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技術 高機能インプラント材料

出願人 株式会社Quarrymen&Co.
発明者 上田実
出願日 2013年12月26日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2014-554572
公開日 2017年1月19日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 WO2014-104246
状態 特許登録済
技術分野 微生物による化合物の製造 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理 医療用材料 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 材料表 除去トルク ラウンドバー トルクゲージ CM群 裏打ち構造 マイクログラフ 停止段階
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図面 (14)

課題・解決手段

本発明は、簡便な手法で材料の表面特性を向上させ、そして、骨と金属インプラント材とを、一定の期間のうちに、十分に一体化できるインプラント製造用細胞産生物調製方法、前記方法で産生された産生物、前記産生物を用いた高機能インプラントを提供することを目的とする。骨髄間質細胞又は不死化乳歯幹細胞からこれらの細胞の産生する、Col-I、OCN、OPN、BSP、フィブロネクチン及びVEGFその他の成長因子を含む細胞産生物を調製し、得られた細胞産生物と石灰化溶液とを用いて、これらの成長因子を表面に固定化した高機能インプラントを提供する。

概要

背景

歯科治療の目的の1つは、人工的な材料を用いて、欠損した歯の機能及び形状を回復させることにある。このため、欠損した歯等を補うために、最も一般的な治療としてインプラントが使用される。
本来、欠損した歯等に十分な機能を発揮させるためにインプラントを安定化させることが必要であるから、インプラントは歯槽骨一体化することが望ましい。このため、こうしたインプラント材料として、バイオガラスリン酸カルシウムセラミックス(すなわち、ヒドロキシアパタイト及びβ-リン酸三カルシウム)その他の生物活性材料及び金属材料が使用されてきた。

骨との一体化という観点からみると、上記のような生物活性材料は、生体適合性が高いという点で優れている。一方で、歯には大きな力がかかるため、強度や耐久性といった機械的特性という観点からみると、金属材料の方が優れている。そして、こうした金属材料の中でも、生体適合性及びコスト等の面から、チタン(以下、「Ti」ということがある。)がインプラント材料として汎用されている。

インプラント材料の表面特性を向上させる技術としては、ヒト間葉幹細胞および骨芽細胞からなる一群から選択される細胞、又は、ウシ血漿アルブミンフラクションV、およびウシ血清フィブロネクチンからなる一群から選択されるタンパク質を表面に引き寄せることができる、正の電荷を帯びた金属酸化物を表面に有するインプラント(以下、「従来技術1」という。)が提案されている。

また金属インプラントの骨への一体化は、骨の再生能に依存することが知られている。そして、この骨への一体化能を向上させるために、骨形成試薬成長因子のインプラント材料表面への適用が行われてきた。これまでの報告(以下、「従来技術2」という。)では、ポリペプチドや細胞を、ムコ多糖コーティングしたインプラント上に固定すると、移植後のオッセオインテグレーション及び骨修復を改善することが報告されている。

概要

本発明は、簡便な手法で材料の表面特性を向上させ、そして、骨と金属インプラント材とを、一定の期間のうちに、十分に一体化できるインプラントの製造用細胞産生物調製方法、前記方法で産生された産生物、前記産生物を用いた高機能インプラントを提供することを目的とする。骨髄間質細胞又は不死化乳歯幹細胞からこれらの細胞の産生する、Col-I、OCN、OPN、BSP、フィブロネクチン及びVEGFその他の成長因子を含む細胞産生物を調製し、得られた細胞産生物と石灰化溶液とを用いて、これらの成長因子を表面に固定化した高機能インプラントを提供する。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

5〜15%の血清、50〜150U/mLのペニシリン及び50〜150μg/mLのストレプトマイシンを含有する培養液中に、5×103〜5×104個/mLの骨髄間質細胞又は不死化乳歯幹細胞を加えて、34〜37.5℃、5%CO2存在下に、予備培養を行う予備培養工程と;所定の形状と接着性とを有する前記細胞選別する細胞選別工程と;前記選別工程で選別された細胞を予備培養と同じ条件で培養し、培養開始後40〜56時間の培養上清を集める培養上清収集工程と;を備える、細胞産生物調製方法

請求項2

前記骨髄間質細胞は、ラット大腿骨ブタ歯髄、及びヒト乳歯からなる群から選ばれるいずれかの細胞に由来するものであることを特徴とする、請求項1に記載の細胞産生物の調製方法。

請求項3

前記細胞を、37℃で培養することを特徴とする、請求項2に記載の細胞産生物の調製方法。

請求項4

前記所定の形状は、スピンドル形状かつ紡錘型であることを特徴とする、請求項3に記載の細胞産生物の調製方法。

請求項5

培養開始後44〜52時間の前記培養上清を集めることを特徴とする、請求項1に記載の細胞産生物の調製方法。

請求項6

培養開始後48時間の前記培養上清を集めることを特徴とする、請求項5に記載の細胞産生物の調製方法。

請求項7

前記培養液は、ダルベッコ培地イスコフ改変ダルベッコ培地、ハムF12培地、及びRPMI1640培地からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の培地であることを特徴とする、請求項1に記載の細胞産生物の調製方法。

請求項8

前記血清は、ウシ胎児血清ウシ血清ウマ血清ヒト血清、及びヒツジ血清からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の血清であることを特徴とする、請求項7に記載の細胞産生物の調製方法。

請求項9

前記培養液は、10%ウシ胎児血清と、100U/mLのペニシリンと100μg/mLのストレプトマイシンとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の細胞産生物の調製方法。

請求項10

遠心及びエタノール沈殿処理を行って沈殿物を調製する沈殿物調整工程と;前記沈殿物調製工程で得られた沈殿物を凍結乾燥させる凍結乾燥工程と;をさらに備える、請求項1〜9のいずれかに記載の細胞産生物の調製方法。

請求項11

請求項1〜10のいずれかに記載の方法で調製された細胞産生物。

請求項12

前記培養上清には、少なくとも、I型コラーゲン(Col-I)、フィブロネクチンデコリン及び血管内皮増殖因子VEGF)が含まれることを特徴とする、請求項11に記載の細胞産生物。

請求項13

請求項14

前記培養上清には、SPARC、コラーゲンα2(IV)鎖、β-2-ミクログロブリン、RhoGTPase活性化タンパク質18がさらに含まれることを特徴とする請求項13に記載の細胞産生物。

請求項15

インプラント材の表面を有機溶媒洗浄し、洗浄インプラント材とする洗浄工程と;前記洗浄インプラント材を、所定の組成を有する第1石灰化溶液中に所定の温度で3〜6時間浸漬し、浸漬インプラント材とする浸漬工程と;前記浸漬インプラント材を所定の濃度の請求項12〜14のいずれかに記載の細胞産生物を含有する第2石灰化溶液で2〜5日間インキュベート処理する処理工程と;を備えることを特徴とする、高機能インプラント作成方法

請求項16

前記インプラント材は、チタンジルコニアハイドロキシアパタイト、及びβ‐TCPからなる群から選ばれるいずれかの材料で形成されていることを特徴とする、請求項16に記載の高機能インプラントの作成方法。

請求項17

前記有機溶媒は、アセトンと60〜80%エタノールであることを特徴とする、請求項16に記載の高機能インプラントの作成方法。

請求項18

前記第1石灰化溶液は、100〜150 mM NaCl, 2.5〜3.5 mM CaCl2・H2O, 1.5〜2.5 mM K2HPO4, 25〜75 mM Tris-HCl(pH 7.2〜7.6)であり、第2石灰化溶液は、130〜160 mM KNO3, 1〜2 mM Ca(NO3)2・4H2O, 0.5〜1.5 mM K2HPO4(pH 7.0〜7.8)であることを特徴とする、請求項16に記載の高機能インプラントの作成方法。

請求項19

前記第1石灰化溶液は、136.8 mM NaCl, 3.10 mM CaCl2・H2O, 1.86 mM K2HPO4, 50 mM Tris-HCl(pH 7.4)であり、第2石灰化溶液は、142.8 mM KNO3, 1.5 mM Ca(NO3)2・4H2O, 0.9 mM K2HPO4(pH 7.4)であることを特徴とする、請求項18に記載の高機能インプラントの作成方法。

請求項20

前記所定の温度が36〜38℃であり、浸漬時間が4時間であることを特徴とする、請求項16に記載の高機能インプラントの作成方法。

請求項21

前記所定の濃度の細胞産生物は、5〜20mg/mLの濃度であることを特徴とする、請求項15に記載の高機能インプラントの作成方法。

請求項22

請求項15〜21のいずれかに記載の方法で作成された高機能インプラント。

請求項23

少なくとも、I型コラーゲン(Col-I)、フィブロネクチン、及びデコリンを表面に保有することを特徴とする、請求項22に記載の高機能インプラント。

請求項24

インスリン様成長因子結合タンパク質7、フォリスタチン関連タンパク質、メタロプロテイナーゼインヒビターI、組織プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター、アクチン、及びスルフヒドリルオキシダーゼIからなる群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質をさらに表面に有することを特徴とする、請求項23に記載の高機能インプラント。

請求項25

前記高機能インプラントは、チタン、ジルコニア、ハイドロキシアパタイト、及びβ‐TCPからなる群から選ばれるいずれかの材料で形成されていることを特徴とする、請求項22に記載の高機能インプラント。

技術分野

0001

本発明は、骨髄間質細胞BMCs)又は不死化乳歯幹細胞産生物を用いた高機能インプラント材料に関する。より詳細には、上記BMCs骨髄間質細胞又は不死化乳歯幹細胞の産生物を表面にコーティングした高機能インプラント材料に関する。

背景技術

0002

歯科治療の目的の1つは、人工的な材料を用いて、欠損した歯の機能及び形状を回復させることにある。このため、欠損した歯等を補うために、最も一般的な治療としてインプラントが使用される。
本来、欠損した歯等に十分な機能を発揮させるためにインプラントを安定化させることが必要であるから、インプラントは歯槽骨一体化することが望ましい。このため、こうしたインプラント材料として、バイオガラスリン酸カルシウムセラミックス(すなわち、ヒドロキシアパタイト及びβ-リン酸三カルシウム)その他の生物活性材料及び金属材料が使用されてきた。

0003

骨との一体化という観点からみると、上記のような生物活性材料は、生体適合性が高いという点で優れている。一方で、歯には大きな力がかかるため、強度や耐久性といった機械的特性という観点からみると、金属材料の方が優れている。そして、こうした金属材料の中でも、生体適合性及びコスト等の面から、チタン(以下、「Ti」ということがある。)がインプラント材料として汎用されている。

0004

インプラント材料の表面特性を向上させる技術としては、ヒト間葉幹細胞および骨芽細胞からなる一群から選択される細胞、又は、ウシ血漿アルブミンフラクションV、およびウシ血清フィブロネクチンからなる一群から選択されるタンパク質を表面に引き寄せることができる、正の電荷を帯びた金属酸化物を表面に有するインプラント(以下、「従来技術1」という。)が提案されている。

0005

また金属インプラントの骨への一体化は、骨の再生能に依存することが知られている。そして、この骨への一体化能を向上させるために、骨形成試薬成長因子のインプラント材料表面への適用が行われてきた。これまでの報告(以下、「従来技術2」という。)では、ポリペプチドや細胞を、ムコ多糖でコーティングしたインプラント上に固定すると、移植後のオッセオインテグレーション及び骨修復を改善することが報告されている。

先行技術

0006

特許公表2012−509750
特許公表2004−531461

発明が解決しようとする課題

0007

上述した従来技術は、金属インプラント材料表面を処理しない場合と比較すると、骨への一体化が進んでいるという点では優れたものである。しかし、生体適合性の高い生物活性材料を使用した場合に比べると、骨への一体化は不十分であるという問題点があった。
また、金属インプラント材料表面の処理は、まず、金属インプラント表面を活性化する前処理を行い、その後に骨形成試薬で処理する、又は成長因子を適用するという手順で行われるため、操作が煩雑であった。さらに、金属インプラント材表面に成長因子を適用する場合には、その表面に固定した成長因子の保持される期間が問題となる。金属インプラント材の表面に保持される期間が、骨と金属インプラント材料とが一体化するのに必要な時間と比べて短ければ、十分な一体化が望めないからである。

0008

このため、簡便な手法で材料の表面特性を向上させ、そして、骨と金属インプラント材とを、一定の期間のうちに、十分に一体化できるようにすることについては、強い社会的要請があった。

課題を解決するための手段

0009

本発明は、上記のような状況の下で完成されたものである。
すなわち、本発明の第1の態様は、5〜15%の血清、50〜150U/mLのペニシリン及び50〜150μg/mLのストレプトマイシンを含有する培養液中に、5×103〜5×104個/mLの骨髄間質細胞又は不死化乳歯幹細胞を加えて、34〜37.5℃、5%CO2存在下に、予備培養を行う予備培養工程と;所定の形状と接着性とを有する前記細胞を選別する細胞選別工程と;前記選別工程で選別された細胞を予備培養と同じ条件で培養し、培養開始後40〜56時間の培養上清を集める培養上清収集工程と;を備える、細胞産生物の調製方法である。

