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技術 二次電池用非水電解液およびリチウム二次電池

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 中堤貴之竹内崇千賀貴信中井美有紀
出願日 2013年12月26日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2014-556223
公開日 2017年1月19日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 WO2014-108979
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池)
主要キーワード 円弧成分 熱溶着樹脂 ナイキスト線図 フィッティング誤差 シート電池 電解溶媒 電荷移動反応 今回測定
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題・解決手段

二次電池用非水電解液は、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネート鎖状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルを含む非水溶媒と、前記非水溶媒に溶解したリチウム塩とを備える。

概要

背景

情報化が進む現代社会において、スマートフォンノートPCなどに代表されるモバイル電子機器重要性は急速に高まっている。これにともない、電源としての二次電池の重要性も必然的に高まっている。中でもリチウム二次電池は、高いエネルギー密度を有する等の理由から、現在市場に出回っているほとんどのモバイル電子機器に採用されている。

さらに近年では、化石燃料枯渇環境問題に対する関心の高まりから、電気自動車EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)等に代表されるように、自動車動力源として、リチウム二次電池を採用する試みも盛んになされている。自動車に搭載する二次電池には、モバイル電子機器用二次電池と比較して、より高い電池特性が求められる。特に、自動車の加速力に寄与するハイレート特性や、走行距離に寄与するエネルギー密度のさらなる向上が求められている。このため、自動車用のリチウム二次電池に用いる非水電解液にも、より高い特性が求められている。

リチウム二次電池の非水電解液を構成する有機溶媒としては、エチレンカーボネートプロピレンカーボネート等の環状カーボネートジメチルカーボネートジエチルカーボネートエチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート等、種々のものが提案されている。一般的には、これら環状カーボネートと鎖状カーボネートとを数種類、適切な比率で混合したものが非水電解液の溶媒として用いられることが多い。

リチウム二次電池のハイレート特性を向上させるために、非水電解液に求められる特性として、主に以下の2点が挙げられる。
1.非水電解液のイオン伝導度が高いこと
2.電極と非水電解液との界面における界面抵抗が低いこと

非水電解液のイオン伝導度を高める具体的な試みとして、例えば、特許文献1は、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネートおよび鎖状カーボネートの混合溶媒に、低粘性ニトリル溶媒を1〜10%添加することを開示している。また、界面抵抗を低減させる試みとして、例えば、特許文献2は、シリルボレート系化合物酸無水物とを非水電解液を用いることにより、負極と非水電解液との界面特性が向上し、電池のハイレート特性が向上すると開示している。一方、リチウム二次電池のエネルギー密度の向上には、非水電解液は直接的には寄与しない。しかしながら、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池の長期信頼性担保するために、非水電解液の特性向上は重要である。

リチウム二次電池のエネルギー密度を向上させるためには、作動電位のより低い負極と、作動電位のより高い正極を用い、高電圧仕様の二次電池を実現することが効果的である。この場合、非水電解液がその電圧範囲において安定的に存在する必要があり、リチウム二次電池の長期信頼性の観点から、低電位の負極における非水電解液の還元分解や、高電位の正極における非水電解液の酸化分解が問題となる。

作動電位の低い負極材料としては、黒鉛等の炭素材料が広く用いられており、負極での非水電解液の還元分解を抑制する方法として、負極表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)と呼ばれる安定な被膜を形成させる方法が一般的に知られている。SEIを形成する能力のある化合物としては、一般的に、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトンビニルエチレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、ブタンスルトン等が知られている。エチレンカーボネートは高誘電率溶媒として、リチウム二次電池の電解液に10〜50%程度含まれることが多い。その他の上記化合物は、電解液添加剤として電解液中に0.1〜5%程度含まれることが一般的である。これらのSEI形成化合物を非水電解液中に含ませることにより、非水電解液の連続的な還元分解が抑制されるため、二次電池の長期信頼性を向上させることができる。

正極での耐酸化性を向上させる方法として、溶媒を構成する環状カーボネートにフルオロエチレンカーボネートを用いる方法が一般的に知られている。4.2V以下の充電電圧で使用されるリチウム二次電池において一般的に用いられているエチレンカーボネートと比較して、フルオロエチレンカーボネートは、電子吸引性の高いフルオロ基が導入されているため、耐酸化性が向上する。このため、4.3V以上の充電電圧で使用されるリチウム二次電池の長期信頼性を向上させることが知られている。一方、フルオロ基の導入により耐還元性は低下するが、フルオロエチレンカーボネートは負極表面で還元分解することにより、安定なSEIを形成し、連続的な還元分解を抑制できることも知られている。

したがって、4.3V以上の充電電圧で使用されるリチウム二次電池において、フルオロエチレンカーボネート等のフルオロ基を有する環状カーボネートを使用すれば、長期信頼性を確保するという観点で、一定の効果を得ることができる。

