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技術 透明電極、電子デバイス、および有機電界発光素子

出願人 コニカミノルタ株式会社
発明者 吉田和央波木井健木下敏幸小島茂
出願日 2014年1月8日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2014-557426
公開日 2017年1月19日 (3年11ヶ月経過) 公開番号 WO2014-112410
状態 特許登録済
技術分野 エレクトロルミネッセンス光源 積層体(2)
主要キーワード ハースライナー 駆動電圧差 光取り出し部材 成長型 各高屈折率層 接界面 各発光パネル 無アルカリガラス製
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図面 (10)

課題・解決手段

窒素原子(N)を含んだ化合物を用いて構成された窒素含有層と、窒素含有層に隣接して設けられた銀(Ag)を主成分とする電極層と、窒素含有層よりも高い屈折率を有し、電極層と窒素含有層とを挟持して配置された2つの高屈折率層とを備えた透明電極である。

概要

背景

有機材料エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機電界発光素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度高発光効率薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイバックライト看板非常灯等の表示板照明光源等の面発光体として近年注目されている。

このような有機電界発光素子は、2枚の電極間に有機材料を用いて構成された発光層を挟持した構成であり、発光層で生じた発光光電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成される。

透明電極としては、酸化インジウムスズ(SnO2−In2O3:Indium Tin Oxide:ITO)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った検討もなされている(例えば下記特許文献1,2参照)。しかしながら、ITOはレアメタルインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗下げるために成膜後に300℃程度でアニール処理する必要がある。そこで、電気伝導率の高い銀等の金属材料薄膜化した構成や、銀にアルミニウムを混ぜることにより銀単独よりも薄い膜厚導電性を確保する構成(例えば下記特許文献3参照)、さらには銀以外の金属からなる下地層上に銀薄膜層を設けた積層構造とすることにより光透過性を確保する構成(例えば下記特許文献4参照)が提案されている。

概要

窒素原子(N)を含んだ化合物を用いて構成された窒素含有層と、窒素含有層に隣接して設けられた銀(Ag)を主成分とする電極層と、窒素含有層よりも高い屈折率を有し、電極層と窒素含有層とを挟持して配置された2つの高屈折率層とを備えた透明電極である。

目的

本発明は、十分な導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

窒素原子(N)を含んだ化合物を用いて構成された窒素含有層と、前記窒素含有層に隣接して設けられた銀(Ag)を主成分とする電極層と、前記窒素含有層よりも高い屈折率を有し、前記電極層と前記窒素含有層とを挟持して配置された2つの高屈折率層とを備えた透明電極

請求項2

前記化合物は、当該化合物に含まれる窒素原子(N)が有する非共有電子対のうち芳香族性関与せずかつ金属に配位していない非共有電子対の数をn、分子量をMとした場合の有効非共有電子対含有率[n/M]が、2.0×10-3≦[n/M]となる請求項1に記載の透明電極。

請求項3

前記化合物における前記有効非共有電子対含有率[n/M]が、3.9×10-3≦[n/M]である請求項2に記載の透明電極。

請求項4

前記化合物における前記有効非共有電子対含有率[n/M]が、6.5×10-3≦[n/M]である請求項2に記載の透明電極。

請求項5

前記窒素含有層は、前記電極層側の界面における前記有効非共有電子対含有率[n/M]の値が2.0×10-3≦[n/M]である請求項2〜4の何れかに記載の透明電極。

請求項6

前記高屈折率層は、酸化インジウム酸化亜鉛酸化チタン、または酸化ニオブを主成分とする酸化物で構成された請求項1〜5の何れか一項に記載の透明電極。

請求項7

前記窒素含有層は、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(1)中において、X11は、−N(R11)−または−O−を表し、E101〜E108は、各々−C(R12)=または−N=を表し、E101〜E108のうち少なくとも一つは−N=であり、前記R11および前記R12は、それぞれが水素原子(H)または置換基を表す。]

請求項8

前記窒素含有層は、前記一般式(1)におけるX11を−N(R11)−とした下記一般式(1a)で表される構造を有する化合物を含有する請求項7に記載の透明電極。

請求項9

前記窒素含有層は、前記一般式(1a)におけるE104を−N=とした下記一般式(1a−1)で表される構造を有する化合物を含有する請求項8に記載の透明電極。

請求項10

前記窒素含有層は、前記一般式(1a)におけるE103およびE106を−N=とした下記一般式(1a−2)で表される構造を有する化合物を含有する請求項8記載の透明電極。

請求項11

前記窒素含有層は、前記一般式(1)におけるX11を−O−とし、E104を−N=とした下記一般式(1b)で表される構造を有する化合物を含有する請求項7に記載の透明電極。

請求項12

前記窒素含有層は、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(2)中、Y21は、アリーレン基ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表し、E201〜E216、E221〜E238は、各々−C(R21)=または−N=を表し、前記R21は、水素原子(H)または置換基を表し、E221〜E229の少なくとも1つおよびE230〜E238の少なくとも1つは−N=であり、k21およびk22は、0〜4の整数を表すが、k21+k22は2以上の整数である。]

請求項13

前記窒素含有層は、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(3)中、E301〜E312は、各々−C(R31)=を表し、前記R31は水素原子(H)または置換基を表し、Y31は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。]

請求項14

前記窒素含有層は、下記一般式(4)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(4)中、E401〜E414は、各々−C(R41)=を表し、前記R41は水素原子(H)または置換基を表し、Ar41は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表し、k41は3以上の整数を表す。]

請求項15

前記窒素含有層は、下記一般式(5)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(5)中、R51は置換基を表し、E501,E502、E511〜E515、E521〜E525は、各々−C(R52)=または−N=を表し、E503〜E505は、各々−C(R52)=を表し、前記R52は、水素原子(H)または置換基を表し、E501およびE502のうち少なくとも1つは−N=であり、E511〜E515のうち少なくとも1つは−N=であり、E521〜E525のうち少なくとも1つは−N=である。]

請求項16

前記窒素含有層は、下記一般式(6)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6の何れかに記載の透明電極。[ただし一般式(6)中、E601〜E612は、各々−C(R61)=または−N=を表し、前記R61は水素原子(H)または置換基を表し、Ar61は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。]

請求項17

前記窒素含有層は、下記一般式(7)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明電極。〔ただし一般式(7)中、R71〜R73は、各々水素原子(H)または置換基を表し、Ar71は、芳香族炭化水素環基あるいは芳香族複素環基を表す。〕

請求項18

前記窒素含有層は、下記一般式(8)で表される構造を有する化合物を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明電極。〔ただし一般式(8)中、R81〜R86は、各々水素原子(H)または置換基を表し、E801〜E803は、各々−C(R87)=または−N=を表し、前記R87は、水素原子(H)または置換基を表し、Ar81は、芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基を表す。〕

請求項19

前記窒素含有層は、下記一般式(8a)で表される構造を有する化合物を含有する請求項18に記載の透明電極。〔ただし一般式(8a)中において、E804〜E811は、各々−C(R88)=または−N=を表し、前記R88は、それぞれが水素原子(H)または置換基と表し、E808〜E811のうち少なくとも一つは−N=であり、E804〜E807、E808〜E811は、各々互いに結合して新たな環を形成してもよい。〕

請求項20

請求項1〜19の何れかに記載の透明電極を有する電子デバイス

請求項21

前記電子デバイスが有機電界発光素子である請求項20に記載の電子デバイス。

請求項22

請求項1〜19の何れかに記載の透明電極と、前記透明電極に積層して設けられた発光機能層と、前記透明電極との間に前記発光機能層を挟持する状態で設けられた対向電極とを有する有機電界発光素子。

請求項23

前記発光機能層は、前記窒素含有層との間に前記電極層を挟持する位置に設けられた請求項22記載の有機電界発光素子。

技術分野

0001

本発明は、透明電極電子デバイス、および有機電界発光素子に関し、特には導電性光透過性とを兼ね備えた透明電極、さらにはこの透明電極を用いた電子デバイスおよび有機電界発光素子に関する。

背景技術

0002

有機材料エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:以下ELと記す)を利用した有機電界発光素子(いわゆる有機EL素子)は、数V〜数十V程度の低電圧発光が可能な薄膜型の完全固体素子であり、高輝度高発光効率薄型、軽量といった多くの優れた特徴を有する。このため、各種ディスプレイバックライト看板非常灯等の表示板照明光源等の面発光体として近年注目されている。

0003

このような有機電界発光素子は、2枚の電極間に有機材料を用いて構成された発光層を挟持した構成であり、発光層で生じた発光光電極を透過して外部に取り出される。このため、2枚の電極のうちの少なくとも一方は透明電極として構成される。

0004

透明電極としては、酸化インジウムスズ(SnO2−In2O3:Indium Tin Oxide:ITO)等の酸化物半導体系の材料が一般的に用いられているが、ITOと銀とを積層して低抵抗化を狙った検討もなされている(例えば下記特許文献1,2参照)。しかしながら、ITOはレアメタルインジウムを使用しているため、材料コストが高く、また抵抗下げるために成膜後に300℃程度でアニール処理する必要がある。そこで、電気伝導率の高い銀等の金属材料薄膜化した構成や、銀にアルミニウムを混ぜることにより銀単独よりも薄い膜厚で導電性を確保する構成(例えば下記特許文献3参照)、さらには銀以外の金属からなる下地層上に銀薄膜層を設けた積層構造とすることにより光透過性を確保する構成(例えば下記特許文献4参照)が提案されている。

先行技術

0005

特開2002−15623号公報
特開2006−164961号公報
特開2009−151963号公報
特開2008−171637号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、電気伝導率の高い銀やアルミニウムを用いて構成された透明電極であっても、十分な導電性と光透過性との両立を図ることは困難であった。

0007

そこで本発明は、十分な導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極を提供すること、およびこの透明電極を用いることによって性能の向上が図られた電子デバイスおよび有機電界発光素子を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

このような目的を達成するための本発明の透明電極は、窒素原子(N)を含んだ化合物を用いて構成された窒素含有層と、前記窒素含有層に隣接して設けられた銀(Ag)を主成分とする電極層と、前記窒素含有層よりも高い屈折率を有し、前記電極層と前記窒素含有層とを挟持して配置された2つの高屈折率層とを備える。

0009

また本発明の電子デバイスは、上記構成の透明電極を有することを特徴としている。電子デバイスは、例えば有機電界発光素子であることとする。

0010

以上のように構成された透明電極は、窒素原子を含有する化合物を用いて構成された窒素含有層に対して、銀を主成分とした電極層を隣接させて設けた構成である。これにより銀を主成分とする電極層は、窒素含有層を構成する窒素原子との相互作用により、隣接界面においての銀の拡散距離が減少して凝集が抑えられたものとなる。このため、一般的には核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立し易い銀薄膜が、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の電極層が得られるようになる。

0011

また、窒素含有層よりも屈折率の高い高屈折率層によって窒素含有層および電極層を挟持したことにより、透明電極においての光反射が防止される。

0012

したがって、この透明電極においては、薄い膜厚であることで光透過性を確保しつつも、均一な膜厚であることで導電性が確保された電極層を確実に得ることができ、さらに光反射が防止されたことによる光透過性の向上も期待できる。これにより、銀を用いた透明電極における導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能になる。