0010

ここで、前記骨髄間質細胞は、ラット大腿骨から得られることが好ましく、不死化乳歯歯髄幹細胞は、ブタ歯髄及びヒト乳歯からなる群から選ばれるいずれかの細胞に由来するものであることが好ましい。前記細胞は、37℃で培養することが好ましい。
また、前記細胞選別工程における所定の形状は、スピンドル形状かつ紡錘型であることが好ましい。前記培養上清は、培養開始後44〜52時間で集めることが好ましく、培養開始後48時間で集めることがさらに好ましい。

0011

ここで、前記培養液は、ダルベッコ培地イスコフ改変ダルベッコ培地、ハムF12培地、及びRPMI1640培地からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の培地であることが好ましい。また、前記血清は、ウシ胎児血清、ウシ血清、ウマ血清ヒト血清、及びヒツジ血清からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の血清であることが好ましい。さらに、前記培養液は、10%ウシ胎児血清と、100U/mLのペニシリンと100μg/mLのストレプトマイシンとを含むことが好ましい。
また、上記調製方法は、遠心及びエタノール沈殿処理を行って沈殿物を調製する沈殿物調整工程と、前記沈殿物調製工程で得られた沈殿物を凍結乾燥させる凍結乾燥工程とをさらに備えることが好ましい。

0012

本発明の第2の態様は、上述した調製方法で調製された細胞産生物である。上記細胞産生物には、少なくとも、I型コラーゲン(Col-I)、フィブロネクチン、デコリン及び血管内皮増殖因子VEGF)が含まれることが好ましく、これらに加えてインスリン様成長因子結合タンパク質7、フォリスタチン関連タンパク質、メタロプロテイナーゼインヒビターI、組織プラスミノーゲンアクチベータインヒビターアクチン、及びスルフヒドリルオキシダーゼI、SPARC、コラーゲンα2(IV)鎖、β-2-ミクログロブリン、RhoGTPase活性化タンパク質18がさらに含まれることが、より一層好ましい。

0013

本発明はまた、インプラント材の表面を有機溶媒洗浄し、洗浄インプラント材とする洗浄工程と;前記洗浄インプラント材を、所定の組成を有する第1石灰化溶液中に所定の温度で3〜6時間浸漬し、浸漬インプラント材とする浸漬工程と;前記浸漬インプラント材を所定の濃度の細胞産生物を含有する第2石灰化溶液で2〜5日間インキュベート処理する処理工程と;を備えることを特徴とする高機能インプラントの作成方法である。

0014

ここで、前記インプラント材は、チタン、ジルコニアハイドロキシアパタイト、及びβ‐TCPからなる群から選ばれるいずれかの材料で形成されていることが好ましい。また、前記有機溶媒は、アセトンと60〜80%エタノールであることが好ましい。さらに、上記第1石灰化溶液は、100〜150mM NaCl, 2.5〜3.5mM CaCl2・H2O, 1.5〜2.5mM K2HPO4, 25〜75mM Tris-HCl(pH 7.2〜7.6)であることが好ましく、136.8mM NaCl, 3.10mM CaCl2・H2O, 1.86mM K2HPO4, 50mM Tris-HCl(pH 7.4)であることがさらに好ましい。
さらに、前記所定の温度が36〜38℃であり、浸漬時間が4時間であることが好ましい。前記所定の細胞産生物は、上記の細胞産生物の5〜20mg/mLの水溶液であることが好ましく、約10mg/mLであることがさらに好ましい。

0015

本発明の第3の態様は、上述したいずれかの方法で作成された高機能インプラントである。ここで、上記インプラント材は、チタン、ジルコニア、ハイドロキシアパタイト、及びβ‐TCPからなる群から選ばれるいずれかの材料で形成されていることが好ましい。
上記インプラントは、少なくとも、少なくとも、I型コラーゲン(Col-I)、フィブロネクチン、及びデコリンを表面に保有することが好ましく、インスリン様成長因子結合タンパク質7(IGF-binding protein 7)、フォリスタチン関連タンパク質、メタロプロテイナーゼインヒビターI、組織プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター、アクチン、及びスルフヒドリルオキシダーゼIからなる群から選ばれる少なくとも1以上のタンパク質をさらに表面に有することがさらに好ましい。

発明の効果

0016

本発明の調製方法によれば、骨髄間質細胞又は不死化乳歯歯髄幹細胞によって産生され、Col-I、デコリン、ビメンチン、IGF-結合タンパク質7、フィブロネクチン、SPARC(secreted protein acidic and rich cycteine)等を含む細胞産生物を調製することができる。また、この細胞産生物を用いて、簡便に、高機能インプラントを作製することができる。
さらにまた、短期間で骨との一体化ができる、高機能インプラント材を得ることができる。

図面の簡単な説明

0017

図1走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影したTiインプラント表面電子顕微鏡写真である。図1中、(A)及び(D)は、PBSリン酸緩衝生理食塩水)で処理した場合の表面、(B)及び(E)はDMEM(ダルベッコのα‐MEM)で処理した場合の表面、(C)及び(F)はCM(細胞培養の培養上清)で処理した場合の表面を示す。
図2は、上記のように処理したTiインプラント(以下、「Tiプレート」ということがある。)表面に、1.0×106個の細胞を播種し、24時間後に接着していた細胞数を示す図である(ANOVA検定。図中、*はp<0.05を示す)。

0018

図3は、固定化されたDMEM又はCMを有するTiプレート表面上で培養されたラットBMSCsのゲル電気泳動像(A)〜(C)、及びそれを定量化したグラフ(D)〜(F)である。
図4は、in vivoにおけるTiインプラント上でのQDラベルされた生体分子検出画像である。図中、PBS、DMEM及びCMは上記の通りである。

0019

図5は、上述した歯髄細胞から選択された不死化幹細胞と、不死化幹細胞ではない細胞の個体倍化数と培養期間との関係を表すグラフである。図1中、SHED-Tは不死化幹細胞を表し、SHED-Cは不死化幹細胞ではない細胞を表す。
図6は、SHED-C及びSHED-TでのSTRO-1発現の結果を示すグラフである(図2(A)〜(D))。図中、PD20は個体数倍化回数=20回、PD30は個体数倍化回数=30回、及びPD40は個体数倍化回数=40回を表す。

0020

図7は、図8に示す各個体倍加時間のときのSHED-CとSHED-Tとの組織染色像を示す図である。
図8は、個体倍加時間(回数)と新生骨量との関係を示すグラフであり、図中、**はp<0.05、***はp<0.01を表わす。新生骨量は、以下の算出式で求めた。 新生骨量=新生骨面積視野面積×100

0021

図9は、ラットの大腿骨Tiインプラントのトルク除去の値を示すグラフである(N=3)。PBS、DMEM又はCMで28日間観察した(ANOVA検定。*はp<0.05を、**はp<0.01を示す)。
図10は、大腿骨の海綿骨又は皮質骨における骨対インプラント接触(Bone-to-implant contact、以下「BIC」と略す。)の変化を示すグラフである(N=3)。(A)は海綿骨、(B)は皮質骨を示す。図中、ANOVA検定の結果、*はp<0.05を、また、**はp<0.01を示す。
図11は、本発明の細胞産生物で処理した場合としない場合とのインプラントの安定性経時変化を示すグラフである(N=3)。図中、ANOVA検定の結果、*はp<0.05を示す。

0022

図12は、PBSで処理した場合、及び本発明の細胞産生物で処理した場合の細胞数の相違を示したグラフである(N=3)。図中、Pは大気圧の下でプラズマ処理をし場合、Nはプラズマ処理をしていない場合である。また、ANOVA検定の結果、*はp<0.05を、また、**はp<0.01を示す。
図13は、図12の場合の細胞の増殖を、DAPI(4',6-ジアミノ-2-フェニルインドール)とファロイジンで染色し、蛍光顕微鏡で観察した結果である(N=3)。図中、スケールバーは100μmを示す。
図14は、本発明の細胞産生物を、4℃、−15℃及び−80℃で、1週間(1W)、2週間(2W)及び1ヶ月(1M)保存し、これらを同量で培地に添加したときの細胞の増殖率の変化を示す(N=3)。

0023

以下に、本発明の骨髄間質細胞の産生物の調製方法について、詳細に説明する。
本発明の調製方法は、(a)5〜15%の血清、50〜150U/mLのペニシリン及び50〜150μg/mLのストレプトマイシンを含有する培養液中に、5×103〜5×104個/mLの骨髄間質細胞又は不死化乳歯幹細胞を加えて、34〜37.5℃、5%CO2存在下に、予備培養を行う予備培養工程と;(b)所定の形状と接着性とを有する前記細胞を選別する細胞選別工程と;(c)前記選別工程で得られた細胞を予備培養と同じ条件で培養し、培養開始40〜56時間後の培養上清を集める培養上清収集工程と;を備えている。

0024

ここで、前記培養液は、ダルベッコ培地(以下、「DMEM」ということがある。)、イスコフ改変ダルベッコ培地(以下、「IMDM」ということがある。)、ハムF12培地(以下、「Ham12」ということがある。)、及びRPMI1640培地からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の培地であることが、入手及び取り扱いが容易であることから好ましい。上記の培地は、基本培地といわれる培地であり、GIBCO社、SIGMA社等から購入することができる。これらの培地のうち、二種以上を併用して混合培地として使用することもできる。混合培地の一例としては、IMDMとHamF12を等量混合した培地(例えば商品名:IMDM/HamF12(GIBCO社)として市販される)を挙げることができる。

0025

また、前記血清は、ウシ胎児血清、ウシ血清、ウマ血清、ヒト血清、及びヒツジ血清からなる群から選ばれる少なくとも1種以上の血清であることが、細胞の増殖が良く、問題となるようなタンパク質を培養上清中に産生しないことから好ましい。
培地に添加可能な成分としては、上記の血清のほか、血清代替物(Knockout serum replacement(KSR)など)、ウシ血清アルブミンBSA)、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンその他の抗生物質ビタミンK葉酸その他の各種ビタミン類カルシウムマグネシウムその他の各種ミネラルアルギニントリプトファンその他のアミノ酸等を挙げることができる。

0026

本発明の調製方法では、10%ウシ胎児血清と、100U/mLのペニシリンと100μg/mLのストレプトマイシンとを含む培養液を使用することが、十分な量の細胞増殖因子群を含む培養上清を得る上で好ましい。
また、本発明は、(d)遠心及びエタノール沈殿処理を行って沈殿物を調製する沈殿物調整工程と;(e)前記沈殿物調製工程で得られた沈殿物を凍結乾燥させる凍結乾燥工程と;をさらに備える方法とすることができる。
前記骨髄間質細胞は、ラットの大腿骨、ブタ下顎及び歯、及びヒト乳歯からなる群から選ばれるいずれかの細胞に由来するものであることが、一定の種類の細胞成長因子を安定して産生できる細胞を確実に入手できることから好ましい。

0027

ここで、細胞成長因子とは、特定の細胞の増殖、分化等に関与するポリペプチド性因子の総称であり、免疫系を調節するリンホカインサイトカイン等も含まれる。増殖因子、細胞増殖因子と呼ばれることもある。以下、細胞成長因子を、単に「成長因子」ということがある。
成長因子は、生体内における種々の細胞学的プロセス、生理学的プロセスの調節に関与していることが知られており、標的細胞表面にある受容体タンパク質(以下、単に「受容体」又は「レセプター」ということがある。)に特異的に結合し、シグナル伝達を行う。

0028

代表的な成長因子としては、上皮成長因子(Epidermal growth factor:EGF)、インスリン様成長因子(Insulin-like growth factor:IGF)、トランスフォーミング成長因子(Transforming growth factor:TGF)、神経成長因子(Nerve growth factor:NGF)、脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor:BDNF)、血管内皮細胞増殖因子(Vesicular endothelial growth factor:VEGF)、顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte-colony stimulating factor:G-CSF)、顆粒球マクロファージ刺激因子(Granulocyte-macrophage-colony stimulating factor:GM-CSF)、血小板由来成長因子(Platelet-derived growth factor:PDGF)、エリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)、トロンボポエチン(Thrombopoietin:TPO)、塩基性線維芽細胞増殖因子basicfibroblast growth factor:bFGFまたはFGF2)、肝細胞増殖因子(Hepatocyte growth factor:HGF)等を挙げることができる。

0029

TGF-βは、自然界に存在する増殖因子の1つである。他の多数のシグナル経路と同様に素子の発生、細胞の分化、発育において極めて重要な役割を果たす。
β型変異増殖因子TGF-βは腎臓骨髄血小板などほぼすべての細胞で産生され、5種類のサブタイプβ1〜β5)が存在する。TGF-β1〜β3は、骨基質中に不活性型として蓄積されており、骨吸収の際に破骨細胞が放出する酸によって活性化される。TGF-βは、骨芽細胞の増殖及びコラーゲン等の間葉細胞の合成・増殖を促進するが、上皮細胞の増殖や破骨細胞に対しては抑制的に作用する。