概要

二次電池用非水電解液は、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネート、鎖状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルを含む非水溶媒と、前記非水溶媒に溶解したリチウム塩とを備える。

目的

本願の、限定的ではない、例示的なある実施形態は、優れたハイレート特性を得ることのできる二次電池用非水電解液およびリチウム二次電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネート鎖状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルを含む非水溶媒と、前記非水溶媒に溶解したリチウム塩とを備えた二次電池用非水電解液

請求項2

前記環状カーボネートは、フルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、4−フルオロプロピレンカーボネート、5−フルオロプロピレンカーボネートおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載の二次電池用非水電解液。

請求項3

前記環状カーボネートはフルオロエチレンカーボネートである請求項1に記載の二次電池用非水電解液。

請求項4

前記鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネートエチルメチルカーボネートジエチルカーボネートおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1つである請求項1から3のいずれかに記載の二次電池用非水電解液。

請求項5

前記トリメチルアセトニトリルを前記二次電池用非水電解液の総量に対して0.05mol/L以上0.2mol/L以下の割合で含む請求項1から4のいずれかに記載の二次電池用非水電解液。

請求項6

正極と負極と、請求項1から5のいずれかに記載の二次電池用非水電解液とを備えたリチウム二次電池

請求項7

正極と負極と、請求項1から5のいずれかに記載の二次電池用非水電解液とを用いて製造されたリチウム二次電池。

請求項8

前記負極は、黒鉛を含む負極活物質を有する請求項6または7に記載のリチウム二次電池。

技術分野

0001

本願は、二次電池用非水電解液およびリチウム二次電池に関する。

背景技術

0002

情報化が進む現代社会において、スマートフォンノートPCなどに代表されるモバイル電子機器重要性は急速に高まっている。これにともない、電源としての二次電池の重要性も必然的に高まっている。中でもリチウム二次電池は、高いエネルギー密度を有する等の理由から、現在市場に出回っているほとんどのモバイル電子機器に採用されている。

0003

さらに近年では、化石燃料枯渇環境問題に対する関心の高まりから、電気自動車EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)等に代表されるように、自動車動力源として、リチウム二次電池を採用する試みも盛んになされている。自動車に搭載する二次電池には、モバイル電子機器用二次電池と比較して、より高い電池特性が求められる。特に、自動車の加速力に寄与するハイレート特性や、走行距離に寄与するエネルギー密度のさらなる向上が求められている。このため、自動車用のリチウム二次電池に用いる非水電解液にも、より高い特性が求められている。

0004

リチウム二次電池の非水電解液を構成する有機溶媒としては、エチレンカーボネートプロピレンカーボネート等の環状カーボネートジメチルカーボネートジエチルカーボネートエチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート等、種々のものが提案されている。一般的には、これら環状カーボネートと鎖状カーボネートとを数種類、適切な比率で混合したものが非水電解液の溶媒として用いられることが多い。

0005

リチウム二次電池のハイレート特性を向上させるために、非水電解液に求められる特性として、主に以下の2点が挙げられる。
1.非水電解液のイオン伝導度が高いこと
2.電極と非水電解液との界面における界面抵抗が低いこと

0006

非水電解液のイオン伝導度を高める具体的な試みとして、例えば、特許文献1は、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネートおよび鎖状カーボネートの混合溶媒に、低粘性ニトリル溶媒を1〜10%添加することを開示している。また、界面抵抗を低減させる試みとして、例えば、特許文献2は、シリルボレート系化合物酸無水物とを非水電解液を用いることにより、負極と非水電解液との界面特性が向上し、電池のハイレート特性が向上すると開示している。一方、リチウム二次電池のエネルギー密度の向上には、非水電解液は直接的には寄与しない。しかしながら、高エネルギー密度を有するリチウム二次電池の長期信頼性担保するために、非水電解液の特性向上は重要である。

0007

リチウム二次電池のエネルギー密度を向上させるためには、作動電位のより低い負極と、作動電位のより高い正極を用い、高電圧仕様の二次電池を実現することが効果的である。この場合、非水電解液がその電圧範囲において安定的に存在する必要があり、リチウム二次電池の長期信頼性の観点から、低電位の負極における非水電解液の還元分解や、高電位の正極における非水電解液の酸化分解が問題となる。

0008

作動電位の低い負極材料としては、黒鉛等の炭素材料が広く用いられており、負極での非水電解液の還元分解を抑制する方法として、負極表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)と呼ばれる安定な被膜を形成させる方法が一般的に知られている。SEIを形成する能力のある化合物としては、一般的に、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトンビニルエチレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、ブタンスルトン等が知られている。エチレンカーボネートは高誘電率溶媒として、リチウム二次電池の電解液に10〜50%程度含まれることが多い。その他の上記化合物は、電解液添加剤として電解液中に0.1〜5%程度含まれることが一般的である。これらのSEI形成化合物を非水電解液中に含ませることにより、非水電解液の連続的な還元分解が抑制されるため、二次電池の長期信頼性を向上させることができる。