発明の効果

0013

以上説明したように本発明によれば、透明電極における導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能になり、またこの透明電極を用いた電子デバイスおよび有機電界発光素子の性能の向上を図ることが可能になる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の透明電極の構成を示す断面模式図である。
窒素原子の結合様式を説明するためのTBACとIr(ppy)3の構造式を示す図である。
ピリジン環の構造式と分子軌道を示す図である。
ピロール環の構造式と分子軌道を示す図である。
イミダゾール環の構造式と分子軌道を示す図である。
δ−カルボリン環の構造式と分子軌道を示す図である。
本発明の透明電極を用いた有機電界発光素子の一例を示す断面構成図である。
窒素含有層の有効非共有電子対含有率[n/M]と、窒素含有層に積層された電極層のシート抵抗との関係を示すグラフである。
実施例2で作製したボトムエミッション型の有機電界発光素子を説明する断面構成図である。

0015

以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて次に示す順に説明する。
1.透明電極
2.透明電極の用途
3.有機電界発光素子
4.照明装置

0016

≪1.透明電極≫
図1は、本発明の実施形態の透明電極の構成を示す断面模式図である。この図に示すように、透明電極1は、窒素含有層1aと、これに隣接して設けられた電極層1bと、これらを挟持する2層の高屈折率層H1,H2とを積層した4層構造であり、例えば基材11の上部に、高屈折率層H1、窒素含有層1a、電極層1b、高屈折率層H2の順に設けられている。このうち、透明電極1における電極部分を構成する電極層1bは、銀(Ag)を主成分として構成された層である。また電極層1bに対する窒素含有層1aは、窒素原子(N)を含有する化合物を用いて構成されており、特に電極層1bを構成する主材料である銀と安定的に結合する窒素原子の非共有電子対を[有効非共有電子対]とし、この[有効非共有電子対]の含有率が所定範囲である化合物を用いていることを特徴としている。また高屈折率層H1,H2は、窒素含有層1aよりも屈折率が高い層である。

0017

以下に、このような積層構造の透明電極1が設けられる基材11、透明電極1を構成する窒素含有層1a、電極層1b、および高屈折率層H1,H2の順に、詳細な構成を説明する。尚、本発明の透明電極1の透明とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。

0018

<基材11>
本発明の透明電極1が形成される基材11は、例えばガラスプラスチック等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、基材11は透明であっても不透明であってもよい。本発明の透明電極1が、基材11側から光を取り出す電子デバイスに用いられる場合には、基材11は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基材11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。

0019

ガラスとしては、例えば、シリカガラスソーダ石灰シリカガラス鉛ガラスホウケイ酸塩ガラス無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、窒素含有層1aとの密着性耐久性平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理を施したり、無機物または有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成される。特に好ましい基材11は、透明電極1およびこれを用いて構成される有機電界発光素子などの電子デバイスにフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。

0021

樹脂フィルムの表面には、無機物または有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成されていてもよい。このような被膜およびハイブリッド被膜は、JIS−K−7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.01g/(m2・24時間)以下のバリア性フィルムバリア膜等ともいう)であることが好ましい。またさらには、JIS−K−7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が10-3ml/(m2・24時間・atm)以下、水蒸気透過度が10-5g/(m2・24時間)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。

0022

以上のようなバリア性フィルムを形成する材料としては、水分や酸素等の素子劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素二酸化珪素窒化珪素等を用いることができる。さらに当該バリア性フィルムの脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層(有機層)の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。

0023

バリア性フィルムの形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法スパッタリング法反応性スパッタリング法分子線エピタキシー法クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法プラズマ重合法大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法レーザーCVD法熱CVD法コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載の大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。

0024

一方、基材11が不透明なものである場合、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属基板、不透明樹脂基板セラミック製の基板等を用いることができる。これらの基板は、フレキシブル屈曲するフィルム状であっても良い。

0025

<窒素含有層1a>
窒素含有層1aは、電極層1bに隣接して設けられた層であり、窒素原子(N)を含有する化合物を用いて構成されている。窒素含有層1aの膜厚は、1μm以下、好ましくは100nm以下である。そして特にこの化合物は、一例として当該化合物に含有される窒素原子のうち、特に電極層1bを構成する主材料である銀と安定的に結合する窒素原子の非共有電子対を[有効非共有電子対]とし、この[有効非共有電子対]の含有率が所定範囲であることを特徴としている。

0026

ここで[有効非共有電子対]とは、化合物に含有される窒素原子が有する非共有電子対のうち、芳香族性関与せずかつ金属に配位していない非共有電子対である。ここでの芳香族性とは、π電子を持つ原子が環状に並んだ不飽和環状構造を言い、いわゆる「ヒュッケル則」に従う芳香族性であって、環上のπ電子系に含まれる電子の数が「4n+2」(n=0、または自然数)個であることを条件としている。

0027

以上のような[有効非共有電子対]は、その非共有電子対を備えた窒素原子自体が、芳香環を構成するヘテロ原子であるか否かにかかわらず、窒素原子が有する非共有電子対が芳香族性と関与しているか否かによって選択される。例えば、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子であっても、その窒素原子の非共有電子対が、芳香族性に必須要素として直接的に関与しない非共有電子対、すなわち共役不飽和環構造(芳香環)上の非局在化したπ電子系に芳香族性発現のために必須のものとして関与していない非共有電子対であれば、その非共有電子対は[有効非共有電子対]の一つとしてカウントされる。これに対して、ある窒素原子が芳香環を構成するヘテロ原子でない場合であっても、その窒素原子の非共有電子対が芳香族性に関与していれば、その窒素原子の非共有電子対は[有効非共有電子対]としてカウントされることはない。尚、各化合物において、上述した[有効非共有電子対]の数nは、[有効非共有電子対]を有する窒素原子の数と一致する。

0028

次に、上述した[有効非共有電子対]について、具体例を挙げて詳細に説明する。

0029

窒素原子は、第15族元素であり、最外殻に5個の電子を有する。このうち3個の不対電子は他の原子との共有結合に用いられ、残りの2個は一対の非共有電子対となる。このため、通常、窒素原子の結合本数は3本である。

0030

例えば、窒素原子を有する基として、アミノ基(−NR1R2)、アミド基(−C(=O)NR1R2)、ニトロ基(−NO2)、シアノ基(−CN)、ジアゾ基(−N2)、アジド基(−N3)、ウレア結合(−NR1C=ONR2−)、イソチオシアネート基(−N=C=S)、チオアミド基(−C(=S)NR1R2)などが挙げられる。尚、R1,R2は、それぞれ水素原子(H)または置換基である。これらの基を構成する窒素原子の非共有電子対は、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していないため、[有効非共有電子対]に該当する。このうち、ニトロ基(−NO2)の窒素原子が有する非共有電子対は、酸素原子との共鳴構造に利用されているものの、以降の実施例で示すように良好な効果が得られていることから、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]として窒素上に存在すると考えられる。

0031

また、窒素原子は、非共有電子対を利用することで4本目の結合を作り出すこともできる。この場合の一例を図2を用いて説明する。図2は、テトラブチルアンモニウムクロライド(TBAC)の構造式と、トリス(2−フェニルピリジンイリジウム(III)[Ir(ppy)3]の構造式である。

0032

このうち、TBACは、四つのブチル基のうちの1つが窒素原子とイオン結合しており、対イオンとして塩化物イオンを有する第四級アンモニウム塩である。この場合、窒素原子の非共有電子対を構成する電子のうちの1つは、ブチル基とのイオン結合に供与される。このため、TBACの窒素原子は、そもそも非共有電子対が存在していないと同等になる。したがって、TBACを構成する窒素原子の非共有電子対は、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]には該当しない。

0033

また、Ir(ppy)3は、イリジウム原子と窒素原子とが配位結合している中性金属錯体である。このIr(ppy)3を構成する窒素原子の非共有電子対は、イリジウム原子に配位していて、配位結合に利用されている。したがって、Ir(ppy)3を構成する窒素原子の非共有電子対も、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]には該当しない。

0034

また、窒素原子は、芳香環を構成することのできるヘテロ原子として一般的であり、芳香族性の発現に寄与することができる。この「含窒素芳香環」としては、たとえば、ピリジン環、ピラジン環ピリミジン環トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環テトラゾール環等が挙げられる。

0035

図3は、以上に例示した基のうちの一つであるピリジン環の構造式と分子軌道を示す図である。図3に示すとおり、ピリジン環は、6員環状に並んだ共役(共鳴不飽和環構造において、非局在化したπ電子の数が6個であるため、4n+2(n=0または自然数)のヒュッケル則を満たす。6員環内の窒素原子は、−CH=を置換したものであるため、1個の不対電子を6π電子系に動員するのみで、非共有電子対は芳香族性発現のために必須のものとして関与していない。

0036

したがって、ピリジン環を構成する窒素原子の非共有電子対は、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]に該当する。

0037

図4は、ピロール環の構造式と分子軌道を示す図である。図4に示すとおり、ピロール環は、5員環を構成する炭素原子のうちの一つが窒素原子に置換された構造であるが、やはりπ電子の数は6個であり、ヒュッケル則を満たした含窒素芳香環である。ピロール環の窒素原子は、水素原子とも結合しているため、非共有電子対が6π電子系に動員される。

0038

したがって、ピロール環の窒素原子は、非共有電子対を有するものの、この非共有電子対は、芳香族性発現のために必須のものとして利用されているため、芳香族性に関与せずかつ金属に配位していない[有効非共有電子対]には該当しない。

0039

図5は、イミダゾール環の構造式と分子軌道を示す図である。図5に示すとおり、イミダゾール環は、二つの窒素原子N1,N2が、5員環内の1、3位に置換した構造を有しており、やはりπ電子数が6個の含窒素芳香環である。このうち一つの窒素原子N1は、1個の不対電子のみを6π電子系に動員し、非共有電子対を芳香族性発現のために利用していないピリジン環型の窒素原子であり、この窒素原子N1の非共有電子対は、[有効非共有電子対]に該当する。これに対して、他方の窒素原子N2は、非共有電子対を6π電子系に動員しているピロール環型の窒素原子であるため、この窒素原子N2の非共有電子対は、[有効非共有電子対]に該当しない。

0040

したがって、イミダゾール環においては、これを構成する二つの窒素原子N1,N2のうちの一つの窒素原子N1の非共有電子対のみが、[有効非共有電子対]に該当する。

0041

以上のような「含窒素芳香環」の窒素原子における非共有電子対の選別は、含窒素芳香環骨格を有する縮合環化合物の場合も同様に適用される。

0042

図6は、δ−カルボリン環の構造式と分子軌道を示す図である。図6に示すとおり、δ−カルボリン環は、含窒素芳香環骨格を有する縮合環化合物であり、ベンゼン環骨格、ピロール環骨格、およびピリジン環骨格がこの順に縮合したアザカルバゾール化合物である。このうち、ピリジン環の窒素原子N3は1個の不対電子のみをπ電子系に動員し、ピロール環の窒素原子N4は非共有電子対をπ電子系に動員しており、環を形成している炭素原子からの11個のπ電子とともに、全体のπ電子数が14個の芳香環となっている。

