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課題・解決手段

本発明は、WT1ペプチド抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞活性化させる工程を含む、ヘルパーT細胞の活性化方法であって、該WT1ペプチドが、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである方法などを提供する。

概要

背景

WT1遺伝子(Wilms' tumor 1 gene)は、小児腎癌であるウイルムス腫瘍原因遺伝子として同定され、ジンクフィンガー構造を有する転写因子をコードする(非特許文献1および2、引用により本明細書に含まれる)。その後の研究により造血器腫瘍固形癌において癌遺伝子として働くことが示された(非特許文献3〜6、引用により本明細書に含まれる)。

WT1タンパク質をコードするアミノ酸配列の一部を有するペプチドを用いて末梢血単核球インビトロ刺激することにより、ペプチドに特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導され、これらのCTLがWT1を内在的発現する造血器腫瘍や固形癌の癌細胞傷害することが示された。CTLは、前記ペプチドをMHCクラスI分子に結合した複合体の形で認識するため、かかるペプチドはMHCクラスIのサブタイプにより異なる(特許文献1〜4、および非特許文献7、引用により本明細書に含まれる)。

一方、CTLが有効に誘導されるためには、癌抗原に特異的なヘルパーT細胞の存在が重要である(非特許文献8、引用により本明細書に含まれる)。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞MHCクラスII分子抗原ペプチドとの複合体を認識して誘導・活性化される。活性化されたヘルパーT細胞は、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、またはインターフェロンなどのサイトカインを産生することにより、B細胞の増殖、分化成熟補助する。かかるヘルパーT細胞は、B細胞、T細胞の増殖・活性化を促進することにより免疫系を活性化する機能を有することから、癌免疫療法においてMHCクラスII結合性の抗原ペプチドを介してヘルパーT細胞の機能を増強し、癌ワクチンの効果を増強することが有用であることが示唆される(非特許文献9、引用により本明細書に含まれる)。

近年、WT1タンパク質をコードするアミノ酸配列の一部を有する特定のペプチド(以下、本明細書においてWT1ペプチドともいう)には、複数のMHCクラスII分子に結合し、ヘルパーT細胞を活性化できるpromiscuousヘルパーペプチドが存在することが示された(特許文献5および6、引用により本明細書に含まれる)。しかしながら、このWT1ペプチドが他のMHCクラスII分子に対しても効果を有するかを検証することは、MHCクラスII分子の種類が多いことから極めて困難であった。

概要

本発明は、WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞を活性化させる工程を含む、ヘルパーT細胞の活性化方法であって、該WT1ペプチドが、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである方法などを提供する。

目的

本発明の解決課題は、特定のWT1ペプチドを用いることにより、広範囲のMHCクラスII分子陽性対象に適用してヘルパーT細胞を活性化する方法、細胞傷害性T細胞を活性化する方法、細胞傷害性T細胞の活性化誘導剤、および癌の治療予防用医薬組成物などを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

ヘルパーT細胞活性化させるための、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞を含む組成物であって、該ヘルパーT細胞が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子と該WT1ペプチドとの複合体を認識するものである、組成物。

請求項2

細胞傷害性T細胞を活性化させるための、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞を含む組成物であって、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に投与される、組成物。

請求項3

癌を治療または予防するための、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞を含む組成物であって、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に投与される、組成物。

請求項4

WT1ペプチドを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の医薬組成物

請求項5

WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。

請求項6

WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチドである、請求項5記載の組成物。

請求項7

WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体が提示されている抗原提示細胞であって、前記MHCクラスII分子が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子である、抗原提示細胞。

請求項8

WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、請求項7記載の抗原提示細胞。

請求項9

WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチドである、請求項8記載の抗原提示細胞。

請求項10

WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体を認識するヘルパーT細胞であって、前記MHCクラスII分子が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子である、ヘルパーT細胞。

請求項11

WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、請求項10記載のヘルパーT細胞。

請求項12

WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチドである、請求項11記載のヘルパーT細胞。

請求項13

請求項12記載のヘルパーT細胞により活性化される、細胞傷害性T細胞。

請求項14

請求項7〜9のいずれかに記載の抗原提示細胞、請求項10〜12のいずれかに記載のヘルパーT細胞、または請求項13記載の細胞傷害性T細胞のいずれかを有効成分として含む、癌を治療または予防するための医薬組成物。

技術分野

0001

本発明は、WT1ペプチド抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞活性化する工程を含む、ヘルパーT細胞の活性化方法であって、該WT1ペプチドが、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである方法、そのための組成物細胞傷害性T細胞の活性化方法、細胞傷害性T細胞(CTL)の活性化誘導剤、ならびにヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞を活性化することによる癌の治療および/または予防用医薬組成物などに関する。なお、本願は、2012年12月17日出願の日本国特許出願第2012−274494号に対して優先権を主張するものであり、参照により該日本国特許出願の内容を本願に一体化させる。

背景技術

0002

WT1遺伝子(Wilms' tumor 1 gene)は、小児腎癌であるウイルムス腫瘍原因遺伝子として同定され、ジンクフィンガー構造を有する転写因子をコードする(非特許文献1および2、引用により本明細書に含まれる)。その後の研究により造血器腫瘍固形癌において癌遺伝子として働くことが示された(非特許文献3〜6、引用により本明細書に含まれる)。

0003

WT1タンパク質をコードするアミノ酸配列の一部を有するペプチドを用いて末梢血単核球インビトロ刺激することにより、ペプチドに特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)が誘導され、これらのCTLがWT1を内在的発現する造血器腫瘍や固形癌の癌細胞傷害することが示された。CTLは、前記ペプチドをMHCクラスI分子に結合した複合体の形で認識するため、かかるペプチドはMHCクラスIのサブタイプにより異なる(特許文献1〜4、および非特許文献7、引用により本明細書に含まれる)。

0004

一方、CTLが有効に誘導されるためには、癌抗原に特異的なヘルパーT細胞の存在が重要である(非特許文献8、引用により本明細書に含まれる)。ヘルパーT細胞は、抗原提示細胞のMHCクラスII分子と抗原ペプチドとの複合体を認識して誘導・活性化される。活性化されたヘルパーT細胞は、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、またはインターフェロンなどのサイトカインを産生することにより、B細胞の増殖、分化成熟補助する。かかるヘルパーT細胞は、B細胞、T細胞の増殖・活性化を促進することにより免疫系を活性化する機能を有することから、癌免疫療法においてMHCクラスII結合性の抗原ペプチドを介してヘルパーT細胞の機能を増強し、癌ワクチンの効果を増強することが有用であることが示唆される(非特許文献9、引用により本明細書に含まれる)。

0005

近年、WT1タンパク質をコードするアミノ酸配列の一部を有する特定のペプチド(以下、本明細書においてWT1ペプチドともいう)には、複数のMHCクラスII分子に結合し、ヘルパーT細胞を活性化できるpromiscuousヘルパーペプチドが存在することが示された(特許文献5および6、引用により本明細書に含まれる)。しかしながら、このWT1ペプチドが他のMHCクラスII分子に対しても効果を有するかを検証することは、MHCクラスII分子の種類が多いことから極めて困難であった。

0006

国際公開2003/106682号公報
国際公開2005/095598号公報
国際公開2007/097358号公報
国際出願PCT/JP2007/074146
国際公開2005/045027号公報
国際公開2008/105462号公報

先行技術

0007

Daniel A. Haber et al., Cell. 1990 Jun 29;61(7):1257-69
Call KM et al., Cell. 1990 Feb 9;60(3):509-20
Menke AL et al., Int Rev Cytol. 1998;181:151-212. Review
Yamagami T et al., Blood. 1996 Apr 1;87(7):2878-84
Inoue K et al., Blood. 1998 Apr 15;91(8):2969-76
Tsuboi A et al., Leuk Res. 1999 May;23(5):499-505
Oka Y et al., Immunogenetics. 2000 Feb;51(2):99-107
Gao FG et al., Cancer Res. 2002 Nov 15;62(22):6438-41
Zeng G, J Immunother. 2001 May;24(3):195-204