0030

チロシンキナーゼ活性を有する上記受容体では、成長因子の結合により、タンパク質中のチロシン残基リン酸化され、細胞の増殖・分化が惹起される。また、個体発生の際に、成長因子が中胚葉誘導物質となっている例もある。
上記の成長因子は、それらの構造及び進化の面から関連するいくつかのファミリー分類される。これらのファミリーとしては、TGF-β、骨形成タンパク質(bone morphogenic protein:BMP)、ニューロトロフィン神経栄養因子)、線維芽細胞増殖因子(FGF)等を挙げることができる。上記神経栄養因子には、NGF、BDNF、NT3等が含まれる。成長因子は現在、医療でも盛んに用いられている。

0031

また、TGF-βは、TGF-βスーパーファミリーを構成する1つのメンバーであるが、このスーパーファミリーには、生物の骨形成に重要な役割を果たしている骨形成タンパク質(bone morphogenic protein:BMP)等が含まれる。

0032

本発明の培養上清には、コラーゲンα-1(I)鎖、コラーゲンα-2(I)鎖、ビメンチン、コラーゲンα-1(IV)鎖、IGF結合タンパク質7(IGFBP7)、フィブロネクチン、デコリン、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1、アクチン(細胞質性2)、スルフヒドリルオキシダーゼ1、SPARC、メタロプロテイナーゼインヒビター1、コラーゲンα-2(IV)鎖、SCP2、72kDaIV型コラゲナーゼ、β-2-ミクログロブリン、RhoGTPase活性化タンパク質18等の種々のタンパク質が含まれていることが好ましい。

0033

ここで、コラーゲンは3本のα鎖で構成される三重らせん構造分子であり、I型、II型III型、IV型、V型等、多くの型があることが知られている。各型の分子は同じ種類又は異なる種類のポリペプチド鎖からなる。このポリペプチド鎖(α鎖)の種類には30種類以上があることが知られており、α1(I),α2(IV)等と呼ばれる。
コラーゲンタンパク質ファミリーは、以下のように分類される。
1)特異的な、67nmの周期構造横紋構造を有する線維を形成する分子群(I型、III型、V型(主として軟骨以外の組織))、II型、XI型(軟骨組織

0034

2)これらの繊維表面に結合している分子群(XII型、XIV型(軟骨以外の組織)、IX型(軟骨組織))
3)網目状の会合体を形成している分子群(主として基底膜骨格を形成するIV型コラーゲン)、細胞外微細繊維を形成するVI型、皮膚等の表皮基底細胞からの基底板を突き抜けて存在するアンカリングフィブリルを形成するVII型
4)ヘキサゴナ格子を形成するX型(軟骨が骨へと移行する時期に暫定的に存在する)、目の核膜のデスメの六角構造を形成し、血管その他の組織にも存在する)、さらに細胞膜を貫通するドメインを有するXIII型、XV型、XVII型、XVIII型

0035

ビメンチンは、繊維芽細胞白血球細胞等の間葉系細胞に特徴的に発現している中関径フィラメントタンパク質である。各種プロテインキナーゼによるリン酸化によって、ビメンチンフィラメント構築の制御を受ける。発生の過程一過性に発現することが知られている。
インスリン様増殖因子結合タンパク質7(insulin-like growth factor-binding protein 7:IGFBP7)はIGF-1受容体に結合し、インスリン様増殖因子によるIGF-1受容体の活性化を遮断する。このため、IGFBP7の存在量は腫瘍進行逆相関を示すタンパク質である。

0036

フィブロネクチンは、細胞外マトリクスを形成する糖タンパク質で、分子量約250kDaのポリペプチドが二量体を形成している。主に繊維芽細胞、肝細胞神経細胞などの接着を促進する。細胞膜表面の特異的レセプターであるインテグリンを介して、細胞接着のほか、細胞移動食作用の促進などに関わり、さらに組織損傷の場においても働く。

0037

デコリンは、小型デルマタン硫酸プロテオグリカン、骨プロテオグリカンII,PG-40,PG-II,PG-2,DS-PGII,38kDa(分子量3.8万)のコアタンパク質に1本のコンドロイチン硫酸混成鎖を持つプロテオグリカンであり、コラーゲン線維に結合して存在する。軟骨、骨、、皮膚、強膜大動脈等の動物結合組織に広く分布する。

0038

プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PAI)は、フィブリンの溶解に重要な役割を演じる組織プラスミノーゲンアクチベーターと結合してその作用を阻止する。最も重要なのは、血管内皮で産生されるPAI-1であり、血小板中にも存在する。このほか、胎盤で産生されるPAI-2や、活性化プロテインCAPC)を阻止するPAI-3がある。PAI-1の血中濃度の増加は血栓傾向の原因となるが、一種急性期タンパク質であり、午前よりも午後が高く、また、血中の取りアシルグリセロールと正の相関がある。

0039

アクチン(細胞質性2)は、筋肉収縮性タンパク質である。細胞内においてアクチンは、主にアクチンフィラメントとして機能すると考えられている。筋細胞においては、アクチンフィラメントはII型ミオシン会合してアクトミオシン束を形成し、筋収縮力に寄与する。神経細胞を含む非筋細胞においては、アクチンフィラメントは、突起状のフィロポディア(Filopodia、糸状仮足)、細胞辺縁波打ち構造であるラメリポディア(Lamellipodia、葉状仮足)、活性化されたII型ミオシンと会合したアクトミオシン束からなるストレスファイバー(Stress fiber)等の多様なアクチン構造を形成する。

0040

これらのアクチン構造の再編成は、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質を介した細胞内情報伝達により時空間特異的に制御されており、細胞運動細胞分裂等の細胞形態動的制御において重要な働きを担う。同時に、非定型ミオシンとの結合を介してアクチンフィラメントに沿った小胞輸送に寄与する。このような動的な役割以外にも、アクチンフィラメントは細胞膜の直下に集積し、細胞皮質(cell cortex)の裏打ち構造を形成する他、α-カテニンビンキュリンを介して細胞接着因子であるカドヘリンと結合して細胞間接着支える。

0041

スルフヒドリルオキシダーゼ1は、R’C(R)SHを基質とする、チオールオキシダーゼである。
SPARCは、骨と象牙質に存在する30kDaの非コラーゲン性タンパク質であり、真皮の形成を機能に中心的な役割を果たす。線維芽細胞から分泌され、コラーゲンとヒアルロン酸の合成を高める。

0042

メタロプロテイナーゼインヒビターは(TIMP、Tissue Inhibitors of Metallo-Proteinases)、マトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase:MMP)の活性をコントロールする、内在性阻害物質である。MMPは、Zincメタロプロテアーゼファミリーで、細胞から分泌される細胞外マトリックスの代謝を司る。現在、異なる阻害形式を有する4種のTIMP、TINP-1〜4が知られており、組織によって、MMPの流入に応じて異なったレベルで発現する。TIMP-1と2とは、いずれも、多くのMMPの活性部位に結合し、それらの活性を不可逆的に阻害する。また、これら2つのTIMPは、種々の細胞に直接的に作用し、増殖促進活性を示す。

0043

SCP2は、石油天然ガスアルコール廃糖蜜農産物などを発酵原料として大量生産される微生物菌体または菌体からのタンパク抽出物をいう。「単細胞タンパク質」ともいい、酵母、細菌、糸状菌藻類などのタンパク質に富んだ単細胞生物を殺菌し、乾燥した物をいうこともある。
72kDaIV型コラゲナーゼはゼラチナーゼともいい、ゼラチナーゼのうち、A酵素を72kDa IV型コラゲナーゼ(MMP-2)と呼ぶ。95kDaのB酵素は、MMP-9と呼ばれる。MMP-2は、触媒ドメインに挿入されたII型ファイブロネクチンドメインの3つのリピートを有しており、MMP-9と共にMMPsのゼラチナーゼグループに属する。MMP-2はコラーゲンI, IV, V, VII, X, XIV,ゲラチン(gelatin),エラスチンラミニン-1、ラミニン-5、ミエリン塩基性タンパク質(myelinbasicprotein)、MMP-1, MMP-9, MMP-13に対して、直接あるいは間接的な基質特異性を示す。

0044

β-2-ミクログロブリンは、組織適合抗原クラスI)を構成する二本鎖のうちの軽鎖である。組織適合抗原の特異性を示す抗原性を持たない。
RhoGTPase活性化タンパク質は、分子量2〜3万のサブユニット構造を有していない一群のGタンパク質で、スーパーファミリーを構成している。このスーパーファミリーは、Ras, Rho, Rab, Arf, Ranの5つのグループに分類される。Rho GTPase活性化タンパク質は、このうちのRhoに属するタンパク質である。Rhoタンパク質は、アクチンフィラメントの再編成を介して、平滑筋収縮細胞質分裂、細胞運動、細胞形態を制御している。

0045

骨髄間質細胞とは、骨髄中に存在し、骨髄穿刺によって容易に採取することができ、かつ造血を支える細胞をいう。ここで、骨髄には、血液細胞及び血液細胞を支持する間質細胞という2つに大別される細胞が含まれているが、骨髄間質細胞は後者に含まれる。血液細胞は培養すると浮遊状態で増殖するが、骨髄間質細胞は壁に付着して増殖する。形状は間葉系細胞と同じであるが、骨髄中で細網構造をとる。通常の線維芽細胞と同様に培養ができる。もともと間葉系由来の間質細胞は、さまざまな細胞に分化する。骨髄間質細胞は、骨細胞軟骨細胞脂肪細胞骨格筋細胞分化誘導される。
歯髄細胞とは、歯の神経に含まれる幹細胞の一種である。歯髄細胞は、歯という硬質素材に保護されており、歯は紫外線放射線を通さないために、遺伝子も傷つきにくいといわれている。

0046

不死化乳歯幹細胞とは、乳歯から得られた歯髄幹細胞を不死化した細胞であり、歯髄幹細胞は、歯の神経に含まれる幹細胞の1種である。歯は、硬質の素材からなり、歯髄を物理的に保護し、紫外線や放射線を通さないため、遺伝子も傷つきにくいといわれている。

0047

不死化幹細胞は、以下のように作製する。まず、脱落乳歯を、例えば、クロヘキシジンイソジン溶液その他の消毒薬消毒する。次いで、動物の大腿骨をソールとする場合には、例えば、PBS等を満たしたシリンジに、その動物の大腿骨の空にきっちりと嵌る太さの注射針を選択して骨髄細胞押し出すようにして、取り出す。また、ブタの歯又はヒト脱落乳歯場合には、それぞれの歯冠部を分割し、歯科用リーマーにて歯髄組織回収する。
採取した骨髄間葉細胞又は歯髄組織を、基本培地、例えば、5〜15%ウシ血清(以下、「CS」ということがある。)及び50〜150ユニット/mLの抗生物質を含有するダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle's Medium, 以下、「DMEM」という。)に懸濁する。ついで、1〜5mg/mLのコラゲナーゼ及び1〜5mg/mLのディスパーゼを用いて、37℃で、0.5〜2時間処理する。

0048

上記基本培地としては、上述した培地、例えば、DMEMにウシ胎仔血清を添加し、酵素処理の後、3〜10分間の遠心操作(3,000〜7,000回転/分)を行い、歯髄細胞を回収する。必要に応じて、セルストレーナーを用いて細胞の選別を行う。選別された細胞を、例えば、3〜6mLの上記基本培地で再懸濁し、直径4〜8cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種する。

0049

次いで、培養液、例えば、10%FCSを含有するDMEMを添加した後、5%CO2インキュベータにて、37℃で、例えば、2〜3日ごとに培地を交換しながら、2週間程度培養する。この間に2〜4回の継代を行う。サブコンフレントになったことを確認した後に、上記培養液を除去し、PBS等で細胞を1〜数回洗浄する。培養液の除去及び細胞の洗浄に代えて、コロニーを形成した接着性の歯髄幹細胞を回収することもできる。接着性の歯髄幹細胞は、例えば、0.025〜0.1%のトリプシンと0.3〜1mMのEDTAにて、数分間、37℃で処理してディッシュから剥離させ、次いで細胞を回収する。

0050

歯髄幹細胞の場合には、酵素処理の後、3〜10分間の遠心操作(3,000〜7,000回転/分)を行い、歯髄細胞を回収する。必要に応じて、セルストレーナーを用いて細胞の選別を行う。選別された細胞を、例えば、3〜6mLの上記基本培地で再懸濁し、直径4〜8cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種する。
次いで、培養液、例えば、10%FCSを含有するDMEMを添加して、上記と同様に所望の期間培養し、PBS等で細胞を1〜数回洗浄して接着性細胞を得る。