0043

したがって、δ-カルボリン環の二つの窒素原子N3,N4のうち、ピリジン環を構成する窒素原子N3の非共有電子対は[有効非共有電子対]に該当するが、ピロール環を構成する窒素原子N4の非共有電子対は、[有効非共有電子対]に該当しない。

0044

このように、縮合環化合物を構成する窒素原子の非共有電子対は、縮合環化合物を構成するピリジン環やピロール環等の単環化合物中の結合と同様に、縮合環化合物中の結合に関与する。

0045

そして以上説明した[有効非共有電子対]は、電極層1bの主成分である銀と強い相互作用を発現するために重要である。そのような[有効非共有電子対]を有する窒素原子は、安定性、耐久性の観点から、含窒素芳香環中の窒素原子であることが好ましい。したがって、窒素含有層1aに含有される化合物は、[有効非共有電子対]を持つ窒素原子をヘテロ原子とした芳香族複素環を有することが好ましい。

0046

特に本実施形態においては、このような化合物の分子量Mに対する[有効非共有電子対]の数nを、例えば有効非共有電子対含有率[n/M]と定義する。そして窒素含有層1aは、この[n/M]が、2.0×10-3≦[n/M]となるように選択された化合物を用いて構成されているところが特徴的である。また窒素含有層1aは、以上のように定義される有効非共有電子対含有率[n/M]が、3.9×10-3≦[n/M]の範囲であれば好ましく、6.5×10-3≦[n/M]の範囲であればさらに好ましい。

0047

また窒素含有層1aは、有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲である化合物を用いて構成されていれば良く、このような化合物のみで構成されていても良く、またこのような化合物と他の化合物とを混合して用いて構成されていても良い。他の化合物は、窒素原子が含有されていてもいなくても良く、さらに有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲でなくても良い。

0048

窒素含有層1aが、複数の化合物を用いて構成されている場合、例えば化合物の混合比に基づき、これらの化合物を混合した混合化合物の分子量Mを求め、この分子量Mに対しての[有効非共有電子対]の合計の数nを、有効非共有電子対含有率[n/M]の平均値として求め、この値が上述した所定範囲であることが好ましい。つまり窒素含有層1a自体の有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であることが好ましい。

0049

尚、窒素含有層1aが、複数の化合物を用いて構成されている場合であって、膜厚方向に化合物の混合比(含有比)が異なる構成であれば、電極層1bと接する側の窒素含有層1aの界面における有効非共有電子対含有率[n/M]が所定範囲であれば良い。

0050

[化合物I]
以下に、窒素含有層1aを構成する化合物として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]が2.0×10-3≦[n/M]を満たす化合物の具体例(No.1〜No.48)を示す。各化合物No.1〜No.48には、[有効非共有電子対]を有する窒素原子に対して○を付した。また、下記表1には、これらの化合物No.1〜No.48の分子量M、[有効非共有電子対]の数n、および有効非共有電子対含有率[n/M]を示す。下記化合物33の銅フタロシアニンにおいては、窒素原子が有する非共有電子対のうち銅に配位していない非共有電子対が[有効非共有電子対]としてカウントされる。

0051

0052

0053

0054

0055

0056

0057

0058

尚、上記表1には、これらの例示化合物が、以降に説明する他の化合物を表す一般式(1)〜(8a)にも属する場合の該当一般式を示した。

0059

[化合物II]
また窒素含有層1aを構成する化合物としては、以上のような有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲である化合物に加え、他の化合物を用いても良い。窒素含有層1aに用いられる他の化合物は、有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した所定範囲で有る無しにかかわらず、窒素原子を含有する化合物が好ましく用いられる。中でも[有効非共有電子対]を有する窒素原子を含有する化合物が特に好ましく用いられる。また、窒素含有層1aに用いられる他の化合物は、この窒素含有層1aを備えた透明電極1が適用される電子デバイスごとに必要とされる性質を有する化合物が用いられる。例えば、この透明電極1が、有機電界発光素子の電極として用いられる場合、その成膜性や、電子輸送性の観点から、窒素含有層1aを構成する化合物として、以降に説明する一般式(1)〜(8a)で表される構造を有する化合物が好ましく用いられる。

0060

これらの一般式(1)〜(8a)で示される構造を有する化合物の中には、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまる化合物も含まれ、このような化合物であれば単独で窒素含有層1aを構成する化合物として用いることができる(上記表1参照)。一方、下記一般式(1)〜(8a)で示される構造を有する化合物が、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまらない化合物であれば、有効非共有電子対含有率[n/M]が上述した範囲の化合物と混合することで窒素含有層1aを構成する化合物として用いることができる。

0061

0062

上記一般式(1)中におけるX11は、−N(R11)−または−O−を表す。また一般式(1)中におけるE101〜E108は、各々−C(R12)=または−N=を表す。E101〜E108のうち少なくとも1つは−N=である。上記R11およびR12は、それぞれが水素原子(H)または置換基を表す。

0063

この置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基エチル基プロピル基イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基芳香族炭素環基アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基トリル基キシリル基ナフチル基アントリル基アズレニル基、アセナフテニル基フルオレニル基フェナントリル基インデニル基ピレニル基ビフェニリル基)、芳香族複素環基(例えば、フリル基チエニル基ピリジル基ピリダジニル基ピリミジニル基ピラジニル基、トリアジニル基イミダゾリル基ピラゾリル基チアゾリル基キナゾリニル基、カルバゾリル基カルボニル基ジアザカルバゾリル基(上記カルボリニル基のカルボリン環を構成する任意の炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基エトキシ基プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基プロピルチオ基、ペンチチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基、ピペリジル基(ピペリジニル基ともいう)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子塩素原子臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基メルカプト基シリル基(例えば、トリメチルシリル基トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、リン酸エステル基(例えば、ジヘキシルホスホリル基等)、亜リン酸エステル基(例えばジフェニルホスフィニル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。

0064

これらの置換基の一部は、上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。これらの置換基は、化合物と銀(Ag)との相互作用を阻害することのないものが好ましく用いられ、さらには上述した有効非共有電子対を有する窒素原子を有するものが特に好ましく適用される。尚、以上の置換基に関する記述は、以降に説明する一般式(2)〜(8a)の説明において示される置換基において同様に適用される。

0065

以上のような一般式(1)で表される構造を有する化合物は、化合物中の窒素原子と、電極層1bを構成する銀との間で強力な相互作用を発現できるため、好ましい。

0066

0067

上記一般式(1a)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(1)で示される構造を有する化合物の一形態であり、一般式(1)におけるX11を−N(R11)−とした化合物である。このような化合物であれば、上記相互作用をより強力に発現できるため、好ましい。

0068

0069

上記一般式(1a−1)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(1a)で示される構造を有する化合物の一形態であり、一般式(1a)におけるE104を−N=とした化合物である。このような化合物であれば、より効果的に上記相互作用を発現できるため、好ましい。

0070

0071

上記一般式(1a−2)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(1a)で示される構造を有する化合物の他の一形態であり、一般式(1a)におけるE103およびE106を−N=とした化合物である。このような化合物は、窒素原子の数が多いことから、より強力に上記相互作用を発現できるため、好ましい。

0072

0073

上記一般式(1b)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(1)で示される構造を有する化合物の他の一形態であり、一般式(1)におけるX11を−O−とし、E104を−N=とした化合物である。このような化合物であれば、より効果的に上記相互作用を発現できるため、好ましい。

0074

さらに、以下の一般式(2)〜(8a)で表される構造を有する化合物であれば、より効果的に上記相互作用を発現できるため、好ましい。

0075

0076

上記一般式(2)は、一般式(1)の一形態でもある。上記一般式(2)の式中、Y21は、アリーレン基ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。E201〜E216、E221〜E238は、各々−C(R21)=または−N=を表す。R21は水素原子(H)または置換基を表す。ただし、E221〜E229の少なくとも1つ、およびE230〜E238の少なくとも1つは−N=を表す。k21およびk22は0〜4の整数を表すが、k21+k22は2以上の整数である。

0077

一般式(2)において、Y21で表されるアリーレン基としては、例えば、o−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフタレンジイル基アントラセンジイル基ナフタセンジイル基ピレンジイル基、ナフチルナフタレンジイル基、ビフェニルジイル基(例えば、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイル基、3,3’−ビフェニルジイル基、3,6−ビフェニルジイル基等)、テルフェニルジイル基、クアテルフェニルジイル基、キンクフェニルジイル基、セキシフェニルジイル基、セプチフェニルジイル基、オクチフェニルジイル基、ノビフェニルジイル基、デシフェニルジイル基等が例示される。

0078

また一般式(2)において、Y21で表されるヘテロアリーレン基としては、例えば、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(モノアザカルボリン環ともいい、カルボリン環を構成する炭素原子のひとつが窒素原子で置き換わった構成の環構成を示す)、トリアゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、キノキサリン環、チオフェン環オキサジアゾール環ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、インドール環からなる群から導出される2価の基等が例示される。

0079

Y21で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、ヘテロアリーレン基の中でも、3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基を含むことが好ましく、また、当該3環以上の環が縮合してなる縮合芳香族複素環から導出される基としては、ジベンゾフラン環から導出される基またはジベンゾチオフェン環から導出される基が好ましい。

0080

一般式(2)において、E201〜E208のうちの6つ以上、およびE209〜E216のうちの6つ以上が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。

0081

一般式(2)において、E225〜E229の少なくとも1つ、およびE234〜E238の少なくとも1つが−N=を表すことが好ましい。

0082

さらには、一般式(2)において、E225〜E229のいずれか1つ、およびE234〜E238のいずれか1つが−N=を表すことが好ましい。

0083

また、一般式(2)において、E221〜E224およびE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい態様として挙げられる。

0084

さらに、一般式(2)で表される構造を有する化合物において、E203が−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましく、さらに、E211も同時に−C(R21)=で表され、かつR21が連結部位を表すことが好ましい。

0085

さらに、E225及びE234が−N=で表されることが好ましく、E221〜E224およびE230〜E233が、各々−C(R21)=で表されることが好ましい。

0086

0087

上記一般式(3)は、一般式(1a−2)の一形態でもある。上記一般式(3)の式中、E301〜E312は、各々−C(R31)=を表し、R31は水素原子(H)または置換基を表す。また、Y31は、アリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基を表す。

0088

また一般式(3)において、Y31で表されるアリーレン基、ヘテロアリーレン基またはそれらの組み合わせからなる2価の連結基の好ましい態様としては、一般式(2)のY21と同様のものが挙げられる。

0089

0090

上記一般式(4)は、一般式(1a−1)の一形態でもある。上記一般式(4)の式中、E401〜E414は、各々−C(R41)=を表し、R41は水素原子(H)または置換基を表す。またAr41は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。さらにk41は3以上の整数を表す。

0091

また一般式(4)において、Ar41が芳香族炭化水素環を表す場合、この芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環アズレン環アントラセン環フェナントレン環、ピレン環クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は、さらに一般式(1)のR11,R12として例示した置換基を有しても良い。