発明が解決しようとする課題

0008

したがって、本発明の解決課題は、特定のWT1ペプチドを用いることにより、広範囲のMHCクラスII分子陽性対象に適用してヘルパーT細胞を活性化する方法、細胞傷害性T細胞を活性化する方法、細胞傷害性T細胞の活性化誘導剤、および癌の治療/予防用医薬組成物などを提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys Hisを有するペプチドが、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02、およびHLA-DQB1*04:01分子に結合し、ヘルパーT細胞を活性化し、および/または細胞傷害性T細胞を活性化することを見出し、本発明を完成するに至った。

0010

すなわち、本発明は、
(1)WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞を活性化させる工程を含む、ヘルパーT細胞の活性化方法であって、該WT1ペプチドが、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである方法、
(2)WT1ペプチドが、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子のうちの少なくとも2つのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである、(1)記載の方法、
(3)WT1ペプチドが、さらに、HLA-DRB1*01:01分子、HLA-DRB1*04:01分子、HLA-DRB1*04:03分子、HLA-DRB1*04:05分子、HLA-DRB1*04:06分子、HLA-DRB1*08:03分子、HLA-DRB1*09:01分子、HLA-DRB1*11:01分子、HLA-DRB1*15:01分子、HLA-DRB1*15:02分子、HLA-DRB3*02:02分子、HLA-DRB4*01:01分子、HLA-DPB1*02:01分子、HLA-DPB1*03:01分子、HLA-DPB1*05:01分子、およびHLA-DPB1*09:01分子から選択されるいずれかのHLAクラスII分子に結合する能力を有するものである、(1)または(2)記載の方法、
(4)WT1ペプチドの抗原提示細胞への添加が、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリペプチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞の添加により行われる、(1)から(3)のいずれか1つ記載の方法、
(5)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、(1)〜(4)のいずれか1つ記載の方法、
(6)WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞を活性化させるための、WT1ペプチドを含む組成物であって、該WT1ペプチドが、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである組成物、
(7)WT1ペプチドが、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子のうちの少なくとも2つのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである、(6)記載の組成物、
(8)WT1ペプチドが、さらに、HLA-DRB1*01:01分子、HLA-DRB1*04:01分子、HLA-DRB1*04:03分子、HLA-DRB1*04:05分子、HLA-DRB1*04:06分子、HLA-DRB1*08:03分子、HLA-DRB1*09:01分子、HLA-DRB1*11:01分子、HLA-DRB1*15:01分子、HLA-DRB1*15:02分子、HLA-DRB3*02:02分子、HLA-DRB4*01:01分子、HLA-DPB1*02:01分子、HLA-DPB1*03:01分子、HLA-DPB1*05:01分子、およびHLA-DPB1*09:01分子から選択されるいずれかのHLAクラスII分子に結合する能力を有するものである、(6)または(7)記載の組成物、
(9)WT1ペプチドの抗原提示細胞への添加が、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞の添加により行われる、(6)〜(8)のいずれか1つ記載の組成物、
(10)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、(6)〜(9)のいずれか1つ記載の組成物、
(11)WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体が提示されている抗原提示細胞であって、前記MHCクラスII分子が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子である、抗原提示細胞、
(12)WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体を認識するヘルパーT細胞であって、前記MHCクラスII分子が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子である、ヘルパーT細胞、
(13)(11)記載のヘルパーT細胞により活性化される、細胞傷害性T細胞、
(14)(6)〜(10)のいずれか1つ記載の組成物、(11)記載の抗原提示細胞、(12)記載のヘルパーT細胞、または(13)記載の細胞傷害性T細胞のいずれかを有効成分として含む、癌を治療または予防するための医薬組成物
(15)WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞のいずれかを有効成分として含む、細胞傷害性T細胞を活性化させるための医薬組成物であって、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に投与するための医薬組成物、
(16)WT1ペプチドに特異的に結合する抗体であって、該WT1ペプチドが、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである抗体、
(17)HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子陽性対象におけるWT1特異的ヘルパーT細胞の存在または量を決定する方法であって、
(a)前記対象から取得した試料をWT1ペプチドを用いて刺激し、
(b)サイトカインまたはヘルパーT細胞の存在または量を調べる、
工程を含み、サイトカインまたはヘルパーT細胞の存在または量の増大がWT1特異的ヘルパーT細胞の存在または量を示すものである方法、
を提供する。

発明の効果

0011

本発明によれば、WT1ペプチドを用いることにより、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子を有する対象に適用してヘルパーT細胞を活性化させる方法、そのための組成物、細胞傷害性T細胞を活性化させる方法、そのための組成物、細胞傷害性T細胞の活性化誘導剤、ならびにヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞を活性化することによる癌の治療および/または予防用医薬組成物などが得られるので、かかるMHCクラスII分子を有する対象におけるインビボおよびインビトロでのヘルパーT細胞および細胞傷害性T細胞の活性化、さらには癌の治療および予防などが可能となる。

図面の簡単な説明

0012

Clone R82-1のHLA拘束性を示す図である。横軸は、WT1-332(黒塗りカラム)または溶媒(白抜きカラム)添加によるIFN-γ産生量(pg/mL)を示す。縦軸は、抗原提示B-LCL細胞の種類を示す。データは平均値±SD(Triplicate)である。$:外挿値を含むデータ。
Clone R132-1のHLA拘束性を示す図である。横軸は、WT1-332(黒塗りカラム)または溶媒(白抜きカラム)添加によるIFN-γ産生量(pg/mL)を示す。縦軸は、抗原提示B-LCL細胞の種類を示す。データは平均値±SD(Triplicate)である。$:外挿値を含むデータ。
Clone R143-1のHLA拘束性を示す図である。横軸は、WT1-332(黒塗りカラム)または溶媒(白抜きカラム)添加によるIFN-γ産生量(pg/mL)を示す。縦軸は、抗原提示B-LCL細胞の種類を示す。データは平均値±SD(Triplicate)である。$:外挿値を含むデータ。
Clone R145-2のHLA拘束性を示す図である。横軸は、WT1-332(黒塗りカラム)または溶媒(白抜きカラム)添加によるIFN-γ産生量(pg/mL)を示す。縦軸は、抗原提示B-LCL細胞の種類を示す。データは平均値±SD(Triplicate)である。$:外挿値を含むデータ。
Clone Q32-1のHLA拘束性を示す図である。横軸は、WT1-332(黒塗りカラム)または溶媒(白抜きカラム)添加によるIFN-γ産生量(pg/mL)を示す。縦軸は、抗原提示B-LCL細胞の種類を示す。データは平均値±SD(Triplicate)である。$:外挿値を含むデータ。
Clone Q41-1のHLA拘束性を示す図である。横軸は、WT1-332(黒塗りカラム)または溶媒(白抜きカラム)添加によるIFN-γ産生量(pg/mL)を示す。縦軸は、抗原提示B-LCL細胞の種類を示す。データは平均値±SD(Triplicate)である。$:外挿値を含むデータ。

0013

本発明は、1の態様において、WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞を活性化する工程を含むヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞の活性化方法であって、前記WT1ペプチドが、MHCクラスII分子に結合する能力を有するものである方法を提供する。本発明において、細胞傷害性T細胞を活性化する工程は、ヘルパーT細胞を活性化する工程を経ることにより行われてもよい。また、本発明に用いられるWT1ペプチドは、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである。本発明に用いられるWT1ペプチドはまた、上記MHCクラスII分子のうちの少なくとも2つまたはそれ以上のMHCクラスII分子に結合する能力を有するものであってもよい。また、本発明に用いられるWT1ペプチドは、例えば、HLA-DR分子、HLA-DQおよびHLA-DP分子のうちのいずれのMHCクラスII分子に結合する能力を有していてもよい。