0051

ラットの骨髄細胞を使用する場合には、ラットの大腿骨の髄腔から得た骨液(約30〜100μL/大腿骨)を、約5〜15%のウシ胎児血清(FBS)、ペニシリン及びストレプトマイシン(和光純薬工業(株))を含むDMEMに入れ、5%CO2インキュベータ中にて、37℃で、2〜4代予備培養を行い、所望の特徴を有する細胞を選択することが好ましい。
例えば、骨液(約50μL/大腿骨)を、10%FBS、上述した濃度のペニシリン及びストレプトマイシンを含むDMEMに入れ、5%CO2インキュベータ中にて、37℃で、3代予備培養を行い、後述する選別工程において、スピンドル形状及び接着性等の特徴を有する細胞を選択する。

0052

以上のようにして、選別された接着性細胞(幹細胞)を得る。次いで、例えば、幹細胞を付着性細胞培養用ディッシュに播種し、5%CO2、37℃の条件で培養する。
大腿骨から得たBMSCsを使用した場合には、スピンドル形状及び接着性等の特徴を有する細胞のみを選択して使用する。

0053

継代培養は、例えば、肉眼で観察してサブコンフレント又はコンフレントに達したときに、上述のように、トリプシンとEDTAとを用いて細胞を培養容器から剥離させて回収し、再度、培養液を入れた培養容器に播種する。
ここで、サブコンフレントとは、培養容器中の細胞付着面の約70%に細胞が付着した状態をいう。例えば、継代培養を1〜8回行い、選別された細胞を、必要な細胞数、例えば約1×107個/mLまで増殖させる。以上のように培養した後に、細胞を回収して液体窒素中にて保存する。様々なドナーから回収した細胞を歯髄幹細胞バンクの形態で保存することにしてもよい。

0054

不死化幹細胞を作製する場合には、上記のようにして得た幹細胞を初期培養して初期培養細胞を得る。この初期培養細胞に、以下のようにして、hTERT、bmi-1、E6、E7を導入する。上記の遺伝子を組み込むためのプラスミドを調製し、これをシャトルベクター、例えば、pSuttle2に組み込んで、上記の遺伝子をクローニングする。このシャトルベクターで大腸菌形質転換し、カナマイシン体性形質転換体を選択する。選択したカナマイシン体性形質転換体のプラスミドDNAを精製し、制限酵素部位解析して組換え体を同定する。

0055

次に、制限酵素、例えば、PI-Sce I及びI-Cue Iを使用して発現カセットを上記のシャトルベクターから切り出し、これをアデノウイルスベクター、例えば、Adeno-X viral DNAにライゲーションする。得られたライゲーション産物をSwa Iで切断し、これを用いて大腸菌をトランスフォーメーションする。
ここで、hTERTはテロメア修復酵素の遺伝子であり、bmi-1はポリコーム複合体を構成するたんぱく質の1つであるBmi-1の遺伝子である。ここで、Bmi-1は造血幹細胞の維持に必要であり、活性増強により造血幹細胞を増やすことができるという作用を有する。

0056

E6及びE7はHPV-16又はHPV-18のDNAの初期遺伝子である。また、Oct3/4はSox2と協調して標的遺伝子転写を活性化する遺伝子である。Klf4(Kruppel転写因子4)は細胞分裂と胚発生にかかわる遺伝子を調節し、消化器系の癌の癌抑制因子としてかかわっている。
Sox2はSRY-related HMGbox遺伝子ファミリーに属しており、機能の未分化性(多能性)維持に関与することが知られる遺伝子である。c-Mycは発癌遺伝子であり、c-Mycで誘導された腫瘍内で細胞の生存と死の両方を促進する遺伝子である。p16INK4aはがん細胞のcell cycleをcontrolするのに重要な役割を果たす遺伝子である。

0057

得られた形質転換体の中からアンピシリン体性形質転換体を選択する。上記の遺伝子が組み込まれた組換えアデノウイルスDNAを精製し、制限酵素部位を解析して組換え体を同定する。

0058

次いで、Pac Iで組換えアデノウイルスを消化し、これをHEK293細胞にトランスフェクトする。組換えアデノウイルスを増殖させ、これを集めてウイルス力価を測定する。常法に従ってウイルスを精製し、標的細胞であるSHEDに感染させる。
ウイルス感染後細胞群を、常法に従ってFITCで染色し、フローサイトメーターを用いて、STRO-1陽性細胞を検出する。ここで、STRO-1は、骨髄における多分化能を有する間葉系幹細胞マーカーの1つとして考えられており、細胞の不死化の指標となる。

0059

以上の手順によって、骨髄間質細胞、歯髄細胞、及び歯髄由来の不死化乳歯幹細胞を得ることができる。
以上のようにして得られる骨髄間質細胞、歯髄細胞及び不死化乳歯歯髄細胞は、ラット、ブタ又はヒト乳歯由来のものを使用することが、これらの細胞を得るためのソースを入手しやすいこと、及び安定して上述した成長因子を産生する細胞を得られることから好ましい。そして、(a)の予備培養工程では、これらの細胞を、37℃培養することが好ましい。

0060

また、前記細胞選別工程で、スピンドル形状かつ紡錘型の接着性を有する細胞を選別することが好ましい。さらに、前記培養上清を、培養開始後44〜52時間の前記培養上清を集めることが、スピンドル形状かつ紡錘型で、接着性を有する細胞の含有量おおいことから好ましい。また、培養開始後48時間後の培養上清を集めることが、より高い接着性を有する細胞が得られることからさらに好ましい。

0061

前記培養上清は、少なくとも、上記選別された細胞が産生した、I型コラーゲン(Col-I)、フィブロネクチン、デコリン、血管内皮増殖因子(VEGF)、及び骨シアロタンパク質(BSP)を含むことが、金属インプラント材と骨との一体化が促進されることから好ましく、インスリン様成長因子結合タンパク質7、フォリスタチン関連タンパク質、メタロプロテイナーゼインヒビターI、組織プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター、アクチン、及びスルフヒドリルオキシダーゼI、インスリン様成長因子(IGF)-1、幹細胞増殖因子(HGF)、及びTGF-βからなるから選ばれる少なくとも1種以上のタンパク質をさらに含むことが、金属インプラント材と骨との一体化がさらに促進されるために好ましい。

0062

次に、沈殿物調整工程において、以上のようにして得られた培養上清を遠心し、次いでエタノール沈殿処理を行って沈殿物を調製する。例えば、1,000〜2,000rpmで3〜10分間、2,500〜3,500rpmで1〜5分間、0〜10℃にて遠心し、不要な細胞を除去する。次いで、遠心上清の約8〜12倍容のエタノールを加えて、−5〜15℃で30〜90分間インキュベートし、2〜6℃にて、10,000〜20,000rpmで10〜20分間遠心して上清を除き、沈殿物を得る。この後、前記沈殿物調製工程で得られた沈殿物を凍結乾燥させる。例えば、80〜95%の冷エタノールに再懸濁し、2〜6℃にて、10,000〜20,000rpmで10〜20分間遠心して上清を除き、沈殿物を−60〜90℃にて凍結させて凍結乾燥する。

0063

以上の方法によって、上記の細胞の産生物を得ることができる。得られた上記細胞産生物は、−20〜−40℃で保存することが活性保持の観点から好ましい。
次いで、上記のようにして得られた凍結乾燥品を使用して、以下のようにして高機能インプラントを製造する。具体的には、(f)インプラント材の表面を有機溶媒で洗浄し、洗浄インプラント材とする洗浄工程と;(g)前記洗浄インプラント材を、所定の組成を有する石灰化溶液中に所定の温度で3〜6時間浸漬し、浸漬インプラント材とする浸漬工程と;(h)前記浸漬インプラント材を所定の濃度の細胞産生物を含有する溶液で処理する処理工程と;を備える方法によって作成する。

0064

ここで、前記インプラント材は、チタン、ジルコニア、ハイドロキシアパタイト、及びβ‐TCPからなる群から選ばれるいずれかの材料で形成されていることが、生体組織への適合性及び加工性に優れ、入手の容易さの面から好ましい。これらのなかでも、チタン(Ti)を使用することが、幹細胞培養上清による加工が容易であり、効率も高いためにさらに好ましい。

0065

また、上記の有機溶媒として、アセトンと60〜80%(v/v)エタノールを使用することが、インプラント材表面の洗浄効果が高いために好ましい。また、エタノール濃度を60〜80%(v/v)としたのは、60%未満では洗浄力が弱く、80%を越えてもそれ以上の洗浄効果が得られないからである。好ましくは、約70%のエタノールを使用する。

0066

ついで、上記のように洗浄したインプラント材を、所定の組成を有する石灰化溶液中に3〜6時間浸漬する。上記第1石灰化溶液の組成は、100〜150mM NaCl, 2.5〜3.5mM CaCl2・H2O, 1.5〜2.5mM K2HPO4, 25〜75mM Tris-HCl(pH 7.2〜7.6)とすることが石灰化の効率の面から好ましく、136.8mM NaCl, 3.10mM CaCl2・H2O, 1.86mM K2HPO4, 50mM Tris-HCl(pH 7.4)とすることが、石灰化の効率が高いために好ましい。
ここで、浸漬時間を3〜6時間とするのは、3時間未満では石灰化が十分でないという問題があり、6時間を越えてもそれ以上の効果が得られないからである。浸漬時間を4時間とすることが、十分な石灰化が行われるために好ましい。

0067

また、浸漬は、36〜38℃で行うことが、後述する第2石灰化溶液に浸漬する事前準備とするために好ましく、37℃で行うことがさらに好ましい。
上記のように浸漬処理を行ったインプラント材を、所定の濃度の培養物を含有する第2石灰化溶液で所定の時間インキュベーション処理することにより、Col-I、BSP、VEGFその他の成長因子を付着させる。上記第2石灰化溶液は、130〜160 mMKNO3, 1〜2mM Ca(NO3)2・4H2O, 0.5〜1.5mM K2HPO4(pH 7.0〜7.8)の組成とすることが、これらのタンパク質の付着効率が高いことから好ましい。

0068

具体的には、上記のようにして得られた細胞培養物(細胞産生物)の凍結乾燥品を、5〜20mg/mLで含有する142.8mM KNO3, 1.5mM Ca(NO3)2・4H2O, 0.9mM K2HPO4(pH 7.4)に、室温で、約2〜5日間インキュベーション処理することが、インプラント表面に十分量の上述した成長因子を付着させることができるために好ましい。インキュベーション時間は、3日間とすることが、高機能インプラントの作成効率の点からさらに好ましい。
ここで、水溶液の濃度が5mg/mL未満では付着する成長因子の量が不十分で歯槽骨との接着性が弱いという問題があり、一方、20mg/mLを越えてもそれ以上高い接着性が得られないからである。10mg/mLの濃度の水溶液で処理することが、歯槽骨との十分な接着が確保できることから、さらに好ましい。

0069

以上のようにして、その表面に、少なくとも、Col-I、骨シアロタンパク質(BSP)、及びVEGFを保有している高機能インプラントを得ることができる。上記インプラントの表面に、IGF-1、HGF、及びTGF-βをさらに保有する高機能インプラントの場合には、インプラントと骨との一体化が短時間に進み、安定化効果が一層高い。

0070

以下に実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら制限されるものではない。
(実施例1)
(1)材料と方法
(1−1)動物
週齢の雌のSDラット(n = 15、体重200−230g)を、日本SLC(株)より購入した。全ての実験は、名古屋大学医学部の実験ガイドラインに従って行った。これらの動物は、12時間の明暗サイクル下に、室温にて飼育した。飼料及び水は自由に摂取させた。

0071

(1−2)細胞培養
ラットのBMSCsを、ラットの大腿骨の髄腔から得た。骨髄液(50μL/大腿骨)を集めて、10%ウシ胎児血清(FBS、和光純薬工業(株))、ペニシリン及びストレプトマイシン(和光純薬工業(株))を含むダルベッコ変法MEM(DEMEM、シグマアルドリッチ社製)中にて、5%CO2インキュベータ中にて、37℃で3代予備培養した。2日ごとに培地を交換した。スピンドル形状及び接着性等の特徴を有する細胞のみを使用した。

0072

(1−3)CM調製
培養したBMSCを70〜80%コンフレントになるまで増殖させ、暖めたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、ペニシリン及びストレプトマイシンを含む無血清DMEMを加えた。48時間後の培養上清(以下、「CM」ということがある。)を集めて1,500 rpmで5分間遠心し、その後、3,000rpmで3分間遠心して他の細胞を除去した。5mLのCMを45mLの100%エタノールと混合し、−20℃にて1時間インキュベートした。この混合物を、4℃、15,000rpmにて15分間遠心し、上清を除いた。CMの沈殿物を冷90%エタノール(−20℃)に再度懸濁し、4℃、15,000rpmにて15分間遠心した。最終沈殿物を−80℃にて凍結させて凍結乾燥させ、−30℃で使用まで保存した。細胞と接触させていない無血清DMEMを対照として使用した。