0092

また一般式(4)において、Ar41が芳香族複素環を表す場合、この芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環等が挙げられる。尚、アザカルバゾール環とは、カルバゾール環を構成するベンゼン環の炭素原子が1つ以上窒素原子で置き換わったものを示す。これらの環は、さらに一般式(1)において、R11,R12として例示した置換基を有しても良い。

0093

0094

上記一般式(5)の式中、R51は置換基を表す。E501,E502、E511〜E515、E521〜E525は、各々−C(R52)=または−N=を表す。E503〜E505は、各々−C(R52)=を表す。R52は、水素原子(H)または置換基を表す。E501およびE502のうちの少なくとも1つは−N=であり、E511〜E515のうちの少なくとも1つは−N=であり、E521〜E525のうちの少なくとも1つは−N=である。

0095

0096

上記一般式(6)の式中、E601〜E612は、各々−C(R61)=または−N=を表し、R61は水素原子(H)または置換基を表す。またAr61は、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環を表す。

0097

また一般式(6)において、Ar61が表す、置換あるいは無置換の、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環は、一般式(4)のAr41と同様のものが挙げられる。

0098

0099

上記一般式(7)の式中、R71〜R73は、各々水素原子(H)または置換基を表し、Ar71は、芳香族炭化水素環基あるいは芳香族複素環基を表す。

0100

また一般式(7)において、Ar71が表す、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環は、一般式(4)のAr41と同様のものが挙げられる。

0101

0102

上記一般式(8)は、一般式(7)の一形態でもある。上記一般式(8)の式中、R81〜R86は、各々水素原子(H)又は置換基を表す。E801〜E803は、各々−C(R87)=または−N=を表し、R87は水素原子(H)または置換基を表す。Ar81は、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。

0103

また一般式(8)において、Ar81が表す、芳香族炭化水素環あるいは芳香族複素環は、一般式(4)のAr41と同様のものが挙げられる。

0104

0105

上記一般式(8a)で示される構造を有する化合物は、上記一般式(8)で示される構造を有する化合物の一形態であり、一般式(8)におけるAr81がカルバゾール誘導体である。上記一般式(8a)の式中、E804〜E811は、各々−C(R88)=または−N=を表し、R88は水素原子(H)または置換基を表す。E808〜E811のうち少なくとも一つは−N=であり、E804〜E807、E808〜E811は、各々互いに結合して新たな環を形成してもよい。

0106

[化合物III]
また窒素含有層1aを構成するさらに他の化合物として、以上のような一般式(1)〜(8a)で表される構造を有する化合物の他、下記に具体例を示す化合物1〜166が例示される。これらの化合物は、電極層1bを構成する銀と相互作用する窒素原子を含有する化合物である。また、これらの化合物は、電子輸送性または電子注入性を備えた材料である。したがって、これらの化合物を用いて窒素含有層1aを構成した透明電極1は、有機電界発光素子における透明電極として好適であり、有機電界発光素子における電子輸送層または電子注入層として窒素含有層1aを用いることができるのである。尚、これらの化合物1〜166の中には、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]の範囲に当てはまる化合物も含まれ、このような化合物であれば単独で窒素含有層1aを構成する化合物として用いることができる。さらに、これらの化合物1〜166の中には、上述した一般式(1)〜(8a)に当てはまる化合物もある。

0107

0108

0109

0110

0111

0112

0113

0114

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0138

0139

0140

0141

0142

[化合物の合成例]
以下に代表的な化合物の合成例として、化合物5の具体的な合成例を示すが、これに限定されない。

0143

0144

工程1:(中間体1の合成)
窒素雰囲気下、2,8−ジブロモジベンゾフラン(1.0モル)、カルバゾール(2.0モル)、銅粉末(3.0モル)、炭酸カリウム(1.5モル)を、DMAc(ジメチルアセトアミド)300ml中で混合し、130℃で24時間撹拌した。これによって得た反応液を室温まで冷却後、トルエン1Lを加え、蒸留水で3回洗浄し、減圧雰囲気下において洗浄物から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘプタン:トルエン=4:1〜3:1)にて精製し、中間体1を収率85%で得た。

0145

工程2:(中間体2の合成)
室温、大気下で中間体1(0.5モル)をDMFジメチルホルムアミド)100mlに溶解し、NBS(N−ブロモコハク酸イミド)(2.0モル)を加え、一晩室温で撹拌した。得られた沈殿濾過し、メタノールで洗浄し、中間体2を収率92%で得た。

0146

工程3:(化合物5の合成)
窒素雰囲気下、中間体2(0.25モル)、2−フェニルピリジン(1.0モル)、ルテニウム錯体[(η6−C6H6)RuCl2]2(0.05モル)、トリフェニルホスフィン(0.2モル)、炭酸カリウム(12モル)を、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)3L中で混合し、140℃で一晩撹拌した。

0147

反応液を室温まで冷却後、ジクロロメタン5Lを加え、反応液を濾過した。次いで減圧雰囲気下(800Pa、80℃)において濾液から溶媒を留去し、その残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(CH2Cl2:Et3N=20:1〜10:1)にて精製した。

0148

減圧雰囲気下において、精製物から溶媒を留去した後、その残渣をジクロロメタンに再び溶解し、水で3回洗浄した。洗浄によって得られた物質無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧雰囲気下において乾燥後の物質から溶媒を留去することにより、化合物5を収率68%で得た。

0149

[窒素含有層1aの成膜方法
以上のような窒素含有層1aが基材11上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、塗布法インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。なかでも蒸着法が好ましく適用される。

0150

特に、複数の化合物を用いて窒素含有層1aを成膜する場合であれば、複数の蒸着源から複数の化合物を同時に供給する共蒸着が適用される。また化合物として高分子材料を用いる場合であれば、塗布法が好ましく適用される。この場合、化合物を溶媒に溶解させた塗布液を用いる。化合物を溶解させる溶媒が限定されることはない。さらに、複数の化合物を用いて窒素含有層1aを成膜する場合であれば、複数の化合物を溶解させることが可能な溶媒を用いて塗布液を作製すれば良い。

0151

<電極層1b>
電極層1bは、銀を主成分として構成された層であって、銀または銀を主成分とした合金を用いて構成され、窒素含有層1aに隣接して成膜された層である。

0152

電極層1bを構成する銀(Ag)を主成分とする合金は、一例として銀マグネシウム(AgMg)、銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、銀パラジウム銅(AgPdCu)、銀インジウム(AgIn)、銀アルミニウム(AgAl)などが挙げられる。

0153

以上のような電極層1bは、銀または銀を主成分とした合金の層が、必要に応じて複数の層に分けて積層された構成であっても良い。

0154

さらにこの電極層1bは、膜厚が4〜12nmの範囲にあることが好ましい。膜厚が12nm以下であることにより、層の吸収成分または反射成分が低く抑えられ、透明電極の光透過率が維持されるため好ましい。また、膜厚が4nm以上であることにより、層の導電性も確保される。

0155

[電極層1bの成膜方法]
以上のような電極層1bの成膜方法としては、塗布法、インクジェット法、コーティング法、ディップ法などのウェットプロセスを用いる方法や、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)、スパッタ法、CVD法などのドライプロセスを用いる方法などが挙げられる。

0156

例えば、スパッタ法を適用した電極層1bの成膜であれば、銀を主成分とした合金のスパッタターゲット用意し、このスパッタゲートを用いたスパッタ成膜を行う。上述した合金の全ての場合において、スパッタ法を適用した電極層1bの成膜が行われるが、特に銀銅(AgCu)、銀パラジウム(AgPd)、または銀パラジウム銅(AgPdCu)を成膜する場合には、スパッタ法を適用した電極層1bの成膜が行われる。

0157

また特に、銀アルミニウム(AgAl)、銀マグネシウム(AgMg)、銀インジウム(AgIn)を成膜する場合であれば、蒸着法を適用した電極層1bの成膜も行われる。蒸着法の場合、合金成分と銀(Ag)とを共蒸着する。この際、合金成分の蒸着速度と銀(Ag)の蒸着速度とをそれぞれ調整することにより、主材料である銀(Ag)に対する合金成分の添加濃度を調整した蒸着成膜を行う。

0158

また電極層1bは、窒素含有層1a上に成膜されることにより、成膜後の高温アニール処理等がなくても十分に導電性を有することを特徴とするが、必要に応じて、成膜後に高温アニール処理等を行ったものであっても良い。

0159

<高屈折率層H1,H2>
高屈折率層H1,H2は、窒素含有層1aよりも高い屈折率を有する層である。高屈折率層H1,H2の屈折率は、波長550nmにおける屈折率(n)が、窒素含有層1aの屈折率(n=1.6〜1.8)より0.1以上高いと好ましく、0.3以上高いとさらに好ましい。典型的には、波長550nmにおける屈折率(n)が2.0以上の層であることが好ましい。

0160

このような高屈折率層H1,H2は、高屈折率材料や、光学フィルムに一般的に用いられる材料が挙げられ、例えば、酸化インジウム(In2O3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)、または酸化ニオブ(Nb2O5)を主成分とする酸化物で構成されている。このような酸化物の一例としては、酸化チタン(TiO2:n=2.3〜2.4)、酸化インジウムスズ(ITO:n=2.1〜2.2)、酸化インジウム亜鉛(In2O3+ZnO:n=2.0〜2.4、例えばIZO)、酸化亜鉛(ZnO:n=1.9〜2.0)、酸化ニオブ(Nb2O5:n=2.2〜2.4)等が例示される。このような高屈折率材料は、透明電極の反射を抑制してくれるため好ましい。

0161

以上の他にも、酸化ハフニウム(HfO2:n=1.9〜2.1)、五酸化タンタル(Ta2O5:n=2.16)、酸化セリウム(CeO2:n=2.2)、酸化カドミウム(CdO:n=2.49)、酸化ジルコニウム(ZrO:n=2.4)等が、高屈折率層H1,H2として用いられる。

0162

また、各高屈折率層H1,H2は、導電性を有する材料で構成されている場合であっても、主たる電極として用いられることはない。このため各高屈折率層H1,H2は、電極として必要な膜厚を備えている必要はなく、これらの高屈折率層H1,H2を備えた透明電極1が用いられる電子デバイス中における透明電極1の配置状態によって、適切に設定された膜厚を有していれば良い。

0163

以上のような2つの高屈折率層H1,H2は、同じ材料で構成されたものであっても良いし、異なる材料で構成されたものであっても良い。また同じ膜厚であっても良いし異なる膜厚であっても良い。

0164

[高屈折率層H1,H2の成膜方法]
以上のような高屈折率層H1,H2が基材11上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)またはスパッタ法が挙げられる。特に、EB蒸着であれば、イオンアシストを用いた方法が好適である。このような高屈折率層H1,H2の成膜方法は、これを構成する材料によって適切な方法が選択されることとする。例えば、酸化亜鉛(ZnO)または酸化チタン(TiO2)を用いた高屈折率層H1,H2の成膜であれば蒸着法が適用される。また酸化インジウム(In2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、または酸化ニオブ(Nb2O5)を用いた高屈折率層H1,H2の成膜であればスパッタ法が適用される。