0014

本発明において、WT1ペプチドは、配列番号1に示されるヒトWT1タンパク質のアミノ酸配列の一部を有するペプチドであってもよい。本発明のペプチドは、上記特徴を有する限り、そのアミノ酸配列および長さは特に限定されないが、ペプチドが長すぎると蛋白分解酵素の作用を受けやすくなり、短すぎるとペプチド収容溝にうまく結合できない。本発明のペプチドの長さは、好ましくは10〜25アミノ酸、より好ましくは15〜21アミノ酸、さらに好ましくは16〜20アミノ酸、例えば16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、あるいは19アミノ酸である。本発明のペプチドの具体例は、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むものである。

0015

さらに、本発明に用いられるWT1ペプチドは、上記ペプチドの変異体も包含する。変異体は、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列において、数個、例えば、1〜9個まで、好ましくは、1〜5個、1〜4個、1〜3個、さらに好ましくは1〜2個、より好ましくは1個のアミノ酸が、置換、または欠失もしくは付加されたアミノ酸配列を有するペプチドからなる群から選択されるペプチドを含んでもよい。ペプチド中のアミノ酸の置換はいずれの位置でいずれの種類のアミノ酸との間で行われてもよく、保存的なアミノ酸置換が好ましい。保存的なアミノ酸置換の例としては、Glu残基をAsp残基に、Phe残基をTyr残基に、Leu残基をIle残基に、Ala残基をSer残基に、His残基をArg残基に置換することなどが挙げられる。アミノ酸の付加もしくは欠失は、ペプチド中のN末端およびC末端で行うことが好ましいが、配列内部において行われてもよい。本発明のペプチドの好ましい具体例は、配列番号2を有するものであるが、上記のいずれのペプチドであっても、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものであって、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞(本明細書において、CTLともいう)を活性化することが条件となる。一般に、ヒトMHC分子をHLA分子ともいうので、本明細書ではMHCをHLAと同義語として使用する。

0016

本発明のペプチドはまた、上記アミノ酸配列の修飾体であってもよい。上記アミノ酸配列中のアミノ酸残基を公知の方法にて修飾することができる。そのような修飾体は、例えばアミノ酸残基の側鎖中の官能基エステル化アルキル化ハロゲン化リン酸化などを施したものであってもよい。また、上記アミノ酸配列を含むペプチドのN末端および/またはC末端に、種々の物質を結合させることができる。例えば、アミノ酸、ペプチド、それらのアナログ等を結合させてもよい。例えば、ヒスチジンタグを付加してもよく、チオレドキシン等の蛋白とともに融合蛋白となっていてもよい。あるいは、WT1ペプチドに検出可能な標識を結合させてもよい。本発明のペプチドにこれらの物質が結合している場合、これらの物質が例えば、生体内酵素などにより、あるいは細胞内プロセッシングなどの過程により処理され、最終的に上記アミノ酸配列からなるペプチドを生じるものであってもよく、MHCクラスII分子との複合体として細胞表面に提示されることにより、ヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞誘導効果を得ることができる。これらの物質は、本発明のペプチドの溶解性を調節するものであってもよく、耐プロテアーゼ作用等その安定性を向上させるものであってもよく、また例えば、所定の組織器官に特異的に本発明のペプチドをデリバリーするようなものであってもよく、あるいはまた抗原提示細胞の取込み効率を増強させる作用などを有するものであってもよい。これらの物質はまた、CTL誘導能を増大させるもの、例えば、本発明のペプチド以外のヘルパーペプチドであってもよい。

0017

本発明に用いられるWT1ペプチドは、当該技術分野において通常用いられる方法またはそれらの変法を用いて合成することができる。かかる合成方法は、例えば、Peptide Synthesis, Interscience, New York, 1966;The Proteins, Vol 2, Academic Press Inc., New York, 1976;ペプチド合成、丸善(株),1975;ペプチド合成の基礎実験、丸善(株),1985;医薬品の開発 続 第14巻・ペプチド合成、広川書店,1991などに記載されている(これら文献は引用により本明細書に含まれる)。本発明に用いられるペプチドはまた、当該ペプチドをコードするヌクレオチド配列情報に基づき、遺伝子工学的手法を用いて製造することもできる。かかる遺伝子工学的手法は、当業者に周知のものである。これらの手法は、文献に記載される方法などに準じて行うことができる(Molecular Cloning, T.Maniatis et al., CSH Laboratory(1983)、DNA Cloning,DM.Glover, IRL PRESS(1985))(これら文献は引用により本明細書に含まれる)。

0018

本発明は、上で説明したWT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列にも関する。WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド配列はDNA配列であってもよく、RNA配列であってもよい。本発明において、WT1ペプチドを用いる代わりに、これらのポリヌクレオチド配列を用いてもよい。これらのポリヌクレオチド配列を適当なベクターに組み込んで使用してもよい。ベクターとしては、プラスミドファージベクターウイルスベクター等が挙げられ、例えば、pUC118、pUC119、pBR322、pCR3、pYES2、pYEUra3、pKCR、pCDM8、pGL2、pcDNA3.1、pRc/RSV、pRc/CMV、pAcSGHisNT-A、λZAPII、λgt11などが挙げられる。ベクターは、発現誘導可能なプロモーターシグナル配列をコードする遺伝子、選択用マーカー遺伝子ターミネーターなどの因子を適宜有していてもよい。これらの遺伝子の細胞や生体への導入方法発現方法等は当業者に公知である。

0019

本発明に用いられる抗原提示細胞は、MHCクラスII分子とともに上記WT1ペプチドを含む抗原ペプチドをヘルパーT細胞に提示することができる細胞であって、例えば、樹状細胞、末梢血単核球などを意味する。それゆえ、本発明に用いられる抗原提示細胞が由来する対象は、添加するWT1ペプチドが結合することができるMHCクラスII分子と同一の分子(例えば、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子のうちのいずれか1つまたはそれ以上のMHCクラスII分子)を有するものでなければならない。

0020

本発明において、WT1ペプチドの抗原提示細胞への添加は、WT1ペプチドを添加することにより直接的に、あるいはWT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドもしくはWT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの添加により、または該発現ベクターを含む細胞の添加により間接的に行われてもよい。具体的には、WT1ペプチドの抗原提示細胞への添加は、WT1ペプチドと抗原提示細胞とを接触させることにより、またはWT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドもしくは該ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを抗原提示細胞に導入することにより、行うことができる。これらの添加は、当該技術分野で公知の方法により実施することができる。前記WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および該発現ベクターを含む細胞は、当業者によく知られた手法により取得することができる。具体的には、本発明に用いられるポリヌクレオチドは、上記WT1ペプチドのアミノ酸配列(例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列)に基づき決定できる。前記ポリヌクレオチドは、例えば、DNAまたはRNA合成方法、PCR法などにより製造することができる。また、上記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターの種類、上記ポリヌクレオチド配列以外に含まれる配列等は、当該発現ベクターを導入する宿主の種類、目的等に応じて適宜選択でき、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター等が挙げられる。発現ベクターを含む細胞は、例えば、宿主細胞形質転換することにより、作製することができる。宿主細胞としては、大腸菌酵母昆虫細胞動物細胞などが挙げられる。宿主細胞への導入方法は、通常の方法、例えば、リン酸カルシウム法、DEAEデキストラン法、エレクトロポレーション法遺伝子導入用リピッドを用いることができる。

0021

一般的に、ヘルパーT細胞は、T細胞表面のTCR・CD3複合体が抗原提示細胞表面のMHCクラスII分子を介して抗原ペプチドを認識し、T細胞表面のインテグリンが抗原提示細胞表面のインテグリンリガンドで刺激されることにより、活性化される。本明細書におけるヘルパーT細胞の活性化は、ヘルパーT細胞の活性化のみならず、ヘルパーT細胞の誘導・増殖を含むものとする。さらに、本発明において活性化されるヘルパーT細胞は、未分化なT細胞(例えば、ナイーブT細胞)などであってもよい。活性化されたヘルパーT細胞は、B細胞および細胞傷害性T細胞の誘導・増殖・活性化を促進することにより免疫系を活性化する機能を有する。それゆえ、本発明の方法を癌などの治療の補助療法として用いることもできる。また、インビトロにおいて本発明の方法を用いて活性化されたヘルパーT細胞を癌などの治療または予防、あるいはこれらのための補助剤として用いることもできる。ヘルパーT細胞の活性化は、インターフェロン(例えば、インターフェロンγなど)、インターロイキンなどのサイトカインの産生、分泌量を測定することなどにより評価することができる。