0073

(1−4)CM固定Tiインプラントスクリューの調製
Ti インプラントスクリュー(全長5mm、スレッド径2mm、及び1mmピッチ)は、西メディカル(株))より提供を受けた。これらのTiインプラントは、先の研究で得られた条件で製造された。
Tiインプラントの表面は、PBSのみ、DMEMのみ又はCMで処理し、それぞれ、PBS処理群陰性対照群)、DMEM処理群(陽性対照群)及びCM/DMEM処理群(試験群)とした。
各処理群は、以下のようにして調製した。
まず、Tiインプラントをアセトンと70%エタノールで洗浄し、第1石灰化溶液[136.8mM NaCl, 3.10mM CaCl2・H2O, 1.86mM K2HPO4を含有する50mM Tris-HCl(pH 7.4)(和光純薬工業(株)製))中で、37℃にて、4時間浸漬した。

0074

この浸漬処理と並行して、CM/DMEM(1mg/mL)、DMEM(3mL)、又はPBS(3mL)をそれぞれ含有する3種類の第2石灰化溶液[142.8mM KNO3, 1.5mM Ca(NO3)2・4H2O, 0.9mM K2HPO4(和光純薬工業(株)製)]を調製した。
上記3種類の石灰化溶液3mL中に、洗浄済の各Tiインプラント材5本を浸漬し、37℃にて3日間、インキュベートした。インキュベーション終了後、各Tiインプラント材を取り出した。

0075

次いで、第2石灰化溶液中でインキュベート開始直後及び終了後の各Tiインプラント材表面を、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製)で観察したマイクログラフを図1(A)〜(F)に示す。図1(A)〜(C)は3,000倍、(D)〜(F)は15,000倍で、各々撮影した。
(A)及び(D)は、Tiインプラントの表面を機械研磨したときの典型的なトポグラフィーを示した。(C)及び(E)は景色様の微細構造を示した。(F)では、Tiインプラント表面の雪景色様の微細構造及び微小球ミクロスフェア)が観察された。微小球を矢印で示した。図中に示した線分は、(A)〜(C)が10μm、(D)〜(F)が2μmである。

0076

(2)細胞接着分析
Tiディスク(10×10mm;(株)オーファ製)を、Tiインプラント上への固定と同様の手法によって、PBS、DMEM、又はCMのいずれかで処理した。ラットのBMSCs(1.0×106個)を上記のように処理したTiディスク上に播種し(N=3)、10%FBS及び1%ペニシリン‐ストレプトマイシン含有DMEMを用いて、37℃にて、5%CO2存在下に24時間培養した。

0077

接着したラットのBMSCsを、0.05%トリプシン‐EDTA(シグマ-アルドリッチ社製)と10分間インキュベートし、Tiディスクから剥離させた。このTiディスクをSEMで観察し、すべてのラットのBMCsが剥離されたことを確認した。剥離された細胞を、血球計算盤サンリードガラス(有)製)を用いて計算した。3回実験を繰り返し、有意水準5%(p<0.05)にて、Scheff検定を用いて、一元配置分散分析(ANOVA)により、統計的な有意差を分析した。結果を図2に示す。
PBS処理群及びDMEM処理群の間、及びPBS処理群及びCM処理群との間には、それぞれ有意差が見られた(*:p<0.05, ANOVA検定)。

0078

(3)走査型電子顕微鏡(SEM)によるTiインプラント表面の変化の観察
上より、PBSで表面を処理したTiインプラントは、図1(A)及び(D)に示すような機械研磨の典型的なトポグラフィーを示した。DMEMを固定化したTiインプラントは、雪景色様の微細構造を広く、不規則ディスプレイしていた(図1(B)及び(E))。CMでコートしたTiインプラントの表面は、雪景色様の微細構造上にミクロスフェアをディスプレイしていた(図1(C)及び(F)の矢印参照)。これらの結果は、CM又はDMEMの固定化成分により、インプラント表面のトポグラフィーが変化することを示唆した。

0079

(4)LC/MS/MSによるTiインプラント表面上のタンパクの同定
上記で得たCM/DMEM処理群のTiインプラント材の表面から、80%アセトニトリルを用いてタンパク質を剥離させた。剥離させたタンパク質は、凍結乾燥を行って粉末化した。粉末化したタンパク質1mgを100μLの泳動サンプルバッファー希釈し、希釈したバッファー10μLを、12%アクリルアミドゲルゲルを使用したゲル電気泳動に供した。泳動後、CBB(コマジーブリリアントブルー)溶液、又はSilver Stain Kit(Therimo社製)を用いてそれぞれ染色を行なった。染色後、メスを用いてゲルを切り出した。

0080

上記のようにして切り出したゲルを、最初に100μLの30%(v/v)アセトニトリルを含む25mM NH4HCO3中で20分間2回洗浄して脱染色し、その後、CVE-3100(東京理化機械(株)製)で乾燥させた。タンパク質のインゲル消化(in-gel digestion)は、20μg/mLのシーケンスグレードトリプシン(プロメガ社製)を含む50mMのヨードアセトアミド(和光純薬工業(株)製)/100mM NH4HCO3(pH 7.8)を100μL用いて、37℃にて1時間戻し、100μLの25mM NH4HCO3を加えて、37℃にて終夜インキュベートした。ペプチドを0.1%のTFAを含有する60%アセトニトリル中で、室温にて20分間抽出し、ペプチドサンプルをCVE-3100中で乾燥させた。

0081

ペプチドマスフィンガープリンティング(PMF)を、Paradigm MS4-LCQ Advantage (AMR社製)を用いて行った。得られたペプチドマススペクトルを、the Mascot search engine (www.matrixscience.com)を使用するSwiss-Prot protein knowledgebase (哺乳類のタンパク質に限定されている)へのクエリー検索要求)に使用するペプチドマスリストの生成に使用した。
検索パラメータは、1 missed trypsin cleavageのトレランス、質量トレランス6100 ppm及びメチオニン残基酸化許容するように設定した。クエリーが、含有される4以上のペプチドとマッチし、Mascot search engineによって生成された統計的に有意なMowse(分子量サーチ;molecular weight search)スコアと一致する質量を有するときに、同定されたタンパク質を承認した。

0082

次に、Tiインプラント上に固定化されたタンパク質と培養上清(CM)中のこれらを、LC/MS/MSで検出した。約2,000種のタンパク質が培養上清中で検出されたが、この数は、Tiインプラントの表面上とほぼ同じであった。Tiインプラントの表面上で検出された全てのタンパク質は、いずれもCM中で検出された。細胞外マトリックスは、タンパク質、シグナル伝達、タンパク合成及びプロセッシング、並びに成長因子タンパク質を含むため、下記に示すフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いてタンパク質の検出を行った。

0083

(ALP遺伝子増幅用)
フォワードプライマーGCTGTGAAGGGCTTCTTGTC・・・配列番号1
リバースプライマーCGCCTATCAGCTAATGCACA・・・配列番号2

0084

(OCN遺伝子増幅用)
フォワードプライマーTGAGGACCCTCTCTCTGCTC・・・配列番号3
リバースプライマーGAGCTCACACACCTCCCTGT・・・配列番号4

0085

(OPN遺伝子増幅用)
フォワードプライマーAGGTCCTCATCTGTGGCATC・・・配列番号5
リバースプライマーAGACTGGCAGTGGTTTGCTT・・・配列番号6

0086

(BSP遺伝子増幅用
フォワードプライマーTTCTCGAGAAAAATTTCCA・・・配列番号7
リバースプライマーTCACTGGTGGTAGTAATAAT・・・配列番号8

0087

(Col-I遺伝子増幅用)
フォワードプライマーCGATGCCATTTTCTCCCTTA・・・配列番号9
リバースプライマーCTCTGGTACCGCTGGAGAAG・・・配列番号10

0088

(GAPDH遺伝子増幅用)
フォワードプライマーATGACTCTACCCACGGCAAG・・・配列番号11
リバースプライマーTTCAGCTCTGGGATGACCTT・・・配列番号12

0089

ALP:アルカリフォスファターゼ; OCN:オステオカルシン;
OPN:オステオポンチン;BSP:骨シアロタンパク質;Col-I:I型コラーゲン

0090

骨関連タンパク質であるI型コラーゲン、骨シアロタンパク質2、デコリン、オステオポンチン、オステオカルシン、フィブロネクチン、及び血管上皮成長因子A(VEGF A)が検出された。結果を表2に示す。

0091

0092

(5)インビトロにおけるラットBMSCsのRNA分析
ラットBMSCsを、PBS、DMEM又はCMで処理したTiディスク上で培養した。固定化及び培養方法は、細胞接着分析を行ったのと同じ方法である。BMSCsを、1日、7日、14日間培養した。各ディスク上で培養したラットBMSCsからの総RNAを、TRIZOL試薬(インビトロジェンライフテクノロジー社製)を用いて、製造元プロトコルにしたがって行った。cDNAを、1μgの総RNAから、10x反応バッファー、5mM dNTP混合物、1U/μLのRNaseインヒビター、0.25U/μLの逆転者酵素(M-MLV逆転写酵素、インビトロジェン社)、及び0.125μMのランダムプライマー(タカラバイオ(株))を含む20μLの反応液中で合成した。

0093

sq-PCRのために、PCR Thermal Cycler SP (タカラバイオ(株)製)中で、95℃で30秒、45〜60℃で30秒、及び72℃で30秒の反応条件で25〜35サイクル行った。
ラットのグリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)プライマーを、内部標準として使用した。in vitro遺伝子発現分析において、移植された培養細胞中のGAPDHに対するmRNA発現レベル(%)を、Scion Image picture-imaging software (Scion社製)を使用して測定した。合成されたcDNAを、表1に示す特異的プライマーを用いた次のPCR増幅用の鋳型として使用した。すべての実験は3回繰り返し、データを有意差レベル5%で、Scheffe検定を用いて、一元配置分散分析(ANOVA)により解析した。
結果をOCN,OPN及びCol Iの遺伝子の発現パターン(図3(A)〜(C)参照)及びそれを定量化したグラフ(図3(D)〜(F)参照)として図3に示した。

0094

(6)Qdot(登録商標)655 ITK carboxyl quantum dots (QDs)によるCMのラベリング
QDs (インビトロジェン・モレキュラープローブス社製)を用いたCMのラベリングは、製造元の指示書に従って行った。簡単に言えば、石灰化溶液で処理したTi検体を、25μLの8μM QDs、1mg/mLのCM、1mLの10mMのホウ酸バッファー(pH 7.4)、及び5.7μLの10mg/mL N-エチル-N’-ジメチルアミノプロピル-カルボジイミド架橋試薬;シグマ‐アルドリッチ社製)の混合物に添加し、室温でそっと1時間攪拌した。血清不添加のDMEM又はPBSのQDラベリングを、対照として使用した。結果を図4に示す。

0095

図中、A、B、及びCはそれぞれ試験開始前のTiインプラントの画像を示す。A1は試験開始1日後、A7は7日後、A14は14日後、A28は28日後の画像を示す。B及びCについても同様である。
PBSで処理したTiインプラントでは、観察期間中を通して、その周囲に蛍光は検出されなかった。これに対し、DMEM又はCMで処理したTiインプラントでは、その周囲に傾向が検出された。
以上から、DMEM又はCMで処理したTiインプラントでは生体分子の局在化が起きていることが判明した。

0096

(実施例2)不死化乳歯幹細胞作出用ウイルスの作製
(1)プラスミド抽出用試薬
(1−1)試薬等
カナマイシン(Kan)、アンピシリン(Amp)、LB液体培地及びLB寒天培地グリコーゲンアガロース滅菌水酢酸アンモニウム酢酸ナトリウムドデシル硫酸ナトリウム及びRNaseAを使用した。50mg/mLのカナマイシン(Kan)及びアンピシリン(Amp)を調製し、ストック溶液として−20℃で保存した。グリコーゲンは20mg/mLに調製した。10mg/mLのRNase Aを調製し−20℃で保存した。10M(飽和)酢酸アンモニウム(NH4OAc)、3Mの酢酸ナトリウム(NaOAc;pH5.2)を調製した。

0097

(1−2)制限酵素等
大腸菌コンピテントセル(Supercharge EZ10 Electrocompetent Cells、製品コード636756)、Swa I(製品コード 1111A、Smi Iが同等品)、Xho I(製品コード 1094A)、T4 DNA Ligase(製品コード 2011A)、NucleoBond Xtra Midi(製品コード 740410.10/.50/.100)、NucleoSpin Plasmid(製品コード 740588 10/50/250)は、いずれもタカラバイオ(株)より購入した。Pac IはNew England Biolabs社より購入した。

0098

(1−3)バッファー等
1×TE Buffer(1mMのEDTAを含む10mM Tris-HCl[pH8.0])、100mM Tris-HCl(pH8.0)で飽和したフェノールクロロホルムイソアミルアルコール(25:24:1、以下、「PCI混液」という。)を調製した。エタノールは、100%及び70%で使用した。ミニスケールでの組換えで使用するpAdeno-XプラスミドDNAの精製用に、以下のバッファー1〜4を調製した。