0165

尚、ここでの図示は省略したが、透明電極1は、光透過性の向上を目的として、さらに高屈折率層H1,H2の外側に接して低屈折率層を有するものであっても良い。このような低屈折率層は、高屈折率層H1,H2よりも低い屈折率を有する層である。特に波長550nmにおける屈折率が、高屈折率層H1,H2よりも0.1以上低いことが好ましく、高屈折率層H1,H2よりも0.3以上低いことがさらに好ましい。このような低屈折率層は、低い屈折率と、光透過性とを有する材料で構成される。例えば、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)等の低屈折率材料や、光学フィルムに一般的に用いられる材料が挙げられる。

0166

また以上のような透明電極1は、基材11との間に透明電極1が挟持される状態で、保護膜で覆われていたり、別の導電性層が積層されていても良い。この場合、透明電極1の光透過性を損なうことのないように、保護膜及び導電性層が光透過性を有することが好ましい。また、透明電極1と基材11との間にも、必要に応じた層を設けた構成としても良い。

0167

<透明電極1の効果>
以上のように構成された透明電極1は、窒素原子を含有する化合物を用いて構成された窒素含有層1aに隣接させて、銀を主成分とした電極層1bを設けた構成である。これにより、窒素含有層1aに隣接させて電極層1bを成膜する際には、電極層1bを構成する銀原子が窒素含有層1aを構成する窒素原子を含んだ化合物と相互作用し、銀原子の窒素含有層1a表面においての拡散距離が減少し、銀の凝集が抑えられる。このため、一般的には核成長型(Volumer−Weber:VW型)での膜成長により島状に孤立し易い銀薄膜が、単層成長型(Frank−van der Merwe:FM型)の膜成長によって成膜されるようになる。したがって、薄い膜厚でありながらも、均一な膜厚の電極層1bが得られるようになる。

0168

また特に、窒素含有層1aに対する電極層1bを構成する銀の結合安定性の指標として、上述した有効非共有電子対含有率[n/M]を適用し、この値が2.0×10-3≦[n/M]となる化合物を用いて窒素含有層1aを構成することで、上述したような「銀の凝集を抑える」効果が確実に得られる窒素含有層1aを設けることが可能になる。これは、後の実施例で詳細に説明するように、このような窒素含有層1a上には、6nmと言った極薄膜でありながらもシート抵抗の測定が可能な電極層1bが形成されることからも確認された。

0169

また、窒素含有層1aよりも屈折率の高い高屈折率層H1,H2によって窒素含有層1aおよび電極層1bを挟持した4層構造としたことにより、透明電極1においての光反射が防止され、これによる光透過性の向上も期待できる。また高屈折率層H1,H2を構成する材料は、一般的に緻密な膜質を有しているため、電極層1bに隣接して緻密な膜質の高屈折率層H2が配置されることによっても、電極層1bを構成する銀(Ag)のマイグレーションを防止できる。

0170

したがって、この透明電極1においては、薄い膜厚であることで光透過性を確保しつつも、均一な膜厚であることで導電性が確保された電極層1bを確実に得ることができ、さらに光反射が防止されたことによる光透過性の向上も期待できる。これにより、銀を用いた透明電極1における導電性の向上と光透過性の向上との両立と共に、電極層1bの膜質の維持による信頼性の向上を図ることが可能になる。

0171

またこのような透明電極1は、レアメタルであるインジウム(In)を用いていないため低コストであり、またZnOのような化学的に不安定な材料を用いていないことからも長期信頼性に優れたものとなる。

0172

≪2.透明電極の用途≫
上述した構成の透明電極1は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、有機電界発光素子、LED(light Emitting Diode)、液晶素子太陽電池タッチパネル等が挙げられ、これらの電子デバイスにおいて光透過性を必要とされる電極部材として、上述の透明電極1を用いることができる。

0173

以下では、用途の一例として、透明電極をアノードおよびカソードとして用いた有機電界発光素子の実施の形態を説明する。

0174

≪3.有機電界発光素子≫
<透明電極を用いた有機電界発光素子の構成>
図7は、本発明の電子デバイスの一例として、上述した透明電極1を用いた有機電界発光素子の一構成例を示す断面構成図である。以下にこの図に基づいて有機電界発光素子の構成を説明する。

0175

図7に示す有機電界発光素子ELは、透明基板13上に設けられており、透明基板13側から順に、透明電極1、発光機能層3(正孔注入層3a/正孔輸送層3b/発光層3c/電子輸送層3d/電子注入層3e)、および対向電極5が積層されている。このうち、透明電極1として、先に説明した本発明の透明電極1を用いているところが特徴的である。このため本実施形態に係る有機電界発光素子ELは、少なくとも透明基板13側から発光光hを取り出すボトムエミッション型として構成されている。
尚、図7に示した例では、透明電極1がアノード(すなわち陽極)側に配置された構成であるが、カソード(すなわち陰極)として用いられることで逆積み型としてもよい。

0176

また有機電界発光素子ELの全体的な層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であって良い。例えば、有機電界発光素子ELにおいて、透明電極1を発光機能層3上の上部電極として配置してもよく、この場合、発光機能層3の下部電極として対向電極5を配置させる構成となる。また、発光機能層3に対する上部電極及び下部電極として透明電極1を配置させてもよい。

0177

<有機電界発光素子の構成層
以下、本発明の有機電界発光素子ELにおける代表的な構成としては、以下の構成を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)陽極/発光層/陰極
(2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(4)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(7)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/(電子阻止層/)発光層/(正孔阻止層/)電子輸送層/電子注入層/陰極
上記の中で(7)の構成が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。上記の代表的な素子構成において、陽極と陰極を除く層が、発光性を有する発光機能層3である。また、陽極又は陰極は、本願の透明電極1又は対向電極5のいずれかで構成する。

0178

<発光機能層3>
発光機能層3は、透明電極1と対向電極5との間に挟持された層であって、透明電極1及び対向電極5とともに有機電界発光素子ELを構成している。この発光機能層3は、一般的な有機電界発光素子における発光機能層の層構造であって良く、有機材料で構成された発光層3cを有することが必須である。

0179

上記構成において発光層3cは、単層または複数層で構成される。発光層3cが複数の場合は各発光層の間に非発光性の中間層を設けてもよい。また、必要に応じて、発光層3cと陰極との間に正孔阻止層(正孔障壁層ともいう)や電子注入層3e(陰極バッファー層ともいう)を設けてもよく、また、発光層と陽極との間に電子阻止層(電子障壁層ともいう)や正孔注入層3a(陽極バッファー層ともいう)を設けてもよい。

0180

電子輸送層3dは、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層3dに含まれる。また、正孔輸送層3bは、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層3bに含まれる。
また、電子輸送層3d及び正孔輸送層3bは、複数層で構成されていてもよい。

0181

タンデム構造
また、有機電界発光素子は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニットを複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。

0182

発光ユニットとは、例えば、上記の代表的な素子構成で挙げた(1)〜(7)の構成から陽極及び陰極を除いた構成である。そして、上記有機電界発光素子ELの構成においては、発光性を有する発光機能層3に該当する。

0183

タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば以下の構成を挙げることができる。
(1.1)陽極/第1発光ユニット/中間層/第2発光ユニット/陰極
(2.2)陽極/第1発光ユニット/中間層/第2発光ユニット/中間層/第3発光ユニット/陰極

0184

ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニットおよび第3発光ユニットは全て同じであっても、異なっていてもよい。また2つの発光ユニットが同じであり、残る1つが異なっていてもよい。

0185

また、複数の発光ユニットは直接積層されていても、中間層を介して積層されていてもよく、中間層は、一般的に中間電極中間導電層電荷発生層電子引抜層、接続層中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。

0186

中間層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO2、TiN、ZrN、HfN、TiOx、VOx、CuI、InN、GaN、CuAlO2、CuGaO2、SrCu2O2、LaB6、RuO2、Al等の導電性無機化合物層や、Au/Bi2O3等の2層膜や、SnO2/Ag/SnO2、ZnO/Ag/ZnO、Bi2O3/Au/Bi2O3、TiO2/TiN/TiO2、TiO2/ZrN/TiO2等の多層膜、またC60等のフラーレン類オリゴチオフェン等の導電性有機物層金属フタロシアニン類無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0187

発光ユニット内の好ましい構成としては、例えば上記の代表的な素子構成で挙げた(1)〜(7)の構成が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0188

タンデム型有機電界発光素子の具体例としては、例えば、米国特許第6,337,492号、米国特許第7,420,203号、米国特許第7,473,923号、米国特許第6,872,472号、米国特許第6,107,734号、米国特許第6,337,492号、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号、特開2006−24791号、特開2006−49393号、特開2006−49394号、特開2006−49396号、特開2011−96679号、特開2005−340187号、特許第4711424号、特許第3496681号、特許第3884564号、特許第4213169号、特開2010−192719号、特開2009−076929号、特開2008−078414号、特開2007−059848号、特開2003−272860号、特開2003−045676号、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0189

以下、本発明の有機電界発光素子ELを構成する各層について説明する。

0190

[発光層3c]
発光層3cは、電極または隣接層から注入されてくる電子及び正孔が再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する層であり、発光する部分は発光層3cの層内であっても、発光層3cと隣接層との界面であってもよい。本発明に係る発光層3cは、本発明で規定する要件を満たしていれば、その構成に特に制限はない。

0191

発光層3cの膜厚の総和は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧印加するのを防止し、且つ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、より好ましくは2nm〜500nmの範囲に調整され、更に好ましくは5nm〜200nmの範囲に調整される。

0192

また、個々の発光層3cの膜厚としては、2nm〜1μmの範囲に調整することが好ましく、より好ましくは2nm〜200nmnmの範囲に調整され、更に好ましくは3nm〜150nmの範囲に調整される。

0193

発光層3cは、発光ドーパント発光性ドーパント化合物、ドーパント化合物、単にドーパントともいう)と、ホスト化合物マトリックス材料発光ホスト化合物、単にホストともいう)とを含有することが好ましい。

0194

(1.発光ドーパント)
発光層3cに用いられる発光ドーパントについて説明する。
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント蛍光ドーパント蛍光性化合物ともいう)と、リン光発光性ドーパントリン光ドーパントリン光性化合物ともいう)が好ましく用いられる。本発明においては、少なくとも1層の発光層3cがリン光発光ドーパントを含有することが好ましい。

0195

発光層3c中の発光ドーパントの濃度については、使用される特定のドーパントおよびデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができ、発光層3cの膜厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。

0196

また、発光ドーパントは、複数種を併用して用いてもよく、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。

0197

有機電界発光素子ELが発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルセンシング(株)製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。

0198

有機電界発光素子ELは、1層または複数層の発光層3cが、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、白色発光を示すことも好ましい。
白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に限定はないが、例えば青と橙や、青と緑と赤の組み合わせ等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子ELにおける白色とは、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/m2でのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。

0199

(1−1.リン光発光性ドーパント)
リン光発光性ドーパント(以下、「リン光ドーパント」という)について説明する。
本発明に係るリン光ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が、25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。