0022

本発明は、別の態様において、WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞を活性化させるための組成物を提供する。本発明において、細胞傷害性T細胞の活性化は、ヘルパーT細胞の活性化を経ることにより行われるものものであってもよい。本発明の組成物に含まれる有効成分として、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、前記ベクターを含む細胞を例示することができるが、WT1ペプチドを抗原ペプチドとして抗原提示細胞表面にて提示させることができる因子であれば、いかなる分子であってもよい。これらの因子は、上述のごとく当業者によく知られた方法により得ることができる。

0023

本発明に用いられるWT1ペプチドは、上述のごとく、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子のいずれかに結合する能力を有するものである。さらに、本発明に用いられるWT1ペプチドは、上記MHCクラスII分子のうちの少なくとも2つまたはそれ以上のMHCクラスII分子に結合する能力を有するものであってもよい。また、本発明に用いられるWT1ペプチドは、HLA-DR分子、HLA-DQ、HLA-DP分子のうちのいずれのMHCクラスII分子に結合する能力を有していてもよい。

0024

本発明の組成物がHLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子のうちのいずれか1つまたはそれ以上のMHCクラスII分子を有する対象に投与されると、対象中のヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞が活性化されることにより免疫系が活性化される。また、WT1遺伝子は、各種の癌や腫瘍、例えば、白血病骨髄異形成症候群多発性骨髄腫悪性リンパ腫などの造血器腫瘍、胃癌大腸癌肺癌乳癌胚細胞癌、肝癌皮膚癌膀胱癌前立腺癌子宮癌子宮頸癌卵巣癌などの固形癌において高発現しているので、本発明の組成物を癌の治療または予防の補助剤として用いることもできる。あるいは、本発明の組成物を用いて活性化されたヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞などは、例えば、上記の癌の治療の補助剤として用いることもできる。

0025

本発明の組成物は、上記WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、または前記ベクターを含む細胞以外に、例えば、担体賦形剤、あるいは添加剤などを含んでいてもよい。本発明の組成物に含まれる上記WT1ペプチド等は、WT1ペプチド特異的にヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞を活性化することから、公知のMHCクラスI拘束性WT1ペプチドを含むか、あるいはこれらと共に適用されてもよい。

0026

本発明の組成物の適用方法は、所望のヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞の活性化程度、抗原提示細胞の状態などの条件に応じて適宜選択することができる。当該適用方法は、例えば、皮内投与、皮下投与筋肉内投与静脈内投与経鼻投与経口投与などにより対象に投与すること、あるいは抗原提示細胞培養液に添加することなどが挙げられるが、これらに限らない。本発明の組成物に含まれる上記WT1ペプチド等の量、組成物の形態、適用回数などは、所望のヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞の活性化程度、抗原提示細胞の状態などの条件に応じて適宜選択することができる。

0027

本発明は、さらなる別の態様において、WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞を活性化する工程を含む、対象における癌の治療または予防方法であって、該WT1ペプチドがHLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものである方法を提供する。本発明の方法は、ヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞を活性化することにより対象の免疫系を活性化し、対象における癌を治療または予防する方法である。本発明の方法において、細胞傷害性T細胞を活性化する工程は、ヘルパーT細胞を活性化する工程を経ることにより行われるものであってもよい。WT1ペプチドの抗原提示細胞への添加は、WT1ペプチドを添加することにより直接的に、あるいはWT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドもしくはWT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターの添加により、または該発現ベクターを含む細胞の添加により間接的に行われてもよい。前記WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター、および該発現ベクターを含む細胞は、上述のごとく当業者によく知られた方法により取得することができる。本発明の方法を適用できる対象は、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子陽性対象である。本発明を適用できる癌は、いずれのものであってもよく、例えば、白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの造血器腫瘍、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞癌、肝癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌などの固形癌を挙げることができる。また、本発明の方法は、MHCクラスI分子拘束性WT1ペプチドを用いた癌の治療または予防方法またはそのための医薬組成物と併用されてもよい。

0028

本発明は、なお別の態様において、上記組成物を製造するためのWT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、または前記ベクターを含む細胞の使用を提供する。さらに本発明は、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞を活性化させるために用いられる、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、または前記ベクターを含む細胞を提供する。

0029

本発明は、なおさらなる態様において、WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞を活性化するための上記WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含むベクター、前記ベクターを含む細胞を含むキットであって、該WT1ペプチドがHLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するものであるキットに関するものである。好ましくは、該キットは上記ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞の活性化方法に用いられる。本発明のキットは、WT1ペプチドの他に、例えば、抗原提示細胞の取得手段、ヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞の活性の評価手段などを含んでいてもよい。一般的には、キットには取扱説明書を添付する。本発明のキットを用いて、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞を効率的に活性化することができる。

0030

本発明は、別の態様において、WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体が提示されている抗原提示細胞を提供する。ここで、前記MHCクラスII分子は、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子うちのいずれかであってもよく、さらには、上記MHCクラスII分子のうちの少なくとも2つまたはそれ以上であってもよい。本発明の抗原提示細胞は、当業者間で知られる手法を用いて調製されてもよい。例えば、癌患者から抗原提示能を有する細胞を単離し、単離した細胞に上記WT1ペプチド(例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するペプチド)またはWT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドでパルスするか、または前記ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを細胞内に導入して、WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体を細胞表面に提示させることにより作製してもよい(Cancer Immunol.Immunother. 46:82, 1998、J.Immunol.,158: p1796,1997、Cancer Res.,59:p1184, 1999 Cancer Res.,56:p5672,1996、J.Immunol.,161: p5607,1998、J.Exp.Med., 184: p465,1996)(これら文献は引用により本明細書に含まれる)。本明細書において、抗原提示能を有する細胞とは、WT1ペプチドを提示することができるMHCクラスII分子を細胞表面に発現する細胞であれば、限定されないが、抗原提示能が高い末梢血単核球または樹状細胞が好ましい。また、本発明の抗原提示細胞は、実施例に示されるごとく、インターフェロンγ量の増加により確認される細胞傷害性T細胞活性の上昇によりその存在が確認される。本発明の抗原提示細胞は、医薬組成物の有効成分として細胞療法(例えば、樹状細胞療法)において有効に用いられる。

0031

本発明は、さらなる別の態様において、WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体を認識するヘルパーT細胞を提供する。ここで、前記MHCクラスII分子は、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子のうちのいずれかであってもよく、さらには、上記MHCクラスII分子のうちの少なくとも2つまたはそれ以上であってもよい。本発明のヘルパーT細胞として、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列からなるペプチドを含む抗原ペプチドとHLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子との複合体を認識するヘルパーT細胞を挙げることができる。本発明のヘルパーT細胞は、当該技術分野における公知の手法を用いて当業者が容易に調製・取得することができる(Iwata, M. et al., Eur. J. Immunol, 26, 2081(1996))(本文献は引用により本明細書に含まれる)。

0032

本発明は、なお別の態様において、WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体を認識するヘルパーT細胞により活性化される細胞傷害性T細胞を提供する。本発明の細胞傷害性T細胞として、例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列からなるペプチドを含む抗原ペプチドとHLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子との複合体を認識するヘルパーT細胞により活性化される細胞傷害性T細胞を挙げることができる。本発明の細胞傷害性T細胞は、当業者が公知の手法により容易に調製することができる。例えば、患者末梢血リンパ球を単離し、これをペプチド(例えば、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するペプチド)、前記ペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはこれを含む発現ベクターでインビトロにて刺激することにより作製される(Journal of Experimental Medicine 1999, 190: 1669)(本文献は引用により本明細書に含まれる)。上記のごとく調製された細胞傷害性T細胞は、癌などの治療または予防用医薬組成物の有効成分として用いることができる。