0099

バッファー1:10mMのEDTA及び50mMのグルコースを含む25mMのTris-HCl(pH8.0)(オートクレーブ後、4℃で保存)
バッファー2:1%SDSを含む0.2M NaOH(使用直前用時調製密封し、室温保存
バッファー3:5M KOAc(オートクレーブ後、4℃で保存)
バッファー4:1mMのEDTA、20μg/mLのRNaseを含む10mMのTris-HCl(pH8.0)(使用直前にRNaseを添加し、−20℃で保存)

0100

(2)アデノウイルス精製及びβ-galアッセイ用試薬
ヒト5型アデノウイルスで形質転換したヒトHEK293細胞(ATCC#CRL1573)を使用した。HEK293細胞は完全培地で培養した。完全培地の組成は、100 unit/mLのペニシリンGナトリウムと100μg/mLのストレプトマイシン、4mMのL-グルタミン及び10%FBSを添加したDMEM(基本培地)とした。ペニシリンGナトリウム溶液は10,000 units/mL、硫酸ストレプトマイシン溶液は10,000μg/mLで調製し、ストック溶液として保存した。
培養には、60mmプレート、100mmプレート、6−ウェルプレート、T75及びT175フラスコを使用した。

0101

トリプシン-EDTA(製品コードCC-5012)はタカラバイオ(株)より購入した。リン酸緩衝生理食塩水(PBS、Ca2+とMg2+不含)及びダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(DPBS、Ca2+とMg2+含有)を調製した。また、0.33%のニュートラルレッド染色液、0.4%トリパンブルー染色液を使用した。
β-galアッセイには、X-Gal(5-bromo-4-chloro-3-indolyl-β-D-galactopyranoside [25mg/mL])ジメチルホルムアミドDMF)溶液は−20℃で遮光保存した。Luminescent β-gal Detection Kit II(製品コード 631712)を使用した。

0102

(3)予備試験
(3−1)lacZ を含む組換えアデノウイルス(pAdeno-X-lacZ)の構築
10mLの上述した完全培地に、解凍後、DMSOを除去したHEK293細胞を再懸濁し、全量を100mmの培養プレートに移した。HEK293細胞が付着した後に培養液を除去し、細胞を滅菌PBSで1度洗浄し、1mLのトリプシン-EDTA溶液を加えて約2分間処理した。

0103

次に、10mLの完全培地を加えてトリプシンの反応を止め、穏やかに懸濁した。バイアブルカウントを行って、培養液10mLを入れた100mmのプレートに105個の細胞を移し、均一に拡げた。
pShuttle2-lacZ(Adeno-X Expression System 1に含まれている陽性対照ベクター)とキットに含まれているAdeno-X Viral DNA(PI-Sce I及びI-Ceu I digested)とを使用し、キットに添付されているプロトコルに従って、lacZを含む組換えアデノウイルスを構築した。標的細胞であるSHEDに感染させ、β-ガラクトシダーゼの発現をアッセイし、ベクターが構築されていることを確認した。

0104

(3−2)組換えpShuttle2プラスミドの構築
組換えpShuttle2 Vector(以下、「rpShuttle2 Vector」という。)の構築前に、キットに含まれているpShuttle2 Vector及びpShuttle2-lacZ VectorでDH5α大腸菌を形質転換した。50μg/mLのカナマイシンを含有するLB寒天プレート(以下、「LB/Kan」という。)上で形質転換体を選択し、単一コロニーからとった菌体を新しいLB/Kanに画線し、37℃で一晩インキュベートした。
次いで、hTERT、bmi-1、E6、E7を、pShuttle2へ以下の手順でクローニングした。これらの遺伝子に適した制限酵素でpShuttle2 Vectorを切断した。
次いで、上記のキットに添付されているpShuttle2 Vector Information Packet(PT3416-5)を参照し、挿入するDNAに合致するマルチクローニングサイトを決定した。制限酵素処理済みの上記プラスミドをアルカリホスファターゼで処理して精製した。

0105

常法に従って、標的DNA断片を調製し精製した。上記の制限酵素で消化したベクターと上記の遺伝子断片とをライゲーションし、DH5α細胞コンピテント細胞)を、ライゲーション産物で形質転換した。上記コンピテント細胞の一部をとり、キットに含まれている対照ベクターpShuttle2-lacZ Vectorで形質転換して陽性対照とした。
形質転換した大腸菌を含む混合液を、LB/Kan寒天プレートに接種し、カナマイシン耐性(Kanr)の形質転換体(コロニー)を選択した。5〜10個のKan耐性クローンを選択し、少量の液体培地に接種して増幅した。これらのクローンがrpShuttle2 Vectorを有していることを確認した後に、一晩インキュベートした。その後、市販のシリカ吸着カラムを用いて、常法に従い、構築されたプラスミドDNAを精製した。

0106

このプラスミドDNAを制限酵素で処理して、1%アガロースゲル電気泳動を行い、目的の組換えプラスミドを同定した。シーケンシングによって、挿入した断片の方向と挿入部位を確認し、ポジティブクローンを同定した。
組換えpShuttle2プラスミドDNA(以下、「rpShuttle2プラスミドDNA」という。)をターゲット細胞に直接にトランスフェクトし、ウエスタンブロットを行って目的タンパク質の発現を予備的にチェックした。

0107

(3−3)rpShuttle2プラスミドDNAのPI-Sce I/I-Ceu I二重消化
上記のようにして作製したrpShuttle2プラスミドDNAから、導入した遺伝子の発現カセットをPI-Sce I及びI-Ceu Iで切り出した。キットに添付されたプロトコルに記載されたin vitroライゲーション法に従って、切り出した発現カセットをAdeno-X Viral DNAに組み込んだ。rpShuttle2プラスミドDNAのPI-Sce I/I-Ceu I二重消化液を30μL調製し、下記の表1に記載した試薬を1.5mLの滅菌済みマイクロ遠心チューブに入れて混合した。

0108

0109

次いで、十分に混和した後にマイクロ遠心チューブに入れて軽く遠心し、その後、37℃にて3時間インキュベートし、1kbラダー(DNAサイズマーカー)と共に上記二重消化後の反応液(5μL)を1%アガロース/EtBrゲルで泳動した。

0110

(3−4)フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール抽出
遠心チューブに、上述した二重消化液の残り(25μL)に、70μLの1×TE Buffer(pH8.0)と100μLのPCI混液とを添加し、ボルテックスで十分に撹拌した。次いで、微量遠心機を用いて、4℃にて14,000rpmで5分間遠心し、水層清浄な1.5mLのマイクロ遠心チューブに移した。ここに、400μLの95%エタノール、25μLの10Mの酢酸アンモニウム、及び1μLのグリコーゲン(20mg/mL)を添加し、ボルテックスで十分に撹拌した。

0111

次いで、4℃にて14,000rpmで5分間遠心し、上清を吸引除去し、ペレットを得た。このペレットに300μLの70%エタノールを加え、室温にて14,000 rpmで2分間遠心した。上清を注意深く吸引して除去し、ペレットを室温にておよそ15分間風乾した。ペレットが乾燥した後に、これを10μLの滅菌した1×TE Buffer(pH8.0)に溶解し、使用するまで−20℃にて保存した。

0112

(4)組換えAdeno-XプラスミドDNAの構築
(4−1)Adeno-Xウイルスゲノムへの発現カセットのサブクローニング
下記の表4に示す試薬を、順番通りに1.5mLの滅菌済マイクロ遠心チューブに入れ、穏やかに混和し、軽く遠心した後に、16℃にて一晩インキュベートした。

0113

0114

各サンプルに、90μLの1×TEバッファー(pH8.0)と100μLのPCI混液とを加えて、ボルテックスで穏やかに撹拌した。4℃にて14,000rpmで5分間遠心し、水層を清浄な1.5mLのマイクロ遠心チューブに移し、ここに400μLの95%エタノール、25μLの10M酢酸アンモニウム、及び1μLのグリコーゲン(20mg/mL)を加えてボルテックスで穏やかに撹拌した。
4℃にて5分間、14,000rpmで遠心し、上清を吸引により除去してペレットを得た。以下のエタノール沈殿操作は、上記(3−4)と同様に行った。
ペレットが乾燥した後に、これを15μLの滅菌脱イオン水に溶解した。
(4−2)組換えAdeno-XプラスミドDNAのSwa I消化
下記表5に示す消化液を調製し、遠心チューブに入れた各サンプルに加えて、2時間、25℃にて、インキュベートした。

0115

0116

各サンプルに、80μLの1×TE Buffer(pH8.0)と100μLのPCI混液とを加え、ボルテックスで穏やかに撹拌した。マイクロ遠心チューブ、4℃にて5分間、14,000rpmで遠心した。以下のエタノール沈殿の操作は、上記(3−4)と同様に行い、ペレットの溶解液は使用まで−20℃にて保存した。

0117

(4−3)組換えAdeno-XプラスミドDNAによる大腸菌の形質転換の確認
電気的にコンピテントにした大腸菌を、Supercharge EZ10 Electrocompetent Cell(製品コード636756)を使用して、上記(4−2)で得たSwa I消化産物で形質転換した。
形質転換混合液を、LB培地にアンピシリン(終濃度100μg/mL)を加えた寒天プレート(以下、「LB/Amp寒天プレート」という。)に接種し、37℃で一晩インキュベートして、アンピシリン耐性(Ampr)形質転換体を選択した。約106個のコロニーを得た。得られたコロニーを、製品付属のAdeno-X SystemPCRScreening Primer Setでチェックした。

0118

5mLの新鮮なLB/Amp液体培地に単一のコロニーからの菌体を接種し、一晩培養した。翌日、後述するミニスケール法に従って、Adeno-XプラスミドDNAを精製した。

0119

(4−4)組換えAdeno-XプラスミドDNAのミニスケール調製
対数増殖にある培養液5mLを、14,000rpmで30秒間遠心し、上清を除去した。ペレットを再度10,000rpmで1分間遠心し、マイクロピペットを用いて、上清を除去した。
ここに、150μLの上記バッファー1を加えて穏やかにピペッティングし、再懸濁した。この細胞懸濁液に、150μLのバッファー2を添加し、穏やかに転倒混和し、上に5分間放置した。冷却した細胞懸濁液に、150μLのバッファー3を加えて、再度転倒混和し、氷上に5分間放置した。
この細胞懸濁液を、4℃にて14,000rpmで5分間遠心し、透明な上清を清浄な1.5mLの遠心チューブに移した。この上清に、450μLのPCI混液を添加し、転倒混和して撹拌した。その後、4℃にて14,000rpmで5分間遠心し、水層を清浄な1.5mLのマイクロ遠心チューブに移した。

0120

以下のエタノール沈殿の操作は、上記(4−1)と同様に操作を行い、ペレットの溶解液は、使用まで−20℃にて保存した。目的のrDNAは、後述する制限酵素による解析及びPCRにより同定した。
(5)得られたrAdeno-XプラスミドDNAの制限酵素部位解析
PI-Sce I及びI-Ceu Iを用いて解析を行った。下記の表6に示す試薬を、1.5mLの滅菌済みマイクロ遠心チューブに入れ、30μLのPI-Sce I/I-Ceu I二重消化反応液を加えて、十分に撹拌し、軽く回転させて内容物を集めた。

0121

0122

37℃にて3時間インキュベートし、制限酵素処理を行った。この処理後の反応液を1%アガロース/EtBrゲルで泳動し、培養液を得た。
(6)組換えアデノウイルスの産生
(6−1)HEK293細胞トランスフェクト用rAdeno-XプラスミドDNAの調製
下記表7に示す試薬等を、1.5mLの滅菌済み遠心チューブに入れて混合し、微量遠心機で軽く遠心した。その後、37℃にて2時間、インキュベートし、rAdeno-X プラスミドDNAのPac I制限酵素処理を行った。

0123

0124

60μLの1×TE Buffer(pH8.0)と、100μLのPCI混液とを添加し、ボルテックスで穏やかに撹拌し、微量遠心機で、4℃にて5分間、14,000rpmで遠心した。水層を、清浄な1.5mLの滅菌済み遠心チューブに注意深く移した。
以下のエタノール沈殿の操作は、上記(3−4)と同様に操作を行い、ペレットの溶解液は、使用まで−20℃にて保存した。
(6−2)Pac I消化Adeno-XプラスミドDNAのHEK293細胞へのトランスフェクション
上記プラスミドDNAのトランスフェクションの24時間前に、60mmの培養プレートあたりの細胞数が1〜2×106(およそ100 cells/mm2)になるよう、HEK293細胞を接種し、37℃、5%CO2存在下でインキュベートした。

0125

各培養プレートに、Pac I消化した10μLのAdeno-XプラスミドDNAをトランスフェクトし、標準的なトランスフェクション法(CalPhos Mammalian Transfection Kit製品コード631312)に従って、HEK293細胞にAdeno-X DNAを導入した。トランスフェクションの翌日から、CPE細胞変性効果)が起きているかどうかを確認した。
1週間後に、培養プレートの底面や側面に付着している細胞を穏やかに撹拌して遊離させた。得られた細胞懸濁液を15mLの滅菌済みの円錐遠心チューブに移し、室温にて5分間、1,500×gで遠心した。