0009

正極での耐酸化性を向上させる方法として、溶媒を構成する環状カーボネートにフルオロエチレンカーボネートを用いる方法が一般的に知られている。4.2V以下の充電電圧で使用されるリチウム二次電池において一般的に用いられているエチレンカーボネートと比較して、フルオロエチレンカーボネートは、電子吸引性の高いフルオロ基が導入されているため、耐酸化性が向上する。このため、4.3V以上の充電電圧で使用されるリチウム二次電池の長期信頼性を向上させることが知られている。一方、フルオロ基の導入により耐還元性は低下するが、フルオロエチレンカーボネートは負極表面で還元分解することにより、安定なSEIを形成し、連続的な還元分解を抑制できることも知られている。

0010

したがって、4.3V以上の充電電圧で使用されるリチウム二次電池において、フルオロエチレンカーボネート等のフルオロ基を有する環状カーボネートを使用すれば、長期信頼性を確保するという観点で、一定の効果を得ることができる。

先行技術

0011

特開2004-303437号公報
特開2010-170991号公報

発明が解決しようとする課題

0012

しかしながら、上述の従来技術のリチウム二次電池においては、さらなるハイレート特性の向上が求められていた。本願の、限定的ではない、例示的なある実施形態は、優れたハイレート特性を得ることのできる二次電池用非水電解液およびリチウム二次電池を提供する。

課題を解決するための手段

0013

本発明の一態様である二次電池用非水電解液は、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネート、鎖状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルを含む非水溶媒と、前記非水溶媒に溶解したリチウム塩とを備える。

発明の効果

0014

本発明の一態様である二次電池用非水電解液によれば、リチウム二次電池のハイレート特性の向上させることができる。

図面の簡単な説明

0015

本発明によるリチウム二次電池の一実施形態であるシート型電池を示す模式的な斜視図ある。
図1に示すリチウム二次電池の模式的な断面図である。
(a)から(c)は、図1に示すリチウム二次電池の正極および負極の加工手順を示している。
図1に示すリチウム二次電池の電極群の模式的な斜視図である。
実施例における試験の手順を示すフローチャートである。
実施例における交流インピーダンス測定結果のフィッティングに用いた等価回路である。
実施例1、2および参考例1の交流インピーダンス測定によるナイキスト線図である。
参考例1から6の交流インピーダンス測定によるナイキスト線図である。
参考例7、8の交流インピーダンス測定によるナイキスト線図である。
参考例9、10の交流インピーダンス測定によるナイキスト線図である。

0016

フルオロ基を有する環状カーボネートを非水電解溶媒に用いるリチウム二次電池は、ハイレート特性の観点でさらなる性能の向上が求められる。特に、自動車用の動力源として用いる場合、さらにハイレート特性を向上させる必要があり、そのためには、二次電池の内部インピーダンスを低減させる必要がある。

0017

本願発明者による検討によれば、特許文献1に開示されている非水電解液では、非水電解液のイオン伝導度向上により一定の出力向上の効果が認められる。しかしながら、開示されている非水電解液では、電極と非水電解液との界面における抵抗は十分には低くならない。このため、ハイレート特性を向上させるためにはニトリル含有比率を少なくとも1%以上にする必要がある。

0018

また、特許文献2に開示されている非水電解液では、一定の出力向上の効果が見られるものの、フルオロエチレンカーボネートを用いた高充電電圧のリチウム二次電池においては、酸無水物の酸化分解等によりハイレート特性向上の効果は限定的であった。

0019

本願発明者はこのような課題に鑑み、新規組成を有し、二次電池に用いた場合に高いハイレート特性を得ることのできる二次電池用非水電解液を想到した。本発明の一態様の概要は以下の通りである。

0020

本発明の一態様である二次電池用非水電解液は、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネート、鎖状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルを含む非水溶媒と、前記非水溶媒に溶解したリチウム塩とを備える。

0021

前記環状カーボネートは、フルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、4−フルオロプロピレンカーボネート、5−フルオロプロピレンカーボネートおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1つであってよい。