0033

本発明は、なおさらなる別の態様において、上記WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子とを有するHLAテトラマーを提供する。前記MHCクラスII分子は、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子のうちのいずれかであってもよく、上記MHCクラスII分子のうちの少なくとも2つまたはそれ以上であってもよい。本明細書において、HLAテトラマーは、HLAタンパク質をペプチドと会合させた複合体(HLAモノマー)をビオチン化し、アビジンに結合させることにより4量体化したものを意味する。HLAテトラマーとして、種々の抗原ペプチドを含有するものが市販されており、本発明のHLAテトラマーを容易に作製することができる(Science 279: 2103-2106(1998)、Science 274: 94-96 (1996))(本文献は引用により本明細書に含まれる)。本発明のテトラマーは、フローサイトメトリー蛍光顕微鏡等の公知の検出手段により結合した本発明のヘルパーT細胞や細胞傷害性T細胞を容易に選別または検出できるように、蛍光標識されることが好ましい。本発明におけるHLAテトラマーは、テトラマーに限定されるものではなく、必要に応じてペンタマーデンドリマーなどのマルチマーを使用することもできる。本明細書において、マルチマーとは、HLAタンパク質をペプチドと会合させた複合体(HLAモノマー)を、公知の手法を用いて2つまたはそれ以上結合させることにより多量体化したものをいう。

0034

本発明は、別の態様において、上記組成物、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞またはテトラマーのいずれかを有効成分として含む、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞を活性化させるための医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は、上記組成物、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞またはテトラマーのうちのいずれか1つまたはそれ以上を有効成分として含んでもよい。本発明の医薬組成物は、癌を治療または予防するために用いることができる。本発明の医薬組成物は、WT1を発現する各種癌および腫瘍、例えば、白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの造血器腫瘍、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞癌、肝癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌などの固形癌に適用することができる。また、本発明の医薬組成物は、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に投与するために用いることができる。本発明の医薬組成物を、その他の癌の治療または予防方法またはそのための医薬組成物と併用してもよい。さらに、本発明の医薬組成物は、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞の活性化剤増殖剤誘導剤などを含んでいてもよく、あるいは公知のMHCクラスI拘束性WT1ペプチドを含んでいてもよい。

0035

本発明の医薬組成物は、有効成分以外に、例えば、担体、賦形剤などを含んでいてもよい。本発明の医薬組成物の投与方法は、疾患の種類、対象の状態、標的部位などの条件に応じて適宜選択することができる。当該方法は、例えば、皮内投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、経鼻投与、経口投与などが挙げられるが、これらに限らない。本発明の医薬組成物に含まれる上記有効成分の量、医薬組成物の剤形投与回数などは、疾患の種類、対象の状態、標的部位などの条件に応じて適宜選択することができる。

0036

本発明は、さらなる別の態様において、上記の組成物、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞またはテトラマーのうちのいずれかの有効量を対象に投与する工程を含む、癌を治療または予防するための方法であって、対象が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有するものである方法を提供する。本発明の方法により治療または予防できる癌は、WT1を発現する各種癌および腫瘍、例えば、白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの造血器腫瘍、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌、胚細胞癌、肝癌、皮膚癌、膀胱癌、前立腺癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌などの固形癌である。本発明の方法は、その他の癌の治療または予防方法、例えば、公知のMHCクラスI分子拘束性WT1ペプチドを用いた癌の治療または予防方法と併用されてもよい。

0037

本発明は、なおさらなる別の態様において、上記医薬組成物を製造するための、上記の組成物、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞またはテトラマーのいずれかの使用を提供する。さらに本発明は、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞を活性化させるために用いられる、上記の組成物、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞またはテトラマーを提供する。さらに本発明は、癌の治療または予防に使用される、上記の組成物、抗原提示細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞またはテトラマーを提供する。

0038

本発明は、1の態様において、上記WT1ペプチドまたは該WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドに特異的に結合する抗体(以下、抗WT抗体ともいう)に関するものである。本発明の抗体は、ポリクローナル抗体モノクローナル抗体のいずれであってもよい。具体的には、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するペプチドに特異的に結合する抗体などを挙げることができる。これらの抗体の製造方法は、すでに周知であり、本発明の抗体もこれらの常法に従って製造することができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.12〜11.13、Antibodies; A Laboratory Manual, Lane, H, D.ら編, Cold Spring Harber Laboratory Press出版New York 1989)(これら文献は引用により本明細書に含まれる)。例えば、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するペプチドを免疫原として用い、家兎等の非ヒト動物を免疫し、この動物血清から常法により得ることできる。一方、モノクローナル抗体の場合には、本発明に用いられるペプチド(配列番号2に示すアミノ酸配列を有するペプチド)をマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞の中から得ることができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.4〜11.11)(本文献は引用により本明細書に含まれる)。また、本発明の抗WT抗体の作製は、宿主に応じて種々のアジュバントを用いて免疫学的反応を高めることによって行うこともできる。かかるアジュバントとして、ミネラルゲル(例えば、フロイントアジュバント水酸化アルミニウムなど)、表面活性物質、ヒトアジュバントなどを挙げることができる。本発明の抗WT抗体は、アフィニティークロマトグラフィー、免疫学的診断等に用いることができる。免疫学的診断は、イムノブロット法、放射免疫測定法RIA)、酵素免疫測定法ELISA)、蛍光あるいは発光測定法等から適宜選択できる。

0039

本発明は、別の態様において、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子陽性対象におけるWT1ペプチドの存在または量を決定する方法であって、
(a)前記対象から取得した試料を上記抗WT抗体と反応させ、次いで、
(b)前記試料に含まれる上記抗WT抗体の存在または量を調べる、
工程を含む方法を提供する。前記工程(a)において用いられる試料として、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象から取得されたものを用いることができる。前記工程(a)に用いられる試料は、例えば、血液、リンパ球などの体液、組織などを挙げることができる。試料の取得や抗体との反応などは、当業者であれば公知の手法を用いて適宜行うことができる。本発明における工程(b)は、例えば、上記抗WT抗体の局在、部位、量等を決定することを含むので、癌の診断、予後診断などに用いることができる。上記抗WT抗体は標識されていてもよい。標識としては、蛍光標識、放射性標識などの公知のものを使用することができる。標識することによりWT1ペプチドの存在または量の決定を簡便かつ迅速に行うことが可能となる。

0040

本発明は、さらなる別の態様において、上記抗WT抗体を必須構成成分として含む、WT1ペプチドの存在または量を決定するためのキットに関するものである。本発明のキットは、上記抗WT抗体の他に、例えば、抗WT抗体の取得手段、評価手段などを含んでいてもよい。一般的には、キットには取扱説明書を添付する。本発明のキットを用いることにより、上述のWT1ペプチドの存在または量を決定する方法において簡便かつ迅速にWT1ペプチドの存在または量を決定することが可能となる。

0041

本発明は、なお別の態様において、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子陽性対象におけるWT1特異的ヘルパーT細胞またはWT1特異的細胞傷害性T細胞の存在または量を決定する方法であって、
(a)前記対象から取得した試料をWT1ペプチドを用いて刺激し、
(b)サイトカイン、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞の存在または量を調べる、
工程を含み、サイトカイン、ヘルパーT細胞または細胞傷害性T細胞の存在または量の増大がWT1特異的ヘルパーT細胞またはWT1特異的細胞傷害性T細胞の存在または量を示すものである方法を提供する。本発明の試料は、抗原提示細胞を含むものであればいかなるものであってもよく、例えば、末梢血単核球、浸潤性リンパ球、腫瘍細胞腹水中の細胞、胸水中の細胞、脳脊髄液中の細胞、骨髄細胞、またはリンパ節細胞などを挙げることができる。本発明に用いられる試料は、健常人由来であっても、あるいは癌患者由来であってもよい。健常人由来のこれらの細胞を用いることにより、例えば、癌に罹患しているかどうか、あるいはその素因を有するかどうかを診断することなどが可能になる。癌患者由来のこれらの細胞を用いることにより、例えば、癌患者においてWT1免疫療法が効果を有するかどうかを予測することなどが可能になる。本発明の方法において、取得した試料は、WT1ペプチドによる刺激の前後に培養されていてもよく、前記培養条件は当業者が適宜決定することができる。WT1ペプチドを用いたこれらの細胞の刺激は、エレクトロポレーションなどの公知の手法を用いて行うことができ、インビトロまたはインビボのいずれにおいて行われてもよい。サイトカイン産生、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞の反応が存在するか、あるいはサイトカイン産生量、ヘルパーT細胞、または細胞傷害性T細胞の反応量は既知の方法により調べることができる。