0200

上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に係るリン光ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。

0201

リン光ドーパントの発光は原理としては二種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光ドーパントに移動させることでリン光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つはリン光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光ドーパント上でキャリアの再結合が起こりリン光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。

0202

リン光ドーパントは、有機電界発光素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。

0203

本発明に使用できる公知のリン光ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。

0204

Nature 395,151 (1998)、Appl. Phys. Lett. 78, 1622 (2001)、Adv. Mater. 19, 739 (2007)、Chern. Mater. 17, 3532 (2005)、Adv. Mater. 17, 1059 (2005)、国際公開第2009100991号、国際公開第2008101842号、国際公開第2003040257号、米国特許公開第2006835469号、米国特許公開第20060202194号、米国特許公開第20070087321号、米国特許公開第20050244673号。

0205

Inorg. Chern. 40, 1704 (2001)、Chern. Mater. 16, 2480 (2004)、Adv. Mater. 16, 2003 (2004)、Angew. Chern. lnt. Ed. 2006, 45, 7800、Appl. Phys. Lett. 86, 153505 (2005)、Chern. Lett. 34, 592 (2005)、Chern. Commun. 2906 (2005)、Inorg. Chern. 42, 1248 (2003)、国際公開第2009050290号、国際公開第2002015645号、国際公開第2009000673号、米国特許公開第20020034656号、米国特許第7332232号、米国特許公開第20090108737号、米国特許公開第20090039776号、米国特許第6921915号、米国特許第6687266号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20060008670号、米国特許公開第20090165846号、米国特許公開第20080015355号、米国特許第7250226号、米国特許第7396598号、米国特許公開第20060263635号、米国特許公開第20030138657号、米国特許公開第20030152802号、米国特許第7090928号。

0206

Angew. Chern. lnt. Ed. 47, 1 (2008)、Chern. Mater. 18, 5119 (2006)、Inorg. Chern. 46, 4308 (2007)、Organometallics 23, 3745 (2004)、Appl. Phys. Lett. 74, 1361 (1999)、国際公開第2002002714号、国際公開第2006009024号、国際公開第2006056418号、国際公開第2005019373号、国際公開第2005123873号、国際公開第2005123873号、国際公開第2007004380号、国際公開第2006082742号、米国特許公開第20060251923号、米国特許公開第20050260441号、米国特許第7393599号、米国特許第7534505号、米国特許第7445855号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20080297033号、米国特許第7338722号、米国特許公開第20020134984号、米国特許第7279704号、米国特許公開第2006098120号、米国特許公開第2006103874号。

0207

国際公開第2005076380号、国際公開第2010032663号、国際公開第第2008140115号、国際公開第2007052431号、国際公開第2011134013号、国際公開第2011157339号、国際公開第2010086089号、国際公開第2009113646号、国際公開第2012020327号、国際公開第2011051404号、国際公開第2011004639号、国際公開第2011073149号、米国特許公開第2012228583号、米国特許公開第2012212126号、特開2012−069737号、特開2012−195554号、特開2009−114086号、特開2003−81988号、特開2002−302671号、特開2002−363552号等。

0208

中でも、好ましいリン光ドーパントとしてはIrを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも1つの配位様式を含む錯体が好ましい。

0209

以下、発光層3cに適用可能な公知のリン光ドーパントの具体例D1〜D81を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。

0210

0211

0212

0213

0214

0215

(1−2.蛍光発光性ドーパント)
蛍光発光性ドーパント(以下、「蛍光ドーパント」という)について説明する。

0216

蛍光ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。

0217

蛍光ドーパントとしては、例えば、アントラセン誘導体ピレン誘導体クリセン誘導体フルオランテン誘導体ペリレン誘導体フルオレン誘導体アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体アリールアミン誘導体ホウ素錯体クマリン誘導体ピラン誘導体シアニン誘導体クロコニウム誘導体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体ローダミン誘導体ピリリウム誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又は希土類錯体系化合物等が挙げられる。
また、近年では遅延蛍光を利用した発光ドーパントも開発されており、これらを用いてもよい。

0218

また、蛍光ドーパントとして、遅延蛍光を利用したものの具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011−213643号、特開2010−93181号等に記載の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0219

(2.ホスト化合物)
ホスト化合物は、発光層3cにおいて主に電荷の注入および輸送を担う化合物であり、有機電界発光素子ELにおいてそれ自体の発光は実質的に観測されない。
好ましくは室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であり、さらに好ましくはリン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層3cに含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。

0220

また、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有される発光ドーパントの励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。

0221

ホスト化合物は、単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機電界発光素子ELを高効率化することができる。

0222

発光層3cに用いるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機電界発光素子で用いられる化合物を用いることができる。例えば、低分子化合物や、繰り返し単位を有する高分子化合物でもよく、或いは、ビニル基やエポキシ基のような反応性基を有する化合物でもよい。

0223

公知のホスト化合物としては、正孔輸送能または電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、さらに、有機電界発光素子ELを高温駆動時や素子駆動中の発熱に対する安定性の観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。ホスト化合物としては、Tgが90℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。

0224

有機電界発光素子ELに用いられる、公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。

0225

特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報、米国特許公開第20030175553号、米国特許公開第20060280965号、米国特許公開第20050112407号、米国特許公開第20090017330号、米国特許公開第20090030202号、米国特許公開第20050238919号、国際公開第2001039234号、国際公開第2009021126号、国際公開第2008056746号、国際公開第2004093207号、国際公開第2005089025号、国際公開第2007063796号、国際公開第2007063754号、国際公開第2004107822号、国際公開第2005030900号、国際公開第2006114966号、国際公開第2009086028号、国際公開第2009003898号、国際公開第2012023947号、特開2008−074939号、特開2007−254297号、EP2034538等である。

0226

[電子輸送層3d]
有機電界発光素子ELに用いる電子輸送とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層3cに伝達する機能を有する。
電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。電子輸送層3dの総厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

0227

また、有機電界発光素子ELにおいては発光層3cで生じた光を電極から取り出す際、発光層3cから直接取り出される光と、光を取り出す電極と対極に位置する電極によって反射されてから取り出される光とが干渉を起こすことが知られている。光が陰極で反射される場合は、電子輸送層3dの総膜厚を数nm〜数μmの間で適宜調整することにより、この干渉効果を効率的に利用することが可能である。

0228

一方で、電子輸送層3dの膜厚を厚くすると電圧が上昇しやすくなるため、特に膜厚が厚い場合においては、電子輸送層3dの電子移動度は10-5cm2/Vs以上であることが好ましい。

0229

電子輸送層3dに用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性または輸送性、正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。

0230

例えば、含窒素芳香族複素環誘導体、芳香族炭化水素環誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体シロール誘導体等が挙げられる。

0231

上記含窒素芳香族複素環誘導体としては、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換)、ピリジン誘導体ピリミジン誘導体ピラジン誘導体ピリダジン誘導体トリアジン誘導体キノリン誘導体キノキサリン誘導体フェナントロリン誘導体アザトリフェニレン誘導体オキサゾール誘導体チアゾール誘導体オキサジアゾール誘導体チアジアゾール誘導体トリアゾール誘導体ベンズイミダゾール誘導体ベンズオキサゾール誘導体ベンズチアゾール誘導体等が挙げられる。
芳香族炭化水素環誘導体としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン等が挙げられる。

0232

また、配位子キノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。

0233

その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層3cの材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層3a、正孔輸送層3bと同様にn型Si、n型SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。

0234

有機電界発光素子ELでは、電子輸送層3dにドープ材ゲスト材料としてドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層3dを形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層3dの具体例としては、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。

0235

有機電界発光素子ELに用いられる、公知の好ましい電子輸送材料の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。

0236

米国特許第6528187号、米国特許第7230107号、米国特許公開第20050025993号、米国特許公開第20040036077号、米国特許公開第20090115316号、米国特許公開第20090101870号、米国特許公開第20090179554号、国際公開第2003060956号、国際公開第2008132085号、Appl. Phys. Lett. 75, 4 (1999)、Appl. Phys. Lett. 79, 449 (2001)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 79, 156 (2001)、米国特許第7964293号 、米国特許公開第2009030202号 、国際公開第2004080975号 、国際公開第2004063159号、国際公開第2005085387号、国際公開第2006067931号、国際公開第2007086552号、国際公開第2008114690号、国際公開第2009069442号、国際公開第2009066779号、国際公開第2009054253号、国際公開第2011086935号、国際公開第2010150593号、国際公開第2010047707号、EP2311826号、特開2010−251675号、特開2009−209133号、特開2009−124114号、特開2008−277810号、特開2006−156445号、特開2005−340122号、特開2003−45662号、特開2003−31367号、特開2003−282270号、国際公開第2012115034号等である。

0237

また、より好ましい電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体が挙げられる。

0238

尚、電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。

0239

[正孔阻止層]
正孔阻止層は、広い意味では電子輸送層3dの機能を有する層である。好ましくは、電子を輸送する機能を有しつつ、正孔を輸送する能力が小さい材料からなる。電子を輸送しつつ正孔を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、上述の電子輸送層3dの構成を、必要に応じて正孔阻止層として用いることができる。

0240

有機電界発光素子ELに設ける正孔阻止層は、発光層3cの陰極側に隣接して設けられることが好ましい。

0241

有機電界発光素子ELにおいて、正孔阻止層の厚さは、好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、上述の電子輸送層3dに用いられる材料が好ましく用いられ、また、上述のホスト化合物として用いられる材料も正孔阻止層に好ましく用いられる。

0242

[電子注入層3e]
電子注入層3e(「陰極バッファー層」ともいう)は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陰極と発光層3cとの間に設けられる層である。電子注入層3eの一例は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティーエス発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。

0243

有機電界発光素子ELにおいて、電子注入層3eは必要に応じて設けられ、上述のように陰極と発光層3cとの間、又は、陰極と電子輸送層3dとの間に設けられる。
電子注入層3eはごく薄い膜であることが好ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5nmの範囲が好ましい。また構成材料が断続的に存在する不均一な膜であってもよい。

0244

電子注入層3eは、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されている。電子注入層3eに好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウムフッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ土類金属化合物酸化アルミニウムに代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、上述の電子輸送材料を用いることも可能である。
また、上記の電子注入層3eに用いられる材料は単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。

0245

[正孔輸送層3b]
正孔輸送層3bは、正孔を輸送する機能を有する材料からなる。正孔輸送層3bは、陽極より注入された正孔を発光層3cに伝達する機能を有する層である。

0246

有機電界発光素子ELにおいて、正孔輸送層3bの総膜厚に特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。

0247

正孔輸送層3bに用いられる材料(以下、正孔輸送材料という)は、正孔の注入性または輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよい。正孔輸送材料は、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。

0248

正孔輸送材料は、例えば、ポルフィリン誘導体フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体ピラゾリン誘導体ピラゾロン誘導体フェニレンジアミン誘導体ヒドラゾン誘導体スチルベン誘導体ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体アントラセンナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体ポリビニルカルバゾール芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマーポリシラン導電性ポリマー又はオリゴマー(例えばPEDOT:PSSアニリン系共重合体ポリアニリンポリチオフェン等)等が挙げられる。