0022

前記環状カーボネートはフルオロエチレンカーボネートであってよい。

0023

前記鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1つであってよい。

0024

前記トリメチルアセトニトリルを前記二次電池用非水電解液の総量に対して0.05mol/L以上0.2mol/L以下の割合で含んでいてもよい。

0025

本発明の一態様であるリチウム二次電池は、正極と、負極と、上記いずれかに記載の二次電池用非水電解液とを備える。

0026

本発明の一態様であるリチウム二次電池は、正極と、負極と、上記いずれかに記載の二次電池用非水電解液とを用いて製造される。

0027

前記負極は、黒鉛を含む負極活物質を有していてもよい。

0028

以下、本発明による実施形態を詳細に説明する。

0029

(第1の実施形態)
本発明による二次電池用非水電解液の実施形態を説明する。

0030

本実施形態の二次電池用非水電解液は、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネート、鎖状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルを含む非水溶媒と、非水溶媒に溶解したリチウム塩とを備える。

0031

側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートには、フルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、フルオロプロピレンカーボネート、4−フルオロプロピレンカーボネート、5−フルオロプロピレンカーボネートおよびこれらの誘導体等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。特に合成が比較的容易で、入手しやすいという点では、フルオロエチレンカーボネートを選択してもよい。

0032

鎖状カーボネートには、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびこれらの誘導体等を用いることができる。誘導体としては、耐酸化性に優れるという観点から、これらのカーボネート水素基の一部をフルオロ基で置換したフルオロ化体を用いてもよい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0033

本実施形態の二次電池用非水電解液は、トリメチルアセトニトリルを非水溶媒として含む。これによって、二次電池のハイレート特性を向上させることができる。特許文献1に開示されているように、ニトリルは、非水電解液のイオン伝導度を向上させる働きを有すると考えられている。本願発明者は、ニトリルの中でも特に、トリメチルアセトニトリルを非水電解液中に含むことによって、二次電池の高ハイレート特性を実現することができることを見出した。これは、実施例において詳細に説明するように、トリメチルアセトニトリルと側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートとを含むことによって、二次電池の負極と非水電解液との界面に低抵抗の被膜を形成するからと考えられる。本願発明者の詳細な検討によれば、この効果は、トリメチルアセトニトリル以外のアセトニトリル、バレロニトリルシクロペンタンカルボニトリルアジポニトリルピメロニトリルでは十分には得られないと考えられる。

0034

非水溶媒に溶解させるリチウム塩としては、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2等、リチウム二次電池の非水電解液に用いられる種々の公知の電解質を用いることができる。安定性やイオン伝導度等の総合的な特性のバランスから、LiBF4およびLiPF6より選ばれる少なくとも1種を用いてもよい。

0035

本実施形態の二次電池用非水電解液において、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートと鎖状カーボネートは、これらの化合物が相溶し、均一な液体となる限り、任意の割合で二次電池用非水電解液に含まれていてよい。例えば、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートの添加量は、2〜50%であり、鎖状カーボネートの添加量は50〜80%である。フルオロ基を有する環状カーボネートの比率が20%未満となる場合は、リチウム塩の溶解性の観点から、フルオロ基を有さない環状カーボネートを少なくとも1種添加し、フルオロ基を有する環状カーボネートとフルオロ基を有さない環状カーボネートとの比率の合計が20%以上となるようにしてもよい。

0036

トリメチルアセトニトリルは、二次電池用非水電解液の総量に対して0.05mol/L以上0.2mol/L以下の割合で含んでいてもよい。トリメチルアセトニトリルの添加量が0.05mol/Lよりも少ない場合、後述するように、高ハイレート特性の向上が十分ではない。また、トリメチルアセトニトリルの添加量が0.2mol/Lを超える場合、被膜形成に寄与しない過剰のトリメチルアセトリルが、サイクル特性を低下させる。

0037

非水電解液中のリチウム塩の濃度に特に制限はなく、均一な二次電池用非水電解液を構成できる限り、二次電池用非水電解液が用いられる二次電池の仕様等に応じて任意に濃度を決定し得る。例えば、リチウム塩の濃度は、二次電池用非水電解液の総量に対して、0.5mol/L以上1.5mol/L以下である。

0038

本実施形態の二次電池用非水電解液は、上述した化合物に加え、さらに、フルオロ基を有さない環状カーボネートおよび鎖状カルボン酸エステルの少なくとも一方を含んでいてよい。

0039

フルオロ基を有さない環状カーボネートには、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート、およびこれらの誘導体等を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0040

また、鎖状カルボン酸エステルには、酢酸メチル酢酸エチル酢酸プロピルプロピオン酸メチルプロピオン酸エチルプロピオン酸プロピル、およびこれらの誘導体等を用いることができる。耐酸化性の観点から、誘電体としては、上記カルボン酸エステルの水素基の一部をフルオロ基で置換したフルオロ化体を用いてもよい。

0041

本実施形態の二次電池用非水電解液において、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートは、フルオロ基を有することにより、耐還元性が比較的低く、負極において、還元され分解されやすい。この側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートが負極において、還元され、分解する電位において、トリメチルアセトニトリルも同時に還元され分解されると考えられる。側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルの還元による分解生成物は、負極上で被膜(複合SEI)を形成すると考えられる。実施例で説明するように、この被膜は低抵抗であるため、電極と非水電解液との界面における界面抵抗が小さくなり、高ハイレート特性を実現できると考えられる。