0042

本発明は、なおさらなる別の態様において、上記WT1ペプチドを必須構成成分として含む、WT1ペプチドの存在または量を決定するためのキットに関するものである。本発明のキットは、上記WT1ペプチドの他に、例えば、試料の取得手段、サイトカインなどの評価手段などを含んでいてもよい。一般的には、キットには取扱説明書を添付する。本発明のキットを用いることにより、上述のWT1ペプチドの存在または量を決定する方法において簡便かつ迅速にWT1ペプチドの存在または量を決定することが可能となる。

0043

本発明はまた、以下を提供する:
WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞を活性化させるための、WT1ペプチドを含む組成物であって、該ヘルパーT細胞が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子と該WT1ペプチドとの複合体を認識するものである、組成物、および前記組成物を有効成分として含む、癌を治療または予防するための医薬組成物;
WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞のいずれかを有効成分として含む、癌を治療または予防するための医薬組成物であって、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に投与するための医薬組成物;および
WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞を活性化させる工程を含む、ヘルパーT細胞の活性化方法であって、該ヘルパーT細胞が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子と該WT1ペプチドとの複合体を認識するものである、方法。

0044

本発明はまた、以下を提供する:
(1)ヘルパーT細胞を活性化させるための、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞を含む組成物であって、該ヘルパーT細胞が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子と該WT1ペプチドとの複合体を認識するものである、組成物。
(2)細胞傷害性T細胞を活性化させるための、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞を含む組成物であって、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に投与される、組成物。
(3)癌を治療または予防するための、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞を含む組成物であって、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に投与される、組成物。
(4)WT1ペプチドを含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチドである、上記(5)記載の組成物。
(7)WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体が提示されている抗原提示細胞であって、前記MHCクラスII分子が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子である、抗原提示細胞。
(8)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、上記(7)記載の抗原提示細胞。
(9)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチドである、上記(8)記載の抗原提示細胞。
(10)WT1ペプチドを含む抗原ペプチドとMHCクラスII分子との複合体を認識するヘルパーT細胞であって、前記MHCクラスII分子が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子である、ヘルパーT細胞。
(11)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、上記(10)記載のヘルパーT細胞。
(12)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチドである、上記(11)記載のヘルパーT細胞。
(13)上記(12)記載のヘルパーT細胞により活性化される、細胞傷害性T細胞。
(14)上記(7)〜(9)のいずれかに記載の抗原提示細胞、上記(10)〜(12)のいずれかに記載のヘルパーT細胞、または上記(13)記載の細胞傷害性T細胞のいずれかを有効成分として含む、癌を治療または予防するための医薬組成物。

0045

本発明はまた、以下を提供する:
(1)WT1ペプチドを抗原提示細胞に添加して、ヘルパーT細胞を活性化させる工程を含む、ヘルパーT細胞の活性化方法であって、該ヘルパーT細胞が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子と該WT1ペプチドとの複合体を認識するものである、方法。
(2)WT1ペプチドの抗原提示細胞への添加が、WT1ペプチドと抗原提示細胞とを接触させることにより、またはWT1ペプチドをコードするポリヌクレオチドもしくは該ポリヌクレオチドを含む発現ベクターを抗原提示細胞に導入することにより行われる、上記(1)記載の方法。
(3)細胞傷害性T細胞の活性化方法であって、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞を投与することを含む、方法。
(4)癌を治療または予防するための方法であって、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞を投与することを含む、方法。
(5)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチドである、上記(5)記載の方法。

0046

本発明はまた、以下を提供する:
(1)ヘルパーT細胞を活性化させるための医薬の製造ための、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞の使用であって、該ヘルパーT細胞が、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子と該WT1ペプチドとの複合体を認識するものである、使用。
(2)細胞傷害性T細胞を活性化させるための医薬の製造のための、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞の使用であって、該医薬がHLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に投与されるものである、使用。
(3)癌を治療または予防するための医薬の製造のための、WT1ペプチド、WT1ペプチドをコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、または該発現ベクターを含む細胞の使用であって、該医薬がHLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子を有する対象に投与されるものである、使用。
(4)WT1ペプチドを含む医薬の製造のための、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の使用。
(5)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチド、その変異体または修飾体である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の使用。
(6)WT1ペプチドが、アミノ酸配列:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)を含むペプチドである、上記(5)記載の使用。

0047

以下に実施例を示して本発明を具体的かつ詳細に説明するが、実施例は本発明を限定するものと解してはならない。

0048

実施例1:WT1ペプチド(配列番号2)特異的Th1クローン細胞樹立
WT1ペプチド(配列番号2)(以降WT1-332と表記)特異的Th1クローン細胞(以下、Th1クローン細胞)の樹立を目的に、以下の検討を行った。

0049

(1)試験材料
主な試験材料は以下の通りである。
被験物質



保管条件:−30℃設定の冷凍庫
*WT1-332:Lys Arg Tyr Phe Lys Leu Ser His Leu Gln Met His Ser Arg Lys His(配列番号2)

0050

被験物質の調製
10 mM酢酸で20 mg/mLに溶解し、濾過滅菌して冷凍保存(−30℃設定)した。

0051

フィーダー細胞用抹単核球(PBMC)
1)細胞名:PBMC
2)由来:健康成人血液提供者末梢血
個人情報管理者の管理下で連結可能匿名化、及び文書によるインフォームドコンセントを行い、本試験にて採血、調製した。
3)検体条件:フィーダーの内、いずれかがクローニング実施検体と異なること。
4)採取条件:加ヘパリンナトリウム採血40 mL

0052

フィーダー用B-LCL細胞株
5)細胞株名:B-LCL細胞株
6)由来:ヒト末梢血
7)入手先理研セルバンクもしくはIHWGセルバンク

0053

群構成



*細胞内サイトカイン染色(ICS)及びクローニング後、1回目のELISA試験のみ1ウェルで行った。

0054

試薬類
この試験に用いた試薬類の内、特に重要なものを下記に示した。

0055

培地類の調製
ヒトAB型血清及び胎仔血清(FBS)は、非働化処理後、0.2 μmフィルター濾過して用いた。培地は、PBMC分離用に20 U/mLヘパリンHBSSを、B-LCL細胞用に10% FBS/ RPMI-1640(100 units/mL penicillin, 100 μg/mL streptomycin)培地を、その他の培養には10% ヒトAB型血清/AIM-V(インビトロジェン)培地を用いた。細胞の培養は、各培地中、37℃-5%CO2インキュベーターで行った。

0056

(2)試験方法
PBMCの調製
健常人ボランティア末梢血から比重遠心法によりPBMCを調製し、その一部をWT1-332特異的T細胞の誘導に用いた。残りの細胞はセルバンカー(十慈フィールド株式会社)中に凍結保存し、再刺激時の抗原提示細胞もしくはフィーダー細胞として使用した。

