には、冷凍パン生地は解凍後、あるいは解凍せずそのまま、最終発酵又は焼成することで、通常の製パン法よりパン類の製造に要する時間を短縮することができ、得られるパン類の品質(特にパン容積、パンの高さ、比容積、表皮質など)は通常の製パン法で得られるパン類と同等かそれ以上となる。

0025

以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内においてこれらの様々な変形が可能である。

0026

製パン試験I)
本発明のパン品質改良剤の効果を確認するため、以下の試験を行った。

0027

表1に記載の配合・工程で、コントロールとして一般的な冷凍生地用改良剤(有効成分グリセリン脂肪酸エステル、L−シスチン、L−アスコルビン酸、α−アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ)を配合した冷凍パン生地と、本発明品のパン品質改良剤(トランスグルタミナーゼ0.35%(w/w)、グルテン43%(w/w)、ステアロイル乳酸ナトリウム25%(w/w)、L−アスコルビン酸0.5%(w/w)、食品用酵素(α−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼ、)計2.55%(w/w)、その他28.6%(w/w))を配合した冷凍パン生地を用いて、結びパンを製造した。

0028

0029

結果を図1に示した。なお、官能評価は、訓練された複数名のパネラーにより、外観、表皮質、内相、風味をそれぞれ10段階(最高点10点)で評価した。この結果、一般的な冷凍生地用改良剤を用いて冷凍パン生地からパン製造を行うと、得られるパンは、パン容積が不足し、表皮質などの品質も充分でないこと、本発明のパン品質改良剤を用いると、パン容積だけでなく、表皮質なども通常の製パン法と遜色ない良好な品質のパンが得られることが明らかとなった。

0030

(製パン試験II)
本発明のパン品質改良剤の効果を確認するため、以下の試験を行った。

0031

表2に記載の配合・工程で、コントロールとして一般的な冷凍生地用改良剤(有効成分グリセリン脂肪酸エステル、L−シスチン、L−アスコルビン酸、α−アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ)を配合してパン生地を得た後、油脂(ショートニング)を50%(w/w:対粉)折り込んで成型した冷凍パン生地と、本発明品のパン品質改良剤(トランスグルタミナーゼ0.35%(w/w)、グルテン43%(w/w)、ステアロイル乳酸ナトリウム25%(w/w)、L−アスコルビン酸0.5%(w/w)、食品用酵素(α−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼ、)計2.55%(w/w)、その他28.6%(w/w))を配合してパン生地を得た後、油脂(ショートニング)を50%(w/w:対粉)折り込んで成型した冷凍パン生地を用いて、クロワッサンを製造した。

0032

0033

結果を図2に示した。なお、官能評価は、訓練された複数名のパネラーにより、外観、表皮質、内相、風味をそれぞれ10段階(最高点10点)で評価した。この結果、一般的な冷凍生地用改良剤を用いてクロワッサンを製造した場合、クロワッサンはパン容積が不足し、表皮質などの品質も充分でないこと、本発明のパン品質改良剤を用いると、パン容積だけでなく、表皮質なども通常の製パン法と遜色ない良好な品質のパンが得られることが明らかとなった。

0034

(製パン試験III)
本発明のパン品質改良剤の効果をさらに確認するため、以下の試験を行った。

0035

表3に記載の配合・工程で、コントロールとして市販の冷凍生地用品質改良剤2.0%(ジョーカーS500キモロング、ピュトラスジャパン株式会社製)を配合した冷凍パン生地、サブコントロールとして一般的な冷凍生地用改良剤1.0%(有効成分グリセリン脂肪酸エステル、L−シスチン、L−アスコルビン酸、α−アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ)を配合した冷凍パン生地、本発明品のパン品質改良剤2.0%(トランスグルタミナーゼ0.35%(w/w)、グルテン43%(w/w)、ステアロイル乳酸ナトリウム25%(w/w)、L−アスコルビン酸0.5%(w/w)、食品用酵素(α−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼ、)計2.55%(w/w)、その他28.6%(w/w))を配合した冷凍パン生地をそれぞれ用いて結びパンを製造した。なお、解凍及びホイロの条件は、解凍20℃・60分、ホイロ35℃・80%RH・60分(表4、図3及び図4の左欄)及解凍及びホイロ35℃・80%RH・80分(表4、図3及び図4の右欄)とした。また、パン生地の冷凍保管期間はいずれも2週間であり、各群計6サンプルずつを作製した。

0036

0037

結果を図3、4及び表4に示した。なお、図3、4は得られた結びパンの外観写真であり、表4はパン容積、高さ、比容積を示した。この結果、コントロール及びサブコントロールについては冷凍パン生地を解凍せずホイロに供したパンは、冷凍パン生地を解凍後にホイロに供して製造したパンと同等の品質(充分なパン容積、高さ、比容積)が得られず、特にパン高さ及び比容積が大幅に不足する傾向となり、且つ、凍結した冷凍生地を直接ホイロに入れることによるパン生地表面の湿り過度な湿りによりパン底面に水滴が溜まってしまう傾向となることが明らかとなった。これに対し、本発明品については、冷凍パン生地を解凍せずホイロに供したパンは、冷凍パン生地を解凍後にホイロに供して製造したパンとほぼ同等の充分な品質のパンが得られることが示された。

0038

0039

(製パン試験IV)
本発明のパン品質改良剤の効果をさらに確認するため、以下の試験を行った。

0040

表5に記載の配合・工程で、比較品として一般的な冷凍生地用改良剤1.0%(有効成分グリセリン脂肪酸エステル、L−シスチン、L−アスコルビン酸、α−アミラーゼ、グルコースオキシダーゼ)を配合した冷凍パン生地、及び、本発明品のパン品質改良剤3.0%(トランスグルタミナーゼ0.35%(w/w)、グルテン43%(w/w)、ステアロイル乳酸ナトリウム25%(w/w)、L−アスコルビン酸0.5%(w/w)、食品用酵素(α−アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシダーゼ、)計2.55%(w/w)、その他28.6%(w/w))を配合した冷凍パン生地を用いて、クロワッサンを製造した。なお、パン生地の凍結前発酵(ホイロ)は、凍結前発酵なし、28℃・30分、20℃・60分の3種類をそれぞれについて行った。

0041

0042

結果を表6及び図5に示した。なお、表6はパン容積、長さ×幅、高さ、比容積のデータを示し、図5は得られたクロワッサンのうち代表的なものの外観写真を示した。この結果、比較品(一般的な冷凍生地用改良剤)においては、凍結前発酵(ホイロ)なし、凍結前発酵28℃・30分のパンは、パン容積、高さ及び比容積のいずれにおいても著しく品質が劣り、かろうじて凍結前発酵20℃・60分である程度の品質のパンが得られることが明らかとなった。これに対し、本発明品については、どの凍結前発酵(ホイロ)条件であっても冷凍パン生地をそのまま焼成する工程で高品質のパンが得られることが示された。

0043

0044

本発明を要約すれば、以下の通りである。

0045

本発明は、パン生地の製造時に添加・配合するだけで、パン類の品質(例えばパン容積、高さ、比容積、表皮質など)を落とすことなく、冷凍パン生地から優れた品質のパン類を製造することができる、冷凍パン生地に好適なパン品質改良剤、及び、当該改良剤を用いたパン類の製造方法を提供することを目的とする。

実施例

0046

そして、トランスグルタミナーゼ、L−アスコルビン酸及びパン類用乳化剤を配合してパン生地を作製し、このパン生地を、一次発酵、成型又は最終発酵のいずれかの工程後に凍結する冷凍生地製パン法によりパン類を製造することにより、上記課題を解決する。

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