0042

(第2の実施形態)
以下、本発明によるリチウム二次電池の実施形態を説明する。

0043

図1および図2は、本実施形態のリチウム二次電池の斜視図および断面図を示している。本実施形態のリチウム二次電池は、正極1と、負極3と、正極1および負極3の間に位置するセパレータ5と、電池ケース6と、非水電解液7とを含む。正極1、負極3およびセパレータ5は電池ケース6内に収納されている。また、電池ケース6内に非水電解液7が充填されている。正極1および負極3にはそれぞれ正極タブリード2および負極タブリード4が接続されており、正極タブリード2および負極タブリード4は電池ケース6の外部へ引き出されている。

0044

非水電解液7には、第1の実施形態の二次電池用非水電解液を用いる。

0045

正極1および負極3はそれぞれリチウム吸蔵放出が可能である。正極1は、正極集電体1bと、正極集電体1bの表面に設けられた正極合剤層1aとを含む。

0046

正極集電体1bの材料は、正極1の充放電電位において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何であってもよい。例えば、ステンレス鋼アルミニウムチタン炭素導電性樹脂などを用いることができる。

0047

正極合剤層1aは、リチウムを電気化学的かつ可逆的に吸蔵・放出できる正極活物質と、導電剤と、結着剤等とを含む。正極活物質には、例えば、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNizMn1-y-zO2、LixMn2O4、等を用いることができる。ここで、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦y+z≦1、0≦z≦1である。

0048

導電剤は、正極1の充放電電位において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、黒鉛類やカ−ボンブラック類、炭素繊維金属繊維などの導電性繊維類、金属粉末類、導電性ウィスカー類、導電性金属酸化物あるいは有機導電性材料などを単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。

0049

結着剤は、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。例えば、ポリエチレンポリプロピレンをはじめとするポリオレフィン樹脂ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、ポリフッ化ビニリデンPVDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)をはじめとするフッ素系樹脂やそれらの共重合体樹脂ポリアクリル酸やその共重合体樹脂などを用いることができる。

0050

導電剤や結着剤の他にも、フィラー分散剤イオン伝導体、圧力増強剤およびその他の各種添加剤を用いることができる。

0051

負極3は、負極集電体3bと、負極集電体3bの表面に設けられた負極合剤層3aとを含む。以下において説明するように、本実施形態のリチウム二次電池の充放電が行われることによって、負極3の表面には、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルの還元による分解生成物を含む被膜が形成されている。

0052

負極集電体3bには、例えば、銅箔ニッケル箔ステンレス箔などを用いることができる。

0053

負極合剤層3aは、負極活物質を含む。負極活物質には、例えば、人造黒鉛天然黒鉛、難黒鉛化非晶質炭素、易黒鉛化非晶質炭素等の黒鉛を用いることができる。負極合剤層3aは上述した結着剤をさらに含んでいてもよい。

0054

セパレータ5には、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持ち、絶縁性を有する微多孔膜を用いることができる。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂あるいはガラス繊維などからなるシート、不織布、織布などを用いてもよい。セパレータの厚さは、一般的には10μから300μmである。

0055

本実施形態のリチウム二次電池は、実施例において詳細に説明するように、正極1および負極3を作製し、セパレータ5を介して配置した状態で、電池ケース6に収納し、非水電解液7を充填した後、電池ケース6を封止することによって製造することができる。

0056

図1にはシート型のリチウム二次電池を示したが、本実施形態のリチウム二次電池は他の形状を有していてもよく、コイン形ボタン形積層形円筒形偏平形、角形等の形状を有していてもよい。

0057

また、本実施形態のリチウム二次電池は、携帯情報端末携帯電子機器家庭用小型電力貯蔵装置自動二輪車、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(PHEV)等に用いることができるが、これらに限定されず、他の機器などにも用いることができる。

0058

本実施形態のリチウム二次電池によれば、第1の実施形態で説明したように、初充放電やリチウム二次電池の使用開始初期において、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルの還元による分解生成物が、負極上で被膜を形成する。このため、電極と非水電解液との界面における界面抵抗が小さくなり、リチウム二次電池が、高いハイレート特性を備えることができる。特に、4.3Vを超える高い充電電圧を有するリチウム二次電池において、高いハイレート特性を備えている。このため、本実施形態のリチウム二次電池は、例えば、高いエネルギー密度および高いハイレート特性が求められる、電気自動車やハイブリッド電気自動車用に好適に用いることができる。