0057

WT1-332特異的T細胞の誘導
調製したPBMCを1.5×106個/ウェル×10 ウェルで24ウェルプレート播種し、最終濃度20 μg/mL のWT1-332及び最終濃度10 ng/mL のIL-7を添加して培養を開始した(Day0,総培地量:2 mL/ウェル)。
1週間後に再刺激を行った。再刺激にはまず、細胞濃度を3.0×106個/mL以下に調製した抗原提示細胞用PBMCに最終濃度20 μg/mLのWT1-332を添加して2時間培養し、さらにマイトマイシンCMMC溶液(最終濃度=50 μg/mL)を添加して45分間培養し、AIM-Vで洗浄して抗原提示細胞とした。次に、培養していたPBMCを回収後、接着細胞を除去し、1.15-1.43×106個/ウェルで播種し、同数のWT1/MMC処理済みの抗原提示細胞と共に、最終濃度10 ng/mL のIL-7を添加して培養を再開した(Day7)。2日後に40 U/mL IL-2含有培地で培養液の半量交換を行い、さらに隔日で20 U/mL IL-2含有培地で培養液の半量交換を行いながら1週間培養を続けた。

0058

細胞内サイトカイン染色 (ICS)
Day14に培養細胞を回収し、96ウェル丸底プレートに2.0×105個ずつ2ウェルに播種し、一方に20 μg/mL WT1-332を、他方に溶媒を添加して4時間培養した後、さらに最終濃度1×のBrefeldin Aを添加して2時間培養した。細胞を回収し、PE標識抗ヒトCD4抗体、FITC標識抗ヒトCD8抗体を添加し、4℃、15分間反応させ、Staining Bufferで洗浄し、Cytofix Cytoperm Fix/Permを添加し、4℃、20分間処理した。Perm./Wash Buffer で洗浄し、PerCP標識抗ヒトIFN-γ抗体を添加して4℃、30分間反応させ、Perm./Wash Bufferで洗浄後、FACSにより解析した。

0059

フィーダー用B-LCL細胞の融解、播種、および継代
凍結保存細胞から約3×105個/mLで培養開始し、サブコンフルエント時に継代操作を行い、PHA刺激時のフィーダー用B-LCL細胞とした。

0060

MACSによるCD4+細胞の単離
メーカー推奨プロトコールに準じて、培養細胞からMACS Microbeadsを用いてポジティブセレクションを行い、CD4+細胞を単離した。

0061

限界希釈法によるWT1-332特異的Th1細胞のクローニング及び増幅
各フィーダー用B-LCL細胞及びPBMC(細胞濃度3×106/mL以下)を、マイトマイシンC溶液(最終濃度=50 μg/mL)でCO2インキュベーター中45分間処理し、AIM-Vで洗浄後、PBMC2種とB-LCL細胞2種の計4種の細胞を混和(各PBMCの最終濃度2.5×105個/mL、各B-LCL細胞の最終濃度2.5×104個/mL)した。これをクローニングする検体数に応じて、必要セット数調製し、最終濃度200 ng/mLでPHAを添加して、PHA含有フィーダー細胞混和液とした。
次に、分画したCD4+細胞の内、ICSの結果からCD4+IFN-γ+細胞比率が高い検体を選択し、準備したPHA含有フィーダー細胞混和液で、CD4+細胞濃度が10個/mLになるよう調整し、96ウェルプレートに100 μL/ウェル(PBMC総量:5.0×104cells/ウェル、B-LCL細胞:5.0×103個/ウェル、PHA:200 ng/mL、CD4+細胞:1個/ウェル)で播種し、培養を開始した。5日後に培養液と等量の80 U/mLIL-2含有培地を添加し、その後隔日で80 U/mL IL-2含有培地で培養液の半量交換を行った。この間に、明らかな細胞増幅が観察されたウェルは、48ウェルプレートにスケールアップし培養を続けた。
クローニング開始から10日から14日間隔で、上記と同様にPHA刺激による増幅刺激を加えたが播種時に、培養皿を24ウェルプレートに、PBMC総量を1.0×106 個/ウェルに、B-LCL細胞総量を1.0×105個/ウェルに、PHA最終濃度を50ng/mLに、増幅させるTh1クローン細胞数は2.0×105個/ウェル以下に変更した。また、IL-2添加のタイミングを培養開始から3日後としさらに添加する培地のIL-2含有量を200 U/mLとした。

0062

Th1クローン細胞のペプチド刺激
クローニングし、増幅させたTh1クローン細胞の抗原反応性を確認するため、回収したTh1クローン細胞を96ウェル丸底プレートに1ウェルもしくは3ウェルで播種した。これに10 μM酢酸もしくは、20 μg/mLの各ペプチドを添加して、培養を開始し(総培養液量:200 μL/ウェル)、約24時間後に培養上清を回収した。

0063

ELISA
各培養上清中のIFN-γ濃度は、各培養上清をAssay Diluent(Becton Dickinson社)で4倍希釈後に測定した。IFN-γ濃度の測定には、BD OptEIAELISA set(human IFN-γ、Becton Dickinson社)を用い添付文書に従い測定したが、抗体の希釈濃度を500倍に、検量線の範囲を18.75−1200 pg/mLに、また、発色反応時間を5分に変更し、測定域を超えた場合は外挿値、吸光度が0を下回った場合は0として扱った。

0064

Th1クローン細胞マスターセルバンクの作成
抗原反応性が確認されたTh1クローン細胞をセルバンカー中で凍結保存し、マスターセルバンクとした。

0065

評価項目
WT1-332刺激下で14日間培養を行ったCD4+細胞中に、WT1-332特異的Th1細胞が有意に誘導されているか否かを評価するため、下式に従いWT1-332特異的Th1細胞比率(%)と、WT1-332非特異的Th1比率(%)を算出した。

WT1-332特異的Th1細胞比率(%)
=WT1-332刺激時のCD4+細胞内IFN-γ+細胞数/ 総生細胞数×
分画後CD4+細胞比率 / 分画前CD4+細胞比率 ×100

WT1-332非特異的Th1細胞比率(%)
=AcOH添加時のCD4+細胞内IFN-γ+細胞数 / 総生細胞数×100×
分画後CD4+細胞比率 / 分画前CD4+細胞比率 ×100

各実験でWT1-332特異的Th1比率からWT1-332非特異的Th1比率を除した値が高かった6〜7検体についてクローニングを実施した。
各群の培養上清中IFN-γ濃度をELISAにより測定し、溶媒添加時に対してWT1-332添加時のIFN-γ産生量が500 pg/mL以上多く、1.2倍以上高い場合に抗原反応性が維持されているものと判断し、その後の操作を行った。

0066

(3)結果
種々のTh1クローン細胞の樹立を行うことができた。得られたクローンの一部は、タイピングの結果、新規拘束アレルを有していることが確認された。結果を表4に示す。これらのクローンを用いて、実施例2においてWT1-332が特定のHLA拘束性にTh1細胞を活性化できるか検討行った。



下線は新規の拘束アレルを示す。
*HLAタイピングを実施していないHLA座はN.T.と表記した。

0067

実施例2:樹立された特異的Th1クローン細胞の拘束アレルの決定
実施例1においてWT1-332添加により樹立された特異的Th1クローン細胞(以下、Th1クローン細胞)において、WT1-332が特定のHLA拘束性にT細胞を活性化できるかの検討を行い、またその拘束アレルを確認した。

0068

(1)試験物質
B-LCL細胞株

0069

(2)試験方法
培地類の調製
ヒトAB型血清及びFBSは非働化処理後、0.2 μmフィルターで濾過して用いた。培地は、PBMC分離用に20 U/mLヘパリンHBSSを、B-LCL細胞用に10% FBS及び1% P/S(100 units/mLペニシリン, 100 μg/mLストレプトマイシン)含有RPMI-1640を、その他の培養には10% ヒトAB型血清含有AIM-V培地を用いた。細胞の培養は、各培地中、37℃-5%CO2インキュベーターで行った。