0249

トリアリールアミン誘導体としては、α−NPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。

0250

また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているヘキサアザトリフェニレン誘導体も正孔輸送材料として用いることができる。

0251

さらに、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層3bを用いることもできる。例えば、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された構成を正孔輸送層3bに適用することもできる。

0252

また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料やp型−Si、p型−SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらにIr(ppy)3に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。

0253

正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー等が好ましく用いられる。

0254

有機電界発光素子ELに用いられる正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。

0255

Appl. Phys. Lett. 69, 2160 (1996)、J. Lμmin. 72-74, 985 (1997)、Appl. Phys. Lett. 78, 673 (2001)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 51, 913 (1987)、Synth. Met. 87, 171 (1997)、Synth. Met. 91, 209 (1997)、Synth. Met. 111,421 (2000)、SID SymposiμmDigest, 37, 923 (2006)、J. Mater. Chern. 3, 319 (1993)、Adv. Mater. 6, 677 (1994)、Chern. Mater. 15,3148 (2003)、米国特許公開第20030162053号、米国特許公開第20020158242号、米国特許公開第20060240279号、米国特許公開第20080220265号、米国特許第5061569号、国際公開第2007002683号、国際公開第2009018009号、EP650955、米国特許公開第20080124572号、米国特許公開第20070278938号、米国特許公開第20080106190号、米国特許公開第20080018221号、国際公開第2012115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号、米国特許出願番号13/585981号である。

0256

正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。

0257

[電子阻止層]
電子阻止層は、広い意味では正孔輸送層3bの機能を有する層である。好ましくは、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなる。電子阻止層は、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。

0258

また、上述の正孔輸送層3bの構成を必要に応じて、有機電界発光素子ELの電子阻止層として用いることができる。有機電界発光素子ELに設ける電子阻止層は、発光層3cの陽極側に隣接して設けられることが好ましい。

0259

電子阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。

0260

電子阻止層に用いられる材料としては、上述の正孔輸送層3bに用いられる材料が好ましく用いることができる。また、上述のホスト化合物として用いられる材料も、電子阻止層として好ましく用いることができる。

0261

[正孔注入層3a]
正孔注入層3a(「陽極バッファー層」ともいう)は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陽極と発光層3cとの間に設けられる層である。正孔注入層3aの一例は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。
正孔注入層3aは必要に応じて設けられ、上述のように陽極と発光層3cとの間、又は、陽極と正孔輸送層3bとの間に設けられる。

0262

正孔注入層3aは、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されている。
正孔注入層3aに用いられる材料は、例えば上述の正孔輸送層3bに用いられる材料等が挙げられる。中でも、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003−519432号や特開2006−135145号等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。
上述の正孔注入層3aに用いられる材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。

0263

含有物
有機電界発光素子ELを構成する発光機能層3は、更に他の含有物を含んでもよい。
含有物としては、例えば臭素ヨウ素及び塩素等のハロゲン元素ハロゲン化化合物、Pd、Ca、Na等のアルカリ金属アルカリ土類金属遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。

0264

含有物の含有量は、任意に決定することができるが、含有される層の全質量%に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。

0265

[発光機能層3の形成方法]
有機電界発光素子ELの発光機能層(正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)の形成方法について説明する。尚、発光機能層3の形成方法は、特に制限はなく、従来公知の例えば真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセス)等により形成することができる。

0266

湿式法としては、スピンコート法キャスト法、インクジェット法、印刷法ダイコート法ブレードコート法ロールコート法、スプレーコート法カーテンコート法、LB法(ラングミュアブロジェット法)等がある。均質な薄膜が得られやすく、且つ高生産性の点から、ダイコート法、ロールコート法、インクジェット法、スプレーコート法等のロール・ツー・ロール方式に適性の高い方法が好ましい。

0267

湿式法において、発光機能層の材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトンシクロヘキサノン等のケトン類酢酸エチル等の脂肪酸エステル類ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレンメシチレンシクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類シクロヘキサンデカリンドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。

0268

また、超音波高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。

0269

発光機能層3を構成する各層の形成に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10-6Pa〜10-2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。

0270

有機電界発光素子ELの形成は、一回の真空引きで一貫して発光機能層3から対向電極5まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際は作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
また、層毎に異なる形成方法を適用してもよい。

0271

<透明電極1>
透明電極1は、先に説明した図1の透明電極1であり、有機電界発光素子ELの陽極又は陰極を構成する。

0272

本実施形態の有機電界発光素子ELにおいては、発光機能層3と、実質的なアノードとして用いられる電極層1bとの間に、高屈折率層H2が配置された構成となるが、本構成の透明電極1においては銀(Ag)を主成分とする電極層1bの導電性が極めて高いため、高屈折率層H2に対して導電性が求められることはない。したがって、高屈折率層H1,H2は、先の透明電極1において例示した高屈折率材料の中から、適切な屈折率を有する材料を用いれば良い。またこれらの高屈折率層H1,H2は、電極として必要な膜厚を備えている必要はなく、これらの高屈折率層H1,H2を備えた透明電極1が用いられる電子デバイス中における透明電極1の配置状態によって、適切に設定された膜厚を有していれば良い。

0273

尚、透明電極1は、その端子部分を封止材17から露出させる形状にパターニングされていることとしたが、高屈折率層H1,H2および窒素含有層1aのそれぞれは、絶縁性が良好なものであれば、パターニングされていなくても良く、電極層1bのみがパターニングされていれば良い。

0274

<対向電極5>
対向電極5は、有機電界発光素子ELの陽極又は陰極を構成する電極であって、発光機能層3を介して透明電極1の一主面上に設けられた電極である。この対向電極5は、有機電界発光素子ELの発光機能層3に対して、透明電極1が陽極であれば陰極として用いられ、透明電極1が陰極であれば陽極として用いられる。このため、少なくとも発光機能層3に接する側の界面層が、陰極または陽極として適する材料で構成されていることとする。

0275

このような対向電極5は、例えば発光機能層3の発光層3cで生じた発光光hを、透明基板13の光取り出し面13a側に反射させる反射電極として構成されている。また対向電極5は、可視光に対して透過性を有していても良く、この場合は、対向電極5側からも発光光hを取り出すことが可能になる。

0276

ここで上述した対向電極5を構成する陽極および陰極は、以下のようであることとする。

0277

[陽極]
有機電界発光素子ELにおける陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.5V以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In2O3−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。

0278

陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成する。或いは、パターン精度をあまり必要としない(100μm以上程度)場合は、上記電極物質を蒸着法又はスパッタリング法で形成する際に、所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。

0279

あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式コーティング方式等の湿式成膜法を用いることもできる。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。

0280

陽極の厚さは、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で透過性または反射性を考慮して選ばれる。

0281

[陰極]
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウムナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、希土類金属等が挙げられる。

0282

これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属と、この電子注入性金属よりも仕事関数の値が大きく安定な第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al2O3)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。

0283

陰極は、上記電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、作製することができる。また、陰極のシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。

0284

陰極の厚さは、材料にもよるが、通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で透過性または反射性を考慮して選ばれる。

0285

下記に有機電界発光素子ELに適用可能な封止手段、保護膜、保護板光取り出し技術、集光シートをこの順に説明する。

0286

外部取り出し効率
室温における有機電界発光素子ELの発光の外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、5%以上であるとより好ましい。
ここで、外部取り出し量子効率(%)=有機電界発光素子外部に発光した光子数/有機電界発光素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機電界発光素子ELからの発光色を蛍光体により多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。

0287

[封止]
有機電界発光素子ELは少ない電力で良好発光するものの、水分に弱く、水分吸水により非発光部ができてしまうため、封止材17により封止することが好ましい。

0288

有機電界発光素子ELの封止に適用される封止手段としては、例えば、封止材17と、対向電極5及び透明基板13とを接着剤19で接着する方法を挙げることができる。封止材17としては、有機電界発光素子ELの表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、封止材17の透明性、電気絶縁性は特に限定されないが、上述したように、例えば有機電界発光素子ELの透明電極1が、発光機能層3上の上部電極として用いられる構成の場合には、透明材料で構成する。

0289

具体的には、ガラス板ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラスバリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラスホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイドポリサルフォン等を挙げることができる。また、金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロムチタンモリブテンシリコンゲルマニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
封止材17を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工化学エッチング加工等が使われる。

0290

有機電界発光素子ELの薄膜化のためには、ポリマーフィルム金属フィルムを使用することが好ましい。さらに、ポリマーフィルムはJIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10-3ml/(m2/24h)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%)が、1×10-3g/(m2/24h)以下であることが好ましい。

0291

接着剤19としては、例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化型及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプ紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。

0292

なお、有機電界発光素子ELが熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃以下までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤19中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤19の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。

0293

また、封止材17は、発光機能層3を挟み透明基板13と対向する側の対向電極5上に、この対向電極5と発光機能層3とを被覆し、透明基板13と接する形で無機物、有機物の層を形成することで、封止膜とすることもできる。この場合、封止膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子等の浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。

0294

さらに、封止膜の脆弱性を改良するために、上述のバリア膜と同様に、無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。

0295

封止材17と有機電界発光素子ELの表示領域との間隙には、窒素、アルゴン等の不活性気体による気相、又は、フッ化炭化水素シリコンオイルのような不活性液体による液相を注入することが好ましい。また、封止材17と有機電界発光素子ELの表示領域との間隙を、真空とすることも可能である。

0296

さらに、封止材17と有機電界発光素子ELの表示領域との間隙の内部に、吸湿性化合物封入することもできる。

0297

吸湿性化合物としては、例えば、酸化ナトリウム酸化カリウム酸化カルシウム酸化バリウム酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、硫酸ナトリウム硫酸カルシウム硫酸マグネシウム硫酸コバルト等の硫酸塩、塩化カルシウム塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等の金属ハロゲン化物過塩素酸バリウム、及び、過塩素酸マグネシウム等の過塩素酸類等が挙げられる。硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類としては無水塩が好適に用いられる。

0298

[保護膜、保護板]
有機電界発光素子ELを封止する封止膜又は封止用フィルムの外側には、素子の機械的強度を高めるために、保護膜又は保護板を設けてもよい。特に、封止膜により有機電界発光素子ELの封止が行われている場合には、機械的強度が必ずしも高くないため、保護膜又は保護板を設けることが好ましい。保護膜又は保護板として使用することが可能な材料は、例えば、上述の封止材17と同様に、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができる。保護膜又は保護板としては、軽量化及び薄膜化が可能なポリマーフィルムを用いることが好ましい。

0299

[光取り出し向上技術]
有機電界発光素子ELは、空気よりも屈折率の高い層(屈折率1.6〜2.1程度の範囲内)の内部で発光し、発光層3cで発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に知られている。この理由として、臨界角以上の角度θで界面(例えば透明基板13と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことが難しいことや、透明基板13と透明電極1、又は透明電極1と発光層3cとの間で光が全反射を起こし、光が透明電極1ないし発光層3cを導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。