0059

なお、本実施形態のリチウム二次電池において、リチウム二次電池が作製された後、初充放電が行われる前の状態では、上述した負極表面の被膜は形成されていない。しかし、一般に、リチウム二次電池は、初充放電が行われた後、製品として販売される。このため、ユーザが使用する段階では、負極表面に被膜が形成されており、本実施形態のリチウム二次電池は上述した効果を奏し得る。また、初充放電が行われていない場合でも、実施形態のリチウム二次電池を使用することによって、つまり、充放電することによって、負極表面に被膜が形成される。よって、この場合でも、ユーザが使用する段階では、実施形態のリチウム二次電池は上述した効果を奏し得る。

0060

また、本実施形態のリチウム二次電池において、負極表面に被膜が形成されることによって、側鎖にフルオロ基を少なくとも一つ有する環状カーボネートおよびトリメチルアセトニトリルの一部が消費され、非水電解液中のこれらの化合物の濃度は低下する。このため、作製に用いた非水電解液におけるトリメチルアセトニトリルの添加量が少ない場合、本実施形態のリチウム二次電池の非水電解液中にトリメチルアセトニトリルがほとんど含まれていないことがある。この場合でも、質量分析などの分析化学的手法によって、非水電解液中痕跡量含まれるトリメチルアセトニトリルを検出することは可能である。また、負極の表面に形成された被膜を分析することによって、非水電解液中にトリメチルアセトニトリルが含まれていたことを確認することができる。

0061

以下、第1および第2の実施形態の具体的な例として以下の実施例を、参考例を示しながら説明する。以下の実施例は一例であって、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。

0062

1.試料の作製
(実施例1)
(1)非水電解液の調整
フルオロエチレンカーボネート(CAS番号:114435−02−8)とエチルメチルカーボネート(CAS番号:623−53−0)との混合溶媒(体積比1:3)に1.0mol/LのLiPF6(CAS番号:21324−40−3)を溶解した。得られた溶液にトリメチルアセトニトリル(CAS番号:630−18−2)を0.06mol/L添加し、電解液とした。

0063

(2)正極活物質の作製
正極活物質として、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2を用いた。まず、硫酸ニッケル(CAS番号:7786−81−4)、硫酸マンガン(CAS番号:7785−87−7)、および硫酸コバルト(CAS番号:10124−43−3)を等モル濃度で調整した水溶液反応槽連続供給した。この後、水のpHが10〜13になるように反応槽に水酸化ナトリウム滴下しながら、活物質の前駆体を合成し、十分に水洗して乾燥させた。これにより、Ni1/3Mn1/3Co1/3(OH)2からなる水酸化物を得た。この前駆体と炭酸リチウムとを、リチウム、ニッケルコバルトおよびマンガンモル比が、3:1:1:1になるように混合した。混合物を酸素雰囲気下500℃で7時間仮焼成し、粉砕した。次いで、粉砕された焼成物を800℃で再度15時間焼成した。焼成物を粉砕した後、分級し、組成式LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2で表される正極活物質を得た。

0064

(3)正極の作製
92重量部の正極活物質であるLiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2と、5重量部の導電剤であるアセチレンブラックと、3重量部の結着剤であるポリフッ化ビニリデン樹脂とを混合し、これらを脱水N−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状の正極合剤を調製した。この正極合剤を厚み15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体上に片面だけ塗布し、乾燥後、圧延して、正極板を得た。乾燥後の正極合剤塗布量は15mg/cm2であった。

0065

(4)負極の作製
98重量部の人造黒鉛粉末と、1重量部のスチレンーブタジエンゴムと、1重量部のカルボキシメチルセルロースとを混合し、これらを水に分散させてスラリー状の負極合剤を調製した。この負極合剤を厚み10μmの銅箔からなる負極集電体上に片面だけ塗布し、乾燥後、圧延して、負極を得た。乾燥後の負極合剤塗布量は8mg/cm2であった。

0066

(5)シート電池の作製
図1および図2に示すシート形のリチウム二次電池を作製した。まず、正極1と負極3とを図3(a)に示す寸法に加工した。その後、図3(b)に示すように、タブリードを接続する部分の正極合剤層および負極合剤層を剥離し、露出した集電体にタブリードを得接続した。図3に示すように、電極面積は、正極1および負極3のいずれも24cm2である。正極タブリード2にはアルミニウム製のものを、負極タブリード4にはニッケル製のものを用いた。これらのタブリードには、図3(c)に示すように熱溶着樹脂溶着されている。図3(a)から(c)に従い加工した正極1および負極3を、図4に示すようにセパレーターポリプロピレン製、厚み30μm)を介して電極同士がちょうど重なるように対向させた。次に、120×120mmの長方形切り取った電池ケース6となるアルミラミネート(厚み100μm)を折りたたんで120mmの端面を230℃で熱封止し、120×60mmの筒状にした。60mmの端面から図4に示す通り、対向させた電極を入れ、図1のように、アルミラミネートの端面とタブリードの熱溶着樹脂の位置を合わせて230℃で熱封止した。次に、ラミネートの封止されていない側から非水電解液を0.8cc注液した。注液後、0.06MPaの真空下で15分間静置し、電池ケース6内に非水電解液7を含浸させた。最後に、注液した側のラミネートの端面を230℃で熱封止した。