0070

試験概要
適当なHLAクラスIIアレルを持ったB-LCL細胞にWT1-332パルスを行ったものを抗原提示細胞とし、Th1クローン細胞と共培養後、産生されるIFN-γ量を測定することにより、Th1クローン細胞のHLA拘束性を評価した。
具体的には、フィーダー用B-LCL細胞及び末梢血より調製した他家PBMCをフィーダー細胞として用い、PHA刺激下でTh1クローン細胞を培養した。次に、WT1-332或いは溶媒で処理したB-LCL細胞を抗原提示細胞として、回収したTh1クローン細胞と共培養し、産生されたIFN-γ量を測定してWT1-332特異的抗原刺激の有無を評価した。それぞれのTh1クローン細胞のHLAクラスII型に基づき、一部異なる型を有する種々のB-LCL細胞を抗原提示細胞として用いることにより、各Th1クローン細胞のHLAクラスII拘束性を評価した。

0071

フィーダー用B-LCL細胞の融解および播種
Day 0に凍結保存細胞から1×105個/mLで培養開始し、Day 3に回収してPHA刺激時のフィーダー用B-LCL細胞とした。

0072

PBMCの調製
Day 2までに健常人ボランティア末梢血から比重遠心法により調製し、細胞数を測定後、細胞ペレットを回収し、セルバンカー(三菱化学ディエンス株式会社)に再懸濁後、クライオチューブ分注して−80℃設定の冷凍庫中で凍結保存した。PHA刺激時に凍結保存PBMCを随時融解し、フィーダー用PBMCとして供した。

0073

Th1クローン細胞の融解および播種
Day 2に、凍結保存細胞から20 U/mLIL-2含有培地中で2×106cells/mL以下で培養開始し、Day 3に回収してPHA刺激時のTh1クローン細胞とした。

0074

Th1クローン細胞のPHA刺激
Day 3に、各フィーダー用B-LCL細胞及びPBMCを、マイトマイシンC溶液(最終濃度=50 μg/mL)でCO2インキュベーター中45分間処理し、AIM-Vで洗浄後、PBMC2種とB-LCL細胞2種の計4種の細胞を混和(各PBMCの最終濃度1.0×106個/mL、各B-LCL細胞の最終濃度1.0×105個/mL)した。これを、播種するTh1クローン細胞に対して必要セット数調製し、最終濃度100 ng/mLでPHAを添加して、PHA含有フィーダー細胞混和液とした。次に、培養していたTh1クローン細胞を24ウェルプレートに0.5mL/個(細胞濃度4.0×105個/mL)で播種し、さらにPHA含有フィーダー細胞混和液を0.5 mL/ウェルで播種し、培養を行った。Day 6に培養液と等量の200 U/mLIL-2含有培地を添加し、Day 8、Day 10、Day 12、Day14には40 U/mL IL-2含有培地で培養液の半量交換を行い、Day 15に拘束性評価試験に供した。尚、培養途中で細胞がコンフルエントに達した場合は、20 U/mL IL-2含有培地で継代培養を行った。

0075

拘束性評価用抗原提示B-LCL細胞の融解および播種
Day 11に、凍結保存細胞から約1×105個/mLで培養開始し、Day 15に細胞を回収し拘束性評価試験に用いた。

0076

拘束性評価試験
Day 15にTh1クローン細胞を回収し、回収細胞数に応じて96ウェル丸底プレートに1.0-2.5×104cells/100 μL/ウェル、3ウェルで播種した。細胞濃度を1×106個/mLに調製した抗原提示用B-LCL細胞を4−7mLずつコニカルチューブ2本に分注し、一方に最終濃度10 μMで酢酸を、他方に最終濃度20 μg/mLでWT1-332を添加して2時間培養した後、AIM-Vで洗浄し、Th1クローン細胞を播種した96ウェルプレートへ2.5×104cells/100 μL/ウェルで添加し、16時間以上培養した。尚、WT1-332反応性を確認する為に、同プレートに、B-LCL細胞の代わりにWT1-332或いは溶媒を添加したウェルを用意した。

0077

ELISA
各培養上清中のIFN-γ濃度は、各培養上清をAssay Diluent(Becton Dickinson)で100倍希釈後に測定した。IFN-γ濃度の測定には、BD OptEIAELISA set(human IFN-γ, Becton Dickinson)を用い添付文書に従い測定したが、検量線の範囲を5−640 pg/mLに、また、発色反応時間を10分に変更し、測定域を超えた場合は外挿値、吸光度が0を下回った場合は0として扱った。

0078

評価項目
各培養上清中のIFN-γ量

0079

(3)結果
(i)Th1クローン細胞CloneR82-1 (DRB1*08:02/14:03,DPB1*02:01,DQB1*03:01/03:02) のHLA拘束性評価試験
CloneR82-1のIFN-γ産生は、WT1-332パルスDRB1*08:02(+) B-LCL (HEV#0052およびHEV#0324)の刺激によって検出された(図1)。したがって、CloneR82-1はWT1-332特異的HLA-DRB1*08:02-拘束性Th1クローンであることが判明した。

0080

(ii)Th1クローン細胞CloneR132-1 (DRB1*01:01/13:02,DPB1*04:01/04:02) のHLA拘束性評価試験
CloneR132-1のIFN-γ産生は、WT1-332パルスDRB1*13:02(+) B-LCL (HEV#0046)の刺激によってのみ検出された(図2)。したがって、CloneR132-1は、WT1-332特異的HLA-DRB1*13:02-拘束性Th1クローンであることが判明した。

0081

(iii)Th1クローン細胞CloneR143-1 (DRB1*14:03/15:02,DPB1*02:01/03:01) のHLA拘束性評価試験
CloneR143-1のIFN-γ産生は、WT1-332パルスDRB1*14:03(+) B-LCL (HEV#0052)の刺激によってのみ検出された(図3)。したがって、CloneR143-1はWT1-332特異的HLA-DRB1*14:03拘束性Th1クローンであることが確認された。

0082

(iv)Th1クローン細胞CloneR145-2 (DRB1*04:05/14:05,DPB1*05:01) のHLA拘束性評価試験
Clone R145-2のIFN-γ産生は、WT1-332パルスDRB1*14:05(+) B-LCL (ISH5)の刺激によってのみ検出された(図4)。したがって、Clone R145-2はWT1-332特異的HLA-DRB1*14:05拘束性Th1クローンであることが判明した。

0083

(v)Th1クローン細胞CloneQ32-1 (DRB1*08:02/14:03,DPB1*02:01,DQB1*03:01/03:02) のHLA拘束性評価試験
CloneQ32-1のIFN-γ産生は、WT1-332パルスDQB1*03:02(+) B-LCL (HEV#0052およびHEV#0238)の刺激によって検出された(図5)。したがって、CloneQ32-1はWT1-332特異的HLA-DQB1*03:02拘束性Th1クローンであることが確認された。

実施例

0084

(vi)Th1クローン細胞CloneQ41-1 (DRB1*04:05/15:01,DPB1*05:01,DQB1*04:01/06:02) のHLA拘束性評価試験
CloneQ41-1のIFN-γ産生は、WT1-332をパルスした種々の抗原提示細胞(HEV#0174、HEV#0013、HEV#0035、およびHEV#0050)の刺激によって検出されたが、WT1-332をパルスしたHEV#0201およびHEV#0073では検出されなかった(図6)。DQB1*04:01は、HEV#0174、HEV#0013、HEV#0035、および0050においてのみ発現している。したがって、CloneQ41-1はWT1-332特異的HLA-DQB1*04:01拘束性Th1クローンであることが確認された。

0085

本発明により、HLA-DRB1*08:02分子、HLA-DRB1*13:02分子、HLA-DRB1*14:03分子、HLA-DRB1*14:05分子、HLA-DQB1*03:02分子、およびHLA-DQB1*04:01分子から選択されるいずれかのMHCクラスII分子に結合する能力を有するWT1ペプチドを用いて、ヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞を活性化する方法およびそのための組成物、ならびにヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞を活性化することによる癌の治療および/または予防用医薬組成物などが提供されるので、医薬品等の分野、例えば、WT1遺伝子を高発現している種々の造血器腫瘍、固形癌の予防薬または治療薬の開発、製造分野において利用可能である。

0086

配列番号2:合成ペプチド

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