0126

得られた沈殿を、500μLの滅菌PBSに懸濁した。ドライアイス/エタノール中で凍結させ、37℃の恒温槽融解させるという凍結融解操作を3回繰り返して、細胞を十分に融解させたライセートを得た。次いで、軽く遠心して浮遊物を除き、上清を滅菌した別のチューブに移して、直ちに使用した。直ちに使用しない分は、−20℃で保存した。
60mmプレートの培養細胞に250μLの上記ライセートを加えて、培養を続けた。なお、Adeno-X Rapid Titer Kit(製品コード631028)に含まれる抗Hexon 抗体を用いて、このキットの取扱説明書(PT3651-1)に従い、アデノウイルスの力価を測定した。

0127

(6−3)高力価ウイルス調製のためのウイルスの増幅
この力価測定を始める約24時間前に、HEK293細胞をT75フラスコに接種し、37℃、5%CO2存在下で一夜培養し、50〜70%コンフルエントになっていることを確認した。
翌日、ウイルスを含む新しい培地と交換し、MOI=10で感染させた。37℃、5%CO2存在下で90分間培養した後にフラスコを取り出し、10mLの培地を加えた。

0128

37℃、5%CO2存在下で3〜4日間培養し、CPEを確認した。50%の細胞が剥がれたところで、上記と同様にして遊離細胞懸濁液とし、15mLの滅菌済円錐遠心チューブに移した。上記と同様の凍結融解操作を行い、細胞を融解させた。Adeno-X Rapid Titer Kit(製品コード631028)を使用し、107PFU/mLの力価を得た。
ウェスタンブロッティングを行い、パッケージングされたアデノウイルスゲノムが、目的遺伝子に特異的な転写単位コピーを、機能する形で持っているかを確認した。

0129

(7)標的細胞へのアデノウイルス感染
(7−1)標的細胞への感染
感染の24時間前に6−ウェルプレートに1×106個のSHEDを接種した。接種の翌日に培地を取り除き、ウイルスを含む1.0mLの培地を各プレートの中心に添加した。この溶液をSHEDが形成した単層全体に均一に広げた。
37℃、5%CO2存在下で4時間培養し、ウイルスをSHEDに感染させた。次いで、新鮮な培地を添加し、さらに、37℃、5%CO2存在下で培養した。感染24時間後〜48時間後にかけて導入遺伝子の発現を経時的に解析した。
(7−2)感染細胞のβ--ガラクトシダーゼ発現の解析
Adeno-X-lacZを感染させた接着性細胞におけるβ--ガラクトシダーゼの発現は、Luminescent β-galDetection Kit II(製品コード631712、クロンテック社)を使用してアッセイした。

0130

(実施例3)不死化乳歯幹細胞の作製
(1)脱落乳歯歯髄細胞の調製
10の健常児から得られた脱落乳歯を使用した。この脱落乳歯をイソジン溶液で消毒した後、歯科用ダイヤモンドポイントを用いて、歯冠を水平方向に切断し、歯科用リーマーを用いて歯髄組織を回収した。得られた歯髄組織を、3mg/mLのI型コラゲナーゼ及び4mg/mLのディスパーゼの溶液中で37℃にて1時間消化した。ついで、この溶液を70mmの細胞ストレーナ(Falcon社製)を用いて濾過した。

0131

濾別した細胞を、4mLの上記培地に再懸濁し、直径6cmの付着性細胞培養用ディッシュに播種した。10%FCSを含有するDMEMをこのディッシュに添加し、5%CO2、37℃に調整したインキュベータにて2週間程度培養した。コロニーを形成した接着性細胞(歯髄幹細胞)を、0.05%トリプシン・EDTAにて5分間、37℃で処理し、ディッシュから剥離した細胞を回収した。

0132

次に、上記のようにして選抜した接着性細胞を、付着性細胞培養用ディッシュ(コラーゲンコートディッシュ)に播種し、5%CO2、37℃に調整したインキュベータにて、一次培養初代培養細胞とした。肉眼観察でサブコンフルエント(培養容器の表面の約70%を細胞が占める状態)又はコンフルエントになったときに、0.05%トリプシン・EDTAにて5分間、37℃で処理して細胞を培養容器から剥離して回収した。

0133

こうして得られた細胞を、再度、上記の培地を入れたディッシュに播種し、継代培養を数回行って、約1×107個/mLまで増殖させた。得られた細胞を、液体窒素中で保存した。
その後、一次培養細胞を上記の培地を用いて約1×104細胞/cm2濃度で継代培養した。1〜3回継代した細胞を実験に用いた。ヒトBMMSCs(Bone Marrow Mesenchymal stem cells、骨髄間葉系幹細胞)はロンザ社から購入し、メーカーの取扱説明書に従って培養した。

0134

以上のようにして、ヒト脱落乳歯歯髄幹細胞(SHED)を得た。得られたSHEDを、FACSTARPLUS (ベクトン・ディキンソン社製)を用いて、各試料について、約1x106個のSTRO-1陽性細胞を以下のようにしてソートした。
ブロモデオキシウリジンBrdU染色キットのメーカー(Invitrogen社製)の取扱説明書に従いBrdUを12時間取り込ませ、SHEDの増殖速度を評価した(各群についてn=3)。実験は5回繰り返した。1元配置分散分析後に、Tukey-Kramer検定を行い、統計的有意差を評価した。

0135

STRO-1を免疫蛍光で検出するために、SHEDを3%パラホルムアルデヒドで固定し、さその後PBSで2回リンスし、100mMのグリシンで20分間処理した。次いで、これらの細胞を0.2%のTriton-X(Sigma-Aldrich社)で30分間透過処理し、その後、5%のロバ血清及び0.5%のウシ血清アルブミンの混合物中で20分間インキュベートした。
次に、細胞を一次抗体マウス抗ヒトSTRO-1抗体(1:100、R&D社製)と一緒に1時間インキュベートし、二次抗体ヤギ抗マウス免疫グロブリンM-FITC抗体(1:500、Southern Biotech社製)と一緒に30分間インキュベートし、ベクタシールドDAPI(Vector Laboratories Inc)を用いてマウントした。
その後、15%FBSを添加したα-MEMを6ウェルプレートに入れ、ソートした細胞をクローン作製用に播種した。増殖した細胞の中から約300コロニーを試験用プールした。

0136

(2)遺伝子の導入
上述したように、bmi-1, E6, E7及びhTERTの4つの遺伝子をアデノウイルスベクターに組み込み、これらの遺伝子産物を発現するウイルスベクターを作製した。対照として、これらの遺伝子を組み込んでいない対照ベクターを作製した。

0137

SHEDを100mmφのコラーゲンコートディッシュに1×106個を播種し、10%FBSを添加したDMEMを加えてサブコンフレントまで培養した。この培地を吸引除去して上記培地で希釈したウイルス溶液500μLを加え(MOI=10)、37℃にて、5%CO2インキュベータ中で1時間培養し、上記ウイルスベクターを感染させた。感染48時間後、感染細胞をピューロマイシン(1pg/mL)を加えた上記の培地中で10日間培養して選択し、500〜600個の耐性クローンをプールした。3〜4日ごとに約0.5x105個のSHEDを100mmφの培養シャーレに播種し、継代した。遺伝子が導入されたSHEDをSHED-T、遺伝子が導入されないSHEDをSHED-Cとした。

0138

(3)SHED-C及びSHED-Tの成長速度の測定
SHED-T(遺伝子導入をしたSHED)の個体数の倍加状態を、図5に示した。図中、縦軸は個体数倍化回数(細胞分裂回数)、横軸は時間(培養日数)である。また、培養中のSHEDが1ヶ月間分裂しない状態を、細胞の老化判断基準とした。
SHED-Cは30回程で増殖が停止し、老化又は増殖停止段階に入った。これに対し、SHED-Tは250PDを超え、800日経過後も増殖した。

0139

(3−1)フローサイトメトリー分析
単一細胞の懸濁液を得るため、接着性の単層細胞をトリプシン/EDTAで消化した。2x105個の細胞に抗STRO-1モノクローナル抗体(1:100)を加えて放置し、FACSCaliburフローサイトメーター(Becton Dickinson社)を使用して分析した。対応するアイソタイプが同一の対照抗体と比較し、99%以上の割合で蛍光レベルが高い場合に発現が陽性とした。SHED-T及びSHED-Cともに、初期及び後期の継代細胞を固定し、FITC結合STRO-1抗体で染色した。その後、フローサイトメトリーで分析した。試験はそれぞれ二回行なった。SHED-CではSTRO-1陽性細胞の割合がPD20で27%であり、PD30では15%まで減少した(図6(A)及び(B))。SHED-TではSTRO-1陽性細胞の割合が、それぞれPD20で46%、PD40で41%であった(図6(C)及び(D))。

0140

(3−2)分化能の検討
PD0、PD10及びPD20におけるSHED-C及びSHED-Tの分化能を、新生骨量の形成能及び組織染色で調べた。
まず、2.0 x 106個のSHED-C又はSHED-Tを、40mgのヒドロキシアパタイト/三カルシウムリン酸HA/TCP)セラミック粉末(オリンパス工業(株)製)に混合し、10週齢の免疫無防備状態マウス(NIH-bgnu-xid, 雌、Harlan Sprague Dawley社製)の背側表面の皮下に移植した。
移植8週間後に移植物を回収し、4%ホルマリンで固定して脱灰した後、パラフィン包埋するため10%EDTAを含むPBS溶液バッファリングした。一部は、プラスチック包埋するために70%エタノール溶液中に保存した。

0141

パラフィン切片脱パラフィン化し、これを水和した後、ヘマトキシリン及びエオシン(以下、「H&E」という。)で染色した。図7(A)〜(C)は、SHED-T(不死化幹細胞)のPD0〜PD20を示し、同(D)〜(F)はSHED-C(正常細胞)のPD0〜PD-20を示す。生体内での新しい骨の形成を定量するため、特定の領域を選び、SHED-T移植後に形成された移植物又はSHED-C移植後に形成された移植物それぞれについて、新生骨面積と視野面積とを算出し、これらの数値から新生骨量を求めた。
新生骨量=新生骨面積/視野面積×100

0142

図8に各個体数倍加回数(倍加時間)における、SHED-TとSHED-Cとの新生骨量の変化を示した。図中、**はp<0.05、***はp<0.01を表す。なお、新生骨量は、以下の算出式で求めた。
図8に示されるように、SHED-Cでは個体数倍加回数が増えるについて新生骨量が減少し、PD20ではPD0の約1/5まで低下した。これに対し、SHED-Tでは、PD20まで新生骨量はほとんど変動がなく、PD20では、SHED-TはSHED-Cの5倍以上の骨を形成したことが示された。

0143

(3−3)癌化活性の評価
SHED-C及びSHED-T細胞を、免疫無防備状態マウスの皮下組織に、1×106個移植した。移植後、30日以上観察を行ったが、この期間中、上記の細胞を移植したいずれのマウスにおいても、腫瘍は形成されなかった。また、SHED-T細胞では、40〜200PDの培養細胞のすべてのクローンの形態に変化はなかった。
以上より、SHED-Tには、癌化活性はないことが示された。

0144

(4)評価
SEHD-Tは、260PDを超えても分化能力を保ったまま増殖する能力を有していることが示されたが、SHED-Cは、分化能力を有するものの30PD以下で老化した。
以上から、SHED-Tは不死化細胞となっており、活性の高いSHED培養上清の大量生産に適することが示された。
(5)CM固定Tiインプラントスクリューの調製
CM固定Tiインプラントスクリューの調製、細胞接着分析、走査型電子顕微鏡(SEM)によるTiインプラント表面の変化の観察、LC/MS/MSによるTiインプラント表面上のタンパクの同定及びインビトロにおけるSHEDのRNA分析は、上述した実施例1と同様に行った。

0145

(実施例4)
(1)インプラント及び外科的手順
Tiインプラント(チタンフィクスチャー)を、既に記載したように(文献番号40)、大腿骨中に挿入した。ラットを、ジエチルエーテル蒸気(3mL/チャンバー)の吸入と、ペントバルビタール(20 mg/kg)の腹腔内投与の組み合わせとにより麻酔した。10mmの切開口遠位大腿骨を超えて形成し、この骨をむき出しにした。

0146

ユニコーチカルインプラントフロア(unicortical implant floor)を、歯科用ラウンドバー(dental round bar、直径1.5mm)を用いて、1500rpm以下の回転速度で、大腿骨の遠位から7mmで形成した。CM、DMEM又はPBSで処理したインプラントを、皮質骨中に挿入して埋め込んだ。その後、軟組織を、それらの正常の位置に戻し、3-0バイクリル(登録商標)SH-1(エチコン社製)で縫合した。

0147

(2)In vivoイメージング分析
固定化したQD-修飾CMを有するTiインプラントをトラックし、イメージングシステム(IVIS spectrum, Xenogen社製)を用いて可視化した。ラットを、移植後1日目、7日目、14日目、及び28日目にそれぞれ屠殺し、埋め込んだTiインプラントを有する大腿骨を取り出した。取り出したラットの大腿骨中のTiインプラントと会合した(associated with)QD-ラベルを、イメージングによって検出した。
各ラット及び取り出した大腿骨を、以下の条件でイメージングした:

0148

検体の高さ: 1.50cm
視野: 13×13cm
暴露時間: 1秒
f-ストップ: 1
バインディング: 8
励起フィルター: 605nm
放射フィルター: 655nm又は検体の高さ: 0.01cm

0149

視野: 6.5×6.5cm,
暴露時間: 2秒
f-ストップ: 1
バインディング: 8,
励起フィルター: 605nm,
放射フィルター: 655nm,

0150

(3)除去トルク(Ncm)測定
大腿骨インプラントの除去トルク(Ncm)を、インプラント設置後1日、7日、14日及び28日の時点で、実験群ごとに深麻酔下に測定した(各時点においてN=5)。除去トルクを、トルクゲージATG 3 CN(登録商標、測定レンジ:0.1‐3 Ncm;Tohnichi, Tokyo, Japan)及びBTG 15 CN-S(登録商標、測定レンジ:2−15 Ncm;(株)東日製作所製)を用いて測定した。データを有意差レベル5%で、Scheffe検定を用いて、一元配置分析により解析した。
結果を図9に示す。陰性対照群(PBS処理群)と陽性対照群(DMEM処理群)との間では、1日後、及び7日後で有意差が見られたが、14日後には有意差は見られなかった。試験群(CM処理群)では、全ての測定時点対照群よりも高い値を示し、14日後まで有意差が見られた(*はp<0.05を示す。)。

0151

(4)組織学的処理及び骨移植接触(bone-implant contact (BIC))率(%)の測定
除去トルク測定後、ラット(各群ともN=5)を深麻酔下に屠殺し、大腿骨インプラントを取り出した。得られた試料を、Technovit 7100(応研商事(株))中に埋め込んだ。各ブロックをインプラントの長軸方向に沿って移動させ、50μm厚の切片を作成し、トルイジンブルーを用いて、通常の方法で染色した。
切片の顕微鏡画像モニター上に表示してコンピュータ入力し、イメージ分析ソフトウェア(VMS-50 VideoPro、イノテック(株)製)を用いて分析した。骨接触率は、下記の式によって求めた:
骨接触率(%)=直接移植‐骨接触/ペリインプラント長。
データを有意差レベル5%で、Scheffe検定を用いて、一元配置分析で解析した。結果を図10に示す。

0152

結果を図10(A)は海綿骨の場合を、また、図10(B)は皮質骨の場合を示す。骨移植接触率は、海綿骨においては移植7日後及び14日後で陰性対照群と他の2群との間で有意差が見られた。一方、皮質骨では、移植1日後から試験群と陰性対照群との間で有意差が見られた(ANOVA検定、*:p<0.05、**:p<0.01)。
試験群でBICの値が高いことから、骨との一体化が促進されていることが示された。

0153

(実施例5)ヒト用高機能インプラントの作製
(1)材料と方法
インプラントは、アストラ社製のチタンインプラント(長さ13mm、直径3.75mm、又は長さ11mm、直径3.75mm)を使用した。
(2)成長因子含有培養上清の調製
実施例1で得た幹細胞の培養上清を用いて成長因子含有溶液を調製し、以下のように処理を行った。

0154

この培養上清を培養フラスコに入れ、チタンインプラント材をここに加えて、ふたをきっちりと締めて十分に振盪した。ソニケーターで1分間、ソニケーションした。次いで、5分間静置し、再び、同じ条件で1分間ソニケーションした。5分間静置後に、純水で2回洗浄した。以上のようにして、上記培養上清中に含まれる成長因子でコーティングしたチタンインプラントを得た。培養上清に代えて、DMEMのみを使用して同様の処理を行い、無処理のチタンインプラント材を調製した。

0155

(実施例6)高機能インプラントの移植例
(1)患者
41歳〜68歳の男性8名の上顎無歯に、実施例5で作製したインプラントを移植した。これらの患者には、糖尿病高血圧その他の骨代謝に影響を与える基礎疾患はなかった。また、飲酒量が多いということもなく、喫煙習慣もなかった。
ある患者では、上顎臼歯部で、上顎洞底との距離が15mm以上残存している部位を埋入部位とした。成長因子で処理したインプラント(処理群)8本を患者の一方側の上顎臼歯部に埋入し、成長因子で処理していないインプラント(無処理群)8本を、同一患者の反対側上顎臼歯部に埋入した。

0156

(2)評価方法
上記16本のインプラントを埋入した直後(埋入時)、6カ月後、及び12ヶ月後の時点で、オステルモニター(Ostell Mentor, Ostell AB, Grothenburug, Sweden)を用いて、ISQ(Implant Stability Quotient)の変動によって評価した。
ISQ値は、インプラント周囲の骨の高さや質、骨とインプラントの結合力によって変化し、1から100の間の数値で表示される。一般的に、成功したインプラントはISQが65±5の場合に多いといわれている。計測結果を図11に、また、評価を下記表8に示した。図11に示すように、設置時のISQは、対照群及びSHED-CM処理群ともにこの範囲内であった。ISQ値は、いずれの群においても経時的に上昇したが、6月経過時点でSHED-CM処理群が有意に高くなっていた(p<0.05)。この傾向は、12月経過でも同様であった。

0157

0158

上記表8に示すように、不死化乳歯幹細胞由来成長因子を表面にコーティングしたチタンインプラントでは、フィクスチャーの長さにかかわらず、骨との一体化が促進されることが示された。

0159

(実施例7)培養上清中及び高機能インプラント表面に付着したタンパク質の分析
(1)材料と方法
実施例1で得た幹細胞の培養上清中のタンパク質を使用し、LC/MS/MS(MS4HPLCSystem (Michrom BioResources社製)とLCQ Advantage mass spectrometry system (Thermo Scientific社製)で同定した。
測定条件は、下記の通りとした。

0160

LC:MS4HPLCSystem (Michrom BioResources社製)
カラム:Magic C18AQ(Michrom BioResources社製、0.1mm(i.d.)x50cm)
溶離液:溶液A(2%アセトニトリル−98% 水(0.1%蟻酸含有))、溶液B(90% アセトニトリル−10% 水(0.1%蟻酸含有)をグラジエントさせた(0分, 95% A:5% B→45分, 0% A:100% B)。
流速:1μL/分
MS1:LCQ Advantage mass spectrometry system (Thermo Scientific社製)
MS2:LCQ Advantage mass spectrometry system (Thermo Scientific社製)

0161

インプラント上に付着したタンパク質は、10%EDTA、4Mグアニジン、80%アセトニトリルの順で液体クロマトグラフィーによる段階抽出を行い、それぞれのバッファーの流量は2mL/分になるようにして採取し、タンパク量が2μg/mLになるように調製した。タンパク量は、ビウレット法にて測定した。
培養上清は、100%エタノール、90%エタノールを用いてエタノール沈殿をさせた後に凍結乾燥し、タンパク量が2μg/mLになるように調製した。タンパク量は、ブラッドフォード法にて測定した。
分析結果を表9に示す。

0162

0163

表9に示したように、実施例1で得られた幹細胞の培養上清中には、細胞構造の形成に関連するタンパク質が多く含まれていることが明らかになった。また、上記のようにして得られた間葉系幹細胞を培養した後の接着細胞の割合の多さから、コラーゲンα-1(I)鎖、コラーゲンα-2(I)鎖、フィブロネクチン、及びデコリンが、インプラントと歯槽骨との接着に重要な役割を果たしているものと考えられた。

0164

(実施例8)培養上清の細胞の接着性に対する影響及び凍結保存の影響
(1)材料
実施例1で得た幹細胞の培養上清を試料とし、陰性対照としてPBSを使用した。
(2)細胞の接着性に対する影響
直径15mm純チタン板に、イヌ骨髄間質細胞(年齢18-25ヶ月、体重15-25kgのビーグル犬腸骨より骨髄液を10mL採取し、10%FBS及び50〜150U/mLのペニシリン、50〜150μg/mLのストレプトマイシンを含むDMEM培地を用いて、5%CO2インキュベータ中にて、37℃で3代予備培養したもの)を1.5〜3x105個/ウェルで播種(n=3)し、培養上清の有無による細胞の接着性の影響、及びプラズマ処理の影響を調べた。

0165

培養は、10%FBS及びペニシリン(50〜150U/mL)、ストレプトマイシン(50〜150μg/mL)を含むDMEM使用し、37℃にて、培養した。培養前に、直径15mmの純チタン板に対して30秒間大気圧プラズマ(MPS-01K01C,田製作所社製)をプラズマ炎先端から10mmの距離で照射し、チタン板を、培養上清またはPBS中に、24時間37℃の条件下で浸漬した。培養開始後1時間、及び24時間の時点での接着細胞数を、トリプシン-EDTAで接着細胞を剥離させ、血球計算盤上で浮遊細胞をカウントするようにして計数して求めた。結果を図12に示す。図12中、N-PBSはプラズマ処理なしでPBS中での培養、P-PBSはプラズマ処理しPBS中での培養、N-CMはプラズマ処理なしで培養上清中での培養、P-CMはプラズマ処理し培養上清中での培養を意味する。

0166

N-PBSでは、24時間後でも接着細胞数の大きな増加は見られなかったが、P-PBSでは大きく増加していた。また、N-CM及びP-CMの両群では24時間後の接着細胞数が増加していた。
N-PBS群とP-CM群では、24時間後の接着細胞数に有意差が見られた(p<0.01)。また、P-PBS群とP-CM群との間にも、有意差が見られた(p<0.05)。
また、24時間後における細胞の付着状態を、DAPIとファロイジンとを用いて蛍光染色し、250倍で、蛍光顕微鏡(励起波長:358nm(DAPI), 560nm(ファロイジン)、測定波長:465nm(DAPI), 575nm(ファロイジン)、A1+(Nikon社製)で観察した。
結果を図13に示す。図13に示すように、細胞の増殖状況は、N-CM群及びP-CM群で、明らかに多くなっていた。

0167

(3)凍結保存した場合の細胞増殖に対する影響
上記の培養上清を、1mLずつプラスチック製のネジ口チューブ(容量2mL、コーニング社製)に分注し、それぞれ、4℃、-15℃、及び-80℃で1週間、2週間及び1ヶ月保存した。
この影響を、ブロモウリジンアッセイで確認した。アッセイキットとして、BrdUラベリング&ディテクションキットII(ロシュアプライドサイエンス社製)を使用し、添付された使用説明書に従ってアッセイを行った。
実施例1と同様にして得た間葉系幹細胞を、1x106個/ウェルで96ウェルプレートに播種した。上記のように保存した培養上清を100μL/ウェルで添加し、5%CO2インキュベータ中にて、37℃で24時間培養し、この幹細胞の増殖を観察し、増殖率を求めた。結果を図14に示す。

0168

-80℃で保存した場合には、1ヶ月保存した場合の活性は、1週間保存した場合と比較して低下傾向にあったが、有意差は見られなかった。一方、−80℃で2週間保存した場合と、-15℃で1ヶ月保存した場合との間には、有意差が見られた(p<0.05)。また、−80℃で2週間保存した場合と、4℃で1ヶ月保存した場合との間には、有意差が見られた(p<0.05)。−80℃で1週間保存した場合と、4℃で2週間保存した場合との間でも有意差が見られた(p<0.05)。
以上から、培養上清の保存期間は、−80℃で凍結保存した場合には1ヶ月、−15℃の場合には1ヶ月、4℃の場合には2週間と考えられる。

実施例

0169

以上より、培養上清でインプラントを処理することによって、上記の再生因子を産生する幹細胞の増殖が促進され、インプラントとそれをそれを埋め込んだ骨との接着が強固になることが示された。

0170

本発明は、歯科及び医科の分野で有用である。

0171

配列番号1:ALP用フォーワードプライマー
配列番号2:ALP用リバースプライマー
配列番号3:OCN用フォーワードプライマー
配列番号4:OCN用リバースプライマー
配列番号5:OPN用フォーワードプライマー
配列番号6:OPN用リバースプライマー
配列番号7:BSP用フォーワードプライマー
配列番号8:BSP用リバースプライマー
配列番号9:Collagen 1用フォーワードプライマー
配列番号10:Collagen 1用リバースプライマー
配列番号11:GAPDH用フォーワードプライマー
配列番号12:GAPDH用リバースプライマー
配列番号13:コラーゲンα-1 (I) 鎖プリカーサー
配列番号14:コラーゲンα-1 (II) 鎖プリカーサー
配列番号15:コラーゲンα-1 (XXVII) 鎖プリカーサー
配列番号16:コラーゲンα-2 (I) 鎖プリカーサー
配列番号17:フィブロネクチン
配列番号18:フィブロネクチン
配列番号19:デコリン
配列番号20:デコリン
配列番号21:オステオカルシン
配列番号22:オステオポンチン
配列番号23:骨シアロタンパク質2
配列番号24:血管上皮成長因子A

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