0067

(実施例2)
非水電解液中のトリメチルアセトニトリル(TAN)の濃度が0.12mol/Lであること以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0068

(参考例1)
非水電解液中にTANを含まないこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0069

(参考例2)
非水電解液中にTANを含まず、かつアセトニトリル(AN)(CAS番号:75−05−8)を0.06mol/L含むこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0070

(参考例3)
非水電解液中にTANを含まず、かつバレロニトリル(BN)(CAS番号:110−59−8)を0.06mol/L含むこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0071

(参考例4)
非水電解液中にTANを含まず、かつシクロペンタンカルボニトリル(CPN)(CAS番号:4254−02−8)を0.06mol/L含むこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0072

(参考例5)
非水電解液中にTANを含まず、かつアジポニトリル(ADN)(CAS番号:111−69−3)を0.06mol/L含むこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0073

(参考例6)
非水電解液中にTANを含まず、かつピメロニトリル(PN)(CAS番号:646−20−8)を0.06mol/L含むこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0074

(参考例7)
水電解液中にフルオロエチレンカーボネート(FEC)の代わりにエチレンカーボネート(EC)(CAS番号:96−49−1)を用い、TANを含まないこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0075

(参考例8)
非水電解液中にFECの代わりにECを用いたこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0076

(参考例9)
非水電解液中にFECの代わりにECを用い、TANを含まず、かつビニレンカーボネート(VC)(CAS番号:872−36−6)を1重量%添加したこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0077

(参考例10)
非水電解液中にFECの代わりにECを用い、VCを1重量%添加したこと以外、実施例1の電池と同様のリチウム二次電池を作製した。

0078

2.電池の評価
作製した実施例1、2および参考例1から10の電池は、図5に示す手順で評価を行った。具体的には、上述したようにリチウム二次電池を作製(S1)後、初期充放電を行った(S2)。その後、ハイレート試験(S3)および交流インピーダンス試験(S4)を行った。

0079

電池の評価の際、80×80cmのステンレス板(厚み2mm)で電池ケース6の上から電池を挟み、コの字型クランプで電池を0.2MPaで加圧した。また、評価はすべて25℃に保持した恒温槽内で行った。初期充放電として、0.1mA/cm2(正極面積当り)の電流密度定電流充電定電流放電を3回ずつ繰り返した。定電流充電は4.4Vの電池電圧終止し、定電流放電は3.0Vの電池電圧で終止した。充電放電との間は20分間、開回路にて静置した。

0080

[ハイレート試験]
作製した電池を4.4Vまで1mA/cm2(正極面積当り)の電流値で定電流充電し、その後、電流値が0.1mA/cm2未満になるまで4.4Vで定電圧充電した。その後、開回路で20分間放置し、10mA/cm2のレートの電流値で放電して、放電容量の測定を行った。また、同じ電池を上述の方法で充電し、開回路で20分間放置し、0.1mA/cm2のレートの電流値で放電して、放電容量の測定を行った。0.1mA/cm2での放電容量に対する10mA/cm2での放電容量の割合を百分率で求め、ハイレート特性R[%]とした。結果を表1に示す。

0081

[交流インピーダンス試験]
作製した電池を4.4Vまで1mA/cm2(正極面積当り)の電流値で定電流充電し、その後、電流値が0.1mA/cm2未満になるまで4.4Vで定電圧充電した。その後、25℃環境下で1時間放置し、交流インピーダンス測定を行った。測定条件を表2に示す。インピーダンス測定結果は、X軸にインピーダンスの実数成分、Y軸に虚数成分を示したナイキスト線図に表した。結果を図7から図10に示す。

0082

ナイキスト線図においては、正極/非水電解液界面の電荷移動や負極/非水電解液界面の電荷移動が半円弧成分として表れ、その半円弧の直径が電荷移動抵抗抵抗値を表す。このため、円弧が大きい程、電荷移動抵抗が大きく、電池としては低出力である。また、電極/非水電解液界面の電荷移動反応は複数の素反応によって構成されると考えられるため、ナイキスト線図上には複数の円弧成分が示される。今回測定した実施例1、2の電池から、図7に示すナイキスト線図が得られた。3個の円弧成分を仮定し、図6に示す等価回路を用いてフィッティングを行ったところ、3%以内の抵抗値のフィッティング誤差でフィッティングに成功した。円弧成分の帰属解釈については様々な議論がなされているが、統一的な見解は得られていない。本実施例では、3種類の電荷移動抵抗R1〜R3の合計値RCTを電池全体の電荷移動抵抗として議論する。図7に示したナイキスト線図に対して図6に示した等価回路によってフィッティングを行い、得られたRCTを表1に示す。図6の等価回路中のRsは、電極芯材中の電子抵抗や非水電解液中のイオン移動抵抗を含む抵抗成分であり、ナイキスト線図中での円弧とX軸の左側交点の値を反映する。図6の等価回路中のR1〜R3は電極/非水電解液界面の電荷移動抵抗であり、その合計値RCTがナイキスト線図中での半円弧のX軸方向の直径の長さを反映する。図6の等価回路中のC1〜C3は、電極/非水電解液界面の電気二重層容量を示す。