0300

有機電界発光素子の光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等が挙げられる。

0301

本実施形態の有機電界発光素子ELにおいては、上述の方法を組み合わせて用いることができる。特に、透明基板13と発光層3aの間に透明基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、或いは、層間に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
有機電界発光素子ELにおいては、これらの手段を組み合わせることにより、更に光の取り出し効率を向上することができる。

0302

例えば有機電界発光素子ELにおいて、透明電極1と透明基板13の間に透過する光の波長よりも長い厚さで低屈折率の媒質を形成すると、透明電極1から出てくる光は、媒質の屈折率が低いほど素子外部への取り出し効率が高くなる。

0303

低屈折率媒質で形成された低屈折率層としては、例えば、エアロゲル多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマーなどが挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度の範囲内であるので、低屈折率層は、屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。またさらに1.35以下であることが好ましい。

0304

また、低屈折率層の厚さは、媒質中を透過する光の波長の2倍以上となることが望ましい。これは、低屈折率層の厚さを光の波長程度とした場合、低屈折率層の光取り出し面側に隣接する層内にエバネッセントで染み出した電磁波が入り込む膜厚となるため、低屈折率層の効果が薄れるからである。

0305

全反射を起こす界面又は、いずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率向上効果が高いという特徴がある。この方法は、回折格子が1次の回折や、2次の回折といった、いわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用する。回折格子を層間や媒質中に導入することで、層間での全反射等による光を回折させ、発光層3cから発生した光を外に取り出すことができる。

0306

導入する回折格子としては、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な一次元回折格子、及び、二次元的な周期屈折率を持っている回折格子のいずれも適用できる。

0307

特に、発光層3cで発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するため、二次元的な周期屈折率を持っている回折格子を導入することにより、あらゆる方向にランダムに発生する光を回折することができる。このため、二次元的な周期屈折率を持つ回折格子を有機電界発光素子に導入することにより、屈折率分布を二次元的な分布にでき、あらゆる方向に進む光が回折されて、光の取り出し効率が向上する。

0308

回折格子を導入する位置は、いずれかの層間、又は、透明基板13や透明電極1等の媒質中でもよく、光が発生する場所である発光機能層3の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は、媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度の範囲内が好ましい。回折格子の配列は、正方形ラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状など、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。

0309

[集光シート]
有機電界発光素子ELは、光取り出し面側に、例えばマイクロレンズアレイや、所謂集光シート設けることにより、特定方向、例えば素子発光面に対し正面方向に集光して、特定方向上の輝度を高めることができる。

0310

また、有機電界発光素子ELからの光放射角を制御するために光拡散板・フィルムを、集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルムライトアップ)などを用いることができる。

0311

マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し面側に一辺30μm、頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10〜100μmの範囲内が好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。

0312

集光シートとしては、例えば、液晶表示装置LEDバックライトで実用化されているシートを用いることが可能である。このようなシートとしては、例えば、住友スリエム社製輝度上昇フィルムBEF)等を用いることができる。プリズムシートとしては、例えば基材に頂角90度ピッチ50μmの断面三角形状のストライプが形成された形状、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、及び、その他の形状を用いることができる。

0313

[用途]
有機電界発光素子ELは、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源などの電子機器に適用することができる。

0314

発光光源としては、例えば、家庭用照明や車内照明等の照明装置時計液晶用バックライト看板広告信号機光記憶媒体等の光源電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではない。特に、液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。

0315

有機電界発光素子ELにおいては、必要に応じ成膜時にメタルマスクインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、透明電極1及び対向電極5のみをパターニングしてもよく、これらの電極と発光層3cをパターニングしてもよく、又は、素子全層をパターニングしてもよい。素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。

0316

≪4.照明装置≫
照明装置に用いる有機電界発光素子は、上述した構成の有機電界発光素子ELに共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機電界発光素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。

0317

尚、有機電界発光素子に用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じる有機電界発光素子(白色有機電界発光素子ともいう)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させたものでもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでもよい。

0318

また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光または蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光またはリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでもよいが、白色有機電界発光素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合したものでもよい。

0319

このような白色有機EL素子は、各色発光の有機EL素子をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機EL素子自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の成膜にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。

0320

またこのような白色有機電界発光素子の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すればよい。

0321

以上に説明した白色有機電界発光素子を用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。

0322

また照明装置は、例えば有機電界発光素子を複数用いることにより、発光面を大面積化した照明装置としても用いることができる。この場合、有機電界発光素子を設けた複数の発光パネルを、支持基板上に複数配列する(すなわちタイリングする)ことによって発光面を大面積化する。支持基板は、封止材を兼ねるものであっても良く、この支持基板と、発光パネルの透明基板との間に有機電界発光素子を挟持する状態で各発光パネルをタイリングする。支持基板と透明基板との間には接着剤を充填し、これによって有機電界発光素子を封止しても良い。尚、発光パネルの周囲には、透明電極および対向電極の端子を露出させておく。

0323

このような構成の照明装置では、各発光パネルの中央が発光領域となり、発光パネル間には非発光領域が発生する。このため、非発光領域からの光取り出し量を増加させるための光取り出し部材を、光取り出し面の非発光領域に設けても良い。光取り出し部材としては、集光シートや光拡散シートを用いることができる。

0324

<効果>
以上説明した有機電界発光素子ELは、本発明の導電性と光透過性とを兼ね備えると共に信頼性の向上が図られた透明電極1をアノードとして用い、この透明電極1における高屈折率層H2側に発光機能層3とカソードとなる対向電極5とをこの順に設けた構成である。このため、透明電極1と対向電極5との間に十分な電圧を印加して有機電界発光素子ELでの高輝度発光を実現しつつ、透明電極1側からの発光光hの取り出し効率が向上することによる高輝度化を図ることが可能である。しかも、このような性能を長期的に維持することができ、長期信頼性の向上をも図ることが可能である。さらに、所定輝度を得るための駆動電圧の低減によっても、発光寿命の向上が図られる。

0325

≪透明電極の作製≫
以降の表2に構成を示すように、試料101〜137の各透明電極を、導電性領域面積が5cm×5cmとなるように作製した。

0326

<試料101,102の作製手順
以下のようにして、ガラス製の基材上に、下記表2に示すそれぞれの膜厚で銀(Ag)からなる電極層を形成した。

0327

先ず、透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置基材ホルダーに固定し、真空蒸着装置の真空槽内に取り付けた。またタングステン製抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、当該真空槽内に取り付けた。次に、真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で、銀からなる電極層をそれぞれの膜厚で形成した。試料101では膜厚6nmで電極層を形成し、試料102では膜厚15nmで電極層を形成した。

0328

<試料103、104の作製手順>
以下のようにして下記表2に示すそれぞれの材料で構成された高屈折率層で電極層を挟持した構成の透明電極を作製した。

0329

先ず、透明な無アルカリガラス製の基材上に、高屈折率層を形成した。

0330

試料103では、電子ビーム蒸着装置を用いて酸化チタン(TiO2)で構成された高屈折率層を形成した。この際、酸化チタン(TiO2)が収容された銅(Cu)製のハースライナーを、電子ビーム蒸着装置の真空槽内にセットし、真空槽内に酸素ガス(O2)を加えて2×10-2Paまで減圧し、イオンアシスト蒸着(IAD)を使用して成膜速度0.2nm/秒で膜厚40nmの高屈折率層を形成した。

0331

一方、試料104では、スパッタ成膜装置を用いて酸化ニオブ(Nb2O5)で構成された高屈折率層を形成した。この際、スパッタ成膜装置においてRF(高周波バイアス300Wとし、成膜速度0.2nm/秒で膜厚40nmの高屈折率層を形成した。

0332

次いで、高屈折率層まで成膜した基材を、各成膜装置内においての真空状態を保ったまま真空蒸着装置の真空槽に移し、真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒で膜厚9nmの銀からなる電極層を形成した。

0333

その後、各試料103,104において、先と同様の手順にて、電極層の上部に高屈折率層を形成した。すなわち試料103においては、電子ビーム蒸着装置を用いてイオンアシスト蒸着(IAD)により酸化チタン(TiO2)で構成された高屈折率層を膜厚40nmで形成した。また試料104においては、スパッタ成膜装置を用いて酸化ニオブ(Nb2O5)で構成された高屈折率層を膜厚40nmで形成した。この際、電極層まで成膜した基材を、真空蒸着装置の真空槽内においての真空状態を保ったまま、各成膜装置に移動させて高屈折率層を形成した。

0334

以上により、高屈折率層と、銀を用いた電極層と、高屈折率層とを、この順に積層した試料103,104の透明電極を作製した。

0335

<試料105の作製手順>
以下のようにして、ガラス製の基材上に、銀(Ag)にアルミニウム(Al)を添加した電極層を形成した。

0336

先ず、透明な無アルカリガラス製の基材を、市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定した。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに、銀(Ag)とアルミニウム(Al)とをそれぞれ入れ、これらの基板ホルダーと抵抗加熱ボートとを真空蒸着装置の真空槽に取り付けた。次に、真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、各抵抗加熱ボートへの電流調整によって蒸着速度を調整した共蒸着により、銀(Ag)にアルミニウム(Al)を20.0原子%の濃度で添加して合金化した電極層を膜厚9nmで形成した。

0337

<試料106〜109の作製手順>
以下のようにして、ガラス製の基材上に、下記表2に示すそれぞれの材料を用いた窒素を含有する窒素含有層と、銀からなる電極層との2層構造の透明電極を形成した。尚、試料106では、窒素含有層に換えて窒素を含有しない下地層を形成した。

0338

先ず、透明な無アルカリガラス製の基材を市販の真空蒸着装置の基材ホルダーに固定した。また、各透明電極の作製において、下記表2に示す各化合物をタンタル製の抵抗加熱ボートに入れた。これらの基板ホルダーと抵抗加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽内に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、真空蒸着装置の第2真空槽内に取り付けた。

0339

ここで用いた化合物のうち、化合物(1)は窒素原子を含有していないアントラセンであり、化合物(2)は窒素を含有するが有効非共有電子対含有率[n/M]の値が[n/M]<2.0×10-3の化合物である。

0340

0341

また、化合物No.1,No.39は、上記表1に示した化合物の中から適宜選択した有効非共有電子対含有率[n/M]の値が2.0×10-3≦[n/M]の化合物である。下記表2にはここで用いた化合物の有効非共有電子対の数[n]、分子量[M]、および有効非共有電子対含有率[n/M]も示した。

0342

次いで、第1真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、各化合物の入った加熱ボートに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で基材上に膜厚3nmの各化合物で構成された窒素含有層を設けた。

0343

次に、窒素含有層まで成膜した基材を真空のまま第2真空槽に移し、第2真空槽を4×10-4Paまで減圧した後、銀の入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒で膜厚9nmの銀からなる電極層を形成し、窒素含有層とこの上部の電極層との積層構造からなる試料106〜109の各透明電極を得た。

0344

<試料110〜135の透明電極の作製手順>
下記表2を参照し、ガラス製の基材上に、高屈折率層、窒素含有層、銀(Ag)を主成分とする電極層、および高屈折率層をこの順に積層した透明電極を作製した。

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