0083

図7には、参考例1の結果も示した。また、図8は、参考例1〜6の電池によるナイキスト線図を示す。同様に図9は、参考例7、8の電池によるナイキスト線図を示す。図10は、参考例9、10の電池によるナイキスト線図を示す。

0084

0085

0086

3.結果と考察
実施例1、2および参考例1の結果から、非水電解液にフルオロエチレンカーボネート(FEC)を含むリチウム二次電池においては、トリメチルアセトニトリル(TAN)の添加により80%以上のハイレート特性(表1のR)が得られており、ハイレート特性が向上していることが分かる。さらに、非水電解液にフルオロエチレンカーボネートを含むリチウム二次電池においては、トリメチルアセトニトリル添加により、5%程度以上、電荷移動抵抗(表1のRCT)が低下している。これらの効果は、耐還元性の低いフルオロエチレンカーボネートおよびトリメチルアセトニトリルが、負極上に複合SEIを形成し、そのSEIがフルオロエチレンカーボネート単独で形成されるSEIよりも低抵抗であることにより発現すると考えられる。

0087

参考例1から参考例6の結果から、非水電解液にフルオロエチレンカーボネートを含むリチウム二次電池において、トリメチルアセトニトリル(TAN)の代わりに、アセトニトリル(AN)、バレロニトリル(BN)、シクロペンタンカルボニトリル(CPN)、アジポニトリル(ADN)またはピメロニトリル(PN)を添加してもハイレート特性は80%以下であり、ハイレート特性は向上していない。また、これらのニトリル化合物を添加しても、電荷移動抵抗は210Ω以上であり、電荷移動抵抗の低下も見られなかった。これらの結果から、フルオロエチレンカーボネートと、アセトニトリル、バレロニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、アジポニトリル、またはピメロニトリルとは、負極上に低抵抗な複合被膜を形成することができないと考えられる。

0088

参考例7、8の結果から、エチレンカーボネートとトリメチルアセトニトリルとの組み合わせでは、ハイレート特性の向上や電荷移動抵抗低減の効果が得られない。したがって、エチレンカーボネートとトリメチルアセトニトリルとでは、負極上に低抵抗な複合SEIを形成することができないと考えられる。

0089

リチウム二次電池用非水電解液の溶媒がエチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒である場合、高い長期信頼性を確保するために、負極SEI形成添加剤として、一般的にはビニレンカーボネートを0.1〜5重量%程度添加する場合がある。参考例9、10の結果から、ビニレンカーボネートとトリメチルアセトニトリルとの組み合わせでも、負極上に低抵抗な複合SEIは形成されないと考えられる。

0090

これらの結果から、本実施形態による電荷移動抵抗の低減の効果およびハイレート特性向上の効果は、フルオロエチレンカーボネートとトリメチルアセトニリルとを併用した場合に発現する、特異的な効果であると考えられる。

実施例

0091

第1の実施形態で挙げた側鎖にフルオロ基を有する環状カーボネートは、フルオロエチレンカーボネートと同等の還元電位や同様の還元分解メカニズムをもつ。このため、これらの側鎖にフルオロ基を有する環状カーボネートとトリメチルアセトニトリルとを含む二次電池用非水電解液も、実施例1、2と同様、ハイレート特性の向上および電荷移動抵抗の低減の効果を得ることができると考えられる。

0092

本発明の二次電池用非水電解液は、高いハイレート特性が求められる二次電池用の非水電解液として有用である。特に、耐酸化性も高いことから、高い充電電圧を必要とするリチウム二次電池用の非水電解液として有用である。また、本発明のリチウム二次電池は、高いハイレート特性が求められるリチウム二次電池として有用である。特に、高い充電電圧を必要とするリチウム二次電池として有用である。

0093

これらの長所から、高いエネルギー密度やハイレート特性が求められる、EVやPHEV用の二次電池用非水電解液または二次電池として好適である。

0094

1 正極
1a正極合剤層
1b正極集電体
2正極タブリード
3 負極
3a負極合剤層
3b負極集電体
4負極タブリード
5セパレータ
6電池ケース
7 非水電解液

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